JP6024410B2 - ヒドロキシアダマンタンポリカルボン酸化合物の製造方法 - Google Patents

ヒドロキシアダマンタンポリカルボン酸化合物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、アダマンタン骨格を有し、医農薬中間体や光ファイバーや光導波路、光ディスク基板、フォトレジストなどの光学材料、耐熱性、表面硬度等に優れた機能性樹脂原料、その他各種工業製品として有用なヒドロキシアダマンタンポリカルボン酸化合物の製造方法に関する。
アダマンタン骨格の様な橋頭を有する脂環族化合物は、構造上剛直な性質を有し、高い耐熱性や優れた光学特性を示すことから、高機能樹脂材料や医農薬中間体、フォトレジスト材料などの光学材料として用いられている(例えば特許文献1〜3参照)。その中でも同一分子中にヒドロキシル基とカルボキシル基を有するヒドロキシアダマンタンポリカルボン酸化合物は、ヒドロキシル基とカルボキシル基の反応性の違いを利用することで様々な官能基を導入できることから機能性樹脂材料のモノマーや医農薬中間体として使用できるため有用である。
一方、フォトレジスト用モノマー等の光学材料向けでは、光学性能やレジスト性能を最大限発揮させるため極めて高純度のモノマーが要求されている。フォトレジスト用途におけるポリマー中の不純物の存在は、パターン形成や特性に影響を与えるとされているため、良く似た構造の化合物ですら出来る限りの低減化が求められており、ヒドロキシアダマンタンポリカルボン酸化合物を原料とする場合でも、出発原料のヒドロキシアダマンタンポリカルボン酸化合物の収率が高く副生成物が少ないプロセスや、次工程に影響を与えない程度まで不純物を低減した精製プロセスが求められている。
ヒドロキシアダマンタンポリカルボン酸化合物の合成法は、いくつかのルートが知られている。先ず、アダマンタンカルボン酸化合物の酸素酸化反応により、ヒドロキシアダマンタンカルボン酸化合物を合成する方法が開示されているが、反応の選択性が低く、複数の位置で酸化反応が進行して生成した副生成物が得られており、単離精製が困難という問題点があった(例えば特許文献4参照)。
特開平6−305044号公報 特開平4−39665号公報 特開2006−16379号公報 特開平11−106360号公報
本発明は、上記の各問題点を鑑みてなされたものであり、アダマンタンポリカルボン酸化合物からヒドロキシアダマンタンポリカルボン酸化合物を、簡便且つ高収率で製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、アダマンタンポリカルボン酸化合物を特定条件下で反応及び停止することで、簡便かつ高収率でヒドロキシアダマンタンポリカルボン酸化合物を製造する方法を見出した。
すなわち本発明は、少なくとも3級炭素の一つが水素と結合している、式(1)に示されるアダマンタンポリカルボン酸化合物から、式(2)で示されるヒドロキシアダマンタンポリカルボン酸化合物を製造する方法であって、下記(ア)及び(イ)の工程を有する事を特徴とする製造方法である。
(ア) 式(1)に示されるアダマンタンポリカルボン酸化合物及び酸化剤をプロトン酸溶液中、30℃〜80℃で酸化反応させる工程。
(イ) (ア)工程で得られた反応液と反応停止用水を混合してpHが7未満の状態で酸化反応を停止する工程。
(1)
(式中、置換基Rは、橋頭位に位置する置換基であり、n個のCOOH基、p個の水素原子及びq個の炭素数1〜6のアルキル基を示し、n、p、qは、n=2〜3、n+p+q=3の関係の整数である。置換基Rは橋頭位以外の炭素に結合し、同一又は異なって良く水素又は炭素数1〜6のアルキル基を示し、m=12である。)
(2)
(式中、R’は、n個のCOOH、p個の水素及びq個の炭素数1〜6のアルキル基を示し、n、p、qは式(1)と同じである。)
さらに、酸化反応を停止する(イ)工程において、ヒドロキシアダマンタンポリカルボン酸化合物が反応液から析出することを特徴とする製造方法である。
また、該反応停止用水が、
(a)純水であって反応液と純水の総量が、式(1)で示されるアダマンタンポリカルボン酸化合物の仕込み量の20〜30質量倍であるか
又は(b)アルカリ性水溶液であって反応液とアルカリ性水溶液の総量が、式(1)で示されるアダマンタンポリカルボン酸化合物の仕込み量の15〜50質量倍であることを特徴とする製造方法である。
本発明の製造方法によれば、工業的に有用な、式(2)で示されるヒドロキシアダマンタンポリカルボン酸化合物を、簡便かつ高収率で得ることができる。
本発明で原料として用いられるアダマンタンポリカルボン酸化合物は、式(1)で示される化学構造を満足するアダマンタンポリカルボン酸即ち1,3−アダマンタンジカルボン酸誘導体、1,3,5−アダマンタントリカルボン酸誘導体であれば適用が可能である。
上記の1,3−アダマンタンジカルボン酸誘導体としては、1,3−アダマンタンジカルボン酸、5−メチル−1,3−アダマンタンジカルボン酸、5−エチル−1,3−アダマンタンジカルボン酸、5−プロピル−1,3−アダマンタンジカルボン酸、2−メチル−1,3−アダマンタンジカルボン酸、2−エチル−1,3−アダマンタンジカルボン酸、2−プロピル−1,3−アダマンタンジカルボン酸、などが挙げられ、更に上記に示した各種置換基を有していてもよい。
また、1,3,5−アダマンタントリカルボン酸誘導体としては、1,3,5−アダマンタントリカルボン酸、2−メチル−1,3,5−アダマンタントリカルボン酸、2−エチル−1,3,5−アダマンタントリカルボン酸、2−プロピル−1,3,5−アダマンタントリカルボン酸、などが挙げられ、更に上記に示した各種置換基を有していてもよい。
本発明で用いるプロトン酸としては、溶媒としてアダマンタンポリカルボン酸化合物及び酸化剤を溶解できるものが用いられる。具体的には、無機酸として硫酸、有機カルボン酸としてギ酸、酢酸、プロピオン酸、有機スルホン酸としてエタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、トリフルオロメチルスルホン酸、パラトルエンスルホン酸である。それらを1種以上組み合わせて用いることができる。
その中でも、得られるヒドロキシアダマンタンポリカルボン酸化合物の反応における選択率とプロトン酸自体を溶媒として使用することから溶液状態で入手できる無機酸、特に硫酸が好ましい。
また、硫酸を用いる場合、使用する硫酸の濃度は、90質量%以上の水溶液を用いることが好ましく、更に96質量%以上の水溶液を用いることが好ましい。更に、反応中の硫酸濃度を維持するために、反応前や反応中に発煙硫酸を加える方法を用いても良い。
プロトン酸溶媒の使用量は、式(1)のアダマンタンポリカルボン酸化合物に対し4〜20質量倍、好ましくは4〜16質量倍、さらに好ましくは4〜10質量倍にすることが望ましい。この範囲内で反応を行うことで、十分に酸化が進行し且つ目的のヒドロキシポリカルボン酸が高収率で取得できる。
本願で用いる酸化剤としては、プロトン酸溶媒中でアダマンタンポリカルボン酸に水酸基を導入できる酸化能力があれば特に制限は無い。その中でも硝酸、過塩素酸、過マンガン酸、クロム酸などの無機酸、若しくは過酸化水素などの過酸化物が具体的に例示され、収率や取扱い易さなどの点から硝酸を用いることが最も好ましい。
酸化剤の使用量は、式(1)のアダマンタンポリカルボン酸化合物に対して0.9〜10.0当量、好ましくは1.0〜5.0当量にすることが望ましい。この範囲内で酸化が十分進行し、目的のヒドロキシポリカルボン酸が高収率で取得できる。
酸化工程の反応温度は、通常0〜100℃の範囲で行われ、好ましくは30〜80℃程度で行うことが好ましい。この範囲内であれば酸化反応が十分に進行し、副反応の進行は少ない。また、反応圧力は特に制限は無い。
酸化剤の添加方法は、特に制限は無く公知の方法を選択できる。また、添加時の温度も特に制限は受けないが、副反応防止の観点から酸化工程の反応温度に出来るだけ合わせて添加することが好ましい。
酸化反応の時間は、反応温度にも影響されるが、酸化反応が十分に進行する時間であれば特に制限を受けない。通常1〜100時間で行うことが好ましく、好ましくは1〜20時間で行うことが良い。この範囲内で反応を行うことで、十分に酸化が進行し且つ目的のヒドロキシアダマンタンポリカルボン酸が高収率で取得できる。用いる反応器の材質も特に制限を受けないが、プロトン酸により腐食が少ない例えばグラスライニング製やテフロン(登録商標)コーティング製の反応器が好ましい。反応器の形状や付属設備については特に制限は無い。
酸化反応終了後は反応液と反応停止用水を混合して、反応を停止させる。反応停止用水を加えることにより硫酸が希釈され、反応が停止すると同時に、目的物であるヒドロキシアダマンタンポリカルボン酸化合物の結晶が反応停止済み液中に析出するため、析出した結晶を濾別、乾燥することによりヒドロキシアダマンタンポリカルボン酸化合物が得られる。反応停止用水は、(a)純水を使う場合と、(b)アルカリ性水溶液を使う場合のどちらも可能である。反応液と反応停止用水を混合した後の反応停止済み液のpHは、7以上になると生成したヒドロキシアダマンタンポリカルボン酸が塩となって、反応停止済み液中に溶解して収率が低下するので、pHは7未満とする必要がある。
反応停止用水として(a)純水を使う場合は、純水と反応液の総量が、式(1)で示されるアダマンタンポリカルボン酸化合物の仕込み量の20〜30質量倍となるように加える。この範囲内であれば、プロトン酸が十分希釈されるため、生成物の結晶が十分に析出し、濾過の際の生成物の水溶液へのロスも少ない。
また、反応停止時に酸化剤を還元するために還元剤を共存させてもよい。還元剤としては例えば亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、シュウ酸、ギ酸など公知の還元剤が例示され、酸化剤に対して1当量〜10当量の範囲で添加することができる。添加量は、1当量〜2当量の範囲で添加することがより好ましい。なお、反応停止及び還元操作時の温度は、特に制限を受けないが、操作上の観点から10〜40℃の範囲であれば良い。
反応停止用水として(b)アルカリ性水溶液を使用した場合、溶媒として使用したプロトン酸が中和されて、塩が生成するため、生成した塩による塩析の効果によりヒドロキシアダマンタンポリカルボン酸化合物の結晶を析出させやすくなる。またアルカリ性水溶液を使用した場合、反応液のpHが調節できるため、析出した結晶を濾別する際に酸による装置の腐食などを防止できる。また、反応停止用水として一部(a)水を用いて、残りを(b)アルカリ性水溶液とすることも可能である。
本発明におけるアルカリ性水溶液に用いるアルカリは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化アンモニウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドのようなテトラアルキルアンモニウムハイドロオキサイド等が挙げられ、特に水酸化ナトリウムや水酸化カリウムが安価で取り扱いが容易なため好ましい。(b)アルカリ性水溶液の濃度は特に制限を受けないが、一般的な取扱いを考慮すると1〜30質量%が好ましく、10〜20質量%の濃度がより好ましい。アルカリの濃度が高いと中和により生成する無機塩が多量に析出し、攪拌阻害や目的物結晶への混入により多量の洗浄液を必要とするなどの問題があるが、この範囲であれば、無機塩の析出が少なく、操作性の低下も起こらず、無機塩の目的物への混入も少ない。また、加えるアルカリの量は、反応停止済み液のpHを7未満に調整するため、溶媒として使用したプロトン酸の解離するプロトンのモル数に対して0.1〜1当量が良い。アルカリを過剰に加えると、目的物であるヒドロキシアダマンタンポリカルボン酸化合物が塩となって溶解し、単離が困難になるが、この範囲内であればpHが酸性側で維持されるため、新たに酸性水溶液を加えてpHを調整しなくても目的物であるヒドロキシアダマンタンポリカルボン酸化合物の結晶を析出させることができる。なお、反応停止用水として(b)アルカリ性水溶液を用いる場合も、上記の還元剤を添加する事ができる。
本発明において(b)アルカリ性水溶液の使用量は、(b)アルカリ性水溶液と反応液の総量が、式(1)で示されるアダマンタンポリカルボン酸化合物の仕込み量の15〜50質量倍となるように加える。この範囲内であれば、プロトン酸が十分希釈されるため、生成物の結晶が十分に析出し、濾過の際の生成物の水溶液へのロスも少ない。
反応停止用水は、純水を使用するよりもアルカリ性水溶液を加える方が好ましい。目的物であるヒドロキシアダマンタンポリカルボン酸化合物はヒドロキシアダマンタンモノカルボン酸化合物と比べて水との親和性が高く、反応停止済み液の総量がアダマンタンポリカルボン酸化合物に対して30質量%以上となると、ヒドロキシアダマンタンポリカルボン酸化合物の結晶が析出せず、目的物を取得することができない。反応停止の際にアルカリ性水溶液を使用すると溶媒として使用したプロトン酸が中和されて、無機塩が生成するため、無機塩による塩析効果によりヒドロキシアダマンタンポリカルボン酸化合物の結晶を析出させやすくなるという利点がある。
目的物である式(2)のヒドロキシアダマンタンカルボン酸化合物の濾別方法は特に制限は無く、重力を利用した自然濾過、加圧濾過、減圧濾過、遠心分離等の公知の方法を選択できる。また濾過に用いるフィルターの形状も、プロセスや設備など所望に応じ選択することができる。
上記の濾別により分離されたヒドロキシアダマンタンポリカルボン酸化合物の粗結晶には未反応の原料などの不純物が含まれることがあるが、洗浄、蒸留、昇華、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなど公知の分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により精製され、式(2)で表わされるヒドロキシアダマンタンポリカルボン酸化合物が取得できる。
最終目的物である、精製されたヒドロキシアダマンタンポリカルボン酸化合物は一般に乾燥させて紛体で取り扱われる。乾燥方法は、特に制限は無く風乾、加熱乾燥、減圧乾燥など方法を選択できるが、乾燥時間が短縮できる減圧乾燥が好ましく選択される。また、乾燥温度は、特に制限はなく、常圧〜減圧下であれば0〜120℃が好ましく、30〜80℃がより好ましいが、乾燥温度は乾燥圧力により適宜選択すればよい。
以下、実施例を挙げて、本発明の内容をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、下記実施例に何ら制約されるものではない。
(実施例1)
反応装置として攪拌機、温度計、滴下ロート、ジムロートを備えたガラス製フラスコに、1,3−アダマンタンジカルボン酸(ADCAと記す 純度99%)100.0gを仕込み、96質量%濃硫酸900g(原料に対して9質量倍)を入れた。35℃で攪拌して原料が溶解したのを確認した後、フラスコを冷却して液温が35〜50℃の範囲に留まるように70質量%硝酸120gを30分かけて滴下した。滴下終了後、反応温度50℃で5時間反応させた。反応の進行をガスクロマトグラム(GC)で確認したところ、1,3−アダマンタンジカルボン酸の転化率は100%であり、GCピーク面積比98.0%で5−ヒドロキシアダマンタン−1,3−ジカルボン酸が生成した。
攪拌機、温度計を備えたガラス製フラスコ及びアルカリトラップを設置した反応停止装置に、イオン交換水(純水)900gを入れた。次に、フラスコを冷却しながら、液温が10〜40℃の範囲に留まる様に、5−ヒドロキシアダマンタン−1,3−ジカルボン酸の反応溶液を滴下して反応を停止させ、目的物の結晶を析出させた。反応溶液滴下終了後の反応停止済み液総量は2020gであり、1、3-アダマンタンジカルボン酸仕込み質量の20倍であった。なお、反応停止済み液のpHは<0であった。析出した結晶を濾別し、水洗した。得られた結晶を40℃で8時間減圧乾燥し、5−ヒドロキシアダマンタン−1,3−ジカルボン酸の白色結晶80.7g(収率75.5%)を得た。
(実施例2)
反応停止操作でイオン交換水1438gを使用する以外は実施例1と同様の操作を行ったところ、5−ヒドロキシアダマンタン−1,3−ジカルボン酸の白色結晶78.8g(収率73.6%)を得た。反応溶液滴下終了後の反応停止済み液総量は2560gであり、1、3-アダマンタンジカルボン酸仕込み質量の26倍であった。なお、反応停止済み液のpHは<0であった。
(比較例1)
反応停止操作でイオン交換水2200gを使用する以外は実施例1と同様の操作を行ったところ、5−ヒドロキシアダマンタン−1,3−ジカルボン酸の結晶が析出しなかった。反応溶液滴下終了後の反応停止済み液総量は3330gであり、1、3-アダマンタンジカルボン酸仕込み質量の33倍であった。なお、反応停止済み液のpHは<0であった。
(比較例2)
反応停止操作でイオン交換水3880gを使用する以外は実施例1と同様の操作を行ったところ、5−ヒドロキシアダマンタン−1,3−ジカルボン酸の結晶が析出しなかった。反応溶液滴下終了後の反応停止済み液総量は5000gであり、1、3-アダマンタンジカルボン酸仕込み質量の50倍であった。なお、反応停止済み液のpHは<0であった。
(実施例3)
反応装置として攪拌機、温度計、滴下ロート、ジムロートを備えたガラス製フラスコに、1,3−アダマンタンジカルボン酸(ADCA 純度99%)100.0gを仕込み、96質量%濃硫酸900g(原料に対して9質量倍)を入れた。35℃で攪拌して原料が溶解したのを確認した後、フラスコを冷却して液温が35〜50℃の範囲に留まるように70質量%硝酸120gを30分かけて滴下した。滴下終了後、反応温度50℃で5時間反応させた。反応の進行をGCで確認したところ、1,3−アダマンタンジカルボン酸の転化率は100%であり、GCピーク面積比98.0%で5−ヒドロキシアダマンタン−1,3−ジカルボン酸が生成した。
攪拌機、温度計を備えたガラス製フラスコ及びアルカリトラップを設置した反応停止装置に、水酸化ナトリウム385.3g、亜硫酸ナトリウム185.3g、イオン交換水1542gを入れ、水酸化ナトリウム、亜硫酸ナトリウム混合溶液2112.6g(原料に対して21.1質量倍)を調製した。次に、フラスコを冷却しながら、液温が10〜40℃の範囲に留まる様に、5−ヒドロキシアダマンタン−1,3−ジカルボン酸の反応溶液を滴下して反応を停止させ、目的物の結晶を析出させた。反応溶液滴下終了後の反応停止済み液総量は3233gであり、1、3-アダマンタンジカルボン酸仕込み質量の32倍であった。なお、反応停止済み液のpHは1.0であった。析出した結晶を濾別し、水洗した。得られた結晶を40℃で8時間減圧乾燥し、5−ヒドロキシアダマンタン−1,3−ジカルボン酸の白色結晶80.5g(収率75.0%)を得た。
(実施例4)
反応停止操作で、混合溶液のイオン交換水使用量を2184gとする以外は実施例3と同様の操作を行ったところ、5−ヒドロキシアダマンタン−1,3−ジカルボン酸の白色結晶82.8g(収率77.5%)を得た。反応溶液滴下終了後の反応停止済み液総量は3874gであり、1、3-アダマンタンジカルボン酸仕込み質量の39倍であった。なお、反応停止済み液のpHは1.0であった。
(実施例5)
反応停止操作で、混合溶液のイオン交換水使用量を3322gとする以外は実施例3と同様の操作を行ったところ、5−ヒドロキシアダマンタン−1,3−ジカルボン酸の白色結晶25g(収率23.4%)を得た。反応溶液滴下終了後の反応停止済み液総量は5000gであり、1、3-アダマンタンジカルボン酸仕込み質量の50倍であった。なお、反応停止済み液のpHは1.0であった。
(比較例3)
反応停止操作において、水酸化ナトリウム638.0g、亜硫酸ナトリウム185.3g、イオン交換水4002gの水酸化ナトリウム、亜硫酸ナトリウム混合溶液4825.3g(原料に対して48.3質量倍)を使用する以外は、実施例1と同様の操作を行ったところ、5−ヒドロキシアダマンタン−1,3−ジカルボン酸の結晶が析出しなかった。反応溶液滴下終了後の反応停止済み液総量は5945gであり、1、3-アダマンタンジカルボン酸仕込み質量の60倍であった。なお、反応停止済み液のpHは1.0であった。
(実施例6)
濃硫酸を750g(原料に対して8質量倍)に変えた以外は実施例3と同様の操作を行ったところ、1,3−アダマンタンジカルボン酸の転化率は97.0%であり、5−ヒドロキシアダマンタン−1,3−ジカルボン酸の含有量が99質量%の白色結晶70.0g(収率64.0%)を得た。
(実施例7)
濃硫酸を500g(原料に対して5質量倍)に変えた以外は実施例3と同様の操作を行ったところ、1,3−アダマンタンジカルボン酸の転化率は88%であり、5−ヒドロキシアダマンタン−1,3−ジカルボン酸の含有量が84質量%の白色結晶64.5g(収率50.8%)を得た。
(実施例8)
濃硫酸を400g(原料に対して4質量倍)に変えた以外は実施例3と同様の操作を行ったところ、1,3−アダマンタンジカルボン酸の転化率は80%であり、5−ヒドロキシアダマンタン−1,3−ジカルボン酸の含有量が78質量%の白色結晶61.0g(収率44.5%)を得た。
(実施例9)
濃硫酸300g(原料に対して3質量倍)以外は実施例3と同様の操作を行ったところ、1,3−アダマンタンジカルボン酸の転化率は42%であり、5−ヒドロキシアダマンタン−1,3−ジカルボン酸の含有量が40質量%の白色結晶75.4g(収率32.3%)を得た
(実施例10)
反応温度35℃で反応させる以外は実施例3と同様の操作を行ったところ、1,3−アダマンタンジカルボン酸の転化率は99.0%であり、含有量が97質量%の5−ヒドロキシアダマンタン−1,3−ジカルボン酸の白色結晶74.1g(収率66.7%)を得た。
(比較例4)
反応温度を0℃で反応させる以外は実施例3と同様の操作を行ったところ、1,3−アダマンタンジカルボン酸の転化率は2.1%であり、GC面積比2.0%で5−ヒドロキシアダマンタン−1,3−ジカルボン酸が生成した。
* 結晶が析出しなかったので、収率を計算せず。

Claims (3)

  1. 下記(ア)及び(イ)の工程を有する、式(2)で示されるヒドロキシアダマンタンポリカルボン酸化合物の製造方法。
    (ア) 式(1)で示されるアダマンタンポリカルボン酸化合物及び酸化剤を式(1)で示されるアダマンタンポリカルボン酸化合物に対して4〜20質量倍の濃度90質量%以上の硫酸中、30〜80℃で酸化反応させる工程。
    (イ) (ア)工程で得られた反応液と反応停止用水として(b)アルカリ性水溶液を(ア)工程で得られた反応液と該アルカリ性水溶液の総量が、式(1)で示されるアダマンタンポリカルボン酸化合物の仕込み量の15〜50質量倍となるよう混合してpH7未満で酸化反応を停止させて、式(2)で示されるヒドロキシアダマンタンポリカルボン酸化合物を反応液から析出する工程。
    (式中、置換基RTは、橋頭位に位置する置換基であり、n個のCOOH基、p個の水素原子及びq個の炭素数1〜6のアルキル基を示し、n、p、qは、n=2〜3、n+p+q=3の関係の整数である。置換基RSは橋頭位以外の炭素に結合し、同一又は異なって良く水素又は炭素数1〜6のアルキル基を示し、m=12である。)
    (式中、RT’は、n個のCOOH、p個の水素及びq個の炭素数1〜6のアルキル基を示し、n、p、qは式(1)と同じである。)
  2. 前記酸化剤が硝酸である請求項1に記載のヒドロキシアダマンタンポリカルボン酸化合物の製造方法。
  3. 前記反応停止用水が還元剤を含有する事を特徴とする請求項1又は2に記載のヒドロキシアダマンタンポリカルボン酸化合物の製造方法。
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