JP2007269721A - ビアダマンタンカルボン酸誘導体の製造法 - Google Patents

ビアダマンタンカルボン酸誘導体の製造法 Download PDF

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Abstract

【課題】 ビアダマンタンカルボン酸誘導体を入手容易な化合物から簡易にしかも高い収率及び選択率で製造できる方法を提供する。
【解決手段】 少なくとも1つのアダマンタン骨格に、酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な基を少なくとも1つ有するビアダマンタン誘導体を、強度が105重量%硫酸当量以上の発煙硫酸の存在下、一酸化炭素又はその等価体と反応させて、アダマンタン骨格にカルボキシル基を有するビアダマンタン誘導体を得る。この製造法は、少なくとも1つのアダマンタン骨格に、酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な基を少なくとも1つ有し、且つ2つのアダマンタン骨格の橋頭位に、それぞれ、炭化水素基等の置換基を2以上有するビアダマンタン誘導体を反応原料として用いる場合に特に有用である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、耐熱性、低誘電率性、光学特性に優れ、層間絶縁膜やレジスト材料等の電子部品材料、光ファイバーやレンズなどの光学部品材料等の高機能性材料の原料として利用できるビアダマンタンカルボン酸誘導体の製造法に関する。
アダマンタン誘導体は安定な炭素骨格構造を有していることから、耐熱性、耐水性、光学特性、光透過性、低誘電率性、吸水性、密着性などの電気特性、熱特性、機械特性及び物理特性などに優れた各種高機能性ポリマー等の機能性材料の原料として用いられている。なかでもアダマンタン骨格が2つ結合したビアダマンタン誘導体は熱特性、低誘電率性などに優れるため、いくつかの化合物が製造され、それらは電子部品材料、光学部品材料等の高機能性材料の原料としての利用が検討されている。
特開2001−253853号公報には、3,3′−ジヒドロキシビアダマンタンを、硫酸存在下で、ギ酸又は一酸化炭素と反応させることにより、3,3′−ジカルボキシ−1,1′−ビアダマンタンを得る方法が記載されている。しかしながら、本発明者らが検討したところ、アダマンタン骨格にアルキル基等の置換基を有するビアダマンタン誘導体や、3,3′−ジブロモビアダマンタン等のハロゲン原子を有するビアダマンタン誘導体を原料に用いた場合には、同条件でカルボキシル化反応はほとんど進行しなかった。また、アダマンタン骨格当たり二個以上のカルボキシル基を導入する場合にも、同条件では目的化合物の収率は低かった。
特開2001−253853号公報
本発明の目的は、ビアダマンタンカルボン酸誘導体を入手容易な化合物から簡易にしかも高い収率及び選択率で製造できる方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な基を有するビアダマンタン誘導体を、特定強度の発煙硫酸の存在下で、一酸化炭素又はその等価体と反応させると、カルボキシル化反応が円滑に進行して、対応するビアダマンタンカルボン酸誘導体が高い収率及び選択率で得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、少なくとも1つのアダマンタン骨格に、酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な基を少なくとも1つ有するビアダマンタン誘導体を、強度が105重量%硫酸当量以上の発煙硫酸の存在下、一酸化炭素又はその等価体と反応させて、アダマンタン骨格にカルボキシル基を有するビアダマンタン誘導体を得ることを特徴とするビアダマンタンカルボン酸誘導体の製造法を提供する。
この製造法は、少なくとも1つのアダマンタン骨格に、酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な基を少なくとも1つ有し、且つ2つのアダマンタン骨格の橋頭位に、それぞれ、ハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基及び保護基で保護されていてもよいカルボキシル基から選択された置換基を2以上有するビアダマンタン誘導体を反応原料として用いる場合に特に有用である。この場合、強度が110重量%硫酸当量以上の発煙硫酸を用いるのが好ましい。
この製造法は、また、2つのアダマンタン骨格に、それぞれ、酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な基を2以上有するビアダマンタン誘導体を反応原料として用いる場合にも特に有用である。この場合、強度が115重量%硫酸当量以上の発煙硫酸を用いるのが好ましい。
前記製造法では、下記式(1)
Figure 2007269721
(式中、X1、X2は各アダマンタン骨格に結合している、酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な基を示す。R1、R2は各アダマンタン骨格の橋頭位に結合している置換基であって、ハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基又は保護基で保護されていてもよいカルボキシル基を示す。m1、m2はそれぞれX1、X2の個数を示し、0〜3の整数である。但し、m1とm2がともに0であることはない。n1、n2はそれぞれR1、R2の個数を示し、0〜3の整数である。但し、n1、n2がともに3であることはない)
で表されるビアダマンタン誘導体を反応原料として用いることにより、下記式(2)
Figure 2007269721
(式中、R1、R2、m1、m2、n1、n2は前記に同じ)
で表されるビアダマンタンカルボン酸誘導体を得ることができる。
本発明によれば、ビアダマンタンカルボン酸誘導体を入手容易な化合物から簡易にしかも高い収率及び選択率で製造することができる。
本発明では、原料として、2つのアダマンタン骨格のうち少なくとも1つのアダマンタン骨格に、酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な基を少なくとも1つ有するビアダマンタン誘導体を用いる。
酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な基には、例えば、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、−0Y基(Yは、隣接する酸素原子との結合部位に炭素原子を有する有機基を示す)、酸基、H(ヒドリドとして)などが含まれる。ハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子などが挙げられる。
前記Yは隣接する酸素原子とともにエーテルを形成する基である。前記Yにおける有機基として、例えば、置換又は無置換の炭化水素基、置換又は無置換の複素環式基が挙げられる。前記炭化水素基には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル基などの直鎖状又は分岐鎖状アルキル基(C1-6アルキル基等)などの脂肪族炭化水素基;シクロペンチル、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基(C3-10シクロアルキル基等)などの脂環式炭化水素基;フェニル、ナフチル基などの芳香族炭化水素基(C6-15芳香族炭化水素基等);これらが複数個結合した炭化水素基(C7-16アラルキル基等)が含まれる。前記複素環式基には、ピリジル基などの含窒素複素環式基、2−フリル基などの含酸素複素環式基、2−チエニル基などの含硫黄複素環式基などが含まれる。複素環式基は、5〜6員の複素環式基、又はこれらが若しくはこれらとベンゼン環等の芳香族炭化水素環が2〜4個縮合した複素環式基であることが多い。前記炭化水素基や複素環式基の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、メトキシ基等のC1-4アルコキシ基、メチル基等のC1-4アルキル基、アセチル基等のC1-6アシル基、メトキシカルボニル基等のC1-4アルコキシ−カルボニル基、ニトロ基、シアノ基、置換又は無置換アミノ基(アミノ基、ジメチルアミノ基等)などが挙げられる。Yとしては、アルキル基(C1-4アルキル基等)、芳香族炭化水素基(C6-15芳香族炭化水素基等)が特に好ましい。
前記酸基としては、例えば、アセトキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基などのカルボン酸基(アシルオキシ基)(例えばC1-7程度のカルボン酸基など);メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基などのスルホン酸基(スルホニルオキシ基);亜硝酸基(−ONO);硝酸基(−ONO2)などが挙げられる。
酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な基としては、ヒドロキシル基、ハロゲン原子などが好ましく、特に原料が入手容易な点からハロゲン原子が好ましい。
酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な基はアダマンタン骨格の橋頭位の炭素原子に結合していてもよく、非橋頭位の炭素原子に結合していてもよい。酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な基(例えば、ヒドロキシル基、ハロゲン原子等)は、アダマンタン骨格の非橋頭位に結合していても、発煙硫酸によってアダマンタン骨格の橋頭位に転位する(第3級カチオンが生成する)ため、該橋頭位にカルボキシル基が導入された生成物が得られる。したがって、原料として用いるビアダマンタン誘導体としては、(i)酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な基がアダマンタン骨格の橋頭位にのみ結合している化合物、(ii)酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な基がアダマンタン骨格の非橋頭位にのみ結合している化合物、及び(iii)酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な基がアダマンタン骨格の橋頭位と非橋頭位の両方に結合している化合物の何れを用いることもできる。本発明では、これらのいずれの場合も、通常、アダマンタン骨格の橋頭位にカルボキシル基を有するビアダマンタンカルボン酸誘導体が得られる。
酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な基は、ビアダマンタン誘導体の2つのアダマンタン骨格のうち一方のアダマンタン骨格にのみ1又は2以上結合していてもよく、両方のアダマンタン骨格にそれぞれ1又は2以上結合していてもよい。本発明では、両方のアダマンタン骨格に、それぞれ、酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な基を2以上有するビアダマンタン誘導体を原料として用いる場合であっても、カルボキシル化反応が円滑に進行して、両方のアダマンタン骨格にそれぞれカルボキシル基を2以上有するビアダマンタンカルボン酸誘導体を高い収率で得ることができる。なお、原料として用いるビアダマンタン誘導体が酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な基を複数個有する場合、例えば一酸化炭素又はその等価体の量その他の反応条件を調整することにより、該酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な基のすべてをカルボキシル基に変換せず、一部をそのまま残存させることもできる。
原料として用いるビアダマンタン誘導体のアダマンタン骨格は、酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な基以外の置換基を有していてもよい。該置換基としては、反応を阻害しないようなものであれば特に限定されず、アダマンタン骨格の橋頭位、非橋頭位の何れに結合していてもよい。該置換基として、例えば、ハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基、ハロゲン原子を有していてもよいアルコキシ基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシ(ハロ)アルキル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基、保護基で保護されていてもよいスルホ基、保護基で保護されていてもよいアシル基、シアノ基、ニトロ基、オキソ基(=O)などが挙げられる。
ハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基には、ハロゲン原子を有していてもよいアルキル基、ハロゲン原子を有していてもよいシクロアルキル基、ハロゲン原子を有していてもよいアリール基、これらが2以上結合した基などが含まれる。ハロゲン原子を有していてもよいアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル基などの炭素数1〜15程度の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基(好ましくはC1-10アルキル基、さらに好ましくはC1-6アルキル基);トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル基などの炭素数1〜15程度のハロアルキル基(好ましくはC1-10ハロアルキル基、さらに好ましくはC1-6ハロアルキル基)などが挙げられる。ハロゲン原子を有していてもよいアルキル基として、特に炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のハロアルキル基が好ましい。
ハロゲン原子を有していてもよいシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル基などの3〜10員のシクロアルキル基(特に、5又は6員のシクロアルキル基)、これらにフッ素原子や塩素原子等のハロゲン原子が1又は2以上結合した基などが挙げられる。ハロゲン原子を有していてもよいアリール基としては、例えば、フェニル、ナフチル基などの炭素数6〜15程度のアリール基、これらにフッ素原子や塩素原子等のハロゲン原子が1又は2以上結合した基が挙げられる。ハロゲン原子を有していてもよいアルキル基などが2以上結合した基としては、例えば、ベンジル基、2−フェニルエチル基等の炭素数7〜16程度のアラルキル基などが挙げられる。
ハロゲン原子を有していてもよいアルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブチルオキシ、s−ブチルオキシ、t−ブチルオキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ基などの炭素数1〜15程度のアルコキシ基(好ましくはC1-10アルコキシ基、さらに好ましくはC1-6アルコキシ基);トリフルオロメトキシ基などの炭素数1〜15程度のハロアルコキシ基(好ましくはC1-10ハロアルコキシ基、さらに好ましくはC1-6ハロアルコキシ基)などが挙げられる。ヒドロキシ(ハロ)アルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル基、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチル−1−ヒドロキシエチル基など(好ましくは、ヒドロキシ−C1-4アルキル基、ヒドロキシ−C1-4ハロアルキル基等)が挙げられる。
前記ヒドロキシル基や、ヒドロキシ(ハロ)アルキル基におけるヒドロキシル基の保護基としては、有機合成の分野で慣用の保護基、例えば、アルキル基(例えば、メチル、t−ブチル基などのC1-4アルキル基など)、アルケニル基(例えば、アリル基など)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基など)、アリール基(例えば、2,4−ジニトロフェニル基など)、アラルキル基(例えば、ベンジル基など);置換メチル基(例えば、メトキシメチル、メチルチオメチル、ベンジルオキシメチル、t−ブトキシメチル、2−メトキシエトキシメチル基など)、置換エチル基(例えば、1−エトキシエチル基など)、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、1−ヒドロキシアルキル基(例えば、1−ヒドロキシエチル基など)等の、ヒドロキシル基とアセタール又はヘミアセタール基を形成可能な基;アシル基(例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、ピバロイル基などのC1-6脂肪族アシル基;アセトアセチル基;ベンゾイル基などの芳香族アシル基など)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基などのC1-4アルコキシ−カルボニル基など)、アラルキルオキシカルボニル基、置換又は無置換カルバモイル基、置換シリル基(例えば、トリメチルシリル基など)など、及び、分子内にヒドロキシル基(ヒドロキシメチル基を含む)が2以上存在するときには、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基(例えば、メチレン、エチリデン、イソプロピリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、ベンジリデン基など)などが例示できる。
前記アミノ基の保護基としては、例えば、前記ヒドロキシル基の保護基として例示したアルキル基、アラルキル基、アルコキシカルボニル基などが挙げられる。保護基で保護されたカルボキシル基としては、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ブトキシカルボニル基等のC1-6アルコキシカルボニル基など)、シクロアルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、トリアルキルシリルオキシカルボニル基、置換又は無置換カルバモイル基などが挙げられる。保護基で保護されたスルホ基としては、アルコキシスルホニル基(例えば、メトキシスルホニル、エトキシスルホニル、ブトキシスルホニル基等のC1-6アルコキシスルホニル基など)、シクロアルキルオキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、アラルキルオキシスルホニル基、トリアルキルシリルオキシスルホニル基、置換又は無置換スルファモイル基などが挙げられる。前記アシル基の保護基としては、該アシル基とアセタールを形成可能な基などが挙げられる。前記アリール基としては、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
上記の置換基のなかでも、溶剤溶解性を著しく高める機能を有することから、ハロゲン原子を有していてもよいアルキル基が好ましく、特に、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のハロアルキル基が好ましい。また、機能性を向上させるため、アダマンタン骨格に結合している置換基として、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基なども好ましい。
前記置換基(例えば、ハロゲン原子を有していてもよいアルキル基等)がアダマンタン骨格の橋頭位に結合する場合、アダマンタン骨格の橋頭位の1つに結合していてもよいが、アダマンタン骨格の2つの橋頭位に結合しているのが特に好ましい。また、2つのアダマンタン骨格の各2箇所以上の橋頭位の計4箇所以上に該置換基を有するのも好ましい。
本発明では、少なくとも1つのアダマンタン骨格に、酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な基を少なくとも1つ有し、且つ2つのアダマンタン骨格の橋頭位に、それぞれ、炭化水素基及びカルボキシル基から選択された置換基(特に炭化水素基)等の置換基を2以上有するビアダマンタン誘導体を反応原料として用いる場合であっても、カルボキシル化反応が円滑に進行して、置換基を多く有するビアダマンタンカルボン酸誘導体を高い収率で得ることができる。
本発明において原料として用いるビアダマンタン誘導体の代表例として、前記式(1)で表される化合物が挙げられる。式(1)中、X1、X2は各アダマンタン骨格に結合している、酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な基を示す。R1、R2は各アダマンタン骨格の橋頭位に結合している置換基であって、ハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基又は保護基で保護されていてもよいカルボキシル基を示す。m1、m2はそれぞれX1、X2の個数を示し、0〜3の整数である。但し、m1とm2がともに0であることはない。n1、n2はそれぞれR1、R2の個数を示し、0〜3の整数である。但し、n1、n2がともに3であることはない。炭化水素基としては前記例示のものが挙げられる。
ハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基としては前記のものが挙げられるが、特に、C1-6アルキル基、C1-6ハロアルキル基、5〜6員のシクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基、C7-16アラルキル基などが好ましい。m1=m2=1のときは、n1、n2はそれぞれ1又は2が好ましい。本発明では、m1、m2がそれぞれ2以上の場合や、n1、n2がそれぞれ2以上の場合であっても、目的のビアダマンタンカルボン酸誘導体を高い収率で得ることができる。
1、X2はアダマンタン骨格の橋頭位に結合していてもよく、非橋頭位に結合していてもよい。X1、X2がアダマンタン骨格の非橋頭位に結合している場合、前述したように、X1、X2は反応条件下で発煙硫酸の作用により橋頭位に転位し、その位置で一酸化炭素又はその等価体と反応することが多い。
本発明において原料として用いるビアダマンタン誘導体のうち、酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な基がハロゲン原子である代表的な化合物としては、例えば、3−ブロモ−1,1′−ビアダマンタン、2−ブロモ−1,1′−ビアダマンタン、4−ブロモ−1,1′−ビアダマンタン、3−ブロモ−5,7−ジメチル−1,1′−ビアダマンタン、3−ブロモ−5′,7′−ジメチル−1,1′−ビアダマンタン、3−ブロモ−5,5′,7,7′−テトラメチル−1,1′−ビアダマンタン、3−ブロモ−5,5′,7,7′−テトラエチル−1,1′−ビアダマンタン、3−ブロモ−5,5′,7,7′−テトラブチル−1,1′−ビアダマンタン、3−ブロモ−5,5′,7,7′−テトラキス(トリフルオロメチル)−1,1′−ビアダマンタンなどのモノハロビアダマンタン誘導体;3,3′−ジブロモ−1,1′−ビアダマンタン、2,3′−ジブロモ−1,1′−ビアダマンタン、3′,4−ジブロモ−1,1′−ビアダマンタン、2,2′−ジブロモ−1,1′−ビアダマンタン、4,4′−ジブロモ−1,1′−ビアダマンタン、3,3′−ジブロモ−5,7−ジメチル−1,1′−ビアダマンタン、3,3′−ジブロモ−5,5′,7,7′−テトラメチル−1,1′−ビアダマンタン、3,3′−ジブロモ−5,5′,7,7′−テトラエチル−1,1′−ビアダマンタン、3,3′−ジブロモ−5,5′,7,7′−テトラブチル−1,1′−ビアダマンタン、3,3′−ジブロモ−5,5′,7,7′−テトラキス(トリフルオロメチル)−1,1′−ビアダマンタン、3,3′−ジブロモ−5,5′,7,7′−テトラヒドロキシ−1,1′−ビアダマンタン、3,3′−ジブロモ−5,5′,7,7′−テトラアミノ−1,1′−ビアダマンタンなどのジハロビアダマンタン誘導体;3,3′,5,5′−テトラブロモ−1,1′−ビアダマンタンなどのテトラハロビアダマンタン誘導体;3,3′,5,5′,7,7′−ヘキサブロモ−1,1′−ビアダマンタンなどのヘキサハロビアダマンタン誘導体などが挙げられる。
酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な基がハロゲン原子以外の基(例えば、ヒドロキシル基等)である代表的な化合物としては、これらに対応する化合物が挙げられる。
なお、前記アダマンタン骨格にハロゲン原子を有するビアダマンタン誘導体は、ハロゲン原子の位置が水素原子である対応するビアダマンタン誘導体を慣用のハロゲン化反応に付すことにより得ることができる。
本発明では、強度が105重量%硫酸当量以上の発煙硫酸を用いる。とりわけ、強度が110重量%硫酸当量以上(例えば110重量%硫酸当量〜160重量%硫酸当量、特に110重量%硫酸当量〜130重量%硫酸当量)の発煙硫酸が好ましい。2つのアダマンタン骨格に、それぞれ、酸により脱離して該アダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な基を2以上有するビアダマンタン誘導体を反応原料として用いる場合には、強度が115重量%硫酸当量以上(例えば115重量%硫酸当量〜160重量%硫酸当量、特に115重量%硫酸当量〜130重量%硫酸当量)の発煙硫酸を用いるのが特に好ましい。強度が105重量%硫酸当量未満の発煙硫酸では、脱離基が脱離せず、充分な転化率が得られない。
強度が105重量%硫酸当量以上の発煙硫酸の使用量は、原料として用いるビアダマンタン誘導体の種類等によっても異なるが、前記ビアダマンタン誘導体1モルに対して、通常10モル以上(例えば、10〜400モル程度)、好ましくは20モル以上(例えば、20〜300モル程度)である。強度が105重量%硫酸当量以上の発煙硫酸を大過剰量用いることもできる。
本発明では、強度が105重量%硫酸当量以上の発煙硫酸と他の酸とを併用してもよい。他の酸との併用は、原料として用いるビアダマンタン誘導体に3個以上のカルボキシル基を導入する場合に有効である。このような酸として、例えば、硝酸(発煙硝酸を含む)、塩酸、超強酸、固体超強酸、固体酸、ヘテロポリ酸などが挙げられる。前記超強酸には、例えば、ブレンステッド酸[ハロゲン化水素(例えば、フッ化水素HFなど)や硫酸H2SO4など]の1つの水酸基を電子吸引性の原子や基で置換したものや、これらのブレンステッド酸にルイス酸(例えば、五フッ化アンチモンSbF5、三酸化硫黄SO3など)を添加したものなどが含まれる。超強酸の具体的な例として、ClSO3H、発煙硫酸(H2SO4−SO3)、FSO3H、FSO3H−SO3、FSO3H−SbF5、HF−SbF5、トリフルオロメタンスルホン酸などが挙げられる。固体超強酸としては、例えば、パーフルオロイオン交換ポリマー(Nafion-H 樹脂)、金属酸化物表面に硫酸イオンを吸着させた金属酸化物超強酸若しくは硫酸担持超強酸(SO4/ZrO2等)などが挙げられる。固体酸には、例えば、酸強度を上げたシリカ、アルミナ、ゼオライトなどが含まれる。これらの酸は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
本発明では、前記ビアダマンタン誘導体を一酸化炭素又はその等価体と反応させる。一酸化炭素又はその等価体としては、アダマンタン骨格(特に橋頭位)に生成したカルボカチオンと反応してカルボニルカチオン[−(CO)+]を形成可能なものであればよく、一酸化炭素のほか、ギ酸又はその塩などが例示される。一酸化炭素又はその等価体は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。一酸化炭素又はその等価体の使用量は、原料として用いるビアダマンタン誘導体中の酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な基1モルに対して、好ましくは1モル以上(例えば、1〜100モル程度)、さらに好ましくは2モル以上(例えば、2〜100モル程度)である。一酸化炭素又はその等価体を大過剰量用いることもできる。
反応は溶媒の存在下又は非存在下で行われる。溶媒としては、例えば、四塩化炭素、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素などが挙げられる。反応温度は、原料として用いるビアダマンタン誘導体の種類、前記発煙硫酸の種類や量等により、その反応速度に応じて適宜設定でき、通常−20℃〜100℃、好ましくは−10℃〜60℃、さらに好ましくは0℃〜50℃の範囲である。反応温度が低すぎると転化率が低下しやすくなり、反応温度が高すぎると選択率が低下して種々の生成物(例えばカルボキシル基の数の異なる化合物)の混合物が得られやすくなる。反応の雰囲気は窒素等の不活性ガス雰囲気下でもよく、空気雰囲気下でもよい。また、反応は常圧下、加圧下、減圧下の何れで行ってもよい。
反応は、回分式、半回分式、連続式の何れの方式で行ってもよい。例えば、撹拌下、原料のビアダマンタン誘導体を発煙硫酸に溶解し、一酸化炭素又はその等価体を添加又は流通させて反応を行う。そして、反応混合液を水と混合して、カルボニルカチオン中間体を加水分解することにより目的のアダマンタン骨格にカルボキシル基を有するビアダマンタン誘導体(ビアダマンタンカルボン酸誘導体)が得られる。例えば、前記式(1)で表されるビアダマンタン誘導体からは、前記式(2)で表されるビアダマンタン誘導体が生成する。
反応生成物は、例えば、濃縮、晶析、濾過、洗浄、再結晶、沈殿、再沈殿、抽出、カラムクロマトグラフィーなど、又はこれらの組み合わせにより分離精製できる。例えば、水を加えて中間体を加水分解した後、析出した固体(粗結晶)を濾過した後、得られた粗結晶を、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒;テトラヒドロフラン、ジグライムなどのエーテル系溶媒;四塩化炭素、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素系溶媒などの溶媒に溶解し、冷却晶析や貧溶媒の添加による晶析により純度の高い目的化合物を得ることができる。また、得られた粗結晶をアルカリ(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)やアミンでカルボン酸塩に変換し、水やアルコールなどの溶媒に溶解して、酸の添加により晶析したり、水−有機溶媒の二層系抽出洗浄精製に付すことにより高純度の目的化合物を得ることもできる。
本発明の方法により得られるアダマンタン環にカルボキシル基を有するビアダマンタン誘導体のうち、カルボキシル基を1つ有する化合物は、カルボキシル基に重合性基を導入することにより、側鎖にビアダマンタン環を有するポリマー(ペンダント型)のモノマー原料として利用できる。また、カルボキシル基を利用して、該カルボキシル基と反応し得る基を有するポリマーの側鎖にビアダマンタン環を導入することもできる。一方、カルボキシル基を2つ有する化合物(特に、2つのアダマンタン環のそれぞれにカルボキシル基を1つずつ有する化合物)は、該カルボキシル基を利用した縮合反応によりポリマー(主鎖型)に誘導できるため重要性が極めて高い。さらに、カルボキシル基を3つ以上有する化合物は、3次元網目構造を有する高次重合体の原料等として利用できる。また、アダマンタン環にハロゲン原子を有していてもよいアルキル基(特に炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のハロアルキル基)を有する化合物は、それ自体有機溶媒に溶けやすく取扱性に優れるため、種々のポリマーに誘導可能であるだけでなく、得られるポリマーも溶剤に対する溶解性が高いため適用性に優れる。
本発明の方法により得られるアダマンタン環にカルボキシル基を有するビアダマンタン誘導体(ビアダマンタンカルボン酸誘導体)の代表的な例として、3−カルボキシ−1,1′−ビアダマンタン、3−カルボキシ−5,7−ジメチル−1,1′−ビアダマンタン、3−カルボキシ−5′,7′−ジメチル−1,1′−ビアダマンタン、3−カルボキシ−5,5′,7,7′−テトラメチル−1,1′−ビアダマンタン、3−カルボキシ−5,5′,7,7′−テトラエチル−1,1′−ビアダマンタン、3−カルボキシ−5,5′,7,7′−テトラブチル−1,1′−ビアダマンタン、3−カルボキシ−5,5′,7,7′−テトラキス(トリフルオロメチル)−1,1′−ビアダマンタンなどのモノカルボキシビアダマンタン誘導体;3,3′−ジカルボキシ−1,1′−ビアダマンタン、3,3′−ジカルボキシ−5,7−ジメチル−1,1′−ビアダマンタン、3,3′−ジカルボキシ−5,5′,7,7′−テトラメチル−1,1′−ビアダマンタン、3,3′−ジカルボキシ−5,5′,7,7′−テトラエチル−1,1′−ビアダマンタン、3,3′−ジカルボキシ−5,5′,7,7′−テトラブチル−1,1′−ビアダマンタン、3,3′−ジカルボキシ−5,5′,7,7′−テトラキス(トリフルオロメチル)−1,1′−ビアダマンタン、3,3′−ジカルボキシ−5,5′,7,7′−テトラヒドロキシ−1,1′−ビアダマンタン、3,3′−ジカルボキシ−5,5′,7,7′−テトラアミノ−1,1′−ビアダマンタンなどのジカルボキシビアダマンタン誘導体;3,3′,5,5′−テトラカルボキシ−1,1′−ビアダマンタンなどのテトラカルボキシビアダマンタン誘導体;3,3′,5,5′,7,7′−ヘキサカルボキシ−1,1′−ビアダマンタンなどのヘキサカルボキシビアダマンタン誘導体などが挙げられる。
本発明の方法により得られるアダマンタン環にカルボキシル基を有するビアダマンタン誘導体は、非常に安定で対称性に優れた炭素骨格であるアダマンタン骨格が2つ直接結合しているとともに、反応性官能基であるカルボキシル基を有している。そのため、耐熱性、耐水性、光学特性、光透過性、低誘電率性、吸水性、密着性などの電気特性、熱特性、機械特性及び物理特性などに優れた各種高機能性ポリマー等の機能性材料、例えば、フレキシブル配線板(ベース材、カバー材)材料、CCL(銅張り積層板)材料、半導体デバイスや多層配線基板の層間絶縁膜材料、レジスト材料などの電子部品材料、接着剤材料、液晶配向膜材料、塗料材料、光学材料等の原料、航空宇宙用材料、車両用材料、又はこれらの原料、添加剤などとして有用である。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。収率は、得られた結晶にメタノール、クロロホルム、メチルエステル誘導体化剤(トリメチルシリルジアゾメタン等)を加え、メチルエステルに誘導して、ガスクロマトグラフィー分析により求めた。なお、実施例では、転化率はほぼ99%以上、結晶純度は95%以上であった。
実施例1
窒素雰囲気下、3,3′−ジブロモ−5,5′,7,7′−テトラメチル−1,1′−ビアダマンタン5g(10mmol)に、110重量%硫酸当量の発煙硫酸61gを加え、25℃で1時間撹拌して溶解させた。ギ酸7.3g(155mmol)を、液温が25℃〜30℃で4時間かけてゆっくりと滴下した。滴下終了後、1時間撹拌した。次いで、反応混合液を氷水200gにゆっくりと注いで反応中間体を加水分解し、析出した結晶を濾別し、水、アセトンで順次洗浄した。3,3′−ジカルボキシ−5,5′,7,7′−テトラメチル−1,1′−ビアダマンタンが93%の収率で得られた。さらに、結晶にN,N−ジメチルアセトアミドを加えて加熱溶解し、水を滴下して晶析した。得られた結晶を50℃で減圧乾燥したところ、3,3′−ジカルボキシ−5,5′,7,7′−テトラメチル−1,1′−ビアダマンタンが80%の収率で得られた。
1H-NMR(DMSO-d6, 500MHz) δ:0.8(s, 12H), 0.9-1.3(m, 20H), 1.4(s, 4H), 12.0(brs, 2H)
得られた3,3′−ジカルボキシ−5,5′,7,7′−テトラメチル−1,1′−ビアダマンタンをトリメチルシリルジアゾメタンでメチルエステル化してGC/MS分析を行った。
GC/MS-spectrometry:442 m/z [EI法]
実施例2
窒素雰囲気下、3,3′−ジブロモ−5,5′,7,7′−テトラメチル−1,1′−ビアダマンタン5g(10mmol)に、120重量%硫酸当量の発煙硫酸41gを加え、15℃で1時間撹拌して溶解させた。ギ酸7.3g(155mmol)を、液温が15℃〜20℃で4時間かけてゆっくりと滴下した。滴下終了後、1時間撹拌した。次いで、反応混合液を氷水200gにゆっくりと注いで反応中間体を加水分解し、析出した結晶を濾別し、水、アセトンで順次洗浄した。3,3′−ジカルボキシ−5,5′,7,7′−テトラメチル−1,1′−ビアダマンタンが85%の収率で得られた。
実施例3
窒素雰囲気下、3,3′−ジブロモ−5,5′,7,7′−テトラメチル−1,1′−ビアダマンタン5g(10mmol)に、110重量%硫酸当量の発煙硫酸61gを加え、25℃で1時間撹拌して溶解させた。ギ酸7.3g(155mmol)を、液温が40℃〜45℃で4時間かけてゆっくりと滴下した。滴下終了後、1時間撹拌した。次いで、反応混合液を氷水200gにゆっくりと注いで反応中間体を加水分解し、析出した結晶を濾別し、水、アセトンで順次洗浄した。3,3′−ジカルボキシ−5,5′,7,7′−テトラメチル−1,1′−ビアダマンタンが73%の収率で得られた。
実施例4
窒素雰囲気下、3,3′−ジヒドロキシ−5,5′,7,7′−テトラメチル−1,1′−ビアダマンタン2g(4.1mmol)に、105重量%硫酸当量の発煙硫酸24gを加え、0℃で1時間撹拌して溶解させた。ギ酸1.9g(41mmol)を、液温が0℃〜5℃で4時間かけてゆっくりと滴下した。滴下終了後、1時間撹拌した。次いで、反応混合液を氷水200gにゆっくりと注いで反応中間体を加水分解し、析出した結晶を濾別し、水、アセトンで順次洗浄した。3,3′−ジカルボキシ−5,5′,7,7′−テトラメチル−1,1′−ビアダマンタンが91%の収率で得られた。
実施例5
窒素雰囲気下、3,3′−ジブロモ−1,1′−ビアダマンタン2g(4.7mmol)に、105重量%硫酸当量の発煙硫酸20gを加え、0℃で撹拌して溶解させた。ギ酸1.3g(28mmol)を、液温が0℃〜10℃で30分かけてゆっくりと滴下した。滴下終了後、1時間撹拌した。次いで、反応混合液を氷水100gにゆっくりと注いで反応中間体を加水分解し、析出した結晶を濾別し、水、アセトンで順次洗浄した。3,3′−ジカルボキシ−1,1′−ビアダマンタンが93%の収率で得られた。さらに、結晶にN,N−ジメチルアセトアミドを加えて加熱溶解し、水を滴下して晶析した。得られた結晶を50℃で減圧乾燥したところ、3,3′−ジカルボキシ−1,1′−ビアダマンタンが80%の収率で得られた。
実施例6
窒素雰囲気下、3,3′,5,5′−テトラブロモ−1,1′−ビアダマンタン10g(17mmol)に、115重量%硫酸当量の発煙硫酸200gを加え、25℃で1時間撹拌して溶解させた。ギ酸18.9g(409mmol)を、液温が25℃〜35℃で5時間かけてゆっくりと滴下した。滴下終了後、2時間撹拌した。次いで、反応混合液を氷水500gにゆっくりと注いで反応中間体を加水分解し、析出した結晶を濾別し、水で洗浄した。3,3′,5,5′−テトラカルボキシ−1,1′−ビアダマンタンが94%の収率で得られた。さらに、結晶をテトラヒドロフラン300gで溶解して濃縮した後、ヘキサンを加えて晶析し、濾別した。得られた結晶を60℃で減圧乾燥したところ、3,3′,5,5′−テトラカルボキシ−1,1′−ビアダマンタンが70%の収率で得られた。
実施例7
窒素雰囲気下、3,3′,5,5′−テトラブロモ−1,1′−ビアダマンタン2.0g(3.2mmol)に、120重量%硫酸当量の発煙硫酸40gを加え、25℃で1時間撹拌して溶解させた。ギ酸3.7g(82mmol)を、液温が25℃〜35℃で3時間かけてゆっくりと滴下した。滴下終了後、2時間撹拌した。次いで、反応混合液を氷水100gにゆっくりと注いで反応中間体を加水分解し、析出した結晶を濾別し、水で洗浄した。3,3′,5,5′−テトラカルボキシ−1,1′−ビアダマンタンが69%の収率で得られた。
比較例1
窒素雰囲気下、3,3′−ジブロモ−1,1′−ビアダマンタン2g(4.7mmol)に、濃硫酸57gを加え、20℃で1時間撹拌した。ギ酸4.3g(93.4mmol)を、液温が20℃〜25℃で4時間かけてゆっくりと滴下した。滴下終了後、1時間撹拌した。次いで、反応混合液を氷水100gにゆっくりと注いで反応中間体を加水分解し、析出した結晶を濾別し、水、アセトンで順次洗浄した。3,3′−ジカルボキシ−1,1′−ビアダマンタンの収率は0%であった。
比較例2
窒素雰囲気下、3,3′−ジブロモ−5,5′,7,7′−テトラメチル−1,1′−ビアダマンタン2g(4mmol)に、濃硫酸45gを加え、20℃で1時間撹拌して溶解させた。ギ酸3.9g(83mmol)を、液温が20℃〜25℃で4時間かけてゆっくりと滴下した。滴下終了後、1時間撹拌した。次いで、反応混合液を氷水200gにゆっくりと注いで反応中間体を加水分解し、析出した結晶を濾別し、水、アセトンで順次洗浄した。3,3′−ジカルボキシ−5,5′,7,7′−テトラメチル−1,1′−ビアダマンタンの収率は0%であった。
比較例3
窒素雰囲気下、3,3′−ジブロモ−5,5′,7,7′−テトラメチル−1,1′−ビアダマンタン5g(10mmol)に、102重量%硫酸当量の発煙硫酸120gを加え、20℃で1時間撹拌して溶解させた。ギ酸7.3g(155mmol)を、液温が20℃〜25℃で4時間かけてゆっくりと滴下した。滴下終了後、1時間撹拌した。次いで、反応混合液を氷水200gにゆっくりと注いで反応中間体を加水分解し、析出した結晶を濾別し、水、アセトンで順次洗浄した。3,3′−ジカルボキシ−5,5′,7,7′−テトラメチル−1,1′−ビアダマンタンが26%の収率で得られた。
比較例4
窒素雰囲気下、3,3′,5,5′−テトラブロモ−1,1′−ビアダマンタン10g(17mmol)に、102重量%硫酸当量の発煙硫酸200gを加え、25℃で1時間撹拌して溶解させた。ギ酸18.9g(409mmol)を、液温が25℃〜35℃で5時間かけてゆっくりと滴下した。滴下終了後、2時間撹拌した。次いで、反応混合液を氷水500gにゆっくりと注いで反応中間体を加水分解し、析出した結晶を濾別し、水で洗浄した。3,3′,5,5′−テトラカルボキシ−1,1′−ビアダマンタンが12%の収率で得られた。

Claims (6)

  1. 少なくとも1つのアダマンタン骨格に、酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な基を少なくとも1つ有するビアダマンタン誘導体を、強度が105重量%硫酸当量以上の発煙硫酸の存在下、一酸化炭素又はその等価体と反応させて、アダマンタン骨格にカルボキシル基を有するビアダマンタン誘導体を得ることを特徴とするビアダマンタンカルボン酸誘導体の製造法。
  2. 少なくとも1つのアダマンタン骨格に、酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な基を少なくとも1つ有し、且つ2つのアダマンタン骨格の橋頭位に、それぞれ、ハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基及び保護基で保護されていてもよいカルボキシル基から選択された置換基を2以上有するビアダマンタン誘導体を反応原料として用いる請求項1記載のビアダマンタンカルボン酸誘導体の製造法。
  3. 強度が110重量%硫酸当量以上の発煙硫酸を用いる請求項2記載のビアダマンタンカルボン酸誘導体の製造法。
  4. 2つのアダマンタン骨格に、それぞれ、酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な基を2以上有するビアダマンタン誘導体を反応原料として用いる請求項1記載のビアダマンタンカルボン酸誘導体の製造法。
  5. 強度が115重量%硫酸当量以上の発煙硫酸を用いる請求項4記載のビアダマンタンカルボン酸誘導体の製造法。
  6. 下記式(1)
    Figure 2007269721
    (式中、X1、X2は各アダマンタン骨格に結合している、酸により脱離してアダマンタン骨格にカルボカチオンを生成可能な基を示す。R1、R2は各アダマンタン骨格の橋頭位に結合している置換基であって、ハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基又は保護基で保護されていてもよいカルボキシル基を示す。m1、m2はそれぞれX1、X2の個数を示し、0〜3の整数である。但し、m1とm2がともに0であることはない。n1、n2はそれぞれR1、R2の個数を示し、0〜3の整数である。但し、n1、n2がともに3であることはない)
    で表されるビアダマンタン誘導体を反応原料として用い、下記式(2)
    Figure 2007269721
    (式中、R1、R2、m1、m2、n1、n2は前記に同じ)
    で表されるビアダマンタンカルボン酸誘導体を得る請求項1記載のビアダマンタンカルボン酸誘導体の製造法。
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