JP4539580B2 - 脂環式モノオレフィンカルボン酸の製造方法 - Google Patents
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脂環式モノオレフィンカルボン酸の製造方法としては、ジシクロペンタジエン及び/又はシクロペンタジエンと(メタ)アクリル酸化合物とをディールス・アルダー反応させる。さらに、反応液を蒸留精製し、これを加水分解反応させることにより脂環式モノオレフィンカルボン酸を得る方法が一般的に知られている。具体的には、脂環式モノオレフィンカルボン酸エステルを選択的にアルカリ加水分解することにより、単一異性体が得られることが報告されている(特許文献1)。
を効率良く除去した脂環式モノオレフィンカルボン酸を高純度でかつ安定に製造できる方法、更に、上記工程で得られた脂環式モノオレフィンカルボン酸を炭化水素系溶媒とアルコール溶媒との混合溶媒を用いて抽出精製処理を行うことによって、精製分離が困難な着色不純物等が効率良く除去された脂環式モノオレフィンカルボン酸を高純度でかつ安定に製造できる方法を見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の第3の要旨は、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属が、ナトリウム、カリウム、マグネシウムから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする、請求項1または2に記載の高純度脂環式モノオレフィンカルボン酸の製造方法に存する。
本発明の第5の要旨は、加水分解反応工程後に得られる脂環式モノオレフィンカルボン酸を炭素数5〜10の炭化水素系溶媒と炭素数1〜4のアルコール溶媒を含む溶媒系を用いて抽出精製処理を行うことを特徴とする、請求項1〜4にいずれか1項に記載の高純度脂環式モノオレフィンカルボン酸の製造方法に存する。
なお、本発明において(メタ)アクリル酸とはアクリル酸及び/又はメタアクリル酸を意味する。
<脂環式モノオレフィンカルボン酸>
本発明における脂環式モノオレフィンカルボン酸とは、下記一般式(1)
<脂環式モノオレフィンカルボン酸の製造方法>
脂環式モノオレフィンカルボン酸の製造方法は、各種方法によって合成することができる。例えば、ジシクロペンタジエン及び/又はシクロペンタジエンと(メタ)アクリル酸化合物とをディールス・アルダー反応させることにより、下記一般式(2)で表される脂環式モノオレフィンカルボン酸エステル含有する混合液が得られる。
さらに、加水分解処理後、洗浄を行うことにより、ほとんど収量のロスをすることなく
、着色不純物等の量を低減させた高純度な脂環式モノオレフィンカルボン酸を得ることができる。
(1)ディールス・アルダー反応
ディールス・アルダー反応時におけるジシクロペンタジエン及び/又はシクロペンタジエンと(メタ)アクリル酸化合物との使用量は、ジシクロペンタジエン及び/又はシクロペンタジエンの(メタ)アクリル酸化合物に対するモル比として、下限が通常、50モル%以上、好ましくは90モル%以上であり、上限が通常、200モル%以下、好ましくは160モル%以下である。この量が少なすぎると目的の脂環式モノオレフィンカルボン酸エステルの収量が減少する傾向にあり、また多すぎると前記式(2)のn=3以上の多環成分が増加し目的の脂環式モノオレフィンカルボン酸エステルの収量が同様に減少する傾向にある。
反応温度は、下限は通常、30℃以上、好ましくは100℃以上であり、上限は通常、300℃以下、好ましくは250℃以下である。反応温度が低すぎると、反応速度が遅く工業的に優位でなく、一方、反応温度が高すぎると前記式(2)のn=3以上の多環化合物等の副生成物が多くなる傾向にある。
ディールス・アルダー反応はバッチ式、連続式いずれの形式でも良く、バッチ式での反応の場合は、仕込みの順序等は特に規定するものではない。
反応は、酸化防止剤及び/又は重合禁止剤の存在下において行う。例えば、ハイドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4−メトキシフェノール等のフェノール系化合物、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート等の硫黄系化合物、トリフェニルホスファイト等のリン系化合物などが挙げられる。その中でも、4−メトキシフェノールが好ましい。その添加量は、使用される(メタ)アクリル酸化合物とジシクロペンタジエン及び/又はシクロペンタジエンの合計仕込み重量に対して、下限は通常、10ppm以上、好ましくは100ppm以上であり、上限は通常、10,000ppm以下、好ましくは5,000ppm以下である。
(2)ディールス・アルダー反応後の精製処理
ディールス・アルダー反応により得られた脂環式モノオレフィンカルボン酸エステルには、未反応原料及び/又は副生物等を含むため、精製を行うのが好ましい。具体的には、
通常、減圧蒸留を行い目的物付近の留分を得る。
温度は、下限は通常、50℃以上、好ましくは100℃以上であり、上限は通常、250℃以下、好ましくは200℃以下である。
減圧蒸留では、低沸成分として、溶媒、ジシクロペンタジエン及び/又はシクロペンタジエン、前記式(1)においてn=0で示される化合物等が得られ、主留分として、前記式(1)においてn=1又は2で示される化合物やシクロペンタジエンの3量体化合物等が得られる。蒸留釜残存物には、前記式(2)においてn=3以上で示されるような化合物や、シクロペンタジエンの4量体等の高沸物等が得られる。
(3)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の炭酸塩及び/又は炭酸水素塩の水溶液との接触処理
減圧蒸留後、脂環式モノオレフィンカルボン酸エステルを主成分とする留分には、主留分の状態で観察される着色不純物以上に、アルカリ加水分解後に着色性を帯びてくる成分が含有されている。本発明でいう留分とは、脂環式モノオレフィンカルボン酸エステルを主成分とするものであり、脂環式モノオレフィンカルボン酸エステルが通常、50%以上、より好ましくは70%以上含有したものを言う。
このアルカリ接触処理操作で除去される着色不純物とは、通常の純度分析に用いられるガスクロマトグラフィーや液体クロマトグラフィーにおいて明確なピークを示さないことから、含有量としてppmオーダー(0.1%程度)もしくはそれ以下の微量で着色を示す成分である。但し、アルカリ接触処理操作で除去が可能である点から、例えば、アルカリ加水分解反応を生じて水溶性を示すエステル基やフェノール性水酸基を持つ化合物等のではないかと推測される。これらの着色不純物は、電子材料や光学材料用の原料として用いられる場合、製品性能に影響を及ぼす因子として敬遠される。
次工程で行う加水分解反応でも着色成分は水層に移行するが、脂環式モノオレフィンカルボン酸エステルまでが加水分解反応を受けるため、選択的に着色成分のみを水層に移行させることは非常に困難である。それに対して上述の弱アルカリ水溶液を用いた処理法では、塩基性化合物の使用量、操作温度、操作時間の振れに対して、加水分解反応に伴う目的物の水層ロスが低いレベルであり、再現性も高いため、工業的に有利である。
アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の炭酸塩及び/又は炭酸水素塩の水溶液は、脂環式モノオレフィンカルボン酸エステルを主成分とする留分に対する重量比として、下限が通常、0.1重量倍以上、好ましくは0.5重量倍以上であり、上限が通常、20重量倍以下、好ましくは10重量倍以下である。
アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の炭酸塩及び/又は炭酸水素塩の水溶液との接触処理における温度は、下限は通常、10℃以上、好ましくは40℃以上であり、上限は通常、100℃以下、好ましくは90℃以下である。操作温度が低すぎる場合にはアルカリ塩の溶解度が低くなる傾向があり、高すぎる場合には操作性が悪くなる傾向がある。
(4)加水分解反応
上記工程により得られた脂環式モノオレフィンカルボン酸エステルを含有する混合溶液を加水分解することにより、目的とする前記式(1)で表される脂環式モノオレフィンカルボン酸を得る。加水分解工程とアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の炭酸塩及び/又は炭酸水素塩の水溶液との接触処理工程は連続した工程ではなくてもよい。しかし、本発明では、加水分解工程を行う前に上記接触処理工程をする事は好ましい。
水を用いる場合、脂環式モノオレフィンカルボン酸エステルを含有する混合溶液に対して、下限が通常、1重量倍以上、好ましくは2重量倍以上であり、上限が通常、20重量倍以下、好ましくは10重量倍以下である。
加水分解反応は、エステル化合物の加水分解が可能な塩基性化合物を用いて実施する。具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等水酸化物、ナトリウムメトキシド、カリウム−t−ブトキシド等のアルコキシド類等の塩基性化合物が挙げられる。これらの中でも、水酸化ナトリウムの水溶液を用いるのがコスト的に好ましい。
加水分解反応は通常、常圧で行われるが、必要に応じて加圧下でも実施できる。加圧下で反応を実施する場合には、1MPa以下が好ましい。高すぎるとコスト面において不利である。
(5)加水分解反応後の抽出処理
加水分解反応終了後、カルボン酸類はアルカリ塩として水層に溶解した状態であるので、反応液に酸を添加して酸性化し、脂環式モノオレフィンカルボン酸を得る。
<抽出精製処理>
上記工程により得られた脂環式モノオレフィンカルボン酸に含まれている着色不純物を更に除去する方法として、有機溶媒による抽出精製処理を行うことが好ましい。具体的には、着色不純物の除去のため、脂環式モノオレフィンカルボン酸を少なくとも炭素数5〜10の炭化水素系溶媒と炭素数1〜4のアルコール溶媒を含む溶媒系を用いて抽出精製することにより、脂環式モノオレフィンカルボン酸を炭化水素系溶媒に溶解させ、着色不純物をアルコール溶媒側に選択的に抽出除去する。
アルコール溶媒の使用量は、脂環式モノオレフィンカルボン酸に対して、下限が通常、0.1重量倍以上、好ましくは、0.3重量倍以上で、上限が通常、10重量倍以下、好ましくは5重量倍以下である。この量が少なすぎると、分液性の低下や分散性の低下等により着色成分の除去効果が低下する傾向にある。一方、多すぎると、抽出操作の反応釜のサイズが大きくなり、コスト面において不利である。
アルコール溶媒に元々含有する水の割合は、アルコール溶媒に対する重量比として通常、1w%以下である。
分液処理によって得られた炭化水素系溶媒層を冷却し、晶析により、着色不純物等が除
かれた純度の高い脂環式モノオレフィンカルボン酸を結晶化させ単離することができる。晶析後は析出した固体をろ過し、減圧乾燥を行う。
<晶析>
得られた炭化水素系溶媒層を晶析することにより、着色不純物等が除かれた純度の高い脂環式モノオレフィンカルボン酸を結晶化させ単離することができる。
上述の工程で得られた純度の高い脂環式モノオレフィンカルボン酸は、室温・大気中の保管においても安定な化合物であるが、長期の品質保持のためには、冷暗所で乾燥した状態で保存しておくことが好ましい。
上記工程により得られた脂環式モノオレフィンカルボン酸の色度(APHA)は、無色透明な有機溶媒に目的物を溶解した状態で比較検討する。溶媒は、無色透明で目的物の溶解性が高い有機溶媒であれば特に限定されず、具体的には、アセトニトリルやメタノール等が挙げられる。本発明においては、目的物の溶解性の高いアセトニトリルを用い、10%濃度(例えば、5gの測定サンプルを溶媒に溶解し50mlに調製する)溶液にした状態で着色度を比較する。色試験の方法としては、具体的には、日本工業規格(JIS)K0071−1に則って実施する方法や、標準比色液として試薬(例えば、和光純薬工業(株)色度標準液)を用い、希釈により測定範囲内の比色液を調整し、測色色差計(例えば、日本電色工業(株)ZE−2000やOME−2000)を用いる方法が挙げられる。
althy Association)の値が表示されるので、好ましい。例えば、比色
管を用いる目視による色度判定の場合、測定者の熟練具合によるが、APHA=10以下は殆ど無色透明に見えるため判断が難しい。APHA=30〜50のレベルで微かな黄色が判定でき、APHA=100〜200以上のレベルではっきりとした濃い黄色が観察されるが、正確な数値化は困難である。一方、前述の測色色差計を用いた場合には、数値でAPHA値が正確に表示されるとともに、目視では測定判断の付きにくいAPHA=30以下のレベルも測定可能なため簡便である。
本発明で得られる脂環式モノオレフィンカルボン酸は、電子材料や光学材料用の原料と
して利用することができる。
<純度の測定方法>
以下の装置を用い、純度の測定を実施した。
ガスクロマトグラフ:HP6890((株)ヒューレット・パッカード社製)
カラム:Ultra Alloy−5(フロンティア・ラボ(株))
測定サンプルはTMS化処理を実施した。
<色度:APHAの測定方法>
下記の装置を用い、色度(APHA)を測定した。
サンプルを10%濃度になるよう調製した。(例えば、脂環式モノオレフィンカルボン酸5gをアセトニトリルに溶解し50mlとなるようにメスアップする)
サンプル調製液を測定セルに入れ、上記装置にてAPHAを測定した。
合成例1
電磁誘導式攪拌装置、安全弁、測温部を備えた0.5Lのオートクレーブにアクリル酸メチル52g(0.6mol)、ジシクロペンタジエン79g(0.6mol)、4−メトキシフェノール0.5g、及びトルエン131gを仕込み、気相部を窒素置換した。攪拌下内温を200℃に昇温後、6時間同温度を維持し、ディールス・アルダー反応を実施した。得られた反応液を減圧蒸留し、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸メチルを主成分とする留分を分取した。
上記留出液60g(テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸メチル:0.2mol)及び20%炭酸ナトリウム水溶液180gを攪拌翼、測温部、ジムロート冷却管を備えた1000mlのセパラブルフラスコに加え、80℃で2時間攪拌し抽出処理をした。その後60℃で静置分液を行い、下層の黄色に着色したアルカリ水層をパージした。アルカリ水層中には加水分解を受けて約0.1%分がテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸として消失した。
加水分解反応後、目的物はナトリウム塩の形で水溶性となるため、アルカリ水溶液に難溶な不純物をトルエン90gで抽出し分液パージする操作を、70℃で2回実施した。その後、ヘプタン200gを添加し、内温を60℃に保ちながら、35%塩酸水溶液を水層pHが3以下となるまで添加した。目的物は酸析とともにヘプタン有機層に抽出されるので水層をパージ後、有機層を200gの水で3回洗浄した。
得られた固体の色度を測定したところ、APHA=30であった。
実施例2
攪拌翼、測温部、ジムロート冷却管を備えた200mlのセパラブルフラスコに、実施例1で得られたテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸10g、ヘプタン45g、メタノール7g、水2gを加え、40℃で攪拌し
、着色不純物を下層のメタノール溶媒層に抽出した。分液後、下層のアルコール溶媒層をパージし、上層のヘプタン層を1ミクロンのフィルターで濾過した。濾過処理したヘプタン層を40℃に保ったまま、0.1%塩酸水溶液40mlで2回、精製水40mlで3回洗浄した。水洗後のヘプタン層を40℃から5℃に冷却し析出した固体を濾過し、減圧乾燥後、9gの固体を得た。目的物のテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸は99.6%の純度であった。
得られた固体の色度を測定したところ、APHA=10であった。
合成例1と同様な方法で得られた留出液60g(テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸メチル:0.2mol)及び10%水酸化ナトリウム水溶液260gを、実施例1と同様な装置で90℃、2時間加水分解反応を実施した。加水分解反応後、アルカリ水層をトルエン90gで抽出しトルエン層をパージする操作を、70℃で2回実施した。
得られた固体の色度を測定したところ、APHA=60であった。
合成例1と同様な方法で得られた留出液10g、(テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸メチル:34mmol)及び20%炭酸ナトリウム水溶液30gを100mLのナスフラスコに仕込み、90℃で7時間攪拌し抽出処理を実施した。下層の黄色に着色したアルカリ水層中には加水分解を受けて約0.3%分がテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸として消失した。
実施例4
実施例1と同様な方法で得られた留出液20g、(テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸メチル:34mmol)及び20%炭酸カリウム水溶液60gを500mLのセパラブルフラスコに仕込み、実施例−2と同様に、80℃で2時間攪拌し抽出処理を実施した。下層の黄色に着色したアルカリ水層中には加水分解を受けて約0.1%分がテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸として消失した。その後、実施例−2と同様に、上層の有機層に10%水酸化ナトリウム水溶液90gを加え、90℃、2時間、加水分解反応を実施した。加水分解反応後、目的物はナトリウム塩の形で水溶性となるため、アルカリ水溶液に難溶な不純物をトルエン30gで抽出し分液パージする操作を、70℃で2回実施した。その後、ヘプタン70gを添加し、内温を60℃に保ちながら、35%塩酸水溶液を水層pHが3以下となるまで添加した。目的物は酸析とともにヘプタン有機層に抽出されるので水層をパージ後、有機層を70gの水で3回洗浄した。
洗浄後のヘプタン有機層を攪拌下で60℃から5℃まで冷却し、析出した白色の固体を濾過し、減圧乾燥後、12gの白色固体を得た。目的物のテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸は99.5%の純度であった。
実施例5
実施例1と同様な方法で得られた留出液20g、(テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸メチル:34mmol)及び10%炭酸水素ナトリウム水溶液60gを500mLのセパラブルフラスコに仕込み、実施例−2と同様に、80℃で2時間攪拌し抽出処理を実施した。上層の黄色に着色したアルカリ水層中には加水分解を受けて約0.2%分がテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸として消失した。その後、下層の有機層に10%水酸化ナトリウム水溶液90gを加え、90℃、2時間、加水分解反応を実施した。加水分解反応後、目的物はナトリウム塩の形で水溶性となるため、アルカリ水溶液に難溶な不純物をトルエン30gで抽出し分液パージする操作を、70℃で2回実施した。その後、ヘプタン70gを添加し、内温を60℃に保ちながら、35%塩酸水溶液を水層pHが3以下となるまで添加した。目的物は酸析とともにヘプタン有機層に抽出されるので水層をパージ後、有機層を70gの水で3回洗浄した。
洗浄後のヘプタン有機層を攪拌下で60℃から5℃まで冷却し、析出した白色の固体を濾過し、減圧乾燥後、11gの白色固体を得た。目的物のテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸は99.5%の純度であった。
比較例2
合成例1と同様な方法で得られた留出液10g、(テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸メチル:34mmol)及び10%水酸化ナトリウム水溶液7gを50mLのナスフラスコに仕込み、60℃で5時間攪拌し抽出処理を実施した。下層の黄色に着色したアルカリ水層中には加水分解を受けて約23%分がテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸として消失した。
Claims (6)
- 脂環式モノオレフィンカルボン酸エステルが、シクロペンタジエン及び/又はジシクロペンタジエンと(メタ)アクリル酸エステルとをディールス・アルダー反応させ、次いで蒸
留を行うことによって得られる留分であることを特徴とする、請求項1に記載の高純度脂環式モノオレフィンカルボン酸の製造方法。 - アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属が、ナトリウム、カリウム、マグネシウムから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする、請求項1または2に記載の高純度脂環式モノオレフィンカルボン酸の製造方法。
- 加水分解反応工程後に得られる脂環式モノオレフィンカルボン酸を10%濃度の溶液に調製した場合の色度(APHA)が30以下である、請求項1〜3にいずれか1項に記載の高純度脂環式モノオレフィンカルボン酸の製造方法。
- 加水分解反応工程後に得られる脂環式モノオレフィンカルボン酸を炭素数5〜10の炭化水素系溶媒と炭素数1〜4のアルコール溶媒を含む溶媒系を用いて抽出精製処理を行うことを特徴とする、請求項1〜4にいずれか1項に記載の高純度脂環式モノオレフィンカルボン酸の製造方法。
- 混合溶媒がさらに水を含有するものである、請求項5に記載の高純度脂環式モノオレフィンカルボン酸の製造方法。
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