JP2005272336A - カルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物、その製造方法及びその重合体 - Google Patents
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Abstract
【課題】感放射線性組成物に用いたときに、パターニング性能および耐熱性等に優れた樹脂膜が得られるカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物を提供すること。
【解決手段】カルボキシル基の70%以上が橋状基に対してエキソ形である、新規なカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物、およびこれを、カルボキシル基を発現しうる極性基含有テトラシクロドデセン化合物を原料とし、アルカリ水溶液と、エーテル、エステル、ケトン及び多価アルコールからなる群から選ばれる少なくとも1種の有機溶剤の存在下に130℃以上の温度で加水分解反応を行うことにより製造する方法。
【選択図】なし
【解決手段】カルボキシル基の70%以上が橋状基に対してエキソ形である、新規なカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物、およびこれを、カルボキシル基を発現しうる極性基含有テトラシクロドデセン化合物を原料とし、アルカリ水溶液と、エーテル、エステル、ケトン及び多価アルコールからなる群から選ばれる少なくとも1種の有機溶剤の存在下に130℃以上の温度で加水分解反応を行うことにより製造する方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、カルボキシル基を含有するテトラシクロドデセン化合物、その製造方法及びそれを重合してなる重合体に関する。
液晶表示素子、集積回路素子、固体撮像素子などの電子部品には、その劣化や損傷を防止するための保護膜、素子表面や配線を平坦化するための平坦化膜、および電気絶縁性を保つための電気絶縁膜等、機能性の電子部品用樹脂膜が設けられている。また、薄膜トランジスタ型液晶表示素子や集積回路素子には、層状に配置される配線の間を絶縁するために、層間絶縁膜が機能性の電子部品用樹脂膜として設けられている。このように、様々な機能性を有する電子部品用樹脂膜が用いられている。従来から、電子部品用樹脂膜を形成するための樹脂材料としては、エポキシ樹脂などに代表される熱硬化性の樹脂材料が汎用されている。最近の電子部品の微細化に伴い、十分な平坦性を有し、微細なパターンニングが可能な感放射線性の電子部品用樹脂膜を形成するための樹脂材料が用いられている。更に、近年になって、配線やデバイスの一層の高密度化に伴い、これらの樹脂材料にも、低誘電性が求められるようになってきた。
このような要求に対応して、例えば、特許文献1には、低誘電性を有し、且つ放射線によるパターン形成が可能な組成物として、カルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物の重合体の水素添加物、架橋剤、及び感放射線性化合物を含む感放射線性組成物が、そのような樹脂材料として性能が優れることが開示されている。このように、カルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物およびその重合体は、優れた性能の電子部品用樹脂膜を得るための原料として非常に重要である。
一方、カルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物の製造方法に関しては、幾つかの方法が提案されている。例えば、特許文献2には、アクリル酸メチル(1モル当量)とジシクロペンタジエン(1モル当量、シクロペンタジエン2モル当量の供給源として)とを185〜190℃でディールスアルダー反応を行い8−メトキシカルボニル−テトラシクロドデセンを含む混合物を製造し、次いでこの混合物に10〜20重量%程度の水酸化ナトリウム水溶液と水酸化ナトリウム水溶液の3〜4倍量程度のエタノールを加え、80℃で3時間、加水分解反応を行うことにより、目的とする8−カルボキシル−テトラシクロドデセンを含む混合物を製造する方法が開示されている。しかしながら、この方法によって得られるカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物を重合したテトラシクロドデセン系重合体を、前記の感放射線性組成物に用いても、感度や解像性等のパターニング性能、耐熱性等の特性に充分に優れた樹脂膜が得られない場合があった。
また、例えば、特許文献3には、ニトリル基含有テトラシクロドデセン化合物を一旦製造し、目的物のカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物、原料のニトリル基含有テトラシクロドデセン化合物及び48%水酸化ナトリウムでペーストを調製し、次いで該ペーストに120℃の温度で水酸化ナトリウム水溶液を添加して加水分解反応を促進させて行うことにより、カルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物を製造する方法が開示されている。しかしながらこの方法は、目的とするカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物を原料とほぼ同量使うため製造効率が悪く、また、この方法で得られるカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物を前記感放射線性組成物に用いても、感度や解像性等のパターニング性能、耐熱性等の特性に充分に優れた樹脂膜が得られない場合があった。
本発明は、例えば、感放射線性組成物に用いたときに、感度や解像性等のパターニング性能、耐熱性等の特性に充分に優れた樹脂膜が得られるカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物を提供することを目的とする。本発明の他の目的は、そのようなカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物の製造方法、およびそのようなカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物を重合してなる重合物を提供することにある。
本発明者らは、上記従来技術の問題点を解決しようと鋭意検討を重ねた結果、カルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物のカルボキシル基がエンド形であるかエキソ形であるかに注目した。そして、従来技術の、例えば特許文献2または3に開示される製造方法により得られるカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物中のエンド体とエキソ体の割合がほぼ半々であること、エキソ体の割合が一定の割合以上あると、例えば、それを重合して得られる重合体を感放射線性組成物に用いたときに、感度や解像性等のパターニング性能、耐熱性等の特性に充分に優れた樹脂膜が得られることを見出した。さらに、本発明者らは、そのようなカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物を、特定の化合物を原料に、特定の条件で反応し処理することにより製造できることを見出した。また、本発明者らは、そのようなカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物を重合することにより、例えば、電子部品用樹脂膜の樹脂材料として適した重合体が得られることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
かくして、本発明によれば、一般式(1)
(式中、R1、R2、R3はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を示し、R4はカルボキシル基を示す。)で表される化合物を含有し、且つ該化合物のカルボキシル基の70%以上がエキソ形である、カルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物、
一般式(2)
(式中、R1、R2、R3はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を示し、R5は加水分解反応でカルボキシル基を発現しうる基を示す。)で表される化合物のR5基を、アルカリ水溶液と、エーテル、エステル、ケトン及び多価アルコールからなる群から選ばれる少なくとも1種の有機溶剤(1)の存在下に130℃以上の温度で、加水分解反応を行うことによりカルボキシル化することを特徴とするカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物の製造方法、および
上記のカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物を含む単量体を重合して成る、分子量が1,000〜1,000,000の重合体
が提供される。
一般式(2)
上記のカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物を含む単量体を重合して成る、分子量が1,000〜1,000,000の重合体
が提供される。
本発明のカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物は、例えば、それを重合して得られる重合物を感放射線性組成物に用いたときに、感度や解像性等のパターニング性能、耐熱性等の特性に充分に優れた樹脂膜が得られるという利点がある。本発明者の製造方法は、上記のような優れた性能のカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物を生産性良く製造することができるという利点がある。また、本発明の重合体は、例えば、電子部品用樹脂膜の樹脂材料として適している。
(カルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物)
本発明のカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物は、一般式(1)
で表されることを特徴とする。
本発明のカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物は、一般式(1)
一般式(1)中のR1、R2、R3は、それぞれ独立して水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を示す。R4はカルボキシル基を示す。炭素数1〜10の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基およびアリール基などが挙げられる。R1、R2、R3は、それぞれ、好ましくは、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であり、更に好ましくは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基である。R1、R2およびR3のなかで、特にR1およびR2は水素原子であることが好ましい。このような好ましいアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、ヘキシル基およびヘプチル基などが挙げられ、更に好ましいアルキル基としてはメチル基およびエチル基が、より一層好ましいアルキル基としてはメチル基が挙げられる。シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−メチルシクロヘキシル基およびシクロオクチル基などが挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基およびベンジル基などが挙げられる。
本発明では、一般式(1)で表されるカルボキシル基を有する化合物、およびこれを主成分として含む混合物を、カルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物と呼ぶ。このようなカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物の最も好適な例としては、8−カルボキシル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−カルボキシル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンなどが挙げられる。
一般式(1)中、R4で表されるカルボキシル基は、[17,10]で表される橋状基に対して、トランス配置とシス配置の二通りの配置を取り得る。本発明は、この配置がカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物の性能を大きく変えることに着目して完成したものである。[17,10]で表される橋状基に対して、シス配置にある場合のカルボキシル基をエキソ形、そのようなエキソ形カルボキシル基を有するカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物をエキソ体と呼ぶ。同様に、トランス配置の場合を、それぞれエンド形、エンド体と呼ぶ。
本発明のカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物は、エキソ体が70%以上であることを特徴とし、好ましくは、80%以上、より好ましくは90%以上がエキソ体である。言葉をかえれば、R4の70%以上がエキソ形であることを特徴とし、好ましくは、80%以上、より好ましくは90%以上がエキソ形である。エキソ体が、過度に少ないと、そのようなカルボキシル基含有テトラシクロドデセン系を重合して得られる重合体を、感放射線性組成物に用いても、パターニング性能や耐熱性に劣ることがあり、好ましくない。一般式(1)で表される化合物中の、エキソ体とエンド体の比率は、ポリエチレングリコール等を充填剤とするガスクロマトグラフ法による定量分析で測定可能である。分析条件を適宜選択することにより、エキソ体に対応するピークとエンド体に対応するピークは分離して現れ、R4がカルボキシル基である場合、エキソ体の方が保持時間の短いピークとして現れる。ピークの面積比から、エキソ体とエンド体の比率を算出する。
本発明のカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物中の一般式(1)で表される化合物の割合(純度)は、格別な限定はないが、通常80重量%以上である。上述の「主成分として含む」は、通常この80重量%以上を意味する。純度は、好ましくは90重量%以上、より好ましくは95%以上である。純度が過度に低い場合は、例えば、ニトリル化合物を加水分解反応を行いカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物を得る際に生じるアミド化合物が不純物として混在する場合の様に、不純物が多く、そのようなカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物を重合して得られる重合体を用いた感放射線性組成物から得られる電子部品用樹脂膜の強度が十分でない場合があり、好ましくない。
本発明のカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物の含水率は、格別な限定なないが、通常0.5重量%以下、好ましくは0.1重量%以下、より好ましくは0.05重量%以下である。カルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物の含水率が過度に多い場合は、そのようなカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物を重合する場合に、重合反応などが阻害される場合があり好ましくない。
本発明のカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物を製造する方法には格別な限定はない。例えば、加水分解反応でカルボキシル基を発現しうるような極性基(R5基)を、一般式(1)のR4位に有するテトラシクロドデセン化合物のR5基を、アルカリ水溶液及び特定な有機溶剤存在下に特定温度範囲で加水分解反応する方法により製造することが可能である。このような方法により、本発明のカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物を効率良く製造することができ好ましい。
以下に上述の好ましい製造方法を説明する。加水分解反応でカルボキシル基を発現しうる極性基(R5基)を、一般式(1)のR4位に有するテトラシクロドデセン化合物は、一般式(2)
(式中、R1、R2、R3はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を示し、R5は加水分解反応でカルボキシル基を発現しうる基を示す。)で表される。式中のR1、R2、R3は、前記一般式(1)のものと同じである。本発明では、一般式(2)で表される基R5を有する化合物、およびこれを相当量の成分として含む混合物を、極性基含有テトラシクロドデセン化合物と呼ぶ。
式中のR5は、加水分解反応でカルボキシル基が発現しうる基であり、そのような基であれば特別な限定はない。R5の具体例としては、ニトリル基、アミド基、アルコキシカルボニル基およびアリーロキシカルボニル基などが挙げられ、好ましくはニトリル基およびアルコキシカルボニル基であり、より好ましくはニトリル基である。
一般式(2)で表される極性基含有テトラシクロドデセン化合物の具体例としては、8−シアノ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンおよび8−メチル−8−シアノ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンなどのR5位にニトリル基を有するテトラシクロドデセン化合物;8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンおよび8−メチル−8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンなどのR5位にアルコキシカルボニル基を有するテトラシクロドデセン化合物などが挙げられ、好ましくはニトリル基を有するテトラシクロドデセン化合物である。これらの極性基含有テトラシクロドデセン化合物は、それぞれ単独で、あるいは組み合わせて用いることができる。
かかる極性基含有テトラシクロドデセン化合物は、常法に従い合成することができる。例えば、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルなどの不飽和ニトリル化合物、またはアクリル酸メチルおよびメタクリル酸メチルなどの不飽和カルボン酸エステルに、シクロペンタジエンを2つディールスアルダー付加することにより得ることができる。
原料となる極性基含有テトラシクロドデセン化合物中の一般式(2)で表される化合物の割合(純度)は、格別な限定はないが、好ましくは10重量%以上である。上述の「相当量の成分として含む」は、好ましくはこの10重量%以上を意味する。純度は、より好ましくは30重量%以上、一層好ましくは50重量%以上、最も好ましくは80重量%以上である。原料となる極性基含有テトラシクロドデセン化合物の純度が高い程、得られるカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物の純度を高くしやすく好ましい。
アルカリ水溶液としては、通常の一般的な加水分解反応で用いるものを用いることができる。アルカリの具体例としては、水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウムを挙げることができる。アルカリの量は、加水分解反応でカルボキシル基を発現しうる極性基の量に対して、通常は等モル量以上、好ましくは1.0〜1.2倍モル量の範囲である。アルカリ水溶液の濃度は、極性基含有テトラシクロドデセン化合物の種類及び反応条件に応じて適宜選択されるが、通常20重量%以上、好ましくは30〜90重量%、より好ましくは50〜90重量%、最も好ましくは60〜85重量%の範囲である。使用するアルカリ水溶液の量がこのような範囲にある場合に、反応収率及び一般式(1)で表される化合物中のエキソ体の比率が良好になり好ましい。アルカリ水溶液の量は、反応条件等で適宜選択されるが、極性基含有テトラシクロドデセン化合物100重量部に対して、通常5〜500重量部、好ましくは10〜300重量部、より好ましくは20〜100重量部の範囲である。
上述の特定な有機溶剤を有機溶剤(1)と呼ぶ。有機溶剤(1)は、エーテル、ケトン、エステル及び多価アルコールからなる群から選ばれる少なくとも1種である。有機溶剤(1)はそれぞれ単独で用いても良いし、複数を組み合わせて用いても良く、さらに、エーテルアルコールおよびエステルアルコールなどのように分子内に上記群から選ばれる溶剤に対応する官能基の中から複数の官能基を有するものであってもよい。これらの中で、好ましくはエーテルおよび多価アルコールであり、より好ましくは多価アルコールである。
有機溶剤(1)の具体例としては、n−ブチルメチルエーテル、ジイソアミルエーテル、メチルフェニルエーテル、エチルフェニルエーテル、n−ブチルフェニルエーテル、エチルベンジルエーテル、ジグリシジルエーテルおよび1,4−ジオキサン等のエーテル;メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−n−アミルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジエチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、ジ−i−ブチルケトンおよびシクロヘキサノン等のケトン;酢酸−n−プロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸第二ヘキシル、酢酸−2−エチルブチル、酢酸−2−エチルヘキシル、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸−n−ブチル、プロピオン酸イソアミル、酪酸エチル、酪酸−n−ブチル、酪酸イソアミル、イソ吉草酸イソアミル、安息香酸メチルおよびマロン酸ジエチル等のエステル;エチレングリコール、グリセリン、2,3−ブタンジオール、3,4−へキシレングリコールおよび1,2,6−ヘキサントリオール等の多価アルコール;乳酸メチル、乳酸−n−ブチルおよびグリセリルモノアセテート等のアルコールエステル;ジエチレングリコールなどのエーテルアルコールなどが挙げられる。
有機溶剤(1)の沸点には、格別な限定はないが、通常は100℃以上、好ましくは130〜300℃、より好ましくは150〜250℃、一層好ましくは160〜220℃の範囲である。有機溶剤の沸点がこのような範囲にあるときに加水分解反応の効率がよく、得られるカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物中のエキソ体比率が格段に上昇し好適である。
有機溶剤(1)の使用量は、使用する極性基含有テトラシクロドデセン化合物に応じて適宜選択されるが、使用するアルカリ水溶液中の水分量に対して、通常3倍以上、好ましくは5〜50倍、より好ましくは7〜15倍の範囲である。有機溶剤(1)の使用量が過度に少ないと、目的物の収率が低下する場合があり好ましくない。
加水分解反応の方法と反応条件は、常法に従えばよいが、通常、上記有機溶剤(1)の還流下で行われる。反応温度は、130℃以上、好ましくは150〜300℃、より好ましくは170〜250℃の範囲である。加水分解反応の反応温度が過度に低いと、得られるカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物のエキソ体比率が低くなる傾向にあり好ましくない。また、極性基含有テトラシクロドデセン化合物としてニトリル基含有テトラシクロドデセン化合物を用いた場合、過度に反応温度が低いと、ニトロ基が目的のカルボキシル基までの加水分解反応が進まず、途中のアミド基で反応が止まり易い傾向があり好ましくない。加水分解反応の反応圧力は、格別な限定はないが、通常5気圧以下、好ましくは3気圧以下、より好ましくは常圧である。反応圧力が過度に高い場合は、得られるカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物のエキソ体比率が低くなる傾向があり好ましくない。加水分解反応の反応時間は、通常30分〜24時間、好ましくは1時間〜10時間の範囲である。
加水分解反応後の後処理は、格別な限定はないが、上述の
(i)加水分解反応後の反応液に、
(ii)有機溶剤(2)を添加、
(iii)攪拌し、
(iv)静置させて水層と有機層に分離させた後に、
(v)有機層を捨て水層を取り出し、
(vi)得られた液に酸を加えて、
(vii)酸不溶物を析出させ、
(viii)生成した析出物を濾別して取り出し、
(ix)濾別した析出物を有機溶剤(3)に溶解し、
(x)脱水剤処理を行った後に、
(xi)有機溶剤(3)を除去する
工程を含むことにより、純度が高く且つ含水量の少ないカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物が得られ好適である。
(i)加水分解反応後の反応液に、
(ii)有機溶剤(2)を添加、
(iii)攪拌し、
(iv)静置させて水層と有機層に分離させた後に、
(v)有機層を捨て水層を取り出し、
(vi)得られた液に酸を加えて、
(vii)酸不溶物を析出させ、
(viii)生成した析出物を濾別して取り出し、
(ix)濾別した析出物を有機溶剤(3)に溶解し、
(x)脱水剤処理を行った後に、
(xi)有機溶剤(3)を除去する
工程を含むことにより、純度が高く且つ含水量の少ないカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物が得られ好適である。
以下に上述の後処理について説明する。(i)加水分解反応終了後の反応溶液に、(ii)有機溶剤(2)を添加、(iii)攪拌し、(iv)静置させて水層と有機層に分離させた後に、(v)有機層を捨て水層を取り出す。これらの(ii)〜(v)の操作を数回繰り返すことにより未反応の原料(極性基含有テトラシクロドデセン化合物)及び中間体を除去できる。有機溶剤(2)としては、疎水性で目的物(カルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物)の構造に影響を与えないものであれば特に制限はないが、それ以降の操作の簡便性や経済的な面からトルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素が好ましい。
このようにして得られた液に(vi)酸を加えて、(vii)酸不溶物を析出させ、(viii)生成した析出物を濾過しする。(vi)で用いる酸としては、目的物の構造に影響を与えないものであれば特に制限はないが、その後の操作の簡便性や経済的な面から塩酸および硫酸等の鉱酸が好ましく用いられる。
(viii)で濾別した析出物を(ix)有機溶剤(3)に再度溶解し、(x)脱水剤で水を除去後、(xi)有機溶剤(3)を除去して目的物を得ることができる。有機溶剤(3)としては、疎水性で目的物の構造に影響を与えないものであれば特に制限はないが、その後の処理の簡便性や経済的な面からトルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素が好ましく用いられる。脱水剤としては、目的物の構造に影響を与えないものであれば特に制限はないが、脱水処理の効率や経済的な面から無水硫酸マグネシウムおよびシリカゲルが好ましく用いられる。脱水剤は、沈殿物と有機溶剤(3)との混合物中に添加され、例えば12時間程度静置した後、濾過等の方法により除去される。脱水後の(xi)有機溶剤(3)を除去する操作は、通常は減圧乾燥で行われる。
(カルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物の重合体)
以上のようにして得られた、エキソ体を多く含むカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物を含む単量体を重合することにより、重合体を得ることができる。単量体中のカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物の割合は、得られる重合体の使用目的に応じて適宜選択されるが、通常10重量%以上、好ましくは30〜100重量%、より好ましくは40〜100重量の範囲である。
以上のようにして得られた、エキソ体を多く含むカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物を含む単量体を重合することにより、重合体を得ることができる。単量体中のカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物の割合は、得られる重合体の使用目的に応じて適宜選択されるが、通常10重量%以上、好ましくは30〜100重量%、より好ましくは40〜100重量の範囲である。
単量体中の、カルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物以外の、その他の単量体は、カルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物と共重合可能なものであれば格別な限定はないが、カルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物以外の、ノルボルネン化合物が好適に用いられる。ノルボルネン化合物は、分子内に少なくとも一つのノルボルネン環構造を有する化合物であり、ノルボルネン環構造が重合性を有する。
このようなノルボルネン化合物としては、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名ノルボルネン)、5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−ヒドロキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(4−ヒドロキシフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、テトラシクロ[8.4.0.111,14.03,8]ペンタデカ−3,5,7,12−テトラエン、およびテトラシクロ[8.4.0.110,13.02,7]テトラデカ−3,5,7,11−テトラエンなどのノルボルネンおよびノルボルネン誘導体;テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]デカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン);8−(4−ヒドロキシフェニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−アセトキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンおよび8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンなどのカルボキシル基以外の極性基を有するテトラシクロドデセン誘導体;8−メチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンおよび8−エチリデン−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンなどの非極性のテトラシクロドデセン誘導体;トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)などのシクロペンタジエンの多量体などが挙げられる。
また、上記のその他の単量体は、シクロオレフィンや鎖状オレフィンなどの共重合可能な化合物であっても良い。上記のその他の単量体は、それぞれ単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
カルボキシル含有テトラシクロドデセン化合物を含む単量体を重合する方法は、従来の重合方法にしたがえばよく、開環重合や付加重合が好適であり、開環重合が一層好適である。開環重合及び付加重合の具体的な方法は、例えば特許文献4乃至7等に開示されている。
重合反応の触媒については、特に制限はなく、例えば前記特許文献4乃至7に例示されている触媒を使用することができる。これらの中でも、モリブデン、ルテニウムおよびオスミウムの錯体は、酸素や空気中の水分に対して比較的安定であって、失活しにくいので、大気下でも重合体の生産が可能であるため、これらの錯体をメタセシス重合触媒として用いることが好ましく、ルテニウムカルベン錯体が特に重合活性が高く好ましい。
本発明のカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物の重合体は、上記した重合反応の後に、必要に応じて得られた重合体に水素添加反応を行ったものを含む。水素添加反応は、常法に従えばよく、例えば、特許文献8乃至12等に開示される方法を挙げることができる。水素添加触媒は、特に制限はないが、チ−グラータイプの均一系触媒、ロジウムやルテニウムなどの貴金属錯体触媒、及び担持型貴金属触媒等が利用できる。
本発明のカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物の重合体の重量平均分子量(Mw)は、使用目的に応じて適宜選択されるが、通常1,000〜1,000,000、好ましくは2,000〜500,000、より好ましくは3,000〜30,000の範囲である。分子量分布は、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)比で、通常4.0以下、好ましくは3.5以下、より好ましくは2.5以下である。ヨウ素価は、使用目的に応じて適宜選択されるが、通常200以下、好ましくは40以下、より好ましくは10以下である。ヨウ素価がこの範囲にある場合に、特に透明性に優れ好適である。
(感放射線性組成物)
上記の重合体は、架橋剤、感放射線性化合物、及び必要に応じてその他の成分を添加して、必要に応じて溶媒に溶解することにより、感放射線性組成物として用いることができる。
上記の重合体は、架橋剤、感放射線性化合物、及び必要に応じてその他の成分を添加して、必要に応じて溶媒に溶解することにより、感放射線性組成物として用いることができる。
架橋剤としては、カルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物の重合体のカルボキシル基と反応する官能基を、分子内に2つ以上、好ましくは3つ以上有するものを用いる。そのようなカルボキシル基と反応する官能基としては、例えば、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、イソシアネート基、ビニル基などが挙げられ、好ましくはアミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、更に好ましくはエポキシ基である。かかる架橋剤の具体例としては、脂肪族ポリアミン化合物、芳香族ポリアミン化合物、アジド化合物、ポリアミド化合物、メラミン化合物、グリコールウリル化合物、イソシアネート系化合化合物、ジイソシアネート化合物、分子内にヒドロキシアルコキシ基を複数有する環状炭化水素誘導体および多官能エポキシ化合物などが挙げられる。これらの中でも、多官能エポキシ化合物が好ましく、特に、本発明に使用されるカルボキシル基含有テトラシクロドデセンの重合体との相容性の良好さから、主鎖構造に脂環構造を有し且つエポキシ基を2つ以上有する多官能エポキシ化合物が一層好ましい。架橋剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。架橋剤の量は、感放射線性組成物の使用目的に応じて適宜選択されるが、カルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物の重合体100重量部に対して、通常1〜100重量部、好ましくは10〜70重量部、より好ましくは20〜50重量部の範囲である。架橋剤がこの範囲にある時に感放射線性組成物の耐熱性が高度に改善され好適である。
感放射線性化合物は、紫外線や電子線などの放射線を吸収し、化学反応を引き起こすことのできる化合物であり、本発明のカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物の重合体のアルカリ溶解性を制御できるものが好ましい。感放射線性化合物としては、たとえば、アセトフェノン化合物、トリアリルスルホニウム塩、ジアジド化合物およびキノンジアジド化合物などが挙げられるが、好ましくはキノンジアジド化合物である。これらの感放射線性化合物は、それぞれ単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。感放射線性化合物の量は、カルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物の重合体100重量部に対して、通常1〜100重量部、好ましくは5〜50重量部、より好ましくは10〜40重量部の範囲である。感放射線性化合物の使用量がこの範囲にある時に、基板上に形成された樹脂膜をパターニングする時に、放射線照射部と放射線未照射部との溶解度差が大きく、現像によるパターニングが容易で、且つ、放射線に対する感度も高く好適である。
感放射線性組成物に、必要に応じて添加されるその他の成分しては、カルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物の重合体以外のその他のポリマー成分やその他の配合剤などが挙げられる。その他のポリマー成分としては、本発明のカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物以外のノルボルネン化合物の重合体、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアリレーンスルフィド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリイミド樹脂、ゴム及びエラストマーなどを挙げることができる。その他の配合剤としては、例えば、増感剤、界面活性剤、潜在性酸発生剤、酸化防止剤、光安定剤、接着助剤、帯電防止剤、消泡剤、顔料および染料などを挙げることができる。
カルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物の重合体と、上記の架橋剤および感放射線性化合物、並びに必要に応じて添加されるその他の成分を、通常は溶媒に溶解または分散させて、必要に応じて濾過により溶剤への不溶成分を除去して、感放射線性組成物として用いる。
ここで使用できる溶媒としては、格別な制限はなく、多価アルコール、多価アルコールのモノアルキルエーテル、多価アルコールの多量体の一部または全部の水酸基のアルキルエーテル化物、多価アルコールまたはその多量体の水酸基の一部がエーテル化され一部がエステル化された化合物(エーテルエステルなど)、ケトン類、アルコール、環状エーテル、芳香族炭化水素、エステル、アミド化合物等が挙げられる。これらの溶媒は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。溶媒の量は、カルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物の重合体100重量部に対して、通常100〜10,000重量部、好ましくは200〜5,000重量部、より好ましくは300〜1,000重量部の範囲である。
上記感放射線性組成物は、例えば、電子部品用樹脂膜を形成するたに使用することができ、本発明の重合体を用いて調製した感放射線性組成物は、パターンニング性能、耐熱性及び誘電特性に優れる樹脂膜を与えることができ、好適である。
<合成例1>(ニトリル基含有テトラシクロドデセン化合物の合成)
反応器として攪拌機を備えたオートクレーブを用い、初めにジシクロペンタジエン(シクロペンタジエンの供給源として)65.7重量部およびアクリロニトリル52.9重量部を仕込み、反応器の気層をアルゴンガスで置換した後、得られた混合物を180℃で2時間攪拌した。その後、180℃の温度を維持しながら、追加のジシクロペンタジエン34.3重量部を5時間かけて滴下した。滴下を終了した後、さらに同温度を維持したまま、1時間撹拌を続け、その後冷却し、反応液を得た。得られた反応液を、減圧度1〜2mmHgで減圧蒸留を行い、8−シアノ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]デカ−3−エン(極性基含有テトラシクロドデセン化合物、以下化合物Aと呼ぶ)30.2重量部を得た。得られた、化合物Aの、ニトリル基についてのエキソ/エンド比は53.5/46.5であった。エキソ/エンド比はガスクロマトグラフィーにて測定した。
反応器として攪拌機を備えたオートクレーブを用い、初めにジシクロペンタジエン(シクロペンタジエンの供給源として)65.7重量部およびアクリロニトリル52.9重量部を仕込み、反応器の気層をアルゴンガスで置換した後、得られた混合物を180℃で2時間攪拌した。その後、180℃の温度を維持しながら、追加のジシクロペンタジエン34.3重量部を5時間かけて滴下した。滴下を終了した後、さらに同温度を維持したまま、1時間撹拌を続け、その後冷却し、反応液を得た。得られた反応液を、減圧度1〜2mmHgで減圧蒸留を行い、8−シアノ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]デカ−3−エン(極性基含有テトラシクロドデセン化合物、以下化合物Aと呼ぶ)30.2重量部を得た。得られた、化合物Aの、ニトリル基についてのエキソ/エンド比は53.5/46.5であった。エキソ/エンド比はガスクロマトグラフィーにて測定した。
<合成例2>(アルコキシカルボニル基含有テトラシクロドデセン化合物の合成)
合成例1と同様の反応器を用い、初めに、アクリロニトリルの代わりにアクリル酸メチル85.6重量部を仕込んだ他は合成例1と同様にして、8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]デカ−3−エン(極性基含有テトラシクロドデセン化合物、以下化合物Bと呼ぶ)26.2重量部を得た。得られた、化合物Bの、メトキシカルボニル基についてのエキソ/エンド比は55.0/45.0であった。
合成例1と同様の反応器を用い、初めに、アクリロニトリルの代わりにアクリル酸メチル85.6重量部を仕込んだ他は合成例1と同様にして、8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]デカ−3−エン(極性基含有テトラシクロドデセン化合物、以下化合物Bと呼ぶ)26.2重量部を得た。得られた、化合物Bの、メトキシカルボニル基についてのエキソ/エンド比は55.0/45.0であった。
<実施例1>(カルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物の合成)
8−カルボキシル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]デカ−3−エン(以下、化合物Cと呼ぶ)を得る目的で以下の操作を行った。上記の合成例とは別に、反応器に、合成例1で調製した化合物Aを100重量部、75重量%水酸化カリウム水溶液を40.1重量部、エチレングリコール(多価アルコール、沸点197.7℃、有機溶剤(1))を100重量部仕込み、180℃で5時間加熱還流し、加水分解反応を行った。冷却後、得られた反応液に蒸留水を注いで添加した。得られた混合物に、トルエン(有機溶剤(2))を添加し、攪拌し、静置させて水層と有機層に分離させ、有機層を捨てて水層を得る、これらの一連の行為を数回繰り返すことにより、未反応の化合物A及び中間体を除去した。その後、得られた水層に、塩酸を、使用した水酸化カリウムに対して1.2倍当量滴下して、酸不溶分を析出させ、濾別し、得られた析出物を蒸留水で再び数回洗浄し、濾過して脱水して乾燥させた。乾燥後の固形物に、トルエンを加えることにより溶解して水分を抽出し、脱水剤として無水硫酸マグネシウムを少量加えて水分を除去し、濾過により脱水剤を除去した後、減圧乾燥させることにより、目的とするカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物を得た。カルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物の収率、純度、カルボキシル基についてのエキソ/エンド比及び含水率を測定し、表1に示した。純度、エキソ/エンド比はガスクロマトグラフィーにて測定し、含水率は、カールフィッシャー水分測定装置を用いて測定した。
8−カルボキシル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]デカ−3−エン(以下、化合物Cと呼ぶ)を得る目的で以下の操作を行った。上記の合成例とは別に、反応器に、合成例1で調製した化合物Aを100重量部、75重量%水酸化カリウム水溶液を40.1重量部、エチレングリコール(多価アルコール、沸点197.7℃、有機溶剤(1))を100重量部仕込み、180℃で5時間加熱還流し、加水分解反応を行った。冷却後、得られた反応液に蒸留水を注いで添加した。得られた混合物に、トルエン(有機溶剤(2))を添加し、攪拌し、静置させて水層と有機層に分離させ、有機層を捨てて水層を得る、これらの一連の行為を数回繰り返すことにより、未反応の化合物A及び中間体を除去した。その後、得られた水層に、塩酸を、使用した水酸化カリウムに対して1.2倍当量滴下して、酸不溶分を析出させ、濾別し、得られた析出物を蒸留水で再び数回洗浄し、濾過して脱水して乾燥させた。乾燥後の固形物に、トルエンを加えることにより溶解して水分を抽出し、脱水剤として無水硫酸マグネシウムを少量加えて水分を除去し、濾過により脱水剤を除去した後、減圧乾燥させることにより、目的とするカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物を得た。カルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物の収率、純度、カルボキシル基についてのエキソ/エンド比及び含水率を測定し、表1に示した。純度、エキソ/エンド比はガスクロマトグラフィーにて測定し、含水率は、カールフィッシャー水分測定装置を用いて測定した。
<実施例2>
加水分解反応時の温度を170℃に変更する以外は実施例1と同様にして、目的とするカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物を得た。実施例1と同様の試験を行い、結果を表1に示した。
加水分解反応時の温度を170℃に変更する以外は実施例1と同様にして、目的とするカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物を得た。実施例1と同様の試験を行い、結果を表1に示した。
<実施例3>
加水分解反応時の温度を160℃に変更する以外は実施例1と同様にして、目的とするカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物を得た。実施例1と同様の試験を行い、結果を表1に示した。
加水分解反応時の温度を160℃に変更する以外は実施例1と同様にして、目的とするカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物を得た。実施例1と同様の試験を行い、結果を表1に示した。
<実施例4>
有機溶剤(1)として、エチレングリコールの代わりにメチルフェニルエーテルを用いた以外は実施例1と同様にして、目的とするカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物を得た。実施例1と同様の試験を行い、結果を表1に示した。
有機溶剤(1)として、エチレングリコールの代わりにメチルフェニルエーテルを用いた以外は実施例1と同様にして、目的とするカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物を得た。実施例1と同様の試験を行い、結果を表1に示した。
<実施例5>(カルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物の合成)
8−カルボキシル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]デカ−3−エン(化合物C)を得る目的で以下の操作を行った。化合物Aの代わりに、合成例2で得られた化合物Bを用いた以外は実施例1と同様にして、目的とするカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物を得た。実施例1と同様の試験を行い、結果を表1に示した。
8−カルボキシル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]デカ−3−エン(化合物C)を得る目的で以下の操作を行った。化合物Aの代わりに、合成例2で得られた化合物Bを用いた以外は実施例1と同様にして、目的とするカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物を得た。実施例1と同様の試験を行い、結果を表1に示した。
<比較例1>(カルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物の合成)
8−カルボキシル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]デカ−3−エン(化合物C)を得る目的で以下の操作を行った。上記の合成例とは別に、反応器に、合成例2で調製した化合物Bを100重量部、16重量%水酸化カリウム水溶液を161重量部、エチルアルコール(有機溶剤(1))を702重量部仕込み、80℃で3時間、攪拌しながら加熱し、加水分解反応を行った。反応終了後、得られた反応液から、エチルアルコールを減圧除去し、濃塩酸160重量部を加えて、酸不溶分を析出させ、濾別した。得られた析出物を蒸留水250重量部で洗浄し、濾過して脱水し、40℃で15時間減圧乾燥し、目的とするカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物を得た。実施例1と同様の試験を行い、結果を表1に示した。
8−カルボキシル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]デカ−3−エン(化合物C)を得る目的で以下の操作を行った。上記の合成例とは別に、反応器に、合成例2で調製した化合物Bを100重量部、16重量%水酸化カリウム水溶液を161重量部、エチルアルコール(有機溶剤(1))を702重量部仕込み、80℃で3時間、攪拌しながら加熱し、加水分解反応を行った。反応終了後、得られた反応液から、エチルアルコールを減圧除去し、濃塩酸160重量部を加えて、酸不溶分を析出させ、濾別した。得られた析出物を蒸留水250重量部で洗浄し、濾過して脱水し、40℃で15時間減圧乾燥し、目的とするカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物を得た。実施例1と同様の試験を行い、結果を表1に示した。
<比較例2>
8−カルボキシル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]デカ−3−エン(化合物C)を得る目的で以下の操作を行った。上記の合成例とは別に、反応器として攪拌機を備えたオートクレーブを用い、合成例2で調製した化合物Bを100重量部、12.5重量%水酸化カリウム水溶液を206重量部、エチルアルコールを502重量部仕込み、反応器内の圧力12.4atmで、160℃で4時間攪拌しながら加熱し、加水分解反応を行った。反応終了後、得られた反応液から、エチルアルコールを減圧除去し、濃塩酸183重量部を加えて、酸不溶分を析出させ、濾別した。得られた析出物を蒸留水183重量部で洗浄し、濾過して脱水し、40℃で15時間減圧乾燥し、目的とするカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物を得た。実施例1と同様の試験を行い、結果を表1に示した。
8−カルボキシル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]デカ−3−エン(化合物C)を得る目的で以下の操作を行った。上記の合成例とは別に、反応器として攪拌機を備えたオートクレーブを用い、合成例2で調製した化合物Bを100重量部、12.5重量%水酸化カリウム水溶液を206重量部、エチルアルコールを502重量部仕込み、反応器内の圧力12.4atmで、160℃で4時間攪拌しながら加熱し、加水分解反応を行った。反応終了後、得られた反応液から、エチルアルコールを減圧除去し、濃塩酸183重量部を加えて、酸不溶分を析出させ、濾別した。得られた析出物を蒸留水183重量部で洗浄し、濾過して脱水し、40℃で15時間減圧乾燥し、目的とするカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物を得た。実施例1と同様の試験を行い、結果を表1に示した。
<比較例3>
8−カルボキシル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]デカ−3−エン(化合物C)を得る目的で以下の操作を行った。反応器に比較例1で得られたカルボキシ基含有テトラシクロドデセン化合物を100重量部、48重量%の水酸化カリウム水溶液24.6重量部を仕込み120℃で攪拌してペースト状のナトリウム塩を得た。このペースト状のナトリウム塩に合成例1で調製した化合物Aを80重量部添加し、130℃に保持しながら攪拌した。ここに48重量%の水酸化カリウム水溶液37.5重量部を滴下して添加し、ペースト状のナトリウム/カリウム塩を得た。次いで、合成例1で調製した化合物Aの105重量部を更に上記の反応器へ追加して添加し、120℃に保持しながら攪拌した。ここに、48重量%の水酸化カリウム水溶液54.7重量部を滴下して加え、均一なペースト状とし、さらに、その状態で2時間攪拌を継続し、化合物Cのカリウム塩を含む透明な水溶液を得た。このようにして得られた水溶液に、キシレンを402重量部を加え、さらに濃塩酸を水溶液のpHが1になるまで滴下して加え、静置して、得られた混合物を有機層と水層に分離させた。有機層を分けて取り出し、十分に水洗してからキシレンを留去して、目的とするカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物を得た。実施例1と同様の試験を行い、結果を表1に示した。
8−カルボキシル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]デカ−3−エン(化合物C)を得る目的で以下の操作を行った。反応器に比較例1で得られたカルボキシ基含有テトラシクロドデセン化合物を100重量部、48重量%の水酸化カリウム水溶液24.6重量部を仕込み120℃で攪拌してペースト状のナトリウム塩を得た。このペースト状のナトリウム塩に合成例1で調製した化合物Aを80重量部添加し、130℃に保持しながら攪拌した。ここに48重量%の水酸化カリウム水溶液37.5重量部を滴下して添加し、ペースト状のナトリウム/カリウム塩を得た。次いで、合成例1で調製した化合物Aの105重量部を更に上記の反応器へ追加して添加し、120℃に保持しながら攪拌した。ここに、48重量%の水酸化カリウム水溶液54.7重量部を滴下して加え、均一なペースト状とし、さらに、その状態で2時間攪拌を継続し、化合物Cのカリウム塩を含む透明な水溶液を得た。このようにして得られた水溶液に、キシレンを402重量部を加え、さらに濃塩酸を水溶液のpHが1になるまで滴下して加え、静置して、得られた混合物を有機層と水層に分離させた。有機層を分けて取り出し、十分に水洗してからキシレンを留去して、目的とするカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物を得た。実施例1と同様の試験を行い、結果を表1に示した。
<比較例4>
同じく、8−カルボキシル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]デカ−3−エン(化合物C)を得る目的で以下の操作を試みた。上記の合成例とは別に、反応器に、合成例1で得られた化合物Aを100重量部添加し、180℃に保持しながら攪拌した。ここに、48重量%の水酸化カリウム水溶液85.4重量部を15分間にわたって滴下して加えた。加水分解反応が起きれば、分解生成物であるアンモニアが発生するはずであるが、3時間攪拌後も、アンモニアは発生せず、加水分解反応は開始しなかった。
同じく、8−カルボキシル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]デカ−3−エン(化合物C)を得る目的で以下の操作を試みた。上記の合成例とは別に、反応器に、合成例1で得られた化合物Aを100重量部添加し、180℃に保持しながら攪拌した。ここに、48重量%の水酸化カリウム水溶液85.4重量部を15分間にわたって滴下して加えた。加水分解反応が起きれば、分解生成物であるアンモニアが発生するはずであるが、3時間攪拌後も、アンモニアは発生せず、加水分解反応は開始しなかった。
<実施例6>(カルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物の重合体の調製)
実施例1で得られたカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物を60重量部、N−フェニル−(5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド)を40重量部、分子量調整剤として1−ヘキセンを1.3重量部、重合触媒として(1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリドを0.05重量部、及び重合溶剤としてテトラヒドロフラン400重量部を、内部を窒素置換したガラスライニングの耐圧反応器に仕込み、70℃に保持しながら2時間撹拌して重合反応を行った。次いで重合反応終了後の反応液を、他の攪拌機つき耐圧容器に移し、温度150℃に保持ながら攪拌し、容器中の気層を水素に置換し、水素圧を4MPaに上げて、反応液中に水素を溶存させながら、5時間水素添加反応させたのち、温度を常温まで下げることにより、水素添加反応を終了した。得られた重合体溶液に活性炭粉末を添加後、重合体溶液を0.2μm孔径のフッ素樹脂製フィルタでろ過し、次いで濾過して得られた液をエタノール中に注いで水素添加後の重合体成分を凝固させた。凝固により生成したクラム状の重合体成分を乾燥して、カルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物の重合体(重合体A)を得た。得られた重合体Aはテトラヒドロフランを溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより測定した結果、ポリイソプレン換算で重量平均分子量Mwは5,500であり、数平均分子量Mnは3,200であった。また水素添加率を1H−NMRにて測定したところ、99%であった。
実施例1で得られたカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物を60重量部、N−フェニル−(5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド)を40重量部、分子量調整剤として1−ヘキセンを1.3重量部、重合触媒として(1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリドを0.05重量部、及び重合溶剤としてテトラヒドロフラン400重量部を、内部を窒素置換したガラスライニングの耐圧反応器に仕込み、70℃に保持しながら2時間撹拌して重合反応を行った。次いで重合反応終了後の反応液を、他の攪拌機つき耐圧容器に移し、温度150℃に保持ながら攪拌し、容器中の気層を水素に置換し、水素圧を4MPaに上げて、反応液中に水素を溶存させながら、5時間水素添加反応させたのち、温度を常温まで下げることにより、水素添加反応を終了した。得られた重合体溶液に活性炭粉末を添加後、重合体溶液を0.2μm孔径のフッ素樹脂製フィルタでろ過し、次いで濾過して得られた液をエタノール中に注いで水素添加後の重合体成分を凝固させた。凝固により生成したクラム状の重合体成分を乾燥して、カルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物の重合体(重合体A)を得た。得られた重合体Aはテトラヒドロフランを溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより測定した結果、ポリイソプレン換算で重量平均分子量Mwは5,500であり、数平均分子量Mnは3,200であった。また水素添加率を1H−NMRにて測定したところ、99%であった。
<参考例1,2>感放射線性組成物の調製及び性能試験結果
まず比較のために、実施例1で得られたカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物の代わりに、実施例1で得られたカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物を用いた他は実施例1と同様にして、重合体Bを得た。
まず比較のために、実施例1で得られたカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物の代わりに、実施例1で得られたカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物を用いた他は実施例1と同様にして、重合体Bを得た。
実施例6で得られた本発明の重合体A(参考例1用)または上述の重合体B(参考例2用)を100重量部、架橋剤としてEHPE3150(ダイセル化学工業(株)製)25重量部、感放射線性化合物として1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン(1モル当量)と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリド(1.9モル当量)との縮合物を25重量部、接着助剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを5重量部、酸化防止剤のイルガノックス1010(チバ・スペシャリティーケミカルズ(株)製)を1重量部、及び界面活性剤としてKP−341(信越化学工業社製)を0.05重量部からなる成分を、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート200重量部、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル100重量部、およびN‐メチル−1−ピロリドン100重量部からなる混合溶媒に溶解させた後、孔径0.45μmのフッ素樹脂製フィルター(ミリポア社製)でろ過して、参考例1と参考例2の2種類の感放射線性樹脂組成物を調製した。
得られた2種類の感放射線性樹脂組成物を以下の様に性能試験した。感放射線性樹脂組成物を、厚さ0.7mm×縦100mm×横100mmに切ったガラス基板(コーニング社製、商品名1737 AMLCD)に16.7回転/秒の回転速度で回転塗布し、90℃で2分間ホットプレート上で乾燥(これをプリベークと呼ぶ)、膜厚2.0μmの樹脂膜を形成した。得られた樹脂膜のパターンニング性(感度と現像残膜性)、耐熱性及び誘電特性を試験した。表2に、使用した重合体の種類と、その原料となったカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物中のエキソ/エンド比と共に、感放射線性組成物の試験結果を示す。試験方法は以下に依った。
試験(1)感度の試験
得られた樹脂膜に、5μmのラインアンドスペースパターンのマスクを介して、365nmにおける光強度が5mW/cm2である紫外線を、大気雰囲気下で、30、40もしくは50秒間照射した。ついで、現像液としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの0.3重量%水溶液に、25℃で70秒間浸漬処理することにより現像を行ったあと、超純水で30秒間リンス処理し、ポジ型(露光部が溶解する)の5μmのライン&スペースのパターンを形成させた。30秒間の露光でパターンが形成できた場合を○、40秒間の場合を△、50秒間の場合を×とした。照射時間が短くてもパターンを形成出来るほど、感放射線性組成物の感度が優れる。
得られた樹脂膜に、5μmのラインアンドスペースパターンのマスクを介して、365nmにおける光強度が5mW/cm2である紫外線を、大気雰囲気下で、30、40もしくは50秒間照射した。ついで、現像液としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの0.3重量%水溶液に、25℃で70秒間浸漬処理することにより現像を行ったあと、超純水で30秒間リンス処理し、ポジ型(露光部が溶解する)の5μmのライン&スペースのパターンを形成させた。30秒間の露光でパターンが形成できた場合を○、40秒間の場合を△、50秒間の場合を×とした。照射時間が短くてもパターンを形成出来るほど、感放射線性組成物の感度が優れる。
試験(2)現像残膜試験
試験(1)において、樹脂膜中の紫外線を照射していない部分で、現像前後の膜厚を比較し、残膜率(%)を(現像後の膜厚)/(プレベーグ後の膜厚)×100と定義した。残膜率が95%以上は○、90%以上95%未満は△、90%未満は×とした。残膜率が大きく100%に近いほど、鮮明なパターンを形成することが可能で、感放射線性組成物の特性が優れる。
試験(1)において、樹脂膜中の紫外線を照射していない部分で、現像前後の膜厚を比較し、残膜率(%)を(現像後の膜厚)/(プレベーグ後の膜厚)×100と定義した。残膜率が95%以上は○、90%以上95%未満は△、90%未満は×とした。残膜率が大きく100%に近いほど、鮮明なパターンを形成することが可能で、感放射線性組成物の特性が優れる。
試験(3)耐熱性の試験
試験(1)で得られたパターンニングを形成済みのガラス基板サンプルの全面に、365nmにおける光強度が5mW/cm2である紫外線を、大気雰囲気下で、60秒間照射した。このガラス基板サンプルをホットプレートにて160℃で2分間、1回目の加熱(ミドルベイクという。)をした後に、クリーンオーブン中で、230℃で1時間、2回目の加熱(ハードベイクという。)をし、焼成したガラス基板サンプルを得た。ハードベイク後のパターン断面を、電子顕微鏡で観察した。パターンの上端の形状を評価し、下記の判定基準で評価した。○が感放射線性組成物の耐熱性が優れていることを示す。
○:上端に丸みは認められない。
×:上端が丸みを帯びている。
試験(1)で得られたパターンニングを形成済みのガラス基板サンプルの全面に、365nmにおける光強度が5mW/cm2である紫外線を、大気雰囲気下で、60秒間照射した。このガラス基板サンプルをホットプレートにて160℃で2分間、1回目の加熱(ミドルベイクという。)をした後に、クリーンオーブン中で、230℃で1時間、2回目の加熱(ハードベイクという。)をし、焼成したガラス基板サンプルを得た。ハードベイク後のパターン断面を、電子顕微鏡で観察した。パターンの上端の形状を評価し、下記の判定基準で評価した。○が感放射線性組成物の耐熱性が優れていることを示す。
○:上端に丸みは認められない。
×:上端が丸みを帯びている。
試験(4)誘電特性試験
感放射線性樹脂膜の誘電特性試験を以下のように行った。アルミニウム基板上にスピンナー(ミカサ社製)を用いて、感放射線性組成物を塗布した後、ホットプレートにて90℃、120秒間の乾燥処理(プリベイク)を行い、製膜した(膜厚が、触針式膜厚計P−10(テンコール(株)製)にて測定したときに3.0μmになるように、スピンナーの回転条件を選んだ)。紫外線照射することなしに、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの0.2重量%水溶液により23℃で100秒間現像処理を行った後、超純水で1分間リンス処理し、230℃のホットプレートにて1時間乾燥処理(ハードベイク)を行った。得られた樹脂膜上(アルミ基板の反対側)に、アルミニウムを0.3μmの厚みで蒸着した。得られたアルミニウムで挟まれた感放射線性樹脂膜の、23℃の環境下にて1MHzにおける誘電率を測定した。誘電率は3未満のものを○、3以上を×として表示した。誘電率が小さいほど感放射線性組成物の誘電特性が優れていることを示す。
感放射線性樹脂膜の誘電特性試験を以下のように行った。アルミニウム基板上にスピンナー(ミカサ社製)を用いて、感放射線性組成物を塗布した後、ホットプレートにて90℃、120秒間の乾燥処理(プリベイク)を行い、製膜した(膜厚が、触針式膜厚計P−10(テンコール(株)製)にて測定したときに3.0μmになるように、スピンナーの回転条件を選んだ)。紫外線照射することなしに、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの0.2重量%水溶液により23℃で100秒間現像処理を行った後、超純水で1分間リンス処理し、230℃のホットプレートにて1時間乾燥処理(ハードベイク)を行った。得られた樹脂膜上(アルミ基板の反対側)に、アルミニウムを0.3μmの厚みで蒸着した。得られたアルミニウムで挟まれた感放射線性樹脂膜の、23℃の環境下にて1MHzにおける誘電率を測定した。誘電率は3未満のものを○、3以上を×として表示した。誘電率が小さいほど感放射線性組成物の誘電特性が優れていることを示す。
本発明により、新規なカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物、その製造方法、およびそれを用いて製造される重合体が提供される。本発明のカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物は、例えば、それを重合して重合体とし、感放射線性組成物に用いたときに、感度や解像性等のパターニング性能、耐熱性等の特性に充分に優れた樹脂膜が得られるという利点がある。本発明者の製造方法は、上記のような優れた性能の新規なカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物を生産性良く製造することができるという利点がある。また、本発明の重合体は、例えば、感放射線性組成物などの電子部品用樹脂膜の樹脂材料として好適に利用可能である。
Claims (9)
- 一般式(1)
- 一般式(1)で表される化合物が、90重量%以上である請求項1記載のカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物。
- 含水率が、0.5重量%以下である請求項1または2に記載のカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物。
- 一般式(2)
- アルカリ水溶液の濃度が、20重量%以上である請求項4記載の製造方法。
- 有機溶剤(1)の重量が、アルカリ水溶液中の水分の重量の3倍以上である請求項4または5に記載の製造方法。
- 加水分解反応を5気圧以下で行う請求項4乃至6のいずれかに記載の製造方法。
- (i)加水分解反応後の反応液に、(ii)有機溶剤(2)を添加、(iii)攪拌し、(iv)静置させて水層と有機層に分離させた後に、(v)有機層を捨て水層を取り出し、(vi)得られた水層の液に酸を加えて、(vii)酸不溶物を析出させ、(viii)生成した析出物を濾別して取り出し、(ix)濾別した析出物を有機溶剤(3)に溶解し、(x)脱水剤処理を行った後に、(xi)有機溶剤(3)を除去する工程を含むことを特徴とする、請求項4乃至7のいずれかに記載の製造方法。
- 請求項1記載のカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物を含む単量体を重合して成る、分子量が1,000〜1,000,000の重合体。
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WO2006088025A1 (ja) * | 2005-02-16 | 2006-08-24 | Mitsubishi Chemical Corporation | 脂環式モノオレフィンカルボン酸及びその製造方法 |
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-
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