JP2004051621A - 脂環式カルボン酸化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】シクロペンタジエン3量体以上の多量体の含有量の少ないペルヒドロジメタノナフタレン骨格等を有する脂環式カルボン酸化合物を製造すること。
【解決手段】脂肪族不飽和カルボン酸、脂環式不飽和カルボン酸またはそれらの誘導体とシクロペンタジエンおよび/またはジシクロペンタジエンとのディールス・アルダー反応生成物から未反応物を分離した後、反応生成物から精製工程おいて溶剤抽出、または溶剤抽出と塩基性化合物の存在下での加水分解および酸性化合物による酸析出の組み合わせによって高純度のペルヒドロジメタノナフタレン骨格等を有する脂環式カルボン酸化合物を得る。
【選択図】 なし
【解決手段】脂肪族不飽和カルボン酸、脂環式不飽和カルボン酸またはそれらの誘導体とシクロペンタジエンおよび/またはジシクロペンタジエンとのディールス・アルダー反応生成物から未反応物を分離した後、反応生成物から精製工程おいて溶剤抽出、または溶剤抽出と塩基性化合物の存在下での加水分解および酸性化合物による酸析出の組み合わせによって高純度のペルヒドロジメタノナフタレン骨格等を有する脂環式カルボン酸化合物を得る。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、各種の構造材料および機能材料として使用される高分子化合物の原料として有用なペルヒドロジメタノナフタレン骨格を有する脂環式カルボン酸化合物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ペルヒドロジメタノナフタレン骨格等を有する脂環式カルボン酸化合物は、その構造と性質を生かした種々の用途への利用が検討されている。例えば、オクタヒドロジメタノナフタレン構造を有するカルボン酸エステルの開環メタセシス重合により耐熱性,光学特性に優れた重合物が得られることが開示されている(例えば、非特許文献1参照)。また、当該脂環式カルボン酸化合物のオレフィン部を水和反応して得られる脂環式ヒドロキシカルボン酸を光学特性に優れた脂環式ポリエステルに使用することが開示されている(例えば、特許文献1参照)。特開2000−281613公報では当該脂環式カルボン酸エステルのエステル部を還元して脂環式モノオレフィンアルコールに変換し更にエチレングリコールを反応させて脂環式ジオール化合物を合成し、光学材料用モノマーに使用することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。また、当該脂環式カルボン酸エステル化合物を化学増幅型フォトレジストに使用することが開示されている(例えば、特許文献3および非特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−240851号公報
【特許文献2】
特開2000−281613公報
【特許文献3】
特開平11−2903号公報
【非特許文献1】
ジャーナル オブ ポリマーサイエンス:パートA:ポリマーケミストリー(Journal of Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry)、(米国)、2000年、第38巻、SUPPLEMENT号、p.4661−4668
【非特許文献2】
ヘルベチカ キミカ アクタ(Helvetica Chimica Acta)、(米国)、2000年、第83巻、第10号、 p.2769−2782
【0004】
上記の公知の方法によれば、分子内にカルボン酸(エステル)基とペルヒドロジメタノナフタレン骨格を有する1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸化合物は、アクリル酸化合物および/または5−ノルボルネン−2−カルボン酸化合物と、シクロペンタジエンおよび/またはジシクロペンタジエンとをディールス・アルダー反応させ、反応液を蒸留することにより製造することができる。また、一旦単離された1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸メチルエステルを塩基性化合物存在下に加水分解反応を行い、その後適当な酸性化合物を用いて酸析出することにより1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸を製造することができる。
【0005】
本発明者らの検討によれば、1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸等は高沸点の化合物であり、かつ熱的に比較的不安定な化合物であることから、蒸留により精製するときに採用する条件によっては、該カルボン酸化合物が一部熱分解し収率が低下することが判明した。また、該ディールス・アルダー反応を行った反応混合物中には、反応副生成物であるシクロペンタジエンの3量体、4量体等のシクロペンタジエン多量体が必ず含まれており、シクロペンタジエン多量体は熱的に比較的不安定な高沸点の化合物であり、採用する蒸留条件によっては分解反応、重合反応を併発することが明らかとなった。これらの反応を制御するためには、高真空下、低温条件下での蒸留を実施する必要があり工業的に不利となる。
【0006】
また本発明者らの検討によれば、1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸化合物の沸点と上記シクロペンタジエン多量体の沸点が近いため、減圧下での蒸留を行っても効率よく分離することが困難で、蒸留により得られた該カルボン酸化合物中にはシクロペンタジエン3量体が含有されていることが明らかとなった。
【0007】
またさらに本発明者らの検討によれば、シクロペンタジエン3量体を含む1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸メチルエステルを加水分解しその後に酸析出すると、得られる1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸にはシクロペンタジエン3量体が含有されていることが明らかとなった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、シクロペンタジエン多量体の含有量の少ない1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸化合物等の脂環式カルボン酸化合物をディールス・アルダー反応を利用して工業的に有利に製造する方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、発明を完成するに至った。すなわち、本発明の第1は、下記一般式(1)で表される化合物および/または下記一般式(2)で表される化合物と、シクロペンタジエンおよび/またはジシクロペンタジエンとのディールス・アルダー反応を行う反応工程、該反応工程により得られる反応混合物から蒸留操作により下記一般式(3)で表される脂環式カルボン酸化合物のうち少なくともひとつを含む留分または残渣を分離する工程および該留分または残渣から溶媒抽出によりシクロペンタジエンの3量体以上のシクロペンタジエン多量体の少なくとも一部を分離する抽出操作を含む精製工程を有することを特徴とする下記一般式(3)で示される脂環式カルボン酸化合物の製造方法である。
【化4】
【化5】
【化6】
【0010】
本発明の第2は、本発明の第1において、精製工程に抽出操作、塩基性化合物存在下での加水分解反応、および酸性化合物による酸析出を含むことを特徴とする請求項1に記載の脂環式カルボン酸の製造方法である。
【0011】
本発明の第3は、本発明の第1または第2において、抽出操作を2種類以上の溶媒を用いて行うことにより反応混合物を2層以上に分離し、そのうちの少なくとも1層にシクロペンタジエン3量体以上のシクロペンタジエン多量体の少なくとも一部を溶解し、それ以外の層に上記一般式(3)で表される化合物の少なくとも一部を溶解したのちに分液操作に付することを特徴とする、請求項1または2に記載の脂環式カルボン酸化合物の製造方法である。
【0012】
本発明の第4は、本発明の第1ないし第3において、抽出操作で使用される2種類以上の溶媒が、炭素数10以下の含酸素化合物および炭素数5〜10の炭化水素化合物からなる2つの化合物群中のそれぞれ1種類以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の脂環式カルボン酸化合物の製造法である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で用いる上記一般式(1)、(2)および(3)で示される化合物において、R1およびR2はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表すが、該アルキル基としてはメチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル,sec−ブチル,tert−ブチル,n−プロピル,ブチルメチル,ネオペンチルおよびtert−アミルが挙げられ、これらのうちメチル,エチル,イソプロピル基であることが製造上好ましい。
【0014】
一般式(1)で示される化合物としては、具体的にはアクリル酸,アクリル酸メチル,アクリル酸エチル,アクリル酸イソプロピル,アクリル酸ブチル,アクリル酸ペンチル等のアクリル酸化合物,メタクリル酸,メタクリル酸メチル,メタクリル酸エチル,メタクリル酸イソプロピル,メタクリル酸ブチル,メタクリル酸ペンチル等のメタクリル酸化合物等を例示することができる。
【0015】
上記一般式(2)で示される化合物は、上記一般式(1)で示される化合物とシクロペンタジエンおよび/またはジシクロペンタジエンとをディールス・アルダー反応することにより合成することが出来る。一般式(2)で示される化合物はエキソ体,エンド体またはそれらの混合体の何れであってもよく立体構造は限定されず、これらの異性体に対応した上記一般式(3)で表される化合物の異性体が得られる。また、上記一般式(3)で示される化合物のジメタノナフタレン環等の立体構造は限定されず、特定の立体構造を持つものでも良いし、複数の立体構造を持つものの混合物であっても良い。
【0016】
本発明の製造方法においては、まず、一般式(1)で示される化合物および/または一般式(2)で示される化合物とシクロペンタジエンおよび/またはジシクロペンタジエンとのディールス・アルダー反応を実施する。シクロペンタジエンは、予めジシクロペンタジエンを熱分解蒸留したものを好ましく使用することができる。また、本発明における反応の条件下では、反応系内でジシクロペンタジエンの熱分解によってシクロペンタジエンが生成するのでジシクロペンタジエンをそのまま使用することができる。ジシクロペンタジエンとしては、ナフサ等の熱分解油から回収されるものが工業的に大量に得られしかも安価であるので好ましい。ジシクロペンタジエンは市販のものを使用することができ、工業的に入手可能であれば純度は70%以上のものを使用することができるが、通常は純度95%品を好適に使用することができる。さらに純度95%を超えるジシクロペンタジエンも使用することができる。また原料ジシクロペンタジエン中のジシクロペンタジエン成分におけるエンド体含有量は80%以上であることが好ましい。また、シクロペンタジエンを含むジシクロペンタジエン、あるいはジシクロペンタジエンを含むシクロペンタジエンを使用することができる。
【0017】
上記ディールス・アルダー反応は常温〜300℃の温度範囲で行うことができる。ジシクロペンタジエンを使用する場合は100〜300℃、より好ましくは130〜280℃、更に好ましくは150〜240℃の温度範囲で行う。上記温度範囲内で加熱することにより、ジシクロペンタジエンが系内で熱分解することにより生成したシクロペンタジエンがディールス・アルダー反応を起こして目的の化合物が生成する。100℃よりも低温では反応が遅くなるため好ましくなく、300℃よりも高温ではシクロペンタジエンの3量体および4量体等(以下、シクロペンタジエン多量体と称する)や一般式(3)で示される化合物に更にシクロペンタジエンが付加反応した生成物など(以下、シクロペンタジエン付加重質物と称する)の生成量が多くなるため好ましくない。また、シクロペンタジエンを使用する場合は、室温〜300℃、好ましくは室温〜280℃、更に好ましくは室温〜240℃の温度範囲で反応を行うことができる。
【0018】
反応時間は0.1〜30時間、好ましくは0.5〜20時間の範囲で行う。0.1時間未満では一般式(3)で表される化合物の収率が低いため好ましくなく、30時間を越えるとシクロペンタジエン多量体やシクロペンタジエン付加重質物の副生が多くなるため好ましくない。
【0019】
ジシクロペンタジエンは一般式(1)で示される化合物1モルに対して0.1〜10モル、好ましくは0.2〜5モル、更に好ましくは0.5〜3モルの量で用いられ、また一般式(2)で示される化合物1モルに対して0.1〜5モル、好ましくは0.2〜3モル、より好ましくは0.6〜2モルの範囲で用いられる。また、一般式(1)および一般式(2)で示される化合物を併用する場合にはこれらの合計量に対するジシクロペンタジエンの量は0.1〜5モル倍であることが好ましい。ジシクロペンタジエン量が上記範囲よりも少ない場合、本発明の目的物のひとつである一般式(3)で示される化合物の収量が低くなるため好ましくなく、上記範囲を超える場合はシクロペンタジエン多量体やシクロペンタジエン付加重質物の生成量が高くなるため好ましくない。シクロペンタジエンの使用量としてはシクロペンタジエンをジシクロペンタジエンに換算した量が上記範囲内となる量が好ましい。
【0020】
反応は加圧下で行うことが反応速度が大であるため好ましく、その場合0.1〜20MPa、好ましくは0.1〜10MPa、更には0.1〜5MPaが好ましく、0.1MPa未満では反応の進行が遅くなるため好ましくなく、20MPaを超えると反応の進行がそれ以上速くならず、反応器の耐圧性能等が過大になるなど経済的にも不利となり好ましくない。
【0021】
本発明におけるディールス・アルダー反応は溶媒の不存在下で行うことも可能であるが、適当な溶媒の存在下で行うこともできる。例えば、ベンゼン,トルエン,キシレン,ヘキサン,シクロヘキサン,メチルシクロヘキサン等の炭化水素溶媒、メタノール,エタノール,イソプロパノール,ブタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン,エチルエーテル,プロピルエーテル,1,4−ジオキサン等のエーテル類、酢酸エチル,酢酸プロピル等のエステル類、塩化メチレン,クロロホルム等の含ハロゲン溶媒、N−メチルピロリドン等の含窒素溶媒、等を使用することができる。
【0022】
上記の条件下でディールス・アルダー反応を実施するが、反応はバッチ式、セミバッチ式、連続式いずれの形式で行ってもよい。連続式で行う場合の反応器は完全混合型、ピストンフロー型、いずれの反応器も使用できる。ピストンフロー型反応器の市販品としてノリタケカンパニー(株)製「スタティックミキサー」、住友重機械工業(株)製「スルーザーミキサー」、櫻製作所(株)製「スケヤミキサー」などがあげられる。反応器は一段あるいは二段以上の多段の構造とすることもできる。完全混合型反応器やピストンフロー型反応器は直列または並列で組み合わせて使用することができる。
【0023】
また、当該反応の原料である一般式(1)および/または一般式(2)で示される化合物、シクロペンタジエンおよび/またはジシクロペンタジエンの所定量を連続的または継続的に反応器中に供給するセミバッチ形式の反応を行うことができ、その結果一般式(1)で示される化合物の重合物、シクロペンタジエン多量体およびシクロペンタジエン付加重質物の副生を抑えることができるため好ましい。この際、特に予め反応器内に溶媒を存在させて反応を実施するとその効果は大である。
【0024】
反応は、酸化防止剤、重合禁止剤の存在下に行うことができる。例えば、ハイドロキノン,2,6−ジ−t−ブチルフェノール,2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾ−ル,4−メトキシフェノール等のフェノール系化合物、N,N−ジメチルヒドロキシルアミン,N,N−ジエチルヒドロキシルアミン等のヒドロキシルアミン化合物などが好適に添加される。その添加量は、反応器中に供給される反応原料全量に対して、通常10〜10000ppm、好ましくは50〜5000ppmの範囲である。また、分離精製された一般式(2)あるいは(3)で示される化合物にも50〜5000ppmの範囲で好ましく添加することができる。また、上記反応は触媒を用いなくも円滑に進行するが、適宜、BF3またはそのエーテル錯体のようなフリーデル・クラフツ型の触媒等を用いることを妨げるものではない。
【0025】
目的とする製造物である上記一般式(3)で示される化合物は、式中のnが1または2である化合物であり、代表的なものとしてはnが1である1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸化合物が挙げられる。なお、上記一般式(3)で示される化合物としては、nが1と2の化合物を含む組成物であってもよい。
【0026】
以上のような反応条件でディールス・アルダー反応を行い得られた反応混合物には、本発明の目的物である一般式(3)で示される化合物以外に、未反応の一般式(1)および(2)で示される化合物、未反応のシクロペンタジエンおよびジシクロペンタジエン、反応に溶媒を使用した場合はその溶媒等が含まれ、更にこれら以外にシクロペンタジエン多量体などの副生物を含んでいる。
【0027】
上記一般式(3)においてn=1の化合物を目的物とする場合は、反応混合物を蒸留操作に付し、未反応原料および反応溶媒等を分離・除去し、更に留出を継続することにより目的物を含む留分を得ることができるが、該留分には目的物と沸点の近い下記式(4)で表されるシクロペンタジエン3量体が含まれる。
【化7】
また、上記一般式(3)においてn=2の化合物を目的物とする場合は、反応混合物を蒸留操作に付し、未反応原料、反応溶媒、一般式(3)においてn=1である化合物および上記式(4)で表されるシクロペンタジエン3量体等を分離・除去することにより、目的物を含む蒸留残渣を得ることができる。また、更に留出を継続することにより目的物を含む留分を得ることもできる。これらの目的物を含む蒸留残渣および留分には、目的物と沸点の近い下記式(5)で表されるシクロペンタジエン4量体が含まれる。
【化8】
さらに、上記一般式(3)においてn=1およびn=2の化合物を含む組成物を目的物する場合は、反応混合物を蒸留操作に付し、未反応原料および反応溶媒等を分離・除去することにより、目的物を含む蒸留残渣を得ることができる。該蒸留残渣には、目的物と沸点の近い上記式(4)および(5)で表されるシクロペンタジエンの3量体および4量体が含まれる。
【0028】
本発明者らは、高純度の一般式(3)で表される化合物を得る方法について鋭意検討した結果、前記の各場合について、蒸留操作により得られる一般式(3)で表される化合物を含む留分ないしは残渣をある特定の溶剤系で抽出操作することにより、シクロペンタジエン3量体および/または4量体を分離・除去し、高純度の一般式(3)で表される化合物を効率よく分離・精製できることを見出した。以下に、この抽出操作について説明する。なお、蒸留によって回収される一般式(1)および(2)で示される化合物、シクロペンタジエンおよびジシクロペンタジエン、および反応溶媒は、本発明におけるディールス・アルダー反応に再使用することができる。
【0029】
蒸留操作により得られた留分または残渣は、溶媒を用いて2層以上に分離させ、そのうちの少なくとも1層にシクロペンタジエンの3量体以上の多量体などの副生物を主として溶解させ、それ以外の層に一般式(3)で表される化合物等を主として溶解させて分液することにより、一般式(3)で示される化合物を高純度で効率よく抽出・分離することができる。
【0030】
この抽出操作では、炭素数10以下の含酸素化合物および炭素数5〜10の炭化水素化合物からなる2つの化合物群からそれぞれ1種類以上選択された計2種類以上の溶媒を使用することができる。
【0031】
炭素数10以下の含酸素化合物としては、メタノール,エタノール,n−プロピルアルコール,イソプロピルアルコール,1−ブタノール,sec−ブタノール,tert−ブタノール,1−ペンタノール,2−ペンタノール,3−ペンタノール,3−メチル−1−ブタノール,3−メチル−2−ブタノール,2−メチル−1−ブタノール,tert−アミルアルコール,ネオペンチルアルコール,1−ヘキサノール,2−ヘキサノール,3−ヘキサノール,2−メチル−1−ペンタノール,3−メチル−3−ペンタノール,4−メチル−2−ペンタノール,3,3−ジメチル−2−ブタノール,1−ヘプタノール,2−ヘプタノール,3−ヘプタノール,2−メチル−3−ヘキサノール,2,4−ジメチル−3−ペンタノール,1−オクタノール,2−オクタノール,3−オクタノール,2−エチル−1−ヘキサノール,2,4,4−トリメチル−1−ペンタノール,1−ノナノール,2−ノナノール,2,6−ジメチル−4−ヘプタノール,3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール,1−デカノール,2−デカノール,4−デカノールおよび3,7−ジメチル−1−オクタノール等の脂肪族モノアルコール;シクロペンタノール,シクロヘキサノールなどの脂環式モノアルコール;エチレングリコール,プロピレングリコール,1,4−ブタンジオール,1,4−ジヒドロキシ−2−ブテン,1,2−ジヒドロキシ−3−ブテンおよびグリセリン等の多価アルコール;アセトン,メチルエチルケトン,メチルブチルケトン,メチルイソブチルケトンおよびメチルイソプロピルケトン等のケトン;ジメチルエーテル,ジエチルエーテル,ジプロピルエーテル,メチル−tert−ブチルエーテル,ブチルエチルエーテル,ジブチルエーテル,ジペンチルエーテル,テトラヒドロフランおよびテトラヒドロピラン等のエーテル;酢酸メチル,酢酸エチル,酢酸イソプロピル,酢酸ブチル,アクリル酸メチル,メタクリル酸メチル等のエステル;ギ酸,酢酸,アクリル酸,メタクリル酸などのカルボン酸および水が例示され、製造上、水,メタノール,エタノール,イソプロピルアルコール,エチレングリコール,ジエチルエーテルおよび酢酸エチルを好ましく使用することができる。また含酸素化合物として水を単独または炭素数10以下の含酸素化合物と混合して使用することにより分離効率を向上させ製造上有利に実施することができる。
【0032】
炭素数5〜10の炭化水素としては、n−ペンタン,n−ヘキサン,メチルペンタン,n−ヘプタン, メチルヘキサン,ジメチルペンタン,n−オクタン,メチルヘプタン,ジメチルヘキサン,トリメチルペンタン,ジメチルヘプタン,n−デカンなどの直鎖状あるいは分岐状の脂肪族炭化水素;1−ペンテン,1−ヘキセン,4−メチル−1−ペンテン,1−ヘプテンなどの直鎖状あるいは分岐状の脂肪族末端あるいは内部オレフィン;ベンゼン,トルエン,キシレン,エチルベンゼン,プロピルベンゼンなどの芳香族炭化水素;シクロペンタン,メチルシクロペンタン,シクロヘキサン,メチルシクロヘキサン,ジメチルシクロヘキサン,エチルシクロヘキサン,プロピルシクロヘキサンなどの脂環式化合物などが挙げられ、製造上、n−ヘキサン,トルエン,シクロヘキサン,メチルシクロヘキサンを好ましく使用することができる。
【0033】
これら含酸素化合物と炭化水素化合物をそれぞれ1種類以上,計2種類以上を用いて抽出を行い、蒸留操作により得られる留分または残渣を2層以上に分離し、そのうちの少なくとも1層にシクロペンタジエン3量体および/または4量体を主として溶解し、それ以外の層に上記一般式(3)で示される化合物等を主として溶解させ分液することができるものであればその組み合わせは任意である。
【0034】
好ましい溶媒の組み合わせとしては、上記の含酸素化合物と炭化水素化合物をそれぞれ1種類ずつ用いた場合で、抽出操作を行うと該混合物は2層に分離する場合が多く、一方の層にはシクロペンタジエン多量体等を溶解させ、他方の層には一般式(3)で示される化合物を溶解させることができる。具体的には、メタノールとn−ヘキサン,メタノールとシクロヘキサン,メタノールとトルエン,エチレングリコールとn−ヘキサン,エチレングリコールとオクタン,エチレングリコールとトルエン,ジエチルエーテルとn−ヘキサンおよび酢酸エチルとn−ヘキサンなどの組み合わせを例示することができ、さらにこれらの例に水を加えた組み合わせも挙げられる。
また、いったん抽出を行い分液されたそれぞれの層に対して更に用いた抽出溶媒の少なくとも一種類を加えて再抽出することもできる。
【0035】
含酸素化合物と炭化水素化合物の重量比率は前者/後者=1/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/10、より好ましくは20/80〜80/20であり、前記の蒸留操作により得られた留分または残渣である混合物と、含酸素化合物と炭化水素化合物の合計値との混合重量比率は1/99〜99/1、好ましくは20/80〜80/20、より好ましくは30/70〜70/30の範囲である。この抽出工程における温度条件は、例えば10〜150℃、好ましくは10〜100℃、より好ましくは10〜80℃である。
【0036】
なお、前記ディールス・アルダー反応において、反応溶媒としてこれらの溶媒を使用すると、反応終了後、冷却・静置して層分離した反応混合物を分液するだけでシクロペンタジエン多量体類を分離することもできる。
【0037】
本発明の製造方法において、前記の抽出操作の他に、塩基性化合物の存在下に行う加水分解反応、および酸性化合物による酸析出の各工程を任意の順序で含んだ精製工程により、一般式(3)で表される化合物の内、R2が水素である化合物を製造することができる。具体的には前記抽出操作を行って得た化合物を、次いで加水分解反応を行った後に酸析出することもできれば、加水分解反応を単独で実施した後に継続して抽出・分離操作を行い酸析出することもできれば、加水分解反応と抽出操作を同時に行い分離した後の該カルボン酸の塩が溶解している層を酸析出することができる。
【0038】
塩基性化合物の存在下に行う加水分解反応により下記式(6)で表される化合物が得られる。塩基性化合物としては、エステル類の加水分解に一般に用いられているものが使用できる。具体的には、水酸化ナトリウム,水酸化カリウム等の水酸化物;炭酸ナトリウム,炭酸カリウム等の炭酸塩;ナトリウムメトキシド,カリウム−tert−ブトキシド等のアルコキシド等が使用でき、工業的な製造上の観点から、水酸化ナトリウム,水酸化カリウムが好適に使用できる。
【0039】
【化9】
【0040】
塩基性化合物の使用量は、該カルボン酸化合物1モルに対して、通常1モル以上、好ましくは1.1〜5モルが適当である。また、加水分解反応は平衡反応であるため、一般式(6)で表される化合物に効率よく変換するためには、過剰量の水を使用することが好ましく、該カルボン酸化合物1モルに対して、通常3モル以上、好ましくは10〜50モルが適当である。加水分解の反応温度は通常0〜200℃、好ましくは10〜100℃であり、反応時間は塩基性化合物、水の使用量、反応温度に依存するが通常1〜50時間程度である。
【0041】
なお、加水分解反応で使用する水は前述の炭素数10以下の含酸素化合物に該当するので、水を加水分解反応溶媒兼前記の抽出溶媒として用いることができ、また必要に応じて水以外の炭素数10以下の含酸素化合物を混合して用いることができる。
また、前記の抽出操作を行った後に、必要に応じて水を加えて加水分解反応を行うことができれば、加水分解反応終了後に、炭素数5〜10の炭化水素化合物の少なくとも1種類を添加して抽出することができるし、また更に炭素数5〜10の炭化水素化合物の少なくとも1種類を加水分解反応時に同時に存在させておき、加水分解反応と抽出を同時に行うこともできる。
【0042】
このようにして加水分解反応および抽出操作を行い、分液した後の該カルボン酸の塩が溶解している層を酸性化合物で酸析出することにより、一般式(3)で表される化合物を製造することができるが、使用する酸性化合物としては、化合物の構造に影響を与えないものであれば特に制限はなく、一般に用いられているものであればいずれも使用することができる。例えば、硫酸,硝酸および塩酸等の鉱酸;ベンゼンスルホン酸,p−トルエンスルホン酸,p−クロロベンゼンスルホン酸,メタンスルホン酸,エタンスルホン酸,トリフルオロメタンスルホン酸,トリクロロメタンスルホン酸,トリフルオロ酢酸,トリクロロ酢酸および酢酸等の有機酸;H3PW12O40,H4SiW12O40,H4TiW12O40,H5CoW12O40,H5FeW12O40,H6P2W18O62,H7PW11O33,H4TiMo12O40,H3PMo12O40,H7PMo11O39,H6P2Mo18O62,H4PMoW11O40,H4PVMo11O40,H4SiMo12O40,H5PV2Mo10O40,H3PMo6W6O40,H0.5Cs2.5PW12O40およびこれらの水和物等のタングステン酸,モリブデン酸或いはこれらのヘテロポリ酸等を使用することができるが、反応後の処理や経済的な面から塩酸,硫酸等の鉱酸を好ましく使用することができる。析出した一般式(3)で表される脂環式カルボン酸は常法によりろ過、洗浄、乾燥等を行うことにより高純度の製品を得ることができる。
【0043】
以上述べた製造方法で抽出・分離されたシクロペンタジエン多量体はシクロペンタジエンおよび/またはジシクロペンタジエンと等価な反応原料としてディールス・アルダー反応に再使用することができる。
【0044】
また、前記ディールス・アルダー反応および蒸留において、条件によっては得られる混合物に着色がみられる場合があるが、本発明における精製工程を行うことによって、着色成分はシクロペンタジエン多量体と同時に分離できる場合があり、着色の少ないあるいは着色の無い一般式(3)で表される化合物を単離できることも本発明の製造方法の利点の一つである。
【0045】
上記の方法により製造される一般式(3)で表される化合物は、一般式(4)ないし(5)で表されるシクロペンタジエン多量体を容易に5重量%以下とすることができ、抽出操作を繰返すことにより1重量%以下とすることができ、高純度のものとすることができる。
また、得られた一般式(3)で表される化合物は、蒸留および再結晶等の通常の方法により更に精製することもできる。
【0046】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
<実施例1>
電磁誘導式攪拌装置を備えた内容積0.5Lのオートクレーブにアクリル酸メチル113.0g(1.31mol)、純度95%のジシクロペンタジエン87.0g(0.62mol)およびトルエン200gを仕込み、系内を窒素ガスで置換した。次いで攪拌下にマントルヒータで内温200℃に加熱し、そのまま4時間同温度を維持しディールス・アルダー反応を行った。反応終了後、冷却して内容物(392g)を取出した。得られた反応混合物を減圧蒸留し未反応のアクリル酸メチル,シクロペンタジエン,ジシクロペンタジエン,5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチルおよび溶媒のトルエンを留出させ蒸留残渣77.5gを得た。この蒸留残渣をガスクロマトグラフィーにより分析した結果、1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸メチル74.2%、シクロペンタジエン3量体8.4%、シクロペンタジエン4量体0.5%、シクロペンタジエン付加重質物である1,2,3,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,10a−ドデカヒドロ−1,4:5,10:6,9−トリメタノアントラセン−2−カルボン酸メチル4.3%等を含んでいた。
ついでこの蒸留残渣10.0gをメタノール100mlに溶解し、次いでシクロヘキサン100mlを添加し抽出した。この操作を3回行い得たメタノール層から溶媒を留去したところ、シクロペンタジエン3量体0.4%、シクロペンタジエン4量体0.1%、シクロペンタジエン付加重質物である1,2,3,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,10a−ドデカヒドロ−1,4:5,10:6,9−トリメタノアントラセン−2−カルボン酸メチル1.1%等を含む純度97.0%の1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸メチルを5.6g得た。
【0047】
<実施例2>
実施例1で得た純度97.0%の1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸メチル3.0gを攪拌子、冷却管、滴下ロートを備えた100ml三口フラスコに移し15mlの水に0.6gの水酸化ナトリウムを溶解した水溶液を添加し100℃で4時間加水分解反応を行った。反応終了後冷却して得た反応液に希塩酸をpH2になるまで添加したところ白色固体が析出した。この固体をろ過して水で洗浄した後、70℃で減圧乾燥した結果、シクロペンタジエン付加重質物である1,2,3,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,10a−ドデカヒドロ−1,4:5,10:6,9−トリメタノアントラセン−2−カルボン酸1.8%を含む純度98.1%の1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸の白色粉末状固体2.8gが得られた。
【0048】
<実施例3>
攪拌子、冷却管、滴下ロートを備えた100ml三口フラスコに、実施例1の方法で得た蒸留残渣10.0gを移し、50mlの水に2.0gの水酸化ナトリウムを溶解した水溶液を添加し100℃で4時間加水分解反応を行った。反応終了後冷却して得た反応液にトルエン20mlを加えて抽出した。この抽出操作を2回行って得た水層に希塩酸をpH2になるまで添加したところ白色固体が析出した。この固体をろ過して水で洗浄した後、70℃で減圧乾燥した結果、6.6gの白色粉末状固体が得られた。この固体をメタノールに溶解しガスクロマトグラフィーにより分析した結果、1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸の純度は96.6%で、シクロペンタジエン3量体および4量体は全く含んでおらず、シクロペンタジエン付加重質物である1,2,3,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,10a−ドデカヒドロ−1,4:5,10:6,9−トリメタノアントラセン−2−カルボン酸3.2%を含んでいた。
【0049】
<実施例4>
実施例3と同様の装置で、実施例1の方法で得た蒸留残渣10.0g,50mlの水に2.0gの水酸化ナトリウムを溶解した水溶液、およびトルエン40mlを添加し100℃で4時間攪拌し、加水分解反応と抽出を同時に行った。冷却後に分液して得た水槽に希塩酸をpH2になるまで添加したところ白色固体6.8gが析出した。この固体をメタノールに溶解しガスクロマトグラフィーにより分析した結果、1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸の純度は97.1%で、シクロペンタジエン3量体および4量体は全く含んでおらず、シクロペンタジエン付加重質物である1,2,3,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,10a−ドデカヒドロ−1,4:5,10:6,9−トリメタノアントラセン−2−カルボン酸3.0%を含んでいた。
【0050】
<実施例5>
アクリル酸メチル46.5g(0.54mol)、純度95%のジシクロペンタジエン71.4g(0.54mol)、5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチル82.2g(0.54mol)およびトルエン200gを用いた以外は実施例1と同様の方法でディールス・アルダー反応を行った。反応終了後、冷却して内容物(395g)を取出した。得られた反応混合物を減圧蒸留し未反応のアクリル酸メチル,シクロペンタジエン,ジシクロペンタジエン,5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチルおよび溶媒のトルエンを留出させ蒸留残渣98.5gを得た。この蒸留残渣をガスクロマトグラフィーにより分析した結果、1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸メチル81.9%、シクロペンタジエン3量体9.5%、シクロペンタジエン4量体0.9%、シクロペンタジエン付加重質物である1,2,3,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,10a−ドデカヒドロ−1,4:5,10:6,9−トリメタノアントラセン−2−カルボン酸メチル5.6%を含んでいた。
ついでこの蒸留残渣10.0gにメタノール100mlに溶解し、次いでシクロヘキサン100mlを添加し抽出した。この操作を3回行い得たメタノール層から溶媒を留去したところ、シクロペンタジエン3量体0.5%、シクロペンタジエン4量体0.2%、シクロペンタジエン付加重質物である1,2,3,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,10a−ドデカヒドロ−1,4:5,10:6,9−トリメタノアントラセン−2−カルボン酸メチル1.5%を含む純度96.6%の1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸メチルを7.1gで得た。
【0051】
<実施例6>
実施例3の方法で得た蒸留残渣10.0gおよび50mlの水に2.5gの水酸化ナトリウムを溶解した水溶液を用いた以外は実施例2と同様の方法で加水分解反応、その後の抽出および酸析出を行った結果、8.0gの白色粉末状固体が得られた。この固体をメタノールに溶解しガスクロマトグラフィーにより分析したところ、1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸の純度は98.0%で、シクロペンタジエン3量体および4量体は全く含んでおらず、シクロペンタジエン付加重質物である1,2,3,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,10a−ドデカヒドロ−1,4:5,10:6,9−トリメタノアントラセン−2−カルボン酸1.9%を含んでいた。
【0052】
<比較例1>
実施例1と同様の方法でディールス・アルダー反応を行って得た反応混合物の減圧蒸留を行い、沸点範囲118〜124℃/0.26KPaの留分42.6gを得た。この留分をガスクロマトグラフィーにより分析した結果、1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸メチル86.5%、シクロペンタジエン3量体10.4%、シクロペンタジエン4量体2.8%、シクロペンタジエン付加重質物である1,2,3,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,10a−ドデカヒドロ−1,4:5,10:6,9−トリメタノアントラセン−2−カルボン酸メチル0.1%を含んでいた。
【0053】
<比較例2>
実施例1の蒸留残渣を用いて抽出操作を行わなかった以外は実施例2と同様の方法で加水分解反応および酸析出を行ったところ、6.9gの固体が得られた。この固体をメタノールに溶解しガスクロマトグラフィーにより分析した結果、1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸の純度は82.3%で、シクロペンタジエン3量体12.4%、シクロペンタジエン4量体3.1%、シクロペンタジエン付加重質物である1,2,3,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,10a−ドデカヒドロ−1,4:5,10:6,9−トリメタノアントラセン−2−カルボン酸0.5%を含んでいた。
【0054】
<実施例7>
実施例1と同様の方法でディールス・アルダー反応を行い、反応終了後、冷却して内容物(390g)を取出した。得られた反応混合物を減圧蒸留し未反応のアクリル酸メチル,シクロペンタジエン,ジシクロペンタジエン,5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチルおよび溶媒のトルエンを留出させ、続いて1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸メチル留分(49.3g)を留出させた。この留分をガスクロマトグラフィーにより分析した結果、1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸メチル84.2%、シクロペンタジエン3量体15.4%であった。
ついでこの留分10.0gにメタノール100mlに溶解し、次いでシクロヘキサン100mlを添加し抽出した。この操作を3回行って得られたメタノール層の溶媒を留去したところ、シクロペンタジエン3量体0.9%を含む純度99.0%の1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸メチルを5.6gで得た。
【0055】
<実施例8>
実施例7で得た純度99.0%の1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸メチル3.0gを攪拌子、冷却管、滴下ロートを備えた100ml三口フラスコに移し15mlの水に0.6gの水酸化ナトリウムを溶解した水溶液を添加し100℃で4時間加水分解反応を行った。反応終了後冷却して得た反応液に希塩酸をpH2になるまで添加したところ白色固体が析出した。この固体をろ過して水で洗浄した後、70℃で減圧乾燥した結果、2.7gで純度99.2%の1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸の白色粉末状固体が得られた。
【0056】
<実施例9>
攪拌子、冷却管、滴下ロートを備えた100ml三口フラスコに、実施例7で得られた1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸メチル84.2%およびシクロペンタジエン3量体15.4%を含む留分10.0gを移し、50mlの水に2.0gの水酸化ナトリウムを溶解した水溶液を添加し100℃で4時間加水分解反応を行った。反応終了後冷却して得た反応液にトルエン20mlを加えて抽出した。この抽出操作を2回行って得た水層に、希塩酸をpH2になるまで添加したところ白色固体が析出した。この固体をろ過して水で洗浄した後、70℃で減圧乾燥した結果、7.5gの白色粉末状固体が得られた。この固体をメタノールに溶解しガスクロマトグラフィーにより分析した結果、1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸の純度は99.5%で、シクロペンタジエン3量体は全く含まれていなかった。
【0057】
<実施例10>
実施例9と同様の装置で,実施例7の方法で得た1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸メチル84.2%、シクロペンタジエン3量体15.4%を含む留分10.0g、50mlの水に2.0gの水酸化ナトリウムを溶解した水溶液、およびトルエン40mlを添加し100℃で4時間攪拌し、加水分解反応と抽出を同時に行った。冷却後に分液して得た水層に希塩酸をpH2になるまで添加したところ白色固体7.3gが析出した。この固体をメタノールに溶解しガスクロマトグラフィーにより分析した結果、1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸の純度は99.4%で、シクロペンタジエン3量体は全く含まれていなかった。
【0058】
<実施例11>
実施例5と同様の方法でディールス・アルダー反応を行い、反応終了後、冷却して内容物(395g)を取出した。得られた反応混合物を減圧蒸留し未反応のアクリル酸メチル,シクロペンタジエン,ジシクロペンタジエン,5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチルおよび溶媒のトルエンを留出させ、続いて1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸メチル留分(31.4g)を留出させた。この留分をガスクロマトグラフィーにより分析した結果、1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸メチル81.9%、シクロペンタジエン3量体17.8%を含んでいた。
ついでこの留分10.0gをメタノール100mlに溶解し、次いでシクロヘキサン100mlを添加し抽出した。この操作を3回行って得られたメタノール層から溶媒を留去したところ、シクロペンタジエン3量体0.7%を含む純度99.1%の1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸メチルを7.8gで得た。
【0059】
<実施例12>
実施例11で得られたシクロペンタジエン3量体17.8%を含む純度81.9%の1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸メチルの留分3.0gを用いた以外は実施例2と同様の方法で加水分解反応、その後の抽出および酸析出を行った結果、2.2gの1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸の白色粉末状固体が得られた。この固体の純度は99.5%で、シクロペンタジエン3量体は全く含まれていなかった。
【0060】
<比較例3>
実施例7で得られた、シクロペンタジエン3量体を15.4%含む純度84.2%の1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸メチルの留分10.0gを、抽出操作を行わなかった以外は実施例2と同様の方法で加水分解反応および酸析出を行ったところ、8.8gで1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸の固体が得られた。この固体の純度は88.7%で、シクロペンタジエン3量体を11.0%含んでいた。
【0061】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、精製工程において特定の溶媒を用いた抽出工程によって、または溶剤抽出と塩基性化合物の存在下での加水分解および酸性化合物による酸析出の組み合わせによって、シクロペンタジエン3量体および4量体等のシクロペンタジエン多量体を効率よく分離することができ、高純度のペルヒドロジメタノナフタレン骨格等を有する脂環式カルボン酸化合物を工業的に有利に製造することができる。
【産業上の利用分野】
本発明は、各種の構造材料および機能材料として使用される高分子化合物の原料として有用なペルヒドロジメタノナフタレン骨格を有する脂環式カルボン酸化合物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ペルヒドロジメタノナフタレン骨格等を有する脂環式カルボン酸化合物は、その構造と性質を生かした種々の用途への利用が検討されている。例えば、オクタヒドロジメタノナフタレン構造を有するカルボン酸エステルの開環メタセシス重合により耐熱性,光学特性に優れた重合物が得られることが開示されている(例えば、非特許文献1参照)。また、当該脂環式カルボン酸化合物のオレフィン部を水和反応して得られる脂環式ヒドロキシカルボン酸を光学特性に優れた脂環式ポリエステルに使用することが開示されている(例えば、特許文献1参照)。特開2000−281613公報では当該脂環式カルボン酸エステルのエステル部を還元して脂環式モノオレフィンアルコールに変換し更にエチレングリコールを反応させて脂環式ジオール化合物を合成し、光学材料用モノマーに使用することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。また、当該脂環式カルボン酸エステル化合物を化学増幅型フォトレジストに使用することが開示されている(例えば、特許文献3および非特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−240851号公報
【特許文献2】
特開2000−281613公報
【特許文献3】
特開平11−2903号公報
【非特許文献1】
ジャーナル オブ ポリマーサイエンス:パートA:ポリマーケミストリー(Journal of Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry)、(米国)、2000年、第38巻、SUPPLEMENT号、p.4661−4668
【非特許文献2】
ヘルベチカ キミカ アクタ(Helvetica Chimica Acta)、(米国)、2000年、第83巻、第10号、 p.2769−2782
【0004】
上記の公知の方法によれば、分子内にカルボン酸(エステル)基とペルヒドロジメタノナフタレン骨格を有する1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸化合物は、アクリル酸化合物および/または5−ノルボルネン−2−カルボン酸化合物と、シクロペンタジエンおよび/またはジシクロペンタジエンとをディールス・アルダー反応させ、反応液を蒸留することにより製造することができる。また、一旦単離された1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸メチルエステルを塩基性化合物存在下に加水分解反応を行い、その後適当な酸性化合物を用いて酸析出することにより1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸を製造することができる。
【0005】
本発明者らの検討によれば、1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸等は高沸点の化合物であり、かつ熱的に比較的不安定な化合物であることから、蒸留により精製するときに採用する条件によっては、該カルボン酸化合物が一部熱分解し収率が低下することが判明した。また、該ディールス・アルダー反応を行った反応混合物中には、反応副生成物であるシクロペンタジエンの3量体、4量体等のシクロペンタジエン多量体が必ず含まれており、シクロペンタジエン多量体は熱的に比較的不安定な高沸点の化合物であり、採用する蒸留条件によっては分解反応、重合反応を併発することが明らかとなった。これらの反応を制御するためには、高真空下、低温条件下での蒸留を実施する必要があり工業的に不利となる。
【0006】
また本発明者らの検討によれば、1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸化合物の沸点と上記シクロペンタジエン多量体の沸点が近いため、減圧下での蒸留を行っても効率よく分離することが困難で、蒸留により得られた該カルボン酸化合物中にはシクロペンタジエン3量体が含有されていることが明らかとなった。
【0007】
またさらに本発明者らの検討によれば、シクロペンタジエン3量体を含む1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸メチルエステルを加水分解しその後に酸析出すると、得られる1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸にはシクロペンタジエン3量体が含有されていることが明らかとなった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、シクロペンタジエン多量体の含有量の少ない1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸化合物等の脂環式カルボン酸化合物をディールス・アルダー反応を利用して工業的に有利に製造する方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、発明を完成するに至った。すなわち、本発明の第1は、下記一般式(1)で表される化合物および/または下記一般式(2)で表される化合物と、シクロペンタジエンおよび/またはジシクロペンタジエンとのディールス・アルダー反応を行う反応工程、該反応工程により得られる反応混合物から蒸留操作により下記一般式(3)で表される脂環式カルボン酸化合物のうち少なくともひとつを含む留分または残渣を分離する工程および該留分または残渣から溶媒抽出によりシクロペンタジエンの3量体以上のシクロペンタジエン多量体の少なくとも一部を分離する抽出操作を含む精製工程を有することを特徴とする下記一般式(3)で示される脂環式カルボン酸化合物の製造方法である。
【化4】
【化5】
【化6】
【0010】
本発明の第2は、本発明の第1において、精製工程に抽出操作、塩基性化合物存在下での加水分解反応、および酸性化合物による酸析出を含むことを特徴とする請求項1に記載の脂環式カルボン酸の製造方法である。
【0011】
本発明の第3は、本発明の第1または第2において、抽出操作を2種類以上の溶媒を用いて行うことにより反応混合物を2層以上に分離し、そのうちの少なくとも1層にシクロペンタジエン3量体以上のシクロペンタジエン多量体の少なくとも一部を溶解し、それ以外の層に上記一般式(3)で表される化合物の少なくとも一部を溶解したのちに分液操作に付することを特徴とする、請求項1または2に記載の脂環式カルボン酸化合物の製造方法である。
【0012】
本発明の第4は、本発明の第1ないし第3において、抽出操作で使用される2種類以上の溶媒が、炭素数10以下の含酸素化合物および炭素数5〜10の炭化水素化合物からなる2つの化合物群中のそれぞれ1種類以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の脂環式カルボン酸化合物の製造法である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で用いる上記一般式(1)、(2)および(3)で示される化合物において、R1およびR2はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表すが、該アルキル基としてはメチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル,sec−ブチル,tert−ブチル,n−プロピル,ブチルメチル,ネオペンチルおよびtert−アミルが挙げられ、これらのうちメチル,エチル,イソプロピル基であることが製造上好ましい。
【0014】
一般式(1)で示される化合物としては、具体的にはアクリル酸,アクリル酸メチル,アクリル酸エチル,アクリル酸イソプロピル,アクリル酸ブチル,アクリル酸ペンチル等のアクリル酸化合物,メタクリル酸,メタクリル酸メチル,メタクリル酸エチル,メタクリル酸イソプロピル,メタクリル酸ブチル,メタクリル酸ペンチル等のメタクリル酸化合物等を例示することができる。
【0015】
上記一般式(2)で示される化合物は、上記一般式(1)で示される化合物とシクロペンタジエンおよび/またはジシクロペンタジエンとをディールス・アルダー反応することにより合成することが出来る。一般式(2)で示される化合物はエキソ体,エンド体またはそれらの混合体の何れであってもよく立体構造は限定されず、これらの異性体に対応した上記一般式(3)で表される化合物の異性体が得られる。また、上記一般式(3)で示される化合物のジメタノナフタレン環等の立体構造は限定されず、特定の立体構造を持つものでも良いし、複数の立体構造を持つものの混合物であっても良い。
【0016】
本発明の製造方法においては、まず、一般式(1)で示される化合物および/または一般式(2)で示される化合物とシクロペンタジエンおよび/またはジシクロペンタジエンとのディールス・アルダー反応を実施する。シクロペンタジエンは、予めジシクロペンタジエンを熱分解蒸留したものを好ましく使用することができる。また、本発明における反応の条件下では、反応系内でジシクロペンタジエンの熱分解によってシクロペンタジエンが生成するのでジシクロペンタジエンをそのまま使用することができる。ジシクロペンタジエンとしては、ナフサ等の熱分解油から回収されるものが工業的に大量に得られしかも安価であるので好ましい。ジシクロペンタジエンは市販のものを使用することができ、工業的に入手可能であれば純度は70%以上のものを使用することができるが、通常は純度95%品を好適に使用することができる。さらに純度95%を超えるジシクロペンタジエンも使用することができる。また原料ジシクロペンタジエン中のジシクロペンタジエン成分におけるエンド体含有量は80%以上であることが好ましい。また、シクロペンタジエンを含むジシクロペンタジエン、あるいはジシクロペンタジエンを含むシクロペンタジエンを使用することができる。
【0017】
上記ディールス・アルダー反応は常温〜300℃の温度範囲で行うことができる。ジシクロペンタジエンを使用する場合は100〜300℃、より好ましくは130〜280℃、更に好ましくは150〜240℃の温度範囲で行う。上記温度範囲内で加熱することにより、ジシクロペンタジエンが系内で熱分解することにより生成したシクロペンタジエンがディールス・アルダー反応を起こして目的の化合物が生成する。100℃よりも低温では反応が遅くなるため好ましくなく、300℃よりも高温ではシクロペンタジエンの3量体および4量体等(以下、シクロペンタジエン多量体と称する)や一般式(3)で示される化合物に更にシクロペンタジエンが付加反応した生成物など(以下、シクロペンタジエン付加重質物と称する)の生成量が多くなるため好ましくない。また、シクロペンタジエンを使用する場合は、室温〜300℃、好ましくは室温〜280℃、更に好ましくは室温〜240℃の温度範囲で反応を行うことができる。
【0018】
反応時間は0.1〜30時間、好ましくは0.5〜20時間の範囲で行う。0.1時間未満では一般式(3)で表される化合物の収率が低いため好ましくなく、30時間を越えるとシクロペンタジエン多量体やシクロペンタジエン付加重質物の副生が多くなるため好ましくない。
【0019】
ジシクロペンタジエンは一般式(1)で示される化合物1モルに対して0.1〜10モル、好ましくは0.2〜5モル、更に好ましくは0.5〜3モルの量で用いられ、また一般式(2)で示される化合物1モルに対して0.1〜5モル、好ましくは0.2〜3モル、より好ましくは0.6〜2モルの範囲で用いられる。また、一般式(1)および一般式(2)で示される化合物を併用する場合にはこれらの合計量に対するジシクロペンタジエンの量は0.1〜5モル倍であることが好ましい。ジシクロペンタジエン量が上記範囲よりも少ない場合、本発明の目的物のひとつである一般式(3)で示される化合物の収量が低くなるため好ましくなく、上記範囲を超える場合はシクロペンタジエン多量体やシクロペンタジエン付加重質物の生成量が高くなるため好ましくない。シクロペンタジエンの使用量としてはシクロペンタジエンをジシクロペンタジエンに換算した量が上記範囲内となる量が好ましい。
【0020】
反応は加圧下で行うことが反応速度が大であるため好ましく、その場合0.1〜20MPa、好ましくは0.1〜10MPa、更には0.1〜5MPaが好ましく、0.1MPa未満では反応の進行が遅くなるため好ましくなく、20MPaを超えると反応の進行がそれ以上速くならず、反応器の耐圧性能等が過大になるなど経済的にも不利となり好ましくない。
【0021】
本発明におけるディールス・アルダー反応は溶媒の不存在下で行うことも可能であるが、適当な溶媒の存在下で行うこともできる。例えば、ベンゼン,トルエン,キシレン,ヘキサン,シクロヘキサン,メチルシクロヘキサン等の炭化水素溶媒、メタノール,エタノール,イソプロパノール,ブタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン,エチルエーテル,プロピルエーテル,1,4−ジオキサン等のエーテル類、酢酸エチル,酢酸プロピル等のエステル類、塩化メチレン,クロロホルム等の含ハロゲン溶媒、N−メチルピロリドン等の含窒素溶媒、等を使用することができる。
【0022】
上記の条件下でディールス・アルダー反応を実施するが、反応はバッチ式、セミバッチ式、連続式いずれの形式で行ってもよい。連続式で行う場合の反応器は完全混合型、ピストンフロー型、いずれの反応器も使用できる。ピストンフロー型反応器の市販品としてノリタケカンパニー(株)製「スタティックミキサー」、住友重機械工業(株)製「スルーザーミキサー」、櫻製作所(株)製「スケヤミキサー」などがあげられる。反応器は一段あるいは二段以上の多段の構造とすることもできる。完全混合型反応器やピストンフロー型反応器は直列または並列で組み合わせて使用することができる。
【0023】
また、当該反応の原料である一般式(1)および/または一般式(2)で示される化合物、シクロペンタジエンおよび/またはジシクロペンタジエンの所定量を連続的または継続的に反応器中に供給するセミバッチ形式の反応を行うことができ、その結果一般式(1)で示される化合物の重合物、シクロペンタジエン多量体およびシクロペンタジエン付加重質物の副生を抑えることができるため好ましい。この際、特に予め反応器内に溶媒を存在させて反応を実施するとその効果は大である。
【0024】
反応は、酸化防止剤、重合禁止剤の存在下に行うことができる。例えば、ハイドロキノン,2,6−ジ−t−ブチルフェノール,2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾ−ル,4−メトキシフェノール等のフェノール系化合物、N,N−ジメチルヒドロキシルアミン,N,N−ジエチルヒドロキシルアミン等のヒドロキシルアミン化合物などが好適に添加される。その添加量は、反応器中に供給される反応原料全量に対して、通常10〜10000ppm、好ましくは50〜5000ppmの範囲である。また、分離精製された一般式(2)あるいは(3)で示される化合物にも50〜5000ppmの範囲で好ましく添加することができる。また、上記反応は触媒を用いなくも円滑に進行するが、適宜、BF3またはそのエーテル錯体のようなフリーデル・クラフツ型の触媒等を用いることを妨げるものではない。
【0025】
目的とする製造物である上記一般式(3)で示される化合物は、式中のnが1または2である化合物であり、代表的なものとしてはnが1である1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸化合物が挙げられる。なお、上記一般式(3)で示される化合物としては、nが1と2の化合物を含む組成物であってもよい。
【0026】
以上のような反応条件でディールス・アルダー反応を行い得られた反応混合物には、本発明の目的物である一般式(3)で示される化合物以外に、未反応の一般式(1)および(2)で示される化合物、未反応のシクロペンタジエンおよびジシクロペンタジエン、反応に溶媒を使用した場合はその溶媒等が含まれ、更にこれら以外にシクロペンタジエン多量体などの副生物を含んでいる。
【0027】
上記一般式(3)においてn=1の化合物を目的物とする場合は、反応混合物を蒸留操作に付し、未反応原料および反応溶媒等を分離・除去し、更に留出を継続することにより目的物を含む留分を得ることができるが、該留分には目的物と沸点の近い下記式(4)で表されるシクロペンタジエン3量体が含まれる。
【化7】
また、上記一般式(3)においてn=2の化合物を目的物とする場合は、反応混合物を蒸留操作に付し、未反応原料、反応溶媒、一般式(3)においてn=1である化合物および上記式(4)で表されるシクロペンタジエン3量体等を分離・除去することにより、目的物を含む蒸留残渣を得ることができる。また、更に留出を継続することにより目的物を含む留分を得ることもできる。これらの目的物を含む蒸留残渣および留分には、目的物と沸点の近い下記式(5)で表されるシクロペンタジエン4量体が含まれる。
【化8】
さらに、上記一般式(3)においてn=1およびn=2の化合物を含む組成物を目的物する場合は、反応混合物を蒸留操作に付し、未反応原料および反応溶媒等を分離・除去することにより、目的物を含む蒸留残渣を得ることができる。該蒸留残渣には、目的物と沸点の近い上記式(4)および(5)で表されるシクロペンタジエンの3量体および4量体が含まれる。
【0028】
本発明者らは、高純度の一般式(3)で表される化合物を得る方法について鋭意検討した結果、前記の各場合について、蒸留操作により得られる一般式(3)で表される化合物を含む留分ないしは残渣をある特定の溶剤系で抽出操作することにより、シクロペンタジエン3量体および/または4量体を分離・除去し、高純度の一般式(3)で表される化合物を効率よく分離・精製できることを見出した。以下に、この抽出操作について説明する。なお、蒸留によって回収される一般式(1)および(2)で示される化合物、シクロペンタジエンおよびジシクロペンタジエン、および反応溶媒は、本発明におけるディールス・アルダー反応に再使用することができる。
【0029】
蒸留操作により得られた留分または残渣は、溶媒を用いて2層以上に分離させ、そのうちの少なくとも1層にシクロペンタジエンの3量体以上の多量体などの副生物を主として溶解させ、それ以外の層に一般式(3)で表される化合物等を主として溶解させて分液することにより、一般式(3)で示される化合物を高純度で効率よく抽出・分離することができる。
【0030】
この抽出操作では、炭素数10以下の含酸素化合物および炭素数5〜10の炭化水素化合物からなる2つの化合物群からそれぞれ1種類以上選択された計2種類以上の溶媒を使用することができる。
【0031】
炭素数10以下の含酸素化合物としては、メタノール,エタノール,n−プロピルアルコール,イソプロピルアルコール,1−ブタノール,sec−ブタノール,tert−ブタノール,1−ペンタノール,2−ペンタノール,3−ペンタノール,3−メチル−1−ブタノール,3−メチル−2−ブタノール,2−メチル−1−ブタノール,tert−アミルアルコール,ネオペンチルアルコール,1−ヘキサノール,2−ヘキサノール,3−ヘキサノール,2−メチル−1−ペンタノール,3−メチル−3−ペンタノール,4−メチル−2−ペンタノール,3,3−ジメチル−2−ブタノール,1−ヘプタノール,2−ヘプタノール,3−ヘプタノール,2−メチル−3−ヘキサノール,2,4−ジメチル−3−ペンタノール,1−オクタノール,2−オクタノール,3−オクタノール,2−エチル−1−ヘキサノール,2,4,4−トリメチル−1−ペンタノール,1−ノナノール,2−ノナノール,2,6−ジメチル−4−ヘプタノール,3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール,1−デカノール,2−デカノール,4−デカノールおよび3,7−ジメチル−1−オクタノール等の脂肪族モノアルコール;シクロペンタノール,シクロヘキサノールなどの脂環式モノアルコール;エチレングリコール,プロピレングリコール,1,4−ブタンジオール,1,4−ジヒドロキシ−2−ブテン,1,2−ジヒドロキシ−3−ブテンおよびグリセリン等の多価アルコール;アセトン,メチルエチルケトン,メチルブチルケトン,メチルイソブチルケトンおよびメチルイソプロピルケトン等のケトン;ジメチルエーテル,ジエチルエーテル,ジプロピルエーテル,メチル−tert−ブチルエーテル,ブチルエチルエーテル,ジブチルエーテル,ジペンチルエーテル,テトラヒドロフランおよびテトラヒドロピラン等のエーテル;酢酸メチル,酢酸エチル,酢酸イソプロピル,酢酸ブチル,アクリル酸メチル,メタクリル酸メチル等のエステル;ギ酸,酢酸,アクリル酸,メタクリル酸などのカルボン酸および水が例示され、製造上、水,メタノール,エタノール,イソプロピルアルコール,エチレングリコール,ジエチルエーテルおよび酢酸エチルを好ましく使用することができる。また含酸素化合物として水を単独または炭素数10以下の含酸素化合物と混合して使用することにより分離効率を向上させ製造上有利に実施することができる。
【0032】
炭素数5〜10の炭化水素としては、n−ペンタン,n−ヘキサン,メチルペンタン,n−ヘプタン, メチルヘキサン,ジメチルペンタン,n−オクタン,メチルヘプタン,ジメチルヘキサン,トリメチルペンタン,ジメチルヘプタン,n−デカンなどの直鎖状あるいは分岐状の脂肪族炭化水素;1−ペンテン,1−ヘキセン,4−メチル−1−ペンテン,1−ヘプテンなどの直鎖状あるいは分岐状の脂肪族末端あるいは内部オレフィン;ベンゼン,トルエン,キシレン,エチルベンゼン,プロピルベンゼンなどの芳香族炭化水素;シクロペンタン,メチルシクロペンタン,シクロヘキサン,メチルシクロヘキサン,ジメチルシクロヘキサン,エチルシクロヘキサン,プロピルシクロヘキサンなどの脂環式化合物などが挙げられ、製造上、n−ヘキサン,トルエン,シクロヘキサン,メチルシクロヘキサンを好ましく使用することができる。
【0033】
これら含酸素化合物と炭化水素化合物をそれぞれ1種類以上,計2種類以上を用いて抽出を行い、蒸留操作により得られる留分または残渣を2層以上に分離し、そのうちの少なくとも1層にシクロペンタジエン3量体および/または4量体を主として溶解し、それ以外の層に上記一般式(3)で示される化合物等を主として溶解させ分液することができるものであればその組み合わせは任意である。
【0034】
好ましい溶媒の組み合わせとしては、上記の含酸素化合物と炭化水素化合物をそれぞれ1種類ずつ用いた場合で、抽出操作を行うと該混合物は2層に分離する場合が多く、一方の層にはシクロペンタジエン多量体等を溶解させ、他方の層には一般式(3)で示される化合物を溶解させることができる。具体的には、メタノールとn−ヘキサン,メタノールとシクロヘキサン,メタノールとトルエン,エチレングリコールとn−ヘキサン,エチレングリコールとオクタン,エチレングリコールとトルエン,ジエチルエーテルとn−ヘキサンおよび酢酸エチルとn−ヘキサンなどの組み合わせを例示することができ、さらにこれらの例に水を加えた組み合わせも挙げられる。
また、いったん抽出を行い分液されたそれぞれの層に対して更に用いた抽出溶媒の少なくとも一種類を加えて再抽出することもできる。
【0035】
含酸素化合物と炭化水素化合物の重量比率は前者/後者=1/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/10、より好ましくは20/80〜80/20であり、前記の蒸留操作により得られた留分または残渣である混合物と、含酸素化合物と炭化水素化合物の合計値との混合重量比率は1/99〜99/1、好ましくは20/80〜80/20、より好ましくは30/70〜70/30の範囲である。この抽出工程における温度条件は、例えば10〜150℃、好ましくは10〜100℃、より好ましくは10〜80℃である。
【0036】
なお、前記ディールス・アルダー反応において、反応溶媒としてこれらの溶媒を使用すると、反応終了後、冷却・静置して層分離した反応混合物を分液するだけでシクロペンタジエン多量体類を分離することもできる。
【0037】
本発明の製造方法において、前記の抽出操作の他に、塩基性化合物の存在下に行う加水分解反応、および酸性化合物による酸析出の各工程を任意の順序で含んだ精製工程により、一般式(3)で表される化合物の内、R2が水素である化合物を製造することができる。具体的には前記抽出操作を行って得た化合物を、次いで加水分解反応を行った後に酸析出することもできれば、加水分解反応を単独で実施した後に継続して抽出・分離操作を行い酸析出することもできれば、加水分解反応と抽出操作を同時に行い分離した後の該カルボン酸の塩が溶解している層を酸析出することができる。
【0038】
塩基性化合物の存在下に行う加水分解反応により下記式(6)で表される化合物が得られる。塩基性化合物としては、エステル類の加水分解に一般に用いられているものが使用できる。具体的には、水酸化ナトリウム,水酸化カリウム等の水酸化物;炭酸ナトリウム,炭酸カリウム等の炭酸塩;ナトリウムメトキシド,カリウム−tert−ブトキシド等のアルコキシド等が使用でき、工業的な製造上の観点から、水酸化ナトリウム,水酸化カリウムが好適に使用できる。
【0039】
【化9】
【0040】
塩基性化合物の使用量は、該カルボン酸化合物1モルに対して、通常1モル以上、好ましくは1.1〜5モルが適当である。また、加水分解反応は平衡反応であるため、一般式(6)で表される化合物に効率よく変換するためには、過剰量の水を使用することが好ましく、該カルボン酸化合物1モルに対して、通常3モル以上、好ましくは10〜50モルが適当である。加水分解の反応温度は通常0〜200℃、好ましくは10〜100℃であり、反応時間は塩基性化合物、水の使用量、反応温度に依存するが通常1〜50時間程度である。
【0041】
なお、加水分解反応で使用する水は前述の炭素数10以下の含酸素化合物に該当するので、水を加水分解反応溶媒兼前記の抽出溶媒として用いることができ、また必要に応じて水以外の炭素数10以下の含酸素化合物を混合して用いることができる。
また、前記の抽出操作を行った後に、必要に応じて水を加えて加水分解反応を行うことができれば、加水分解反応終了後に、炭素数5〜10の炭化水素化合物の少なくとも1種類を添加して抽出することができるし、また更に炭素数5〜10の炭化水素化合物の少なくとも1種類を加水分解反応時に同時に存在させておき、加水分解反応と抽出を同時に行うこともできる。
【0042】
このようにして加水分解反応および抽出操作を行い、分液した後の該カルボン酸の塩が溶解している層を酸性化合物で酸析出することにより、一般式(3)で表される化合物を製造することができるが、使用する酸性化合物としては、化合物の構造に影響を与えないものであれば特に制限はなく、一般に用いられているものであればいずれも使用することができる。例えば、硫酸,硝酸および塩酸等の鉱酸;ベンゼンスルホン酸,p−トルエンスルホン酸,p−クロロベンゼンスルホン酸,メタンスルホン酸,エタンスルホン酸,トリフルオロメタンスルホン酸,トリクロロメタンスルホン酸,トリフルオロ酢酸,トリクロロ酢酸および酢酸等の有機酸;H3PW12O40,H4SiW12O40,H4TiW12O40,H5CoW12O40,H5FeW12O40,H6P2W18O62,H7PW11O33,H4TiMo12O40,H3PMo12O40,H7PMo11O39,H6P2Mo18O62,H4PMoW11O40,H4PVMo11O40,H4SiMo12O40,H5PV2Mo10O40,H3PMo6W6O40,H0.5Cs2.5PW12O40およびこれらの水和物等のタングステン酸,モリブデン酸或いはこれらのヘテロポリ酸等を使用することができるが、反応後の処理や経済的な面から塩酸,硫酸等の鉱酸を好ましく使用することができる。析出した一般式(3)で表される脂環式カルボン酸は常法によりろ過、洗浄、乾燥等を行うことにより高純度の製品を得ることができる。
【0043】
以上述べた製造方法で抽出・分離されたシクロペンタジエン多量体はシクロペンタジエンおよび/またはジシクロペンタジエンと等価な反応原料としてディールス・アルダー反応に再使用することができる。
【0044】
また、前記ディールス・アルダー反応および蒸留において、条件によっては得られる混合物に着色がみられる場合があるが、本発明における精製工程を行うことによって、着色成分はシクロペンタジエン多量体と同時に分離できる場合があり、着色の少ないあるいは着色の無い一般式(3)で表される化合物を単離できることも本発明の製造方法の利点の一つである。
【0045】
上記の方法により製造される一般式(3)で表される化合物は、一般式(4)ないし(5)で表されるシクロペンタジエン多量体を容易に5重量%以下とすることができ、抽出操作を繰返すことにより1重量%以下とすることができ、高純度のものとすることができる。
また、得られた一般式(3)で表される化合物は、蒸留および再結晶等の通常の方法により更に精製することもできる。
【0046】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
<実施例1>
電磁誘導式攪拌装置を備えた内容積0.5Lのオートクレーブにアクリル酸メチル113.0g(1.31mol)、純度95%のジシクロペンタジエン87.0g(0.62mol)およびトルエン200gを仕込み、系内を窒素ガスで置換した。次いで攪拌下にマントルヒータで内温200℃に加熱し、そのまま4時間同温度を維持しディールス・アルダー反応を行った。反応終了後、冷却して内容物(392g)を取出した。得られた反応混合物を減圧蒸留し未反応のアクリル酸メチル,シクロペンタジエン,ジシクロペンタジエン,5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチルおよび溶媒のトルエンを留出させ蒸留残渣77.5gを得た。この蒸留残渣をガスクロマトグラフィーにより分析した結果、1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸メチル74.2%、シクロペンタジエン3量体8.4%、シクロペンタジエン4量体0.5%、シクロペンタジエン付加重質物である1,2,3,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,10a−ドデカヒドロ−1,4:5,10:6,9−トリメタノアントラセン−2−カルボン酸メチル4.3%等を含んでいた。
ついでこの蒸留残渣10.0gをメタノール100mlに溶解し、次いでシクロヘキサン100mlを添加し抽出した。この操作を3回行い得たメタノール層から溶媒を留去したところ、シクロペンタジエン3量体0.4%、シクロペンタジエン4量体0.1%、シクロペンタジエン付加重質物である1,2,3,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,10a−ドデカヒドロ−1,4:5,10:6,9−トリメタノアントラセン−2−カルボン酸メチル1.1%等を含む純度97.0%の1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸メチルを5.6g得た。
【0047】
<実施例2>
実施例1で得た純度97.0%の1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸メチル3.0gを攪拌子、冷却管、滴下ロートを備えた100ml三口フラスコに移し15mlの水に0.6gの水酸化ナトリウムを溶解した水溶液を添加し100℃で4時間加水分解反応を行った。反応終了後冷却して得た反応液に希塩酸をpH2になるまで添加したところ白色固体が析出した。この固体をろ過して水で洗浄した後、70℃で減圧乾燥した結果、シクロペンタジエン付加重質物である1,2,3,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,10a−ドデカヒドロ−1,4:5,10:6,9−トリメタノアントラセン−2−カルボン酸1.8%を含む純度98.1%の1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸の白色粉末状固体2.8gが得られた。
【0048】
<実施例3>
攪拌子、冷却管、滴下ロートを備えた100ml三口フラスコに、実施例1の方法で得た蒸留残渣10.0gを移し、50mlの水に2.0gの水酸化ナトリウムを溶解した水溶液を添加し100℃で4時間加水分解反応を行った。反応終了後冷却して得た反応液にトルエン20mlを加えて抽出した。この抽出操作を2回行って得た水層に希塩酸をpH2になるまで添加したところ白色固体が析出した。この固体をろ過して水で洗浄した後、70℃で減圧乾燥した結果、6.6gの白色粉末状固体が得られた。この固体をメタノールに溶解しガスクロマトグラフィーにより分析した結果、1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸の純度は96.6%で、シクロペンタジエン3量体および4量体は全く含んでおらず、シクロペンタジエン付加重質物である1,2,3,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,10a−ドデカヒドロ−1,4:5,10:6,9−トリメタノアントラセン−2−カルボン酸3.2%を含んでいた。
【0049】
<実施例4>
実施例3と同様の装置で、実施例1の方法で得た蒸留残渣10.0g,50mlの水に2.0gの水酸化ナトリウムを溶解した水溶液、およびトルエン40mlを添加し100℃で4時間攪拌し、加水分解反応と抽出を同時に行った。冷却後に分液して得た水槽に希塩酸をpH2になるまで添加したところ白色固体6.8gが析出した。この固体をメタノールに溶解しガスクロマトグラフィーにより分析した結果、1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸の純度は97.1%で、シクロペンタジエン3量体および4量体は全く含んでおらず、シクロペンタジエン付加重質物である1,2,3,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,10a−ドデカヒドロ−1,4:5,10:6,9−トリメタノアントラセン−2−カルボン酸3.0%を含んでいた。
【0050】
<実施例5>
アクリル酸メチル46.5g(0.54mol)、純度95%のジシクロペンタジエン71.4g(0.54mol)、5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチル82.2g(0.54mol)およびトルエン200gを用いた以外は実施例1と同様の方法でディールス・アルダー反応を行った。反応終了後、冷却して内容物(395g)を取出した。得られた反応混合物を減圧蒸留し未反応のアクリル酸メチル,シクロペンタジエン,ジシクロペンタジエン,5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチルおよび溶媒のトルエンを留出させ蒸留残渣98.5gを得た。この蒸留残渣をガスクロマトグラフィーにより分析した結果、1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸メチル81.9%、シクロペンタジエン3量体9.5%、シクロペンタジエン4量体0.9%、シクロペンタジエン付加重質物である1,2,3,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,10a−ドデカヒドロ−1,4:5,10:6,9−トリメタノアントラセン−2−カルボン酸メチル5.6%を含んでいた。
ついでこの蒸留残渣10.0gにメタノール100mlに溶解し、次いでシクロヘキサン100mlを添加し抽出した。この操作を3回行い得たメタノール層から溶媒を留去したところ、シクロペンタジエン3量体0.5%、シクロペンタジエン4量体0.2%、シクロペンタジエン付加重質物である1,2,3,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,10a−ドデカヒドロ−1,4:5,10:6,9−トリメタノアントラセン−2−カルボン酸メチル1.5%を含む純度96.6%の1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸メチルを7.1gで得た。
【0051】
<実施例6>
実施例3の方法で得た蒸留残渣10.0gおよび50mlの水に2.5gの水酸化ナトリウムを溶解した水溶液を用いた以外は実施例2と同様の方法で加水分解反応、その後の抽出および酸析出を行った結果、8.0gの白色粉末状固体が得られた。この固体をメタノールに溶解しガスクロマトグラフィーにより分析したところ、1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸の純度は98.0%で、シクロペンタジエン3量体および4量体は全く含んでおらず、シクロペンタジエン付加重質物である1,2,3,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,10a−ドデカヒドロ−1,4:5,10:6,9−トリメタノアントラセン−2−カルボン酸1.9%を含んでいた。
【0052】
<比較例1>
実施例1と同様の方法でディールス・アルダー反応を行って得た反応混合物の減圧蒸留を行い、沸点範囲118〜124℃/0.26KPaの留分42.6gを得た。この留分をガスクロマトグラフィーにより分析した結果、1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸メチル86.5%、シクロペンタジエン3量体10.4%、シクロペンタジエン4量体2.8%、シクロペンタジエン付加重質物である1,2,3,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,10a−ドデカヒドロ−1,4:5,10:6,9−トリメタノアントラセン−2−カルボン酸メチル0.1%を含んでいた。
【0053】
<比較例2>
実施例1の蒸留残渣を用いて抽出操作を行わなかった以外は実施例2と同様の方法で加水分解反応および酸析出を行ったところ、6.9gの固体が得られた。この固体をメタノールに溶解しガスクロマトグラフィーにより分析した結果、1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸の純度は82.3%で、シクロペンタジエン3量体12.4%、シクロペンタジエン4量体3.1%、シクロペンタジエン付加重質物である1,2,3,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,10a−ドデカヒドロ−1,4:5,10:6,9−トリメタノアントラセン−2−カルボン酸0.5%を含んでいた。
【0054】
<実施例7>
実施例1と同様の方法でディールス・アルダー反応を行い、反応終了後、冷却して内容物(390g)を取出した。得られた反応混合物を減圧蒸留し未反応のアクリル酸メチル,シクロペンタジエン,ジシクロペンタジエン,5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチルおよび溶媒のトルエンを留出させ、続いて1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸メチル留分(49.3g)を留出させた。この留分をガスクロマトグラフィーにより分析した結果、1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸メチル84.2%、シクロペンタジエン3量体15.4%であった。
ついでこの留分10.0gにメタノール100mlに溶解し、次いでシクロヘキサン100mlを添加し抽出した。この操作を3回行って得られたメタノール層の溶媒を留去したところ、シクロペンタジエン3量体0.9%を含む純度99.0%の1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸メチルを5.6gで得た。
【0055】
<実施例8>
実施例7で得た純度99.0%の1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸メチル3.0gを攪拌子、冷却管、滴下ロートを備えた100ml三口フラスコに移し15mlの水に0.6gの水酸化ナトリウムを溶解した水溶液を添加し100℃で4時間加水分解反応を行った。反応終了後冷却して得た反応液に希塩酸をpH2になるまで添加したところ白色固体が析出した。この固体をろ過して水で洗浄した後、70℃で減圧乾燥した結果、2.7gで純度99.2%の1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸の白色粉末状固体が得られた。
【0056】
<実施例9>
攪拌子、冷却管、滴下ロートを備えた100ml三口フラスコに、実施例7で得られた1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸メチル84.2%およびシクロペンタジエン3量体15.4%を含む留分10.0gを移し、50mlの水に2.0gの水酸化ナトリウムを溶解した水溶液を添加し100℃で4時間加水分解反応を行った。反応終了後冷却して得た反応液にトルエン20mlを加えて抽出した。この抽出操作を2回行って得た水層に、希塩酸をpH2になるまで添加したところ白色固体が析出した。この固体をろ過して水で洗浄した後、70℃で減圧乾燥した結果、7.5gの白色粉末状固体が得られた。この固体をメタノールに溶解しガスクロマトグラフィーにより分析した結果、1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸の純度は99.5%で、シクロペンタジエン3量体は全く含まれていなかった。
【0057】
<実施例10>
実施例9と同様の装置で,実施例7の方法で得た1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸メチル84.2%、シクロペンタジエン3量体15.4%を含む留分10.0g、50mlの水に2.0gの水酸化ナトリウムを溶解した水溶液、およびトルエン40mlを添加し100℃で4時間攪拌し、加水分解反応と抽出を同時に行った。冷却後に分液して得た水層に希塩酸をpH2になるまで添加したところ白色固体7.3gが析出した。この固体をメタノールに溶解しガスクロマトグラフィーにより分析した結果、1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸の純度は99.4%で、シクロペンタジエン3量体は全く含まれていなかった。
【0058】
<実施例11>
実施例5と同様の方法でディールス・アルダー反応を行い、反応終了後、冷却して内容物(395g)を取出した。得られた反応混合物を減圧蒸留し未反応のアクリル酸メチル,シクロペンタジエン,ジシクロペンタジエン,5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチルおよび溶媒のトルエンを留出させ、続いて1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸メチル留分(31.4g)を留出させた。この留分をガスクロマトグラフィーにより分析した結果、1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸メチル81.9%、シクロペンタジエン3量体17.8%を含んでいた。
ついでこの留分10.0gをメタノール100mlに溶解し、次いでシクロヘキサン100mlを添加し抽出した。この操作を3回行って得られたメタノール層から溶媒を留去したところ、シクロペンタジエン3量体0.7%を含む純度99.1%の1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸メチルを7.8gで得た。
【0059】
<実施例12>
実施例11で得られたシクロペンタジエン3量体17.8%を含む純度81.9%の1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸メチルの留分3.0gを用いた以外は実施例2と同様の方法で加水分解反応、その後の抽出および酸析出を行った結果、2.2gの1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸の白色粉末状固体が得られた。この固体の純度は99.5%で、シクロペンタジエン3量体は全く含まれていなかった。
【0060】
<比較例3>
実施例7で得られた、シクロペンタジエン3量体を15.4%含む純度84.2%の1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸メチルの留分10.0gを、抽出操作を行わなかった以外は実施例2と同様の方法で加水分解反応および酸析出を行ったところ、8.8gで1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2−カルボン酸の固体が得られた。この固体の純度は88.7%で、シクロペンタジエン3量体を11.0%含んでいた。
【0061】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、精製工程において特定の溶媒を用いた抽出工程によって、または溶剤抽出と塩基性化合物の存在下での加水分解および酸性化合物による酸析出の組み合わせによって、シクロペンタジエン3量体および4量体等のシクロペンタジエン多量体を効率よく分離することができ、高純度のペルヒドロジメタノナフタレン骨格等を有する脂環式カルボン酸化合物を工業的に有利に製造することができる。
Claims (4)
- 前記精製工程が抽出操作の他に、塩基性化合物の存在下での加水分解反応、および酸性化合物による酸析出を含むことを特徴とする、請求項1に記載の脂環式カルボン酸の製造方法。
- 抽出操作を2種類以上の溶媒を用いて行うことにより反応混合物を2層以上に分離し、そのうちの少なくとも1層にシクロペンタジエンの3量体以上のシクロペンタジエン多量体の少なくとも一部を溶解し、それ以外の層に上記一般式(3)で表される化合物の少なくとも一部を溶解したのちに分液操作に付することを特徴とする請求項1または2に記載の脂環式カルボン酸化合物の製造方法。
- 抽出操作で使用される2種類以上の溶媒が、炭素数10以下の含酸素化合物および炭素数5〜10の炭化水素化合物からなる2つの化合物群中のそれぞれ1種類以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の脂環式カルボン酸化合物の製造方法。
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-
2002
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