JP2003238464A - アダマンタノールの製造方法 - Google Patents

アダマンタノールの製造方法

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JP2003238464A
JP2003238464A JP2002041324A JP2002041324A JP2003238464A JP 2003238464 A JP2003238464 A JP 2003238464A JP 2002041324 A JP2002041324 A JP 2002041324A JP 2002041324 A JP2002041324 A JP 2002041324A JP 2003238464 A JP2003238464 A JP 2003238464A
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adamantane
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oxygen
adamantanol
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JP2002041324A
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Tetsutaka Mizuno
哲孝 水野
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Tokuyama Corp
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Tokuyama Corp
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    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アタマンタンを酸素酸化する方法において、
アダマンタノールを高い収率で効率的に製造すること。 【解決手段】 一般式(1) Hy+nYZ12−n (1) (ただし、Yはりん原子またはけい素原子を示し、Zは
バナジウム原子またはルテニウム原子を示し、Mはモリ
ブデン原子またはタングステン原子を示し、yはYがり
ん原子のときは3であり、Yがけい素原子のときは4で
あり、mはZがバナジウム原子のときは40であり、Z
がルテニウム原子のときは40−nであり、nは1〜6
の整数である。)で示されるヘテロポリ酸若しくはその
塩、またはリン酸バナジウムの存在下であって、且つN
−ヒドロキシフタルイミド等のイミド化合物の不存在下
において、アダマンタン類を酸素酸化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医農薬中間体や電
子材料原料等として有用なアダマンタノールの製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】1−アダマンタノール等のアダマンタン
骨格に1個の水酸基が結合してなるアダマンタノール類
は、医薬中間体、フォトレジスト用モノマーの原料、フ
ォトクロミック化合物の原料、塗料、接着剤、粘着剤、
膜、吸着材などの材料の原料など広く用途があり、工業
上重要な化合物である。
【0003】従来、アダマンタノールを得る方法として
は、アタマンタンを、トリフルオロ酢酸無水物及び濃硫
酸と反応させた後加水分解する方法(Kovalev,
V.V.et al. Zh.Org.Khim.23
(2),451(1987), idem. ibi
d.23(9),1882(1987))、アタマンタ
ンを、硫酸中で、t−ブタノール及びアセトニトリルと
反応させた後加水分解する方法(特開平1−28323
6号公報、Garni,M. et al. Org.
Prep.Proceed.Int.24(6),66
1(1992))、アダマンタンを、硫酸中で塩素と反
応させた後加水分解する方法(CS275178)、ア
ダマンタンを、発煙硫酸と反応させた後加水分解する方
法(特開2000−273059)等が知られている。
しかし、これらの方法では多量の廃硫酸が発生するた
め、その処理費用が多くかかる問題があった。
【0004】また、このように反応に硫酸を使用しない
方法として、アダマンタンを酸素酸化する方法も提案さ
れている。例えば、N−ヒドロキシフタルイミド等の特
定のイミド化合物からなる触媒と、水酸化物、酸化物、
ハロゲン化物、錯体、ヘテロポリ酸等の種々の遷移金属
化合物から選ばれる共酸化剤との存在下で、アダマンタ
ンを酸素酸化する方法(特開平8−38909号公報、
特開平9−327626号公報、Ishii,Y. e
t al. J.Org.Chem.60(13),3
934(1995))が知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする方法】ところが、上記酸素酸
化による方法は、前記特定のイミド化合物を多量に使用
しなくてはならず、該化合物は比較的高価である他、反
応中に分解も生じるため回収して再使用するのにも煩雑
な処理が必要になり、コストや操作性の面から今一歩十
分な方法とはいえなかった。そして、該特定のイミド化
合物を使用せず、前記遷移金属化合物を単独で使用して
上記反応を実施しようとすると、ほとんどの場合におい
て反応性は大きく低下し、満足のできる収率でアダマン
タノールを得ることはできなかった。さらに、上記イミ
ド化合物と遷移金属化合物を併用して反応を実施する場
合においては、逆に、反応性が強すぎて生成したアタマ
ンタノールの多くがさらに酸化されてアダマンタノンに
変化する系もあり、この場合においても、該目的化合物
を高い収率で得ることが困難であった。
【0006】以上から、アタマンタンを酸素酸化する方
法において、アダマンタノールを高い収率で効率的に製
造できる方法を開発することが望まれていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の問題
を解決するために鋭意検討を行ってきた。その結果、バ
ナジウム原子若しくはルテニウム原子を含む特定のヘテ
ロポリ酸、またはリン酸バナジウムを触媒として用いる
ことにより、上記の課題が解決できることを見出し本発
明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明は、一般式(1) Hy+nYZ12−n (1) (ただし、Yはりん原子またはけい素原子を示し、Zは
バナジウム原子またはルテニウム原子を示し、Mはモリ
ブデン原子またはタングステン原子を示し、yはYがり
ん原子のときは3であり、Yがけい素原子のときは4で
あり、mはZがバナジウム原子のときは40であり、Z
がルテニウム原子のときは40−nであり、nは1〜6
の整数である。)で示されるヘテロポリ酸またはその塩
の存在下であって、且つ下記式
【0009】
【化3】
【0010】(ただし、Xは酸素原子またはヒドロキシ
ル基を示す。)で示される基を含有するイミド化合物の
不存在下において、アダマンタン類を酸素酸化すること
を特徴とするアダマンタノールの製造方法である。
【0011】また、他の発明は、リン酸バナジウムの存
在下であって、且つ下記式
【0012】
【化4】
【0013】(ただし、Xは酸素原子またはヒドロキシ
ル基を示す。)で示される基を含有するイミド化合物の
不存在下において、アダマンタン類を酸素酸化すること
を特徴とするアダマンタノールの製造方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明においてアダマンタン類と
は、アダマンタンの他、アダマンタン骨格上の4個の3
級炭素、すなわち、1位、3位、5位および7位の炭素
原子の少なくとも1個が無置換の化合物をいう。通常
は、下記式(2)で示されるものが使用される。
【0015】
【化5】
【0016】(式中、Rは、アルキル基、アリール
基、アラルキル基、アミノ基、シアノ基、カルボキシル
基、またはハロゲン原子であり、pは0〜4の整数であ
り、1位、3位、5位および7位の炭素原子の少なくと
も1個は上記Rが無置換である。) 上記式(2)においてRのアルキル基は、特に制限さ
れるものではないが、メチル基、エチル基、プロピル
基、イソプロピル基、ブチル基等の炭素数1〜6のもの
が好ましい。アリール基は、フェニル基等の炭素数が6
〜10のものが好ましい。アラルキル基は、ベンジル基
等の炭素数が7〜12のものが好ましい。アミノ基は、
メチルアミノ基、エチルアミノ基等の炭素数1〜4のも
のが好ましい。ハロゲン原子は、塩素原子、臭素原子、
フッ素原子等が好ましい。これらR がのうちでも、ア
ルキル基、アミノ基、シアノ基、カルボキシル基、また
はハロゲン原子が特に好ましい。
【0017】また、上記Rがアダマンタン骨格に対し
て複数個置換している場合、これらは各々同種のもので
あっても良いし、異種のものであっても良い。
【0018】上記式(2)で示させるアダマンタン類を
具体的に例示すると、アダマンタン:1−メチルアダマ
ンタン、1−エチルアダマンタン、2−メチルアダマン
タン、2−エチルアダマンタン、1,3−ジメチルアダ
マンタン、1,3−ジエチルアダマンタン、1,2−ジ
メチルアダマンタン、1,2−ジエチルアダマンタン等
のアルキルアダマンタン類;1−アダマンタナミン、
1,3−ジアミノアダマンタン、1−アダマンタンメチ
ルアミン等のアミノアダマンタン類;1−シアノアダマ
ンタン、2−シアノアダマンタン等のシアノアダマンタ
ン類;1−アダマンタンカルボン酸、1,3−アダマン
タンジカルボン酸等のカルボキシルアダマンタン類;1
−フルオロアダマンタン、2−フルオロアダマンタン、
1−クロロアダマンタン、2−クロロアダマンタン、1
−ブロモアダマンタン、2−ブロモアダマンタン、1−
ヨードアダマンタン、2−ヨードアダマンタン、1,3
−ジフルオロアダマンタン、1,3−ジクロロアダマン
タン、1,3−ジブロモアダマンタン、1,3−ジヨー
ドアダマンタン等のハロゲン化アダマンタン類などが挙
げられるが、この限りではない。
【0019】上記式(2)で示させるアダマンタン類の
なかでも、反応性や入手の容易さなど等の理由から、ア
ダマンタン、1−メチルアダマンタン、1−クロロアダ
マンタン、1−ブロモアダマンタン、1,3−ジクロロ
アダマンタン等が特に好ましく、アダマンタンが最も好
ましい。
【0020】本発明では、上記アダマンタン類を、一般
式(1) Hy+nYZ12−n (1) (ただし、Yはりん原子またはけい素原子を示し、Zは
バナジウム原子またはルテニウム原子を示し、Mはモリ
ブデン原子またはタングステン原子を示し、yはYがり
ん原子のときは3であり、Yがけい素原子のときは4で
あり、mはZがバナジウム原子のときは40であり、Z
がルテニウム原子のときは40−nであり、nは1〜6
の整数である。)で示されるヘテロポリ酸またはその塩
の存在下で酸素酸化し、アダマンタノールを生成させ
る。
【0021】ここで、本発明で製造されるアダマンタノ
ールとは、アダマンタン骨格に1個の水酸基が結合して
なる化合物であり、通常は、前記一般式(2)で示され
るアダマンタン類において、1位、3位、5位および7
位の3級炭素原子のうち、R で示される基で置換され
ていない箇所に1個の水酸基が導入された化合物が主に
なる。例えば、最も汎用的な原料であるアタマンタンが
原料であれば、1−アダマンタノールが主に生成し、そ
の他、2−アダマンタノールが少量生成する。なお、水
酸基が二個以上導入されたアダマンタンポリオール類
も、通常、少量生成する。
【0022】上記一般式(1)で示されるヘテロポリ酸
としては、公知のものが制限なく使用でき、異性体の型
としてもアルファ型、ベータ型、ガンマ型等制限なく用
いることができる。具体的には、HPVMo11
40、HPVMo10 、HPVMo
40、HPVMo40、等のリンバナドモリブ
デン酸;HPVW1140、HPV10
40、HPV 、HPV40
のリンバナドタングステン酸;HPRuMo11
39、HPRuMo1038、HPRuMo
37、HPRu Mo36等のリンルテニウ
ムモリブデン酸;HPRuW1139、H PRu
1038、HPRu37、HPRu
36等のリンルテニウムタングステン酸;H
SiVMo1140、HSiVMo1040
SiVMo40、HSiVMo10
40等のケイバナドモリブデン酸;HSiVW11
40、HSiV1040、HSiV
40、HSiV1040等のケイバナドタング
ステン酸;HSiRuMo1139、HSiRu
Mo1038、HSiRuMo37、H
SiRuMo36等のケイルテニウムモリブデン
酸;HSiRuW1139、HSiRu10
38、HSiRu 37、HSiRu
36等のケイルテニウムタングステン酸等が挙げら
れる。反応性の良好さからは、Yがりん原子で、Zがバ
ナジウムで、Mがモリブデンである化合物(リンバナド
モリブデン酸)、Yがけい素原子で、Zがバナジウム
で、Mがタングステンの化合物(ケイバナドタングステ
ン酸)、およびYがけい素原子で、Zがルテニウムで、
Mがタングステンの化合物(ケイルテニウムタングステ
ン酸)が好ましい。また、nは1〜4の整数であるのが
より好ましい。
【0023】上記ヘテロポリ酸の塩としては、ヘテロポ
リ酸から遊離するアニオンと塩基のカチオンから形成さ
れるものが制限なく使用される。具体的には、前記ヘテ
ロポリ酸の、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアル
カリ金属塩などの無機塩;アンモニウム塩;テトラエチ
ルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、トリ
エチルベンジルアンモニウム塩等の第四アンモニウム塩
などの有機塩が挙げられる。このうち、第四アンモニウ
ム塩が好ましい。ここで、上記第四アンモニウム塩にお
いて、窒素原子に結合する4個の炭化水素基としては、
メチル基、エチル基、ブチル基等の炭素数1〜10のア
ルキル基、ベンジル基、3,5−ジターシャリーブチル
ベンジル基等の炭素数7〜15のアラルキル基が好まし
い。
【0024】これらのヘテロポリ酸またはその塩は、水
和物、一般には2〜15水和物として使用しても良い。
【0025】なお、これらのヘテロポリ酸またはその塩
は、市販されているものについては、そのものが好適に
使用できる。また、常法にしたがって、リンモリブデン
酸、リンタングステン酸、ケイモリブデン酸、ケイタン
グステン酸の各欠損構造部位を有するものについて、該
欠損構造部位にバナジウム原子またはルテニウム原子を
組み込み、得られたヘテロポリ酸について、必要により
塩基で中和して塩にすること等により、各化合物とも容
易に製造することが可能である。
【0026】次に、本発明では、別の方法としては、前
記アダマンタン類を、リン酸バナジウムの存在下で酸素
酸化して、目的とするアダマンタノールを生成させるこ
ともできる。
【0027】ここで、リン酸バナジウムは、公知のもの
が制限なく使用でき、これらの無水物も含まれる。具体
的には、(VO)HPO、(VO)等が好
ましい。本発明において、これらのリン酸バナジウム
は、水野らによってChemistry of Mat
erials第9巻12号の2697ページ(1997
年)に報告されている(001)面の多い結晶を用いる
のが好適である。
【0028】本発明において、上記一般式(1)で示さ
れるヘテロポリ酸、またはリン酸バナジウムの使用量
は、特に制限はないが、反応速度とコストの面から、ア
タマンタン類に対して0.01〜10モル%の範囲で決
定すればよい。一般的には0.1〜1モル%の範囲で使
用すれば十分である。
【0029】また、これらヘテロポリ酸、またはリン酸
バナジウムは、それぞれにおいて2種以上を併用しても
良く、さらには、該ヘテロポリ酸とリン酸バナジウムと
を共用しても良い。
【0030】本発明では、このように一般式(1)で示
されるヘテロポリ酸、またはリン酸バナジウムを使用す
ることにより、従来、こうした遷移金属化合物を用いて
アタマンタン類の酸素酸化反応を行う場合において触媒
として使用されている下記式
【0031】
【化6】
【0032】(ただし、Xは酸素原子またはヒドロキシ
ル基を示す)で示される基を含有するイミド化合物を使
用せずとも、該反応を非常に良好な反応性で実行でき
る。先行文献において、上記イミド化合物と併用させる
ことができるとして開示されている遷移金属化合物は極
めて多種類あるが、その中に合って、上記特定のヘテロ
ポリ酸およびリン酸バナジウム以外のものは、単独で使
用したのでは、ほとんどが十分な反応性は呈さない。
【0033】また、上記イミド化合物と遷移金属化合物
とを組合せて反応を実行した際には、反応が激しすぎ
て、前述したように生成したアダマンタノールの大部分
がアダマンタノンまで酸化されてしまう場合もあるが、
本発明では、このような過剰な酸化反応も極力抑えられ
て反応が進行する。かくして、本発明では、上記イミド
化合物の不存在下で反応を実施するにもかかわらず、目
的とするアダマンタノールを極めて高い収率で得ること
が可能になる。
【0034】ここで、本発明において、反応に使用しな
いイミド化合物とは、前記特有の基を有する化合物が制
限なく対象となり、該化合物の実質的な不存在下で反応
を実施すればよい。一般的には、N−ヒドロキシフタル
イミドに代表される、下記式(3)
【0035】
【化7】
【0036】(ただし、RおよびRは、同一または
異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリ
ール基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキ
シ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシ
ル基を示し、RおよびRは互いに結合して二重結
合、または芳香族性または非芳香族性の環を形成してい
ても良く、Xは酸素原子またはヒドロキシル基を示し、
qは1〜3の整数を示す。)で示されるイミド化合物が
挙げられる。これらのイミド化合物の詳細については、
例えば特開平8−38909号公報、特開平9−327
626号公報等に記載されているとおりである。
【0037】本発明において、酸化反応の反応温度は、
特に制限されるものではなく一般には0〜250℃の広
い範囲から採択可能である。反応速度の面からは、80
℃以上、より好適には100〜150℃の範囲から採択
するのが好ましい。
【0038】反応は、通常、有機溶媒中で実施される。
使用される有機溶媒としては、反応を阻害せず、自身が
酸化されないものであれば特に制限はなく使用できる。
具体的には、ジクロロエタン、クロロベンゼン等の塩素
化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸イソブチル等のエステ
ル類;アセトニトリル等のニトリル類、;三級ブタノー
ル等の三級アルコール類;酢酸等の有機酸などが好適に
用いられる。これらのうちでも、高い収率が期待できる
ことから、エステル類を用いるのが好ましい。
【0039】これらの有機溶媒の使用量は、特に制限は
無いが、あまり量が多いと、一バッチあたりの収量が小
さくなるため経済的ではなく、量が少なすぎてもアダマ
ンタン類を溶解させることができずに反応速度が低下す
るため、通常、反応液全体中のアダマンタン類の量が
0.1〜60質量%、好ましくは1〜50質量%となる
ように有機溶媒を使用することが好ましい。
【0040】反応に使用する酸素は、純酸素でもよい
し、窒素等の不活性ガスで希釈されたものを用いてもよ
い。コスト面からは空気を用いるのが好ましい。
【0041】これら酸素の使用量は、特に制限はない
が、反応を十分に遂行させる観点からは、アダマンタン
類1モルに対して1モル以上、好ましくは5モル以上で
あるのが好ましい。こうした量の酸素を、反応開始時
に、反応液に溶解させて反応を実施してもよいし、経時
的に徐々に反応液に供給して反応を実施しても良い。通
常は、反応液を空気中に開放下で反応を実施すれば十分
に満足される。
【0042】反応圧力は、常圧、または加圧下で行うこ
とができ、加圧下で実施する場合は、通常、1〜10a
tmから採択される。さらに、反応時間は、得に制限さ
れるものではなく、通常、10〜500時間から採択さ
れる。
【0043】以上の酸化反応は、回分式、半回分式、連
続式などの慣用の方法により行うことができる。反応後
において、反応液からアダマンタノールを単離精製する
方法としては、特に制限なく公知の方法が採用される。
例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、再結晶、、カラムク
ロマトグラフィーなどの手段や、これらを組合せた方法
により、適宜に実施できる。
【0044】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限される
物ではない。 実施例1 HPVMo1140の2μモルを酢酸イソブチル3
mLに溶解し、アダマンタン1ミリモルを加え、酸素雰
囲気下100℃で96時間反応させた。
【0045】この時のアダマンタンの転化率は77%で
あり、1−アダマンタノールの選択率は52%であっ
た。また、この時のアダマンタノンの選択率は31%、
1,3−アダマンタンジオールの選択率は14%であっ
た。 実施例2〜8 実施例1においてHPVMo1140に代えて、表
1に示す化合物を用いた以外は実施例1と同様にして反
応させた。結果は表1に示す通りであった。
【0046】
【表1】
【0047】実施例9 実施例1においてHPVMo1140に代えて、
(BuN)HSiRuW1139を0.5μモル
用いたほかは実施例1と同様に反応させた。
【0048】この時の転化率は82%であり、1−アダ
マンタノールの選択率は56%であった。また、この時
のアダマンタノンの選択率は14%、1,3−アダマン
タンジオールの選択率は28%であった。 比較例1 実施例1においてHPVMo1140に代えて、H
PMo1240を用いた以外は実施例1と同様に反
応させた。この時の転化率は11%であった。 比較例2 (BuN)Si{Fe(OH)}38を11
μモル用い、溶媒として1,2−ジクロロエタン8mL
とベンゼン2mLを用いて83℃で100時間、酸素雰
囲気下でアダマンタン1.24ミリモルと反応させたと
ころ、アダマンタンの転化率は4%であった。 比較例3 実施例1においてHPVMo1140に代えて、酸
化バナジウムのアセチルアセトナート錯体(VO(ac
ac))を120μモル用いたほかは実施例1と同様
に反応させたが、アダマンタンは全く反応しなかった。 比較例4 実施例1においてHPVMo1140に代えてH
MoOを120μモル用いた以外は実施例1と同様に
反応させた。この時の転化率は2%であった。 比較例5 実施例1において、反応系にさらに、N−ヒドロキシフ
タルイミド100μモルを加えて反応を行う以外は、実
施例1と同様にして反応させた。
【0049】この時のアダマンタンの転化率は66%で
あり、1−アダマンタノールの選択率は23%であっ
た。また、この時のアダマンタノンの選択率は47%、
1,3−アダマンタンジオールの選択率は5%であっ
た。 比較例6 実施例8において(BuN)HSiRuW11
39に代えて、塩化ルテニウムを1.4μモル用い、8
3℃で反応させたほかは実施例8と同様に反応させた
が、アダマンタンは全く反応しなかった。
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、アタマンタンを酸素酸
化する方法において、アダマンタノールを高い収率で効
率的に製造することが可能である。したがって、本発明
の製造方法を採用することにより、医農薬中間体や電子
材料原料等として有用なアダマンタノールを容易に得る
ことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 Fターム(参考) 4G069 AA06 BA21B BB07A BB07B BC54A BC54B BC59A BC59B BC60A BC60B BC70A BD05A BD05B BD07A BD07B BE13B BE32B CB07 DA02 FC08 4H006 AA02 AC41 BA12 BA14 BA30 BA51 BA53 BA75 BB17 BE30 FC36 FE12 4H039 CA60 CC30

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1) Hy+nYZ12−n (1) (ただし、Yはりん原子またはけい素原子を示し、Zは
    バナジウム原子またはルテニウム原子を示し、Mはモリ
    ブデン原子またはタングステン原子を示し、yはYがり
    ん原子のときは3であり、Yがけい素原子のときは4で
    あり、mはZがバナジウム原子のときは40であり、Z
    がルテニウム原子のときは40−nであり、nは1〜6
    の整数である。)で示されるヘテロポリ酸またはその塩
    の存在下であって、且つ下記式 【化1】 (ただし、Xは酸素原子またはヒドロキシル基を示
    す。)で示される基を含有するイミド化合物の不存在下
    において、アダマンタン類を酸素酸化することを特徴と
    するアダマンタノールの製造方法。
  2. 【請求項2】 リン酸バナジウムの存在下であって、且
    つ下記式 【化2】 (ただし、Xは酸素原子またはヒドロキシル基を示
    す。)で示される基を含有するイミド化合物の不存在下
    において、アダマンタン類を酸素酸化することを特徴と
    するアダマンタノールの製造方法。
  3. 【請求項3】 アダマンタン類の酸素酸化を80℃以上
    の温度で行なうことを特徴とする請求項1または請求項
    2に記載のアダマンタノールの製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006249034A (ja) * 2005-03-14 2006-09-21 Idemitsu Kosan Co Ltd 含酸素化合物の製造方法
JP2008542343A (ja) * 2005-05-31 2008-11-27 ケミファイン グループ リミテッド アダマンタン誘導体の調製方法
JP2010265210A (ja) * 2009-05-14 2010-11-25 Mitsubishi Gas Chemical Co Inc アダマンタノール類の製造方法
JP2014101280A (ja) * 2012-11-16 2014-06-05 Mitsubishi Gas Chemical Co Inc ヒドロキシアダマンタンポリカルボン酸化合物の製造方法

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