JP2001048824A - アルデヒドの製造方法 - Google Patents

アルデヒドの製造方法

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JP2001048824A
JP2001048824A JP11223192A JP22319299A JP2001048824A JP 2001048824 A JP2001048824 A JP 2001048824A JP 11223192 A JP11223192 A JP 11223192A JP 22319299 A JP22319299 A JP 22319299A JP 2001048824 A JP2001048824 A JP 2001048824A
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aldehyde
alcohol
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reaction
distillation
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Hitoshi Watanabe
仁志 渡邊
Ryota Iwata
良太 岩田
Narihisa Hirai
成尚 平井
Hiroyuki Miura
裕幸 三浦
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Daicel Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルコールから対応するアルデヒドを効率よ
く製造できる方法を提供する。 【解決手段】 アルデヒドの製造方法は、ルテニウム触
媒を用いて、アルコールから対応するアルデヒドを製造
する方法であって、(1)前記ルテニウム触媒の存在
下、アルコールと分子状酸素とを接触させてアルコール
を酸化する酸化工程、及び(2)反応混合物から生成ア
ルデヒドを蒸留又は晶析により分離精製する分離工程を
含む。さらに、(3)反応混合物から触媒を回収する触
媒回収工程を含んでいてもよい。酸化工程(1)におい
て、副生する水を留去させつつ反応を行ってもよい。分
離工程(2)において、反応溶媒と生成アルデヒドとを
蒸留により分離回収してもよく、反応混合物から生成ア
ルデヒドを晶析により分離するとともに、母液から反応
溶媒を蒸留により回収してもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルコールからア
ルデヒドを製造する方法、特に高級アルコールから対応
するアルデヒドを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】第1級アルコールから対応するアルデヒ
ドを製造する方法として、クロロクロム酸ピリジウム
(PCC)などを酸化剤として用いるクロム酸酸化法が
知られている。しかし、この方法は金属化合物を多量に
用いるため、経済的に不利であるとともに後処理が煩雑
であり、工業的な方法とは言えない。
【0003】また、ルテニウム化合物を触媒として用
い、アルコールを酸化してカルボニル化合物を得る方法
が種々検討されている。例えば、J. Chem. Soc., Chem.
Commun., 1987, 1625には、触媒量のテトラプロピルア
ンモニウム過ルテニウム酸塩と、アルコールに対して
1.5当量の4−メチルモルホリン−N−オキシドとを
用いることにより、アルコールを酸化して対応するカル
ボニル化合物を得る方法が提案されている。また、Bul
l. Chem. Soc. Jpn., 61, 3607(1988)には、ジクロロト
リス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)と、
アルコールに対して2当量のビス(トリメチルシリル)
ペルオキシドとを用いて、アリルアルコール及びベンジ
ルアルコールを酸化する方法が提案されている。J. Am.
Chem. Soc.,1997, 12661には、触媒量のテトラプロピ
ルアンモニウム過ルテニウム酸塩とモレキュラーシーブ
の存在下、アルコールを分子状酸素により酸化してカル
ボニル化合物を得る方法が開示されている。しかし、こ
れらの文献には、反応混合物から生成アルデヒドを効率
よく分離できる方法は提示されていない。
【0004】一方、カルボン酸を還元して対応するアル
デヒドを得る方法も知られている。しかし、この方法は
アルデヒドの選択率が低く、アルコールやその他の副生
物の生成量が多い。
【0005】一般に、アルデヒドを製造する際には、反
応混合液中に、アルデヒドとともに未反応原料又は副生
物としてアルコールが含まれている場合が多く、これら
を分離する必要がある。特公平1−30811号公報に
は、モノテルペンのアルデヒドとモノテルペンアルコー
ルとの混合物から両者を分離する方法として、X型ゼオ
ライト吸着剤を用いた疑似移動床方式を利用する方法が
提案されている。しかし、分離効率は必ずしも満足でき
るものではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、アルコールから対応するアルデヒドを効率よく製造
できる方法を提供することにある。本発明の他の目的
は、工業的に大量生産可能なアルデヒドの製造法を提供
することにある。
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するため鋭意検討した結果、特定の酸化触媒を用
いてアルコールを酸化する工程と特定の分離工程とを組
み合わせると、対応するアルデヒドを効率よく製造でき
ることを見出し、本発明を完成した。
【0007】すなわち、本発明は、ルテニウム触媒を用
いて、アルコールから対応するアルデヒドを製造する方
法であって、(1)前記ルテニウム触媒の存在下、アル
コールと分子状酸素とを接触させてアルコールを酸化す
る酸化工程、及び(2)反応混合物から生成アルデヒド
を蒸留又は晶析により分離精製する分離工程を含むアル
デヒドの製造方法を提供する。
【0008】この製造方法は、さらに、(3)反応混合
物から触媒を回収する触媒回収工程を含んでいてもよ
い。前記酸化工程(1)において、副生する水を留去さ
せつつ反応を行ってもよい。このような操作により、ア
ルコールの転化率を大幅に向上できるとともに、副反応
を抑制できる。前記分離工程(2)において、反応溶媒
と生成アルデヒドとを蒸留により分離回収してもよい。
また、分離工程(2)において、反応混合物から生成ア
ルデヒドを晶析により分離するとともに、母液から反応
溶媒を蒸留により回収してもよい。さらに、分離工程
(2)において、反応混合物から反応溶媒を蒸留により
分離回収した後、晶析溶媒を加えて生成アルデヒドを晶
析により分離するとともに、母液から晶析溶媒を蒸留に
より回収してもよい。反応原料として用いるアルコール
には、例えば炭素数12〜20程度の脂肪族第1級アル
コールが含まれる。前記アルコールとして、例えば、ス
テアリルアルコール及びパルミチンアルコールから選択
された少なくとも1種のアルコールを使用できる。
【0009】
【発明の実施の形態】[酸化触媒]本発明では、ルテニ
ウム触媒を用いて、アルコールから対応するアルデヒド
を生成させる。
【0010】ルテニウム触媒には、ルテニウム単体及び
ルテニウム元素を含む化合物が含まれる。ルテニウム触
媒の具体的な例として、例えば、金属ルテニウム、酸化
ルテニウム、硫化ルテニウム、水酸化ルテニウム、フッ
化ルテニウム、塩化ルテニウム、臭化ルテニウム、ヨウ
化ルテニウム、硫酸ルテニウム、ルテニウム酸又はその
塩(例えば、ルテニウム酸アンモニウムなど)、過ルテ
ニウム酸又はその塩(例えば、過ルテニウム酸テトラプ
ロピルアンモニウムなど)、無機ルテニウム錯体[例え
ば、ヒドロキシハロゲン化ルテニウム(ヒドロキシ塩化
ルテニウムなど)、ヘキサアンミンルテニウムハロゲン
化物(ヘキサアンミンルテニウム塩化物など)、ルテニ
ウムニトロシル、ヘキサハロルテニウム酸又はその塩
(ヘキサクロロルテニウム酸ナトリウムなど)]などの
無機化合物;シアン化ルテニウム、有機ルテニウム錯体
[例えば、ドデカカルボニル三ルテニウム(0)、ジカ
ルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム
(II)、ジアセタトジカルボニルビス(トリフェニルホ
スフィン)ルテニウム(II)、ジクロロトリス(トリフ
ェニルホスフィン)ルテニウム(II)、ジヒドリドテト
ラキス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)、
ジクロロビス(アセトニトリル)ビス(トリフェニルホ
スフィン)ルテニウム(II)、ルテノセンなど]などの
有機化合物が挙げられる。
【0011】ルテニウムの価数は0〜8の何れであって
もよい。好ましいルテニウムの価数は0〜4価であり、
特に2価が好ましい。好ましいルテニウム触媒には、金
属ルテニウム、過ルテニウム酸又はその塩及びルテニウ
ム錯体が含まれる。これらのなかでも、金属ルテニウム
及びルテニウム錯体が好ましい。さらに好ましくは、金
属ルテニウム、及びトリフェニルホスフィンなどのホス
フィン類を配位子として有する有機ルテニウム錯体[例
えば、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテ
ニウム(II)など]等の有機ルテニウム錯体である。ル
テニウム触媒は単独で又は2以上を混合して使用するこ
とができる。
【0012】ルテニウム触媒は、ジオキシベンゼン類又
はその酸化体と組み合わせて用いてもよい。これらを併
用すると、酸化活性が大きく向上する場合がある。ジオ
キシベンゼン類には、置換基を有していてもよいジオキ
シベンゼン、及びジオキシベンゼン/ベンゾキノン−レ
ドックス系における上記ジオキシベンゼンの等価体が含
まれる。なお、ジオキシベンゼンには、2つのヒドロキ
シル基が1つのベンゼン環に結合した化合物のほか、2
つのヒドロキシル基が異なるベンゼン環に結合したジオ
キシポリフェニル化合物も含まれる。前記ジオキシベン
ゼンとして、例えば、ヒドロキノン(p−ジオキシベン
ゼン)、カテコール(o−ジオキシベンゼン)、ジオキ
シビフェニルなどが挙げられる。
【0013】ジオキシベンゼンが有していてもよい置換
基としては、フッ素、塩素、臭素などのハロゲン原子;
シアノ基;ニトロ基;メチル、エチル、イソプロピル、
t−ブチルなどのアルキル基(好ましくは、炭素数1〜
4程度のアルキル基);トリフルオロメチルなどのハロ
アルキル基(好ましくは、炭素数1〜4程度のハロアル
キル基);ヒドロキシル基;メトキシ、エトキシなどの
アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜4程度のアルコ
キシ基);フェノキシなどのアリールオキシ基;メルカ
プト基;メチルチオ、エチルチオなどのアルキルチオ基
(好ましくは、炭素数1〜4程度のアルキルチオ基);
フェニルチオなどのアリールチオ基;アセチル、ベンゾ
イルなどのアシル基(好ましくは、炭素数1〜10程度
のアシル基);カルボキシル基;メトキシカルボニル、
エトキシカルボニル、フェニルオキシカルボニルなどの
置換オキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜11
程度の置換オキシカルボニル基);置換又は無置換アミ
ノ基;フェニル、ナフチルなどのアリール基などが挙げ
られる。また、置換基を有するジオキシベンゼンには、
ジオキシベンゼンのベンゼン環に、ベンゼン環などの炭
素環又は複素環が縮合した縮合環化合物も含まれる。
【0014】ジオキシベンゼン/ベンゾキノン−レドッ
クス系におけるジオキシベンゼンの等価体とは、酸化反
応条件下においてベンゾキノンに変換可能なジオキシベ
ンゼンの類縁体を意味する。このようなジオキキベンゼ
ン類縁体として、ヒドロキノンモノメチルエーテルなど
のジオキシベンゼンモノアルキルエーテル;ヒドロキノ
ンジメチルエーテルなどのジオキシベンゼンジアルキル
エーテル;アミノフェノール;ジアミノベンゼンなどが
挙げられる。これらの化合物も前記置換基を有していて
もよい。これらのジオキシベンゼン類縁体は、通常酸性
条件下での酸化によりベンゾキノンに変換される。
【0015】好ましいジオキシベンゼン類には、ヒドロ
キノン、クロロヒドロキノンなどの、置換基(例えば、
ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基な
ど)を有していてもよいヒドロキノンなどが含まれる。
【0016】前記ジオキシベンゼン類の酸化体とは、酸
化反応条件下においてジオキシベンゼン/ベンゾキノン
−レドックス系を構成する前記ジオキシベンゼン類に対
応する酸化体を意味する。例えば、該酸化体として、p
−ベンゾキノン(ヒドロキノンに対応)、o−ベンゾキ
ノン(カテコールに対応)、クロロベンゾキノン(クロ
ロヒドロキノンに対応)などが挙げられる。ジオキシベ
ンゼン類又はその酸化体は、単独で又は2以上を混合し
て使用できる。
【0017】ジオキシベンゼン類又はその酸化体とルテ
ニウム触媒とを併用する場合、その比率は、例えば、前
者/後者(モル比)=0.01〜100、好ましくは
0.1〜10、さらに好ましくは0.5〜2、特に0.
8〜1.2程度である。
【0018】ルテニウム触媒は担体に担持されていても
よい。特に、ルテニウム触媒として金属ルテニウムを用
いる場合には、担体に担持することにより触媒活性を大
幅に向上できる。担体としては、触媒担持用の慣用の担
体、例えば、活性炭、シリカ、アルミナ、シリカ−アル
ミナ、ゼオライトなどが挙げられる。ルテニウム触媒の
担持量は、例えば、担体に対して0.1〜50重量%、
好ましくは1〜20重量%、さらに好ましくは2〜10
重量%程度である。なお、前記ジオキシベンゼン類又は
その酸化体も前記担体に担持されていてもよい。
【0019】上記担持触媒の中でも、特にRu/C触媒
が好ましい。Ru/C触媒には、dry品とwet品
(含水品)とがある。wet品を使用する場合には、所
定の温度(例えば、反応温度)で数時間保持して脱水処
理を行った後、反応を開始してもよい。好ましい方法で
は、反応溶媒と前記wet品とを反応器に張り込み、窒
素等のガスをバブリングしながら脱水処理を行い、次い
で原料アルコール及び空気などの酸素含有ガスを反応器
に仕込んで反応を開始する。
【0020】本発明では、ルテニウム触媒、又はルテニ
ウム触媒及びジオキシベンゼン類若しくはその酸化体に
加えて、塩基を使用してもよい。塩基を併用することに
より、酸化反応が促進される場合が多い。このような塩
基として、アルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウ
ムなど)の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、アルカリ土
類金属(例えば、マグネシウム、カルシウムなど)の水
酸化物、炭酸塩などの無機塩基;トリエチルアミン、ピ
ペリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルピロリジ
ン、N,N−ジメチルアニリンなどのアミン、ピリジ
ン、キノリンなどの芳香族性含窒素複素環化合物などの
有機塩基が挙げられる。好ましい塩基には、アルカリ金
属の炭酸塩、炭酸水素塩、アルカリ土類金属の炭酸塩が
含まれ、特に、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸
塩が好ましい。
【0021】塩基の使用量は、ルテニウム触媒1モル
(ルテニウムとして)に対して、例えば0.0001〜
10モル、好ましくは0.001〜5モル、さらに好ま
しくは0.01〜1モル、特に0.1〜0.6モル程度
である。
【0022】[酸化工程]本発明における酸化工程で
は、前記ルテニウム触媒の存在下、アルコールと分子状
酸素とを接触させてアルコールを酸化する。アルコール
には、脂肪族アルコール、脂環式アルコール、芳香族ア
ルコール及び複素環式アルコールが含まれる。これらの
アルコールは、分子内に複数のヒドロキシル基を有して
いてもよい。
【0023】前記脂肪族アルコールとしては、例えば、
メタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタ
ノール、2−メチルプロパノール、1−ペンタノール、
1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、2−エチル−1
−ヘキサノール、1−オクタノール、1−デカノール、
1−ドデカノール、1−テトラデカノール、1−ヘキサ
デカノール(パルミチンアルコール)、1−オクタデカ
ノール(ステアリルアルコール)、イコサノール、アリ
ルアルコール、3−メチル−2−ブテン−1−オール、
3,7−ジメチル−2,6−オクタジエン−1−オール
(ゲラニオール)などの一価アルコール;エチレングリ
コール、プロピレングリコール、トリメチレングリコー
ル、ヘキサメチレングリコールなどの二価アルコール;
グリセリンなどの多価アルコールなどの炭素数1〜30
(好ましくは1〜20、さらに好ましくは12〜20)
程度の飽和又は不飽和脂肪族第1級アルコールが例示で
きる。
【0024】脂環式アルコールとしては、例えば、シク
ロヘキシルメチルアルコール、2−シクロヘキシルエチ
ルアルコール、1−ヒドロキシメチルアダマンタンなど
の単環又は多環の脂環式第1級アルコールなどが挙げら
れる。芳香族アルコールとしては、例えば、ベンジルア
ルコール、2−フェニルエチルアルコール、3−フェニ
ルプロピルアルコール、3−フェニル−2−プロペン−
1−オールなどの炭素数7〜30(好ましくは7〜1
8)程度の芳香族第1級アルコールなどが挙げられる。
複素環式アルコールとしては、例えば、フルフリルアル
コール、2−ヒドロキシメチルチオフェン、2−ヒドロ
キシメチルピリジン、3−ヒドロキシメチルピリジン、
4−ヒドロキシメチルピリジン、2−ヒドロキシメチル
キノリン、1−(3−ヒドロキシプロピル)ピペリジ
ン、2−ヒドロキシメチルモルホリンなどの、酸素原
子、イオウ原子及び窒素原子から選択された少なくとも
1種のヘテロ原子を1〜3個程度含む複素環を有する第
1級アルコールなどが例示できる。
【0025】これらのアルコールは、分子内に種々の置
換基を有していてもよい。このような置換基として、例
えば、ハロゲン原子、置換オキシ基(例えば、アルコキ
シ基、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、ア
シルオキシ基、シリルオキシ基など)、メルカプト基、
置換チオ基(例えば、アルキルチオ基、シクロアルキル
チオ基、アリールチオ基など)、カルボキシル基、置換
オキシカルボニル基(例えば、アルキルオキシカルボニ
ル基、アリールオキシカルボニル基など)、置換又は無
置換カルバモイル基、シアノ基、アシル基、ホルミル
基、ニトロ基、置換又は無置換アミノ基、アルキル基、
シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、
複素環基などが挙げられる。
【0026】アルコールは単独で用いてもよく、2種以
上を混合して用いてもよい。本発明では、上記アルコー
ルの中でも、脂肪族第1級アルコール、特に炭素数12
〜20の脂肪族第1級アルコールを原料アルコールとし
た場合に好結果が得られる。さらに好ましい態様では、
ステアリルアルコール及びパルミチンアルコールから選
択された少なくとも1種のアルコールを原料として用い
る。
【0027】アルコールの酸化に用いられる分子状酸素
は、特に制限されず、純粋な酸素を用いてもよく、窒
素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素などの不活性ガス
で希釈した酸素や空気を使用してもよい。分子状酸素の
使用量は、通常、アルコール1モルに対して、0.5モ
ル以上(例えば、1モル以上)、好ましくは1〜100
モル、さらに好ましくは1〜50モル程度である。アル
コールに対して過剰モルの分子状酸素を用いる場合が多
い。酸素を連続的に反応系に供給する場合、その流通速
度は、例えば、反応液の容積1リットル当たり、0.0
001〜10Nm 3/分程度、好ましくは0.01〜5
Nm3/分程度である。
【0028】ルテニウム触媒の使用量(ルテニウムとし
て)は、例えば、アルコール1モルに対して、0.00
1〜1モル、好ましくは0.01〜0.6モル、さらに
好ましくは0.02〜0.5モル程度である。また、ジ
オキシベンゼン類又はその酸化体を使用する場合、その
使用量は、例えば、アルコール1モルに対して、0.0
01〜1モル、好ましくは0.01〜0.6モル、さら
に好ましくは0.02〜0.4モル程度である。さら
に、塩基を用いる場合、その使用量は、例えば、アルコ
ール1モルに対して、0.001〜1モル、好ましくは
0.005〜0.2モル、さらに好ましくは0.01〜
0.1モル程度である。
【0029】反応は、溶媒の存在下または非存在下の何
れで行ってもよい。溶媒は、アルコール及び目的生成物
の種類等により適当に選択できる。前記溶媒として、ベ
ンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリフ
ルオロメチルベンゼン、クロロベンゼン、アニソール、
ベンゾニトリル、ニトロベンゼン、安息香酸エチルなど
の、ベンゼン環がハロゲン原子、アルキル基、ハロアル
キル基、アルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、置換オキ
シカルボニル基などで置換されていてもよいベンセン誘
導体;ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化
水素;シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;四塩化炭
素、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロ
エタンなどのハロアルカン;アセトン、メチルエチルケ
トンなどのケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソ
プロピル、酢酸ブチルなどのエステル;N,N−ジメチ
ルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどの
アミド;アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニト
リル;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキ
シエタン、ジオキサン、テトラヒドロフランなどの鎖状
または環状エーテルなどが挙げられる。好ましい溶媒に
は、ベンゼン、トルエン、トリフルオロメチルベンゼン
などの前記ベンゼン誘導体、1,2−ジクロロエタンな
どのハロアルカン、酢酸エチルなどのエステルなどが含
まれる。なかでも、エチルベンゼン、トリフルオロメチ
ルベンゼンなどのベンゼン環がアルキル基、ハロアルキ
ル基等で置換されたベンゼン誘導体が好ましい。これら
の溶媒は一種で又は二種以上混合して用いられる。
【0030】反応温度は、アルコールの種類などに応じ
て適宜選択でき、例えば、0〜200℃、好ましくは1
0〜150℃、さらに好ましくは50〜120℃程度で
ある。反応は常圧で行ってもよく、加圧下に行ってもよ
い。反応圧力は、通常0〜60kgf/cm2G(ゲー
ジ)、好ましくは0〜40kgf/cm2G、さらに好
ましくは0〜20kgf/cm2G程度である。また、
反応はバッチ式、セミバッチ式、連続式などの何れの方
法で行ってもよい。反応装置は1槽であってもよく、2
槽以上を連続的に接続してもよい。反応器は攪拌機付き
反応器、流動層反応器、固定床反応器等の何れであって
もよい。
【0031】反応は副生する水を留去させつつ反応を進
行させる反応蒸留の形式で行ってもよい。副生する水を
留去させながら反応を行うことにより、アルコールの転
化率を向上できる。また、生成したアルデヒドの重合等
の副反応も抑制できる。反応蒸留は、反応器と分離器
(デカンター)と、好ましくは蒸留塔(蒸発器であって
もよい)とを備えた反応装置により行うことができる。
水の留去は除去効率の点から共沸蒸留を利用するのが好
ましい。従って、反応溶媒としてトルエン、エチルベン
ゼン等の水と共沸し且つ水と分液可能な溶媒を用いるの
が有利である。
【0032】上記の触媒を用いた酸化方法によれば、少
量の触媒存在下であっても、温和な条件下で酸化反応が
円滑に進行し、副生物(例えば、アルデヒドとアルコー
ルのアセタール、酸など)が低減され、対応するアルデ
ヒドが良好な収率で得られる。また、第1級アルコール
が選択的に酸化されるという大きな特徴を有する。その
ため、第1級アルコール及び第2級アルコールの混合物
から、第1級アルコールに対応するアルデヒドを高い選
択率で得ることができる。また、分子内に第1級アルコ
ールと第2級アルコールに対応するヒドロキシル基を何
れも有する化合物を酸化すると、第1級アルコールに対
応するヒドロキシル基が選択的に酸化されて、対応する
アルデヒドが高収率で得られる。さらに、いわゆるアリ
ル位やベンジル位にヒドロキシル基を有するアルコール
を酸化する場合でも、分子内水素移動による飽和化合物
の副生がなく、対応する不飽和アルデヒド又は芳香族ア
ルデヒドが収率よく生成する。
【0033】[触媒回収工程]触媒として担体に触媒成
分を担持した担持触媒等の固体触媒を用いる場合には、
反応により得られた反応混合液は、通常、触媒回収工程
に付される。この触媒回収工程において、触媒は濾過な
どの慣用の固体分離手段により回収される。
【0034】濾過は1又は2以上の濾過装置を用いて行
うことができる。触媒を濾過により分離する場合の温度
は、作業性や濾過効率を損なわず、アルデヒドを析出さ
せない温度範囲で適宜選択でき、生成するアルデヒドの
種類によっても異なるが、通常−20〜100℃、好ま
しくは5〜90℃、さらに好ましくは60〜80℃程度
である。分離回収された触媒は反応系にリサイクルでき
る。
【0035】触媒を再使用する場合には、反応溶媒で置
換洗浄、場合によっては加熱洗浄して再使用に供しても
よい。洗浄に用いる溶媒としては、前記反応に使用する
溶媒として列記した溶媒を用いることができる。溶媒は
単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよ
い。
【0036】なお、触媒回収工程は後述の分離工程(蒸
留を用いた分離工程)の後に置いてもよい。また、触媒
が錯体である場合は、蒸留により揮発成分を分離し、缶
残(蒸留残渣)(触媒)を反応器へリサイクルすること
により再使用できる。
【0037】[分離工程]上記酸化工程で得られた反応
混合物には、生成したアルデヒドのほか、反応溶媒、及
び通常、反応副生物が含まれているため、これらを分離
する必要がある。なお、反応副生物には、一般に、目的
のアルデヒドより沸点の低い低沸点副生物と、該アルデ
ヒドより沸点の高い高沸点副生物(カルボン酸、アセタ
ール、これらの誘導体など)とがある。
【0038】本発明における分離工程では、酸化反応で
得られた反応混合物(触媒回収工程を経た反応混合物も
含む)から生成アルデヒドを蒸留又は晶析により分離精
製する。
【0039】蒸留は蒸留塔及び蒸発器の何れで行っても
よい。蒸留塔及び蒸発器はそれぞれ単独で用いてもよ
く、2以上を組み合わせて用いてもよい。蒸留条件は、
生成するアルデヒドの種類によっても異なるが、通常、
段数は2〜80段(好ましくは20〜60段)、圧力は
0.01mmHg〜20atm(好ましくは0.5mm
Hg〜5atm、さらに好ましくは1mmHg〜20m
mHg)、還流比は0.1〜50(好ましくは1〜2
0)、塔頂温度は10〜300℃(好ましくは40〜2
00℃)、塔底温度は50〜350℃(好ましくは70
〜250℃)程度である。なお、反応溶媒や晶析溶媒を
蒸留する際の蒸留条件は、例えば、段数は2〜80段
(好ましくは20〜60段)、圧力は5mmHg〜20
atm(好ましくは50mmHg〜5atm、さらに好
ましくは50mmHg〜760mmHg)、還流比は
0.1〜50(好ましくは1〜20)、塔頂温度は0〜
200℃(好ましくは40〜100℃)、塔底温度は5
0〜250℃(好ましくは70〜150℃)程度であ
る。
【0040】蒸留はバッチ式でもよく連続式でもよい。
例えば、反応混合液を連続式で蒸留する場合、反応混合
物から溶媒を含む低沸点成分を留去する脱低沸塔、前記
脱低沸塔の留出液から低沸点副生物と溶媒とを分離する
溶媒回収塔、前記脱低沸塔の塔底液からアルデヒドを留
出させるアルデヒド回収塔、及び前記アルデヒド回収塔
の塔底液から未反応アルコールと高沸点副生物とを分離
するアルコール回収塔とを組み合わせることができる。
なお、錯体を触媒として用いる場合には、前記高沸点副
生物を反応系へリサイクルするか、又は高沸点副生物か
ら触媒と他の成分とを分離する触媒分離塔を設け、これ
により分離した触媒を反応系にリサイクルすることによ
り、触媒を再利用できる。
【0041】晶析は1又は2以上の晶析槽を用いて行う
ことができる。晶析溶媒としては、アルデヒドの種類に
応じて選択でき、例えば、トルエン、p−キシレン、エ
チルベンゼンなどの芳香族炭化水素;メタノール、エタ
ノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタ
ノール、イソブチルアルコールなどのアルコール;ジエ
チルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、ジイソプロ
ピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、テトラヒドロ
フラン、ジオキサンなどの鎖状又は環状エーテル;アセ
トン、メチルエチルケトン、ジエチルケトンなどのケト
ン;酢酸エチルなどのエステル;ヘキサン、ヘプタン、
オクタン、イソオクタン、デカンなどの飽和脂肪族炭化
水素;石油エーテル;シクロペンタン、シクロヘキサ
ン、デカリンなどの脂環式炭化水素;塩化メチレン、ク
ロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素;ア
セトニトリルなどのニトリル;N,N−ジメチルホルム
アミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン極性溶
媒;二硫化炭素;水;これらの混合溶媒などが挙げられ
る。好ましい晶析溶媒には、エチルベンゼンなどの芳香
族炭化水素、エタノールなどのアルコール、及びこれら
の混合溶媒などが含まれる。晶析は、例えば、常圧下、
−20〜100℃(好ましくは0〜70℃)程度の温度
で行われる。
【0042】晶析は、過飽和溶解度付近で析出させる物
質の結晶を種として添加する種晶法により実施してもよ
い。種晶の添加量は析出させるアルデヒドの量に対して
0.1ppm〜10重量%、好ましくは10ppm〜1
0000ppm程度である。
【0043】アルデヒドは蒸留又は晶析の一方のみによ
って分離精製してもよく、蒸留と晶析とを組み合わせて
分離精製してもよい。
【0044】図1は本発明の方法の一例を示す製造工程
図である。この例では、反応溶媒と原料アルコールと触
媒が、蒸留塔2及びデカンター3を備えた反応器1に供
給される。また、反応器1の底部からは、窒素で希釈さ
れた空気が供給される。反応で副生した水は反応溶媒と
ともに蒸発し、蒸留塔2の塔頂部から留出し、凝縮さ
れ、デカンター3で分液される。分液した反応溶媒は蒸
留塔に還流され、水は排出される。一方、反応液は反応
器1から抜き取られ、1又は複数の触媒分離器(濾過装
置)4に供給され、触媒を濾過により分離回収する。回
収された触媒は反応系にリサイクルされる。濾液は蒸留
塔5に供給され、低沸点副生物、反応溶媒、生成アルデ
ヒド及び未反応アルコールを留出させる。アルデヒド
は、そのまま又はさらに精留することにより製品化され
る。反応溶媒と未反応アルコールは反応系にリサイクル
され、低沸点副生物及び蒸留残渣(高沸点副生物)は、
通常、焼却処理に付される。なお、触媒として均一系触
媒を用いた場合には、触媒分離器4を用いる代わりに、
触媒を含有している蒸留塔5の蒸留残渣を反応系にリサ
イクルしてもよい。
【0045】図2は本発明の方法の他の例を示す製造工
程図である。この例は、アルデヒドが固体である場合に
有利な方法であり、触媒分離工程以降のフローが図1と
異なる。すなわち、触媒を分離した後の濾液はアルデヒ
ド晶析槽6に供給され、ここで、冷却によりアルデヒド
を晶析させる。晶析したアルデヒドは1又は複数のアル
デヒド分離器(濾過装置)7により分離され、1又は複
数の乾燥器8で乾燥されて製品化される。濾過温度は、
例えば−20〜100℃、好ましくは5〜70℃程度で
ある。乾燥条件は、例えば0mmHg〜20atm、好
ましくは0mmHg〜1atmの圧力下、20〜200
℃、好ましくは40〜100℃の温度で行われる。アル
デヒドを分離した際の濾液(母液)は溶剤回収塔9に供
給され、低沸点副生物、反応溶媒及び未反応アルコール
が留出、分離される。反応溶媒と未反応アルコールは反
応系にリサイクルされ、低沸点副生物及び蒸留残渣(高
沸点副生物)は、通常、焼却処理に付される。触媒とし
て均一系触媒を用いた場合には、触媒分離器4を用いる
代わりに、触媒を含有している溶剤回収塔9の蒸留残渣
を反応系にリサイクルしてもよい。
【0046】図3は本発明の方法のさらに他の例を示す
製造工程図である。この例は、晶析溶媒として反応溶媒
とは異なる溶媒を用いる場合であり、触媒分離工程とア
ルデヒド晶析工程との間に溶媒置換工程を設ける点で図
2と異なる。溶媒置換工程では、触媒分離器4からの濾
液が溶剤回収塔10に供給され、低沸点副生物と反応溶
媒とが留出、分離される。反応溶媒は反応系にリサイク
ルされ、低沸点副生物は通常焼却処分に付される。缶残
液は晶析溶媒とともにアルデヒド晶析槽6に供給され、
アルデヒドを晶析させる。晶析したアルデヒドは図2の
場合と同様にして製品化される。アルデヒドを分離した
際の濾液(母液)は溶剤回収塔9に供給され、低沸点副
生物、晶析溶媒及び未反応アルコールが留出、分離され
る。晶析溶媒及び未反応アルコールはそれぞれ晶析系及
び反応系にリサイクルされ、低沸点副生物及び蒸留残渣
(高沸点副生物)は、通常、焼却処理に付される。触媒
として均一系触媒を用いた場合には、触媒分離器4を用
いる代わりに、触媒を含有している溶剤回収塔9の蒸留
残渣を反応系にリサイクルしてもよい。
【0047】本発明の方法により製造されたアルデヒド
は有機化学品の中間原料などとして有用である。例え
ば、ステアリルアルコールから得られるステアリンアル
デヒド、パルミチンアルコール(ヘキサデカノール)か
ら得られるパルミチンアルデヒドなどの高級アルデヒド
は界面活性剤の原料等として利用できる。
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、アルコール特に高級ア
ルコールからアルデヒドを効率よく製造できる。また、
アルデヒドを工業的に大量生産可能である。
【0049】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定され
るものではない。
【0050】実施例1 図1の製造工程図に従ってステアリンアルデヒドを製造
した。反応器1にステアリルアルコール55kg、5重
量%Ru/C(dry品)80kg及びエチルベンゼン
500kgを仕込み、常圧下、温度95℃で攪拌しなが
ら、空気を3.5L/分及び窒素を11.2L/分の流
量で、4時間供給した。反応の間、副生した水とエチル
ベンゼンとの混合蒸気を蒸留塔2に供給し、留出液をデ
カンター3で分液させ、エチルベンゼンを蒸留塔2に還
流させ、水を排出させた。反応混合液中の生成物をガス
クロマトグラフィーで分析した結果、ステアリルアルコ
ールの転化率は85%、ステアリンアルデヒドの選択率
及び収率は、それぞれ82%及び70%であった。な
お、反応混合液には、ステアリン酸が0.8重量%、ジ
アセタール(アルデヒド:アルコール=1:1(モル
比))が1.0重量%、及びトリアセタール(アルデヒ
ド:アルコール=1:2(モル比))が0.4重量%副
生していた。反応混合液を触媒分離器4に供給し、温度
70℃の条件で触媒を濾過により分離した。濾液を40
段の蒸留塔(棚段塔)5によりバッチ蒸留した。まず、
常圧、還流比5の条件で低沸点副生物を留出させ、次い
で圧力70mmHg、還流比1の条件で溶媒であるエチ
ルベンゼンを回収した。続いて、圧力5mmHg、還流
比10の条件で生成したステアリンアルデヒド及び未反
応ステアリルアルコールを順次留出させた。ステアリン
アルデヒドの純度は91%であった。また、回収したエ
チルベンゼンとステアリルアルコールは反応系にリサイ
クルした。
【0051】実施例2 実施例1で使用した触媒を、温度25℃、常圧の条件
で、エチルベンゼン500kgにより攪拌洗浄した後、
反応器に仕込んで再使用した以外は、実施例1と同様の
方法でステアリンアルデヒドを製造した。ステアリルア
ルコール転化率は83%、ステアリンアルデヒドの選択
率及び収率はそれぞれ83%及び69%であった。な
お、反応混合液には、ステアリン酸が0.6重量%、ジ
アセタール(アルデヒド:アルコール=1:1(モル
比))が0.9重量%、及びトリアセタール(アルデヒ
ド:アルコール=1:2(モル比))が0.4重量%副
生していた。反応混合液を実施例1と同様に蒸留にて精
製したところ、純度92%のステアリンアルデヒドが得
られた。
【0052】実施例3 図2の製造工程図に従ってステアリンアルデヒドを製造
した。実施例1と同様にして反応を行い、得られた反応
混合液を触媒分離器4に供給し、温度70℃の条件で触
媒を濾過により分離した。濾液をアルデヒド晶析槽6に
移し、温度60℃から35℃まで20℃/時間の速度で
冷却し、35℃の温度で1時間保持した(なお、温度5
0℃の時点で、ステアリンアルデヒドの種晶を4g添加
した)。これをアルデヒド分離器7に供給してアルデヒ
ドを濾過分離し、分離したアルデヒドを乾燥器8によ
り、温度40℃、圧力10mmHg、乾燥時間3時間の
条件で乾燥した。得られたステアリンアルデヒドの純度
は93%であった。アルデヒドを分離した後の母液を2
0段の溶剤回収塔(棚段塔)9によりバッチ蒸留した。
まず、常圧、還流比5の条件で低沸点副生物を留出さ
せ、次いで圧力70mmHg、還流比1の条件で溶媒で
あるエチルベンゼンを回収した。続いて、圧力5mmH
g、還流比10の条件で未反応ステアリルアルコールを
留出させた。回収したエチルベンゼンとステアリルアル
コールは反応系にリサイクルした。
【0053】実施例4 図3の製造工程図に従ってステアリンアルデヒドを製造
した。反応器1に5重量%Ru/C(wet品)160
kg及びエチルベンゼン500kgを仕込み、窒素を温
度95℃で2時間吹き込んで、触媒中の水分を除去し
た。その後、ステアリルアルコール55kgを仕込み、
常圧下、温度95℃で攪拌しながら、空気を3.5L/
分及び窒素を11.2L/分の流量で供給して反応を開
始した。反応の間、副生した水とエチルベンゼンとの混
合蒸気を蒸留塔2に供給し、留出液をデカンター3で分
液させ、エチルベンゼンを蒸留塔2に還流させ、水を排
出させた。4時間反応を行った後、反応混合液中の生成
物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、ステアリ
ルアルコールの転化率は82%、ステアリンアルデヒド
の選択率及び収率は、それぞれ85%及び70%であっ
た。なお、反応混合液には、ステアリン酸が0.5重量
%、ジアセタール(アルデヒド:アルコール=1:1
(モル比))が0.7重量%、及びトリアセタール(ア
ルデヒド:アルコール=1:2(モル比))が0.4重
量%副生していた。得られた反応混合液を触媒分離器4
に供給し、温度70℃の条件で触媒を濾過により分離し
た。濾液を段数10段の溶剤回収塔(棚段塔)10に仕
込み、常圧、還流比5の条件で低沸点副生物を留出さ
せ、次いで、圧力70mmHg、還流比1の条件でエチ
ルベンゼンを留出させた。エチルベンゼンは反応系にリ
サイクルした。缶残液とエタノール180kgをアルデ
ヒド晶析槽6に仕込み、温度60℃から25℃まで20
℃/時間の速度で冷却し、25℃の温度で1時間保持し
た。これをアルデヒド分離器7に供給してアルデヒドを
濾過分離し(温度35℃)、分離したアルデヒドを乾燥
器8により、温度40℃、圧力10mmHg、乾燥時間
3時間の条件で乾燥した。得られたステアリンアルデヒ
ドの純度は94%であった。アルデヒドを分離した後の
母液を20段の溶剤回収塔(棚段塔)9によりバッチ蒸
留した。まず、常圧、還流比5の条件で低沸点副生物を
留出させ、次いで圧力200mmHg、還流比1の条件
で晶析溶媒であるエタノールを回収した。続いて、圧力
5mmHg、還流比10の条件で未反応ステアリルアル
コールを留出させた。回収したエタノールは晶析系へ、
ステアリルアルコールは反応系へリサイクルした。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法の一例を示す製造工程図である。
【図2】本発明の方法の他の例を示す製造工程図であ
る。
【図3】本発明の方法のさらに他の例を示す製造工程図
である。
【符号の説明】
1 反応器 2 蒸留塔 3 デカンター 4 触媒分離器 5 蒸留塔 6 アルデヒド晶析槽 7 アルデヒド分離器 8 乾燥器 9 蒸留塔(溶剤回収塔) 10 蒸留塔(溶剤回収塔)
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年10月24日(2000.10.
24)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正内容】
【0050】実施例1 図1の製造工程図に従ってステアリンアルデヒドを製造
した。反応器1にステアリルアルコール55kg、5重
量%Ru/C(dry品)80kg及びエチルベンゼン
500kgを仕込み、常圧下、温度95℃で攪拌しなが
ら、空気を0.35Nm3/分及び窒素を1.12Nm3
/分の流量で、4時間供給した。反応の間、副生した水
とエチルベンゼンとの混合蒸気を蒸留塔2に供給し、留
出液をデカンター3で分液させ、エチルベンゼンを蒸留
塔2に還流させ、水を排出させた。反応混合液中の生成
物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、ステアリ
ルアルコールの転化率は85%、ステアリンアルデヒド
の選択率及び収率は、それぞれ82%及び70%であっ
た。なお、反応混合液には、ステアリン酸が0.8重量
%、ジアセタール(アルデヒド:アルコール=1:1
(モル比))が1.0重量%、及びトリアセタール(ア
ルデヒド:アルコール=1:2(モル比))が0.4重
量%副生していた。反応混合液を触媒分離器4に供給
し、温度70℃の条件で触媒を濾過により分離した。濾
液を40段の蒸留塔(棚段塔)5によりバッチ蒸留し
た。まず、常圧、還流比5の条件で低沸点副生物を留出
させ、次いで圧力70mmHg、還流比1の条件で溶媒
であるエチルベンゼンを回収した。続いて、圧力5mm
Hg、還流比10の条件で生成したステアリンアルデヒ
ド及び未反応ステアリルアルコールを順次留出させた。
ステアリンアルデヒドの純度は91%であった。また、
回収したエチルベンゼンとステアリルアルコールは反応
系にリサイクルした。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正内容】
【0053】実施例4 図3の製造工程図に従ってステアリンアルデヒドを製造
した。反応器1に5重量%Ru/C(wet品)160
kg及びエチルベンゼン500kgを仕込み、窒素を温
度95℃で2時間吹き込んで、触媒中の水分を除去し
た。その後、ステアリルアルコール55kgを仕込み、
常圧下、温度95℃で攪拌しながら、空気を0.35N
3/分及び窒素を1.12Nm3/分の流量で供給して
反応を開始した。反応の間、副生した水とエチルベンゼ
ンとの混合蒸気を蒸留塔2に供給し、留出液をデカンタ
ー3で分液させ、エチルベンゼンを蒸留塔2に還流さ
せ、水を排出させた。4時間反応を行った後、反応混合
液中の生成物をガスクロマトグラフィーで分析した結
果、ステアリルアルコールの転化率は82%、ステアリ
ンアルデヒドの選択率及び収率は、それぞれ85%及び
70%であった。なお、反応混合液には、ステアリン酸
が0.5重量%、ジアセタール(アルデヒド:アルコー
ル=1:1(モル比))が0.7重量%、及びトリアセ
タール(アルデヒド:アルコール=1:2(モル比))
が0.4重量%副生していた。得られた反応混合液を触
媒分離器4に供給し、温度70℃の条件で触媒を濾過に
より分離した。濾液を段数10段の溶剤回収塔(棚段
塔)10に仕込み、常圧、還流比5の条件で低沸点副生
物を留出させ、次いで、圧力70mmHg、還流比1の
条件でエチルベンゼンを留出させた。エチルベンゼンは
反応系にリサイクルした。缶残液とエタノール180k
gをアルデヒド晶析槽6に仕込み、温度60℃から25
℃まで20℃/時間の速度で冷却し、25℃の温度で1
時間保持した。これをアルデヒド分離器7に供給してア
ルデヒドを濾過分離し(温度35℃)、分離したアルデ
ヒドを乾燥器8により、温度40℃、圧力10mmH
g、乾燥時間3時間の条件で乾燥した。得られたステア
リンアルデヒドの純度は94%であった。アルデヒドを
分離した後の母液を20段の溶剤回収塔(棚段塔)9に
よりバッチ蒸留した。まず、常圧、還流比5の条件で低
沸点副生物を留出させ、次いで圧力200mmHg、還
流比1の条件で晶析溶媒であるエタノールを回収した。
続いて、圧力5mmHg、還流比10の条件で未反応ス
テアリルアルコールを留出させた。回収したエタノール
は晶析系へ、ステアリルアルコールは反応系へリサイク
ルした。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4H006 AA02 AC12 AC45 AD15 BA02 BA06 BA23 BA29 BA30 BA36 BA37 BA40 BA42 BA44 BA48 BA51 BA55 BA83 BB11 BB14 BB16 BB17 BB20 BB21 BB25 BB61 BC10 BC11 BC31 BC34 BC51 BC52 BD20 BD84 BE30 BQ10 BQ20 BQ30 4H039 CA62 CC20

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ルテニウム触媒を用いて、アルコールか
    ら対応するアルデヒドを製造する方法であって、(1)
    前記ルテニウム触媒の存在下、アルコールと分子状酸素
    とを接触させてアルコールを酸化する酸化工程、及び
    (2)反応混合物から生成アルデヒドを蒸留又は晶析に
    より分離精製する分離工程を含むアルデヒドの製造方
    法。
  2. 【請求項2】 さらに、(3)反応混合物から触媒を回
    収する触媒回収工程を含む請求項1記載のアルデヒドの
    製造法。
  3. 【請求項3】 酸化工程(1)において、副生する水を
    留去させつつ反応を行う請求項1記載のアルデヒドの製
    造方法。
  4. 【請求項4】 分離工程(2)において、反応溶媒と生
    成アルデヒドとを蒸留により分離回収する請求項1記載
    のアルデヒドの製造方法。
  5. 【請求項5】 分離工程(2)において、反応混合物か
    ら生成アルデヒドを晶析により分離するとともに、母液
    から反応溶媒を蒸留により回収する請求項1記載のアル
    デヒドの製造方法。
  6. 【請求項6】 分離工程(2)において、反応混合物か
    ら反応溶媒を蒸留により分離回収した後、晶析溶媒を加
    えて生成アルデヒドを晶析により分離するとともに、母
    液から晶析溶媒を蒸留により回収する請求項1記載のア
    ルデヒドの製造方法。
  7. 【請求項7】 アルコールが炭素数12〜20の脂肪族
    第1級アルコールである請求項1記載のアルデヒドの製
    造方法。
  8. 【請求項8】 アルコールがステアリルアルコール及び
    パルミチンアルコールから選択された少なくとも1種の
    アルコールである請求項1記載のアルデヒドの製造方
    法。
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