JP4118555B2 - N−(アダマンチル)アミド化合物の製造方法 - Google Patents

N−(アダマンチル)アミド化合物の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はアダマンタン類を、濃硫酸、カルボカチオン生成化合物、および有機ニトリル化合物と反応させ、N−(アダマンチル)アミド化合物を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
N−(アダマンチル)アミド化合物は、医薬中間体、フォトレジスト用モノマーの原料、フォトクロミック化合物の原料、塗料、接着剤、粘着剤、膜、吸着材などの材料の原料など広く用途があり、工業上重要な化合物である。
【0003】
従来、アダマンタン類において、そのアダマンタン骨格の第3級炭素原子にアミド基を導入してN−(アダマンチル)アミド化合物を製造する方法としては、アダマンタンとアセトアミドとを硝酸の存在下に反応させて、N−(1−アダマンチル)アセトアミドを合成する方法{ブレティン・オブ・ザ・アカデミー・オブ・サイエンス、USSR、ディビジョン・オブ・ケミカル・サイエンス、4巻、757〜759頁、1988年(Bulletin of the Academy of Science. USSR Division of Chemical Science,4,757〜759,1988)}、アダマンタンを、硫酸、アセトニトリル中、臭素を作用させ、N−(1−アダマンチル)アセトアミドを得る方法{シンセシス、632〜633頁、1977年(Synthesis,632〜633,1977)}、有機ニトリル化合物とニトロソ塩とからなる錯体とアダマンタンとを反応させ、次いで加水分解によりN−(1−アダマンチル)アミド化合物を得る方法{ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー、45巻、17号、3532〜3533頁、1980年(Journal of Organic Chemistry,45,17,3532〜3533,1980)}などが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、硝酸を使用する方法では、選択率良くN−(1−アダマンチル)アミド化合物が得られる一方で、収率が70%程度と低く満足できるものではなかった。臭素を使用する方法においては、90%の収率で得られるが、反応時間が8日間であるため非効率であった。ニトロソ塩と有機ニトリル化合物を用いる方法は、高収率でN−(1−アダマンチル)アミド化合物が得られるが使用するニトロソ塩が一般的ではなく、工業的には実施することは難があった。
【0005】
このため、工業的に安価で取り扱いが容易な方法によりアダマンタン類と有機ニトリル化合物とから汎用性の高いN−(アダマンチル)アミド化合物を、収率および高選択率で製造する方法が望まれていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる実状に鑑み、本発明者らは鋭意検討を行った結果、アダマンタン類を、濃硫酸中でカルボカチオン生成化合物および有機ニトリル化合物と反応させ、得られる反応液の硫酸濃度を特定値以下に低下させることにより、高収率および高選択率でN−(アダマンチル)アミド化合物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、アダマンタンの他、アダマンタン骨格上の1位、3位、5位および7位の炭素原子の少なくとも1個が無置換の化合物であるアダマンタン類を、濃硫酸、カルボカチオン生成化合物、および有機ニトリル化合物から成る反応液中で反応させ、得られた反応液を、硫酸濃度が20質量%以下に低下するように水と混合させることを特徴とするN−(アダマンチル)アミド化合物の製造方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法で原料として使用されるアダマンタン類とは、アダマンタンの他、アダマンタン骨格上の4個の3級炭素、すなわち、1位、3位、5位および7位の炭素原子の少なくとも1個が無置換の化合物をいう。通常は、下記式(I)で示されるものが使用される。
【0009】
【化1】
Figure 0004118555
【0010】
(式中、Rは、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アミノ基、水酸基、シアノ基、カルボキシル基、またはハロゲン原子であり、nは0〜4の整数であり、1位、3位、5位および7位の炭素原子の少なくとも1個は上記Rが無置換である。)
上記式(I)においてRのアルキル基は、特に制限されるものではないが、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の炭素数1〜6のものが好ましい。アリール基は、フェニル基等の炭素数が6〜10のものであり、アラルキル基は、ベンジル基等の炭素数が7〜12のものであり、アミノ基は、メチルアミノ基、エチルアミノ基等の炭素数1〜4のものが好ましい。ハロゲン原子は、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等が好ましい。これらRがのうちでも、アルキル基、アミノ基、水酸基、シアノ基、カルボキシル基、またはハロゲン原子が特に好ましい。
【0011】
また、上記Rがアダマンタン骨格に対して複数個置換している場合、これらは各々同種のものであっても良いし、異種のものであっても良い。
【0012】
上記式(I)で示させるアダマンタン類を具体的に例示すると、アダマンタン:1−メチルアダマンタン、1−エチルアダマンタン、2−メチルアダマンタン、2−エチルアダマンタン、1,3−ジメチルアダマンタン、1,3−ジエチルアダマンタン、1,2−ジメチルアダマンタン、1,2−ジエチルアダマンタン等のアルキルアダマンタン類;1−アダマンタナミン、1,3−ジアミノアダマンタン、1−アダマンタンメチルアミン等のアミノアダマンタン類;1−アダマンタノール、2−アダマンタノール、1,3−ジヒドロキシアダマンタン等のヒドロキシアダマンタン類;、1−シアノアダマンタン、2−シアノアダマンタン等のシアノアダマンタン類;1−アダマンタンカルボン酸、1,3−アダマンタンジカルボン酸等のカルボキシルアダマンタン類;1−フルオロアダマンタン、2−フルオロアダマンタン、1−クロロアダマンタン、2−クロロアダマンタン、1−ブロモアダマンタン、2−ブロモアダマンタン、1−ヨードアダマンタン、2−ヨードアダマンタン、1,3−ジフルオロアダマンタン、1,3−ジクロロアダマンタン、1,3−ジブロモアダマンタン、1,3−ジヨードアダマンタン等のハロゲン化アダマンタン類などが挙げられるが、この限りではない。
【0013】
上記式(I)で示させるアダマンタン類のなかでも、反応性や入手の容易さなど等の理由から、アダマンタン、1−メチルアダマンタン、1−クロロアダマンタン、1−ブロモアダマンタン、1,3−ジクロロアダマンタン等が特に好ましい。
【0014】
本発明では、まず、上記アダマンタン類を、濃硫酸、カルボカチオン生成化合物、および有機ニトリル化合物から成る反応液中で反応させる。この反応により、前記一般式(I)において、1位、3位、5位および7位の3級炭素原子のうち、前記Rで示される基で置換されていない箇所に、
【0015】
【化2】
Figure 0004118555
【0016】
で示される基が導入された化合物(以下、中間生成物とも称する)が生成すると推察される。3級炭素原子が複数個存在する場合において、中間化合物は、上記基が一個導入された化合物が主になり、該基が二個以上導入された化合物は、通常、僅かし生成しない。
【0017】
上記反応において濃硫酸は、酸化剤として使用するものであり、試薬或いは入手可能な工業原料を何等制限なく使用できる。本発明において濃硫酸とは、硫酸濃度が90〜100質量%のものをいう。反応速度を十分に増加させるためには、硫酸濃度は95〜98質量%とするのが好ましい。この硫酸濃度が90質量%以下の場合、反応速度が低下し、好ましくない。
【0018】
なお、本発明において、硫酸濃度とは、反応液中に存在するHSOと水との合計質量に占める該HSOの質量の割合をいう。
【0019】
使用する濃硫酸の量としては、特に制限はないが、あまり大量に使用しても経済的でなく、量が少なすぎてもアダマンタン類への酸化力が弱くなるため、通常、アダマンタン類に対して、HSOが3〜200倍量、好適には5〜100倍量となる量で使用される。
【0020】
本発明におけるカルボカチオン生成化合物は、濃硫酸中で容易にカルボカチオンを生成し、アダマンタン骨格上の第3級炭素原子を陽イオン化するものであり、かかる作用を有する公知の化合物が制限なく使用できる。第3級アルコール、第3級ハロゲン化物、および第2級アルコールなどであり、前2者の化合物が有する第3級の炭素化水素基としては、t−ブチル基等の炭素数4〜6の第3級アルキル基;トリチル基等の炭素数9〜25の第3級アラルキル基などが挙げられる。また、第2級アルコールが有する第2級炭化水素基としては、イソプロピル基、s−ブチル基、イソペンチル基等の炭素数4〜6の第2級アルキル基などが挙げられる。
【0021】
これらのカルボカチオン生成化合物を具体的に例示すると、t−ブチルアルコール、トリフェニルメチルアルコール等の第3級アルコール;t−ブチルクロライド、t−ブチルブロマイド、トリフェニルメチルクロライド、トリフェニルメチルブロマイド等の第3級ハロゲン化物;イソプロピルアルコール、s−ブチルアルコール、イソペンチルアルコール等の第2級アルコールなどが挙げられる。これらの中で特に反応性が高く入手が容易なt−ブチルアルコール、t−ブチルクロライド、t−ブチルブロマイド、トリフェニルメチルアルコール、トリフェニルメチルクロライド、トリフェニルメチルブロマイドなどが好適に使用される。
【0022】
カルボカチオン生成化合物の使用量は特に制限はないが、アダマンタン類に対してあまり量が少ないと反応速度が遅くなりかつ反応が完結しない可能性があり、反対にあまり量が多いと不純物の生成が著しくなるため、通常、アダマンタン類1モルに対して0.1〜10モル、好ましくは1〜5モルであれば良い。
【0023】
本発明において有機ニトリル化合物は、アダマンタン類とともにN−(アダマンチル)アミド化合物の骨格を形成する基質であり、通常、下記式(II)に示される化合物が使用される。
【0024】
【化3】
Figure 0004118555
【0025】
{式中、Rは、アルキル基、アリール基、アラルキル基、XR基(Xはハロゲン原子、Rは炭素数1〜6のアルキル基)である。}
ここで、アルキル基はメチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のもの、アリール基はフェニル基等の炭素数6〜10のもの、アラルキル基は、ベンジル基等の炭素数7〜12のものが好適に使用できる。XR基は、クロロメチル、クロロエチル、クロロプロピル等が挙げられる。
【0026】
これらの有機ニトリル化合物を具体的に例示すると、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル、ベンジルニトリル、ビニルアセトニトリル、クロロアセトニトリル、2−クロロプロピオニトリル、3−クロロプロピオニトリル、2−ブロモフェニルアセトニトリル、3−ブロモフニェルアセトニトリル、4−ブロモフェニルアセトニトリルなどが挙げられ、このうち、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル、ベンジルニトリル、ビニルアセトニトリル、クロロアセトニトリル、2−ブロモフェニルアセトニトリルをもちいるのが特に好ましい。
【0027】
本発明においてアダマンタン類と有機ニトリル化合物との反応は量論反応であるため、有機ニトリル化合物の使用量としては1モルに対して1モル以上使用すれば特に制限は無いが、あまり量が多いと、副生成物が増加する可能性があるため、通常、アダマンタン類1モルに対して1〜10モル、好ましくは1〜5モルの範囲から採用するのが良い。
【0028】
本発明において、上記アダマンタン類と有機ニトリル化合物との反応は、有機溶媒を使用することなく実施することも可能であるが、アタマンタン類を溶解させ反応速度を速める観点から、有機溶媒を使用して実施するのが好ましい。有機溶媒は、水と相溶せず、反応を阻害せず、アダマンタン類を溶解させるものが何等制限無く使用でき、これら有機溶媒と濃硫酸の懸濁状態で反応を進行させるのが好適である。
【0029】
これらの有機溶媒の種類を具体的に例示すると、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化脂肪族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類;ベンゼン、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素類;ジイソプロピルエーテル、1,4−ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類;ジメチルカーボネート等のカーボネート類等を挙げる事ができる。これらの中でも、高い収率が期待できることから、ハロゲン化脂肪族炭化水素類、脂肪族炭化水素類、ハロゲン化芳香族炭化水素類、芳香族炭化水素類等が好適に採用される。
【0030】
これらの有機溶媒の使用量は、特に制限は無いが、あまり量が多いと、一バッチあたりの収量が小さくなるため経済的ではなく、量が少なすぎてもアダマンタン類を溶解させることができずに反応速度が低下するため、通常、反応液全体中のアダマンタン類の濃度が0.1〜60質量%、好ましくは1〜50質量%となるように有機溶媒を使用することが好ましい。
【0031】
上記アダマンタン類と有機ニトリル化合物との反応の反応温度としては、特に制限は無いが、あまり温度が高いと副反応を助長し、温度が低すぎても反応速度が小さくなるため、通常、−70℃〜70℃、好ましくは−30℃〜60℃の範囲で行われるのが良い。
【0032】
反応時間も、特に制限は無く、使用する硫酸濃度、或いはカルボカチオン生成化合物により異なるため一概には決められないが、通常0.5〜100時間あれば十分である。
【0033】
さらに、上記の反応は、常圧、減圧、加圧のいずれの状態でも実行可能である。また、反応は、攪拌下に実施するのが好ましい。
【0034】
次に、本発明では、以上の反応で得られた反応液を、硫酸濃度が20質量%以下に低下するように水と混合する。これにより、反応液中に生成していると推察される前記中間生成物は、その
【0035】
【化4】
Figure 0004118555
【0036】
で示される基が加水分解され、目的とするN−(アダマンチル)アミド化合物が生成すると考えられる。しかして、本発明では、上記値に反応液の硫酸濃度を低下させ、該硫酸濃度で、かかる加水分解反応を遂行することが極めて重要である。
【0037】
すなわち、特開平1−283236号公報には、アダマンチルアルコール類を製造する方法として、本発明と同様に、アダマンタン類に、濃硫酸、カルボカチオン生成化合物、および有機ニトリル化合物を反応させ、得られた反応液を氷水に空ける反応が開示されている。ところが、該方法では、上記氷水の使用量が少なく、これと混合した後の反応液の硫酸濃度が24質量%とかなり高い。しかして、このような高い硫酸濃度とした場合、加水分解反応が過剰に進行し、この反応の主な生成物は、上記目的物の如くにアダマンチルアルコール類になっている。
【0038】
これに対して、本発明は、この加水分解反応を行う際の硫酸濃度を、前記の如くに20質量%以下、好ましくは1〜18重量%に調整することにより、加水分解反応が過剰に進行することを良好に防止し、上記アダマンチルアルコール類はほとんど副生させることなく、目的とするN−(アダマンチル)アミド化合物を高選択率で得ることを可能にしたものである。
【0039】
ここで、硫酸濃度が20質量%を越える場合、前記したとおり加水分解反応が過剰に進行し、N−(アダマンチル)アミド化合物の生成量が大幅に低下する。
【0040】
本発明において、硫酸濃度を20質量%以下にした後の反応温度は、特に制限はないが、あまり温度が高いと副反応を助長し、あまり温度が低いと反応速度が著しく小さくなるため、通常、−20℃〜50℃、好ましくは−10℃〜40℃の範囲で行われるのが良い。
【0041】
本発明において、反応液を水と混合し、硫酸濃度を前記値とする操作手法は特に制限はなく、反応液を適宜に上記硫酸濃度になるまで水で希釈すれば良い。具体的には、前記反応温度の水に反応液を滴下する方法や、水が沸騰しないように制御しながら、水を反応液に滴下する方法により実施できる。前者の方がより好ましい。また、反応を行うのに有機溶媒を使用した場合は、この操作に先立って、該有機溶媒を留去させても良い。硫酸濃度を上記値とした後の保持時間は、加水分解を十分に行うためには、1〜5時間が適当であり、これは攪拌下で実施するのが好ましい。
【0042】
このようにして得られたN−(アダマンチル)アミド化合物の単離精製方法としては、特に制限は無く公知の方法が採用される。例えば、加水分解反応後に析出する結晶をろ過や遠心分離することも可能である。好適には、加水分解反応後の反応液に、必要により有機溶媒を加えて抽出し、炭酸水素ナトリウム水溶液等を加えて完全に反応系を中和し、得られた有機溶媒を乾燥し、溶媒を減圧留去した後、残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー、再結晶等の手法により精製する方法が好ましい。
【0043】
【実施例】
以下、実施例を揚げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何等制限されるものではない。
【0044】
実施例1
50ml茄子型フラスコにジクロロメタン10mlに溶解したアダマンタン1.36g(10mmol)、96%濃硫酸15mlを加え、25℃に保ち、アセトニトリル0.82g(20mmol)、t−ブチルアルコール1.11g(15mmol)の混合溶液を滴下し、室温に戻した後、12時間反応させた。
【0045】
反応系内のアダマンタンがガスクロマトグラフィーで消失したのを確認した後、反応液を120gの水に5℃で滴下し、18質量%の濃度の硫酸にした状態で1時間攪拌した。得られた溶液をジクロロメタンで2回抽出し、有機層を10質量%の炭酸水素ナトリウム水、10質量%の塩化ナトリウム水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮を行った。以上の操作により、N−(1−アダマンチル)アセトアミドの白色結晶1.85g(収率96%、ガスクロマトグラフィー(以下GCとする)純度99.5%)得た。
【0046】
実施例2
実施例1において、反応液を水に滴下した際の硫酸濃度を11.5質量%(水200g)にした以外は実施例1と同様の操作を行った。その結果、N−(1−アダマンチル)アセトアミドの白色結晶を1.87g(収率97%、GC純度99.1%)得た。
【0047】
実施例3
実施例1において、反応液を水に滴下した際の硫酸濃度を8重量%(水300g)にした以外は実施例1と同様の操作を行った。その結果、N−(1−アダマンチル)アセトアミドの白色結晶を1.91g(収率99%、GC純度99.1%)得た。
【0048】
実施例4〜6
実施例1において、アセトニトリルに代えて表1に示した化合物を用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。その結果を表1に示した。
【0049】
【表1】
Figure 0004118555
【0050】
実施例7〜10
実施例1において、t−ブチルアルコールに代えて表2に示した化合物を用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。その結果を表2に示した。
【0051】
【表2】
Figure 0004118555
【0052】
実施例11〜13
実施例1において、アダマンタンに代えて表3に示した化合物を用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。その結果を表3に示した。
【0053】
【表3】
Figure 0004118555
【0054】
比較例1
実施例1において、反応液を水に滴下した際の硫酸濃度を22.5質量%(水90g)にした以外は実施例1と同様の操作を行った。
【0055】
その結果、GC純度62.1%のN−(1−アダマンチル)アセトアミドとGC純度35.2%のアダマンタノールの混合物を2.01g得た。この混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離精製し、N−(1−アダマンチル)アセトアミド0.52g(収率27%、GC純度94.3%)を得た。
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、工業的に安価で取り扱いが容易な方法により、アダマンタン類と有機ニトリル化合物から、種々の工業原料として有用なN−(アダマンチル)アミド化合物を高収率および高選択率で製造することができる。

Claims (1)

  1. アダマンタンの他、アダマンタン骨格上の1位、3位、5位および7位の炭素原子の少なくとも1個が無置換の化合物であるアダマンタン類を、濃硫酸、カルボカチオン生成化合物、および有機ニトリル化合物から成る反応液中で反応させ、得られた反応液を、硫酸濃度が20質量%以下に低下するように水と混合させることを特徴とするN−(アダマンチル)アミド化合物の製造方法。
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