JP2003335727A - エステル化合物の製造方法 - Google Patents

エステル化合物の製造方法

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JP2003335727A
JP2003335727A JP2002141942A JP2002141942A JP2003335727A JP 2003335727 A JP2003335727 A JP 2003335727A JP 2002141942 A JP2002141942 A JP 2002141942A JP 2002141942 A JP2002141942 A JP 2002141942A JP 2003335727 A JP2003335727 A JP 2003335727A
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reaction
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alcohol
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JP2002141942A
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Junzo Odera
純蔵 大寺
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
Sumitomo Chemical Co Ltd
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 触媒として有機錫化合物を使用したカルボン
酸とアルコールの脱水エステル化反応によって、エステ
ル化合物を高収率、高純度で製造し、反応終了後有機ス
ズ化合物触媒を容易に回収、再利用できるエステル化合
物の製造方法を提供すること。 【解決手段】 有機スズ化合物触媒を溶解するがカルボ
ン酸、アルコール、および生成するエステル化合物を溶
解しない溶媒Aを用い、反応物および反応生成物が存在
する層と前記有機スズ化合物が存在する層とを分離さ
せ、不均一系で反応させた後分液し、溶媒A層から溶媒
Aを留去して有機スズ化合物触媒を回収する、エステル
化合物の製造方法を提供。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機スズ化合物を
触媒としたカルボン酸とアルコールの脱水エステル化反
応によるエステル化合物の製造方法に関し、さらに詳し
くは、脱水エステル化反応触媒である有機スズ化合物を
高効率で回収し、再利用可能なエステル化合物の製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ジアルキルスズオキシド、ジアル
キルスズジカルボキシレート、ヒドロキシモノアルキル
スズオキシド、ジアルキルジスタノキサン等の有機スズ
化合物が、カルボン酸とアルコールの脱水エステル化反
応触媒として有効なことはよく知られている。たとえ
ば、特開昭51−61595号公報には、ジアルキルス
タノキサンを触媒とするポリエステル系可塑剤の製造方
法が、特開昭62−87248号公報には、ジブチルジ
スタノキサンを触媒とするカルボン酸とアルコールの脱
水エステル化法ならびにエステル交換法によるエステル
化合物の製造方法が開示されている。また、特開平3−
188047号公報および特開平4−288041号公
報には、反応触媒として有機スズ化合物を用いた芳香族
カルボン酸とフェノール類の脱水エステル化反応によっ
て芳香族カルボン酸アリールエステルを得る方法が、特
開2001−302776号公報および特開2001−
26640号公報には、ジアルキルジスタノキサンを触
媒とするポリエステルの製造方法がそれぞれ開示されて
いる。
【0003】しかしながら、これらの方法は、高温で反
応を行うなど厳しい反応条件が必要であるため、副反応
が起こって反応収率が低下したり、あるいは反応後の触
媒の回収、再利用が困難であるなどの問題点を有してお
り、エステル化合物の工業的製造方法として必ずしも十
分なものとは言い難いものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、触媒として
有機錫化合物を使用したカルボン酸とアルコールの脱水
エステル化反応において、エステル化合物を高収率、高
純度で製造する方法を提供し、さらには、有機スズ化合
物触媒の回収、再利用が容易なエステル化合物の製造方
法を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、反応触媒とし
て下記一般式(1)で表される有機スズ化合物を使用し
た、カルボン酸とアルコールとの脱水エステル化反応に
おいて、溶媒として、少なくとも、該有機スズ化合物を
溶解するが前記カルボン酸、前記アルコール、および生
成するエステル化合物を溶解しない溶媒Aを用い、反応
物および反応生成物が存在する層と前記有機スズ化合物
が存在する層とを分離させ、不均一系で反応させること
によって、高純度、かつ高収率でエステル化合物を得る
方法を提供するものである。
【0006】
【化2】
【0007】ここで、「溶解しない」あるいは「相溶せ
ず」というのは、上記脱水エステル化反応あるいは反応
生成物の分離を、互いに混じり合わない2層が分離した
状態で行うための要件であり、「実質的に溶解しな
い」、あるいは「実質的に相溶せず」ということを意味
するものであって、微量の該当成分が溶解した状態、あ
るいは微量の該当成分が相溶した状態をも排除するもの
ではない。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳しく説明
する。一般式(1)において、R1、R2、R3、R4、R
5、およびR6は、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置
換された直鎖状、分岐状、あるいは環状のアルキル基、
またはハロゲン原子で置換されたアラルキル基を表す。
ハロゲン原子で置換されたアラルキル基としては、たと
えば、いずれもハロゲン原子で置換されたベンジル基、
1−フェネチル基、2−フェネチル基、α−ナフチルメ
チル基、β−ナフチルメチル基等、フェニルアルキル
基、ナフチルアルキル基等が挙げられる。前記ハロゲン
原子で置換されたアルキル基の炭素数は、1〜15であ
るのが好ましく、前記ハロゲン原子で置換されたアラル
キル基の炭素数は、7〜20であるのが好ましい。これ
らの基が置換基として有するハロゲン原子としては、フ
ッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ
る。本発明においては、これらの中でも特に、溶媒Aに
溶解しやすく、溶媒Bには実質的に不溶である炭素数1
〜15のフッ素置換アルキル基を有する有機スズ化合物
を使用するのが好ましい。
【0009】また、一般式(1)において、X1および
2で表されるハロゲン原子としては、たとえば、フッ
素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、
アルコキシ基としては、たとえば、メトキシ基、エトキ
シ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、
ヘキシルオキシ基等のアルコキシ基が挙げられ、アルキ
ルチオ基としては、たとえば、メチルチオ基、エチルチ
オ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ
基、ヘキシルチオ基等のアルキルチオ基が挙げられる。
これらはいずれも、炭素数が1〜8であるのが好まし
い。
【0010】以下に、一般式(1)で表される有機スズ
化合物の製造方法の一例として、nが0であり、かつR
1、R2、R5、およびR6が、いずれもフッ素原子で置換
されたアルキル基またはアラルキル基(以下、これらを
f1、Rf2、Rf5、およびR f6と略記する。)であるジ
スタノキサン化合物の調製方法について説明する。
【0011】(1)ジベンジルジブロモスズの調製 臭化ベンジルと金属スズとを反応させ、ジベンジルジブ
ロモスズを合成する。
【0012】(2)グリニャール試薬の調製 常法に従い、金属マグネシウムと、一般式(2)で表さ
れるハロゲン化物とを反応させて、一般式(3)で表さ
れるグリニャール試薬を調製する。
【0013】
【化3】
【0014】
【化4】
【0015】(3)グリニャール反応によるジスタノキ
サン化合物の調製 常法に従い、ジベンジルジブロモスズにRf1MgYとR
f2MgYを反応させて、Rf1f2SnBzl2(ここ
で、Bzlはベンジル基を表す。)を合成し、さらに塩
素、臭素、およびヨウ素から選ばれるハロゲン(Zと略
記する。)を反応させてRf1f2SnZ2を合成する。
同様にして、Rf5f6SnZ2を合成する。
【0016】得られたRf1f2SnZ2とRf5f6Sn
2を水酸化アルカリ水溶液中で加水分解した後、ハロ
ゲン化水素、飽和脂肪族第一級アルコール、または飽和
脂肪族第一級チオールを反応させて、一般式(4)で表
されるジスタノキサン化合物が得られる。
【0017】
【化5】
【0018】上記の方法で得られる一般式(4)で表さ
れるジスタノキサン化合物に、チオシアン酸ナトリウム
を反応させることにより、一般式(4)におけるXがチ
オシアナト基であるジスタノキサン化合物が得られる。
【0019】一般式(1)において、nが0であり、か
つXがハロゲン原子である有機スズ化合物の具体例とし
ては、たとえば、1,3-ジフルオロ-1,1,3,3-テトラキス
(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1,3-ジクロロ
-1,1,3,3-テトラキス(トリフルオロメチル)ジスタノ
キサン、1,3-ジブロモ-1,1,3,3-テトラキス(トリフル
オロメチル)ジスタノキサンなどが挙げられる。
【0020】一般式(1)において、nが0であり、か
つXがアルコキシ基である有機スズ化合物の具体例とし
ては、たとえば、1,3-ジメトキシ-1,1,3,3-テトラキス
(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1,3-ジエトキ
シ-1,1,3,3-テトラキス(トリフルオロメチル)ジスタ
ノキサン、1,3-ジプロポキシ-1,1,3,3-テトラキス(ト
リフルオロメチル)ジスタノキサンなどが挙げられる。
【0021】一般式(1)において、nが0であり、か
つXがアルキルチオ基である有機スズ化合物の具体例と
しては、たとえば、1,3-ビス(メチルチオ)-1,1,3,3-
テトラキス(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、1,
3-ビス(メチルチオ)-1,1,3,3-テトラキス(3,3,4,4,
5,5,6,6,6-ノナフルオロヘキシル)ジスタノキサン、1,
3-ビス(メチルチオ)-1,3-ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6-
ノナフルオロヘキシル)-1,3-ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,
7,7,8,8,8-トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン
などが挙げられる。
【0022】一般式(1)において、nが0であり、か
つXがチオシアナト基である有機スズ化合物の具体例と
しては、たとえば、1,3-ビス(チオシアナト)-1,1,3,3
-テトラキス(トリフルオロメチル)ジスタノキサン、
1,3-ビス(チオシアナト)-1,3-ビス(3,3,4,4,5,5,6,
6,6-ノナフルオロヘキシル)-1,3-ビス(3,3,4,4,5,5,
6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロオクチル)ジスタノキ
サン、1,3-ビス(チオシアナト)-1,1,3,3-テトラキス
(ペンタフルオロフェニルメチル)ジスタノキサンなど
が挙げられる。
【0023】一般式(1)において、nが0であり、か
つX1またはX2のどちらか一方がチオシアナト基であ
り、他方がハロゲン原子、アルコキシ基、またはアルキ
ルチオ基であるジスタノキサンを得ることもできる。こ
のようなジスタノキサンとしては、たとえば、1-クロロ
-3-チオシアナト-1,1,3,3-テトラキス(トリフルオロメ
チル)ジスタノキサン、1-クロロ-3-チオシアナト1,1,
3,3-テトラキス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカ
フルオロオクチル)ジスタノキサン、1-チオシアナト-3
-メトキシ-1,1,3,3-テトラキス(3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノ
ナフルオロヘキシル)ジスタノキサン等が挙げられる。
以上、一般式(1)において、nが0である場合のジス
タノキサン化合物を例として説明したが、同様にしてn
が1以上のスタノキサン化合物が得られる。
【0024】本発明において、脱水エステル化反応の反
応物であるカルボン酸に関しては、特に制限はない。具
体的には、置換基を有していてもよい飽和または不飽和
脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸等を使用すること
ができる。飽和の脂肪族および脂環式カルボン酸として
は、酢酸、プロピオン酸、n−酪酸、イソ酪酸、n−吉
草酸、イソ吉草酸、n−ヘキサン酸、2−エチルブタン
酸、シクロヘキサンカルボン酸、n−ヘプタン酸、n−
オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、n−ノナン酸、n
−デカン酸、アダマンタンカルボン酸、2,2−ジクロ
ロ−1−メチルシクロプロパンカルボン酸、コハク酸、
アジピン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ヘ
キサヒドロフタル酸、セバチン酸、等が挙げられ、
【0025】不飽和の脂肪族および脂環族カルボン酸と
しては、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイ
ン酸、フマル酸、イタコン酸、テトラヒドロフタル酸等
が挙げられる。また芳香族カルボン酸としては、安息香
酸、4−ニトロ安息香酸、ペンタフルオロ安息香酸、4
−トリフルオロメチル安息香酸、2−ジベンジルカルボ
ン酸、3−フェニルプロピオン酸、4−フェニルブタン
酸、1−フェニルシクロペンタンカルボン酸、2,2−
ジフェニルプロピオン酸、2−(4−クロロフェノキ
シ)−2−メチルプロピオン酸、フタル酸、イソフタル
酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等
が挙げられる。
【0026】また、もう一方の反応物であるアルコール
に関しても特に制限はなく、脂肪族アルコール、脂環式
アルコール、芳香族アルコール、またはポリオール等を
使用することができる。これらのアルコールは、置換基
を有していてもよく、飽和であっても不飽和であっても
よい。脂肪族アルコールとしては、たとえば、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、アリルアルコール、ブ
タノール、ブテニルアルコール、オクタノール、オクテ
ニルアルコール、ラウリルアルコール、ステアリルアル
コール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、
トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプ
ロピレングリコール、ブチレングリコール、ブテンジオ
ール、ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘ
キサンジオール、ヘキセンジオール、グリセリン、トリ
メチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセ
リン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリト
ール等が挙げられ、
【0027】脂環式アルコールとしては、たとえば、シ
クロヘサノール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキ
サンジメタノール、水添ビスフェノールA、シクロデカ
ンジオール等が挙げられる。また、芳香族アルコールと
しては、たとえば、フェノール、ベンジルアルコール、
フェネトール、フェノキシエタノール、フェノキシプロ
パノール、クレゾール、α−ナフトール、β−ナフトー
ル、カテコール、ハイドロキノン、ビスフェノールA、
ビスフェノールF等が挙げられる。ポリオールとして
は、たとえば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレ
ングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリ
アルキレングリコール類、また、グリセリン、トリメチ
ロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリ
ン、ビスフェノールA等のエチレンオキシド変成物、プ
ロピレンオキシド変成物、ブチレンオキシド変成物等が
挙げられる。これらの他に、ポリウレタンポリオール、
ポリエステルポリオール等も挙げられる。
【0028】本発明のエステル化合物の製造方法におい
て、脱水エステル化反応触媒として使用する一般式
(1)で表される有機スズ化合物の使用量には特に制限
はないが、次のようにして決定するとよい。すなわち、
脱水エステル化反応に使用するカルボン酸の質量を、そ
のカルボキシ基当量で除した値をAとし、同じく脱水エ
ステル化反応に使用するアルコールの質量を、そのヒド
ロキシ基当量で除した値をBとしたとき、AとBが等し
い場合、もしくはAがBよりも小さい場合は、使用する
該有機スズ化合物のモル数を0.0001Aモル〜0.
5Aモルの範囲とするのが好ましく、0.005Aモル
〜0.1Aモルの範囲であればより好ましい。BがAよ
り小さい場合は、0.0001Bモル〜0.5Bモルの
範囲とするのが好ましく、0.005Bモル〜0.1B
モルの範囲であればより好ましい。
【0029】本発明のエステル化合物の製造方法におい
ては、反応溶媒として、一般式(1)で表される有機ス
ズ化合物は溶解するが、カルボン酸、アルコール、およ
び生成するエステル化合物を溶解しない溶媒(以下、単
に「溶媒A」と略記する。)を使用する。溶媒Aとして
は、たとえば、住友スリーエム(株)製の「フロリナー
トFC−40」、「フロリナートFC−43」、「フロ
リナートFC−70」、「フロリナートFC−72」、
「フロリナートFC−75」、「フロリナートFC−7
7」、「フロリナートFC−84」、「フロリナートF
C−87」、「フロリナートFC−3283」、「フロ
リナートFC−5312」等を好適に使用することがで
きる。溶媒Aを使用することにより、脱水エステル化反
応は、カルボン酸とアルコールからなる反応物層と、一
般式(1)で表される有機スズ化合物が溶解した溶媒A
層とがそれぞれ層分離した、不均一系で進行することに
なる。
【0030】本発明における脱水エステル化反応は、広
い温度範囲で行うことができる。具体的には0℃から、
熱分解を起こさなければ300℃でも可能である。通常
は、50〜160℃の範囲で行うのが好ましい。従来の
技術では、高温で反応させると副反応が起こるため収率
が低下したが、本発明においては、反応が不均一系で進
行するので200℃以上であっても副反応がほとんど起
こらず、高収率で、かつ高純度のエステル化合物が得ら
れる。脱水エステル化反応は、反応物層が均一な液体状
態となる温度で行うのが好ましい。この場合、必要に応
じて耐圧密閉容器中加圧下で反応物の溶融温度以上に加
熱してもよい。
【0031】上記脱水エステル化反応は、溶媒Aと、反
応生成物を溶解するが溶媒Aとは相溶せず、かつ前記有
機スズ化合物を溶解しない溶媒(以下、単に「溶媒B」
と略記する。)とを共存させて行うこともできる。溶媒
Bを使用しなくても、たとえば、反応系を100℃以上
に加熱し、反応物の熱溶融状態で反応させる場合には、
生成する水を蒸散によって反応系外に除去し、脱水エス
テル化反応を進めることができるが、反応物または反応
生成物が熱分解しやすくて反応温度を上げられない場合
などには、溶媒Bとしてベンゼンやトルエンなどを使用
し、従来のエステル化合物の製造方法と同様に、共沸に
よって水を除去することができる。
【0032】溶媒Bとしては、上記ベンゼンやトルエン
の他に、たとえば、キシレン、その他アルキルベンゼン
等の芳香族系溶媒、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シ
クロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族および
脂環式炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチ
ルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶
媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等の環状
エーテルなど、活性水素をもたず、エステル化反応ある
いはエステル交換反応に不活性な溶媒を挙げることがで
きる。上記脱水エステル化反応時に溶媒Bを使用しない
場合は、反応終了後、有機スズ化合物を含有する溶媒A
層と、反応生成物であるエステル化合物の層とが分離す
る。また、脱水エステル化反応時に溶媒Bを使用した場
合にも、有機スズ化合物を含有する溶媒A層と、反応生
成物であるエステル化合物を含有する溶媒B層とが分離
する。
【0033】脱水エステル化反応に溶媒Bを使用しなか
った場合には、反応生成物を効率よく、高純度で単離す
るためには、反応終了後に反応混合物に新たに溶媒Bを
加えて撹拌した後静置し、溶媒A層と溶媒B層とを分離
させるとよい。このように、溶媒Bを脱水エステル化反
応終了後に使用する場合は、上記溶媒に加えて、メタノ
ール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタ
ノール、ヘキサノール、2−エチルヘキサノール等のア
ルコール類、セロソルブ、カルビトール、ジグライム等
のエーテル系溶媒、あるいは酢酸エチル、酢酸ブチルな
どのエステル系溶媒を使用することもできる。
【0034】上記溶媒A層から溶媒Aを留去することに
よって容易に有機スズ化合物を回収することができる。
一方、溶媒B層は、必要に応じて酸、アルカリ、あるい
は水で洗浄した後、溶媒Bを留去することによって、高
純度のエステル化合物を容易に単離することができる。
【0035】回収した一般式(1)で表される有機スズ
化合物は、再び脱水エステル化反応に使用することがで
き、また、上記溶媒A層から溶媒Aを留去することな
く、そのまま有機スズ化合物の溶液として再び脱水エス
テル化反応に使用することもできる。
【0036】本発明における脱水エステル化反応では、
脱水エステル化反応性の異なる複数種類のカルボン酸を
一種類のアルコールに競争的に反応させ、脱水エステル
化反応性の最も高いカルボン酸を選択的にエステル化す
ることができる。同様に、脱水エステル化反応性の異な
る複数種類のアルコール化合物を一種類のカルボン酸に
競争的に反応させ、脱水エステル化反応性の最も高いア
ルコールを選択的にエステル化することもできる。
【0037】このような選択的な脱水エステル化反応が
可能となる理由としては、競争反応する二種類のカルボ
ン酸のそれぞれが有するカルボキシ基、あるいは二種類
のアルコールのそれぞれが有するヒドロキシ基が、カル
ボン酸あるいはアルコールの化学構造に起因する立体障
害を受ける度合いの差が、有機スズ化合物が関与するカ
ルボキシ基とヒドロキシ基の反応活性中間体形成しやす
さの差となって現れ、さらにこの差が、有機スズ化合物
が有する嵩高い置換基の影響によって増幅されるためで
あると考えられる。
【0038】このような選択的な脱水エステル化反応が
観察される反応物の組合せは、たとえば、4−トリフル
オロメチル安息香酸および1−フェニルシクロペンタン
カルボン酸の二種類のカルボン酸とn−オクタノールの
組合せ、あるいは、4−フェニルブタン酸および1−フ
ェニルシクロペンタンカルボン酸の二種類のカルボン酸
とn−オクタノールの組合せ等がある。選択的な脱水エ
ステル化反応に際しては、反応温度をできるだけ低くす
るのが好ましい。反応温度150℃で、4−トリフルオ
ロメチル安息香酸および1−フェニルシクロペンタンカ
ルボン酸を、それぞれ単独にモル比1:1でn−オクタ
ノールと脱水エステル化反応させたところ、16時間後
のエステル化率が、それぞれ99.9%以上と16.3
%であったが、4−トリフルオロメチル安息香酸、1−
フェニルシクロペンタンカルボン酸、およびn−オクタ
ノールの三者をそれぞれ等モル混合し、反応温度150
℃で競争反応させると、16時間後のエステル化率は、
4−トリフルオロメチル安息香酸が99.9%以上、1
−フェニルシクロペンタンカルボン酸が0.1%以下と
なり、きわめて高い選択性が発現した。反応物が、脱水
エステル化反応性の異なる三種類以上のカルボン酸と一
種類のアルコール、または一種類のカルボン酸と脱水エ
ステル化反応性の異なる三種類以上のアルコールの場合
は、最も反応性の高いカルボン酸またはアルコールが選
択的にエステル化される。
【0039】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。
【0040】<ジスタノキサンの調製> (調製例1)温度計、還流冷却器、および撹拌装置を装
着した反応容器に、アルゴンガス雰囲気下室温で、金属
スズ粉末17.8g、水1gおよびトルエン150ml
を仕込み、攪拌下還流させた。ここに、臭化ベンジル2
6.6gを滴下し、さらに3時間還流を続けた。反応混
合物を冷却後セライトで濾過し、残渣を15mlのn−
ヘキサンで洗浄した。濾液および洗液をアセトンで希釈
し、再度セライトで濾過後、濾液を減圧下に蒸発乾固し
た。得られた固体を酢酸エチルから再結晶し、針状結晶
のジベンジルジブロモスズ60.7gを得た。収率は8
8%であった。
【0041】(調製例2)温度計、還流冷却器、および
撹拌装置を装着した反応容器に、アルゴンガス雰囲気下
室温で、削状金属マグネシウム0.413gを仕込み、
真空ポンプで減圧した後ヒートガンで加熱し、15分間
乾燥させた。室温まで冷却後アルゴンガスで復圧し、ジ
エチルエーテル20mlを加え、0℃に冷却し1時間攪
拌した。次いでヨウ化−3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−
トリデカフルオロオクチル7.1gをジエチルエーテル
10mlに溶解した溶液を滴下し、室温で3時間攪拌し
た。ジエチルエーテル30mlで希釈し、ジベンジルジ
ブロモスズ2.3gをテトラヒドロフラン10mlに溶
解した溶液を0℃で滴下した後、室温で24時間攪拌し
た。反応混合物にn−ヘキサン60mlを加え、n−ヘ
キサンとともにセライトで濾過した後、濾液および洗液
を混合して減圧下に溶媒を留去した。得られた油状物質
を、n−ヘキサンを移動相とするシリカゲルカラムクロ
マトグラフィーにより精製し、無色油状のビス(3,3,4,
4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロオクチル)ジベ
ンジルスズ4gを得た。収率は81%であった。
【0042】(調製例3)温度計、還流冷却器、および
撹拌装置を装着した反応容器に、アルゴンガス雰囲気下
室温で、ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフ
ルオロオクチル)ジベンジルスズ3.98g、四塩化炭
素50mlを仕込み、臭素1.23gを滴下し、室温で
3時間攪拌した。反応混合物を減圧下で濃縮後、シリカ
ゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:酢酸エチル/
n−ヘキサン=0/100〜100/0)により精製
し、ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオ
ロオクチル)ジブロモスズ3.74gを得た。収率は9
6%であった。
【0043】(調製例4)温度計、還流冷却器、および
撹拌装置を装着した反応容器に、アルゴンガス雰囲気下
室温で、ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフ
ルオロオクチル)ジブロモスズ3.11g、テトラヒド
ロフラン70mlを仕込み、4mol/lの水酸化ナト
リウム水溶液2.4mlを滴下し、同温度で2時間攪拌
した。反応混合物を減圧下で濃縮後、ジクロロメタン1
0mlと水10mlを加え、有機溶媒層を3回水洗後減
圧乾燥し、ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカ
フルオロオクチル)スズオキシドのポリマー2.47g
を得た。収率は93%であった。
【0044】(調製例5)温度計、還流冷却器、および
撹拌装置を装着した反応容器に、アルゴンガス雰囲気下
室温で、ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフ
ルオロオクチル)スズオキシドのポリマー2.24gお
よびアセトン50mlを仕込み、4mol/lの塩酸
0.76mlを加え、室温で24時間攪拌した。反応混
合物にジクロロメタン150mlを加え、有機溶剤層を
水50mlで3回洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾
燥後、濾過し、減圧下に溶媒を留去した。得られた固体
を住友スリーエム(株)製フッ素系溶媒「フロリナート
FC−72」に溶解し、この溶液をジクロロメタンおよ
び水で洗浄した。「フロリナートFC−72」を減圧留
去し、1,3-ジクロロ-1,1,3,3-テトラキス(3,3,4,4,5,
5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロオクチル)ジスタノ
キサン(2量体)1.96gを得た。収率は85%であ
った。
【0045】(調製例6)温度計、還流冷却器、および
撹拌装置を装着した反応容器に、アルゴンガス雰囲気下
室温で、1,3-ジクロロ-1,1,3,3-テトラキス(3,3,4,4,
5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロオクチル)ジスタ
ノキサン(2量体)0.172gおよび「フロリナート
FC−72」10mlを仕込み、飽和チオシアン酸ナト
リウム水溶液5mlを加え、室温で20時間攪拌した。
「フロリナートFC−72」層を分液し、5mlの水で
2回洗浄後、「フロリナートFC−72」を減圧留去
し、1-クロロ-3-チオシアナト-1,1,3,3-テトラキス(3,
3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロオクチル)
ジスタノキサン0.165gを得た。収率は85%であ
った。
【0046】<実施例1>マグネチック撹拌子を装着し
た反応容器に、ベンジルアルコール108mg(1mm
ol)、4−フェニルブタン酸164mg(1mmo
l)、1-クロロ-3-チオシアナト-1,1,3,3-テトラキス
(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロオクチ
ル)ジスタノキサン35mg(0.02mmol)、
「フロリナートFC−72」5mlを仕込み、内容積が
150mlの耐圧密閉容器内で、撹拌しながら150℃
に加熱し、16時間反応させた。反応終了後冷却し、ト
ルエン5mlを加え撹拌後、静置、分液した。「フロリ
ナートFC−72」層をさらに1mlのトルエンで2回
抽出し、トルエン層を合わせ、ガスクロマトグラフィー
で分析したところ、4−フェニルブタン酸ベンジルが収
率100%で得られていることが確認できた。
【0047】<実施例2〜5>実施例1において分液し
た「フロリナートFC−72」層から溶媒を留去し、1-
クロロ-3-チオシアナト-1,1,3,3-テトラキス(3,3,4,4,
5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロオクチル)ジスタ
ノキサンを回収したところ、回収率は98%であった。
この回収した1-クロロ-3-チオシアナト-1,1,3,3-テトラ
キス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロオ
クチル)ジスタノキサンを脱水エステル化反応触媒とし
て用い、それ以外は実施例1に記載した方法に準じて反
応を行い、これと同様の触媒回収、再使用の実験を4回
繰り返した実施例2〜5における触媒回収率と、回収し
た触媒を使用した脱水エステル化反応の反応収率を表1
に示す。
【0048】
【表1】
【0049】<実施例6〜18>表2に示すそれぞれの
カルボン酸とアルコールとの脱水エステル化反応を、1,
3-ジクロロ-1,1,3,3-テトラキス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,
7,8,8,8-トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサンを
触媒とし、実施例1に記載した方法に準じて行った。カ
ルボン酸化合物およびアルコールの仕込量はそれぞれ1
mmol、触媒添加量は172mg(0.1mmo
l)、反応温度は150℃とした。実施例6〜18にお
ける反応収率を表2に示した。
【0050】
【表2】
【0051】<実施例19>マグネチック撹拌子を装着
した反応容器に、2,2-ジメチル-3-(2-メチル-1-プロペ
ニル)シクロプロパンカルボン酸168mg(1mmo
l)、メタノール1.8g(50mmol)、1,3-ジク
ロロ-1,1,3,3-テトラキス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8
-トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサン172m
g、「フロリナートFC−72」5mlを仕込み、内容
積が150mlの耐圧密閉容器内で撹拌しながら165
℃に加熱し、16時間反応させた。反応終了後冷却し、
トルエン5mlを加えて撹拌後静置し、分液した。「フ
ロリナートFC−72」層をさらに1mlのトルエンで
2回抽出し、得られたトルエン層を合わせ、ガスクロマ
トグラフィーで分析したところ、2,2-ジメチル-3-(2-メ
チル-1-プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル
が99.9%以上の収率で得られていることが確認でき
た。
【0052】<実施例20、22、24、26、29、
31、および33>表3−1および表3−2の該当する
実施例の欄に示すそれぞれ一種類のカルボン酸と一種類
のアルコールとの脱水エステル化反応を、1,3-ジクロロ
-1,1,3,3-テトラキス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-ト
リデカフルオロオクチル)ジスタノキサンを触媒とし、
実施例1に記載した方法に準じて行った。カルボン酸お
よびアルコールの仕込量はそれぞれ1mmol、触媒添
加量は172mg(0.1mmol)、反応温度は15
0℃、反応時間は16時間とした。
【0053】<実施例21>マグネチック撹拌子を装着
した反応容器に、3−フェニルブタン酸150mg(1
mmol)、2,2−ジクロロ−1−メチルシクロプロ
パンカルボン酸169mg(1mmol)、ベンジルア
ルコール108mg(1mmol)、1,3-ジクロロ-1,
1,3,3-テトラキス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデ
カフルオロオクチル)ジスタノキサン172mg(0.
1mmol)、および、「フロリナートFC−72」5
mlを仕込み、内容積が150mlの耐圧密閉容器内で
撹拌しながら150℃に加熱し、16時間反応させた。
反応終了後冷却し、トルエンとメタノールの質量比が
1:1の混合溶液5mlを加え、撹拌、静置後、分液し
た。「フロリナートFC−72」層をさらに、前記トル
エンとメタノールの混合溶液で2回抽出し、得られたト
ルエンとメタノールの混合溶媒層を合わせ、ガスクロマ
トグラフィーで分析したところ、3−フェニルブタン酸
ベンジルが収率99.9%以上で得られ、一方、2,2
−ジクロロ−1−メチルシクロプロパンカルボン酸ベン
ジルの収率は、ガスクロマトグラフィーの検出限界であ
る0.1%未満であった。
【0054】<実施例23、25、27、28、30、
32、および34>表3−1および表3−2の該当する
実施例の欄に示すそれぞれ二種類のカルボン酸と一種類
のアルコールとの競争的脱水エステル化反応を、1,3-ジ
クロロ-1,1,3,3-テトラキス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,
8,8-トリデカフルオロオクチル)ジスタノキサンを触媒
とし、実施例21に記載した方法に準じて行った。2種
類のカルボン酸およびアルコールの仕込量はおのおの1
mmol、触媒添加量は172mg(0.1mmo
l)、反応温度は150℃、反応時間は16時間とし
た。実施例20〜34、および表2に記載したものの中
から参考例として実施例8、9、および15における反
応収率を表3−1および表3−2に示す。
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
【0057】表1に示した結果から、本発明のエステル
化合物の製造方法において、溶媒Aと溶媒Bを使用した
場合、互いに混じり合わない両溶媒層を分液するという
簡便な方法で一般式(1)で表される有機スズ化合物触
媒を、97%以上という高回収率で回収することがで
き、これを繰り返し使用してもその触媒活性が損なわれ
ないことがわかる。
【0058】表2に示した結果からは、一般式(1)で
表される有機スズ化合物触媒を使用した本発明のエステ
ル化合物の製造方法によれば、反応がほとんど定量的に
進行し、副反応がほとんど起こらないため、高純度のエ
ステルが高収率で得られることがわかる。
【0059】さらに、表3−1および表3−2に示した
結果から、反応性の異なる二種類の反応物を使用した場
合は、反応性の高い反応物のみが選択的に反応すること
がわかる。
【0060】
【発明の効果】本発明においては、カルボン酸とアルコ
ールとの脱水エステル化反応に、触媒として一般式
(1)で表される有機スズ化合物を使用し、溶媒として
該有機スズ化合物を溶解するが、反応物および反応生成
物を溶解しない溶媒Aを使用することにより、触媒を含
有する層と、反応物および反応生成物からなる層とが不
均一の状態で反応が進行し、200℃以上であっても副
反応がほとんど起こらず、高収率で、かつ高純度のエス
テル化合物が得られる。このとき使用する反応物、すな
わちカルボン酸あるいはアルコールが、それぞれ脱水エ
ステル化反応性の異なる複数のカルボン酸あるいはアル
コールの混合物である場合は、最も反応性の高い反応物
を選択的にエステル化することができる。
【0061】脱水エステル化反応終了後反応混合物を静
置すると、前記有機スズ化合物を含有する溶媒A層と反
応生成物層とは分離するので、単に分液して溶媒A層か
ら溶媒Aを留去すれば、前記有機スズ化合物を高回収率
で回収することができ、触媒活性を損なうことなく次の
脱水エステル化反応に再使用することができる。上記本
発明の効果は、溶媒Aとしてフッ素系溶媒を使用した場
合に最も顕著に現れる。
【0062】さらに、上記の脱水エステル化反応時ある
いは反応終了後に、生成するエステル化合物を溶解する
が、溶媒Aとは相溶せず、かつ前記有機スズ化合物を溶
解しない溶媒Bを添加することにより、反応終了後反応
混合物を静置することにより前記有機スズ化合物を含有
する溶媒A層と反応生成物であるエステル化合物を含有
する溶媒B層とが分離するので、両層を分液すれば、溶
媒A層からは上記と同様にして前記有機スズ化合物を高
回収率で回収することができ、溶媒B層は必要に応じて
酸洗浄、アルカリ洗浄、および水洗した後乾燥し、溶媒
Bを留去することによって、反応混合物から効率よく高
純度のエステル化合物を取り出すことができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07C 69/616 C07C 69/616 69/712 69/712 69/74 69/74 69/747 69/747 69/753 69/753 Z 69/76 69/76 Z 69/767 69/767 // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 (72)発明者 大寺 純蔵 岡山県岡山市湊1370−17 Fターム(参考) 4G069 AA02 AA06 AA08 BA27A BA27B BC22A BC22B BE34B CB75 4H006 AA02 AC48 AD16 BA11 BA45 BB11 BB12 BJ20 BJ30 BJ50 BM10 BM20 BM30 BM71 BM72 BP30 KA06 4H039 CA66 CD10 CD30 CL25

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルボン酸とアルコールとの脱水エステ
    ル化反応によるエステル化合物の製造方法において、脱
    水エステル化反応触媒として下記一般式(1)で表され
    る有機スズ化合物を使用し、反応溶媒として、少なくと
    も、該有機スズ化合物を溶解するが前記カルボン酸、前
    記アルコール、および生成するエステル化合物を溶解し
    ない溶媒(A)を用いることを特徴とするエステル化合
    物の製造方法。 【化1】
  2. 【請求項2】 前記一般式(1)で表される有機スズ化
    合物のR1、R2、R 3、R4、R5、およびR6が、それぞ
    れ独立して、フッ素原子で置換されたアルキル基である
    請求項1に記載のエステル化合物の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記溶媒(A)がフッ素系溶媒である請
    求項1に記載のエステル化合物の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記反応溶媒として、前記溶媒(A)を
    使用し、脱水エステル化反応終了後、生成したエステル
    化合物を溶解するが、溶媒Aとは相溶せず、かつ前記有
    機スズ化合物を溶解しない溶媒Bを加えて撹拌した後静
    置し、溶媒A層と溶媒B層を分離させ、溶媒B層から反
    応生成物であるエステル化合物を単離し、溶媒A層から
    前記有機スズ化合物を回収する請求項1に記載のエステ
    ル化合物の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記反応溶媒として、前記溶媒(A)
    と、生成したエステル化合物を溶解するが、溶媒Aとは
    相溶せず、かつ前記有機スズ化合物を溶解しない溶媒B
    を使用し、脱水エステル化反応終了後静置して溶媒A層
    と溶媒B層を分離させ、溶媒B層から反応生成物である
    エステル化合物を単離し、溶媒A層から前記有機スズ化
    合物を回収する請求項1に記載のエステル化合物の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 前記脱水エステル化反応の反応物が、脱
    水エステル化反応性の異なる複数種類のカルボン酸と一
    種類のアルコール、または一種類のカルボン酸と脱水エ
    ステル化反応性の異なる複数種類のアルコールであり、
    脱水エステル化反応性の最も高いカルボン酸、または脱
    水エステル化反応性の最も高いアルコールを選択的にエ
    ステル化する請求項1に記載のエステル化合物の製造方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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