JP2014001154A - 2−アルケニルエーテル化合物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】分子内にヒドロキシル基を複数有する化合物及びアリルアルコール以外の2−アルケニル基を有する化合物を出発原料として、効率よく低コストで対応する2−アルケニルエーテル化合物を製造する方法を提供する。
【解決手段】分子内にヒドロキシル基を複数有する化合物のヒドロキシル基1当量当たり、特定の2−アルケニル基を有する化合物を10〜100当量用いて、錯化剤と、1価アニオン性5員環共役ジエン化合物により安定化された遷移金属前駆体とからなる触媒(遷移金属錯体)の存在下で2−アルケニル化反応を行うことにより2−アルケニルエーテルを製造する。
【選択図】なし

Description

本発明は、アリルエーテルに代表される2−アルケニルエーテル化合物の製造方法に関する。さらに詳しくは、ヒドロキシル基を有する化合物と2−アルケニル基を有する化合物を特定の遷移金属錯体と配位子の存在下で反応させることにより、2−アルケニルエーテル化合物を高効率で製造する方法に関する。
2−アルケニルエーテル化合物は官能基変換可能なオレフィン部位(炭素−炭素二重結合)を有し、有機合成上有用なビルディングブロックを与える。そのため、溶剤、各種基礎工業薬品としてのみならず、医薬品や農薬などの生理活性機能分子や、化学反応の触媒等の製造に広く利用される。
従来の2−アルケニルエーテル化合物の合成法としてアルコール又はフェノール類を2−アルケニル化する方法が知られている。具体的には、パラジウム触媒を用いた例として、2−アルケニル化剤である酢酸アリルにより活性水素含有化合物であるフェノールを2−アルケニル化する方法が、例えば非特許文献1(J. Muzartら, J. Organomet. Chem., 326, pp. C23−C28 (1987))に報告されている。特許文献1(米国特許第4507492号公報)及び非特許文献2(S. Sivaramら, Macromolecular Reports, A32 (Suppl. 7), pp. 1053−1060 (1995))には、2−アルケニル化剤であるアリルメチルカーボネートにより活性水素含有化合物であるビスフェノールAを2−アルケニル化(アリル化)する方法が記載されている。また、ニッケル触媒を用いた例として、非特許文献3(A. Mortreuxら, J. Chem. Soc., Chem. Commun., pp. 1863−1864 (1995))には、2−アルケニル化剤である酢酸アリルにより、活性水素含有化合物であるフェノールを2−アルケニル化(アリル化)する方法が記載されている。
しかしながら、上記方法などの、酢酸パラジウム等の塩を用いる均一系触媒系でのフェノール化合物の2−アルケニル化方法では、一般に2−アルケニル化剤由来の副生物を捕捉する目的で、2−アルケニル化剤に対して化学量論量以上の塩基性化合物を必要とするため、製造コストが高くなる。また、目的物である2−アルケニルエーテル化合物からこれら塩基性化合物を除去することが必要となる。さらに、2−アルケニル化剤は塩基性化合物との塩へと変換されるため、例えば酢酸アリルを2−アルケニル化剤として用いた際には、副生物の酢酸塩を酢酸に戻して酢酸アリル再利用工程へと循環させるには手間がかかり工業的に不利となる。
特許文献2(特表2006−501209号公報)及び非特許文献4(F. Ozawaら, J. Am. Chem. Soc., 124, pp. 10968−10969 (2002))には、前者は不均一系、後者は均一系で、遷移金属錯体塩(パラジウム塩)とリン配位子を触媒として用いる2−アルケニル化の例が開示されているが、リン系配位子自体の酸化剤に対する安定性は低く、例えばリン系配位子の代表例であるトリフェニルホスフィンを用いた際には、2−アルケニル化反応中、徐々に空気中の酸素により配位子の酸化が起こり、触媒が失活することが知られている。また、リン系配位子は、合成経路も煩雑で、工業化には困難を伴うといえる。
特許文献3(特開2004−107339号公報)は、多座キレート型ホスファイト配位子を有する第8〜10族遷移金属錯体存在下における、アリルエーテル類の製造方法を開示している。この方法によりアリルアルコールとアルコールを脱水縮合して2−アルケニルエーテルに直接変換することができるが、アリルアルコール同士のホモカップリングによるジアリルエーテル形成や、アリルアルコールの異性化が進行しやすく、2−アルケニル化剤を効果的に反応系に利用することができない。さらには、生成した2−アルケニルエーテル化合物においてClaisen転位が引き起こされるため、目的物とは異なるC−アリル化体が副生することが収率低下の要因となっている。
非特許文献5(Y. Ishiiら, J. Org. Chem., 69, pp. 3474−3477 (2004))は、アルコールに対し、カルボン酸アリルエステルを2−アルケニル化剤とし、カチオン性イリジウム錯体を用いる、2−アルケニルエーテル類の製造方法を開示している。この方法によりカルボン酸アリルエステルとアルコールからカルボン酸の脱離を伴って2−アルケニルエーテルを得ることができるが、カルボン酸アリルエステルとアルコールとの間のエステル交換反応、アルコールのOppenauer酸化によるアルデヒドの生成、及び生じたアルデヒドに対するTishchenko反応も競合するため、目的物の収率は総じて低い。また、非特許文献5では、イリジウム錯体を用いて、2−アルケニル化剤を過剰に用いる(1−オクタノールに対して10倍モルの酢酸アリルを使用)ことで2−アルケニル化効率を高める試みもなされているが、2−アルケニル化剤を回収することについては述べられていない。
特許文献4(特開2005−289977号公報)は、α−イミノ酸型配位子又はα−アミノ酸型配位子を有するシクロペンタジエニルルテニウム錯体存在下における、2−アルケニルエーテル類の製造方法を開示している。この方法によればいかなる添加剤も使用することなくアリルアルコールとアルコールから脱水的に2−アルケニルエーテルを製造することができる。共生成物は水のみであり、環境に調和した非常に効率的な方法であるが、2−アルケニル化剤であるアリルアルコールの毒性が高く、大量に用いることは、工業的に鑑みて好ましくない。また、上記アリルアルコールを2−アルケニル化剤に用いる手法においては、アルコール化合物の溶解性や、溶液粘度を調整する目的で有機溶剤を添加できるが、この際発生する共生成物である水の有機溶媒への溶解性が低いと反応の進行とともに反応系は二層に相分離する。その結果、共生成物の水が、2−アルケニル化反応系から除外されることになり、原理的には生成系から水を除外できる。そのため、熱力学的平衡の観点からは平衡を生成物側に偏らせ、目的物の収率を向上することができる。一方で、速度論的には、共生成物である水の脱離性の低さからか、アルコールの種類によっては、目的物である2−アルケニルエーテルの収率が低くなることがある。
米国特許第4507492号公報 特表2006−501209号公報 特開2004−107339号公報 特開2005−289977号公報
J. Muzartら, J. Organomet. Chem., 326, pp. C23−C28 (1987). S. Sivaramら, Macromolecular Reports, A32 (Suppl. 7), pp. 1053−1060 (1995). A. Mortreuxら, J. Chem. Soc., Chem. Commun., pp. 1863−1864 (1995). F. Ozawaら, J. Am. Chem. Soc., 124, pp. 10968−10969 (2002). Y. Ishiiら, J. Org. Chem., 69, pp. 3474−3477 (2004).
本発明は、分子内にヒドロキシル基を複数有する化合物及びアリルアルコール以外の2−アルケニル基を有する化合物を出発原料として、効率よく低コストで対応する2−アルケニルエーテル化合物を製造する方法を提供することを課題とするものである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究し実験を重ねた結果、特定の2−アルケニル化剤を分子内にヒドロキシル基を複数有する化合物のヒドロキシル基に対し過剰量用いて、錯化剤と、1価アニオン性5員環共役ジエン化合物により安定化された遷移金属前駆体とからなる触媒(遷移金属錯体)の存在下で反応させることにより、分子内にヒドロキシル基を複数有する化合物のヒドロキシル基の2−アルケニル化反応率が顕著に向上することを見出した。また、過剰に使用した2−アルケニル化剤を反応後の生成物との混合物から回収し、再度2−アルケニル化反応に用いることにより効率よく2−アルケニルエーテル化合物を製造することができることを見出し、本願発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりのものである。
[1]分子内にヒドロキシル基を複数有する化合物を以下の一般式(1)で表される2−アルケニル基を有する化合物で触媒存在下にて2−アルケニル化反応させて2−アルケニルエーテル化合物を製造する方法であって、
Figure 2014001154
{式中、R、R、R、R、及びRは、各々独立して、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルケニル基、アセトキシ基又は炭素数6〜10のアリール基を表す。Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基を表す。}、前記触媒が分子内に遷移金属原子に対して二座配位する窒素配位部−酸素配位部を有する錯化剤と、1価アニオン性5員環共役ジエンを分子内に配位子として有する遷移金属前駆体との反応生成物である遷移金属錯体であり、前記分子内にヒドロキシル基を複数有する化合物のヒドロキシル基1当量当たり前記2−アルケニル基を有する化合物を10〜100当量用いることを特徴とする2−アルケニルエーテル化合物の製造方法。
[2]前記分子内にヒドロキシル基を複数有する化合物のヒドロキシル基1当量当たりの前記2−アルケニル基を有する化合物の量が15〜60当量である前記[1]に記載の2−アルケニルエーテル化合物の製造方法。
[3]前記2−アルケニル化反応終了後反応液中に残存する過剰の前記2−アルケニル基を有する化合物を回収して2−アルケニル化反応に再利用する前記[1]又は[2]のいずれかに記載の2−アルケニルエーテル化合物の製造方法。
[4]前記錯化剤が、以下の一般式(2)
Figure 2014001154
{式中、R〜Rは、各々独立して、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、又は置換基の炭素数の合計が1〜30のアルキル置換若しくは置換基の炭素数の合計が6〜30のアリール置換シリル基を表す。但し、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとRは各々互いに結合して飽和又は不飽和の4〜8員環を形成してもよい。}で表されるα−イミノ酸型配位子化合物である前記[1]〜[3]のいずれか一項に記載の2−アルケニルエーテル化合物の製造方法。
[5]前記遷移金属前駆体が、周期表の第8族及び第9族に属する遷移金属からなる群より選ばれる少なくとも一種の遷移金属原子を含む前記[1]〜[4]のいずれか一項に記載の2−アルケニルエーテル化合物の製造方法。
[6]前記遷移金属原子がルテニウム及びロジウムからなる群より選ばれる前記[5]に記載の2−アルケニルエーテル化合物の製造方法。
[7]前記1価アニオン性5員環共役ジエンが以下の一般式(3)
Figure 2014001154
{式中、R10〜R30は、各々独立して、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、又は置換基の炭素数の合計が1〜30のアルキル置換若しくは置換基の炭素数の合計が6〜30のアリール置換シリル基を表し、環上の隣接する2つの炭素原子に結合する基が互いに結合して、前記隣接する2つの炭素原子とともに飽和又は不飽和の4〜8員環を形成してもよい。}のいずれかで表される共役可能な1価アニオン構造{式中、アニオンはR10〜R30の結合炭素に共役して存在する。}を有する前記[1]〜[6]のいずれか一項に記載の2−アルケニルエーテル化合物の製造方法。
[8]前記一般式(1)中、R、R、R、R、及びRが全て水素原子である前記[1]〜[7]のいずれか一項に記載の2−アルケニルエーテル化合物の製造方法。
[9]前記一般式(1)で表される化合物が、酢酸アリル、酢酸2−メチル−2−プロペニル、酢酸2−ヘキセニル、酢酸2,4−ヘキサジエニル、酢酸プレニル(酢酸3−メチル−2−ブテニル)、酢酸ゲラニル、酢酸ファルネシル、酢酸シンナミル、酢酸リナリル、酢酸3−ブテン−2−イル、酢酸2−シクロペンテニル、酢酸2−トリメチルシリルメチル−2−プロペニル、酢酸2−メチル−2−シクロヘキセニル、プロピオン酸1−フェニル−1−ブテン−3−イル、酪酸1−シクロヘキシル−2−ブテン、4−シクロペンテン−1,3−ジオール−1−アセテート、及び1,4−ジアセトキシブテン−2,3−アセトキシ−4−ヒドロキシブテン−1からなる群より選ばれるカルボン酸エステルである前記[1]〜[7]のいずれか一項に記載の2−アルケニルエーテル化合物の製造方法。
[10]前記分子内にヒドロキシル基を複数有する化合物が、分子内にヒドロキシル基を2〜10個有する炭素数が1〜30の飽和の脂肪族アルコール、分子内にヒドロキシル基を2〜10個有する炭素数が3〜30の飽和の脂環式アルコール、及び分子内にヒドロキシル基を2〜10個有する炭素数が6〜30のアリール化合物からなる群より選ばれる前記[1]〜[9]のいずれか一項に記載の2−アルケニルエーテル化合物の製造方法。
[11]前記分子内にヒドロキシル基を複数有する化合物が、分子内にヒドロキシル基を2〜6個有する前記[10]に記載の2−アルケニルエーテル化合物の製造方法。
[12]前記分子内にヒドロキシル基を複数有する化合物が、分子内にヒドロキシル基を3又は4個有する前記[11]に記載の2−アルケニルエーテル化合物の製造方法。
[13]前記分子内にヒドロキシル基を複数有する化合物が、1級の飽和の脂肪族アルコール又は脂環式アルコールである前記[10]〜[12]のいずれか一項に記載の2−アルケニルエーテル化合物の製造方法。
[14]前記遷移金属錯体を、分子内にヒドロキシル基を複数有する化合物と2−アルケニル基を有する化合物との総和(分子内にヒドロキシル基を複数有する化合物のモル量+2−アルケニル基を有する化合物のモル量)1モルに対して0.000001〜10モル用いる前記[1]〜[13]のいずれか一項に記載の2−アルケニルエーテル化合物の製造方法。
[15]1価アニオン性5員環共役ジエン骨格を有する化合物と遷移金属化合物とを反応させ1価アニオン性5員環共役ジエンを分子内に配位子として有する遷移金属前駆体を製造する工程と、前記遷移金属前駆体と錯化剤とを混合し遷移金属錯体を製造する工程と、前記遷移金属錯体と、分子内にヒドロキシル基を複数有する化合物と、2−アルケニル基を有する化合物を混合し反応させて2−アルケニルエーテル化合物を製造する工程と、を有する前記[1]〜[14]のいずれか一項に記載の2−アルケニルエーテル化合物の製造方法。
本発明の2−アルケニルエーテル化合物の製造方法によれば、2−アルケニル化反応に直接寄与しない溶媒以外の添加剤を使用することなく、2−アルケニル基を有する化合物によりアルコール性又はフェノール性のヒドロキシル基を選択的に2−アルケニル化させることにより2−アルケニルエーテルを高反応率で製造することができる。従来の酢酸アリルのような2−アルケニル化剤と酢酸パラジウムのような塩を触媒として使用する場合に生成する副生物の中和剤のような添加剤を必要としないため、生産性が高く、環境にも調和した方法を提供することができる。アルコール又はフェノールの溶解性や反応性によっては溶媒を使用することなく反応を行うことができる。2−アルケニル化剤として、大量に供給可能で安価なカルボン酸アリルエステルを用いることができ、アリルアルコールに比べ2−アルケニル化剤としての反応性が高く、毒性も低いことから工業化時の安全性も高い手法である。また、本発明においては、原料の一つである2−アルケニル化剤を過剰に使用することで、反応における熱力学的平衡を生成物側に偏らせ反応効率を向上させることができ、過剰に使用した2−アルケニル化剤は反応終了後回収し2−アルケニル化反応に再利用することができる。すなわち、本発明の2−アルケニルエーテル化合物の製造方法は、生産性、操作性の観点から非常に有益である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の2−アルケニルエーテル化合物の製造方法は、特定の2−アルケニル基を有する化合物を分子内にヒドロキシル基を複数有する化合物のヒドロキシル基に対して過剰に用い、錯化剤と、1価アニオン性5員環共役ジエンを分子内に配位子として有する遷移金属前駆体との反応生成物である遷移金属錯体を触媒として用いて2−アルケニル化することを特徴とする。
本発明において用いられる分子内にヒドロキシル基を複数有する化合物としては、ヒドロキシル基を2個以上有する化合物であれば特に制限はない。ヒドロキシル基を1つ有する化合物に対しても効果はあるが、ヒドロキシル基を複数有する化合物を用いた場合に効率的に複数の全てのヒドロキシル基が2−アルケニル化されたポリ2−アルケニルエーテル化合物が得られる。
分子内にヒドロキシル基を複数有する化合物としては、例えば分子内にヒドロキシル基を2〜10個有する炭素数が1〜30の飽和の脂肪族アルコール(ジオール又は多価アルコール)又は炭素数2〜30の不飽和の脂肪族アルコール(ジオール又は多価アルコール)、分子内にヒドロキシル基を2〜10個有する炭素数が3〜30の飽和又は不飽和の脂環式アルコール(ジオール又は多価アルコール)、分子内にヒドロキシル基を2〜10個有する炭素数が6〜30のアリール化合物(ポリヒドロキシアリール化合物)等が挙げられ、分子内にヒドロキシル基を2〜10個有する炭素数が1〜30の飽和の脂肪族アルコール、分子内にヒドロキシル基を2〜10個有する炭素数が3〜30の飽和の脂環式アルコール、及び分子内にヒドロキシル基を2〜10個有する炭素数が6〜30のアリール化合物が好ましい。分子内にヒドロキシル基を複数有する化合物はハロゲン原子等の置換基を含んでもよい。
分子内にヒドロキシル基を2〜10個有する炭素数が1〜30の飽和の脂肪族ジオール若しくは多価アルコール又は炭素数2〜30の不飽和の脂肪族ジオール若しくは多価アルコールの具体例としては、1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−クロロ−1,3−プロパンジオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、分子内にヒドロキシル基を2〜10個有する炭素数が3〜30の飽和又は不飽和の脂環式ジオール又は多価アルコールの具体例としては、1,2−シクロペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
分子内にヒドロキシル基を2〜10個有する炭素数が6〜30のポリヒドロキシアリール化合物の具体例としては、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、2,4−ジヒドロキシフェニルエチルケトン、4−n−へキシルレゾルシノール、1,8−ジヒドロキシナフタレン、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1−メチル−2,3−ジヒドロキシナフタレン、及び1,2,4−ベンゼントリオール等が挙げられる。
これらのうち、分子内にヒドロキシル基を複数有する化合物が、分子内にヒドロキシル基を2〜6個有することがより好ましく、分子内にヒドロキシル基を3又は4個有することがさらに好ましい。分子内にヒドロキシル基を複数有する化合物が、1級の飽和の脂肪族アルコール又は脂環式アルコールであることが反応性が高い点で特に好ましい。
本発明において用いられる2−アルケニル基を有する化合物は、分子内にヒドロキシル基を複数有する化合物のヒドロキシル基と反応し2−アルケニルエーテルを生成することができる以下の一般式(1)で表されるものである。
Figure 2014001154
{式中、R、R、R、R、及びRは、各々独立して、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルケニル基、アセトキシ基又は炭素数6〜10のアリール基を表す。Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基を表す。}。RCOO−はアリルアルコールの有するHO−に比べて脱離しやすい。R、R、R、R、及びRは、各々独立して、好ましくは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数2〜10のアルケニル基であり、Rは好ましくは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基である。R、R、R、R、及びRは全て水素原子であることがより好ましく、Rは炭素数1〜4のアルキル基であることがより好ましい。
一般式(1)で表される2−アルケニル基を有する化合物の具体例としては、酢酸アリル、酢酸2−メチル−2−プロペニル、酢酸2−ヘキセニル、酢酸2,4−ヘキサジエニル、酢酸プレニル(酢酸3−メチル−2−ブテニル)、酢酸ゲラニル、酢酸ファルネシル、酢酸シンナミル、酢酸リナリル、酢酸3−ブテン−2−イル、酢酸2−シクロペンテニル、酢酸2−トリメチルシリルメチル−2−プロペニル、酢酸2−メチル−2−シクロヘキセニル、プロピオン酸1−フェニル−1−ブテン−3−イル、酪酸1−シクロヘキシル−2−ブテン、4−シクロペンテン−1,3−ジオール−1−アセテート、1,4−ジアセトキシブテン−2,3−アセトキシ−4−ヒドロキシブテン−1等が挙げられる。これらの2−アルケニル基を有する化合物は単独で用いることもできるし、それらを複数任意に組み合わせて使用することもできる。
分子内にヒドロキシル基を複数有する化合物に対する2−アルケニル基を有する化合物の使用量は、分子内にヒドロキシル基を複数有する化合物のヒドロキシル基1当量当たり2−アルケニル基を有する化合物が10〜100当量、好ましくは15〜60当量であり、より好ましくは20〜40当量である。分子内にヒドロキシル基を複数有する化合物のヒドロキシル基1当量当たり2−アルケニル基を有する化合物が10当量未満、100当量超であると、分子内にヒドロキシル基を複数有する化合物の全てのヒドロキシル基が2−アルケニル化された化合物の収率が低くなり、特に分子内にヒドロキシル基を3個以上有する化合物の場合にその傾向が強い。分子内にヒドロキシル基を複数有する化合物のヒドロキシル基1当量当たり2−アルケニル基を有する化合物の当量が1(当量比が1)より大きい場合には、過剰の2−アルケニル基を有する化合物は、2−アルケニル化剤として使用されるだけでなく、溶媒としても使用される。また、反応に使用されなかった2−アルケニル化剤は蒸留操作等により回収して、再度、2−アルケニル化反応の2−アルケニル化剤として再利用することができる。2−アルケニル化反応は均一系で実施することが好ましいので、分子内にヒドロキシル基を複数有する化合物及び2−アルケニル基を有する化合物は混合されて均一な液状となるものを組み合わせて用いることが特に好ましい。なお、分子内にヒドロキシル基を複数有する化合物が固体である場合等、2−アルケニル化反応系が均一にならない場合であっても、分子内にヒドロキシル基を複数有する化合物のヒドロキシル基が2−アルケニル化するにつれて反応液に溶解し、均一な液状になることがあるため、均一な液状にならない組み合わせで用いることもできる。
本発明において用いられる遷移金属錯体は、以下に詳述する錯化剤と、遷移金属化合物及び1価アニオン性5員環共役ジエン化合物が錯形成することにより得られる遷移金属前駆体とが反応して得られる錯体である。
本発明において用いられる遷移金属錯体の形成に有用な錯化剤としては、分子内に遷移金属に対して二座配位する窒素配位部−酸素配位部(窒素原子及び酸素原子)を有するものであり、以下の一般式(2)
Figure 2014001154
{式中、R〜Rは、各々独立して、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、又は置換基の炭素数の合計が1〜30のアルキル置換若しくは置換基の炭素数の合計が6〜30のアリール置換シリル基を表す。但し、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとRは各々互いに結合して飽和又は不飽和の4〜8員環を形成してもよい。}で表されるα−イミノ酸型配位子化合物が例示される。α−イミノ酸型配位子化合物の具体例としては、キナルジン酸、ピコリン酸を挙げることができるが、これらに限定されない。α−イミノ酸型配位子化合物は2−アルケニル化反応に対する高い活性を示すため、本発明において好適に用いられる。これらは単独で用いることもできるし、任意に組み合わせて使用することもできる。
本発明において用いられる遷移金属錯体の形成に有用な遷移金属前駆体の製造に用いられる遷移金属化合物としては、周期表の第8族及び第9族に属する遷移金属からなる群より選ばれる少なくとも一種の遷移金属原子を含む化合物が使用される。具体的には、塩化鉄(III)、臭化鉄(III)、硝酸鉄(III)等の鉄化合物、塩化ルテニウム(III)、臭化ルテニウム(III)、硝酸ルテニウム(III)、ヘキサアンミンルテニウム(II)、ヘキサアクアルテニウム(III)等のルテニウム化合物、塩化オスミニウム(III)、酸化オスミニウム(VI)等のオスミウム化合物、塩化コバルト(III)等のコバルト化合物、塩化ロジウム(III)等のロジウム化合物等が挙げられるが、中でもルテニウム化合物、ロジウム化合物が好ましく、特にルテニウム化合物が2−アルケニル化反応の活性が高く比較的安価であるため好ましい。
本発明において1価アニオン性5員環共役ジエンは上記遷移金属化合物と反応して錯形成することにより遷移金属原子が安定化された遷移金属前駆体を形成する。本明細書において、1価アニオン性5員環共役ジエン化合物とは、5員環共役ジエン骨格、例えばシクロペンタジエニル骨格を分子内に有する1価のアニオンを指し、以下の一般式(3)で表される共役可能な1価アニオン構造を有する化合物であることが好ましい。
Figure 2014001154
{式中、R10〜R30は、各々独立して、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、又は置換基の炭素数の合計が1〜30のアルキル置換若しくは置換基の炭素数の合計が6〜30のアリール置換シリル基を表し、環上の隣接する2つの炭素原子に結合する基が互いに結合して、前記隣接する2つの炭素原子とともに飽和又は不飽和の4〜8員環を形成してもよい。式中、アニオンはR10〜R30の結合炭素に共役して存在する。}
本発明において有用な1価アニオン性5員環共役ジエンの具体例としては、例えばη−シクロペンタジエニルアニオン、η−メチルシクロペンタジエニルアニオン、η−ジメチルシクロペンタジエニルアニオン、η−トリメチルシクロペンタジエニルアニオン、η−テトラメチルシクロペンタジエニルアニオン、η−ペンタメチルシクロペンタジエニルアニオン、η−エチルシクロペンタジエニルアニオン、η−n−プロピルシクロペンタジエニルアニオン、η−イソプロピルシクロペンタジエニルアニオン、η−n−ブチルシクロペンタジエニルアニオン、η−sec−ブチルシクロペンタジエニルアニオン、η−tert−ブチルシクロペンタジエニルアニオン、η−n−ペンチルシクロペンタジエニルアニオン、η−ネオペンチルシクロペンタジエニルアニオン、η−n−ヘキシルシクロペンタジエニルアニオン、η−n−オクチルシクロペンタジエニルアニオン、η−フェニルシクロペンタジエニルアニオン、η−ナフチルシクロペンタジエニルアニオン、η−トリメチルシリルシクロペンタジエニルアニオン、η−トリエチルシリルシクロペンタジエニルアニオン、η−tert−ブチルジメチルシリルシクロペンタジエニルアニオン、η−インデニルアニオン、η−メチルインデニルアニオン、η−ジメチルインデニルアニオン、η−エチルインデニルアニオン、η−n−プロピルインデニルアニオン、η−イソプロピルインデニルアニオン、η−n−ブチルインデニルアニオン、η−sec−ブチルインデニルアニオン、η−tert−ブチルインデニルアニオン、η−n−ペンチルインデニルアニオン、η−ネオペンチルインデニルアニオン、η−n−ヘキシルインデニルアニオン、η−n−オクチルインデニルアニオン、η−n−デシルインデニルアニオン、η−フェニルインデニルアニオン、η−メチルフェニルインデニルアニオン、η−ナフチルインデニルアニオン、η−トリメチルシリルインデニルアニオン、η−トリエチルシリルインデニルアニオン、η−tert−ブチルジメチルシリルインデニルアニオン、η−テトラヒドロインデニルアニオン、η−フルオレニルアニオン、η−メチルフルオレニルアニオン、η−ジメチルフルオレニルアニオン、η−エチルフルオレニルアニオン、η−ジエチルフルオレニルアニオン、η−n−プロピルフルオレニルアニオン、η−ジ−n−プロピルフルオレニルアニオン、η−イソプロピルフルオレニルアニオン、η−ジイソプロピルフルオレニルアニオン、η−n−ブチルフルオレニルアニオン、η−sec−ブチルフルオレニルアニオン、η−tert−ブチルフルオレニルアニオン、η−ジ−n−ブチルフルオレニルアニオン、η−ジ−sec−ブチルフルオレニルアニオン、η−ジ−tert−ブチルフルオレニルアニオン、η−n−ペンチルフルオレニルアニオン、η−ネオペンチルフルオレニルアニオン、η−n−ヘキシルフルオレニルアニオン、η−n−オクチルフルオレニルアニオン、η−n−デシルフルオレニルアニオン、η−n−ドデシルフルオレニルアニオン、η−フェニルフルオレニルアニオン、η−ジ−フェニルフルオレニルアニオン、η−メチルフェニルフルオレニルアニオン、η−ナフチルフルオレニルアニオン、η−トリメチルシリルフルオレニルアニオン、η−ビス−トリメチルシリルフルオレニルアニオン、η−トリエチルシリルフルオレニルアニオン、η−tert−ブチルジメチルシリルフルオレニルアニオンなどを有する化合物が挙げられ、好ましくはη−シクロペンタジエニルアニオン、η−テトラメチルシクロペンタジエニルアニオン、η−ペンタメチルシクロペンタジエニルアニオン、η−インデニルアニオン、又はη−フルオレニルアニオンである。これらの1価アニオン性5員環共役ジエン源としては、例えばカリウム、ナトリウム、リチウム等を対イオン(カウンターカチオン)として有する化合物が用いられる。
上記遷移金属前駆体の合成は、公知の方法によって行うことができ、好ましくは、上記1価アニオン性5員環共役ジエン化合物を、遷移金属のハロゲン化物等と反応させることにより得られる。適当な調製法の例は、例えば、Adv. Synth. Catal, 346, pp. 901−904 (2004)や特表2003−507387号公報に記載されている。例えば、塩化ルテニウム(III)と、ナトリウムη−シクロペンタジエニルを反応させて、ジ(η−シクロペンタジエニル)ルテニウム錯体を得た後、Adv. Synth. Catal, 346, pp. 901−904 (2004)に記載の方法で、シクロペンタジエニルルテニウムトリアセトニトリル錯体(遷移金属前駆体)に変換することができる。
上記錯化剤及び遷移金属前駆体を反応溶媒に溶解して混合し、これらを反応させることにより、遷移金属錯体よりなる触媒が得られる。遷移金属錯体は、錯化剤と遷移金属前駆体とを両者の混合比(錯化剤/遷移金属前駆体(モル比))が0.8〜1.5、より好ましくは0.9〜1.1、反応温度0〜100℃、より好ましくは20〜50℃で混合することにより得られる。両者は溶媒に溶解、混合後速やかに反応し遷移金属錯体を形成するので、溶媒に溶解、混合直後に使用することもできるが、混合後暫くエイジングしてから用いることもできる。反応時間は好ましくは0.01〜10時間、より好ましくは0.2〜1時間である。
2−アルケニル化反応は均一系で実施することが好ましく、遷移金属錯体も分子内にヒドロキシル基を複数有する化合物及び2−アルケニル基を有する化合物に溶解することが好ましい。遷移金属錯体が分子内にヒドロキシル基を複数有する化合物及び2−アルケニル基を有する化合物に溶解する場合は、遷移金属錯体、分子内にヒドロキシル基を複数有する化合物及び2−アルケニル基を有する化合物を同時に反応容器に仕込んで混合し反応させることができる。触媒の使用量は、多数の要因、例えば触媒の形態、反応の種類(回分反応、連続式の固定床反応、連続式の流動床反応)、後述する溶媒の使用量などに応じて適宜調節可能である。一般に、遷移金属錯体の使用量は、均一系触媒として使用する(反応系に触媒を溶解させて使用する)場合、分子内にヒドロキシル基を複数有する化合物と2−アルケニル基を有する化合物との総和(分子内にヒドロキシル基を複数有する化合物のモル量+2−アルケニル基を有する化合物のモル量)1モルに対して、0.000001〜10モルであり、回分反応においては、分子内にヒドロキシル基を複数有する化合物と2−アルケニル基を有する化合物との総和1モルに対して、0.000001〜0.5モルである。また、担体(ポリスチレン等)に結合された錯化剤と遷移金属前駆体とを反応させて担持触媒(不均一系触媒)として使用することもできる。そのような担持触媒を用いる連続式の固定床又は流動床反応においては、遷移金属錯体の使用量は、分子内にヒドロキシル基を複数有する化合物と2−アルケニル基を有する化合物との総和1モルに対して、0.0001〜0.5モルである。
反応工程において反応液の均一化、粘度調整等の目的のため必要に応じて溶媒を使用することができる。使用できる溶媒としては、水、脂肪族、脂環式及び芳香族炭化水素、脂肪族、脂環式及び芳香族ハロゲン化炭化水素、ニトロアルカン、並びにエーテル、グリコールエーテル、エステル、ケトン等の酸素含有炭化水素が挙げられる。これらの中で好ましい溶媒としては、脂肪族炭化水素の例としてヘキサン、オクタン、脂環式炭化水素の例としてシクロヘキサン、芳香族炭化水素の例としてトルエン、キシレン、脂肪族ハロゲン化炭化水素の例としてジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、芳香族ハロゲン化炭化水素の例としてクロロベンゼン、ニトロアルカンの例としてニトロメタン、エーテルの例としてテトラヒドロフラン、グリコールエーテルの例としてジメトキシエタン、エステルの例として酢酸エチル、ケトンの例としてアセトン、メチルエチルケトンが挙げられ、特に反応性、溶解性、コスト等の点で好ましい溶媒はシクロヘキサン、ジクロロメタン、トルエン及びジメトキシエタンである。これらの溶媒は単独又は任意に組み合わせて使用できる。
上記溶媒は、分子内にヒドロキシル基を複数有する化合物100質量部に対して、1000質量部以内、好ましくは0.5〜500質量部、より好ましくは1〜100質量部の量で使用する。
2−アルケニル化反応は10〜200℃、好ましくは50〜150℃、より好ましくは60〜90℃の温度において、反応を本質的に完了させるのに充分な時間、通常は0.1〜72時間、好ましくは0.1〜48時間、より好ましくは0.1〜24時間実施することができる。個々の分子内にヒドロキシル基を複数有する化合物に対して最適な2−アルケニル化反応温度及び時間は、使用する分子内にヒドロキシル基を複数有する化合物の反応性、溶媒、ヒドロキシル基の数及び触媒によって異なる。反応は液相で実施することが好ましく、したがって反応系が液相に保たれる圧力雰囲気下で実施することが好ましい。例えば約5〜約2000kPaの圧力を使用できる。
上記工程で所望の転化率まで2−アルケニル化反応を実施後、任意の適当な方法又は手段を用いて、反応液から不要な成分を除去することができる。例えば均一系触媒を用いる場合、均一系触媒及びその合成に用いた余剰の錯化剤や反応副生物が反応混合物中に均一相として存在するため、反応液を洗浄する又は反応液を吸着剤処理することによりこれら不純物を分離することができる。反応液から上記不要な成分を除去するには、これら後処理前に、溶媒を添加することが好ましい。溶媒を添加することにより2−アルケニル化反応生成物を含む反応液の粘度を低下させることができ、その結果除去効率を向上させることができる。添加する溶媒は脂肪族、脂環式及び芳香族炭化水素、脂肪族、脂環式及び芳香族ハロゲン化炭化水素、ニトロアルカン、並びにエーテル、グリコールエーテル、エステル、ケトン等の酸素含有炭化水素からなる群から選択される少なくとも一種の有機溶媒を含むことが好ましい。具体的には、脂肪族炭化水素であるヘキサン、オクタン、脂環式炭化水素であるシクロヘキサン、芳香族炭化水素であるトルエン、キシレン、脂肪族ハロゲン化炭化水素であるジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、芳香族ハロゲン化炭化水素であるクロロベンゼン、ニトロアルカンであるニトロメタン、エーテルであるテトラヒドロフラン、グリコールエーテルであるジメトキシエタン、エステルである酢酸エチル、ケトンであるアセトン、メチルエチルケトンからなる群より選択される少なくとも一種の有機溶媒が挙げられる。また、一般式(1)のXに基因する脱離生成物が水溶性である場合には、洗浄時の抽出効率を高めるため、水を同時に添加することが好ましい。但し、この場合は非水溶性の有機溶媒を用いる必要がある。反応液は2−アルケニルエーテル生成物を含む有機層と触媒由来の無機塩や水溶性の脱離生成物を含む水層に分離するので、不要な水層は分離、除去する。水の添加とあわせて硫酸等の強酸をあわせて添加することにより触媒残渣の水層への移動が促進される。
上記の通り均一系触媒を2−アルケニル化反応液から分離した後、分離残渣(分離した水層)を再び前記添加溶媒と同様の溶媒で洗浄し、水層中に微量含まれている2−アルケニルエーテル生成物を洗浄液中に抽出し、その洗浄液を反応液と混合することで、生成物の回収率を高めることができる。洗浄、分別蒸留、抽出蒸留、液液抽出、固液抽出及び結晶化又はこれらの方法の任意の組合せを用いて、反応液から2−アルケニル化反応生成物を分離及び回収することができる。一例としてカルボン酸アリルエステルを2−アルケニル化剤(アリル化剤)として用いた場合の生成物分離方式としては、蒸留又は蒸発によって反応混合物から溶媒及び未反応の2−アルケニル化剤のような揮発分を分離除去し、次いで蒸留又は抽出によってカルボン酸副生成物を回収して、目的とする2−アルケニル誘導体生成物を底部生成物として回収することができる。上記方法により不要な成分が分離された2−アルケニルエーテル生成物を含む反応液は、エポキシ化等の工程の反応液として直接使用することができる。
上記の通り溶媒及び未反応の2−アルケニル化剤は蒸留操作等によって反応混合物から分離することができ、前述の方法における溶媒及び2−アルケニル化剤として再利用することができる。一例としてカルボン酸アリルエステルを2−アルケニル化剤として用いた場合に、蒸留操作により未反応のカルボン酸アリルエステルおよびカルボン酸を回収した後、次のバッチで使用する遷移金属錯体および分子内にヒドロキシル基を複数有する化合物に回収したカルボン酸アリルエステルを加え、反応容器に仕込むことで、再度カルボン酸アリルエステルを2−アルケニル化剤として使用することができる。また、回収物として得た未反応のカルボン酸アリルエステルおよびカルボン酸については、必要に応じて公知の分留操作及び共沸操作により、精製することもできる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。
[実施例1]
200mLのヤングコック付きシュレンク型反応管に、アルゴン気流下、錯化剤としてキナルジン酸(4.2mg,0.024mmol;東京化成工業(株)製)、遷移金属前駆体として[CpRu(CHCN)]PF(10.4mg,0.024mmol;Aldrich社製)(Cp:シクロペンタジエニル錯体)を加えた。ここに3回凍結−乾燥操作を施した、ペンタエリスリトール(409mg,3mmol)と酢酸アリル(36.04g,360mmol)の混合液を加え(ペンタエリスリトールのヒドロキシル基1当量当たり酢酸アリルが30当量)、キナルジン酸と[CpRu(CHCN)]PFを溶解、混合し80℃において6時間撹拌した。ガスクロマトグラフィー(GC)分析の結果、ペンタエリスリトールのテトラアリルエーテル体を91%、ペンタエリスリトールのトリアリルエーテル体を4%の収率で得た(ペンタエリスリトールの転化率>99%、総アリル化収率94.2%)。なお、ガスクロマトグラフィー分析は他の実施例、比較例を含めて以下の条件で実施した。
ガスクロマトグラフィー(GC)測定条件
Agilent 6850(Agilent社製)
キャピラリーカラム、Agilent HP−1(0.25mm x 30m)
カラム温度 60−300℃;昇温速度 20℃/分;検出温度 300℃
キャリアガス:ヘリウム、カラム圧:81.4kPa
スプリット比 30:1
総アリル化率は上記ガスクロマトグラフィー(GC)測定結果をもとに以下の式により算出した。
総アリル化率(%)=(モノアリルエーテル体収率)×0.25+(ジアリルエーテル体収率)×0.5+(トリアリルエーテル体収率)×0.75+(テトラアリルエーテル体収率)×1
反応終了後、空気にさらした後に、未反応の酢酸アリルおよび酢酸の混合物を回収するために、反応液を80Torr、75℃の条件で減圧蒸留して33.86g回収した。得られた留分をH−NMR分析した結果純度97%の酢酸アリルおよび3%の酢酸を含むことを確認した。
[実施例2]
実施例1において、酢酸アリルを0.5倍量(18.02g,180mmol)に変更(ペンタエリスリトールのヒドロキシル基1当量当たり酢酸アリルが15当量)した以外は実施例1と全く同じ条件下、2−アルケニル化した。反応後の溶液を分析した結果、ペンタエリスリトールのテトラアリルエーテル体を76%、ペンタエリスリトールのトリアリルエーテル体を9%の収率で得た(ペンタエリスリトールの転化率>99%、総アリル化収率82.9%)。
[実施例3]
実施例1において、酢酸アリルを2倍量(72.09g,720mmol)に変更(ペンタエリスリトールのヒドロキシル基1当量当たり酢酸アリルが60当量)した以外は実施例1と全く同じ条件下、2−アルケニル化した。反応後の溶液を分析した結果、ペンタエリスリトールのテトラアリルエーテル体を72%、ペンタエリスリトールのトリアリルエーテル体を26%の収率で得た(ペンタエリスリトールの転化率>99%、総アリル化収率91.2%)。
[実施例4]
200mLのヤングコック付きシュレンク型反応管に、アルゴン気流下、錯化剤としてキナルジン酸(4.2mg,0.024mmol;東京化成工業(株)製)、遷移金属前駆体として[CpRu(CHCN)]PF(10.4mg,0.024mmol;Aldrich社製)(Cp:シクロペンタジエニル錯体)を加えた。ここに3回凍結−乾燥操作を施した、1,4−シクロヘキサンジメタノール(1.44g,10mmol)と酢酸アリル(60.07g,600mmol)の混合液を加え(1,4−シクロヘキサンジメタノールのヒドロキシル基1当量当たり酢酸アリルが30当量)、キナルジン酸と[CpRu(CHCN)]PFを溶解、混合し80℃において6時間撹拌した。ガスクロマトグラフィー(GC)分析の結果、1,4−シクロヘキサンジメタノールのジアリルエーテル体を96%の収率で得た(1,4−シクロヘキサンジメタノールの転化率>99%、総アリル化収率>99%)。
[実施例5]
2−アルケニル化剤として実施例1の2−アルケニル化反応後に反応液を蒸留して得られた酢酸アリル及び酢酸を含む留分を、酢酸アリルの当量が実施例1と同じになる量(ペンタエリスリトールのヒドロキシル基1当量当たり酢酸アリルが30当量)で用いた以外は実施例1と全く同じ条件下、2−アルケニル化反応を実施した。反応後の溶液を分析した結果、テトラアリルエーテル体を80.3%、トリアリルエーテル体を10.8%、ジアリルエーテル体を1.4%の収率で得た(ペンタエリスリトールの転化率>99%、総アリル化収率89.1%)。
[比較例1]
実施例1において、酢酸アリルを0.1倍量(3.6g,36mmol)に変更(ペンタエリスリトールのヒドロキシル基1当量当たり酢酸アリルが3当量)した以外は実施例1と全く同じ条件下、2−アルケニル化した。反応後の溶液を分析した結果、
ペンタエリスリトールのテトラアリルエーテル体を47%、ペンタエリスリトールのトリアリルエーテル体を29%、ペンタエリスリトールのジアリルエーテル体を5%の収率で得た(ペンタエリスリトールの転化率98.8%、総アリル化収率70.9%)。
[比較例2]
実施例4において、酢酸アリルを0.1倍量(6.0g,60mmol)に変更(1,4−シクロヘキサンジメタノールのヒドロキシル基1当量当たり酢酸アリルが3当量)した以外は実施例4と全く同じ条件下、2−アルケニル化した。反応後の溶液を分析した結果、1,4−シクロヘキサンジメタノールのジアリルエーテル体を83%、1,4−シクロヘキサンジメタノールのモノアリルエーテル体を9%の収率で得た(1,4−シクロヘキサンジメタノールの転化率>99%、総アリル化収率87.4%)。
[比較例3]
200mLのヤングコック付きシュレンク型反応管に、アルゴン気流下、錯化剤としてキナルジン酸(4.2mg,0.024mmol;東京化成工業(株)製)、遷移金属前駆体として[CpRu(CHCN)]PF(10.4mg,0.024mmol;Aldrich社製)(Cp:シクロペンタジエニル錯体)を加えた。ここに3回凍結−乾燥操作を施したベンジルアルコール(1.08g,10mmol)と酢酸アリル(30.03g,300mmol)の混合液を加え(ベンジルアルコールのヒドロキシル基1当量当たり酢酸アリルが30当量)、キナルジン酸と[CpRu(CHCN)]PFを溶解、混合し80℃において6時間撹拌した。ガスクロマトグラフィー(GC)分析の結果、ベンジルアルコールのアリルエーテル体を98%の収率で得た(ペンタエリスリトールの転化率>99%、総アリル化収率>99%)。
[比較例4]
比較例3において、酢酸アリルを0.2倍量(6.0g,60mmol)に変更(ベンジルアルコールのヒドロキシル基1当量当たり酢酸アリルが6当量)した以外は比較例3と全く同じ条件下、2−アルケニル化した。反応後の溶液を分析した結果、ベンジルアルコールのアリルエーテル体を95%の収率で得て、原料は5%残存した(ベンジルアルコールの転化率95%、総アリル化収率95%)。比較例3と略同様の高い収率が得られており、分子内にヒドロキシル基を1つ有するベンジルアルコールに対して酢酸アリルを過剰に用いてもベンジルアルコールのアリルエーテル体の収率の顕著な向上は認められないことがわかる。すなわち、分子内にヒドロキシル基を1つ有する化合物に対して2−アルケニル化剤を過剰に用いても対応するアリルエーテル体の収率の向上効果は小さく、過剰な2−アルケニル化剤の回収操作をするとかえって製造コスト上不利となる。
[比較例5]
実施例1において、2−アルケニル基を有する化合物をアリルアルコール(2.1g、36mmol)に変更した以外は実施例1と全く同じ条件下、2−アルケニル化した。反応後の溶液を分析した結果、ペンタエリスリトールのテトラアリルエーテル体を19%、ペンタエリスリトールのトリアリルエーテル体を42%、ペンタエリスリトールのジアリルエーテル体を8%、ペンタエリスリトールのモノアリルエーテル体を10%、の収率で得た(ペンタエリスリトールの転化率>99%、総アリル化収率56.7%)。
[比較例6]
実施例1において、2−アルケニル基を有する化合物をアリルアルコール(21.0g、360mmol)に変更した以外は実施例1と全く同じ条件下、2−アルケニル化した。反応後の溶液を分析した結果、ペンタエリスリトールのジアリルエーテル体を4.8%、ペンタエリスリトールのモノアリルエーテル体を19.7%、の収率で得た(ペンタエリスリトールの転化率99>%、総アリル化収率7.3%)。
本発明の2−アルケニルエーテル化合物の製造方法によれば、2−アルケニル化反応に直接寄与しない溶媒以外の添加剤を使用することなく、2−アルケニル化剤を過剰に用いることで、分子内のアルコール性又はフェノール性の複数のヒドロキシル基を選択的に2−アルケニル化させることにより2−アルケニルエーテルを高反応率で製造することができる。2−アルケニル化剤には、大量に供給可能で安価なカルボン酸アリルエステルを用いることができ、アリルアルコールなどの2−アルケニルアルコールに比べ2−アルケニル化剤としての反応性が高く、毒性も低いことから工業化時の安全性も高い手法であり、生産性、操作性の観点から非常に有益である。また、2−アルケニル化反応で使用されなかった過剰の2−アルケニル化剤は、反応後の蒸留等の操作によって回収することができ、上記方法において2−アルケニル化剤として再利用することができる。そのため、本発明によれば、複数の2−アルケニル基を有する2−アルケニルエーテル化合物の製造効率を非常に高めることができる。

Claims (15)

  1. 分子内にヒドロキシル基を複数有する化合物を以下の一般式(1)で表される2−アルケニル基を有する化合物で触媒存在下にて2−アルケニル化反応させて2−アルケニルエーテル化合物を製造する方法であって、
    Figure 2014001154
    {式中、R、R、R、R、及びRは、各々独立して、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルケニル基、アセトキシ基又は炭素数6〜10のアリール基を表す。Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基を表す。}、前記触媒が、分子内に遷移金属原子に対して二座配位する窒素配位部−酸素配位部を有する錯化剤と、1価アニオン性5員環共役ジエンを分子内に配位子として有する遷移金属前駆体との反応生成物である遷移金属錯体であり、前記分子内にヒドロキシル基を複数有する化合物のヒドロキシル基1当量当たり前記2−アルケニル基を有する化合物を10〜100当量用いることを特徴とする2−アルケニルエーテル化合物の製造方法。
  2. 前記分子内にヒドロキシル基を複数有する化合物のヒドロキシル基1当量当たりの前記2−アルケニル基を有する化合物の量が15〜60当量である請求項1に記載の2−アルケニルエーテル化合物の製造方法。
  3. 前記2−アルケニル化反応終了後反応液中に残存する過剰の前記2−アルケニル基を有する化合物を回収して2−アルケニル化反応に再利用する請求項1又は2のいずれかに記載の2−アルケニルエーテル化合物の製造方法。
  4. 前記錯化剤が、以下の一般式(2)
    Figure 2014001154
    {式中、R〜Rは、各々独立して、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、又は置換基の炭素数の合計が1〜30のアルキル置換若しくは置換基の炭素数の合計が6〜30のアリール置換シリル基を表す。但し、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとRは各々互いに結合して飽和又は不飽和の4〜8員環を形成してもよい。}で表されるα−イミノ酸型配位子化合物である請求項1〜3のいずれか一項に記載の2−アルケニルエーテル化合物の製造方法。
  5. 前記遷移金属前駆体が、周期表の第8族及び第9族に属する遷移金属からなる群より選ばれる少なくとも一種の遷移金属原子を含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の2−アルケニルエーテル化合物の製造方法。
  6. 前記遷移金属原子がルテニウム及びロジウムからなる群より選ばれる請求項5に記載の2−アルケニルエーテル化合物の製造方法。
  7. 前記1価アニオン性5員環共役ジエンが以下の一般式(3)
    Figure 2014001154
    {式中、R10〜R30は、各々独立して、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、又は置換基の炭素数の合計が1〜30のアルキル置換若しくは置換基の炭素数の合計が6〜30のアリール置換シリル基を表し、環上の隣接する2つの炭素原子に結合する基が互いに結合して、前記隣接する2つの炭素原子とともに飽和又は不飽和の4〜8員環を形成してもよい。}のいずれかで表される共役可能な1価アニオン構造{式中、アニオンはR10〜R30の結合炭素に共役して存在する。}を有する請求項1〜6のいずれか一項に記載の2−アルケニルエーテル化合物の製造方法。
  8. 前記一般式(1)中、R、R、R、R、及びRが全て水素原子である請求項1〜7のいずれか一項に記載の2−アルケニルエーテル化合物の製造方法。
  9. 前記一般式(1)で表される化合物が、酢酸アリル、酢酸2−メチル−2−プロペニル、酢酸2−ヘキセニル、酢酸2,4−ヘキサジエニル、酢酸プレニル(酢酸3−メチル−2−ブテニル)、酢酸ゲラニル、酢酸ファルネシル、酢酸シンナミル、酢酸リナリル、酢酸3−ブテン−2−イル、酢酸2−シクロペンテニル、酢酸2−トリメチルシリルメチル−2−プロペニル、酢酸2−メチル−2−シクロヘキセニル、プロピオン酸1−フェニル−1−ブテン−3−イル、酪酸1−シクロヘキシル−2−ブテン、4−シクロペンテン−1,3−ジオール−1−アセテート、及び1,4−ジアセトキシブテン−2,3−アセトキシ−4−ヒドロキシブテン−1からなる群より選ばれるカルボン酸エステルである請求項1〜7のいずれか一項に記載の2−アルケニルエーテル化合物の製造方法。
  10. 前記分子内にヒドロキシル基を複数有する化合物が、分子内にヒドロキシル基を2〜10個有する炭素数が1〜30の飽和の脂肪族アルコール、分子内にヒドロキシル基を2〜10個有する炭素数が3〜30の飽和の脂環式アルコール、及び分子内にヒドロキシル基を2〜10個有する炭素数が6〜30のアリール化合物からなる群より選ばれる請求項1〜9のいずれか一項に記載の2−アルケニルエーテル化合物の製造方法。
  11. 前記分子内にヒドロキシル基を複数有する化合物が、分子内にヒドロキシル基を2〜6個有する請求項10に記載の2−アルケニルエーテル化合物の製造方法。
  12. 前記分子内にヒドロキシル基を複数有する化合物が、分子内にヒドロキシル基を3又は4個有する請求項11に記載の2−アルケニルエーテル化合物の製造方法。
  13. 前記分子内にヒドロキシル基を複数有する化合物が、1級の飽和の脂肪族アルコール又は脂環式アルコールである請求項10〜12のいずれか一項に記載の2−アルケニルエーテル化合物の製造方法。
  14. 前記遷移金属錯体を、分子内にヒドロキシル基を複数有する化合物と2−アルケニル基を有する化合物との総和(分子内にヒドロキシル基を複数有する化合物のモル量+2−アルケニル基を有する化合物のモル量)1モルに対して0.000001〜10モル用いる請求項1〜13のいずれか一項に記載の2−アルケニルエーテル化合物の製造方法。
  15. 1価アニオン性5員環共役ジエン骨格を有する化合物と遷移金属化合物とを反応させ1価アニオン性5員環共役ジエンを分子内に配位子として有する遷移金属前駆体を製造する工程と、
    前記遷移金属前駆体と錯化剤とを混合し遷移金属錯体を製造する工程と、
    前記遷移金属錯体と、分子内にヒドロキシル基を複数有する化合物と、2−アルケニル基を有する化合物を混合し反応させて2−アルケニルエーテル化合物を製造する工程と、
    を有する請求項1〜14のいずれか一項に記載の2−アルケニルエーテル化合物の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016028129A (ja) * 2014-07-08 2016-02-25 昭和電工株式会社 ポリアルケニルフェノール化合物の製造方法
CN111270260A (zh) * 2020-02-09 2020-06-12 浙江师范大学 一种芳香酰胺类化合物的邻位烯基化方法

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