JP6086594B2 - 多価アルコールの製造方法 - Google Patents

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本発明は多価アルコールの製造方法に関する。さらに詳しくはヘミアセタールの還元による多価アルコールの製造において不純物含量の少ない高純度多価アルコールの製造方法に関する。
多価アルコールは、合成樹脂や界面活性剤の原料、高沸点溶剤、不凍液の素材として利用されており、保湿性、抗菌性に優れ、髪のキューティクルを補修する作用を有することから、保湿剤や化粧品の伸びやすべりを良くする感触改良剤としても広く使用されている。
このような多価アルコールの用途において、不純物の混入による着色や性能の低下、臭気の発生といった問題を防ぐため、より高純度のものが望まれている。
多価アルコールの合成例は非常に多くの方法が知られているが、そのひとつとして、2−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロキシピランや2−ヒドロキシテトラヒドロフランなどのヘミアセタールを還元する方法が知られている(特許文献1〜5参照)。
特許文献1では、2−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロピランの水素化反応により3−メチルペンタン−1,5−ジオールを合成しているが、このとき下式(2)
Figure 0006086594
で示されるアセタール化合物(以下、「MPAE」と称する)が副生することが知られている。MPAEは3−メチルペンタン−1,5−ジオールと沸点が近接しているため蒸留による分離が困難であり、3−メチルペンタン−1,5−ジオールを分離する観点からは収率の低下の原因となる。そのため、2−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロピランの水素化反応に際し、水素化触媒としてモリブデン変性ラネーニッケルを使用する方法(特許文献2)や、塩基性化合物存在下で水素化する方法(特許文献3)により、MPAEの副生量を抑制する方法が提案されている。
また、特許文献2や3では、2−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロピランの水素化反応において、下式(3)
Figure 0006086594
で示されるβ−メチル−δ−バレロラクトン(以下、「MVL」と称する)が副生することが示されており、その生成抑制法が提案されている。
一方、特許文献4や5では、アリルアルコールのヒドロホルミル化生成物(2−ヒドロキシテトラヒドロフラン)の水素化反応による1,4−ブタンジオール製造の際に副生し、1,4−ブタンジオールとの蒸留分離が困難なアセタール化合物である2−(4−ヒドロキシブトキシ)テトラヒドロフランを除去するために、水の存在下で水素化を行う方法が提案されている。
特開昭50−106910号公報 特開平1−100139号公報 国際公開第2007/125909号 特開昭58−167532号公報 特表2000−507566号公報
しかし、特許文献2の方法では、MPAEの副生量が1%であり、生成抑制効果としてはなお改良の余地がある。また特許文献3の方法では、得られる多価アルコール(3−メチルペンタン−1,5−ジオール)の純度は最高で99.1%であった。
特許文献4の方法では、水素化反応に高価な貴金属触媒を使用しなければならず、また、特許文献5の方法ではアセタール化合物(2−(4−ヒドロキシブトキシ)テトラヒドロフラン)の除去は行えるものの、目的物のブタンジオールの副反応による収率の低下や、十分な高純度化が達成されていないという問題があった。
また、特許文献2または3においてMVLは蒸留によって不検出となるまで蒸留操作を継続できることがわかるが、それには十分な蒸留設備が必要であり、設備費が大きくなる懸念がある。
そこで、本発明の課題は、ヘミアセタールの還元によって高純度の多価アルコールを簡便に、工業的に有利に製造しうる方法を提供することにある。
本発明者らが鋭意検討した結果、特定構造のヘミアセタールを水素化して得られた、多価アルコールを含有する反応液に、アミンまたはその塩を加え、次いで多価アルコールを分離することによって高純度の多価アルコールを製造することに成功した。
即ち、本発明は、以下のとおりである。
<1>
下記一般式(1)で表されるヘミアセタールを、水素化触媒の存在下に水素化し、反応液(I)を得る工程(I)、
前記工程(I)で得られた反応液(I)にアミンまたはその塩を加え、反応液(II)を得る工程(II)、および
前記工程(II)で得られた反応液(II)から多価アルコールを蒸留により分離する工程(III)を含む、多価アルコールの製造方法。
Figure 0006086594


(一般式(1)中、R 〜R は、各々独立に水素原子または官能基を有していてもよいアルキル基もしくはアリール基を表す。nは1または2を表す。)
<2>
前記アミンまたはその塩が、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、3−メトキシプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、エタノールアミン、1−アミノ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアミン、アニリン、1,2−フェニレンジアミン、2−フェニルエチルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナンジアミン、ヒドロキシルアミン、およびそれらの塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩から選ばれる少なくとも1種である、<1>に記載の多価アルコールの製造方法。
<3>
前記アミンまたはその塩の添加量が、反応液(I)が含有するアセタール化合物(a)およびラクトン化合物(b)の合計モル量に対して、1.0〜10モル倍である、<1>または<2>に記載の多価アルコールの製造方法。
本発明は、上記<1>〜<3>に係る発明であるが、以下、それ以外の事項(例えば、下記[1]〜[3])についても記載している。
[1]
下記一般式(1)で表されるヘミアセタール(以下、ヘミアセタール(1)と称する。)を、水素化触媒の存在下に水素化し、反応液(I)を得る工程(I)、
前記工程(I)で得られた反応液(I)にアミンまたはその塩を加え、反応液(II)を得る工程(II)、および
前記工程(II)で得られた反応液(II)から多価アルコールを分離する工程(III)を含む、多価アルコールの製造方法。
Figure 0006086594
(一般式(1)中、R〜Rは、各々独立に水素原子または官能基を有していてもよいアルキル基もしくはアリール基を表す。nは1または2を表す。)
[2]
前記アミンまたはその塩が、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、3−メトキシプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、エタノールアミン、1−アミノ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアミン、アニリン、1,2−フェニレンジアミン、2−フェニルエチルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナンジアミン、ヒドロキシルアミン、およびそれらの塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩から選ばれる少なくとも1種である、[1]に記載の多価アルコールの製造方法。
[3]
前記アミンまたはその塩の添加量が、反応液(I)が含有するアセタール化合物(a)およびラクトン化合物(b)の合計モル量に対して、1.0〜10モル倍である、[1]または[2]に記載の多価アルコールの製造方法。
本発明の製造方法によれば、不純物の少ない高純度の多価アルコールを簡便に、工業的に有利に製造することができる。
<工程(I)>
工程(I)は、ヘミアセタール(1)を、水素化触媒の存在下に水素化し、反応液(I)を得る工程である。
[ヘミアセタール(1)]
ヘミアセタール(1)について説明する。
一般式(1)中、R〜Rは、各々独立に水素原子または官能基を有していてもよいアルキル基もしくはアリール基を表す。
アルキル基としては炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基がさらに好ましく、メチル基が特に好ましい。
アリール基としては、フェニル基、トリル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基などが挙げられる。
官能基としては、例えば、水酸基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、2−メトキシエトキシ基、2−エトキシエトキシ基、フリル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロピラニル基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基、ビフェニルオキシ基、ナフチルオキシ基などのエーテル基;アセチル基、ベンゾイル基などのケトン基;ホルミル基などのアルデヒド基;カルボン酸基およびその金属塩;アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などのアシルオキシ基;メトキシカルボニルオキシ基、フェノキシカルボニルオキシ基などの炭酸エステル基;シアノ基;メチルスルファニル基、フェニルスルファニル基などのスルファニル基;メチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基などのスルフィニル基;メチルスルホニル基、フェニルスルホニル基などスルホニル基;スルホン酸基およびその金属塩;トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などのシリル基;ジメチルホスフィノ基、ジブチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基などのホスフィノ基;オキソジメチルホスフィノ基、オキソジブチルホスフィノ基、オキソジフェニルホスフィノ基などのホスフィンオキシド基;ホスホン酸基およびその金属塩;クロル基、ブロモ基などのハロゲン基などが挙げられる。
一般式(1)中、nは1または2を表す。
nが2を表す場合、2つのRは同一でも互いに異なっていてもよく、2つのRは同一でも互いに異なっていてもよい。
一般式(1)中のnが1を表す場合、一般式(1)は下記一般式(1−1)と同等である。
Figure 0006086594
(一般式(1−1)中、R11〜R17は、各々独立に水素原子または官能基を有していてもよいアルキル基もしくはアリール基を表す。)
一般式(1−1)中、R11〜R17の具体例および好ましい範囲は、一般式(1)中のR〜Rと同様である。
一般式(1)中のnが2を表す場合、一般式(1)は下記一般式(1−2)と同等である。
Figure 0006086594
(一般式(1−2)中、R21〜R29は、各々独立に水素原子または官能基を有していてもよいアルキル基もしくはアリール基を表す。)
一般式(1−2)中、R21〜R29の具体例および好ましい範囲は、一般式(1)中のR〜Rと同様である。
本発明では、ヘミアセタール(1)として、2−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロフラン、または2−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロピランが特に好ましい。
[水素化触媒]
本発明に用いる水素化触媒としては、特に制限はなく、公知の水素化触媒を用いることができ、均一触媒、不均一触媒のいずれを使用してもよい。
水素化触媒の例としては、パラジウム/炭素、パラジウム/アルミナ、パラジウムブラック、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム等のパラジウム触媒;ルテニウム/炭素、ルテニウム/アルミナ、酸化ルテニウム、トリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムジクロリド等のルテニウム触媒;白金/炭素、白金/アルミナ、酸化白金等の白金触媒;ロジウム/炭素、ロジウム/アルミナ、トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウムクロリド等のロジウム触媒;ラネーニッケル、ニッケル/珪藻土、ニッケル/アルミナ、ニッケル/シリカ、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド等のニッケル触媒;ラネー銅等の銅触媒、ラネーコバルト、コバルト/アルミナ等のコバルト触媒、トリカルボニルビストリフェニルホスフィン鉄、テトラカルボニルメチルイソニトリル鉄、鉄(II)アセチルアセトナト、鉄(III)アセチルアセトナト、フェロセンなどの鉄触媒;ヘキサカルボニル六イリジウム、クロロカルボニルビストリフェニルホスフィンイリジウム、クロロ−1,5−シクロオクタジエンイリジウムダイマーなどのイリジウム触媒;ドデカカルボニル三オスミウム、オクタデカカルボニル六オスミウム、テトラヒドリドトリストリフェニルホスフィンオスミウム、オスモセンなどのオスミウム触媒等を挙げることができる。
これらのうち、反応成績や価格の観点から、ニッケル触媒が好ましい。
また、不均一触媒の金属の担体としては、シリカ、アルミナ、珪藻土が好ましい。
水素化触媒は1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。水素化触媒の使用量は、必ずしも限られるものではないが、通常、使用するヘミアセタール(1)全量に対して0.1〜10質量%の範囲であることが好ましく、1〜5質量%の範囲であるのがより好ましい。水素化触媒の使用量が0.1質量%以上の場合、十分な反応速度で反応が進行するため有利である。一方、10質量%以下の場合、急激な反応による発熱や暴走反応を抑えることができるため、有利である。
不均一触媒の金属は、クロム、モリブデン、アルミニウム、タングステンなどの異種金属により変性されていてもよい。
本発明において水素化の形式はバッチ形式でも連続形式でもよい。
本発明において水素の反応系への供給方法に特に制限はないが、連続的に供給するのが好ましい。水素は不活性な気体で希釈されていてもかまわない。また、本発明における反応圧力に特に制限はないが、水素分圧として0.1〜10MPaであるのが好ましく、0.2〜2.0MPaであるのがより好ましい。水素分圧が0.1MPa以上の場合、十分な反応速度が得られるために有利であり、水素圧力が10MPa以下の場合、耐圧能力を有する高価な反応器を必要としないため、経済的に有利である。
また、本発明における反応温度に特に制限はないが、通常、40〜120℃であるのが好ましく、50〜100℃であるのがより好ましい。反応温度が40℃以上の場合、十分な反応速度が得られるために有利であり、反応温度が120℃以下の場合、生成物の分解などの副反応を抑えられるために有利である。
また、本発明において溶媒を使用してもよい。使用する溶媒としては、使用する原料や生成物と反応しないものであれば特に制限はなく、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘキサンなどの飽和脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレンなどの芳香族炭化水素;ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ブチルメチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、エチルフェニルエーテル、ジフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテルなどが挙げられる。これらの溶媒は1つを単独で使用してもよいし、2つ以上を併用してもよい。溶媒を使用する場合、溶媒の使用量に特に制限はないが、反応混合液全体に対して、通常、1〜90質量%の範囲であるのが好ましい。また、溶媒はヘミアセタール(1)の合成工程で使用した溶媒をそのまま用いてもよい。
工程(I)で得られる反応液(I)には、本発明の目的物である多価アルコールの他に、アセタール化合物(a)およびラクトン化合物(b)などの不純物が含有されている。ここで、本明細書においてアセタール化合物(a)とは、典型的には目的生成物の多価アルコールとヘミアセタール(1)とが反応して生成する化合物であり、例えば後述する実施例および比較例におけるMFAEが該当し、2−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロピランの水素化反応ではMPAEが該当し、アリルアルコールのヒドロホルミル化生成物(2−ヒドロキシテトラヒドロフラン)の水素化反応では2−(4−ヒドロキシブトキシ)テトラヒドロフランが該当する。また、本明細書においてラクトン化合物(b)とは、典型的にはヘミアセタール(1)が水素化反応条件下で一部脱水素することによって生成する化合物であり、例えば後述する実施例および比較例におけるMBLが該当し、2−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロピランの水素化反応ではMVLが該当する。
<工程(II)>
工程(II)は、前記工程(I)で得られた反応液(I)に、アミンまたはその塩を加え、反応液(II)を得る工程である。
工程(II)では、前記工程(I)で得られた反応液(I)を、いったん精製したものを用いてもよいが、そのまま用いるのが、工程がより簡便となることからより好ましい。
[アミンまたはその塩]
工程(II)で用いるアミンまたはその塩はそのまま使用してもよいし、溶液とした状態で使用してもかまわない。また、アミンと酸を反応器内で混合することでアミンの塩を発生させて使用してもよい。
工程(II)で用いるアミンまたはその塩としては特に限定は無いが、一般的に入手が容易なものとして、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、3−メトキシプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、エタノールアミン、1−アミノ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアミン、アニリン、1,2−フェニレンジアミン、2−フェニルエチルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナンジアミン、ヒドロキシルアミン、およびそれらの塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩などを挙げることができる。
アミンまたはその塩の使用量は、反応液(I)に含まれるアセタール化合物(a)およびラクトン化合物(b)の合計含有モル量に対して、通常、1.0〜10モル倍が好ましく、1.1〜5モル倍がより好ましい。1.0モル倍以上であれば不純物の十分な除去がされやすい傾向であり好ましく、10モル倍以下であれば経済的であるため好ましい。
工程(II)の反応温度は10℃〜200℃が好ましく、30℃〜80℃がより好ましい。10℃以上であればアセタール化合物(a)およびラクトン化合物(b)の除去速度が速くなる傾向であり好ましく、200℃以下であれば生成物の分解が起こりにくく、収率が向上する傾向であり好ましい。
本工程(II)において、溶媒の使用は必須ではないが使用してもかまわない。溶媒としては、原料や生成物と反応を起こさず、原料や生成物とも混和して均一になるものが好ましく、例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテルや水などが挙げられる。溶媒を使用する場合、その使用量について制限は特に無いが、反応液(I)に対して、通常、100質量%以下であることが好ましい。溶媒使用量が100質量%以下であれば、反応熱の除去や、副生物の抑制、溶媒の回収に要するエネルギーの抑制の観点で有利である。
反応の形式はバッチ形式でも連続形式でもよい。
反応をバッチ形式で行う場合、アミンまたはその塩は反応液(I)に一括して加えてもよいし、反応液(I)に徐々に添加してもよい。また、アミンもしくはその塩、またはそれらを含む溶液に反応液(I)を添加してもよい。
反応を連続形式で行う場合、アミンもしくはその塩、もしくはそれらの溶液はあらかじめ反応液(I)に混合して反応系にフィードしてもよいし、反応液(I)とアミンもしくはその塩、またはそれらを含む溶液を別々に反応系にフィードしてもよい。
<工程(III)>
工程(III)は、前記工程(II)で得られた反応液(II)から多価アルコールを分離する工程である。
工程(II)で得られた反応液(II)の分離は通常の蒸留で行うことができる。蒸留塔は、多孔板塔、泡鐘塔などでもよいが、好ましくは低圧損失の充填塔を用いて減圧蒸留による分離精製を行うと、高純度の多価アルコールを容易に得ることができる。
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。なお、本実施例において、ガスクロマトグラフィー分析は以下の条件で行い、収率は検量線法による内部標準法により求めた。
[ガスクロマトグラフィー分析条件]
分析機器:GC−2014(株式会社島津製作所製)
検出器:FID(水素炎イオン化型検出器)
使用カラム:DB−1(長さ30m、膜厚0.25μm、内径0.25mm)(アジレント・テクノロジー株式会社製)
分析条件:InjectionTemp.250℃、Detection Temp.250℃
昇温条件:60℃(5分保持)→(5℃/分で昇温)→210℃(5分保持)
以下実施例、比較例において、下記式(4)で表されるアセタール化合物および下記式(5)で表されるアセタール化合物をまとめて「MFAE」と称する。
Figure 0006086594
Figure 0006086594
以下実施例、比較例において、下記式(6)で表されるラクトン化合物を「MBL」と称する。
Figure 0006086594
<参考例1>
3−メチル−3−ブテン−1−オール(3325mL、2840g)に、(アセチルアセトナト)ジカルボニルロジウム(36.1mg、0.14mmol)およびトリ(2−tertブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト(11.9g、22.8mmol)を溶解させたトルエン溶液(175mL)、ならびにトリエチルアミン(1.0g)を加えて80℃に加熱し、一酸化炭素:水素=1:1(モル比)の混合ガスで反応器内部の圧力を5MPaに保ち、オフガス流量20L/hrで反応を行った。6時間で3−メチル−3−ブテン−1−オールの転化率は100%となり、得られた反応液を単蒸留することで、純度96.3%の2−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロピランを得た(収率92.4%)。
<参考例2>
3−メチル−3−ブテン−1−オール(3325mL、2840g)の代わりに、メタリルアルコール(3325mL、2840g)を用いる以外は参考例1と同様にして反応を行った。得られた反応液を単蒸留することで、純度90.1%の2−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロフランを得た(収率88.0%)。
<実施例1>
(I)参考例1で得た2−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロピラン(1000mL、855g)に水素化触媒としてラネーニッケル(BK113AW、エボニックデグサジャパン株式会社製、wet状態で30g)を使用し、30%水酸化ナトリウム水溶液を0.67g添加して、反応温度120℃、反応圧力0.8MPaになるように水素を導入した。温度が120℃に達してから1時間後に30%水酸化ナトリウム水溶液1.33gを含んだ2−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロピラン2000mLを4時間かけて反応器にフィードした。フィード終了後、2時間撹拌して反応を行った。2−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロピランは完全に消費され、得られた反応液を単蒸留することで、3−メチルペンタン−1,5−ジオール(92.3%)、MPAE(0.2%)、MVL(2.0%)を含む反応液(1−I)を1972mL得た。
(II)水(1g)にヒドロキシルアミン塩酸塩(0.44g)を溶解し、これを前記(I)で得た3−メチルペンタン−1,5−ジオール(92.3%)、MPAE(0.2%)、MVL(2.0%)を含む反応液(1−I)(10g)に全量加えて、70℃で2時間加熱撹拌し、反応液(1−II)を得た。
(III)前記で得られた反応液(1−II)を単蒸留することで、3−メチルペンタン−1,5−ジオールを純度99.7%、収率99%で得た。MPAEの含量は0.2%、MVLは未検出であった。
<実施例2>
実施例1の(I)で得た反応液(1−I)をヘリパックNo.2(トウトクエンジ株式会社製)を充填した段数20段の蒸留塔を用い、還流比6、3Torrで減圧蒸留を行い反応液(1−I’)を得た。反応液(1−I’)は、蒸留収率93%で3−メチルペンタン−1,5−ジオールの純度は99.1%であり、MPAEの含量は0.2%、MVLは0.6%であった。
反応液(1−I)に代えて反応液(1−I’)を用いる以外は実施例1の(II)および(III)と同様の操作を行った。
その結果、3−メチルペンタン−1,5−ジオールを純度99.7%、収率99%で得た。MPAE0.1%、MVLは未検出であった。
<実施例3>
参考例1で得た2−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロピランの代わりに、参考例2で得た2−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロフランを使用する以外は実施例1の(I)と同様の操作を行い、2−メチルブタン−1,4−ジオール(88.0%)、MFAE(1.9%)、MBL(0.3%)を含む反応液(3−I)を1985mL得た。
反応液(3−I)をヘリパックNo.2(トウトクエンジ株式会社製)を充填した段数20段の蒸留塔を用い、還流比6、3Torrで減圧蒸留による精製を行い反応液(3−I’)を得た。反応液(3−I’)は、蒸留収率92%で2−メチルブタン−1,4−ジオールの純度は98.0%であり、MFAEが1.9%、MBLは0.1%含まれていた。
反応液(1−I)の代わりに反応液(3−I’)10gを用いる以外は実施例1の(II)および(III)と同様の操作を行った。その結果、2−メチルブタン−1,4−ジオールを純度99.7%、収率98%で得た。MFAEは0.2%、MBLは未検出であった。
<実施例4>
実施例1の(I)において水酸化ナトリウムを使用しなかった以外は同様の操作を行い、3−メチルペンタン−1,5−ジオール(90.0%)、MPAE(3.6%)、MVL(6.0%)を含む反応液(4−I)を得た。
反応液(1−I)の代わりに反応液(4−I)10gを用いる以外は実施例1の(II)および(III)と同様の操作を行った。その結果、3−メチルペンタン−1,5−ジオールを純度99.7%、収率99%で得た。MPAEの含量は0.2%、MVLは未検出であった。
<比較例1>
反応液(1−I)をヘリパックNo.2(トウトクエンジ株式会社製)を充填した段数20段の蒸留塔を用い、還流比6、3Torrで減圧蒸留による3−メチルペンタン−1,5−ジオールの分離精製を行った。その結果、蒸留収率93%で3−メチルペンタン−1,5−ジオールの純度は99.1%であり、MPAEは0.2%、MVLは0.6%含まれていた。
<比較例2>
反応液(3−I)をヘリパックNo.2(トウトクエンジ株式会社製)を充填した段数20段の蒸留塔を用い、還流比6、3Torrで減圧蒸留による2−メチルブタン−1,4−ジオールの分離精製を行った。その結果、蒸留収率92%で2−メチルブタン−1,4−ジオールの純度は98.0%であり、MFAEが1.9%、MBLは0.1%含まれていた。
本発明の製造方法により得られる多価アルコールは、合成樹脂や界面活性剤の原料、高沸点溶剤、不凍液の素材、保湿剤や化粧品の伸びやすべりを良くする感触改良剤のうち、高純度品が求められる用途において広く利用できる。

Claims (3)

  1. 下記一般式(1)で表されるヘミアセタールを、水素化触媒の存在下に水素化し、反応液(I)を得る工程(I)、
    前記工程(I)で得られた反応液(I)にアミンまたはその塩を加え、反応液(II)を得る工程(II)、および
    前記工程(II)で得られた反応液(II)から多価アルコールを蒸留により分離する工程(III)を含む、多価アルコールの製造方法。
    Figure 0006086594


    (一般式(1)中、R〜Rは、各々独立に水素原子または官能基を有していてもよいアルキル基もしくはアリール基を表す。nは1または2を表す。)
  2. 前記アミンまたはその塩が、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、3−メトキシプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、エタノールアミン、1−アミノ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアミン、アニリン、1,2−フェニレンジアミン、2−フェニルエチルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナンジアミン、ヒドロキシルアミン、およびそれらの塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の多価アルコールの製造方法。
  3. 前記アミンまたはその塩の添加量が、反応液(I)が含有するアセタール化合物(a)およびラクトン化合物(b)の合計モル量に対して、1.0〜10モル倍である、請求項1または2に記載の多価アルコールの製造方法。
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