JP6830477B2 - ビスホスファイトおよびそれを用いた1,9−ノナンジアールの製造方法 - Google Patents

ビスホスファイトおよびそれを用いた1,9−ノナンジアールの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、触媒配位子として有用なビスホスファイトおよびそれを用いた1,9−ノナンジアール(NL)の製造方法に関する。より詳細には、7−オクテナール(OEL)のヒドロホルミル化によりNLおよび2−メチル−1,8−オクタンジアール(MOL)を約80:20のモル比で製造する際に有用なビスホスファイト、およびそれを用いたNLの製造方法に関する。
第8〜10族金属化合物の存在下、オレフィン化合物を一酸化炭素および水素と反応させてアルデヒドを製造する方法は「ヒドロホルミル化反応」または「オキソ反応」と称されており、アルデヒドの製造方法として工業的に極めて価値が高い。
かかるヒドロホルミル化反応には、一般に、触媒としてロジウム化合物および必要に応じて触媒配位子としてリン化合物が工業的に使用されている。ヒドロホルミル化反応においては、リン化合物の構造により触媒活性、生成物の選択性ならびに触媒配位子の熱安定性および耐加水分解性などが大きく変化することが知られており、これまでに種々のリン化合物が開発されてきた。かかるリン化合物としては、特許文献1に記載のホスフィン、非特許文献1および2に記載のモノホスファイト、特許文献2〜5ならびに非特許文献3および4に記載のビスホスファイトなどが開発されてきた。
OELのヒドロホルミル化によりNL(およびMOL)を製造する際、用いるリン化合物の構造によりNLおよびMOLのモル比が変化する。NLおよびMOLは還元アミノ化により1,9−ノナンジアミン(直鎖ジアミン;NA)や2−メチル−1,8−オクタンジアミン(分岐ジアミン;MOA)に誘導でき、これらのジアミンはさらにポリアミドの原料となる。直鎖ジアミンと分岐ジアミンのモル比はポリアミドの結晶性、融点、加工性などの種々の特性に影響するため、所望のモル比でNL(およびMOL)を製造できるリン化合物を選定する必要がある。
特許文献5には、分子末端の炭素−炭素二重結合の分子内部への異性化反応を抑制しつつNLおよびMOLを約80:20のモル比で得られるリン化合物として、下記式で表されるものが開示されている。
Figure 0006830477
しかしながら、前記リン化合物を用いた場合のOELの反応速度は未だ十分でなく、OELのヒドロホルミル化の際に触媒配位子として用いた場合にNLおよびMOLを約80:20のモル比でさらに生産性よく得られるリン化合物が求められている。
特開平8−10624号公報 特開平4−290551号公報 特開昭62−116535号公報 特開平5−178779号公報 特開2008−31125号公報
ザ ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー(The Journal of Organic Chemistry)、1969年、第34巻、第2号、p.327−330 ジャーナル オブ ザ ケミカル ソサエティー、ケミカル コミュニケーションズ(Journal of the Chemical Society,Chemical Communications)、1991年、p.1096−1097 オルガノメタリクス(Organometallics)、1996年、第15巻、p.835−847 ヘルベチカ キミカ アクタ(Helvetica Chimica Acta)、2001年、第84巻、p.3269−3280
本発明の目的は、第8〜10族金属化合物およびビスホスファイトの存在下においてOELのヒドロホルミル化によりNLおよびMOLを得る際に、NLおよびMOLを約80:20のモル比で生産性よく得られるビスホスファイト、およびそれを用いたNLの製造方法を提供することにある。
本発明によれば、上記の目的は以下の[1]〜[3]を提供することで達成される。
[1]下記一般式(I)で示されるビスホスファイト(以下、「ビスホスファイト(I)」と称する)。
Figure 0006830477
(式中、Aは置換基を有していてもよい炭素数1〜10の炭化水素基を表す。)
[2]Aがメチル基である、[1]のビスホスファイト。
[3][1]または[2]のビスホスファイトおよび第8〜10族金属化合物の存在下、OELを一酸化炭素および水素と反応させることを特徴とする、NLの製造方法。
本発明によれば、OELのヒドロホルミル化によりNLおよびMOLを約80:20のモル比で生産性よく得ることが可能である。なお、本明細書において「約80:20」とは、例えば79.0:21.0〜81.0:19.0の範囲を指す。
[ビスホスファイト(I)]
ビスホスファイト(I)においてAが表す炭素数1〜10の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、2−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基などのシクロアルキル基;フェニル基、ナフチル基などのアリール基;ベンジル基などのアラルキル基などが挙げられる。
これらの炭化水素基は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、2−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、n−ペンチル基などの好ましくは炭素数1〜5のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などの好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基;フェニル基、ナフチル基などのアリール基などが挙げられる。
中でも、Aは炭素数1〜6の炭化水素基であることが好ましく、炭素数1〜4の炭化水素基であることがより好ましく、メチル基、エチル基およびn−プロピル基がさらに好ましく、メチル基が特に好ましい。
ビスホスファイト(I)の具体例としては、例えば下記式で示されるものなどが挙げられる。
Figure 0006830477
[ビスホスファイト(I)の製造方法]
以下、本発明のビスホスファイト(I)の製造方法について説明する。
ビスホスファイト(I)の製造方法に特に制限はないが、例えば以下の様にして製造できる。
まず、下記式(i)で示される2,4−ジ−tert−ブチルフェノール(以下、フェノール(i)と称する)と塩化銅(II)無水物および過酸化水素を、窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下でメタノール等の溶媒の存在下に反応させることにより、下記式(ii)で示されるビスフェノール(以下、ビスフェノール(ii)と称する)を製造する。
Figure 0006830477
次に、ビスフェノール(ii)と一般式PY (Yは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表す)で示される三ハロゲン化リン化合物を、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で、溶媒および必要に応じて塩基性物質の存在下に反応させることにより、下記式(iii)で示されるモノホスファイト(以下、モノホスファイト(iii)と称する)を製造する(以下、この方法を「モノホスファイト製造方法(a)」と称する)。
Figure 0006830477
次いで、後述するビスホスファイト製造方法(A)または(B)によりビスホスファイト(I)を得る。
(モノホスファイト製造方法(a))
まず、モノホスファイト製造方法(a)について詳細に説明する。
一般式PY で示される三ハロゲン化リン化合物の使用量は、ビスフェノール(ii)1モルに対して通常0.1〜1モルの範囲であり、0.2〜0.8モルの範囲であるのが好ましい。
モノホスファイト製造方法(a)で必要に応じて用いることができる塩基性物質としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、ジエチルイソプロピルアミン、N,N−ジメチルアニリンなどのアミン;ピリジン、ピコリン、コリジン、ルチジン、キノリンなどの含窒素複素環式化合物などが挙げられる。これらの中でも、トリエチルアミン、ピリジンを使用するのが好ましい。塩基性物質は1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
塩基性物質を使用する場合、かかる塩基性物質の使用量は、ビスフェノール(ii)1モルに対して、0.3〜3モルの範囲であるのが好ましい。
モノホスファイト製造方法(a)で使用する溶媒としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘキサンなどの飽和脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、キシレン、エチルトルエンなどの芳香族炭化水素;ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ブチルメチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテルなどが挙げられる。中でもトルエンまたはテトラヒドロフランを使用するのが好ましい。溶媒は、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
かかる溶媒の使用量は、ビスフェノール(ii)1質量部に対して1〜20質量部の範囲であるのが好ましい。
モノホスファイト製造方法(a)における反応温度、反応圧力、反応時間などの条件に特に制限はない。しかしながら、反応温度は通常−20〜100℃の範囲であり、0〜50℃の範囲であるのが好ましい。また、反応圧力は0.0〜3MPa(ゲージ圧)の範囲であるのが好ましく、反応時間は1〜30時間の範囲であるのが好ましい。
モノホスファイト製造方法(a)の実施方法に特に制限はなく、例えば窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で、溶媒および必要に応じて塩基性物質の存在下、大気圧下にて一般式PY で示される三ハロゲン化リン化合物を、所定温度でビスフェノール(ii)へ1分〜10時間かけて滴下した後、所定温度で所定時間反応させることで行う。
上記方法により得られた反応終了後の反応混合物から、例えばろ過などの手段により、副生した塩(例えばトリエチルアミン塩酸塩、ピリジン塩酸塩など)を除去して粗モノホスファイト(iii)を含有する混合液を得、かかる粗モノホスファイト(iii)をそのまま後述するビスホスファイト製造方法(A)または(B)に供してもよい。あるいは、該混合液から溶媒を留去し、得られた残留物を再結晶やカラムクロマトグラフィーに付すことにより純度の高いモノホスファイト(iii)を得、かかるモノホスファイト(iii)を後述するビスホスファイト製造方法(A)または(B)に供してもよい。
(ビスホスファイト製造方法(A))
ビスホスファイト製造方法(A)は、モノホスファイト(iii)と下記一般式(iv)で示されるハロゲン化ホスファイト(以下、ハロゲン化ホスファイト(iv)と称する)を、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で、溶媒および必要に応じて塩基性物質の存在下に反応させる方法である。
Figure 0006830477
(式中、Aは前記定義の通りであり、Yは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表す。)
ビスホスファイト製造方法(A)におけるハロゲン化ホスファイト(iv)の使用量は、モノホスファイト(iii)1モルに対して0.8〜3モルの範囲であるのが好ましく、1〜2モルの範囲であるのがより好ましい。
ビスホスファイト製造方法(A)において必要に応じて用いることができる塩基性物質としては、モノホスファイト製造方法(a)において例示した塩基性物質のほか、水素化ナトリウム、水素化カリウムなどの金属水素化物;メチルリチウム、ブチルリチウムなどのアルキルリチウムなどが挙げられる。中でもトリエチルアミン、ピリジン、ブチルリチウムまたは水素化ナトリウムを使用するのが好ましい。塩基性物質は1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。塩基性物質を使用する場合、かかる塩基性物質の使用量は、モノホスファイト(iii)1モルに対して0.8〜2モルの範囲であるのが好ましい。
溶媒としては、モノホスファイト製造方法(a)において例示した溶媒と同様のものが挙げられる。中でも、トルエン、テトラヒドロフランを使用するのが好ましい。溶媒は、1つを単独で使用してもよいし、2つ以上を併用してもよい。
かかる溶媒の使用量は、モノホスファイト(iii)1質量部に対して1〜100質量部の範囲であるのが好ましい。
ビスホスファイト製造方法(A)における反応温度、反応圧力、反応時間などの条件に特に制限はない。しかしながら、反応温度は通常−100〜100℃の範囲であり、−80〜80℃の範囲であるのが好ましい。反応圧力は0.0〜3MPa(ゲージ圧)の範囲であるのが好ましく、反応時間は0.5〜30時間の範囲であるのが好ましい。
ビスホスファイト製造方法(A)の実施方法に特に制限はなく、例えば窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で、溶媒および必要に応じて塩基性物質の存在下、大気圧下にてハロゲン化ホスファイト(iv)をモノホスファイト(iii)に所定温度で1分〜10時間かけて滴下し、所定温度で所定時間反応させることで行う。特に、塩基性物質として前記した金属水素化物またはアルキルリチウムを使用する場合、通常、予めモノホスファイト(iii)を金属水素化物またはアルキルリチウムと反応させ、次いでハロゲン化ホスファイト(iv)を所定温度で1分〜10時間かけて滴下し、所定温度で所定時間反応させることにより実施できる。
上記方法により得られた反応混合物から、例えば、反応終了後、反応混合液からろ過などの手段により副生した塩(例えばトリエチルアミン塩酸塩、ピリジン塩酸塩)を除去した後、反応混合液から溶媒を留去し、得られた残留物を再結晶に付すことにより、純度の高いビスホスファイト(I)を得ることができる。
なお、ビスホスファイト製造方法(A)において使用するハロゲン化ホスファイト(iv)は、例えば、三塩化リンなどの三ハロゲン化リン化合物と後述するビスホスファイト製造方法(B)で使用するジオールを、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で、必要に応じてトリエチルアミンなどの塩基性物質およびテトラヒドロフランやトルエンなどの溶媒の存在下で反応させることにより製造でき(例えば、ジャーナル オブ ケミカル ソサエティー(Journal of Chemical Society)、1953年、p.1920−1926参照)、さらに、適宜、蒸留や再結晶などの通常の有機化合物の分離・精製方法を適用して純度を高めることができる。
(ビスホスファイト製造方法(B))
ビスホスファイト製造方法(B)は、モノホスファイト(iii)と一般式PY (式中、Yは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表す)で示される三ハロゲン化リン化合物を、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で、溶媒および必要に応じて塩基性物質の存在下に反応させて、下記一般式(v)で示されるハロゲン化ホスファイト(以下、ハロゲン化ホスファイト(v)と称する)を得た後(以下、「ビスホスファイト製造方法(B−前半)」と称する)、下記一般式(vi)で示されるジオール(以下、「ジオール(vi)」と称する)を、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で、溶媒および必要に応じて塩基性物質の存在下に反応させる(以下、「ビスホスファイト製造方法(B−後半)」と称する)方法である。
Figure 0006830477
(式中、YおよびAは前記定義の通りである。)
まず、ビスホスファイト製造方法(B−前半)について説明する。
一般式PY で示される三ハロゲン化リン化合物の使用量は、モノホスファイト(iii)1モルに対して、通常1〜100モルの範囲であり、1〜10モルの範囲であるのが好ましい。
ビスホスファイト製造方法(B−前半)において必要に応じて用いることができる塩基性物質としては、モノホスファイト製造方法(a)において使用する塩基性物質と同様のものが挙げられる。中でも、トリエチルアミン、ピリジンを使用するのが好ましい。塩基性物質は、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
塩基性化合物を使用する場合、その使用量は、モノホスファイト(iii)1モルに対して1〜10モルの範囲であるのが好ましい。
ビスホスファイト製造方法(B−前半)において使用する溶媒としては、モノホスファイト製造方法(a)において使用する溶媒と同様のものが挙げられる。中でも、トルエン、テトラヒドロフランを使用するのが好ましい。溶媒は、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
かかる溶媒の使用量は、モノホスファイト(iii)1質量部に対して1〜100質量部の範囲であるのが好ましい。
ビスホスファイト製造方法(B−前半)における反応温度、反応圧力、反応時間などの反応条件に特に制限はない。しかしながら、反応温度は通常0〜150℃の範囲であり、20〜120℃の範囲であるのが好ましい。また、反応圧力は0.05〜3MPa(ゲージ圧)の範囲であるのが好ましい。反応時間は0.5〜30時間の範囲であるのが好ましい。
ビスホスファイト製造方法(B−前半)の実施方法に特に制限はなく、例えば窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で、溶媒および必要に応じて塩基性物質の存在下、大気圧下にて一般式PY (式中、Yは前記定義の通りである。)で示される三ハロゲン化リン化合物をモノホスファイト(iii)に所定温度で1分〜10時間かけて滴下した後、所定温度で所定時間反応させることにより実施できる。
上記方法により得られたハロゲン化ホスファイト(v)を含有する反応混合物をろ過し、ろ液から前記三ハロゲン化リン化合物、溶媒、塩基性物質などを減圧下に留去して得られるハロゲン化ホスファイト(v)を含有する残留物は、そのまま後述するビスホスファイト製造方法(B−後半)に使用してもよいし、トルエン、テトラヒドロフランなどの溶媒を用いて再結晶することにより、ハロゲン化ホスファイト(v)を単離してからビスホスファイト製造方法(B−後半)に使用してもよい。
次に、ビスホスファイト製造方法(B−後半)について詳細に説明する。
ビスホスファイト製造方法(B−後半)において使用するジオール(vi)の使用量は、ハロゲン化ホスファイト(v)1モルに対して、通常1〜10モルの範囲であり、1〜2モルの範囲であるのが好ましい。
ビスホスファイト製造方法(B−後半)において必要に応じて用いることができる塩基性物質としては、モノホスファイト製造方法(a)において例示した塩基性物質と同様のものが挙げられる。中でもトリエチルアミン、ピリジンを使用するのが好ましい。塩基性物質は1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
塩基性物質を使用する場合、その使用量は、ハロゲン化ホスファイト(v)1モルに対して2〜10モルの範囲であるのが好ましい。
ビスホスファイト製造方法(B−後半)において使用する溶媒としては、モノホスファイト製造方法(a)において例示した溶媒と同様のものが挙げられる。中でも、トルエン、テトラヒドロフランを使用するのが好ましい。溶媒は1つを単独で使用してもよいし、2つ以上を併用してもよい。
かかる溶媒の使用量は、ハロゲン化ホスファイト(v)1質量部に対して1〜100質量部の範囲であるのが好ましい。
ビスホスファイト製造方法(B−後半)における反応温度、反応圧力、反応時間などの反応条件に特に制限はない。しかしながら、反応温度は通常−20〜100℃の範囲であり、0〜50℃の範囲であるのが好ましい。また、反応圧力は0.0〜3MPa(ゲージ圧)の範囲であるのが好ましく、反応時間は0.5〜30時間の範囲であるのが好ましい。
ビスホスファイト製造方法(B−後半)の実施方法に特に制限はなく、例えば窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で、溶媒および必要に応じて塩基性物質の存在下、大気圧下にてジオール(vi)および必要に応じて溶媒を、ビスホスファイト製造方法(B−前半)で得られたハロゲン化ホスファイト(v)に所定温度で1分〜10時間かけて滴下し、所定温度で所定時間反応させることにより実施できる。
上記方法により得られた反応混合液からのビスホスファイト(I)の分離・精製においては、例えばろ過などの手段により、副生した塩(例えばトリエチルアミン塩酸塩、ピリジン塩酸塩など)を除去した後、反応混合液から溶媒を留去し、得られる粗生成物を再結晶に付すことにより、純度の高いビスホスファイト(I)を得ることができる。なお、再結晶は、例えば該粗生成物をヘキサン、トルエン、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリルなどの溶媒に40℃から溶媒の沸点までの範囲で加熱して溶解し、−20〜20℃に冷却して放置することにより実施できる。
[NLの製造方法]
次に、ビスホスファイト(I)および第8〜10族金属化合物の存在下に、OELを一酸化炭素および水素と反応(ヒドロホルミル化反応)させることによるNL(およびMOL)(以下、単に「アルデヒド」と称することがある)の製造方法(以下、反応1と称する。)について詳細に説明する。
第8〜10族金属化合物としては、例えばロジウム化合物、コバルト化合物、ルテニウム化合物、鉄化合物などが挙げられる。ロジウム化合物としては、例えばRh(acac)(CO)、Rh(acac)、RhCl(CO)(PPh、RhCl(PPh、RhBr(CO)(PPh、Rh(CO)12、Rh(CO)16などが挙げられる。コバルト化合物としては、例えばHCo(CO)、HCo(CO)、Co(CO)、HCo(CO)などが挙げられる。ルテニウム化合物としては、例えばRu(CO)(PPh、RuCl(PPh、RuCl(PPh、Ru(CO)12などが挙げられる。また、鉄化合物としては、例えばFe(CO)、Fe(CO)PPh、Fe(CO)(PPhなどが挙げられる。これらの中でも、比較的温和な反応条件を選択し易いロジウム化合物を使用するのが好ましく、入手容易性の観点からRh(acac)(CO)、Rh(acac)を使用するのがより好ましい。
第8〜10族金属化合物の使用量は、反応混合液1リットルあたり、金属原子換算で0.0001〜1000ミリモルの範囲であるのが好ましく、0.005〜1ミリモルの範囲であるのがより好ましい。第8〜10族金属化合物の使用量が反応混合液1リットルあたり0.0001ミリモル未満であると反応速度が極めて遅くなる傾向にあり、また1000ミリモルを超えてもそれに見合う効果が得られず、触媒コストが増大するのみである。
反応1において、ビスホスファイト(I)は1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。かかるビスホスファイト(I)の使用量は、第8〜10族金属化合物中の金属原子1モルに対して、リン原子換算で2〜1000モルの範囲であるのが好ましく、4〜500モルの範囲であるのがより好ましく、反応速度の観点からは、6〜200モルの範囲であるのがさらに好ましい。ビスホスファイト(I)の使用量が第8〜10族金属化合物中の金属原子1モルに対して2モル未満の場合、触媒の熱安定性が損なわれ、また1000モルを超える場合、反応速度が極めて小さくなる傾向にある。
なお下式のとおり、ビスホスファイト(I)にはシスおよびトランス異性体が存在する。
Figure 0006830477
反応1においては、シスおよびトランス異性体のいずれかを単独で使用してもよいし、両者を併用してもよい。
シスおよびトランス異性体を併用する場合のシス/トランス比率は、1/4〜4/1(モル比)であることが好ましい。シス/トランス比率は、製造条件や晶析条件等の選択により適宜調節可能である。
反応1は、溶媒の存在下または不存在下に行う。かかる溶媒としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘキサンなどの飽和脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、キシレン、エチルトルエンなどの芳香族炭化水素;イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、イソペンチルアルコール、ネオペンチルアルコールなどのアルコール;ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ブチルメチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、エチルフェニルエーテル、ジフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル;アセトン、エチルメチルケトン、メチルプロピルケトン、ジエチルケトン、エチルプロピルケトン、ジプロピルケトンなどのケトンなどが挙げられる。これらの溶媒は1つを単独で使用してもよいし、2つ以上を併用してもよい。溶媒を使用する場合、溶媒の使用量に特に制限はないが、反応混合液全体に対して、通常0.1〜90質量%の範囲であるのが好ましい。
反応1における反応温度は40〜150℃の範囲であるのが好ましく、触媒失活を抑制する観点からは、50〜130℃の範囲であるのがより好ましい。また、反応圧力は0.01〜15MPa(ゲージ圧)の範囲であるのが好ましく、0.5〜10MPa(ゲージ圧)の範囲であるのがより好ましい。
反応時間は通常0.5〜50時間の範囲であり、5〜30時間の範囲であるのが好ましい。
反応1に使用する一酸化炭素および水素の混合ガスの使用割合は、一酸化炭素:水素=10:1〜1:10(モル比)の範囲であるのが好ましく、2:1〜1:2(モル比)の範囲であるのがより好ましい。
反応1は、生成するアルデヒドが副反応によって高沸化するのを抑制するために、必要に応じて、さらにトリエチルアミン、トリブチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,2−ジアミノエタン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,4−ジアミノブタン、N,N−ジエチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N−メチルモルホリン、ピリジン、ピコリン、ルチジン、コリジン、キノリンなどの添加剤の存在下に実施してもよい。該添加剤を使用する場合、その使用量は、第8〜10族金属化合物の金属原子1モルに対して、通常200〜3000モルの範囲であるのが好ましく、400〜2000モルの範囲であるのがより好ましい。
反応1は、撹拌型反応槽、循環型反応槽、気泡塔型反応槽などを用いて、連続方式またはバッチ方式で行うことができる。
反応1の実施方法に特に制限はなく、例えば、一酸化炭素:水素=1:1(モル比)の混合ガスの存在下、OELを仕込み、撹拌しながらビスホスファイト(I)、第8〜10族金属化合物および溶媒の混合溶液並びに必要に応じて上記した添加剤を供給し、所定温度、所定圧力で所定時間反応させることにより実施できる。
上記方法により得られた反応混合液からのアルデヒドの分離・精製方法に特に制限はなく、通常の有機化合物の分離・精製に用いられる方法で実施できる。例えば、反応混合液から溶媒や塩基性物質などを減圧下で留去した後、残留物を減圧下に蒸留することにより、高純度のアルデヒドを取得することができる。また、かかる蒸留に先立ち、残留物を蒸発、抽出、吸着などの方法に付すことによってビスホスファイト(I)および第8〜10族金属化合物を分離してもよい。分離したビスホスファイト(I)および第8〜10族金属化合物は、再度ヒドロホルミル化反応(反応1)に使用することができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はかかる実施例により何ら制限されない。
<実施例1>
[ビスホスファイト(I−1)の製造]
(ビスフェノール(ii)の製造)
Figure 0006830477
温度計および滴下漏斗を備えた内容積300mLの三口フラスコに、フェノール(i)47.3g(229mmol)およびメタノール100mLを加え、55℃で10分撹拌して溶解した後、エチレンジアミン72.1g(1.2mmol)および塩化銅(II)無水物80.7mg(0.6mmol)を加え、続いて35重量%の過酸化水素水13.3g(137.4mmol)を内温が55〜60℃になるように保ちながら3時間かけて滴下した。滴下終了後、55℃で1時間撹拌を続けた。その後、20℃以下まで冷却し、析出した固体を濾別してメタノールと水の混合液(容量比9/1)50mLで洗浄した。得られた粗ビスフェノール(ii)にメタノール40mLを加え、60℃にて20分撹拌した。その後、20℃まで冷却し、固体を濾別してメタノールと水の混合液(容量比9/1)20mLで洗浄した。同様の操作を計3回行った後、乾燥させて白色固体としてビスフェノール(ii)を37.6g(91.6mmol、収率80%)得た。
(モノホスファイト(iii)の製造)
Figure 0006830477
温度計および滴下漏斗を備えた内容積1Lの三口フラスコに、ビスフェノール(ii)82.12g(200mmol)およびトルエン500mLを加え、トリエチルアミン59.2g(390mmol)を加えた後に系内を窒素置換した。次いで、三塩化リン11.4mL(130mmol)を、内温が20〜30℃に保たれるように30分かけて滴下し、滴下終了後、室温でさらに12時間撹拌した。反応終了後、副生したトリエチルアミン塩酸塩をろ過により除去し、得られたろ液からトルエンおよびトリエチルアミンを減圧下に留去(50℃/0.01MPa)することにより、粗モノホスファイト(iii)95.0gを得た。これをアセトニトリル300mLとテトラヒドロフラン150mLの混合溶媒を用いて再結晶により精製し、モノホスファイト(iii)82.80g(三塩化リン基準の収率75%、純度99%)を得た。
(ビスホスファイト(I−1)の製造)
Figure 0006830477
温度計および滴下漏斗を備えた内容積100mLの三口フラスコに、モノホスファイト(iii)8.49g(10mmol)およびトルエン50mLを加え、トリエチルアミン1.52g(15mmol)を加えた後に系内を窒素置換した。次いで、三塩化リン2.6mL(30mmol)を、内温が20〜30℃に保たれるように30分かけて滴下し、滴下終了後、70℃に昇温してさらに12時間撹拌した。室温に戻した後、副生したトリエチルアミン塩酸塩をろ過により除去し、得られたろ液から三塩化リン、トルエンおよびトリエチルアミンを減圧下に留去(50℃/0.01MPa)することにより、粗ハロゲン化ホスファイト(v−1)10.5gを得た。
Figure 0006830477
次いで、温度計および滴下漏斗を備えた内容積300mLの三口フラスコに、上記で得られた粗ハロゲン化ホスファイト(v−1)10.5g、トルエン100mLおよびトリエチルアミン3.03g(30mmol)を加え、系内を窒素置換した。次いで、2−メチル−1,3−プロパンジオール1.35g(15mmol)をテトラヒドロフラン10mLに溶解させた溶液を、内温が20〜30℃に保たれるように30分かけて滴下した。滴下終了後、室温でさらに3時間撹拌した後、副生したトリエチルアミン塩酸塩をろ過により除去し、得られたろ液からトルエン、テトラヒドロフランおよびトリエチルアミンを減圧下に留去(50℃/0.01MPa)することにより、粗ビスホスファイト(I−1)10.9gを得た。これにアセトニトリル50mLを加えてから室温下に30分撹拌した後、ろ過することにより得られた固体に、ジイソプロピルエーテル80mLを添加して70℃に加熱した。固体が全て溶解したことを確認後、この溶液を1時間かけて5℃まで冷却し、析出した結晶をろ取した。これを減圧下、室温で乾燥させることにより、ビスホスファイト(I−1)のシス/トランス混合物5.80g(モノホスファイト(iii)基準の収率60%、純度95%)を得た。
31P−NMR(CDCl)δ:142、141、125、119
H−NMR(CDCl,TMS)δ:7−7.4、4.6、4.2、4.0、3.8、3.7、3.5、3.3、3.1、2.2、1.8、1.5、1.3、1.0、0.7
[NLおよびMOLの製造]
以下の実施例2、3および比較例1の方法によりNLおよびMOLを製造した。なお、各反応液は以下の条件によりガスクロマトグラフィーを用いて分析した。
(測定条件)
分析機器:株式会社島津製作所製GC−2014
カラム:J&W Scientific社製DB−1(内径0.32mm、長さ30m、膜厚5μm)
キャリアガス:ヘリウム
注入口温度:250℃
検出器温度:250℃
検出器:FID
昇温条件:80℃→(10℃/分で昇温)→250℃(9分保持)
内部標準物質:ジエチレングリコールジメチルエーテル
(反応速度)
一次反応速度定数(以下、kと称する。)は以下の方法により計算した。
×(サンプル取得時の反応時間)=−ln{(100−サンプル取得時の転化率)/100}
<実施例2>
窒素ガス雰囲気下、Rh(acac)(CO)150.3mg(0.58mmol)をトルエン45mLに溶解させた溶液を調製し、かかる溶液の5.36gを、シス/トランス比率が1/2.42(モル比)であるビスホスファイト(I−1)539.2mg(0.56mmol)およびトルエン49.5mLの溶液に25℃で添加し、混合溶液[ロジウム原子:リン原子=1:14(モル比)](以下、「触媒液A」と称する)を得た。
ガス導入口およびサンプリング口を備えた内容積3Lの電磁撹拌式オートクレーブに、窒素雰囲気下、OEL849mL(5.33mol)を加え、オートクレーブ内を一酸化炭素:水素=1:1(モル比)の混合ガス(以下、単に「混合ガス」と称する)で0.5MPa(ゲージ圧)とした後、脱圧する操作を5回繰返し、電磁撹拌式オートクレーブ内を混合ガスで置換させた。混合ガスで3MPa(ゲージ圧)とした後、撹拌しながらオートクレーブ内の温度を120℃に昇温させ、触媒液A5.74g(Rh(acac)(CO)0.008mmol相当、ビスホスファイト0.056mmol相当、反応系内のロジウム化合物濃度0.0094mmol/L)を電磁撹拌式オートクレーブに加えた後、混合ガスで5MPa(ゲージ圧)に加圧し9時間反応させた。なお、反応中は、混合ガスを常時供給し、反応系内の圧力を一定に保った。触媒液Aを添加してから0.25、0.5、1.0、2.0、4.0、6.0、7.0、8.0、9.0時間後に、反応液をガスクロマトグラフィーで分析した。9.0時間後のOELの転化率は98.0%、分子末端の炭素−炭素二重結合がヒドロホルミル化されたアルデヒドの選択率は91.7%(うちNLの占める割合は80.0%、MOLの占める割合は20.0%)、異性化率(炭素−炭素二重結合に異性化反応が起こる割合)および水素化率(炭素−炭素二重結合に水素化反応が起こる割合)は合計で8.3%であった。kは0.44であった。
<実施例3>
ビスホスファイト(I−1)のシス/トランス比率を1/1.3(モル比)とし、反応時間を8時間とした以外は実施例2と同様に反応させた。得られた反応混合液を実施例2と同様に分析したところ、OELの転化率は96.9%、分子末端の炭素−炭素二重結合がヒドロホルミル化されたアルデヒドの選択率は92.5%(うちNLの占める割合は80.1%、MOLの占める割合は19.9%)、異性化率および水素化率は合計で7.5%であった。kは0.43であった。
<比較例1>
ビスホスファイト(I−1)に代えて下記式(II)で示すビスホスファイト(以下、ビスホスファイト(II)と称する。)を用いた以外は実施例2と同様に9時間反応させた。
Figure 0006830477
得られた反応混合液を実施例2と同様に分析したところ、OELの転化率は96.5%、分子末端の炭素−炭素二重結合がヒドロホルミル化されたアルデヒドの選択率は92.3%(うちNLの占める割合は79.1%、MOLの占める割合は20.9%)、異性化率および水素化率は合計で7.7%であった。kは0.37であり、実施例2と比較すると16%低下した。
実施例2、3および比較例1の結果より、本発明で用いるビスホスファイトと構造が近く、NLおよびMOLを約80:20のモル比で得られることが知られているビスホスファイト(II)と比較して、本発明のビスホスファイト(I)を用いた場合、分子末端の炭素−炭素二重結合の分子内部への異性化反応を同程度に抑制しつつ、格段に高い反応速度を得られることがわかる。
本発明のビスホスファイトおよびそれを用いた製造方法により生産性よく製造されたNLおよびMOLは例えばNAおよびMOAの原料となり、NAおよびMOAを約80:20のモル比で用いるポリアミドの製造に有用である。

Claims (2)

  1. 下記一般式(I)で示されるビスホスファイトであって、該ビスホスファイトのシスおよびトランス異性体のシス/トランス比率が1/4〜4/1(モル比)であるビスホスファイト
    Figure 0006830477
    (式中、Aはメチル基を表す。)
  2. 請求項1に記載のビスホスファイトおよび第8〜10族金属化合物の存在下、7−オクテナールを一酸化炭素および水素と反応させることを特徴とする、1,9−ノナンジアールの製造方法。

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