JP2014234375A - 多価アルコールの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
即ち、本発明は、以下のとおりである。
[1]
下記一般式(1)で表されるヘミアセタール(以下、ヘミアセタール(1)と称する。)を、水素化触媒の存在下に水素化し、反応液(I)を得る工程(I)、
前記工程(I)で得られた反応液(I)にアミンまたはその塩を加え、反応液(II)を得る工程(II)、および
前記工程(II)で得られた反応液(II)から多価アルコールを分離する工程(III)を含む、多価アルコールの製造方法。
[2]
前記アミンまたはその塩が、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、3−メトキシプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、エタノールアミン、1−アミノ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアミン、アニリン、1,2−フェニレンジアミン、2−フェニルエチルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナンジアミン、ヒドロキシルアミン、およびそれらの塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩から選ばれる少なくとも1種である、[1]に記載の多価アルコールの製造方法。
[3]
前記アミンまたはその塩の添加量が、反応液(I)が含有するアセタール化合物(a)およびラクトン化合物(b)の合計モル量に対して、1.0〜10モル倍である、[1]または[2]に記載の多価アルコールの製造方法。
工程(I)は、ヘミアセタール(1)を、水素化触媒の存在下に水素化し、反応液(I)を得る工程である。
ヘミアセタール(1)について説明する。
一般式(1)中、R1〜R7は、各々独立に水素原子または官能基を有していてもよいアルキル基もしくはアリール基を表す。
アルキル基としては炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基がさらに好ましく、メチル基が特に好ましい。
アリール基としては、フェニル基、トリル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基などが挙げられる。
官能基としては、例えば、水酸基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、2−メトキシエトキシ基、2−エトキシエトキシ基、フリル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロピラニル基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基、ビフェニルオキシ基、ナフチルオキシ基などのエーテル基;アセチル基、ベンゾイル基などのケトン基;ホルミル基などのアルデヒド基;カルボン酸基およびその金属塩;アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などのアシルオキシ基;メトキシカルボニルオキシ基、フェノキシカルボニルオキシ基などの炭酸エステル基;シアノ基;メチルスルファニル基、フェニルスルファニル基などのスルファニル基;メチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基などのスルフィニル基;メチルスルホニル基、フェニルスルホニル基などスルホニル基;スルホン酸基およびその金属塩;トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などのシリル基;ジメチルホスフィノ基、ジブチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基などのホスフィノ基;オキソジメチルホスフィノ基、オキソジブチルホスフィノ基、オキソジフェニルホスフィノ基などのホスフィンオキシド基;ホスホン酸基およびその金属塩;クロル基、ブロモ基などのハロゲン基などが挙げられる。
nが2を表す場合、2つのR3は同一でも互いに異なっていてもよく、2つのR4は同一でも互いに異なっていてもよい。
本発明に用いる水素化触媒としては、特に制限はなく、公知の水素化触媒を用いることができ、均一触媒、不均一触媒のいずれを使用してもよい。
水素化触媒の例としては、パラジウム/炭素、パラジウム/アルミナ、パラジウムブラック、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム等のパラジウム触媒;ルテニウム/炭素、ルテニウム/アルミナ、酸化ルテニウム、トリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムジクロリド等のルテニウム触媒;白金/炭素、白金/アルミナ、酸化白金等の白金触媒;ロジウム/炭素、ロジウム/アルミナ、トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウムクロリド等のロジウム触媒;ラネーニッケル、ニッケル/珪藻土、ニッケル/アルミナ、ニッケル/シリカ、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド等のニッケル触媒;ラネー銅等の銅触媒、ラネーコバルト、コバルト/アルミナ等のコバルト触媒、トリカルボニルビストリフェニルホスフィン鉄、テトラカルボニルメチルイソニトリル鉄、鉄(II)アセチルアセトナト、鉄(III)アセチルアセトナト、フェロセンなどの鉄触媒;ヘキサカルボニル六イリジウム、クロロカルボニルビストリフェニルホスフィンイリジウム、クロロ−1,5−シクロオクタジエンイリジウムダイマーなどのイリジウム触媒;ドデカカルボニル三オスミウム、オクタデカカルボニル六オスミウム、テトラヒドリドトリストリフェニルホスフィンオスミウム、オスモセンなどのオスミウム触媒等を挙げることができる。
これらのうち、反応成績や価格の観点から、ニッケル触媒が好ましい。
また、不均一触媒の金属の担体としては、シリカ、アルミナ、珪藻土が好ましい。
水素化触媒は1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。水素化触媒の使用量は、必ずしも限られるものではないが、通常、使用するヘミアセタール(1)全量に対して0.1〜10質量%の範囲であることが好ましく、1〜5質量%の範囲であるのがより好ましい。水素化触媒の使用量が0.1質量%以上の場合、十分な反応速度で反応が進行するため有利である。一方、10質量%以下の場合、急激な反応による発熱や暴走反応を抑えることができるため、有利である。
工程(II)は、前記工程(I)で得られた反応液(I)に、アミンまたはその塩を加え、反応液(II)を得る工程である。
工程(II)で用いるアミンまたはその塩はそのまま使用してもよいし、溶液とした状態で使用してもかまわない。また、アミンと酸を反応器内で混合することでアミンの塩を発生させて使用してもよい。
工程(III)は、前記工程(II)で得られた反応液(II)から多価アルコールを分離する工程である。
工程(II)で得られた反応液(II)の分離は通常の蒸留で行うことができる。蒸留塔は、多孔板塔、泡鐘塔などでもよいが、好ましくは低圧損失の充填塔を用いて減圧蒸留による分離精製を行うと、高純度の多価アルコールを容易に得ることができる。
分析機器:GC−2014(株式会社島津製作所製)
検出器:FID(水素炎イオン化型検出器)
使用カラム:DB−1(長さ30m、膜厚0.25μm、内径0.25mm)(アジレント・テクノロジー株式会社製)
分析条件:InjectionTemp.250℃、Detection Temp.250℃
昇温条件:60℃(5分保持)→(5℃/分で昇温)→210℃(5分保持)
3−メチル−3−ブテン−1−オール(3325mL、2840g)に、(アセチルアセトナト)ジカルボニルロジウム(36.1mg、0.14mmol)およびトリ(2−tertブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト(11.9g、22.8mmol)を溶解させたトルエン溶液(175mL)、ならびにトリエチルアミン(1.0g)を加えて80℃に加熱し、一酸化炭素:水素=1:1(モル比)の混合ガスで反応器内部の圧力を5MPaに保ち、オフガス流量20L/hrで反応を行った。6時間で3−メチル−3−ブテン−1−オールの転化率は100%となり、得られた反応液を単蒸留することで、純度96.3%の2−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロピランを得た(収率92.4%)。
3−メチル−3−ブテン−1−オール(3325mL、2840g)の代わりに、メタリルアルコール(3325mL、2840g)を用いる以外は参考例1と同様にして反応を行った。得られた反応液を単蒸留することで、純度90.1%の2−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロフランを得た(収率88.0%)。
(I)参考例1で得た2−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロピラン(1000mL、855g)に水素化触媒としてラネーニッケル(BK113AW、エボニックデグサジャパン株式会社製、wet状態で30g)を使用し、30%水酸化ナトリウム水溶液を0.67g添加して、反応温度120℃、反応圧力0.8MPaになるように水素を導入した。温度が120℃に達してから1時間後に30%水酸化ナトリウム水溶液1.33gを含んだ2−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロピラン2000mLを4時間かけて反応器にフィードした。フィード終了後、2時間撹拌して反応を行った。2−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロピランは完全に消費され、得られた反応液を単蒸留することで、3−メチルペンタン−1,5−ジオール(92.3%)、MPAE(0.2%)、MVL(2.0%)を含む反応液(1−I)を1972mL得た。
(II)水(1g)にヒドロキシルアミン塩酸塩(0.44g)を溶解し、これを前記(I)で得た3−メチルペンタン−1,5−ジオール(92.3%)、MPAE(0.2%)、MVL(2.0%)を含む反応液(1−I)(10g)に全量加えて、70℃で2時間加熱撹拌し、反応液(1−II)を得た。
(III)前記で得られた反応液(1−II)を単蒸留することで、3−メチルペンタン−1,5−ジオールを純度99.7%、収率99%で得た。MPAEの含量は0.2%、MVLは未検出であった。
実施例1の(I)で得た反応液(1−I)をヘリパックNo.2(トウトクエンジ株式会社製)を充填した段数20段の蒸留塔を用い、還流比6、3Torrで減圧蒸留を行い反応液(1−I’)を得た。反応液(1−I’)は、蒸留収率93%で3−メチルペンタン−1,5−ジオールの純度は99.1%であり、MPAEの含量は0.2%、MVLは0.6%であった。
反応液(1−I)に代えて反応液(1−I’)を用いる以外は実施例1の(II)および(III)と同様の操作を行った。
その結果、3−メチルペンタン−1,5−ジオールを純度99.7%、収率99%で得た。MPAE0.1%、MVLは未検出であった。
参考例1で得た2−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロピランの代わりに、参考例2で得た2−ヒドロキシ−4−メチルテトラヒドロフランを使用する以外は実施例1の(I)と同様の操作を行い、2−メチルブタン−1,4−ジオール(88.0%)、MFAE(1.9%)、MBL(0.3%)を含む反応液(3−I)を1985mL得た。
反応液(3−I)をヘリパックNo.2(トウトクエンジ株式会社製)を充填した段数20段の蒸留塔を用い、還流比6、3Torrで減圧蒸留による精製を行い反応液(3−I’)を得た。反応液(3−I’)は、蒸留収率92%で2−メチルブタン−1,4−ジオールの純度は98.0%であり、MFAEが1.9%、MBLは0.1%含まれていた。
反応液(1−I)の代わりに反応液(3−I’)10gを用いる以外は実施例1の(II)および(III)と同様の操作を行った。その結果、2−メチルブタン−1,4−ジオールを純度99.7%、収率98%で得た。MFAEは0.2%、MBLは未検出であった。
実施例1の(I)において水酸化ナトリウムを使用しなかった以外は同様の操作を行い、3−メチルペンタン−1,5−ジオール(90.0%)、MPAE(3.6%)、MVL(6.0%)を含む反応液(4−I)を得た。
反応液(1−I)の代わりに反応液(4−I)10gを用いる以外は実施例1の(II)および(III)と同様の操作を行った。その結果、3−メチルペンタン−1,5−ジオールを純度99.7%、収率99%で得た。MPAEの含量は0.2%、MVLは未検出であった。
反応液(1−I)をヘリパックNo.2(トウトクエンジ株式会社製)を充填した段数20段の蒸留塔を用い、還流比6、3Torrで減圧蒸留による3−メチルペンタン−1,5−ジオールの分離精製を行った。その結果、蒸留収率93%で3−メチルペンタン−1,5−ジオールの純度は99.1%であり、MPAEは0.2%、MVLは0.6%含まれていた。
反応液(3−I)をヘリパックNo.2(トウトクエンジ株式会社製)を充填した段数20段の蒸留塔を用い、還流比6、3Torrで減圧蒸留による2−メチルブタン−1,4−ジオールの分離精製を行った。その結果、蒸留収率92%で2−メチルブタン−1,4−ジオールの純度は98.0%であり、MFAEが1.9%、MBLは0.1%含まれていた。
Claims (3)
- 前記アミンまたはその塩が、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、3−メトキシプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、エタノールアミン、1−アミノ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアミン、アニリン、1,2−フェニレンジアミン、2−フェニルエチルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナンジアミン、ヒドロキシルアミン、およびそれらの塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の多価アルコールの製造方法。
- 前記アミンまたはその塩の添加量が、反応液(I)が含有するアセタール化合物(a)およびラクトン化合物(b)の合計モル量に対して、1.0〜10モル倍である、請求項1または2に記載の多価アルコールの製造方法。
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