JP6024334B2 - 画像形成装置、およびプロセスカートリッジ - Google Patents

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本発明は、画像形成装置、およびプロセスカートリッジに関する。
近年、画像形成装置において、画像書き込みに使用される電子写真感光体は、帯電手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段などの電気的、機械的外力による傷や磨耗を抑制するため、表面層を構成する材料として機械強度の高い樹脂を使用したものが試されている。
例えば特許文献1には、結着樹脂としてエポキシ樹脂を用いた感光体が開示されている。また特許文献2には、エポキシ樹脂およびエポキシ基を有する電荷輸送材料を用いることが開示されている。更に特許文献3および特許文献4には、保護層にフェノール樹脂および水酸基を有する電荷輸送材料を用いることが開示されている。
また、感光体の表面に残留するトナー等を除去するクリーニング性を改善すべく、表面層の特性を改善する検討がなされている。例えば、特許文献5には、感光体の表面層中にフッ素樹脂粒子を分散することが開示されている。また特許文献6には、感光体表面に不飽和重合性官能基を有した化合物を重合させた保護層中にフッ素樹脂粒子を分散することが提案されている。さらに特許文献7には、感光体表面に潤滑剤を供給することが提案されている。
また特許文献8には、回転する像保持体に摺接してその表面を除電し残留トナーを掻き取るためのクリーニング部材であって、上記クリーニング部材のベース体の外周面に、上記像保持体との摩擦によって正極性の電荷を帯電するよう設定された導電性樹脂膜を形成することが開示されている。
更に特許文献9には、少なくともクリーニング対象物との接触部分がメラミン樹脂発泡体からなるクリーニング部材が、帯電装置の帯電ロール、像保持体、転写装置の転写ロールのいずれか1以上をクリーニングする画像形成装置が開示されている。
特開昭56−51749号公報 特開平8−278645号公報 特開2002−82469号公報 特開2003−186234号公報 特開昭63−221355号公報 特開2005−91500号公報 特開平11-338307号公報 特開2008−216333号公報 特開2003−066807号公報
本発明の課題は、使用初期におけるスジ状の画像欠陥の発生が抑制された画像形成装置を提供することにある。
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
少なくとも最表面層にフッ素樹脂粒子およびフッ化アルキル基含有共重合体を含む電子写真感光体と、
前記電子写真感光体を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、
前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を、トナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記電子写真感光体と接触する部分がメラミン樹脂発泡体で構成されたクリーニング部材を備えるクリーニング手段と、
を備えた画像形成装置である。
請求項2に係る発明は、
前記トナーの体積平均粒径が2μm以上5μm以下である請求項1に記載の画像形成装置である。
請求項3に係る発明は、
前記電子写真感光体の最表面層が、グアナミン化合物およびメラミン化合物から選択される少なくとも1種と、アルコキシ基を有する反応性電荷輸送材料と、水酸基を有する反応性電荷輸送材料と、重合体を含み、
前記フッ素樹脂粒子および前記フッ化アルキル基含有共重合体を除いた前記最表面層の全固形分に対する、前記グアナミン化合物および前記メラミン化合物の総添加量が0.1質量%以上20質量%以下であり、
前記フッ素樹脂粒子および前記フッ化アルキル基含有共重合体を除いた前記最表面層の全固形分に対する、前記アルコキシ基を有する反応性電荷輸送材料の添加量が10質量%以上40質量%以下である請求項1または請求項2に記載の画像形成装置である。
請求項4に係る発明は、
少なくとも最表面層にフッ素樹脂粒子およびフッ化アルキル基含有共重合体を含む電子写真感光体と、
前記電子写真感光体と接触する部分がメラミン樹脂発泡体で構成されたクリーニング部材を備えるクリーニング手段と、
を備え、画像形成装置に着脱し得るプロセスカートリッジである。
請求項5に係る発明は、
前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を、体積平均粒径が2μm以上5μm以下であるトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段を備える請求項4に記載のプロセスカートリッジである。
請求項6に係る発明は、
前記電子写真感光体の最表面層が、グアナミン化合物およびメラミン化合物から選択される少なくとも1種と、アルコキシ基を有する反応性電荷輸送材料と、水酸基を有する反応性電荷輸送材料と、重合体を含み、
前記フッ素樹脂粒子および前記フッ化アルキル基含有共重合体を除いた前記最表面層の全固形分に対する、前記グアナミン化合物および前記メラミン化合物の総添加量が0.1質量%以上20質量%以下であり、
前記フッ素樹脂粒子および前記フッ化アルキル基含有共重合体を除いた前記最表面層の全固形分に対する、前記アルコキシ基を有する反応性電荷輸送材料の添加量が10質量%以上40質量%以下である請求項4または請求項5に記載のプロセスカートリッジである。
請求項1に係る発明によれば、最表面層にフッ素樹脂粒子およびフッ化アルキル基含有共重合体を含む電子写真感光体と、前記電子写真感光体と接触する部分がメラミン樹脂発泡体で構成されたクリーニング部材を備えるクリーニング手段と、を備えるとの要件を満たさない場合に比べ、使用初期におけるスジ状の画像欠陥の発生が抑制された画像形成装置が提供される。
請求項2に係る発明によれば、トナーの体積平均粒径が2μm以上5μm以下であり、且つ電子写真感光体と接触する部分がメラミン樹脂発泡体で構成されたクリーニング部材を備えるクリーニング手段を備えるとの要件を満たさない場合に比べ、使用初期におけるスジ状の画像欠陥の発生が抑制された画像形成装置が提供される。
請求項3に係る発明によれば、最表面層がグアナミン化合物およびメラミン化合物から選択される少なくとも1種と、アルコキシ基を有する反応性電荷輸送材料と、水酸基を有する反応性電荷輸送材料と、が重合された重合体を含み、前記フッ素樹脂粒子および前記フッ化アルキル基含有共重合体を除いた前記最表面層の全固形分に対する前記グアナミン化合物および前記メラミン化合物の総添加量が0.1質量%以上20質量%以下であり、前記フッ素樹脂粒子および前記フッ化アルキル基含有共重合体を除いた前記最表面層の全固形分に対する前記アルコキシ基を有する反応性電荷輸送材料の添加量が10質量%以上40質量%以下であり、且つ電子写真感光体と接触する部分がメラミン樹脂発泡体で構成されたクリーニング部材を備えるクリーニング手段を備えるとの要件を満たさない場合に比べ、使用初期におけるスジ状の画像欠陥の発生が抑制された画像形成装置が提供される。
請求項4に係る発明によれば、最表面層にフッ素樹脂粒子およびフッ化アルキル基含有共重合体を含む電子写真感光体と、前記電子写真感光体と接触する部分がメラミン樹脂発泡体で構成されたクリーニング部材を備えるクリーニング手段と、を備えるとの要件を満たさない場合に比べ、使用初期におけるスジ状の画像欠陥の発生が抑制されたプロセスカートリッジが提供される。
請求項5に係る発明によれば、トナーの体積平均粒径が2μm以上5μm以下であり、且つ電子写真感光体と接触する部分がメラミン樹脂発泡体で構成されたクリーニング部材を備えるクリーニング手段を備えるとの要件を満たさない場合に比べ、使用初期におけるスジ状の画像欠陥の発生が抑制されたプロセスカートリッジが提供される。
請求項6に係る発明によれば、最表面層がグアナミン化合物およびメラミン化合物から選択される少なくとも1種と、アルコキシ基を有する反応性電荷輸送材料と、水酸基を有する反応性電荷輸送材料と、が重合された重合体を含み、前記フッ素樹脂粒子および前記フッ化アルキル基含有共重合体を除いた前記最表面層の全固形分に対する前記グアナミン化合物および前記メラミン化合物の総添加量が0.1質量%以上20質量%以下であり、前記フッ素樹脂粒子および前記フッ化アルキル基含有共重合体を除いた前記最表面層の全固形分に対する前記アルコキシ基を有する反応性電荷輸送材料の添加量が10質量%以上40質量%以下であり、且つ電子写真感光体と接触する部分がメラミン樹脂発泡体で構成されたクリーニング部材を備えるクリーニング手段を備えるとの要件を満たさない場合に比べ、使用初期におけるスジ状の画像欠陥の発生が抑制されたプロセスカートリッジが提供される。
本実施形態に用いられる第1の態様の電子写真感光体を示す概略部分断面図である。 本実施形態に用いられる第2の態様の電子写真感光体を示す概略部分断面図である。 本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。 本実施形態におけるクリーニング部材と電子写真感光体とを示す斜視図である。 本実施形態に係る他の画像形成装置を示す概略構成図である。 実施例で形成した画像を示す図である。 実施例で形成した画像を示す図である。 実施例で形成した画像を示す図である。 実施例で形成した画像を示す図である。 本実施形態に係る他の画像形成装置を示す概略構成図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<画像形成装置およびプロセスカートリッジ>
本実施形態に係る画像形成装置は、少なくとも最表面層にフッ素樹脂粒子およびフッ化アルキル基含有共重合体を含む電子写真感光体(以下単に「感光体」とも称す)と、前記電子写真感光体を帯電する帯電手段と、帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を、トナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、前記電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記電子写真感光体と接触する部分がメラミン樹脂発泡体で構成されたクリーニング部材を備えるクリーニング手段と、を備える。
また、本実施形態に係るプロセスカートリッジは、少なくとも最表面層にフッ素樹脂粒子およびフッ化アルキル基含有共重合体を含む電子写真感光体と、前記電子写真感光体と接触する部分がメラミン樹脂発泡体で構成されたクリーニング部材を備えるクリーニング手段と、を備え、画像形成装置に着脱し得る。
画像形成装置に用いられる電子写真感光体において、最表面層の摩擦係数を低減し耐摩耗性を向上させる観点から、前記最表面層にフッ素樹脂粒子を含有させ、且つ該フッ素樹脂粒子の分散剤として更にフッ化アルキル基含有共重合体を含有させることが行われている。しかし、最表面層にフッ素樹脂粒子およびフッ化アルキル基含有共重合体を含有した感光体を用いて画像を形成した場合、感光体を使用し始めた初期においてスジ状の画像欠陥が発生することがあった。
これは、必ずしも明確ではないものの、以下のごとく推察される。つまり、最表面層に含有されるフッ素樹脂粒子およびフッ化アルキル基含有共重合体が、使用初期の段階では最表面層の表面上に突出して存在しており、感光体が画像形成装置内で駆動し始めた際にこれがクリーニング部材や現像部材と摺擦してスジ状に延ばされることに起因して、スジ状の画質欠陥が生じるものと考えられる。尚、スジ状の画質欠陥となる理由は、スジ状に延ばされたフッ素樹脂粒子およびフッ化アルキル基含有共重合体が存在する感光体を帯電することで、存在する場所と存在しない場所とで帯電性が異なって帯電ムラとなることで、画像においてスジ状の画質欠陥として現れるものと考えられる。また、これとは別に、スジ状に延ばされたフッ素樹脂粒子およびフッ化アルキル基含有共重合体が存在する場所と存在しない場所とでクリーニング部材と感光体との密着性が変化することで、画像においてスジ状の画質欠陥として現れるものと考えられる。
これに対し、本実施形態では、クリーニング手段において感光体と接触する部分がメラミン樹脂発泡体で構成されたクリーニング部材を備えることで、使用初期に発生するスジ状の画像欠陥の発生を抑制し得ることを見出した。
これは、必ずしも明確ではないものの、メラミン樹脂発泡体が三次元架橋構造を有し、メラミン樹脂発泡体であればこの架橋構造の網目に効率的に最表面層上に突出しているフッ素樹脂粒子およびフッ化アルキル基含有共重合体が取り込まれ、除去されるために、スジ状の画質欠陥を抑制し得るものと考えられる。
また、フッ素樹脂粒子およびフッ化アルキル基含有共重合体がマイナスに帯電しやすい性質を持つのに対してメラミン樹脂がプラスに帯電しやすい性質を持っているため、静電気的にも効率的にフッ素樹脂粒子およびフッ化アルキル基含有共重合体を除去し得るものと考えられる。
尚、上記の効果は、近年求められている高画質化を達成する観点で用いられる、体積平均粒径が2μm以上5μm以下の範囲のトナーを用いる際に、より効果的に発揮される。
従来用いられていた5μmを超えるトナーでは、使用初期の段階で最表面層上に突出して存在しているフッ素樹脂粒子やフッ化アルキル基含有共重合体が延ばされ、クリーニング部材と感光体との密着性が悪化したとしても、トナーの粒径が大きいためにクリーニング不良が生じず、画質欠陥として現れにくいものと考えられる。一方で、粒径が2μm以上5μm以下のトナーを用いる場合は、クリーニング部材と感光体との密着性が悪化することでクリーニング不良が顕著に発生しやすく、その結果スジ状の画質欠陥の発生もより顕著となるものと推察さされる。
また、最表面層が、グアナミン化合物およびメラミン化合物から選択される少なくとも1種とアルコキシ基を有する反応性電荷輸送材料と水酸基を有する反応性電荷輸送材料とが重合された重合体を含み、前記フッ素樹脂粒子および前記フッ化アルキル基含有共重合体を除いた前記最表面層の全固形分に対する、前記グアナミン化合物および前記メラミン化合物の総添加量が0.1質量%以上20質量%以下であり、前記フッ素樹脂粒子および前記フッ化アルキル基含有共重合体を除いた前記最表面層の全固形分に対する、前記アルコキシ基を有する反応性電荷輸送材料の添加量が10質量%以上40質量%以下である感光体を用いる場合にも、上記の効果はより効果的に発揮される。これは、上記の構成を有する最表面層では、使用初期の段階でフッ素樹脂粒子やフッ化アルキル基含有共重合体がより顕著に最表面層上に突出して存在するためと推察される。
以下、本実施形態に係る画像形成装置およびプロセスカートリッジを構成する各部材について説明する。
〔電子写真感光体〕
本実施形態において感光体は、電荷輸送能と電荷発生能とを併せ持つ機能一体型の感光層を有していてもよいし、電荷輸送層と電荷発生層とを含む機能分離型の感光層を有していてもよい。さらには、下引層や保護層等のその他の層を設けてもよい。
以下、本実施形態における感光体の構成について、図1乃至図2を参照して説明するが、本実施形態は図1乃至図2によって限定されることはない。
図1は、本実施形態における感光体の層構成の一例を示す模式断面図であり、図1中、1は導電性基体、2は感光層、2Aは電荷発生層、2Bは電荷輸送層、2Cは保護層、4は下引層を表す。
図1に示す感光体は、導電性基体1上に、下引層4、電荷発生層2A、電荷輸送層2B、保護層2Cがこの順に積層された層構成を有し、感光層2は電荷発生層2A、電荷輸送層2Bおよび保護層2Cの3層から構成される(第1の態様の感光体)。
尚、図1に示す感光体においては保護層2Cが最外表面を構成する最表面層である。
図2は、本実施形態における感光体の層構成の他の例を示す模式断面図であり、図2中に示した符号は、図1中に示したものと同義である。
図2に示す感光体は、導電性基体1上に、下引層4、電荷発生層2A、電荷輸送層2Bがこの順に積層された層構成を有し、感光層2は電荷発生層2Aおよび電荷輸送層2Bの2層から構成される(第2の態様の感光体)。
尚、図2に示す感光体においては電荷輸送層2Bが最外表面を構成する最表面層である。
また、図1に示す態様では上記の通り感光層2として電荷発生層2A、電荷輸送層2Bおよび保護層2Cの3層から構成される態様を示し、また図2に示す態様では上記の通り感光層2として電荷発生層2Aおよび電荷輸送層2Bの2層から構成される態様を示した。しかし、この他にも図1および図2において、電荷発生層2Aおよび電荷輸送層2Bを、導電性基体1側から順に電荷輸送層2B、電荷発生層2Aの順に積層した態様であってもよい。また、電荷発生層2Aおよび電荷輸送層2Bに替えて、電荷輸送能と電荷発生能とを併せ持つ機能一体型の感光層を有する態様等であってもよい。
以下、本実施形態における感光体の例として、上記第1乃至第2の態様のそれぞれについて説明する。
〔第1の態様の感光体:最表面層=保護層〕
第1の態様の感光体は、図1に示す通り、導電性基体1上に、下引層4、電荷発生層2A、電荷輸送層2B、保護層2Cがこの順に積層された層構成を有し、保護層2Cが最表面層である。
・導電性基体
導電性基体1としては、導電性を有する導電性基体が用いられ、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、ステンレス、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等の金属または合金を用いて構成される金属板、金属ドラム、および金属ベルト、または、導電性ポリマー、酸化インジウム等の導電性化合物やアルミニウム、パラジウム、金等の金属または合金を塗布、蒸着またはラミネートした紙、プラスチックフィルム、ベルト等が挙げられる。ここで、「導電性」とは体積抵抗率が1013Ωcm未満であることをいう。
第1の態様の感光体がレーザープリンターに使用される場合であれば、導電性基体1の表面は中心線平均粗さRaで0.04μm以上0.5μm以下に粗面化することが望ましい。但し、非干渉光を光源に用いる場合には粗面化は特に行わなくてもよい。
粗面化の方法としては、研磨剤を水に懸濁させて支持体に吹き付けることによって行う湿式ホーニング、または回転する砥石に支持体を接触させ、連続的に研削加工を行うセンタレス研削、陽極酸化処理等が望ましい。
また、他の粗面化の方法としては、導電性基体1表面を粗面化することなく、導電性または半導電性粉体を樹脂中に分散させて、支持体表面上に層を形成し、その層中に分散させる粒子により粗面化する方法も望ましく用いられる。
ここで、陽極酸化による粗面化処理は、アルミニウムを陽極とし電解質溶液中で陽極酸化することによりアルミニウム表面に酸化膜を形成するものである。電解質溶液としては、硫酸溶液、シュウ酸溶液等が挙げられる。しかし、陽極酸化により形成された多孔質陽極酸化膜は、そのままの状態では化学的に活性であるため、陽極酸化膜の微細孔を加圧水蒸気または沸騰水中(ニッケル等の金属塩を加えてもよい)で水和反応による体積膨張でふさぎ、より安定な水和酸化物に変える封孔処理を行うことが望ましい。 陽極酸化膜の膜厚については、0.3μm以上15μm以下が望ましい。
また、導電性基体1には、酸性水溶液による処理またはベーマイト処理を施してもよい。
リン酸、クロム酸およびフッ酸を含む酸性処理液による処理は以下のようにして実施される。先ず、酸性処理液を調製する。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸およびフッ酸の配合割合は、リン酸が10質量%以上11質量%以下の範囲、クロム酸が3質量%以上5質量%以下の範囲、フッ酸が0.5質量%以上2質量%以下の範囲であって、これらの酸全体の濃度は13.5質量%以上18質量%以下の範囲が望ましい。処理温度は42℃以上48℃以下が望ましい。被膜の膜厚は、0.3μm以上15μm以下が望ましい。
ベーマイト処理は、90℃以上100℃以下の純水中に5分間以上60分間以下浸漬すること、または90℃以上120℃以下の加熱水蒸気に5分間以上60分間以下接触させることにより行われる。被膜の膜厚は、0.1μm以上5μm以下が望ましい。これをさらにアジピン酸、硼酸、硼酸塩、燐酸塩、フタル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩等の他種に比べ被膜溶解性の低い電解質溶液を用いて陽極酸化処理してもよい。
・下引層
下引層4は、例えば、結着樹脂に無機粒子を含有した層として構成される。
下引層4に含有される結着樹脂としては、公知のいかなるものでも使用し得るが、例えばポリビニルブチラール等のアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の公知の高分子樹脂化合物、また電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂やポリアニリン等の導電性樹脂等が用いられる。中でも上層の塗布溶剤に不溶な樹脂が望ましく用いられ、特にフェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が望ましく用いられる。これらを2種以上組み合わせて使用する場合には、その混合割合は、必要に応じて設定される。
無機粒子としては、粉体抵抗(体積抵抗率)10Ω・cm以上1011Ω・cm以下のものが望ましく用いられる。中でも上記抵抗値を有する無機粒子としては、酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等の無機粒子(導電性金属酸化物)を用いるのが望ましく、特に酸化亜鉛は望ましく用いられる。
また、無機粒子は表面処理を行ったものでもよく、表面処理の異なるもの、または、粒子径の異なるものなど2種以上混合して用いてもよい。無機粒子の体積平均粒径は50nm以上2000nm以下(望ましくは60以上1000以下)の範囲であることが望ましい。
また、無機粒子としては、BET法による比表面積が10m/g以上のものが望ましく用いられる。
さらに無機粒子に加えて、アクセプター性化合物を含有させてもよい。アクセプター性化合物としてはいかなるものでも使用し得るが、例えば、クロラニル、ブロモアニル等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールや2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物等の電子輸送性物質などが望ましく、特にアントラキノン構造を有する化合物が望ましい。さらに、ヒドロキシアントラキノン系化合物、アミノアントラキノン系化合物、アミノヒドロキシアントラキノン系化合物等、アントラキノン構造を有するアクセプター性化合物が望ましく用いられ、具体的にはアントラキノン、アリザリン、キニザリン、アントラルフィン、プルプリン等が挙げられる。
これらのアクセプター性化合物の含有量は任意に設定してもよいが、望ましくは無機粒子に対して0.01質量%以上20質量%以下含有される。さらに0.05質量%以上10質量%以下が望ましい。
アクセプター化合物は、下引層4の塗布時に添加するだけでもよいし、無機粒子表面にあらかじめ付着させておいてもよい。無機粒子表面にアクセプター化合物を付与させる方法としては、乾式法、または、湿式法が挙げられる。
乾式法にて表面処理を施す場合には無機粒子をせん断力の大きなミキサ等で攪拌しながら、直接または有機溶媒に溶解させたアクセプター化合物を滴下、乾燥空気や窒素ガスとともに噴霧させることによって処理される。添加または噴霧する際には溶剤の沸点以下の温度で行われることが望ましい。添加または噴霧した後、さらに100℃以上で焼き付けを行ってもよい。焼き付けの温度、時間については任意の範囲で実施される。
湿式法としては、無機粒子を溶剤中で攪拌し、超音波、サンドミルやアトライター、ボールミル等を用いて分散し、アクセプター化合物を添加し攪拌または分散したのち、溶剤除去することで処理される。溶剤除去方法はろ過または蒸留により留去される。溶剤除去後にはさらに100℃以上で焼き付けを行ってもよい。焼き付けの温度、時間については任意の範囲で実施される。湿式法においては表面処理剤を添加する前に無機粒子含有水分を除去してもよく、その例として表面処理に用いる溶剤中で攪拌加熱しながら除去する方法、溶剤と共沸させて除去する方法を用いてもよい。
また、無機粒子はアクセプター化合物を付与する前に表面処理を施してもよい。表面処理剤としては、公知の材料から選択される。例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、界面活性材等が挙げられる。特に、シランカップリング剤が望ましく用いられる。さらにアミノ基を有するシランカップリング剤も望ましく用いられる。
アミノ基を有するシランカップリング剤としてはいかなる物を用いてもよいが、具体的例としてはγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
また、シランカップリング剤は2種以上混合して使用してもよい。前記アミノ基を有するシランカップリング剤と併用して用いてもよいシランカップリング剤の例としては、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
表面処理方法は公知の方法であればいかなる方法でも使用し得るが、乾式法または湿式法を用いることがよい。また、アクセプター付与とカップリング剤等による表面処理とを並行して行ってもよい。
下引層4中の無機粒子に対するシランカップリング剤の量は、任意に設定されるが、無機粒子に対して0.5質量%以上10質量%以下が望ましい。
尚、下引層形成用塗布液中のアクセプター性を付与した金属酸化物とバインダー樹脂、または無機粒子とバインダー樹脂との比率は、任意に設定される。
下引層4中には種々の添加剤を用いてもよい。添加剤としては、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料が用いられる。シランカップリング剤は金属酸化物の表面処理に用いられるが、添加剤としてさらに塗布液に添加して用いてもよい。ここで用いられるシランカップリング剤の具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシラン等である。
ジルコニウムキレート化合物の例として、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシド等が挙げられる。
チタニウムキレート化合物の例としては、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレート等が挙げられる。
アルミニウムキレート化合物の例としては、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等が挙げられる。
これらの化合物は単独で若しくは複数の化合物の混合物または重縮合物として用いてもよい。
下引層形成用塗布液を調製するための溶媒としては公知の有機溶剤、例えばアルコール系、芳香族系、ハロゲン化炭化水素系、ケトン系、ケトンアルコール系、エーテル系、エステル系等から選択される。溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤が用いられる。
また、これらの分散に用いる溶剤は単独または2種以上混合して用いてもよい。混合する際、使用される溶剤としては、混合溶剤としてバインダー樹脂を溶かし得る溶剤であれば、いかなるものでも使用される。
分散方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカーなどの公知の方法が用いられる。さらにこの下引層4を設けるときに用いる塗布方法としては、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
このようにして得られた下引層形成用塗布液を用い、導電性基体1上に下引層4が成膜される。
また、下引層4は、ビッカース強度が35以上とされていることが望ましい。
さらに、下引層4はいかなる厚さに設定してもよいが、厚さが15μm以上が望ましく、さらに望ましくは20μm以上50μm以下とされていることが望ましい。
また、下引層4の表面粗さ(十点平均粗さ)はモアレ像防止のために、使用される露光用レーザー波長λの1/4n(nは上層の屈折率)から1/2λまでに調整される。表面粗さ調整のために下引層中に樹脂などの粒子を添加してもよい。樹脂粒子としてはシリコーン樹脂粒子、架橋型ポリメタクリル酸メチル樹脂粒子等が用いられる。
尚、下引層4は、結着樹脂および導電性金属酸化物を含み且つ厚み20μmにおける波長950nmの光に対する光透過率が40%以下(より望ましくは10%以上35%以下、更に望ましくは15%以上30%以下)であることがよい。
上記下引層の光透過率は次のようにして測定される。下引層形成用塗布液を、ガラスプレート上に乾燥後の厚さが20μmとなるように塗布し、乾燥後、分光光度計を用いて波長950nmでの膜の光透過率を測定する。光度計による光透過率は、分光光度計として装置名「Spectrophotometer(U−2000):日立社製」を用いる。
この下引層の光透過率は、前記ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカー等を用いた分散時の分散時間を調整することで、制御し得る。分散時間は、特に限定しないが、5分以上1000時間以下の時間が好ましく、さらには30分以上10時間以下がより好ましい。分散時間を長くすると、光透過率は低下する傾向にある。
また、表面粗さ調整のために下引層を研磨してもよい。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、湿式ホーニング、研削処理等が用いられる。
塗布したものを乾燥させて下引層を得るが、通常、乾燥は溶剤を蒸発させ、製膜し得る温度で行われる。
・中間層
ここで、図示は省略するが、下引層4と感光層2との間に中間層をさらに設けてもよい。中間層に用いられる結着樹脂としては、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂などの高分子樹脂化合物のほかに、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、ケイ素原子などを含有する有機金属化合物などが挙げられる。これらの化合物は、単独または複数の化合物の混合物もしくは重縮合物として用いてもよい。中でも、ジルコニウムまたはシリコンを含有する有機金属化合物が好適である。
中間層の形成の際には、上記成分を溶媒に加えた中間層形成用塗布液が使用される。
中間層を形成する塗布方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
尚、中間層は上層の塗布性改善の他に、電気的なブロッキング層の役割も果たすが、膜厚が大きすぎる場合には電気的な障壁が強くなりすぎて減感や繰り返しによる電位の上昇を引き起こすことがある。したがって、中間層を形成する場合には、0.1μm以上3μm以下の膜厚範囲に設定することがよい。また、この場合の中間層を下引層として使用してもよい。
・電荷発生層
電荷発生層2Aは、少なくとも電荷発生材料および結着樹脂を含有する層であることが望ましい。
電荷発生材料としては、ビスアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料、ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、ピロロピロール顔料、フタロシアニン顔料、酸化亜鉛、三方晶系セレン等が挙げられる。これらの中でも、近赤外域のレーザー露光に対しては、金属フタロシアニン顔料、無金属フタロシアニン顔料が望ましく、特に、特開平5−263007号公報、特開平5−279591号公報等に開示されたヒドロキシガリウムフタロシアニン、特開平5−98181号公報等に開示されたクロロガリウムフタロシアニン、特開平5−140472号公報、特開平5−140473号公報等に開示されたジクロロスズフタロシアニン、特開平4−189873号公報等に開示されたチタニルフタロシアニンがより望ましい。また、近紫外域のレーザー露光に対してはジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料、チオインジゴ系顔料、ポルフィラジン化合物、酸化亜鉛、三方晶系セレン等がより望ましい。電荷発生材料としては、380nm以上500nmの露光波長の光源を用いる場合には無機顔料が望ましく、700nm以下800nmの露光波長の光源を用いる場合には、金属および無金属フタロシアニン顔料が望ましい。
電荷発生材料としては、600nm以上900nm以下の波長域での分光吸収スペクトルにおいて、810nm以上839nm以下の範囲に最大ピーク波長を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を用いることが望ましい。このヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、従来のV型ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料とは異なるものであり、分光吸収スペクトルの最大ピーク波長を従来のV型ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料よりも短波長側にシフトさせたものである。
また、上記の810nm以上839nm以下の範囲に最大ピーク波長を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、平均粒径が特定の範囲であり、且つ、BET比表面積が特定の範囲であることが望ましい。具体的には、平均粒径が0.20μm以下であることが望ましく、0.01μm以上0.15μm以下であることがより望ましく、一方、BET比表面積が45m/g以上であることが望ましく、50m/g以上であることがより望ましく、55m/g以上120m/g以下であることが特に望ましい。
平均粒径は、体積平均粒径(d50平均粒径)でレーザ回折散乱式粒度分布測定装置(LA−700、堀場製作所社製)にて測定した値である。また、BET式比表面積測定器(島津製作所製:フローソープII2300)を用い窒素置換法にて測定した値である。
また、上記ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の最大粒径(一次粒子径の最大値)は、1.2μm以下であることが望ましく、1.0μm以下であることがより望ましく、更に望ましくは0.3μm以下である。
更に、上記ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、平均粒径が0.2μm以下、最大粒径が1.2μm以下であり、且つ比表面積値が45m/g以上であることが望ましい。
また、上記のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、CuKα特性X線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角度(2θ±0.2°)7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°および28.3°に回折ピークを有するものであることが望ましい。
また、上記のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、25℃から400℃まで昇温したときの熱重量減少率が2.0%以上4.0%以下であることが望ましく、2.5%以上3.8%以下であることがより望ましい。
電荷発生層2Aに使用される結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択され、望ましい結着樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノール類と芳香族2価カルボン酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等が挙げられる。また、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシラン等の有機光導電性ポリマーから選択してもよい。これらの結着樹脂は1種を単独でまたは2種以上を混合して用いられる。
電荷発生材料と結着樹脂の配合比は質量比で10:1から1:10までの範囲内であることが望ましい。ここで、「絶縁性」とは、体積抵抗率が1013Ωcm以上であることをいう。
電荷発生層2Aは、例えば、上記電荷発生材料および結着樹脂を溶剤中に分散した塗布液を用いて形成される。
分散に用いる溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等が挙げられ、これらは1種を単独でまたは2種以上を混合して用いられる。
また、電荷発生材料および結着樹脂を溶剤中に分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の通常の方法が用いられる。さらにこの分散の際、電荷発生材料の平均粒径を0.5μm以下、望ましくは0.3μm以下、さらに望ましくは0.15μm以下にすることが有効である。
また、電荷発生層2Aを形成する際には、ブレード塗布法、マイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
このようにして得られる電荷発生層2Aの膜厚は、望ましくは0.01μm以上5.0μm以下、さらに望ましくは0.05μm以上2.0μm以下である。
・電荷輸送層
電荷輸送層2Bは、少なくとも電荷輸送材料と結着樹脂とを含有する層であるか、または高分子電荷輸送材を含有する層であることが望ましい。
電荷輸送材料としては、例えば、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、N,N’−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、トリ(p−メチルフェニル)アミニル−4−アミン、ジベンジルアニリン等の芳香族第3級アミノ化合物、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニルベンジジン等の芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4’−ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4’−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジン等の1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン等のヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリン等のキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N−ジフェニルアニリン等のα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾール等のカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体などの正孔輸送物質、クロラニル、ブロアントラキノン等のキノン系化合物、テトラアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物等の電子輸送物質、および上記した化合物からなる基を主鎖または側鎖に有する重合体などが挙げられる。これらの電荷輸送材料は、1種または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、モビリティーの観点から、以下の式(B−1)乃至(B−3)で表される化合物が望ましい。

式(B−1)中、RB1は水素原子またはメチル基を表し、n’は1または2を表す。また、ArB1およびArB2は置換または無置換のアリール基を表し、置換基としてはハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、または炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基を表す。

式(B−2)中、RB2、RB2’はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、または炭素数1以上5以下のアルコキシ基を表す。RB3、RB3’、RB4、RB4’はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、炭素数1または2のアルキル基で置換されたアミノ基、置換若しくは無置換のアリール基、または−C(RB5)=C(RB6)(RB7)を表し、RB5、RB6、RB7は水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、または置換若しくは無置換のアリール基を表す。また、m’およびn”はそれぞれ独立に、0以上2以下の整数である。

式(B−3)中、RB8は水素原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアリール基、または−CH=CH−CH=C(ArB3を表す。ArB3は、置換または無置換のアリール基を表す。RB9、RB10はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、炭素数1または2のアルキル基で置換されたアミノ基、または置換若しくは無置換のアリール基を表す。
電荷輸送層を構成する結着樹脂としては、例えば、ビスフェノールAタイプ或いはビスフェノールZタイプ等のポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリスルホン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニリデン−アクリルニトリル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、塩素ゴム等の絶縁性樹脂、およびポリビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン等の有機光導電性ポリマー等が挙げられる。これらの結着樹脂は、単独または2種以上混合して用いてもよい。
また、電荷輸送材料として高分子電荷輸送材を用いてもよい。高分子電荷輸送材としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシランなどの電荷輸送性を有する公知のものが用いられる。特に、特開平8−176293号公報、特開平8−208820号公報等に開示されているポリエステル系高分子電荷輸送材は特に望ましい。高分子電荷輸送材はそれだけでも成膜し得るものであるが、後述する結着樹脂と混合して成膜してもよい。
電荷輸送層2Bは、例えば、上記構成材料を含有する電荷輸送層形成用塗布液を用いて形成される。電荷輸送層形成用塗布液に用いる溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロンゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状もしくは直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤を単独または2種以上混合して用いられる。また、上記各構成材料の分散方法としては、公知の方法が使用される。
電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層2Aの上に塗布する際の塗布方法としては、ブレード塗布法、マイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
電荷輸送層2Bの膜厚は、望ましくは5μm以上50μm以下、より望ましくは10μm以上40μm以下である。
・保護層
保護層2Cは、少なくともフッ素樹脂粒子とフッ化アルキル基含有共重合体とを含み、更に電荷輸送材料を含むことが望ましい。尚、電荷輸送材料としては反応性電荷輸送材料が望ましく、つまり、保護層は反応性電荷輸送材料の重合体(または架橋体)と、フッ素樹脂粒子と、フッ化アルキル基含有共重合体と、を含む電荷輸送性硬化膜で構成されることが望ましい。
(反応性電荷輸送材料)
反応性電荷輸送材料は、−OH、−OR10(R10は炭素数1以上12以下のアルキル基を表す)、−NH、−SH、−COOH、および、炭素二重結合を持つ官能基を有する基から選択される置換基の少なくとも1つを持つ電荷輸送材料の少なくとも1種であることがよい。特に、反応性電荷輸送材料としては、−OH、−OR10、−NH、−SH、−COOH、および、炭素二重結合を持つ官能基を有する基から選択される置換基を少なくとも2つ(さらには3つ)持つ電荷輸送材料が望ましい。この如く、電荷輸送材料に反応性官能基(当該置換基)が増えることで、架橋密度が上がり、より強度の高い架橋膜が得られやすくなる。
反応性電荷輸送材料としては、下記一般式(C)で表される化合物であることが望ましい。
Fr−(D)n3 ……一般式(C)
一般式(C)中、Frは電荷輸送能を有する化合物から誘導される有機基(電荷輸送骨格)を表し、Dは、−(−R11−Z)n1(R12n2−Y(但し、R11およびR12はそれぞれ独立に炭素数1以上5以下の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基を表し、Zは酸素、NH、または硫黄原子を表し、Yは−OH、−OR10(R10は炭素数1以上12以下のアルキル基を表す)、−NH、−SHまたは−COOHを表し、n1は0または1を表し、n2は0または1を表す。)、または炭素二重結合を持つ官能基を有する基を表し、n3は1以上4以下の整数を表す。
Dで表される炭素二重結合を持つ官能基を有する基としては、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基(ビニルフェニル基)、アリル基、ビニル基、ビニルエーテル基、アリルビニルエーテル基、およびそれらの誘導体から選択される少なくも一つを有する基が挙げられる。尚、特に、これら基を末端に有する基が望ましい。
一般式(C)中、Frで表される「電荷輸送能を有する化合物から誘導される有機基」における電荷輸送能を有する化合物としては、アリールアミン誘導体が好適に挙げられる。アリールアミン誘導体としては、トリフェニルアミン誘導体、テトラフェニルベンジジン誘導体が好適に挙げられる。
そして、一般式(C)で表される化合物は、下記一般式(C−1)で表される化合物であることが望ましい。

一般式(C−1)中、ArC1、ArC2、ArC3およびArC4はそれぞれ独立に、置換または無置換のアリール基を表し、同一でも異なっていてもよい。
ArC5は置換若しくは無置換のアリール基、または置換若しくは無置換のアリーレン基を表す。
Dは、−(−R11−Z)n1(R12n2−Y(但し、R11およびR12はそれぞれ独立に炭素数1以上5以下の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基を表し、Zは酸素、NH、または硫黄原子を表し、Yは−OH、−OR10(R10は炭素数1以上12以下のアルキル基を表す)、−NH、−SHまたは−COOHを表し、n1は0または1を表し、n2は0または1を表す。)、または−(CH−(O−CH−CH−O−CO−C(R’)=CH(但し、R’は水素原子、またはメチル基を表し、dは1以上5以下の整数を表し、fは0または1を表す。)を表す。eはそれぞれの位置において独立に0または1を表し、Dの総数は1以上4以下である。kは0または1を表す。
ArC1乃至ArC5に関し、置換アリール基および置換アリーレン基における置換基としては、D以外のものとして、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、置換または無置換の炭素数6以上10以下のアリール基等が挙げられる。
一般式(C−1)中、Dが「−(−R11−Z)n1(R12n2−Y」の場合、R11およびR12はそれぞれ独立に炭素数1以上5以下の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基であり、n1として望ましくは1であり、n2として望ましくは1であり、Zとして望ましくは酸素である。
一般式(C−1)においてDの総数は、一般式(C)におけるn3に相当し、望ましくは2以上4以下であり、さらに望ましくは3以上4以下である。Dの総数を一分子中に2以上4以下、望ましくは3以上4以下とすると、架橋密度が上がり、より強度の高い架橋膜が得られる。
一般式(C−1)中、ArC1、ArC2、ArC3およびArC4としては、下記式(1)乃至(7)のいずれかであることが望ましい。なお、下記式(1)乃至(7)は、各ArC1、ArC2、ArC3およびArC4に連結され得る「−(D)」と共に示す。

式(1)乃至(7)中、R13は水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルキル基若しくは炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、無置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基からなる群より選ばれる1種を表し、R14、R15およびR16はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、無置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、ハロゲン原子からなる群より選ばれる1種を表し、Arは置換または無置換のアリーレン基を表し、Dおよびeは一般式(C−1)における「D」および「e」と同じであり、sは0または1を表し、tは1以上3以下の整数を表す。
ここで、式(7)中のArとしては、下記式(8)または(9)で表されるものが望ましい。

式(8)または(9)中、R17およびR18はそれぞれ水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、無置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、およびハロゲン原子からなる群より選ばれる1種を表し、tは1以上3以下の整数を表す。
式(7)中のZ’としては、下記式(10)乃至(17)のいずれかで表されるものが望ましい。
式(10)乃至(17)中、R19およびR20はそれぞれ水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基若しくは炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、無置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、およびハロゲン原子からなる群より選ばれる1種を表し、Wは2価の基を表し、qおよびrはそれぞれ1以上10以下の整数を表し、tはそれぞれ1以上3以下の整数を表す。
上記式(16)および(17)中のWとしては、下記(18)乃至(26)で表される2価の基のいずれかであることが望ましい。但し、式(25)中、uは0以上3以下の整数を表す。

一般式(C−1)中、ArC5は、kが0のときはArC1乃至ArC4の説明で例示された上記式(1)乃至(7)のアリール基であり、kが1のときはかかる上記式(1)乃至(7)のアリール基から水素原子を除いたアリーレン基である。
一般式(C)で表される化合物の具体例としては、特開2011−175038号公報に記載の化合物i−1乃至化合物i−25、化合物ii−1乃至ii−56、iii−1乃至iii−19、iv−1乃至iv−49、v−1乃至v−3、vi−1乃至vi−6、特開2011−112801号公報に記載の化合物I−1乃至化合物I−31、および特開2011−27808号公報に記載の化合物I−1乃至化合物I−34が挙げられる。
反応性電荷輸送材料は、電子写真感光体の耐摩耗性、画質特性、電気特性などの観点から、アルコキシ基を有する反応性電荷輸送材料および水酸基を有する反応性電荷輸送材料の少なくとも1種を含むことが望ましい。更には、アルコキシ基を有する反応性電荷輸送材料と水酸基を有する反応性電荷輸送材料との両者を含むことがより望ましい。
尚、フッ素樹脂粒子およびフッ化アルキル基含有共重合体を除いた最表面層(第一の態様では保護層2C)の全固形分に対する、アルコキシ基を有する反応性電荷輸送材料の添加量が10質量%以上40質量%以下であることが望ましく、更には10質量%以上35質量%以下がより望ましく、10質量%以上30質量%以下が特に望ましい。
ここで、一般式(C−1)で示される化合物のうち、水酸基を有する反応性電荷輸送材料およびアルコキシ基を有する反応性電荷輸送材料の具体例を挙げる。但し、以下のものに限定されるものではない。









反応性電荷輸送材料の含有量は、例えば、形成用組成物における固形分濃度は、フッ素樹脂粒子およびフッ化アルキル基含有共重合体を除く層全構成成分(固形分)に対して、80質量%以上であり、望ましくは90質量%以上、より望ましくは95質量%以上である。
(フッ素樹脂粒子)
フッ素樹脂粒子としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE、別名「4フッ化エチレン樹脂」)、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリジクロロジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体などの粒子が挙げられる。
中でも、電子写真感光体の耐摩耗性とクリーニング性の観点から、ポリテトラフルオロエチレン、およびテトラフルオロエチレンとパーフルオロアルコキシエチレンとの共重合体が望ましい。
フッ素樹脂粒子は、1種を単独でまたは2種以上を併用してもよい。
フッ素樹脂粒子を構成するフッ素樹脂の重量平均分子量は、例えば、3000以上500万以下がよい。
フッ素樹脂粒子の平均一次粒径は、例えば、0.05μm以上10μm以下であることが望ましく、より望ましくは0.1μm以上5μm以下である。
なお、フッ素樹脂粒子の平均一次粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置LA−920(堀場製作所製)を用いて、フッ素樹脂粒子が分散された分散液と同じ溶剤に希釈した測定液を屈折率1.35で測定した値をいう。
フッ素樹脂粒子の市販品としては、例えば、ルブロンシリーズ(ダイキン工業株式会社製)、テフロン(登録商標)シリーズ(デュポン製)、ダイニオンシリーズ(住友3M製)等が挙げられる。
フッ素樹脂粒子の含有量は、層全構成成分(固形分全量)に対して、1質量%以上30質量%以下がよく、望ましくは2質量%以上20質量%以下であり、より望ましくは3質量%以上15質量%以下である。
(フッ化アルキル基含有共重合体)
フッ化アルキル基含有共重合体は、フッ素樹脂粒子の分散安定性を保つ。フッ化アルキル基含有共重合体としては、例えば、下記構造式(E)および構造式(F)で表される繰り返し単位を持つフッ化アルキル基含有共重合体が挙げられる。当該フッ化アルキル基含有共重合体は、電子写真感光体の耐摩耗性とクリーニング性を向上させる観点から望ましい。

構造式(E)および構造式(F)中、R101、R102、R103およびR104はそれぞれ独立に、水素原子またはアルキル基を表す。X’は、アルキレン鎖、ハロゲン置換アルキレン鎖、−S−、−O−、−NH−、または単結合を表す。Y’は、アルキレン鎖、ハロゲン置換アルキレン鎖、−(C2z−1(OH))−、または単結合を表す。Qは、−O−、または−NH−を表す。g、hおよびiはそれぞれ独立に、1以上の整数を表す。p’、q’、r’およびs’はそれぞれ独立に、0または1以上の整数を表す。t’は1以上7以下の整数を表す。zは1以上の整数を表す。
ここで、R101、R102、R103およびR104で表される基としては、水素原子、メチル基、エチル基が望ましく、メチル基がより望ましい。
X’およびY’で表されるアルキレン鎖(無置換アルキレン鎖、ハロゲン置換アルキレン鎖)としては、炭素数1以上10以下のアルキレン鎖が望ましい。
Y’で表される−(C2z−1(OH))−中のzは、1以上10以下の整数が望ましい。
p’、q’、r’およびs’はそれぞれ独立に、0または1以上10以下の整数が望ましい。
フッ化アルキル基含有共重合体において、構造式(E)と構造式(F)との含有比、即ちg:hは、1:9乃至9:1が望ましく、3:7乃至7:3がより望ましい。
フッ化アルキル基含有共重合体は、構造式(G)で表される繰り返し単位をさらに含んでもよい。構造式(G)の含有量は、構造式(E)および構造式(F)の含有量の合計即ちg+hとの比で、g+h:jとして10:0乃至7:3が望ましく、9:1乃至7:3がより望ましい。

構造式(G)中、R105およびR106は水素原子またはアルキル基を表す。jは1以上の整数を表す。
105、R106で表される基としては、水素原子、メチル基、エチル基が望ましく、メチル基がより望ましい。
フッ化アルキル基含有共重合体の市販品としては、例えば、GF300、GF400(東亞合成社製)、サーフロンシリーズ(AGCセイミケキカル社製)、フタージェントシリーズ(ネオス社製)、PFシリーズ(北村化学社製)、メガファックシリーズ(DIC製)、FCシリーズ(3M製)等が挙げられる。
フッ化アルキル基含有共重合体は、1種を単独でまたは2種以上を併用してもよい。
フッ化アルキル基含有共重合体の重量平均分子量は、例えば、2000以上250000以下がよく、望ましくは3000以上150000以下であり、より望ましくは10000以上100000以下である、更に望ましくは30000以上100000以下である。
フッ化アルキル基含有共重合体の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定される。
フッ化アルキル基含有共重合体の含有量は、フッ素樹脂粒子の質量に対して0.5質量%以上10質量%以下がよく、望ましくは1質量%以上7質量%以下である。
また、表面保護層におけるフッ素樹脂粒子およびフッ化アルキル基含有共重合体の総含有量は、層全構成成分(固形分全量)に対して、1質量%以上40質量%以下が望ましく、3質量%以上20質量%以下がより望ましい。
(グアナミン化合物、メラミン化合物)
保護層の形成用の組成物には、電子写真感光体の耐摩耗性および電気的安定性をより向上させるために、グアナミン構造を有する化合物(以下、「グアナミン化合物」とも称する。)およびメラミン構造を有する化合物(以下、「メラミン化合物」とも称する。)から選択される少なくとも1種を含ませてもよい。つまり、保護層は、反応性電荷輸送材料と、グアナミン化合物およびメラミン化合物から選択される少なくとも1種との架橋体(架橋物)を含んで構成されてもよい。
−グアナミン化合物−
グアナミン化合物は、グアナミン骨格(構造)を有する化合物であり、例えば、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、ホルモグアナミン、ステログアナミン、スピログアナミン、シクロヘキシルグアナミン等が挙げられる。
グアナミン化合物としては、特に下記一般式(H)で表される化合物およびその多量体の少なくとも1種であることが望ましい。ここで、多量体は、一般式(H)で表される化合物を構造単位として重合されたオリゴマーであり、その重合度は例えば2以上200以下(望ましくは2以上100以下)である。一般式(H)で表される化合物またはその多量体は、1種単独で用いもよいし、2種以上を併用してもよい。一般式(H)で表される化合物は、2種以上混合して用いたり、それを構造単位とする多量体(オリゴマー)として用いたりすると、溶剤に対する溶解性が向上する。

一般式(H)中、RH1は、炭素数1以上10以下の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数6以上10以下のフェニル基、または置換若しくは無置換の炭素数4以上10以下の脂環式炭化水素基を表す。RH2乃至RH5はそれぞれ独立に、水素原子、−CH−OH、または−CH−O−RH6を表す。RH6は、炭素数1以上10以下の直鎖状または分岐状のアルキル基を表す。
H1が炭素数1以上10以下の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基の場合、望ましくは炭素数が1以上8以下であり、より望ましくは炭素数が1以上5以下である。
H1が置換若しくは無置換の炭素数6以上10以下のフェニル基の場合、望ましくは炭素数が6以上8以下である。フェニル基が置換される場合の置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などが挙げられる。
H1が置換若しくは無置換の炭素数4以上10以下の脂環式炭化水素基の場合、望ましくは炭素数が5以上8以下である。脂環式炭化水素基が置換される場合の置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などが挙げられる。
H6で表される炭素数1以上10以下の直鎖状または分岐状のアルキル基は、望ましくは炭素数が1以上8以下であり、より望ましくは炭素数が1以上6以下(例えば、メチル基、エチル基、ブチル基など)である。
一般式(H)で表される化合物は、特に望ましくは、RH1が置換若しくは無置換の炭素数6以上10以下のフェニル基で、RH2乃至RH5がそれぞれ独立に−CH−O−RH6で表される化合物で、RH6がメチル基またはn−ブチル基である。
一般式(H)で表される化合物は、例えば、グアナミンとホルムアルデヒドとを用いて公知の方法(例えば、「実験化学講座」第4版、28巻、430ページ)で合成される。
以下に一般式(H)で表される化合物の具体例を示すが、これらに限られるわけではない。また、以下の具体例は、単量体を示すが、これらを構造単位とする多量体(オリゴマー)であってもよい。








一般式(H)で表される化合物の市販品としては、例えば、スーパーベッカミン(R)L−148−55、スーパーベッカミン(R)13−535、スーパーベッカミン(R)L−145−60、スーパーベッカミン(R)TD−126(以上、DIC社製)、ニカラックBL−60、ニカラックBX−4000(以上、日本カーバイド社製)などが挙げられる。
一般式(H)で表される化合物(多量体を含む)は、合成後または市販品の購入後、残留触媒の影響を取り除くために、トルエン、キシレン、酢酸エチルなどの適当な溶剤に溶解し、蒸留水、イオン交換水などで洗浄してもよいし、イオン交換樹脂で処理して除去してもよい。
−メラミン化合物−
メラミン化合物は、メラミン骨格(構造)を有する化合物であり、特に下記一般式(J)で表される化合物およびその多量体の少なくとも1種であることが望ましい。ここで、多量体は、一般式(J)で表される化合物を構造単位として重合されたオリゴマーであり、その重合度は例えば2以上200以下(望ましくは2以上100以下)である。一般式(J)で表される化合物またはその多量体は、1種単独で用いもよいし、2種以上を併用してもよい。一般式(J)で表される化合物は、2種以上混合して用いたり、それを構造単位とする多量体(オリゴマー)として用いたりすると、溶剤に対する溶解性が向上する。

一般式(J)中、RJ6乃至RJ11はそれぞれ独立に、水素原子、−CH−OH、−CH−O−RJ12、または−O−RJ12を表し、RJ12は、炭素数1以上5以下の直鎖状または分岐状のアルキル基を表す。当該アルキル基としてはメチル基、エチル基、ブチル基などが挙げられる。
一般式(J)で表される化合物は、例えば、メラミンとホルムアルデヒドとを用いて公知の方法(例えば、「実験化学講座」第4版、28巻、430ページ)で合成される。
以下に一般式(J)で表される化合物の具体例を示すが、これらに限られるわけではない。また、以下の具体例は、単量体を示すが、これらを構造単位とする多量体(オリゴマー)であってもよい。

一般式(J)で表される化合物の市販品としては、例えば、スーパーメラミNo.90(日油社製)、スーパーベッカミン(R)TD−139−60(DIC社製)、ユーバン2020(三井化学)、スミテックスレジンM−3(住友化学工業)、ニカラックMW−30(日本カーバイド社製)などが挙げられる。
一般式(J)で表される化合物(多量体を含む)は、合成後または市販品の購入後、残留触媒の影響を取り除くために、トルエン、キシレン、酢酸エチルなどの適当な溶剤に溶解し、蒸留水、イオン交換水などで洗浄してもよいし、イオン交換樹脂で処理して除去してもよい。
グアナミン化合物およびメラミン化合物から選択される少なくとも1種を用いる場合、反応性電荷輸送材料としては、アルコキシ基を有する反応性電荷輸送材料から選択される少なくとも1種を用いることが望ましく、さらに、水酸基を有する反応性電荷輸送材料から選択される少なくとも1種も用いることがより望ましい。
この場合、グアナミン化合物およびメラミン化合物の総添加量は、フッ素樹脂粒子および前記フッ化アルキル基含有共重合体を除いた前記最表面層(保護層)の全固形分に対して0.1質量%以上25質量%以下であることが望ましく、0.1質量%以上20質量%以下であることがより望ましく、1質量%以上20質量%以下であることが更に望ましい。
保護層を上記構成とすることで、保護層がより密な硬化膜となり、電子写真感光体の耐摩耗性と電気特性がより向上する。
保護層における、反応性電荷輸送材料の総含有量や、グアナミン化合物およびメラミン化合物の総含有量は、保護層を形成するための組成物におけるこれらの化合物の固形分濃度を調整することによって制御される。
以下、保護層について、さらに詳細に説明する。
保護層には、反応性電荷輸送材料(例えば一般式(C)で表される化合物)と共に、フェノール樹脂、尿素樹脂、アルキッド樹脂などを併用してもよい。また、強度を向上させるために、スピロアセタール系グアナミン樹脂(例えば「CTU−グアナミン」、味の素ファインテクノ(株)製)など、一分子中の官能基の個数がより多い化合物を当該架橋物中の材料に共重合させることも効果的である。
保護層には、放電生成ガスを吸着しすぎないように、放電生成ガスによる酸化を効果的に抑制する目的から、フェノール樹脂などの他の熱硬化性樹脂を混合してもよい。
保護層には、酸化防止剤を添加してもよい。酸化防止剤は、例えば、帯電装置で発生するオゾン等の酸化性ガスによる劣化を抑制する目的で用いられる添加剤である。
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、芳香属アミン系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、有機イオウ系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系酸化防止剤、チオウレア系酸化防止剤、ベンズイミダゾール系酸化防止剤、などの公知の酸化防止剤が挙げられる。
保護層には、界面活性剤を添加することがよい。界面活性剤としては、フッ素原子、アルキレンオキサイド構造、シリコーン構造のうち少なくとも1種類以上の構造を含む界面活性剤であれば特に制限はないが、上記構造を複数有するものが電荷輸送有機化合物との親和性・相溶性が高く保護層用塗布液の成膜性が向上し、保護層のシワ・ムラが抑制されるため、好適に挙げられる。
保護層には、膜の成膜性、可とう性、潤滑性、接着性を調整するなどの目的から、カップリング剤またはフッ素化合物と混合して用いてもよい。この化合物として、各種シランカップリング剤、および市販のシリコーン系ハードコート剤が用いられる。
保護層には、放電ガス耐性、機械強度、耐傷性、粒子分散性、粘度制御、トルク低減、磨耗量制御、ポットライフ(層形成用塗布液の保存性)の延長などの目的で、アルコールに溶解する樹脂を加えてもよい。
ここで、アルコールに溶解する樹脂とは、炭素数5以下のアルコールに1質量%以上溶解する樹脂を意味する。アルコールに溶解する樹脂としては、例えば、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルフェノール樹脂が挙げられる。
保護層には、残留電位を下げる目的、または強度を向上させる目的で、各種粒子を添加してもよい。粒子の一例として、ケイ素含有粒子が挙げられる。ケイ素含有粒子とは、構成元素にケイ素を含む粒子であり、具体的には、コロイダルシリカおよびシリコーン粒子等が挙げられる。
また、保護層には、シリコーンオイル等のオイルを添加してもよい。
保護層には、金属、金属酸化物およびカーボンブラック等を添加してもよい。
保護層は、反応性電荷輸送材料、および必要に応じて用いられるグアナミン化合物およびメラミン化合物を、酸触媒を用いて重合(架橋)させた硬化膜(架橋膜)であることが望ましい。酸触媒としては、酢酸、クロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、乳酸などの脂肪族カルボン酸;安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸などの芳香族カルボン酸;メタンスルホン酸、ドデシルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、などの脂肪族若しくは芳香族スルホン酸類などが用いられるが、含硫黄系材料(特には、有機スルホン酸およびその誘導体)を用いることが望ましい。
ここで、触媒の配合量は、フッ素樹脂粒子およびフッ化アルキル基含有共重合体を除く層全構成成分(固形分)に対して、0.1質量%以上50質量%以下の範囲であることが望ましく、特に10質量%以上30質量%以下が望ましい。この配合量が上記範囲未満であると、触媒活性が低すぎることがあり、上記範囲を超えると耐光性が悪くなることがある。なお、耐光性とは、感光層が室内光などの外界からの光にさらされたときに、照射された部分が濃度低下を起こす現象のことを言う。原因は、明らかではないが、特開平5−099737号公報にあるように、光メモリー効果と同様の現象が起こっているためと推定される。
以上の構成の保護層は、上記成分を混合した保護層形成用塗布液を用いて形成される。保護層形成用塗布液の調製は、無溶媒で行うか、必要に応じて溶剤を用いて行ってもよい。かかる溶剤は1種を単独でまたは2種以上を混合して使用されるが、望ましくは沸点が100℃以下のものである。溶剤としては、特に、少なくとも1種以上の水酸基を持つ溶剤(例えば、アルコール類等)を用いることがよい。
また、上記成分を反応させて塗布液を得るときには、単純に混合、溶解させるだけでもよいが、室温(例えば25℃)以上100℃以下、望ましくは30℃以上80℃以下で、10分以上100時間以下、望ましくは1時間以上50時間以下加温してもよい。また、この際に超音波を照射することも望ましい。これにより、おそらく部分的な反応が進行し、塗膜欠陥が少なく、厚さのバラツキが少ない膜が得られやすくなる。
そして、保護層形成用塗布液を、ブレード塗布法、マイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の公知の方法により塗布し、必要に応じて例えば温度100℃以上170℃以下で加熱して硬化させることで、保護層が得られる。
保護層の膜厚は、1μm以上15μm以下が望ましく、より望ましくは3μm以上10μm以下である。
〔第2の態様の感光体:最表面層=電荷輸送層〕
本実施形態における一例である第2の態様の感光体は、図2に示す通り、導電性基体1上に、下引層4、電荷発生層2A、電荷輸送層2Bがこの順に積層された層構成を有し、電荷輸送層2Bが最表面層である。
第2の態様の感光体における導電性基体1、下引層4、電荷発生層2Aとしては、前述の図1に示す第1の態様の感光体における導電性基体1、下引層4、電荷発生層2Aがそのまま適用される。また、第2の態様の感光体における電荷輸送層2Bとしては、前述の図1に示す第1の態様の感光体における保護層2Cがそのまま適用される。
以上、機能分離型の電子写真感光体を例に説明したが、例えば感光層としては、電荷発生能と電荷輸送能とを併せ持つ機能一体型の単層型感光層であってもよい。機能一体型の単層型感光層を形成する場合は、電荷発生材料の含有量は10質量%以上85質量%以下程度が望ましく、より望ましくは20質量%以上50質量%以下である。また、電荷輸送材料の含有量は5質量%以上50質量%以下とすることが望ましい。
単層型感光層の形成方法は、電荷発生層や電荷輸送層の形成方法に準じて行われる。単層型感光層の厚さは5μm以上50μm以下が望ましく、10μm以上40μm以下がより望ましい。
ついで、本実施形態に係る画像形成装置における感光体以外の構成について説明する。
[画像形成装置]
図3は、本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。画像形成装置100は、図3に示すごとく電子写真感光体7を備えるプロセスカートリッジ300と、露光装置9(露光手段)と、転写装置40(転写手段)と、中間転写体50と、を備える。なお、画像形成装置100において、露光装置9はプロセスカートリッジ300の開口部から電子写真感光体7に露光し得る位置に配置されており、転写装置40は中間転写体50を介して電子写真感光体7に対向する位置に配置されており、中間転写体50はその一部が電子写真感光体7に接触して配置されている。
また、プロセスカートリッジ300は、ハウジング内に、電子写真感光体7、帯電装置8(帯電手段)、現像装置11(現像手段)およびクリーニング装置13(クリーニング手段)を一体に支持している。
(クリーニング装置)
クリーニング装置13は、感光体と接触する部分がメラミン樹脂発泡体で構成されたクリーニング部材133と、クリーニングブレード131と、潤滑材14を感光体7の表面に供給する繊維状部材132と、を有している。
まず、感光体と接触する部分がメラミン樹脂発泡体で構成されたクリーニング部材(以下単に「メラミン樹脂クリーニング部材」と称す)133について説明する。
メラミン樹脂発泡体は、一般的には、主原料であるメラミンおよびホルムアルデヒド等に、触媒および乳化剤等を配合し、さらに発泡剤を添加して混合した後、電子線を照射する等の方法により調製される。
また、メラミン樹脂発泡体は三次元網目状構造を有する。ここで「三次元網目状構造」とは、サブミクロンオーダーの繊維状のメラミン樹脂がきめ細かく絡み合った状態で三次元的に結びついており、微細なセルが形成された構造をいう。
前記三次元網目状構造を有するメラミン樹脂発泡体の当該三次元網目状構造は、以下のごとく形成される。即ち、メラミン樹脂と特定の溶剤に溶解する樹脂とを十分に混練し、熱硬化させた後、前記特定の溶剤に浸漬することでメラミン樹脂部分だけが残った三次元網目状構造が形成される。
また、かかるメラミン樹脂発泡体としては市販のものを使用してもよく、例えば、BASF社のBASOTECT(バソテクト)等を使用することが好ましい。当該BASOTECTは、熱硬化性の三次元網目状構造を有しているため、既述のような効果が発揮される。
ここで、図4に、メラミン樹脂クリーニング部材133と感光体7との斜視図を示す。
メラミン樹脂クリーニング部材133の形状は、特に制限されず、図4に示すごとくパッド形状であってもよく、またその他ブラシ形状、ローラ形状等、種々の形状で使用される。
また、メラミン樹脂クリーニング部材133全体をメラミン樹脂発泡体で構成してもよいが、図4に示すごとく、感光体7に接触する部分のみをメラミン樹脂発泡体133Aとする構成としてもよい。
メラミン樹脂クリーニング部材133は、図4に示すごとく、感光体に対し接離自在に設置されるよう構成してもよい。これはクリーニングを必要としない場合(画像形成装置が長時間停止している場合等)等には、感光体からメラミン樹脂クリーニング部材133を離間させた状態に置くことが望ましいためである。
メラミン樹脂クリーニング部材133は、絶縁性であっても導電性であってもよい。
なお、導電性として用いた場合には感光体を帯電する帯電部材を兼ねる態様であってもよい。また、導電性とした場合にはクリーニングバイアスを印加する態様であってもよい。また、当該「導電性」には、半導電性をも含むものとする。
ここで、メラミン樹脂クリーニング部材133に導電性を付与させる方法としては、従来の導電材を練り込む方法や導電性の粉体を吹き付ける方法等、特に制限されるものではないが、電気抵抗を10Ω以上1010Ω以下(好ましくは10Ω以上10Ω以下)に調整した導電性塗料中にクリーニング部材を含浸する含浸法を適用することが好ましい。
前記導電性塗料としては、ウレタン、シリコン、スチレン等にカーボンを分散させ溶剤(例えば、酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトン等)に溶解させたもの等が挙げられる。
また、クリーニング装置13は、ゴムなどの弾性材料からなるクリーニングブレード131(ブレード部材)を有する。クリーニングブレード131はその一端のエッジが電子写真感光体7の表面に接触するように配置され、電子写真感光体7表面に付着したトナー等の現像剤を除去する方法が適用されている。尚、このほかにも、導電性プラスチックを用いたクリーニングブラシを用いた方法等、公知のクリーニング方法が用いられる。
また、潤滑材14を感光体7の表面に供給する繊維状部材132(ロール状)を有する。
尚、図3には、クリーニング装置13として、メラミン樹脂クリーニング部材133とクリーニングブレード131と繊維状部材132とを有する態様を示したが、少なくとも感光体と接触する部分がメラミン樹脂発泡体で構成されたクリーニング部材を有していればよく、クリーニングブレード131や繊維状部材132を有していない態様であってもよい。
(帯電装置)
帯電装置8としては、例えば、導電性または半導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が使用される。また、図8に示す画像形成装置110のごとく非接触型帯電器18を用いてもよい。尚、非接触型の帯電器としては、非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等のそれ自体公知の帯電器等も使用される。
なお、図示しないが、画像の安定性を高める目的で、電子写真感光体7の周囲には、電子写真感光体7の温度を上昇させ、相対温度を低減させるための感光体加熱部材を設けてもよい。
(露光装置)
露光装置9としては、例えば、感光体7表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、所望の像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は感光体の分光感度領域にあるものが使用される。半導体レーザーの波長としては、780nm前後に発振波長を有する近赤外がよい。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザーや青色レーザーとして400nm以上450nm以下に発振波長を有するレーザーも利用してもよい。また、多色画像形成のためにはマルチビームを出力し得るタイプの面発光型のレーザー光源も有効である。
(現像装置)
現像装置11としては、例えば、磁性若しくは非磁性の一成分系現像剤または二成分系現像剤等を接触または非接触させて現像する一般的な現像装置を用いて行ってもよい。その現像装置としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて選択される。例えば、上記一成分系現像剤または二成分系現像剤をブラシ、ローラ等を用いて感光体7に付着させる機能を有する公知の現像器等が挙げられる。中でも現像剤を表面に保持した現像ローラを用いるものが望ましい。
以下、現像装置11に使用されるトナーについて説明する。
本実施形態の画像形成装置に用いられるトナーは、平均形状係数((ML/A)×(π/4)×100、ここでMLは粒子の最大長を表し、Aは粒子の投影面積を表す)が100以上150以下であることが望ましく、105以上145以下であることがより望ましく、110以上140以下であることがさらに望ましい。さらに、トナーとしては、体積平均粒子径が3μm以上12μm以下であることが望ましく、3.5μm以上9μm以下であることがさらに望ましい。
トナーは、特に製造方法により限定されるものではないが、例えば、結着樹脂、着色剤および離型剤、やその他更に帯電制御剤等を加えて混練、粉砕、分級する混練粉砕法;混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力または熱エネルギーにて形状を変化させる方法;結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、着色剤および離型剤、その他更に帯電制御剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、トナー粒子を得る乳化重合凝集法;結着樹脂を得るための重合性単量体と、着色剤および離型剤、その他更に帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法;結着樹脂と、着色剤および離型剤、その他更に帯電制御剤等の溶液とを水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法等により製造されるトナーが使用される。
また上記方法で得られたトナーをコアにして、さらに凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法等、公知の方法が使用される。なお、トナーの製造方法としては、形状制御、粒度分布制御の観点から水系溶媒にて製造する懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法が望ましく、乳化重合凝集法が特に望ましい。
トナー母粒子は、結着樹脂、着色剤および離型剤を含有することが望ましく、更にシリカや帯電制御剤を含有してもよい。
トナー母粒子に使用される結着樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類等の単独重合体および共重合体、ジカルボン酸類とジオール類との共重合によるポリエステル樹脂等が挙げられる。
特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル樹脂等が挙げられる。さらに、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等が挙げられる。
また、着色剤としては、マグネタイト、フェライト等の磁性粉、カーボンブラック、アニリンブルー、カルイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等を代表的なものとして例示される。
離型剤としては、低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレン、フィッシャートロピィシュワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等を代表的なものとして例示される。
また、帯電制御剤としては、公知のものが使用されるが、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプの帯電制御剤が用いられる。湿式製法でトナーを製造する場合、水に溶解しにくい素材を使用することが望ましい。また、トナーとしては、磁性材料を内包する磁性トナーおよび磁性材料を含有しない非磁性トナーのいずれであってもよい。
現像装置11に用いるトナーとしては、上記トナー母粒子および上記外添剤をヘンシェルミキサーまたはVブレンダー等で混合することによって製造される。また、トナー母粒子を湿式にて製造する場合は、湿式にて外添してもよい。
現像装置11に用いるトナーには滑性粒子を添加してもよい。滑性粒子としては、グラファイト、二硫化モリブデン、滑石、脂肪酸、脂肪酸金属塩等の固体潤滑剤や、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類、加熱により軟化点を有するシリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪族アミド類やカルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス、ミツロウの動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物、石油系ワックス、およびそれらの変性物が使用される。これらは、1種を単独で、または2種以上を併用して使用される。但し、平均粒径としては0.1μm以上10μm以下の範囲が望ましく、上記化学構造のものを粉砕して、粒径をそろえてもよい。トナーへの添加量は望ましくは0.05質量%以上2.0質量%以下、より望ましくは0.1質量%以上1.5質量%以下の範囲である。
現像装置11に用いるトナーには、無機粒子、有機粒子、該有機粒子に無機粒子を付着させた複合粒子等を加えてもよい。
無機粒子としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、チタン酸バリウム、チタン酸アルミニウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化セリウム、酸化アンチモン、酸化タングステン、酸化スズ、酸化テルル、酸化マンガン、酸化ホウ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の各種無機酸化物、窒化物、ホウ化物等が好適に使用される。
また、上記無機粒子を、テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルフォニルチタネート、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネート等のチタンカップリング剤、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトエリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤等で処理を行ってもよい。また、シリコーンオイル、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩によって疎水化処理したものも望ましく使用される。
有機粒子としては、スチレン樹脂粒子、スチレンアクリル樹脂粒子、ポリエステル樹脂粒子、ウレタン樹脂粒子等が挙げられる。
粒子径としては、個数平均粒子径で望ましくは5nm以上1000nm以下、より望ましくは5nm以上800nm以下、さらに望ましくは5nm以上700nm以下でのものが使用される。また、上述した粒子と滑性粒子との添加量の和が0.6質量%以上であることが望ましい。
トナーに添加されるその他の無機酸化物としては、1次粒径が40nm以下の小径無機酸化物を用い、更にそれより大径の無機酸化物を添加することが望ましい。これらの無機酸化物粒子は公知のものが使用されるが、シリカと酸化チタンを併用することが望ましい。
また、小径無機粒子については表面処理してもよい。さらに、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩や、ハイドロタルサイト等の無機鉱物を添加することも望ましい。
また、電子写真用カラートナーはキャリアと混合して使用されるが、キャリアとしては、鉄粉、ガラスビーズ、フェライト粉、ニッケル粉またはそれ等の表面に樹脂を被覆したものが使用される。また、キャリアとの混合割合は、必要に応じて設定される。
(転写装置)
転写装置40としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。
(中間転写体)
中間転写体50としては、半導電性を付与したポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等のベルト状のもの(中間転写ベルト)が使用される。また、中間転写体50の形態としては、ベルト状以外にドラム状のものを用いられる。
画像形成装置100は、上述した各装置の他に、例えば、感光体7に対して光除電を行う光除電装置を備えていてもよい。
図5は、他の実施形態に係る画像形成装置を示す概略断面図である。画像形成装置120は、図5に示すごとく、プロセスカートリッジ300を4つ搭載したタンデム方式の多色画像形成装置である。画像形成装置120では、中間転写体50上に4つのプロセスカートリッジ300がそれぞれ並列に配置されており、1色に付き1つの電子写真感光体が使用される構成となっている。なお、画像形成装置120は、タンデム方式であること以外は、画像形成装置100と同じ構成を有している。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。以下において「部」は、特に断りのない限り質量基準である。
(感光体1の作製)
[下引層の形成]
酸化亜鉛(テイカ社製、平均粒子径70nm、比表面積値15m/g)100部をトルエン500部と攪拌混合し、シランカップリング剤(信越化学社製KBM603)1.2部を添加し、2時間攪拌した。その後トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤で表面処理した酸化亜鉛を得た。この表面処理酸化亜鉛100部を、テトラヒドロフラン500部と攪拌混合し、アリザリン1部をテトラヒドロフラン50部に溶解させた溶液を添加し、50℃にて5時間攪拌した。その後、減圧濾過にてアリザリンを付与した酸化亜鉛を濾別し、さらに60℃で減圧乾燥を行い、アリザリン付与酸化亜鉛を得た。
上記で得たアリザリン付与酸化亜鉛60部、硬化剤(ブロック化イソシアネート、住友バイエルンウレタン社製スミジュール3175)13.5部およびブチラール樹脂(積水化学社製エスレックBM−1)15部をメチルエチルケトン85部に溶解した溶液38部と、メチルエチルケトン25部と、を混合し、直径1mmのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散を行い、分散液を得た。この分散液に、触媒としてジオクチルスズジラウレート0.005部と、シリコーン樹脂粒子(GE東芝シリコーン社製トスパール145)40部とを添加し、下引層形成用塗布液を得た。
この下引層形成用塗布液を、浸漬塗布法にて、直径60mm、長さ357mm、肉厚1mmのアルミニウム基材上に塗布し、180℃にて40分間の乾燥硬化を行い、厚さ21μmの下引層を形成した。
[電荷発生層の形成]
X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が7.4°、16.6°、25.5°および28.3°に強い回折ピークを持つクロロガリウムフタロシアニン結晶1部を、ポリビニルブチラール樹脂(積水化学社製エスレックBM−S)1部とともに酢酸ブチル100部に加え、ガラスビーズとともにペイントシェーカーで1時間処理して分散して電荷発生層用塗布液を得た。この塗布液を前記下引層の上に浸漬塗布し、100℃にて8分間加熱乾燥して、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
[電荷輸送層の形成]
下記構造式で表される化合物(1)2.1部、および下記構造式(1)が連なった高分子化合物(粘度平均分子量39,000)2.9部を、テトラヒドロフラン10部およびトルエン5部に溶解して、電荷輸送層用塗布液を得た。この塗布液を前記電荷発生層の上に浸漬塗布し、135℃にて35分間加熱乾燥して、膜厚24μmの電荷輸送層を形成した。


[表面保護層の形成]
4フッ化エチレン樹脂の粒子としてルブロンL−2(ダイキン工業製)10部、下記構造式(E)−1および構造式(F)−1で表される繰り返し単位を含むフッ化アルキル基含有共重合体(重量平均分子量50,000、l:m=1:1、s=1、n=60)0.5部、シクロペンタノン40部に攪拌混合して、4フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液を得た。

次に、下記構造式で表される化合物(2)60部、下記構造式で表される化合物(3)25部、およびベンゾグアナミン樹脂(三和ケミカル社製ニカラックBL−60;既述の(H)−17)4.4部を、シクロペンタノン220部に加え、混合して溶解させた後、前記4フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液を加えて、攪拌混合した。次いで、微細な流路をもつ貫通式チャンバーを装着した高圧ホモジナイザー(吉田機械興業製YSNM−1500AR)を用いて、700kgf/cmまで昇圧しての分散処理を25回繰返した後、NACURE5225(キングインダストリー社製)0.1部を加えて、表面保護層形成用塗布液を得た。この表面保護層形成用塗布液を、前記電荷輸送層の上に浸漬塗布し、158℃にて35分間加熱乾燥し、膜厚7μmの表面保護層を形成した。
こうして得た電子写真感光体を、感光体1とした。

(感光体2の作製)
感光体1の表面保護層の形成において、ベンゾグアナミン樹脂をメチル化メラミン樹脂(三和ケミカル社製ニカラックMW−30HM;既述の(J)−2)に変更した以外は感光体1と同様にして電子写真感光体を作製し、これを感光体2とした。
(感光体3の作製)
感光体1の表面保護層の形成において、化合物(2)を40部、化合物(3)を45部に変更した以外は感光体1と同様にして電子写真感光体を作製し、これを感光体3とした。
(感光体4の作製)
感光体1の表面保護層の形成において、化合物(2)を45部、化合物(3)を24部、ベンゾグアナミン樹脂を20.4部に変更した以外は感光体1と同様にして電子写真感光体を作製し、これを感光体3とした。
(感光体5の作製)
感光体1の表面保護層の形成において、化合物(2)を、下記構造式で表される化合物(4)に変更した以外は感光体1と同様にして電子写真感光体を作製し、これを感光体5とした。

(感光体6の作製)
感光体1と同様にして電荷輸送層まで形成した。
[表面保護層の形成]
4フッ化エチレン樹脂の粒子としてルブロンL−2(ダイキン工業製)10部、前記構造式(E)−1および構造式(F)−1で表される繰り返し単位を含むフッ化アルキル基含有共重合体(重量平均分子量50,000、l:m=1:1、s=1、n=60)0.5部を、シクロペンタノン40部に十分に攪拌混合して、4フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液を得た。
次に、下記の構成材料を、イソプロピルアルコール5部、テトラヒドロフラン3部、および蒸留水0.3部に溶解させ、イオン交換樹脂(オルガノ社製アンバーリスト15E)0.5部を加え、室温(25℃)で24時間攪拌して加水分解を行った。
−構成材料−
・下記構造式で表される化合物(6) 37部
・メチルトリメトキシシラン 37部
・テトラメトキシシラン 8.4部
・コロイダルシリカ 6部

加水分解後の溶液からイオン交換樹脂を濾過分離した溶液に、アルミニウムトリスアセチルアセトナート(Al(aqaq)3)0.1部、および3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)0.4部を加え、混合して溶解させた後、前記4フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液を加えて、攪拌混合した。次いで、微細な流路をもつ貫通式チャンバーを装着した高圧ホモジナイザー(吉田機械興業製YSNM−1500AR)を用いて、700kgf/cmまで昇圧しての分散処理を20回繰返した後、ジメチルポリシロキサン(共栄社化学製グラノール450)1部、およびNACURE5225(キングインダストリー社製)0.1部を加えて、表面保護層形成用塗布液を得た。この表面保護層形成用塗布液を、前記電荷輸送層の上にリング型浸漬塗布法により塗布し、室温(25℃)で30分風乾した後、170℃で1時間加熱処理して硬化させ、膜厚7μmの表面保護層を形成した。
こうして得た電子写真感光体を、感光体6とした。

尚、上記表1における「グアナミン化合物メラミン化合物総添加量」とは、フッ素樹脂粒子およびフッ化アルキル基含有共重合体を除いた表面保護層の全固形分に対するグアナミン化合物およびメラミン化合物の総添加量を表す。また、「アルコキシ基含有反応性電荷輸送材料添加量」とは、フッ素樹脂粒子およびフッ化アルキル基含有共重合体を除いた表面保護層の全固形分に対するアルコキシ基を有する反応性電荷輸送材料の添加量を表す。
(現像剤1)
[トナーの複合粒子粒度分布の測定〕
マルチサイザー(日科機社製)を用い、アパーチャー径100μmのもので測定した。
[トナーの複合粒子平均形状係数(ML/A)の測定〕
下記式で計算された値を意味し、真球の場合、ML2/A=100となる。
ML/A=(最大長)×π×100/(面積×4)
平均形状係数を求める為の具体的な手法として、トナー画像を光学顕微鏡から画像解析装置(LUZEXIII、ニレコ社製)に取り込み、円相当径を測定して、最大長および面積から、個々の粒子について上記式のML/Aの値を求めた。
[トナー母粒子の製造]
−樹脂粒子分散液の調製−
スチレン370g,n−ブチルアクリレート30g,アクリル酸8g、ドデカンチオール24g、四臭化炭素4gを混合して溶解したものを、非イオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製)6gおよびアニオン性界面活性剤(ネオゲンSC:第一工業製薬(株)製)10gをイオン交換水550gに溶解したフラスコ中で乳化重合させ、10分間ゆっくり混合しながら、これに過硫酸アンモニウム4gを溶解したイオン交換水50gを投入した。窒素置換を行った後、前記フラスコ内を攪拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。その結果、150nmであり、ガラス転移温度Tg=58℃、重量平均分子量Mw=11500の樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液が得られた。この分散液の固形分濃度は40質量%であった。
−着色剤分散液(1)の調製−
カーボンブラック(モーガルL:キャボット製)60g
ノニオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製)6g
イオン交換水240g
以上の成分を混合して、溶解、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間攪拌し、その後、アルティマイザーにて分散処理して平均粒子径が250nmである着色剤(カーボンブラック)粒子が分散された着色剤分散剤(1)を調製した。
−離型剤分散液−
パラフィンワックス(HNP0190:日本精蝋(株)製、溶融温度85℃)100g
カチオン性界面活性剤(サニゾールB50:花王(株)製)5g
イオン交換水240g
以上の成分を、丸型ステンレス鋼製フラスコ中でホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、平均粒径が550nmである離型剤粒子が分散された離型剤分散液を調製した。
−トナー母粒子K1の調製−
樹脂粒子分散液234部
着色剤分散液(1)30部
離型剤分散液40部
ポリ水酸化アルミニウム(浅田化学社製、Paho2S)0.5部
イオン交換水600部
以上の成分を、丸型ステンレス鋼鉄フラスコ中でホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて混合し、分散した後、加熱用オイルバス中でフラスコ内を攪拌しながら40℃まで加熱した。40℃で30分保持した後、体積平均粒径D50が4.5μmの凝集粒子が生成していることを確認した。更に加熱用オイルバスの温度を上げて56℃で1時間保持し、体積平均粒径D50は5.3μmとなった。その後、この凝集体粒子を含む分散液に26部の樹脂粒子分散液を追加した後、加熱用オイルバスの温度を50℃まで上げて30分間保持した。この凝集体粒子を含む分散液、1N水酸化ナトリウムを追加して、系のpHを7.0に調整した後ステンレス製フラスコを密閉し、磁気シールを用いて攪拌を継続しながら80℃まで加熱し、4時間保持した。冷却後、このトナー母粒子を濾別し、イオン交換水で4回洗浄した後、凍結乾燥してトナー母粒子K1を得た。トナー母粒子K1の体積平均粒径D50が5.9μm、平均形状係数ML/Aは132であった。
[キャリヤの製造]
フェライト粒子(平均粒径:50μm)100部
トルエン14部
スチレン/メタクリレート共重合体(成分比:90/10)2部
カーボンブラック(R330:キャボット社製)0.2部
まず、フェライト粒子を除く上記成分を10分間スターラーで撹拌させて、分散した被覆液を調製し、次に、この被覆液とフェライト粒子を真空脱気型ニーダーに入れて、60℃において30分撹拌した後、さらに加温しながら減圧して脱気し、乾燥させることによりキャリヤを得た。このキャリヤは、1000V/cmの印加電界時の体積固有抵抗値が1011Ωcmであった。
上記トナー母粒子K1100部にルチル型酸化チタン(粒径20nm,n−デシルトリメトキシシラン処理)1部、シリカ(粒径40nm,シリコーンオイル処理,気相酸化法)2.0部、酸化セリウム(平均粒径0.7μm)1部、高級脂肪酸アルコール(分子量700の高級脂肪酸アルコール)とステアリン酸亜鉛を質量で5:1の割合でジェットミルで粉砕し、平均粒径8.0μmとしたもの0.3部を5Lヘンシェルミキサーで周速30m/s×15分間ブレンドを行った後、45μmの目開きのシーブを用いて粗大粒子を除去し、トナー1を得た。また、キャリア100部とこのトナー5部をV−ブレンダーで、40rpm×20分間攪拌し、212μmの目開きを有するシーブで篩分することにより現像剤1を得た。
(現像剤2)
−トナー母粒子K2の調製−
樹脂粒子分散液234部
着色剤分散液(1)30部
離型剤分散液40部
ポリ水酸化アルミニウム(浅田化学社製、Paho2S)0.5部
イオン交換水600部
以上の成分を、丸型ステンレス鋼鉄フラスコ中でホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて混合し、分散した後、加熱用オイルバス中でフラスコ内を攪拌しながら30℃まで加熱した。30℃で20分保持した後、体積平均粒径D50が3.0μmの凝集粒子が生成していることを確認した。更に加熱用オイルバスの温度を上げて45℃で1時間保持し、体積平均粒径D50は3.8μmとなった。その後、この凝集体粒子を含む分散液に26部の樹脂粒子分散液を追加した後、加熱用オイルバスの温度を50℃まで上げて20分間保持した。この凝集体粒子を含む分散液、1N水酸化ナトリウムを追加して、系のpHを5.0に調整した後ステンレス製フラスコを密閉し、磁気シールを用いて攪拌を継続しながら85℃まで加熱し、3時間保持した。冷却後、このトナー母粒子を濾別し、イオン交換水で4回洗浄した後、凍結乾燥してトナー母粒子K2を得た。トナー母粒子K2の体積平均粒径D50が4.2μm、平均形状係数ML/Aは106であった。
以下、現像剤1と同様にしてトナー2を得た。また、キャリア100部とこのトナー5部をV−ブレンダーで、40rpm×20分間攪拌し、212μmの目開きを有するシーブで篩分することにより現像剤2を得た。

<実施例1乃至16および比較例1乃至5>
〔画像形成テスト〕
前述の感光体1乃至6および現像剤1および2を用い、下記表3に示す組合せにて、富士ゼロックス社製 DocuCentre−II C7500(実験機)に感光体および現像剤を装填した。尚、プロセスカートリッジを図3に示すごとく、クリーニングブレード131と帯電装置8との間にクリーニング部材133を設けるよう改造し、クリーニング部材133として下記表3に記載のクリーニング部材を設けた。
尚、表3に示されるクリーニング部材の詳細は以下の通りである。
・メラミン樹脂発泡体1:メラミン樹脂発泡体(バソテクト、BASF社製)のみからなるパッド形状のクリーニング部材
・ゴムブレード:(上記実験機で用いられているゴムブレードと同じもの)
・ブラシ:(上記実験機で用いられているブラシと同じもの)
・ウレタン樹脂発泡体:ポリウレタンフォーム(カラーフォーム、INOAC社製)のみからなるパッド形状のクリーニング部材
・フェノール樹脂発泡体:ネオマフォーム(旭化成建材)のみからなるパッド形状のクリーニング部材
尚、特に断りのない限り、評価ごとに未使用の感光体を搭載した試験機を用い、画像形成を行った。
(電気特性評価)
22℃/55%RHの環境下において、以下の設定と測定を実施した。
まず初期の感光体の電気特性評価として、実験機から現像手段を取り外し、電位計を設置して、感光体表面電位が−700Vになるようスコロトロン(非接触型帯電手段)のグリッド電圧を調整した。次に露光部電位が−350Vになるよう露光光量を設定した。この露光光量を用いて10万枚の画像形成を行った後に、再び露光部電位を測定し、初期との差分をΔVLで表した。
A:ΔVL<10
B:10≦ΔVL<15
C:15≦ΔVL
(初期画質)
22℃/55%RHの環境下において、以下の設定と測定を実施した。
まず評価に用いた感光体と同一構成且つ同一試作日の感光体において、前記電気特性評価と同様にグリッド電圧と露光光量を調整した。その後感光体を装着し、用紙サイズA3、画像濃度Cin40%の画像を50枚出力し、その50枚の画像を目視で観察し、以下の基準に従って評価した。
A:50枚全てに、スジ等の画像欠陥なし
B:5枚以下に、スジ等の画像欠陥あり
C:6枚以上に、スジ等の画像欠陥あり
D:10枚以上に、スジ等の画質欠陥あり
(解像度:10万回転後の画質)
28℃/85%RHの環境下において、前記電気特性評価と同様にグリッド電圧と露光光量を調整した。
その後、用紙中央部に画像濃度(密度)Cin100%の部分と、これを挟むように2箇所の画像濃度(密度)Cin30%の部分とが存在し、且つ全体の画像濃度(密度)Cinが7.5%の画像(当該画像の概略を図6に示す)を、感光体が100000回転(誤差1%以内)するまで出力し(サイズA4の用紙で5万枚)、その後にサイズ3ptの文字「響」を印字した。その文字「響」を拡大して観察し、以下の基準に従って評価した。
A:図7Aのごとく乱れやかすれがない
B:図7Bのごとく部分的な乱れやかすれがある(文字の判読し得る)
C:図7Cのごとく文字がつぶれ、文字の判読は困難
(耐摩耗性)
感光体の耐摩耗性は、予め測定しておいた使用前の感光体の膜厚と、10万回転後の画質評価を行った後の感光体の膜厚との差分を求め、感光体1000回転あたりの摩耗量(nm/1000回転)を算出し、以下の基準に従って評価した。
なお、感光体の膜厚は、周方向に4点(基点を任意に設定し、0°、90°、180°、270°の4点)、軸方向に上端20mm位置から10mmピッチで33点、合計132点測定し、132点の平均値を求めた。測定には、膜厚測定器(フィッシャースコープ社製パーマスコープ)を用いた。
A:2.5nm未満
B:2.5nm以上、5nm未満
C:5nm以上
電気特性、初期画質、10万回転後の画質、および耐摩耗性の各評価結果に基づき、以下の基準に従って総合判定をした。
A :優れている(全てA)
A−:良好(CがなくBが1つ)
B :若干劣るが実用に問題なし(CがなくBが2つ以上)
C :実用に供し得ない(CやDがある)
結果を表3に示す。

表3に示すように、実施例では比較例に比べ、初期画質で良好な結果を示し、また良好な摩耗率を維持しながら優れた解像度を保ち、長期に亘って繰り返し良好な画像が得られていることが判る。
1 基体、2 感光層、2A 電荷発生層、2B 電荷輸送層、2C 保護層、4 下引層、7 電子写真感光体、8 帯電装置、9 露光装置、11 現像装置、13 クリーニング装置、14 潤滑材、18 帯電装置、40 転写装置、50 中間転写体、100 画像形成装置、120 画像形成装置、131 クリーニングブレード、132 繊維状部材(ロール状)、133 クリーニング部材、300 プロセスカートリッジ

Claims (6)

  1. 少なくとも最表面層にフッ素樹脂粒子およびフッ化アルキル基含有共重合体を含む電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体を帯電する帯電手段と、
    帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、
    前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を、トナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、
    前記電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
    前記電子写真感光体と接触する部分がメラミン樹脂発泡体で構成されたクリーニング部材を備えるクリーニング手段と、
    を備えた画像形成装置。
  2. 前記トナーの体積平均粒径が2μm以上5μm以下である請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記電子写真感光体の最表面層が、グアナミン化合物およびメラミン化合物から選択される少なくとも1種と、アルコキシ基を有する反応性電荷輸送材料と、水酸基を有する反応性電荷輸送材料と、重合体を含み、
    前記フッ素樹脂粒子および前記フッ化アルキル基含有共重合体を除いた前記最表面層の全固形分に対する、前記グアナミン化合物および前記メラミン化合物の総添加量が0.1質量%以上20質量%以下であり、
    前記フッ素樹脂粒子および前記フッ化アルキル基含有共重合体を除いた前記最表面層の全固形分に対する、前記アルコキシ基を有する反応性電荷輸送材料の添加量が10質量%以上40質量%以下である請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 少なくとも最表面層にフッ素樹脂粒子およびフッ化アルキル基含有共重合体を含む電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体と接触する部分がメラミン樹脂発泡体で構成されたクリーニング部材を備えるクリーニング手段と、
    を備え、画像形成装置に着脱し得るプロセスカートリッジ。
  5. 前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を、体積平均粒径が2μm以上5μm以下であるトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段を備える請求項4に記載のプロセスカートリッジ。
  6. 前記電子写真感光体の最表面層が、グアナミン化合物およびメラミン化合物から選択される少なくとも1種と、アルコキシ基を有する反応性電荷輸送材料と、水酸基を有する反応性電荷輸送材料と、重合体を含み、
    前記フッ素樹脂粒子および前記フッ化アルキル基含有共重合体を除いた前記最表面層の全固形分に対する、前記グアナミン化合物および前記メラミン化合物の総添加量が0.1質量%以上20質量%以下であり、
    前記フッ素樹脂粒子および前記フッ化アルキル基含有共重合体を除いた前記最表面層の全固形分に対する、前記アルコキシ基を有する反応性電荷輸送材料の添加量が10質量%以上40質量%以下である請求項4または請求項5に記載のプロセスカートリッジ。
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