JP2011059518A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、および画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジ、および画像形成装置 Download PDF

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貴弘 鈴木
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Abstract

【課題】式(1)における|Q1−Q2|が10μC/mを超える場合に比較して、帯電と除電とが繰り返し施された後においても帯電電位の低下が抑制される。
【解決手段】少なくとも、導電性基体と、膜厚が0.10μm以下である電荷発生層と、電荷輸送層と、をこの順に有し、且つ下記式(1)を満たす電子写真感光体。
0(μC/m)≦|Q1−Q2|≦10(μC/m) 式(1)
(式(1)中、Q2は、帯電と除電とを10000回繰り返す帯電−除電ストレス試験を行った後の電子写真感光体において、表面に付与する電荷Qbと表面電位Vbとの関係をグラフにプロットした際のQb−Vb直線のX切片における電荷(μC/m)の値を、Q1は、前記帯電−除電ストレス試験を行う前の電子写真感光体において、表面に付与する電荷Qaと表面電位Vaとの関係をグラフにプロットした際のQa−Va直線のX切片における電荷(μC/m)の値を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真感光体、プロセスカートリッジ、および画像形成装置に関するものである。
近年、電子写真感光体は、複合機およびレーザービームプリンター等の分野において広範囲に利用されている。これらの電子写真装置の中で、露光により電荷を発生する電荷発生層と、電荷を輸送する電荷輸送層とを積層した機能分離型の積層有機感光体について種々の提案がなされている。
該機能分離型の感光体として、電荷発生層の膜厚を従来よりも厚く構成した感光体が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平5−323624号公報
本発明は、式(1)における|Q1−Q2|が10μC/mを超える場合に比較して、帯電と除電とが繰り返し施された後においても帯電電位の低下が抑制された電子写真感光体を提供することを目的とする。
上記課題は、以下の手段により解決される。
請求項1に係る発明は、
少なくとも、導電性基体と、膜厚が0.10μm以下である電荷発生層と、電荷輸送層と、をこの順に有し、
且つ下記式(1)を満たす電子写真感光体である。
0(μC/m)≦|Q1−Q2|≦10(μC/m) 式(1)
(式(1)中、Q2は、帯電と除電とを10000回繰り返す帯電−除電ストレス試験を行った後の電子写真感光体において、表面に付与する電荷Qbと表面電位Vbとの関係をグラフにプロットした際のQb−Vb直線のX切片における電荷(μC/m)の値を、Q1は、前記帯電−除電ストレス試験を行う前の電子写真感光体において、表面に付与する電荷Qaと表面電位Vaとの関係をグラフにプロットした際のQa−Va直線のX切片における電荷(μC/m)の値を表す。)
請求項2に係る発明は、
前記導電性基体と前記電荷発生層との間に下引層を有し、且つ該下引層の電荷発生層側表面の粗さRmaxが0μm以上0.8μm以下である請求項1に記載の電子写真感光体である。
請求項3に係る発明は、
請求項1または請求項2に記載の電子写真感光体と、
該電子写真感光体を帯電させる帯電装置、前記電子写真感光体に形成された静電潜像をトナーにより現像する現像装置、および、前記電子写真感光体の表面に残存したトナーを除去するトナー除去装置からなる群より選ばれる少なくとも1種の装置と、
を備え、画像形成装置に着脱自在であるプロセスカートリッジである。
請求項4に係る発明は、
請求項1または請求項2に記載の電子写真感光体と、
該電子写真感光体を帯電させる帯電装置と、
帯電した前記電子写真感光体に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、
前記電子写真感光体に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置と、
前記トナー像を被転写体に転写する転写装置と、
を備える画像形成装置である。
請求項1に係る発明によれば、式(1)における|Q1−Q2|が10μC/mを超える場合に比較して、帯電と除電とが繰り返し施された後においても帯電電位の低下が抑制される。
請求項2に係る発明によれば、下引層の表面粗さRmaxが0.8μmを超える場合に比較して、帯電と除電とが繰り返し施された後においても帯電電位の低下が抑制される。
請求項3に係る発明によれば、式(1)における|Q1−Q2|が10μC/mを超える電子写真感光体を備える場合に比較して、形成される画像におけるカブリの発生が抑制されるプロセスカートリッジが提供される。
請求項4に係る発明によれば、式(1)における|Q1−Q2|が10μC/mを超える電子写真感光体を備える場合に比較して、形成される画像におけるカブリの発生が抑制される。
感光体の表面電位の測定装置を側面から見た構成図である。 図1に示した装置のI−I線における模式断面図である。 本実施形態に係る電子写真感光体の好適な一例を示す模式断面図である。 本実施形態に係る電子写真感光体を備えた画像形成装置の好適な一実施形態を示す概略断面図である。 本実施形態に係る電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジを用いたタンデム型の画像形成装置の一実施形態を示す概略断面図である。
以下、本発明の望ましい実施態様について詳細に説明する。
<電子写真感光体>
本実施形態に係る電子写真感光体(以下単に「感光体」と称す場合がある)は、少なくとも、導電性基体と、膜厚が0.10μm以下である電荷発生層と、電荷輸送層と、をこの順に有し、且つ下記式(1)を満たすことを特徴とする。
0(μC/m)≦|Q1−Q2|≦10(μC/m) 式(1)
(式(1)中、Q2は、帯電と除電とを10000回繰り返す帯電−除電ストレス試験を行った後の電子写真感光体において、表面に付与する電荷Qbと表面電位Vbとの関係をグラフにプロットした際のQb−Vb直線のX切片における電荷(μC/m)の値を、Q1は、前記帯電−除電ストレス試験を行う前の電子写真感光体において、表面に付与する電荷Qaと表面電位Vaとの関係をグラフにプロットした際のQa−Va直線のX切片における電荷(μC/m)の値を表す。)
ここで、上記「Qa−Va直線のX切片における電荷の値」または「Qb−Vb直線のX切片における電荷の値」とは、Y軸である表面電位VaまたはVbがゼロとなるときの電荷QaまたはQbを表す。これは即ち、感光体に対して付与した電荷のうち帯電に寄与しない電荷の量を表している。
従って本実施形態に係る感光体は、帯電と除電とが繰り返し施される前と後において、帯電に寄与しない電荷の量の変動を10μC/m以下と小さく抑えることを特徴とする。
本実施形態に係る感光体によれば、長期に渡って使用し帯電と除電とが繰り返し行われた場合であっても、帯電電位の低下が抑制される。また、該感光体を画像形成装置の潜像保持体として適用した場合に得られる画像においては、カブリ(本来白抜けとなるべき非画像部にトナーが付着して濃度が高くなる現象)の発生が抑制される。更に、感光体の長寿命化が図られる。
上記効果が達成されるメカニズムは必ずしも明確ではないが、以下のように推察される。電子写真感光体は、長期にわたって繰り返して使用すると、静電潜像形成の際の露光や除電のための露光等により、電荷発生層で発生した電荷が該電荷発生層自体に蓄積する。この蓄積した電荷は、帯電装置による帯電の際に感光層(少なくとも電荷発生層と電荷輸送層とを備えた感光層)中の電場の上昇によって開放され、感光体の表面の電荷を打ち消し、感光体の帯電電位が低下するものと推察され、その結果得られる画像にカブリが発生した。尚、このカブリの発生は、電荷輸送層の膜厚が厚いほど生じやすい傾向にあった。
本実施形態に係る感光体は、前記式(1)に示す通り|Q1−Q2|の値が10μC/m以下であり、電荷発生層で発生した電荷の該電荷発生層自体への蓄積が抑制されているため、その結果感光体の帯電電位の低下が抑制されるものと推察される。
尚、前記式(1)に示す通り|Q1−Q2|の値を10μC/m以下に調整するための手段としては、電荷発生層の膜厚を薄く制御することが有効な手段として挙げられる。
ここで、上記|Q1−Q2|の値は更に下記式(1’)を満たすことがより望ましく、下記式(1”)を満たすことが特に望ましい。
0(μC/m)≦|Q1−Q2|≦8(μC/m) 式(1’)
0(μC/m)≦|Q1−Q2|≦5(μC/m) 式(1”)
−表面電位の測定方法−
以下、図面を参照しながら、感光体の表面に電荷Qa(またはQb)を付与した際の表面電位Va(またはVb)の測定方法について説明する。
図1は、感光体の表面電位の測定装置を側面から見た構成図であり、図2は、図1に示した装置のI−I線における模式断面図である。図1および図2に示すように、測定の対象となる感光体31は、測定装置400のハウジング32内に設置され、感光体31の外周部には、ハウジング32の底部に固定された環状の取り付け部材33を介して、帯電装置34、電位測定装置35および36並びに除電装置37が設置されている。
ここで、感光体31はその一端が支持部38に支持され、その後、支持部39が設置されたスライド台44を、図1中の矢印Aの方向に移動させることにより、感光体31の他端が支持部39によって支持される。一方の支持部38は回転モータ41に連動して、感光体31を図2中の矢印Bの方向に回転し得る構造となっており、回転数は任意に設定される。また、感光体31を構成する導電性基体は、支持部38を介して電流測定装置43に接続されている。
また、支持部38および39並びに回転モータ41は、感光体31の軸方向に往復移動する自動ステージ42上に設置されており、これによって取り付け部材33に取り付けられた帯電装置34、電位測定装置35および36並びに除電装置37に対して、感光体31をその軸方向に移動し得る。
また、帯電装置34、電位測定装置35および36並びに除電装置37のそれぞれは、感光体31の直径が異なる場合でも、感光体31の表面と間隔をもって配置されるよう、感光体31表面の法線方向に進退し得る取り付け部材33に取り付けられている。更に、帯電装置34、電位測定装置35および36並びに除電装置37のそれぞれは、感光体31の周方向において位置を自由に調節し得るよう取り付け部材33に取り付けられている。
以下、上記測定装置400の各構成要素について説明する。
帯電装置34は、感光体31を帯電させるものであり、感光体31の軸方向における実行帯電幅が50mmのスコロトロンを使用する。
電位測定装置35は、感光体31回転方向の帯電装置34の下流側に設置され、帯電後の感光体31の表面電位を測定するものである。また電位測定装置36は、感光体31回転方向の除電装置37の下流側に設置され、除電後の感光体31の表面電位を測定するものである。電位測定装置35および36は、電位測定プローブと表面電位計とで構成され、電位測定プローブとしてModel 555P−1(トレック社製)が、表面電位計としてModel 334(トレック社製)がそれぞれ使用される。
除電装置37は、帯電装置34により帯電した感光体31の表面に光を照射し、感光体31表面の残留電荷を除電するためのものである。除電装置37の光源としてハロゲンランプが使用され、波長600nm以上の光のみを透過する赤フィルターを通して感光体31の表面に光源からの光を照射する。
電流測定装置43は、帯電時に感光体31に流れる電流を測定するものであり、感光体31に接続され且つアースに接続されている。電流測定装置43として、ケースレー社製、Model614電流計が使用される。
ここで、電位測定装置35および36並びに除電装置37の配置は、帯電装置34の位置を基準(0°)とし、感光体31の回転方向の下流側を「+」の角度で表すと、電位測定装置35が45°、除電装置37が250°、電位測定装置36が310°の角度で配置される。
上記構成を有する測定装置400を用いて、感光体31の表面電位を測定する。
まず、測定装置400内の温度を20℃、湿度を40%に設定し、感光体31を上記測定装置400の支持部38および39に取り付け、感光体31を自動ステージ42により移動させ、感光体31の一端から170mmの位置(感光体31の軸方向の中央位置)を、帯電装置34、電位測定装置35および36、並びに除電装置37の位置に合わせる。除電装置37の光量を175mJ/mに設定し、感光体31を回転モータ41により回転数66.7rpmで回転させた状態で、帯電装置34におけるスコロトロンのワイヤーの電流を−150μAに設定し、スコロトロンのグリッド電圧を0Vから−1400Vまで−100V毎に増加させ、電流測定装置43によって感光体31へ流入する電流を測定する。また、電位測定装置35によって感光体31の帯電後除電前における表面電位を、電位測定装置36によって感光体31の除電後の表面電位を測定する。前記感光体31へ流入する電流を帯電面積で割って、感光体31の表面に与える電荷Qa(またはQb)を求め、また感光体31の帯電後の表面電位から感光体31の除電後の表面電位を差し引き、感光体31の表面電位Va(またはVb)を求め、横軸(X軸)が電荷Qa(またはQb)、縦軸(Y軸)が表面電位Va(またはVb)のQa−Va直線(またはQb−Vb直線)のグラフを作成する。
尚、「Qa−Va直線(またはQb−Vb直線)のX切片における電荷の値」は、感光体31の表面電位が−200Vから−600Vの範囲のデータを用いて、最小二乗法による直線近似を行って、近似直線のX切片における電荷の値を求める。
−帯電−除電ストレス試験−
次いで、感光体に帯電と除電とを10000回繰り返す帯電−除電ストレス試験について説明する。
前述の図1および図2に示す測定装置400を用いて、帯電と除電とを10000回繰り返して行う。まず、測定装置400内の温度を20℃、湿度を40%に設定し、感光体31を上記測定装置400の支持部38および39に取り付け、感光体31を自動ステージ42により移動させ、感光体31の一端から170mmの位置(感光体31の軸方向の中央位置)を、帯電装置34、電位測定装置35および36、並びに除電装置37の位置に合わせる。次に、感光体31を回転モータ41により回転数140rpmで回転させ、帯電と除電とのサイクルを繰り返し10000回行う。尚、除電装置37の光量は175mJ/m、帯電装置34におけるスコロトロンのワイヤーの電流は−150μA、スコロトロンのグリッド電圧は感光体31の帯電後の電位が−700Vとなるよう設定する。
−電荷発生層の膜厚−
また、本実施形態に係る感光体においては、電荷発生層の膜厚が0.10μm以下であることを要し、該膜厚は更に0.05μm以上0.10μm以下であることがより望ましい。
尚、上記電荷発生層の膜厚の測定は以下の方法によって行われ、本明細書に記載の値は該方法によって測定されたものである。まず、ミクロトームにより厚さ200nmの超薄切片を調製し、この切片の試料を走査型電子顕微鏡(日本電子製、JSM−6700F)で断面観察を行い、電荷発生層の膜厚を測定する。
ここで、電荷発生層の膜厚を上記範囲に調整する手段としては、電荷発生層と導電性基体との間に下引層を有する場合であれば、該下引層の電荷発生層側の表面の粗さRmaxを0μm以上0.8μm以下に制御することが有効な手段として挙げられる。該粗さRmaxは更に0μm以上0.5μm以下であることがより望ましい。
尚、上記下引層の粗さRmaxの測定は以下の方法によって行われ、本明細書に記載の値は該方法によって測定されたものである。Rmax(最大高さ)は接針式表面粗さ測定機(東京精密社製 サーフコム1400A)を使用し、JIS B0601(1982)に準拠して測定される。
−感光体の構成−
以下、図面を参照しつつ本実施形態に係る電子写真感光体の構成について説明する。
図3は、本実施形態に係る電子写真感光体の好適な一例を示す模式断面図である。
図3においては、導電性基体54上に下引層51が設けられ、その上に電荷発生層52、電荷輸送層53が設けられた電子写真感光体57が示されている。
<導電性基体>
導電性基体54としては、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、ステンレス、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等の金属または合金を用いて構成される金属板、金属ドラム、および金属ベルト、または、導電性ポリマー、酸化インジウム等の導電性化合物やアルミニウム、パラジウム、金等の金属または合金を塗布、蒸着またはラミネートした紙、プラスチックフィルム、ベルト等が挙げられる。
ここで、「導電性」とは体積抵抗率が1013Ωcm未満であることをいう。また、本実施形態における体積抵抗率は20℃における体積抵抗率とする。
尚、導電性基体54には陽極酸化処理を施してもよい。陽極酸化処理は、アルミニウムを陽極とし電解質溶液中で陽極酸化することによりアルミニウム表面に酸化膜を形成するものである。電解質溶液としては、硫酸溶液、シュウ酸溶液等が挙げられる。また、陽極酸化膜の微細孔を加圧水蒸気または沸騰水中(ニッケル等の金属塩を加えてもよい)で水和反応による体積膨張でふさぎ、水和酸化物に変える封孔処理を行ってもよい。
陽極酸化膜の膜厚については、0.3μm以上15μm以下が望ましい。
また、導電性基体54には、酸性水溶液による処理またはベーマイト処理を施してもよい。リン酸、クロム酸およびフッ酸を含む酸性処理液による処理は以下のようにして実施される。先ず、酸性処理液を調製する。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸およびフッ酸の配合割合は、リン酸が10質量%以上11質量%以下の範囲、クロム酸が3質量%以上5質量%以下の範囲、フッ酸が0.5質量%以上2質量%以下の範囲であって、これらの酸全体の濃度は13.5質量%以上18質量%以下の範囲が望ましい。処理温度は42℃以上48℃以下が望ましい。被膜の膜厚は、0.3μm以上15μm以下が望ましい。
ベーマイト処理は、90℃以上100℃以下の純水中に5分間以上60分間以下浸漬すること、または90℃以上120℃以下の加熱水蒸気に5分間以上60分間以下接触させることにより行われる。被膜の膜厚は、0.1μm以上5μm以下が望ましい。これをさらにアジピン酸、硼酸、硼酸塩、燐酸塩、フタル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩等の他種に比べ被膜溶解性の低い電解質溶液を用いて陽極酸化処理してもよい。
<下引層>
下引層51は、前述の通り、電荷発生層52の膜厚を前述の範囲に調整する観点から電荷発生層側の表面の粗さRmaxを0μm以上0.8μm以下に制御すること望ましい。下引層51の電荷発生層側の表面の粗さRmaxを上記範囲に調整する手段としては、導電性基材の表面粗さを小さくする(具体的には導電性基体に切削処理を施す等して表面粗さを小さくする)、下引層に粒径の大きい粒子を含有しない等の制御が挙げられる。
下引層51は、例えば、結着樹脂に無機粒子を含有して構成される。
無機粒子としては、粉体抵抗(体積抵抗率)10Ω・cm以上1011Ω・cm以下のものが望ましく用いられる。中でも上記粉体抵抗を有する無機粒子としては、酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等の無機粒子(導電性金属酸化物)を用いるのが望ましく、特に酸化亜鉛は望ましく用いられる。
また、無機粒子は表面処理を行ったものでもよく、表面処理の異なるもの、または粒子径の異なるものなど2種以上混合して用いてもよい。無機粒子の体積平均粒径は50nm以上500nm以下(望ましくは60nm以上100nm以下)の範囲であることが望ましい。
また、無機粒子としては、BET法による比表面積が10m/g以上のものが望ましく用いられる。
さらに無機粒子とアクセプター性化合物とを含有させてもよい。アクセプター性化合物としてはいかなるものでも使用されるが、クロラニル、ブロモアニル等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールや2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物等の電子輸送性物質などが望ましく、特にアントラキノン構造を有する化合物が望ましい。さらに、ヒドロキシアントラキノン系化合物、アミノアントラキノン系化合物、アミノヒドロキシアントラキノン系化合物等、アントラキノン構造を有するアクセプター性化合物が望ましく用いられ、具体的にはアントラキノン、アリザリン、キニザリン、アントラルフィン、プルプリン等が挙げられる。
これらのアクセプター性化合物の含有量は特に限定されないが、望ましくは無機粒子に対して0.01質量%以上20質量%以下含有される。
アクセプター化合物は、下引層51の塗布時に添加するだけでもよいし、無機粒子表面にあらかじめ付着させておいてもよい。無機粒子表面にアクセプター化合物を付与させる方法としては、乾式法または湿式法が挙げられる。
乾式法にて表面処理を施す場合には無機粒子をせん断力の大きなミキサ等で攪拌しながら、直接または有機溶媒に溶解させたアクセプター化合物を滴下、乾燥空気や窒素ガスとともに噴霧させることによって処理される。添加または噴霧する際には溶剤の沸点以下の温度で行うことが望ましい。添加または噴霧した後、さらに100℃以上で焼き付けを行ってもよい。
湿式法としては、無機粒子を溶剤中で攪拌、超音波、サンドミルやアトライター、ボールミル等を用いて分散し、アクセプター化合物を添加し攪拌または分散したのち、溶剤除去することで処理される。溶剤除去方法はろ過または蒸留により留去される。溶剤除去後にはさらに100℃以上で焼き付けを行ってもよい。湿式法においては表面処理剤を添加する前に無機粒子含有水分を除去してもよく、その例として表面処理に用いる溶剤中で攪拌加熱しながら除去する方法、溶剤と共沸させて除去する方法を用いてもよい。
下引層51に含有される結着樹脂としては公知のいかなるものでも使用されるが、例えばポリビニルブチラール等のアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の公知の高分子樹脂化合物、また電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂やポリアニリン等の導電性樹脂等が用いられる。中でも上層の塗布溶剤に不溶な樹脂が望ましく用いられ、特にフェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が望ましく用いられる。これらを2種以上組み合わせて使用する場合には、その混合割合は、必要に応じて設定される。
下引層51形成用塗布液中のアクセプター性化合物と結着樹脂、または無機粒子と結着樹脂との比率は任意に設定される。
下引層51中には種々の添加物を用いてもよい。添加物としては、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料が用いられる。シランカップリング剤は金属酸化物の表面処理に用いられるが、添加剤としてさらに塗布液に添加して用いてもよい。ここで用いられるシランカップリング剤の具体例としてはビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシラン等である。ジルコニウムキレート化合物の例として、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシド等が挙げられる。
下引層51形成用塗布液を調製するための溶媒としては公知の有機溶剤、例えばアルコール系、芳香族系、ハロゲン化炭化水素系、ケトン系、ケトンアルコール系、エーテル系、エステル系等から任意で選択される。溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤が用いられる。
また、これらの分散に用いる溶剤は単独または2種以上混合して用いてもよい。混合する際、使用される溶剤としては、混合溶剤として結着樹脂を溶かし得る溶剤であれば、いかなるものでも使用される。
分散方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカーなどの公知の方法が用いられる。さらにこの下引層51を設ける際に用いる塗布方法としては、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の方法が好適に用いられる。
以上の下引層51形成用塗布液を用い、導電性基体54上に下引層51が成膜される。
また、下引層51は、ビッカース硬度が35以上とされていることが望ましい。
さらに、下引層51は、いかなる厚さに設定されてもよいが、厚さ15μm以上が望ましく、さらに望ましくは15μm以上50μm以下である。
<電荷発生層>
本実施形態に係る電荷発生層52は、前述の通り、その膜厚が0.10μm以下であることを要する。
電荷発生層52は電荷発生材料および結着樹脂を含有する層である。
電荷発生材料としては、ビスアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料、ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、ピロロピロール顔料、フタロシアニン顔料、酸化亜鉛、三方晶系セレン等が挙げられる。これらの中でも、近赤外域のレーザー露光に対しては、金属または無金属フタロシアニン顔料が望ましく、特に、特開平5−263007号公報、特開平5−279591号公報等に開示されたヒドロキシガリウムフタロシアニン、特開平5−98181号公報等に開示されたクロロガリウムフタロシアニン、特開平5−140472号公報、特開平5−140473号公報等に開示されたジクロロスズフタロシアニン、特開平4−189873号公報、特開平5−43823号公報等に開示されたチタニルフタロシアニンがより望ましい。また、近紫外域のレーザー露光に対してはジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料、チオインジゴ系顔料、ポルフィラジン化合物、酸化亜鉛、三方晶系セレン等がより望ましい。電荷発生材料としては、380nm以上500nm以下の露光波長の光源を用いる場合には無機顔料が望ましく、700nm以上800nm以下の露光波長の光源を用いる場合には金属および無金属フタロシアニン顔料が望ましい。
電荷発生材料としては、600nm以上900nm以下の波長域での分光吸収スペクトルにおいて、810nm以上839nm以下の範囲に最大ピーク波長を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を用いることが望ましい。
また、上記の810nm以上839nm以下の範囲に最大ピーク波長を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、平均粒径が0.20μm以下であることが望ましく、0.01μm以上0.15μm以下であることがより望ましい。また、BET比表面積が45m/g以上であることが望ましく、50m/g以上であることがより望ましく、55m/g以上120m/g以下であることが特に望ましい。
平均粒径は、体積平均粒径(d50平均粒径)でレーザ回折散乱式粒度分布測定装置(LA−700、堀場製作所社製)にて測定した値である。またBET比表面積は、BET式比表面積測定器(島津製作所製:フローソーブII2300)を用い窒素置換法にて測定した値である。
また、上記ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の最大粒径(一次粒子径の最大値)は、1.2μm以下であることが望ましく、1.0μm以下であることがより望ましく、より望ましくは0.3μm以下である。
更に、上記ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、平均粒径が0.2μm以下、最大粒径が1.2μm以下であり、且つ、比表面積値が45m/g以上であることが望ましい。
また、上記のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、CuKα特性X線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角度(2θ±0.2°)7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°および28.3°に回折ピークを有するものであることが望ましい。
また、上記のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、25℃から400℃まで昇温したときの熱重量減少率が2.0%以上4.0%以下であることが望ましく、2.5%以上3.8%以下であることがより望ましい。なお、熱重量減少率は熱天秤等により測定される。
電荷発生層52に使用される結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択され、また、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシラン等の有機光導電性ポリマーから選択してもよい。望ましい結着樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノール類と芳香族2価カルボン酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等が挙げられる。これらの結着樹脂は1種を単独でまたは2種以上を混合して用いられる。電荷発生材料と結着樹脂の配合比は質量比で10:1から1:10までの範囲内であることが望ましい。ここで「絶縁性」とは、体積抵抗率が1013Ωcm以上であることをいう。
電荷発生層52は、上記電荷発生材料および結着樹脂を溶剤中に分散した塗布液を用いて形成される。
分散に用いる溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等が挙げられ、これらは1種を単独でまたは2種以上を混合して用いられる。
また、電荷発生材料および結着樹脂を溶剤中に分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の通常の方法が用いられる。さらにこの分散の際、電荷発生材料の平均粒径を0.5μm以下、望ましくは0.3μm以下、さらに望ましくは0.15μm以下にすることが有効である。
また、電荷発生層52を形成する際には、ブレード塗布法、マイヤーバー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の方法が好適に用いられる。
<電荷輸送層>
電荷輸送層53は、電荷輸送材料と結着樹脂とを含有するか、または高分子電荷輸送材を含有して形成される。
電荷輸送材料としては、p−ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物等の電子輸送性化合物、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物などの正孔輸送性化合物が挙げられる。これらの電荷輸送材料は1種を単独でまたは2種以上を混合して用いられるが、これらに限定されるものではない。
電荷輸送材料としては、下記構造式(a−1)で示されるトリアリールアミン誘導体、および下記構造式(a−2)で示されるベンジジン誘導体が望ましい。
(構造式(a−1)中、Rは、水素原子またはメチル基を示す。nは1または2を示す。ArおよびArは各々独立に置換若しくは未置換のアリール基、−C−C(R)=C(R10)(R11)、または−C−CH=CH−CH=C(R12)(R13)を示し、R乃至R13はそれぞれ独立に水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、または置換若しくは未置換のアリール基を表す。置換基としてはハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、または炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基を示す。)
(構造式(a−2)中、R14およびR14’は同一でも異なってもよく、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基を示す。R15、R15’、R16、およびR16’は同一でも異なってもよく、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、炭素数1以上2以下のアルキル基で置換されたアミノ基、置換若しくは未置換のアリール基、−C(R17)=C(R18)(R19)、または−CH=CH−CH=C(R20)(R21)を示し、R17乃至R21は各々独立に水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、または置換若しくは未置換のアリール基を表す。mおよびnは各々独立に0以上2以下の整数を示す。)
ここで、上記構造式(a−1)で示されるトリアリールアミン誘導体、および上記構造式(a−2)で示されるベンジジン誘導体のうち、特に、「−C−CH=CH−CH=C(R12)(R13)」を有するトリアリールアミン誘導体、および「−CH=CH−CH=C(R20)(R21)」を有するベンジジン誘導体が望ましい。
電荷輸送層53に用いる結着樹脂は、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーンアルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等が挙げられる。また、上述のように、特開平8−176293号公報、特開平8−208820号公報に開示されているポリエステル系高分子電荷輸送材等の高分子電荷輸送材を用いてもよい。これらの結着樹脂は1種を単独でまたは2種以上を混合して用いられる。電荷輸送材料と結着樹脂との配合比は質量比で10:1から1:5が望ましい。
特に、結着樹脂としては、粘度平均分子量50000以上80000以下のポリカーボネート樹脂、および粘度平均分子量50000以上80000以下のポリアクリレート樹脂の少なくとも1種が望ましい。
電荷輸送層53は、上記構成材料を含有する電荷輸送層53形成用塗布液を用いて形成される。電荷輸送層53形成用塗布液に用いる溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロンゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状もしくは直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤を単独または2種以上混合して用いられる。また、上記各構成材料の分散方法としては、公知の方法が使用される。
電荷輸送層53形成用塗布液を電荷発生層52の上に塗布する際の塗布方法としては、ブレード塗布法、マイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
電荷輸送層53の膜厚は、望ましくは5μm以上50μm以下であり、より望ましくは38μm以上である。
尚、本実施形態に係る感光体57は、さらに前記電荷輸送層53の上に保護層を有していてもよい。保護層としては、バインダー樹脂中に導電性粒子を分散したもの、通常の電荷輸送層材料にフッ素樹脂、アクリル樹脂などの潤滑性粒子を分散させたもの、シリコーンや、アクリルなどのハードコート剤等が使用されるが、架橋構造を有するものがより望ましく、さらに酸化しやすい電荷輸送性材料を含むものが特に望ましい。架橋構造を形成するものとしては種々の材料が用いられるが、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シロキサン樹脂などが望ましく、特にシロキサン系樹脂、フェノール系樹脂からなるものが望ましい。
(画像形成装置/プロセスカートリッジ)
図4は、本実施形態に係る電子写真感光体を備えた画像形成装置の好適な一実施形態を示す概略断面図である。図4に示す画像形成装置は、画像形成装置本体(図示せず)に、電子写真感光体7を備えるプロセスカートリッジ300と、露光装置9と、転写装置40と、記録媒体搬送ベルト50を備える。なお、画像形成装置100において、露光装置9はプロセスカートリッジ300の開口部から電子写真感光体7に露光し得る位置に配置されており、記録媒体搬送ベルト50はその一部が電子写真感光体7に接触し得るよう配置されている。
図4におけるプロセスカートリッジ300は、ハウジング内に、電子写真感光体7、帯電装置8、現像装置11およびクリーニング装置13を一体に備えている。クリーニング装置13は、クリーニングブラシ132およびクリーニングブレード131を有しており、クリーニングブラシ132およびクリーニングブレード131は、電子写真感光体7の表面に接触するように配置されている。またクリーニングブラシ132には、除去された残留トナー等をクリーニングブラシ132から掻き落とす掻落し部材14が接触配置されている。
帯電装置8としては、例えば、導電性または半導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が使用される。また、帯電ローラを感光体7近傍で用いる非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等のそれ自体公知の帯電器等も使用される。
露光装置9としては、例えば、感光体7表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、像様に露光し得る光学系機器等が挙げられる。光源の波長は感光体7の分光感度領域にあるものが使用される。半導体レーザーの波長としては、780nm付近に発振波長を有する近赤外が主流である。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザーや青色レーザーとして400nm以上450nm以下に発振波長を有するレーザーも利用される。また、カラー画像形成のためにはマルチビームを出力し得るタイプの面発光型のレーザー光源も用いられる。
現像装置11としては、例えば、磁性若しくは非磁性の一成分系現像剤または二成分系現像剤等を、感光体7に接触または非接触させて現像する一般的な現像装置が用いられる。現像装置11としては、例えば、上記一成分系現像剤または二成分系現像剤をブラシ、ローラ等を用いて電子写真感光体7に付着させる機能を有する公知の現像器等が挙げられる。
ここで、現像装置11に使用されるトナーについて説明する。
トナーは、例えば結着樹脂、着色剤、離型剤、帯電制御剤等を加えて混練、粉砕、分級する混練粉砕法;混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力または熱エネルギーにて形状を変化させる方法;結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、着色剤、離型剤、帯電制御剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、トナー粒子を得る乳化重合凝集法;結着樹脂を得るための重合性単量体と、着色剤、離型剤、帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法;結着樹脂、着色剤、離型剤、帯電制御剤等の溶液とを水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法等により製造されるトナーが使用される。
また上記方法で得られたトナーをコアにして、さらに凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法等、公知の方法が使用される。なお、トナーの製造方法としては、水系溶媒にて製造する懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法が望ましく、乳化重合凝集法が特に望ましい。
トナー粒子には、例えば結着樹脂、着色剤および離型剤等が含有され、またシリカや帯電制御剤を含有していてもよい。また、シリカ等の外添剤を添加してもよい。
トナー粒子に使用される結着樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類等の単独重合体および共重合体、ジカルボン酸類とジオール類との共重合によるポリエステル樹脂等が挙げられる。
特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル樹脂等が挙げられる。さらに、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等も挙げられる。
また、着色剤としては、マグネタイト、フェライト等の磁性粉、カーボンブラック、アニリンブルー、カルイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等が代表的なものとして例示される。
離型剤としては、低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレン、フィッシャートロピィシュワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等が代表的なものとして例示される。
また、帯電制御剤としては公知のものが使用され、例えばアゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプの帯電制御剤が挙げられる。湿式製法でトナーを製造する場合、水に溶解しにくい素材を使用することが望ましい。
トナーとしては、磁性材料を内包する磁性トナーおよび磁性材料を含有しない非磁性トナーのいずれであってもよい。
現像装置11に用いるトナーには更に滑性粒子を添加してもよい。滑性粒子としては、グラファイト、二硫化モリブデン、滑石、脂肪酸、脂肪酸金属塩等の固体潤滑剤や、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類、PTEF、PFAなどのフッ素系粒子、加熱により軟化点を有するシリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪族アミド類やカルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス、ミツロウ等の動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物、石油系ワックス、およびそれらの変性物が使用される。これらは、1種を単独で使用しても、2種以上を併用して使用してもよい。但し、平均粒径としては0.1μm以上10μm以下の範囲が望ましく、粉砕して粒径をそろえてもよい。トナーへの添加量は望ましくは0.05質量%以上2.0質量%以下の範囲である。
現像装置11に用いるトナーには、無機粒子、有機粒子、該有機粒子に無機粒子を付着させた複合粒子等を加えてもよい。
無機粒子としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、チタン酸バリウム、チタン酸アルミニウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化セリウム、酸化アンチモン、酸化タングステン、酸化スズ、酸化テルル、酸化マンガン、酸化ホウ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の各種無機酸化物、窒化物、ホウ化物等が好適に使用される。
また、上記無機粒子を、テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルフォニルチタネート、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネート等のチタンカップリング剤、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトエリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤等で処理を行ってもよい。また、シリコーンオイル、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩によって疎水化処理したものも望ましく使用される。
有機粒子としては、黒鉛やグラファイトにフッ素が結合したフッ化炭素、ポリ四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、パーフルオロアルコキシ・フッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロ三フッ化エチレン(PCTFE)、フッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニル(PVF)等が用いられる。
前記無機粒子、前記有機粒子、および前記複合粒子の粒子径としては、個数平均粒子径で望ましくは5nm以上1000nm以下である。
現像装置11に用いるトナーとしては、前記トナー粒子および前記外添剤をヘンシェルミキサーやVブレンダー等の攪拌器で混合することによって製造される。また、トナー粒子を湿式にて製造する場合は、湿式にて前記外添剤を外添してもよい。
現像装置11に用いるトナーは、平均形状係数(ML/A)が100以上150以下であることが望ましい。さらに、体積平均粒子径が3μm以上12μm以下であることが望ましい。
また、上記トナーはキャリアと混合した二成分現像剤として使用してもよい。該キャリアとしては、鉄粉、ガラスビーズ、フェライト粉、ニッケル粉またはそれらの表面に樹脂コーティングを施したものが使用される。尚、キャリアとの混合割合は、自由に設定される。
転写装置40としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写装置が挙げられる。
記録媒体搬送ベルト50としては、半導電性を付与したポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等のベルト状のものが使用される。また、記録媒体搬送ベルト50の代わりに、ドラム状の記録媒体搬送体を用いてもよい。
図4に示す画像形成装置100では、帯電装置8によって感光体7の表面が帯電され、露光装置9によって静電潜像が形成された後、現像装置11内のトナーによって感光体7表面の前記静電潜像がトナー像として顕像化される。記録媒体搬送ベルト50によって記録媒体(図示せず)が、転写装置40と感光体7とが対向する位置に搬送され、該記録媒体に前記トナー像が転写されて、その後図示しない定着装置によって記録媒体表面にトナー像が定着されることにより画像が形成される。
画像形成装置は、上述した各装置の他に、例えば、電子写真感光体7に対して光除電を行う光除電装置を備えていてもよい。
また、他の態様の画像形成装置について説明する。
図5は、本実施形態に係る電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジを用いたタンデム型の画像形成装置の一実施形態を示す概略断面図である。
図5に示す画像形成装置120は、プロセスカートリッジ300を4つ搭載したタンデム方式の多色画像形成装置である。画像形成装置120では、記録媒体搬送ベルト50上に4つのプロセスカートリッジがそれぞれ並列に配置されており、1色に付き1つの電子写真感光体が適用された構成となっている。なお、画像形成装置120は、タンデム方式であること以外は、図4に示した画像形成装置の構成を有している。
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
(感光体の作製)
・下引層の形成
酸化亜鉛(体積平均粒子径70nm、テイカ社製、比表面積値15m/g)100質量部をテトラヒドロフラン500質量部と攪拌混合し、これにシランカップリング剤(KBM603:信越化学社製)1.25質量部を添加して2時間攪拌した。その後、テトラヒドロフランを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤表面処理酸化亜鉛顔料を得た。
得られたシランカップリング剤表面処理酸化亜鉛顔料100質量部を500質量部のテトラヒドロフランと攪拌混合し、アリザリン1質量部を50質量部のテトラヒドロフランに溶解させた溶液を添加し、50℃にて5時間攪拌した。その後、減圧ろ過にてアリザリンを付与させた酸化亜鉛をろ別し、さらに60℃で減圧乾燥を行い、アリザリン付与酸化亜鉛顔料を得た。
このアリザリン付与酸化亜鉛顔料60質量部と、硬化剤(ブロック化イソシアネート、スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製)13.5質量部と、ブチラール樹脂(エスレックBM−1、積水化学社製)15質量部と、をメチルエチルケトン85質量部に溶解した溶液38質量部と、メチルエチルケトン25質量部と、を混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散を行うことで下引層形成用塗布液を得た。
得られた下引層形成用塗布液を浸漬塗布法にて直径30mm、長さ404mm、肉厚1mmのアルミニウム基材(導電性基体)の外周面に浸漬塗布し、厚さ21μmの下引き層を形成した。
尚、この下引層の表面の粗さRmaxは0.7μmであった。
・電荷発生層の形成
次に、X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が、7.3°、16.0°、24.9°および28.0°に強い回折ピークを示すヒドロキシガリウムフタロシアニンを15質量部、結着樹脂としての塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(商品名:VMCH、日本ユニカー社製)を10質量部、および酢酸n−ブチルを300質量部混合し、さらにガラスビーズとともに横型サンドミルで0.5時間処理して分散し、電荷発生層形成用塗布液を得た。この塗布液を前記下引層上に浸漬塗布し100℃で10分間加熱乾燥し、膜厚0.09μmの電荷発生層を形成した。
・電荷輸送層の形成
次に、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニルベンジジン40質量部と、ビスフェノールZポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量40,000)60質量部と、をテトロヒドロフラン280質量部およびトルエン120質量部に溶解混合した後、平均一次粒径0.2μmの4フッ化エチレン樹脂粒子10質量部を加えて更に混合した。その後、ガラスビーズを用いたサンドグラインダーにより3時間分散処理を行い、4フッ化エチレン樹脂粒子が分散した電荷輸送層形成用塗布液を得た。得られた塗布液を前記電荷発生層の上に浸漬塗布し、130℃で60分間乾燥させて、膜厚40μmの電荷輸送層を形成し、感光体を得た。
該感光体のQ1(帯電−除電ストレス試験を行う前の電子写真感光体において、表面に付与する電荷Qaと表面電位Vaとの関係をグラフにプロットした際のQa−Va直線のX切片における電荷(μC/m)の値)および、Q2(帯電と除電とを10000回繰り返す帯電−除電ストレス試験を行った後の電子写真感光体において、表面に付与する電荷Qbと表面電位Vbとの関係をグラフにプロットした際のQb−Vb直線のX切片における電荷(μC/m)の値)を、前述の方法により測定したところ、Q1は30μC/m、Q2は35μC/mであり、|Q1−Q2|=5μC/mであった。
(カブリ評価)
前記感光体をDocuCentre−III C3300(富士ゼロックス社製)に装着し、1Mサイクル走行させた後の画像について画質を調べた結果、カブリの発生は観察されなかった(未発生)。
〔実施例2〕
・下引層の形成
実施例1に記載の方法により下引層を形成した。
尚、前記下引層の表面の粗さRmaxは0.7μmであった。
・電荷発生層の形成
次に、X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が少なくとも7.3°、16.0°、24.9°、28.0°に強い回折ピークを持つヒドロキシガリウムフタロシアニン15質量部を、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂(VMCH、日本ユニカー社製)10質量部および酢酸n−ブチル200質量部と混合し、これを外径1mmのガラスビーズと共にサンドミルで4時間分散処理した。得られた分散液に、酢酸n−ブチル175質量部およびメチルエチルケトン180質量部を添加することにより電荷発生層形成用塗布液を調製した。得られた塗布液を前記下引層上に浸漬塗布し、常温(20℃)で乾燥して膜厚0.09μmの電荷発生層を形成した。
・電荷輸送層の形成
実施例1に記載の方法により電荷輸送層を形成し、感光体を得た。
該感光体のQ1(帯電−除電ストレス試験を行う前の電子写真感光体において、表面に付与する電荷Qaと表面電位Vaとの関係をグラフにプロットした際のQa−Va直線のX切片における電荷(μC/m)の値)および、Q2(帯電と除電とを10000回繰り返す帯電−除電ストレス試験を行った後の電子写真感光体において、表面に付与する電荷Qbと表面電位Vbとの関係をグラフにプロットした際のQb−Vb直線のX切片における電荷(μC/m)の値)を、前述の方法により測定したところ、Q1は31μC/m、Q2は40μC/mであり、|Q1−Q2|=9μC/mであった。
(カブリ評価)
前記感光体をDocuCentre−III C3300(富士ゼロックス社製)に装着し、1Mサイクル走行させた後の画像について画質を調べた結果、カブリの発生は観察されなかった(未発生)。
〔比較例1〕
(感光体の作製)
・下引層の形成
酸化亜鉛(体積平均粒子径70nm、テイカ社製、比表面積値15m/g)100質量部をテトラヒドロフラン500質量部と攪拌混合し、これにシランカップリング剤(KBM603:信越化学社製)1.25質量部を添加して2時間攪拌した。その後、テトラヒドロフランを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤表面処理酸化亜鉛顔料を得た。
得られたシランカップリング剤表面処理酸化亜鉛顔料100質量部を500質量部のテトラヒドロフランと攪拌混合し、アリザリン1質量部を50質量部のテトラヒドロフランに溶解させた溶液を添加し、50℃にて5時間攪拌した。その後、減圧ろ過にてアリザリンを付与させた酸化亜鉛をろ別し、さらに60℃で減圧乾燥を行い、アリザリン付与酸化亜鉛顔料を得た。
このアリザリン付与酸化亜鉛顔料60質量部と、硬化剤(ブロック化イソシアネート、スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製)13.5質量部と、ブチラール樹脂(エスレックBM−1、積水化学社製)15質量部と、をメチルエチルケトン85質量部に溶解した溶液38質量部と、メチルエチルケトン25質量部と、を混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散を行うことで分散液を得た。
得られた分散液に触媒としてジオクチルスズジラウレート0.005質量部およびシリコーン樹脂粒子(トスパール145、GE東芝シリコーン社製)40質量部を添加し、170℃で40分の乾燥硬化を行い、下引層形成用塗布液を得た。
得られた下引層形成用塗布液を浸漬塗布法にて直径30mm、長さ404mm、肉厚1mmのアルミニウム基材(導電性基体)の外周面に浸漬塗布し、厚さ21μmの下引き層を形成した。
尚、この下引層の表面の粗さRmaxは1.5μmであった。
・電荷発生層の形成
実施例1において、電荷発生層の膜厚を0.28μmにした以外は、実施例1に記載の方法により電荷発生層を形成した。
・電荷輸送層の形成
実施例1に記載の方法により電荷輸送層を形成し、感光体を得た。
該感光体のQ1は40μC/m、Q2は55μC/mであり、|Q1−Q2|=15μC/mであった。
(カブリ評価)
前記感光体をDocuCentre−III C3300(富士ゼロックス社製)に装着し、1Mサイクル走行させた後の画像について画質を調べた結果、カブリの発生が観察された(発生)。

以下に、本発明の特徴およびその効果をまとめて示す。
<1> 少なくとも、導電性基体と、膜厚が0.10μm以下である電荷発生層と、電荷輸送層と、をこの順に有し、
且つ下記式(1)を満たす電子写真感光体である。
0(μC/m)≦|Q1−Q2|≦10(μC/m) 式(1)
(式(1)中、Q2は、帯電と除電とを10000回繰り返す帯電−除電ストレス試験を行った後の電子写真感光体において、表面に付与する電荷Qbと表面電位Vbとの関係をグラフにプロットした際のQb−Vb直線のX切片における電荷(μC/m)の値を、Q1は、前記帯電−除電ストレス試験を行う前の電子写真感光体において、表面に付与する電荷Qaと表面電位Vaとの関係をグラフにプロットした際のQa−Va直線のX切片における電荷(μC/m)の値を表す。)
上記<1>に係る発明よれば、式(1)における|Q1−Q2|が10μC/mを超える場合に比較して、帯電と除電とが繰り返し施された後においても帯電電位の低下が抑制される。
<2> 前記導電性基体と前記電荷発生層との間に下引層を有し、且つ該下引層の電荷発生層側表面の粗さRmaxが0μm以上0.8μm以下である前記<1>に記載の電子写真感光体である。
上記<2>に係る発明よれば、下引層の表面粗さRmaxが0.8μmを超える場合に比較して、帯電と除電とが繰り返し施された後においても帯電電位の低下が抑制される。
<3> 前記電荷輸送層の膜厚が38μm以上である前記<1>または<2>に記載の電子写真感光体である。
上記<3>に係る発明よれば、電荷輸送層の膜厚が38μm未満である場合に比較して、長寿命化が図られるとの効果を奏する。
<4> 前記<1>〜<3>の何れか1項に記載の電子写真感光体と、
該電子写真感光体を帯電させる帯電装置、前記電子写真感光体に形成された静電潜像をトナーにより現像する現像装置、および、前記電子写真感光体の表面に残存したトナーを除去するトナー除去装置からなる群より選ばれる少なくとも1種の装置と、
を備え、画像形成装置に着脱自在であるプロセスカートリッジである。
上記<4>に係る発明よれば、式(1)における|Q1−Q2|が10μC/mを超える電子写真感光体を備える場合に比較して、形成される画像におけるカブリの発生が抑制されるプロセスカートリッジが提供される。
<5> 前記<1>〜<3>の何れか1項に記載の電子写真感光体と、
該電子写真感光体を帯電させる帯電装置と、
帯電した前記電子写真感光体に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、
前記電子写真感光体に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置と、
前記トナー像を被転写体に転写する転写装置と、
を備える画像形成装置である。
上記<5>に係る発明よれば、式(1)における|Q1−Q2|が10μC/mを超える電子写真感光体を備える場合に比較して、形成される画像におけるカブリの発生が抑制される。
7…電子写真感光体、8…帯電装置、9…露光装置、11…現像装置、13…クリーニング装置、31…感光体、32…ハウジング、33…取り付け部材、34…帯電装置、35,36…電位測定装置、37…除電装置、38,39…支持部、40…転写装置、41…回転モータ、42…自動ステージ、43…電流測定装置、44…スライド台、50…記録媒体搬送ベルト、51…下引層、52…電荷発生層、53…電荷輸送層、54…導電性基体、57…電子写真感光体、100,120…画像形成装置、300…プロセスカートリッジ、400…測定装置

Claims (4)

  1. 少なくとも、導電性基体と、膜厚が0.10μm以下である電荷発生層と、電荷輸送層と、をこの順に有し、
    且つ下記式(1)を満たす電子写真感光体。
    0(μC/m)≦|Q1−Q2|≦10(μC/m) 式(1)
    (式(1)中、Q2は、帯電と除電とを10000回繰り返す帯電−除電ストレス試験を行った後の電子写真感光体において、表面に付与する電荷Qbと表面電位Vbとの関係をグラフにプロットした際のQb−Vb直線のX切片における電荷(μC/m)の値を、Q1は、前記帯電−除電ストレス試験を行う前の電子写真感光体において、表面に付与する電荷Qaと表面電位Vaとの関係をグラフにプロットした際のQa−Va直線のX切片における電荷(μC/m)の値を表す。)
  2. 前記導電性基体と前記電荷発生層との間に下引層を有し、且つ該下引層の電荷発生層側表面の粗さRmaxが0μm以上0.8μm以下である請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 請求項1または請求項2に記載の電子写真感光体と、
    該電子写真感光体を帯電させる帯電装置、前記電子写真感光体に形成された静電潜像をトナーにより現像する現像装置、および、前記電子写真感光体の表面に残存したトナーを除去するトナー除去装置からなる群より選ばれる少なくとも1種の装置と、
    を備え、画像形成装置に着脱自在であるプロセスカートリッジ。
  4. 請求項1または請求項2に記載の電子写真感光体と、
    該電子写真感光体を帯電させる帯電装置と、
    帯電した前記電子写真感光体に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、
    前記電子写真感光体に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置と、
    前記トナー像を被転写体に転写する転写装置と、
    を備える画像形成装置。
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