JP2012189890A - 電子写真感光体、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ - Google Patents

電子写真感光体、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ Download PDF

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Abstract

【課題】表面層が剥離しにくい電子写真感光体の提供。
【解決手段】基体1と、基体1上に設けられた感光層2と、感光層2上に設けられた保護層5と、感光層2と保護層5とに挟まれ、感光層2を構成する成分の少なくとも一部と保護層5を構成する成分の少なくとも一部とを含有する、混合層7と、を有する電子写真感光体。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真感光体、画像形成装置、及びプロセスカートリッジに関する。
特許文献1には、導電性支持体上に感光層、中間層及び表面層を順次積層した電子写真感光体において、保護層が特定の粒子を分散した特定の結着樹脂からなる電子写真感光体が開示されている。
特許文献2には、円筒状の導電性基体に少なくとも感光層を含む塗布層が形成されている電子写真感光体の余剰塗布層面を擦過手段と接触させて画像を形成する画像形成方法において、該電子写真感光体の画像形成幅方向の中央部の塗布層膜厚の平均値、画像形成領域外での膜厚の最大値の平均、及び該最大値を形成している点から塗布層端部までの距離の平均値が、特定の関係を有する画像形成方法が開示されている。
特許文献3には、導電性支持体上に、少なくとも電荷発生層、電荷輸送層及び保護層が順次積層されてなる電子写真感光体の製造方法において、該電荷輸送層は少なくとも分子量が600〜900の電荷輸送物質及びバインダー樹脂を含有し、該保護層は少なくとも電荷輸送性構造を有する重合性化合物と電荷輸送性構造を有さない重合性化合物とが硬化された樹脂及びフィラーを含有するものであり、該保護層を、フィラー、ポリカルボン酸化合物、電荷輸送性構造を有する重合性化合物、電荷輸送性構造を有さない重合性化合物、シクロペンタノンを含有する塗工液から形成する工程を含むことを特徴とする電子写真感光体の製造方法が開示されている。
特開平01−307765号公報 特開2003−322983号公報 特開2010−160460号公報
本発明の課題は、表面層が剥離しにくい電子写真感光体を提供することにある。
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
基体と、
前記基体上に設けられた感光層と、
前記感光層上に設けられた表面層と、
前記感光層と前記表面層とに挟まれ、前記感光層を構成する成分の少なくとも一部と前記表面層を構成する成分の少なくとも一部とを含有する、中間層と、
を有する電子写真感光体である。
請求項2に係る発明は、
前記表面層は、フッ素樹脂粒子を含有する、請求項1に記載の電子写真感光体である。
請求項3に係る発明は、
請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電された前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、
前記電子写真感光体の表面に形成された前記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記電子写真感光体の表面に形成された前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
を備えた画像形成装置である。
請求項4に係る発明は、
請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電させる帯電手段、帯電された前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成させる潜像形成手段、前記電子写真感光体の表面に形成された前記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段、前記電子写真感光体の表面に形成された前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段、及び前記電子写真感光体を清掃する清掃手段から選ばれる少なくとも1つと、
を備えたプロセスカートリッジである。
請求項1に係る発明によれば、上記中間層を有さない場合に比べ、表面層が剥離しにくい電子写真感光体が提供される。
請求項2に係る発明によれば、表面層がフッ素樹脂粒子を含む形態においても、上記中間層を有さない場合に比べ、表面層が剥離しにくい電子写真感光体が提供される。
請求項3に係る発明によれば、電子写真感光体が上記中間層を有さない場合に比べ、電子写真感光体の表面層の剥離に起因する画像むらが抑制される。
請求項4に係る発明によれば、電子写真感光体が上記中間層を有さない場合に比べ、電子写真感光体の表面層の剥離に起因する画像むらが抑制される。
本実施形態の第1の態様に係る電子写真感光体を示す概略部分断面図である。 本実施形態の第2の態様に係る電子写真感光体を示す概略部分断面図である。 本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。 他の実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
<電子写真感光体>
本実施形態に係る電子写真感光体(以下単に「感光体」と称す場合がある)は、基体と、前記基体上に設けられた感光層と、前記感光層上に設けられた表面層と、前記感光層と前記表面層とに挟まれ、前記感光層を構成する成分の少なくとも一部と前記表面層を構成する成分の少なくとも一部とを含有する、中間層と、を有する。
本実施形態に係る感光体は、上記構成であることにより、上記中間層を有さない場合に比べ、表面層が剥離しにくい。特に、感光体の使用によって表面層の摩耗が進行すると、表面層が剥離しやすくなる傾向があるが、上記中間層を有することで、上記中間層を有さない場合に比べて上記表面層の剥離が抑制される。
その理由は定かではないが、以下のように推測される。具体的には、上記のように感光層を構成する成分と表面層を構成する成分との両方を含有する上記中間層は、感光層との親和性及び表面層との親和性の両方が高く、感光層に対する密着性も表面層に対する密着性も高いと考えられる。そのため、感光層と表面層とに挟まれた上記中間層が感光層と表面層との両方に接触して存在することで、上記中間層を介して表面層が感光層と強固に密着すると考えられる。そして、上記中間層が存在せずに感光層と表面層とが直接接触する場合に比べて、表面層が剥離しにくくなると推測される。
本実施形態の感光体は、表面層がフッ素樹脂粒子を有している場合においても、表面層の剥離が抑制される。表面層がフッ素樹脂粒子を有することによって、感光体の耐摩耗性やクリーニング性が向上することが考えられるが、フッ素樹脂粒子の表面エネルギーが低いため、フッ素樹脂粒子を有さない場合に比べて表面層が剥離しやすくなることが考えられる。しかしながら、本実施形態では上記の通り上記中間層を有しているため、フッ素樹脂粒子を有する形態であっても、上記中間層を有さない場合に比べて表面層が上記中間層を介して感光層と強固に密着し、表面層の剥離が起こりにくくなると推測される。
本実施形態の感光体は、上記の通り表面層が剥離しにくいため、プロセスカートリッジ又は画像形成装置に適用することにより、上記中間層を有さない感光体を適用した場合に比べて上記表面層の剥離に起因する画像むらが抑制され、画質の優れた画像が形成されると考えられる。
本実施形態の感光体を製造する方法としては、例えば、基体上に感光層が設けられた積層体を準備する工程と、前記感光層を構成する成分の少なくとも一部を溶解する溶媒と前記表面層を構成する成分となる材料とを含む表面層用塗布液を準備する工程と、前記表面層用塗布液を前記感光層の表面に塗布する工程と、前記感光層の表面に塗布された前記表面層用塗布液に含まれる前記溶媒を除去する工程と、を有する、感光体の製造方法が挙げられる。
すなわち本実施形態では、上記中間層を形成するために、例えば、感光層を構成する成分の少なくとも一部を溶解する溶媒を用いて表面層用塗布液を調整し、前記表面層用塗布液を感光層の表面に塗布する。それによって、表面層用塗布液に含まれる溶媒が感光層を構成する成分の少なくとも一部を溶解し、そこに表面層用塗布液が侵入することで、表面層を構成する成分となる材料が、溶媒に溶解した感光層の成分と混合する。そして、溶媒を除去する工程を経ることで、感光層を構成する成分の少なくとも一部と表面層を構成する成分の少なくとも一部との両方を含有する上記中間層が形成されると考えられる。
なお、上記「表面層を構成する成分となる材料」は、表面層用塗布液に含まれる溶媒が除去された結果「表面層を構成する成分」となる材料であり、表面層を構成する成分そのものであってもよく、溶媒が除去される工程において表面層を構成する成分に変化する材料であってもよい。具体的には、例えば、表面層が表面層用樹脂を含む場合、表面層用塗布液に表面層用樹脂そのものが含まれていてもよく、溶媒が除去される工程において加熱された結果、表面層用樹脂となる単量体等であってもよい。
また、上記「溶解する溶媒」とは、ある材料に接触させるとその材料を溶解する溶媒のことである。具体的には、ある材料に溶媒を接触させた状態で室温(20℃)にて24時間攪拌し、固形分を遠心沈降により除去した液を乾燥した結果、析出した固形分の質量が、材料を溶媒に接触させる前の初期質量に対して20%以上となる場合、上記溶媒は上記材料を溶解する溶媒である。
本実施形態の感光体が上記中間層を有することを確認する方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。
まず、例えば、感光体から基体上に設けられた層(すなわち感光層、上記中間層、及び表面層)を剥がし取り、層の厚み方向における断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することで、感光層と表面層とに挟まれた層が存在することを確認する。具体的には、剥がし取られた層から小片を切り出してエポキシ樹脂に包理・固化し、ミクロトームにより切片を調製して、測定用サンプルとする。そしてSEMの装置としてJSM−6700F/JED−2300F(日本電子社製)を用いて、上記測定用サンプルを観察する。
次に、上記SEMでの観察において確認された層を、顕微赤外分光装置によって測定することで、上記確認された層が、感光層を構成する成分の少なくとも一部と前記表面層を構成する成分の少なくとも一部とを含有することを確認する。具体的には、感光層を構成する成分に由来するピークと、表面層を構成する成分に由来するピークと、の両方が観測されることを確認する。
<感光体の層構成>
以下、感光体の層構成について説明する。
本実施形態の感光体は、上記の通り、少なくとも基体、感光層、上記中間層、及び表面層を有するものであれば特に限定されず、例えば、感光層が複数の層で構成されてもよく、基体と感光層とに挟まれた位置に下引層等のその他の層をさらに有していてもよい。また、上記表面層の外周面にさらに最表面層を有していてもよい。
以下、本実施形態に係る感光体の構成について、図1乃至図2を参照して説明するが、本実施形態は図1乃至図2によって限定されることはない。
図1は、本実施形態に係る感光体の層構成の一例を示す模式断面図であり、図1中、1は基体、2は感光層、2Aは電荷発生層、2Bは電荷輸送層、4は下引層、5は保護層、7は混合層を表す。
図1に示す感光体は、基体1上に、下引層4、電荷発生層2A、電荷輸送層2B、混合層7、保護層5がこの順に積層された層構成を有し、感光層2は電荷発生層2Aおよび電荷輸送層2Bの2層から構成される(第1の態様)。尚、図1に示す感光体においては、混合層7が上記中間層(すなわち、感光層を構成する成分の少なくとも一部と表面層を構成する成分の少なくとも一部とを含有する層)に相当し、保護層5が上記表面層に相当する。
図2は、本実施形態に係る感光体の層構成の他の例を示す模式断面図であり、図2中、6は機能一体型の感光層を表し、他は、図1中に示したものと同様である。
図2に示す感光体は、基体1上に、下引層4、感光層6、混合層7、保護層5がこの順に積層された層構成を有し、感光層6は、図1に示す電荷発生層2Aおよび電荷輸送層2Bの機能が一体となった層である(第2の態様)。尚、図2に示す感光体においては、混合層7が上記中間層(すなわち、感光層を構成する成分の少なくとも一部と表面層を構成する成分の少なくとも一部とを含有する層)に相当し、保護層5が上記表面層に相当する。
以下、本実施形態に係る感光体の例として、上記第1の態様を例にとりその詳細について説明する。
(第1の態様)
第1の態様に係る感光体は、図1に示す通り、基体1上に、下引層4、電荷発生層2A、電荷輸送層2B、混合層7、保護層5がこの順に積層された層構成を有し、保護層5が上記表面層である。
・混合層(感光層を構成する成分の少なくとも一部と表面層を構成する成分の少なくとも一部とを含有する中間層)
まず、上記中間層である混合層7について説明する。
混合層7は、上記の通り、感光層2を構成する成分の少なくとも一部と表面層である保護層5を構成する成分の少なくとも一部とを含有するものである。また混合層7は、上記のように感光層2が複数の層で構成されている場合、前記複数の層のうち混合層7と接する層を構成する成分の少なくとも一部を含有する。すなわち、図1に示すように感光層が電荷発生層2Aと電荷輸送層2Bとで構成されている場合、電荷輸送層2Bを構成する成分の少なくとも一部を混合層7が含有する。
具体的には、例えば、電荷輸送層2Bが電荷輸送層用樹脂及び電荷輸送材料で構成され、保護層5が保護層用樹脂及びフッ素樹脂粒子で構成されている場合、混合層7は、電荷輸送層用樹脂及び電荷輸送材料の少なくとも一方と、保護層用樹脂及びフッ素樹脂粒子の少なくとも一方と、を含有する。すなわち混合層7は、電荷輸送層用樹脂と保護層用樹脂とを含有するものであってもよく、上記電荷輸送層用樹脂、電荷輸送材料、保護層用樹脂、及びフッ素樹脂粒子のすべてを含有するものであってもよい。
なお、混合層7に含まれる「電荷輸送層2Bを構成する成分」及び「保護層5を構成する成分」は、それぞれ、後述する電荷輸送層2Bに含まれる材料及び保護層5に含まれる材料と同じ材料であり、これらについては後述する。
混合層7の膜厚としては、例えば、0.2μm以上が挙げられ、0.5μm以上5μm以下であってもよく、1.5μm以上3μm以下であってもよい。
混合層7の膜厚が上記範囲であることにより、上記範囲よりも小さい場合に比べて、より保護層5の剥離が抑制される。また、混合層7の膜厚が5μm以下であることにより、膜厚が5μmよりも大きい場合に比べて、感光体としての電気特性が良好となる。
混合層7の形成方法としては、例えば、上記のように、電荷輸送層2Bを構成する成分の少なくとも一部を溶解する溶媒と、保護層5を構成する成分となる材料と、を含む保護層用塗布液を用いる方法が挙げられる。すなわち、基体1上に下引層4、電荷発生層2A、及び電荷輸送層2Bがこの順に設けられた積層体を準備する工程と、電荷輸送層2Bを構成する成分の少なくとも一部を溶解する溶媒と保護層5を構成する成分となる材料とを含む保護層用塗布液を準備する工程と、保護層用塗布液を電荷輸送層2Bの表面に塗布する工程と、電荷輸送層2Bの表面に塗布された保護層用塗布液に含まれる前記溶媒を除去する工程と、を有する方法が挙げられる。
上記のように、電荷輸送層2B上に上記保護層用塗布液を塗布することで、保護層用塗布液に含まれる溶媒が電荷輸送層2Bの一部を溶解し、溶解した電荷輸送層2Bと保護層用塗布液に含まれる保護層5を構成する成分となる材料とが混合する。その後、溶媒を除去することにより、溶解せずに残った電荷輸送層2B上に、混合層7及び保護層5がこの順に形成される。
保護層用塗布液に用いる前記溶媒は、電荷輸送層2Bを構成する成分の少なくとも一部を溶解するものであれば特に限定されない。具体的には、例えば、電荷輸送層2Bが電荷輸送層用樹脂及び電荷輸送材料で構成されている場合、上記溶媒として、電荷輸送層用樹脂及び電荷輸送材料の少なくとも一方を溶解するものを用いる。すなわち、上記溶媒として、電荷輸送層用樹脂を溶解し電荷輸送材料を溶解しない溶媒を用いてもよく、電荷輸送層用樹脂及び電荷輸送材料の両方を溶解する溶媒を用いてもよい。
上記溶媒に対する上記電荷輸送層2Bを構成する成分の溶解度は、形成する混合層7の厚み、保護層用塗布液の塗布方法、保護層用塗布液の塗布から溶媒の除去までの時間等に応じて選択される。具体的には、例えば、混合層7の膜厚を薄くする場合は、混合層7の膜厚を厚くする場合に用いる溶媒に比べて電荷輸送層2Bを構成する成分(電荷輸送層用樹脂等)の溶解度が低く、かつ、混合層7を形成せずに保護層5を形成する場合に用いる溶媒に比べて上記電荷輸送層用樹脂等の溶解度が高い溶媒を用いる。
また保護層用塗布液は、溶媒のほかに保護層5を構成する成分となる材料を含むが、上記溶媒に対する上記保護層5を構成する成分の溶解度は特に限定されない。ただし、例えば保護層5が保護層用樹脂を含む場合、保護層用塗布液に含まれる保護層用樹脂又は保護層用樹脂となる化合物のすべてを溶解する溶媒を用いた方が、保護層用樹脂又は保護層用樹脂となる化合物が溶けずに残る溶媒を用いる場合に比べて、剥離しにくい保護層5が形成される。ここで「すべてが溶媒に溶解した」とは、溶媒に溶解せずに残った成分が目視で観察されないことを言う。
上記溶媒の種類は、例えば、上記電荷輸送層2Bを構成する成分の溶媒に対する溶解度と、上記保護層5を構成する成分となる材料の溶媒に対する溶解度と、が目的の値になるように選択するが、上記条件を満たす溶媒を1種のみ用いてもよく、2種以上の溶媒を用いて混合比を調整することで上記条件を満たすようにしてもよい。
上記保護層用塗布液に用いる溶媒の具体例としては、例えば、シクロブタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン等の環状脂肪族ケトン化合物が挙げられる。また上記肪族環状ケトン化合物の他には、溶媒として、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、シクロペンタノール等の環状又は直鎖状アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等の直鎖状ケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状又は直鎖状エーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素類;塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶媒等の溶媒が挙げられる。
その中でも特に、電荷輸送層用樹脂としてポリカーボネート樹脂を用いた場合において、上記混合層7を形成するために用いる溶媒としては、例えば、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、トルエン、塩化メチレンが挙げられ、これらのうち1種を単体で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
また、電荷輸送層用樹脂としてポリアリレート樹脂を用いた場合において、上記混合層7を形成するために用いる溶媒としては、例えば、シクロペンタノン、トルエン、テトラヒドロフランが挙げられ、これらのうち1種を単体で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
保護層用塗布液の塗布方法としては、例えば、インクジェット法、浸漬塗布法、ブレード塗布法、マイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、リング塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の方法が挙げられる。
保護層用塗布液を塗布してから溶媒を除去するまでの時間(すなわち、溶媒が電荷輸送層2Bに接触する時間)としては、例えば、1分以上30分以下が挙げられる。保護層用塗布液を塗布してから溶媒を除去するまでの時間を長くすると、上記時間が短い場合に比べて、溶媒が電荷輸送層2Bをより多く溶解しやすくなるため、混合層7の膜厚が厚くなりやすくなる。
電荷輸送層2B上に塗布された保護層用塗布液に含まれる溶媒を除去する方法としては、例えば、加熱による方法や、減圧による方法等が挙げられる。
保護層を構成する成分となる材料として、熱によって重合して保護層用樹脂となる単量体を用いる場合、上記加熱による方法を用いることで、前記単量体が重合して保護層用樹脂が生成するとともに、溶媒の除去も行われる。その場合の加熱温度としては、溶媒の沸点及び保護層用樹脂となる単量体の種類等によって選択されるが、例えば100℃以上170℃以下の範囲が挙げられる。
以上のようにして形成された混合層7は、電荷輸送層2Bと保護層5とに挟まれた領域に、電荷輸送層2B及び保護層5の両方に接した状態で形成され、電荷輸送層2Bと混合層7との界面、及び混合層7と保護層5との界面が形成される。
また上記方法によって形成された混合層7内においては、電荷輸送層2Bを構成する成分及び保護層5を構成する成分の分布が、均一となっている。
以下、感光体を構成するその他の層について説明する。
・基体
基体1としては、導電性を有する基体が用いられ、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、ステンレス、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等の金属または合金を用いて構成される金属板、金属ドラム、および金属ベルト、または、導電性ポリマー、酸化インジウム等の導電性化合物やアルミニウム、パラジウム、金等の金属または合金を塗布、蒸着またはラミネートした紙、プラスチックフィルム、ベルト等が挙げられる。ここで、「導電性」とは体積抵抗率が1013Ωcm未満であることをいう。
第1の態様に係る感光体がレーザープリンターに使用される場合であれば、基体1の表面は中心線平均粗さRaで0.04μm以上0.5μm以下に粗面化することが望ましい。但し、非干渉光を光源に用いる場合には粗面化は特に行わなくてもよい。
粗面化の方法としては、研磨剤を水に懸濁させて支持体に吹き付けることによって行う湿式ホーニング、または回転する砥石に支持体を接触させ、連続的に研削加工を行うセンタレス研削、陽極酸化処理等が望ましい。
また、他の粗面化の方法としては、基体1表面を粗面化することなく、導電性または半導電性粉体を樹脂中に分散させて、支持体表面上に層を形成し、その層中に分散させる粒子により粗面化する方法も望ましく用いられる。
ここで、陽極酸化による粗面化処理は、アルミニウムを陽極とし電解質溶液中で陽極酸化することによりアルミニウム表面に酸化膜を形成するものである。電解質溶液としては、硫酸溶液、シュウ酸溶液等が挙げられる。しかし、陽極酸化により形成された多孔質陽極酸化膜は、そのままの状態では化学的に活性であるため、陽極酸化膜の微細孔を加圧水蒸気または沸騰水中(ニッケル等の金属塩を加えてもよい)で水和反応による体積膨張でふさぎ、水和酸化物に変える封孔処理を行うことが望ましい。
陽極酸化膜の膜厚については、0.3μm以上15μm以下が望ましい。
また、基体1には、酸性水溶液による処理またはベーマイト処理を施してもよい。
リン酸、クロム酸およびフッ酸を含む酸性処理液による処理は以下のようにして実施される。先ず、酸性処理液を調製する。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸およびフッ酸の配合割合は、リン酸が10質量%以上11質量%以下の範囲、クロム酸が3質量%以上5質量%以下の範囲、フッ酸が0.5質量%以上2質量%以下の範囲であって、これらの酸全体の濃度は13.5質量%以上18質量%以下の範囲が望ましい。処理温度は42℃以上48℃以下が望ましい。被膜の膜厚は、0.3μm以上15μm以下が望ましい。
ベーマイト処理は、90℃以上100℃以下の純水中に5分間以上60分間以下浸漬すること、または90℃以上120℃以下の加熱水蒸気に5分間以上60分間以下接触させることにより行われる。被膜の膜厚は、0.1μm以上5μm以下が望ましい。これをさらにアジピン酸、硼酸、硼酸塩、燐酸塩、フタル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩等の他種に比べ被膜溶解性の低い電解質溶液を用いて陽極酸化処理してもよい。
・下引層
下引層4は、例えば、結着樹脂に無機粒子を含有した層として構成される。
無機粒子としては、粉体抵抗(体積抵抗率)10Ω・cm以上1011Ω・cm以下のものが望ましく用いられる。
中でも上記抵抗値を有する無機粒子としては、酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等の無機粒子(導電性金属酸化物)を用いるのが望ましく、特に酸化亜鉛は望ましく用いられる。
また、無機粒子は表面処理を行ったものでもよく、表面処理の異なるもの、または、粒子径の異なるものなど2種以上混合して用いてもよい。無機粒子の体積平均粒径は50nm以上2000nm以下(望ましくは60以上1000以下)の範囲であることが望ましい。
また、無機粒子としては、BET法による比表面積が10m/g以上のものが望ましく用いられる。
さらに無機粒子に加えて、アクセプター性化合物を含有させてもよい。アクセプター性化合物としてはいかなるものでも使用し得るが、例えば、クロラニル、ブロモアニル等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールや2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物等の電子輸送性物質などが望ましく、特にアントラキノン構造を有する化合物が望ましい。さらに、ヒドロキシアントラキノン系化合物、アミノアントラキノン系化合物、アミノヒドロキシアントラキノン系化合物等、アントラキノン構造を有するアクセプター性化合物が望ましく用いられ、具体的にはアントラキノン、アリザリン、キニザリン、アントラルフィン、プルプリン等が挙げられる。
これらのアクセプター性化合物の含有量は限定されないが、望ましくは無機粒子に対して0.01質量%以上20質量%以下含有される。さらに0.05質量%以上10質量%以下が望ましい。
アクセプター化合物は、下引層4の塗布時に添加するだけでもよいし、無機粒子表面にあらかじめ付着させておいてもよい。無機粒子表面にアクセプター化合物を付与させる方法としては、乾式法、または、湿式法が挙げられる。
乾式法にて表面処理を施す場合には無機粒子をせん断力の大きなミキサ等で攪拌しながら、直接または有機溶媒に溶解させたアクセプター化合物を滴下、乾燥空気や窒素ガスとともに噴霧させることによって処理される。添加または噴霧する際には溶剤の沸点以下の温度で行われることが望ましい。添加または噴霧した後、さらに100℃以上で焼き付けを行ってもよい。焼き付けの温度、時間については特に限定されない。
湿式法としては、無機粒子を溶剤中で攪拌し、超音波、サンドミルやアトライター、ボールミル等を用いて分散し、アクセプター化合物を添加し攪拌または分散したのち、溶剤除去することで処理される。溶剤除去方法はろ過または蒸留により留去される。溶剤除去後にはさらに100℃以上で焼き付けを行ってもよい。焼き付けの温度、時間については特に限定されない。湿式法においては表面処理剤を添加する前に無機粒子含有水分を除去してもよく、その例として表面処理に用いる溶剤中で攪拌加熱しながら除去する方法、溶剤と共沸させて除去する方法を用いてもよい。
また、無機粒子はアクセプター化合物を付与する前に表面処理を施してもよい。表面処理剤としては、公知の材料から選択される。例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、界面活性材等が挙げられる。特に、シランカップリング剤が望ましく用いられる。さらにアミノ基を有するシランカップリング剤も望ましく用いられる。
アミノ基を有するシランカップリング剤としてはいかなる物を用いてもよいが、具体的例としてはγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
また、シランカップリング剤は2種以上混合して使用してもよい。前記アミノ基を有するシランカップリング剤と併用して用いてもよいシランカップリング剤の例としては、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
表面処理方法は公知の方法であればいかなる方法でも使用し得るが、乾式法または湿式法を用いることがよい。また、アクセプター付与とカップリング剤等による表面処理とを並行して行ってもよい。
下引層4中の無機粒子に対するシランカップリング剤の量は、特に限定されないが、無機粒子に対して0.5質量%以上10質量%以下が望ましい。
下引層4に含有される結着樹脂としては、公知のいかなるものでも使用し得るが、例えばポリビニルブチラール等のアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の公知の高分子樹脂化合物、また電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂やポリアニリン等の導電性樹脂等が用いられる。中でも上層の塗布溶剤に不溶な樹脂が望ましく用いられ、特にフェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が望ましく用いられる。これらを2種以上組み合わせて使用する場合には、その混合割合は、必要に応じて設定される。
尚、下引層形成用塗布液中のアクセプター性を付与した金属酸化物とバインダー樹脂、または無機粒子とバインダー樹脂との比率は、特に限定されない。
下引層4中には種々の添加剤を用いてもよい。添加剤としては、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料が用いられる。シランカップリング剤は金属酸化物の表面処理に用いられるが、添加剤としてさらに塗布液に添加して用いてもよい。ここで用いられるシランカップリング剤の具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシラン等である。
ジルコニウムキレート化合物の例として、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシド等が挙げられる。
チタニウムキレート化合物の例としては、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレート等が挙げられる。
アルミニウムキレート化合物の例としては、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等が挙げられる。
これらの化合物は単独で若しくは複数の化合物の混合物または重縮合物として用いてもよい。
下引層形成用塗布液を調製するための溶媒としては公知の有機溶剤、例えばアルコール系、芳香族系、ハロゲン化炭化水素系、ケトン系、ケトンアルコール系、エーテル系、エステル系等から選択される。溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤が用いられる。
また、これらの分散に用いる溶剤は単独または2種以上混合して用いてもよい。混合する際、使用される溶剤としては、混合溶剤としてバインダー樹脂を溶かし得る溶剤であれば、いかなるものでも使用される。
分散方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカーなどの公知の方法が用いられる。さらにこの下引層4を設けるときに用いる塗布方法としては、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
このようにして得られた下引層形成用塗布液を用い、基体1上に下引層4が成膜される。
また、下引層4は、ビッカース強度が35以上とされていることが望ましい。
さらに、下引層4はいかなる厚さに設定してもよいが、厚さが15μm以上が望ましく、さらに望ましくは15μm以上50μm以下とされていることが望ましい。
また、下引層4の表面粗さ(十点平均粗さ)はモアレ像防止のために、使用される露光用レーザー波長λの1/4n(nは上層の屈折率)から1/2λまでに調整される。表面粗さ調整のために下引層中に樹脂などの粒子を添加してもよい。樹脂粒子としてはシリコーン樹脂粒子、架橋型ポリメタクリル酸メチル樹脂粒子等が用いられる。
また、表面粗さ調整のために下引層を研磨してもよい。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、湿式ホーニング、研削処理等が用いられる。
塗布したものを乾燥させて下引層を得るが、通常、乾燥は溶剤を蒸発させ、製膜し得る温度で行われる。
・電荷発生層
電荷発生層2Aは、少なくとも電荷発生材料および結着樹脂を含有する層であることが望ましい。
電荷発生材料としては、ビスアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料、ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、ピロロピロール顔料、フタロシアニン顔料、酸化亜鉛、三方晶系セレン等が挙げられる。これらの中でも、近赤外域のレーザー露光に対しては、金属および/または無金属フタロシアニン顔料が望ましく、特に、特開平5−263007号公報、特開平5−279591号公報等に開示されたヒドロキシガリウムフタロシアニン、特開平5−98181号公報等に開示されたクロロガリウムフタロシアニン、特開平5−140472号公報、特開平5−140473号公報等に開示されたジクロロスズフタロシアニン、特開平4−189873号公報、特開平5−43823号公報等に開示されたチタニルフタロシアニンがより望ましい。また、近紫外域のレーザー露光に対してはジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料、チオインジゴ系顔料、ポルフィラジン化合物、酸化亜鉛、三方晶系セレン等がより望ましい。電荷発生材料としては、380nm以上500nmの露光波長の光源を用いる場合には無機顔料が望ましく、700nm以下800nmの露光波長の光源を用いる場合には、金属および無金属フタロシアニン顔料が望ましい。
電荷発生材料としては、600nm以上900nm以下の波長域での分光吸収スペクトルにおいて、810nm以上839nm以下の範囲に最大ピーク波長を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を用いることが望ましい。このヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、従来のV型ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料とは異なるものであり、分光吸収スペクトルの最大ピーク波長を従来のV型ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料よりも短波長側にシフトさせたものである。
また、上記の810nm以上839nm以下の範囲に最大ピーク波長を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、平均粒径が特定の範囲であり、且つ、BET比表面積が特定の範囲であることが望ましい。具体的には、平均粒径が0.20μm以下であることが望ましく、0.01μm以上0.15μm以下であることがより望ましく、一方、BET比表面積が45m/g以上であることが望ましく、50m/g以上であることがより望ましく、55m/g以上120m/g以下であることが特に望ましい。平均粒径は、体積平均粒径(d50平均粒径)でレーザ回折散乱式粒度分布測定装置(LA−700、堀場製作所社製)にて測定した値である。また、BET式比表面積測定器(島津製作所製:フローソープII2300)を用い窒素置換法にて測定した値である。
また、上記ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の最大粒径(一次粒子径の最大値)は、1.2μm以下であることが望ましく、1.0μm以下であることがより望ましく、更に望ましくは0.3μm以下である。
更に、上記ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、平均粒径が0.2μm以下、最大粒径が1.2μm以下であり、且つ、比表面積値が45m/g以上であることが望ましい。
また、上記のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、CuKα特性X線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角度(2θ±0.2°)7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°および28.3°に回折ピークを有するものであることが望ましい。
また、上記のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、25℃から400℃まで昇温したときの熱重量減少率が2.0%以上4.0%以下であることが望ましく、2.5%以上3.8%以下であることがより望ましい。
電荷発生層2Aに使用される結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択され、また、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシラン等の有機光導電性ポリマーから選択してもよい。望ましい結着樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノール類と芳香族2価カルボン酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等が挙げられる。これらの結着樹脂は1種を単独でまたは2種以上を混合して用いられる。電荷発生材料と結着樹脂の配合比は質量比で10:1から1:10までの範囲内であることが望ましい。ここで、「絶縁性」とは、体積抵抗率が1013Ωcm以上であることをいう。
電荷発生層2Aは、例えば、上記電荷発生材料および結着樹脂を溶剤中に分散した塗布液を用いて形成される。
分散に用いる溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等が挙げられ、これらは1種を単独でまたは2種以上を混合して用いられる。
また、電荷発生材料および結着樹脂を溶剤中に分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の通常の方法が用いられる。さらにこの分散の際、電荷発生材料の平均粒径を0.5μm以下、望ましくは0.3μm以下、さらに望ましくは0.15μm以下にすることが有効である。
また、電荷発生層2Aを形成する際には、ブレード塗布法、マイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
このようにして得られる電荷発生層2Aの膜厚は、望ましくは0.1μm以上5.0μm以下、さらに望ましくは0.2μm以上2.0μm以下である。
・電荷輸送層
電荷輸送層2Bは、少なくとも電荷輸送材料と結着樹脂とを含有する層であるか、または高分子電荷輸送材を含有する層であることが望ましい。
電荷輸送材料としては、p−ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物等の電子輸送性化合物、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物などの正孔輸送性化合物が挙げられる。これらの電荷輸送材料は1種を単独でまたは2種以上を混合して用いられるが、これらに限定されるものではない。
電荷輸送材料としては電荷移動度の観点から、下記構造式(a−1)で示されるトリアリールアミン誘導体、および下記構造式(a−2)で示されるベンジジン誘導体が望ましい。

(構造式(a−1)中、Rは、水素原子またはメチル基を示す。nは1または2を示す。ArおよびArは各々独立に置換若しくは未置換のアリール基、−C−C(R)=C(R10)(R11)、または−C−CH=CH−CH=C(R12)(R13)を示し、R乃至R13はそれぞれ独立に水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、または置換若しくは未置換のアリール基を表す。置換基としてはハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、または炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基を示す。)
(構造式(a−2)中、R14およびR14’は同一でも異なってもよく、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、を示す。R15、R15’、R16、およびR16’は同一でも異なってもよく、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、炭素数1以上2以下のアルキル基で置換されたアミノ基、置換若しくは未置換のアリール基、−C(R17)=C(R18)(R19)、または−CH=CH−CH=C(R20)(R21)を示し、R17乃至R21は各々独立に水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、または置換若しくは未置換のアリール基を表す。mおよびnは各々独立に0以上2以下の整数を示す。)
ここで、上記構造式(a−1)で示されるトリアリールアミン誘導体、および上記構造式(a−2)で示されるベンジジン誘導体のうち、特に、「−C−CH=CH−CH=C(R12)(R13)」を有するトリアリールアミン誘導体、および「−CH=CH−CH=C(R20)(R21)」を有するベンジジン誘導体が望ましい。
電荷輸送層2Bに用いる結着樹脂(電荷輸送層用樹脂)は、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーンアルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等が挙げられる。また、上述のように、特開平8−176293号公報、特開平8−208820号公報に開示されているポリエステル系高分子電荷輸送材等の高分子電荷輸送材を用いてもよい。これらの結着樹脂は1種を単独でまたは2種以上を混合して用いられる。電荷輸送材料と結着樹脂との配合比は質量比で10:1から1:5までが望ましい。
結着樹脂としては、特に限定されないが、粘度平均分子量50000以上80000以下のポリカーボネート樹脂、および粘度平均分子量50000以上80000以下のポリアリレート樹脂の少なくとも1種が望ましい。
また、電荷輸送材料として高分子電荷輸送材を用いてもよい。高分子電荷輸送材としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシランなどの電荷輸送性を有する公知のものが用いられる。特に、特開平8−176293号公報、特開平8−208820号公報等に開示されているポリエステル系高分子電荷輸送材は特に望ましい。高分子電荷輸送材はそれだけでも成膜し得るものであるが、後述する結着樹脂と混合して成膜してもよい。
電荷輸送層2Bは、例えば、上記構成材料を含有する電荷輸送層形成用塗布液を用いて形成される。電荷輸送層形成用塗布液に用いる溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロンゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状もしくは直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤を単独または2種以上混合して用いられる。また、上記各構成材料の分散方法としては、公知の方法が使用される。
電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層2Aの上に塗布する際の塗布方法としては、ブレード塗布法、マイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
電荷輸送層2Bの膜厚は、望ましくは5μm以上50μm以下、より望ましくは10μm以上30μm以下である。
・保護層(上記表面層)
上記表面層である保護層5を構成する成分としては特に限定されないが、例えば、保護層用樹脂の1種として、架橋性の電荷輸送材料が架橋した架橋物が挙げられる。
架橋型の電荷輸送材料としては、例えば、水酸基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、アクリロイルオキシ基、メトキシ基、スチレン基、ビニル基等を有する重合性のモノマー又はオリゴマー等が挙げられる。これらの電荷輸送材料は1種を単独でまたは2種以上を混合して用いられるが、これらに限定されるものではない。また更にその他の組成物を含有してもよい。
本実施形態のように混合層7を有する形態においては、電荷輸送層用樹脂としてポリカーボネート樹脂を用いた場合、上記架橋型の電荷輸送材料として下記材料を用いることで、より剥離しにくい保護層5が形成される。
具体的には、例えば、上記架橋型の電荷輸送材料として、水酸基、メトキシ基、ビニル基を有する電荷輸送材料等が挙げられ、その中でも特にビニル基又は水酸基を2つ以上有する電荷輸送材料が挙げられる。
さらに具体的には、例えば、上記架橋型の電荷輸送材料として、下記構造式(1)で示される化合物、下記構造式(2)で示される化合物等が挙げられる。
保護層5は、フッ素樹脂粒子を含有してもよい。
該フッ素樹脂粒子の材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、4フッ化エチレン樹脂(PTFE)、3フッ化塩化エチレン樹脂、6フッ化プロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、2フッ化2塩化エチレン樹脂、及びそれらの共重合体の中から1種又は2種以上を選択してもよい。また上記フッ素樹脂粒子の中でも、4フッ化エチレン樹脂又はフッ化ビニリデン樹脂が望ましく、特に望ましくは4フッ化エチレン樹脂である。
上記フッ素樹脂粒子の平均一次粒径としては、例えば0.05μm以上1μm以下が挙げられ、0.1μm以上0.5μm以下が望ましい。
尚、上記フッ素樹脂粒子の平均一次粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置LA−920(堀場製作所製)を用いて、フッ素樹脂粒子が分散された分散液(保護層用塗布液)と同じ溶剤を用いて希釈した測定液を屈折率1.35で測定した値をいう。
保護層5の固形分全量に対するフッ素樹脂粒子の含有量は1質量%以上30質量%以下が望ましく、2質量%以上20質量%以下がさらに望ましい。
保護層5は、上記架橋性の電荷輸送性材料が架橋された架橋物と共に、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルキッド樹脂、ベンゾグアナミン樹脂などの他の熱硬化性樹脂を混合して用いてもよい。また、スピロアセタール系グアナミン樹脂(例えば「CTU−グアナミン」(味の素ファインテクノ(株)))など、一分子中の官能基のより多い化合物を当該架橋物中の材料に共重合させてもよい。
また、保護層5には界面活性剤を添加してもよい。用いる界面活性剤としては、フッ素原子、アルキレンオキサイド構造、シリコーン構造のうち少なくとも一種類以上の構造を含む界面活性剤が好適に挙げられる。
保護層5には、酸化防止剤を添加してもよい。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系またはヒンダードアミン系が望ましく、有機イオウ系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系酸化防止剤、チオウレア系酸化防止剤、ベンズイミダゾール系酸化防止剤、などの公知の酸化防止剤を用いてもよい。酸化防止剤の添加量としては20質量%以下が望ましく、10質量%以下がより望ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナマイド、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、2−t−ブチル−6−(3−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等が挙げられる。
保護層5には、前記架橋性の電荷輸送材料の硬化を促進するための硬化触媒を含有させてもよい。硬化触媒として酸系の触媒あるいはラジカル重合開始剤が望ましく用いられる。酸系の触媒としては、酢酸、クロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、乳酸などの脂肪族カルボン酸、安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸などの芳香族カルボン酸、メタンスルホン酸、ドデシルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、などの脂肪族、および芳香族スルホン酸類などが用いられるが、含硫黄系材料を用いることが望ましい。また、熱をかけた際に触媒能力が高くなる、所謂熱潜在性触媒を用いてもよい。ラジカル重合開始剤としては、例えばp メトキシ過酸化ベンゾイル、m,m’ ジメトキシ過酸化ベンゾイル、2,2’ アゾビスイソブチルニトリル、2,2’ アゾビスイソ酪酸ジメチルエステル、4,4’ アゾビス 4 シアノヘプタン酸等が挙げられる。これらの硬化触媒は単独または二種類以上組み合わせても使用される。
ここで、触媒の配合量は、保護層用塗布液におけるフッ素樹脂粒子およびフッ化アルキル基含有共重合体を除いた全固形分に対し、0.01質量%以上10質量%以下の範囲であることが望ましく、特に0.1質量%以上5質量%以下が望ましい。
<プロセスカートリッジおよび画像形成装置>
次に、本実施形態の電子写真感光体を用いたプロセスカートリッジおよび画像形成装置について説明する。
本実施形態のプロセスカートリッジは、本実施形態の電子写真感光体を用いたものであれば特に限定されないが、具体的には、潜像保持体の表面の静電潜像を現像して得られたトナー像を記録媒体に転写して、該記録媒体上に画像を形成する画像形成装置に対して着脱自在であり、前記潜像保持体としての前述の本実施形態に係る電子写真感光体と、帯電装置、現像装置およびクリーニング装置から選択された少なくとも1つと、を備えた構成であることが望ましい。
また、本実施形態の画像形成装置は、本実施形態の電子写真感光体を用いたものであれば特に限定されないが、具体的には、本実施形態に係る電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電する帯電装置と、帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する潜像形成装置と、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置と、前記電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写装置と、を備えた構成であることが望ましい。なお、本実施形態の画像形成装置は、各色のトナーに対応した感光体を複数有するいわゆるタンデム機であってもよく、この場合、全ての感光体が本実施形態の電子写真感光体であることが望ましい。また、トナー像の転写は、中間転写体を利用した中間転写方式であってもよい。
図3は、本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。画像形成装置100は、図3に示すように。電子写真感光体17を備えるプロセスカートリッジ300と、露光装置9と、転写装置40と、中間転写体50とを備える。なお、画像形成装置100において、露光装置9はプロセスカートリッジ300の開口部から電子写真感光体17に露光し得る位置に配置されており、転写装置40は中間転写体50を介して電子写真感光体17に対向する位置に配置されており、中間転写体50はその一部が電子写真感光体17に接触して配置されている。
図3におけるプロセスカートリッジ300は、ハウジング内に、電子写真感光体17、帯電装置8、現像装置11およびクリーニング装置13を一体に支持している。クリーニング装置13は、クリーニングブレード131(クリーニング部材)を有しており、クリーニングブレード131は、電子写真感光体17の表面に接触するように配置されている。
また図3には、潤滑材14を感光体7の表面に供給する繊維状部材132(ロール状)、クリーニングをアシストする繊維状部材133(平ブラシ状)を用いた例を示してあるが、これらは使用しても、使用しなくてもよい。
帯電装置8としては、例えば、導電性または半導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が使用される。また、非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等のそれ自体公知の帯電器等も使用される。
なお、図示しないが、電子写真感光体17の周囲には、電子写真感光体17の温度を上昇させ、相対温度を低減させるための感光体加熱部材を設けてもよい。
露光装置9としては、例えば、感光体7表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、定められた像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は感光体の分光感度領域にあるものが使用される。半導体レーザーの波長としては、780nmに発振波長を有する近赤外が主流である。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザーや青色レーザーとして400nm以上450nm以下に発振波長を有するレーザーも利用してもよい。また、カラー画像形成のためにはマルチビームを出力し得るタイプの面発光型のレーザー光源も有効である。
現像装置11としては、例えば、磁性若しくは非磁性の一成分系現像剤または二成分系現像剤等を接触または非接触させて現像する一般的な現像装置を用いて行ってもよい。その現像装置としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて選択される。例えば、上記一成分系現像剤または二成分系現像剤をブラシ、ローラ等を用いて感光体7に付着させる機能を有する公知の現像器等が挙げられる。中でも現像剤を表面に保持した現像ローラを用いるものが望ましい。
以下、現像装置11に使用されるトナーについて説明する。
本実施形態の画像形成装置に用いられるトナーは、平均形状係数((ML/A)×(π/4)×100、ここでMLは粒子の最大長を表し、Aは粒子の投影面積を表す)が100以上150以下であることが望ましく、105以上145以下であることがより望ましく、110以上140以下であることがさらに望ましい。さらに、トナーとしては、体積平均粒子径が3μm以上12μm以下であることが望ましく、3.5μm以上9μm以下であることがさらに望ましい。
トナーは、特に製造方法により限定されるものではないが、例えば、結着樹脂、着色剤および離型剤、やその他更に帯電制御剤等を加えて混練、粉砕、分級する混練粉砕法;混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力または熱エネルギーにて形状を変化させる方法;結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、着色剤および離型剤、その他更に帯電制御剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、トナー粒子を得る乳化重合凝集法;結着樹脂を得るための重合性単量体と、着色剤および離型剤、その他更に帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法;結着樹脂と、着色剤および離型剤、その他更に帯電制御剤等の溶液とを水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法等により製造されるトナーが使用される。
また上記方法で得られたトナーをコアにして、さらに凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法等、公知の方法が使用される。なお、トナーの製造方法としては、形状制御、粒度分布制御の観点から水系溶媒にて製造する懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法が望ましく、乳化重合凝集法が特に望ましい。
トナー母粒子は、結着樹脂、着色剤および離型剤を含有することが望ましく、更にシリカや帯電制御剤を含有してもよい。
トナー母粒子に使用される結着樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類等の単独重合体および共重合体、ジカルボン酸類とジオール類との共重合によるポリエステル樹脂等が挙げられる。
特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル樹脂等が挙げられる。さらに、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等が挙げられる。
また、着色剤としては、マグネタイト、フェライト等の磁性粉、カーボンブラック、アニリンブルー、カルイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等を代表的なものとして例示される。
離型剤としては、低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレン、フィッシャートロピィシュワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等を代表的なものとして例示される。
また、帯電制御剤としては、公知のものが使用されるが、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプの帯電制御剤が用いられる。湿式製法でトナーを製造する場合、水に溶解しにくい素材を使用することが望ましい。また、トナーとしては、磁性材料を内包する磁性トナーおよび磁性材料を含有しない非磁性トナーのいずれであってもよい。
現像装置11に用いるトナーとしては、上記トナー母粒子および上記外添剤をヘンシェルミキサーまたはVブレンダー等で混合することによって製造される。また、トナー母粒子を湿式にて製造する場合は、湿式にて外添してもよい。
現像装置11に用いるトナーには滑性粒子を添加してもよい。滑性粒子としては、グラファイト、二硫化モリブデン、滑石、脂肪酸、脂肪酸金属塩等の固体潤滑剤や、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類、加熱により軟化点を有するシリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪族アミド類やカルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス、ミツロウの動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物、石油系ワックス、およびそれらの変性物が使用される。これらは、1種を単独で、または2種以上を併用して使用される。但し、平均粒径としては0.1μm以上10μm以下の範囲が望ましく、上記化学構造のものを粉砕して、粒径をそろえてもよい。トナーへの添加量は望ましくは0.05質量%以上2.0質量%以下、より望ましくは0.1質量%以上1.5質量%以下の範囲である。
現像装置11に用いるトナーには、無機粒子、有機粒子、該有機粒子に無機粒子を付着させた複合粒子等を加えてもよい。
無機粒子としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、チタン酸バリウム、チタン酸アルミニウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化セリウム、酸化アンチモン、酸化タングステン、酸化スズ、酸化テルル、酸化マンガン、酸化ホウ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の各種無機酸化物、窒化物、ホウ化物等が好適に使用される。
また、上記無機粒子を、テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルフォニルチタネート、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネート等のチタンカップリング剤、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトエリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤等で処理を行ってもよい。また、シリコーンオイル、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩によって疎水化処理したものも望ましく使用される。
有機粒子としては、スチレン樹脂粒子、スチレンアクリル樹脂粒子、ポリエステル樹脂粒子、ウレタン樹脂粒子等が挙げられる。
粒子径としては、個数平均粒子径で望ましくは5nm以上1000nm以下、より望ましくは5nm以上800nm以下、さらに望ましくは5nm以上700nm以下でのものが使用される。また、上述した粒子と滑性粒子との添加量の和が0.6質量%以上であることが望ましい。
トナーに添加されるその他の無機酸化物としては、1次粒径が40nm以下の小径無機酸化物を用い、更にそれより大径の無機酸化物を添加することが望ましい。これらの無機酸化物粒子は公知のものが使用されるが、シリカと酸化チタンを併用することが望ましい。
また、小径無機粒子については表面処理してもよい。さらに、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩や、ハイドロタルサイト等の無機鉱物を添加することも望ましい。
また、電子写真用カラートナーはキャリアと混合して使用されるが、キャリアとしては、鉄粉、ガラスビーズ、フェライト粉、ニッケル粉またはそれ等の表面に樹脂を被覆したものが使用される。また、キャリアとの混合割合は、必要に応じて設定される。
転写装置40としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。
中間転写体50としては、半導電性を付与したポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等のベルト状のもの(中間転写ベルト)が使用される。また、中間転写体50の形態としては、ベルト状以外にドラム状のものが用いられる。
画像形成装置100は、上述した各装置の他に、例えば、感光体7に対して光除電を行う光除電装置を備えていてもよい。
図4は、他の実施形態に係る画像形成装置を示す概略断面図である。画像形成装置120は、図4に示すように、プロセスカートリッジ300を4つ搭載したタンデム方式の多色画像形成装置である。画像形成装置120では、中間転写体50上に4つのプロセスカートリッジ300がそれぞれ並列に配置されており、1色に付き1つの電子写真感光体が使用される構成となっている。なお、画像形成装置120は、タンデム方式であること以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
また、本実施形態に係る画像形成装置(プロセスカートリッジ)において、現像装置は、電子写真感光体の移動方向(回転方向)に対して逆方向に移動(回転)する現像剤保持体である現像ローラを有してもよい。ここで、現像ローラは表面に現像剤を保持する円筒状の現像スリーブを有しており、また、現像装置はこの現像スリーブに供給する現像剤の量を規制する規制部材を有する構成のものが挙げられる。現像装置の現像ローラを電子写真感光体の回転方向に対して逆方向に移動(回転)させることで、現像ローラと電子写真感光体とに挟まれる位置に留まるトナーで電子写真感光体表面が摺擦される。
また、本実施形態の画像形成装置においては、現像スリーブと感光体との間隔を200μm以上600μm以下とすることが望ましく、300μm以上500μm以下とすることがより望ましい。また、現像スリーブと上述の現像剤量を規制する規制部材である規制ブレードとの間隔を300μm以上1000μm以下とすることが望ましく、400μm以上750μm以下とすることがより望ましい。
更に、現像ロール表面の移動速度の絶対値を、感光体表面の移動速度の絶対値(プロセススピード)の1.5倍以上2.5倍以下とすることが望ましく、1.7倍以上2.0倍以下とすることがより望ましい。
また、本実施形態に係る画像形成装置(プロセスカートリッジ)において、現像装置(現像手段)は、磁性体を有する現像剤保持体を備え、磁性キャリアおよびトナーを含む2成分系現像剤で静電潜像を現像するものであることが望ましい。
以下、実施例および比較例に基づき本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例A>
〔実施例1〕
(下引層の形成)
酸化亜鉛(平均粒子径:70nm、テイカ社製、比表面積値:15m/g)100質量部をテトラヒドロフラン500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤として、KBM603(信越化学社製)1.25質量部を添加し、2時間攪拌した。その後、テトラヒドロフランを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤表面処理酸化亜鉛粒子を得た。
前記表面処理を施した酸化亜鉛粒子60質量部と、アリザリン0.6質量部と、硬化剤としてブロック化イソシアネート(スミジュール3173、住友バイエルンウレタン社製)13.5質量部と、ブチラール樹脂(BM−1、積水化学社製)15質量部とを、メチルエチルケトン85質量部に溶解した溶液38質量部と、メチルエチルケトン25質量部とを混合し、直径1mmのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間の分散を行い、分散液を得た。
得られた分散液に、触媒としてジオクチルスズジラウレート0.005質量部と、シリコーン樹脂粒子(トスパール145、GE東芝シリコーン社製)4.0質量部とを添加し、下引層用塗布液を得た。
この塗布液を、浸漬塗布法にて直径30mmのアルミニウム基材上に塗布し、180℃、40分の乾燥硬化を行い厚さ25μmの下引層を得た。
(電荷発生層の形成)
次に、電荷発生材料として、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.4゜、16.6゜、25.5゜および28.3゜に強い回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニン結晶15質量部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニオンカーバイト社製)10質量部およびn−ブチルアルコール300質量部からなる混合物を、直径1mmのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散して電荷発生層用塗布液を得た。
この電荷発生層用塗布液を前記下引層上に浸漬塗布し、120℃、5分間乾燥して、厚みが0.2μmの電荷発生層を得た。
(電荷輸送層の形成)
続いて、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニルベンジジン42質量部と、ビスフェノールZポリカーボネート樹脂(TS2050:粘度平均分子量50,000:帝人化成社製)58質量部と、をテトロヒドロフラン280質量部およびトルエン120質量部に溶解して混合し、電荷輸送層用塗布液を得た。
この電荷輸送層用塗布液を電荷発生層まで形成した前記アルミニウム支持体上に浸漬塗布し、135℃、40分で乾燥することにより、膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
(保護層の形成)
次に、下記構造式(1)で示される化合物(アクリル系樹脂)140質量部を、シクロペンタノン200質量部に溶解させた液に、熱重合開始剤(Otazo−15、大塚化学社製)を0.01質量部加え、保護層用塗布液1を調製した。
得られた保護層用塗布液を、電荷輸送層まで形成した前記アルミニウム支持体上にインクジェット方式により塗布し、150℃、40分で乾燥することにより、膜厚5μmの保護層を形成し、電子写真感光体1を作製した。
尚、保護層を形成する際の液滴吐出ヘッドには、32個×2列のノズルを有するピエゾ間欠型のTrident社製、PixelJet64を用い、液滴吐出ヘッドの64個のノズルのうち、1列の20個について使用した。塗布液の噴射の周波数は2.5kHzとし、円筒状支持体に対して85°の傾斜角で、液滴吐出ヘッドと電荷輸送層まで形成した前記アルミニウム支持体との距離が10mmとなるよう液滴吐出ヘッドを設置した。
また、アルミニウム支持体の軸が水平となるように設置し、アルミニウム支持体を200rpmで回転させながら、軸方向での液滴吐出ヘッドの平均走査速度を261mm/分とし、ノズルからの液滴の大きさ(体積)を20plにして塗布した。尚、液滴の径はオフラインで可視化評価にて測定した。噴射タイミングと同期させてLEDを液滴に向けて点灯しCCDカメラにて画像を観察した。
〔実施例2〕
得られた保護層用塗布液をインクジェット方式により塗布する代わりに、浸漬塗布した(具体的には、浸漬して30秒保持した後に引き上げた)以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体2を作製した。
〔実施例3、実施例4〕
実施例1において作製した保護層用塗布液1に、フッ素系クシ型グラフトポリマー(商品名GF300、東亜合成化学(株)製)0.5質量部とポリテトラフルオロエチレン粒子(商品名ルブロンL2、ダイキン工業(株)製)10質量部とシクロペンタノン20質量部との混合液を添加し、衝突型の高圧分散機(商品名ナノマイザー、吉田機械興業(株)製)を用いて、分散処理を行う工程を加え、保護層用塗布液3を得た。
保護層用塗布液1の代わりに保護層用塗布液3を用いた以外は、実施例1及び実施例2と同様にして、それぞれ電子写真感光体3及び電子写真感光体4を作製した。
〔実施例5、実施例6〕
ポリテトラフルオロエチレン粒子10質量部を30質量部に変更した以外は、実施例3及び実施例4と同様にして、それぞれ電子写真感光体5及び電子写真感光体6を作製した。
〔実施例7から実施例12〕
シクロペンタノン(溶剤)200質量部をシクロペンタノン120質量部及びシクロペンタノール80質量部に変更した以外は、実施例1から実施例6と同様にして、それぞれ電子写真感光体7から電子写真感光体12を作製した。
〔実施例13から実施例18〕
シクロペンタノン(溶剤)200質量部をテトラヒドロフラン110質量部及びシクロペンタノール90質量部に変更した以外は、実施例1から実施例6と同様にして、それぞれ電子写真感光体13から電子写真感光体18を作製した。
〔実施例19、実施例20〕
下記構造式(2)で示される化合物70質量部と、下記構造式(3)で示される化合物70質量部と、下記構造式(4)で示されるメラミン5質量部と、シクロペンタノン200質量部と、ブロックスルホン酸(商品名 Nacure5225、キングインダストリー社製)0.05質量部と、を混合し、保護層用塗布液19を調整した。
保護層用塗布液1の代わりに保護層用塗布液19を用いた以外は、実施例1及び実施例2と同様にして、それぞれ電子写真感光体19及び電子写真感光体20を作製した。
〔実施例21、実施例22〕
実施例19において作製した保護層用塗布液19に、フッ素系クシ型グラフトポリマー(商品名GF300、東亜合成化学(株)製)0.5質量部とポリテトラフルオロエチレン粒子(商品名ルブロンL2、ダイキン工業(株)製)10質量部とシクロペンタノン20質量部との混合液を添加し、衝突型の高圧分散機(商品名ナノマイザー、吉田機械興業(株)製)を用いて、分散処理を行う工程を加え、保護層用塗布液21を得た。
保護層用塗布液19の代わりに保護層用塗布液21を用いた以外は、実施例19及び実施例20と同様にして、それぞれ電子写真感光体21及び電子写真感光体22を作製した。
〔実施例23、実施例24〕
ポリテトラフルオロエチレン粒子10質量部を30質量部に変更した以外は、実施例21及び実施例22と同様にして、それぞれ電子写真感光体23及び電子写真感光体24を作製した。
〔実施例25から実施例30〕
シクロペンタノン(溶剤)200質量部をシクロペンタノン110質量部及びシクロペンタノール90質量部に変更した以外は、実施例19から実施例24と同様にして、それぞれ電子写真感光体25から電子写真感光体30を作製した。
〔実施例31から実施例36〕
シクロペンタノン(溶剤)200質量部をテトラヒドロフラン110質量部及びシクロペンタノール90質量部に変更した以外は、実施例19から実施例24と同様にして、それぞれ電子写真感光体31から電子写真感光体36を作製した。
〔実施例37、実施例38〕
下記構造式(5)で示される化合物を20質量部、メチルトリメトキシシランを20質量部、テトラメトキシシランを5質量部、コロイダルシリカを3質量部を、シクロペンタノン50質量部、テトラヒドロフラン30質量部、及び蒸留水3質量部に溶解し、イオン交換樹脂(アンバーリスト15E:ローム アンド ハース社製)5部を加え、室温(25℃)で攪拌することにより24時間加水分解を行った後、濾過分離を行うことでイオン交換樹脂を除去し、濾液を得た。
これにアルミニウムトリスアセチルアセトナート(Al(aqaq)3)を1質量部、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)を4質量部加え、保護層用塗布液37を調整した。
保護層用塗布液1の代わりに保護層用塗布液37を用いた以外は、実施例1及び実施例2と同様にして、それぞれ電子写真感光体37及び電子写真感光体38を作製した。
〔実施例39、実施例40〕
実施例37において作製した保護層用塗布液37に、フッ素系クシ型グラフトポリマー(商品名GF300、東亜合成化学(株)製)0.5質量部とポリテトラフルオロエチレン粒子(商品名ルブロンL2、ダイキン工業(株)製)10質量部とシクロペンタノン20質量部との混合液を添加し、衝突型の高圧分散機(商品名ナノマイザー、吉田機械興業(株)製)を用いて、分散処理を行う工程を加え、保護層用塗布液39を得た。
保護層用塗布液37の代わりに保護層用塗布液39を用いた以外は、実施例37及び実施例38と同様にして、それぞれ電子写真感光体39及び電子写真感光体40を作製した。
〔実施例41、実施例42〕
ポリテトラフルオロエチレン粒子10質量部を30質量部に変更した以外は、実施例39及び実施例40と同様にして、それぞれ電子写真感光体41及び電子写真感光体42を作製した。
〔実施例43から実施例48〕
テトラヒドロフラン30質量部をシクロペンタノール30質量部に変更した以外は、実施例37から実施例42と同様にして、それぞれ電子写真感光体43から電子写真感光体48を作製した。
〔実施例49から実施例54〕
シクロペンタノン50質量部をシクロペンタノール50質量部に変更した以外は、実施例37から実施例42と同様にして、それぞれ電子写真感光体49から電子写真感光体54を作製した。
〔比較例1〕
実施例1において、シクロペンタノン(溶剤)200質量部をイソプロピルアルコール120質量部及び2−ブタノール80質量部に変更した以外は、実施例1に記載の方法により電子写真感光体55を作製した。
〔比較例2〕
比較例1において、保護層用塗布液に分散助剤(商品名メガファックF550、DIC(株)社製)0.5質量部とポリテトラフルオロエチレン粒子(商品名ルブロンL2、ダイキン工業(株)製)10質量部とイソプロピルアルコール20質量部の混合液を混合し、衝突型の高圧分散機(商品名ナノマイザー、吉田機械興業(株)製)を用いて、分散処理を行う工程を加えた以外は、比較例1に記載の方法により電子写真感光体56を作製した。
〔比較例3〕
比較例2において、ポリテトラフルオロエチレン粒子10質量部を30質量部に変更した以外は、比較例2に記載の方法により電子写真感光体57を作製した。
〔比較例4〕
実施例19において、シクロペンタノン(溶剤)200質量部をイソプロピルアルコール120質量部及び2−ブタノール80質量部に変更した以外は、実施例19に記載の方法により電子写真感光体58を作製した。
〔比較例5〕
比較例4において、保護層用塗布液に分散助剤(商品名メガファックF550、DIC(株)社製)0.5質量部とポリテトラフルオロエチレン粒子(商品名ルブロンL2、ダイキン工業(株)製)10質量部とイソプロピルアルコール20質量部の混合液を混合し、衝突型の高圧分散機(商品名ナノマイザー、吉田機械興業(株)製)を用いて、分散処理を行う工程を加えた以外は、比較例4に記載の方法により電子写真感光体59を作製した。
〔比較例6〕
比較例5において、ポリテトラフルオロエチレン粒子10質量部を30質量部に変更した以外は、比較例5に記載の方法により電子写真感光体60を作製した。
〔比較例7〕
実施例37において、シクロペンタノン50質量部及びテトラヒドロフラン30質量部を、イソプロピルアルコール120質量部及び2-ブタノール80質量部に変更した以外は、実施例37に記載の方法により電子写真感光体61を作製した。
〔比較例8〕
比較例7において、保護層用塗布液に分散助剤(商品名メガファックF550、DIC(株)社製)0.5質量部とポリテトラフルオロエチレン粒子(商品名ルブロンL2、ダイキン工業(株)製)10質量部とイソプロピルアルコール20質量部の混合液を混合し、衝突型の高圧分散機(商品名ナノマイザー、吉田機械興業(株)製)を用いて、分散処理を行う工程を加えた以外は、比較例7に記載の方法により電子写真感光体62を作製した。
〔比較例9〕
比較例8において、ポリテトラフルオロエチレン粒子10質量部を30質量部に変更した以外は、比較例8に記載の方法により電子写真感光体63を作製した。
〔感光体の評価〕
得られた感光体について、電荷輸送層成分と保護層成分の混合領域(すなわち図1における混合層7)をSEM及び光学顕微鏡によって可視化評価を行った。
具体的には、得られた感光体から保護層およびその下層を剥がし取り、小片を切り出してエポキシ樹脂に包埋・固化し、ミクロトームにより切片を調製して、測定用サンプルとした。SEMの装置としてJSM−6700F/JED−2300F(日本電子社製)を用いて、電荷輸送層成分と保護層成分の混合領域(すなわち図1における混合層7)の厚み(以下「混合層の厚み」と称する場合がある)を測長することで評価した。結果を表1から表4に示す。
得られた感光体のはがれやすさについての評価を行なった。具体的には、感光体の表面に10mm×10mmの正方形に基材までカッターで切り込みをいれ、さらにその正方形に幅2mmの切り込みを縦横に4本ずつ入れ、セロハンテープ(ニチバン社製、18mm幅)をはりつけて、それをはがすことによって、表面層のはがれやすさを評価した。評価基準は以下の通りであり、結果を表1から表4に示す。
−はがれやすさの評価基準−
◎:電荷輸送層と保護層の界面での剥離が1辺2mm正方形膜25枚中0枚
○:電荷輸送層と保護層の界面での剥離が1辺2mm正方形膜25枚中1〜2枚
△:電荷輸送層と保護層の界面での剥離が1辺2mm正方形膜25枚中3〜5枚
×:電荷輸送層と保護層の界面での剥離が1辺2mm正方形膜25枚中6枚以上

上記表中、「CPN」、「CPNOH」、「THF」、「IPA」、「2BuOH」は、それぞれ以下の溶媒を示す。
CPN:シクロペンタノン
CPNOH:シクロペンタノール
THF:テトラヒドロフラン
IPA:イソプロピルアルコール
2BuOH:2−ブタノール
以上の結果から、上記実施例で得られた電子写真感光体は、比較例の電子写真感光体に比べ、はがれにくいことが分かる。
1 基体、2 感光層、2A 電荷発生層、2B 電荷輸送層、4 下引層、5 保護層、6 機能一体型の感光層、7 混合層、8 帯電装置、9 露光装置、11 現像装置、13 クリーニング装置、14 潤滑剤、17 電子写真感光体、40 転写装置、50 中間転写体、100 画像形成装置、120 画像形成装置、132 繊維状部材(ロール状)、133 繊維状部材(平ブラシ状)

Claims (4)

  1. 基体と、
    前記基体上に設けられた感光層と、
    前記感光層上に設けられた表面層と、
    前記感光層と前記表面層とに挟まれ、前記感光層を構成する成分の少なくとも一部と前記表面層を構成する成分の少なくとも一部とを含有する、中間層と、
    を有する電子写真感光体。
  2. 前記表面層は、フッ素樹脂粒子を含有する、請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
    帯電された前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、
    前記電子写真感光体の表面に形成された前記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
    前記電子写真感光体の表面に形成された前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
    を備えた画像形成装置。
  4. 請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体の表面を帯電させる帯電手段、帯電された前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成させる潜像形成手段、前記電子写真感光体の表面に形成された前記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段、前記電子写真感光体の表面に形成された前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段、及び前記電子写真感光体を清掃する清掃手段から選ばれる少なくとも1つと、
    を備えたプロセスカートリッジ。
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