JP2014170133A - 電子写真感光体、画像形成装置、およびプロセスカートリッジ - Google Patents
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Abstract
【課題】像流れの発生が抑制された電子写真感光体の提供。
【解決手段】導電性基体4上に、感光層を有し、前記感光層の最表面を構成する3−1層が、重合性基を有する電荷輸送性材料の重合体を含有し、帯電を繰り返した前後での表面の酸素元素増加量が5atm%以下である電子写真感光体7A。
【選択図】図1
【解決手段】導電性基体4上に、感光層を有し、前記感光層の最表面を構成する3−1層が、重合性基を有する電荷輸送性材料の重合体を含有し、帯電を繰り返した前後での表面の酸素元素増加量が5atm%以下である電子写真感光体7A。
【選択図】図1
Description
本発明は、電子写真感光体、画像形成装置、およびプロセスカートリッジに関する。
電子写真方式の画像形成装置は、電子写真感光体の表面を帯電装置で帯電させ、帯電後の電子写真感光体の表面を、露光によって選択的に除電することにより静電潜像を形成させ、現像装置で該静電潜像にトナーを付着させることにより潜像をトナー像として現像し、トナー像を転写装置で被転写媒体に転写させることにより、画像形成物として排出させる。
上記電子写真感光体において、表面に保護層を設けることが提案されている。保護層を形成する材料系としては、例えば、特許文献1には導電粉をフェノール樹脂に分散したものが、特許文献2には有機−無機ハイブリッド材料によるものが、特許文献3にはアルコール可溶性電荷輸送性材料とフェノール樹脂によるものが、それぞれ開示されている。また、前記保護層として、特許文献4にはアルキルエーテル化ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド樹脂と、電子受容性カルボン酸あるいは電子受容性ポリカルボン酸無水物の硬化膜が、特許文献5にはベンゾグアナミン樹脂にヨウ素、有機スルホン酸化合物あるいは塩化第二鉄などをドーピングした硬化膜が、特許文献6には特定の添加剤とフェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、シロキサン樹脂あるいはウレタン樹脂との硬化膜が開示されている。
また、近年ではアクリル系材料による保護層が注目されている。例えば、特許文献7には光硬化型アクリル系モノマーを含有する液を塗布し硬化した膜が、特許文献8には炭素−炭素二重結合を有するモノマー、炭素−炭素二重結合を有する電荷移動材およびバインダー樹脂の混合物を熱あるいは光のエネルギーによって前記モノマーの炭素−炭素二重結合と前記電荷移動材の炭素−炭素二重結合とを反応させることにより形成された膜が、特許文献9には同一分子内に二つ以上の連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を重合した化合物からなる膜が開示されている。
これらアクリル系材料は、硬化条件、硬化雰囲気等の影響を強く受け、例えば、特許文献10には真空中あるいは不活性ガス中で放射線照射後に加熱されることによって形成された膜が、特許文献11には不活性ガス中で加熱硬化された膜が開示されている。
また、電荷輸送性材料自身をアクリル変性し、架橋し得るものとすると共に、電荷輸送性を有さない反応性モノマーを添加する技術も開示されている(例えば、特許文献8および12参照)。
また、電荷輸送性材料自身をアクリル変性し、架橋し得るものとすると共に、電荷輸送性を有さない反応性モノマーを添加する技術も開示されている(例えば、特許文献8および12参照)。
一方、特許文献13には電荷輸送性材料自身を3官能以上の多官能に変性することが開示されている。
さらに、特許文献14には、連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性物質の重合物を保護層に使用する技術が開示されている。
さらに、特許文献14には、連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性物質の重合物を保護層に使用する技術が開示されている。
本発明は、像流れの発生が抑制された電子写真感光体を提供することを目的とする。
上記課題は、以下の手段により解決される。
請求項1に係る発明は、
導電性基体上に、感光層を有し、
前記感光層の最表面を構成する層が、重合性基を有する電荷輸送性材料の重合体を含有し、下記帯電条件にて帯電を繰り返した前後での表面の酸素元素増加量が5atm%以下である電子写真感光体である。
−帯電条件−
電子写真感光体の周囲の一箇所に電子写真感光体の表面から5mmの距離でスコロトロン帯電器を配置し、酸素(O2)濃度21体積%の環境下にて、電子写真感光体の回転数100rpmで、前記スコロトロン帯電器にて電子写真感光体の表面電位を700Vに帯電する操作を5000回繰り返す。
請求項1に係る発明は、
導電性基体上に、感光層を有し、
前記感光層の最表面を構成する層が、重合性基を有する電荷輸送性材料の重合体を含有し、下記帯電条件にて帯電を繰り返した前後での表面の酸素元素増加量が5atm%以下である電子写真感光体である。
−帯電条件−
電子写真感光体の周囲の一箇所に電子写真感光体の表面から5mmの距離でスコロトロン帯電器を配置し、酸素(O2)濃度21体積%の環境下にて、電子写真感光体の回転数100rpmで、前記スコロトロン帯電器にて電子写真感光体の表面電位を700Vに帯電する操作を5000回繰り返す。
請求項2に係る発明は、
前記感光層の最表面を構成する層が重合性を有さない電荷輸送性材料を含有し、且つ前記重合性基を有する電荷輸送性材料の重合体の含有量(Cp)に対する前記重合性を有さない電荷輸送性材料の含有量(Cn)の比率[Cn/Cp]が10質量%以上20質量%以下の範囲である請求項1に記載の電子写真感光体である。
前記感光層の最表面を構成する層が重合性を有さない電荷輸送性材料を含有し、且つ前記重合性基を有する電荷輸送性材料の重合体の含有量(Cp)に対する前記重合性を有さない電荷輸送性材料の含有量(Cn)の比率[Cn/Cp]が10質量%以上20質量%以下の範囲である請求項1に記載の電子写真感光体である。
請求項3に係る発明は、
請求項1または請求項2に記載の電子写真感光体と、
該電子写真感光体を帯電させる帯電装置と、
帯電した前記電子写真感光体に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、
前記電子写真感光体に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置と、
前記トナー像を被転写体に転写する転写装置と、
を備える画像形成装置である。
請求項1または請求項2に記載の電子写真感光体と、
該電子写真感光体を帯電させる帯電装置と、
帯電した前記電子写真感光体に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、
前記電子写真感光体に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置と、
前記トナー像を被転写体に転写する転写装置と、
を備える画像形成装置である。
請求項4に係る発明は、
請求項1または請求項2に記載の電子写真感光体と、
該電子写真感光体を帯電させる帯電装置、前記電子写真感光体に形成された静電潜像をトナーにより現像する現像装置、および、前記電子写真感光体の表面に残存したトナーを除去するトナー除去装置からなる群より選ばれる少なくとも1種の装置と、
を備え、画像形成装置に着脱自在であるプロセスカートリッジである。
請求項1または請求項2に記載の電子写真感光体と、
該電子写真感光体を帯電させる帯電装置、前記電子写真感光体に形成された静電潜像をトナーにより現像する現像装置、および、前記電子写真感光体の表面に残存したトナーを除去するトナー除去装置からなる群より選ばれる少なくとも1種の装置と、
を備え、画像形成装置に着脱自在であるプロセスカートリッジである。
請求項1に係る発明によれば、前記帯電条件にて帯電を繰り返した前後での表面の酸素元素増加量が5atm%を超える場合に比較して、像流れの発生が抑制された電子写真感光体が提供される。
請求項2に係る発明によれば、感光層の最表面を構成する層における前記比率[Cn/Cp]が10質量%以上20質量%以下の範囲でない場合に比較して、像流れの発生が抑制された電子写真感光体が提供される。
請求項3に係る発明によれば、前記帯電条件にて帯電を繰り返した前後での表面の酸素元素増加量が5atm%以下である電子写真感光体を備えない場合に比較して、像流れの発生が抑制された画像形成装置が提供される。
請求項4に係る発明によれば、前記帯電条件にて帯電を繰り返した前後での表面の酸素元素増加量が5atm%以下である電子写真感光体を備えない場合に比較して、像流れの発生が抑制されたプロセスカートリッジが提供される。
以下、本発明の実施態様について詳細に説明する。
<電子写真感光体>
本実施形態に係る電子写真感光体(以下単に「感光体」とも称す)は、導電性基体上に、感光層を有する。そして、前記感光層のうち最表面を構成する層(以下単に「最表面層」と称す)が、重合性基を有する電荷輸送性材料の重合体を含有する。また、前記最表面層は、下記帯電条件にて帯電を繰り返した前後での表面の酸素元素増加量が5atm%以下である。
本実施形態に係る電子写真感光体(以下単に「感光体」とも称す)は、導電性基体上に、感光層を有する。そして、前記感光層のうち最表面を構成する層(以下単に「最表面層」と称す)が、重合性基を有する電荷輸送性材料の重合体を含有する。また、前記最表面層は、下記帯電条件にて帯電を繰り返した前後での表面の酸素元素増加量が5atm%以下である。
−帯電条件−
電子写真感光体の周囲の一箇所に電子写真感光体の表面から5mmの距離でスコロトロン帯電器を配置し、酸素(O2)濃度21体積%の環境下にて、電子写真感光体の回転数100rpmで、前記スコロトロン帯電器にて電子写真感光体の表面電位を700Vに帯電する操作を5000回繰り返す。
尚、感光体への上記帯電の繰り返しは、感光体表面に何も接触していない状態で行う。
電子写真感光体の周囲の一箇所に電子写真感光体の表面から5mmの距離でスコロトロン帯電器を配置し、酸素(O2)濃度21体積%の環境下にて、電子写真感光体の回転数100rpmで、前記スコロトロン帯電器にて電子写真感光体の表面電位を700Vに帯電する操作を5000回繰り返す。
尚、感光体への上記帯電の繰り返しは、感光体表面に何も接触していない状態で行う。
・酸素元素増加量の測定
酸素元素増加量は、前記の条件で帯電を繰り返した前後でそれぞれ酸素組成比を測定し、その前後での酸素組成比の差から算出される。尚、酸素組成比とは、感光体表面の付着物(例えば帯電を繰り返した後に感光体表面に付着している放電生成物等)を水拭きによって目視で確認されなくなる程度にまで除去した後、XPS(X線光電子分光測定、測定器として日本電子(株)製、商品名:JPS−9010を使用)にて表面におけるO元素、C元素、N元素の量を測定し、O元素、C元素、N元素の合計量を分母に、O元素の量を分子にして算出される。
酸素元素増加量は、前記の条件で帯電を繰り返した前後でそれぞれ酸素組成比を測定し、その前後での酸素組成比の差から算出される。尚、酸素組成比とは、感光体表面の付着物(例えば帯電を繰り返した後に感光体表面に付着している放電生成物等)を水拭きによって目視で確認されなくなる程度にまで除去した後、XPS(X線光電子分光測定、測定器として日本電子(株)製、商品名:JPS−9010を使用)にて表面におけるO元素、C元素、N元素の量を測定し、O元素、C元素、N元素の合計量を分母に、O元素の量を分子にして算出される。
従来、重合性基を有する電荷輸送材料の重合体を含有する最表面層を持つ感光体では、摩耗量が抑制されて耐刷性が向上する一方、クリーニング工程で削られる量も抑制されるために帯電工程で生じる放電生成物の除去も抑制されて、残留した放電生成物が吸湿して表面抵抗を下げることがあり、像流れを起こす欠陥が生じることがあった。
これに対し、本実施形態に係る感光体では、前記帯電条件にて帯電を繰り返した前後での表面の酸素元素増加量が5atm%以下である最表面層を備え、これにより像流れの発生が抑制される。
この効果が奏される理由は明確ではないものの、以下のごとく推察される。
この効果が奏される理由は明確ではないものの、以下のごとく推察される。
帯電を繰り返した後に酸素元素の組成比が増加することは、つまり帯電で生じるオゾンなどの高酸化性ガスで、最表面層の極表面のC−C化学結合が切断され、切断部分に−OHや−COOHが生成しているものと考えられる。尚、XPSによる測定では試料のごく表面の情報が得られる。
ここで、−OHや−COOHは極性が強いため、放電生成物であるアンモニウムイオンを強く吸着する性質を有する。表面に吸着されたアンモニウムイオンは水分を吸湿して表面抵抗を下げるため、電荷の横流れが起きて画質上の像流れが生じるものと推察される。
これに対し、本実施形態に係る感光体では、前記酸素元素増加量が5atm%以下であり、つまり−OHや−COOHの生成が抑制されているものと考えられ、これにより放電生成物であるアンモニウムイオンの吸着が抑制されて、その結果像流れの発生が抑制されるものと推察される。
ここで、−OHや−COOHは極性が強いため、放電生成物であるアンモニウムイオンを強く吸着する性質を有する。表面に吸着されたアンモニウムイオンは水分を吸湿して表面抵抗を下げるため、電荷の横流れが起きて画質上の像流れが生じるものと推察される。
これに対し、本実施形態に係る感光体では、前記酸素元素増加量が5atm%以下であり、つまり−OHや−COOHの生成が抑制されているものと考えられ、これにより放電生成物であるアンモニウムイオンの吸着が抑制されて、その結果像流れの発生が抑制されるものと推察される。
尚、本実施形態においては、前記帯電条件にて帯電を繰り返した前後での表面の酸素元素増加量は、更に4atm%以下であることが望ましく、2atm%以下であることがより望ましい。
上記酸素元素増加量が5atm%を超えると、像流れが発生する。
上記酸素元素増加量が5atm%を超えると、像流れが発生する。
・制御方法
前記酸素元素増加量を前述の範囲に制御する手段としては、特に限定されるものではないが、例えば最表面層に重合性を有さない電荷輸送性材料を含有させ、且つ該重合性を有さない電荷輸送性材料の含有量(Cn)の、重合性基を有する電荷輸送性材料の重合体の含有量(Cp)に対する比率[Cn/Cp]を10質量%以上20質量%以下の範囲に調整する方法が挙げられる。
尚、上記比率[Cn/Cp]は更に12質量%以上18質量%以下がより望ましく、14質量%以上16質量%以下が更に望ましい。
前記酸素元素増加量を前述の範囲に制御する手段としては、特に限定されるものではないが、例えば最表面層に重合性を有さない電荷輸送性材料を含有させ、且つ該重合性を有さない電荷輸送性材料の含有量(Cn)の、重合性基を有する電荷輸送性材料の重合体の含有量(Cp)に対する比率[Cn/Cp]を10質量%以上20質量%以下の範囲に調整する方法が挙げられる。
尚、上記比率[Cn/Cp]は更に12質量%以上18質量%以下がより望ましく、14質量%以上16質量%以下が更に望ましい。
上記比率[Cn/Cp]を上記の範囲に調整することで前記酸素元素増加量が制御される理由は明らかではないが、以下のごとく推察される。
ラジカル重合では、構造の歪みが発生していると想定され、この歪みのためにエネルギー活性な部分が生じて、最表面層の表面部分は酸化されやすくなっているものと考えられる。これに対し、重合性を有さない電荷輸送材料の添加によってこの構造の歪みを緩和しているものと考えられ、つまり比率[Cn/Cp]が上記下限値以上であることにより、前記酸素元素増加量が制御されるものと推察される。
但し、一方で重合性を有さない電荷輸送材料を添加し過ぎると重合反応を阻害して歪みを助長するものと考えられ、つまり比率[Cn/Cp]が上記上限値以下であることによっても、前記酸素元素増加量を制御しているものと推察される。
ラジカル重合では、構造の歪みが発生していると想定され、この歪みのためにエネルギー活性な部分が生じて、最表面層の表面部分は酸化されやすくなっているものと考えられる。これに対し、重合性を有さない電荷輸送材料の添加によってこの構造の歪みを緩和しているものと考えられ、つまり比率[Cn/Cp]が上記下限値以上であることにより、前記酸素元素増加量が制御されるものと推察される。
但し、一方で重合性を有さない電荷輸送材料を添加し過ぎると重合反応を阻害して歪みを助長するものと考えられ、つまり比率[Cn/Cp]が上記上限値以下であることによっても、前記酸素元素増加量を制御しているものと推察される。
以下、図面を参照しつつ本実施形態に係る電子写真感光体について説明する。なお、図面中、同一または相当部分には同一符号を付することとし、重複する説明は省略する。
図1および図2はそれぞれ、本実施形態に係る電子写真用感光体の好適な一例を示す模式断面図である。
図1においては、導電性基体4上に下引層1が設けられ、その上に電荷発生層2、2層からなる電荷輸送層3−1および3−2が設けられている。図1に示す電子写真感光体7Aにおいて、最表面層とは電荷輸送層3−1を指す。
図1においては、導電性基体4上に下引層1が設けられ、その上に電荷発生層2、2層からなる電荷輸送層3−1および3−2が設けられている。図1に示す電子写真感光体7Aにおいて、最表面層とは電荷輸送層3−1を指す。
図2においては、導電性基体4上に下引層1が設けられ、その上に電荷発生層2、および1層からなる電荷輸送層3−1が設けられている。図2に示す電子写真感光体7Bにおいて、最表面層とは電荷輸送層3−1を指す。
尚、図1および図2に示す電子写真感光体7Aおよび7Bおいては、下引層1を有しない態様であってもよい。
尚、図1および図2に示す電子写真感光体7Aおよび7Bおいては、下引層1を有しない態様であってもよい。
以下、代表例として図1に示す電子写真感光体7Aの構造を例として、各構成層について説明する。
(最表面層/電荷輸送層3−1)
まず、最表面層である電荷輸送層3−1について説明する。
本実施形態に係る電子写真感光体7Aの最表面層である電荷輸送層3−1には、重合性基を有する電荷輸送性材料の重合体が含有される。
まず、最表面層である電荷輸送層3−1について説明する。
本実施形態に係る電子写真感光体7Aの最表面層である電荷輸送層3−1には、重合性基を有する電荷輸送性材料の重合体が含有される。
・重合性基を有する電荷輸送性材料
重合性基を有する電荷輸送性材料であれば何れの材料を使用しても構わないが、該重合性基としては、例えばメタクリル基、アクリル基、スチリル基、またはそれらの誘導体等が挙げられる。
重合性基を有する電荷輸送性材料であれば何れの材料を使用しても構わないが、該重合性基としては、例えばメタクリル基、アクリル基、スチリル基、またはそれらの誘導体等が挙げられる。
上記重合性基を有する電荷輸送性材料としては、同一分子内にトリフェニルアミン骨格および2つ以上の重合性基を有する化合物が望ましく、特に下記一般式(A)で示される群より選択される少なくとも1種を用いることが望ましい。
〔上記一般式(A)中、Ar1乃至Ar4は、それぞれ独立に、置換若しくは未置換のアリール基を示し、Ar5は置換若しくは未置換のアリール基、または置換若しくは未置換のアリーレン基を示し、Dは−(CH2)d−(O−(CH2)f)e−O−CO−C(R’)=CH2を示し、R’は水素原子または−CH3を示し、c1乃至c5は、それぞれ独立に0以上2以下の整数を示し、kは0または1を示し、dは0以上5以下の整数を示し、fは1以上5以下の整数を示し、eは0または1を示す。尚、Dの総数は2以上である。〕
一般式(A)において、Ar1乃至Ar4は、それぞれ独立に、置換若しくは未置換のアリール基を示す。Ar1乃至Ar4は、それぞれ、同一でもあってもよいし、異なっていてもよい。
ここで、置換アリール基における置換基としては、D:−(CH2)d−(O−(CH2)f)e−O−CO−C(R’)=CH2以外のものとして、炭素数1以上4以下のアルキル基若しくはアルコキシ基、炭素数6以上10以下の置換若しくは未置換のアリール基等が挙げられる。
Ar1乃至Ar4としては、下記式(1)乃至(7)のうちのいずれかであることが望ましい。なお、下記式(1)乃至(7)は、Ar1乃至Ar4の各々に連結され得る「−(D)C1」乃至「−(D)C4」を総括的に示した「−(D)C」と共に示す。
ここで、置換アリール基における置換基としては、D:−(CH2)d−(O−(CH2)f)e−O−CO−C(R’)=CH2以外のものとして、炭素数1以上4以下のアルキル基若しくはアルコキシ基、炭素数6以上10以下の置換若しくは未置換のアリール基等が挙げられる。
Ar1乃至Ar4としては、下記式(1)乃至(7)のうちのいずれかであることが望ましい。なお、下記式(1)乃至(7)は、Ar1乃至Ar4の各々に連結され得る「−(D)C1」乃至「−(D)C4」を総括的に示した「−(D)C」と共に示す。
上記式(1)乃至(7)中、R1は、水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルキル基若しくは炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、および炭素数7以上10以下のアラルキル基からなる群より選ばれる1種を表し、R2乃至R4は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、およびハロゲン原子からなる群より選ばれる1種を表し、Arは置換または未置換のアリーレン基を表し、Z’は2価の有機連結基を表し、Dは−(CH2)d−(O−(CH2)f)e−O−CO−C(R’)=CH2(R’は水素原子または−CH3を示し、dは0以上5以下の整数を示し、fは1以上5以下の整数を示し、eは0または1を示す)を表し、cは1または2を表し、sは0または1を表し、tは0以上3以下の整数を表す。
ここで、式(7)中のArとしては、下記構造式(8)または(9)で表されるものが望ましい。
上記式(8)および(9)中、R5およびR6は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、およびハロゲン原子からなる群より選ばれる1種を表し、t’はそれぞれ0以上3以下の整数を表す。
また、前記式(7)中、Z’は2価の有機連結基を示すが、下記式(10)乃至(17)のうちのいずれかで表されるものが望ましい。また、sはそれぞれ0または1を表す。
上記式(10)乃至(17)中、R7およびR8は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、およびハロゲン原子からなる群より選ばれる1種を表し、Wは2価の基を表し、qおよびrはそれぞれ独立に1以上10以下の整数を表し、t”はそれぞれ0以上3以下の整数を表す。
前記式(16)乃至(17)中のWとしては、下記(18)乃至(26)で表される2価の基のうちのいずれかであることが望ましい。但し、式(25)中、uは0以上3以下の整数を表す。
また、一般式(A)中、Ar5は、kが0の時は置換若しくは未置換のアリール基であり、このアリール基としては、Ar1乃至Ar4の説明で例示されたアリール基がそのまま挙げられる。また、Ar5は、kが1の時は置換若しくは未置換のアリーレン基であり、このアリーレン基としては、Ar1乃至Ar4の説明で例示されたアリール基から水素原子を1つ除いたアリーレン基が挙げられる。
尚、一般式(A)で示される化合物においては、電荷輸送成分と重合性基との間に炭素原子を1つ以上介在させることが望ましく、連結基としてはアルキレン基であることが特に望ましい。
更に、重合性基としては、特にメタクリル基を有する構造が望ましい。
更に、重合性基としては、特にメタクリル基を有する構造が望ましい。
以下に、一般式(A)で示される化合物の具体例を示す。なお、一般式(A)で示される化合物は、これらにより何ら限定されるものではない。
一般式(A)で表される化合物は、以下のようにして合成される。
即ち、一般式(A)で表される化合物は、前駆体であるアルコールを、対応する重合性基を有する化合物(例えばメタクリル酸やメタクリル酸ハロゲン化物)と縮合させるか、前駆体であるアルコールがベンジルアルコール構造の場合には、ヒドロキシエチルメタクリレートのごとき水酸基を有するメタクリル酸誘導体等との脱水エーテル化などにより合成される。
即ち、一般式(A)で表される化合物は、前駆体であるアルコールを、対応する重合性基を有する化合物(例えばメタクリル酸やメタクリル酸ハロゲン化物)と縮合させるか、前駆体であるアルコールがベンジルアルコール構造の場合には、ヒドロキシエチルメタクリレートのごとき水酸基を有するメタクリル酸誘導体等との脱水エーテル化などにより合成される。
本実施形態で用いる化合物IV−4および化合物IV−17の合成経路を一例として以下に示す。
以上のごとく、電荷輸送性材料の望ましい態様として、同一分子内にトリフェニルアミン骨格および2つ以上の重合性基を有する化合物について説明したが、この化合物以外にも、以下のごとき化合物(以下「その他の重合性電荷輸送性材料」と称する。)も用いられ得る。
即ち、その他の重合性電荷輸送性材料としては、公知の電荷輸送性材料に重合性基を導入した化合物が用いられる。公知の電荷輸送性材料としては、例えば、後述の重合性基を有さない電荷輸送性材料の中で、正孔輸送性化合物として挙げられているトリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物などが用いられる。
より具体的にその他の重合性電荷輸送性材料としては、同一分子内にトリフェニルアミン骨格および1個の重合性基(例えばアクリロイル基やメタクリロイル基等)を有する化合物が望ましい。特に、前記一般式(A)において、Dの総数を1に変更した化合物が挙げられる。以下、その他の重合性電荷輸送性材料の具体例を示す。
本実施形態に係る電子写真感光体7Aを製造する際の、最表面層である電荷輸送層3−1を形成するための塗布液において、上記電荷輸送性材料は、塗布液中の固形分全量に対して60質量%以上90質量%以下含有させることが望ましく、更には70質量%以上90質量%以下がより望ましく、80質量%以上90質量%以下が特に望ましい。
重合性基は、同一分子内に2つ以上もつものが望ましく、更に同一分子内にトリフェニルアミン骨格と、4つ以上の重合性基を有する化合物を用いることがより望ましい。同一分子内にトリフェニルアミン骨格と、4つ以上の重合性基を有する化合物は、前記塗布液中の固形分全量に対して、5質量%以上であることが望ましく、更には10質量%以上であることがより望ましく、15質量%以上であることが特に望ましい。
重合性基は、同一分子内に2つ以上もつものが望ましく、更に同一分子内にトリフェニルアミン骨格と、4つ以上の重合性基を有する化合物を用いることがより望ましい。同一分子内にトリフェニルアミン骨格と、4つ以上の重合性基を有する化合物は、前記塗布液中の固形分全量に対して、5質量%以上であることが望ましく、更には10質量%以上であることがより望ましく、15質量%以上であることが特に望ましい。
尚、上記重合性基を有する電荷輸送性材料は、最表面層である電荷輸送層3−1に含まれるが、更に図1に示す電荷輸送層3−2に含まれていてもよい。
本実施形態において最表面層となる電荷輸送層3−1を構成する材料として、電荷輸送性を有さない重合性材料、重合性基を有さない電荷輸送性材料、または、結着樹脂などを用いてもよい。
・電荷輸送性を有さない重合性材料
まず、電荷輸送性を有さない重合性材料について説明する。本実施形態において、電荷輸送性を有さない重合性材料とは、例えば、電荷輸送性骨格を持たない(メタ)アクリレートモノマー、オリゴマー、ポリマー等の材料示す。
まず、電荷輸送性を有さない重合性材料について説明する。本実施形態において、電荷輸送性を有さない重合性材料とは、例えば、電荷輸送性骨格を持たない(メタ)アクリレートモノマー、オリゴマー、ポリマー等の材料示す。
具体的には、1官能のモノマーとしては、例えば、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールメタクリレート、ヒドロキシエチル−O−フェニルフェノールアクリレート、O−フェニルフェノールグリシジルエーテルアクリレート、などが挙げられる。
2官能のモノマー、オリゴマーおよびポリマーとしては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。3官能モノマー、オリゴマーおよびポリマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、脂肪族トリ(メタ)アクリレート等が挙げられ、4官能のモノマー、オリゴマー、ポリマーとしてはペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、脂肪族テトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、5官能以上のモノマー、オリゴマー、ポリマーとしては、例えば、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の他、ポリエステル骨格、ウレタン骨格、フォスファゼン骨格を有する(メタ)アクリレート等が使用され、これらの2官能以上の、モノマー、オリゴマーおよびポリマーは、単独または2種以上の混合物として使用される。これらモノマー、オリゴマーは、電荷輸送性を持つ化合物の全量に対し100%以下、望ましくは50%以下、より望ましくは30%以下で用いられる。
・重合性基を有さない電荷輸送性材料
次に、重合性基を有さない電荷輸送性材料について説明する。重合性基を有さない電荷輸送性材料としては、p−ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物等の電子輸送性化合物、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物など公知の正孔輸送性化合物があげられる。
次に、重合性基を有さない電荷輸送性材料について説明する。重合性基を有さない電荷輸送性材料としては、p−ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物等の電子輸送性化合物、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物など公知の正孔輸送性化合物があげられる。
より望ましくは、電荷移動度の観点から、下記構造式(a−1)および(a−2)で示されるトリアリールアミン誘導体、または、ベンジジン誘導体が望ましい。
(式中、R9は、水素原子またはメチル基を示す。また、lは1または2を意味する。Ar6およびAr7は置換または未置換のアリール基を表す。)
(式中R15、R15’は同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、を表わす。R16、R16’、R17、R17’は同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、炭素数1以上2以下のアルキル基で置換されたアミノ基、置換または未置換のアリール基を表わす。mおよびnは0乃至2の整数である。)
更には、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシランなどの重合性基を有さない高分子電荷輸送性を使用してもよい。公知の非架橋型高分子電荷輸送性材料の中でも、特に、特開平8−176293号公報、特開平8−208820号公報等に開示されているポリエステル系高分子電荷輸送性材料は、特に望ましいものである。高分子電荷輸送性材料はそれだけでも成膜し得るが、後述する結着樹脂と混合して成膜してもよい。これらの電荷輸送性材料は1種を単独でまたは2種以上を混合して用いてもよいが、これらに限定されるものではない。
尚、前記酸素元素増加量を前述の範囲に制御する観点から、上記重合性を有さない電荷輸送性材料の含有量(Cn)の、重合性基を有する電荷輸送性材料の重合体の含有量(Cp)に対する比率[Cn/Cp]を前述の範囲に調整することが望ましい。
また、前記酸素元素増加量を前述の範囲に制御する観点から、上記に示す重合性基を有さない電荷輸送性材料の中でも、特に、構造式(a−1)および(a−2)で示されるトリアリールアミン誘導体、または、ベンジジン誘導体が望ましい。
また、前記酸素元素増加量を前述の範囲に制御する観点から、上記に示す重合性基を有さない電荷輸送性材料の中でも、特に、構造式(a−1)および(a−2)で示されるトリアリールアミン誘導体、または、ベンジジン誘導体が望ましい。
・結着樹脂
また、電荷輸送層中に用い得る結着樹脂としては、具体的にはポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーンアルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等が挙げられる。また、上述のように、特開平8−176293号公報、特開平8−208820号公報に開示されているポリエステル系高分子電荷輸送性材料等高分子電荷輸送性材料が用いられる。これらのうち、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂が望ましい。
これらの結着樹脂は1種を単独でまたは2種以上を混合して用いられる。電荷輸送性材料と結着樹脂との配合比は質量比で10:1乃至1:5が望ましい。
また、電荷輸送層中に用い得る結着樹脂としては、具体的にはポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーンアルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等が挙げられる。また、上述のように、特開平8−176293号公報、特開平8−208820号公報に開示されているポリエステル系高分子電荷輸送性材料等高分子電荷輸送性材料が用いられる。これらのうち、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂が望ましい。
これらの結着樹脂は1種を単独でまたは2種以上を混合して用いられる。電荷輸送性材料と結着樹脂との配合比は質量比で10:1乃至1:5が望ましい。
本実施形態に係る電荷輸送層は少なくとも沸点65℃以上250℃以下である有機溶媒を含む。具体的には、沸点65℃以上250℃以下である有機溶媒を用いて前記電荷輸送性材料を溶解させた塗液を用い、感光体を作製する方法、または、感光体作製後、沸点65℃以上250℃以下である有機溶媒中に感光体を浸漬する方法などが挙げられる。
沸点65℃以上250℃以下である有機溶媒としては、例えば、n−ヘプタノール、3−ヘプタノール、2−オクタノール、2−エチルヘキサノール、3,5,5−トリメチルヘキサノール、n−デカノール、シクロヘキサノール、2−メチル−シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等のアルコール類、ジイソアミルエーテル、n−ヘキシルエーテル、エチレングリコール−ジブチルエーテル、ジエチレングリコール−モノ−エチルエーテル、ジエチレングリコール−モノ−ブチルエーテル、ジエチレングリコール−ジ−エチルエーテル等のエーテル類、メチル−n−ヘキシルエーテル、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン等のケトン類、酢酸メトキシブチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸シクロヘキシル、酢酸ブチル、シュウ酸ジブチル等のエステル類が挙げられる。
これら有機溶剤の中でも、メチル−n−ヘキシルエーテル、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、酢酸ブチル、シュウ酸ジブチル、酢酸シクロヘキシルが望ましい。
尚、本実施形態において、最表面層である電荷輸送層3−1中に含まれる有機溶媒量は5000ppm以上50000ppm以下である。
電荷輸送層形成用塗布液を用いて形成する際に、沸点65℃以上250℃以下である有機溶媒として、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロンゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状もしくは直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤を併用して用いてもよい。
電荷輸送層形成用塗布液を塗布する際の塗布方法としては、ブレード塗布法、マイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法、インクジェット法等の方法が用いられる。
電荷輸送層の膜厚は、望ましくは10μm以上60μm以下、より望ましくは20μm以上60μm以下ある。
電荷輸送層の膜厚は、望ましくは10μm以上60μm以下、より望ましくは20μm以上60μm以下ある。
本実施形態における最表面層である電荷輸送層3−1は、熱エネルギーによって重合させることにより形成される。この際、重合触媒は必ずしも必要としないが、触媒を添加することが特に望ましい。
熱重合開始剤としては、V−30、V−40、V−59、V−601、V−65、V−70、VF−096、Vam−110、Vam−111(和光純薬製)、OTazo−15、OTazo−30、AIBN、AMBN、ADVN、ACVA(大塚化学)等のアゾ系開始剤。パーテトラA、パーヘキサHC、パーヘキサC、パーヘキサV、パーヘキサ22、パーヘキサMC、パーブチルH,パークミルH、パークミルP、パーメンタH、パーオクタH、パーブチルC、パーブチルD、パーヘキシルD、パーロイルIB、パーロイル355、パーロイルL、パーロイルSA、ナイパーBW、ナイパーBMT−K40/M、パーロイルIPP、パーロイルNPP、パーロイルTCP、パーロイルOPP、パーロイルSBP、パークミルND、パーオクタND、パーヘキシルND、パーブチルND、パーブチルNHP、パーヘキシルPV、パーブチルPV、パーヘキサ250、パーオクタO、パーヘキシルO、パーブチルO、パーブチルL、パーブチル355、パーヘキシルI、パーブチルI、パーブチルE、パーヘキサ25Z、パーブチルA、パーへヘキシルZ、パーブチルZT、パーブチルZ(日油化学社製)、カヤケタールAM−C55、トリゴノックス36−C75、ラウロックス、パーカドックスL−W75、パーカドックスCH−50L、トリゴノックスTMBH、カヤクメンH、カヤブチルH−70、ペルカドックスBC−FF、カヤヘキサAD、パーカドックス14、カヤブチルC、カヤブチルD、カヤヘキサYD−E85、パーカドックス12−XL25、パーカドックス12−EB20、トリゴノックス22−N70、トリゴノックス22−70E、トリゴノックスD−T50、トリゴノックス423−C70、カヤエステルCND−C70、カヤエステルCND−W50、トリゴノックス23−C70、トリゴノックス23−W50N、トリゴノックス257−C70、カヤエステルP−70、カヤエステルTMPO−70、トリゴノックス121、カヤエステルO、カヤエステルHTP−65W、カヤエステルAN、トリゴノックス42、トリゴノックスF−C50、カヤブチルB、カヤカルボンEH−C70、カヤカルボンEH−W60、カヤカルボンI−20、カヤカルボンBIC−75、トリゴノックス117、カヤレン6−70(化薬アクゾ社製)、ルルペロックス610、ルペロックス188、ルペロックス844、ルペロックス259、ルペロックス10、ルペロックス701、ルペロックス11、ルペロックス26、ルペロックス80、ルペロックス7、ルペロックス270、ルペロックスP、ルペロックス546、ルペロックス554、ルペロックス575、ルペロックスTANPO、ルペロックス555、ルペロックス570、ルペロックスTAP、ルペロックスTBIC、ルペロックスTBEC、ルペロックスJW、ルペロックスTAIC、ルペロックスTAEC、ルペロックスDC、ルペロックス101、ルペロックスF、ルペロックスDI、ルペロックス130、ルペロックス220、ルペロックス230、ルペロックス233、ルペロックス531などが挙げられる。
これら触媒は、電荷輸送性骨格と、アクリル基やメタクリル基等の重合性基を有する化合物を含有する塗工液を作製する際、固形分全量に対して0.2%以上10%以下、望ましくは0.5%以上8%以下、より望ましくは0.7%以上5%以下で添加される。
重合反応は、熱エネルギーによって発生したラジカルが失活することなく連鎖反応を行えるよう、真空、あるいは、不活性ガス雰囲気下など酸素濃度10%以下、望ましくは5%以下、より望ましくは2%以下の低酸素濃度で行うことが望ましい。
本実施形態における電荷輸送層においては、さらに電荷輸送性骨格と、アクリル基やメタクリル基等の重合性基を有する化合物と反応し得るポリマー、あるいは、反応しないポリマーを混合してもよい。
反応し得るポリマーとしては、例えば、特開平5−216249号公報、特開平5−323630号公報、特開平11−52603号公報、特開2000−264961号公報などに開示されたものが挙げられる。また、反応しないポリマーとしては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂など公知のものが挙げられる。これらポリマーは、電荷輸送性を持つ化合物の全量に対し100%以下、望ましくは50%以下、より望ましくは30%以下で用いられる。
本実施形態の電荷輸送層には、さらに、他のカップリング剤、フッ素化合物と混合して用いても良い。こうした化合物として、各種シランカップリング剤、および市販のシリコーン系ハードコート剤が用いられる。
シランカップリング剤としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、等が用いられる。市販のハードコート剤としては、KP−85、X−40−9740、X−8239(以上、信越シリコーン社製)、AY42−440、AY42−441、AY49−208(以上、東レダウコーニング社製)等が用いられる。また、撥水性等の付与のために、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、3−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロアルキルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトシキシラン、等の含フッ素化合物を加えても良い。シランカップリング剤は任意の量で使用されるが、含フッ素化合物の量は、フッ素を含まない化合物に対して質量で0.25倍以下とすることが望ましい。この使用量を超えると、架橋膜の成膜性に問題が生じる場合がある。さらに、特開2001−166510号公報などに開示されている重合性のフッ素化合物などを混合してもよい。
また、アルコールに溶解する樹脂を加えてもよい。
また、アルコールに溶解する樹脂を加えてもよい。
また、上記成分を反応させて塗布液を得る際には、単純に混合、溶解させるだけでもよいが、室温(20℃)以上100℃以下、望ましくは30℃以上80℃以下で、10分以上100時間以下、望ましくは1時間以上50時間以下加温しても良い。また、この際に超音波を照射することも望ましい。
電荷輸送層には、劣化防止剤を添加することが望ましい。劣化防止剤としては、ヒンダードフェノール系あるいはヒンダードアミン系が望ましく、有機イオウ系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系酸化防止剤、チオウレア系酸化防止剤、ベンズイミダゾール系酸化防止剤、などの公知の酸化防止剤を用いてもよい。劣化防止剤の添加量としては20質量%以下が望ましく、10質量%以下がより望ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、「イルガノックス1076」、「イルガノックス1010」、「イルガノックス1098」、「イルガノックス245」、「イルガノックス1330」、「イルガノックス3114」、「イルガノックス1076」(以上、チバ・ジャパン製)、「3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシビフェニル」等が挙げられる。
ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、「サノールLS2626」、「サノールLS765」、「サノールLS770」、「サノールLS744」(以上、三共ライフテック製)、「チヌビン144」、「チヌビン622LD」(以上、チバ・ジャパン製)、「マークLA57」、「マークLA67」、「マークLA62」、「マークLA68」、「マークLA63」(以上、アデカ社製)が挙げられ、チオエーテル系として「スミライザ−TPS」、「スミライザーTP−D」(以上、住友化学社製)が挙げられ、ホスファイト系として「マーク2112」、「マークPEP−8」、「マークPEP−24G」、「マークPEP−36」、「マーク329K」、「マークHP−10」(以上、アデカ社製)等が挙げられる。
ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、「サノールLS2626」、「サノールLS765」、「サノールLS770」、「サノールLS744」(以上、三共ライフテック製)、「チヌビン144」、「チヌビン622LD」(以上、チバ・ジャパン製)、「マークLA57」、「マークLA67」、「マークLA62」、「マークLA68」、「マークLA63」(以上、アデカ社製)が挙げられ、チオエーテル系として「スミライザ−TPS」、「スミライザーTP−D」(以上、住友化学社製)が挙げられ、ホスファイト系として「マーク2112」、「マークPEP−8」、「マークPEP−24G」、「マークPEP−36」、「マーク329K」、「マークHP−10」(以上、アデカ社製)等が挙げられる。
更に、電荷輸送層には残留電位を下げるため、あるいは強度を上げるために導電性粒子や、有機粒子、無機粒子を添加してもよい。粒子の一例として、ケイ素含有粒子が挙げられる。ケイ素含有粒子とは、構成元素にケイ素を含む粒子であり、具体的には、コロイダルシリカおよびシリコーン粒子等が挙げられる。ケイ素含有粒子として用いられるコロイダルシリカは、平均粒径1nm以上100nm以下、望ましくは10nm以上30nm以下のシリカを、酸性もしくはアルカリ性の水分散液、あるいはアルコール、ケトン、エステル等の有機溶媒中に分散させたものから選ばれ、一般に市販されているものが使用される。コロイダルシリカの固形分含有量は、特に限定されるものではないが、全固形分全量を基準として、0.1質量%以上50質量%以下、望ましくは0.1質量%以上30質量%以下の範囲で用いられる。
ケイ素含有粒子として用いられるシリコーン粒子は、シリコーン樹脂粒子、シリコーンゴム粒子、シリコーン表面処理シリカ粒子から選ばれ、一般に市販されているものが使用される。これらのシリコーン粒子は球状で、その平均粒径は望ましくは1nm以上500nm以下、より望ましくは10nm以上100nm以下である。シリコーン粒子の含有量は、全固形分全量を基準として、望ましくは0.1質量%以上30質量%以下、より望ましくは0.5質量%以上10質量%以下である。
また、その他の粒子としては、四フッ化エチレン、三フッ化エチレン、六フッ化プロピレン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のフッ素系粒子や“第8回ポリマー材料フォーラム講演要旨集pp89−90”に示されるごとき、フッ素樹脂と水酸基を有するモノマーを共重合させた樹脂からなる粒子、ZnO−Al2O3、SnO2−Sb2O3、In2O3−SnO2、ZnO2−TiO2、ZnO−TiO2、MgO−Al2O3、FeO−TiO2、TiO2、SnO2、In2O3、ZnO、MgO等の半導電性金属酸化物が挙げられる。また、シリコーンオイル等のオイルを添加してもよい。シリコーンオイルとしては、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、フェニルメチルシロキサン等のシリコーンオイル;アミノ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、カルボキシル変性ポリシロキサン、カルビノール変性ポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、メルカプト変性ポリシロキサン、フェノール変性ポリシロキサン等の重合性シリコーンオイル;ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状ジメチルシクロシロキサン類;1,3,5−トリメチル−1.3.5−トリフェニルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラフェニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタメチル−1,3,5,7,9−ペンタフェニルシクロペンタシロキサン等の環状メチルフェニルシクロシロキサン類;ヘキサフェニルシクロトリシロキサン等の環状フェニルシクロシロキサン類;3−(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルシクロトリシロキサン等のフッ素含有シクロシロキサン類;メチルヒドロシロキサン混合物、ペンタメチルシクロペンタシロキサン、フェニルヒドロシクロシロキサン等のヒドロシリル基含有シクロシロキサン類;ペンタビニルペンタメチルシクロペンタシロキサン等のビニル基含有シクロシロキサン類等が挙げられる。
また、金属、金属酸化物およびカーボンブラック等を添加しても良い。金属としては、アルミニウム、亜鉛、銅、クロム、ニッケル、銀およびステンレス等、またはこれらの金属をプラスチックの粒子の表面に蒸着したもの等が挙げられる。金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンやタンタルをドープした酸化スズおよびアンチモンをドープした酸化ジルコニウム等が挙げられる。これらは単独で用いることも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上を組み合わせて用いる場合は、単に混合しても、固溶体や融着の形にしてもよい。導電性粒子の平均粒径は透明性の点で0.3μm以下、特に0.1μm以下が望ましい。
(電荷輸送層3−2)
本実施形態における図1に示す電荷輸送層3−2は、前述の電荷輸送層3−1に用いた材料を用いて形成される。
尚、電荷輸送層3−2に用いる結着樹脂は、電荷輸送層3−1に含有される同一分子内にトリフェニルアミン骨格および2つ以上の重合性基を有する化合物との関係から、重量平均分子量50000以上であることが望ましく、更には55000以上であることがより望ましい。
本実施形態における図1に示す電荷輸送層3−2は、前述の電荷輸送層3−1に用いた材料を用いて形成される。
尚、電荷輸送層3−2に用いる結着樹脂は、電荷輸送層3−1に含有される同一分子内にトリフェニルアミン骨格および2つ以上の重合性基を有する化合物との関係から、重量平均分子量50000以上であることが望ましく、更には55000以上であることがより望ましい。
<導電性基体>
導電性基体4としては、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、ステンレス、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等の金属または合金を用いて構成される金属板、金属ドラム、および金属ベルト、あるいは、導電性ポリマー、酸化インジウム等の導電性化合物やアルミニウム、パラジウム、金等の金属または合金を塗布、蒸着またはラミネートした紙、プラスチックフィルム、ベルト等が挙げられる。
導電性基体4としては、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、ステンレス、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等の金属または合金を用いて構成される金属板、金属ドラム、および金属ベルト、あるいは、導電性ポリマー、酸化インジウム等の導電性化合物やアルミニウム、パラジウム、金等の金属または合金を塗布、蒸着またはラミネートした紙、プラスチックフィルム、ベルト等が挙げられる。
電子写真感光体7Aがレーザープリンターに使用される場合、レーザー光を照射する際に生じる干渉縞を防止するために、導電性基体4の表面は、中心線平均粗さRaで0.04μm以上0.5μm以下に粗面化することが望ましい。
粗面化の方法としては、研磨剤を水に懸濁させて支持体に吹き付けることによって行う湿式ホーニング、または回転する砥石に支持体を圧接し、連続的に研削加工を行うセンタレス研削、陽極酸化処理等が望ましい。
また、他の粗面化の方法としては、導電性基体4表面を粗面化することなく、導電性または半導電性粉体を樹脂中に分散させて、支持体表面上に層を形成し、その層中に分散させる粒子により粗面化する方法も望ましく用いられる。
ここで、陽極酸化による粗面化処理は、アルミニウムを陽極とし電解質溶液中で陽極酸化することによりアルミニウム表面に酸化膜を形成するものである。電解質溶液としては、硫酸溶液、シュウ酸溶液等が挙げられる。しかし、陽極酸化により形成された多孔質陽極酸化膜は、そのままの状態では化学的に活性である。そこで、陽極酸化膜の微細孔を加圧水蒸気または沸騰水中(ニッケル等の金属塩を加えてもよい)で水和反応による体積膨張でふさぎ、より安定な水和酸化物に変える封孔処理を行うことが望ましい。
陽極酸化膜の膜厚については、0.3μm以上15μm以下が望ましい。
陽極酸化膜の膜厚については、0.3μm以上15μm以下が望ましい。
また、導電性基体4には、酸性水溶液による処理またはベーマイト処理を施してもよい。リン酸、クロム酸およびフッ酸からなる酸性処理液による処理は以下のようにして実施される。先ず、酸性処理液を調整する。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸およびフッ酸の配合割合は、リン酸が10質量%以上11質量%以下の範囲、クロム酸が3質量%以上5質量%以下の範囲、フッ酸が0.5質量%以上2質量%以下の範囲であって、これらの酸全体の濃度は13.5質量%以上18質量%以下の範囲が望ましい。処理温度は42℃以上48℃以下が望ましい。被膜の膜厚は、0.3μm以上15μm以下が望ましい。
ベーマイト処理は、90℃以上100℃以下の純水中に5分間以上60分間以下浸漬すること、または90℃以上120℃以下の加熱水蒸気に5分間以上60分間以下接触させることにより行われる。被膜の膜厚は、0.1μm以上5μm以下が望ましい。これをさらにアジピン酸、硼酸、硼酸塩、燐酸塩、フタル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩等の被膜溶解性の低い電解質溶液を用いて陽極酸化処理してもよい。
<下引層>
下引層1は、結着樹脂のみで形成されても良いし、結着樹脂に無機粒子を含有して形成されてもよい。
下引層1は、結着樹脂のみで形成されても良いし、結着樹脂に無機粒子を含有して形成されてもよい。
無機粒子としては、粉体抵抗(体積抵抗率)102Ω・cm以上1011Ω・cm以下のものが望ましく用いられる。これは下引層1はリーク耐性、キャリアブロック性獲得のために適切な抵抗を得ることが必要でるためである。
中でも上記抵抗値を有する無機粒子としては、酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等の無機粒子を用いるのが望ましく、特に酸化亜鉛は望ましく用いられる。
また、無機粒子は表面処理を行ったものでもよく、表面処理の異なるもの、あるいは、粒子径の異なるものなど2種以上混合して用いてもよい。
また、無機粒子は表面処理を行ったものでもよく、表面処理の異なるもの、あるいは、粒子径の異なるものなど2種以上混合して用いてもよい。
また、無機粒子としては、BET法による比表面積が10m2/g以上のものが望ましく用いられる。比表面積値が10m2/g以下のものは帯電性低下を招きやすく、良好な電子写真特性を得にくい傾向がある。
さらに無機粒子とアクセプター性化合物を含有させることで電気特性の長期安定性、キャリアブロック性に優れたものが得られる。アクセプター性化合物としては所望の特性が得られるものならばいかなるものでも使用し得るが、クロラニル、ブロモアニル等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールや2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3',5,5'テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物等の電子輸送性物質などが望ましく、特にアントラキノン構造を有する化合物が望ましい。さらに、ヒドロキシアントラキノン系化合物、アミノアントラキノン系化合物、アミノヒドロキシアントラキノン系化合物等、アントラキノン構造を有するアクセプター性化合物が望ましく用いられ、具体的にはアントラキノン、アリザリン、キニザリン、アントラルフィン、プルプリン等が挙げられる。
これらのアクセプター性化合物の含有量は所望の特性が得られる範囲であれば任意に設定し得るが、望ましくは無機粒子に対して0.01質量%以上20質量%以下含有される。さらに電荷蓄積防止と無機粒子の凝集を防止する観点から0.05質量%以上10質量%以下が望ましい。
アクセプター化合物は、下引層の塗布時に添加するだけでも良いし、無機粒子表面にあらかじめ付着させておいてもよい。無機粒子表面にアクセプター化合物を付与させる方法としては、乾式法、あるいは、湿式法が挙げられる。
アクセプター化合物は、下引層の塗布時に添加するだけでも良いし、無機粒子表面にあらかじめ付着させておいてもよい。無機粒子表面にアクセプター化合物を付与させる方法としては、乾式法、あるいは、湿式法が挙げられる。
乾式法にて表面処理を施す場合には無機粒子をせん断力の大きなミキサ等で攪拌しながら、直接あるいは有機溶媒に溶解させたアクセプター化合物を滴下、乾燥空気や窒素ガスとともに噴霧させることによってムラなく処理される。添加あるいは噴霧する際には溶剤の沸点以下の温度で行われることが望ましい。添加あるいは噴霧した後、さらに100℃以上で焼き付けを行ってもよい。焼き付けは所望の電子写真特性が得られる温度、時間であれば任意の範囲で実施し得る。
湿式法としては、無機粒子を溶剤中で攪拌、超音波、サンドミルやアトライター、ボールミル等を用いて分散し、アクセプター化合物を添加し攪拌あるいは分散したのち、溶剤除去することでムラなく処理される。溶剤除去方法はろ過あるいは蒸留により留去される。溶剤除去後にはさらに100℃以上で焼き付けを行ってもよい。焼き付けは所望の電子写真特性が得られる温度、時間であれば任意の範囲で実施し得る。湿式法においては表面処理剤を添加する前に無機粒子含有水分を除去してもよく、その例として表面処理に用いる溶剤中で攪拌加熱しながら除去する方法、溶剤と共沸させて除去する方法が用いられる。
また、無機粒子はアクセプター化合物を付与する前に表面処理を施してもよい。表面処理剤としては所望の特性が得られるものであればよく、公知の材料から選択し得る。例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、界面活性材等が挙げられる。特に、シランカップリング剤は良好な電子写真特性を与えるため望ましく用いられる。さらにアミノ基を有するシランカップリング剤は下引層1に良好なブロッキング性を与えるため望ましく用いられる。
アミノ基を有するシランカップリング剤としては所望の電子写真感光体特性を得られるものであればいかなる物でも用い得るが、具体的例としてはγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、シランカップリング剤は2種以上混合して使用してもよい。前記アミノ基を有するシランカップリング剤と併用して用いられるシランカップリング剤の例としてはビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
表面処理方法は公知の方法であればいかなる方法でも使用し得るが、乾式法あるいは湿式法を好適に用いられる。また、アクセプター付与とカップリング剤等による表面処理とを共に行っても良い。
下引層1中の無機粒子に対するシランカップリング剤の量は所望の電子写真特性が得られる量であれば任意に設定し得るが分散性向上の観点から、無機粒子に対して0.5質量%以上10質量%以下が望ましい。
下引層1に含有される結着樹脂としては、良好な膜を形成し得るもので、かつ所望の特性が得られるものであれば公知のいかなるものでも使用し得るが、例えばポリビニルブチラール等のアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の公知の高分子樹脂化合物、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料が用いられる。また電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂やポリアニリン等の導電性樹脂等を用いてもよい。中でも上層の塗布溶剤に不溶な樹脂が望ましく用いられ、特にフェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が望ましく用いられる。これらを2種以上組み合わせて使用する場合には、その混合割合は、自由に設定し得る。
下引層形成用塗布液中のアクセプター性を付与した金属酸化物とバインダー樹脂、または無機粒子とバインダー樹脂との比率は所望する電子写真感光体特性を得られる範囲で任意に設定し得る。
下引層形成用塗布液中のアクセプター性を付与した金属酸化物とバインダー樹脂、または無機粒子とバインダー樹脂との比率は所望する電子写真感光体特性を得られる範囲で任意に設定し得る。
下引層1中には電気特性向上、環境安定性向上、画質向上のために種々の添加物を用いてもよい。添加物としては、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料が用いられる。シランカップリング剤は金属酸化物の表面処理に用いられるが、添加剤としてさらに塗布液に添加して用いてもよい。ここで用いられるシランカップリング剤の具体例としてはビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシラン等である。ジルコニウムキレート化合物の例として、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシド等が挙げられる。
チタニウムキレート化合物の例としてはテトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレート等が挙げられる。
アルミニウムキレート化合物の例としてはアルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等が挙げられる。
これらの化合物は単独にあるいは複数の化合物の混合物あるいは重縮合物として用いられる。
下引層形成用塗布液を調整するための溶媒としては公知の有機溶剤、例えばアルコール系、芳香族系、ハロゲン化炭化水素系、ケトン系、ケトンアルコール系、エーテル系、エステル系等から任意で選択してよい。例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤が用いられる。
また、これらの分散に用いる溶剤は単独あるいは2種以上混合して用いてもよい。混合する際、使用される溶剤としては、混合溶剤としてバインダー樹脂を溶かし得る溶剤であれば、いかなるものでも使用される。
また、これらの分散に用いる溶剤は単独あるいは2種以上混合して用いてもよい。混合する際、使用される溶剤としては、混合溶剤としてバインダー樹脂を溶かし得る溶剤であれば、いかなるものでも使用される。
分散方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカーなどの公知の方法が用いられる。さらにこの下引層1を設けるときに用いる塗布方法としては、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
このようにして得られた下引層形成用塗布液を用い、導電性基体上に下引層1が成膜される。
また、下引層1は、ビッカース強度が35以上とされていることが望ましい。
また、下引層1は、ビッカース強度が35以上とされていることが望ましい。
さらに、下引層1は、所望の特性が得られるのであれば、いかなる厚さに設定し得るが、厚さが15μm以上が望ましく、さらに望ましくは15μm以上50μm以下とされていることが望ましい。
また、下引層1の表面粗さ(十点平均粗さ)はモアレ像防止のために、使用される露光用レーザー波長λの1/4n(nは上層の屈折率)から1/2λに調整される。表面粗さ調整のために下引層中に樹脂などの粒子を添加してもよい。樹脂粒子としてはシリコーン樹脂粒子、架橋型PMMA樹脂粒子等が用いられる。
また、表面粗さ調整のために下引層を研磨してもよい。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、ウエットホーニング、研削処理等が用いられる。
塗布したものを乾燥させて下引層を得るが、通常、乾燥は溶剤を蒸発させ、製膜し得る温度で行われる。
塗布したものを乾燥させて下引層を得るが、通常、乾燥は溶剤を蒸発させ、製膜し得る温度で行われる。
<電荷発生層>
電荷発生層2は電荷発生材料および結着樹脂を含有する層である。
電荷発生材料としては、ビスアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料、ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、ピロロピロール顔料、フタロシアニン顔料、酸化亜鉛、三方晶系セレン等が挙げられる。これらの中でも、近赤外域の露光に対しては、金属及または無金属フタロシアニン顔料が望ましく、特に、特開平5−263007号公報、特開平5−279591号公報等に開示されたヒドロキシガリウムフタロシアニン、特開平5−98181号公報等に開示されたクロロガリウムフタロシアニン、特開平5−11172号公報、特開平5−11173号公報等に開示されたジクロロスズフタロシアニン、特開平4−189873号公報等に開示されたチタニルフタロシアニンがより望ましい。また、近紫外域のレーザー露光に対してはジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料、チオインジゴ系顔料、ポルフィラジン化合物、酸化亜鉛、三方晶系セレン、特開2004−78147号公報、特開2005−181992号公報に開示されたビスアゾ顔料、等がより望ましい。
電荷発生層2は電荷発生材料および結着樹脂を含有する層である。
電荷発生材料としては、ビスアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料、ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、ピロロピロール顔料、フタロシアニン顔料、酸化亜鉛、三方晶系セレン等が挙げられる。これらの中でも、近赤外域の露光に対しては、金属及または無金属フタロシアニン顔料が望ましく、特に、特開平5−263007号公報、特開平5−279591号公報等に開示されたヒドロキシガリウムフタロシアニン、特開平5−98181号公報等に開示されたクロロガリウムフタロシアニン、特開平5−11172号公報、特開平5−11173号公報等に開示されたジクロロスズフタロシアニン、特開平4−189873号公報等に開示されたチタニルフタロシアニンがより望ましい。また、近紫外域のレーザー露光に対してはジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料、チオインジゴ系顔料、ポルフィラジン化合物、酸化亜鉛、三方晶系セレン、特開2004−78147号公報、特開2005−181992号公報に開示されたビスアゾ顔料、等がより望ましい。
電荷発生層2に使用される結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択し得る。また、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシラン等の有機光導電性ポリマーから選択してもよい。望ましい結着樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノール類と芳香族2価カルボン酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等が挙げられる。これらの結着樹脂は1種を単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。電荷発生材料と結着樹脂の配合比は質量比で10:1乃至1:10の範囲内であることが望ましい。
電荷発生層2は、上記電荷発生材料および結着樹脂を求められる溶剤中に分散した塗布液を用いて形成される。
分散に用いる溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等が挙げられ、これらは1種を単独でまたは2種以上を混合して用いられる。
また、電荷発生材料および結着樹脂を溶剤中に分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の通常の方法が用いられrる。これらの分散方法により、分散による電荷発生材料の結晶型の変化が防止される。さらにこの分散の際、電荷発生材料の平均粒径を0.5μm以下、望ましくは0.3μm以下、さらに望ましくは0.15μm以下にすることが有効である。
また、電荷発生層2を形成する際には、ブレード塗布法、マイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
このようにして得られる電荷発生層2の膜厚は、望ましくは0.1μm以上5.0μm以下、さらに望ましくは0.2μm以上2.0μm以下である。
このようにして得られる電荷発生層2の膜厚は、望ましくは0.1μm以上5.0μm以下、さらに望ましくは0.2μm以上2.0μm以下である。
(画像形成装置/プロセスカートリッジ)
図3は、本実施形態の電子写真感光体を備えた画像形成装置の好適な一実施形態を示す概略断面図である。図3に示す画像形成装置は、画像形成装置本体(図示せず)に、電子写真感光体7を備えるプロセスカートリッジ300と、露光装置9と、中間転写体50を備える。なお、画像形成装置100において、露光装置9はプロセスカートリッジ300の開口部から電子写真感光体7に露光し得る位置に配置されており、中間転写体50はその一部が電子写真感光体7に接触し得るよう配置されている。
図3は、本実施形態の電子写真感光体を備えた画像形成装置の好適な一実施形態を示す概略断面図である。図3に示す画像形成装置は、画像形成装置本体(図示せず)に、電子写真感光体7を備えるプロセスカートリッジ300と、露光装置9と、中間転写体50を備える。なお、画像形成装置100において、露光装置9はプロセスカートリッジ300の開口部から電子写真感光体7に露光し得る位置に配置されており、中間転写体50はその一部が電子写真感光体7に接触し得るよう配置されている。
図3におけるプロセスカートリッジ300は、ハウジング内に、電子写真感光体7、帯電装置8、現像装置11およびクリーニング装置13を一体に支持している。クリーニング装置13は、クリーニングブレード131を有しており、クリーニングブレード131は、電子写真感光体7の表面に接触するように配置されている。
また、図3では、クリーニング装置13として、潤滑剤14を感光体7の表面に供給する繊維状部材132(ロール状)を備え、また、クリーニングをアシストする繊維状部材133(平ブラシ状)を用いた例を示してあるが、これらは必要に応じて使用される。
帯電装置8としては、例えば、導電性または半導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が使用される。また、帯電ローラを感光体7に接触させずに用いる非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等のそれ自体公知の帯電器等も使用し得る。
露光装置9としては、例えば、感光体7表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、所望の像様に露光し得る光学系機器等が挙げられる。光源の波長は感光体の分光感度領域にあるものが使用される。半導体レーザーの波長としては、780nm辺りに発振波長を有する近赤外が主流である。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザーや青色レーザーとして400nm以上450nm以下に発振波長を有するレーザーも利用し得る。また、カラー画像形成のためにはマルチビームを出力し得るタイプの面発光型のレーザー光源も有効である。
現像装置11としては、例えば、磁性若しくは非磁性の一成分系現像剤または二成分系現像剤等を接触または非接触させて現像する一般的な現像装置を用いて行ってもよい。こうした現像装置としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、自由に選択し得る。例えば、上記一成分系現像剤または二成分系現像剤をブラシ、ローラ等を用いて電子写真感光体7に付着させる機能を有する公知の現像器等が挙げられる。
以下、現像装置11に使用されるトナーについて説明する。
本実施形態の画像形成装置に用いられるトナーは、高い現像性および転写性並びに高画質を得る観点から、平均形状係数(ML2/A)が100以上150以下であることが望ましく、105以上145以下であることがより望ましく、110以上140以下であることがさらに望ましい。さらに、トナーとしては、体積平均粒子径が3μm以上12μm以下であることが望ましく、3.5μm以上10μm以下であることがより望ましく、4μm以上9μm以下であることがさらに望ましい。こうした平均形状係数および体積平均粒子径を満たすトナーを用いることにより、現像性および転写性が高まり、いわゆる写真画質と呼ばれる高画質の画像が得られる。
本実施形態の画像形成装置に用いられるトナーは、高い現像性および転写性並びに高画質を得る観点から、平均形状係数(ML2/A)が100以上150以下であることが望ましく、105以上145以下であることがより望ましく、110以上140以下であることがさらに望ましい。さらに、トナーとしては、体積平均粒子径が3μm以上12μm以下であることが望ましく、3.5μm以上10μm以下であることがより望ましく、4μm以上9μm以下であることがさらに望ましい。こうした平均形状係数および体積平均粒子径を満たすトナーを用いることにより、現像性および転写性が高まり、いわゆる写真画質と呼ばれる高画質の画像が得られる。
トナーは、特に製造方法により限定されるものではないが、例えば、結着樹脂、着色剤および離型剤、必要に応じて帯電制御剤等を加えて混練、粉砕、分級する混練粉砕法;混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力または熱エネルギーにて形状を変化させる方法;結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、着色剤および離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、トナー粒子を得る乳化重合凝集法;結着樹脂を得るための重合性単量体と、着色剤および離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法;結着樹脂と、着色剤および離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液とを水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法等により製造されるトナーが使用される。
また上記方法で得られたトナーをコアにして、さらに凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法等、公知の方法を使用し得る。なお、トナーの製造方法としては、形状制御、粒度分布制御の観点から水系溶媒にて製造する懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法が望ましく、乳化重合凝集法が特に望ましい。
トナー母粒子は、結着樹脂、着色剤および離型剤からなり、必要であれば、シリカや帯電制御剤を含有して構成される。
トナー母粒子に使用される結着樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類等の単独重合体および共重合体、ジカルボン酸類とジオール類との共重合によるポリエステル樹脂等が挙げられる。
特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル樹脂等が挙げられる。さらに、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等が挙げられる。
また、着色剤としては、マグネタイト、フェライト等の磁性粉、カーボンブラック、アニリンブルー、カルイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等を代表的なものとして例示し得る。
離型剤としては、低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレン、フィッシャートロピィシュワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等を代表的なものとして例示し得る。
また、帯電制御剤としては、公知のものが使用されるが、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプの帯電制御剤を用いてもよい。湿式製法でトナーを製造する場合、イオン強度の制御と廃水汚染の低減の点で水に溶解しにくい素材を使用することが望ましい。また、トナーとしては、磁性材料を内包する磁性トナーおよび磁性材料を含有しない非磁性トナーのいずれであってもよい。
現像装置11に用いるトナーとしては、上記トナー母粒子および上記外添剤をヘンシェルミキサーまたはVブレンダー等で混合することによって製造し得る。また、トナー母粒子を湿式にて製造する場合は、湿式にて外添してもよい。
現像装置11に用いるトナーには滑性粒子を添加してもよい。滑性粒子としては、グラファイト、二硫化モリブデン、滑石、脂肪酸、脂肪酸金属塩等の固体潤滑剤や、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類、PTEF、PFAなどのフッ素系粒子、加熱により軟化点を有するシリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪族アミド類やカルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス、ミツロウ等の動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物、石油系ワックス、およびそれらの変性物が使用し得る。これらは、1種を単独で、または2種以上を併用して使用し得る。但し、平均粒径としては0.1μm以上10μm以下の範囲が望ましく、上記化学構造のものを粉砕して、粒径をそろえてもよい。トナーへの添加量は望ましくは0.05質量%以上2.0質量%以下、より望ましくは0.1質量%以上1.5質量%以下の範囲である。
現像装置11に用いるトナーには、電子写真感光体表面の付着物、劣化物除去の目的等で、無機粒子、有機粒子、該有機粒子に無機粒子を付着させた複合粒子等を加えてもよい。
無機粒子としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、チタン酸バリウム、チタン酸アルミニウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化セリウム、酸化アンチモン、酸化タングステン、酸化スズ、酸化テルル、酸化マンガン、酸化ホウ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の各種無機酸化物、窒化物、ホウ化物等が好適に使用される。
また、上記無機粒子を、テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルフォニルチタネート、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネート等のチタンカップリング剤、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトエリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤等で処理を行ってもよい。また、シリコーンオイル、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩によって疎水化処理したものも望ましく使用される。
有機粒子としては、黒鉛やグラファイトにフッ素が結合したフッ化炭素、ポリ四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、パーフルオロアルコキシ・フッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロ三フッ化エチレン(PCTFE)、フッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニル(PVF)等を用い得る。
粒子径としては、個数平均粒子径で望ましくは5nm以上1000nm以下、より望ましくは5nm以上800nm以下、さらに望ましくは5nm以上700nm以下でのものが使用される。平均粒子径が、上記下限値未満であると、研磨能力に欠ける傾向があり、他方、上記上限値を超えると、電子写真感光体表面に傷を発生しやすくなる傾向がある。また、上述した粒子と滑性粒子との添加量の和が0.6質量%以上であることが望ましい。
トナーに添加されるその他の無機酸化物としては、粉体流動性、帯電制御等の為、1次粒径が40nm以下の小径無機酸化物を用い、更に付着力低減や帯電制御の為、それより大径の無機酸化物を添加することが望ましい。これらの無機酸化物粒子は公知のものを使用し得るが、精密な帯電制御を行う為にはシリカと酸化チタンを併用することが望ましい。
また、小径無機粒子については表面処理することにより、分散性が高くなり、粉体流動性を上げる効果が大きくなる。さらに、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩や、ハイドロタルサイト、酸化セリウムの無機鉱物を添加することも放電精製物を除去するために望ましい。
また、電子写真用カラートナーはキャリアと混合して使用されるが、キャリアとしては、鉄粉、ガラスビーズ、フェライト粉、ニッケル粉またはそれ等の表面に樹脂コーティングを施したものが使用される。また、キャリアとの混合割合は、自由に設定し得る。
転写装置40としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。
中間転写体50としては、半導電性を付与したポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等のベルト状のもの(中間転写ベルト)が使用される。また、中間転写体50の形態としては、ベルト状以外にドラム状のものを用いてもよい。
画像形成装置は、上述した各装置の他に、例えば、電子写真感光体7に対して光除電を行う光除電装置を備えていてもよい。
図4は、本実施形態の電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジを用いたタンデム型の画像形成装置の一実施形態を示す概略断面図である。
図4は、本実施形態の画像形成装置の他の実施形態を示す模式図である。画像形成装置120は、プロセスカートリッジ300を4つ搭載したタンデム方式の多色画像形成装置である。画像形成装置120では、中間転写体50上に4つのプロセスカートリッジ300がそれぞれ並列に配置されており、1色に付き1つの電子写真感光体が使用される構成となっている。なお、画像形成装置120は、タンデム方式であること以外は、図3に示した画像形成装置と同様の構成を有している。
タンデム型の画像形成装置に本実施形態の電子写真感光体を用いた場合、4本の感光体の電気特性が安定することから、より長期に渡ってカラーバランスの優れた画質が得られる。
以下実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、以下において「部」は特に断りのない限り質量基準である。
〔実施例1〕
(下引層の形成)
酸化亜鉛(平均粒子径70nm:テイカ社製:比表面積値15m2/g)100部をテトラヒドロフラン500部と攪拌混合し、シランカップリング剤(KBM503:信越化学社製)1.3部を添加し、2時間攪拌した。その後トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤表面処理酸化亜鉛を得た。
前記表面処理を施した酸化亜鉛110部を500部のテトラヒドロフランと攪拌混合し、アリザリン0.6部を50部のテトラヒドロフランに溶解させた溶液を添加し、50℃にて5時間攪拌した。その後、減圧ろ過にてアリザリンを付与させた酸化亜鉛をろ別し、さらに60℃で減圧乾燥を行いアリザリン付与酸化亜鉛を得た。
(下引層の形成)
酸化亜鉛(平均粒子径70nm:テイカ社製:比表面積値15m2/g)100部をテトラヒドロフラン500部と攪拌混合し、シランカップリング剤(KBM503:信越化学社製)1.3部を添加し、2時間攪拌した。その後トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤表面処理酸化亜鉛を得た。
前記表面処理を施した酸化亜鉛110部を500部のテトラヒドロフランと攪拌混合し、アリザリン0.6部を50部のテトラヒドロフランに溶解させた溶液を添加し、50℃にて5時間攪拌した。その後、減圧ろ過にてアリザリンを付与させた酸化亜鉛をろ別し、さらに60℃で減圧乾燥を行いアリザリン付与酸化亜鉛を得た。
このアリザリン付与酸化亜鉛60部と硬化剤(ブロック化イソシアネート スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製)13.5部とブチラール樹脂(エスレックBM−1、積水化学社製)15部とをメチルエチルケトン85部に溶解した溶液38部と、メチルエチルケトン25部と、を混合し1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散を行い分散液を得た。
得られた分散液に触媒としてジオクチルスズジラウレート0.005部、シリコーン樹脂粒子(トスパール145、GE東芝シリコーン社製)40部を添加し、下引層塗布用液を得た。この塗布液を浸漬塗布法にて直径60mm、長さ357mm、肉厚1mmのアルミニウム基材上に塗布し、170℃、40分の乾燥硬化を行い厚さ19μmの下引層を得た。
得られた分散液に触媒としてジオクチルスズジラウレート0.005部、シリコーン樹脂粒子(トスパール145、GE東芝シリコーン社製)40部を添加し、下引層塗布用液を得た。この塗布液を浸漬塗布法にて直径60mm、長さ357mm、肉厚1mmのアルミニウム基材上に塗布し、170℃、40分の乾燥硬化を行い厚さ19μmの下引層を得た。
(電荷発生層の形成)
電荷発生物質としてCukα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.3゜,16.0゜,24.9゜,28.0゜の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン15部、結着樹脂として塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニカー社製)10部、n−酢酸ブチル200部からなる混合物を、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散した。得られた分散液にn−酢酸ブチル175部、メチルエチルケトン180部を添加し、攪拌して電荷発生層用塗布液を得た。この電荷発生層用塗布液を前記下引層上に浸漬塗布し、常温(25℃)で乾燥して、膜厚が0.2μmの電荷発生層を形成した。
電荷発生物質としてCukα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.3゜,16.0゜,24.9゜,28.0゜の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン15部、結着樹脂として塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニカー社製)10部、n−酢酸ブチル200部からなる混合物を、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散した。得られた分散液にn−酢酸ブチル175部、メチルエチルケトン180部を添加し、攪拌して電荷発生層用塗布液を得た。この電荷発生層用塗布液を前記下引層上に浸漬塗布し、常温(25℃)で乾燥して、膜厚が0.2μmの電荷発生層を形成した。
(電荷輸送層の形成)
N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’]ビフェニル−4,4’−ジアミン42部およびビスフェノールZポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:5万)58部をクロルベンゼン800部に加えて溶解し、電荷輸送層用塗布液を得た。この塗布液を電荷発生層上に塗布し、150℃、45分の乾燥を行って膜厚19μmの電荷輸送層を形成した。
N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’]ビフェニル−4,4’−ジアミン42部およびビスフェノールZポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:5万)58部をクロルベンゼン800部に加えて溶解し、電荷輸送層用塗布液を得た。この塗布液を電荷発生層上に塗布し、150℃、45分の乾燥を行って膜厚19μmの電荷輸送層を形成した。
(表面層の形成)
重合性基を有する電荷輸送性材料として前述のIII−1の化合物90部、重合性基を有しない電荷輸送性材料としてN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’]ビフェニル−4,4’−ジアミン(以下単に「非重合性電荷輸送性材料1」とも称す)10部、重合開始剤としてOTazo−15(大塚化学社製)1.6部、酸化防止剤として3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)1部、をモノクロロベンゼン500部に溶解し、スプレー塗布にて電荷輸送層上に塗布した。室温(25℃)で30分風乾した後、酸素濃度200ppmの窒素下で室温(25℃)から10℃/分の速度で150℃まで昇温し、150℃で1時間加熱処理して硬化させ、膜厚10μmの表面層を形成して、実施例1の感光体を作製した。
重合性基を有する電荷輸送性材料として前述のIII−1の化合物90部、重合性基を有しない電荷輸送性材料としてN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’]ビフェニル−4,4’−ジアミン(以下単に「非重合性電荷輸送性材料1」とも称す)10部、重合開始剤としてOTazo−15(大塚化学社製)1.6部、酸化防止剤として3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)1部、をモノクロロベンゼン500部に溶解し、スプレー塗布にて電荷輸送層上に塗布した。室温(25℃)で30分風乾した後、酸素濃度200ppmの窒素下で室温(25℃)から10℃/分の速度で150℃まで昇温し、150℃で1時間加熱処理して硬化させ、膜厚10μmの表面層を形成して、実施例1の感光体を作製した。
<酸素組成比評価>
作製した感光体の表面を水拭きして表面の付着物が目視で確認されなくなる程度にまで除去した後、XPS測定(測定装置:日本電子(株)製、商品名:JPS−9010)にて、酸素組成比を算出した。
また、感光体の周囲の一箇所に電子写真感光体の表面から5mmの距離でスコロトロン帯電器(富士ゼロックス社製、ApeosPort−III用帯電器)を配置し、酸素(O2)濃度21体積%の環境下にて、電子写真感光体の回転数100rpmで、前記スコロトロン帯電器にて電子写真感光体の表面電位を700Vに帯電する操作を5000回繰り返した。尚、感光体への上記帯電の繰り返しは、感光体表面に何も接触していない状態で行った。表面を水拭きして表面の付着物(放電生成物等)が目視で確認されなくなる程度にまで除去した後、XPS測定にて酸素組成比を算出した。
このとき、帯電繰り返し前の酸素組成比は12atm%、帯電繰り返し後の酸素組成比16atm%であり、前後での酸素元素増加量は4atm%であった。
評価結果を表3にまとめる。
作製した感光体の表面を水拭きして表面の付着物が目視で確認されなくなる程度にまで除去した後、XPS測定(測定装置:日本電子(株)製、商品名:JPS−9010)にて、酸素組成比を算出した。
また、感光体の周囲の一箇所に電子写真感光体の表面から5mmの距離でスコロトロン帯電器(富士ゼロックス社製、ApeosPort−III用帯電器)を配置し、酸素(O2)濃度21体積%の環境下にて、電子写真感光体の回転数100rpmで、前記スコロトロン帯電器にて電子写真感光体の表面電位を700Vに帯電する操作を5000回繰り返した。尚、感光体への上記帯電の繰り返しは、感光体表面に何も接触していない状態で行った。表面を水拭きして表面の付着物(放電生成物等)が目視で確認されなくなる程度にまで除去した後、XPS測定にて酸素組成比を算出した。
このとき、帯電繰り返し前の酸素組成比は12atm%、帯電繰り返し後の酸素組成比16atm%であり、前後での酸素元素増加量は4atm%であった。
評価結果を表3にまとめる。
<画質評価>
作製した感光体を富士ゼロックス製ApeosPort−III C4400に装着し、高温高湿(28℃85%)でA4用紙5000枚の画質評価パターン出力後、24時間放置して再度A4用紙10枚、100枚の画質評価パターンを出力した。この際の画質評価パターンは2on2off画像を使い、10倍ルーペで画質評価パターンを観察して以下の判断基準で判断した。
○:2on2offが解像されている(on部とoff部との途切れがない)
△:2on2offの途切れた面積が10%未満で存在する
×:2on2offの途切れた面積が10%以上で存在する
また、初回5000枚目、24時間後10枚目、24時間後100枚目の画質を上記基準(○、△、×)にて評価し、下記表1に示す基準によりA乃至Eにさらに評価した。
評価結果を表3にまとめる。
作製した感光体を富士ゼロックス製ApeosPort−III C4400に装着し、高温高湿(28℃85%)でA4用紙5000枚の画質評価パターン出力後、24時間放置して再度A4用紙10枚、100枚の画質評価パターンを出力した。この際の画質評価パターンは2on2off画像を使い、10倍ルーペで画質評価パターンを観察して以下の判断基準で判断した。
○:2on2offが解像されている(on部とoff部との途切れがない)
△:2on2offの途切れた面積が10%未満で存在する
×:2on2offの途切れた面積が10%以上で存在する
また、初回5000枚目、24時間後10枚目、24時間後100枚目の画質を上記基準(○、△、×)にて評価し、下記表1に示す基準によりA乃至Eにさらに評価した。
評価結果を表3にまとめる。
〔実施例2〜3、比較例1〜2〕
実施例1と同様に電荷輸送層まで作製し、表面層については表2に示したごとく「重合性を有する電荷輸送材料」と「重合性をもたない電荷輸送材料」の材料および比率を変えたほかは実施例1と同様に感光体を作製した。
評価結果を表3にまとめる。
尚、下記表2に示す非重合性電荷輸送材料2は、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミンである。
実施例1と同様に電荷輸送層まで作製し、表面層については表2に示したごとく「重合性を有する電荷輸送材料」と「重合性をもたない電荷輸送材料」の材料および比率を変えたほかは実施例1と同様に感光体を作製した。
評価結果を表3にまとめる。
尚、下記表2に示す非重合性電荷輸送材料2は、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミンである。
1…下引層、2…電荷発生層、3−1,3−2…電荷輸送層、4…導電性基体、7,7A,7B…電子写真感光体、8…帯電装置、9…露光装置、11…現像装置、13…クリーニング装置、14…潤滑剤、40…転写装置、50…中間転写体、100…画像形成装置、120…画像形成装置、131…クリーニングブレード、132…繊維状部材、133…繊維状部材、300…プロセスカートリッジ
Claims (4)
- 導電性基体上に、感光層を有し、
前記感光層の最表面を構成する層が、重合性基を有する電荷輸送性材料の重合体を含有し、下記帯電条件にて帯電を繰り返した前後での表面の酸素元素増加量が5atm%以下である電子写真感光体。
−帯電条件−
電子写真感光体の周囲の一箇所に電子写真感光体の表面から5mmの距離でスコロトロン帯電器を配置し、酸素(O2)濃度21体積%の環境下にて、電子写真感光体の回転数100rpmで、前記スコロトロン帯電器にて電子写真感光体の表面電位を700Vに帯電する操作を5000回繰り返す。 - 前記感光層の最表面を構成する層が重合性を有さない電荷輸送性材料を含有し、且つ前記重合性基を有する電荷輸送性材料の重合体の含有量(Cp)に対する前記重合性を有さない電荷輸送性材料の含有量(Cn)の比率[Cn/Cp]が10質量%以上20質量%以下の範囲である請求項1に記載の電子写真感光体。
- 請求項1または請求項2に記載の電子写真感光体と、
該電子写真感光体を帯電させる帯電装置と、
帯電した前記電子写真感光体に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、
前記電子写真感光体に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置と、
前記トナー像を被転写体に転写する転写装置と、
を備える画像形成装置。 - 請求項1または請求項2に記載の電子写真感光体と、
該電子写真感光体を帯電させる帯電装置、前記電子写真感光体に形成された静電潜像をトナーにより現像する現像装置、および、前記電子写真感光体の表面に残存したトナーを除去するトナー除去装置からなる群より選ばれる少なくとも1種の装置と、
を備え、画像形成装置に着脱自在であるプロセスカートリッジ。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2016222618A (ja) * | 2015-06-02 | 2016-12-28 | 株式会社リコー | エレクトロクロミック化合物、エレクトロクロミック組成物、及びエレクトロクロミック表示素子 |
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2013
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JP2016222618A (ja) * | 2015-06-02 | 2016-12-28 | 株式会社リコー | エレクトロクロミック化合物、エレクトロクロミック組成物、及びエレクトロクロミック表示素子 |
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