JP5842660B2 - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、導電性支持体上に少なくとも感光層を有し、その最表層にフッ素樹脂微粒子を含有し、最表層中の前記フッ素樹脂微粒子が、一次粒子及び該一次粒子が複数個凝集して形成された二次粒子の(表面に露出した部分の投影像の)平均直径をDとした場合、0.15≦D≦3μmの範囲にあり、かつ該粒子の表面層中に占める(投影)面積比の合計が10%〜60%である電子写真感光体が開示されている。
請求項1に係る発明は、
導電性基体と、
前記導電性基体上に設けられた感光層と、
前記感光層上に設けられた表面保護層であって、反応性電荷輸送材料と、フッ素樹脂粒子と、フッ化アルキル基含有共重合体と、下記一般式(A)で表される化合物と、を含む組成物の硬化膜で構成された表面保護層と、
を有する電子写真感光体。
前記一般式(A)において、Rfは分岐を2個以上有する炭化水素基である、請求項1に記載の電子写真感光体。
前記表面保護層が、前記組成物の架橋膜である、請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体。
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電させる帯電装置と、
帯電された前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、
前記静電潜像を現像剤で現像してトナー像を形成する現像装置と、
前記トナー像を被転写媒体に転写する転写装置と、
を備える画像形成装置。
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電させる帯電装置、前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置、前記静電潜像を現像剤で現像してトナー像を形成する現像装置、及び前記電子写真感光体に付着した残留トナーを除去するクリーニング装置から選ばれる少なくとも1種と、
を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
本実施形態に係る電子写真感光体は、導電性基体と、前記導電性基体上に設けられた感光層と、前記感光層上に設けられた表面保護層と、を有する。そして、前記表面保護層は、反応性電荷輸送材料と、フッ素樹脂粒子と、フッ化アルキル基含有共重合体と、下記一般式(A)で表される化合物と、を含む組成物の硬化膜で構成された層である。
この理由は定かではないが、以下に示す理由によるものと考えられる。
他方、フッ素樹脂粒子を含む硬化性組成物を用いて表面保護層を形成した場合、表面保護層の表面にフッ素樹脂粒子が偏在する場合がある。特に、表面保護層が架橋性の硬化性組成物を用いて形成された架橋膜である場合、フッ素樹脂粒子が表面保護層の表面に偏在しやすい傾向がある。
フッ素樹脂粒子が表面保護層の表面に偏在すると、表面保護層から露出しているフッ素樹脂粒子の個数が多くなり、その結果、電子写真感光体の使用初期において、スジ状の画像欠陥が発生しやすいと考えられる。
そのため、本実施形態に係る電子写真感光体は、前記一般式(A)で表される化合物を含まない組成物や、前記一般式(A)におけるフッ素原子置換炭化水素基が分岐状でなく直鎖状である化合物を含む組成物を用いて表面保護層が形成された電子写真感光体に比べ、表面保護層の表面にフッ素樹脂粒子が偏在することが抑制され、その結果、使用初期のスジ状の画像欠陥の発生を抑制するものと考えられる。
なお、本実施形態に係る電子写真感光体は、摩擦係数の観点から、使用前の表面のフッ素の構成比率(%)が5%以上であることが望ましく、10%以上であることがより望ましい。
それでも、本実施形態に係る電子写真感光体によれば、画像形成を行い100回転した時点における感光体表面のフッ素の構成比率(%)を45%以下、さらには40%以下にすることが実現されやすい。100回転した時点における感光体表面のフッ素の構成比率(%)が45%以下(望ましくは40%以下)であると、使用初期のスジ状の画質欠陥が抑制されやすい。
図1乃至図3は、それぞれ本実施形態に係る電子写真感光体10の一部の断面を概略的に示している。
図1に示す電子写真感光体10は、導電性支持体4上に下引層1が設けられ、下引層の上に感光層として電荷発生層2及び電荷輸送層3が設けられ、さらに最表面層となる表面保護層5が設けられている。
図2に示す電子写真感光体10は、図1に示す電子写真感光体10と同様に電荷発生層2と電荷輸送層3とに機能が分離された感光層を備えているが、下引層1の上に電荷輸送層3、電荷発生層2、表面保護層5が順次設けられている。
図3に示す電子写真感光体10は、電荷発生材料と電荷輸送材料とを同一の層、すなわち単層型感光層6(電荷発生/電荷輸送層)に含有し、感光層6の上には表面保護層5が設けられている。
以下、代表例として図1に示す電子写真感光体10に基づいて、各要素について説明する。なお、符号は省略して説明する。
導電性基体としては、従来から使用されているものであれば、如何なるものを使用してもよい。例えば、薄膜(例えばアルミニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼等の金属類、及びアルミニウム、チタニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼、金、バナジウム、酸化錫、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)等の膜)を設けたプラスチックフィルム等、導電性付与剤を塗布又は含浸させた紙、導電性付与剤を塗布又は含浸させたプラスチックフィルム等が挙げられる。基体の形状は円筒状に限られず、シート状、プレート状としてもよい。
下引層は、導電性基体表面における光反射の防止、導電性基体から感光層への不要なキャリアの流入の防止などの目的で、必要に応じて設けられる。
下引層に含まれる結着樹脂としては、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂などの公知の高分子樹脂化合物、また電荷輸送基を有する電荷輸送性樹脂やポリアニリン等の導電性樹脂などが挙げられる。これらの中でも、上層の塗布溶剤に不溶な樹脂が望ましく用いられ、特にフェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などが望ましく用いられる。
また、導電性粒子は、疎水化処理剤(例えばカップリング剤)等により表面処理を施して、抵抗調整して用いてもよい。
導電性粒子の含有量は、例えば、結着樹脂に対して、10質量%以上80質量%以下であることが望ましく、より望ましくは40質量%以上80質量%以下である。
また、下引層形成用塗布液中に粒子を分散させる方法としては、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機や、攪拌、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機が利用される。ここで、高圧ホモジナイザーとしては、高圧状態で分散液を液−液衝突や液−壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式などが挙げられる。
中間層を形成する塗布方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
電荷発生層は、例えば、電荷発生材料と結着樹脂中とを含んで構成される。かかる電荷発生材料としては、無金属フタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、ジクロロスズフタロシアニン、チタニルフタロシアニン等のフタロシアニン顔料が挙げられ、特に、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.4゜、16.6゜、25.5゜及び28.3゜に強い回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニン結晶、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.7゜、9.3゜、16.9゜、17.5゜、22.4゜及び28.8゜に強い回折ピークを有する無金属フタロシアニン結晶、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.5゜、9.9゜、12.5゜、16.3゜、18.6゜、25.1゜及び28.3゜に強い回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも9.6゜、24.1゜及び27.2゜に強い回折ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶が挙げられる。その他、電荷発生材料としては、キノン顔料、ペリレン顔料、インジゴ顔料、ビスベンゾイミダゾール顔料、アントロン顔料、キナクリドン顔料等が挙げられる。また、これらの電荷発生材料は、単独又は2種以上を混合して用いてもよい。
電荷発生材料と結着樹脂の配合比は、例えば10:1乃至1:10の範囲が望ましい。
電荷輸送層は、電荷輸送材料と、必要に応じて結着樹脂と、を含んで構成される。
中でも、電荷移動度の観点から、以下の式(B−1)乃至(B−3)で表される化合物が望ましい。
電荷輸送材料と上記結着樹脂との配合比は、例えば10:1乃至1:5が望ましい。
電荷輸送層の膜厚は、望ましくは5μm以上50μm以下、より望ましくは10μm以上40μm以下の範囲に設定される。
表面保護層は、前記感光層上に設けられた最表面層である。表面保護層は、反応性電荷輸送材料と、フッ素樹脂粒子と、フッ化アルキル基含有共重合体と、前記一般式(A)で表される化合物と、を含む組成物の硬化膜で構成される。
つまり、表面保護層は、反応性電荷輸送材料の重合体(又は架橋体)と、フッ素樹脂粒子と、フッ化アルキル基含有共重合体と、前記一般式(A)で表される化合物と、を含む電荷輸送性硬化膜で構成される。
表面保護層に含まれる、下記一般式(A)で表される化合物について説明する。
前記一般式(A)のRの部位が、炭素数11以上の飽和炭化水素基である化合物は、分子同士が凝集し、分散性が悪化する場合があり、望ましくない。
前記一般式(A)のRfの部位が、直鎖状のフッ素化炭化水素基である化合物は、フッ素樹脂粒子を分散させる効果が低い場合があり、望ましくない。
また、前記一般式(A)のRfの部位が、炭素数11以上のフッ素化炭化水素基である化合物は、表面保護層の白濁化などを発生させる場合があり、望ましくない。
これらの飽和炭化水素基が置換されている場合の置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、アルコキシル基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基)等が挙げられる。
Rfで表される、水素原子の少なくとも1つがフッ素原子に置換された炭素数3以上10以下の分岐した炭化水素基(以下「Rfで表される炭化水素基」とも称する。)としては、例えば、以下の構造の炭化水素基が挙げられる。
Rfで表される炭化水素基における分岐の個数は、主鎖から枝分かれした側鎖の個数と、さらに各側鎖における主鎖から枝分かれした側鎖の個数の合計である。ここで、炭化水素基における主鎖とは、炭化水素基を構成する炭素原子が最も数多く連続する鎖を意味し、側鎖とは主鎖に結合する鎖を意味する。それぞれの側鎖においても、その側鎖を構成する炭素原子が最も数多く連続する鎖を主鎖とみなし、当該主鎖に結合する鎖を側鎖とみなす。
前記Rf−1乃至Rf−10の分岐数は、Rf−1、Rf−2、Rf−3、Rf−4及びRf−5が1個であり、Rf−6が2個であり、Rf−7及びRf−8が3個であり、Rf−9及びRf−10が4個である。
Rfで表される炭化水素基における分岐の個数は、2個以上が望ましく、3個以上がより望ましい。
また、Rfで表される炭化水素基は、フッ素樹脂粒子の分散性の観点から、水素原子の複数個がフッ素原子に置換されていることが望ましく、水素原子のすべてがフッ素原子に置換されていることがより望ましい。
さらに上記の観点から、Rfで表される炭化水素基は、炭素数が5以上10以下で水素原子のすべてがフッ素原子に置換されていることが望ましく、炭素数が7以上10以下で水素原子のすべてがフッ素原子に置換されていることがより望ましく、炭素数が9又は10で水素原子のすべてがフッ素原子に置換されていることが更に望ましい。
反応性電荷輸送材料は、−OH、−OCH3、−NH2、−SH、−COOH、及び、炭素二重結合を持つ官能基を有する基から選択される置換基の少なくとも1つを持つ電荷輸送材料の少なくとも1種であることがよい。特に、反応性電荷輸送材料としては、−OH、−OCH3、−NH2、−SH、−COOH、及び、炭素二重結合を持つ官能基を有する基から選択される置換基を少なくとも2つ(さらには3つ)持つ電荷輸送材料が望ましい。この如く、電荷輸送材料に反応性官能基(当該置換基)が増えることで、架橋密度が上がり、より強度の高い架橋膜が得られやすくなる。
Fr−(D)n3 ……一般式(C)
一般式(C)中、Frは電荷輸送能を有する化合物から誘導される有機基(電荷輸送骨格)を表し、Dは、−(−R11−Z)n1(R12)n2−Y(但し、R11及びR12はそれぞれ独立に炭素数1以上5以下の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基を表し、Zは酸素、NH、又は硫黄原子を表し、Yは−OH、−OCH3、−NH2、−SH又は−COOHを表し、n1は0又は1を表し、n2は0又は1を表す。)、又は炭素二重結合を持つ官能基を有する基を表し、n3は1以上4以下の整数を表す。
Dで表される炭素二重結合を持つ官能基を有する基としては、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基(ビニルフェニル基)、アリル基、ビニル基、ビニルエーテル基、アリルビニルエーテル基、及びそれらの誘導体から選択される少なくも一つを有する基(特に、これら基を末端に有する基)が挙げられる。
ArC5は置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のアリーレン基を表す。
Dは、−(−R11−Z)n1(R12)n2−Y(但し、R11及びR12はそれぞれ独立に炭素数1以上5以下の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基を表し、Zは酸素、NH、又は硫黄原子を表し、Yは−OH、−OCH3、−NH2、−SH又は−COOHを表し、n1は0又は1を表し、n2は0又は1を表す。)、又は−(CH2)d−(O−CH2−CH2)e−O−CO−C(R’)=CH2(但し、R’は水素原子、又はメチル基を表し、dは1以上5以下の整数を表し、eは0又は1を表す。)を表す。e1乃至e5はそれぞれ独立に0又は1を表し、Dの総数は1以上4以下である。kは0又は1を表す。
ArC1乃至ArC5に関し、置換アリール基及び置換アリーレン基における置換基としては、D以外のものとして、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、置換又は無置換の炭素数6以上10以下のアリール基等が挙げられる。
ここで、式(7)中のArとしては、下記式(8)又は(9)で表されるものが望ましい。
式(7)中のZ’としては、下記式(10)乃至(17)のいずれかで表されるものが望ましい。
上記式(16)及び(17)中のWとしては、下記(18)乃至(26)で表される2価の基のいずれかであることが望ましい。但し、式(25)中、uは0以上3以下の整数を表す。
フッ素樹脂粒子としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE、別名「4フッ化エチレン樹脂」)、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリジクロロジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体などの粒子が挙げられる。
中でも、電子写真感光体の耐摩耗性とクリーニング性の観点から、ポリテトラフルオロエチレン、及びテトラフルオロエチレンとパーフルオロアルコキシエチレンとの共重合体が望ましい。
フッ素樹脂粒子は、1種を単独で又は2種以上を併用してもよい。
フッ素樹脂粒子の平均一次粒径は、例えば、0.05μm以上10μm以下であることが望ましく、より望ましくは0.1μm以上5μm以下である。
なお、フッ素樹脂粒子の平均一次粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置LA−920(堀場製作所製)を用いて、フッ素樹脂粒子が分散された分散液と同じ溶剤に希釈した測定液を屈折率1.35で測定した値をいう。
フッ化アルキル基含有共重合体は、フッ素樹脂粒子の分散安定性を保つ。フッ化アルキル基含有共重合体としては、例えば、下記構造式(E)及び構造式(F)で表される繰り返し単位を持つフッ化アルキル基含有共重合体が挙げられる。当該フッ化アルキル基含有共重合体は、電子写真感光体の耐摩耗性とクリーニング性を向上させる観点から望ましい。
X’及びY’で表されるアルキレン鎖(無置換アルキレン鎖、ハロゲン置換アルキレン鎖)としては、炭素数1以上10以下のアルキレン鎖が望ましい。
Y’で表される−(CzH2z−1(OH))−中のzは、1以上10以下の整数が望ましい。
p’、q’、r’及びs’はそれぞれ独立に、0又は1以上10以下の整数が望ましい。
R105、R106で表される基としては、水素原子、メチル基、エチル基が望ましく、メチル基がより望ましい。
フッ化アルキル基含有共重合体は、1種を単独で又は2種以上を併用してもよい。
フッ化アルキル基含有共重合体の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定される。
また、表面保護層におけるフッ素樹脂粒子及びフッ化アルキル基含有共重合体の総含有量は、層全構成成分(固形分全量)に対して、1質量%以上40質量%以下が望ましく、3質量%以上20質量%以下がより望ましい。
表面保護層の形成用の組成物には、電子写真感光体の耐摩耗性及び電気的安定性をより向上させるために、グアナミン構造を有する化合物(以下、「グアナミン化合物」とも称する。)及びメラミン構造を有する化合物(以下、「メラミン化合物」とも称する。)から選択される少なくとも1種を含ませてもよい。つまり、表面保護層は、反応性電荷輸送材料と、グアナミン化合物及びメラミン化合物から選択される少なくとも1種との架橋体(架橋物)を含んで構成されてもよい。
グアナミン化合物は、グアナミン骨格(構造)を有する化合物であり、例えば、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、ホルモグアナミン、ステログアナミン、スピログアナミン、シクロヘキシルグアナミン等が挙げられる。
グアナミン化合物としては、特に下記一般式(H)で表される化合物及びその多量体の少なくとも1種であることが望ましい。ここで、多量体は、一般式(H)で表される化合物を構造単位として重合されたオリゴマーであり、その重合度は例えば2以上200以下(望ましくは2以上100以下)である。一般式(H)で表される化合物又はその多量体は、1種単独で用いもよいし、2種以上を併用してもよい。一般式(H)で表される化合物は、2種以上混合して用いたり、それを構造単位とする多量体(オリゴマー)として用いたりすると、溶剤に対する溶解性が向上する。
RH1が置換若しくは無置換の炭素数6以上10以下のフェニル基の場合、望ましくは炭素数が6以上8以下である。フェニル基が置換される場合の置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などが挙げられる。
RH1が置換若しくは無置換の炭素数4以上10以下の脂環式炭化水素基の場合、望ましくは炭素数が5以上8以下である。脂環式炭化水素基が置換される場合の置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などが挙げられる。
メラミン化合物は、メラミン骨格(構造)を有する化合物であり、特に下記一般式(J)で表される化合物及びその多量体の少なくとも1種であることが望ましい。ここで、多量体は、一般式(J)で表される化合物を構造単位として重合されたオリゴマーであり、その重合度は例えば2以上200以下(望ましくは2以上100以下)である。一般式(J)で表される化合物又はその多量体は、1種単独で用いもよいし、2種以上を併用してもよい。一般式(J)で表される化合物は、2種以上混合して用いたり、それを構造単位とする多量体(オリゴマー)として用いたりすると、溶剤に対する溶解性が向上する。
この場合、グアナミン化合物及びメラミン化合物の総含有量は、表面保護層の全固形分に対して0.1質量%以上25質量%以下であることが望ましく、1質量%以上20質量%以下であることがより望ましく、アルコキシ基を有する反応性電荷輸送材料の含有量は、表面保護層の全固形分に対して10質量%以上40質量%以下であることが望ましく、15質量%以上35質量%以下であることがより望ましい。
表面保護層を上記構成とすることで、表面保護層がより密な硬化膜となり、電子写真感光体の耐摩耗性と電気特性がより向上する。
表面保護層における、反応性電荷輸送材料の総含有量や、グアナミン化合物及びメラミン化合物の総含有量は、表面保護層を形成するための組成物におけるこれらの化合物の固形分濃度を調整することによって制御される。
表面保護層には、反応性電荷輸送材料(例えば一般式(C)で表される化合物)と共に、フェノール樹脂、尿素樹脂、アルキッド樹脂などを併用してもよい。また、強度を向上させるために、スピロアセタール系グアナミン樹脂(例えば「CTU−グアナミン」、味の素ファインテクノ(株)製)など、一分子中の官能基の個数がより多い化合物を当該架橋物中の材料に共重合させることも効果的である。
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、芳香属アミン系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、有機イオウ系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系酸化防止剤、チオウレア系酸化防止剤、ベンズイミダゾール系酸化防止剤、などの公知の酸化防止剤が挙げられる。
ここで、アルコールに溶解する樹脂とは、炭素数5以下のアルコールに1質量%以上溶解する樹脂を意味する。アルコールに溶解する樹脂としては、例えば、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルフェノール樹脂が挙げられる。
表面保護層には、同様な目的でシリコーンオイル等のオイルを添加してもよい。
表面保護層には、金属、金属酸化物及びカーボンブラック等を添加してもよい。
そして、表面保護層形成用塗布液を、ブレード塗布法、マイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の公知の方法により塗布し、必要に応じて例えば温度100℃以上170℃以下で加熱して硬化させることで、表面保護層が得られる。
表面保護層の膜厚は、1μm以上15μm以下が望ましく、より望ましくは3μm以上10μm以下である。
単層型感光層の形成方法は、電荷発生層や電荷輸送層の形成方法と同様である。単層型感光層の厚さは5μm以上50μm以下程度が望ましく、10μm以上40μm以下がより望ましい。
図4は、本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
本実施形態に係る画像形成装置101は、図4に示すように、例えば、矢印Aで示すように、時計回り方向に回転する電子写真感光体10と、電子写真感光体10の上方に、電子写真感光体10に相対して設けられ、電子写真感光体10の表面を帯電させる帯電装置20(帯電手段の一例)と、帯電装置20により帯電した電子写真感光体10の表面に露光して、静電潜像を形成する露光装置30(静電潜像形成手段の一例)と、露光装置30により形成された静電潜像に現像剤に含まれるトナーを付着させて電子写真感光体10の表面にトナー像を形成する現像装置40(現像手段の一例)と、記録紙P(被転写媒体)をトナーの帯電極性とは異なる極性に帯電させて記録紙Pに電子写真感光体10上のトナー像を転写させる転写装置50と、電子写真感光体10の表面をクリーニングするクリーニング装置70(トナー除去手段の一例)とを備える。そして、トナー像が形成された記録紙Pを搬送しつつ、トナー像を定着させる定着装置60が設けられている。
帯電装置20としては、例えば、導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が挙げられる。また、帯電装置20としては、例えば、非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等のそれ自体公知の帯電器等も挙げられる。帯電装置20としては、接触型帯電器がよい。
露光装置30としては、例えば、電子写真感光体10表面に、半導体レーザー光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は電子写真感光体10の分光感度領域にあるものがよい。半導体レーザーの波長としては、例えば、780nm前後に発振波長を有する近赤外がよい。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザーや青色レーザーとして400nm以上450nm以下に発振波長を有するレーザーも利用してもよい。また、露光装置30としては、例えばカラー画像形成のためにはマルチビーム出力するタイプの面発光型のレーザー光源も有効である。
現像装置40は、例えば、トナー及びキャリアからなる2成分現像剤を収容する容器内に、現像領域で電子写真感光体10に対向して配置された現像ロール41が備えられた構成が挙げられる。現像装置40としては、2成分現像剤により現像する装置であれば、特に制限はなく、周知の構成が採用される。
現像剤は、トナーからなる一成分現像剤であってもよいし、トナーとキャリアを含む二成分系現像剤であってもよい。
転写装置50としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。
クリーニング装置70は、例えば、筐体71と、クリーニングブレード72と、クリーニングブレード72の電子写真感光体10回転方向下流側に配置されるクリーニングブラシ73と、を含んで構成されている。また、クリーニングブラシ73には、例えば、固形状の潤滑剤74が接触して配置されている。
プロセスカートリッジ101Aの構成は、これに限られず、例えば、少なくとも、電子写真感光体10を備えていればよく、その他、例えば、帯電装置20、露光装置30、現像装置40、転写装置50、及びクリーニング装置70から選択される少なくとも一つを備えていてもよい。
以下において「部」は、特に断りのない限り質量基準である。
(感光体1の作製)
[下引層の形成]
酸化亜鉛(テイカ社製、平均粒子径70nm、比表面積値15m2/g)100部をトルエン500部と攪拌混合し、シランカップリング剤(信越化学社製KBM603)1.2部を添加し、2時間攪拌した。その後トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤で表面処理した酸化亜鉛を得た。この表面処理酸化亜鉛100部を、テトラヒドロフラン500部と攪拌混合し、アリザリン1部をテトラヒドロフラン50部に溶解させた溶液を添加し、50℃にて5時間攪拌した。その後、減圧濾過にてアリザリンを付与した酸化亜鉛を濾別し、さらに60℃で減圧乾燥を行い、アリザリン付与酸化亜鉛を得た。
この下引層形成用塗布液を、浸漬塗布法にて、直径60mm、長さ357mm、肉厚1mmのアルミニウム基材上に塗布し、170℃にて40分間の乾燥硬化を行い、厚さ20μmの下引層を形成した。
X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が7.4°、16.6°、25.5°及び28.3°に強い回折ピークを持つクロロガリウムフタロシアニン結晶1部を、ポリビニルブチラール樹脂(積水化学社製エスレックBM−S)1部とともに酢酸ブチル100部に加え、ガラスビーズとともにペイントシェーカーで1時間処理して分散して塗布液を得た。この塗布液を前記下引層の上に浸漬塗布し、100℃にて10分間加熱乾燥して、膜厚約0.2μmの電荷発生層を形成した。
下記構造式で表される化合物(1)2.1部、及び下記基本単位(1)が連なった高分子化合物(粘度平均分子量39,000)2.9部を、テトラヒドロフラン10部及びトルエン5部に溶解して、塗布液を得た。この塗布液を前記電荷発生層の上に浸漬塗布し、135℃にて35分間加熱乾燥して、膜厚23μmの電荷輸送層を形成した。
4フッ化エチレン樹脂の粒子としてルブロンL−2(ダイキン工業製)10部、下記構造式(E)−1及び構造式(F)−1で表される繰り返し単位を含むフッ化アルキル基含有共重合体(重量平均分子量50,000、l:m=1:1、s=1、n=60)0.5部、及び既述の例示化合物(A)−1の0.5部を、シクロペンタノン40部に攪拌混合して、4フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液を得た。
こうして得た電子写真感光体を、感光体1とした。
(感光体2の作製)
感光体1の表面保護層の形成において、ベンゾグアナミン樹脂をメチル化メラミン樹脂(三和ケミカル社製ニカラックMW−30HM;既述の(J)−2)に変更した以外は感光体1と同様にして電子写真感光体を作製し、これを感光体2とした。
(感光体3の作製)
感光体1の表面保護層の形成において、例示化合物(A)−1を2.5部に変更し、化合物(3)を23部に変更した以外は感光体1と同様にして電子写真感光体を作製し、これを感光体3とした。
(感光体4の作製)
感光体2の表面保護層の形成において、フッ化アルキル基含有共重合体を1.0部に変更し、メチル化メラミン樹脂を3.5部に変更した以外は感光体2と同様にして電子写真感光体を作製し、これを感光体4とした。
(感光体5の作製)
感光体1の表面保護層の形成において、化合物(3)を28部に変更し、ベンゾグアナミン樹脂を1部に変更した以外は感光体1と同様にして電子写真感光体を作製し、これを感光体5とした。
(感光体6の作製)
感光体1の表面保護層の形成において、化合物(2)を、下記構造式で表される化合物(4)に変更した以外は感光体1と同様にして電子写真感光体を作製し、これを感光体6とした。
(感光体7の作製)
感光体1の表面保護層の形成において、化合物(3)を下記構造式で表される化合物(5)に変更した以外は感光体1と同様にして電子写真感光体を作製し、これを感光体7とした。
(感光体8の作製)
感光体1の表面保護層の形成において、例示化合物(A)−1を既述の例示化合物(A)−2に変更した以外は感光体1と同様にして電子写真感光体を作製し、これを感光体8とした。
(感光体9の作製)
感光体3の表面保護層の形成において、例示化合物(A)−1を既述の例示化合物(A)−2に変更した以外は感光体3と同様にして電子写真感光体を作製し、これを感光体9とした。
(感光体10の作製)
感光体1の表面保護層の形成において、化合物(2)を45部に変更し、化合物(3)を24部に変更し、ベンゾグアナミン樹脂を20部に変更した以外は感光体1と同様にして電子写真感光体を作製し、これを感光体10とした。
(感光体11の作製)
感光体1の表面保護層の形成において、化合物(2)を40部に変更し、化合物(3)を45部に変更した以外は感光体1と同様にして電子写真感光体を作製し、これを感光体11とした。
(感光体12の作製)
感光体1の表面保護層の形成において、ルブロンL−2を5部に変更し、フッ化アルキル基含有共重合体を0.25部に変更し、例示化合物(A)−1を0.25部に変更し、シクロペンタノンを20部に変更して、4フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液を作製した。そして、この4フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液を用い、化合物(3)を30部に変更し、ベンゾグアナミン樹脂を4.5部に変更した以外は感光体1と同様にして電子写真感光体を作製し、これを感光体12とした。
(感光体13の作製)
感光体1の表面保護層の形成において、ルブロンL−2を20部に変更し、フッ化アルキル基含有共重合体を1.0部に変更し、例示化合物(A)−1を1.0部に変更し、シクロペンタノンを80部に変更して、4フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液を作製した。そして、この4フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液を用い、化合物(2)を55部に変更し、化合物(3)を20部に変更し、ベンゾグアナミン樹脂を3部に変更した以外は感光体1と同様にして電子写真感光体を作製し、これを感光体13とした。
(感光体14の作製)
感光体1と同様にして電荷輸送層まで形成した。
ルブロンL−2(ダイキン工業製)10部、前記フッ化アルキル基含有共重合体0.5部、及び例示化合物(A)−1の0.5部を、シクロペンタノン40部に十分に攪拌混合して、4フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液を得た。
−構成材料−
・下記構造式で表される化合物(6) 37部
・メチルトリメトキシシラン 37部
・テトラメトキシシラン 9部
・コロイダルシリカ 6部
こうして得た電子写真感光体を、感光体14とした。
(感光体15の作製)
感光体1の表面保護層の形成において、化合物(2)を85部に変更し、化合物(3)を用いなかった以外は感光体1と同様にして電子写真感光体を作製し、これを感光体15とした。
(感光体16の作製)
感光体1の表面保護層の形成において、化合物(2)を40部に変更し、ベンゾグアナミン樹脂を24部に変更した以外は感光体1と同様にして電子写真感光体を作製し、これを感光体16とした。
(感光体17の作製)
感光体1の表面保護層の形成において、化合物(3)を29部に変更し、ベンゾグアナミン樹脂を用いなかった以外は感光体1と同様にして電子写真感光体を作製し、これを感光体17とした。
(感光体18の作製)
感光体1の表面保護層の形成において、例示化合物(A)−1を既述の例示化合物(A)−3に変更した以外は感光体1と同様にして電子写真感光体を作製し、これを感光体18とした。
(感光体19の作製)
感光体1の表面保護層の形成において、例示化合物(A)−1を既述の例示化合物(A)−4に変更した以外は感光体1と同様にして電子写真感光体を作製し、これを感光体19とした。
(感光体20の作製)
感光体1の表面保護層の形成において、例示化合物(A)−1を既述の例示化合物(A)−5に変更した以外は感光体1と同様にして電子写真感光体を作製し、これを感光体20とした。
(感光体21の作製)
感光体1の表面保護層の形成において、例示化合物(A)−1を既述の例示化合物(A)−6に変更した以外は感光体1と同様にして電子写真感光体を作製し、これを感光体21とした。
(感光体22の作製)
感光体1の表面保護層の形成において、例示化合物(A)−1を5部に変更し、化合物(3)を20.5部に変更した以外は感光体1と同様にして電子写真感光体を作製し、これを感光体22とした。
(感光体C1の作製)
感光体1の表面保護層の形成において、例示化合物(A)−1を用いず、ベンゾグアナミン樹脂を4.5部に変更した以外は感光体1と同様にして電子写真感光体を作製し、これを感光体C1とした。
(感光体C2の作製)
感光体12の表面保護層の形成において、例示化合物(A)−1を用いず、ベンゾグアナミン樹脂を4.75部に変更した以外は感光体12と同様にして電子写真感光体を作製し、これを感光体C2とした。
(感光体C3の作製)
感光体13の表面保護層の形成において、例示化合物(A)−1を用いず、ベンゾグアナミン樹脂を4部に変更した以外は感光体13と同様にして電子写真感光体を作製し、これを感光体C3とした。
(感光体C4の作製)
感光体1の表面保護層の形成において、ルブロンL−2を用いず、化合物(2)を70部に変更した以外は感光体1と同様にして電子写真感光体を作製し、これを感光体C4とした。
(感光体C5の作製)
感光体1の表面保護層の形成において、例示化合物(A)−1を下記構造式で表される化合物(7)に変更した以外は感光体1と同様にして電子写真感光体を作製し、これを感光体C5とした。
(感光体C6の作製)
感光体1の表面保護層の形成において、例示化合物(A)−1を下記構造式で表される化合物(8)に変更した以外は感光体1と同様にして電子写真感光体を作製し、これを感光体C6とした。
(感光体C7の作製)
感光体1の表面保護層の形成において、例示化合物(A)−1を下記構造式で表される化合物(9)に変更した以外は感光体1と同様にして電子写真感光体を作製し、これを感光体C7とした。
(感光体C8の作製)
表面保護層を形成しなかったこと以外は感光体1と同様にして電子写真感光体を作製し、これを感光体C8とした。
上記の実施例および比較例の各感光体について、以下の評価を行った。結果を表4に示す。
試験機は富士ゼロックス社製DocuCentre−II C7500を用いた。評価試験は白黒モード(75枚/分)で行った。
特に断りのない限り、評価ごとに未使用の感光体を搭載した試験機を用い、画像形成を行った。
使用前の感光体と、画像形成を繰り返して100回転させた時点の感光体とについて、X線光電子分光法(X-ray Photoelectron Spectroscopy:XPS)によって、表面保護層の表面のフッ素の構成比率を求めた。
具体的には、光電子分光装置(日本電子社製JPS−9010)を用いて、表面保護層の表面の全元素に対するフッ素の構成比率(100×フッ素の原子数÷全元素の原子数)(%)を求めた。
22℃/55%RHの環境下において、以下の設定と測定を実施した。
使用前の感光体から現像手段を取り外し、電位計を設置して、感光体の表面電位が−700Vになるように、スコロトロン(非接触型帯電手段)のグリッド電圧を調整した。そして、露光部の電位が−350Vになるように露光光量を設定した。この露光光量で用紙サイズA3/5万枚の画像形成を行った後に、露光部の電位を測定し、初期(−350V)との差分ΔVL(V)を求め、以下の基準に従って評価した。
A:ΔVL<10
B:10≦ΔVL<15
C:15≦ΔVL
10℃/15%RHの環境下において、感光体上の未転写の画像(用紙サイズA3、画像濃度Cin(Coverage Input)100%、5枚)をクリーニングし、クリーニング後に紙への出力を行い、その5枚の画像を目視で観察し、トナーがクリーニングされなかったことに起因する画像の有無から、以下の基準に従って評価した。
A:画像なし
B:部分的(面積の10%以下)にスジ状の画像あり
C:広範(面積の10%超)にスジ状の画像あり
10℃/15%RHの環境下において、用紙サイズA3、画像濃度Cin40%の画像を50枚出力し、その50枚の画像を目視で観察し、以下の基準に従って評価した。
A:50枚全てに、スジ等の画像欠陥なし
B:1枚以上5枚以下に、スジ等の画像欠陥あり
C:6枚以上に、スジ等の画像欠陥あり
28℃/85%RHの環境下において、用紙中央部に画像濃度Cin100%の部分と、これを挟むように2箇所の画像濃度Cin30%の部分とが存在し、且つ全体の画像濃度Cinが7%の画像(当該画像の概略を図6に示す。)を、感光体が100000回転(誤差1%以内)するまで出力し(サイズA4の用紙で約5万枚)、その後にサイズ3ptの文字「響」を印字した。その文字「響」を拡大して観察し、以下の基準に従って評価した。
A:図7(A)のごとく乱れやかすれがない
B:図7(B)のごとく部分的な乱れやかすれがある(文字の判読は可能)
C:図7(C)のごとく文字がつぶれ、文字の判読は困難
感光体の耐摩耗性は、予め測定しておいた使用前の感光体の膜厚と、10万回転後の画質評価を行った後の感光体の膜厚との差分を求め、感光体1000回転あたりの摩耗量(nm/1000回転)を算出し、以下の基準に従って評価した。
なお、感光体の膜厚は、周方向に4点(基点を任意に設定し、0°、90°、180°、270°の4点)、軸方向に上端20mm位置から10mmピッチで33点、合計132点測定し、132点の平均値を求めた。測定には、自作の干渉式膜厚測定器を用いたが、市販の膜厚測定器(例えばフィッシャースコープ社製パーマスコープなど)を用いてもよい。
A:2.5nm未満
B:2.5nm以上、5nm未満
C:5nm以上
電気特性、クリーニング性、初期画質、10万回転後の画質、及び耐摩耗性の各評価結果に基づき、以下の基準に従って総合判定をした。
A:優れている(全てA)
A−:良好(CがなくBが1つ)
B:若干劣るが実用に問題なし(CがなくBが2つ以上)
C:実用に供し得ない(Cがある)
本実施例の電子写真感光体は、表面保護層にフッ素樹脂粒子を含む比較例の電子写真感光体に比べ、使用初期のスジ状の画像欠陥の発生を抑制することがわかる。
本実施例の電子写真感光体は、表面保護層にフッ素樹脂粒子を含む比較例の電子写真感光体に比べ、使用を繰返した後の画質に優れることがわかる。
本実施例の電子写真感光体は、表面保護層にフッ素樹脂粒子を含む比較例の電子写真感光体に比べ、クリーニング性に優れることがわかる。
本実施例の電子写真感光体は、表面保護層にフッ素樹脂粒子を含まない比較例の電子写真感光体に比べ、耐摩耗性に優れることがわかる。
Claims (5)
- 導電性基体と、
前記導電性基体上に設けられた感光層と、
前記感光層上に設けられた表面保護層であって、反応性電荷輸送材料と、フッ素樹脂粒子と、フッ化アルキル基含有共重合体と、下記一般式(A)で表される化合物と、を含む組成物の硬化膜で構成された表面保護層と、
を有する電子写真感光体。
(一般式(A)中、Rは、置換又は無置換の炭素数1以上10以下の飽和炭化水素基を表し、Rfは、水素原子の少なくとも1つがフッ素原子に置換された炭素数3以上10以下の分岐した炭化水素基を表す。) - 前記一般式(A)において、Rfは分岐を2個以上有する炭化水素基である、請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記表面保護層が、前記組成物の架橋膜である、請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体。
- 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電させる帯電装置と、
帯電された前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、
前記静電潜像を現像剤で現像してトナー像を形成する現像装置と、
前記トナー像を被転写媒体に転写する転写装置と、
を備える画像形成装置。 - 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電させる帯電装置、前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置、前記静電潜像を現像剤で現像してトナー像を形成する現像装置、及び前記電子写真感光体に付着した残留トナーを除去するクリーニング装置から選ばれる少なくとも1種と、
を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
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