JP6022293B2 - 複合ベーカリー生地 - Google Patents
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Description
なかでも、上掛け生地にショートペーストを使用したメロンパンは、生地水分が少ないため、表面に割れ目を生じ、そのひび状の割れ目が外観上極めて特徴的であり、その食感も特にカリカリ感に優れることから古来から親しまれている。
また、ショートペーストを使用して得られた上掛け生地部分は割れ目があることに加え、内生地との結着性が低いため、極めて剥れやすく、そのため食する際にこぼれ落ちて食べにくく、また、複合ベーカリー食品の保存中にちょっとしたショックで剥れ落ちるなどして商品価値を大きく損ねてしまうという問題があった。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、ショートペーストを上掛け生地とし、パン生地を内生地とする複合ベーカリー生地であって、上掛け生地と内生地との間に中間層として薄板状の餅様生地を配置することを特徴とする、複合ベーカリー生地、及び該生地を焼成してなる複合ベーカリー製品を提供するものである。
先ず、本発明で使用する薄板状の餅様生地について述べる。
本発明でいう餅様生地とは、餅や求肥に代表される、穀類と水分とを必須成分として用いて得られた粘弾性に富む生地を広く指す。
上記糖類の添加量は、穀類100質量部に対し、固形分として好ましくは30〜500質量部、より好ましくは70〜300質量部、さらに好ましくは100〜300質量部である。
上記餅様生地の製造方法は、通常の餅や求肥の製造方法と同一でよく、例えば、穀類に水分を添加してなる混合物を加熱して糊化させた後、練り合わせることによって得ることができる。加熱方法としては、炊く、蒸す、茹でる等の餅や求肥の製造方法で一般的に用いられる加熱方法と同一の方法を採ることができる。なお、穀類として糊化済みの穀粉や澱粉を使用した場合は特に加熱する必要はない。
また、糖類を添加してから更に加熱して練り上げ、水分をとばした求肥生地を製造する場合は、混合物に糖類を添加して加熱しながら練り上げる方法であっても、混合物を糊化させた後に糖類を添加して更に加熱して練り上げる方法であってもよい。すなわち、水練り法、茹で練り法、蒸し練り法のいずれの方法であってもよい。
なお、本発明では、上記餅様生地製造のために、上述の原材料を適宜配合済みのミックス粉を使用することももちろん可能である。
餅様生地が0.2mmよりも薄いと焼成時に破断してしまう可能性があるうえ、十分な水分移行抑制効果が得られないことがあるため好ましくない。また、餅様生地が5mmよりも厚いと、火抜けが悪くなり、食感に影響するため好ましくない。
上記市販の餅様生地としては、例えば、ぎゅうひクレープ(株式会社タヌマ製)や、生八ツ橋(株式会社おたべ製)等を挙げることができる。
ショートペーストとは、製菓用の生地分類の一種であり、さくさくした食感(ショートネス)をもつ焼菓子を得るための生地のことであり、小麦粉類と油脂類と水性原料を必須成分とし、常温で流動性がない生地である。このようなショートペーストとしては、例えば、クッキー生地、ガレット生地、練パイ生地、タルト生地などが挙げられる。
本発明においては、上記ショートペーストの油分含量が好ましくは5〜20質量%、より好ましくは9〜15質量%である。
また、上記ショートペーストにおける好ましい水分含量は5〜30質量%、より好ましくは10〜20質量%である。水分含量が5質量%未満であると、ポロついた食感で、また、保存中に剥れやすく、30質量%を超えると焼成直後からべたついた食感になってしまうおそれがある。
なお、ここで言う上記油分含量とは、油脂類中の純油分をはじめ、ショートペーストに使用する全原料中に含まれる純油分の合計であり、また、水分含量とは、水性原料中の純水分をはじめ、ショートペーストに使用する全原料中に含まれる純水分の合計である。
例えば、ショートペーストがクッキー生地の場合は、シュガーバッター法、フラワーバッター法、オールインミックス法など公知の方法で得ることが可能であり、練りパイ生地やタルト生地の場合は、ロールイン用油脂を含む全原料を混合するオールインミックス法でも、ロールイン油脂以外の成分でいったん生地を製造後、小片状のロールイン油脂を生地中に分散させる方法でももちろん得ることが可能である。
本発明で使用するパン生地としては、一般にメロンパン等に使用されるパン生地であれば問題なく使用することができ、例えば、食パン生地、菓子パン生地、バラエティブレッド生地、デニッシュ生地、ドーナツ生地、クラッカー生地、ワッフル生地などを使用することができる。
中でも、ソフト性が良好である点において、菓子パン生地やデニッシュ生地などを使用することが好ましい。
本発明の複合ベーカリー生地は、ショートペーストを上掛け生地、パン生地を内生地とし、上掛け生地と内生地の間に中間層として薄板状の餅様生地を配置したものである。
本発明の複合ベーカリー製品は、上記複合ベーカリー生地を、必要に応じ圧延、成形、ホイロ、ラックタイムをとった後、焼成して得られるものである。
本発明の複合ベーカリー製品は冷凍保存することが可能であり、冷凍保存した該ベーカリー製品は、電子レンジで解凍調理することが可能である。
〔製造例1〕
白玉粉120質量部に上白糖100質量部及び水100質量部を添加し、蒸練機を用いて90℃にて混練した。更に、上白糖40質量部及び水40質量部を加えて、粘弾性を呈するまで混練し、30℃に冷却して、求肥生地を得た。この求肥生地を、厚さ0.5mmとなるように延展し、直径60mmの円形にうちぬき成形を行ない、求肥生地である薄板状の餅様生地aを得た。
白玉粉120質量部に上白糖100質量部及び水100質量部を添加し、蒸練機を用いて90℃にて混練した。更に、上白糖40質量部及び水40質量部を加えて、粘弾性を呈するまで混練し、30℃に冷却して、求肥生地を得た。この求肥生地を、厚さ1mmとなるように延展し、直径60mmの円形にうちぬき成形を行ない、求肥生地である薄板状の餅様生地bを得た。
「冷凍ぎゅうひクレープ(白)12cm角」(株式会社タヌマ製)(35g/1枚・厚さ実測値=1.5mm)を、常温(20℃)で2時間解凍し、薄板状の餅様生地cとした。
白玉粉120質量部に上白糖100質量部及び水100質量部を添加し、蒸練機を用いて90℃にて混練した。更に、上白糖40質量部及び水40質量部を加えて、粘弾性を呈するまで混練し、30℃に冷却して、求肥生地を得た。この求肥生地を、厚さ2mmとなるように延展し、直径60mmの円形にうちぬき成形を行ない、求肥生地である薄板状の餅様生地dを得た。
白玉粉120質量部に上白糖100質量部及び水100質量部を添加し、蒸練機を用いて90℃にて混練した。更に、上白糖40質量部及び水40質量部を加えて、粘弾性を呈するまで混練し、30℃に冷却して、求肥生地を得た。この求肥生地を、厚さ3mmとなるように延展し、直径60mmの円形にうちぬき成形を行ない、求肥生地である薄板状の餅様生地eを得た。
(上掛け生地の製造)
上白糖55質量部及び全卵(正味)30質量部を、ビーターを使用して混合し、これに、いったん60℃で加熱溶解した後40℃まで放冷した油脂(プレミアムショートCF、株式会社ADEKA製)25質量部を添加混合し、次いで、薄力粉100質量部及びベーキングパウダー1質量部を添加混合し、ショートペーストを得た。
(内生地の製造)
強力粉70質量部、イースト3質量部、イーストフード0.1質量部、上白糖3質量部及び水40質量部をミキサーボウルに投入して縦型ミキサーにセットし、フックを使用して低速で3分、中速で2分ミキシングして中種生地を得た。この中種生地を醗酵室で28℃にて2時間中種発酵させた。次いで、この生地に、さらに強力粉10質量部、薄力粉20質量部、上白糖20質量部、食塩1.3質量部、脱脂粉乳3質量部、全卵(正味)12質量部及び水9質量部を添加し、低速で4分、中速で4分ミキシングした。ここで、練込用マーガリン(プレミアムショートCF、株式会社ADEKA製)10質量部を投入し、低速で4分、中速で4分ミキシングして菓子パン生地を得た(捏ね上げ温度28℃)。
上記菓子パン生地を、フロアタイム30分をとった後に45gに分割し、さらにベンチタイム20分をとった後、これを内生地とし、続いて上記薄板状の餅様生地a2.5gを積置した。次に手成形にて、上記ショートペーストを35gに分割し、これを上掛け生地とし、包餡成形し、本発明の複合ベーカリー生地A’を得た。
得られた複合ベーカリー生地A’を、温度38℃、相対湿度70%で50分ホイロをとった後、固定窯にて180℃で13分焼成し、本発明の複合ベーカリー製品Aを得た。
得られた複合ベーカリー製品Aの焼成1時間後、1日後、3日後のショートペースト由来部分及び菓子パン部分の食感、さらに焼成3日後のショートペースト由来部分の密着性について、下記評価基準で評価を行い、結果を[表1]に示した。
・焼成したショートペースト部分の食感
◎:カリカリした食感が極めて良好である。
○:カリカリした食感である。
△:歯切れが悪く又はねちゃつき感があり、カリカリ感に乏しい。
×:べとつき感があり、カリカリした食感が感じられない。
・焼成した菓子パン生地部分の食感
◎:しっとりとしたソフトな食感が極めて良好である。
○:しっとりとしたソフトな食感が良好である。
△:ややぱさついた食感である。
×:非常にぱさついた食感である。
・ 焼成3日後の密着性
◎:剥れ落ちが全くなかった。
○:剥れ落ちがほとんどなかった。
△:少量の剥れ落ちがあった。
×:剥れ落ちが多かった。
薄板状の餅様生地aに代えて薄板状の餅様生地bを5gとした以外は実施例1と同様にして本発明の複合ベーカリー生地B’、及び複合ベーカリー製品Bを得た。得られた複合ベーカリー製品Bについて、実施例1と同様に評価し、結果を[表1]に示した。
薄板状の餅様生地aに代えて薄板状の餅様生地cを7.5gとした以外は実施例1と同様にして本発明の複合ベーカリー生地C’、及び複合ベーカリー製品Cを得た。得られた複合ベーカリー製品Cについて、実施例1と同様に評価し、結果を[表1]に示した。
薄板状の餅様生地aに代えて薄板状の餅様生地dを10gとした以外は実施例1と同様にして本発明の複合ベーカリー生地D’、及び複合ベーカリー製品Dを得た。得られた複合ベーカリー製品Dについて、実施例1と同様に評価し、結果を[表1]に示した。
薄板状の餅様生地aに代えて薄板状の餅様生地eを15gとした以外は実施例1と同様にして本発明の複合ベーカリー生地E’、及び複合ベーカリー製品Eを得た。得られた複合ベーカリー製品Eについて、実施例1と同様に評価し、結果を[表1]に示した。
上記菓子パン生地を、フロアタイム30分をとった後に45gに分割し、さらにベンチタイム20分をとった後、これを内生地とし、次に手成形にて、上記ショートペーストを35gに分割し、これを上掛け生地とし、包餡成形し、複合ベーカリー生地F’を得た。得られた複合ベーカリー生地を、温度38℃、相対湿度70%で50分ホイロをとった後、固定窯にて180℃で13分焼成し、複合ベーカリー製品Fを得た。得られた複合ベーカリー製品Fについて、実施例1と同様に評価し、結果を[表1]に示した。
Claims (5)
- ショートペーストを上掛け生地とし、パン生地を内生地とする複合ベーカリー生地であって、上掛け生地と内生地との間に中間層として薄板状の餅様生地を配置しており、
上記餅様生地が求肥生地であり、
上記餅様生地は厚さが0.4〜1.5mmである、複合ベーカリー生地。 - 上記求肥生地は穀類及び糖類を含有し、
上記糖類の含有量は、上記穀類100質量部に対し、固形分として、70〜500質量部である請求項1に記載の複合ベーカリー生地。 - 請求項1又は2記載の複合ベーカリー生地を焼成してなる複合ベーカリー製品。
- ショートペーストである上掛け生地とパン生地である内生地の間に中間層として薄板状の餅様生地を配置し、焼成することを特徴とする複合ベーカリー製品の製造方法であって、
上記餅様生地が求肥生地であり、
上記餅様生地は厚さが0.4〜1.5mmである複合ベーカリー製品の製造方法。 - 上記求肥生地は穀類及び糖類を含有し、
上記糖類の含有量は、上記穀類100質量部に対し、固形分として、70〜500質量部である、請求項4に記載の複合ベーカリー製品の製造方法。
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