JP6018956B2 - ガラス、カレットおよび光学素子の製造方法 - Google Patents

ガラス、カレットおよび光学素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、清澄性に優れたガラスの製造方法、カレットの製造方法および光学素子の製造方法に関する。
ガラスを生産する方法は、大きく分けると2つに大別される。一つ目は、バッチ原料を加熱、熔融し、成形してガラスを得る方法(バッチダイレクトメルト方式)、二つ目は、バッチ原料を粗熔解(以下、ラフメルトという)し、カレットとし、得られたカレットを調合して再熔融(以下、リメルトという)し、成形してガラスを得る方法(ラフメルト−リメルト方式)である。
上記いずれの方法によりガラスを製造する場合であっても、攪拌せずに長時間熔融すると、添加元素の比重の違い等によって分離化する(比重の重い元素が沈降する等)という問題がある。このような分離化は、最終製品の不均質化を招くばかりか、ひいては組成設計の段階で期待していた特性を得られない等の問題を招来する。特に、精密な特性制御が求められる光学ガラス等の製造では、このような問題は深刻であった。
そのため、このような分離化の問題を解決するため、熔融物を攪拌棒などで攪拌する方法や、熔融物中に気体を投入しバブリングにより攪拌する技術が提案されている。例えば、特許文献1では、バッチダイレクトメルト方式によりガラスを製造する際に、酸素等のガスを熔融物中にバブリングし、熔融物中の構成元素の分散を均質化する方法が提案されている。
しかし、バッチダイレクト方式に比べて、熔融工程の回数が多いラフメルト−リメルト方式では、上述の熔融物における各成分の分離化の問題の他に、以下のような問題が顕著となる。
1つ目の問題は、コンタミネーションの問題である。ラフメルト−リメルト方式では、バッチダイレクト方式に比べて、坩堝等の熔融装置との接触回数が増す。そのため、バブリングに際して酸素等を用いると、坩堝の材料として用いられる白金又は白金合金が、酸素と反応して、二酸化白金(PtO)が発生し、熔融物中に溶け込む、あるいは溶融物と白金又は白金合金との界面から白金イオン(Pt4+)として熔融物に溶け込む等の問題が顕著となる。
このような熔融物に溶け込んだPt4+(PtOを含む)は、ガラスに不純物として残存し、ガラスの透過率劣化(ソラリゼーション)が生じやすくなる他、ガラス中で結晶化することにより、白金フシという異物として残留する問題を招来する。
2つ目の問題は、清澄性が悪化するという問題である。ラフメルト−リメルト方式では、バッチ原料を熔融してカレットを作製する際に、原材料に由来する溶存ガスの一部が放出されてしまう。そのため、カレットを再度熔融し、清澄工程に入る際には、バッチダイレクト方式よりも、原材料に由来する溶存ガス量が低下している。その結果、清澄工程において、充分な脱泡が起こらず、清澄性が悪化するという問題が顕著となる。
特許文献2では、上述の1つ目の問題に対し、熔融物にAr等の不活性ガスをバブリングし、白金イオンの熔融物への溶け込みを抑制し、透過率劣化や白金フシが発生する問題を防止する技術が提案されている。
しかし、特許文献2の方法では、透過率劣化等の問題は改善されるものの、酸素等に比べて高価なArガス等を用いる必要があるため、長時間のバブリングでは生産コストが上がる問題があった。
また、特許文献2の方法では、Arガス等は熔融物中に物理的にわずかに留まる程度で、清澄性を改善させるのに十分な溶存ガス量を補うことはできず、清澄性の改善効果は期待できなかった。そのため、特許文献2では、上述の2つ目の問題に対しては添加成分により改善することが前提とされており、強力な清澄効果を有する亜ヒ酸をガラスの原材料として用いていた。
しかし、近年の環境負荷の軽減の観点からはAs等の使用は好ましくなく、Asのような環境負荷の大きな成分を使用することなく、清澄性を向上させる方法が求められていた。
特開2003−252631号公報 特開2007−126296号公報
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ラフメルトーリメルト方式よる、清澄性に優れ、ガラス特性(均質性や透過率等)も良好で、環境負荷および生産コストが低減され得るガラスの製造方法、並びにカレットおよび光学素子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、熔融物内に二酸化炭素を含むガスをバブリングする処理および熔融雰囲気に二酸化炭素を付加する処理の少なくともいずれか一方を行うことにより、その目的を達成し得ることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
〔1〕 調合材料を熔融してカレットを得るラフメルト工程と、
前記カレットを再熔融してガラスを得るリメルト工程と、を有するガラスの製造方法であって、
前記ラフメルト工程および前記リメルト工程のうち少なくともいずれか一方において、
熔融物内に二酸化炭素を含むガスをバブリングする処理および熔融雰囲気に二酸化炭素を付加する処理の少なくともいずれか一方を行うガラスの製造方法。
〔2〕 前記ラフメルト工程および前記リメルト工程のうち少なくともいずれか一方において、熔融物内に二酸化炭素を含むガスをバブリングする上記〔1〕に記載のガラスの製造方法。
〔3〕 少なくとも前記ラフメルト工程において、熔融物内に二酸化炭素を含むガスをバブリングする上記〔2〕に記載のガラスの製造方法。
〔4〕 前記二酸化炭素を含むガスが、10体積%以上の二酸化炭素を含む上記〔2〕または〔3〕に記載のガラスの製造方法。
〔5〕 前記ガラスは、AsおよびPbを実質的に含有しない上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のガラスの製造方法。
〔6〕 前記ガラスは、高屈折率化成分(La、Gd、Y、Yb、Lu、Ti、Nb、W、ZrおよびTaの群から選択される少なくとも一種の元素の酸化物)を含有し、
前記ガラス100質量%中の前記高屈折率化成分の含有量が、La+Gd+Y+Yb+Lu+TiO+Nb+WO+ZrO+Ta換算で、40質量%以上である請求項上記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のガラスの製造方法。
〔7〕 前記ガラスは、Bを含有し、
前記ガラス100質量%中のBの含有量が、1〜30質量%である上記〔6〕に記載のガラスの製造方法。
〔8〕 前記ガラスは、さらに、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物およびZnOの群から選択される少なくとも一種の酸化物を含有し、
前記ガラス100質量%中において、
、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物およびZnOの合計含有量に対する前記高屈折率化成分の含有量の質量比が、
{La+Gd+Y+Yb+Lu+TiO+Nb+WO+ZrO+Ta}/{B+アルカリ金属酸化物+アルカリ土類金属酸化物+ZnO}換算で、1.0以上である上記〔7〕に記載のガラスの製造方法。
〔9〕 上記〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の製造方法によりガラスを製造する工程と、
前記ガラスを成形または加工する工程と、を有する光学素子の製造方法。
〔10〕 原料を調合してバッチ原料を準備する工程と、
前記バッチ原料を加熱、熔融する工程と、
熔融物を急冷し、カレットを得る工程と、を有するカレットの製造方法であって、
熔融工程において、熔融物内に二酸化炭素を含むガスをバブリングする処理および熔融雰囲気に二酸化炭素を付加する処理の少なくともいずれか一方を行うカレットの製造方法。
〔11〕 前記熔融工程において、熔融物内に二酸化炭素を含むガスをバブリングする上記〔10〕に記載のカレットの製造方法。
本発明によれば、ラフメルトーリメルト方式によりガラスを製造する場合であっても、Asのような環境負荷の大きな成分を使用することなく、優れた清澄性を確保でき、且つ、Ar等の高価なガスを使用しないため、生産コストを低減できると共に、均質で、透過率に優れたガラスを得ることができる。
本発明の一実施形態に係る、バッチ原料の調合からガラスの製造までの工程をフローチャートで表したものである。
本発明に係るガラスの製造方法は、調合材料を熔融してカレットを得るラフメルト工程と、前記カレットを再熔融してガラスを得るリメルト工程と、を有するガラスの製造方法であって、前記ラフメルト工程および前記リメルト工程のうち少なくともいずれか一方において、熔融物内に二酸化炭素を含むガスをバブリングする処理および熔融雰囲気に二酸化炭素を付加する処理の少なくともいずれか一方を行うことを特徴としている。
本発明では、熔融物に二酸化炭素を含むガスをバブリングするか、または、熔融雰囲気に二酸化炭素を付加することにより、二酸化炭素が熔融物中に化学的および物理的に溶解され、熔融物中の溶存ガス量を高めることができると考えられる。その結果、清澄性を大きく改善することができる。
これに対し、ラフメルト工程およびリメルト工程の何れにおいても、二酸化炭素を含むガスのバブリングを行わず、かつ、熔融雰囲気に二酸化炭素を付加しない場合には、ラフメルト工程及びリメルト工程の2度の熔融により、熔融ガラス中の溶存ガス量が低下し、清澄性が著しく悪化する傾向にあると考えられる。
二酸化炭素を含むガスのバブリングと熔融雰囲気への二酸化炭素の付加を比較すると、バブリングのほうが、より効果的に熔融ガラス中の溶存ガス量の低下を抑制することができると考えられる。そのため、清澄性を改善し、ガラスの透過率を改善する上から、二酸化炭素を含むガスのバブリングを行うことが好ましい。
なお、二酸化炭素を含むガスのバブリングと熔融雰囲気への二酸化炭素の付加をともに行ってもよい。
以下、前記ラフメルト工程および前記リメルト工程のうち少なくともいずれか一方において、熔融物内に二酸化炭素を含むガスをバブリングする方法を中心に説明する。
二酸化炭素を含むガスのバブリングは、ラフメルト工程のみで行ってもよく、ラフメルト工程およびリメルト工程の両方で行ってもよく、またリメルト工程のみで行ってもよい。
なお、ラフメルト工程でのみ二酸化炭素を含むガスのバブリングを行う場合には、リメルト工程では、その他のガスを用いてバブリングを行ってもよいし、バブリングを行わなくてもよい。また、リメルト工程でのみ二酸化炭素を含むガスのバブリングを行う場合には、ラフメルト工程では、その他のガスを用いてバブリングを行ってもよいし、バブリングを行わなくてもよい。
ラフメルト工程またはリメルト工程のいずれか一方でバブリングを行わない場合には、熔融物が分離化する可能性があるため、その他の攪拌方法にて、熔融物を攪拌することが好ましい。その他の攪拌方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば攪拌棒により攪拌することができる。
また、その他のガスを用いてバブリングを行う場合には、公知の方法で行うことができる。その他のガスとしては、特に限定されるものではないが、例えば、空気、酸素、一酸化炭素、窒素、アルゴン、ヘリウム、水蒸気等が挙げられる。
なお、攪拌棒により攪拌する場合には、バブリングとは別の、特別の設備が必要となるため、気体のバブリングにより熔融物を攪拌する方が好ましい。しかし、ラフメルト工程およびリメルト工程の全工程にわたり二酸化炭素を含むガス以外のガスを用いてバブリングを行った場合、以下のような問題が生じる傾向にある。
酸素ガスのような酸化性ガスを用いた場合には、白金系材料からなる熔融容器を酸化され、イオン化(Pt4+)し、熔融物中への溶け込みが促進される傾向がある。このような白金イオンの熔融物への混入は、白金イオンにより可視域の一部が吸収されるため、ガラスの着色を招く。白金イオンの混入量が増加するほど、ガラスの着色が強まる傾向にある。
また、一酸化炭素ガスのような還元性ガスを用いた場合には、ガラス成分として導入されている金属イオンを還元させ、還元された金属が熔融容器を構成する白金と合金化し、容器の耐久性を著しく低下させる傾向にある。
また、アルゴン、ネオン、ヘリウムなどの希ガス等の不活性ガスを用いる場合には、白金イオンの熔融物への溶け込みや熔融容器の合金化の問題は生じないが、アルゴン等の希ガスは、二酸化炭素ガスに比べて非常に高価であるため、長時間のバブリングでは製造コストが増加する傾向にある。なお、これらの不活性ガスは、二酸化炭素に比べて、熔融物への溶解度が低く、熔融物中に物理的にわずかに留まる程度である。そのため、このような不活性ガスを用いてバブリングを行っても、清澄性を改善するに足る溶存ガス量を補うことは困難であると考えられ、清澄性の改善効果は期待することができない。
したがって、清澄性の改善効果を高める観点に加えて、生産コストの増大や透過率の劣化を防止する観点からも、ラフメルト工程およびリメルト工程のうち少なくともいずれか一方において、二酸化炭素を含むガスを用いたバブリングを行う。
すなわち、二酸化炭素を含むガスによりバブリングを行うことで、白金イオンの溶け込みやこれに伴うガラスの着色の問題、ガラス成分として導入した金属イオンが還元されることによる熔融容器の短命化の問題、製造コストの増大の問題等を低減することが可能となる。
さらに、二酸化炭素を含むガスのバブリングは、少なくともラフメルト工程で行うことが好ましい。ラフメルト工程において、熔融物に二酸化炭素を含むガスをバブリングすることで、透過率の劣化および生産コストの増大を有効に防止しつつ、溶存ガス量が高いカレットを得ることができると考えられる。カレット段階で、溶存ガス量を効果的に高めることで、その後の工程で、二酸化炭素を含むガスのバブリングを行わない場合であっても、清澄性を改善することができると考えられる。
さらに、二酸化炭素を含むガスのバブリングは、ラフメルト工程およびリメルト工程の両方で行うことが特に好ましい。これにより、透過率の劣化および生産コストの増大を防止しつつ、カレット段階で補った溶存ガスを清澄工程の直前まで維持できると共に、溶存ガス量をさらに高めることもでき、清澄性の改善効果が高まると考えられる。
二酸化炭素を含むガスの二酸化炭素の含有量は、好ましくは10体積%以上、より好ましくは20体積%以上、さらに好ましくは30体積%以上、一層好ましくは40体積%以上、より一層好ましくは50体積%以上、さらに一層好ましくは60体積%以上、なお一層好ましくは70体積%以上、特に好ましくは80体積%以上、さらに特に好ましくは90体積%以上である。二酸化炭素の含有量は、高いほど好ましく、特に上記範囲とすることで、バブリングによる溶存ガス量を効果的に高めることができ、清澄性の改善効果が高まると考えられる。また、二酸化炭素の含有量を上記範囲とすることで、長時間のバブリングを行った場合であっても、生産コストの増大や透過率の劣化等の問題が生じにくい。
二酸化炭素を含むガスは、本発明の効果を妨げない範囲で、二酸化炭素以外に、その他のガスを含んでいてもよい。その他のガスとしては、特に限定されるものではないが、例えば、空気、酸素、一酸化炭素、窒素、アルゴン、ヘリウム、水蒸気等が挙げられ、これらの混合ガス等が挙げられる。ただし、白金系材料のような貴金属系材料からなる熔融容器を使用する場合、白金イオンなどの貴金属イオンの熔融物への混入を抑制する上から、二酸化炭素を含むガス中の酸素分圧を、大気中の酸素分圧よりも低くすることが好ましい。
バブリング方法としては、特に限定されるものではなく、公知の方法を用いることができる。例えば、白金製または白金合金製のパイプを熔融容器中の熔融物中に差込み、パイプを通して二酸化炭素を含むガスを熔融物中に吹き込む方法、熔融容器の底部付近に熔融容器の材料を同じ材料からなるパイプを取り付け、このパイプから熔融物中に二酸化炭素を含むガスを吹き込む方法などが挙げられる。
二酸化炭素を含むガスによりバブリングを行う条件は、特に限定されるものではなく、本発明の効果を妨げない範囲で、従来の方法と同様に、ガラス組成や熔融装置の規模等に応じて適宜調整することができる。例えば、以下の条件が好ましい。
二酸化炭素を含むガスの気泡径は、好ましくは直径0.01〜100mmであり、より好ましくは0.1〜30mmである。上記範囲とすることで、熔融物中の溶存ガス量を効果的に高めることができると考えられる。なお、気泡径が小さすぎる場合には、熔融物に挿入するバブリング用の管が詰まりやすい等の問題がある。
二酸化炭素を含むガスの流量は、好ましくは0.01〜100リットル/分であり、より好ましくは0.01〜10リットル/分である。上記範囲とすることで、熔融物中の溶存ガス量を効果的に高めることができると考えられる。
二酸化炭素を含むガスのバブリングを行う処理時間は、好ましくはラフメルト工程およびリメルト工程における各バブリング処理時間の全て、またはその一部の時間である。より好ましくは熔融時間(バッチ材料またはカレットが熔融した後からの熔融時間)と同じ時間である。これにより、熔融物中の溶存ガス量を効果的に高めることができると共に、透過率の劣化や生産コストの増大等の問題を生じることなく熔融物の分離化を抑制できると考えられる。
二酸化炭素を含むガスのバブリングを行う処理温度は、好ましくは熔融温度(バッチ材料またはカレットが熔融した後からの熔融温度)と同じであり、清澄効果をより高める観点から、より好ましくは清澄温度よりも低い。
また、前記ラフメルト工程および前記リメルト工程のうち少なくともいずれか一方において、熔融雰囲気に二酸化炭素の付加する方法としては、好ましくは次の通りである。
熔融雰囲気は、はじめ大気雰囲気や窒素雰囲気などの二酸化炭素以外の熔融雰囲気で熔融を開始し、途中から二酸化炭素を供給して熔融雰囲気に二酸化炭素を付加してもよいし、熔融雰囲気を予め二酸化炭素雰囲気に調整しておいてもよい。
熔融雰囲気に二酸化炭素を付加した際の熔融雰囲気の二酸化炭素分圧は、大気中の二酸化炭素分圧よりも高く、より好ましくは酸素分圧よりも高い。さらに、二酸化炭素分圧の上限は、特に限定されるものではなく、例えば熔融雰囲気を全て二酸化炭素で置換することもできる。
また、熔融物中の溶存ガス量減少を抑制するため、二酸化炭素を付加した熔融雰囲気中で熔融物を攪拌してもよい。
熔融雰囲気への二酸化炭素の付加、すなわち、ラフメルト工程における熔融雰囲気またはリメルト工程における熔融雰囲気への二酸化炭素の付加により、熔融雰囲気中の二酸化炭素分圧が高まり、熔融物中に溶存する二酸化炭素の溶存量減少を抑制する働きをすると考えられる。
また、熔融雰囲気への二酸化炭素の付加により、貴金属系材料からなる熔融容器の酸化を抑制し、貴金属イオンの熔融物への混入を抑制する働きをする。通常、白金系材料などの貴金属系材料からなる熔融容器を使用する場合、貴金属イオンの熔融物への混入を抑制する上で、熔融雰囲気中の酸素分圧を大気中の酸素分圧より低くすることが好ましい。したがって、熔融雰囲気への二酸化炭素の付加により、熔融雰囲気での二酸化炭素分圧を高めることができ、相対的に熔融雰囲気中の酸素分圧をより低くすることができる。その結果、熔融容器の酸化を抑制し、貴金属イオンの熔融物への混入を抑制することができる。
なお、熔融物に二酸化炭素を含むガスをバブリングする方法は、熔融物中にガスを吹き込む操作であるため、熔融雰囲気に二酸化炭素を付加する方法と比較して、熔融物と二酸化炭素ガスとの接触率が高くなることから、溶存ガス量を高める効果(または溶存ガス量減少を抑制抑制する効果)が大きいと考えられる。
他方、熔融雰囲気に二酸化炭素を付加する方法の場合、溶融炉に二酸化炭素ガスを供給することにより熔融雰囲気を調整でき簡易であり、少量のガス量から行うことができ、熔融物の吹き零れやパイプの目詰まり等の問題もなく、二酸化炭素の供給により酸化性ガスの分圧が下がるため熔融装置の劣化を抑制することもできる。このように熔融雰囲気に二酸化炭素を付加する方法によれば、熔融設備への負担を軽減することができる。
熔融雰囲気への二酸化炭素の付加については、以下、詳説する光学ガラスの製造方法においても適用することができる。
光学ガラスの製造方法
以下、光学ガラスの製造方法において、熔融物に二酸化炭素を含むガスをバブリングする方法を適用する場合を例に、図1を参照しながら本発明の一形態について説明する。
本発明に係る光学ガラスの製造方法は、調合材料を熔融してカレット1を得るラフメルト工程P1と、前記カレット1を再熔融してガラス2を得るリメルト工程P2と、を有する光学ガラスの製造方法であって、前記ラフメルト工程P1および前記リメルト工程P2のうち少なくともいずれか一方における熔融物内に、二酸化炭素を含むガスをバブリングすることを特徴としている。
以下では、図1に従い、ラフメルト工程P1およびリメルト工程P2の両方で二酸化炭素を含むガスをバブリングする例を示すが、ラフメルト工程P1およびリメルト工程P2のいずれか一方では二酸化炭素を含むバブリングを行わなくてもよい。なお、二酸化炭素を含むガスによるバブリングを行わない場合には、二酸化炭素を含むガス以外のガスによるバブリングや攪拌棒等を用いた攪拌を行ってもよい。
[ラフメルト工程P1]
ラフメルト工程は、調合材料を熔融してカレット1を得る工程である。
本実施形態に係るラフメルト工程は、好ましくは、原料を調合してバッチ原料を準備する工程s1と、前記バッチ原料を加熱、熔融する工程s2と、熔融物を急冷し、カレット1を得る工程s3と、を有する。
(バッチ原料を準備する工程s1)
まず、所望の特性の光学ガラスが得られるように、ガラス成分に対応する原材料を秤量し、十分混合して調合材料(バッチ原料)得る。
混合方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を用いることができる。例えば、ボールミルや乾式ミキサーを用いて行う混合が挙げられる。
ガラス成分に対応する原料としては、酸化物原料、炭酸塩原料、硝酸塩原料などを用いることができる。
(バッチ原料を加熱、熔融する工程s2)
次に、調合材料をラフメルト容器の中に入れて加熱、熔融する。
ラフメルト容器は、白金製容器、白金合金製容器、石英製容器を用いることができる。中でも、熔解時におけるバッチ原料の熔解生成物に対して優れた耐蝕性を有する点で、白金製容器、白金合金製容器が好ましい。
ラフメルト時のバッチ原料の熔解温度(粗熔解温度)は、1000〜1400℃の範囲とすることが好ましい。ただし、溶存ガスの溶解度は熔融物の温度上昇とともに減少するため、清澄効果をより高める上から、ラフメルト工程における熔融物の温度は、リメルト工程におけるカレットの熔融温度と同じ、もしくはカレットの熔融温度以下であることが好ましく、特にリメルト工程における清澄温度よりも低くすることが好ましい。また、ラフメルト工程における熔解時間は坩堝の容量、バッチ原料の坩堝への投入量を考慮して適宜調整することができ、例えば、熔解時間を1〜20時間の範囲としてもよい。
ラフメルト工程における熔融は、熔融物の均質化を目的として、バブリングを伴うことが望ましい。ラフメルト時のバブリングは、調合材料が熔融した後は継続することが好ましい。また、バブリングに用いるガスは、必ずしも限定されるものではなく、公知のガスを用いることができ、市販のものや、生成したものを用いることができる。
本実施形態では、好ましくは、熔融中のバブリングは二酸化炭素を含むガスにより行う。二酸化炭素を含むガスを用いることにより、清澄性を改善するのに十分な溶存ガスを供給することができ、溶存ガス量が高く清澄性に優れたカレットを得ることができると考えられる。また、二酸化炭素を含むガスによれば、長時間のバブリングであっても、透過率の劣化および生産コストの増大を防止できる。
このような二酸化炭素を含むガスの二酸化炭素の含有量は、好ましくは10体積%以上、より好ましくは20体積%以上、さらに好ましくは30体積%以上、一層好ましくは40体積%以上、より一層好ましくは50体積%以上、さらに一層好ましくは60体積%以上、なお一層好ましくは70体積%以上、特に好ましくは80体積%以上、さらに特に好ましくは90体積%以上である。二酸化炭素の含有量は、高いほど好ましく、特に上記範囲とすることで、清澄改善効果を高めることができる。
(カレットを作製する工程s3)
次に、熔融物を急冷し、カレットを作製する。
熔融物の急冷方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を用いることができ、例えば、熔融物を水の中に滴下して冷却、固化してカレットを作製する方法や、熔融物を耐熱板上に流し出し、熔融物を冷却、固化し、固形物を粉砕してカレットを作製する方法等が挙げられる。
カレットはガラスからなるが、均質なガラスである必要はない。また、カレットは気泡を含むものであってもよい。さらに、バッチ原料の未熔解物を含むものであってもよい。カレットの組成、光学特性(例えば、屈折率、アッベ数など)は、カレットを再熔融して均質で泡を含まないガラスを作り、このガラスの組成、光学特性をそれぞれカレットの組成、光学特性とする。
カレットの大きさは、保管や移送、その他後の工程での取り扱いやすさを考慮して、適宜調整することができる。例えば、熔融物を水中に滴下する方法で作製する場合には、滴下量を調整することで、大きさを調整できる。また、熔融物を金属板上に流しだす方法で作製する場合には、得られたガラスを適当な大きさに砕くことで調整できる。
なお、分離化を防止する観点から、ラフメルト容器から熔融物を流出する間もバブリングを継続することが好ましい。さらにカレット中の溶存ガス量を高める観点から、バブリングは、二酸化炭素を含むガスにより行うことがより好ましい。
(カレットの屈折率測定s4)
熔融物の流出と並行し、ラフメルト容器から熔融物を一部掬い取って成形し、屈折率測定用のガラス試料とする。そして、このガラス試料の屈折率を測定し、得られた屈折率をカレットの屈折率とする。
カレットの屈折率測定は、必ずしも必須の工程ではないが、当該工程を経ることで、光学ガラスの特性制御が良好に行われる点で、当該工程を経ることが好ましい。
[リメルト工程P2]
ラフメルト工程は、カレット1を再熔融して光学ガラス2を得る工程である。
本実施形態に係るリメルト工程は、好ましくは、前記カレット1を調合する工程s5と、前記カレット1を加熱、再熔融する工程s6と、熔融ガラスの清澄を行う工程s7と、熔融ガラスの均質化を行う工程s8と、熔融物を成形する工程s9と、徐冷する工程s10とを、有する。
(カレット1を調合する工程s5)
カレットは、好ましくは事前に屈折率測定が行われており、屈折率の測定値が所望の値と等しい場合、カレットをそのまま調合カレットとする。一方、屈折率の測定値が所望の値からずれている場合、所望の値より高い屈折率を有するカレットと所望の値より低い屈折率を有するカレットを混合して、調合カレットとする。
本実施形態においてカレットは、好ましくは、溶存ガス量が高く清澄作用に優れたカレットであることが望ましい。すなわち、熔融工程(ラフメルト工程)において、熔融物内に二酸化炭素を含むガスよるバブリング行って作製されたカレットであることが好ましい。このようなカレットを用いることにより、例えば、リメルト工程における熔融物に、二酸化炭素を含むガスによるバブリングを行わない場合であっても、清澄工程において清澄性を改善することができる。
(カレット1を加熱、再熔融する工程s6)
次に、調合カレットを、リメルト容器の中に入れて加熱、熔融する。
リメルト容器は、白金製容器、白金合金製容器、石英製容器を用いることができる。中でも、熔解時における熔解生成物に対して優れた耐蝕性を有する点で、白金製容器、白金合金製容器が好ましい。
リメルト工程を行う装置としては、調合カレットの熔解、清澄、均質化を一つの坩堝中で行う再熔融装置のほか、複数の槽を備え、各槽内で熔解、清澄、均質化を行う再熔融装置を用いることもできる。
この装置は、調合カレットを熔解する熔解槽、熔解によって得られる熔融ガラスを清澄する清澄槽、清澄後に熔融ガラスを均質化するとともに成形に適した粘度に調整する作業槽、熔解槽から清澄槽へ熔融ガラスを流す連結パイプ、清澄槽から作業槽へ熔融ガラスを流す連結パイプ、作業槽内の熔融ガラスを流出するガラス流出パイプなどを備える。この装置で一つの容器内に仕切りを設けて熔解槽と清澄槽とに分けることもできる。
上記装置は、いずれも公知のものを使用すればよい。
リメルト工程における調合カレットの熔解温度(再熔解温度)は、1000〜1500℃の範囲にすることが好ましい。ただし、清澄効果をより高める上から、この再熔解温度を清澄温度よりも低くすることが好ましい。リメルト工程における熔解時間は坩堝の容量、調合カレットの坩堝への投入量を考慮して適宜調整することができ、例えば、再熔融時の熔解時間を2〜20時間の範囲としてもよい。
リメルト工程における熔融は、熔融物の均質化を目的として、バブリングを伴うことが望ましい。リメルト時のバブリングは、調合カレットが熔融した後は継続することが好ましい。また、バブリングに用いるガスは、必ずしも限定されるものではなく、公知のガスを用いることができ、市販のものや、生成したものを用いることができる。
本実施形態では、好ましくは、熔融中のバブリングは二酸化炭素を含むガスにより行う。二酸化炭素を含むガスを用いることで、清澄性を改善するのに十分な溶存ガスを供給することができ、リメルト工程以前の工程によらず、清澄工程では清澄性を改善することができると考えられる。また、二酸化炭素を含むガスによれば、長時間のバブリングであっても、透過率の劣化および生産コストの増大を防止できる。
さらに、ラフメルト工程において、熔融物内に二酸化炭素を含むガスをバブリングしたカレットを用いた場合には、カレット段階で補った溶存ガスを清澄工程の直前まで維持できると共に、溶存ガス量をさらに高めることもでき、清澄性の改善効果が高まると考えられる。
このような二酸化炭素を含むガスの二酸化炭素の含有量は、好ましくは10体積%以上、より好ましくは20体積%以上、さらに好ましくは30体積%以上、一層好ましくは40体積%以上、より一層好ましくは50体積%以上、さらに一層好ましくは60体積%以上、なお一層好ましくは70体積%以上、特に好ましくは80体積%以上、さらに特に好ましくは90体積%以上である。二酸化炭素の含有量は、高いほど好ましく、特に上記範囲とすることで、清澄改善効果を高めることができる。
(熔融ガラスの清澄工程s7)
カレットが完全に熔融し、均質な熔融ガラスが得られたら、バブリングを停止し、熔融ガラスの温度を上昇させ、清澄を行う。
清澄温度、すなわち、清澄工程における熔融ガラスの温度は1100〜1500℃の範囲にすることが好ましい。ただし、清澄効果をより高める上から、清澄温度をラフメルトおよびリメルト工程の熔解温度よりも高くすることが好ましい。清澄時間はガラス中に残存する泡の量が所要の量以下になるように、また、ガラスの着色が所望の値以下になるように定めればよい。清澄時間を長くすることは泡切れ効果を高める上では有効であるが、熔融ガラスを長時間、白金あるいは白金合金製の坩堝内に高温で保持することになるため、白金が熔融ガラス中に溶け込みガラスの着色が増大したり、ガラス中に白金異物が混入するという問題が生じやすくなる。
したがって、十分な泡切れ効果が得られる範囲で清澄時間を短くし、ガラスの着色を抑制することが好ましい。例えば、清澄時間を1〜10時間の範囲としてもよい。
(熔融ガラスの均質化工程s8)
清澄により熔融ガラス中の泡を熔融ガラス外へ排除した後、熔融ガラスの温度を低下させ、熔融ガラスを攪拌して均質化を行う。
均質化は清澄温度よりも低い温度に熔融ガラスを降温して行う。均質化工程では熔融ガラスを攪拌して均質化する。均質化工程は熔融ガラスを均質化するだけでなく、熔融ガラスを成形に適した粘度になるよう粘度を調整する工程でもある。均質化時間はガラスの均質度、例えば成形したガラスの脈理の有無を観察し、脈理が少なくなるあるいは無くなるように、そして、熔融ガラスが成形に適した粘度になるように、適宜調整すればよい。
(成形工程s9)
清澄・均質化した熔融ガラスをリメルト容器底部に取り付けたガラス流出パイプより流出し、鋳型中に流し込んでガラスを成形する。
ガラス流出パイプの温度は、流れる熔融ガラスが失透しない温度域であって、成形に適した粘度になるように調整、維持する。
原料の熔解、清澄、均質化を一つの坩堝中で行う方式では、ガラス流出パイプの一部を内部のガラスが固化するように冷却してパイプを閉鎖して熔解、清澄、均質化の各工程を行う。その後、パイプの冷却箇所を加熱してガラスを熔解し、パイプを開放して熔融ガラスを流出する。ガラス流出パイプの温度制御は公知の方法で行えばよい。
熔融ガラスの成形は、公知の方法で行えばよい。例えば熔融ガラスを鋳型に流し込み、成形する。あるいは熔融ガラスから熔融ガラス塊を分離してプレス成形する。あるいは熔融ガラスから熔融ガラス塊を分離して風圧を加えて浮上状態で成形する。
(徐冷工程s9)
次に、成形したガラスを徐冷し、歪を除去するとともに、屈折率を微調整して目的とする光学ガラスを得る。
成形ガラスの徐冷は、公知の方法で行えばよい。例えば、成形ガラスを、ガラス転移温度付近の温度で保持した後、所定の降温速度で冷却することにより、徐冷することができる。降温速度は、ガラス組成によっても異なるが、例えば0.1〜100℃/時とすることができる。
ガラス組成について
一般に、ガラスの清澄性は、ガラス組成に大きな影響を受ける。すなわち、清澄性は熔融物中の溶存ガス量に依存し、該溶存ガス量を増やせる原材料を選択することができれば、清澄性の問題は少ないからである。
通常、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩からなる原料は加熱、熔融時にCOx、NOx、SOxをそれぞれ発生させ、熔融物中の溶存ガス量を増加させる働きをする。しかし、ガラス組成によっては、化学的安定性や材料費等の観点から、酸化物原料を用いるのが一般的な添加成分もある。酸化物原料は加熱、熔融過程でガスを発生させないため、バッチ原料における、酸化物原料の割合が増すほど、溶存ガス量は低下し、清澄性も悪くなる傾向にある。
一方、原材料として亜ヒ酸を用いれば、強力な清澄効果により清澄性を改善することができる。しかし、環境負荷の低減の観点から、ガラスは実質的にAsを含まないことが好ましい。そのため、亜ヒ酸を用いずに、清澄性を改善する方法が求められていた。
本発明の製造方法によれば、上記のような酸化物原料の割合が高く、清澄性が悪いガラス組成であっても、清澄性を大幅に改善することができる。特に、本発明の効果は、清澄性が悪いガラス組成ほど、顕著となるため、例えば、以下のようなガラス組成を有するガラスの製造方法に好適である。以下、特記しない限りガラス成分の含有量は、ガラス100質量%中における質量%表示にて示す。
本実施形態に係るガラスは、好ましくはAsおよびPbを実質的に含有しない。なお、実質的に含有しないとは、不純物としての混入までも排除するものではない(以下において同じ)。
本発明は、熔融物に二酸化炭素を含むガスをバブリングすることにより清澄性を大幅に改善することができる。そのため、強力な清澄効果を有する亜ヒ酸を使用することなく、泡を含まない均質なガラスを製造することができ、環境負荷を低減することができる。
また、酸化鉛は、ガラス化時に白金と合金を形成し、熔融容器の耐久性を著しく損なう。また環境負荷を低減する観点からも、含有させないことが好ましい。
本実施形態に係るガラスは、好ましくは、高屈折率化成分(La、Gd、Y、Yb、Lu、Ti、Nb、W、ZrおよびTaの群から選択される少なくとも一種の元素の酸化物)を含有する。
一般的に使用されている高屈折率化成分に対応する原材料は、酸化物原料である。そのため、ガラス中の高屈折率化成分の含有量が増すほど、バッチ原料における酸化物原料の割合が増え、清澄性が悪化する傾向にある。
しかし、本発明のガラスの製造方法によれば、熔融物に二酸化炭素を含むガスをバブリングすることにより、熔融物中の溶存ガス量を補うことができ、原料バッチにおける酸化物原料の割合が増加した場合であっても、清澄性を大幅に改善することができる。そのため、本発明の製造方法は、例えば、清澄性の高く、屈折率の高い酸化物ガラスの製造に好適である。
好ましくは、高屈折率化成分の含有量は、La+Gd+Y+Yb+Lu+TiO+Nb+WO+ZrO+Ta換算で、40%以上、より好ましくは45%以上、さらに好ましくは50%以上、特に好ましくは60%以上である。高屈折率化成分の含有量が増すほど、清澄性は悪化する傾向にあるため、本発明の清澄性の改善効果は大きい。
高屈折率化成分の中でも、熱的安定性を維持しつつ、含有量を高めることができる観点で、Laが好ましい。Laの含有量は、熱的安定性を維持しつつ、屈折率を高める観点からも、15%以上とすることが好ましく、20%以上とすることがより好ましく、25%以上とすることがさらに好ましく、30%以上とすることが一層好ましい。
なお、ガラスの屈折率を高める成分としては、Biも知られているが、高温での熔融により還元し、白金と合金化しやすい問題がある。そのため、その含有量は、0〜5%とすることが好ましく、0〜2%とすることがより好ましく、0〜1%とすることがさらに好ましく、0〜0.1%とすることが一層好ましい。ガラスは、Biを実質的に含有しなくてもよい。
また、本実施形態に係るガラスは、好ましくはBを含有する。Bに対応する原料としては、ホウ酸を用いることができ、加熱、熔融時にHOの発生源となる。また、高屈折率化成分を多量に含むガラスを得る観点からも、ネットワーク形成成分としてBを含む組成が好ましい。
好ましくはBの含有量は1〜30%である。Bの含有量が、1%未満であるとガラスの熱的安定性が悪化する傾向を示し、Bの含有量が30%を超えると高屈折率化成分の合計含有量が低下し、屈折率が低下する。ガラスの熱的安定性を維持する上から、Bの含有量の好ましい下限は3%、より好ましい下限は4%、さらに好ましい下限は5%である。高屈折率ガラスを得る上からBの含有量の好ましい上限は25%、より好ましい上限は20%、さらに好ましい上限は15%である。
さらに、本実施形態に係るガラスは、好ましくは、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物およびZnOの群から選択される少なくとも一種の酸化物を含有する。アルカリ土類金属酸化物およびZnOに対応する原料としては、これらの金属の炭酸塩、硝酸塩などの塩を用いることができる。炭酸塩、硝酸塩は加熱、熔融時にCOx、NOxをそれぞれ発生させ、熔融物中の溶存ガス量を増加させる働きをする。
アルカリ金属酸化物としては、NaO、KOおよびLiOから選ばれる少なくとも1種の酸化物である。アルカリ土類金属酸化物としてはCaO、BaO、SrOおよびMgOから選ばれる少なくとも1種の酸化物である。
本発明の効果は、熔融物中の溶存ガス量を増加させる働きをする原材料が少ない場合に顕著となる。このようなガラスは、好ましくは、Bを1〜30%含み、任意成分としてアルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物およびZnOの群から選択される少なくとも一種の酸化物を含有し、B、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物およびZnOの合計含有量に対する前記高屈折率化成分の含有量の質量比が、{La+Gd+Y+Yb+Lu+TiO+Nb+WO+ZrO+Ta}/{B+アルカリ金属酸化物+アルカリ土類金属酸化物+ZnO}換算で、1.0以上であり、より好ましくは1.2以上であり、さらに好ましくは1.5以上であり、特に好ましくは1.6以上であり、最も好ましくは1.8以上である。このような熔融物中の溶存ガス量を増加させる働きをする原材料の少ないガラスでも、本発明によれば、ガラスの着色を増大させずに、優れた清澄性を実現することができ、特にガス発生源の少ないガラスの製造ほど本発明の効果は顕著になる。
この他、本発明の目的を損なわない範囲で、上記成分以外の成分を含有させてもよい。例えば、SiOは熱的安定性を維持し、熔融ガラスの粘度を調整するため、例えばその含有量を0〜10%とすることができる。原料の熔け残りを防止しつつ、ガラスの熱的安定性を維持する上から、B含有量よりSiO含有量を少なくすることが好ましい。
は、その含有量が3%を超えるとガラスの熱的安定性が低下することから、Pの含有量を0〜3%とすることが好ましく、0〜1%とすることがより好ましく、0〜0.5%とすることがさらに好ましく、0〜0.1%とすることが一層好ましい。Pを実質的に含有しなくてもよい。
GeOはガラスの熱的安定性を維持しつつ、屈折率を高める働きをする成分であるが、他の成分と比較し、非常に高価であることから、GeOの含有量を0〜5%とすることが好ましく、0〜3%とすることがより好ましく、0〜2%とすることがさらに好ましく、0〜1%とすることが一層好ましく、0〜0.1%とすることがより一層好ましい。GeOを実質的に含有しなくてもよい。
Ga、Inも高価な成分であることから、それぞれの含有量を0〜3%とすることが好ましく、0〜2%とすることがより好ましく、0〜1%とすることがさらに好ましく、0〜0.1%とすることが一層好ましい。Ga、In3を実質的に含有しなくてもよい。
TeOは環境負荷を低減するため、その含有量を0〜3%とすることが好ましく、0〜2%とすることがより好ましく、0〜1%とすることがさらに好ましく、0〜0.1%とすることが一層好ましい。TeOを実質的に含有しなくてもよい。
清澄剤として、Sb酸化物、Sn酸化物、Ce酸化物、硫酸塩を少量添加してもよいが、その添加量はSb、SnO、CeO、SOに換算し、いずれも1%以下とすることが好ましく、0.5%以下とすることがより好ましい。
As、Pb以外に環境負荷を低減する上から実質的に含有しないことが好ましい成分は、Cd、Cr、U、Thなどである。
本実施形態は着色の少ないガラスの製造に好適であるから、可視域に吸収を有する成分、例えば、Cu、Er、Eu、Nd、Pr、Ni、Cr、Tb、Feなどを実質的に含まないガラスの製造に好適である。
本実施形態は、屈折率ndが1.70以上のガラスの製造に好適であり、1.80以上のガラスの製造により好適であり、1.85以上のガラスの製造にさらに好適であり、1.90以上のガラスの製造に一層好適である。
光学素子の製造
上記のガラスの製造方法により作製した光学ガラスを使用して光学素子を作るには、公知の方法を適用すればよい。例えば、熔融ガラスを成形してプレス成形用ガラス素材を作製する。次に、このガラス素材を再加熱、プレス成形して光学素子ブランクを作製する。さらに光学素子ブランクを研削、研磨して光学素子を作製する。
あるいは、熔融ガラスを成形してプレス成形用ガラス素材を作製し、このガラス素材を加熱、精密プレス成形して光学素子を作製する。
上記の各工程において、熔融ガラスを成形してガラス成形体を作製し、ガラス成形体を加工してプレス成形用ガラス素材を作製してもよい。
あるいは、熔融ガラスを成形してガラス成形体を作製し、この成形体を加工して光学素子を作製する。
作製した光学素子の光学機能面には使用目的に応じて、反射防止膜、全反射膜などをコーティングしてもよい。
光学素子としては、球面レンズ、非球面レンズ、マクロレンズ、レンズアレイなどの各種レンズ、プリズム、回折格子などを例示することができる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこうした実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
例えば、本実施形態は光学ガラスの製造方法を例示しているが、優れた清澄性が求められるガラス製品であれば、光学素子によらず、種々のガラス製品の製造に好適に用いることができる。このようなガラス製品としては、例えば光学窓材、太陽電池用ガラス、カバーガラス等が挙げられる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
試料1−1について
[カレットおよび調合カレットの作製(ラフメルト工程)]
まず、所望の特性を備えた光学ガラスの原材料として、ホウ酸、酸化ケイ素、酸化ランタン、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウムおよび炭酸バリウムを準備し、得られる光学ガラスの組成が表1の酸化物組成1となるように原材料を秤量し、十分混合してバッチ原料を作製した。
Figure 0006018956
次にバッチ原料を、白金製坩堝に投入し、大気雰囲気中で1100〜1350℃で熔解して熔融物を得た。熔解中は、熔融物への二酸化炭素ガス(CO100体積%)のバブリングを行った。なお、ガスの流量は0.5リットル/分で、気泡の粒径は1〜10mm程度とした。
このようにして得られた熔融物を水中に滴下してカレットを得た。なお、熔融物を水中に滴下している最中もバブリングは継続した。
水中から取り出したカレットを乾燥させ、カレットの一部を屈折率測定用にサンプリングし、白金製坩堝に入れて熔解し、得られたガラス融液を清澄、均質化した後、鋳型に鋳込んで成形し、ガラス転移温度付近の温度で保持した後、30℃/時の降温速度で冷却した。このようにして得た屈折率測定用試料の屈折率ndを日本光学硝子工業会規格で定められた屈折率測定法により測定した。
次に、測定した屈折率ndに応じて、所望の屈折率となるようにカレットを調合し、光学ガラス製造用の調合カレットを得た。
[光学ガラスの作製(リメルト工程)]
次に、調合カレットを白金製坩堝に投入し、再熔融時の熔解温度を1200〜1400℃の範囲とし、調合カレットを大気雰囲気中で加熱、熔融して、熔融ガラスとした。その後、坩堝の温度を清澄温度(1250〜1450℃の範囲)にまで昇温し、清澄した後、坩堝の温度を均質化温度にまで降温し、攪拌器具で攪拌して均質化した後、坩堝底部に取り付けた白金製のガラス流出パイプより流出し、流出パイプの下方に配置した鋳型に流し込んで成形し、アニールして光学ガラス(試料1−1)を作製した。なお、再熔融時、熔融物へのバブリングは行わなかった。
このようにして得られた光学ガラスについて、組成および諸特性を、以下の方法で分析、測定した。
(1)ガラス組成
誘導結合プラズマ原子発光法(ICP−AES法)、イオンクロマトグラフフィー法により各成分の含有量を定量した。その結果、表1に示す設計組成と一致していることが確認された。
(2)屈折率ndおよびアッベ数νd
降温速度30℃/時間で降温して得られたガラスについて、日本光学硝子工業会規格の屈折率測定法により、屈折率nd、ng、nF、ncを測定した。これら屈折率の測定値より、アッベ数νdを算出した。その結果、屈折率ndは1.90、アッベ数νdは31.3であることが確認された。
(3)光学ガラス中の残留気泡密度
光学顕微鏡(倍率20〜100倍)を用いてガラス試料内部を拡大観察(100倍)で観察し、ガラス中に含まれる泡の数をカウントした。この泡の数をガラス試料の質量(kg単位)で割った値を、残留泡密度とした。本実施例では、残留泡密度は、好ましくは5個/kg以下を良好とし、さらに好ましくは3個/kg以下とした。結果を表2に示す。
(4)着色度λ70
両面が互いに平行かつ平坦に研磨された厚さ10mm±0.1mmの板状ガラス試料を用意し、研磨面に垂直方向から光を入射して、波長280nm〜700nmの範囲で表面反射損失を含む分光透過率を測定する。分光透過率が70%になる波長を着色度λ70とした。λ70の値が小さいほど、ガラスの着色は少ない。
本実施例では、最も小さいλ70の値を透過率基準値として、透過率基準値+15nm以下を良好とし、より好ましくは+12nm以下、さらに好ましくは透過率基準値+9nm以下、一層好ましくは透過率基準値+6nm以下、より一層好ましくは透過率基準値+2nm以下、特に好ましくは透過率基準値と同じ、とした。
なお、透過率はガラス組成によって異なるため、各組成での最も小さいλ70の値を、それぞれの組成における透過率基準値とした。また、残留泡密度が大きい試料では、正確な透過率を測定できないため、残留泡密度が良好な試料についてのみ透過率の測定を行った。
試料1−2〜1−4について
試料1−2は、ラフメルト工程に加えてリメルト工程においても、熔融物に二酸化炭素ガス(CO100体積%)のバブリングを行った以外は、試料1−1と同様にして作製した光学ガラスである。
試料1−3は、ラフメルト工程に代えて、リメルト工程において熔融物に二酸化炭素ガス(CO100体積%)のバブリングを行った以外は、試料1−1と同様にして作製した光学ガラスである。
試料1−4は、ラフメルト工程において、熔融物に二酸化炭素ガス(CO100体積%)バブリングを行わなかった以外は、試料1−1と同様にして作製した光学ガラスである。すなわち、試料1−4は、ラフメルト工程およびリメルト工程のいずれにおいても、熔融物に二酸化炭素ガスによるバブリングを行わなかった。
試料1−2〜1−4を評価した結果、各試料ともガラス組成、屈折率ndおよびアッベ数νdは、試料1−1と同様であることが確認された。その他の結果を表2に示す。
Figure 0006018956
表2に示されるように、ラフメルト工程およびリメルト工程のうち少なくともいずれか一方における熔融物内に、二酸化炭素を含むガスのバブリングを行った場合には(試料1−1〜1−3)、着色度λ70の値を405nmに維持しつつ、優れた清澄性が確認された。
一方、ラフメルト工程およびリメルト工程のいずれにおいても、熔融物に二酸化炭素を含むガスのバブリングを行わなかった場合には(試料1−4)、清澄性が悪化していることが確認された。
なお、試料1−1〜1−4は白金製坩堝を使用して作製したため、微量の白金イオンがガラスに溶け込んでいる。試料1−1〜1−4の白金含有量を測定したところ、試料1−4と比較して、試料1−1〜1−3の白金含有量は大幅に少なかった。これはバブリングにより白金製坩堝の酸化が抑制されたことによると考えられる。
試料1−5および1−6について
試料1−5は、熔融物にバブリングするガスを、二酸化炭素ガス(CO100体積%)から酸素ガス(O100体積%)に変更した以外は、試料1−1と同様にして作製した光学ガラスである。
試料1−6は、熔融物にバブリングするガスを、二酸化炭素ガス(CO100体積%)からアルゴンガス(Ar100体積%)に変更した以外は、試料1−1と同様にして作製した光学ガラスである。
試料1−5および1−6を評価した結果、各資料ともガラス組成、屈折率ndおよびアッベ数νdは、試料1−1と同様であることが確認された。その他の結果を表3に示す。
Figure 0006018956
本発明に係る製造方法によれば、二酸化炭素を含むガスを用いてバブリングを行うため、着色度を増加させることなく、優れた清澄改善効果を得ることができる(試料1−1等)。
これに対し、表3に示されるように、酸素ガスを用いてバブリングを行った場合には(試料1−5)、本発明に係る製造方法により得られた光学ガラスと比較して、着色度が著しく増大していることが確認された。
また、アルゴンガスを用いてバブリングを行った場合には(試料1−6)、着色度λ70が増大するとともに、清澄性の改善効果が十分に得られないことが確認された。
(実施例2)
次に、所望の特性を備えた光学ガラスの原材料として、ホウ酸、酸化ケイ素、酸化ランタン、酸化ガドリウム、酸化イットリウム、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化亜鉛を準備し、得られる光学ガラスの組成が表4の酸化物組成2および3となるよう原材料を秤量し、十分混合してそれぞれのバッチ原料を作製した。
Figure 0006018956
試料2−1〜2−6について
実施例1のバッチ原料(酸化物組成1)に換えて、酸化物組成2のバッチ原料を用いた以外は、実施例1と同様の方法および条件にて光学ガラス(試料2−1〜2−6)を作製し、同様の評価を行った。
評価の結果、各試料とも、表4に示す設計組成(酸化物組成2)と一致していること、屈折率ndが1.95であり、アッベ数νdが32.3であることが確認された。その他の結果を表5および6に示す。
試料3−1〜3−6について
次に、実施例1のバッチ原料(酸化物組成1)に換えて、酸化物組成3のバッチ原料を用いた以外は、実施例1と同様の方法および条件にて光学ガラス(試料3−1〜3−6)を作製し、同様の評価を行った。
評価の結果、各試料とも、表4に示す設計組成(酸化物組成3)と一致していること、屈折率ndが1.90であり、アッベ数νdが36.4であることが確認された。その他の結果を表5および6に示す。
Figure 0006018956
Figure 0006018956
表5に示されるように、ラフメルト工程およびリメルト工程のうち少なくともいずれか一方における熔融物内に、二酸化炭素を含むガスのバブリングを行った場合には(試料2−1〜2−3、試料3−1〜3−3)、着色度λ70の増大を抑えつつ、優れた清澄性が確認された。
一方、ラフメルト工程およびリメルト工程のいずれにおいても、熔融物に二酸化炭素を含むガスのバブリングを行わなかった場合には(試料2−4、試料3−4)、清澄性が悪化していることが確認された。
また、表6に示されるように、バブリングガスを二酸化炭素ガスから酸素ガスに換えた場合には(試料2−5、試料3−5)、本発明に係る製造方法により得られた光学ガラスと比較して、残留泡密度が増加し、特に着色度λ70が大幅に増加する(ガラスの着色が増大する)ことが確認された。
また、バブリングガスを二酸化炭素ガスからアルゴンガスに換えた場合には(試料2−6、試料3−6)、本発明に係る製造方法により得られた光学ガラスと比較して、残留泡密度が大幅に増加し、ガラスの着色も増大することが確認された。
なお、各試料の白金含有量を測定したところ、二酸化炭素ガス(CO100体積%)をバブリングして作製した試料(試料2−1〜2−3、3−1〜3−3)に含まれる白金含有量は、二酸化炭素ガスによるバブリングをしなかった試料(試料2−4〜2−5、試料3−4〜3−5)の白金含有量より大幅に少なかった。これはバブリングにより白金製坩堝の酸化が抑制されたことによると考えられる。
(実施例3)
次に、所望の特性を備えた光学ガラスの原材料として、ホウ酸、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化ランタン、酸化ジルコニウムおよび酸化ニオブを準備し、得られる光学ガラスの組成が表7の酸化物組成4となるよう原材料を秤量し、十分混合してバッチ原料を作製した。
Figure 0006018956
試料4−1および4−2について
実施例1のバッチ原料(酸化物組成1)に換えて、酸化物組成4のバッチ原料を用いた以外は、実施例1の試料1−1および1−4と同様の方法および条件にて光学ガラス(試料4−1および試料4−2)を作製し、同様の評価を行った。
なお、試料4−1および試料4−2の着色度の評価については、λ80で評価した。着色度λ80の測定法は次のとおりである。
両面が互いに平行かつ平坦に研磨された厚さ10mm±0.1mmの板状ガラス試料を用意し、研磨面に垂直方向から光を入射して、波長280nm〜700nmの範囲で表面反射損失を含む分光透過率を測定する。分光透過率が80%になる波長を着色度λ80とした。λ80の値が小さいほど、ガラスの着色は少ない。
一般に屈折率の高いガラスでは、光の表面反射損失が大きくなるため、分光透過率が70%になる波長、すなわち、λ70で着色度を示す。一方、試料4−1および試料4−2のように屈折率が高くないガラスでは、光の表面反射損失が高屈折率ガラスよりも小さくなるため、λ80により着色度を示す。
評価の結果、試料4−1および試料4−2はともに、表7に示す設計組成(酸化物組成4)と一致していること、屈折率ndが1.69であり、アッベ数νdが53.3であることが確認された。その他の結果を表8に示す。
Figure 0006018956
表8に示されるように、そもそも高屈折率化成分が少ない場合には、清澄性の問題は比較的小さいことが確認できる(試料4−2)。しかし、高屈折率化成分少ない場合であっても、本発明に係る製造方法により二酸化炭素を含むガスのバブリングを行うことで、清澄性が改善させることも確認できた(試料4−1)。
一方、高屈折率化成分が多い場合には、清澄性の問題が顕著であるため(試料4)、本発明に係る製造方法により二酸化炭素を含むガスのバブリングを行うことで、清澄性が大幅に改善されることが確認された(試料1−1、試料2−1、試料3−1)。
(実施例4)
試料1−1〜1−3、試料2−1〜2−3、試料3−1〜3−3の各光学ガラスを加熱、軟化してプレス成形し、レンズ形状に近似するレンズブランクを作製した。次に、レンズブランクをアニールし、研削、研磨して各光学ガラスからなる光学レンズを製造した。
なお、ガラスのプレス成形方法、レンズブランクのアニール方法、研削方法、研磨方法には、いずれも公知の方法を用いた。
このようにして作製したレンズには泡などの欠陥は含まれておらず、同等の屈折率値を有するものと比較し、着色は少なかった。
(実施例5)
試料1−1xについて
次に、実施例1のラフメルト工程において、熔融物への二酸化炭素ガスのバブリングは行わずに、これに換えて熔融雰囲気への二酸化炭素ガスの付加を行った以外は、実施例1と同様の方法にて光学ガラス(試料1−1x)を作製した。
熔融雰囲気への二酸化炭素ガスの付加は、溶融炉内に二酸化炭素ガス(CO100体積%)を、5リットル/分で供給し続けることによって行った。そのため、熔融炉内のCO分圧は大気雰囲気中のCO分圧より高くなっている。
なお、二酸化炭素ガスの供給は、バッチ原料を白金製坩堝に投入する前から開始し、熔融炉内に十分に二酸化炭素ガスが供給された後、バッチ原料の熔解を開始し、得られた熔融物を水中に滴下している最中も二酸化炭素ガスの供給は継続した。
このようにして得られた光学ガラスについて、組成および諸特性を、以下の方法で分析、測定した。
(1)ガラス組成
誘導結合プラズマ原子発光法(ICP−AES法)、イオンクロマトグラフフィー法により各成分の含有量を定量した。その結果、表1に示す設計組成と一致していることが確認された。
(2)屈折率ndおよびアッベ数νd
降温速度30℃/時間で降温して得られたガラスについて、日本光学硝子工業会規格の屈折率測定法により、屈折率nd、ng、nF、ncを測定した。これら屈折率の測定値より、アッベ数νdを算出した。その結果、屈折率ndは1.90、アッベ数νdは31.3であることが確認された。
(3)光学ガラス中の残留気泡密度
光学顕微鏡(倍率20〜100倍)を用いてガラス試料内部を拡大観察(100倍)で観察し、ガラス中に含まれる泡の数をカウントした。この泡の数をガラス試料の質量(kg単位)で割った値を、残留泡密度とした。なお、本実施例(実施例5)では、残留泡密度は、好ましくは20個/kg以下を良好とした。結果を表9に示す。
(4)着色度λ70
両面が互いに平行かつ平坦に研磨された厚さ10mm±0.1mmの板状ガラス試料を用意し、研磨面に垂直方向から光を入射して、波長280nm〜700nmの範囲で表面反射損失を含む分光透過率を測定する。分光透過率が70%になる波長を着色度λ70とした。λ70の値が小さいほど、ガラスの着色は少ない。
本実施例では、最も小さいλ70の値を透過率基準値として、透過率基準値+15nm以下を良好とし、より好ましくは+12nm以下、さらに好ましくは透過率基準値+9nm以下、一層好ましくは透過率基準値+6nm以下、より一層好ましくは透過率基準値+2nm以下、特に好ましくは透過率基準値と同じ、とした。
なお、透過率はガラス組成によって異なるため、各組成での最も小さいλ70の値を、それぞれの組成における透過率基準値とした。本実施例では、実施例1の試料1−1を透過率基準値とした。また、残留泡密度が大きい試料では、正確な透過率を測定できないため、残留泡密度が良好な試料についてのみ透過率の測定を行った。
試料1−2x〜1−4xについて
試料1−2xは、ラフメルト工程に加えてリメルト工程においても、熔融雰囲気への二酸化炭素ガスの付加を行った以外は、試料1−1xと同様にして作製した光学ガラスである。
試料1−3xは、ラフメルト工程に代えて、リメルト工程において、熔融雰囲気への二酸化炭素ガスの付加を行った以外は、試料1−1xと同様にして作製した光学ガラスである。
試料1−4xは、ラフメルト工程において、熔融雰囲気への二酸化炭素ガスの付加を行わなかった以外は、試料1−1xと同様にして作製した光学ガラスである。すなわち、試料1−4xは、ラフメルト工程およびリメルト工程のいずれにおいても、熔融雰囲気への二酸化炭素ガスの付加は行わなかった。
なお、試料1−1x〜1−4xは全て、ラフメルト工程およびリメルト工程のいずれにおいても、熔融物への二酸化炭素ガスのバブリングは行っていない。
試料1−2x〜1−4xを評価した結果、各試料ともガラス組成、屈折率ndおよびアッベ数νdは、試料1−1xと同様であることが確認された。その他の結果を表9に示す。
Figure 0006018956
表9に示されるように、ラフメルト工程およびリメルト工程のうち少なくともいずれか一方において、熔融雰囲気への二酸化炭素ガスの付加を行った場合には(試料1−1x〜1−3x)、着色度λ70の値を良好に維持しつつ、清澄性の向上が確認された。
一方、ラフメルト工程およびリメルト工程のいずれにおいても、熔融雰囲気への二酸化炭素ガスの付加を行わなかった場合には(試料1−4x)、清澄性が悪化していることが確認された。
なお、試料1−1x〜1−4xの白金含有量を測定したところ、試料1−4と比較して、試料1−1x〜1−3xの白金含有量は大幅に少なかった。これは熔融雰囲気への二酸化炭素ガスの付加により白金製坩堝の酸化が抑制されたことによると考えられる。
これらの結果から、ラフメルト工程およびリメルト工程のうち少なくともいずれか一方において、熔融雰囲気への二酸化炭素ガスの付加することによっても、熔融物内に二酸化炭素ガスをバブリングするのと同様の清澄性の改善効果や白金製坩堝の酸化防止効果が得られることが確認された。
なお、表2および表9に示されるように、特に清澄性の改善効果は、熔融物内に二酸化炭素ガスをバブリングした場合の方が、効果的である。
最後に本実施の形態について総括する。
本実施の形態の好ましいものは、調合材料を熔融してカレットを得るラフメルト工程と、
前記カレットを再熔融してガラスを得るリメルト工程と、を有するガラスの製造方法であって、
前記ラフメルト工程および前記リメルト工程のうち少なくともいずれか一方における熔融物内に、二酸化炭素を含むガスをバブリングするガラスの製造方法である。
本実施の形態において、少なくともラフメルト工程における熔融物に、二酸化炭素を含むガスをバブリングする方法が好ましい。
本実施の形態において、二酸化炭素を含むガスが、10体積%以上の二酸化炭素を含む方法が好ましい。
本実施の別形態の好ましいものは、調合材料を熔融してカレットを得るラフメルト工程と、
前記カレットを再熔融してガラスを得るリメルト工程と、を有するガラスの製造方法であって、
前記ラフメルト工程および前記リメルト工程のうち少なくともいずれか一方における熔融雰囲気に二酸化炭素を付加するガラスの製造方法である。
本実施の形態において、少なくともラフメルト工程における熔融物に、熔融雰囲気に二酸化炭素を付加する方法が好ましい。
本実施の形態において、ガラスは、AsおよびPbを実質的に含有しないことが好ましい。
本実施の形態において、ガラスは、高屈折率化成分(La、Gd、Y、Yb、Lu、Ti、Nb、W、ZrおよびTaの群から選択される少なくとも一種の元素の酸化物)を含有し、
ガラス100質量%中の高屈折率化成分の含有量が、La+Gd+Y+Yb+Lu+TiO+Nb+WO+ZrO+Ta換算で、40質量%以上である方法が好ましい。
本実施の形態において、ガラスは、Bを含有し、
ガラス100質量%中のBの含有量が、1〜30質量%である方法が好ましい。中でも、ガラスは、さらに、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物およびZnOの群から選択される少なくとも一種の酸化物を含有し、
前記ガラス100質量%中において、
、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物およびZnOの合計含有量に対する前記高屈折率化成分の含有量の質量比が、
{La+Gd+Y+Yb+Lu+TiO+Nb+WO+ZrO+Ta}/{B+アルカリ金属酸化物+アルカリ土類金属酸化物+ZnO}換算で、1.0以上である方法が好ましい。
また本実施の形態の好ましいものは、残留泡密度が5個/kg以下のガラスを製造するガラスの製造方法であり、さらに好ましくは残留泡密度が3個/kg以下のガラスを製造するガラスの製造方法である。
また本実施の形態の好ましいものは、白金製熔融容器または白金合金製熔融容器を用いてラフメルト工程を行うガラスの製造方法である。
また本実施の形態の好ましいものは、白金製熔融容器または白金合金製熔融容器を用いてリメルト工程を行うガラスの製造方法である。
また本実施の形態の好ましいものは、屈折率ndが1.70以上のガラスを製造する方法であり、より好ましくは屈折率ndが1.80以上のガラスの製造方法であり、さらに好ましくは屈折率ndが1.85以上のガラスの製造方法であり、一層好ましくは屈折率ndが1.90以上のガラスの製造方法である。
また本実施の形態の好ましいものは、Biの含有量が0〜5質量%であるガラスの製造方法であり、より好ましくはBiの含有量が0〜2質量%であるガラスの製造方法であり、さらに好ましくはBiの含有量が0〜1質量%であるガラスの製造方法であり、一層好ましくはBiの含有量が0〜0.1質量%であるガラスの製造方法であり、より一層好ましくはBiを実質的に含有しないガラスの製造方法である。
また本実施の形態の好ましいものは、光学ガラスの製造方法である。
上記の各実施の形態は、任意の組合せが可能であり、組合せによって、より好ましい実施の形態が得られる。
さらに別の実施の形態の好ましいものは、上記いずれかの製造方法によりガラスを製造する工程と、
ガラスを成形または加工する工程と、を有する光学素子の製造方法である。
本実施の形態において、ガラスを製造する工程が、熔融ガラスを成形してプレス成形用ガラス素材を作製する工程であり、このガラス素材を再加熱、プレス成形して光学素子ブランクを作製し、この光学素子ブランクを研削、研磨して光学素子を製造する方法が好ましい。
本実施の形態において、ガラスを製造する工程が、熔融ガラスを成形してプレス成形用ガラス素材を作製する工程であり、このガラス素材を加熱、精密プレス成形して光学素子を製造する方法が好ましい。
本実施の形態において、ガラスを製造する工程が、熔融ガラスを成形してガラス成形体を作製する工程であり、このガラス成形体を加工してプレス成形用ガラス素材を作製し、このプレス成形用ガラス素材を再加熱、プレス成形して光学素子ブランクを作製し、この光学素子ブランクを研削、研磨して光学素子を製造する方法が好ましい。
本実施の形態において、ガラスを製造する工程が、熔融ガラスを成形してガラス成形体を作製する工程であり、このガラス成形体を加工してプレス成形用ガラス素材を作製し、このプレス成形用ガラス素材を加熱、精密プレス成形して光学素子を製造する方法が好ましい。
本実施の形態において、ガラスを製造する工程が、熔融ガラスを成形してガラス成形体を作製する工程であり、この成形体を加工して光学素子を製造する方法が好ましい。
本実施の形態において、ガラスを製造する工程が光学ガラスを製造する工程であることが好ましい。
上記の各実施の形態は、任意の組合せが可能であり、組合せによって、より好ましい実施の形態が得られる。
別の実施の形態は、原料を調合してバッチ原料を準備する工程と、
前記バッチ原料を加熱、熔融する工程と、
熔融物を急冷し、カレットを得る工程と、を有するカレットの製造方法であって、
熔融工程において熔融物内に、二酸化炭素を含むガスをバブリングするカレットの製造方法である。
本実施の形態において、二酸化炭素を含むガスが、10体積%以上の二酸化炭素を含む方法が好ましい。
本実施の形態において、カレットは、AsおよびPbを実質的に含有しないことが好ましい。
本実施の形態において、カレットは、高屈折率化成分(La、Gd、Y、Yb、Lu、Ti、Nb、W、ZrおよびTaの群から選択される少なくとも一種の元素の酸化物)を含有し、
カレット100質量%中の高屈折率化成分の含有量が、La+Gd+Y+Yb+Lu+TiO+Nb+WO+ZrO+Ta換算で、40質量%以上である方法が好ましい。
本実施の形態において、カレットは、Bを含有し、
カレット100質量%中のBの含有量が、1〜30質量%である方法が好ましい。中でも、カレットは、さらに、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物およびZnOの群から選択される少なくとも一種の酸化物を含有し、
カレット100質量%中において、
、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物およびZnOの合計含有量に対する前記高屈折率化成分の含有量の質量比が、
{La+Gd+Y+Yb+Lu+TiO+Nb+WO+ZrO2+Ta}/{B+アルカリ金属酸化物+アルカリ土類金属酸化物+ZnO}換算で、1.0以上である方法が好ましい。
また本実施の形態の好ましいものは、白金製熔融容器または白金合金製熔融容器を用いてラフメルト工程を行うカレットの製造方法である。
また本実施の形態の好ましいものは、屈折率ndが1.70以上のカレットを製造する方法であり、より好ましくは屈折率ndが1.80以上のカレットの製造方法であり、さらに好ましくは屈折率ndが1.85以上のカレットの製造方法であり、一層好ましくは屈折率ndが1.90以上のカレットの製造方法である。
また本実施の形態の好ましいものは、Biの含有量が0〜5質量%であるカレットの製造方法であり、より好ましくはBiの含有量が0〜2質量%であるカレットの製造方法であり、さらに好ましくはBiの含有量が0〜1質量%であるカレットの製造方法であり、一層好ましくはBiの含有量が0〜0.1質量%であるカレットの製造方法であり、より一層好ましくはBiを実質的に含有しないカレットの製造方法である。
また本実施の形態の好ましいものは、光学ガラス製造用カレットの製造方法である。
上記の各実施の形態は、任意の組合せが可能であり、組合せによって、より好ましい実施の形態が得られる。

Claims (13)

  1. 調合材料を熔融してカレットを得るラフメルト工程と、
    前記カレットを再熔融してガラスを得るリメルト工程と、を有するガラスの製造方法であって、
    前記ラフメルト工程および前記リメルト工程のうち少なくともいずれか一方において、
    熔融物内に10体積%以上の二酸化炭素を含むガスをバブリングする処理を行うガラスの製造方法。
  2. 少なくとも前記ラフメルト工程において、熔融物内に10体積%以上の二酸化炭素を含むガスをバブリングする請求項に記載のガラスの製造方法。
  3. 前記ガラスは、AsおよびPbを含有しない請求項1または2に記載のガラスの製造方法。
  4. 前記ガラスは、高屈折率化成分(La、Gd、Y、Yb、Lu、Ti、Nb、W、ZrおよびTaの群から選択される少なくとも一種の元素の酸化物)を含有し、
    前記ガラス100質量%中の前記高屈折率化成分の含有量が、La+Gd+Y+Yb+Lu+TiO+Nb+WO+ZrO+Ta換算で、40質量%以上である請求項1〜3のいずれかに記載のガラスの製造方法。
  5. 前記ガラスは、Bを含有し、
    前記ガラス100質量%中のBの含有量が、1〜30質量%である請求項に記載のガラスの製造方法。
  6. 前記ガラスは、さらに、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物およびZnOの群から選択される少なくとも一種の酸化物を含有し、
    前記ガラス100質量%中において、
    、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物およびZnOの合計含有量に対する前記高屈折率化成分の含有量の質量比が、
    {La+Gd+Y+Yb+Lu+TiO+Nb+WO+ZrO+Ta}/{B+アルカリ金属酸化物+アルカリ土類金属酸化物+ZnO}換算で、1.0以上である請求項に記載のガラスの製造方法。
  7. 前記ガラスの屈折率ndが1.70以上である請求項1〜6のいずれかに記載のガラスの製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法によりガラスを製造する工程と、
    前記ガラスを成形または加工する工程と、を有する光学素子の製造方法。
  9. 原料を調合してバッチ原料を準備する工程と、
    前記バッチ原料を加熱、熔融する工程と、
    熔融物を急冷し、カレットを得る工程と、を有するカレットの製造方法であって、
    熔融工程において、熔融物内に10体積%以上の二酸化炭素を含むガスをバブリングする処理を行うカレットの製造方法。
  10. 前記カレットは、高屈折率化成分(La、Gd、Y、Yb、Lu、Ti、Nb、W、ZrおよびTaの群から選択される少なくとも一種の元素の酸化物)を含有し、
    前記カレット100質量%中の高屈折率化成分の含有量が、La +Gd +Y +Yb +Lu +TiO +Nb +WO +ZrO +Ta 換算で、40質量%以上である請求項9に記載のカレットの製造方法。
  11. 前記カレットは、B を含有し、
    前記カレット100質量%中のB の含有量が、1〜30質量%である請求項10に記載のカレットの製造方法。
  12. 前記カレットは、さらに、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物およびZnOの群から選択される少なくとも一種の酸化物を含有し、
    前記カレット100質量%中において、
    、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物およびZnOの合計含有量に対する前記高屈折率化成分の含有量の質量比が、
    {La +Gd +Y +Yb +Lu +TiO +Nb
    +WO +ZrO2+Ta }/{B +アルカリ金属酸化物+アルカリ土類金属酸化物+ZnO}換算で、1.0以上である請求項11に記載のカレットの製造方法。
  13. 前記カレットの屈折率ndが1.70以上である請求項1〜12のいずれかに記載のカレットの製造方法。
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