JP2010030881A - バブリング装置、ガラス物品の製造方法及びガラス熔融装置 - Google Patents

バブリング装置、ガラス物品の製造方法及びガラス熔融装置 Download PDF

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Abstract

【課題】微細な気泡を脱泡でき、長期に亘り気泡径に変動の少ない気泡を形成できる経済的なバブリング装置と、このバブリング装置によるガラス物品の製造方法、及びガラス熔融装置を提供する。
【解決手段】バブリング装置10は、少なくとも1以上の気体噴出口40を有する耐熱外郭部30により周囲を囲われた気体滞留部31内へと気体を導入する気体導入管20が設けられ、耐熱外郭部30が、気体噴出口40と離間して配された気体噴出を補助する開放口33aを有してなる。製造方法は、熔融工程と、均質化工程と、成形工程を有し、均質化工程が、本発明の少なくとも1つのバブリング装置10により気泡を形成する。ガラス熔融装置は、ガラス原料投入口と、熔融ガラス流出口を有するガラス熔融槽よりなり、バブリング装置10の気体噴出口40の開口端位置が、原料投入口から流出口に至るまでの直線距離の2割以上8割以下の範囲内に配する。
【選択図】図1

Description

本発明は、泡欠陥数を減少させてガラス物品の均質性を向上させるために使用されるバブリング装置と、このバブリング装置を使用するガラス物品の製造方法、さらにこのバブリング装置を配したガラス熔融装置に関する。
付加価値の高い性能を有するガラスは、数多くの電子産業や情報産業で必要不可欠な材料であり、これらの先端産業ばかりでなく日常生活においても欠くことのできないものの一つである。このようなガラス物品を製造する際に、最も注意を払われるのは、ガラスに要求される透光性等の光学性能、膨張係数等の熱的性能、さらに電気抵抗等の電気的性質等、様々な所望の性能を実現できるように設計された所定のガラス組成を有するガラス物品を設計に従って忠実に得ることである。また要求性能以外にも満足すべき基本的な外観品位が幾つかある。このようなガラス物品が求められる基本的な外観品位の一つは、製造時に気泡が混入しない状態で、求められる精密形状となるように成形することである。泡欠陥は、ガラス物品中に混入することによって問題視される欠陥であり、単に外観上の見栄えが悪いといったものから、泡が混入することによって重視される光学性能などに致命的な影響を及ぼすものまで様々であるが、いずれも製造されたガラス物品の歩留まりを低下させ、その結果ガラス物品の原価を高騰させる要因となるものである。
こうした影響を排除すべく、これまでにも泡欠陥の発生を抑止するための工夫が行われてきた。その方法の一つは、清澄剤と呼ばれる微量添加物をガラス原料中に加えて熔融し、成形されるガラス物品中に混入することになる泡欠陥を減少させるというものである。他の方法としては、バブリング装置等をガラス熔融炉内に配設して気体を供給することにより、熔融ガラス中に存在する微細な気泡を比較的大きい気泡とともに浮上させて脱泡するというものである。しかしながら前者の清澄剤を使用する方法は、本来ガラス物品が求められる性能を実現するためには不要であり、むしろ弊害をもたらす場合もある微量添加物をガラス物品中に添加することになるため、より好ましくは後者の方法によって熔融ガラス中の気泡を脱泡する方が好ましいのは明らかである。このような観点からこれまでにも数多くの熔融ガラスのバブリングに係わる発明が行われてきた。
例えば、特許文献1には、熔融ガラス中に気泡を形成するバブリングノズルの開口面積を円形口に換算した場合の直径に対するバブリングノズル中の実質的に同一の内孔断面積を有する長さの比率が、1×10−5から3×10−2の範囲内にするという発明が開示されている。この発明は、生じる泡径を小さくしてバブリングによって副次的に発生した脱泡されがたい微細な気泡の生成を抑止するというものである。
特許文献2には、熔融ガラス中に、直径が1mm〜50mmの球体に相当する範囲内で所望の容積を有する略球欠形状の気泡予備体を吹き出し口に形成する気体供給部と、該気泡予備体を1mm〜50mmの所望の直径を有する略球形状の気泡として切り離す気泡容積調節部とを有する熔融ガラス中の気泡形成装置が開示されている。この発明は、この気体形成装置を用いることによって、微細な気泡のない熔融ガラス状態を維持し、安定した大量生産を可能とするというものである。
特許文献3には、熔融ガラスの上方から熔融ガラス中に浸漬されたバブラーを使用し、ガラスの熔融中に一度バブリングを停止した後であっても、バブリングノズルが詰まる等の問題を生じることなく容易にバブリングが再開できるという発明が開示されている。
特許文献4には、ガラス熔融炉中の熔融ガラス液面下に設置したバブリングノズルから熔融ガラス中に気泡を断続的に供給し、気泡により熔融ガラスを撹拌清澄する方法に関するものである。この発明の開示内容は、まずバブリングノズルへのガス供給管路に圧力検出器を設けて管路内のガス圧力の変動を検出し、検出されたガス圧力の変動に基づきバブリングノズルにおける気泡の単位時間当りの発生数をパルス計数器により計数する。次いで、気泡の発生数を標準気泡発生数と比較してその差に対応する制御信号を発生し、ガス供給管路に供給されるガスの圧力流量を気泡発生数が標準気泡発生数に近づくように制御するというものである。
特開2006−321704号公報 特開2006−232560号公報 特開平11−349335号公報 特開昭60−112628号公報
しかしながら、熔融ガラス中に微細な気泡のない均質な状態を実現するためには、これまで行われてきた発明だけでは十分とは言えない。熔融ガラス中に気泡中の気体成分を拡散させる目的で、泡径の小さい気泡を熔融ガラス中で連続して形成する場合には、特許文献1に記載した装置を使用すればよい。しかし、要求される性能を満足するために様々な難熔融性のガラス組成物が発明されている。このような難熔融性のガラス組成物は、従来と同様の温度で加熱しても粘性を十分に低下させ難い場合もある。気泡を形成する環境が高温状態であり、そのため高い粘性で流動する熔融ガラス中で清澄を行うという条件が加わる場合には、この特許文献1で対象とした泡径よりも、さらに大きな径を有する気泡、具体的には10mm〜100mm程度の気泡を、しかもその泡径が変動することなく連続して形成することが必要であるが容易には実現できない。このため形成された気泡が熔融ガラス中に存在する微細な気泡を取り込むことによって清澄を実現することは、非常に困難なものとなる。
例えば、泡径を大きくするためにノズル径を大きくすることは有効なものと思えるが、ノズル径を大きくするとノズルの孔内部への熔融ガラスの流入現象が生じ易くなる。すなわち1つの泡がノズル先端から離脱して浮上し始める際に、次の泡が形成されるまでの間にノズルの孔内部への熔融ガラスの流入が生じ易くなる。このような現象が生じると、流入した熔融ガラスがノズル孔内で冷却、固化することによってノズル孔の閉塞や、ガラスのノズル内部壁面への付着に伴う実質ノズル径の変化が生じる。そしてこのようなノズル孔径の変化は、経時的な泡径の変動の原因となるのである。また、ノズルへのガス流入圧を上げると気泡成長時にガスが大量に流入することになるため、泡径を大きくすることには繋がるが、熔融ガラスが流動する環境下において気体流入量を一定範囲内となるように管理して円滑に制御することは困難であり、形成される気泡の泡径を安定させることは容易ではない。
このように形成される気泡の泡径に変動が生じると、次々に形成された前後の気泡の浮上速度の違いから、浮上途中における2以上の気泡同士の熔融ガラス中における合体が生じ易くなる。そして、このような気泡の合体の際に、気泡位置やその寸法の違い、さらに熔融ガラスの流動等の影響によって2以上の気泡が完全に合体することができず、その結果複数の微細径の気泡が新たに生じることになる。こうして、熔融ガラス中の微細な気泡を除去しようとして行っているバブリングが、新たな微細な気泡の生成原因となってしまう。よって、新たに生成した微細な気泡が、ガラス物品の成形までに清澄されなければガラス物品の品質を低下する問題に繋がるという矛盾に直面することになるのである。
また特許文献4に開示されたように、バブリングの気体の流入量を制御するために電磁弁により気体の供給圧を変動させて、気泡の泡径を変える方法も提案されてはいるが、このような制御方法を採用すると、高価な装置を必要とするものとなるため経済的とは言い難い。
本発明は、上述したような状況に鑑み、熔融ガラスからガラス物品を製造する際に熔融ガラス中の微細な気泡を効率よく脱泡することが可能となり、しかも長期に亘って使用しても形成される気泡の泡径の変動が小さく、所定範囲の大きさの気泡を円滑に形成することができ、さらに経済的に容易に実現することのできるバブリング装置と、このバブリング装置を使用して均質なガラス物品を製造するガラス物品の製造方法、及び本発明のガラス物品の製造方法で使用されるガラス熔融装置の提供をも課題とするものである。
本発明のバブリング装置は、少なくとも1以上の気体噴出口を有する耐熱外郭部よりなるバブリング装置であって、耐熱外郭部により周囲を囲われた気体滞留部内へと気体を導入する気体導入管が設けられてなり、前記バブリング装置の耐熱外郭部が、該気体噴出口と離間して配された、気体噴出を補助する開放口を有してなることを特徴とする。
少なくとも1以上の気体噴出口を有する耐熱外郭部よりなるバブリング装置であって、耐熱外郭部により周囲を囲われた気体滞留部内へと気体を導入する気体導入管が設けられてなり、前記バブリング装置の耐熱外郭部が、該気体噴出口と離間して配された、気体噴出を補助する開放口を有してなるという点について、以下に説明する。すなわち本発明のバブリング装置(以下、バブラーとも呼ぶ)は、液体中に存在する微細な気泡を脱泡するために設けられる装置である。この装置では、気体噴出口(以下、開口部、またはノズル孔とも呼ぶ)の1以上の開口端が、液体中に浸漬した状態で保持されており、その開口端から所定寸法の気泡を液体中に放出する。このようにしてバブリング装置は、液体中に所望の気泡を形成できる。そして、この装置は、その装置の一部構成に、気体を一時的に装置内に滞留させる構造として、気体滞留部と呼ぶ部位を有している。気体滞留部の構造は、その外側面を耐熱外郭部により囲われた構成とすることで具現されている。また、気体滞留部は必要に応じて内部に、支柱や梁等を設けて補強された構成としてよく、所定量の気体を一時的に蓄える機能を有している。気体滞留部には、気泡を形成する気体噴出口と、この気泡の形成を補助するだけで、気体を噴出しない、液体に浸漬された口、すなわち気体未噴出の開放口(以下、開放部とも呼ぶ)とが設けられている。開放口は、その数が1以上あればよく、その形状や大きさは制限されない。
本発明に係る開放口は、開方口近傍に形成される気液界面の位置調整のために耐熱外郭部の壁面を貫通するように設けられている。すなわち、気体噴出口から間欠的に気体を噴出させて、気泡を形成する際に、所望の寸法の気泡を形成するために重要な補助的働きをする部位である。この開放口には、その孔の内側、及びその近傍に気液界面、すなわち気体と液体との界面が形成されている。そして、この開放口及びその近傍に形成された気液界面は、気体噴出口からの気泡形成に伴って、気体滞留部側への移動とその反対側への移動とを反復的に繰り返す。気体滞留部側への移動というのは、例えば鉛直な上方への移動を含む動きである。このような反復動作の詳細については後述するが、本発明のバブリング装置では、開放口については、ここに形成された気液界面が反復動作を繰り返すだけで、気泡が形成されるまで気液界面が移動し、液体中に膨張し、遂に気泡となることはない。一方、このような開放口における気液界面の反復動作に伴って、気体噴出口からは、次々と気泡が形成されることになる。開放口は、気体噴出口からの気泡放出量を調整する機能を有し、開放口の存在により、気体噴出口から形成される気泡の大きさが調整し易く、必要となる所望の大きさの気泡を間欠的に形成できる。開放口や気体噴出口の配設位置は特に限定しない。
本発明に係る耐熱外郭部は、機械的強度、及び耐熱性を備えていれば、その形状や大きさは限定しない。またこのような性能を構造的に備えれば、複数の部材を接合して構成していてもよく、また一つの部材から切削加工や圧延加工等の様々な加工により構成してもよい。
気体滞留部内へと気体を供給する気体導入管についても、耐熱外郭部と同様の機械的強度などの性能の具備が好ましい。また気体導入管は、1本でも複数本でもよく、その長さや管内の気体の流れ方向に垂直な断面形状、さらにその断面の大きさは、所定寸法の気泡を形成するに十分なものであればよく、耐熱外郭部の配設位置は気体導入管の気体噴出端よりも上方にあれば限定されない。気体滞留部と気体導入管の液体中への配設方法についても、500℃以上の高温状態でも十分な強度が実現できるならば特に限定されない。例えば両者を溶接や、嵌め込み等の方法を適宜採用することによって液体中に強固に固定できればよい。
また本発明のバブリング装置は、開放口が、耐熱外郭部の側面及び/または底面に配されてなるならば、気体噴出口から円滑に気泡を間欠的に放出させ続けることが長期的に容易になる。
開放口が、耐熱外郭部の側面及び/または底面に配されてなるという点について、以下に説明する。本発明のバブリング装置の耐熱外郭部に配されている開放口は、気体噴出口と離間した位置にあり、その近傍に異なる気液界面を形成するように配されている。開放口と気体噴出口との離間距離は、少なくとも1.0mm以上離れていれば、両方の口の端面の経時的な劣化の影響を相互に受けることは少なくなる。そしてより好ましくは、開放口の開放端の上端は、気体噴出口の気体噴出口端の下端よりも下方位置にあればよい。このような構成であれば、様々な液体中でそれに応じて多様なバブリング装置を構成でき、安定した気泡形成が実現できるので好ましい。そして開放口は、耐熱外郭部の側面、あるいはその底面に配設されていれば、開放口の近傍に形成される気液界面が、気体噴出口から噴出される気泡の浮上を妨げることもないので好ましい。よって気泡の形成は円滑なものとなる。ここで耐熱外郭部の側面とは、例えば、上述したように円筒状の外観を呈する気体滞留部で、気体噴出口の気体噴出口の気体噴出口端の下端よりも下方に開放口の開放端の上端が配設されていればよい。また耐熱外郭部の側面及び/または底面については、耐熱外郭部の全域であってもよく、部分的な面、すなわち一部の面についてという意味であってもよい。
また本発明に係る開放口は、加工費や維持費などの経費を要さず、簡易な外観形状で構成しやすいものとするには、耐熱外郭部の底面、あるいは側面に1つ設ければよく、さらに好ましくは耐熱外郭部の底面に設けることである。
開放口は、耐熱外郭部の底面の一部あるいは全部に液体に対して解放された構成となっていれば、さらにバブリング装置を簡単な構造にできるので好ましい。さらに気泡を形成するため液体中に浸漬される気体噴出口は、耐熱外郭部の面、例えば側面又は天井面の一方、あるいは両方について、前記したように開放口より離間した所定位置に設けられている。すなわち、開放口と気体噴出口とは、バブラーの異なる位置に設けられた外観を呈している。このため、この装置が、液体中に浸漬された場合に装置の開放口近傍と気体噴出口とには、それぞれ独立した気液界面が形成される構成となっている。
ここで、本発明のバブリング装置が用いられる液体とは、どのようなものであってもよいが、好ましくは常温の純水以上の粘性を有する液体であり、さらに好ましくは500℃以上、一層好ましくは1000℃以上の温度にある液体(室温では固体であるため、融液とも呼ぶ)である。
本発明者らは、ガラス熔融炉や熔融塩炉、金属精錬炉等に利用することのできる様々なバブリング装置を研究する中で、所定形状の気泡を、例えば熔融ガラスのような粘性が大きく、しかも高温状態にある液体中で形成する場合について、数多くの研究を行った。そしてこのような気泡の形成には、気体導入管にその管内の気体流出方向に垂直な断面よりも大きな断面を有する気体滞留部を有する耐熱外郭部を設ければ好ましいことを見いだした。この構成は、図11(A)、(B)に例示するようなものとなる。図11(A)、(B)では、6が気体導入管、3が気体滞留部5を有する耐熱外郭部、4が開口部、Wが気泡の形成される際に導入される気体量を概念的に表示したもの、Pが気泡拡大開始時の圧力、Pが気泡の開口部4からの離脱時の圧力、Fbは気泡前駆体である。この図10(A)、(B)のように、ただ気体導入管6に独立した気体滞留部5を有する耐熱部材3を設け、気体導入管6の配設位置とは異なる位置に開口部4を設けた構造とすればよい。このような構造とすれば、気泡前駆体Fbが形成される際に供給させる気体量Wは、気泡前駆体Fbの膨張開始時の最大圧力Pと気泡前駆体Fbが気泡となって離脱する際の圧力値Pの差と、気泡滞留部の容積Vとの積として表される。すなわち、この関係は数1のように表示できる。ここで、気泡前駆体Fbとは、開口部4から離脱していない状態で、開口端4aから離脱浮上するまでの状態で気泡になる気体が開口部4の開口端4aから膨らみ、開口端4aから離脱していないものを意味している。
しかし、このような構成では多数の微細な気泡を形成することはできるが、大きな気泡を形成するには無理がある。開口部の開口端で形成された気泡は大きく膨張する前に、開口端から次々に離脱してしまうからである。そこで気体導入管に気体滞留部を有する耐熱外郭部を設け、その底面に開放部を設けた状態として、そこから気泡を形成させる構成とするということを考えた。この構成を図12として示す。図12では、7は開放部、Hは水平線、Kは水平線からのずれ、Fbは気泡前駆体である。この場合には、形成される気泡の大きさは、耐熱外郭部3の底面の開放部7の面積と底面から下方へと膨れあがって形成された気泡の突き出し厚さ寸法との積に依存する。しかし、気泡の突き出し厚さ寸法は、図12(B)のように開放部7の端7aが水平線Hと同一の場合に最大であり、図12(C)にあるように少しでも水平Hから傾いたずれKがあると、気泡の突き出し厚さが薄くなり、泡径が小さくなってしまう。このため、形成される気泡の大きさは変動することになる。例えば、ガラス熔融炉のように高温状態の熔融炉内では開放部7の水平状態を精密に確認することが困難であり、仮に設置段階で水平になっていても長期に亘り水平を維持し続けるのは困難であるため実用的な方法ではない。さらに長期の使用時には、開放部7の端面等に微細な亀裂や変形等が生じるやすくなることも確認できた。よって、ただ気体導入管6に耐熱外郭部3を設け、その底面に開放部7を設けた構成では、泡径に変動が生じ易くなり泡径が不安定になる。耐熱外郭部全体を高温での耐久性に富む材料に変更する対策も考えられるが、経済的には高価なものとなる。
本発明者らは、以上のような研究の後に効率的に安定した気泡を生成するバブリング装置の形状として、気体滞留部を有する耐熱外郭部の側面又は天井面に気泡を形成するための開放口を配せばよいことを見いだした。すなわち、図11のように気体導入管に独立した気体滞留部を有する耐熱外郭部を設け、気体導入管のそれとは別の箇所に気体噴出口を配した構造とするならば、気泡が形成される際に供給させる気体量は、気泡拡大時の圧力から気泡離脱時の圧力値の差と、気泡滞留部の容積との積(数1のW)となる。一方それに対して、気体導入管に連結された気体滞留部を有する耐熱外郭部の側面、又は天井面に気泡を形成するための気体噴出口を配し、さらに気体滞留部に開放部(開放口)を設けた構造にすれば、気泡が形成される際に供給させる気体量は、それだけ多量になる。つまり前記した気泡拡大時の圧力から気泡離脱時の圧力値の差と、気泡滞留部の気泡離脱時の容積(V)との積の値(W)に加えて、気泡離脱時から気泡拡大時までの気体滞留部内の気体と液体との界面の移動に伴う気体滞留部内の気体容積の増加量(ΔV)と最大気体圧力(P)との積の値が加わることになる。すなわち、気泡が形成される際に供給させる気体量(W)は、数2のよう表示できる。数2の第1項は、数1のWと同じであり、第2項のP×ΔV分が増加分である。このため、第1項は圧力差(P−P)を表すのに対し、第2項の圧力は最大圧力値(P)なので、より大きな径の気泡を効率的、かつ安定的に形成することが可能となるのである。
本発明のバブリング装置による気泡の形成は、次のような各段階を経て進行する。理解を助けるため、例えば図1及び図2を参照しながら説明する。まず、本発明に係るバブリングの方法は、最初の段階として気体滞留部31の内部にある気体Fと液体Gとの界面(気液界面ともいう)が下方へ移動している(図1あるいは図2(A)を参照)。そして、気体噴出口40の開口端40aに気泡前駆体Fbが形成される(図2(B)を参照)。次の段階として、バブリング装置の気体噴出口40の開口端40aに形成された気泡前駆体Fbが膨張し、それに伴って気体滞留部31内の気体Fと、液体Gとの界面が上方へと移動する(図2(C)を参照)。そしてその後の段階として、バブリング装置の気体噴出口40の開口端40aの気泡前駆体Fbは、その気体噴出口40の開口端40aから離脱して気泡とBなる(図2(D)を参照)。以上のような一連の動作が、気体導入管20からの気体Fの導入に伴って連続的に繰り返される。このような一連の動作によって、次々と所定の略同径を有する気泡Bが、例えば熔融ガラスGのような高温液体中に形成されるというものである。
ここで、図2(A)に示したように気体噴出口40の開口端40aに気泡前駆体Fbが形成されるまでに気体滞留部31内の気体Fと液体Gとの界面が下方へ移動するという点について説明する。例えば、気体噴出口40が円形のノズル孔である場合には、気泡前駆体Fbが膨張し始めるために必要な気体滞留部31内の最大圧力Pは、液体Gの表面張力に4を掛けた値を気体噴出口40の断面積に相当する円の内側の面積で除した値となる。よって、液体Gの表面張力が350mN/m、ノズル孔径が1mmの場合には、気体滞留部31内の最大圧力Pは1400Paとなる。この値は、例えば比重が2.5の熔融ガラスのような高温の液体Gの場合であれば、57mmの高さの熔融ガラスレベル、すなわち気液界面の高さの変化量に相当するものである。つまり、気体滞留部31内の液体Gと気体Fとの界面、すなわち気液界面が気体噴出口40であるノズル孔の付設位置から57mmに低下した時点で気泡前駆体Fbが膨張し始めることになる。気泡前駆体Fbが膨張し始める最大圧力Pは、ノズル孔の寸法によって変化し、ノズル孔の寸法が1mm未満になると急激に大きくなる。例えばノズル孔の径が1mmより0.2mm小さい0.8mmでは、最大圧力Pは1750Paであり、71mmのガラスレベルの高さ変化量に相当する。そして、ノズル径が7mmの最大圧力Pは200Paであり、そのガラスレベルの高さ変化量は8.2mmであり、ノズル径が6mmの最大圧力Pは233Paで、そのガラスレベルの高さ変化量は9.5mmである。すなわち、ノズル孔径の変化の大きさに対するガラスレベルの変化の大きさは、ノズル孔径が7mmから6mmになる場合に1.3mmであるのに対して、1mmから0.8mmの変化で14mmにもなり、ノズル孔径が1mm未満になると急激に大きくなる。
そして図2(B)に示したように一旦、気体噴出口40の開口端40aに気泡前駆体Fbが膨張し始め、引き続いて気体滞留部内に気体が導入され続けると、気泡前駆体Fbが膨張するのに要する気体滞留部31内の圧力は、前記した最大圧力P1400Paよりも小さい値であるため、気泡前駆体Fbは膨張し続けることになり、気泡前駆体Fbの容積は図2(C)に示したように増加していくことになる。こうして膨張を続けた気泡前駆体Fbの容積は大きくなってゆき、気泡前駆体Fbの浮上力が大きくなって気体噴出口40の開口端40aが気泡前駆体Fbを保持できなくなった時に気泡前駆体Fb気体噴出口40の開口端40aから離脱し、気泡Bとなって、図2(D)に示したように熔融ガラスなどの液体G中を浮上し始めることになる。そして、この後に形成される別の気泡前駆体Fbは、気体滞留部31内の圧力が最大圧力Pに至るまで膨張することはない。以上の一連の動作を繰り返すことによって大きさの揃った気泡Bが繰り返し形成されて、離脱し、熔融ガラスG中を浮上することとなる。
開放口33aから独立した面、すなわち耐熱外郭部30の側面32a又は天井面32bにある気体噴出口40は、気体滞留部31を有する耐熱外郭部30に所定寸法の気体噴出口40を設けることによって形成されたものであっても、あるいは耐熱性のある気体滞留部31に耐熱性を有する管材50を図3のように配して形成されたものであってもよい。耐熱性管材50を使用する場合には、耐熱性管材50の管の管長寸法や断面形状については任意であり、気体滞留部31を有する耐熱外郭部30に配する方法についても配設部、その周辺部あるいは構成全体が十分な強度を維持できるものであればよい。
また、強度を高めるために耐熱外郭部30に、支持棒や板状の補強材を配する、あるいは側面32と気体導入管20を補強材などで固定することは、本発明のバブリング装置の基本的な性能に大きな影響を及ぼすことは無く、長期的な利用のためには好ましい。しかし、補強材が気体と液体の界面にある場合は、気液界面の移動速度に影響する場合もある。
耐熱外郭部30にある気体滞留部31の底面33の液体Gに対する開放口33aの大きさや開放口33aの形状、数についても特に限定しない。すなわち耐熱外郭部30にある気体滞留部31の底面33の全体を開放した状態としてもよく、また部分的に開放した状態としてもよい。また開放口33aは1つでも、複数でもよい。さらに開放口33aの気液界面の形状は、円形、矩形や他の複雑な形状を呈するものであってもよい。
また耐熱外郭部30や気体導入管20を構成する材料については、高温液体Gとの反応性に乏しく、容易に変形しにくく、強度的に支障のないものであれば、どのような材料を使用してもよい。このような構成材料は、単一の材料によって構成するものでも複数の材料を組み合わせることによって構成するものでもよく、複数の材料によって構成する場合には、例えば複数の材料を圧延などによって積層した構造とするものでも、あるいは特に高温に曝される箇所に高い耐熱性の部材を配するものとしてもよい。
また本発明のバブリング装置は、上述に加え前記気体滞留部が、気体噴出口に形成される気泡前駆体の最大容積よりも大きい容積を有し、かつ気体噴出口は、開口端の気体流出方向に垂直な断面積が、前記気泡前駆体の容積が所定値以上となるまで気泡として離脱することのない大きさを有するのであれば、液体中に形成される気泡の泡径を、所定の大きさ範囲内にすることが容易になるので好ましい。
前記気体滞留部31が、気体噴出口40に形成される気泡前駆体Fbの最大容積よりも大きい容積を有する点について説明する。本発明のバブリング装置10は、前述したように耐熱性気体滞留部31を有している。耐熱外郭部30の気体滞留部31内に流入した気体Fの体積は、気泡前駆体Fbが気体噴出口40に形成され、その後この気泡前駆体Fbが気体噴出口40から離脱して気泡Bとなるまでの耐熱外郭部30の気体滞留部31内の圧力変動に伴って変動する。そしてこの耐熱外郭部30の気体滞留部31の側面32a又は天井面32bに配された気体噴出口40から液体G中に形成される気泡前駆体Fbは、開口端40bに加えられる圧力が所定圧を超えた時に初めて急激に膨張し始める。初期の圧力から所定圧への圧力変動に伴って耐熱外郭部30の気体滞留部31内の液体の液面(すなわち、気液界面)は下降し、気泡前駆体Fbの膨張に伴なって液面は上昇する。この上下運動に伴う体積変動の容積差が、気泡前駆体Fbが離脱して気泡Bになる時の気泡容積に等しい。耐熱性の気体滞留部31は、液面(すなわち気液界面)の最上位の位置となり、内部の天井面32bまでが完全に液体Gで満たされると、気体噴出口40の気体滞留部31側が完全に液体Gで覆われてしまい、気体噴出口40の断面積が一定な状態に保てなくなる。よって、耐熱外郭部30の気体滞留部31は、気体噴出口40の一部は液体が付着しないように、すなわち液体Gに濡れてしまわないよう、気体Fの残留できる空間が残るように作られている。すなわち、気泡前駆体の容積に、液面最上位の時の残留気体容積を加えた容積以上の容積が、気体滞留部31の内部には必要になる。
気体噴出口40が、開口端40aの気体流出方向に垂直な断面積が、前記気泡前駆体Fbの容積が所定値以上となるまで気泡Bとして離脱することのない大きさを有する点について説明する。気泡前駆体Fbは、開口端40aに加えられる圧力が所定圧を超えた時に初めて急激に膨張し始める。すなわち開口端40aの気液界面は、開口端40aに加えられる圧力が所定圧を超えた時に初めて液体側へと移動し始める。この所定圧の値は、開口端40aが円形のノズル孔の場合は求めることが可能であり、その面積や形状によって決まる値である。また、気泡Bが離脱するのは、開口端40aの表面への気泡Bの付着力より気泡Bの浮上力が大きくなった時なので、気泡Bの開口端部分における付着面積を大きくすることで、気泡Bが急激に膨張して離脱するまでの時間を延ばし、十分な猶予をもたせることが出来る。さらに、気泡前駆体Fbの容積が拡大する時に十分な量の気体Fを気泡前駆体Fbに供給しないと、気泡前駆体Fbが十分に大きく膨張しない内に、気体噴出口40の開口端40aから離脱して気泡Bとなってしまう。このように、開口端40aの断面積が小さく、気泡前駆体Fbに供給する気体流出速度が小さい場合には、気泡Bの容積は大きくなれず、その結果生成する気泡Bの直径は小さなものとなる。よって本発明のバブリング装置10では、発生する気泡Bの容積が所定寸法範囲内となるような気体噴出口の開口端40a、すなわち気泡Bが離脱しないような気泡Bの付着面積であり、十分な気体流出が実現できる気体噴出口40の開口端40aの断面積をもつ開口端40aとしたものである。
本発明では、気体噴出口40の開口端40a、及びその近傍における熔融ガラスGと気体Fとの界面が存在する部分のみの気体Fの流出方向に垂直な断面積を所定の値とするものであるならばよく、開口端40aまでの気体噴出口40の孔径全体、すなわち開口端40aを除いた開口端40aまでの気体噴出口40の孔径の寸法変化については、その大きさを限定するものではない。
また本発明のバブリング装置は、上述に加え前記気体噴出口の気体流出方向に垂直な開口断面の円相当内径が、開放口の開放端断面の円相当径の1%以上50%以下の範囲内にあれば、耐熱外郭部30の配設位置に依存しない箇所に気泡Bを形成することができ、所定寸法の気泡Bの形成が望まれる、ガラス熔融炉や熔融塩炉等のような様々な高温状態の液体Gを蓄える槽に対して適用することができるものとなる。
ここで、図1、図2に例示するように、前記気体噴出口40の気体流出方向に垂直な断面の円相当内径が、開放口33aの開放端断面積の円相当径の1%以上50%以下の範囲内にあるとは、開口端40aの気体流出方向に垂直な断面の円相当内径が、開放口33aの開放端断面積の円相当径を100とした時に、その値が1%から50%の範囲内の値となることを意味している。
気体噴出口40の気体流出方向に垂直な断面の円相当内径が、開放口33aの開放端断面の円相当径の1%に満たない場合には、高速に浮上するに十分な大きさの気泡Bを形成することが困難である。一方、気体噴出口40aの気体流出方向に垂直な断面の円相当内径が、開放口33aの開放端断面の円相当径の50%を超える場合には、開放口33aで生じるものと同様の問題、すなわち前述したように端面の劣化や水平性の変動などの一連の問題が発生する危険性が高くなるので好ましくない。
また本発明のバブリング装置は、上述に加えて前記気体噴出口の気体流出方向に垂直な断面の円相当内径が、1mm以上10mm以下の範囲内にあるのであれば、安定した気泡を形成することができる。
気体噴出口40は、その開口端40aの気体流出方向に垂直な断面の円相当内径が、1mm以上10mm以下の範囲内にあるとは、気体噴出口40の開口端40aの気体流出方向に垂直な断面積が、0.79mmmm以上78.54mm以下の範囲内となるような気体噴出口40であることを意味している。気体噴出口40の開口端40aの気体流出方向に垂直な断面の円相当内径が1mmに満たないと、気泡前駆体Fbの膨張開始に必要となる最大圧力が急激に大きくなる。これによって気泡前駆体Fbが膨張し始めるときの気体と熔融ガラスのような液体Gとの界面位置、つまり気体噴出口40であるノズル孔と、液面レベル(気液界面)との下限位置の距離は極めて大きくなる。熔融ガラスGの場合であれば、熔融ガラスGの表面張力が350mN/m、気体噴出口40の円相当内径が1mm、熔融ガラスGの比重が2G.5の場合には、この値は57mmもの大きさとなる。このため気泡前駆体Fbが膨張してゆく過程で、気体滞留部31内の液面のガラスレベルの上昇する速度は熔融ガラスGの粘性等の影響もあって遅く、さらに気体噴出口40の断面積が0.79mmなので気体の流出抵抗も大きく、この液面のガラスレベル(気液界面)が完全に気体滞留部31内でノズル孔位置になる位置へ上昇しきるまでに気泡前駆体Fbは気泡となって気体噴出口40の開口端40aから液体G中に離脱してしまうことになる。よって気体流出方向に垂直な開口端40aの断面の円相当内径が、1mm未満では所望の大きな径の気泡Bが、熔融ガラスG中で形成され難いものとなるので好ましくない。このような観点から、気体噴出口40の気体流出方向に垂直な開口端40aの断面の円相当内径は、より好ましくは2mm以上とすることであり、さらに好ましくは3mm以上とすることである。また気体滞留部31内の液面(気液界面)の上下変動の振幅は5mm以上30mm以下の範囲内とするのがより好ましい。また上述に加えて気体噴出口40の径は、加工方法によっては0.1mm程度の加工誤差が生じる場合がある。そして最大圧力Pは、気体噴出口40の径の大きさに依存して変化するものであるため、気体噴出口40の円相当内径が1mm±0.1mmの場合、最大圧力は±10%変動してしまう。このため形成する気泡Bの泡径も10%変動することになり、容器の設計による泡径の精度は低くなる。気泡Bの容積は、10%以内に制御することが望ましいため、気体噴出口40の円相当内径は1mm以下とするよりも2mm以下とする方がよい。
同様に熔融ガラスGの表面張力が350mN/m、気体噴出口40の円相当内径が7mm、熔融ガラスGの比重が2.5の場合には、気体滞留部内の最大圧力は200Paであり、熔融ガラスGの液面のレベルの上下変動の振幅は8.2mmである。さらに熔融ガラスGの表面張力が350mN/m、気体噴出口40の円相当内径が8mm、熔融ガラスGの比重が2.5の場合には、気体滞留部31内の最大圧力は175Paであり、気体滞留部31内の熔融ガラスGの液面のレベルの上下変動の振幅は7.1mmとなる。気体滞留部31内の熔融ガラスGの液面のレベルの上下変動の振幅は、気体噴出口40の円相当内径以上であることが十分に大きな径の気泡Bを形成するには好ましく、少なくとも気体噴出口40の円相当内径の値の半分以上の大きさであることが好ましい。この条件は、熔融ガラスGの比重や熔融ガラスGの表面張力の値によっても変動するが、気体噴出口40の開口端40aの気体流出方向に垂直な断面の円相当内径が10mmを越えたものとなると、ガラスレベルの上下変動の振幅は、気体噴出口40の円相当内径の半分より小さいものとなってしまい、熔融ガラスGが気体噴出口40内に流入して気体噴出口40の内面に付着した状態となる。それによって気体噴出口40の開口端40aの実質的な断面積が変動し、安定した大きさの気泡Bを得ることが困難になるため好ましくない。すなわち、熔融ガラスG中で安定した径の気泡Bが形成されないと、気泡が気液界面へと浮上するまでに前後して形成される気泡Bの合体が生じ易くなる。そして、その結果副次的に微細な大きさの気泡Bが生じることになる。そしてこのような一連の原因によって、ガラス物品中に微細な気泡が混入してしまうことに繋がるという問題が生じるため、気体噴出口40の開口端40aの気体流出方向に垂直な断面の円相当内径は10mm以下とするのが好ましい。
また本発明のバブリング装置は、2以上の気体噴出口のある場合には、上述に加え前記気体噴出口の気体流出方向に垂直な開口断面の円相当内径が、耐熱部材の内側の孔の断面の円相当内径以上の大きさであるならば、経時的な気体噴出口40の経時的な劣化に容易に対処することができ、安定した径の気泡を得ることができるため、気体噴出口40の劣化を定期的に監視することによって、清澄性能を低下させることなく長期に亘り装置を使用することのできるものとなる。
例えば、図1、及び図2において、2以上の気体噴出口のある場合には、気体噴出口40の気体流出方向に垂直な開口端40aの断面の円相当内径が、その内側の孔の断面の円相当内径以上の大きさである構成でありさえすれば、その断面形状は問わない。また気体噴出口40が最も大きい断面積で、それから段階的に内側に向かうにつれて気体噴出口40の径を小さくする構成、あるいは連続的に小さい径とする構成、さらにその両者を組み合わせた構成とするものであってよい。
また本発明のバブリング装置は、上述に加え液体が熔融ガラスであるならば、高温状態で所定寸法の気泡を長期間に亘り形成し続けることができる。
ここで、熔融ガラスとは、無機酸化物を加熱することによって得られる高温状態の融液であり、冷却した時にガラスとして固化するものを意味している。
また本発明のバブリング装置は、上述に加え耐熱外郭部が、複数の気体噴出口を有するならば、気体噴出口が熔融ガラスの固化や気体噴出口の経時的な劣化等の原因によって塞がる、あるいはその径が小さくなる場合であっても、他の気体噴出口から気泡を形成することができ、その結果バブリング装置を長期に亘り使用し続けることが可能となる。
例えば図1、及び図2において、上記のバブリング装置10では、耐熱外郭部に、複数の気体噴出口40を設けたとしても、気体噴出口40の断面積や気体噴出口40の位置などの様々な要因によって決まる最も気泡前駆体の形成に要するエネルギーの小さい、すなわち気泡前駆体Fbの膨張開始に必要な圧力の最も小さい1つの気体噴出口40のみから気泡Bが形成され続けることになる。しかし、複数の気体噴出口40を有するバブリング装置10を採用すると、複数ある内、気泡前駆体Fbの膨張開始時には気泡Bの形成に必要な圧力の最も小さかった気体噴出口40の孔径が、上述したような原因によって塞がれたりして使用されなくなる場合には、複数ある気体噴出口の内の次に気泡前駆体Fbの形成し易い条件を備えた気体噴出口40から気泡Bが形成されることになる。このようにして気体噴出口40の数は、多ければ多い程、例えば熔融ガラスG中などで使用する際には、その耐久性は高くなるが、それだけ多数の気体噴出口40を設けねばならず、その結果バブリング装置10の製作費用が高価なものとなってしまう。このような観点から気体噴出口40の数は、より好ましくは10箇所以下、さらに好ましくは5箇所以下とすることである。
耐熱外郭部30に、複数の気体噴出口40を有するものとする場合に、2以上の気体噴出口40を設ける位置は、気体滞留部31に連続する任意の箇所に配設することができ、気体噴出口40の断面形状や孔径についても同一であっても異なるものであってもよい。また気体噴出口40は、耐熱外郭部30に直接穿ったものであっても、気体噴出口40を有する他材料を配設したものであってもよい。
また本発明のバブリング装置は、上述に加え耐熱外郭部が白金族元素を含有する耐熱金属により構成されてなるものであれば、熔融ガラスGとの1000℃以上の温度での化学反応性が小さく、長期に亘り安定した構造を維持し続けることが可能となる。
耐熱外郭部が白金族元素を含有する耐熱金属により構成されてなるとは、耐熱外郭部30を白金、イリジウム、オスミウム、パラジウム、ロジウム及びルテニウムの何れかの元素を少なくとも実質的に1質量%以上含有する耐熱金属であることを意味している。これらの元素を含有する合金や、複合材料などであれば、本発明に適用するのは好適である。
また本発明のガラス物品の製造方法は、ガラス熔融槽によりガラス原料を熔融して熔融ガラスを得る熔融工程と、得られた熔融ガラス中に気泡を逐次形成して均質化する均質化工程と、均質化した熔融ガラスを成形装置により所望の形状に成形する成形工程とを有し、前記均質化工程が、本発明のバブリング装置の気体噴出口の開口端から容積変動率が10%以内となるように気泡を形成するものであることを特徴とする。
以上のような構成であるため、バブリングによって形成された気泡Bについて、熔融ガラスG中における合体現象に伴って副次的に形成される微細な気泡Bが容易に生じにくくなり、このような副次的な泡形成が抑制される結果、高い清澄効率で熔融ガラスGを均質な状態にすることが可能となる。
均質化工程が、上記本発明のバブリング装置10の気体噴出口の孔開口端から容積変動率が10%以内となるように気泡を形成するものであるとは、次のようなものである。例えば図1、図2を用いて説明すれば、この均質化工程は、液体G中に気体導入管20から気体Fを流入させて気泡Bを形成するバブリング装置10を用いるものである。そして、均質化工程では、前記気体導入管20の液体G側に、その内部に気体滞留部31を有する耐熱外郭部30が設けられ、該耐熱外郭部30の底面33に液体Gに対する開放口33aを有しており、かつ耐熱外郭部30が開放口33aから独立した面、すなわち離間した面に、気泡Bを液体G中に放出する気体噴出口40を有してなるバブリング装置10に設けられたノズルの開口端40aから次々に気泡Bを形成する。本発明では、気泡Bの泡容積が10%以内となる状態でバブリングを行うことによって、前後して形成された気泡Bの浮上速度差による気泡同士の相互の合体を防止し、結果的に微細な気泡Bの液体中の発生を防ぎながら、均質化を行う工程を含むものである。
本発明のバブリング装置10によって形成される気泡Bは、気体噴出口40の開口端40aから離脱した直後の気泡Bの形成当初の泡容積で比較すれば、その変動率は5%以内であるが、気泡Bが熔融ガラスG中を上昇するにつれて、ガラス中のガス成分の拡散によって容積の変動が生じることがある。このため、このような容積変動をも含めると容積変動率は最終的に熔融ガラス液面(気液界面)近傍では10%以内の変動率となる。
このようなバブリング装置10によって形成される気泡Bの容積変動率は、ガラス熔融炉に備えられた炉内を観察する監視装置内のモニター画像の観察を行い、その画像の画像解析によって算出することが可能である。
また本発明のガラス物品の製造方法は、上述に加え均質化工程は、熔融ガラス中に形成する気泡の直径が、20mm以上120mm以下の範囲内にあり、かつ熔融ガラス中に相次いで形成される気泡が合体することなくガラス融液面まで浮上させるものであるならば、所定範囲の径の気泡Bを熔融ガラスG中で形成することによって、微細な径の気泡Bを取り込む比率が合体に伴う新たな微細な径の気泡Bの生成の比率を上回ることになり、その結果、熔融ガラスG中の微細な径の気泡の数を急速に少なくすることを可能にする。
気泡Bの泡径が20mm以上120mm以下の範囲内にあることによって、気泡Bの浮上速度は50cm/分以上となり、ガラス熔融槽内の所定箇所に泡の浮上に伴って形成される上昇する熔融ガラスGの対流を意図的に形成でき、その結果ショートパスとも呼ばれる、所謂ガラス熔融炉における早流れ現象を回避し、安定した操炉を可能とできる。また熔融ガラスG中で形成する気泡Bの泡径が、20mm未満であると、多数の微細な径の気泡Bが存在する場合には清澄効果が低くなる。一方、熔融ガラスG中で形成する気泡Bの泡径が120mmを越えると気泡の泡径の変動の管理が行い難く、また形成される気泡Bの複雑な形状変化によって生じる浮上速度のバラツキによって前後する気泡Bの合体も生じ易くなるため好ましくない。このような観点から、より安定した清澄効果を実現するためには、熔融ガラスG中で形成する気泡Bの泡径は、25mmから110mmの範囲とすることが好ましく、より好ましくは30mmから100mmの範囲とすることである。
本発明のガラス物品の製造方法で、バブリングに使用する気体としては、所定の環境に配慮した構成で使用するものであれば特に限定するものではなく、熔融ガラスGの種類や温度等によって様々な気体を使い分けてよい。例えば、水素、酸素、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、水蒸気、ヘリウム、ネオン、またはアルゴン等の希ガス、ノックス、ソックス等の反応性ガス、あるいはフッ素、塩素等のハロゲンガスを単独あるいは複数混合して使用することができる。
また本発明のガラス物品の製造方法は、様々な形状のガラス物品の成形に適用してよい。例えば、棒、管、板、フィルム、粉末、ビーズ、インゴット、繊維、水砕ガラスカレットあるいはプレス成形品などの形状に適用可能である。
また本発明のガラス物品の製造方法は、各種のガラス材質に適用することができる。例えば、ソーダ石灰ガラス、硼珪酸ガラス、アルミノ珪酸塩ガラス、石英ガラス、鉛ガラス、フツ燐酸塩ガラス、燐酸塩ガラス、ガリウムボレートガラス、チタネートガラス、バリウム珪酸塩ガラス、ウラニウム含有ガラス、無アルカリガラス、カリフリーガラス、砒素フリーガラスあるいはアンチモンフリーガラス等の各種のガラスに適用でき、上記以外であっても任意のガラス組成に対応することが可能である。
本発明のガラス熔融装置は、ガラス原料を投入する原料投入口と、熔融ガラスを流出する流出口とを有するガラス熔融槽よりなるガラス熔融装置であって、本発明のバブリング装置の気体噴出口の開口端位置が、が、原料投入口を起点とし、流出口に至るまでの直線距離の2割以上8割以下の範囲内に配してなることを特徴とする。
以上のような構成であるため、ガラス原料の高温化学反応によって形成された多数の気泡や、ガラス原料間隙に取り込まれた大気に起因する気泡など、微細な気泡を含有する熔融ガラスから効率よく微細な気泡を除くことができる。
本発明の構成に関して、例えば、図4(B)で説明する。バブリング装置130の気体噴出口45の開口端45a位置が、原料投入口230aを起点とし、流出口230bに至るまでの直線距離Jの2割の長さに満たない場合には、未熔融状態のガラス原料をバブリングによって撹拌することになる場合もある。そして、その結果、未熔融ガラス原料が未熔融状態のまま成形域にまで流出してガラス欠陥となる虞もあるので好ましくない。一方、バブリング装置130の気体噴出口45の開口端45a位置が、原料投入口230aを起点とし、流出口230bに至るまでの直線距離の8割を越える場合には、成形域等の熔融工程末端領域における熔融ガラスの流れを不安定にする原因となる場合があるので好ましくない。以上のような観点から、より好ましくは本発明のガラス熔融装置200において、バブリング装置130の気体噴出口45の開口端位置45aは、原料投入口230aを起点とし、流出口230bに至るまでの直線距離の3割以上7割以下の長さの範囲内とすることである。また上記した原料投入口と流出口までの距離Jについては、原料投入口230aや、流出口230bが多数ある場合には、その内の最大の直線距離となるものによって限定すればよい。
本発明のガラス熔融装置は、耐火物により構成される連続熔融炉であっても、白金等の耐熱金属により構成されたバッチ熔融形式の単純な構成のポット熔融炉であってもよい。またガラス物品の製造に係る熔融炉であっても、ガラス物品を製造する熔融炉に投入するためのガラスカレットや粗熔融原料を得るための熔融炉であってもよい。しかし、本発明のガラス熔融炉は、熔融炉の規模が大きければ大きい程、バブリングによって微細な気泡を除去するための設備を配設するスペース的な余裕があるため、ガラス物品の連続成形炉であることが好ましい。
また本発明のガラス熔融装置は、熔融槽、清澄槽といった複数の槽を連結した構成となっているものでもよく、また撹拌装置やドレインなどの付帯設備を設けた構造となっていてもよい。また本発明のガラス熔融炉では、その熔融炉の加熱を行うエネルギーが灯油や重油等の液体燃料によるものであっても、酸素やLPG等の気体燃料によるものであっても、さらに電気による熔融ガラスへの直接通電により供給されるものであってもよい。
また本発明のガラス熔融装置は、バブリング装置によって熔融ガラス中に形成された気泡が浮上して熔融ガラスの融液面で破裂する挙動を観察する装置を配してなるものであれば、気泡の挙動に何らかの変動が生じた場合に、速やかにその変動を是正する処置を施すことが可能となる。本発明のガラス熔融装置では、バブリング装置に気体導入管に接続される気体供給源からの供給管に圧力計測装置を設けてなるものであれば、気体導入管の圧力変動を的確に把握しつつ、バブリングを行うことが可能であり、安定したバブリングを実現することが可能である。さらに本発明のガラス熔融装置では、必要に応じて熔融装置の所望の壁面あるいは天井面の適正箇所に、熔融ガラスの熔融面で破裂した後に熔融ガラス雰囲気ガス中へ混入したバブリング装置によって形成された気泡の気体成分を、排気あるいは回収するための配管等を設け、この配管に接続した排気装置、あるいは回収装置を設けてもよい。
本発明のガラス熔融装置は、各種のガラス成形装置を単独あるいは複数併設することによって各種のガラス物品を成形することができる。そのためガラス熔融装置にはガラス成形装置に配設される1つあるいは複数のフィーダーを設けた構成としてよく、それぞれのフィーダーには同じ成形装置を配しても、異なる成形装置を配してもよい。
ガラス成形装置としては、例えば板を成形するならば、オーバーフローダウンドロー法、スロットダウンドロー法、フロート法といったものがあり、管を成形するならば、ダンナー法、ベロ法、ダウンドロー法といった方法があり、さらに繊維形状であれば、ブッシングを使用するDM法、吹き飛ばし法、MM法といった方法があり、粉末形状であれば、ロール成形破砕法、吹き飛ばし法、急冷法などの方法がある。さらに各種の形状へ各種の研磨、切削、切断というような冷間加工を行うための母材(インゴット)としてブロック状の鋳込み成形法、さらにプレス成形を行うためのゴブを得る製造装置があり、これら各種の装置を使用することが可能である。
(1)本発明のバブリング装置は、少なくとも1以上の気体噴出口を有する耐熱外郭部よりなるバブリング装置であって、耐熱外郭部により周囲を囲われた気体滞留部内へと気体を導入する気体導入管が設けられてなり、前記バブリング装置の耐熱外郭部が、該気体噴出口と離間して配された、気体噴出を補助する開放口を有してなるため、例えば液体が熔融ガラスである場合には、熔融ガラスからガラス物品を製造する際に、熔融ガラス中に微細な気泡が混入することによってガラス物品の良品率を低下させるのを抑制し、速やかに脱泡させることが可能となる。またそれに加えて開放口が、耐熱外郭部の側面及び/または底面に配されてなるものであれば、気体滞留部の気体の容積変化を大きくし、それに伴う泡径をコントールし易い。また本発明のバブリング装置は、液体が熔融ガラスの場合、あるいは熔融ガラス以外の液体の場合であっても、バブリング装置として複雑な構造を要せず、経済的な機構によって一定時間毎に安定した寸法の気泡を形成し続けることができる。このため、長期間使用しても形成される気泡径に大きな変動の認められない所定範囲の大きさの気泡を形成することができるものである。
(2)また本発明のバブリング装置は、前記気体滞留部が、気体噴出口に形成される気泡前駆体の最大容積よりも大きい容積を有し、かつ気体噴出口は、開口端の気体流出方向に垂直な断面積が、前記気泡前駆体の容積が所定値以上となるまで気泡として離脱することのない大きさを有するならば、相次いで熔融ガラス中に形成される気泡による微細気泡の発生を抑えることを可能とするものである。
(3)また本発明のバブリング装置は、前記気体噴出口の気体流出方向に垂直な開口断面の円相当内径が、開放口の開放端断面の円相当径の1%以上50%以下の範囲内にあるならば、耐熱性気体滞留部の配設位置に関わらず所定寸法の気泡によるバブリングを行うことができ、例えば熔融ガラスに適用する場合には、その種類やガラス熔融炉の形態によらず、均質な熔融ガラスを得ることが可能である。
(4)さらに本発明のバブリング装置は、前記気体噴出口の気体流出方向に垂直な開口断面の円相当内径が、耐熱部材の内側の孔の断面の円相当内径以上の大きさであるならば、気体噴出口の寸法変動の管理が容易であり、長期に亘り同じバブリング装置を使用し続けることが可能であるため、経済的である。
(5)さらに本発明のバブリング装置は、液体が熔融ガラスであるならば、ガラス熔融炉にこの装置を配設してガラス物品の製造を行うことで、高い品位のガラス物品を連続生産することが容易である。
(6)また本発明のバブリング装置は、耐熱外郭部が、複数の気体噴出口を有するものであるならば、予期せぬ原因によって1つの気体噴出口が塞がれることがあっても、他の気体噴出口を有効に使用することができるため、高い品位のガラス物品を安定して得ることができる。
(7)また本発明のバブリング装置は、耐熱外郭部が、白金族元素を含有する耐熱金属により構成されてなるものであれば、気体滞留部を有する耐熱外郭部の高温での劣化が進みにくく、長期間に亘り熔融ガラス中に浸漬された状態であっても、ガラス欠陥の原因とはなりにくいものである。
(8)本発明のガラス物品の製造方法は、ガラス熔融槽によりガラス原料を熔融して熔融ガラスを得る熔融工程と、得られた熔融ガラス中に気泡を逐次形成して均質化する均質化工程と、均質化した熔融ガラスを成形装置により所望の形状に成形する成形工程とを有し、前記均質化工程が、本発明のバブリング装置の何れかに記載の少なくとも1つのバブリング装置により気泡を形成するものであるため、清澄剤などの化学物質の添加を行わないガラス原料を熔融する場合でも、高い均質性を有するガラス物品を得ることができる。
(9)また本発明のガラス物品の製造方法は、均質化工程は、熔融ガラス中に形成する気泡の直径が、20mm以上120mm以下の範囲内にあり、かつ熔融ガラス中に相次いで形成される気泡を合体させることなくガラス融液面まで浮上させるものであるならば、気泡の合体によって副次的に生成する微細な気泡が成形させるガラス物品中に含まれることもなく、優れた品位のガラス物品を得ることができる。
(10)本発明のガラス熔融装置は、ガラス原料を投入する原料投入口と、熔融ガラスを流出する流出口とを有するガラス熔融槽よりなるガラス熔融装置であって、請求項1から請求項7の何れかに記載のバブリング装置の気体噴出口の開口端位置が、原料投入口を起点とし、流出口に至るまでの直線距離の2割以上8割以下の範囲内に配してなるため、ガラス原料起源の微細な気泡を効率良く清澄することができる。
本発明のバブリング装置の部分は破断面斜視図である。 本発明のバブリング装置のバブリング動作の説明図であり(A)はノズル孔から気体流出前の初期状態、(B)はノズル孔から気体が流出して気泡前駆体が膨張し始めた状態、(C)はノズル孔から気体が流出して膨張した気泡前駆体が離脱直前の状態、(D)は気泡前駆体がノズル孔から離脱して気泡となった状態をそれぞれ表している。 本発明の他のバブリング装置の平面図であって、(A)は2つのノズル孔を有する場合、(B)はノズル孔の部分に管材を配設した構造を採用した場合、(C)は気体導入管の配設状態を変更した場合について示している。 本発明の他のバブリング装置の平面図(A)とこのバブリング装置を配設したガラス熔融装置(B)について示した説明図である。 相似モデルのバブリング装置の初期状態を示す写真である。 相似モデルのバブリング装置の部材底面の気液界面レベルが膨らんだ状態を示す写真である。 相似モデルのバブリング装置のノズル孔(気体噴出口)から気泡前駆体が形成し始めた状態での写真である。 相似モデルのバブリング装置のノズル孔(気体噴出口)から気泡前駆体が形成した後に膨張した状態を示す写真である。 相似モデルのバブリング装置のノズル孔(気体噴出口)から気泡が浮上し始めた状態での写真である。 本発明の他のバブリング装置の平面図について示した説明図である。 本発明に至るまでに検討した従来のバブリング装置の説明図であり、(A)は気泡形成直前の状態、(B)は気泡離脱直前の状態を表している。 本発明に至るまでに検討した従来のバブリング装置の説明図であり、(A)は気泡形成直前の状態、(B)は気泡形成に至る途中状態、(C)は気体噴出口が傾斜している状態を表している。
以下、本発明のバブリング装置およびバブリング装置を使用するガラス物品の製造方法、さらにバブリング装置を配したガラス熔融装置について、実施例に基づいて詳細に説明する。
本発明のバブリング装置は、高い製造品位が要求される液晶表示装置に搭載される板ガラスや光通信等の情報端末機器に用いられる光部品用途のレンズ部材を製造する際に問題となるガラス物品の気泡に関わる製造品位の向上を目的として開発されたものである。このバブリング装置について、その部分断面斜視図を図1に示す。図1で、10はバブリング装置、20は気体導入管、20aは気体導入管の気体噴出口、30は気体滞留部を有する耐熱外郭部、31は耐熱外郭部の気体滞留部、32aは耐熱外郭部の側面、32bは耐熱外郭部の側面、33は耐熱外郭部の底面、33aは開放口、40は気体噴出口(ノズル孔)、40aはノズル孔開口端をそれぞれ表している。
このバブリング装置10は、上述した用途の硼珪酸ガラスのガラス熔融炉に適用するためのもので、その装置10の全てをガラス融液中に浸漬した状態で使用される。バブリングに使用される気体は、どのようなものであってもよいが、ここでは空気を使用してバブリングを行う場合について説明する。熔融ガラス中に配設されたバブリング装置10は、図1に示したように略円筒形状の白金ロジウム合金製の気体滞留部31を有する耐熱外郭部30を有している。そしてこの耐熱外郭部30の底面33は熔融ガラスに対して解放された状態になっており、この耐熱外郭部30の底面33の内側が、熔融ガラスと空気との界面、すなわち気液界面を形成し、気体噴出を補助する開放口33aとなっている。開放口33aからは気体が噴出されない。そしてこの底面33のほぼ中央には、気体導入管20を配し、気体導入管20の上端を耐熱外郭部30の天井32aの内面に溶接した構造である。気体導入管20の耐熱外郭部30内の側面32には略円形状の気体噴出口21を有している。気体導入管20から耐熱外郭部30で囲われた内部へと流入する空気は、この略円形状の気体噴出口20aを通じて耐熱外郭部30の内側の気体滞留部31に滞留することになる。そして、耐熱外郭部30の気体滞留部31に滞留した空気は、耐熱外郭部30の側面に形成した直径5mmの気体噴出口であるノズル孔40の開口端40a、すなわち開口端40aの断面積が19.63mmである略円形状の外観を呈する開口端40aから流出し、熔融ガラス中に気泡を形成することになる。つまり開口端40aには、開放口近傍とは異なる独立した気液界面が形成されている。よってこの装置10では、2つの気液界面が気体滞留部31に形成されており、この気体噴出口であるノズル孔40の開口端40aの気液界面がノズル孔40に沿って液体側へと移動し、膨張して、やがて気泡となる。ノズル孔40は、耐熱外郭部30の側面に形成されたものであり、耐熱外郭部30の壁厚が2mmであるため、ノズル孔40の長さも2mmである。またこのノズル孔40は、耐熱外郭部30側の断面積はノズル孔40の開口端40aの断面積よりも小さい構造となっている。よって図1では確認し難いが、ノズル孔40は、耐熱外郭部30の外側方向に放射状に僅かに拡がった構成となっている。また気体噴出口であるノズル孔40の気体流出方向に垂直な断面の円相当内径は、開放口33aの開放端断面積の円相当径の12%であって1から50%の範囲内に含まれるものである。
熔融ガラス中に気泡を形成する際に、どのような状況で気泡が形成されるかを図2に従い説明する。図2では、図1の図番に加えて、aは気体導入方向、Gは熔融ガラス、Fは気体滞留部31内の気体、Fbはノズル孔(気体噴出口)から耐熱外郭部30外に形成された気泡前駆体、Lは気体滞留部31内の初期の熔融ガラス面位置(気泡の離脱直後の位置)、Lは気体滞留部31内の気体前駆体Fbの膨張直前の熔融ガラスG液面位置をそれぞれ表している。
熔融ガラスG中に気泡が形成されるためには、前述したように耐熱外郭部30の気体滞留部31に滞留した空気が、ノズル孔40から流出することになる。図2(A)は、耐熱性気体滞留部30に気体導入管20から空気がaに示す方向で導入され、耐熱外郭部30内に空気が蓄えられた初期状態を表している。この初期状態では、耐熱外郭部30内の熔融ガラスの融液面、すなわちガラスレベルはLの位置にある。ここで熔融面と表したのは、熔融ガラスGと空気等の気体との界面、すなわち気液界面である。この状態からさらに気体導入管20を通じて耐熱外郭部30内へ空気が導入されていき、耐熱外郭部30内の気体滞留部31の熔融ガラス液面(気液界面)は、下方へと押し下げられていく。そして気体滞留部31中の圧力が徐々に大きくなり気泡前駆体Fbが開口端40aに形成されることになる。図2(B)で示されるように熔融ガラスGの融液面がLの位置に達したときに、気体滞留部31は最大圧力Pになり耐熱外郭部30の側面にある略円形状のノズル孔40の端部で気泡前駆体Fbは略半球状になる。そして図2(C)で示されるように、ノズル孔40の開口端40aに形成された気泡前駆体Fbの容積が急速に大きくなり、熔融ガラスGの融液面がLからLの位置まで上昇して、耐熱外郭部30内の気体滞留部31の空気容積の減少に応じた気泡前駆体Fbを形成する。この気泡前駆体Fbが所定の寸法に大きくなった時点で、気泡前駆体Fbの浮上力が大きくなってノズル孔40の開口端40aから離脱して気泡Bとなる。図2(D)ではこのようにして形成された気泡Bが熔融ガラスG中を上昇し始めた状況を表しており、この時の耐熱外郭部30内の気体滞留部31の熔融ガラスGの融液面は、再びLの位置にまで戻っている。なお、図2(A)は説明のために、図2(D)の浮上する気泡Bを図示省略しているものであり、実際には図2(A)と図2(D)は同一の状態を表している。熔融ガラスG内での気泡Bの形成は、このような一連の動作の繰り返しによって次々に行われていくことになる。また熔融ガラス融液面(熔融ガラスの液面のレベル)は、この繰り返しの中でLとLの間で変動することになる。
こうして形成された気泡Bは、熔融ガラスG中を浮上していくことになるが、次々に形成される気泡Bの容積変動は、気泡形成当初では5%以内に抑えられている。よって前後して形成された気泡が熔融ガラスG中を浮上する際に、熔融ガラスG中で互いに合体することはない。このため、熔融ガラスG中での2以上の気泡の合体挙動に応じて副次的に微細気泡が多数形成されることもない。また、バブリング装置10から浮上する気泡Bによって、熔融ガラスGは、それまでに混入していた微細気泡が気泡B中に取り込まれることになり、その結果泡径が大きくなって脱泡が円滑に進み、高い均質性を有する状態となる。
次いで、本発明のバブリング装置の異なる態様について、図3に示す。図3では、100、110及び120はバブリング装置、41、42、43及び44はノズル孔、41a、42a、43a、44aはノズル孔の開口端、50は管材、20は気体導入管をそれぞれ表している。まず図3(A)は、実施例1と同じ白金ロジウム合金製の気体滞留部31を有する耐熱外郭部30の同じ高さ位置の側面に2つの同形状、同寸法のノズル孔40a、40bを設けたものである。このような2つのノズル孔41、42を設けた仕様とすることによって、バブリング装置の使用当初から気泡Bの発生していたノズル41が高温状態での老朽化やノズル開口端41a近傍での熔融ガラスの様々な流動などの原因で使用できなくなっても、他方のノズル孔42がそれまでは使用されていなっかったために使用に伴う劣化が生じていない。このため、ノズル41の使用が不可能になると、それに伴ってノズル42がノズル41と同様に使用することができるようになる。すなわち、ノズル孔41からのバブリングが止まると、それと同時にノズル孔42の開口端42aに形成された気泡Bによるバブリングが始まるので、気泡Bが形成されなくなることもなく、また形成される気泡Bの寸法にも違いが生じることもないため、結果として長期間バブリング装置を熔融ガラスG中に装置を浸漬したまま使用し続けることができる構造である。ちなみに、図3(A)でも耐熱外郭部30の底面33に開放口33aを有している。開放口近傍には気液界面があり、バブリング時に上下変動する。この気液界面の上下変動は、バブリングに伴い繰り返される。開放口近傍とは、気体滞留部内側面の開放口端面から、ノズル孔下端までの領域に相当する。
さらに図3(B)は、実施例1と同様の白金ロジウム合金製の気体滞留部31を有する耐熱外郭部30の側面に高温での耐食性を高めた管材50を配した構造である。この管材50は、長さ20mmのジルコニウム含有白金ロジウム合金製の管材50である。またこの管材50は、内径が3mmの開口端43a、すなわち開口端43aの断面積が7.07mmである略円形状の外観を呈するノズル孔43を有している。このような構成であるため、バブリングによって開口端43aにおける長期的な損耗が少なく、ノズルの交換期間が従来の2倍に長くなる程の耐久性を有しており、その間に高い均質性のガラス物品を製造することに大きく寄与するものである。開放口33aの位置は、図3(A)と同様に、耐熱外郭部30の底面33である。気液界面は開放口近傍にあり、バブリング時に上下変動する。
また図3(C)も、図3(B)と同様に白金ロジウム合金製の気体滞留部31を有する耐熱外郭部30を有しているが、実施例1とは異なり、気体滞留部31を有する耐熱外郭部30の天井面に外側から気体導入管21を配した構造となっている。また気体滞留部31を有する耐熱外郭部30の側面に高温での耐食性を高めた長さ20mmのジルコニウム含有白金ロジウム合金製の管材50を配した構造となっている点については、図3(B)と同様な構成である。この管材50は、内径が2.8mmの開口端44a、すなわち開口端44aの断面積が6.16mmである略円形状の外観を呈するノズル孔44を有している。ジルコニウム含有白金ロジウム合金製の管材50の使用による効果は、同じであるが、気体導入管21の配設が異なるので、ガラス熔融炉の炉床側から気体導入管20を導く必要性がなく、より簡易な構成で本発明のバブリング装置を配設することのできる仕様である。開放口の位置33aは、図3(A)及び(B)と同様に、耐熱外郭部30の底面33の内側の気液界面である。気液界面は開放口近傍にあり、バブリング時に上下変動する。
さらに、本発明の他のバブリング装置として、図4(A)に示すようなバブリング装置を図4(B)のようにガラス熔融装置内に配置した場合について説明する。図4で、45はノズル孔、45aはノズル孔の開口端、50、50aは管材、60は固定材、130はバブリング装置、200はガラス熔融装置、210はホッパー、230は熔融槽、230aはガラス原料投入口、230bは流出口、250はバーナー、260は電極、Jは原料投入口230aから流出口230bまでの距離、Kは原料投入口230aからバブリング装置130までの距離、Mはガラス熔融用原料、Rは耐火物をそれぞれ表している。
このガラス熔融装置200は、CCDやCMOS等の固体撮像装置、いわゆるイメージセンサに搭載されるカバーガラスを製造するための高純度なガラス原料Mを、気泡等の欠陥が混入することなく溶解して板ガラスに成形するためのガラス熔融装置200である。このガラス熔融装置200は、石英製の耐火物Rを採用した熔融槽230と図示しない清澄槽とを有する構成である。このガラス熔融装置200は、熔融槽230の炉床に本発明のバブリング装置130を3台、熔融ガラスGの流れ方向に対して垂直になるように配したものである。このガラス熔融炉の原料投入口230aから流出口230bまでの水平距離Jは3000mmであり、原料投入口230aからバブリング装置130までの距離Kは1800mmであるので、原料投入口230aを起点として流出口230bまでの最大直線距離(水平最大距離)の6割に相当する位置に配されている。
このガラス熔融装置200を使用して、ガラス物品を製造する手順について、具体的に説明する。まず高純度原料を秤量し、それを混合機(図示省略)により均質な状態となるように混合する。次いで得られたガラス熔融用原料Mを、ガラス熔融装置200のホッパー210に投入して、ガラス原料投入機220によって熔融槽230内に連続的に投入する。熔融槽230では、熔融槽230に配設されたバーナー250や電極260によって、その内部を1500℃以上に加熱している。こうすることによって、ガラス熔融用原料Mは熔融温度まで加熱されることになる。こうしてガラス熔融用原料Mは、高温化学反応を生じ、反応ガスを生成しつつ粗熔融状態の熔融ガラスGとなる。この後熔融ガラスGは、熔融槽230内を川下、すなわち成形域側(図示していないオーバーフローダウンドロー成形装置が配設されている側)に流れてゆく。そして、本発明のバブリング装置130が配設された箇所で、バブリング装置130から発生した気泡Bによって微細な気泡が熔融ガラスG中に取り込まれていき、均質な熔融ガラスGとなっていく。またこのガラス熔融装置200では、前記したように本発明のバブリング装置130が3台、流れ方向に対して垂直となるように並んで配設されているため、原料投入口230aから1800mmの位置にバブリングによる上昇する対流を形成することとなり、投入されたガラス原料Mが未溶解のまま流出するのを妨げる働きも有している。このようにして均質な状態となった熔融ガラスGは、流出口230bへと流出し、フィーダー(図示省略)さらにその先に配設されたオーバーフローダウンドロー成形装置にて、板ガラス形状に成形が行われることになる。
このガラス熔融炉に配設された3台の本発明のバブリング装置130は、図4(A)に示した構造であり、実施例1と同様に白金ロジウム合金製の耐熱外郭部30を有している。一方このバブリング装置130が、実施例1と異なる点は、炉床に固定するための固定材60によって耐熱外郭部30を固定しており、この耐熱外郭部30の天井面に管材50を配している。この管材50aは、内径が2mmの開口端45a、すなわち開口端45aの断面積が3.14mmである略円形状の外観を呈するノズル孔45を有している。また耐熱外郭部30に気体を導入するための気体導入管22はその先端に気体噴出口22aが設けられており、ここから耐熱外郭部30の気体滞留部31に気体が充満することになる。開放口33aとなっている気液界面は、やはり耐熱外郭部30の底面33の内側に形成され、この気液界面は気体滞留部31に気体が充満していくのに応じて、その位置が上下に変動することになる。
またここでは、バブリング装置130の固定材60が、白金ロジウム合金製の板を3ヶ所で溶接したものであるが、耐熱外郭部の底面33へ熔融ガラスが容易に流れ込むのであれば、円筒形の固定材の側壁面に貫通穴を開けた形状としたものを採用してもよい。
以上のように、本発明のバブリング装置を使用することで、熔融ガラス中で所定範囲内の寸法を有する気泡を一定間隔で連続して形成することができる、そして、このようにして形成された気泡は、熔融ガラス中に残存する微細な気泡を取り込むことによって、熔融ガラスの均質化を促進でき、安定した品位のガラス物品を得ることができるのは明瞭である。
次いで、本発明のバブリング装置を熔融ガラス中で使用する以前に実験室内で行った相似モデルによる評価について示す。ここでは、ガラス密度2500kg/m、表面張力0.3N/mのガラス融液中に、内径40mm高さ40mmの円筒型の気体保持容器の側面に内径5mmのノズルがある本発明の気泡発生装置を設置し、300cc/minのガスを導入する場合の様子を、粘性流体として温度条件を調整した水飴を使用した相似モデルを使って調査した。気泡の発生状態は、この相似モデルを使用した槽の側面からビデオカメラで撮影を行い、気泡発生状況の確認と発生した気泡が合体するかどうかの確認等を行った。これらの評価結果を図5に示す。
図5では、23は気体導入管、23aは気体導入管の気体噴出口、34は相似モデルの気体滞留部を有する耐熱外郭部、35は相似モデルの気体滞留部、36は相似モデルの気体滞留部を有する部材の側面、37は相似モデルの気体滞留部を有する部材の底面、37aは相似モデルの開放口、40fはノズル孔、Fcはノズル孔から気体滞留部を有する部材外に形成された気泡前駆体、Qは粘性流体としての水飴を夫々表している。なお、モデルは透明樹脂を用いて作られており、内部の状態を詳細に観察できるようになっている。
各写真、図5〜図9は、図5から順番に相似モデルの動作の各段階を示したものである。これらは、粘性流体である水飴中に浸した本発明のバブリング装置の相似モデル中に気体導入管23から空気を導入していく際に、粘性流体(水飴)中に気泡が形成されていくのを撮影したものである。図5は、初期状態であり、この図は導入された空気が気体滞留部35中に充満した状態であるが、ここでは気泡前駆体はまだ成長していない。図6では、気体滞留部35中の空気が、気体滞留部35中の気液界面レベルを押し下げて、透明な樹脂を用いて気体を滞留させるように成形された外郭部34の底面37が膨らんだように認められる。これは外郭部34の底面37が開放口37aとなっているからである。そして図7は、最大圧力Pを超える圧力値に到達した後にノズル孔46の気泡前駆体Fcが拡大し始める状態となるのを示している。次いで図8では、この気泡前駆体Fcがさらに大きく膨張してゆき、やがてその浮上力が大きくなって、図9のように側面36にあるノズル孔46の開口端46aから離脱して気泡Bとなる。以上の一連の写真からも、本発明のバブリング装置の安定した特長的な気泡形成に関わる動作は明瞭に理解できる。
そして、この相似モデルを使用して一連の挙動の観察を行なうことによって、気泡Bの最大泡圧、すなわち最大圧力Pに達するまで、気体滞留部35内の気液界面であるガラスレベルが低下し続け、最大圧力後の泡の成長に伴ってガラスレベルが上昇しており、本発明が実際に実現できるものであることを確認することができた。本明細書の実施例1のバブリング装置内のガラスの挙動について、熔融ガラス内で目視確認が困難であるにもかかわらず、説明できるのは、高温状態でのガラス熔融炉内に観察に併せて、この相似モデルによる詳細な観察結果にも基づいて、本発明に関わる理解を深めたためである。
さらにこの装置による調査では、気体導入管23から連続的に空気を送り込むことによって、直径29mmの気泡が泡径を一定に保ったまま、1分間に24個発生し、発生時間間隔も2.5秒で安定しており、不安定な泡の発生間隔で起きる気泡同士の合体による二次的な微細泡の発生は認められないことを確認することができた。
以上より、本発明のバブリング装置の性能は、相似モデルからも実証され、実際のガラス熔融炉での評価を行うことができ、その結果すばらしい性能を発揮できることがはっきりした。
実施例5としては、金属材によって気体滞留部を形成するのではなく、耐火物、すなわちセラミックス材で形成する場合について説明する。図10は、気体滞留部、ジルコニア電鋳耐火物を使用してキャップ状の外観となるように切削加工を施して得られた気体滞留部に、白金ロジウム筒を固定して形成されたバブリング装置を示している。
図10では、上述の符号に加えて140がバブリング装置、24が気体導入管、24aが気体導入管の気体噴出口、30aが気体滞留部を有する耐熱外郭部、40gがノズル孔(気体噴出口)、51が管材固定部材を各々表している。
ジルコニア電鋳耐火物などのセラミックス材を使用する利点としては、金属材よりも高温状態での機械的強度に優れる点を優位なものと判断する場合、また金属材と高温で反応し易い成分を含有するガラス物品の製造を行う場合、さらに金属材よりも経済的に優位であると判断できる場合等がある。あるいはこれらの複数の理由によってセラミックス材を選択してもよい。
ここでは、オーバーフローダウンドロー成形を行う板ガラス成形用のガラス熔融炉に設置する場合を例示する。製造設備はなるべく安価にする必要があり、白金などの貴金属の使用は極力抑えることが好ましい。このため、例えバブリング装置であっても貴金属製のものを使用するのではなく、耐火物製のものを使用することが好ましいこととなる。
このバブリング装置140は、上述した成形方法で成型されるアルミノ珪酸塩ガラスの熔融炉に適用するもので、ガラス融液中に浸漬した状態で使用される。バブリングに使用される気体は、空気である。バブリング装置140は、図10に示したように略円筒形状のジルコニア電鋳耐火物Rで作製された気体滞留部31を設けた耐熱外郭部30aを有している。この耐熱外郭部30aの下部は、炉床に固定されているが、その一部に切り欠きが設けられており、その一部の底面33が開放された開放口33aになっている。耐熱外郭部30aの側面には、白金合金製の管材50bが管材50bに溶接された同じく白金合金製の管材固定部材51で固定されている。そしてこの底面33側から気体導入管20cが配されている。気体導入管24からその気体噴出口24aを経て耐熱外郭部30a内へと流入する空気は、気体噴出口47の開口端47aへと流出し、熔融ガラス中に気泡を形成することになる。略円形状のノズル孔47の開口端47aの直径は、10mmであり、断面積は78.53mmである。一方、切り欠きが設けられて開放され、底面33の気液界面が形成される箇所、すなわち開放口33aの円相当内径は、21mmであるため、気体噴出口47の気体流出方向に垂直な開口断面積の円相当内径が、開放口33aの開放端断面積の円相当径の47.6%となっており、本発明の要件を満足する。
以上に示したバブリング装置を用いることで、微細な副次的な気泡の形成を抑制し、泡不良率を低減し、その結果ガラス製造歩留まりを抑えて効率よく板ガラスを製造することが可能となった。
10、100、110、120、130、140 バブリング装置(バブラー)
20、21、22、23、24 気体導入管
20a、21a、22a、23a、24a 気体導入管の気体噴出口(開口部)
30、30a 気体滞留部を有する耐熱外郭部
31 気体滞留部
32a 耐熱外郭部の側面
32b 耐熱外郭部の天井面
33 耐熱外郭部の底面
33a 開放口(開放部)
34 相似モデルの気体滞留部を有する外郭部
35 相似モデルの気体滞留部
36 相似モデルの気体滞留部を有する外郭部の側面
37 相似モデルの気体滞留部を有する外郭部の底面
37a 相似モデルの耐熱外郭部の開放口
40、41、42、43、44、45、46、47 気体噴出口(ノズル孔)
40a、41a、42a、43a、44a、45a、46a、47g 開口端
50、50a、50b 管材
51 管材固定部材
60 固定材
200 ガラス熔融装置
210 ホッパー
220 ガラス原料投入機
230 熔融槽
230a ガラス原料投入口
230b 熔融ガラス流出口
250 バーナー
260 電極
a 気体導入方向
B 気泡
G 熔融ガラス
J 原料投入口から流出口までの水平距離
K 原料投入口からバブリング装置までの水平距離
M ガラス熔融用原料
F 耐熱外郭部内の気体滞留部の気体
Fb 気泡前駆体
Fc 相似モデルの気泡前駆体
耐熱外郭部内の初期の熔融ガラス面位置(気泡の離脱直後の位置)
耐熱外郭部内の気体前駆体の離脱直前の熔融ガラス面位置
気泡前駆体の膨張開始時の最大圧力
気泡前駆体が気泡となって離脱する時の最大圧力
R 耐火物
Q 相似モデルの水飴(粘性流体)
V 気体滞留部の容積
W 気泡の形成の際に導入される気体量

Claims (11)

  1. 少なくとも1以上の気体噴出口を有する耐熱外郭部よりなるバブリング装置であって、
    耐熱外郭部により周囲を囲われた気体滞留部内へと気体を導入する気体導入管が設けられてなり、
    前記バブリング装置の耐熱外郭部が、該気体噴出口と離間して配された、気体噴出を補助する開放口を有してなることを特徴とするバブリング装置。
  2. 開放口が、耐熱外郭部の側面及び/または底面に配されてなることを特徴とする請求項1に記載のバブリング装置。
  3. 前記気体滞留部が、気体噴出口に形成される気泡前駆体の最大容積よりも大きい容積を有し、かつ気体噴出口は、開口端の気体流出方向に垂直な断面積が、前記気泡前駆体の容積が所定値以上となるまで気泡として離脱することのない大きさを有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のバブリング装置。
  4. 前記気体噴出口の気体流出方向に垂直な開口断面の円相当内径が、開放口の開放端断面の円相当径の1%以上50%以下の範囲内にあることを特徴とする請求項1から請求項3に記載のバブリング装置。
  5. 前記気体噴出口の気体流出方向に垂直な開口断面の円相当内径が、耐熱部材の内側の孔の断面の円相当内径以上の大きさであることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載のバブリング装置。
  6. 液体が熔融ガラスであることを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記戴のバブリング装置。
  7. 耐熱外郭部が、複数の気体噴出口を有するものであることを特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載のバブリング装置。
  8. 耐熱外郭部が、白金族元素を含有する耐熱金属により構成されてなることを特徴とする請求項1から請求項7の何れかに記載のバブリング装置。
  9. ガラス熔融槽によりガラス原料を熔融して熔融ガラスを得る熔融工程と、得られた熔融ガラス中に気泡を逐次形成して均質化する均質化工程と、均質化した熔融ガラスを成形装置により所望の形状に成形する成形工程とを有し、
    前記均質化工程が、請求項1から請求項8の何れかに記載の少なくとも1つのバブリング装置により気泡を形成するものであることを特徴とするガラス物品の製造方法。
  10. 均質化工程は、熔融ガラス中に形成する気泡の直径が、20mm以上120mm以下の範囲内にあり、かつ熔融ガラス中に相次いで形成される気泡を合体させることなくガラス融液面まで浮上させるものであることを特徴とする請求項9に記載のガラス物品の製造方法。
  11. ガラス原料を投入する原料投入口と、熔融ガラスを流出する流出口とを有するガラス熔融槽よりなるガラス熔融装置であって、
    請求項1から請求項8の何れかに記載のバブリング装置の気体噴出口の開口端位置が、原料投入口を起点とし、流出口に至るまでの直線距離の2割以上8割以下の範囲内に配してなることを特徴するガラス熔融装置。
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