JP2006232560A - 熔融ガラス中の気泡形成装置及びガラス物品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】微細な気泡のない熔融ガラス状態を維持し、安定した大量生産を可能とする熔融ガラスの気泡形成装置とこの装置を利用するガラス物品の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の気泡形成装置10は、熔融ガラスG中に、直径が1mm〜50mmの球体に相当する範囲内で所望の容積を有する略球欠形状の気泡予備体Bを開口部21に形成する気体供給部20と、気泡予備体Bを所望の直径を有する気泡として切り離す気泡容積調節部30とを有する。また本発明のガラス物品の製造方法は、熔融槽の熔融ガラスG中に配設された気泡形成装置10の気体供給部20に気体を供給して1mm〜50mmの所望の直径を有する気泡を発生させて熔融ガラスGとの接触操作を行い、その後、気体の清澄作用により均質化された熔融ガラスGを成形槽に配設された成形装置で所定形状のガラス物品に成形する。
【選択図】図2
【解決手段】本発明の気泡形成装置10は、熔融ガラスG中に、直径が1mm〜50mmの球体に相当する範囲内で所望の容積を有する略球欠形状の気泡予備体Bを開口部21に形成する気体供給部20と、気泡予備体Bを所望の直径を有する気泡として切り離す気泡容積調節部30とを有する。また本発明のガラス物品の製造方法は、熔融槽の熔融ガラスG中に配設された気泡形成装置10の気体供給部20に気体を供給して1mm〜50mmの所望の直径を有する気泡を発生させて熔融ガラスGとの接触操作を行い、その後、気体の清澄作用により均質化された熔融ガラスGを成形槽に配設された成形装置で所定形状のガラス物品に成形する。
【選択図】図2
Description
本発明は、ガラス中の泡欠陥を減じてガラス物品の均質性を向上させる際に使用される気泡形成装置と、この気泡形成装置を利用するガラス物品の製造方法に関する。
現在、熔融ガラスに種々の成形手段を施すことで、多彩な用途に対応する機能を実現した多様なガラス物品が利用されてきている。所望の機能を実現する上で、ガラス物品に高い均質性を付与することは非常に重要なこととされてきた。このような外観上あるいは性能上から求められる均質性の品位は、これからも一層注目されるものであることは明らかである。例えば、各種の画像表示装置に搭載される薄板ガラスは、ガラスの高い均質性を前提としており、高解像度の画像表示を如何にして実現できるかという開発が日々行われている。また、各種の電子部品や建材等に使用されて構造材料となるガラス繊維では、熔融ガラス中の欠陥が複合材料自体の欠陥となり、信頼性の欠如に繋がる虞がある。さらに情報化時代を担う光部品等として機能する微小なガラス部材、例えば、レンズ部品や光ファイバー関連部材等では、ガラスの均質性の低下は、光部品の光学的性能を低下させる主要な原因の1つともなるものである。熔融ガラスの均質性を損なう原因となるものは種々あるが、その内でも最も大きな要因の1つは、熔融ガラス中の泡欠陥である。
泡欠陥の解消手段には様々な方法が考えられてきたが、その1つとしてバブリングと呼ばれ、熔融ガラスを滞留させるガラス熔融炉の槽内の床面や側壁等に気体供給管の開口部を設け、そこから特定成分の気泡を熔融ガラス液表面まで上昇させて清澄を行うというものがある。このような装置を利用するものについては、熔融ガラス中の泡欠陥を減少させて熔融ガラスの均質化を促進するという観点から、これまで数多くの発明が行われてきた。例えば、特許文献1は、ガラス熔融炉中のバブリングノズルを、熔融ガラス中でガラス成分が還元されることによって生成するPb、Sb等の金属析出物との還元反応が生じにくい位置に配設するというものである。また、特許文献2は、炉床に配設したバブリング用ノズルが下方にずり落ちたりしないような配設状態についての提案が行われている。さらに特許文献3は、熔融ガラスの上方から熔融ガラス中に浸漬されたバブラーを使用することによって、一度バブリングを停止した後であっても、バブリングノズルが詰まる等の問題を生じることなく容易にバブリングが再開できるというものである。また特許文献4には、水蒸気を含む気体をバブリングすることが開示されている。さらに、特許文献5には、排ガス中に含まれる有害成分を除去するために微細な孔を熔融槽の側壁に穿つことにより排ガス微細気泡を熔融ガラス中に形成する装置についての発明が開示されている。
特開平6−56433号公報
実開平6−39930号公報
特開平11−349335号公報
特開平10−114529号公報
特開2001−302252号公報
しかしながら、熔融ガラス中で微細な泡のない均質なガラス状態を実現するためには、これまで行われてきた特許文献1から4に記載のようなものだけでは不充分である。従来行われてきた熔融ガラスのバブリングは、上記したように単純に耐火材料に穿った供給孔、あるいは熔融ガラス中に突出した耐熱性の供給管から熔融ガラス中に何らかの気体を放出することによって、放出された気体が熔融ガラス中を上昇する途中で微細な気泡を取り込むことで熔融ガラスの清澄を行うというものである。しかし、このような構成では熔融ガラス中に供給された気泡は熔融ガラスの粘度が高いため、ある程度の寸法になるまで、供給管あるいは供給孔から離れることがなく、必然的に気泡寸法は大きくなる。そして気泡は大きな直径となって、ようやく熔融ガラス中を溶融ガラス表面へと浮上することとなる。
また、特許文献5のような構成にすると、供給孔から熔融ガラス中に供給された気泡は、生成当初はその直径が小さい寸法となるが、熔融ガラス中で複数の気泡を連続的に多数生成する構成であるため、小さな気泡が互いに結合して大きな泡が形成され、このようにして大きくなった気泡はそれだけ大きな浮力を有することとなり、一層多数の小さな泡を浮上途中で取り込んで巨大な気泡へと成長した後に熔融ガラス液面に到達することとなる。このように粘凋性を有する、すなわち高い粘度を有する熔融ガラス中では、供給管等から供給された気体によって生成した気泡は、水中等のように低い粘度の液体中で形成された気泡が液面へと浮上する場合とは大きく異なる挙動を示すこととなる。
そして、熔融ガラス液面に大直径の気泡が到達した後、気泡が熔融ガラス液面で破裂するとそれに伴って熔融ガラス表面生地の飛沫が熔融ガラス液面上に飛び散ることとなる。その結果、熔融ガラス飛沫が落下し、熔融ガラス液面に着液する際に雰囲気ガスを巻き込んだ非常に微細な気泡が熔融ガラス液面近傍に新たに生成することとなる。このような飛沫の飛散現象に伴って発生した微細な気泡は、熔融ガラス液面の近傍で発生したにもかかわらず、その気泡径が極めて小さいために容易に脱泡されることがない。このためガラス物品の成形工程まで微細気泡が残留して流出することとなって、ガラス物品中に微細な気泡が混入し、ガラスの外観を損なうものとなるか、あるいは高い機能を要求されるガラス物品の性能を低くすることになり、さらには製品にはできない品位となる場合もあるという問題があった。
本発明者らは、このような状況に鑑み、ガラス製造業で利用される最も一般的な熔融によるガラス製造方法で、微細な気泡のない熔融ガラス状態を維持し、安定した大量生産を可能とする熔融ガラス中の気泡形成装置とこの装置を利用するガラス物品の製造方法の提供を課題とするものである。
すなわち、本発明の熔融ガラス中の気泡形成装置は、熔融ガラス中に、直径が1mm〜50mmの球体に相当する範囲内で所望の容積を有する略球欠形状の気泡予備体を吹き出し口に形成する気体供給部と、該気泡予備体を1mm〜50mmの所望の直径を有する略球形状の気泡として切り離す気泡容積調節部とを有するものである。
ここで、直径が1mm〜50mmの球体に相当する範囲内で所望の容積を有する略球欠形状の気泡予備体を吹き出し口に形成する気体供給部と、該気泡予備体を1mm〜50mmの所望の直径を有する略球形状の気泡として切り離す気泡容積調節部とを有するとは、加熱されてガラス化した無機酸化物組成の熔融ガラスの融液中に、直径1mmから直径50mmまでの球体積に相当する球欠あるいは球欠に類似する形状を有する気泡予備体を吹き出し口に形成する機能を有する気体供給部、及びこの気体供給部に形成している気泡予備体から球または球類似形状を有する独立した気泡を分離形成する機能を有する気泡容積調整部の2つの部位を有することを表している。
気体供給部は、熔融ガラス中に所望の気体を導入するために、所定の流量で流入する機能を有し、耐熱材料で構成されていることが必要である。またこの気体供給部は、気体の流入によって熔融ガラス中に形成した略球欠形状を有する気泡予備体を所定寸法の直径となるまで維持し続ける程度の気体との接触面積を略球欠形状の気泡予備体との間に有するような構成となっていることが必要である。そしてこの略球欠形状を有する気泡予備体が直径1mm〜50mmの寸法の球容積に相当する状態となった時に、略球欠形状を有する気泡予備体に印加された力によって容易に吹き出し口との接触を断つことができるものである。
そして、気泡容積調整部は、略球欠形状を有する気泡予備体に所定の大きさの外力を印加することによって、直径1mmから直径50mmまでの球体積に相当する球欠あるいは球欠に類似する形状を有する気泡予備体を略球形状の気泡とし、気泡供給部の吹き出し口からは離れて熔融ガラス液面上へと浮上させるように働くものである。
ここで、略球欠形状を有する気泡予備体に働く所定の大きさの外力は、気泡予備体を気泡供給部の吹き出し口から離れさせるに足るだけの大きさのものであれば、どのような外力であってもよい。ただ、この外力は余りに大きすぎると、注目する気泡予備体以外の他の気泡や熔融ガラス、さらに熔融ガラスの融液表面、そして熔融ガラスが滞留する槽の内表面、あるいは容器を構成する材料に悪影響を与えるために注意が必要であり、外力の種類によっては他の管理システム等との動作の連係も必要となるものである。外力の種類については、機械的な応力を施すもの、媒体の流動や圧力の印加によるもの、体積の膨張や収縮によるもの、および温度の変化や電磁気力の変化によるもの等をも使用することができる。
直径1mm〜50mmの寸法の球容積に相当する略球欠形状を有する気泡予備体とするのは、1mmより小さい気泡は、熔融ガラス中に気泡中の気体成分を拡散させるだけで利用する場合には効果的であるが、気泡の浮上に伴う清澄作用にその効果を期待することはできないためである。また50mmを超える寸法の気泡は、熔融ガラス表面への浮上速度は速いものの、浮上した後に気泡が破裂した際に飛散する飛沫の寸法が大きく、その量も多くなるため、熔融ガラス液面で巻き込まれる微小な気泡数が多くなり、その結果製品に多数の気泡が混入する危険性があるため好ましくない。このような観点から、気泡予備体の容積は小さい程よく、好ましくは直径1.5mm〜45mmの寸法の球容積に相当する略球欠形状を有する気泡予備体であることであって、さらに好ましくは直径2mm〜40mmの寸法の球容積に相当する略球欠形状を有する気泡予備体であることであり、一層好ましくは直径3mm〜35mmの寸法の球容積に相当する略球欠形状を有する気泡予備体であることである。そして最も好ましくは直径5mm〜30mmの寸法の球容積に相当する略球欠形状を有する気泡予備体であることである。
本発明の熔融ガラス中の気泡形成装置は、1つの熔融ガラス製造装置に複数台配設することによって、より高い効果を実現することができるため好ましい。気泡形成装置の数は熔融ガラス製造装置の大きさや熔融するガラス材質の種類、さらに求められるガラス物品の品位等の要因によって決めることができる。より具体的には、気泡形成装置の数は、1個以上が好ましく、さらに好ましくは3個以上、一層好ましくは5〜500個、最も好ましくは7〜300個の範囲である。
本発明の熔融ガラス中の気泡形成装置は、1000℃以上の耐熱性を有し、その強度や熔融ガラスとの反応性についても、充分に高い性能を有する必要がある。また気泡形成装置は他の熔融ガラスの均質化装置と併用することが可能である。具体的には、熔融ガラスを物理的に混合するスターラーや泡や異物などの欠陥の成形域への流出を妨げる堰形状構造物、さらに直接あるいは間接的に温度を上昇させる加熱装置、真空吸引装置や断熱装置、さらに振動装置や回転装置等と組み合わせることができる。
また本発明の熔融ガラス中の気泡形成装置は、本発明の機能を実現できるものであるならば、どのようなガラス材質の熔融に対しても適用することができる。
また、本発明の熔融ガラス中の気泡形成装置は、上述に加え気体供給部が貴金属製の気体供給管により構成され、気体供給管の一部が熔融ガラス中に浸漬されてなるならば、熔融ガラス中に所定寸法の気泡を確実に生成することができるので好ましい。
ここで、気体供給部が貴金属製の気体供給管により構成され、該気体供給管の吹き出し口を有する一部が熔融ガラス中に浸漬されてなるとは、熔融ガラス中の気泡形成装置の気体供給部を構成する気体供給管が、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)のような貴金属を含有するもであって、しかもこの気体供給管の吹き出し口を有する一部あるいは全ての表面が、熔融ガラス中に浸漬された状態で使用されるものであることを意味するものである。
気体供給管の寸法については、特に限定されないものであるが、気体供給管の開口直径は、形成する気泡部に見合った寸法としなければならない。その直径は、0.1mmから100mmまでの寸法の円に相当する断面積を開口端部が有するものであればよい。管の断面形状はどのような形状でもよい。具体的に例示すれば、略楕円形状、略矩形状、略多角形状あるいはそれらを結合した形状といったものが可能であって、より複雑な放射状やスパイラル状などの形状を有する断面形状であっても差し支えない。
また気体供給管は、複数の枝管に分岐したような外観形状であってもよく、複数の細管を束ねたような形状であってもよい。またさらに多重管のように積層した管によって構成されるものであっても使用することができる。そして、管は長手方向に直線状のものであっても、錐形状のものであってもよく、さらに湾曲して形態であっても、絞り部、屈曲部、扁平部を有する構造であってもよい。また気体供給管の一部には気体の汚れや不純物、汚染物質を除去する働きを有するフィルター部材を介在させることもできるし、所定の気体を意図的に混入するためのトラップや気体発生装置を介在させることも可能である。また予め供給する気体を加熱することができるような加熱装置を配設した構造、気体流量、気体圧力、温度計測などの諸条件を調整する各種の装置が整えられているものとすることもできる。
また、本発明の熔融ガラス中の気泡形成装置は、上述に加え気泡容積調節部が剪断力、押圧力、吸引力又は回転力のいずれか1以上の作用による物理変化によって、前記気泡予備体を吹き出し口から気泡として切り離すものであるならば、適切な気泡寸法を有する気泡を形成することができるため好ましい。
ここで、気泡容積調節部が剪断力、押圧力、吸引力又は回転力のいずれか1以上の作用による物理変化によって、前記気泡予備体を吹き出し口から気泡として切り離すとは、気体供給管の先端に形成された略球欠形状を有する気泡予備体が適切な寸法となった時に気泡に対して剪断力、すなわちずりに伴い生じる力、あるいは押圧力、すなわち前方へ進ませる力、あるいは吸引力、すなわち吸い込まれる力、あるいは回転力、すなわち回す力の内のいずれか1以上の力の変化を駆動力として及ぼすことによって、気泡予備体から独立した1個の気泡へと気体供給部の吹き出し口から供給された気体を熔融ガラス中で分離することを表している。
剪断力について具体的に例示するならば、例えば気泡容積調節部の一部を構成する耐熱性のブレードが気体供給部の気体供給管の吹き出し口に形成した略球欠形状を有する気泡予備体を供給管の先端から分離するように供給管の吹き出し口を一時的に閉鎖するように動く等することで、適切な寸法の気泡とすることが可能となる。
また、押圧力については、例えば気体供給部の気体供給管の先端に形成した略球欠形状を有する気泡予備体にたいして、急速な流速を伴って圧力が付与されるように配設された気泡容積調節部の一部を構成する耐熱性の熔融ガラス供給管から熔融ガラスの早い流れを断続的に送出することで、気泡予備体を気体供給管の先端から押しやり、1つの独立した気泡とすることもできる。
さらに吸引力については、例えば前記同様に気体供給部の気体供給管の先端に形成した略球欠形状を有する気泡予備体に対し、耐熱性の熔融ガラス吸引管によって、気泡予備体周辺の熔融ガラスと一緒に気泡予備体を吸引することで、気体供給管の先端から気泡を引き離すことで独立した1個の気泡とすることも可能である。
そして回転力としては、例えば気体供給部の気体供給管の吹き出し口に形成した略球欠形状を有する気泡予備体を覆うような耐熱性の腕形状を有するカバー部材を設け、そのカバー部材の内表面に沿った円周方向の回転流を生み出す流れを腕の内面に沿って生じるような熔融ガラス供給管を配設した構造とすることで、ある寸法以上となった状態で気泡に回転を付与して気体供給管の吹き出し口から分離することも可能となる。
気泡容積調整部の数は、1つの気泡形成装置について1つであっても複数であってもよく、さらに複数の気体供給管に対して、1つの気泡容積調整部が働くような配設状態であってもよい。また気泡容積調整部の働きは、断続的なものであっても連続的なものであってもよいが、気泡の形成は断続的なものとなるのが好ましい。連続的に気泡が形成されると、形成された気泡が熔融ガラス中で結合する虞があるからである。このため、気泡の形成速度を気体供給速度や気泡容積調整部の働く速度などを適宜調整することによって、熔融ガラスの粘度などの諸条件に合致する変更を行うことができるのが好ましい。
気体容積調整部の形状は、どのようなものであっても上記した機能を実現できるものであるならばよいが、具体的に例示するなら気体供給管と同様の筒形状や旋回する翼形状、さらに熔融ガラスの流速を絞るスリット形状といった形状とすることができる。
また、本発明の熔融ガラス中の気泡形成装置は、上述に加え気泡容積調節部が貴金属により構成され、気泡内圧計測値、気泡内温度計測値、経過時間計測値又は気泡直径計測値のいずれか1以上の測定結果に基づいて気泡の直径を調整するものであれば、気泡寸法を正確に調整することができるため好ましい。
ここで、気泡容積調節部が貴金属製により構成され、気泡内圧計測値、気泡内温度計測値、経過時間計測値又は気泡直径計測値のいずれか1以上の測定結果に基づいて気泡の直径を調整するものとは、上記の構成によって気体供給部の気体供給管の吹き出し口に形成した略球欠形状を有する気泡予備体から分離して熔融ガラス中で独立した1個の気泡とするタイミングを決めるために、気泡予備体の内圧が所定の値となるかどうかを計測する、あるいは気泡内の温度が所定温度になるのを計測する、あるいは気泡に気体が供給開始されてからの経過時間を計測する、さらに気泡の外寸を計測するといった各種の計測を実施することによって、計測値が規定された値となったことで気泡容積調節部を作動して、気泡を分離して適切な直径の気泡を生成することを表している。
そして気泡容積調整部についても、前記した気泡供給部と同様に貴金属製であることが好ましい。すなわち前記したように白金(Pt)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)のような貴金属を含有するものが好ましい。そして気体供給管同様にその構成の一部あるいは全ての表面が、熔融ガラス中に浸漬された状態で使用されるものとするのが好適である。
また、本発明の熔融ガラス中の気泡形成装置は、上述に加え熔融ガラスの粘度が106.0dPa・s〜101.0dPa・sの範囲内にある部位で作動するものであるならば、熔融ガラス中の微細な径の気泡を清澄することができるため好ましい。
ここで、熔融ガラスの粘度が106.0dPa・s〜101.0dPa・sの範囲内にある部位で作動するものであるとは、本発明を適用する熔融ガラスの粘度を106.0poiseから101.0poiseの範囲内とするということを表している。
熔融ガラスの粘度が106.0dPa・sより大きい値であると、気泡を形成するに非常に大きなエネルギーを要するし、形成された気泡を脱離させることも困難となるため、好ましくない。また熔融ガラスの粘度は、101.0dPa・sより小さくしようとすれば、極端に熔融ガラスを加熱する必要があり、過酷な加熱条件を採用すると、熔融ガラスの製造に使用する装置部材の劣化を早め、設備の長期間の維持が困難となるといった影響があらわれるので好ましくない。
また、本発明の熔融ガラス中の気泡形成装置は、上述に加え気体供給部から給部される気体が、水素、ヘリウム、酸素、二酸化炭素、一酸化炭素、水蒸気、窒素、アルゴン、塩素、フッ素、ネオン、クリプトン、キセノン、NOX又はSOXのいずれか1以上を含むものであるならば、ガラスの清澄を効率的に行うことができるので好ましい。
ここで、気体供給部から供給される気体が、水素、ヘリウム、酸素、二酸化炭素、一酸化炭素、水蒸気、窒素、アルゴン、塩素、フッ素、ネオン、クリプトン、キセノン、NOX又はSOXのいずれか1以上を含むものであるとは、本発明の熔融ガラス中の気泡形成装置によって、気体供給部の気体供給管より供給される気体の種類が、H2、He、O2、CO2、CO、H2O、N2、Ar、Cl2、F2、Ne、Ar、Kr、Xe、ノックスあるいはソックスの内のいずれかを含むものであるということを表している。
また、本発明の熔融ガラス中の気泡形成装置を使用することで、熔融ガラス中に所望の濃度気体を含有させることが可能となり、それは冷却後のガラス物品中のガス濃度を決めることとなる。例えばヘリウムガスを使用するならば、製造されるガラス組成物、すなわちガラス物品は、ガラス原料を熔融して製造される多成分の酸化物を主成分とするガラス物品であって、その含有するヘリウムの濃度が0.01〜2μl/g(0℃、1atm)含有することとなる。このように、所定濃度の気体をガラス中に含有させることで微細な気泡を除くことが可能となる。
また、本発明の熔融ガラス中の気泡形成装置は、上述に加え無アルカリガラス、硼珪酸ガラス又はアルミノシリケートガラスのいずれかの熔融ガラスに使用される装置であるならば、種々の高い機能を有するガラス物品に利用される各種ガラス中の泡欠点を極力抑えることができるので好ましい。
ここで、無アルカリガラス、硼珪酸ガラス又はアルミノシリケートガラスの熔融ガラス中に泡を形成するための装置とは、実質的にアルカリ金属酸化物を含有しない組成であるか、あるいは硼素と珪素酸化物を主成分とするガラス組成物であるか、さらにアルミニウムと珪素とを主成分とするガラスについて、その熔融ガラス中に泡を形成するということを表している。
無アルカリガラスは、具体的にはガラス組成中のアルカリ金属元素であるナトリウム、カリウム、リチウムといった元素が酸化物換算で0.1質量%以下となるものを表している。無アルカリガラスは、例えば液晶表示装置用薄板ガラス、固体撮像素子用カバーガラス、フィールドエミッション用板ガラス、EL用カバーガラス、ガラス繊維等に利用することができるものである。例えば本発明に係る無アルカリガラスは、質量%表示でSiO2 40〜85%、Al2O3 3〜25%、RO 3〜40%(RO=MgO+CaO+ZnO+SrO+BaO)といったような組成を有するガラス材質とすることが好適である。
また硼珪酸ガラスは、具体的には、ガラス組成中で硼素(B)や珪素(Si)といった
成分を酸化物換算の質量百分率表示で、両方を併せて50%以上となるようなガラス組成を意味するものである。硼珪酸ガラスは、硬質ガラスと同義に使用される場合も多いが、ここでは、上記の成分による定義に従うものである。硼珪酸ガラスは、耐熱性ガラス食器、ガラス管、ガラス細管、薄板ガラス、ガラスブロック、ガラス繊維、封着用ガラスといった用途に利用されるものである。
成分を酸化物換算の質量百分率表示で、両方を併せて50%以上となるようなガラス組成を意味するものである。硼珪酸ガラスは、硬質ガラスと同義に使用される場合も多いが、ここでは、上記の成分による定義に従うものである。硼珪酸ガラスは、耐熱性ガラス食器、ガラス管、ガラス細管、薄板ガラス、ガラスブロック、ガラス繊維、封着用ガラスといった用途に利用されるものである。
さらにアルミノシリケートガラスは、アルミニウム(Al)と珪素(Si)とを酸化物換算の質量百分率表示で、両方を併せて50%以上となるようなガラス組成を意味するものである。
これらの無アルカリガラス、硼珪酸ガラス又はアルミノシリケートガラスといったガラス材質は、ガラスの溶融性を向上させる目的で、炭酸塩や水酸化物等のガラス原料を多量に使用してガラスを熔融するのが一般的であって、そのため加熱によって熔融ガラスが生成する初期熔融状態において、非常に多数の微細な気泡が熔融ガラス中に生じることとなるため、本発明の気泡形成装置を適用する場合に特に大きな清澄効果を実現することができるので好ましいものである。
本発明のガラス物品の製造方法は、熔融槽の熔融ガラス中に配設された上記に記載の一つあるいは複数の気泡形成装置の気体供給部に気体を供給して1mm〜50mmの所望の直径を有する略球形状の気泡を発生させて熔融ガラスの均質化操作を行い、その後、気体の清澄作用により均質化された熔融ガラスを成形槽に配設された成形装置で所定形状のガラス物品に成形するものであるならば、均質度の高いガラス物品を得ることができるので好ましい。
ここで、熔融槽の熔融ガラス中に配設された上記に記載の一つあるいは複数の気泡形成装置の気体供給部に気体を供給して1mm〜50mmの所望の直径を有する略球形状の気泡を発生させて熔融ガラスの均質化操作を行い、その後、気体の清澄作用により均質化された熔融ガラスを成形槽に配設された成形装置で所定形状のガラス物品に成形するものとは、熔融ガラスの熔融を行う耐火性の熔融槽内の炉床や側壁に配設された上述した熔融ガラス中の1あるいは複数の気泡形成装置の構造の1つである気体供給部へと気体を供給し、さらに気泡容積調節部の働きで最適の気泡径とされた気泡によって清澄を行って熔融ガラスの均質化を行い、次いで微細な残留気泡のない均質な状態となった熔融ガラスを成形槽に供給し、その成形槽に配設された成形装置を作動させて所定の寸法を有するガラス物品を成形するということを表している。
熔融槽については、公知の耐火物、白金系の貴金属などを使用して構成されたものを使用し、熔融槽の加熱方法としては電気、ガス等の燃料を使用することで1000℃〜2000℃に加熱することができる。また熔融槽には、温度計測装置や炉内雰囲気圧の調整装置、排ガス管理装置等を適宜配設することができる。そして、この熔融槽で前述したような気泡形成装置を複数台配設することによって、清澄操作が行われる。炉内の気泡の状態は、必要に応じて観察することも可能である。
また必要に応じて本発明の気泡形成装置を独立した1つの槽内に配設することで、その槽を清澄のみを行うものとして機能させる構造とするものであってもよい。このような構成とする時には複数の槽間を耐熱性の供給管や耐火性の樋構造物によって熔融ガラスを供給する態様とすることができる。
さらに、成形装置については、どのような形状のガラス物品を成形するかによって、種々の成形装置を利用することができる。
また本発明のガラス物品の製造方法は、上述に加え成形装置が、板形状、管形状、繊維形状、粉末形状、インゴット形状またはゴブ形状のいずれかの形状とするものであるならば、所望の用途に相応しい形状を得ることができるため好ましい。
ここで、成形装置が、板形状、管形状、繊維形状、粉末形状、インゴット形状またはゴブ形状のいずれかの形状とするものとは、板の厚み寸法によらず、薄く広がった外観形状を有する形状、あるいは断面形状にはよらず筒形状として働く外観を有する形状、あるいはフィラメント状の外観を有する形状、形状によらず粒状の外観を呈する形状、また塊状の外観を有する形状、さらにシャー等の熔融ガラスを所定寸法で切断する装置やツールにより不定形の固まりを呈する形状となるように成形する装置のことを表すものである。
上述の各種成形装置としては、具体的に板を成形するならば、オーバーフローダウンドロー法、スロットダウンドロー法、リードロー法、フロート法といったものがあり、管を成形するならば、ダンナー法、ベロ法、ダウンドロー法、リードロー法といった方法があり、さらに繊維形状であれば、ブッシングを使用するDM法、吹き飛ばし法、MM法といった方法があり、粉末形状であれば、ロール成形破砕法、吹き飛ばし法、急冷法などの方法がある。さらに各種の形状へ各種の研磨、切削、切断というような冷間加工を行うための母材としてブロック状の鋳込み成形法、さらにプレス成形を行うためのゴブを得る製造装置があり、これら各種の装置を使用することが可能である。
(1)本発明の熔融ガラス中の気泡形成装置は、熔融ガラス中に、直径が1mm〜50mmの球体に相当する範囲内で所望の容積を有する略球欠形状の気泡予備体を吹き出し口に形成する気体供給部と、該気泡予備体を1mm〜50mmの所望の直径を有する略球形状の気泡として切り離す気泡容積調節部とを有するものであるため、熔融ガラスの清澄を行うことのできる寸法の気泡を形成することができ、しかも気泡が熔融ガラスの液面で破裂する際に飛散する飛沫によって微細な寸法の気泡の発生することの極めて少ないガラスを製造することのできるものである。
(2)また本発明の熔融ガラス中の気泡形成装置は、気体供給部が貴金属製の気体供給管により構成され、該気体供給管の吹き出し口を有する一部が熔融ガラス中に浸漬されてなるものであるならば、気泡を適切な寸法に調整するのが容易であり、しかも1000℃以上の温度で長時間に亘り使用することのできる性能を有するものである。
(3)さらに本発明の熔融ガラス中の気泡形成装置は、気泡容積調節部が、剪断力、押圧力、吸引力又は回転力のいずれか1以上の作用による物理変化によって、前記気泡予備体を吹き出し口から気泡として切り離すものであれば、適切な寸法を有する気泡を効率的に形成することができ、多数の気泡を無理なく形成することができるため、高い品位の熔融ガラスを得ることができるものである。
(4)また本発明の熔融ガラス中の気泡形成装置は、気泡容積調節部が貴金属製により構成され、気泡内圧計測値、気泡内温度計測値、経過時間計測値又は気泡直径計測値のいずれか1以上の測定結果に基づいて気泡の直径を調整するものであれば、正確な泡寸法を形成することができるため、熔融ガラスの製造条件を安定した状態維持し続けることが容易である。
(5)また本発明の熔融ガラス中の気泡形成装置は、熔融ガラスの粘度が106.0dPa・s〜101.0dPa・sの範囲内にある部位で作動するものであるならば、泡直径を調整しにくく、泡直径が大きくなりがちな粘性大きいガラス融液中であっても、清澄を確実に行うことが可能となる。
(6)また本発明の熔融ガラス中の気泡形成装置は、気体供給部から供給される気体が、水素、ヘリウム、酸素、二酸化炭素、一酸化炭素、水蒸気、窒素、アルゴン、塩素、フッ素、ネオン、クリプトン、キセノン、NOX又はSOXのいずれか1以上を含むものであるならば、熔融ガラスの種類、残留気泡の種類あるいは熔融槽を構成する構造材料の種類に応じて、残留する微細な気泡を効果的かつ確実に除去することのできる気体種を使用することが可能となるものである。
(7)さらに本発明の熔融ガラス中の気泡形成装置は、無アルカリガラス、硼珪酸ガラス又はアルミノシリケートガラスのいずれかの熔融ガラスに使用される装置であるならば、溶解の困難なガラス種についても、熔融ガラスの均質性を向上することを可能とし、高い外観品位を実現することで、種々の用途に使用することのできる欠点の少ないガラス物品を製造する助けとなるものである。
(8)本発明のガラス物品の製造方法は、熔融槽の熔融ガラス中に配設された請求項1から請求項7のいずれかに記載の一つあるいは複数の気泡形成装置の気体供給部に気体を供給して1mm〜50mmの所望の直径を有する略球形状の気泡を発生させて熔融ガラスの均質化操作を行い、その後、気体の清澄作用により均質化された熔融ガラスを成形槽に配設された成形装置で所定形状のガラス物品に成形するものであるため、高い効率で大量の優れた品位を有するガラス物品を製造することができ、各種用途に必要となる重要な機能をガラス中の気泡に起因する性能低下によって損なわれることが少ないものである。
(9)また本発明のガラス物品の製造方法は、成形装置が、板形状、管形状、繊維形状、粉末形状、インゴット形状またはゴブ形状のいずれかの形状とするものであるならば、ガラス物品の欠陥の内でも最も一般的な気泡不良の低減を実現することで、種々の形状を成形することを可能とする各種の製造装置の能力を充分に発揮させることができるものである。
以下、本発明の熔融ガラス中の気泡形成装置とガラス物品の製造方法について、実施例に基づいて詳細に説明する。
図1に本発明の熔融ガラス中の気泡形成装置についての具体例の1つを示す。
この装置は、液晶表示装置に使用される無アルカリガラス(日本電気硝子株式会社製OA−10材質)を熔融するガラス熔融炉の清澄槽の炉床部に配設して利用するためのものである。液晶表示装置ではガラス板に気泡が混入すると、画像表示の妨げになるばかりでなく、板ガラスの強度を低下させる原因となる場合もあるため、好ましくない。そこで本発明の熔融ガラス中の気泡形成装置を清澄槽に配設して利用するものである。
この気泡形成装置10は、外径4mm、内径2mmの寸法を有する白金−ロジウム10%合金製の気体供給管20とその横に配設した気体供給管20と同じ貴金属合金よりなる気泡容積調節部30とで構成されており、気泡容積調節部30の先端部は半径20mmを有する半円形状の断面を有するようにその断面積が拡張されている。そして気体供給管10の管端部は、くの字形状に屈曲されており、その先端の開口部21が気泡容積調節部30の管側面の挿入孔に挿入された構成となっている。
この装置10を使用して10〜30mmの直径を有する泡を形成することができるが、この装置の動作について、以下に図2から図5に示した動作状態:Aから動作状態:Dを使用して詳細に説明する。
まず、図2に示す動作状態:Aでは、気体供給管20から、予め加熱して熔融ガラス中に導入した際に熔融ガラスGの温度に依存して著しく容積が膨張しないようにしたヘリウムガスを一定の速度で流入し、気泡容積調節部30の管側面の開口部21から略球欠形状の気泡予備体Bを形成している。この時、気泡容積調節部30のヘリウムガスについては、調節部30の下方に熔融ガラスとヘリウムガスとの界面があり、この界面を気泡容積調節部30の上方に移動させるような圧力は引加されていない。
次いで、図3に示す動作状態:Bでは、動作状態:Aから供給されるヘリウムガスにより形成された略球欠形状の気泡予備体B内の容積量が気泡容積調節部30の開口部を閉鎖した状態となっている。この状態に到ったことを泡径の計測装置でモニターし、所定形状になる時を起点として気泡容積調節部30へのヘリウムガスの流出を開始する。気泡容積調節部30へのヘリウムガスの流出とともに、気体供給管20へのヘリウムの流出は一時的に止められ、気泡予備体Bの容積は一定状態に維持される。
そして、図4に示す動作状態:Cのように、気泡容積調節部30内のヘリウムガスと熔融ガラスとの気泡容積調節部30内の界面位置が上昇して、それに伴って気体供給管20の開口部21にある気泡予備体Bは下方からの圧力の作用によって上方へと押し出されていく。
気泡形成の最終段階の図5に示す動作状態:Dでは、さらに気泡予備体Bの下方からの圧力が増加し、遂に気泡予備体Bから1個の独立した気泡Sが形成することとなる。気泡Sが熔融ガラスG中で形成し、浮上を開始すると、ヘリウムガスと熔融ガラスGとの気泡容積調節部30内の界面位置はヘリウムの吸引により下方へ下がり、動作状態:Aの位置に戻る。そして再び動作状態:Aとなって次の動作が行われることとなる。このような一連の動作、すなわち動作状態:Aから動作状態:Dまでの動作が繰り替えされることによって、所定直径のヘリウム気泡Sを連続的に形成していくこととなる。
このようにして形成された気泡S中のヘリウムガスは、従来からの気泡上昇に伴う微細気泡の巻き込みによって生じる清澄効果に加えて、熔融ガラスG中のさらに微細な気泡へとヘリウムの単原子分子拡散による拡散過程を経ることによって、微細な気泡の直径を増加させて、熔融ガラス表面への浮上速度を向上させ、従来以上の高速な清澄効果が得られることとなる。
また、図6には本発明の熔融ガラスG中の気泡形成装置についての他の具体例を示す。
この気泡形成装置10は、プリント配線基板に使用される無アルカリガラス(Eガラスと一般に呼ばれる)を熔融するためのガラス熔融炉を構成する清澄槽の炉床部に気体供給管20、及び気体供給管20に対応する所定位置に気泡容積調節部30を熔融ガラスGの上方から配設して利用するためのものであって、熔融槽の加熱方式は電気熔融方式を採用している。ガラス繊維中に気泡が混入すると、紡糸中に糸切れを生じる危険性が高まり、ガラス繊維の製造効率を著しく損なうことになるため好ましくない。そこで本発明の熔融ガラス中の気泡形成装置を清澄槽に配設した構造とすることで、熔融ガラスG中の残留気泡を削減し、糸切れの発生率を低減することを目的としたものである。
この装置10は、上記したように一対の気体供給管20と気泡容積調節部30とによりなるものであって、気体供給管20から一定速度でヘリウムガスを供給しつつ、気体供給管20の開口端の上方にクリアランスが5mmの位置を旋回する白金−ロジウム製の旋回翼30aを有している。この気泡容積調節部30の旋回翼30aが回転速度に応じて、気体供給管20に供給されたヘリウムによって形成された略球欠形状の気泡予備体Bの下方部を剪断することによって、気泡予備体Bから所定の容積を有する気泡Sを形成されることとなる。
炉床に配設する気体供給管20の位置を旋回翼30aの円周上に等間隔に配設することによって、多数の気泡Sを形成することができ、旋回翼30aと気体供給管20のクリアランス、気体供給管20からのヘリウム流出速度などの諸条件を調整することによって、所定直径の気泡Sを形成することが可能となるものである。この装置では、旋回翼30aと気体供給管20の開口部21とのクリアランス管理が最も難しいが、この点を経時的なモニター計測によって実現することができる。
さらに、図7には本発明の熔融ガラス中の気泡形成装置についての上記以外の具体例を示す。
これは電子部品用途の無アルカリ薄板ガラスの製造設備に本発明の気泡形成装置10を適用したものである。この製造設備は熔融槽40、清澄ガス導入槽50、清澄槽60およびスロート70により構成され、スロートの先に成形槽(図示省略)が配設されているもので、それぞれの槽は、耐火物Rとしてアルミナ−ジルコニア−シリカ系の耐火物より構築されている。
この製造設備を使用するガラス物品の製造手順は次に様になる。まず、所定組成となるように調合されたガラス用混合原料をガラスカレット率20%となるように調整したものを原料投入機41から熔融槽40内へと投入する。投入されたガラス原料は、熔融槽40内に配設された電極42により加熱されて熔融され、ガラス化反応を起こして熔融ガラスGとなっていく。この段階の熔融ガラスGにはガラス化反応によって生成した微細な気泡が多数含まれた状態となっている。
次いで、この熔融ガラスGは、熔融槽40と清澄ガス導入槽50との間に配設された本発明の熔融ガラスG中の気泡形成装置を構成する気泡容積調節部30から清澄ガス導入槽50へと流入していくこととなる。気泡容積調節部30は、スリット状の横長の開口部を有する貴金属成形体よりなり、熔融槽40と清澄ガス導入槽50との間に埋設されている。この気泡容積調節部30のスリット形状の長尺開口部を通過することによって、ガラスの流速は一時的に早い流れとなっており、その流速の早い箇所に本発明の熔融ガラス中の気泡形成装置10の気体供給管20の開口部21が配設されており、ここから流出する気体の流出速度や気体の予加熱温度などを調整することによって最適な寸法の気泡を形成することが可能となる構成である。またここで形成する気体の寸法はガラス熔融状態をモニターできるカメラ(図示省略)によって計測することができる。ここで、図中矢印の方向22に気体を流入し、気体供給管20の開口部21から流出させることのできる気体は、ヘリウム、アルゴン等の希ガスや水蒸気、酸素であるが、必要に応じて他のガスであってもよい。
また、清澄ガス導入槽50には、電極42以外にガス加熱も採用することができるようにバーナー設備61も側壁に配設されている。気泡容積調節部30のスリット状の横長の開口部から流出した熔融ガラスGは、充分に高速であるため、その流れを清澄ガス導入槽50内で緩める必要があり、流れを遮蔽するための白金ロジウム製の遮蔽板31が流れを遮る位置に配設されている。このような構造を有する清澄ガス導入槽50内にて、熔融ガラス中の気泡形成装置の気体供給管20の開口部21に形成した略球欠形状の気泡予備体Bは、上記した高速の流れによって横方向の剪断力を受けて、次々と独立した気泡Sとなっていく。
清澄ガス導入槽50内で形成された多数の気泡Sは、槽内のガラス表面へと浮上していき、その間に他のより微細な気泡への清澄作用をもたらす。この槽の熔融ガラス液面で気泡Sは破裂するが、気泡径が小さい寸法に調整されているため、飛沫の飛散によって発生する微細な巻き込み泡は生じない。また浮上途中の気泡Sからは、熔融ガラスG中の残留する微細な気泡へのガス成分の拡散も生じている。そしてこの過程の途中で熔融ガラスGは清澄槽60内へと流入し、この清澄槽60内で残留気泡気の気泡径は増大して大きな浮力を有するようになり、その結果、熔融ガラス液面に浮上し、熔融ガラスGは一層均質な状態となる。
槽内でガラス化反応によって発生した排ガスや、本発明の熔融ガラス中の気泡形成装置10によって導入されたヘリウムや酸素等の気体は、槽の上方に配設された排ガス放出管43を通じて矢印44の方向に系外へと排出され、必要なガスは再利用することも可能である。
本発明の熔融ガラス中の気泡形成装置を使用する場合のガラス中の泡品位について、試験熔融炉にて性能を確認した。以下にその内容を示す。
底面積1m2、深さが0.7mの耐火物により構成される矩形状の外観を呈する実験熔融炉にて、間接加熱電気抵抗発熱体によってガラスを熔融する設備を使用し、固体撮像素子のカバーガラスとして使用される薄板状の硼珪酸ガラス材質について、1550℃に加熱した状態で装置内を流動させることで本発明の性能評価を実施した。図8に本発明の熔融ガラスの気泡形成装置を実験熔融炉に配設した状態を示す斜視の部分説明図を示す。
この図で熔融ガラスの流れ方向Jに対して、本発明の熔融ガラスの気泡形成装置を垂直方向に4基を配列させている。ここで使用したのは、実施例2と類似した構造を有する装置である。一基について、気体供給管20は炉床から6本ずつ配設された状態としており、それぞれの気体供給管20とクリアランス3mmとなるように旋回翼30aが旋回する設計となっている。この装置から、熔融ガラス中に直径6mmのヘリウム気泡を導入し、熔融ガラスの流れの河下位置で熔融ガラス中にどれだけのヘリウムガスが混入したかをサンプリングし、冷却後のガラス塊から四重極質量分析装置を使用して評価を行ったところ、熔融ガラス中には、0.7μl/g(0℃、1atm)のヘリウムが混入しており、しかもガラス中には微細な残留期泡が含まれない均質な状態となっていることを確認することができた。
以上の事実から、本装置を使用すると熔融ガラス中に気泡中の気体成分を適切に溶解させることができ、しかも均質度の高い熔融ガラスを得ることができることが判明した。
そして、上記した実施例から、本発明の熔融ガラス中の気泡形成装置を使用することによって、熔融ガラス中で所定寸法の微細な気泡を形成することができ、効率的な清澄を行うことで均質な熔融ガラスを得ることができ、各種の成形装置との併用によって、均質なガラス物品を得られることが明らかとなった。
10 気泡形成装置
20 気体供給部
21 気体供給管の開口部
22 気体流入方向
30 気泡容積調整部
31 遮蔽板
40 熔融槽
41 ガラス原料投入機
42 電極
43 排ガス放出管
44 排ガス放出方向
50 清澄ガス導入槽
60 清澄槽
61 バーナー
G 熔融ガラス
B 気泡予備体
S 気泡
J 熔融ガラスの流れ方向
20 気体供給部
21 気体供給管の開口部
22 気体流入方向
30 気泡容積調整部
31 遮蔽板
40 熔融槽
41 ガラス原料投入機
42 電極
43 排ガス放出管
44 排ガス放出方向
50 清澄ガス導入槽
60 清澄槽
61 バーナー
G 熔融ガラス
B 気泡予備体
S 気泡
J 熔融ガラスの流れ方向
Claims (9)
- 熔融ガラス中に、直径が1mm〜50mmの球体に相当する範囲内で所望の容積を有する略球欠形状の気泡予備体を吹き出し口に形成する気体供給部と、該気泡予備体を1mm〜50mmの所望の直径を有する略球形状の気泡として切り離す気泡容積調節部とを有する熔融ガラス中の気泡形成装置。
- 気体供給部が貴金属製の気体供給管により構成され、該気体供給管の吹き出し口を有する一部が熔融ガラス中に浸漬されてなることを特徴とする請求項1に記載の熔融ガラス中の気泡形成装置。
- 気泡容積調節部が、剪断力、押圧力、吸引力又は回転力のいずれか1以上の作用による物理変化によって、前記気泡予備体を吹き出し口から気泡として切り離すことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熔融ガラス中の気泡形成装置。
- 気泡容積調節部が貴金属により構成され、気泡内圧計測値、気泡内温度計測値、経過時間計測値又は気泡直径計測値のいずれか1以上の測定結果に基づいて気泡の直径を調整することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の熔融ガラス中の気泡形成装置。
- 熔融ガラスの粘度が106.0dPa・s〜101.0dPa・sの範囲内にある部位で作動するものであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の熔融ガラス中の気泡形成装置。
- 気体供給部から供給される気体が、水素、ヘリウム、酸素、二酸化炭素、一酸化炭素、水蒸気、窒素、アルゴン、塩素、フッ素、ネオン、クリプトン、キセノン、NOX又はSOXのいずれか1以上を含むものであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の熔融ガラス中の気泡形成装置。
- 無アルカリガラス、硼珪酸ガラス又はアルミノシリケートガラスのいずれかの熔融ガラスに使用されるものであることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の熔融ガラス中の気泡形成装置。
- 熔融槽の熔融ガラス中に配設された請求項1から請求項7のいずれかに記載の一つあるいは複数の気泡形成装置の気体供給部に気体を供給して1mm〜50mmの所望の直径を有する略球形状の気泡を発生させて熔融ガラスの均質化操作を行い、その後、気体の清澄作用により均質化された熔融ガラスを成形槽に配設された成形装置で所定形状のガラス物品に成形することを特徴とするガラス物品の製造方法。
- 成形装置が、板形状、管形状、繊維形状、粉末形状、インゴット形状またはゴブ形状のいずれかの形状とするものであることを特徴とする請求項8に記載のガラス物品の製造方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
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- 2005-02-22 JP JP2005044951A patent/JP2006232560A/ja active Pending
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