JP6008452B2 - ラビリンスシール、流延装置、溶液製膜設備及び方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ラビリンスシール、流延装置、溶液製膜設備及び方法に関する。
光透過性を有するポリマーフィルム(以下、フィルムと称する。)は、偏光板の保護フィルム、位相差フィルム、反射防止フィルム、透明導電性フィルムなど光学フィルムとして多岐に利用されている。フィルムには、厚み均一性や光学特性が要求される。従来は厚さが80μm以上の厚膜フィルムが中心に用いられていたが、近年は、フィルムの薄膜化の要望が強くなってきており、厚さが40μm以下の薄膜フィルムが求められている。
フィルムの製造方法としては、溶液製膜方法が用いられる。溶液製膜方法は、例えば、ポリマーを溶剤に溶かした溶液(以下、ドープと称する)を金属製のドラムやバンドなどの支持体上に流延ダイにより流延して流延膜を形成し、乾燥させて剥ぎ取ることによってフィルムを得る方法である。
溶液製膜の生産性を上げるためには、ドープから流延膜を形成する流延工程の高速化が課題となる。流延工程を高速で行うためには、例えば、支持体の走行速度を高くすると、走行する支持体の表面近傍では、支持体の走行に伴い支持体と一緒に走行方向に流れる風(以下、同伴風と称する)が発生する。この同伴風がビードにあたると、ビードが振動する。このビードの振動は、製造されたフィルムの流延方向(流延支持体の移動方法)に厚みムラを発生させる。このため、例えば特許文献1では、ビードに対し支持体走行方向上流側でビードに近接させて遮風物を配し、同伴風のビードへの進入を防いでいる。
また、特許文献2では、ビードに対し支持体走行方向上流側でビードに近接させて減圧チャンバを配して、同伴風を負圧により吸引し、同伴風によるビードの振動を抑えている。同様にして、特許文献3では、ビードを引き寄せるための吸引ボックスを設けている。この吸引ボックスは、第1〜第3の負圧領域に区切られて個別に減圧する。第1負圧領域ではビードの幅方向全体にわたりビードの周辺を吸引し、第2負圧領域ではビードの幅方向両側部の周辺を吸引し、第3負圧領域ではビードの両側方向から吸引する。この吸引によって、エア噛みと言われる流延膜と支持体との間への空気の巻き込みを抑え、且つビードが支持体に接する流延線を安定化させている。
吸引ボックス等の吸引装置を用いると、ビードの幅方向端部の横から空気の巻き込みがあり、流延速度(流延支持体の走行速度)を上げていくと、巻き込まれた空気が流延膜に泡となって現れ、それが原因で延伸時に破れなどが発生し、生産性が低下する。このため、特許文献4では、ビードに対して支持体走行方向の下流側に吹き付けノズルや加圧ボックスを配し、空気の巻き込みを抑えている。
また、特許文献5では、ダイに対して支持体走行方向上流側及び下流側には、遮風板を配置して、ビードへの風の流入を阻止している。この遮風板は、支持体との間にラビリンスシールを有する。
特開2004−114328号公報 特開2010−158834号公報 特開2000−79621号公報 特開平10−264185号公報 特開2005−104148号公報
ところで、近年のフラットパネルディスプレイの大型化や軽量化に伴い、製膜するフィルムも薄手化が進んでいる。薄手フィルムを効率よく製造するには、製膜後の延伸工程で延伸により薄く形成する他に、ビード段階から厚みを薄くすることがよく、ビードの薄手化についても改良が検討されている。
ビードを薄くするには、例えば、ダイの吐出口のビード厚みは変えることなく、支持体の移動速度を上げて、ビードが支持体に接する直前の厚みを薄くする。また、ダイの吐出口のビード厚みを従来のものよりも薄くする。しかし、ビードを薄くして流延すると、今までのビード厚みでは問題がない場合でも、ビードが薄くなった分だけ同伴風の影響を受け易くなる。
例えば、特許文献1に記載の遮風物により、支持体の移動に伴う同伴風を遮断する場合には、ビードを薄くすると、幅方向に長く厚みむらができる。この厚みむらは、支持体送り方向で変化するため、送り方向に波形に変化する段むら故障となって現れ、改善の要請がある。なお、段むらとは、流延方向に発生するビードの振動に起因する周期的な厚みむらであり、悪化すると、後に説明する評価方法により目視にて視認可能になる。
特許文献2に記載の減圧チャンバでは、ビードの薄手化に伴い負圧により発生した空気圧振動によりビードが振動し易くなり、同様な面状故障が現れてきている。また、ビードの振動により空気の巻き込みが発生し易くなる。支持体とビードの間に空気が残ると、支持体の上にビードが流延されて形成される流延膜と支持体との間に空気が泡となって入り込む。この空気の巻き込みは、流延膜が乾燥した後に支持体から剥がす際に流延膜の破れに発展することもある。この場合には流延停止となり、流延を開始するまでに多大な時間と労力を要する。したがって、空気の巻き込みを抑えたいという要請がある。
特許文献3に記載の吸引ボックスにより、内部を3つの負圧エリアに区切ってビードの周辺を吸引する場合には、3つの負圧エリアに分けて吸引を行うため、吸引ボックス自体が複雑な構造になってしまう他に、各負圧エリアの圧力の設定を微妙に調節する必要がある。また、3つの負圧エリアを有するため3つのブロアが必要になり、設備コストが増えてしまう。しかも、支持体の走行速度が50m/min以上の高速流延になると、ビードの薄手化に伴い3つの負圧エリアによる吸引で流延線を安定的に維持することが困難になって、空気巻き込みが発生してしまう。
特許文献4に記載の吹き付けノズルや加圧ボックスでは、ビードに対して支持体走行方向下流側に配され、ビードを上流側であるダイ側に押し戻すことができ、その分だけ、ビードと支持体とが接するラインである流延線が安定する。しかし、ビードを上流側に押し戻すために、吹き付けノズルや加圧ボックスの風圧を高くする必要があり、ビードの薄手化に伴ってビードが振動し易くなる。この振動によって幅方向に長く厚みむらができ、これが支持体送り方向で変化するため、送り方向に波形が変化する段むら故障となる。
特許文献5では遮風板にラビリンスシールを設けて、ビードへの風の進入を抑えているものの、ダイから離れた支持体走行方向上流側及び下流側にラビリンスシールを配置しているため、ダイ近傍で発生する空気圧振動を抑えることができない。また、減圧チャンバに対して支持体走行方向上流側及び下流側で、ラビリンスシールを配しているため、減圧チャンバに起因する空気圧振動を抑えることができない。このため、得られるフィルムが送り方向で厚みが変化する段むら故障となる。
また、ラビリンスシール自体も、支持体走行による同伴風の空気圧変動に対して、その周波数帯成分毎に除くことができず、空気圧振動を効率良く抑えることができない。
本発明は、空気圧振動を効率良く除去して、薄手フィルムを溶液製膜するに際して、高速流延を可能にして生産性を上げることができ、しかも、段むら故障や空気巻き込みによる流延停止などの発生を抑えることができるラビリンスシール、流延装置、溶液製膜設備及び方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明では、走行する周面に近接して配され、周面に同伴する同伴風を遮る遮風部材に設けられるラビリンスシールであって、第1シール部、第2シール部を備えている。第1シール部は、遮風部材の周面に対向する面に形成され、周面の走行方向に交差する方向に長く形成される第1溝を走行方向に離間して3個以上並べて形成されている。第2シール部は、第1シール部に隣接し、第1溝とは溝幅又は溝深さが異なる第2溝を走行方向に離間して3個以上並べて形成されている。溝幅及び溝深さは、同伴風による空気圧振動の周波数帯に合わせて決定されている。
第2シール部に隣接し、第1溝及び第2溝とは溝幅又は溝深さが異なる溝を走行方向に離間して3個以上並べられている第3シール部を有することが好ましい。
本発明の流延装置は、走行する支持体と、ダイと、遮風部材と、上記のラビリンスシールとを有する。ダイは、支持体に向けて吐出口からドープを吐出し、支持体との間にビードを形成しながら、支持体の表面上に流延膜を形成する。遮風部材は、ビードよりも支持体の走行方向上流側にて、支持体の表面に近接し且つビードに沿って配される。遮風部材は、支持体の走行による同伴風を遮る。ラビリンスシールは、遮風部材の支持体への対向面に配され、上記第1シール部及び第2シール部を有する。
溝幅は3mm以上30mm以下であり、溝深さは1mm以上20mm以下であることが好ましい。
本発明の溶液製膜設備は、上記の流延装置と、支持体から流延膜を剥がして乾燥する乾燥装置とを備える。また、本発明の溶液製膜方法は、上記の流延装置を用いて、支持体上に流延膜を形成する工程と、支持体から流延膜を剥がして乾燥する工程とを有する。
本発明によれば、走行する周面に同伴する同伴風の空気圧振動をその周波数帯毎に無くすことができる。本発明のラビリンスシールを遮風部材に用いた流延装置、溶液製膜設備では、同伴風によるビードの振動を抑えることができ、段むら故障の発生を抑えつつ、薄手フィルムを効率良く製造することができる。
本発明の溶液製膜設備の概要を示す側面図である。 流延装置のダイ周りの概要を示す斜視図である。 第1実施形態におけるダイ、ビード、吸引ボックスの関係を示す縦断面図である。 吸引ボックスの傾斜板の一部を切り欠いて示す斜視図である。 吸引ボックスの傾斜板の一部を切り欠いて示す平面図である。 ビードに対する吸引ボックスの配置を示す正面図である。 ビードの両端部を吸引ボックスにより吸引した状態のビードの流延線と流延膜とを示す平面図である。 ビードの両端部を吸引することがない従来タイプのビードの流延線と流延膜とを示す平面図である。 遮風ブロックのラビリンスシールを示す側面図である。 遮風ブロックのラビリンスシールの別実施形態を示す断面図である。 遮風ブロックのラビリンスシールの別実施形態を示す断面図である。 一つの回動軸で複数の仕切り板を移動させる別実施形態の吸引ボックスを、傾斜板の一部を切り欠いて示す平面図である。 遮風板と吸引ボックスとを有する遮風板一体型吸引ボックスを示す底面図である。
図1に示すように、溶液製膜設備10は、流延装置11と、テンタ12と、乾燥装置13と、スリッタ14,15と、巻取装置16とを備え、これらは上流側から順に直列に接続されている。
流延装置11は、エンドレスのバンド(支持体)23と、ガイドローラ24と、ダイ25と、吸引ボックス(吸引部材)26A,26Bと、遮風ブロック(遮風部材)27と、ダクト(膜乾燥機)28A,28B,28Cと、剥離ローラ29とを備える。バンド23は、環状に形成されており、金属製の流延支持体として機能する。このバンド23は第1ドラム21と第2ドラム22との周面に掛け渡される。第1ドラム21はモータ(図示省略)により回転駆動され、バンド23が矢印Yで示す方向に走行する。ガイドローラ24は、上側のバンド23を裏面側から支持する。
図2に示すように、第1ドラム21の上方にはダイ25が配置される。ダイ25は、走行しているバンド23の表面に対し、ドープ30をビード31にして吐出口25A(図3参照)から連続的に流す。これにより、バンド23上には流延膜32が形成される。ドープ30は、図示しないドープ製造ラインで、例えばセルロースアシレートを溶剤に溶解させて製造され、ダイ25に供給される。
ダイ25からのビード31に対して、バンド23の走行方向Yにおける上流には、1対の吸引ボックス26A,26Bが配される。
図1に示すように、製造速度を向上させるために、剥離ローラ29に向かう流延膜32は、第2ドラム22及びバンド23により加熱される。また、流延位置では、第1ドラム21によりバンド23が冷却され、過度の昇温が抑えられる。このため、各ドラム21,22は図示しない温度調節装置を有する。
ダクト28A,28B,28Cは、バンド23の走行路に沿って複数が並べて配されており、乾燥風を吹き出す。温風コントローラは、乾燥風の温度、湿度、流量を独立して制御する。乾燥風の温度及び流量の制御と、ドラム21,22自体の温度調節装置による温度制御とにより、流延膜32の温度が調節され、流延膜32から溶剤が蒸発し、流延膜32の乾燥が進行する。そして、テンタ12での搬送が可能な程度にまで流延膜32が固化される。
ダイ25に対しバンド走行方向Yの上流側で第1ドラム21の周面近くには、剥離ローラ29が配される。剥離ローラ29は、溶剤を含む状態の乾燥が進行した流延膜32をバンド23から剥がす際に、流延膜32を支持する。剥ぎ取られた流延膜32はフィルム33としてテンタ12に案内される。
テンタ12では、クリップ34によりフィルム33の両側部を把持して、ダクト36から乾燥風を送ることにより、フィルム33を搬送しながら、矢印Xで示すフィルム幅方向Xへの張力を付与し、フィルム33の幅を拡げる。
乾燥装置13では、多数のローラ38にフィルム33が巻き掛けられて搬送される。乾燥装置13の内部の雰囲気は、温度や湿度などが図示しない温調機により調節されており、フィルム33が搬送されている間に、フィルム33から溶剤が蒸発する。
スリッタ14は、テンタ12のクリップ34による保持跡を含む両側部を切除する。両側部が切除されたフィルム33は、巻取装置16によりロール状に巻き取られる。本発明により得られるロール状フィルム33Aは、特に、位相差フィルムや偏光板保護フィルムに用いることができる。
なお、乾燥装置13のフィルム走行下流側に、第2テンタを設けてもよい。第2テンタはテンタ12と同様の構造であり、クリップ及びダクトを有し、フィルム33をクリップにより保持して幅方向に延伸する。延伸の際に、延伸倍率や温度条件等を制御することにより、所望の光学特性を有するフィルム33が得られる。
図2に示すように、吸引ボックス26A,26Bは、ビード31に近接させて流延膜32の幅方向Xの両端部に配される。吸引ボックス26A,26Bは、ダイ25にブラケット40を介して取り付けられている。吸引ボックス26A,26Bのバンド対向面は、バンドの周面に対し平行を保つ平滑面に形成されている。
図4に示すように、ビード31の幅方向の一端部に配される吸引ボックス26Aは、水平板43A、垂直板43B、傾斜板43Cからなる三角筒体43の両端を側板44A,44Bで塞いで、三角柱状に形成されている。水平板43Aはバンド23に略平行に配される。また、傾斜板43Cはダイ25の先端面に平行に配される。
図3に示すように、水平板43Aと傾斜板43Cとの間には、スリット状の隙間が設けてある。この隙間により吸引ボックス26Aの吸引口45が形成されている。
図4に示すように、吸引ボックス26A内には、2枚の仕切り板46,47が、ビード31の幅方向Xに対して移動自在に取り付けられている。第1仕切り板46及び第2仕切り板47は、側板44A,44Bと同形状で、側板44A,44Bよりも僅かに小さく形成されており、吸引ボックス内で摺動することができる。第1仕切り板46及び第2仕切り板47には、ガイド環51、雌ねじ環52を用いて、第1回動軸53及び第2回動軸54が取り付けられている。これら仕切り板46,47に挟まれる吸引ボックス空間が吸引室48となる。回動軸53,54は、軸受50により側板44A,44Bに回転自在に取り付けられている。
図5に示すように、第1回動軸53は、右半分のみに雄ねじ部53Aが形成されていて、左半分はガイド部53Bとなっている。雄ねじ部53Aには雌ねじ環52の雌ねじ部52Aが螺合し、ガイド部53Bにはガイド環51のガイド孔51Aが嵌合している。これにより、図4に示すように、第1回動軸53を時計方向に回すと、第1仕切り板46がX方向で右へ移動し、反時計方向に回すと第1仕切り板46が左側へ移動する。同様にして、図5に示すように、第2回動軸54は、背面(垂直板43B)側から見て、左半分のみに雄ねじ部54Aが形成されていて、右半分はガイド部54Bとなっている。そして、雄ねじ部54Aには雌ねじ環52の雌ねじ部52Aが螺合し、ガイド部54Bにはガイド環51のガイド孔51Aが嵌合しているので、第2回動軸54の回動により第2仕切り板47がX方向で右又は左へ移動する。
図6に示すように、第1及び第2仕切り板46,47のX方向の移動によって、吸引口45のX方向長さ(吸引口長さ)L1及び、ビード31の端から吸引口45までのオフセット長さOSを変えることができる。吸引口長さL1は、例えば10mm以上50mm以下である。また、オフセット長さOSは例えば5mm以上30mm以下である。これにより、吸引ボックス26A,26Bは、前記ビードの両端から中央部に向かって例えば10mm以上50mm以下の範囲を吸引することができる。なお、オフセット長さOSは、ドープ30の種類や粘度、ビード31の厚みや幅、長さ等によって適宜変更することが好ましい。また、吸引口長さL1を変更することにより、吸引風量を調節することができるため、例えば特許文献3で示されるように、第1〜第3の負圧領域に対して異なる負圧を発生させるため3つのブロアを設ける必要が無く、設備コストを抑えることができる。
第2仕切り板47には、フランジ部55Aにより吸引管55が取り付けられている。吸引管55は外側に位置する側板44Bの貫通環56を貫通しており、外部の吸引源、例えばサクションポンプ57に連結されている。
ビード31の幅方向の他端部に配される吸引ボックス26Bも、吸引ボックス26Aと同様に構成されている。ただし、回動軸53,54や、吸引管55は、ビード31の幅方向の中央部とは反対側の外側に向けて突出している。
本実施形態では、図7に示すように、ビード31に対し、バンド走行方向Yの上流側で、ビード31の両端部に近接させて、吸引ボックス26A,26Bを配置している。これら吸引ボックス26A,26Bによって、ビード両端部エリアBSAでビード31の両端部が吸引される。したがって、ビード31とバンド23とが接触する流延線BLNがバンド走行方向Yに凸状に湾曲する従来タイプの流延線BLO(図中二点鎖線表示)に比べて、流延線BLNが破線で示すように、ビード両端部エリアBSAを過ぎたビード中央部エリアBCAで直線状になる。このため、図8に示す従来タイプの流延線BLOのように、凸状に湾曲した頂点部エリアBTAから空気が入り込み、流延膜32とバンド23との間で空気が泡32Aとなることがなく、空気巻き込みの発生が抑えられる。
図8は、平面からみた従来の流延線BLOを示している。流延線BLOは、ビード105の幅方向中央が頂点T1となり、高速製膜によりバンド走行方向Yに長くなる略円弧形となる。このため、凸状に湾曲した頂点部エリアBTAから空気が入り込み、バンド101と流延膜106との間で泡32Aがバンド走行方向Yに並んで発生する。これに対して、本実施形態では、図7に示すように、ビード両端部エリアBSAが吸引されることにより、流延線BLNが実線で示すように、ビード両端部エリアBSAを過ぎたビード中央部エリアBCAで直線状になる。したがって、図8に示す従来タイプのように、凸状に湾曲した頂点部エリアBTAから空気が入り込み、バンド101と流延膜106との間で泡32Aとなることがなく、空気巻き込みの発生が抑えられる。したがって、泡32Aに起因する剥離ローラ29(図1参照)における流延膜32の剥げ残りが無く、剥げ残りに起因する流延停止などの重大事故が発生することがない。
ところで、フィルム33の薄膜化の要請によって、バンド23を高速、例えば50m/min以上100m/minで走行させる必要がある。このバンド23の高速走行によって、バンド23は空気を同伴させてしまい、バンド23の表面には同伴風58が発生する。この同伴風58の影響を排除するために、本実施形態では、図2に示すように、1対の吸引ボックス26A,26Bの間に、遮風ブロック27を配している。遮風ブロック27は、ビード31の上流側で同伴風58を遮るため、同伴風58がビード31に当たることがない。遮風ブロック27は、ダイ25にブラケット41を介して取り付けられている。
バンド23及び遮風ブロック27の間には隙間G(図9参照)が設けられており、走行するバンド23に遮風ブロック27が接触することがない。このため、バンド23と遮風ブロック27との隙間Gを、完全には遮風されなかった同伴風58の下層部分が通過する。
バンド23の走行速度が30m/min程度である従来の場合には、図8に示すように、バンド23の走行に伴う同伴風はビード105へ与える影響が少なく、流延膜106の段むらなどの面状故障に発展することが少ない。一方、薄膜化の要請に伴い、バンド23の走行速度を50m/min以上の高速にすると、この高速化に伴ってビード105も薄くなり、同伴風の影響を受け易くなる。従来は、特許文献1に記載の遮風ブロックにより同伴風を遮っているものの、遮風ブロックとバンド23との隙間を通過する同伴風の下層部分が遮風ブロックを通過した後に渦を巻いてしまう。この渦の発生や、渦によるビード105への振動付与などが本発明者の実験により確認されている。
このため、図9に示すように、遮風ブロック27のバンド対向面27Aには、ラビリンスシール59が形成されている。ラビリンスシール59は、第1〜第3シール部61,62,63を有する。第1シール部61は、X方向に平行な歯(板状突起)65Aと、この歯65AにY方向で隣接し、X方向に平行な溝65Bとを有する一つのシールユニット65をY方向に3個有している。歯65Aの高さH1は、溝65Bの深さと同じであり、好ましくは1mm以上20mm以下であり、より好ましくは3mm以上15mm以下である。
歯65AのY方向長さ(幅)L2は、好ましくは1mm以上10mm以下であり、より好ましくは1mm以上5mm以下である。また、溝65BのY方向長さ(幅)L31は好ましくは3mm以上30mm以下であり、より好ましくは3mm以上20mm以下である。
第1シール部61における各シールユニット65の並列個数は3個としたが、3個以上であれば良い。なお、シールユニット65の並列個数の上限は特にないが、設備効率の観点からすると、10個以下が好ましく、より好ましくは5個以下である。
第2シール部62、第3シール部63も、第1シール部61と同様に、3個のシールユニット66,67を有する。シールユニット66,67は、歯66A,67Aと溝66B,67Bとを有する。各シールユニット66,67は、溝66B,67Bの幅L32、L33が、第1シール部61の溝幅L31に比べて、Y方向でビード31に向かうに従い次第に広くなる点で異なる以外は、同じ構成である。
各シールユニット65〜67の溝65B〜67Bの幅及び深さ、溝65B〜67Bと歯65A〜67A、又は歯65A〜67Aと溝65B〜67Bの繰り返し数を一定範囲にすることにより、遮風ブロック27のバンド対向面27Aとバンド23との隙間Gから進入する同伴風58による特定の周波数帯の空気圧振動を抑えることができる。この知見は、ラビリンスシール59の歯65A〜67Aと溝65B〜67Bのサイズや、これらのY方向における繰り返し数(並列個数)を変えた各種実験により得られた。即ち、各種実験を行い、溝65B〜67Bの幅L31〜L33及び深さH1、溝65B〜67Bと歯65A〜67A、又は歯65A〜67Aと溝65B〜67Bの繰り返し数を一定範囲にすることにより、特定の周波数帯の空気圧振動が効果的に抑えられる知見が得られた。これによって、同伴風58の特定の周波数帯の空気圧振動をラビリンスシール59で抑え又は遮断することができる。
隙間Gは、3mm以下でないと、同伴風58が隙間Gを素通りしてしまい、空気圧振動の低減効果が低くなる。なお、下限値は0mmに近づく程、好ましい。しかし、0mmに近づくと、バンド23の厚み誤差や、第1ドラム21の周面誤差などに起因して、遮風ブロック27のバンド対向面27Aとバンド23とが接触するおそれがある。このため、下限値は1mm以上が好ましい。
溝65B,66B,67Bの深さH1(歯65A,66A,67Aの高さH1)は、好ましくは1mm以上20mm以下であり、より好ましくは3mm以上15mm以下である。1mm未満では、溝65B〜67B内で風の乱れを作ることができず、圧力損失が上昇しないため、遮風効果が低下する。20mmを超えると、空気圧振動の低減効果が飽和した状態になり、溝65B〜67Bを深くする加工負荷の増大に比べて、それ以上の効果が得られなくなる。
溝65B,66B,67Bの幅L31,L32,L33は、好ましくは3mm以上30mm以下であり、より好ましくは3mm以上20mm以下である。3mm未満では溝65B,66B,67B内に風の乱れを作ることができず、圧力損失が上昇することがなく、空気圧振動の低減効果が低くなる。30mmを超えると、空気圧振動の抵抗効果が飽和した状態になり、それ以上の効果が期待できなくなる。また、加工負荷も大きくなる。
溝65B,66B,67Bの幅L31,L32,L33は、同伴風による空気圧振動における遮断したい周波数帯に合わせて決定されることが好ましい。例えば、溝幅L31,L32,L33を3mmにすることにより、空気圧振動中の周波数帯が100Hz以上150Hz未満の空気圧振動を遮断することができる。また、溝幅L31,L32,L33を10mmにすることにより、空気圧振動中の周波数帯が50Hz以上100Hz未満の空気圧振動を遮断することができる。更に、溝幅L31,L32,L33を20mmにすることにより、50Hz未満の空気圧振動を遮断することができる。なお、遮断したい空気圧振動中の周波数帯と溝幅L31,L32,L33とは、上記関係に限られるものではない。溝幅L31,L32,L33を変更することにより、遮断したい空気圧振動中の周波数帯を変更することができる。これらの関係は溝の幅や、それに加えて溝の深さH1等を変えた歯及び溝を形成して実験を行うことにより、遮断効果がある周波数帯を特定することができる。
歯65A,66A,67Aの幅L2は1mm以上20mm以下が好ましい。1mm未満では強度不足となり、耐久性が低下する。20mmを超えると、ラビリンスシール59のY方向長さが増えるだけであり、空気圧振動の低減効果が低くなる。
なお、ラビリンスシール59の各溝65B〜67Bの両端部は開放又は閉塞のいずれであってもよい。ただし、開放させた方が、各溝65B〜67Bに入った風が両端部から逃げ易くなるため、ビード31に対する遮風効果は高くなる。
図10は、シールユニット65〜67の歯65A〜67A及び溝65B〜67BをY方向に入れ換えた第1〜第3シール部71〜73を有する第2実施形態のラビリンスシール69を示している。このように、歯65A〜67A及び溝65B〜67BをY方向に入れ換えても、特定の周波数帯の振動を遮断することができる。なお、上記実施形態と同一構成部材には同一符号を付して重複した説明を省略している。第1シール部61,71、第2シール部62,72、第3シール部63,73のバンド走行方向Yにおける配列の順序は適宜変更してよい。各溝65B〜67Bは、バンド走行方向Yに対し直交するX方向に形成しているが、溝65B〜67Bの形成方向は、バンド走行方向Yに対し交差していればよく、交差角度は直角に限られない。
図11は、ラビリンスシール74の各溝75B〜77Bを第1実施形態のラビリンスシール59よりも浅く形成した別の実施形態の遮風ブロック78の第1〜第3シール部81〜83を示している。第1〜第3シール部81〜83は、Y方向に3個連続して形成されるシールユニット75〜77を有する。各溝75B〜77Bの深さH1が第1実施形態に比べて浅い場合でも、特定の周波数帯の振動を遮断することができる。
上記各実施形態において、吸引ボックス26A,26Bによる吸引圧力BPは−3000Pa以上−150Pa以下であり、好ましくは−1000Pa以上−500Pa以下である。−150Paを超えると同伴風の誘導が十分に行えない。また、−3000Pa未満であると、ビード自身も負圧によって変形してしまい、面状が悪化してしまう。
上記各実施形態では、ダイ25に対しバンド走行方向Yの上流側に、遮風ブロック27,70,78を設けているが、更に遮風ブロック27,70,78の上流側に減圧チャンバを設けてもよい。減圧チャンバは、遮風ブロック27,70,78の上流側エリアの空気を吸引してこのエリア内を減圧し、ビード31への同伴風58の進入を抑える。この減圧チャンバによる吸引圧力は、吸引ボックス26A,26Bの吸引圧力よりも小さいことが好ましい。また、遮風ブロック27,70,78に代えて、減圧チャンバを用いて良い。
上記実施形態の吸引ボックス26A,26Bは、二つの回動軸53,54を用いて仕切り板46,47を個別に移動させているが、これに代えて、図12に示すように一つの回動軸90と、一つのガイド軸91とを用いて仕切り板46,47を移動させる吸引ボックス89としてもよい。回動軸90は、吸引ボックス89の両側板44A,44Bに軸受50を介して回動自在に取り付けられている。ガイド軸91は固定環94により、両側板44A,44Bに固定されている。なお、上記実施形態と同一構成部材には同一符号を付して重複した説明を省略している。
回動軸90は、雌ねじ環92,93を介して、1対の仕切り板46,47を貫通して取り付けられている。回動軸90は、中央から両端部に向かって、互いに逆向きとなる雄ねじ部90A,90Bを有する。一方の雌ねじ環92は雄ねじ部90Aに螺合する雌ねじ部92Aを有し、他方の雌ねじ環93は雄ねじ部90Bに螺合する雌ねじ部93Aを有する。ガイド軸91は、ガイド環51を介し1対の仕切り板46,47を貫通して取り付けられている。ガイド環51は、ガイド軸91を摺動自在に保持するガイド孔51Aを有する。
回動軸90を一方に回転することにより、雌ねじ環92,93を介して1対の仕切り板46,47が接近し、他方に回転することにより仕切り板46,47が離反する。これにより吸引室48の幅を変更することができる。したがって、ドープ30の粘度や、ビード31の厚みが変更される場合に、回動軸90を回すことにより、吸引ボックス89の吸引口45の幅を最適に設定することができる。吸引口45の幅を変更することにより、ブロワの負圧を変えることなく、吸引風量を調節することができる。なお、仕切り板46,47を平行移動させる機構は上記のものに限られず、各種機構を用いることができる。また、仕切り板は1対に限られず、3枚以上設けてもよい。この場合には、各仕切り板を個別にビードの幅方向Xに移動自在に設け、吸引ボックス内で各仕切り板に区切られる吸引室を2個以上設けることにより、吸引風量や吸引エリアを更に細かく設定することが可能になる。
上記実施形態では、吸引管55を仕切り板47に設けているが、これに代えて、図12に示すように、吸引ボックス89を構成する垂直板43Bに吸引管95を設けてもよい。また、図示は省略したが、吸引ボックス89を構成する傾斜板43Cに吸引管95を設けても良い。
なお、図示は省略したが、シフト機構を用いて、吸引ボックス26A,26B,89を、ビード31の幅方向に移動自在に取り付けてもよい。この場合には、ドープ30の粘度などに応じて、ビード31の両端部の吸引エリアを微調整することができる。また、ビード31の幅が変更になった場合にも、容易に対応することができる。
上記実施形態では、遮風ブロック27を吸引ボックス26A,26Bの間に配置したが、これに代えて、図13に示すように、流延膜32(図2参照)よりも長く、例えばダイ25のX方向長さと同じに、遮風板96を設けてもよい。この遮風板96のバンド対向面96Aの例えば全面には、X方向に長くラビリンスシール59が形成されている。また、遮風板96の上面でX方向の両端部には、吸引ボックス26A,26Bが配される。この場合には、吸引ボックス26A,26Bとバンド23との隙間からの同伴風の空気圧振動をラビリンスシール59で減少させることができる。また、遮風板96と吸引ボックス26A,26Bの一体タイプに代えて、第1実施形態の吸引ボックス26A,26Bのバンド対向面に、遮風ブロック27と同じラビリンスシール59を形成してもよい。
本発明の溶液製膜設備10において、製品としてのフィルム33の幅は、600mm以上であることが好ましく、1400mm以上2500mm以下であることがより好ましい。なお、フィルム33の幅が2500mmより大きい場合にも効果がある。またフィルム33の膜厚は、10μm以上80μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以上40μm以下である。フィルム33の原料となるポリマーは、特に限定されず、例えば、セルロースアシレートや環状ポリオレフィン等がある。
本発明のセルロースアシレートに用いられるアシル基は1種類だけでも良いし、あるいは2種類以上のアシル基が使用されていても良い。2種類以上のアシル基を用いるときは、その1つがアセチル基であることが好ましい。セルロースの水酸基をカルボン酸でエステル化している割合、すなわち、アシル基の置換度が下記式(I)〜(III)の全てを満足するものが好ましい。なお、以下の式(I)〜(III)において、A及びBは、アシル基の置換度を表わし、Aはアセチル基の置換度、またBは炭素原子数3〜22のアシル基の置換度である。また、トリアセチルセルロース(TAC)の90重量%以上が0.1mm以上4mm以下の粒子であることが好ましい。
(I) 2.0≦A+B≦3.0
(II) 1.0≦ A ≦3.0
(III) 0 ≦ B ≦2.9
アシル基の全置換度A+Bは、2.20以上2.90以下であることがより好ましく、2.40以上2.88以下であることが特に好ましい。また、炭素原子数3〜22のアシル基の置換度Bは、0.30以上であることがより好ましく、0.5以上であることが特に好ましい。
セルロースアシレートの詳細については、特開2005−104148号の[0140]段落から[0195]段落に記載されている。これらの記載も本発明にも適用できる。また、溶剤及び可塑剤,劣化防止剤,紫外線吸収剤(UV剤),光学異方性コントロール剤,レターデーション制御剤,染料,マット剤,剥離剤,剥離促進剤などの添加剤についても、同じく特開2005−104148号の[0196]段落から[0516]段落に詳細に記載されている。
歯65A,66A,67Aの高さ(溝の深さ)H1と、歯65A,66A,67Aの幅L2と、溝65B,66B,67Bの幅L31〜L33と、隙間(クリアランス)Gと、遮断可能な空気圧振動との関係を示す実験を行った。表1は実験結果を示す一覧表である。実験1は、溝深さH1を3mm、歯幅L2を1mm、溝幅L31を3mm、溝幅L32を10mm、溝幅L33を20mm、ユニット個数を3とした時の、0Hz以上50Hz未満、50Hz以上100Hz未満、100Hz以上150Hz未満の空気圧振動の周波数帯に対して、遮断した周波数ピークを求めたものである。遮断した周波数ピークはラビリンスを備えていない実験5の時の遮断した周波数ピーク0.8Paとの比較で示しており、実験1では遮断した周波数ピークは0.4Paになった。実験2は実験1に対して溝深さH1を変えることにより、溝深さH1が遮断効果に与える影響を測定している。実験3,4は実験1に対してユニット個数を変えることにより、ユニット個数が少ない時(実験3)、ユニット個数が多い時(実験4)の遮断効果に与える影響を測定している。なお、遮断可能周波数帯・周波数ピークは、FFTアナライザー(リオン社製SA−01)に空気圧振動ピックアップとアンプを接続したものにより、ダイ近傍の流延幅左右及び中央部計3箇所を流延しない状態でオフライン運転した状態で実測することにより得た。
Figure 0006008452
表1の実験1では、遮断した周波数ピークが0.4Paとなり、同伴風の遮断効果があることが判る。これに対して、実験1の溝深さH1を3mmから、溝深さH1を10mmにした実験2では、遮断した周波数ピークが0.1Paとなり、遮断効果が最も高いことが判る。また、ユニット個数を実験1の「3」に対して「2」に変更した実験3では、遮断した周波数ピークが0.6Paになり、遮断効果が実験1よりも低い。更に、ユニット個数を「5」にした実験4では、遮断した周波数ピークが0.4となり、ユニット個数が3の場合と同じである。したがって、ユニット個数は3個以上5個以下が好ましいことが判る。また、ラビリンスシールが無い実験5では、遮断した周波数ピークが0.8Paとなり、遮断効果が無いことが判る。
吸引ボックス26A,26Bによる効果を確認するために、実験を行った。この結果を表2に示す。
Figure 0006008452
実験11〜13では、図2〜図4に示す吸引ボックス26A,26Bを用いて、ビード31の両端部をバンド走行方向Yの上流側で吸引し、図7に示すように、流延線BLNの直線化を図った。また、遮風ブロック27を用いて、同伴風によるビード31の振動の影響を排除した。図1に示す溶液製膜設備10により、バンド23の上に流延膜32を形成した後に、この流延膜32を剥がしてフィルム33とし、テンタ12、乾燥装置13を経て、フィルム33を製造し、ロール状にフィルム33を巻き取った。フィルム33はTACからなり、実験11は幅を200mm、実験12は400mm、実験13は800mmとし、各実験11〜13において厚みを10μm、30μm、60μmとした。
実験14では、実験11の吸引ボックス26A,26B及び遮風ブロック27を無くした以外は、実験11と同じ条件でフィルム33を製造した。
実験15では、実験11の吸引ボックス26A,26B及び遮風ブロック27の代わりに図1に二点鎖線で示す減圧チャンバ35を設けた以外は、実験11と同じ条件でフィルム33を製造した。
表2から明らかなように、実験11〜13では、空気巻き込み発生が無く、段むらの発生も無かった。これに対して、実験14では段むらの発生は無いものの、空気巻き込みが発生した。また、実験15では空気巻き込みの発生は無いもの、段むらが発生した。
なお、表2において、空気巻き込みが発生していないときに、空気巻き込み発生の評価を「A」とし、発生したときに評価を「B」とした。また、段むらが発生していないときに段むら発生の評価を「A」とし、発生したときに評価を「B」とした。
空気巻き込みは、流延線を含む流延膜32を高速カメラで撮影し、この撮影した画像を5〜15倍程度に拡大してモニターに表示し、空気が少しでも巻き込まれた場合に、Bと判定し、空気が巻き込まれない場合に泡の抑制効果があるとしてAと判定した。なお、空気巻き込みはモニターの目視観察により行っているが、モニターに表示される画像を画像処理してパターン認識などにより空気の巻き込みを自動認識して判定も可能である。
段むらは、得られたフィルムを所定のサイズでサンプリングし、透明なフィルム置き台にサンプリングしたフィルムを載せて、フィルムから上方に1500mm〜2000mm離した点光源(USHIO製キセノンランプ)を用いてフィルムを照明し、フィルム及びフィルム置き台を透過した光を観察台に投影させ、観察台の透過光から段むらが目視にて観察されるかどうかで評価した。目視評価により段むらが視認される場合にBと判定し、視認されない場合にAと判定した。なお、フィルム置き台は観察台に対して45°以上60°以下の範囲で傾けた状態で評価した。
以上の結果から、段むらの改善効果と、泡の抑制効果とが得られることが判る。また、これらの結果から、実際の製造条件である、幅を例えば1400mm以上2500mm以下、又はそれ以上とし、厚みを10μm以上60μm以下とする場合にも、同様の効果が得られるものと推測される。
10 溶液製膜設備
11 流延装置
23 バンド
25 ダイ
26A,26B 吸引ボックス
27 遮風ブロック
31 ビード
32 流延膜
32A 泡
33 フィルム
45 吸引口
46,47 仕切り板
51 ガイド環
52 雌ねじ環
53,54 回動軸
53A,54A 雄ねじ部
53B,54B ガイド部
55 吸引管
58 同伴風
59 ラビリンスシール
61,62,63 シール部
65,66,67 シールユニット
65A,66A,67A 歯
65B,66B,66C 溝

Claims (6)

  1. 走行する周面に近接して配され、前記周面に同伴する同伴風を遮る遮風部材に設けられるラビリンスシールにおいて、
    前記周面に対向する面に形成され、前記周面の走行方向に交差する方向に長く形成される第1溝を前記走行方向に離間して3個以上並べられている第1シール部と、
    前記第1シール部に隣接し、前記第1溝とは溝幅又は溝深さが異なる第2溝を前記走行方向に離間して3個以上並べられている第2シール部と、
    備え、
    前記溝幅及び溝深さは、前記同伴風による空気圧振動の周波数帯に合わせて決定されているラビリンスシール。
  2. 前記第2シール部に隣接し、前記第1溝及び第2溝とは溝幅又は溝深さが異なる溝を前記走行方向に離間して3個以上並べられている第3シール部を有する請求項1記載のラビリンスシール。
  3. 走行する支持体と、
    前記支持体に向けて吐出口からドープを吐出し、前記支持体との間にビードを形成しながら、前記支持体の表面上に流延膜を形成するダイと、
    前記ビードよりも前記支持体の走行方向上流側にて、前記支持体の表面に近接し且つ前記ビードに沿って配されて、前記支持体の走行による同伴風を遮る遮風部材と、
    前記遮風部材の前記支持体への対向面に配される請求項1又は2記載のラビリンスシールと、
    を有する流延装置。
  4. 前記溝幅は3mm以上30mm以下であり、前記溝深さは1mm以上20mm以下である請求項記載の流延装置。
  5. 請求項3又は4記載の流延装置と、
    前記支持体から前記流延膜を剥がして乾燥する乾燥装置と
    を備える溶液製膜設備。
  6. 請求項3又は4記載の流延装置を用いて、前記支持体上に前記流延膜を形成する工程と、
    前記支持体から前記流延膜を剥がして乾燥する工程と
    を有する溶液製膜方法。
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