JP5265161B2 - ウエブ案内ローラ、およびウエブ搬送装置 - Google Patents

ウエブ案内ローラ、およびウエブ搬送装置 Download PDF

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Description

本発明は、ウエブの走行を案内するローラ、およびこれを備えたウエブ搬送装置に関する。
磁気テープや写真フィルム、光学機能フィルムなどの製造設備では、コイル状に巻き回した原反ロールからウエブを連続的に繰り出しながら、磁性材料、感光材料、光学機能牲材料などの機能性材料をウエブの一方の表面に塗着させて乾燥させた後、再度コイル状に巻き取っている。このような製造設備には、所定の搬送路に沿ってウエブの走行を案内するために、複数のローラが設けられている。
近年、磁気テープや写真フィルム、光学機能フィルムなどを用いる装置の小型化に伴って、ウエブの薄手化、および平滑化が促進されている。このため、ローラによる搬送中に、ウエブに対してローラがスリップしてしまい、ウエブに擦り傷や引きつれしわが発生することがあった。また、機能性材料を塗着した直後のウエブを搬送する際に、塗膜にローラ跡が残るいわゆる面写りが発生することがあり、製品歩留りが悪くなるという問題があった。
この問題を解決するために、厚さ25μm以下の薄手のウエブを搬送するために、周面にらせん状の溝と隆起部とが形成されたローラが提案されている(特許文献1および2参照)。また、ローラ本体の周面に微細な凹部を設け、凹部の深さを平均で5μm以上50μm以下とし、凹部以外の平坦部の占有面積率を50%以上70%以下としたウエブ案内ローラが提案されている(特許文献3参照)。
特開平8−175727号公報 特開平10−77146号公報 特開2003−146505号公報
特許文献1および2に記載のローラは、厚さ25μm以下のウエブを対象としており、機能性材料を塗着する前のウエブを搬送するものであるため、機能性材料を塗着した直後のウエブを搬送する際に発生する面写りの問題が考慮されていない。
特許文献3に記載のウエブ案内ローラは、ローラの周面にアルミナゾル、ガラスビーズなどの微小粉体を吹き付けるブラスト処理を行って、凹部を形成している。このため、凹部が無秩序に分散してしまい、また、微小粉体の大きさにばらつきがあって凹部の深さや大きさが一定にならない。そのうえ、ウエブの搬送速度が高速になると摩擦力を維持することができず、ウエブに対してスリップしてしまう。
また、ポリマーからなるフィルムを製造するいわゆる製膜においても、塗布の場合と同様に、長尺のフィルムがローラによる搬送中にスリップしてしまい、フィルムに擦り傷や引きつれしわが発生することがあった。そして、溶液製膜のように溶媒を含んだ状態さらには加熱されて高温となったフィルムや、溶融製膜のように略融点のような高温状態のフィルムを搬送する際に、フィルム自体にローラ跡が発生することがある。なお、以下の説明においては、製膜でフィルム自体に発生するローラ跡についても面写りと称するものとする。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、ウエブの擦り傷や引きつれしわ、面写りを防止することができるウエブ案内ローラを提供することを目的とする。
また、本発明は、製造コストを抑えることができるウエブ搬送装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、ポリマーウエブを周面で支持しながら、前記ポリマーウエブの走行を案内するウエブ案内ローラであって、周方向に沿って周面に交互に形成された、断面略半円形状の谷部および山部を有し、前記谷部および前記山部のピッチが0.01mm以上2mm以下、前記谷部の底点から前記山部の頂点までの高さが0.01mm以上1mm以下であり、前記谷部および前記山部の曲率半径が0.1mm以上0.4mm以下であり、山部の頂点部分に、軸方向に平行な平坦面が形成され、平坦面の軸方向における幅が0.05mm以上0.5mm以下であることを特徴とする。
なお、ここでいう機能性材料とは、磁気テープや写真フィルムに用いられる磁性材料や感光材料、液晶表示装置向けの光学機能牲材料などを含む。
厚さ20μm以上200μm以下の範囲内のウエブの走行を案内することが好ましい。
また、本発明のウエブ搬送装置は、上記のウエブ案内ローラを備えることを特徴とする。
前記ウエブ案内ローラは、モータにより回転駆動されることが好ましい。
本発明のウエブ案内ローラによれば、周方向に沿って周面に交互に形成された、断面略半円形状の谷部および山部を有し、谷部および山部のピッチが0.01mm以上2mm以下、谷部の底点から山部の頂点までの高さが0.01mm以上2mm以下であるので、ウエブに対してスリップせず、ウエブの擦り傷や引きつれしわ、面写りを防止することができる。
また、本発明のウエブ搬送装置によれば、請求項1ないし5のいずれかに記載のウエブ案内ローラを備えるので、ウエブの擦り傷や引きつれしわ、面写りが防止され、製品歩留りが良化する。したがって、製造コストを抑えることができる。
図1において、本発明のウエブ搬送装置20は、コイル状に巻き回した原反ロール10からウエブ11を連続的に繰り出す繰り出し部12と、ウエブ11の表面に機能性材料を塗着して磁性塗膜や感光塗膜、光学機能牲塗膜などの機能性塗膜を形成する塗布部13と、塗膜を乾燥する乾燥部14と、塗膜が形成されたウエブ11(以下、フィルム15と称する。)を再度コイル状に巻き取る巻き取り部16とを備えている。
ウエブ11は、可撓性支持体であり、例えば、幅100mm以上3000mm以下、長さ100m以上5000m以下、厚さ20μm以上200μm以下、表面粗さRa=1nm以上100nm以下である。ウエブ11の材料としてはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、セルロースダイアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミドなどのプラスチックフィルム;紙;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンブテン重合体などの炭素数が2〜10のα−ポリオレフィン類を塗布またはラミネートした紙;アルミニウム、銅、錫などの金属箔;などがある。
塗布部13と乾燥部14との間には、塗布部13で塗膜が塗着された直後のウエブ11(以下、湿潤フィルム17と称する。)を搬送するためのウエブ案内ローラ18が設けられている。ウエブ案内ローラ18は、ウエブ11の搬送速度と同じ回転速度となるように、モータ19により回転駆動される。
図2において、ウエブ案内ローラ18は、ローラ本体18aと、ローラ本体18aの両端部に嵌着された軸部18bとからなる。ローラ本体18aは、ウエブ11をその外周面で支持しながら搬送する。なお、ローラ本体18a、軸部18bの材質としては、耐蝕性に優れたもの、例えば、アルミニウム、鉄、ステンレス、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)などが材料として用いられる。
図3において、ローラ本体18aの周面には、断面略半円形状の谷部30および山部31が周方向に沿って形成されている。谷部30および山部31は、軸方向に関して交互に配置されている。谷部30および山部31は、例えば、バイトを用いた精密旋盤で精度良く加工成形される。
谷部30の隣り合う底点30a同士の距離、および山部31の隣り合う頂点31a同士の距離、すなわち、谷部30および山部31のピッチPvおよびPmは、0.01mm以上2mm以下となっている。ピッチPvおよびPmが0.01mm未満であると、旋盤加工が困難となり、もしできたとしても製造コストが掛かって非常に高価になってしまう。また、ピッチPvおよびPmが2mmよりも大きいと、スリップや面写りが発生する。
底点30aから頂点31aまでの高さHv−mは、0.01mm以上1mm以下となっている。高さHv−mが0.01mm未満であると、湿潤フィルム17との間の空気層を除去する効果がなくなり、スリップしやすくなってしまう。高さHv−mが1mmよりも大きいと、旋盤加工が困難となり、もしできたとしても製造コストが掛かって非常に高価になってしまう。
谷部30の断面を形成する円の中心Ovから底点30aまでの距離、および山部31の断面を形成する円の中心Omから頂点31aまでの距離、すなわち、谷部30および山部31の曲率半径RvおよびRmは、0.1mm以上0.5mm以下となっている。曲率半径RvおよびRmが0.1mm未満であると、湿潤フィルム17との接触面積が小さくなり、スリップが発生する。曲率半径RvおよびRmが0.5mmよりも大きいと、高さHv−mが低くなりスリップが発生する。
図4において、山部31の頂点31aの部分には、軸方向に平行な平坦面40が形成されている。平坦面40は、谷部30および山部31を形成した後に、例えば、研磨機で山部31の頂点31aの部分を研磨することにより加工成形される。この平坦面40の軸方向における幅Wfは、0.05mm以上0.5mm以下となっている。幅Wfが0.05mm未満であると、山部31の加工精度によっては研磨することができない部分が生じる。幅Wfが0.5mmよりも大きいと、上記で規定されるピッチで谷部30および山部31を形成することができない。
次に、上記構成を有するウエブ搬送装置20の動作について説明する。まず、繰り出し部12より原反ロール10からウエブ11が繰り出され、塗布部13へと搬送される。塗布部13では、搬送されたウエブ11の表面に機能性材料が塗着され、湿潤フィルム17となってウエブ案内ローラ18に向けて搬送される。
湿潤フィルム17は、ウエブ案内ローラ18によって、乾燥部14に搬送される。乾燥部14に搬送された湿潤フィルム17は、乾燥部14で乾燥されてフィルム15となり、巻き取り部16で再度コイル状に巻き取られる。コイル状、すなわちロール形態のフィルム15は、次の加工工程に移送され、製品に加工される。
以上説明したように、周方向に沿って周面に交互に形成された、断面略半円形状の谷部30および山部31を有し、谷部30および山部31のピッチPv、Pmが0.01mm以上2mm以下、谷部30の底点30aから山部31の頂点31aまでの高さHv−mが0.01mm以上1mm以下のウエブ案内ローラ18を用いて湿潤フィルム17を搬送するので、湿潤フィルム17との間の空気層が効果的に除去され、湿潤フィルム17がスリップしないような摩擦力でウエブ案内ローラ18が湿潤フィルム17に接触する。したがって、擦り傷や引きつれしわの発生を防止することができる。また、谷部30および山部31による面写りも発生しない。
山部31の頂点31aの部分に平坦面40を形成し、軸方向における幅Wfを0.05mm以上0.5mm以下とするので、摩擦力をさらに高めることができ、且つ平坦面40によるスジ状の面写りが発生しない。
なお、ピッチPvおよびPmは、より好ましくは0.3mm以上0.5mm以下である。また、高さHv−mは、より好ましくは0.02mm以上0.1mm以下である。
曲率半径RvおよびRmは、より好ましくは0.2mm以上0.4mm以下である。幅Wfは、より好ましくは0.1mm以上0.3mm以下である。また、ウエブ11の幅は、より好ましくは1000mm以上2500mm以下である。より好ましい数値範囲では、ウエブに対する十分な摩擦力を有し、面写りの発生がないウエブ案内ローラを得ることができる。
なお、上記実施形態では、ウエブ案内ローラ18をモータ19により回転駆動される駆動ローラとした例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されず、駆動源が接続されていないフリー回転の案内ローラに適用してもよい。
ウエブ案内ローラ18は、溶液製膜設備と溶融製膜設備とにおいても用いることができる。溶液製膜においては、ウエブ案内ローラ18により案内されるウエブは、流延支持体から剥がされた後の溶媒を含むいわゆる湿潤フィルムと乾燥した後のフィルムとである。溶液製膜設備では、ポリマーと溶剤とが含まれるドープを流延支持体に流延して流延膜を流延支持体上に形成し、この流延膜を流延支持体からフィルムとして剥ぎ取る。剥ぎ取られたフィルムは、溶剤を含んでいるので、この溶剤を蒸発させてフィルムを乾燥する。乾いたフィルムは、ロール形態となるように巻き取り装置で巻き取られる、あるいは次工程に送られる。次工程を実施する装置としては、例えば、図1に示すウエブ搬送装置20が挙げられる。また、溶融製膜においては、ウエブ案内ローラ18により案内されるウエブは、原料であるポリマーを溶融押出機により溶融して薄膜形状に押し出されたフィルムである。
溶液製膜における湿潤フィルムは、溶媒を含み、かつ、乾燥促進のために加熱されている。また、溶融製膜におけるフィルムは、溶融押出機から押し出されたときには略融点という高温とされている。このように、溶媒を含むウエブや、高温のウエブを案内するために、本発明のウエブ案内ローラ18を用いると、スリップすることなく案内することができ、擦り傷や引きつれしわ、面写りがウエブに発生しない。以下に、製膜設備でウエブ案内ローラ18を用いる態様の例として、溶液製膜設備での態様を説明する。
[原料]
ドープの原料としては、溶液製膜でフィルムを製造することができる公知のポリマー及び溶剤を用いることができる。ポリマーの中でも、セルロースアシレート、環状ポリオレフィンを好ましく用いることができる。これらのいずれのポリマーであっても、製造設備の構成と製造方法の流れとは基本的に同じであるので、以下、セルロースアシレートフィルムをポリマー成分として用いる場合を例に挙げて説明する。
セルロースアシレートの中でも、セルロースの水酸基をカルボン酸でエステル化している割合、つまりアシル基の置換度(以下、アシル基置換度と称する)が下記式(I)〜(III)の全ての条件を満足するものがより好ましい。なお、(I)〜(III)において、A及びBはともにアシル基置換度であり、Aにおけるアシル基はアセチル基であり、Bにおけるアシル基は炭素原子数が3〜22のものである。
2.5≦A+B≦3.0・・・(I)
0≦A≦3.0・・・(II)
0≦B≦2.9・・・(III)
セルロースを構成しβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位および6位に遊離の水酸基を有している。セルロースアシレートは、これらの水酸基の一部または全部がエステル化されて、水酸基の水素が炭素数2以上のアシル基に置換された重合体(ポリマー)である。なお、グルコース単位中のひとつの水酸基のエステル化が100%されていると置換度は1であるので、セルロースアシレートの場合には、2位、3位および6位の水酸基がそれぞれ100%エステル化されていると置換度は3となる。
ここで、グルコース単位の2位のアシル基置換度をDS2、3位のアシル基置換度をDS3、6位のアシル基置換度をDS6とする。DS2+DS3+DS6で求められる全アシル基置換度は2.00〜3.00であることが好ましく、2.22〜2.90であることがより好ましく、2.40〜2.88であることがさらに好ましい。また、DS6/(DS2+DS3+DS6)は0.28以上であることが好ましく、0.30以上であることがより好ましく、0.31〜0.34であることがさらに好ましい。
アシル基は1種類だけでもよいし、あるいは2種類以上であってもよい。アシル基が2種類以上であるときには、そのひとつがアセチル基であることが好ましい。2位、3位及び6位の水酸基の水素のアセチル基による置換度の総和をDSAとし、2位、3位及び6位におけるアセチル基以外のアシル基による置換度の総和をDSBとすると、DSA+DSBの値は2.22〜2.90であることが好ましく、2.40〜2.88であることが特に好ましい。DSBは0.30以上であることが好ましく、0.70以上であることが特に好ましい。そして、DSBはその20%以上が6位水酸基の置換基であることが好ましいが、より好ましくは25%以上、さらに好ましくは30%以上、特に好ましくは33%以上が6位水酸基の置換基であることが好ましい。また、セルロースアシレートの6位のDSA+DSBの値が0.75以上であることが好ましく、0.80以上であることがより好ましく、0.85以上であることが特に好ましい。以上のようなセルロースアシレートを用いることにより、溶解性が好ましいドープや、粘度が低く、ろ過性がよいドープを製造することができる。特に非塩素系有機溶剤を用いる場合には、上記のようなセルロースアシレートが好ましい。
炭素数が2以上であるアシル基としては、脂肪族基でもアリール基でもよく、特に限定されない。例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどがあり、これらは、それぞれさらに置換された基を有していてもよい。プロピオニル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、iso−ブタノイル基、t−ブタノイル基、シクロヘキサンカルボニル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などを挙げることが出来る。これらの中でも、プロピオニル基、ブタノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、t−ブタノイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などがより好ましく、プロピオニル基、ブタノイル基が特に好ましい。
なお、セルロースアシレートの詳細については、特開2005−104148号公報の[0140]段落から[0195]段落に記載されており、これらの記載は本発明にも適用することができる。
ドープを製造するための溶剤としては、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン,トルエンなど)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン,クロロホルム,クロロベンゼンなど)、アルコール(例えば、メタノール,エタノール,n−プロパノール,n−ブタノール,ジエチレングリコールなど)、ケトン(例えば、アセトン,メチルエチルケトンなど)、エステル(例えば、酢酸メチル,酢酸エチル,酢酸プロピルなど)及びエーテル(例えば、テトラヒドロフラン,メチルセロソルブなど)などが例示される。なお、ここで、ドープとはポリマーを溶剤に溶解または分散媒に分散して得られるポリマー溶液または分散液である。
溶剤としては、上記化合物の中でも炭素原子数1〜7のハロゲン化炭化水素が好ましく、ジクロロメタンが最も好ましい。そして、セルロースアシレートの溶解性、流延膜の支持体からの剥ぎ取り性、フィルムの機械的強度、フィルムの光学特性等の特性の観点から、炭素原子数1〜5のアルコールを一種ないし数種類を、ジクロロメタンに混合して用いることが好ましい。このとき、アルコールの含有量は、溶剤全体に対し2重量%〜25重量%であることが好ましく、5重量%〜20重量%であることがより好ましい。アルコールの好ましい具体例としては、メタノール,エタノール,n−プロパノール,イソプロパノール,n−ブタノール等が挙げられるが、中でも、メタノール,エタノール,n−ブタノール、あるいはこれらの混合物が好ましく用いられる。
環境に対する影響を最小限に抑えることを目的にした場合には、ジクロロメタンを用いずにドープを製造してもよい。この場合の溶剤としては、炭素原子数が4〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステルが好ましく、これらを適宜混合して用いることがある。これらのエーテル、ケトン及びエステルは、環状構造を有するものであってもよい。また、エーテル、ケトン及びエステルの官能基(すなわち、−O−,−CO−及び−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、溶剤として用いることができる。また、溶剤は、例えばアルコール性水酸基のような他の官能基を化学構造中に有するものであってもよい。
ドープには、目的に応じて可塑剤、紫外線吸収剤(UV剤)、劣化防止剤、滑り剤、剥離促進剤等の公知である各種添加剤を添加させても良い。例えば、可塑剤としては、トリフェニルフィスフェート、ビフェニルジフェニルフォスフェート等のリン酸エステル系可塑剤や、ジエチルフタレート等のフタル酸エステル系可塑剤、及びポリエステルポリウレタンエラストマー等の公知の各種可塑剤を用いることができる。
なお、溶剤及び可塑剤,劣化防止剤,紫外線吸収剤,光学異方性コントロール剤,染料,マット剤,剥離剤等の添加剤についても、同じく同じく特開2005−104148号公報の[0196]段落から[0516]段落に詳細に記載されており、これらの記載も本発明に適用することができる。
以上の原料を用いて、セルロースアシレート濃度が5重量%〜40重量%であるドープを製造する。セルロースアシレート濃度は15重量%以上30重量%以下の範囲とすることがより好ましく、17重量%以上25重量%以下の範囲とすることがさらに好ましい。また、添加剤の濃度は、固形分全体に対して1重量%以上20重量%以下の範囲とすることが好ましい。
なお、ドープの製造に関して、原料の溶解方法、ろ過方法、脱泡、添加方法については、特開2005−104148号公報の[0517]段落から[0616]段落に詳しく記載されており、これらの記載の内容も本発明に適用することができる。
[フィルム製造方法]
図5は溶液製膜設備50を示す概略図である。ただし、本発明は、この溶液製膜設備50に限定されるものではない。溶液製膜設備50には、セルロースアシレートが溶剤に溶けているドープ51を流延して溶剤を含んだセルロースアシレートフィルムである湿潤フィルム52とする流延室53と、湿潤フィルム52を搬送しながら乾燥する第1乾燥室56と、第1乾燥室56を出た湿潤フィルム52の両側端部を保持して湿潤フィルム52を搬送しながら乾燥するテンタ57と、湿潤フィルム52の両側端部を切り離す耳切装置58と、湿潤フィルム52を搬送しながら乾燥して溶剤がほとんど含まれないセルロースアシレートフィルム(以降、単にフィルムと称する)59とする第2乾燥室61と、フィルム59を冷却するための冷却室62と、フィルム59の帯電量を減らすための除電装置63と、側端部にエンボス加工を施すナーリング付与ローラ対66と、フィルム59を巻き取る巻き取り部67とが備えられる。
流延室53には、ドープ51を流出する流延ダイ71と、流延支持体としてのバンド72とを備える。流延ダイ71はコートハンガー型のダイが好ましい。ドープ51の温度が所定温度に保持されるように、流延ダイ71の温度を制御する温度コントローラ(図示なし)が流延ダイ71に取り付けられてある。
流延ダイ71の幅は特に限定されず、本実施形態では、最終製品となるフィルム59の幅の1.1倍〜2.0倍程度である。さらに、流延ダイ71には、流出するときのビードの厚みを調整するために、流延ダイ71のスリットの隙間を調整する厚み調整ボルト(ヒートボルト)が幅方向に所定の間隔で複数備えられることが好ましい。
流延支持体としてのバンド72は、周方向に回転するバックアップローラ73に巻き掛けられており、バックアップローラ73の回転により連続走行する。バックアップローラ73には、駆動手段(図示せず)が設けられ、この駆動手段により回転する。バンド72の幅は特に限定されず、本実施形態ではドープ51の流延幅の1.1倍〜2.0倍の範囲とされる。バンド72は、周面の平均粗さが0.01μm以下とされており、クロムメッキ処理等を施されてある。
バックアップローラ73は、伝熱媒体が通る流路(図示せず)が内部に形成されている。そして、バックアップローラ73には、伝熱媒体循環装置(図示せず)が接続しており、この伝熱媒体循環装置は、伝熱媒体の温度を制御し、前記流路に伝熱媒体を循環供給する。これによりバックアップローラ73の周面温度が制御され、バックアップローラ73に接するバンド72の温度を所定値となるようにする。なお、バンド72の温度は、溶剤の種類、固形成分の種類、ドープ51の濃度等に応じて適宜設定する。
流延ダイ71からバンド72にかけては流延ビードが形成され、バンド72の上には流延膜78が形成される。流延ビードの上流側には減圧チャンバ76が備えられる。流延ビートに関し上流側のエリアを減圧して、流延ビードの様態を安定させる
ビードに関して上流側のエリアの圧力は、下流側のエリアよりも2000Pa〜10Pa低くすることが好ましい。また、流延ビードを所望の形状に保つために、流延ダイ71のエッジ部に吸引装置(図示せず)を取り付けてビードの両側を吸引することが好ましい。この吸引風量は、1L/min.〜100L/min.の範囲であることが好ましい。
流延室53には、その内部温度を所定の値に保つための温調装置77と、ドープ51及び流延膜78から蒸発した溶剤を凝縮して回収するための凝縮器(図示せず)とが設けられる。そして、凝縮液化した溶剤を回収するための回収装置(図示せず)が流延室53の外部には設けられてある。回収装置により回収された溶剤は、再生してドープ製造用の溶剤として再利用する。
そして、この流延室53には、流延膜78をバンド72から剥ぎ取るために湿潤フィルム52を支持する剥ぎ取りローラ85が備えられる。流延膜78は、自己支持性をもつまで乾燥されてから、バンド72から剥ぎ取られる。剥ぎ取り時における流延膜78の残留溶剤の重量は、固形分の重量を100としたときに10〜200であることが好ましい。
なお、バンド72とバックアップローラ73とに代えて、周方向に回転するドラムを用いることもできる。この場合には、流延膜78を冷却することによりゲル化して自己支持性をもたせる。冷却しつつ乾燥することにより、剥ぎ取りのタイミングをより早めることができる。
第1乾燥室56には、送風機(図示せず)が備えられる。送風機からの乾燥風の温度は、20℃〜250℃の範囲とすることが好ましい。この第1乾燥室56には、湿潤フィルム52をテンタ57に案内するために、ウエブ案内ローラ18が備えられる。これにより、被案内物が溶剤を含んでいる湿潤フィルム52であっても、また、送風機により湿潤フィルム52の温度が例えば100℃以上という高温であってもスリップせずに安定して搬送することができ、湿潤フィルム52に擦り傷や引きつれしわ等がつくことを防止することができる。また、ウエブ案内ローラ18により異物を湿潤フィルム52に押し付けるということがなく、湿潤フィルム52に凹凸を付けることがない。ウエブ案内ロール18を使用すると、さらに、面写りがないという効果がある。
ウエブ案内ローラ18は、第1乾燥室56に複数備えられてもよい。なお、第1乾燥室56の搬送路に備えられる複数のローラのすべてがウエブ案内ローラ18であってもよいし、一部のみがウエブ案内ローラ18であってもよい。複数のローラのうち駆動ローラについてはウエブ案内ローラ18とすることがより好ましいが、フリー回転のローラもウエブ案内ローラ18にするとさらに好ましい。
第1乾燥室56では、搬送路に配する複数のローラについては、下流側のローラの回転速度を上流側のローラの回転速度よりも速くすることにより、湿潤フィルム52にドローテンション、すなわち搬送方向における張力を付与させることができる。これにより、湿潤フィルム52のたるみや、変形を防止することができる。
テンタ57に送られた湿潤フィルム52は、その両端部が保持手段(図示せず)により保持され、保持手段の移動により搬送される。そして、この搬送の間に乾燥される。保持手段としては、湿潤フィルム52の側部を把持するクリップや、側部を突き刺して保持する複数のピン等がある。流延支持体としてバンド72を用い、溶剤の一部を蒸発させた後に流延膜78を剥ぎ取る場合には、テンタ57での保持手段はクリップが好ましく、一方、流延支持体としてドラムを用いて溶剤をほとんど蒸発させずに冷却した流延膜を剥ぎ取る場合には、テンタ57での保持手段はピンが好ましい。なお、テンタ57では、湿潤フィルム52は、120℃以上180℃以下の温度とされることにより乾燥を進められる。
湿潤フィルム52は、テンタ57で乾燥された後、その両側端部が耳切装置58により切断除去される。切り離された両側端部はカッターブロワ(図示なし)によりクラッシャ89に送られる。クラッシャ89により、側端部は粉砕されてチップとなる。このチップはドープ製造用に再利用される。
一方、両側端部を切断除去された湿潤フィルム52は、第2乾燥室61に送られて、搬送されながらさらに乾燥される。第2乾燥室61の内部温度は、特に限定されるものではないが、60〜140℃とすることが好ましい。第2乾燥室61の搬送路にも、第1乾燥室56と同様に、ウエブ案内ローラ18が備えられる。これにより、湿潤フィルム52の温度が例えば100℃以上という高温であってもスリップせずに安定して搬送することができ、湿潤フィルム52に擦り傷や引きつれしわ等がつくことを防止することができる。また、ウエブ案内ローラ18により異物を湿潤フィルム52に押し付けるということがなく、湿潤フィルム52に凹凸を付けることがない。ウエブ案内ロール18を使用すると、さらに、面写りがないという効果がある。
なお、第2乾燥室61の搬送路に備えられる複数のローラのすべてがウエブ案内ローラ18であってもよいし、一部のみがウエブ案内ローラ18であってもよい。複数のローラのうち駆動ローラについてはウエブ案内ローラ18とすることがより好ましいが、フリー回転のローラもウエブ案内ローラ18にするとさらに好ましい。
乾燥したフィルム59は、冷却室62で略室温にまで冷却することが好ましい。
除電装置63は、除電バー等のいわゆる強制除電装置であり、フィルム59の帯電圧を所定の範囲にする。帯電圧が−3kV〜+3kVとなるようにフィルム59を除電することが好ましい。なお、除電装置63の位置は、冷却室62の下流側に限定されない。
ナーリング付与ローラ対66は、フィルム59の両側端部にエンボス加工でナーリングを付与する。ナーリングされた箇所の凹凸の高さが1μm〜200μmとなるようにエンボス加工をすることが好ましい。
巻き取り部67の内部には、フィルム59を巻き取るための巻取装置92と、その巻き取り時のテンションを制御するためのプレスローラ93とが備えられている。
なお、溶液製膜設備50の搬送路には、図示を略したローラがあり、これらのローラのいずれにも本発明のウエブ案内ローラを用いることができる。これにより、湿潤フィルム52及びフィルム59を従来よりも極めて安定的に搬送することができ、フィルム59の擦り傷やしわが防止されるとともに面写りが発生しない。搬送路に備えるローラには、フリーローラと駆動ローラとの両方が従来から使用されるが、本発明のウエブ搬送ローラは、従来の駆動ローラに代えて、駆動ローラとして用いると、特に上記の効果が大きい。
本発明は、巻き取られるフィルム59の幅が600mm以上であるときに特に効果があり、本実施形態では1400〜2500mm以下としている。しかし、2500mmよりも幅が大きい場合でも本発明は適用される。また、本発明は、厚みが20μm以上80μm以下のフィルムを製造する際に本発明は特に効果がある。
[実験1]
本発明のウエブ案内ローラの効果をより明らかにするために、以下の条件で実験1を実施した。まず、ウエブ案内ローラ18として、直径300mm、面長1000mmのステンレス製(メッキなし)のローラ本体18aに、軸間距離1500mmとなるように軸部18bを嵌着したものを用意した。ローラ本体18aには、ピッチPv、Pm0.5mm、高さHv−m0.04mm、曲率半径Rv0.4mm、Rm0.4mmとなるように谷部30および山部31を形成した。
ウエブ11は、厚みが80μmであり、トリアセチルセルロースからなる。ウエブ11の搬送条件は、ウエブ張力=200N/m、ラップ角=90°として、搬送速度20〜60m/minにおけるウエブ11に対するウエブ案内ローラ18の摩擦力を測定した。
[実験2]〜[実験8]
実験1のウェブ案内ローラ18に代えて、Pv、Pm、Hv−mをそれぞれ表1の各実験2〜8の「Pv」、「Pm」、「Hv−m」としたウエブ案内ローラ18を用いた。そして実験1とともに、ウエブ案内ローラ18でのスリップの有無と面写りの有無を評価した。スリップの発生が無く、擦り傷や引きつれしわの発生がなかった場合を「○」、スリップは少し発生したが、擦り傷や引きつれしわはほとんど確認されなかった場合を「△」、スリップが発生して擦り傷や引きつれしわが発生した場合を「×」と評価し、表1における「スリップ」欄にこの結果を示す。また、面写りが無かった場合を「○」、面写りが多少あったものの実用上問題ない程度であった場合を「△」、面写りが確認された場合を「×」と評価し、この結果を表1の「面写り」欄に示す。
[比較実験1]
本発明に対する比較実験として、直径300mm、面長1000mmのステンレス製(メッキなし)のローラ本体に、軸間距離1500mmとなるように軸部を嵌着したサクションローラを用意した。図6に示すように、このサクションローラ2のローラ本体には、ピッチ2mm、高さ0.5mm、幅1mmの略V字状の溝3を周方向に沿って形成した。また、幅1mm、溝3との境界面の曲率半径0.2mmの平坦面4を形成し、径3mmのサクション穴5を複数個形成した。そして、サクション穴5の中心から、幅1mm、高さ0.5mmの略V字状の横溝6を軸方向に沿って形成した。
実験1のウエブ案内ローラ18に代えてサクションローラ2を用い、その他の条件は実験1と同じとした。そして、サクションローラ2のウエブ11に対する摩擦力を測定した。
実験1における摩擦力の測定結果は、上述した搬送速度の範囲において150〜300Nであり、スリップは発生しなかった。また、谷部および山部による面写りも発生しなかった。一方、比較実験1での摩擦力の測定結果は、上述した搬送速度の範囲において約100Nであり、実験1の測定結果よりも劣っていた。このことから、本発明のウエブ案内ローラは、ウエブに対してスリップせず、擦り傷や引きつれしわが発生しないうえ、面写りも発生しない優れた特性を有するものであるといえる。また、比較実験1のサクションローラは、吸引エアを発生させる装置を据え付ける分だけコストが掛かることを勘案すると、本発明のウエブ案内ローラは、コスト面の観点からも優れているといえる。
[比較実験2]〜[比較実験5]
実験1のウェブ案内ローラ18に代えて、Pv、Pm、Hv−mをそれぞれ表1の各比較実験2〜5の「Pv」、「Pm」、「Hv−m」としたウエブ案内ローラを用いた。そして実験1〜8と同様に、ウエブ案内ローラ18でのスリップの有無と面写りの有無を評価した。評価結果については表1に示す。
Figure 0005265161
以下の配合でドープ51をつくった。
セルローストリアセテート(酢化度=60.7%) 100重量部
可塑剤a(トリフェニルフォスフェート) 8重量部
可塑剤b(フタル酸エステル) 4重量部
マット剤 0.03重量部
溶剤成分1(ジクロロメタン) 594重量部
溶剤成分2(メタノール) 66重量部
図5に示す溶液製膜設備50の第2乾燥室61における湿潤フィルム52の温度を変えた実験1〜実験4を実施した。第2乾燥室61における複数のローラのうち、最も上流側のローラを第1の駆動ローラとし、最も下流側のローラを第2の駆動ローラとした。そして、第1駆動ローラと第2駆動ローラとの間の搬送路に配される複数のローラはすべてフリーローラとした。第1駆動ローラと第2駆動ローラとは、ともに本発明のウエブ案内ローラ18である。そして、第1駆動ローラの回転速度よりも第2駆動ローラの回転速度を大きくし、第1駆動ローラと第2駆動ローラとの間における湿潤フィルム52の搬送方向における張力が表2の「張力」欄に示すように10Nとなるようにした。この張力の値は、湿潤フィルム52の幅方向1mあたりの値である。湿潤フィルム52の搬送速度は表2の「搬送速度」欄に示すように10m/分とした。なお、第2乾燥室61以外の搬送路に配した駆動ローラは、すべてウエブ案内ローラ18とした。得られたフィルム59に擦り傷や引きつれしわ、面写りが有るか否かを目視にて評価した。擦り傷や引きつれしわ、面写りが確認されなかった場合を「○」、確認された場合を「×」とした。この評価結果は、表2の「評価結果」欄に示す。
実験1〜4における第2乾燥室61のウエブ案内ローラ18をサクションローラ2に代え、比較実験1〜4を実施した。なお、第2乾燥室61以外の搬送路に配した駆動ローラは、すべてウエブ案内ローラ18とした。その他の条件と評価方法とは実験1〜4とそれぞれ同じである。
Figure 0005265161
第2乾燥室61における湿潤フィルム52の温度を100℃とし、張力を表3に示すように変化させた実験1〜3を実施した。他の条件及び評価方法は実施例2と同じである。結果は表3に示す。
実験1〜3における第2乾燥室61のウエブ案内ローラ18をサクションローラ2に代え、実験1〜3と同様に比較実験1〜3を実施した。結果は表3に示す。
Figure 0005265161
第2乾燥室61における湿潤フィルム52の温度を100℃とし、搬送速度を表4に示すように変化させた実験1〜3を実施した。他の条件及び評価方法は実施例2と同じである。結果は表4に示す。
実験1〜3における第2乾燥室61のウエブ案内ローラ18をサクションローラ2に代え、実験1〜3と同様に比較実験1〜3を実施した。結果は表4に示す。
Figure 0005265161
溶液製膜設備50の第1乾燥室56における複数のローラのうち、最も上流側のローラを第1の駆動ローラとし、最も下流側のローラを第2の駆動ローラとした。そして、第1駆動ローラと第2駆動ローラとの間の搬送路に配される複数のローラはすべてフリーローラとした。第1駆動ローラと第2駆動ローラとは、どもに本発明のウエブ案内ローラ18である。そして、第1駆動ローラの回転速度よりも第2駆動ローラの回転速度を大きくし、第1駆動ローラと第2駆動ローラとの間における湿潤フィルム52の搬送方向における張力が、湿潤フィルム52の幅方向1mあたり100Nとなるようにした。湿潤フィルム52の搬送速度は表2の「搬送速度」欄に示すように10m/分とした。なお、第1乾燥室56以外の搬送路に配した駆動ローラは、すべてウエブ案内ローラ18とした。
支持体から流延膜78が剥ぎ取られる位置を第1位置、第1乾燥室56の湿潤フィルム52の入口を第2位置、第1乾燥室56の湿潤フィルム52の出口を第3位置とする。そして、第1位置及び第2位置における湿潤フィルム52の溶媒含有率が150重量%となるように、ドープ51と流延室53の内部とバンド72と流延膜78の近傍に配される送風ダクトからの乾燥風との各温度を調節した。なお、溶媒含有率は、乾量基準の値であり、具体的には、サンプリングしたサンプルの重量をx、サンプルを完全に乾燥した後の重量をyとするとき{(x−y)/y}×100で算出される値である。
そして、第3位置における溶媒含有率と、第2位置及び第3位置における湿潤フィルム52の各温度とを、表3に示す各値として、実験1〜実験3を実施した。第1乾燥室56には、空気を吹き出す送風ダクト(図示無し)と、室内のガスを室外に出すための排気ダクト(図示無し)とを設けており、送風ダクトからの空気の湿度と温度とを調節することにより、第3位置における溶媒含有率と第3位置における湿潤フィルム52の温度とを調節した。その他の条件は、実施例2の実験3と同じである。なお、表5の「ローラ」欄における「A」は本発明のウエブ案内ローラ18であることを意味し、「溶媒含有率」欄及び「フィルムの温度」欄における「P1」は第1位置、「P2」は第2位置、「P3」は第3位置を意味する。
実験1〜実験3で得られたフィルム59に擦り傷や引きつれしわ、面写りが有るか否かを目視にて評価した。擦り傷、引きつれしわ、面写りが確認されなかった場合を「○」、確認された場合を「×」とした。この評価結果は、表5の「評価結果」欄に示す。
実験1〜実験3における第1乾燥室56のウエブ案内ローラ18を、周面が平滑ないわゆるフラットローラに代え、これを比較実験1とした。また、第1乾燥室56のウエブ案内ローラ18を、長手方向の端部から中央に向かうに従い連続して外径が小さくなるいわゆるコンケーブローラに代え、これを比較実験2とした。なお、第1乾燥室56以外の搬送路に配した駆動ローラは、すべてウエブ案内ローラ18とした。その他の条件と評価方法とは実験1〜実験3と同じである。なお、表5の「ローラ」欄における「B」はフラットローラ、「C」はコンケーブローラであることを意味する。
Figure 0005265161
実施例2の実験1〜実験4、実施例3と実施例4との実験1〜実験3では、湿潤フィルム52及びフィルム59がウエブ案内ローラ上でスリップすることはなかった。また、谷部及び山部による面写りも発生しなかった。そして、フィルム59には擦り傷や引きつれしわがなかった。これに対して実施例2〜4の各比較実験では、温度、搬送方向における張力、搬送速度がそれぞれ高くなるほど、スリップが発生しやすくなり、面写りや擦り傷、引きつれしわが発生した。また、溶液製膜においては、150%以上という高い溶媒含有率の湿潤フィルムを搬送する場合があり、本発明のウエブ案内ローラを用いると、このような湿潤フィルムをスリップすることなく安定して搬送できた。そして、これにより得られたフィルムには、擦り傷ら引きつれしわ、面写りがなかった。以上の結果より、本発明のウエブ案内ローラは、製膜設備における製造過程の湿潤フィルムや製造されたフィルムを搬送するためにも好適であることがわかる。
本発明のウエブ搬送装置の概略を示す図である。 ウエブ案内ローラの構成を示す斜視図である。 ウエブ案内ローラの表面形状を示す拡大部分断面図である。 ウエブ案内ローラの表面形状を更に拡大して示す拡大部分断面図である。 ウエブ案内ローラを備える溶液製膜設備の概略図である。 比較例としてのサクションローラの形状を示す説明図である。
符号の説明
11 ウエブ
18 ウエブ案内ローラ
20 ウエブ搬送装置
30 谷部
30a 底点
31 山部
31a 頂点
40 平坦面

Claims (4)

  1. ポリマーウエブを周面で支持しながら、前記ポリマーウエブの走行を案内するウエブ案内ローラであって、
    周方向に沿って周面に交互に形成された、断面略半円形状の谷部および山部を有し、
    前記谷部および前記山部のピッチが0.01mm以上2mm以下、
    前記谷部の底点から前記山部の頂点までの高さが0.01mm以上1mm以下であり、
    前記谷部および前記山部の曲率半径が0.1mm以上0.4mm以下であり、
    前記山部の頂点部分に、軸方向に平行な平坦面形成され、
    前記平坦面の軸方向における幅が0.05mm以上0.5mm以下であることを特徴とするウエブ案内ローラ。
  2. 厚さ20μm以上200μm以下の範囲内のポリマーウエブの走行を案内することを特徴とする請求項1記載のウエブ案内ローラ。
  3. 請求項1または2記載のウエブ案内ローラを備えることを特徴とするウエブ搬送装置。
  4. 前記ウエブ案内ローラは、モータにより回転駆動されることを特徴とする請求項4に記載のウエブ搬送装置。
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