JP4931843B2 - 流延装置、溶液製膜設備及び溶液製膜方法 - Google Patents

流延装置、溶液製膜設備及び溶液製膜方法 Download PDF

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Description

本発明は、流延装置、溶液製膜設備及び溶液製膜方法に関するものである。
ポリマーフィルム(以下、フィルムと称する)は、優れた光透過性や柔軟性および軽量薄膜化が可能であるなどの特長から光学機能性フィルムとして多岐に利用されている。中でも、セルロースアシレートなどを用いたセルロースエステル系フィルムは、強靭性や低複屈折率であることから、写真感光用フィルムをはじめとして、近年市場が拡大している液晶表示装置(LCD)の構成部材である偏光板の保護フィルムまたは光学補償フィルムなどに用いられている。
主なフィルムの製造方法としては、溶融押出方法と溶液製膜方法とがある。溶融押出方法とは、ポリマーをそのまま加熱溶解させた後、押出機で押し出してフィルムを製造する方法であり、生産性が高く、設備コストも比較的低額であるなどの特徴を有する。しかし、膜厚を高精度で調整することが難しく、また、フィルムの表面に細かいスジ(ダイライン)ができるために、光学機能性フィルムへ使用することができるような高品質のフィルムを製造することが困難である。一方、溶液製膜方法は、ポリマーと溶媒とを含んだポリマー溶液を支持体上に流延して形成した流延膜が自己支持性を有するものとなった後、これを支持体から剥がして湿潤フィルムとし、さらに、この湿潤フィルムを乾燥させてフィルムとする方法である。溶融押出方法と比べて、光学等方性や厚み均一性に優れるとともに、含有異物の少ないフィルムを得ることができるため、LCD用途などの光学機能性フィルムは、主に溶液製膜方法で製造されている。
この溶液製膜方法は、セルローストリアセテートなどのポリマーをジクロロメタンや酢酸メチルを主溶媒とする混合溶媒に溶解した高分子溶液(以下、ドープと称する)を調製する。更に、このドープに所定の添加剤を混合し、流延ドープを調製する。流延ダイを用いて、流延ドープをキャスティングドラムやエンドレスバンドなどの支持体上に吐出し、支持体に流延膜を形成する(以下、流延工程と称する)。その流延膜が支持体上で冷却され、自己支持性を有するものとなった後に、支持体から膜(以下、湿潤フィルムと称する)として剥ぎ取り、この湿潤フィルムを乾燥させたものをフィルムとして巻き取る。
近年の液晶表示装置等の需要の著しい伸びに応えるため、生産効率の高い溶液製膜方法の確立が求められている。生産効率の向上の点から、溶液製膜方法の高速化では流延工程が律速となる。しかしながら、流延工程では、支持体の走行に起因して、流延ビードに向かって流れる同伴風が支持体表面近傍に発生するため、支持体の走行速度の増大に伴い、この同伴風が流延ビードと支持体表面との間に入り込んでしまう(以下、エア巻き込みと称する)。そして、流延工程でエア巻き込みが発生すると、最終的に製造されたフィルムには厚みムラが発生する。
エア巻き込みを抑制する方法としては、流延工程において、流延ビードと支持体との間に静電印加する方法(特許文献1)がある。
特開2001−113544号公報
しかしながら、流延工程において特許文献1のような静電印加を行うと、フィルムの剥離後の支持体には電荷が残留する。そして、電荷が残留した状態の支持体と新たな流延ビードとの間に静電印加を行っても、残留した電荷に起因する帯電ムラが生じ、流延ビードと支持体との間静電引力が十分に働かなくなる結果、エア巻き込みの発生を十分に抑えることができない。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、フィルム厚みムラの発生を抑えることができる流延装置、溶液製膜設備及び溶液製膜方法を提供することを目的とする。
本発明は、エンドレスに走行する支持体に流延ダイからドープを吐出し、前記支持体上に流延膜を形成し、前記流延膜が自己支持性を有した後に前記支持体から剥ぎ取る流延装置において、前記支持体を電気的に非接地とする非接地手段と、前記流延膜が剥ぎ取られた後であって、前記ドープが吐出される前の前記支持体を放電により帯電させる帯電装置と、前記流延膜が剥ぎ取られた後であって、前記帯電装置によって帯電される前の前記支持体を除電する除電装置と、を備えることを特徴とする。
前記除電装置が、電気的に接地となるように設けられる除電ブラシであることが好ましい。また、前記除電装置が、前記支持体にイオンを含む空気を当てるイオン風吹き付け装置であることが好ましい。
本発明の溶液製膜設備は、上記の流延装置と、前記流延膜を前記支持体から剥ぎ取る剥ぎ取り装置と、剥ぎ取られた前記流延膜を乾燥し、フィルムとする乾燥装置と、を備えることを特徴とする。
本発明の溶液製膜方法は、上記の流延装置を用いて前記流延膜を前記支持体に形成し、前記流延膜を剥ぎ取って乾燥し、フィルムとすることを特徴とする。
本発明の流延装置によれば、流延膜が剥ぎ取られた支持体を除電し、帯電させた後に新たなドープを吐出するため、支持体を均一に帯電させ、静電引力によって流延ビードと支持体とを密着させることが可能となり、結果として、エア巻き込みの発生を抑えることができる。したがって、本発明の溶液製膜設備及び溶液製膜方法によれば、厚みムラの発生を抑えつつ、フィルムを製造することができる。
以下に、本発明の実施態様について詳細に説明する。ただし、本発明はここに挙げる実施態様に限定されるものではない。
図1に示すように、フィルム製造ライン10は、ストックタンク11と流延室12とピンテンタ13とクリップテンタ14と乾燥室15と冷却室16と巻取室17とを有する。
ストックタンク11には、モータ11aで回転する攪拌翼11bとジャケット11cとが備えられており、その内部にはフィルム20の原料となる流延ドープ(以下、ドープと称する)21が貯留されている。ストックタンク11は、ジャケット11cの内部に伝熱媒体を流すことによりドープ21の温度を25〜35℃に調整するとともに、モータ11aにより攪拌翼11bを回転させている。これにより、ポリマーなどの凝集を抑制しながら、ドープ21を均質に保持している。
ストックタンク11の下流には、ポンプ25と濾過装置26とが備えられている。適宜適量のドープ21を、ポンプ25によりストックタンク11から濾過装置26に送り込み濾過することにより、ドープ21中の不純物を取り除く。
流延室12には、流延装置として、ドープ21の流出手段である流延ダイ30と、エンドレス支持体である流延ドラム32と、流延ドラム32から流延膜33を剥ぎ取る剥ぎ取りローラ34と、流延室12の内部温度を調整する温調設備35と、減圧手段である減圧チャンバ36とが備えられている。
図2に示すように、流延ダイ30の先端には、ドープ21を流出する流出口30aが設けられている。流出口30aは、その下方に配置される流延ドラム32にドープ21を流延する。流延ダイ30の材質は、電解質水溶液、メチレンクロライドやメタノールなどの混合液に対する高い耐腐食性及び低い熱膨張率などを有する素材から形成される。また、流延ダイ30の接液面の仕上げ精度は表面粗さで1μm以下、真直度はいずれの方向にも1μm/m以下のものを用いることが好ましい。このような流延ダイ30を用いることにより、スジ及びムラのない流延膜33を流延ドラム32上に形成することができる。
図1及び図2に示すように、流延ドラム32は、略円筒状に形成されるドラム本体32aと、軸32bとを有する。ドラム本体32aは、図示しない駆動装置により軸32bを中心に回転する。この駆動装置によって、ドラム本体32aの周面32cが所定の走行方向(以下、X方向と称する)に所定の走行速度(10〜300m/分)で走行するように回転する。周面32cは、クロムメッキ処理が施され、十分な耐腐食性と強度を有する。また、伝熱媒体循環装置37が、流延ドラム32に取り付けられている。この伝熱媒体循環装置37にて所望の温度に保持されている伝熱媒体が、流延ドラム32内の伝熱媒体流路を通過することにより、流延ドラム32の周面32cの温度を所望の範囲(−20℃〜0℃)に保持することができる。
流延工程では、流出口30aから流延ドラム32の周面32cに向けてドープ21が流出する。そして、このドープ21により流出口30aから周面32cにかけて流延ビード40が形成される。走行する周面32c上では、ドープ21が流れ延ばされ、流延膜33が形成される。この流延膜33は、流延ドラム32の回転によってX方向に所定の速度で搬送される。こうして、走行する周面32cにドープ21を連続して流出することにより、周面32c上に長尺状の流延膜33が形成される。
減圧チャンバ36は、流延ダイ30に対しX方向上流側に配され、流延ビード40の背面側を負圧にして減圧する。流延ビード40の背面側を減圧することにより、周面32cと流延ビード40との間の密着性が向上するため、流延膜33と周面32cとの間にエアが混入することを防ぐことができる。ここで、背面側とは、X方向の上流側に位置する流延ビード40の片面側である。図示しない制御部の制御部の下、減圧チャンバ36は流延ビード40の背面側を−1500Pa〜−10Paの範囲で減圧することができる。図1に示すように、流延ドラム32上での冷却により自己支持性を備えた流延膜33は、剥ぎ取りローラ34によって、流延ドラム32から剥ぎ取られ、湿潤フィルム47となる。なお、減圧チャンバ36は省略しても良い。
図1に示すように、流延室12の内部温度は、温調設備35により所定の範囲内で略一定となるように調整される。流延室12の内部温度は、10℃以上30℃以下であることが好ましい。流延室12内には、気化している溶媒を凝縮回収するための凝縮器(コンデンサ)48と凝縮液化した溶媒を回収する回収装置49とが備えられている。凝縮器48で凝縮液化した有機溶媒は、回収装置49により回収される。その溶媒は再生装置で再生された後に、ドープ調製用溶媒として再利用される。この回収装置49により、流延室12における溶媒の凝縮点を−20℃以上25℃以下に保持する。流延室12における凝縮点が−20℃未満の場合は、溶媒が蒸発しやすくなるためにプレートアウトが起こりやすくなるため好ましくなく、また、凝縮点が25℃を超える場合には、フィルムの面状故障の原因となる溶媒の凝縮が周面32c上で起こりやすくなるため好ましくない。ここで、凝縮点とは、雰囲気に含まれる溶媒の凝縮が開始する温度である。
流延室12の下流には、湿潤フィルム47を乾燥させてフィルム20とするピンテンタ13と、このフィルム20を乾燥させながら延伸するクリップテンタ14とが設けられている。ピンテンタ13では、多数のピンを湿潤フィルム47の両側端部に差し込み固定した後、この湿潤フィルム47を搬送する間に乾燥を促進させてフィルム20とする。そして、まだ溶媒を含んでいる状態のフィルム20をクリップテンタ14に送り込む。
クリップテンタ14では、チェーンの動きにより無端で走行する多数のクリップによりフィルム20の両側端部を挟持した後、このフィルム20を搬送する間に、乾燥を促進させる。このとき、対面するクリップの幅を拡げてフィルム20の幅方向に張力を付与することでフィルム20を延伸する。このように、フィルム20の幅方向への延伸処理により、フィルム20中の分子が配向し、レターデーション等所望の光学特性をフィルム20に付与することができる。なお、クリップテンタ14は省略しても良い。
クリップテンタ14から送り出されたフィルム20は、耳切装置51により両側端部が切断される。この耳切装置51には、クラッシャ52が備えられており、ここで、フィルム20の両側端部は切断された後、クラッシャ52に送り込まれて粉砕される。粉砕されたフィルム細片は、原料ドープとして再利用される。
耳切装置51で両側端部が切断されたフィルム20は、乾燥室15に送られる。乾燥室15には、多数のローラ53と吸着回収装置54とが備えられている。フィルム20はローラ53により乾燥室15内を搬送される。乾燥室15で乾燥されたフィルム20は、冷却室16に送られて30℃以下に冷却された後、巻取室17に送られる。また、冷却室16の下流には、強制除電装置(除電バー)55が設けられている。さらに、本実施形態では、強制除電装置55の下流側に、ナーリング付与ローラ56を設けている。
巻取室17の内部には、巻芯57aを回転させてフィルム20を巻芯57aに巻き取る巻取機57、プレスローラ58が設けられている。巻取室17に送られたフィルム20は、プレスローラ58で押圧されながら、巻芯57aに巻き取られる。
次に、流延室12の詳細について説明する。流延室12は、仕切板61、62により、流延部63、剥ぎ取り部64に分けられる。仕切板61はX方向において剥ぎ取りローラ34と減圧チャンバ36との間に設けられ、仕切板62はX方向において流延ダイ30と剥ぎ取りローラ34との間に設けられる。仕切板61、62は、流延室12の内壁面から流延ドラム32に向かって伸び、先端が周面32cと近接するように形成される。また、仕切板61、62の周面32c側の先端部には、ラビリンス溝が設けられる。仕切板61、62により、流延部63は気密構造を有する。
流延室12には、電気的な絶縁体からなる絶縁支持部67が設けられる。流延ドラム32は、ドラム本体32aが回転自在となるように絶縁支持部67に取り付けられる。これにより、ドラム本体32aの周面32cは電気的に非接地となる。
図1及び図2に示すように、流延室12には、電極棒70と酸素濃度計71と窒素供給部72と除電ブラシ73とコントローラ74とが設けられている。酸素濃度計71は、コントローラ74の制御の下、流延部63における酸素濃度を測定する。そして、コントローラ74の制御の下、窒素供給部72は、酸素濃度計71により測定された酸素濃度に応じて、流延部63へ窒素を供給する。これにより、流延部63の酸素濃度を所定の範囲に維持することが可能となるため、電極棒70や周面32cからの放電による火災や爆発を抑えることができる。
電極棒70は、流延部63の減圧チャンバ36のX方向上流側に、周面32cと近接するように配されている。図2及び図3に示すように、電極棒70は、流延膜33の幅方向(以下、Y方向と称する)に伸びるように形成される。電極棒70をチャンバで覆い、流延部63内を区画することが好ましい。これにより、流延部63の内部に浮遊する溶媒ガスが電極棒70に付着し、帯電効率が低下することを防止する。なお、このチャンバの下端部と周面32cとの間の、下端部にはラビリンスシールを設けることが好ましい。
除電ブラシ73は、Y方向に伸びるように形成され、流延部63の電極棒70のX方向上流側に設けられる。除電ブラシ73は、電気的に接地されているステンレス製のブラシ毛73aを有し、ブラシ毛73aが周面32cと接するように配される。なお、除電ブラシ73を剥ぎ取り部64の剥ぎ取りローラ34のX方向下流側に設けても良い。
次に、上記のように構成されたフィルム製造ライン10の作用について説明する。図1に示すように、伝熱媒体循環装置37は、ドラム本体32aの周面32cの温度を所定の範囲で略一定にする。図1及び図2に示すように、コントローラ74は電極棒70への電圧印加を行わずに、窒素供給部72を介して、流延部63における酸素濃度が所定の範囲内となるように窒素を流延部63に供給する。これにより、コントローラ74は流延部63における酸素濃度を所定の範囲内(10重量%未満)に維持する。流延部63の酸素濃度が所定の範囲に含まれるものとなった場合には、コントローラ74は図示しない電源を介して、電極棒70への電圧印加を開始する。電極棒70への電圧印加により、電極棒70と周面32cとの間で放電が起こる。ドラム本体32aは電気的に非接地に設けられるため、この放電により周面32cが帯電する。
ドラム本体32aが軸32bを中心に回転し、周面32cがX方向に走行する。流出口30aから周面32cに向けて吐出されたドープ21は、流出口30aから周面32cにかけて流延ビード40を形成する。帯電した周面32cによって、流延ビード40を形成するドープ21では静電誘導または誘電分極が起こるため、流延ビード40の背面側と周面32cとが密着する。そして、周面32cには流延膜33が形成され、流延膜33は冷却ゲル化により、自己支持性を有するものとなる。流延膜33は周面32cの走行によって方向Xへ搬送され、剥ぎ取りローラ34によって周面32cから剥ぎ取られ、湿潤フィルム47として、テンタ13(図1参照)へ送られる。
流延膜33が剥ぎ取られた後の周面32cには、電荷が残留してしまう。そして、電荷が残留する周面32cに放電を行うと、周面32cが均一に帯電しない帯電ムラが生じてしまう。
本発明では、流延膜33が剥ぎ取られた後の周面32cに除電ブラシ73を接触させるため、周面32cへの放電を行う前に、周面32cに残留する電荷を除去することができる。そして、除電後の周面32cに再び放電を行い、帯電した周面32cに新たなドープ21を吐出するため、周面32cにおける帯電ムラの発生を抑えつつ、静電引力により流延ビード40と周面32cとをより確実に、そして均一に密着させることができる。したがって、本発明によれば、エア巻き込みの発生を抑えることが可能となるため、厚みムラの発生を抑えつつフィルムを製造することができる。
エアの巻き込みを効果的に抑制するために、流延ドラム32の周面32cの電位Vは0.1kV≦|V|≦3kVとすることが好ましい。この電位Vは電極棒70からの放電量を調整することで容易に制御可能である。Vが0.1kV未満の場合には、流延ビード40と流延ドラム32との間に微弱な力しか作用させることができないので、エアの巻き込みを抑制することが困難な場合がある。一方で、Vが3kVを超えると、流延ドラム32の帯電量が大きすぎてビードが揺れるようになることがあり、また、帯電量が流延ドラム32の幅方向で不均一になる場合もある。また、Vが3kVを超えると、周面32cに絶縁破壊が生じる場合がある。
なお、上記実施形態では、X方向において流延ダイ30と仕切版62との間に同様の仕切版75を設けても良い。このように、流延ダイ30及び減圧チャンバ36のX方向上流側及び下流側を仕切版62,75によって区切ることにより、周面32cの走行等に伴い発生する同伴風によって流延ビード40が振動することを抑えることができる。
上記実施形態では、除電ブラシ73を用いて周面32cを除電したが、本発明はこれに代えて、図4に示すようなイオン風吹き付け装置76を用いても良い。イオン風吹き付け装置76は、ダクトと、ダクト内部に設けられた電極と、ダクトの出口である吹き出し口77とを備える。電極は図示しない制御部により放電を行い、この放電によりダクト内部を通過した風からイオン風を生成する。吹き出し口77は、Y方向に並び、周面32cに対向するように設けられる。このイオン風吹き付け装置76を用いることにより、流延膜33の剥ぎ取り後であって、電極棒70による帯電を行う前の周面32cに、イオン風を周面32cにあてて、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。イオン風の極性は、周面32cに帯電する極性と反対の極性とすればよい。また、電極棒70に代えて、イオン吹き付け装置を用いて、周面32cを帯電してもよい。
また、図5に示すように、ドラム本体32aの周面32c上に電気絶縁層80を設けることが好ましい。電気絶縁層80を介して周面32cに放電を行うことにより、電気絶縁層80の表面に沿った樹枝状の放電路を形成し、周面32cを容易に帯電させることができる。更に、金属製の支持層81をドラム本体32aと電気的に絶縁となるように電気絶縁層80上に設け、支持層81にドープ21を流延して流延膜33を形成しても良い。この場合には、絶縁支持部67を省略しても良い。支持層81の形成材料は、ドラム本体32aや周面32cと同等のものであることが好ましい。
電気絶縁層80は、絶縁性物質を溶融蒸着する等により形成してもよい。絶縁性物質は、特に限定されるものではないが、例えば、セラミックス、PTFE、プラスチック等が挙げられる。前記セラミックスは、アルミナ、ジルコニア、酸化クロム、チタニア、または、これらのうちの少なくともいずれか2つが含まれる混合物を含む。形成方法や膜厚等も特に限定されるものではないが、流延ドラム32の周面32c全域で均一な膜厚を持つように形成されることが好ましい。なお、本実施形態の電気絶縁層80は、アルミナを主体とするセラミックスを溶融接着させて皮膜とされたものである。支持層81も、電気絶縁層80と同様の方法を用いて形成しても良い。
電気絶縁層80は、単層構造ではなく、複層構造であることが好ましい。例えば、第1層80aと、第1層80aの内側に重なり第1層80aよりも厚い第2層80bとを有する複層構造とすることがより好ましい。第1層80aは、流延膜33の第1層80aと接する表面をできるだけ平滑にするために、露出する面(以下、露出面と称する)が平滑であることが好ましい。流延膜33の表面が粗いと、得られるフィルム20(図1参照)の表面も粗くなることが多いからである。セラミックスからなる第1層80aの表面を平滑に形成するためには、粒径が小さい粒子のセラミックスを原料として用いることが好ましい。第1層80aの材料として、セラミックスに代えてPTFEを用いる場合も同様である。
第1層80aに用いるセラミックスやPTFEの粒径を小さくする場合ほど、第1層80aは割れやすいものとなる、あるいは、ひびが入って形成される傾向がある。この傾向は、第1層80aを厚くなるほど大きくなる。そこで、第2層80bを第1層80aの内側に設ける。そして、この第2層80bを、第1層80aの材料よりも大きな粒径のセラミックスやPTFEで形成する。これにより、電気絶縁層80は、ひびがはいらずに平滑に形成され、長期の使用でも割れが生じにくくなる。そして、電気絶縁層80を、以上のような材料からなる第1層80aと第2層80bとの複層構造とすることにより、表面が平滑で、かつ、電気絶縁性が大きなものとすることができる。なお、第2層80bは、複数重ねて設けてもよい。
なお、電極棒70は、X方向に複数並べてもよい。これにより、流延ドラム32の周面32cを均一に帯電させることができる。
なお、流延ドラム32を帯電させる方法としては、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、摩擦部材を使用する方法が挙げられる。この場合、摩擦部材を流延ドラム32に接触させ静電気を起こすことで流延ドラム32を帯電することができる。摩擦部材としては、例えば、表面に布を巻きつけた金属棒や、ベルト、ゴム製品等が挙げられ特に限定されるものではないが、流延ドラム32の表面に出来る限りキズを付けることがないよう部材を選択すると共に、接触させる際の圧力を適宜調整することが好ましい。
なお、窒素供給部72は、窒素ガスの他、窒素ガスや炭酸ガスや不活性ガスを流延部63に供給してもよいし、これらを混合した混合ガス等を流延部63に供給してもよい。
本発明によると、搬送方向に少なくとも100m以上であり、幅方向が1400〜2500mmであるフィルム20を製造することが可能である。ただし、本発明は、2500mmより大きい場合にも効果を発揮する。完成したフィルム20の膜厚は特に限定されるものではないが、20〜500μmであることが好ましい。より好ましくは30〜300μmであり、特に好ましくは35〜200μmであるが、フィルム20の膜厚が15〜100μmのように薄い場合でも、本発明の効果を得ることができる。
流延ダイ30の吐出口の端に溶媒供給装置(図示しない)を取り付けて、所望の溶媒を流延ビード40のY方向の両端部に供給することが好ましい。溶媒は、ドープを溶解することができる溶媒が好ましく用いられ、例えば、ジクロロメタンを86.5重量部と、メタノールを13重量部と、n−ブタノールを0.5重量部とを混合した混合物が挙げられる。これにより、ドープが局所的に乾燥して固化することがないので、安定してビードを形成することができる。加えて、固化したドープが異物としてビードや流延膜33に混入するおそれが低減されるので、欠陥がなく、透明度の高いフィルム20を得ることができる。また、上記のような混合物を供給する際には、脈動率が5%以下のポンプを用いて、その供給量が吐出口の端部の片側ごとに0.1〜1.0mL/分の範囲となるように供給することが好ましい。
さらに、ドープを流延する際に、2種類以上のドープを同時に共流延させて積層させる同時積層共流延、または、複数のドープを逐次に共流延して積層させる逐次積層共流延を行うことができる。なお、両共流延を組み合わせてもよい。同時積層共流延を行う場合には、フィードブロックを取り付けた流延ダイを用いてもよいし、マルチマニホールド型の流延ダイを用いてもよい。ただし、共流延により多層からなるフィルムは、空気面側の層の厚さと支持体側の層の厚さとの少なくともいずれか一方が、フィルム全体の厚みの0.5〜30%であることが好ましい。また、同時積層共流延を行う場合には、ダイスリットから支持体にドープを流延する際に、高粘度ドープが低粘度ドープにより包み込まれることが好ましく、ダイスリットから支持体にかけて形成される流延ビードのうち、外界と接するドープが内部のドープよりもアルコールの組成比が大きいことが好ましい。
また、本発明は、流延ドラム32の替わりに、回転ローラに掛け渡されて移動する流延バンドを用いる流延装置にも適用可能である。
次に、本発明に係るポリマーや溶媒について説明する。
ポリマーとしてセルロースエステルを用いると、透明度の高いフィルムを得ることができるので好ましい。セルロースエステルとしては、例えば、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアシレートブチレート等のセルロースの低級脂肪酸エステルが挙げられる。中でも、透明度の高さから、セルロースアシレートを用いることが好ましく、特に、トリアセチルセルロース(TAC)を用いることが好ましい。なお、本実施形態で用いるドープは、ポリマーとしてトリアセチルセルロース(TAC)を含むものとする。このようにTACを用いる場合には、TACの90重量%以上が0.1〜4mmの粒子であることが好ましい。なお、ドープのポリマー成分は、セルロースエステルに限定されず、溶媒に溶かしてドープをつくることができる公知のものであればよい。
上記のセルロースアシレートとしては、より透明度の高いフィルムを得るためにも、セルロースの水酸基へのアシル基の置換度が下記式(a)〜(c)の全てを満足するものが好ましい。下記式中のA、Bは、セルロースの水酸基中の水素原子に対するアシル基の置換度を表わしており、具体的には、Aはアセチル基の置換度であり、Bは炭素数が3〜22のアシル基の置換度である。
(a) 2.5≦A+B≦3.0
(b) 0≦A≦3.0
(c) 0≦B≦2.9
セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位及び6位に遊離の水酸基を有している。セルロースアシレートは、これらの水酸基の一部又は全部を炭素数が2以上のアシル基によりエステル化した重合体(ポリマー)である。アシル置換度は、2位、3位及び6位それぞれについて、セルロースの水酸基がエステル化している割合を意味する。なお、100%のエステル化の場合を置換度1とする。
全アシル化置換度、すなわち、DS2+DS3+DS6の値は、2.00〜3.00が好ましく、より好ましくは2.22〜2.90であり、特に好ましくは2.40〜2.88である。また、DS6/(DS2+DS3+DS6)の値は、0.28以上が好ましく、より好ましくは0.30以上であり、特に好ましくは0.31〜0.34である。ここで、DS2は、グルコース単位における2位の水酸基の水素がアシル基によって置換されている割合であり、DS3は、グルコース単位における3位の水酸基の水素がアシル基によって置換されている割合であり、DS6は、グルコース単位において、6位の水酸基の水素がアシル基によって置換されている割合である。
セルロースアシレートに用いられるアシル基は1種類だけでも良いし、2種類以上のアシル基が用いられていても良い。なお、2種類以上のアシル基を用いるときには、その1つがアセチル基であることが好ましい。2位、3位及び6位の水酸基がアセチル基により置換されている度合いの総和をDSAとし、2位、3位及び6位の水酸基がアセチル基以外のアシル基によって置換されている度合いの総和をDSBとすると、DSA+DSBの値は、2.22〜2.90であることが好ましく、特に好ましくは2.40〜2.88である。
また、DSBは0.30以上であることが好ましく、特に好ましくは0.7以上である。更に、DSBは、その20%以上が6位水酸基の置換基であることが好ましく、より好ましくは25%以上であり、30%以上がさらに好ましく、33%以上であることが特に好ましい。更に、セルロースアシレートの6位におけるDSA+DSBの値が0.75以上であり、さらに好ましくは、0.80以上であり、特には0.85以上であるセルロースアシレートも好ましい。このようなセルロースアシレートを用いると、非常に溶解性に優れたドープを調製することができる。なお、上記のようなセルロースアシレートを用いる場合には、非塩素系溶媒を用いると、非常に優れた溶解性を有し、低粘度であり、かつ濾過性に優れるドープを調製することができる。
セルロースアシレートの原料であるセルロースは、リンター綿、パルプ綿のどちらから得られたものでも良いが、リンター綿から得られたものが好ましい。
セルロースアシレートの炭素数が2以上のアシル基としては、脂肪族基でもアリール基でも良く、特に限定はされない。例えば、セルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステル、芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステル等が挙げられる。更に、それぞれが置換された基を有していても良い。これらの好ましい例としては、プロピオニル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、iso−ブタノイル基、t−ブタノイル基、シクロヘキサンカルボニル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基等が挙げられる。中でも、プロピオニル基、ブタノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、t−ブタノイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基等がより好ましく、特に好ましくは、プロピオニル基、ブタノイル基である。
なお、本発明で用いることができるセルロースアシレートの詳細については、特開2005−104148号公報の[0140]段落から[0195]段落に記載されており、これらの記載も本発明に適用することができる。
溶媒は、用いられるポリマーを溶解することができる有機化合物を用いることが好ましい。ただし、本発明においてドープとは、ポリマーを溶媒に溶解又は分散させることで得られる混合物を意味するため、ポリマーとの溶解性が低いような溶媒も用いることができる。好適に用いることができる溶媒としては、例えば、ベンゼンやトルエン等の芳香族炭化水素、ジクロロメタンやクロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、メタノールやエタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ジエチレングリコール等のアルコール、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン、酢酸メチルや酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル、テトラヒドロフランやメチルセロソルブ等のエーテル等が挙げられる。これらの溶媒の中から2種類以上の溶媒を選択し、混合した混合溶媒を用いても良い。中でもジクロロメタンを用いると、溶解度に優れるドープを得ることが出来ると共に、短時間のうちに流延膜中の溶媒を揮発させてフィルムとすることができるので好ましい。
上記のハロゲン化炭化水素としては、炭素原子数1〜7のものが好ましく用いられる。更に、ポリマーとの相溶性や、支持体から剥ぎ取る流延膜の剥ぎ取る易さの指標である剥ぎ取り性、フィルムの機械強度、光学特性等の観点から、ジクロロメタンに炭素数が1〜5のアルコールを1種ないしは、数種類混合させたものを用いることが好ましい。アルコールの含有量は、溶媒全体に対して2〜25重量%が好ましく、5〜20重量%がより好ましい。アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール等が挙げられ、中でも、メタノール、エタノール、n−ブタノール、或いはこれらの混合物を用いることが好ましい。
最近、環境に対する影響を最小限に抑えるため、ジクロロメタンを用いない溶媒組成も提案されている。この目的に対しては、炭素数が4〜12のエーテル、炭素数が3〜12のケトン、炭素数が3〜12のエステルが好ましく、これらを適宜混合して用いることが好ましい。これらの化合物は環状構造を有していても良いし、エーテル、ケトン及びエステルの官能基、すなわち、−O−、−CO−、及び−COO−のいずれかを2つ以上有する化合物も溶媒として用いることができる。その他にも、溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していても良い。なお、2種類以上の官能基を有する場合には、その炭素数がいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であれば良く、特に限定はされない。
ドープには、目的に応じて可塑剤、紫外線吸収剤(UV剤)、劣化防止剤、滑り剤、剥離促進剤等の公知である各種添加剤を添加させても良い。例えば、可塑剤としては、トリフェニルフィスフェート、ビフェニルジフェニルフォスフェート等のリン酸エステル系可塑剤や、ジエチルフタレート等のフタル酸エステル系可塑剤、及びポリエステルポリウレタンエラストマー等の公知の各種可塑剤を用いることができる。
また、ドープには、フィルム同士の接着を防止したり、屈折率を調整したりする目的で微粒子を添加させることが好ましい。この微粒子としては、二酸化ケイ素誘導体を用いることが好ましい。本発明における二酸化ケイ素誘導体とは、二酸化ケイ素や、三次元の網状構造を有するシリコーン樹脂も含まれる。このような二酸化ケイ素誘導体は、その表面がアルキル化処理されたものを用いることが好ましい。アルキル化処理のような疎水化処理が施されている微粒子は、溶媒に対する分散性に優れるため、微粒子同士が凝集することなくドープを調製し、更には、フィルムを製造することができるので、面状欠陥が少なく、透明度の高いフィルムを製造することが可能となる。
上記の様に、表面にアルキル化処理された微粒子としては、例えば、表面にオクチル基が導入された二酸化ケイ素誘導体として市販されているアエロジルR805(日本アエロジル(株)製)等を用いることができる。なお、微粒子を添加させる効果を確保しつつ、透明度の高いフィルムを得るためにも、ドープの固形分に対する微粒子の含有量は0.2%以下となるようにすることが好ましい。更に、微粒子が光の通過を阻害させないように、その平均粒径は1.0μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.3〜1.0μmであり、特に好ましくは、0.4〜0.8μmである。
先に説明した通り、本発明では、透明度の高いポリマーフィルムを得るためにもポリマーとしてTACを利用してドープを調製することが好ましい。この場合、溶媒や添加剤等を混合した後のドープの全量に対して、TACを含有する割合が5〜40重量%であることが好ましい。より好ましくは、TACを含有する割合が15〜30重量%であり、特に好ましくは17〜25重量%である。また、添加剤(主に可塑剤)を含有させる割合は、ドープ中に含まれるポリマーやその他添加剤等を含めた固形分全体に対して、1〜20重量%とすることが好ましい。
なお、溶媒、可塑剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤、滑り剤、剥離促進剤、光学異方性コントロール剤、レタデーション制御剤、染料、剥離剤等の各種添加剤及び微粒子については、特開2005−104148号公報の[0196]段落から[0516]段落に詳細に記載されており、これらの記載も本発明に適用することができる。また、TACを利用したドープの製造方法であり、例えば、素材、原料、添加剤の溶解方法及び添加方法、濾過方法、脱泡等についても同様に、特開2005−104148号公報の[0517]段落から[0616]段落に詳細に記載されており、これらの記載も本発明に適用することができる。
[実験1]
図1に示すフィルム製造設備10を用いてフィルム20を製造した。温調設備35を用いて流延室12内の温度を常時35℃とした。また、流延室12内に窒素ガスを供給して、酸素濃度が常時10重量%未満となるように調整した。伝熱媒体供給装置37は、流延ドラム32の周面32cの温度を略−10℃に保持した。なお、流延ダイ30は、幅が1.8mのスリットからなる吐出口と内部温度を調整するためのジャケット(図示しない)とを有する形態を用いて、吐出するドープ21の温度を略36℃とした。ドープの流路となる配管等は温度調整機能を有する形態を用いて、その内部温度を全て略36℃に保持した。ドラム本体32aを回転し、周面32cを走行させた。図2に示すように、ドープ21を周面32cに吐出する前に、除電ブラシ73を用いて周面32cを除電し、その後電極棒70に直流高電圧を与えて放電し、流延ドラム32を帯電させた。流延ドラム32の周面32cの電位Vは1.0kVであった。
適量のドープ21を流延ダイ30へ送った後、図2に示すように連続して回転させた流延ドラム32の上に、流延ダイ30の吐出口からドープ21を吐出し、周面32cに流延膜33を形成した。このとき、減圧チャンバ36の圧力を−600Paとしてビード後方を減圧し、また、ドープ21の吐出量は、乾燥後のフィルム20の厚みが80μmとなるように調整した。
冷却ゲル化により自己支持性を有することとなった流延膜33を剥ぎ取りローラ34で支持しながら流延ドラム32から剥ぎ取って湿潤フィルム47とした。次に、湿潤フィルム47をテンタ13に送り乾燥しフィルム20とした。
[実験2]
除電ブラシ73に代えて、イオン風吹き付け装置76を用いて周面32cを除電したこと以外は、実験1と同様にしてフィルム20を製造した。
[実験3]
除電ブラシ73や、イオン風吹き付け装置76を用いなかったこと以外は、実験1と同様にしてフィルムを製造した。
(厚みムラの評価)
得られたフィルムについて厚みムラの評価を行ったところ、実験1、2における評価結果は「○」であり、実験3における評価結果は「×」であった。
フィルムの厚みムラ評価は、フィルムの厚みの相対標準偏差RSDを指標とし、以下基準に基づいて行った。
相対標準偏差RSDが5%未満・・厚みの均一性に優れている。(○)
相対標準偏差RSDが5%以上10%未満・・若干の厚みムラが生じているものの、光学フィルムとしての使用には問題がない程度であった。(△)
相対標準偏差RSDが10%以上・・厚みムラが生じている。(×)
フィルムの厚みの測定方法は、フィルムを25℃,60RH%下でアンリツ電気社製、電子マイクロメーターを用いて、5箇所を測定した。測定値の平均値と偏差とから相対標準偏差RSD(=偏差/平均値×100%)を算出した。
フィルム製造ラインの概要を示す説明図である。 流延部の概要を示す側面図である。 流延ドラム、電極棒及び除電ブラシの概要を示す斜視図である。 イオン風吹き付け装置の概要を示す側面図である。 ドラム本体の軸を含む断面におけるドラム本体及び電気絶縁膜の断面図である。
符号の説明
10 フィルム製造ライン
12 流延室
30 流延ダイ
32 流延ドラム
32a ドラム本体
32b 軸
32c 周面
32 剥ぎ取りローラ
33 流延膜
40 流延ビード
63 流延部
64 剥ぎ取り部
67 絶縁支持部
70 電極棒
73 除電ブラシ
73a ブラシ毛
76 イオン風吹き付け装置
80 電気絶縁膜
81 支持層

Claims (5)

  1. エンドレスに走行する支持体に流延ダイからドープを吐出し、前記支持体上に流延膜を形成し、前記流延膜が自己支持性を有した後に前記支持体から剥ぎ取る流延装置において、
    前記支持体を電気的に非接地とする非接地手段と、
    前記流延膜が剥ぎ取られた後であって、前記ドープが吐出される前の前記支持体を放電により帯電させる帯電装置と、
    前記流延膜が剥ぎ取られた後であって、前記帯電装置によって帯電される前の前記支持体を除電する除電装置と、
    を備えることを特徴とする流延装置。
  2. 前記除電装置が、電気的に接地となるように設けられる除電ブラシであることを特徴とする請求項1記載の流延装置。
  3. 前記除電装置が、前記支持体にイオンを含む空気を当てるイオン風吹き付け装置であることを特徴とする請求項1記載の流延装置。
  4. 請求項1ないし3のうちいずれか1項記載の流延装置と、
    前記流延膜を前記支持体から剥ぎ取る剥ぎ取り装置と、
    剥ぎ取られた前記流延膜を乾燥し、フィルムとする乾燥装置と、
    を備えることを特徴とする溶液製膜設備。
  5. 請求項1ないし3のうちいずれか1項記載の流延装置を用いて前記流延膜を前記支持体に形成し、前記流延膜を剥ぎ取って乾燥し、フィルムとすることを特徴とする溶液製膜方法。
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