JP5997793B2 - 中塗り塗料組成物、複層塗膜及びこの複層塗膜の形成方法 - Google Patents
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Description
(1)昇温速度2℃/分、周波数8Hzの条件での動的粘弾性測定から求められる−20℃における損失正接tanδが0.01以上0.5以下
(2)動的ガラス転移温度(動的Tg)が−15℃以上55℃以下
(3)−20℃における伸び率が1%以上250%以下
(4)−20℃におけるヤング率が400kgf/cm2以上50,000kgf/cm2以下
本発明の中塗り塗料組成物は、車両外板を構成する電着塗膜表面に直接積層される中塗り層の形成に用いられる。
(1)昇温速度2℃/分、周波数8Hzの条件での動的粘弾性測定から求められる−20℃における損失正接tanδが0.01以上0.5以下
(2)動的ガラス転移温度(動的Tg)が−15℃以上55℃以下
(3)−20℃における伸び率が1%以上250%以下
(4)−20℃におけるヤング率が400kgf/cm2以上50,000kgf/cm2以下
(5)−20℃における抗張力が200kgf/cm2以上1,200kgf/cm2以下
塗膜の損失正接tanδがこのような範囲であることで、チッピング時に複層塗膜が被塗材に形成されためっき層ごと剥離することを抑制できる。そのため、チッピングによる鋼板等の素地の露出を抑制でき、素地の発錆を抑制できる。このような効果をより好適に得るためには、塗膜の−20℃における損失正接tanδの下限としては、0.02が好ましく、0.025がより好ましい。一方、この損失正接tanδの上限としては、0.45が好ましく、0.4がより好ましい。
塗膜の動的ガラス転移温度(動的Tg)がこのような範囲であることで、チッピング時に複層塗膜が被塗材に形成されためっき層ごと剥離することを抑制できる。そのため、チッピングによる鋼板等の素地の露出を抑制でき、素地の発錆を抑制できる。このような効果をより好適に得るためには、塗膜の動的ガラス転移温度(動的Tg)の上限としては、45℃が好ましく、30℃がより好ましい。
塗膜の伸び率がこのような範囲であることで、チッピング時に複層塗膜が被塗材に形成されためっき層ごと剥離することを抑制できる。そのため、チッピングによる鋼板等の素地の露出を抑制でき素地の発錆を抑制できる。このような効果をより好適に得るためには、塗膜の−20℃における伸び率の下限としては、4%が好ましく、6%がより好ましい。この伸び率の上限としては、230%が好ましく、210%がより好ましい。
塗膜のヤング率がこのような範囲であることで、チッピング時に複層塗膜が被塗材に形成されためっき層ごと剥離することを抑制できる。そのため、チッピングによる鋼板等の素地の露出を抑制でき、素地の発錆を抑制できる。このような効果をより好適に得るためには、塗膜の−20℃におけるヤング率の下限としては、500kgf/cm2が好ましく、650kgf/cm2がより好ましい。このヤング率の上限としては、30,000kgf/cm2が好ましく、20,000kgf/cm2がより好ましい。
塗膜の抗張力がこのような範囲であることで、チッピング時の塗膜の剥離面積を減少させることができる。このような効果をより好適に得るためには、塗膜の−20℃における抗張力の下限としては、350kgf/cm2がより好ましく、400kgf/cm2がさらに好ましい。この抗張力の上限としては、1,000kgf/cm2がより好ましく、800kgf/cm2がさらに好ましい。なお、抗張力とは、中塗り層が破壊するまでの最大引張応力を意味する。
(a)ポリカプロラクトントリオールは、損失正接tanδ、伸び率、動的Tg及びヤング率に影響を与えるものである。すなわち、(a)ポリカプロラクトントリオール量が多いと、損失正接tanδ及び伸び率が大きくなり、動的Tg及びヤング率が小さくなる傾向がある。これとは逆に、(a)ポリカプロラクトントリオール量が少ないと、損失正接tanδ及び伸び率が小さくなり、動的Tg及びヤング率が大きくなる傾向がある。
(b)ブロックイソシアネートは、損失正接tanδ、伸び率、動的Tg、ヤング率及び抗張力に影響を与えるものである。すなわち、(b)ブロックイソシアネートの量が多いと、損失正接tanδ及び伸び率が小さくなり、動的Tg、ヤング率及び抗張力が大きくなる。これとは逆に、(b)ブロックイソシアネートの量が少ないと、損失正接tanδ及び伸び率が大きくなり、動的Tg、ヤング率及び抗張力が小さくなる。
ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;
1,4−シクロヘキサンジイソシアネート(CDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4’−ジイソシアネート、1,3−ジイソシアナトメチルシクロヘキサン(水添XDI)、1−メチルシクロヘキサン−2,4−ジイルジイソシアナート(水添TDI)、2,5−又は2,6−ビス(イソシアナートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(ノルボルナンジイソシアネート)等の脂環式ポリイソシアネート;
トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、p−フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;
キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等の芳香族−脂肪族ポリイソシアネート;
これらのポリイソシアネートの変性物(ウレタン化物、カーボジイミド、ウレトジオン、ウレトンイミン、ビューレット及び/又はイソシアヌレート変性物)などが挙げられる。これらのポリイソシアネートは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、β−プロピオラクタム等のラクタム系ブロック剤;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル系ブロック剤;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル系ブロック剤などのグリコールエーテル系ブロック剤などが挙げられる。
上記他の活性水素含有ブロック剤としては、例えば、
フェノール、クレゾール、キシレノール、クロロフェノール、エチルフェノール等のフェノール系ブロック剤;
アセト酢酸エチル、アセチルアセトン等の活性メチレン系ブロック剤;
メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アミルアルコール、ベンジルアルコール、グリコール酸メチル、グリコール酸ブチル、ジアセトンアルコール、乳酸メチル、乳酸エチル、2−エチルヘキサノール等のアルコール系ブロック剤;
ホルムアルドキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトオキシム、ジアセチルモノオキシム、シクロヘキサンオキシム等のオキシム系ブロック剤;
ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノール等のメルカプタン系ブロック剤;
酢酸アミド、ベンズアミドなどの酸アミド系ブロック剤;
コハク酸イミド、マレイン酸イミド等のイミド系ブロック剤;
イミダゾール、2−エチルイミダゾール等のイミダゾール系ブロック剤;
ピラゾール系ブロック剤;
トリアゾール系ブロック剤などが挙げられる。
(c)ポリエステル樹脂は、損失正接tanδ、伸び率、動的Tg及びヤング率に影響を与えるものである。すなわち、(c)ポリエステル樹脂が多いと、損失正接tanδ及び伸び率が大きくなり、動的Tg及びヤング率が小さくなる傾向がある。これとは逆に、(c)ポリエステル樹脂が少ないと、損失正接tanδ及び伸び率が小さくなり、動的Tg及びヤング率が大きくなる傾向がある。
これらのポリエステル樹脂は、単独で使用しても複数を併用してもよい。
(d)アクリル樹脂は、損失正接tanδ、伸び率、動的Tg、ヤング率及び抗張力に影響を与えるものである。すなわち、(d)アクリル樹脂の量が多いと、損失正接tanδ及び伸び率が小さくなり、動的Tg、ヤング率及び抗張力が大きくなる傾向がある。これとは逆に、(d)アクリル樹脂の量が少ないと、損失正接tanδ及び伸び率が大きくなり、動的Tg、ヤング率及び抗張力が小さくなる傾向がある。
(e)顔料分としては、特に限定されず、例えばチタン白、カーボンブラック、酸化鉄等の無機顔料;有機顔料;タルク、沈降性硫酸バリウム等の体質顔料などが挙げられる。中でも、層状構造を有する顔料分、すなわち層状フィラーが好ましい。層状フィラーとしては、例えばタルク、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、カオリナイト、マイカ等が挙げられ、これらの中でもタルクが好ましい。
中塗り塗料は、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン硬化触媒等のその他の成分を含有していてもよい。
本発明の複層塗膜の形成方法は、自動車の車両外板の他、耐チッピング性が要求されるバイク、フォークリフト、重機等の他の車両外板、自動車部品などの形成に適用できる。以下、自動車の車両外板を構成する複層塗膜の形成方法を例にとって説明する。ただし、当該複層塗膜の形成方法は、以下で説明する方法には限定されるものではない。
電着塗膜形成工程は、公知の電着塗装を行った後に焼き付けを行うことで実現できる。
電着塗装は、電着塗料中に被塗材を浸漬し、これらの間を通電することで荷電を有する樹脂成分を被塗材に析出させる方法である。
電着塗装後の焼き付けは、電着塗料の樹脂成分を被塗材に固着できればよく、常法に準じて行えばよい。
中塗り層形成工程は、電着塗膜表面に直接中塗り塗料を塗布し、必要に応じて焼き付けを行うことで実現できる。
上塗り層形成工程は、中塗り層(又は中塗り塗料)上に上塗り塗料を塗布した後に焼き付けを行うことで実現できる。
本発明の複層塗膜は、車両外板を構成する被塗材に形成されるものである。当該複層塗膜は、被塗材表面に形成される電着塗膜、この電着塗膜表面に直接積層される中塗り層、及びこの中塗り層表面に積層される上塗り層を備える。当該複層塗膜は、自動車の車両外板の他、耐チッピング性が要求されるバイク、フォークリフト、重機等の他の車両外板、自動車部品などに適用できる。
被塗材としては、特に制限はなく、塗装板の用途等に応じて選択すればよい。例えば塗装板が自動車の車両外板の場合、被塗材としては、例えば鋼板、亜鉛等のめっき処理や化成処理を施した鋼板が挙げられる。自動車の車両外板用の被塗材としては、めっき処理後に化成処理を施したものが好ましい。
電着塗膜は、主として防食性を確保するものである。この電着塗膜の組成等は、車両外板に要求される特性等に応じて選択すればよい。
中塗り層は、主として平滑性及び耐チッピング性を確保するものである。この中塗り層は、上述した中塗り塗料組成物を用いて形成される。そのため、中塗り層は、当該中塗り塗料組成物を単独硬化させた塗膜の特性として、上述した(1)から(4)を備え、好ましくは上記特性(5)を備える。
上塗り層は、平滑性及び耐食性を確保するものであり、必要に応じて、多彩模様を付与し、光学的効果等の視覚的効果を与える。
中塗り塗料組成物の調製に用いた各成分を以下に示す。
[(a)成分]
ポリカプロラクトントリオール:ダイセル社の「プラクセルL320AL」
[(b)成分]
ブロックイソシアネートA:住化バイエルウレタン社の「デスモジュールBL3175」
ブロックイソシアネートB:旭化成ケミカルズ社の「デュラネートMFK60X」
ブロックイソシアネートC:旭化成ケミカルズ社の「デュラネートMFB60X」
ブロックイソシアネートD:住化バイエルウレタン社の「デスモジュールBL3475」
[(c)成分]
ポリエステル樹脂A:下記製造例1により合成したポリエステル樹脂
ポリエステル樹脂B:下記製造例2により合成したポリエステル樹脂
[(d)成分]
アクリル樹脂A:特許第4477483号明細書に記載の(合成例1)の水酸基含有アクリル樹脂a(Tg=−17℃の低Tgアクリル樹脂)
アクリル樹脂B:特許第4477483号明細書に記載の(合成例2)の水酸基含有アクリル樹脂b(Tg=−16℃の低Tgアクリル樹脂)
アクリル樹脂C:特許第4477483号明細書に記載の(合成例3)の水酸基含有アクリル樹脂c(Tg=−23℃の低Tgアクリル樹脂)
アクリル樹脂D:ダイセル社の「プラクセルDC2209」(ラクトン変性アクリル樹脂)
[顔料分]
タルク:富士タルク工業社の「LMR−100」
チタン白:石原産業社の「タイペークCR97」
カーボンブラック:三菱化学社の「カーボンブラックMA−100」
沈降性硫酸バリウム:TOR MINERALS INTERNATIONAL INC.の「BARTEX OWT」
温度計、攪拌機、冷却管、窒素導入管、水分離機、精留塔を備えた反応槽に、イソフタル酸45.5部、アジピン酸17.1部、トリメチロールプロパン10.0部、ネオペンチルグリコール35.9部、バーサティック酸グリシジルエステル(シェル社の「カージュラE」)5.0部、及びジブチル錫オキサイド0.3部を仕込み加熱し、210℃まで昇温した。ただし、160℃から210℃までは、3時間かけて一定昇温速度で昇温した。生成する縮合水は系外へ留去した。反応槽が210℃に達したところで保温し、保温1時間後、反応槽内に還流溶剤として酢酸イソブチル47.8部を徐々に添加し、溶剤存在下での縮合に切り替え反応を続けた。その後、反応槽を150℃まで冷却し、ε−カプロラクトン11.4部を加え150℃で2時間保温した後、100℃まで冷却した。これにより、数平均分子量3050、酸価8.0mgKOH/g(固形分)、水酸基価92mgKOH/g(固形分)の不揮発分75%のワニスを得た。なお、数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、ポリスチレン分子量を標準として換算することにより求めている。
温度計、攪拌機、冷却管、窒素導入管、水分離機、精留塔を備えた反応槽に、イソフタル酸18.4部、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル7.2部、トリメチロールプロパン21.3部、ネオペンチルグリコール18.0部、ヘキサヒドロ無水フタル酸25.8部、バーサティック酸グリシジルエステル(シェル社の「カージュラE」)9.4部、及びジブチル錫オキサイド0.02部を仕込み加熱し、210℃まで昇温した。ただし、160℃から210℃までは、3時間かけて一定昇温速度で昇温した。生成する縮合水は系外へ留去した。反応槽が210℃に達したところで保温し、保温1時間後、反応槽内に還流溶剤として酢酸イソブチル26.4部を徐々に添加し、溶剤存在下での縮合に切り替え反応を続けた。その後、反応槽を150℃まで冷却し、ε−カプロラクトン11.4部を加え150℃で2時間保温した後、100℃まで冷却した。これにより、数平均分子量1310、酸価8.7mgKOH/g(固形分)、水酸基価210mgKOH/g(固形分)の不揮発分78.5%のワニスを得た。なお、数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、ポリスチレン分子量を標準として換算することにより求めている。
ポリカプロラクトントリオール46.25質量%(樹脂固形分全体における含有率)、ブロックイソシアネートA19.67質量%(樹脂固形分全体における含有率)、ポリエステル樹脂A34.08質量%(樹脂固形分全体における含有率)、タルク1.35質量%(顔料質量濃度)、チタン白6.16質量%(顔料質量濃度)、カーボンブラック1.17質量%(顔料質量濃度)及び沈降性硫酸バリウム28.74質量%(顔料質量濃度)を混合攪拌し、実施例1の中塗り塗料組成物を調整した。ここで、ポリカプロラクトントリオール中のOH基に対するブロックイソシアネートA中のNCO基のモル比(NCO/OH比)は1である。
実施例1において、下記表1に示した配合とした以外は実施例1と同様にして、実施例2〜11及び比較例1〜3の中塗り塗料組成物を調製した。各中塗り塗料組成物の調製におけるNCO/OH比の値も表1に合わせて示す。なお、「−」は、該当成分を配合しなかったことを意味する。
実施例1〜11及び比較例1〜3の中塗り塗料組成物を用い、以下の方法にて複層塗膜を形成した。
<中塗り塗料組成物>
希釈溶媒は、酢酸イソブチル/n−ペンチルプロピオネートの体積比が1/1の混合溶剤を用いて、フォードカップ粘度計(No.4カップ)で測定した粘度(20℃)が35秒となるように希釈した。
<上塗り塗料組成物>
[ベース塗料組成物]
希釈溶媒は、イオン交換水を用いて、フォードカップ粘度計(No.4カップ)で測定した粘度(20℃)が45秒となるように希釈した。
[クリヤ塗料組成物]
希釈溶媒は、EEP(エトキシエチルプロピオネート)/S150(エクソン社製芳香族炭化水素溶剤、商品名)の体積比が1/1の混合溶剤を用いて、フォードカップ粘度計(No.4カップ)で測定した粘度(20℃)が28秒になるように希釈した。
実施例1〜11及び比較例1〜3の中塗り塗料組成物、及びこれらの中塗り組成物を用いて中塗り層を形成した試験片について、下記方法により評価した。これらの評価の結果については、表1に示した。
グラベロテスター試験機(スガ試験機社)を用いて、6号砕石300gを35cmの距離から5kgf/cm2の空気圧で、試験片の複層塗膜に90°の角度で衝突させた。水洗乾燥後、工業用ガムテープ(ニチバン社)を用いて剥離した塗膜片を除去し、その後、塗膜の剥がれの程度を目視により観察した。耐チッピング性は、塗膜の剥がれの状態により、以下の評価基準にて評価した。塗膜剥がれについては、下記5段階評価中B評価以上を合格とした。併せて、亜鉛めっき層が剥離しているか否かをダル鋼板が露出しているかによって確認した。ダル鋼板の露出が認められる場合を「B」、認められない場合を「A」とした。
A:優秀(塗膜の剥がれが全くない)
B:良好(わずかに塗膜の剥がれが認められる)
C:普通(1mmφ以下の塗膜の剥がれが散見される)
D:やや不良(塗膜の剥がれが目立つ)
E:不良(塗膜の剥がれの面積が大きい)
ポリプロピレン製試験板にエアースプレーにて、単膜の乾燥膜厚が20μm以上50μm以下となるように中塗り塗料組成物を塗装し、140℃で30分間加熱硬化して塗膜を形成した。次に、塗膜を試験板から剥離し、5mm×20mmの大きさに切断して試験片とした。この試験片について、強制伸縮振動型粘弾性測定装置(オリエンテック社の「バイブロン」)を使用して動的粘弾性測定を行い、昇温速度2℃/分、測定周波数8Hzの条件で、昇温時に発生する応力と振動歪との間に生じる位相差から−20℃損失正接tanδを求めた。また、塗膜の動的Tgは、損失正接tanδが最大値を示した時の温度とした。
ポリプロピレン製試験板にエアースプレーにて、単膜の乾燥膜厚が20μm以上50μm以下になるように中塗り塗料組成物を塗装し、140℃で30分間加熱硬化して塗膜を形成した。次に、塗膜を試験板から剥離し、10mm×70mmの大きさに切断して試験片とした。この試験片について、引張試験機及びアナログメーター(島津製作所社の「オートグラフAGS−G型」)を使用し、測定長さ50mm、温度−20℃、引張速度10mm/分で測定を行った。伸び率は、試験前の試験片の軸方向の長さをXmm、試験片が破壊する際の軸方向の長さをLmmとして、伸び率(%)=(L−X)×100/Xにより求めた。ヤング率は、引張試験により得られるグラフの初期の傾きより求めた。抗張力は、試験片が破壊するまでの最大引張応力を意味し、破壊の際の最大荷重Pmax(kgf)と塗膜の断面積A(cm2)として、抗張力=Pmax/A(kgf/cm2)により求めた。
Claims (5)
- 車両外板を構成する電着塗膜表面に直接積層される中塗り層の形成に用いられる中塗り塗料組成物であって、
樹脂成分としてポリカプロラクトントリオール及びブロックイソシアネートを含有し、
ポリカプロラクトントリオールの樹脂成分全体における含有率が10質量%以上60質量%以下であり、
単独硬化させた塗膜が下記(1)から(4)の特性を備えることを特徴とする中塗り塗料組成物。
(1)昇温速度2℃/分、周波数8Hzの条件での動的粘弾性測定から求められる−20℃における損失正接tanδが0.01以上0.5以下
(2)動的ガラス転移温度(動的Tg)が−15℃以上55℃以下
(3)−20℃における伸び率が1%以上250%以下
(4)−20℃におけるヤング率が400kgf/cm2以上50,000kgf/cm2以下 - 上記塗膜が下記(5)の特性をさらに備える請求項1に記載の中塗り塗料組成物。
(5)−20℃における抗張力が200kgf/cm2以上1,200kgf/cm2以下 - 顔料分として、層状フィラーを含有する請求項1又は請求項2に記載の中塗り塗料組成物。
- 車両外板を構成する電着塗膜、この電着塗膜表面に直接積層される中塗り層、及びこの中塗り層表面に積層される上塗り層を備える複層塗膜であって、
上記中塗り層が、請求項1、請求項2又は請求項3に記載の中塗り塗料組成物から形成されることを特徴とする複層塗膜。 - 車両外板を構成する電着塗膜を形成する工程、この電着塗膜表面に直接中塗り層を形成する工程、及びこの中塗り層表面に上塗り層を形成する工程を備える複層塗膜の形成方法であって、
上記中塗り層形成工程で、請求項1、請求項2又は請求項3に記載の中塗り塗料組成物を塗布することを特徴とする複層塗膜の形成方法。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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