JP6675292B2 - 中塗り塗料組成物、複層塗膜及び複層塗膜の形成方法 - Google Patents

中塗り塗料組成物、複層塗膜及び複層塗膜の形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、中塗り塗料組成物、複層塗膜及び複層塗膜の形成方法に関する。
例えば自動車が高速走行すると、自動車の車両外板の塗装面に小石等が衝突することが避けられない。このような小石等の衝突により、車両外板の塗膜への亀裂や剥離などの損傷現象(いわゆるチッピング)が起きる場合がある。チッピングが生じると、このチッピング部分から水等が進入し、外板の素地に発錆を招来するおそれがある。
特に、北米、カナダ、北欧等の寒冷諸外国では、冬季に融雪のために多量の岩塩及び砂を路面に散布するため、自動車外板の塗膜における耐チッピング性は重要であり、小石が衝突しても塗膜が破損、剥離等せず、車両外板の素地が錆びないような塗膜が望まれている。
一般に、自動車の車両外板の塗装においては、リン酸鉄/亜鉛系の化成処理を施した鋼板上に、電着塗料(下塗り塗料)、中塗り塗料及び上塗り塗料を順次塗装するが、耐チッピング性ひいては防錆性を向上すべく、電着塗膜及び中塗り層間等に積層する耐チッピングプライマーが開発されている(特開平6−41494号公報、特開平6−93227号公報、特開平6−322059号公報、特開平6−346024号公報、特開平7−228834号公報、特開平9−241580号公報及び特開2002−180000号公報参照)。しかし、これらの耐チッピングプライマーの塗工は、製造コストの増大を招来し、低コスト化という今日的要請に反する。
一方、上記中塗り層に耐チッピング性を付与する技術も開発されている(特開平4−77580号公報及び特開2011−50916号公報参照)。しかし、これらの技術でも十分な耐チッピング性が得られていないのが現状である。
また、自動車の車両外板には外観も重要視される。この外観の低下は、塗膜の欠陥を誘発するおそれもある。
さらに、車両外板の塗装では、外観を確保するために中塗り層の表面を水研等により研磨することがあるが、中塗り層の硬度が不十分であると、作業性が低下し、ひいては車両外板の製造効率が低下する。
従って、自動車の車両外板の塗装において、中塗り層による耐チッピング性及び外観の向上と、中塗り層単膜の硬度上昇とが望まれており、これらの課題はバイク、自動車部品、フォークリフト、重機等の外部塗装においても同様である。
特開平6−41494号公報 特開平6−93227号公報 特開平6−322059号公報 特開平6−346024号公報 特開平7−228834号公報 特開平9−241580号公報 特開2002−180000号公報 特開平4−77580号公報 特開2011−50916号公報
本発明は以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、中塗り層の単膜硬度が高く、かつ耐チッピングプライマーを使用することなく、耐チッピング性及び外観に優れる複層塗膜を形成できる中塗り塗料組成物、並びにこのような被覆塗膜及びその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するためになされた本発明は、車両外板を構成する電着塗膜表面に直接積層される中塗り層の形成に用いられる中塗り塗料組成物であって、樹脂成分として、樹脂成分全体における含有率が0.1質量%以上5質量%以下の(a)ポリカプロラクトントリオールと、上記含有率が20質量%以上30質量%以下の(b)ピラゾールブロックイソシアネートと、上記含有率が1質量%以上20質量%以下の(c)メラミン樹脂と、上記含有率が40質量%以上70質量%以下の(d)ポリエステルと、上記含有率が0質量%超10質量%以下の(e)エポキシ樹脂とを含有し、顔料分として、顔料質量濃度が1質量%以上10質量%以下の(f)タルクを含有し、上記樹脂成分全体100質量部に対して0.01質量部超2質量部以下の(g)ウレタン硬化触媒と、上記樹脂成分全体100質量部に対して0.01質量部超2質量部以下の(h)スルホン酸系触媒とを含有することを特徴とする。
上記課題を解決するためになされた別の本発明は、車両外板を構成する電着塗膜と、この電着塗膜表面に直接積層される中塗り層と、この中塗り層表面に積層される上塗り層とを備える複層塗膜であって、上記中塗り層が、当該中塗り塗料組成物を硬化したものであることを特徴とする。
上記課題を解決するためになされたさらに別の本発明は、車両外板を構成する電着塗膜を形成する工程と、この電着塗膜表面に直接中塗り層を形成する工程と、この中塗り層表面に上塗り層を形成する工程とを備える複層塗膜の形成方法であって、上記中塗り層形成工程で、当該中塗り塗料組成物を塗布することを特徴とする。
ここで、「メラミン樹脂」とは、質量平均分子量が300以上2,000以下のメラミンとアルデヒドとの初期縮合物をいい、「質量平均分子量」とは、JIS−K−7252−1(2008年)に準拠して、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定される値を指す。「樹脂成分全体」とは、固形分換算での樹脂成分全体を意味する。「顔料質量濃度」とは、顔料の質量×100/(顔料分全体の質量+樹脂成分全体の固形分換算での質量)で算出される値(質量%)をいう。
本発明の中塗り塗料組成物及び複層塗膜の形成方法によれば、中塗り層の単膜硬度が高く、かつ耐チッピングプライマーの塗布を行わなくとも耐チッピング性及び外観に優れる複層塗膜を形成できる。また、本発明の被覆塗膜は、中塗り層の単膜硬度が高く、かつ耐チッピングプライマーの塗布を行わなくとも耐チッピング性及び外観に優れる。
本発明は、中塗り塗料組成物、被覆塗膜及び複層塗膜の形成方法を含む。以下、これらについて説明する。
<中塗り塗料組成物>
本発明の一実施形態の中塗り塗料組成物は、車両外板を構成する電着塗膜表面に直接積層される中塗り層の形成に用いられる。
当該中塗り塗料組成物は、樹脂成分として、(a)ポリカプロラクトントリオールと、(b)ピラゾールブロックイソシアネートと、(c)メラミン樹脂と、(d)ポリエステルと、(e)エポキシ樹脂とを含有し、顔料分として、(f)タルクを含有し、その他の成分として、(g)ウレタン硬化触媒と、(h)スルホン酸系触媒とを含有する。また、当該中塗り塗料組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の任意成分を含有してもよい。
当該中塗り塗料組成物は、樹脂成分として(a)ポリカプロラクトントリオール、(b)ピラゾールブロックイソシアネート、(c)メラミン樹脂及び(d)ポリエステルを含有することから、多くの架橋点を有する比較的緻密な三次元網目構造のポリウレタンを含む塗膜を形成する。具体的には、ブロックイソシアネートがウレタン結合により主にポリエステル間を架橋し、さらにメラミン樹脂がポリエステル間を補助的に架橋する。そのため、当該中塗り塗料組成物からなる中塗り層は、優れた柔軟性及び弾性を有し、ひいては高いクッション性を発現できると推定される。かかる機能により、当該中塗り塗料組成物は、高い耐チッピング性を有する中塗り層を形成することができる。
ここで、メラミン樹脂は、基体となる樹脂(ポリエステル)との架橋性だけでなく、自己縮合性も有している。そのため、硬化剤としてメラミン樹脂を単独使用した場合、部分的にメラミン樹脂の自己縮合が優先して進行することで粘弾性や架橋性が不均一となる塗膜が形成され易い。一方、ブロックイソシアネートは、基体樹脂との架橋が優先的に進行するため、比較的均一な塗膜を形成し易い。特に、ピラゾールブロックイソシアネートは、110℃以上140℃以下でブロック剤が解離しOH基と反応するため、低温焼付でも柔軟性の高い架橋部位を多く形成することができる。そのため、当該中塗り塗料組成物は、硬化剤として(a)ポリカプロラクトントリオール、(b)ピラゾールブロックイソシアネート、及び(c)メラミン樹脂を共に含有することで、強度等の均一性を高めた一様な硬化塗膜を形成し、チッピング時等に塗膜が被塗材のメッキと共に剥離することを抑制でき、チッピングにより鋼板等の被塗材(素地)が露出することを抑制できる。
また、当該中塗り塗料組成物は、比較的柔軟な(a)ポリカプロラクトントリオールの含有量を一定量以下とし、かつメラミン樹脂の架橋を促進する(h)スルホン酸系触媒を一定量含有することで、上述のピラゾールブロックイソシアネートによる架橋密度の上昇と相まって、塗膜の硬度を著しく高めることができる。
さらに、当該中塗り塗料組成物は、(g)ウレタン硬化触媒と、(h)スルホン酸系触媒とを含有することで、塗料の厚み方向における硬化速度の差異が低減される。その結果、塗膜におけるシワ等の外観欠陥の発生を抑制することができる。
また、当該中塗り塗料組成物は、層状構造を有する(f)タルクを含有することで、中塗り層の強靱性を向上することができ、その結果、耐チッピング性を促進することができる。
以下、当該中塗り塗料組成物の各成分について説明する。
<(a)ポリカプロラクトントリオール>
(a)ポリカプロラクトントリオールは、例えば下記式で表される構造を有する化合物である。下記式の(a)ポリカプロラクトントリオールは、例えばトリオールにε−カプロラクトンを付加することにより得られる。
Figure 0006675292
上記式中、Rは、トリオールに由来する基である。m及びnは、それぞれ独立して、0以上の整数である。pは、1以上の整数である。m+n+pは2以上である。
で表されるトリオールに由来する基としては、例えば2,2−ジメチルブタン−トリイル基、プロパン−1,2,3−トリイル基、トリエチルアミン−トリイル基等が挙げられる。
を与えるトリオールとしては、例えばトリメチロールプロパン、グリセリン、トリエタノールアミン等が挙げられる。トリオールの炭素数としては、2以上8以下が好ましく、3以上6以下がより好ましい。
(a)ポリカプロラクトントリオールの数平均分子量(Mn)の下限としては、200が好ましく、400がより好ましい。一方、上記数平均分子量の上限としては、4,000が好ましく、3,000がより好ましい。上記数平均分子量をこのような範囲とすることで、耐チッピング性を向上させることができる。なお、「数平均分子量」とは、JIS−K−7252−1(2008年)に準拠して、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定される値を指す。
(a)ポリカプロラクトントリオールとしては、市販品を使用することもできる。(a)ポリカプロラクトントリオールの市販品としては、例えばダイセル社の「プラクセル303」、「プラクセル305」、「プラクセル308」、「プラクセル309」、「プラクセル312」、「プラクセル320」等が挙げられる。
(a)ポリカプロラクトントリオールの樹脂成分全体における含有率の下限としては、0.1質量%であり、0.5質量%が好ましく、2質量%がより好ましい。一方、上記含有率の上限としては、5質量%であり、4質量%が好ましい。上記含有率が上記下限未満であると、耐チッピング性が低下し塗膜の剥離が起こるおそれがある。逆に、上記含有率が上記上限を超えると、塗膜の硬度が低下するおそれがある。また、(a)ポリカプロラクトントリオールの含有率が上記範囲であることで、塗膜の低温における損失正接tanδの値、伸び率及びヤング率を好適化できると共に動的ガラス転移温度(動的Tg)を好適化できる。そのため、チッピング時等に塗膜が被塗材のめっきと共に剥離することを抑制でき、チッピングにより鋼板等の被塗材(素地)が露出することを抑制できる。損失正接tanδは粘性と弾性との比率を示す値であり、対象物質がある外力を受けたときに、粘性変形して、受けた力学的エネルギーを熱エネルギーに変換し、吸収する割合を示す値である。すなわち、損失正接tanδの大きい塗膜は外部からのエネルギーを熱エネルギーとして吸収(消費)する割合が大きい。ここで、「損失正接tanδ」は、JIS−K7244−4:1999の引張振動−非共振法に準拠して測定される値であり、具体的には昇温速度2℃/分、周波数8Hzの条件で、例えばオリエンテック社の「バイブロン」等の強制伸縮振動型粘弾性測定装置を用いて測定できる。
<(b)ピラゾールブロックイソシアネート>
(b)ピラゾールブロックイソシアネートは、ポリイソシアネートのイソシアネート基をピラゾール系のブロック剤でブロックした化合物である。ポリイソシアネートは、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する化合物である。また、ポリイソシアネートは、ビュレット構造又はヌレート構造を含むとよい。ビュレットはイソシアネートの2量体であり、ヌレートはイソシアネートの3量体である。
ブロック剤は、イソシアネート基に付加し、常温では安定であるが、解離温度以上に加熱すると、遊離のイソシアネート基を再生し得る化合物である。
上記ポリイソシアネートとしては、例えば、
ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;
1,4−シクロヘキサンジイソシアネート(CDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4’−ジイソシアネート、1,3−ジ(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(水添XDI)、1−メチルシクロヘキサン−2,4−ジイルジイソシアナート(水添TDI)、2,5−又は2,6−ビス(イソシアナトメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(ノルボルナンジイソシアネート)等の脂環式ポリイソシアネート;
トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、p−フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;
キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等の芳香族−脂肪族ポリイソシアネート;
これらのポリイソシアネートの変性物(ウレタン化物、カーボジイミド、ウレトジオン、ウレトンイミン変性物)などが挙げられる。これらのポリイソシアネートは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
ピラゾール系ブロック剤は、ピラゾールブロックイソシアネートの調製において、一般にポリイソシアネートのイソシアネート基と等モル使用される。
(b)ピラゾールブロックイソシアネートの樹脂成分全体における含有率の下限としては、20質量%であり、22質量%が好ましく、25質量%がより好ましい。一方、上記含有率の上限としては、30質量%であり、29質量%が好ましく、28質量%がより好ましい。上記含有率が上記下限未満であると、塗膜の耐チッピング性や低温焼き付けの際の硬度が低下するおそれがある。逆に、上記含有率が上記上限を超えると、塗膜の付着性が低下するおそれがある。
(a)ポリカプロラクトントリオールのOH基に対する(b)ピラゾールブロックイソシアネートのイソシアネート基のモル比(以下「NCO/OH比」ともいう)の下限としては、0.4が好ましく、0.5がより好ましく、0.6がさらに好ましい。一方、NCO/OH比の上限としては、2.0が好ましく、1.5がより好ましく、1.0がさらに好ましい。NCO/OH比を上記範囲内とすることで、塗膜の耐チッピング性や硬度を向上することができる。
<(c)メラミン樹脂>
(c)メラミン樹脂は、メラミンとアルデヒドとから合成される熱硬化性の樹脂である。(c)メラミン樹脂としては、例えばメチル化メラミン樹脂、ブチル化メラミン樹脂、メチル化/ブチル化メラミン樹脂等が挙げられる。
(c)メラミン樹脂としては、市販品を使用することもできる。(c)メラミン樹脂の市販品としては、例えばINEOS Melamines社の「Resimene CE」、日本サイテック社の「サイメル」、三井化学社の「ユーバン」、住友化学社の「スミマール」等が挙げられる。
(c)メラミン樹脂の樹脂成分全体における含有率の下限としては、1質量%であり、5質量%が好ましく、10質量%がより好ましい。一方、上記含有率の上限としては、20質量%であり、18質量%が好ましく、17質量%がより好ましい。上記含有率が上記下限未満であると、塗膜の硬度が低下するおそれがある。逆に、上記含有率が上記上限を超えると、耐チッピング性が低下し塗膜の剥離が起こるおそれがある。
<(d)ポリエステル>
(d)ポリエステルは、主鎖にエステル結合を有する樹脂である(但し、(a)ポリカプロラクトントリオールに該当するものを除く)。(d)ポリエステルとしては、例えば飽和ポリエステル、不飽和ポリエステル等が挙げられる。このような(d)ポリエステルは、例えば多塩基酸と多価アルコールとを加熱縮合して得ることができる。多塩基酸としては、例えば飽和多塩基酸又はその無水物、不飽和多塩基酸又はその無水物等が挙げられる。飽和多塩基酸及びその無水物としては、例えば無水フタル酸、テレフタル酸、コハク酸等が挙げられる。不飽和多塩基酸及びその無水物としては、例えばマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。多価アルコールとしては、例えば2価アルコール、3価アルコール等が挙げられる。2価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール等が挙げられる。3価アルコールとしては、例えばグリセリン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
(d)ポリエステルの数平均分子量の下限としては、500が好ましく、800がより好ましい。上記数平均分子量の上限としては、6,000が好ましく、5,000がより好ましい。
(d)ポリエステルの樹脂成分全体における含有率の下限としては、40質量%であり、45質量%が好ましい。一方、上記含有率の上限としては、70質量%であり、60質量%が好ましい。上記含有率が上記下限未満であると、当該中塗り塗料組成物の塗装適正が低下するおそれがある。逆に、上記含有率が上記上限を超えると、相対的に(b)ピラゾールブロックイソシアネート及び(c)メラミン樹脂の含有量が低下し、塗膜の耐チッピング性や外観が低下するおそれがある。
<(e)エポキシ樹脂>
(e)エポキシ樹脂は、エポキシ基を含有する樹脂である。当該中塗り塗料組成物にエポキシ樹脂を含有させることで塗膜の耐チッピング性及び耐水性をより向上させることができる。(e)エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールとエピクロルヒドリンとの反応によって得られるビスフェノール型エポキシ樹脂等が挙げられる。ビスフェノールとしては、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF等が挙げられる。上記ビスフェノール型エポキシ樹脂の市販品としては、例えば新日鉄住金社の「エポトート」、シェルケミカル社の「エピコート」等が挙げられる。また、(e)エポキシ樹脂としては、鎖延長剤を用いてこれらのエポキシ樹脂を鎖延長したものも用いることができる。
(e)エポキシ樹脂の樹脂成分全体における含有率は、0質量%超である。また、上記含有率の下限としては、5質量%がより好ましい。一方、上記含有率の上限としては、20質量%であり、10質量%が好ましい。上記含有率が上記下限未満であると、塗膜の動的Tg(ガラス転移温度)が上昇し、耐チッピング性が不十分となるおそれがある。逆に、上記含有率が上記上限を超えると、低温硬化性が低下する場合がある。
<(f)タルク>
(f)タルクとしては、特に限定されず、例えばSタルク、PSタルク等の公知のものが挙げられる。
(f)タルクの平均粒子径としては、通常1μm以上10μm以下である。上記平均粒子径が上記範囲であることで、塗膜の外観の低下を抑制することができる。上記平均粒子径が1μm未満であると、タルクによる耐チッピング性の向上効果が不十分となるおそれがある。逆に、上記平均粒子径が10μmを超えると、外観が低下するおそれがある。なお、(f)タルクの平均粒子径とは、レーザー回折散乱法により測定される体積分布から導かれるメディアン径である。
(f)タルクの顔料質量濃度の下限としては、1質量%であり、1.5質量%が好ましく、2質量%がより好ましい。一方、上記顔料質量濃度の上限としては、10質量%であり、6質量%が好ましく、5質量%がより好ましい。上記顔料質量濃度が上記下限未満であると、塗膜の耐チッピング性が低下し塗膜の剥離が起こるおそれがある。逆に、上記顔料質量濃度が上記上限を超えると、塗膜の付着性が低下するおそれがある。また、当該中塗り塗料組成物の加熱残量(NV)が低下して平滑性が悪化するおそれがある。
<(g)ウレタン硬化触媒>
(g)ウレタン硬化触媒は、(a)ポリカプロラクトントリオールと、(b)ピラゾールブロックイソシアネートと、(c)メラミン樹脂及び(d)ポリエステルとのウレタン結合生成反応を促進する物質である。(g)ウレタン硬化触媒としては、例えばビスマス系化合物、アルミニウム系化合物、スズ系化合物、亜鉛系化合物等が挙げられる。
上記ビスマス系化合物としては、例えばビス(アセチルアセトン)ビスマス、2−エチルヘキサン酸ビスマス、ネオデカン酸ビスマス、サリチル酸ビスマス等が挙げられる。
上記アルミニウム系化合物としては、例えばアルミニウムトリアセチルアセトネート、アルミニウムトリアセトアセテート等が挙げられる。
上記スズ系化合物としては、例えばジメチルスズジラウレート、ジブチルスズジラウレート、ジメチルスズクロリド、ジブチルスズクロリド、ジn−オクチルスズジラウレート等が挙げられる。
上記亜鉛系化合物としては、例えば亜鉛アセチルアセトナート、プロピオン酸亜鉛、オクタン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛、ネオデカン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、リノール酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、安息香酸亜鉛、サリチル酸亜鉛等が挙げられる。
(g)ウレタン硬化触媒の上記樹脂成分全体100質量部に対する含有量は0.01質量部超であり、含有量の下限としては、0.1質量部が好ましい。一方、上記含有量の上限としては、2質量部であり、1質量部が好ましい。上記含有量が上記下限未満であると、塗膜の架橋密度が不十分となるおそれがある。逆に、上記含有量が上記上限を超えると、塗膜の外観が悪化するおそれがある。
<(h)スルホン酸系触媒>
(h)スルホン酸系触媒は、スルホン酸基を有する化合物である。(h)スルホン酸系触媒は、メラミン樹脂の主鎖及び/又は末端に作用し、メラミン樹脂の架橋を促進させることで、塗膜の硬度を向上させる。また、この作用により、ピラゾールブロックイソシアネートによって促進されるウレタン硬化に対するメラミン硬化の速度差が低減され、シワの発生等を抑制できる。
スルホン酸系触媒としては、p−トルエンスルホン酸(pTSA)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(DDBSA)、ジノニルナフタレンジスルホン酸(DNNDSA)、ジノニルナフタレンスルホン酸(DNNSA)等が挙げられる。
また、スルホン酸系触媒としては、スルホン酸基がブロック剤によりブロックされた化合物を用いることができ、例えばアミンブロックスルホン酸が好適に使用できる。なお、(h)スルホン酸系触媒のスルホン酸基がブロックされている場合、加熱等によりスルホン酸基をブロックしているブロック剤を解離させ、遊離のスルホン酸基を再生させる。
(h)スルホン酸系触媒の上記樹脂成分全体100質量部に対する含有量は0.01質量部超であり、含有量の下限としては、0.1質量部が好ましい。一方、上記含有量の上限としては、2質量部であり、1質量部が好ましい。上記含有量が上記下限より小さいと、メラミン樹脂の架橋促進効果が不十分となり、塗膜の硬度の向上作用が得られ難くなるおそれがある。一方、上記含有量が上記上限を超えると、架橋が過度に進行し、塗膜の耐チッピング性等の機能が得られ難くなるおそれがある。
(c)メラミン樹脂に対する(h)スルホン酸系触媒の含有量の質量比の下限としては、0.001が好ましく、0.005がより好ましく、0.01がさらに好ましい。一方、上記質量比の上限としては、0.2が好ましく、0.1がより好ましく、0.05がさらに好ましい。上記質量比が上記下限より小さいと、メラミン樹脂の架橋促進効果が不十分となり、塗膜の硬度及び外観向上作用が得られ難くなるおそれがある。一方、上記質量比が上記上限を超えると、架橋が過度に進行し、塗膜の耐チッピング性等の機能が得られ難くなるおそれがある。
<その他の任意成分>
その他の任意成分としては、例えば(a)成分〜(e)成分以外の他の樹脂成分、(f)成分以外の他の顔料分、リン酸系触媒、沈降防止剤等が挙げられる。
他の樹脂成分としては、(a)ポリカプロラクトントリオール以外のポリオール、アクリル樹脂等のポリマーなどが挙げられる。
他の顔料分としては、例えばチタン白、カーボンブラック、酸化鉄等の無機顔料;各種有機顔料;沈降性硫酸バリウム等の体質顔料などが挙げられる。他の顔料分の顔料質量濃度の下限としては、20質量%が好ましく、30質量%がより好ましい。一方、上記顔料質量濃度の上限としては、70質量%が好ましく、60質量%がより好ましい。他の顔料分の顔料質量濃度を上記範囲とすることで、中塗り層の強度、耐候性等を向上し、耐チッピング性を促進できる。
上記リン酸系触媒は、リン酸基を有する化合物である。リン酸系触媒は、ブロックイソシアネートのブロック剤の解離を抑制することで、塗膜のシワの発生を抑制する。
リン酸系触媒としては、例えば2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、モノ−又はジ−イソデシルアシッドホスフェート、モノ−又はジ−トリデシルアシッドホスフェート、モノ−又はジ−ラウリルアシッドホスフェート、モノ−又はジ−ノニルフェニルアシッドホスフェート等のアルキルリン酸、リン酸基を有するポリマーなどが挙げられる。
リン酸系触媒の上記樹脂成分全体100質量部に対する含有量の下限としては、0.01質量部が好ましく、0.1質量部がより好ましい。一方、上記含有量の上限としては、2質量部が好ましく、1量部がより好ましい。上記含有量が上記下限より小さいと、ブロックイソシアネートのブロック剤の解離抑制効果が不十分となり、塗膜の外観向上作用が得られ難くなるおそれがある。一方、上記含有量が上記上限を超えると、ブロックイソシアネートのブロック剤解離が過度に抑制され、塗膜の耐チッピング性等の機能が得られ難くなるおそれがある。
上記沈降防止剤としては、ポリエチレン系、ポリアマイド系等の公知の沈降防止剤等が挙げられる。
また、当該中塗り塗料組成物は、水系塗料及び有機溶媒系塗料のいずれとして用いてもよい。当該中塗り塗料組成物を有機溶媒系塗料として用いる場合、有機溶媒として、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ミネラルスピリット等の脂肪族炭化水素;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;メチルエチルケトン等のケトン類などの有機溶媒の1種又は2種以上を含有させることができる。
<複層塗膜>
本発明の一実施形態の複層塗膜は、車両外板を構成する被塗材に積層される。上記複層塗膜は、被塗材表面に積層される電着塗膜、この電着塗膜表面に直接積層される中塗り層、及びこの中塗り層表面に積層される上塗り層を備える。上記複層塗膜は、自動車の車両外板の他、耐チッピング性が要求されるバイク、フォークリフト、重機等の他の車両外板、自動車部品などに適用できる。
(電着塗膜)
電着塗膜は、主として防食性を確保するものである。この電着塗膜の組成等は、車両外板に要求される特性等に応じて選択すればよい。
(中塗り層)
中塗り層は、主として平滑性及び耐チッピング性を確保するものであり、当該中塗り塗料組成物を硬化したものである。つまり、中塗り層は、(a)ポリカプロラクトントリオール、(b)ピラゾールブロックイソシアネート、(c)メラミン樹脂、(d)ポリエステル、(e)エポキシ樹脂、(a)〜(d)成分に由来するポリウレタン、(f)タルク、(g)ウレタン硬化触媒、及び(h)スルホン酸系触媒を含有する。また、中塗り層は、上塗り層との組み合わせで意匠性を発揮するために着色顔料を含有してもよい。
(上塗り層)
上塗り層は、平滑性及び耐食性を確保するものであり、必要に応じて、多彩模様を付与し、光学的効果等の視覚的効果を与える。
上塗り層は、単層として形成しても複数層として形成してもよい。上塗り層の層数は、塗装板の用途等に応じて選択すればよい。例えば自動車の車両外板の場合、上塗り層の層数は、一般に1層又は2層とされる。
このような複層塗膜によれば、中塗り層が当該中塗り塗料組成物を用いて形成されているため、耐チッピングプライマーの塗布を行わなくとも、耐チッピング性及び外観を確保できる。また、上記中塗り層は単膜硬度が高く、研磨が容易である。
<複層塗膜の形成方法>
本発明の一実施形態の複層塗膜の形成方法は、自動車の車両外板の他、耐チッピング性が要求されるバイク、フォークリフト、重機等の他の車両外板、自動車部品などの形成に適用できる。以下、自動車の車両外板を構成する複層塗膜の形成方法を例にとって説明する。ただし、当該複層塗膜の形成方法は、以下で説明する方法には限定されるものではない。
本発明の複層塗膜の形成方法は、電着塗膜形成工程、中塗り層形成工程、及び上塗り層形成工程を含む。
[電着塗膜形成工程]
電着塗膜形成工程では、公知の電着塗装を行った後に焼き付けを行うことで電着塗膜を形成する。
(電着塗装)
電着塗装は、電着塗料中に被塗材を浸漬し、これらの間を通電することで荷電を有する樹脂成分を被塗材に析出させる方法である。
被塗材としては、特に制限はなく、塗装板の用途等に応じて選択すればよい。例えば塗装板が自動車の車両外板の場合、被塗材としては、例えば鋼板、亜鉛板等にメッキ処理や化成処理を施した鋼板が用いられる。自動車の車両外板用の被塗材としては、メッキ処理後に化成処理を施したものが好ましい。化成処理としては、例えばリン酸鉄/亜鉛系化成剤を用いる方法が挙げられる。メッキ処理としては、例えば亜鉛メッキ処理等が挙げられる。
電着塗料は、樹脂成分を水に溶解又は分散させた水溶性塗料又は水分散形塗料である。この電着塗料は、樹脂成分が酸性樹脂の場合、アンモニア、アミン、無機アルカリ等の塩基で中和してこれを水に溶解又は分散させることで調製できる。一方、樹脂成分が塩基性樹脂の場合、電着塗料は、酢酸、乳酸、ほう酸、リン酸等の酸で中和して水に溶解又は分散させることで調製できる。
電着塗料としては、アニオン型樹脂系塗料及びカチオン型樹脂系塗料のいずれも使用できるが、防食性の観点からカチオン型樹脂系塗料が好ましい。
電着塗料の樹脂成分としては、例えば乾性油、ポリブタジエン等の液状ゴム系樹脂、マレイン化油樹脂、マレイン化ポリブタジエン、アミンエポキシ化ポリブタジエン;樹脂状ポリオールの脂肪酸ポリエステル、又はその変性誘導体(例えばエポキシ化体、エステル化体);アルキド樹脂;アクリル樹脂などが挙げられる。
電着塗料には、メラミン樹脂、ブロックイソシアネート等の架橋剤、顔料、溶剤等の常用の添加剤を適宜配合することができる。
電着塗装の条件は、後述する焼き付け後の電着塗膜の膜厚が10μm以上40μm以下になるように設定することが好ましく、通常、印加電圧が200V以上300V以下、印加時間が90秒以上300秒以下である。もちろん、電着塗装の条件は、使用する電着塗料の種類、析出膜の目標膜厚等に応じて適宜設定すればよい。なお、「膜厚」とは、JIS−K5600−1−7:1999(「塗料一般試験方法−第1部:通則−第7節:膜厚」)に準じて測定した値である。以下において「膜厚」という場合も同様である。
(焼き付け)
電着塗装後の焼き付けは、電着塗料の樹脂成分を被塗材に固着できればよく、常法に準じて行えばよい。なお、例えば焼き付け温度は150℃以上200℃以下、焼き付け時間は5分以上60分以下である。
[中塗り層形成工程]
中塗り層形成工程では、電着塗膜表面に直接中塗り塗料を塗布し、必要に応じて焼き付けを行うことで硬化して中塗り層を形成する。
中塗り塗料としては、上述した当該中塗り塗料組成物が使用される。つまり、中塗り塗料は、(a)ポリカプロラクトントリオール、(b)ピラゾールブロックイソシアネート、(c)メラミン樹脂、(d)ポリエステル、(e)エポキシ樹脂、(f)タルク、(g)ウレタン硬化触媒及び(h)スルホン酸系触媒を含有する。この中塗り塗料は、そのまま使用してもよいし、溶媒で希釈して使用してもよい。
中塗り塗料の塗布は、通常、乾燥後の中塗り層の膜厚が5μm以上60μm以下になるように行われる。このような中塗り塗料の塗布は、霧化式塗装機等の公知の塗布機を用いて行うことができる。霧化式塗装機としては、例えばエアースプレー塗装機、エアレススプレー塗装機、エアー霧化式静電塗装機、回転式静電塗装機等が挙げられる。
中塗り塗料の塗布後の焼き付けは、常法に準じて行えばよい。例えば焼き付け温度は130℃以上160℃以下、焼き付け時間は10分以上60分以下である。また、中塗り層形成工程での焼き付けを省略し、ウェットオンウェット方式で中塗り塗料上に後述する上塗り塗料を塗布するようにしてもよい。
[上塗り層形成工程]
上塗り層形成工程では、中塗り層(又は中塗り塗料)上に上塗り塗料を塗布した後に焼き付けを行うことで上塗り層を形成する。
この上塗り層形成工程で上塗り層をベース層のみの単層として形成する場合、上塗り塗料を塗布した後に焼き付けを行う。
この場合の上塗り塗料としては、公知の上塗りソリッド塗料、例えばアクリル樹脂、ポリエステル、フッ素樹脂等の樹脂成分、着色顔料等を含有するものが使用できる。単層の上塗り層の焼き付け後の膜厚は、通常2μm以上60μm以下とされる。
また、上塗り層を2層として形成する場合、ソリッド塗料の塗布後にクリヤ塗料をウェットオンウェット方式で塗布し、ソリッド塗料及びクリヤ塗料の焼き付けを同時に行う。
なお、中塗り層形成工程において焼き付けを行っていない場合、上塗り層形成工程における焼き付けにより、中塗り塗料も同時に焼き付けられる。例えば焼き付け温度は130℃以上160℃以下、焼き付け時間は10分以上60分以下である。
このような複層塗膜形成方法によれば、中塗り層が当該中塗り塗料組成物を用いて形成されるため、耐チッピングプライマーの塗布を行わなくとも、耐チッピング性及び外観を確保できる複層塗膜を形成できる。また、上記中塗り層は単膜硬度が高く、研磨が容易である。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<中塗り塗料組成物の調製>
実施例及び比較例の中塗り塗料組成物の調製に用いた各成分を以下に示す。
[(a)成分]
ポリカプロラクトントリオール:ダイセル社の「プラクセルL320AL」
[(b)成分]
ブロックイソシアネートA:住化バイエル社の「スミジュールBL3175」(ブロック剤がメチルエチルケトンオキシムであるイソシアヌレート型ブロックイソシアネート)
ブロックイソシアネートB:Bayer社の「DESMODUR PL350」(ブロック剤がピラゾールであるイソシアヌレート型ブロックイソシアネート)
ブロックイソシアネートC:Baxenden Chemicals社の「Trixene BI7960」(ブロック剤がピラゾールであるビュレット型ブロックイソシアネート)
[(c)成分]
メラミン樹脂A:INEOS Melamines社の「Resimene CE1058」
メラミン樹脂B:三井化学社の「ユーバン20N−60」
メラミン樹脂C:日本サイテックインダストリーズ社の「サイメル325」
メラミン樹脂D:日本サイテックインダストリーズ社の「サイメル370」
メラミン樹脂E:日本サイテックインダストリーズ社の「サイメル254」
メラミン樹脂F:日本サイテックインダストリーズ社の「サイメル327」
[(d)成分]
ポリエステルA:日本ペイント社の「PRS−1015」
ポリエステルB:日本ペイント社の「PRS−1040」
[(e)成分]
エポキシ樹脂:新日鉄住金社の「エポトートEP−O150」
[(f)成分]
タルク:富士タルク工業社の「LMR−100」
[(g)成分]
ウレタン硬化触媒:KING社の「K−KAT348」
[(h)成分]
スルホン酸系触媒A:キングインダストリーズ社の「NACURE2500」(アミンブロックpTSA)
スルホン酸系触媒B:キングインダストリーズ社の「NACURE5543」(アミンブロックDDBSA)
[他の顔料分]
チタン白:石原産業社の「チタンCR97」
カーボンブラック:三菱化学社の「カーボンMA−100」
沈降性硫酸バリウム:GUANGXI XIANGZHOU LIANZHUANG CHEMICAL社の「PS−07」
[その他の成分]
リン酸系触媒:Lanxess Deutschland GmbH社の「バイソルベックス D2EHPA」
[実施例1〜8及び比較例1〜21]
下記表1及び表2に記載の種類及び配合の成分を混合攪拌し、実施例及び比較例の中塗り塗料組成物を調製した。なお、各表中、「樹脂成分」の項目の数値は、樹脂固形分全体における含有率(質量%)を示し、「顔料分」の項目の数値は、顔料質量濃度(質量%)を示し、「その他」の項目の数値は、樹脂固形分全体100質量部に対する含有量(質量部)を示す。
<複層塗膜の形成>
上述の実施例及び比較例の中塗り塗料組成物を用い、以下の方法にて複層塗膜を形成した。
GA鋼板(合金化溶融亜鉛メッキ鋼板)に、カチオン電着塗料組成物(日本ペイント社の「パワーニックス1010」)を乾燥塗膜の膜厚が15μmとなるように電着塗装し、170℃で20分間加熱した後冷却して、硬化電着塗膜を形成した。
次いで、硬化電着塗膜の上に、室温で中塗り塗料組成物をエアースプレー塗装により膜厚が35μmになるように塗装した後、140℃で30分硬化させた。この中塗り塗膜上に上塗り塗料組成物としてのベース塗料組成物(日本ペイント社の「アクアレックスAR−2000」)をエアースプレー塗装により膜厚が15μmになるように塗装した後、80℃で3分間プレヒートを行った。さらに、ベース塗料組成物の塗膜の上に、上塗り塗料組成物としてのクリヤ塗料組成物(日本ペイント社の「マックフローO−1830」)をエアースプレー塗装により膜厚が35μmとなるように塗装した後、140℃で30分間加熱硬化を行うことで複層塗膜を有する試験片を得た。
なお、中塗り塗料組成物、ベース塗料組成物及びクリヤ塗料組成物は、下記希釈溶媒を用い、所定の粘度となるように希釈して塗装に用いた。
(中塗り塗料組成物)
希釈溶媒として酢酸イソブチルと芳香族炭化水素溶剤(エクソン社の「S150」)との体積比が1:1の混合溶剤を用いて、フォードカップ粘度計(No.4カップ)で測定した粘度(20℃)が23秒となるように希釈した。
(上塗り塗料組成物)
ベース塗料組成物は、希釈溶媒としてイオン交換水を用いて、フォードカップ粘度計(No.4カップ)で測定した粘度(20℃)が45秒となるように希釈した。クリヤ塗料組成物は、希釈溶媒としてEEP(エトキシエチルプロピオネート)と芳香族炭化水素溶剤(エクソン社の「S150」)との体積比が1:1の混合溶剤を用いて、フォードカップ粘度計(No.4カップ)で測定した粘度(20℃)が28秒となるように希釈した。
<評価>
実施例及び比較例の中塗り塗料組成物、並びにこれらの中塗り塗料組成物を用いて中塗り塗膜及び複層塗膜を形成した試験片について、下記方法により評価した。評価結果を表1及び表2に合わせて示す。
[中塗り塗膜硬度]
得られた中塗り塗膜の硬度(鉛筆引っかき硬度)をJIS−K−5600−5−4(1999年)に準拠して測定し、以下の基準で評価した。
A:F
B:HB
C:B
D:2B以下
[中塗り塗膜外観]
得られた中塗り塗膜の厚膜部の外観を目視により以下の基準で評価した。
A:シワなし
E:シワあり
[耐チッピング性]
グラベロテスター試験機(スガ試験機社)を用いて、予め−20℃に冷却した塗板に6号砕石300gを35cmの距離から5kgf/cmの空気圧で、試験片の複層塗膜に90°の角度で衝突させた。水洗乾燥後、工業用ガムテープ(ニチバン社)を用いて剥離した塗膜片を除去し、その後、塗膜の剥がれの程度を目視により観察した。耐チッピング性は、塗膜及び亜鉛メッキ層それぞれの剥がれの状態により、以下の評価基準にて評価した。
(塗膜剥がれ)
A:優秀(塗膜のハガレが全くない)
B:良好(わずかに塗膜のハガレが認められる)
C:やや不良(1mmφ以下の塗膜のハガレが散見される)
D:不良(塗膜のハガレが目立つ)
(亜鉛メッキ層剥離)
A:剥がれなし
E:剥がれあり
[複層塗膜外観]
得られた複層塗膜の外観を以下の基準で塗膜表面の目視により評価した。
A:優れる
B:良好
C:可
Figure 0006675292
Figure 0006675292
表1及び表2の結果から、実施例1〜8の中塗り塗料組成物を中塗り層に用いることで、中塗り層の単膜硬度がHB以上と高く、かつ耐チッピングプライマーを使用することなく、耐チッピング性及び外観に優れる複層塗膜を形成できることが示された。
本発明の中塗り塗料組成物及び複層塗膜の形成方法によれば、中塗り層の単膜硬度が高く、かつ耐チッピングプライマーを使用することなく、耐チッピング性及び外観に優れる複層塗膜を形成できる。この複層塗膜は、自動車、バイク、自動車部品、フォークリフト、重機等の外部塗装に好適に使用できる。

Claims (3)

  1. 車両外板を構成する電着塗膜表面に直接積層される中塗り層の形成に用いられる中塗り塗料組成物であって、
    樹脂成分として、樹脂成分全体における含有率が0.1質量%以上5質量%以下の(a)ポリカプロラクトントリオールと、上記含有率が20質量%以上30質量%以下の(b)ピラゾールブロックイソシアネートと、上記含有率が1質量%以上20質量%以下の(c)メラミン樹脂と、上記含有率が40質量%以上70質量%以下の(d)ポリエステルと、上記含有率が0質量%超10質量%以下の(e)エポキシ樹脂とを含有し、
    顔料分として、顔料質量濃度が1質量%以上10質量%以下の(f)タルクを含有し、
    上記樹脂成分全体100質量部に対して0.01質量部超2質量部以下の(g)ウレタン硬化触媒と、上記樹脂成分全体100質量部に対して0.01質量部超2質量部以下の(h)スルホン酸系触媒とを含有し、
    (b)ピラゾールブロックイソシアネートがビュレット構造を含み、
    (c)メラミン樹脂に対する(h)スルホン酸系触媒の量が質量比で0.01以上0.013以下であることを特徴とする中塗り塗料組成物。
  2. 車両外板を構成する電着塗膜と、この電着塗膜表面に直接積層される中塗り層と、この中塗り層表面に積層される上塗り層とを備える複層塗膜であって、
    上記中塗り層が、請求項1に記載の中塗り塗料組成物を硬化したものであることを特徴とする複層塗膜。
  3. 車両外板を構成する電着塗膜を形成する工程と、この電着塗膜表面に直接中塗り層を形成する工程と、この中塗り層表面に上塗り層を形成する工程とを備える複層塗膜の形成方法であって、
    上記中塗り層形成工程で、請求項1に記載の中塗り塗料組成物を塗布することを特徴とする複層塗膜の形成方法。
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