JP2017025241A - 中塗り塗料組成物及び複層塗膜の形成方法 - Google Patents

中塗り塗料組成物及び複層塗膜の形成方法 Download PDF

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英樹 市村
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Koichi Kasahara
好一 笠原
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Eisaku Okada
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Abstract

【課題】耐チッピングプライマーを使用することなく、耐チッピング性に優れ、かつ中塗り層の外観にも優れる複層塗膜を形成できる中塗り塗料組成物の提供を目的とする。
【解決手段】本発明は、車両外板を構成する電着塗膜表面に直接積層される中塗り層の形成に用いられる中塗り塗料組成物であって、樹脂成分として、樹脂成分全体における含有率が1質量%以上27質量%以下の(a)ポリカプロラクトントリオールと、上記含有率が20質量%以上60質量%以下の(b)ブロックイソシアネートと、上記含有率が1質量%以上20質量%以下の(c)メラミン樹脂とを含有し、上記樹脂成分全体100質量部に対して0.1質量部以上5質量部以下の(d)リン酸系化合物を含有することを特徴とする。上記(d)リン酸系化合物の酸価としては150mgKOH/g以上が好ましい。上記(d)リン酸系化合物のリン酸基がブロックされていないとよい。
【選択図】なし

Description

本発明は、中塗り塗料組成物及び複層塗膜の形成方法に関する。
例えば自動車が高速走行すると、自動車の車両外板の塗装面に小石等が衝突することが不可避である。このような小石等の衝突により、車両外板の塗膜への亀裂や剥離などの損傷現象(いわゆるチッピング)が起きる場合がある。かかるチッピングが生じると、この部分から水等が進入し、外板の素地に発錆を招来するおそれがある。
特に、北米、カナダ、北欧等の寒冷諸外国では、冬季に融雪のために多量の岩塩及び砂を路面に散布するため、特に自動車外板の塗膜における耐チッピング性は重要であり、小石が衝突しても塗膜が破損、剥離等せず、車両外板の素地が錆びないような塗膜が望まれている。
一般に、自動車の車両外板の塗装においては、リン酸鉄/亜鉛系の化成処理を施した鋼板上に、電着塗料(下塗り塗料)、中塗り塗料及び上塗り塗料を順次塗装するが、耐チッピング性ひいては防錆性を向上すべく、電着塗膜及び中塗り層間等に積層する耐チッピングプライマーが開発されている(特開平6−41494号公報、特開平6−93227号公報、特開平6−322059号公報、特開平6−346024号公報、特開平7−228834号公報、特開平9−241580号公報及び特開2002−180000号公報参照)。しかし、これらの耐チッピングプライマーの塗工は、製造コストの増大を招来し、低コスト化という今日的要請に反する。
一方、上記中塗り層に耐チッピング性を付与する技術も開発されている(特開平4−77580号公報及び特開2011−50916号公報参照)。しかし、これらの技術も充分な耐チッピング性が得られていないのが現状である。
また、自動車の車両外板には外観も重要視されるが、中塗り塗料で形成した中塗り層にしわ等の外観欠陥が存在すると、外板全体の外観が低下したり、塗膜の欠陥を誘発したりするおそれがある。
従って、自動車の車両外板の塗装において、中塗り層により高い耐チッピング性及び外観向上性が望まれており、これらの課題はバイク、自動車部品、フォークリフト、重機等の外部塗装においても同様である。
特開平6−41494号公報 特開平6−93227号公報 特開平6−322059号公報 特開平6−346024号公報 特開平7−228834号公報 特開平9−241580号公報 特開2002−180000号公報 特開平4−77580号公報 特開2011−50916号公報
本発明は以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、耐チッピングプライマーを使用することなく、耐チッピング性に優れ、かつ中塗り層の外観にも優れる複層塗膜を形成できる中塗り塗料組成物を提供することにある。
上記課題を解決するためになされた本発明は、車両外板を構成する電着塗膜表面に直接積層される中塗り層の形成に用いられる中塗り塗料組成物であって、樹脂成分として、樹脂成分全体における含有率が1質量%以上27質量%以下の(a)ポリカプロラクトントリオールと、上記含有率が20質量%以上60質量%以下の(b)ブロックイソシアネートと、上記含有率が1質量%以上20質量%以下の(c)メラミン樹脂とを含有し、上記樹脂成分全体100質量部に対して0.1質量部以上5質量部以下の(d)リン酸系化合物を含有することを特徴とする。
上記課題を解決するためになされたさらに別の本発明は、車両外板を構成する電着塗膜を形成する工程、この電着塗膜表面に直接中塗り層を形成する工程、及びこの中塗り層表面に上塗り層を形成する工程を備える複層塗膜の形成方法であって、上記中塗り層形成工程で、当該中塗り塗料組成物を塗布することを特徴とする。
ここで、「メラミン樹脂」とは、質量平均分子量が300以上2,000以下のメラミンとアルデヒドとの初期縮合物をいう。「樹脂成分全体」とは、固形分換算での樹脂成分全体を意味する。
本発明の中塗り塗料組成物及び複層塗膜の形成方法によれば、耐チッピングプライマーの塗布を行わなくとも、耐チッピング性に優れ、かつ中塗り層の外観にも優れる複層塗膜を形成できる。
温度と剛体振子自由減衰振動法(FDOM)による塗膜の振動周期との関係を示すグラフである。
本発明は、中塗り塗料組成物及び複層塗膜の形成方法を含む。以下、これらについて説明する。
<中塗り塗料組成物>
本発明の中塗り塗料組成物は、車両外板を構成する電着塗膜表面に直接積層される中塗り層の形成に用いられる。
当該中塗り塗料組成物は、樹脂成分としての(a)ポリカプロラクトントリオール、(b)ブロックイソシアネート及び(c)メラミン樹脂と、(d)リン酸系化合物とを含有する。また、当該中塗り塗料組成物は、好適成分として、顔料分としての(e)タルク、樹脂成分としての(f)エポキシ樹脂及び(g)ポリエステル、又はその他の成分としての(h)ウレタン硬化触媒を含有してもよく、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の任意成分を含有してもよい。
当該中塗り塗料組成物は、樹脂成分として(a)ポリカプロラクトントリオール、(b)ブロックイソシアネート及び(c)メラミン樹脂を含有することから、多くの架橋点を有する比較的緻密な三次元網目構造のウレタン樹脂になる。そのため、当該中塗り塗料組成物からなる中塗り層は、優れた柔軟性及び弾性を有し、ひいては高いクッション性を発現できると推定される。かかる機能により、当該中塗り塗料組成物は、高い耐チッピング性を有する中塗り層を形成することができる。
ここで、メラミン樹脂は、基体となる樹脂との架橋性だけでなく、自己縮合性も有している。そのため、硬化剤としてメラミン樹脂を単独使用した場合、部分的にメラミン樹脂の自己縮合が優先して進行することで粘弾性や架橋性が不均一となる塗膜が形成され易い。一方、ブロックイソシアネートは、基体樹脂との架橋が優先的に進行するため、比較的均一な塗膜を形成し易い。当該中塗り塗料組成物は、硬化剤として(b)ブロックイソシアネート及び(c)メラミン樹脂を共に含有することで、強度等の均一性を高めた一様な硬化塗膜を形成し、チッピング時等に塗膜が被塗材のめっきと共に剥離することを抑制でき、チッピングにより鋼板等の被塗材(素地)が露出することを抑制できる。
また、当該中塗り塗料組成物は、(d)リン酸系化合物を含有する。本発明者らが鋭意検討したところ、ブロックイソシアネートを含む中塗り塗料で形成した塗膜の焼き付け時において、塗膜表面から順に上述のブロックイソシアネートのブロック剤が解離することで、塗膜が表面側(上層)から内部に向かって時間差で硬化していくことを知見した。このように塗膜の表面側が先に硬化し、その後内部や下層部分が硬化すると、塗膜表面にしわ等の外観欠陥ができる。これに対し、中塗り塗料組成物がリン酸系化合物を含有することで、ブロック剤の解離が抑制され、ブロックイソシアネートの硬化開始温度が高くなる。その結果、塗膜の硬化が厚さ方向で比較的一様になり、中塗り層におけるしわの発生が抑制される。また、リン酸系化合物は、メラミン樹脂の硬化を促進する。以下、各成分について説明する。
<(a)ポリカプロラクトントリオール>
(a)ポリカプロラクトントリオールは、例えば下記式で表される構造を有する化合物である。下記式の(a)ポリカプロラクトントリオールは、例えばトリオールにε−カプロラクトンを付加することにより得られる。
Figure 2017025241
上記式中、Rは、トリオールに由来する基である。m及びnは、それぞれ独立して、0以上の整数である。pは、1以上の整数である。m+n+pは2以上である。
で表されるトリオールに由来する基としては、例えば2,2−ジメチルブタン−トリイル基、プロパン−1,2,3−トリイル基、トリエチルアミン−トリイル基等が挙げられる。
を与えるトリオールとしては、例えばトリメチロールプロパン、グリセリン、トリエタノールアミン等が挙げられる。トリオールの炭素数としては、2以上8以下が好ましく、3以上6以下がより好ましい。
(a)ポリカプロラクトントリオールの数平均分子量(Mn)の下限としては、200が好ましく、400がより好ましい。上記数平均分子量の上限としては、4,000が好ましく、3,000がより好ましい。上記数平均分子量をこのような範囲とすることで、耐チッピング性を向上させることができる。なお、本明細書における数平均分子量は、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される値である。
(a)ポリカプロラクトントリオールとしては、市販品を使用することもできる。(a)ポリカプロラクトントリオールの市販品としては、例えばダイセル社の「プラクセル303」、「プラクセル305」、「プラクセル308」、「プラクセル309」、「プラクセル312」、「プラクセル320」等が挙げられる。
(a)ポリカプロラクトントリオールの樹脂成分全体における含有率の下限としては、1質量%であり、2.5質量%が好ましく、5質量%がより好ましい。上記含有率の上限としては、27質量%であり、15質量%が好ましく、10質量%がより好ましい。上記含有率が上記下限未満であると、耐チッピング性が低下し塗膜の剥離が起こるおそれがある。逆に、上記含有率が上記上限を超えると、塗膜の硬度が低下するおそれがある。また、(a)ポリカプロラクトントリオールの含有率が上記範囲であることで、塗膜の低温における損失正接tanδの値、伸び率及びヤング率を好適化できると共に動的ガラス転移温度(動的Tg)を好適化できる。そのため、チッピング時等に塗膜が被塗材のめっきと共に剥離することを抑制でき、チッピングにより鋼板等の被塗材(素地)が露出することを抑制できる。「損失正接tanδの値」は粘性と弾性との比率を示す値であり、対象物質がある外力を受けたときに、粘性変形して、受けた力学的エネルギーを熱エネルギーに変換し、吸収する割合を示す値である。すなわち、損失正接tanδの大きい塗膜は外部からのエネルギーを熱エネルギーとして吸収(消費)する割合が大きいこととなる。ここで、「損失正接tanδ」は、JIS−K7244−4:1999の引張振動−非共振法に準拠して測定される値であり、具体的には昇温速度2℃/分、周波数8Hzの条件で、例えばオリエンテック社の「バイブロン」等の強制伸縮振動型粘弾性測定装置を用いて測定できる。
<(b)ブロックイソシアネート>
(b)ブロックイソシアネートは、ポリイソシアネートのイソシアネート基をブロック剤でブロックした化合物である。ポリイソシアネートは、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する化合物である。ブロック剤は、イソシアネート基に付加し、常温では安定であるが、解離温度以上に加熱すると、遊離のイソシアネート基を再生し得る化合物である。
上記ポリイソシアネートとしては、例えば、
ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;
1,4−シクロヘキサンジイソシアネート(CDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4’−ジイソシアネート、1,3−ジ(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(水添XDI)、1−メチルシクロヘキサン−2,4−ジイルジイソシアナート(水添TDI)、2,5−又は2,6−ビス(イソシアナトメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(ノルボルナンジイソシアネート)等の脂環式ポリイソシアネート;
トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、p−フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;
キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等の芳香族−脂肪族ポリイソシアネート;
これらのポリイソシアネートの変性物(ウレタン化物、カーボジイミド、ウレトジオン、ウレトンイミン、ビューレット及び/又はイソシアヌレート変性物)などが挙げられる。これらのポリイソシアネートは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
ブロック剤としては、例えば、
ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、β−プロピオラクタム等のラクタム系ブロック剤;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル系ブロック剤;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル系ブロック剤などのグリコールエーテル系ブロック剤などが挙げられる。
ブロック剤としては、上記ラクタム系ブロック剤及びグリコールエーテル系ブロック剤以外にも、他の活性水素含有ブロック剤を併用することができる。
上記他の活性水素含有ブロック剤としては、例えば、
フェノール、クレゾール、キシレノール、クロロフェノール、エチルフェノール等のフェノール系ブロック剤;
アセト酢酸エチル、アセチルアセトン等の活性メチレン系ブロック剤;
メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アミルアルコール、ベンジルアルコール、グリコール酸メチル、グリコール酸ブチル、ジアセトンアルコール、乳酸メチル、乳酸エチル、2−エチルヘキサノール等のアルコール系ブロック剤;
ホルムアルドキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトオキシム、ジアセチルモノオキシム、シクロヘキサンオキシム等のオキシム系ブロック剤;
ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノール等のメルカプタン系ブロック剤;
酢酸アミド、ベンズアミドなどの酸アミド系ブロック剤;
コハク酸イミド、マレイン酸イミド等のイミド系ブロック剤;
イミダゾール、2−エチルイミダゾール等のイミダゾール系ブロック剤;
ピラゾール系ブロック剤;
トリアゾール系ブロック剤などが挙げられる。
上記ブロック剤は、上記ブロックイソシアネートの調製において、一般に上記ポリイソシアネートのイソシアネート基と等モル使用される。
ブロックイソシアネートとしては、オキシム系ブロック剤又はピラゾール系ブロック剤でブロック化されたHDIが好ましい。
(b)ブロックイソシアネートの樹脂成分全体における含有率の下限としては、20質量%であり、25質量%が好ましく、30質量%がより好ましく、35質量%がさらに好ましい。上記含有率の上限としては、60質量%であり、45質量%が好ましく、40質量%がより好ましい。上記含有率が上記下限未満であると、塗膜の硬度や付着性が低下するおそれがある。逆に、上記含有率が上記上限を超えると、耐チッピング性が低下するおそれがある。
(a)ポリカプロラクトントリオールのOH基に対する(b)ブロックイソシアネートのイソシアネート基のモル比(以下「NCO/OH比」ともいう)の下限としては、0.5が好ましく、0.6がより好ましく、0.8がさらに好ましい。NCO/OH比の上限としては、2.5が好ましく、1.8がより好ましく、1.5がさらに好ましい。NCO/OH比が上記下限未満であると、塗膜の硬度や付着性が低下するおそれがある。逆に、NCO/OH比が上記上限を超えると、外観が悪化するおそれがある。また、NCO/OH比を上記範囲に設定することで、低温における抗張力の値を好適化することができ、チッピング時の剥離面積を減少させるのに有効である。
<(c)メラミン樹脂>
(c)メラミン樹脂は、メラミンとアルデヒドとから合成される熱硬化性の樹脂である。(c)メラミン樹脂としては、例えばメチル化メラミン樹脂、ブチル化メラミン樹脂、メチル化/ブチル化メラミン樹脂等が挙げられる。
(c)メラミン樹脂としては、市販品を使用することもできる。(c)メラミン樹脂の市販品としては、例えば日本サイテック社の「サイメル303」、「サイメル254」、三井化学社の「ユーバン128」、「ユーバン20N60」、住友化学社の「スミマールシリーズ」等が挙げられる。
(c)メラミン樹脂の樹脂成分全体における含有率の下限としては、1質量%であり、1.5質量%が好ましく、2.5質量%がより好ましい。一方、上記含有率の上限としては、20質量%であり、17質量%が好ましく、15質量%がより好ましい。上記含有率が上記下限未満であると、低温焼き付けの際に塗膜の硬度が低下するおそれがある。逆に、上記含有率が上記上限を超えると、耐チッピング性が低下し塗膜の剥離が起こるおそれがある。
<(d)リン酸系化合物>
(d)リン酸系化合物は、リン酸基を有する化合物であり、いわゆるリン酸系触媒として周知のものが好適に用いられる。(d)リン酸系化合物は、ブロックイソシアネートのブロック剤の解離を抑制する。(d)リン酸系化合物は、リン酸基がブロック剤によりブロックされていてもよいが、より確実にブロックイソシアネートのブロック剤の解離抑制効果を発揮させる観点から、リン酸系化合物のリン酸基がブロックされていないことが好ましい。なお、(d)リン酸系化合物のリン酸基がブロックされている場合、加熱等によりリン酸基をブロックしているブロック剤を解離させ、遊離のリン酸基を再生させる。
(d)リン酸系化合物としては、例えば2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、モノ−又はジ−イソデシルアシッドホスフェート、モノ−又はジ−トリデシルアシッドホスフェート、モノ−又はジ−ラウリルアシッドホスフェート、モノ−又はジ−ノニルフェニルアシッドホスフェート等のアルキルリン酸、リン酸基を有するポリマーなどが挙げられる。
(d)リン酸系化合物の酸価の下限としては、100mgKOH/gが好ましく、150mgKOH/gがより好ましく、200mgKOH/gがさらに好ましく、300mgKOH/gが特に好ましい。一方、(d)リン酸系化合物の酸価の上限としては、例えば1000mgKOH/gである。(d)リン酸系化合物の酸価が上記下限より小さいと、ブロックイソシアネートのブロック剤の解離抑制効果が不十分となり、中塗り層の外観向上作用が得られ難いおそれがある。なお、酸価とは、JIS−K0070:1992に準拠して測定される値である。
(d)リン酸系化合物の上記樹脂成分全体100質量部に対する含有量の下限としては、0.1質量部であり、0.2質量部が好ましく、0.3質量部がより好ましい。一方、上記含有量の上限としては、5質量部であり、3質量部が好ましく、1質量部がより好ましい。上記含有量が上記下限より小さいと、ブロックイソシアネートのブロック剤の解離抑制効果が不十分となり、中塗り層の外観向上作用が得られ難いおそれがある。一方、上記含有量が上記上限を超えると、当該中塗り塗料組成物の耐チッピング性等の機能が得られ難くなるおそれがある。
(b)ブロックイソシアネートに対する(d)リン酸系化合物の含有量の質量比の下限としては、0.001が好ましく、0.005がより好ましく、0.010がさらに好ましい。一方、上記質量比の上限としては、0.2が好ましく、0.1がより好ましく、0.05がさらに好ましい。上記質量比が上記下限より小さいと、ブロックイソシアネートのブロック剤の解離抑制効果が不十分となり、中塗り層の外観向上作用が得られ難いおそれがある。一方、上記質量比が上記上限を超えると、ブロックイソシアネートのブロック剤が解離し難くなり、耐チッピング性が不十分となるおそれがある。
<(e)タルク>
(e)タルクは、顔料としての役割を果たすものである。当該中塗り塗料組成物が層状構造を有するタルクを含有することで、中塗り層の強靱性を向上することができ、その結果、耐チッピング性を促進することができる。この(e)タルクとしては、特に限定されず、例えばSタルク、PSタルク等の公知のものが挙げられる。
(e)タルクの平均粒子径としては、通常1μm以上10μm以下であり、5μm程度が好ましい。上記平均粒子径が上記範囲であることで、塗膜の外観の悪化をより抑制することができる。上記平均粒子径が1μm未満であると、タルクによる耐チッピング性の向上効果が不十分となるおそれがある。逆に、上記平均粒子径が10μmを超えると、外観が悪化するおそれがある。なお、(e)タルクの平均粒子径とは、レーザー回折散乱法により測定される体積分布から導かれるメディアン径である。
(e)タルクの顔料質量濃度の下限としては、1質量%が好ましく、1.5質量%が好ましく、2質量%がより好ましい。上記顔料質量濃度の上限としては、10質量%が好ましく、6質量%が好ましく、4.5質量%がより好ましい。上記顔料質量濃度が上記下限未満であると、耐チッピング性が低下し塗膜の剥離が起こるおそれがある。逆に、上記顔料質量濃度が上記上限を超えると、塗膜の付着性が低下するおそれがある。また、当該中塗り塗料組成物の加熱残量(NV)が低下して平滑性が悪化するおそれがある。ここで、「顔料質量濃度」とは、顔料の質量×100/(顔料分全体の質量+樹脂成分全体の固形分換算での質量)で算出される値(質量%)をいう。
<(f)エポキシ樹脂>
(f)エポキシ樹脂は、エポキシ基を含有する樹脂である。当該中塗り塗料組成物にエポキシ樹脂を含有させることで塗膜の耐チッピング性及び耐水性をより向上させることができる。(f)エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールとエピクロルヒドリンとの反応によって得られるビスフェノール型エポキシ樹脂等が挙げられる。ビスフェノールとしては、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF等が挙げられる。上記ビスフェノール型エポキシ樹脂の市販品としては、例えばシェルケミカル社の「エピコート828」、「エピコート1001」、「エピコート1004」、「エピコート1007」、「エピコート1009」等が挙げられる。また、(f)エポキシ樹脂としては、鎖延長剤を用いてこれらのエポキシ樹脂を鎖延長したものも用いることができる。
(f)エポキシ樹脂の樹脂成分全体における含有率としては、0質量%超が好ましい。また、上記含有率の下限としては、5質量%がより好ましい。上記含有率の上限としては、10質量%がより好ましい。上記含有率が上記下限未満であると、塗膜の動的Tgが上昇し、耐チッピング性が不十分となるおそれがある。逆に、上記含有率が上記上限を超えると、低温硬化性が低下する場合がある。
<(g)ポリエステル>
(g)ポリエステルは、主鎖にエステル結合を有する樹脂である(但し、(a)ポリカプロラクトントリオールに該当するものを除く)。当該中塗り塗料組成物にポリエステルを含有させることで塗装適性及び顔料の分散性を向上させることができる。(g)ポリエステルとしては、例えば飽和ポリエステル、不飽和ポリエステル等が挙げられる。このような(g)ポリエステルは、例えば多塩基酸と多価アルコールとを加熱縮合して得ることができる。多塩基酸としては、例えば飽和多塩基酸又はその無水物、不飽和多塩基酸又はその無水物等が挙げられる。飽和多塩基酸及びその無水物としては、例えば無水フタル酸、テレフタル酸、コハク酸等が挙げられる。不飽和多塩基酸及びその無水物としては、例えばマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。多価アルコールとしては、例えば2価アルコール、3価アルコール等が挙げられる。2価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール等が挙げられる。3価アルコールとしては、例えばグリセリン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
(g)ポリエステルの数平均分子量の下限としては、500が好ましく、800がより好ましい。上記数平均分子量の上限としては、6,000が好ましく、5,000がより好ましい。
(g)ポリエステルの樹脂成分全体における含有率の下限としては、20質量%が好ましく、35質量%がより好ましい。上記含有率の上限としては、70質量%が好ましく、55質量%がより好ましい。
<(h)ウレタン硬化触媒>
(h)ウレタン硬化触媒は、(a)ポリカプロラクトントリオール及び(c)メラミン樹脂と(b)ブロックイソシアネートとのウレタン結合生成反応を促進する物質である。(h)ウレタン硬化触媒としては、例えばビスマス系化合物、アルミニウム系化合物、スズ系化合物、亜鉛系化合物等が挙げられる。
上記ビスマス系化合物としては、例えばビス(アセチルアセトン)ビスマス、2−エチルヘキサン酸ビスマス、ネオデカン酸ビスマス、サリチル酸ビスマス等が挙げられる。
上記アルミニウム系化合物としては、例えばアルミニウムトリアセチルアセトネート、アルミニウムトリアセトアセテート等が挙げられる。
上記スズ系化合物としては、例えばジメチルスズジラウレート、ジブチルスズジラウレート、ジメチルスズクロリド、ジブチルスズクロリド、ジn−オクチルスズジラウレート等が挙げられる。
上記亜鉛系化合物としては、例えば亜鉛アセチルアセトナート、プロピオン酸亜鉛、オクタン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛、ネオデカン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、リノール酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、安息香酸亜鉛、サリチル酸亜鉛等が挙げられる。
(h)ウレタン硬化触媒の上記樹脂成分全体100質量部に対する含有量は、0.01質量部超が好ましい。また、上記含有量の下限としては、0.02質量部が好ましく、0.2質量部がより好ましい。上記含有量の上限としては、2質量部が好ましく、1質量部がより好ましい。上記含有量が上記下限未満であると、低温硬化性が低下するおそれがある。逆に、上記含有量が上記上限を超えると、塗膜の外観が悪化するおそれがある。
<その他の任意成分>
その他の任意成分としては、例えば樹脂成分として、(a)成分〜(c)成分、(f)成分及び(g)成分以外の他の樹脂、(e)成分以外の他の顔料分、沈降防止剤等が挙げられる。
他の樹脂としては、(a)成分以外のポリオール、アクリル樹脂等のポリマーなどが挙げられる。
他の顔料分としては、例えばチタン白、カーボンブラック、酸化鉄等の無機顔料;各種有機顔料;沈降性硫酸バリウム等の体質顔料などが挙げられる。他の顔料分の顔料質量濃度の下限としては、20質量%が好ましく、30質量%がより好ましい。顔料質量濃度の上限としては、70質量%が好ましく、60質量%がより好ましい。他の顔料分の顔料質量濃度を上記範囲とすることで、中塗り層の強度、耐候性等を向上し、耐チッピング性を促進できる。上記沈降防止剤としては、ポリエチレン系、ポリアマイド系等の公知の沈降防止剤等が挙げられる。
また、当該中塗り塗料組成物は、水系塗料及び有機溶媒系塗料のいずれとして用いてもよい。当該中塗り塗料組成物を有機溶媒系塗料として用いる場合、有機溶媒として、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ミネラルスピリット等の脂肪族炭化水素;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;メチルエチルケトン等のケトン類などの有機溶媒の1種又は2種以上を含有させることができる。
<複層塗膜の形成方法>
本発明の複層塗膜の形成方法は、自動車の車両外板の他、耐チッピング性が要求されるバイク、フォークリフト、重機等の他の車両外板、自動車部品などの形成に適用できる。以下、自動車の車両外板を構成する複層塗膜の形成方法を例にとって説明する。ただし、当該複層塗膜の形成方法は、以下で説明する方法には限定されるものではない。
本発明の複層塗膜の形成方法は、電着塗膜形成工程、中塗り層形成工程、及び上塗り層形成工程を含む。
[電着塗膜形成工程]
電着塗膜形成工程は、公知の電着塗装を行った後に焼き付けを行うことで実現できる。
(電着塗装)
電着塗装は、電着塗料中に被塗材を浸漬し、これらの間を通電することで荷電を有する樹脂成分を被塗材に析出させる方法である。
被塗材としては、鋼板等が用いられる。また、被塗材に電着塗装を行う前に、被塗材にめっき処理又は化成処理を施してもよく、被塗材にめっき処理を施した後に化成処理を施すことが好ましい。化成処理としては、例えばリン酸鉄/亜鉛系化成剤を用いる方法が挙げられる。めっき処理としては、例えば亜鉛めっき処理等が挙げられる。
電着塗料は、樹脂成分を水に溶解又は分散させた水溶性塗料又は水分散形塗料である。この電着塗料は、樹脂成分が酸性樹脂の場合、アンモニア、アミン、無機アルカリ等の塩基で中和してこれを水に溶解又は分散させることで調製できる。一方、樹脂成分が塩基性樹脂の場合、電着塗料は、酢酸、乳酸、ほう酸、リン酸等の酸で中和して水に溶解又は分散させることで調製できる。
電着塗料としては、アニオン型樹脂系塗料、カチオン型樹脂系塗料のいずれも使用できるが、防食性の観点からカチオン型樹脂系塗料が好ましい。
電着塗料の樹脂成分としては、例えば乾性油、ポリブタジエン等の液状ゴム系樹脂、マレイン化油樹脂、マレイン化ポリブタジエン、アミンエポキシ化ポリブタジエン;樹脂状ポリオールの脂肪酸エステル樹脂、又はその変性誘導体(例えばエポキシ化体、エステル化体);アルキド樹脂;アクリル樹脂などが挙げられる。
電着塗料には、メラミン樹脂、ブロックイソシアネート等の架橋剤、顔料、溶剤等の常用の添加剤を適宜配合することができる。
電着塗装の条件は、後述する焼き付け後の電着塗膜の膜厚が10μm以上40μm以下になるように設定することが好ましく、通常、印加電圧が200V以上300V以下、印加時間が90秒以上300秒以下である。もちろん、電着塗装の条件は、使用する電着塗料の種類、析出膜の目標膜厚等に応じて適宜設定すればよい。なお、「膜厚」とは、JIS−K5600−1−7:1999(「塗料一般試験方法−第1部:通則−第7節:膜厚」)に準じて測定した値である。以下において「膜厚」という場合も同様である。
(焼き付け)
電着塗装後の焼き付けは、電着塗料の樹脂成分を被塗材に固着できればよく、常法に準じて行えばよい。
[中塗り層形成工程]
中塗り層形成工程は、電着塗膜表面に直接中塗り塗料を塗布し、必要に応じて焼き付けを行うことで実現できる。
中塗り塗料としては、上述した当該中塗り塗料組成物が使用される。この中塗り塗料組成物は、そのまま中塗り塗料として使用してもよいし、溶媒で希釈して中塗り塗料として使用してもよい。当該中塗り塗料組成物は、(a)ポリカプロラクトントリオール、(b)ブロックイソシアネート、(c)メラミン樹脂及び(d)リン酸系化合物を含有し、好適成分として、樹脂成分としての(f)エポキシ樹脂及び(g)ポリエステル、顔料としての(e)タルク、その他の成分としての(h)ウレタン硬化触媒等を含有する。この中塗り塗料組成物の詳細は、上述した通りであるので、ここでの重複説明は省略する。
中塗り塗料の塗布は、通常、乾燥後の中塗り層の膜厚が5μm以上60μm以下になるように行われる。このような中塗り塗料の塗布は、霧化式塗装機等の公知の塗布機を用いて行うことができる。霧化式塗装機としては、例えばエアースプレー塗装機、エアレススプレー塗装機、エアー霧化式静電塗装機、回転式静電塗装機等が挙げられる。
中塗り塗料の塗布後の焼き付けは、常法に準じて行えばよい。例えば、焼き付け温度としては130℃以上160℃以下、焼き付け時間としては10分以上60分以下の条件において行うことが好ましい。また、中塗り層形成工程での焼き付けを省略し、ウェットオンウェット方式で中塗り塗料上に後述する上塗り塗料を塗布するようにしてもよい。
[上塗り層形成工程]
上塗り層形成工程は、中塗り層(又は中塗り塗料)上に上塗り塗料を塗布した後に焼き付けを行うことで実現できる。
この上塗り層形成工程は、ベース層のみの単層として形成する場合、上塗り塗料を塗布した後に焼き付けを行う。
この場合の上塗り塗料としては、公知の上塗りソリッド塗料、例えばアクリル樹脂、ポリエステル、フッ素樹脂等の樹脂成分、着色顔料等を含有するものが使用できる。単層の上塗り層の焼き付け後の膜厚は、通常2μm以上60μm以下とされる。
また、上塗り層を2層として形成する場合、ソリッド塗料の塗布後にクリヤ塗料をウェットオンウェット方式で塗布し、ソリッド塗料及びクリヤ塗料の焼き付けを同時に行う。
なお、中塗り層形成工程において焼き付けを行っていない場合、上塗り層形成工程における焼き付けにより、中塗り塗料も同時に焼き付けられる。例えば、焼き付け温度としては130℃以上160℃以下、焼き付け時間としては10分以上60分以下の条件において行うことが好ましい。
このような複層塗膜形成方法によれば、中塗り層が当該中塗り塗料組成物を用いて形成されるため、耐チッピングプライマーの塗布を行わなくとも、耐チッピング性を確保できる複層塗膜を形成できる。
<複層塗膜>
上記複層塗膜形成方法で得られる複層塗膜は、車両外板を構成する被塗材に形成されるものである。上記複層塗膜は、被塗材表面に形成される電着塗膜、この電着塗膜表面に直接積層される中塗り層、及びこの中塗り層表面に積層される上塗り層を備える。上記複層塗膜は、自動車の車両外板の他、耐チッピング性が要求されるバイク、フォークリフト、重機等の他の車両外板、自動車部品などに適用できる。
(被塗材)
被塗材としては、特に制限はなく、塗装板の用途等に応じて選択すればよい。例えば塗装板が自動車の車両外板の場合、被塗材としては、例えば鋼板、亜鉛等のめっき処理や化成処理を施した鋼板が挙げられる。自動車の車両外板用の被塗材としては、めっき処理後に化成処理を施したものが好ましい。
(電着塗膜)
電着塗膜は、主として防食性を確保するものである。この電着塗膜の組成等は、車両外板に要求される特性等に応じて選択すればよい。
電着塗膜の主成分としては、例えば乾性油、ポリブタジエン等の液状ゴム系樹脂、マレイン化油樹脂、マレイン化ポリブタジエン、アミンエポキシ化ポリブタジエン;樹脂状ポリオールの脂肪酸エステル樹脂、又はその変性誘導体(例えばエポキシ化体、エステル化体);アルキド樹脂;アクリル樹脂などが挙げられる。
電着塗膜は、メラミン樹脂、ブロックイソシアネート等の架橋剤、顔料等の公知の添加剤を含有していてもよい。
電着塗膜の膜厚は、通常10μm以上40μm以下である。電着塗膜の膜厚をこのような範囲とすることで、防食性を好適に確保できる。
(中塗り層)
中塗り層は、主として平滑性及び耐チッピング性を確保するものである。この中塗り層は、上述した中塗り塗料組成物を用いて形成される。すなわち、中塗り層は、(a)ポリカプロラクトントリオール、(b)ブロックイソシアネート、(c)メラミン樹脂及び(d)リン酸系化合物を含有する。中塗り層は、(e)タルク、(f)エポキシ樹脂、(g)ポリエステル、(h)ウレタン硬化触媒等をさらに含有していてよい。これらの成分の含有率又は含有量は、中塗り塗料組成物として上述した範囲と同様な範囲が好ましい。また、中塗り層は、上塗り層との組み合わせで意匠性を発揮するために着色顔料を含有してもよい。
中塗り層の膜厚としては、5μm以上60μm以下が好ましい。中塗り層の膜厚が5μm未満であると平滑性及び耐チッピング性を確保できないおそれがある。一方、中塗り層の膜厚が60μmを超えると、例えば上塗り層をウェットオンウェットで形成する場合、中塗り層の塗料と上塗り層の塗料とが混ざり合い、平滑性を確保できないおそれがある。
中塗り塗料組成物の塗膜は、半分硬化状態(例えば140℃で5分間加熱後の状態)で、表面切削法(SAICAS)を用いて計測される厚さ方向の切削強度に特異点(ピーク)を有さないことが好ましい。
(上塗り層)
上塗り層は、平滑性及び耐食性を確保するものであり、必要に応じて、多彩模様を付与し、光学的効果等の視覚的効果を与える。
この上塗り層は、単層として形成しても複数層として形成してもよい。上塗り層の層数は、塗装板の用途等に応じて選択すればよい。例えば自動車の車両外板の場合、上塗り層の層数は、一般に1層又は2層とされる。
上塗り層を単層として形成する場合、この上塗り層には、例えば樹脂成分、着色顔料等が含有される。樹脂成分としては、公知の上塗りソリッド塗料に配合される樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリエステル、フッ素樹脂等が挙げられる。着色顔料は、公知の着色顔料から適宜選択される。上塗り層の膜厚は、通常2μm以上60μm以下である。
上塗り層を2層として形成する場合、この上塗り層は、例えばベース層及びクリヤ層を含む。ベース層は、基本的に単層の上塗り層と同様である。クリヤ層は、透明層であり、ベース層を保護する。このクリヤ層は、例えば樹脂成分としてフッ素樹脂を含有する。
このような複層塗膜によれば、中塗り層が当該中塗り塗料組成物を用いて形成されているため、耐チッピングプライマーの塗布を行わなくとも、耐チッピング性を確保できる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例において「部」とは「質量部」を表す。
<中塗り塗料組成物の調製>
実施例及び比較例の中塗り塗料組成物の調製に用いた各成分を以下に示す。
[(a)成分]
ポリカプロラクトントリオール:ダイセル社の「プラクセルL320AL」
[(b)成分]
ブロックイソシアネートA:Bayer社の「DESMODUR BL3175A」
ブロックイソシアネートB:Bayer社の「DESMODUR PL350 MPA/SN」
[(c)成分]
メラミン樹脂:日本サイテックインダストリーズ社の「サイメル202」
[(d)成分]
リン酸系化合物A:キングインダストリーズ社の「NACURE4000」 酸価650mgKOH/g
リン酸系化合物B:キングインダストリーズ社の「NACURE4054」 酸価160mgKOH/g
リン酸系化合物C:Lanxess Deutschland GmbH社の「バイソルベックス D2EHPA」 酸価266mgKOH/g
リン酸系化合物D:リン酸基含有アクリル樹脂A 酸価134mgKOH/g
リン酸系化合物E:リン酸基含有アクリル樹脂B 酸価174mgKOH/g
リン酸系化合物F:キングインダストリーズ社の「NACURE4167」(アミンブロックリン酸系化合物)
[他の触媒]
スルホン酸系化合物:キングインダストリーズ社の「NACURE2500」
[(e)成分]
タルク:富士タルク工業社の「LMR−100」
[(f)成分]
エポキシ樹脂:ダウケミカル日本社の「DER−331」
[(g)成分]
ポリエステルA:下記製造例1により合成したポリエステル
ポリエステルB:下記製造例2により合成したポリエステル
[他の樹脂成分]
ポリカプロラクトンジオール:ダイセル社の「プラクセル205」
[(h)成分]
ウレタン硬化触媒:KING社の「K−KAT348」
[他の顔料分]
チタン白:石原産業社の「チタンCR97」
カーボンブラック:三菱化学社の「カーボンMA−100」
沈降性硫酸バリウム:TOR MINERALS international inc.の「BARTEX OWT」
<製造例1>ポリエステルAの合成
温度計、攪拌機、冷却管、窒素導入管、水分離機、精留塔を備えた反応槽に、イソフタル酸45.5部、アジピン酸17.1部、トリメチロールプロパン10.0部、ネオペンチルグリコール35.9部、バーサティック酸グリシジルエステル(シェル社の「カージュラE」)5.0部、及びジブチル錫オキサイド0.3部を仕込み加熱し、210℃まで昇温した。ただし、160℃から210℃までは、3時間かけて一定昇温速度で昇温した。生成する縮合水は系外へ留去した。反応槽が210℃に達したところで保温し、保温1時間後、反応槽内に還流溶剤として酢酸イソブチル47.8部を徐々に添加し、溶剤存在下での縮合に切り替え反応を続けた。その後、反応槽を150℃まで冷却し、ε−カプロラクトン11.4部を加え150℃で2時間保温した後、100℃まで冷却した。これにより、数平均分子量3050、酸価8.0mgKOH/g(固形分)、水酸基価92mgKOH/g(固形分)の不揮発分75%のワニスを得た。なお、数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、ポリスチレン分子量を標準として換算することにより求めている。
<製造例2>ポリエステルBの合成
温度計、攪拌機、冷却管、窒素導入管、水分離機、精留塔を備えた反応槽に、イソフタル酸18.4部、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル7.2部、トリメチロールプロパン21.3部、ネオペンチルグリコール18.0部、ヘキサヒドロ無水フタル酸25.8部、バーサティック酸グリシジルエステル(シェル社の「カージュラE」)9.4部、及びジブチル錫オキサイド0.02部を仕込み加熱し、210℃まで昇温した。ただし、160℃から210℃までは、3時間かけて一定昇温速度で昇温した。生成する縮合水は系外へ留去した。反応槽が210℃に達したところで保温し、保温1時間後、反応槽内に還流溶剤として酢酸イソブチル26.4部を徐々に添加し、溶剤存在下での縮合に切り替え反応を続けた。その後、反応槽を150℃まで冷却し、ε−カプロラクトン11.4部を加え150℃で2時間保温した後、100℃まで冷却した。これにより、数平均分子量1310、酸価8.7mgKOH/g(固形分)、水酸基価210mgKOH/g(固形分)の不揮発分78.5%のワニスを得た。なお、数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、ポリスチレン分子量を標準として換算することにより求めている。
<製造例3>リン酸基含有アクリル樹脂Aの合成
反応容器にメトキシプロパノール23部を加え、窒素気流中で混合撹拌しながら120℃に昇温した。次いで、メトキシプロパノール7部にアシッドホスホオキシヘキサ(オキシプロピレン)モノメタクリレート(ユニケミカル社の「ホスマーPP」)15部を溶解した溶液22部と、アクリル酸2−エチルヘキシル12.3部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル7.0部、メタクリル酸ラウリル7.5部、スチレン4.4部、及びメタクリル酸3.8部の混合物と、メトキシプロパノール4.5部、及びアゾビスイソブチロニトリル0.9部からなる開始剤溶液とを3時間にわたり並行して反応容器内に滴下した。滴下終了後、0.5時間同温度で熟成を行った。さらにメトキシプロパノール0.5部、及びアゾビスイソブチロニトリル0.5部からなる開始剤溶液を0.5時間にわたり反応容器内に滴下した。滴下終了後、1.5時間同温度で熟成を行った後、メトキシプロパノール13.7部を加え、固形分50質量%、酸価134mgKOH/g(固形分)、水酸基価60mgKOH/g、数平均分子量5000のリン酸基含有アクリル樹脂Aを得た。
<製造例4>リン酸基含有アクリル樹脂Bの合成
反応容器にメトキシプロパノール31.2部を加え、窒素気流中で混合撹拌しながら120℃に昇温した。次いで、メトキシプロパノール10.5部にアシッドホスホオキシヘキサ(オキシプロピレン)モノメタクリレート(ユニケミカル社の「ホスマーPP」)12部を溶解した溶液22.5部と、アクリル酸2−エチルヘキシル4.8部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル7.0部、メタクリル酸ラウリル7.5部、スチレン4.4部、及びメタクリル酸3.8部の混合物と、メトキシプロパノール4.5部、及びアゾビスイソブチロニトリル0.9部からなる開始剤溶液とを3時間にわたり並行して反応容器内に滴下した。滴下終了後、0.5時間同温度で熟成を行った。さらにメトキシプロパノール0.5部、及びアゾビスイソブチロニトリル0.5部からなる開始剤溶液を0.5時間にわたり反応容器内に滴下した。滴下終了後、1.5時間同温度で熟成を行った後、メトキシプロパノール5.5部を加え、固形分50質量%、酸価174mgKOH/g(固形分)、水酸基価60mgKOH/g、数平均分子量6000のリン酸基含有アクリル樹脂Bを得た。
[実施例1]
樹脂成分として、(a)成分としてのポリカプロラクトントリオール6質量%(樹脂固形分全体における含有率)、(b)成分としてのブロックイソシアネートA27.2質量%(樹脂固形分全体における含有率)及びブロックイソシアネートB11.6質量%(樹脂固形分全体における含有率)、(c)成分としてのメラミン樹脂5質量%(樹脂固形分全体における含有率)、(f)成分としてのエポキシ樹脂6.5質量%(樹脂固形分全体における含有率)、並びに(g)成分としてのポリエステルA21.6質量%(樹脂固形分全体における含有率)及びポリエステルB22.1質量%(樹脂固形分全体における含有率)と、(e)成分としてのタルク3質量%(顔料質量濃度)、他の顔料分としてのチタン白31.97質量%(顔料質量濃度)、カーボンブラック0.2質量%(顔料質量濃度)及び沈降性硫酸バリウム12.79質量%(顔料質量濃度)と、(d)成分としてのリン酸系化合物A0.5質量部(樹脂固形分全体100質量部に対する含有量)と、(h)成分としてのウレタン硬化触媒0.5質量部(樹脂固形分全体100質量部に対する含有量)とを混合攪拌し、実施例1の中塗り塗料組成物を調製した。ここで、(a)成分中のOH基に対する(b)成分中のNCO基のモル比(NCO/OH比)は1となる。
[実施例2〜8及び比較例1〜17]
下記表1及び表2に記載の種類及び配合量の各成分を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例2〜8及び比較例1〜17の中塗り塗料組成物を調製した。各中塗り塗料組成物の調製におけるNCO/OH比の値も表1に合わせて示す。
<複層塗膜の形成>
実施例1〜8及び比較例1〜17の中塗り塗料組成物を用い、以下の方法にて複層塗膜を形成した。
GA鋼板(合金化溶融亜鉛めっき鋼板)に、カチオン電着塗料組成物(日本ペイント社の「パワーニックス1010」)を乾燥塗膜の膜厚が15μmとなるように電着塗装し、170℃で20分間加熱した後冷却して、硬化電着塗膜を形成した。
次いで、硬化電着塗膜の上に、室温で中塗り塗料組成物をエアースプレー塗装により膜厚が35μmになるように塗装した後、140℃で30分硬化させた。この中塗り塗膜上に上塗り塗料組成物としてのベース塗料組成物(日本ペイント社の「アクアレックスAR−2000」)をエアースプレー塗装により膜厚が15μmになるように塗装した後、80℃で3分間プレヒートを行った。さらに、ベース塗料組成物の塗膜の上に、上塗り塗料組成物としてのクリヤ塗料組成物(日本ペイント社の「マックフローO−1830」)をエアースプレー塗装により膜厚が35μmとなるように塗装した後、140℃で30分間加熱硬化を行うことで複層塗膜を有する試験片を得た。
なお、中塗り塗料組成物、ベース塗料組成物及びクリヤ塗料組成物は、下記希釈溶媒を用い、所定の粘度となるように希釈して塗装に用いた。
<中塗り塗料組成物>
希釈溶媒は、酢酸イソブチル/n−ペンチルプロピオネートの体積比が1/1の混合溶剤を用いて、フォードカップ粘度計(No.4カップ)で測定した粘度(20℃)が35秒となるように希釈した。
<上塗り塗料組成物>
[ベース塗料組成物]
希釈溶媒は、イオン交換水を用いて、フォードカップ粘度計(No.4カップ)で測定した粘度(20℃)が45秒となるように希釈した。
[クリヤ塗料組成物]
希釈溶媒は、EEP(エトキシエチルプロピオネート)/S150(エクソン社の芳香族炭化水素溶剤)との体積比が1/1の混合溶剤を用いて、フォードカップ粘度計(No.4カップ)で測定した粘度(20℃)が28秒となるように希釈した。
<評価>
実施例1〜8及び比較例1〜17の中塗り塗料組成物、及びこれらの中塗り塗料組成物を用いて中塗り層を形成した試験片について、下記方法により評価した。評価結果を表1に合わせて示す。
[耐チッピング性]
グラベロテスター試験機(スガ試験機社)を用いて、6号砕石300gを35cmの距離から5kgf/cmの空気圧で、試験片の複層塗膜に90°の角度で衝突させた。水洗乾燥後、工業用ガムテープ(ニチバン社)を用いて剥離した塗膜片を除去し、その後、塗膜のハガレの程度を目視により観察した。耐チッピング性は、塗膜及び亜鉛めっき層のハガレの状態により、以下の評価基準にて評価した。下記6段階評価中A評価を合格とした。
A:優秀(塗膜のハガレが全くない)
B:良好(わずかに塗膜のハガレが認められる)
C:普通(1mmφ以下の塗膜のハガレが散見される)
D:やや不良(塗膜のハガレが目立つ)
E:不良(塗膜のハガレの面積が大きい)
F:亜鉛めっき層剥離
[低温硬化性]
ポリプロピレン板に乾燥膜厚が40μmとなるよう中塗り塗料をバーコーターで塗布した後、130℃で30分加熱硬化させた中塗り塗膜を形成した。この中塗り塗膜をポリプロピレン板から剥離した単独塗膜について、ソックスレー抽出器で、アセトンを3時間加熱還流させた前後での塗膜質量を測定し、下記式によりゲル分率を求めた。
ゲル分率(%)=(抽出後の塗膜質量/抽出前の塗膜質量)×100
低温硬化性は、以下の基準で評価した。下記5段階評価中B評価以上を合格とした。
A:ゲル分率が95%以上
B:ゲル分率が90%以上95%未満
C:ゲル分率が85%以上90%未満
D:ゲル分率が80%以上85%未満
E:ゲル分率が80%未満
[中塗り塗膜単膜硬度]
低温硬化性試験で作製した中塗り塗膜について、三菱鉛筆社の「ハイユニ」を使用し、JIS−K−5600−5−4:1999「鉛筆引っかき値」に準じて鉛筆硬度を測定した。単膜硬度は、以下の基準で評価した。下記3段階評価中B評価以上を合格とした。
A:B以上
B:2B
C:3B以下
[複層塗膜外観]
得られた複層塗膜の外観を以下の基準で塗膜表面を目視で評価した。下記3段階評価中B評価以上を合格とした。
A:平滑性良好
B:やや平滑性不良
C:平滑性不良
[中塗り塗膜単独外観]
予め硬化させた電着塗膜を形成した板上に中塗り塗料を手吹き又は自動機により、膜厚を30μm〜100μmの範囲で徐々に変えながら楔形(傾斜状)に塗装した後、140℃で30分加熱硬化させた塗膜の表面にしわが発生しない中塗り塗膜形成厚さの最大値を計測した。この中塗り塗膜形成厚さの最大値について、以下の基準で評価した。下記3段階評価中B評価以上を合格とした。
A:80μm超
B:70μm超80μm以下
C:70μm以下
[NV評価]
中塗り塗料組成物(約1g)の質量を測定後、この試料を110℃オーブンにて60分間乾燥させた。次いで、乾燥後の中塗り塗料組成物の質量を測定した。乾燥後の試料の質量を乾燥前の試料の質量で除して100を乗じた値を固形分濃度(NV)(%)とし、以下の基準で評価した。下記3段階評価中B評価以上を合格とした。
A:60%以上
B:50%以上60%未満
C:50%未満
Figure 2017025241
Figure 2017025241
表1及び表2の結果から、実施例1〜8の中塗り塗料組成物は、耐チッピングプライマーを使用することなく、耐チッピング性に優れ、かつ中塗り層の外観にも優れる塗膜を形成できることが示された。
<リン酸系化合物による効果の検証>
次に、上記実施例1の中塗り塗料組成物と、上記実施例3の中塗り塗料組成物と、上記比較例3の中塗り塗料組成物とを用い、ブライト(みがき)鋼板に乾燥膜厚が35μmとなるよう中塗り塗料をバーコーターで塗布した。その後、温度を3℃/分で上昇させながら、剛体振子自由減衰振動法(FDOM)で塗膜の振動周期[s]を測定した。その結果を図1に示す。
図1に示すように、比較例3に対し、リン酸系化合物を含有する実施例1及び3は硬化開始温度が上昇していることがわかる。
本発明の中塗り塗料組成物及び複層塗膜の形成方法によれば、耐チッピングプライマーを使用することなく、耐チッピング性に優れ、かつ中塗り層の外観にも優れる複層塗膜を形成できる。

Claims (8)

  1. 車両外板を構成する電着塗膜表面に直接積層される中塗り層の形成に用いられる中塗り塗料組成物であって、
    樹脂成分として、樹脂成分全体における含有率が1質量%以上27質量%以下の(a)ポリカプロラクトントリオールと、上記含有率が20質量%以上60質量%以下の(b)ブロックイソシアネートと、上記含有率が1質量%以上20質量%以下の(c)メラミン樹脂とを含有し、
    上記樹脂成分全体100質量部に対して0.1質量部以上5質量部以下の(d)リン酸系化合物を含有することを特徴とする中塗り塗料組成物。
  2. 上記(d)リン酸系化合物の酸価が150mgKOH/g以上である請求項1に記載の中塗り塗料組成物。
  3. 上記(d)リン酸系化合物のリン酸基がブロックされていない請求項1又は請求項2に記載の中塗り塗料組成物。
  4. 上記(b)ブロックイソシアネートに対する(d)リン酸系化合物の含有量の質量比が0.001以上0.2以下である請求項1、請求項2又は請求項3に記載の中塗り塗料組成物。
  5. 顔料分として、顔料質量濃度が1質量%以上10質量%以下の(e)タルクを含有する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の中塗り塗料組成物。
  6. 上記樹脂成分として、0質量%超10質量%以下の(f)エポキシ樹脂をさらに含有する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の中塗り塗料組成物。
  7. 上記樹脂成分全体100質量部に対して0.01質量部超2質量部以下の(h)ウレタン硬化触媒をさらに含有する請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の中塗り塗料組成物。
  8. 車両外板を構成する電着塗膜を形成する工程、この電着塗膜表面に直接中塗り層を形成する工程、及びこの中塗り層表面に上塗り層を形成する工程を備える複層塗膜の形成方法であって、
    上記中塗り層形成工程で、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の中塗り塗料組成物を塗布することを特徴とする複層塗膜の形成方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN109365007A (zh) * 2018-10-25 2019-02-22 重庆辉虎催化剂有限公司 一种摩托车催化剂及其制备方法和制备催化器方法
DE112018000808T5 (de) 2017-02-14 2019-12-05 Denso Corporation Fahrzeugsystem

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