JPH06322059A - 耐衝撃性組成物及び耐チッピング性複合塗膜の形成方法 - Google Patents

耐衝撃性組成物及び耐チッピング性複合塗膜の形成方法

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JPH06322059A
JPH06322059A JP5213503A JP21350393A JPH06322059A JP H06322059 A JPH06322059 A JP H06322059A JP 5213503 A JP5213503 A JP 5213503A JP 21350393 A JP21350393 A JP 21350393A JP H06322059 A JPH06322059 A JP H06322059A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 カプロラクトン変性ジオールが結合したブロ
ックポリイソシアネート化合物と、1分子中に2個以上
の水酸基を含有する樹脂とを主成分とする耐衝撃性組成
物、及び該組成物を用いた耐チッピング性複合塗膜の形
成方法である。 【効果】 ポリカプロラクトンジオール変性ブロックポ
リイソシアネートを導入することにより可撓性に富んだ
塗膜が得られ、もって耐チッピング性が良好な塗膜が得
られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐チッピング性の塗膜を
与える塗料組成物、及び耐チッピング性複合塗膜の形成
方法に関し、更に詳しくは、自動車走行時の飛び石によ
る塗膜損傷及びそれに起因する素地板の発錆を防止でき
る自動車外板塗装用の耐衝撃性組成物、及び耐チッピン
グ性複合塗膜形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】自動車
が高速走行すると、自動車の車体外板(の塗装面)に小
石等が衝突することは避けられないが、これにより塗膜
に亀裂が生じたり塗膜が被塗部材(外板等)から剥離す
る現象(いわゆるチッピング)が起きる場合がある。塗
膜にチッピングが生じると、この部分から水等が浸入
し、被塗部材(外板)素地面を発錆させる。
【0003】特に北米、カナダ、北欧等の諸外国では、
冬季に融雪のために多量の岩塩及び砂を路面に散布する
が、そのような地域では、特に自動車外板の塗膜におけ
る耐チッピング性(耐衝撃性)は重要であり、小石が衝
突しても塗膜が破損(剥離)せず、素地(車体外板)が
錆びないような塗膜が望まれている。一般に、自動車車
体外板の塗装においては、リン酸鉄/亜鉛系の化成処理
を施した鋼板上に、電着塗料(下塗り塗料)、中塗り塗
料及び上塗り塗料を順次塗装するが、耐チッピング性、
及び防錆性を向上するために、これまで電着塗料(下塗
り塗料)、中塗り塗料、上塗り塗料の各塗料、及びこれ
らの塗装方法について種々の提案がなされてきた。
【0004】例えば、特開昭62−129184号は、
鋼板に電着塗料を塗装し、次いでその塗面に引張破断強
度伸び率が150%以上で且つ破断応力が20kg/cm2
以上である塗膜を形成しうる防食顔料含有有機溶剤系塗
料(すなわち、バリアコート塗料)を塗布し、しかる
後、中塗塗料及び上塗塗料を合計の硬化塗膜が少なくと
も30μmとなるように塗装し、その際、上記中塗塗料
及び上塗塗料の少なくとも一方は引張破断強度伸び率が
40%以下で且つ破断点応力が300kg/cm2 以上であ
る硬化塗膜を形成しうる防食塗膜の形成方法を開示して
いる。上記バリアコートは、熱硬化性ポリエステル樹脂
組成物、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、ポリブタ
ジエン含有架橋硬化性樹脂組成物、スチレン−ブタジエ
ン系共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、ブチル
ゴム等の熱可塑性又は熱硬化性樹脂からなる。
【0005】米国特許4,985,500号(特開昭6
2−169869号に対応)は、(A) ガラス転移温度が
−20℃以下であり、かつ20℃における引張破断強度
伸び率が400%以上の樹脂であって、ポリオレフィン
樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリエステル樹脂及びこれら
樹脂の線状高分子エラストマーより成る変性樹脂から選
ばれる少なくとも1つの樹脂、および(B) メラミン樹
脂、尿素樹脂、ポリイソシアネート、及びブロックされ
たイソシアネートから選ばれる少なくとも1つの架橋性
樹脂とから主として成り、(A)成分と(B) 成分との固形
樹脂含量の重量比が70〜99:30〜1であるプライ
マー組成を開示している。即ち、米国特許4,985,
500号はポリウレタン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリ
ビニル樹脂等の樹脂と、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリ
イソシアネート等の硬化剤とを組合せてなるプライマー
組成を開示している。
【0006】特開平1−197569号は、(A) (i) ジ
イソシアネート化合物と(ii)1分子あたり平均2〜3個
の水酸基を有する化合物とを反応させてなり、かつ数平
均分子量が5000〜50000で水酸基価が20〜8
0のウレタンポリマー、(B) 飽和脂環族多塩基酸及びテ
トラヒドロフタル酸を除いた多塩基酸成分と多価アルコ
ール成分とを反応させてなり、該多価アルコール成分中
ジエチレングリコール及び/またはトリエチレングリコ
ールを5〜60モル%含み、かつ平均分子量が800〜
3500、水酸基価が70〜140のオイルフリーポリ
エステル樹脂、及び(C) 重量平均分子量が3000以下
のアルキルエーテル化メラミン樹脂を主成分とし、上記
(A) 、(B) 、(C) 成分の合計固形分重量に基づいて、
(A) 成分が20〜50重量%、(C) 成分が20〜40重
量%、残りが(B) 成分であり、さらに加熱硬化塗膜のガ
ラス転移温度が10℃以下で、−20℃で測定した硬化
塗膜の伸び率が20%以上である塗料組成物を開示して
いる。
【0007】また、米国特許4,888,244号(特
開昭62−61675号に対応)は、(i) イソシアネー
ト基と反応しうる官能基を有するカチオン性樹脂を主成
分とするカチオン電着塗膜を形成し、次いで、(ii)中塗
り塗料及び上塗り塗料の塗装に先立って、この電着塗面
に、ポリイソシアネート化合物を含有し、静的ガラス転
移温度が0〜−75℃となる塗膜を形成する有機溶剤系
塗料を塗布する方法が開示されている。米国特許4,8
88,244号(特開昭62−61675号に対応)に
は、好ましいポリイソシアネート化合物として、ヘキサ
メチレンジイソシアネートと水との反応物、キシリレン
ジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加
物、トリレンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソ
シアネートとの付加物、イソホロンジイソシアネート、
ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネ
ート等が挙げられており、これをオキシム等の通常のブ
ロック剤でブロックして用いている。また、イソシアネ
ート基と反応しうる官能基を有するカチオン性樹脂とし
ては、ポリフェノールを有するエポキシ樹脂にカチオン
化剤を反応させたものが挙げられている。
【0008】さらに、特公昭61−36995号は、下
塗り塗膜の上に、所定のイソシアネート基含有量のブロ
ックイソシアネート化合物と、所定の水酸基含有量のポ
リヒドロキシ化合物とを主成分とする溶剤型の一液組成
物を塗装し、軟質のウレタン樹脂皮膜を形成する方法を
開示している。この特公昭61−36995号には、上
記の軟質ウレタン樹脂皮膜を形成する組成物中のブロッ
クイソシアネート化合物として、(a) ヘキサメチレンジ
イソシアネート等のポリイソシアネート(の過剰量)
と、(b) エチレングリコール、プロピレングリコール、
1,3−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコー
ル、トリメチロールプロパン等の低分子量ポリオールと
の付加反応によって得られるポリイソシアネートの活性
イソシアネート基を、アルコール等によりブロックした
ものを用いることができる旨の記載がある。なお、その
具体的実施例においては、ブロックイソシアネート化合
物として、ヘキサメチレンジイソシアネートをメタノー
ル及び1,6−ヘキサンジオールでブロックしたもの、
又はヘキサメチレンジイソシアネート/ビュレット型の
ポリイソシアネートをn−ブタノール単独でブロック化
したものを用いている。
【0009】しかしながら、上述した各塗料組成物及び
塗布方法では、耐チッピング性がまだ十分とは言いがた
い。また、ウエットオンウエット方式(以下、W/Wと
略記することもある)における塗装作業性等の問題もあ
る。
【0010】さらにまた、特開昭63−43967号
は、(a) ジイソシアネート化合物と1分子あたり平均2
〜3個の水酸基を有するポリオールとの付加物であっ
て、数平均分子量が1万〜10万の有機溶剤可溶性のウ
レタンポリマーと、(b) 特定の数平均分子量を有する水
酸基含有樹脂と、(c) ブロックポリイソシアネート化合
物とを主成分とする耐チッピング性塗料を開示してい
る。特開昭63−43967号は、(b) 成分の水酸基含
有樹脂の好ましい例としてポリエステル樹脂、ポリエー
テルを挙げている。また、(c) のブロックイソシアネー
ト化合物として、ヘキサメチレンジイソシアネート、イ
ソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート
等のジイソシアネート、又はこれらのジイソシアネート
にポリオール化合物を付加させたものを挙げている。こ
こで、ポリオール化合物としては、ポリエーテルポリオ
ールや(水酸基含有)ポリエステル樹脂を挙げている。
また、その具体的実施例においては、ブロックイソシア
ネート化合物(c) として、トリレンジイソシアネート
と、ポリテトラメチレングリコール及びトリメチロール
プロパンとの付加反応物、又はトリレンジイソシアネー
トと、トリメチロールプロパンとの付加反応物をオキシ
ムでブロックしたものを用いている。
【0011】しかしながら、特開昭63−43967号
の塗料は、塗料中に比較的高分子量の樹脂成分を含んで
いる(成分(a) は数平均分子量が1万〜10万である)
ため、塗膜とした場合の外観平滑性が十分でないか、又
は平滑に仕上げるためには、多量の溶剤を用いなければ
ならない。溶剤を多く用いることは環境問題や経済性等
に難点がある。
【0012】したがって、本発明の目的は、耐チッピン
グ性が良好で、かつW/W性が良好な塗膜を与えること
ができ、それから塗料組成物を構成するさいに、揮発分
(溶剤)を少なくすることができ、また塗装ライン中の
配管、塗装機等の洗浄性や塗膜除去性が良好な、耐衝撃
性組成物を提供することである。また、本発明のもう一
つの目的は、耐チッピング性の良好な複合塗膜を形成す
る塗装方法を提供することである。更に、本発明の別の
目的は、優れた耐衝撃性組成物を用いる耐チッピング性
の良好な塗膜形成方法により自動車外板を塗装して形成
された複合塗膜を有する塗装物を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的に鑑み、水酸基
含有樹脂と、変性ポリイソシアネート化合物とを主成分
とする耐衝撃性組成物について鋭意研究の結果、本発明
者らは、(A) カプロラクトン変性ジオールとの結合によ
り変性され、かつ活性イソシアネート基がブロックされ
た変性ポリイソシアネートと、(B) 1分子中に2個以上
の水酸基を有する水酸基含有樹脂とを組み合わせれば、
耐チッピング性に優れた塗膜を与える組成物とすること
ができることを発見した。また、この塗料組成物は、電
着塗装−上塗り塗装系のみならず電着塗装−中塗り塗装
−上塗り塗装系に適用することができ、後者の場合、塗
装工程での中塗り塗膜とのW/W性が良好な塗膜を与え
ることを発見した。本発明は以上の知見によるものであ
る。
【0014】すなわち、本発明は、(A) カプロラクトン
変性ジオールとの結合により変性され、かつ活性イソシ
アネート基がブロックされた変性ポリイソシアネート
と、(B) 1分子中に2個以上の水酸基を有する水酸基含
有樹脂とを主成分とする耐衝撃性組成物を提供すること
である。
【0015】また、本発明は、上述した耐衝撃性組成物
を、 (1)電着塗装、中塗り塗装および上塗り塗装する塗装
工程において、(イ)電着塗膜と中塗り塗膜との間に形
成される塗膜、(ロ)中塗り塗膜と上塗り塗膜との間に
形成される塗膜、(ハ)1層型の上塗り塗装における上
塗り塗膜、(ニ)2層型の上塗り塗装におけるベース塗
膜及び/又はクリヤー塗膜、(ホ)中塗り塗膜の少なく
とも1つの塗膜として塗装するか、もしくは、 (2)電着塗装および上塗り塗装する塗装工程におい
て、(ヘ)電着塗膜と上塗り塗膜との間に形成される塗
膜、(ト)1層型の上塗り塗装における上塗り塗膜、
(チ)2層型の上塗り塗装におけるベース塗膜及び/又
はクリヤー塗膜の少なくとも1つの塗膜として塗装する
耐チッピング性複合塗膜の形成方法を提供することであ
る。
【0016】更に、本発明は、上述した耐チッピング性
の塗膜形成方法により、自動車車体に上述した耐衝撃性
組成物を塗装し形成された複合塗膜を有する塗装物を提
供することである。
【0017】以下本発明を詳細に説明する。本発明の耐
衝撃性組成物は、(A) カプロラクトン変性ジオールとの
結合により変性され、かつ活性イソシアネート基がブロ
ックされた変性ポリイソシアネートと、(B) 1分子中に
2個以上の水酸基を含有する水酸基含有樹脂とを主成分
とする。本発明の耐衝撃性組成物は更に(C) カプロラク
トン変性ポリオールを含むこともできる。
【0018】(A) カプロラクトン変性ジオールとの結合
により変性され、かつ活性イソシアネート基がブロック
された変性ポリイソシアネート(化合物)(以下、変性
ポリイソシアネートと称することもある) ポリイソシアネート(化合物)(A) は、好ましくは脂肪
族系、又は脂環族系のポリイソシアネートにカプロラク
トン変性ジオールが結合したものであって、過剰の活性
イソシアネート基が後述するブロック剤によりブロック
されているものである。より好ましくは、脂肪族系のポ
リイソシアネートを用いる。また、ブロック剤により予
め活性イソシアネート基が部分ブロックされたポリイソ
シアネートを用いる事もできる。
【0019】脂肪族系、又は脂環族系のポリイソシアネ
ートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下
HDIと呼ぶ)、リジンジイソシアネート、トリメチル
ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシ
アネート等が挙げられる。また、これらポリイソシアネ
ートの多量体を用いることができる。特にHDI及び/
又はその多量体を用いるのが好ましい。
【0020】これら脂肪族系ポリイソシアネートは多価
アルコール等の付加物型(アダクツ型)、ビューレット
型、イソシアヌレート型のいずれの型であってもよい
が、特に、ビューレット型、イソシアヌレート型のもの
が好ましい。さらに好ましくはビューレット型のものを
用いる。ビューレット型のポリイソシアネートを用いる
ことで、ソフトで耐チッピング性の良好な塗膜を得るこ
とができる。なお、イソシアヌレート型のポリイソシア
ネートでは、その骨格内に環状構造が存在するので、塗
膜の耐チッピング性には好ましくない。しかしながら、
本発明では、後述するようにポリイソシアネートの分子
鎖内にポリカプロラクトン骨格を導入し変性するので、
イソシアヌレート型のポリイソシアネート化合物でも、
十分に可撓性のある塗膜を与えることが可能となる。
【0021】本発明では、上記した脂肪族系ポリイソシ
アネートをカプロラクトン変性ジオールにより変性して
用いる。すなわち、上述の脂肪族系ポリイソシアネート
の骨格中にポリカプロラクトン骨格を導入し、ポリイソ
シアネート化合物の分子鎖内にソフトな部分を形成して
いる。ビューレット型のポリイソシアネートを用いて成
分(A) を作製する場合、ポリイソシアネート自体に環構
造がなく、かつこれに付加する物質(カプロラクトン
部)が基本的に直鎖構造を有することになるので、成分
(A) は可撓性の大きい化合物となる。このような化合物
(ポリイソシアネート化合物)を用いて、後述する水酸
基含有樹脂成分(成分(B))を架橋硬化させるので、得ら
れる塗膜は良好な耐チッピング性を得ることになる。
【0022】成分(A) におけるポリイソシアネート由来
の部分(たとえばHDI部分)と、カプロラクトン由来
の部分との比率は、重量比で2/1〜1/10とするの
が好ましく、1/1〜1/4とするのが特に好ましい。
【0023】ポリイソシアネート化合物の活性イソシア
ネート基をブロックするブロック剤としては、オキシム
類、ε−カプロラクタム等のラクタム類、フェノール、
キシレノール等のフェノール類、アルコール等が挙げら
れるが、特にオキシム類をブロック剤として用いるのが
好ましい。ブロック剤として用いるオキシム類の具体例
としては、MEKオキシム、アセトアルドキシム等が挙
げられる。
【0024】成分(A) 中のイソシアネート基(−NCO
基:ただし、これは上記したブロック剤によりブロック
されている。)の数はポリイソシアネート化合物1分子
中2〜5であるのが好ましく、2〜3であるのが特に好
ましい。また、成分(A) (カプロラクトン変性ジオール
を結合した変性ポリイソシアネート化合物)の数平均分
子量は1000〜5000程度であるのが好ましい。よ
り好ましくは数平均分子量を1000〜3000とす
る。
【0025】(B) 水酸基含有樹脂 本発明では、水酸基含有樹脂として、1分子中に2個以
上の水酸基を有する樹脂が用いられる。用いることので
きる水酸基含有樹脂としては、 水酸基含有アクリル樹脂 水酸基含有ポリエステル樹脂 炭素数が2〜8の鎖式炭化水素のボリオール類及びポ
リカプロラクトンポリオール 水酸基含有エポキシ樹脂 等が挙げられる。より好ましくは、水酸基含有アクリル
樹脂、又は水酸基含有ポリエステル樹脂が挙げられる。
最も好ましくは、水酸基含有アクリル樹脂である。
【0026】水酸基含有アクリル樹脂 水酸基含有アクリル樹脂としては、そのガラス転移温度
(Tg)が−50〜0℃であるものを用いるのが好まし
い。アクリル樹脂は例えば以下のようなモノマーから通
常の重合方法により作製することができる。すなわち、
モノマーの例としては、(1) (メタ)アクリル酸ヒドロ
キシメチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、
(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アク
リル酸ヒドロキシブチル、N−メチロールアクリルアミ
ド等のヒドロキシル基を有するエチレン性モノマー、
(2) アクリル酸、メタアクリル酸(MAA)、クロトン
酸、イタコン酸、フマール酸、マレイン酸等のカルボキ
シル基を有するエチレン性モノマー、及び(3) (メタ)
アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メ
タ)アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル
酸イソプロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2
−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、アク
リル酸n−オクチル、アクリル酸n−ドデシル等の(メ
タ)アクリル酸アルキルエステル、等が挙げられる。ア
クリル樹脂はこれらの化合物の少なくとも1種(ただ
し、用いるモノマーのうち少なくとも1種は水酸基を含
有している)を通常の方法により共重合することにより
得ることができる。
【0027】さらに、上記したエチレン性モノマー(1)
乃至(3) の他に、上記のモノマーと共重合可能なスチレ
ン、(メタ)アクリロニトリル等のエチレン性モノマー
を用いることもできる。本発明では、得られるアクリル
樹脂のガラス転移温度(Tg)が−50〜0℃となるよう
に、上述したモノマーの中から構成成分及びその量を選
択するのが好ましい。
【0028】具体的には、アクリルモノマーのうち、ホ
モポリマーとして低ガラス転移温度Tg(−10℃以下)
の塗膜を形成するアクリルモノマー(以下単に「低Tgの
アクリルモノマー」という)と、高ガラス転移温度(Tg)
の塗膜を形成するアクリルモノマー(以下単に「高Tgの
アクリルモノマー」という)とを分別し、これを考慮に
入れてその配合割合を調整する。低Tgのアクリルモノマ
ーとしては、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチ
ル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウ
リル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸2
−ヒドロキシエチル等が挙げられる。これらモノマーの
ホモポリマーからなる塗膜のガラス転移温度(Tg)は以下
の通りである。
【0029】 アクリル酸エチル(EA) −22℃ アクリル酸n−ブチル(n−BA) −54℃ アクリル酸2−エチルヘキシル(2−EHA) −85℃ メタクリル酸ラウリル(LMA) −65℃ アクリル酸4−ヒドロキシブチル(4−HBA) −43℃ アクリル酸2−ヒドロキシエチル(2−HEA) −15℃ なお、上記ガラス転移温度(Tg)の出典は「塗料用合成樹
脂入門」(高分子刊行会発行)等である。
【0030】上記低Tgのアクリルモノマーを必須成分と
し、後述する高Tgのアクリルモノマーを適宜加えて水酸
基含有アクリル樹脂を合成するのが好ましい。低Tgのア
クリルモノマーの含有量はアクリル樹脂の50〜95重
量%とするのが好ましい。低Tgのアクリルモノマーの含
有量が50重量%未満の場合は、得られる塗膜に高い伸
び率が付与されず、また、含有量が95重量%を超える
と必要な抗張力が得られない。より好ましい含有量は6
0〜90重量%である。
【0031】一方、高Tgのアクリルモノマーとしては、
アクリル酸、メタクリル酸や、アクリル酸メチル、アク
リル酸イソプロピル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル
酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル
酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、
メタクリル酸ヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル
酸のアルキルエステル類、及びスチレン(St)、アク
リロニトリル等が挙げられる。
【0032】上記高Tgのアクリルモノマーの含有量はア
クリル樹脂の40重量%以下が好ましい。含有量が40
重量%を超えると、得られる塗膜の伸び率が不十分とな
る。より好ましい含有量は5〜30重量%である。
【0033】以上のモノマーの中から、Tgが−50〜0
℃となるようにモノマーを適宜選択してアクリル樹脂を
合成するのが好ましいが、さらに好ましくは、得られる
塗膜のTgが−15〜−40℃となるようにモノマーを選
択する。
【0034】上記アクリル樹脂の数平均分子量は200
0〜8000とするのが好ましい。樹脂の数平均分子量
が2000未満であると、W/W性が低下する。一方、
数平均分子量が8000を超えると耐チッピング性の優
れた塗膜が得られない。また、塗料組成をハイソリッド
化するのが難しくなる。より好ましい数平均分子量は2
500〜6000であり、さらに好ましくは3000〜
4000である。
【0035】アクリル樹脂の水酸基価は50〜200で
あるのが好ましい。水酸基価が50未満であると、耐チ
ッピング性が低下する。一方、200を超えると、塗膜
の柔軟性が十分でなくなり、耐チッピング性が低下す
る。より好ましい水酸基価の範囲は140〜180であ
る。アクリル樹脂の酸価は1〜10であるのが好まし
い。酸価が1未満であると、塗膜の密着性が不良とな
る。一方、酸価が10を超えると、塗料の貯蔵安定性が
不良となる。なお、本発明における水酸基価及び酸価の
単位はmgKOH/gである。
【0036】上述したアクリル樹脂は、ラクトンにより
変性して用いることができる。ラクトンとしては、ε−
カプロラクトンを用いるのが好ましい。ラクトン変性ア
クリル樹脂の数平均分子量は3000〜15000であ
るのが好ましい。
【0037】水酸基含有ポリエステル樹脂 本発明で用いるポリエステル樹脂は、1分子中に2個以
上の水酸基を有するものであり、一般に、ポリエステル
ポリオールと呼ばれているものである。ポリエステル樹
脂は、通常、多価アルコールと多塩基酸又はその無水物
とを重縮合して(エステル反応して)得られる。
【0038】多価アルコールとしては、エチレングリコ
ール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、
ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、
1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、
2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、
1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオー
ル、水添ビスフェノールA、ヒドロキシアルキル化ビス
フェノールA、1,4−シクロヘキサンジメタノール、
2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル−2,2−
ジメチル−3−ヒドロキシプロピオネート、2,2,4
−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、N,N−ビ
ス−(2−ヒドロキシエチル)ジメチルヒダントイン、
ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリカプロラ
クトンポリオール、グリセリン、ソルビトール、アニソ
ール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパ
ン、トリメチロールブタン、ヘキサントリオール、ペン
タエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス−
(ヒドロキシエチル)イソシアネート等が挙げられる。
また上記多価アルコールの2種以上を組み合わせて用い
ることもできる。
【0039】多塩基酸又はその無水物としては、フタル
酸、無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒド
ロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ
無水フタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルテ
トラヒドロ無水フタル酸、無水ハイミック酸、トリメリ
ット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピ
ロメリット酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン
酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アジピン
酸、アゼライン酸、セバシン酸、コハク酸、無水コハク
酸、乳酸、ドデセニルコハク酸、ドデセニル無水コハク
酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸、無水エン
ド酸等が挙げられる。また、これらの2種以上を組み合
わせて用いることもできる。
【0040】本発明に用いるポリエステル樹脂は、上記
多価アルコールの水酸基と上記多塩基酸又はその無水物
のカルボキシル基とが、モル比で1.2〜1.8となる
ように反応させることによって得られるもので、上述の
通り、1分子内に2個以上の残留水酸基を有する。
【0041】水酸基含有ポリエステル樹脂の数平均分子
量は500〜10000であるのが好ましい。また、こ
の樹脂の水酸基価は40〜200であるのが好ましく、
70〜180が特に好ましい。更にこの樹脂の酸価は2
〜40であるのが好ましい。
【0042】水酸基含有ポリエステル樹脂としては、ま
た、ラクトン、油脂又は脂肪酸、メラミン樹脂、エポキ
シ樹脂、ウレタン樹脂等により変性したものを用いるこ
とができる。
【0043】ラクトン変性ポリエステル樹脂(ラクトン
により変性された水酸基含有ポリエステル樹脂である。
なお、以下に示す各変性ポリエステル樹脂も、同様に水
酸基を含有している。)としては、環中の炭素数が6〜
8のラクトンにより変性したものが好ましい。変性に用
いるラクトンとしては、具体的にはε−カプロラクトン
が挙げられる。また、これらのラクトンの環炭素原子
に、さらにアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル
基、フェニル基、ベンジル基等が結合したものも用いる
ことができる。ラクトン変性ポリエステル樹脂の好まし
い数平均分子量は500〜15000であり、また、好
ましい水酸基価は1〜200であり、より好ましくは3
〜100、最も好ましくは5〜40である。ラクトン変
性ポリエステル樹脂は、ポリエステル樹脂に所望のラク
トンを加え、加熱することにより製造することができ
る。この反応において、すず化合物及び/又は鉛やマン
ガンの有機塩を触媒として用いるのが好ましい。
【0044】また、油変性ポリエステル樹脂は、ヒマシ
油、脱水ヒマシ油、ヤシ油、コーン油、綿実油、亜麻仁
油、荏の油、ケシ油、紅花油、大豆油、桐油等の油脂
や、これらの油脂から抽出した脂肪酸により上述のポリ
エステル樹脂を変性したものである。油変性ポリエステ
ル樹脂(油脂変性又は脂肪酸変性ポリエステル樹脂)の
好ましい数平均分子量は500〜15000であり、ま
た、好ましい水酸基価は40〜200であり、特に好ま
しくは70〜160である。油変性ポリエステル樹脂の
製造では、ポリエステル樹脂100重量部に対して、上
述した油脂及び/又は脂肪酸を合計で30重量部程度ま
で加えるのが好ましい。
【0045】ポリエステル樹脂を変性するメラミン樹脂
としては、メラミンに脂肪族アルデヒドを付加してエー
テル化したものが挙げられる。特にメラミン−ホルムア
ルデヒド付加反応物をエーテル化したものが好ましい。
メラミンと脂肪族アルデヒドとの付加反応物をエーテル
化したメラミン樹脂として、メチルエーテル化メラミ
ン、メチルブチルエーテル化メラミン、ブチルエーテル
化メラミン等の縮合物が挙げられる。さらに、ベンゾク
アナミン、尿素等と脂肪族アルデヒドとの縮合物をエー
テル化した樹脂も用いることができる。メラミン変性ポ
リエステル樹脂の好ましい数平均分子量は500〜15
000であり、また、好ましい水酸基価は40〜200
であり、特に好ましくは70〜160である。なお、メ
ラミン変性ポリエステル樹脂の製造においては、ポリエ
ステル樹脂100重量部に対して、メラミン樹脂を1〜
10重量部加えるのが好ましい。
【0046】ポリエステル樹脂を変性するエポキシ樹脂
としては、通常塗料分野で用いられているものを使用す
ることができる。具体的には、エピコート828、83
4、836、1001、1004、1007、DX−2
25(以上、シェル化学社製)、アラルダイトGY−2
60、6071、6084(チバガイギー社製)、DE
R−330、331、660、661、66(ダウケミ
カル社製)、エピクロン800、830、850、86
0、1050、4050(大日本インキ工業(株)製)
などのビスフェノール型のエポキシ樹脂、DEN−43
1、438(ダウケミカル社製)などのフェノールノボ
ラック型エポキシ樹脂、アラルダイトCT508(チバ
ガイギー社製)、DER732、736(ダウケミカル
社製)などのポリグリコール型エポキシ樹脂、エステル
型エポキシ樹脂、鎖式脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポ
キシ樹脂、ポリオール型エポキシ樹脂等を用いることが
できる。また上記の各エポキシ樹脂において、ハロゲン
を含有するものを用いてもよい。エポキシ変性ポリエス
テル樹脂の好ましい数平均分子量は500〜15000
であり、また、好ましい水酸基価は50〜200であ
り、特に好ましくは70〜160である。なお、エポキ
シ変性ポリエステル樹脂の製造においては、ポリエステ
ル樹脂100重量部に対して、エポキシ樹脂を1〜50
重量部加えるのが好ましい。
【0047】ウレタン変性ポリエステル樹脂はポリエス
テル部分とウレタン部分とを有する樹脂で、ポリエステ
ル樹脂中の水酸基にポリイソシアネート化合物のイソシ
アネート基を反応させて樹脂中にウレタン結合を導入し
たもの、又はポリオールとポリイソシアネートとの反応
物であるウレタンの水酸基に二塩基酸が結合してなるも
のである。いずれの場合も1分子中に2個以上の残留水
酸基を有する。
【0048】ウレタン変性ポリエステル樹脂の製造にお
いて、ポリエステル樹脂の水酸基にウレタン結合するポ
リイソシアネート化合物は、分子中に2個以上の遊離の
イソシアネート基を有する化合物であって、具体的に
は、トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニル
メタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネー
ト、メタキシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレン
ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、水添4,
4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、水添トリレ
ンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ト
リメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸
ジイソシアネート等が挙げられる。またポリイソシアネ
ート化合物に少量のポリオールが反応してなるウレタン
化合物も、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有
する場合には、ここで言うポリイソシアネート化合物に
含まれる。このようなウレタン化合物としては、トリレ
ンジイソシアネート(3モル)とトリメチロールプロパ
ン(1モル)との付加物、ヘキサメチレンジイソシアネ
ート(3モル)とトリメチロールプロパン(1モル)と
の付加物、ヘキサメチレンジイソシアネートと水との反
応物、キシリレンジイソシアネート(3モル)とトリメ
チロールプロパン(1モル)との付加物などが挙げられ
る。これらの中から1種もしくは2種以上の化合物を選
択して使用する。
【0049】なお、以上のポリイソシアネート化合物の
うち、耐候性などに優れたヘキサメチレンジイソシアネ
ートと水との反応物、ヘキサメチレンジイソシアネート
とトリメチロールプロパンとの付加物、キシリレンジイ
ソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、イ
ソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシア
ネート、リジンジイソシアネートなどの無黄変タイプが
好ましい。ウレタン変性ポリエステル樹脂の好ましい数
平均分子量は500〜15000であり、また、好まし
い水酸基価は50〜200であり、特に好ましくは70
〜160である。
【0050】本発明では、さらにフェノール樹脂により
変性した水酸基含有ポリエステル樹脂も用いることがで
きる。
【0051】炭素数が2〜8のポリオール類及びポリ
カプロラクトンポリオール 本発明では、成分(B) として、鎖式で炭素数が2〜8の
ポリオールを用いることができる。具体的には、エチレ
ングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコ
ール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジ
オール、2−エチル1,3−ヘキサンジオール、ネオペ
ンチルグリコール等が挙げられる。さらに、ポリカプロ
ラクトンジオール及びポリカプロラクトントリオール等
のポリカプロラクトンポリオールを用いることができ
る。ポリカプロラクトンポリオールの場合の好ましい数
平均分子量は200〜5000である。
【0052】水酸基含有エポキシ樹脂 2個以上の水酸基を有するエポキシ樹脂としては、各種
ビスフェノール型エポキシ樹脂等が挙げられる。水酸基
含有エポキシ樹脂の好ましい数平均分子量は300〜5
000であり、また、好ましい水酸基価は50〜200
であり、特に好ましくは70〜160である。また、こ
のようなエポキシ樹脂をラクトンにより変性したものも
使用することができる。ラクトンにより変性する場合、
エポキシ樹脂100重量部に対して5〜50重量部のラ
クトンを加えるのが好ましい。
【0053】その他の樹脂 以上に述べた(B) 水酸基含有樹脂とともに、更に他の、
複数の活性水素を含有するアミン類を用いることもでき
る。このようなアミン類としては、たとえばポリオキシ
アルキルアミン、ポリアミドアミン、1分子中に2個以
上のアミノ基を有する脂肪族又は芳香族のアミン(ポリ
アミン)等が挙げられる。ポリオキシアルキルアミンと
しては、具体的には、ジェファーミン(TEXACO
CHEMICAL社製)が挙げられる。
【0054】上述した(A) 成分:変性ポリイソシアネー
トと、(B) 成分:水酸基含有樹脂の配合量は、固形分換
算で、(A) が20〜80重量部、(B) が80〜20重量
部とするのが好ましい。(A) 成分が20重量部未満、又
は(A) 成分が80重量部を超すと、耐チッピング性が不
良となる。さらに好ましくは、(A) が30〜70重量
部、(B) が70〜30重量部である。また、上述した混
合量とともに、成分(A) 中のイソシアネート基(−NC
O)と、成分(B) 中の水酸基(−OH)とのモル比(す
なわち、−NCO/−OH比)が好ましくは(40〜6
0)/(60〜40)の範囲内、特に好ましくは(45
〜55)/(55〜45)の範囲内、に入るよう調整す
ることにより、良好な硬化膜が得られる。
【0055】本発明の耐衝撃性組成物は、(A) 成分と
(B) 成分合計100重量部に対して25〜80重量部の
(C) 成分:カプロラクトン変性ポリオールを更に加える
ことができる。(C) 成分として好ましく用いられるカプ
ロラクトン変性ポリオールの具体例としては、上述した
ラクトン変性ポリエステル樹脂、および上述した炭素数
が2〜8のポリオール類及びポリカプロラクトンジオー
ル、ポリカプロラクトントリオール等が挙げられる。
【0056】本発明の耐衝撃性組成物には、上述した必
須成分の他に、以下に示す架橋重合体微粒子、顔料、各
種添加剤等を加えることができる。架橋重合体微粒子の
添加は、耐チッピング性塗膜とその上層に形成された塗
膜とのW/W性を改善する。従来、架橋重合体微粒子
(微小樹脂粒子)の製法には種々の方法が提案されてい
るが、その方法の一つに、エチレン性不飽和単量体を架
橋性の共重合単量体と水性媒体中でサスペンジョン重合
又は乳化重合させて微小樹脂粒子分散液を作製し、溶媒
置換、共沸、遠心分離乾燥等により水を除去して微小樹
脂粒子を得る方法がある。別の方法としては、脂肪族炭
化水素等の低SP有機溶媒、あるいはエステル、ケト
ン、アルコール等の高SP有機溶媒のようにモノマーは
溶解するが得られた重合体は溶解しない非水性有機溶媒
中で、エチレン性不飽和単量体と架橋性共重合体とを共
重合させ、微小樹脂粒子(共重合体)の分散物として得
る方法がある。後者の方法はNAD法又は沈澱析出法と
称される。
【0057】架橋重合体微粒子(微小樹脂粒子)は、上
記のいずれの方法で製造してもよい。また特開昭58−
129066号に記載された両イオン性基を有する水溶
性樹脂を使用する方法を採用してもよい。本発明では、
平均粒径が0.01〜10μm、特に0.01〜0.1
μm、の架橋重合体微粒子(微小樹脂粒子)を用いるの
が好ましい。
【0058】架橋重合体微粒子(微小樹脂粒子)を製造
するためのエチレン性不飽和単量体としては、(メタ)
アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メ
タ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブ
チル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等のアク
リル酸又はメタクリル酸のアルキルエステルや、これら
(メタ)アクリレートと共重合することができるエチレ
ン性不飽和結合を有する他の単量体、例えばスチレン、
α−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチ
レン、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、アクリロニ
トリル、メタクリロニトリル、(メタ)アクリル酸ジメ
チルアミノエチルなどが挙げられる。これら単量体は二
種類以上を混合して用いてもよい。
【0059】なお、ここで、架橋性の共重合単量体は、
1分子内に2個以上のラジカル重合可能なエチレン性不
飽和結合基を有する単量体及び/又は相互に反応するこ
とができる基を有するエチレン性不飽和基含有単量体を
含む。1分子内に2個以上のラジカル重合可能なエチレ
ン性不飽和結合基を有する単量体としては、多価アルコ
ールの重合性不飽和モノカルボン酸エステル、多塩基酸
の重合性不飽和アルコールエステル、及び2個以上のビ
ニル基を有する芳香族化合物などがある。
【0060】水性媒体又は非水性有機媒体中で製造した
微小樹脂粒子はそのままで使用することもできるが、濾
過、スプレー乾燥、凍結乾燥などの方法で微小樹脂粒子
を単離し、そのまま、もしくはミルなどを用いて適当な
粒径に粉砕して用いることもできる。微小樹脂粒子(即
ち、架橋重合体微粒子)の例としては、たとえば日本ペ
イント(株)製AZS797、AZS597等が挙げら
れる。これら微小樹脂粒子の配合量は、(A) 成分と(B)
成分の総量に対して、一般に0.1〜40重量%、好ま
しくは0.5〜30重量%、特に好ましくは5〜20重
量%である。
【0061】顔料としては、各種有機顔料や、カーボン
ブラック、二酸化チタン、酸化鉄等の無機顔料、硫酸バ
リウム、タルク等の体質顔料、さらには、黒鉛等の鱗片
状顔料等を用いることができる。
【0062】また、ダストなじみ性の改善を目的とし
て、アクリル系やポリオキシエチレン系の表面調整剤
(例えば、リポノックスNC−60:ライオン油脂
(株)製)を添加することができる。
【0063】本発明では、硬化反応促進剤として有機ス
ズ化合物等の触媒を塗料組成物中に加えることが望まし
い。スズ化合物の例としては、ジメチルスズジラウレー
ト、ジブチルスズジラウレート、ジメチルスズクロリ
ド、ジブチルスズクロリド、ジn−オクチルスズジラウ
レート等が挙げられる。また、亜鉛化合物、第三アミン
系の触媒をこれらスズ化合物触媒と併用してもよい。
【0064】また、沈降防止剤としてポリエチレン系、
ポリアマイド系等の公知の沈降防止剤を添加することが
できる。なお、架橋成分である(A) 成分の一部を、アミ
ノ樹脂で置き換えることも可能である。
【0065】以上に記した各種添加剤の配合量は、上述
した必須成分(A) と(B) との合計(固形分換算)を10
0重量部として、顔料が5〜30重量部、触媒が0.5
〜3重量部、沈降防止剤が1重量部以下とするのが好ま
しい。
【0066】従って、上記添加剤を含む耐衝撃性組成物
の配合比の例としては、以下に示すとおりである。 * これら添加剤は必要により加えられる。 本発明の耐衝撃性組成物を有機溶媒もしくは水に溶解も
しくは分散することにより、耐チッピング性上塗塗料、
耐チッピング性中塗塗料、チッピングプライマーと呼ば
れる塗料組成物が得られる。
【0067】また、本発明の耐衝撃性組成物を有機溶剤
型の塗料として用いる場合、溶剤として、トルエン、キ
シレン等の芳香族炭化水素、ミネラルスピリット等の脂
肪族炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル
類、及びメチルエチルケトン等のケトン類の溶剤を、単
独で又は混合して(適宜選択して)用いることができ
る。また、本発明の耐衝撃性組成物は、有機溶剤型の塗
料としてだけではなく、水分散型の(水性)塗料として
も用いることができる。この場合には、溶剤として、水
や各種親水性有機溶媒を用いることができる。
【0068】本発明の耐衝撃性組成物は、 (1)電着塗装、中塗り塗装および上塗り塗装する塗装
工程において、(イ)電着塗膜と中塗り塗膜との間に形
成される塗膜、(ロ)中塗り塗膜と上塗り塗膜との間に
形成される塗膜、(ハ)1層型の上塗り塗装における上
塗り塗膜、(ニ)2層型の上塗り塗装におけるベース塗
膜及び/又はクリヤー塗膜、(ホ)中塗り塗膜の少なく
とも1つの塗膜として塗装されるか、もしくは、 (2)電着塗装および上塗り塗装する塗装工程におい
て、(ヘ)電着塗膜と上塗り塗膜との間に形成される塗
膜、(ト)1層型の上塗り塗装における上塗り塗膜、
(チ)2層型の上塗り塗装におけるベース塗膜及び/又
はクリヤー塗膜の少なくとも1つの塗膜として塗装され
る。その結果、本発明の耐ピッチング性の塗膜を有する
多層塗装物(即ち、多層塗膜の塗装物)が得られる。
【0069】本発明の耐衝撃性組成物を用いた塗装方法
について、以下に具体的に説明する。 (1)電着塗装、中塗り塗装および上塗り塗装する塗装
工程の場合 まず、鋼材に対して電着塗装を行うが、電着塗料として
はアニオン型樹脂系、カチオン型樹脂系のものがいずれ
も使用できる。電着塗料の主成分となる樹脂をその構造
からみると、(1)乾性油又はポリブタジエンなどの液
状ゴム系、場合によりそれらをエポキシ化した樹脂を
骨格とするもの、たとえばマレイン化油樹脂やマレイン
酸変性ポリブタジエン樹脂及びアミンエポキシ化ポリブ
タジエン樹脂など、(2)樹脂状ポリオールの脂肪酸エ
ステルを主骨格とするもの、及びその変性誘導体、たと
えばエポキシ樹脂、エステル化樹脂など、(3)アルキ
ド樹脂を主骨格とするもの、(4)アクリル樹脂を主骨
格とする樹脂などがある。
【0070】上記した電着塗料用樹脂が酸性樹脂の場合
は、アンモニア、アミン、無機アルカリ等の塩基で中和
してこれを水に溶解または分散させるのが好ましい。ま
た、塩基性樹脂の場合は、酢酸、乳酸、ほう酸、リン酸
等の酸で中和して水に溶解または分散させるのが好まし
い。電着塗料中には、さらに、架橋剤(例えば、メラミ
ン樹脂、ブロックイソシアネート等)、顔料、溶剤等の
常用の添加剤を適宜配合することができる。電着塗膜
は、通常、焼き付け後の膜厚が10〜40μmになるよ
うに設けるのが好ましい。電着塗装におけるその他の条
件は、従来の電着塗装工程における条件に準じてよい。
なお、この電着塗装の前には、通常の化成処理を行うの
が好ましい。
【0071】上記(イ)においては、電着塗膜の上に、
本発明の塗料組成物による塗料を塗装する。本発明の耐
衝撃性組成物を適宜溶剤に溶解して塗料とするために
は、各成分を良好に分散、混合する必要がある。それに
は、通常塗料の製造に用いられているペイントシェーカ
ー、ディゾルバー、ボールミル、サンドグラインドミル
等の混合・分散装置を用いることができる。本発明の耐
衝撃性組成物を適正粘度となるよう溶剤を用いて希釈
し、噴霧、塗布等の方法により塗装する。耐衝撃性組成
物の粘度はフォードカップ#4によって測定される。噴
霧塗装用組成物の粘度は、フォードカップ#4で10〜
30秒/20℃に調整される。塗装機としては、霧化式
塗装機を用いるのが好ましく、たとえば、エアースプレ
ー、エアレススプレー、及び各種静電塗装機などが挙げ
られる。
【0072】本発明の組成物より得られる耐チッピング
性塗膜の厚さは、乾燥膜厚で2〜60μmとするのが好
ましい。耐チッピング性塗膜の厚さが2μm未満では耐
チッピング性が劣る。また、60μmを超す厚さとする
と、ウェット−オン−ウェット塗装時、上層塗膜と下層
耐チッピング性塗膜との適合性から外観不良となる。よ
り好ましい耐チッピング性塗膜の厚さは5〜40μmで
ある。
【0073】次に、中塗り塗装を行う。なお、中塗り塗
装は、本発明の塗料組成物による塗膜の上に、いわゆる
ウェット−オン−ウェット方式、又はプレヒート方式
(ウェット塗膜から溶媒をフラッシュオフする方式)を
併用して行うことができる。中塗り塗料としては、アル
キド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂系の塗料を
用いることができる。塗装は、通常の方法、たとえば静
電塗装によって行うことができる。焼き付けも常法によ
り行うことができる。中塗り塗膜の膜厚は、乾燥膜厚で
20〜60μmとするのが好ましい。中塗り塗料とし
て、上塗り塗料との組み合わせで意匠性を発揮するため
に、着色顔料を含む「カラー中塗り塗料」を用いること
もできる。
【0074】上塗り塗料としては、アクリル樹脂系塗
料、ポリエステル樹脂系塗料、フッ素樹脂系塗料などの
塗料を用いることができる。これらの塗料において、そ
の樹脂は、有機溶剤型、水系型、粉体型のいずれであっ
てもよい。なお、上塗り塗装の条件は、従来の自動車の
上塗り塗装の条件と同様としてよい。
【0075】また、上記(ロ)の場合には、まず、電着
塗装/焼き付けを行い、次に、電着塗膜の上に中塗り塗
装し、焼付けを行う。そして、中塗塗膜の上に、本発明
の塗料組成物による塗料を塗装し、ウェット−オン−ウ
ェット方式、又はプレヒート方式を併用して上塗り塗装
を行う。この場合、本発明の塗料組成物による塗膜の厚
さは、乾燥膜厚で2〜60μm程度とするのが好まし
い。なお、電着塗装、中塗り塗装、及び上塗り塗装にお
ける諸条件は上述の(イ)の場合と同様としてよい。
【0076】さらに、上記(ハ)の場合には、本発明の
塗料組成物を1層型の上塗り塗料(いわゆる上塗りソリ
ッド塗料)として用いる。上述の(イ)の場合の方法に
準じて電着塗装/焼き付け、中塗り塗装/焼き付けを行
った後、中塗塗膜上に本発明の塗料組成物による塗料を
塗装する。
【0077】上塗りソリッド塗料として本発明の塗料組
成物を用いる場合には、(B) 成分として、上述したアク
リル樹脂の他に、適宜油変性のポリエステル樹脂などを
用いることができる。
【0078】上塗り塗膜がベース塗膜及びクリヤー塗膜
からなる場合(上記(ニ)の場合)には、本発明の塗料
組成物をそのどちらの塗膜(ベース塗膜又はクリヤー塗
膜)の形成に用いてもよく、さらには、両方の塗膜(ベ
ース塗膜及びクリヤー塗膜)の形成に用いることもでき
る。本発明の塗料組成物を上塗り塗料として用いる場
合、成分(B) として、アクリル樹脂を用いるのが好まし
い。その中では、フッ素樹脂変性の水酸基含有アクリル
樹脂、又はセルロースエステル変性の水酸基含有アクリ
ル樹脂を用いるのが好ましい。フッ素樹脂変性の水酸基
含有アクリル樹脂としては、特開平2−245067号
に記載のフルオロオレフィン変性アクリル樹脂を好適に
用いることができる。また、セルロースエステル変性の
水酸基含有アクリル樹脂は、硝酸セルロース、セルロー
スプロピオネート、セルロースブチレート、セルロース
アセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオ
ネートなどやこれらの混合物により、上述した水酸基含
有アクリル樹脂を変性したものである。セルロースエス
テルの量は、水酸基含有アクリル樹脂の固形分を基準と
して、約2〜50重量%とするのが好ましく、さらに好
ましくは5〜20重量%とする。
【0079】本発明の塗料組成物を上塗り塗料のベース
塗料として用いる場合、(B) 成分として、特にセルロー
スエステル変性の水酸基含有アクリル樹脂を選択するの
が好ましい。このときのベース塗膜の膜厚は、乾燥膜厚
で15〜20μmとするのが好ましい。また、本発明の
塗料組成物を上塗り塗料のクリヤー塗料として用いる場
合、(B) 成分として、特に、フッ素樹脂変性アクリル樹
脂を選択するのが好ましい。このときのクリヤー塗膜の
膜厚は、乾燥膜厚で30〜50μmとするのが好まし
い。
【0080】さらに、本発明の塗料組成物は、上記
(ホ)に示したように、中塗り塗料としても用いること
もできる。このときは、本発明の塗料組成物中の成分
(B) の樹脂として、上述した水酸基含有ポリエステル樹
脂(エポキシ変性、油変性、メラミン変性、又はウレタ
ン変性の各種変性ポリエステル樹脂を含む)を選択する
のが好ましい。この場合の中塗り塗膜の厚さは、乾燥膜
厚で30〜50μmとするのが好ましい。
【0081】 (2)電着塗装および上塗り塗装する塗装工程の場合 一方、(ヘ)の場合には、上述の通りに電着塗装を行っ
た後、本発明の塗料組成物による塗料を電着塗膜上に塗
装する。この場合、本発明の塗料組成物の成分(B) とし
ては、ポリエステル樹脂を用いるのが好ましい。成分
(B) として特に好ましくは、ラクトン変性ポリエステル
樹脂を用いる。膜厚は、乾燥膜厚で5〜40μmとする
のが好ましい。次に、本発明の塗料組成物による塗膜上
に、(イ)の場合と同様にして、上塗り塗装を施す。
【0082】また、(ト)の場合には、上述の通りに電
着塗装を行った後、上記(ハ)に準じて、本発明の耐衝
撃性組成物による上塗りソリッド塗料を塗装する。
【0083】さらに、(チ)の場合には、電着塗膜上
に、上記(ニ)と同様にして上塗り塗膜としてベース塗
膜及びクリヤー塗膜を形成する。
【0084】以下に本発明の好ましい態様を示す。 (1) 本発明の耐衝撃性組成物における成分(A) に用い
るイソシアネート化合物が、脂肪族系又は脂環族系のポ
リイソシアネートである。 (2) 本発明の耐衝撃性組成物における変性ポリイソシ
アネートが、イソシアネート由来の部分とカプロラクト
ン由来の部分との比が重量比で1/1〜1/4である。 (3) 本発明の耐衝撃性組成物における水酸基含有樹脂
が、水酸基含有アクリル樹脂又は水酸基含有ポリエステ
ル樹脂である。 (4) 前項(3) において、水酸基含有アクリル樹脂の水
酸基価が50〜200であり、水酸基含有ポリエステル
樹脂の水酸基価が40〜200である。 (5) 本発明の耐衝撃性組成物が更に、成分(A) と成分
(B) の合計量に対し、微小樹脂粒子を0.1〜40重量
%含有する。 (6) 本発明の耐衝撃性組成物における変性ポリイソシ
アネートと水酸基含有樹脂との重量比が(20〜80)
/(80〜20)である。 (7) 前項(6) において、変性ポリイソシアネートと水
酸基含有樹脂との重量比が(30〜70)/(70〜3
0)である。 (8) 本発明の耐衝撃性組成物における−NCO基と−
OH基とのモル比が(40〜60)/(60〜40)で
ある。 (9) 本発明の耐衝撃性組成物における水酸基含有樹脂
が、水酸基含有アクリル樹脂である。 (10) 本発明の耐衝撃性組成物が更に、成分(A) と(B)
100重量部当たり、25〜80重量部の(C) カプロラ
クトン変性ポリオールを含有する。
【0085】(11) 自動車車体に、(A) カプロラクトン
変性ジオールとの結合により変性され、かつ活性イソシ
アネート基がブロックされた変性ポリイソシアネートお
よび、(B) 1分子中に2個以上の水酸基を含有する水酸
基含有樹脂、を主成分とする耐衝撃性組成物を、 (1)電着塗装、中塗り塗装および上塗り塗装する塗装
工程において、(イ)電着塗膜と中塗り塗膜との間に形
成される塗膜、(ロ)中塗り塗膜と上塗り塗膜との間に
形成される塗膜、(ハ)1層型の上塗り塗装における上
塗り塗膜、(ニ)2層型の上塗り塗装におけるベース塗
膜及び/又はクリヤー塗膜、(ホ)中塗り塗膜の少なく
とも1つの塗膜として塗装するか、もしくは、 (2)電着塗装および上塗り塗装する塗装工程におい
て、(ヘ)電着塗膜と上塗り塗膜との間に形成される塗
膜、(ト)1層型の上塗り塗装における上塗り塗膜、
(チ)2層型の上塗り塗装におけるベース塗膜及び/又
はクリヤー塗膜の少なくとも1つの塗膜として塗装する
耐チッピング性複合塗膜から成る塗装物。
【0086】
【実施例】本発明を以下の具体的実施例によりさらに詳
細に説明する。しかし、本発明はこれら実施例に限定さ
れるものではない。
【0087】実施例1〜3、及び比較例1〜4 リン酸亜鉛処理を施した7cm×15cm×0.8mm
のダル鋼板に、カチオン電着塗料〔日本ペイント(株)
製、パワートップU−226E〕を乾燥塗膜の厚さが約
20μmとなるように電着塗装した。さらに、塗膜は1
65℃で30分の条件で焼き付けた。次に、(A) カプロ
ラクトン変性ジオールを結合したビューレット型のブロ
ックHDI(住友バイエルウレタン(株)製「SBU−
0869」、数平均分子量約1500)と、(B) アクリ
ル樹脂(B1)(Tgが−34℃であり、数平均分子量約
5000の水酸基含有アクリル樹脂で、不揮発分が64
%であり、水酸基価は160であり、酸価は2.4であ
る。)とを(A) :(B) が固形分の重量比で60:40と
なるように混合し、さらに、下記組成となるように他の
物質を加えて混合し、耐衝撃性組成物を調製した。ここ
で成分(A) 中のイソシアネート基(NCO)と成分(B)
中の水酸基(OH)とのモル比は1:1となる。
【0088】 耐衝撃性組成物の組成 (A) 成分及び(B) 成分 :合計で100重量部(固形分
換算) 二酸化チタン : 5重量部 カーボンブラック : 0.5重量部 リポノックスNC−60: 1重量部(表面調
整剤) ジブチル錫ジラウレート: 1.5重量部 溶剤<1> : 210重量部 注<1> :酢酸ブチル/キシレンの1/1(重量比)混合
物からなる溶剤である。
【0089】希釈用のシンナーとして、酢酸ブチル/ト
ルエンの1:1(重量比)混合物を用い、これに、上述
の耐衝撃性組成物を溶解し、フォードカップ#4で11
秒となるように粘度調整後、エアスプレー塗装により乾
燥膜厚が約10μmとなるように塗装した。上記の塗装
後、約2分間セッティングし、次に、(ウェット−オン
−ウェット方式で)中塗り塗料〔日本ペイント(株)製
「オルガP−61−1 グレー」、ポリエステル/メラ
ミン樹脂塗料〕を乾燥塗膜の厚さが約35μmとなるよ
うにエアースプレー塗装し、140℃で25分間焼付け
た。
【0090】その後、アクリル樹脂系上塗りベースコー
ト塗料〔日本ペイント(株)製、スーパーラックM−8
0メタリックベース〕を乾燥膜厚が約15μmとなるよ
うに塗装し、3分間セッティングを行った。ついで、ク
リヤー塗料〔日本ペイント(株)製、スーパーラックO
−130クリヤー〕を乾燥膜厚が約30μmとなるよう
に塗装し、約10分間セッティング後、140℃で25
分間焼付けて試験片(実施例1)を得た。
【0091】実施例1の耐衝撃性組成物の成分(A) とし
て、カプロラクトン変性ジオールを結合したビューレッ
ト型のブロックHDIを用いる代わりに、カプロラクト
ン変性ジオールを結合したイソシアヌレート型のブロッ
クHDI(住友バイエルウレタン(株)社製、SBU−
0890)(実施例2)、又は、カプロラクトン変性ジ
オールを結合したトリメチロールプロパンアダクト型の
ブロックイソシアネート(日本ポリウレタン(株)製、
NN−5)(実施例3)を用い、他は実施例1と同様に
して試験片を作製した。なお、実施例2、3に用いた耐
衝撃性組成物において、NCO/OHのモル比は1/1
としてある。
【0092】さらに、耐衝撃性組成物の成分(A) とし
て、カプロラクトン変性ジオールを結合しないイソシア
ヌレート型のブロックHDIを用いた以外は、実施例1
と同様にして塗装したもの(比較例1)、ポリイソシア
ネート化合物を用いず、実施例1で用いたアクリル樹脂
と、その硬化剤としてメラミン樹脂を用いたもの(比較
例2)、本発明による耐衝撃性組成物を用いず、従来の
溶剤型チッピングプライマーを用い、その塗膜の厚さを
乾燥膜厚で5μmとしたもの(比較例3)、さらに、本
発明による耐衝撃性組成物及びチッピングプライマーを
用いず、電着塗装−中塗り塗装−上塗り塗装としたもの
(比較例4)を作製した。
【0093】得られた試験片について、以下の方法によ
り、耐チッピング性、塗膜外観性を評価した。また、各
耐衝撃性組成物の洗浄性についても、以下に示す方法に
より評価した。結果を表1に示す。
【0094】(1)耐チッピング性 グラベロ試験機(スガ試験機(株)製)を用いて、以下
の条件で試験を行った。 石の大きさ: 7号砕石(JIS−A−5001によ
る) 石の量 : 50g 距離 : 35cm エアー圧 : 4.0kg/cm2 角度 : 45° 試験温度 : −20℃
【0095】耐チッピング性試験の結果は、チッピング
プライマーを使用しない試験片(比較例4)を「×」の
評価として、目視により以下のように5段階に分けて評
価した。 ◎ 優秀(はがれが全くない)。 ○ 良好(わずかにはがれが認められる)。 △ 普通(1mmφ以下のはがれが散見される)。 ◆ やや劣る(はがれが目立つ)。 × 劣る。(はがれが著しく目立つ)。
【0096】(2)塗膜外観性 上塗り塗装まで行った試験片の表面のちぢみ、ぼけ感、
灰かぶり性を目視により以下の5段階に分けて評価し
た。 ◎ 優秀(ちぢみ、ぼけ感、灰かぶりが全くない)。 ○ 良好(ちぢみ、ぼけ感、灰かぶりが殆ど見られな
い)。 △ 普通(ちぢみ、ぼけ感、灰かぶりが若干見られ
る)。 ◆ やや劣る(ちぢみ、ぼけ感、灰かぶりが目立
つ)。 × 劣る(ちぢみ、ぼけ感、灰かぶりが著しく目立
つ)。
【0097】(3)洗浄性 各実施例及び各比較例で用いた耐チッピング性塗料(又
は従来のチッピングプライマー)単独の塗膜をブリキ板
上に形成し、20℃、5分間放置後、キシレン/酢酸ブ
チル(8/2重量比)の混合溶媒に5分間浸漬し、引き
上げて軽く刷毛でこすり、塗膜の溶解状態を目視で調査
し、評価した。○ ほぼ全面溶解し、塗膜の残存がな
い。× ほとんど溶解せず、塗膜が残存する。
【0098】
【表1】 表1 例No. 硬化剤成分 樹脂成分 塗膜外観 耐チッピング性 洗浄性 ―――― ――――― ―――― ―――― ――――――― ――― 実施例1 SBU-0869<1> B1<2> ◎ ○ ○ 実施例2 SBU-0890<3> B1<2> ○ △ ○ 実施例3 NN-5 <4> B1<2> ○ △ ○ 比較例1 BL-3175 <5> B1<2> ○ ◆ ○ 比較例2 ユーバン<6> B1<2> ○ ◆ ○ 比較例3 なし CP<7> ◎ ○ × 比較例4 チッピングプライマー塗装せず ◎ × −
【0099】表1において、 注<1> :カプロラクトン変性ジオールを結合したビュー
レット型のブロックHDI(住友バイエルウレタン
(株)製 SBU−0869、数平均分子量約150
0)。 <2> :アクリル樹脂(B1)、Tgが−34℃、水酸基価
が160で、St/LMA/4HBA/MAA=13/
46/41/0.3(重量比)のモノマーによる水酸基
含有アクリル樹脂であり、数平均分子量約5000で不
揮発分が64%である。溶剤は酢酸ブチル/キシレンが
20/80(重量比)である。 <3> :カプロラクトン変性ジオールを結合したイソシア
ヌレート型のブロックHDI(住友バイエルウレタン
(株)製)。 <4> :カプロラクトン変性ジオールを結合したTMP
(トリメチロールプロパン)アダクト型のブロックイソ
シアネート(日本ポリウレタン(株)製)である。 <5> :カプロラクトン変性ジオールで変性していないイ
ソシアヌレート型のブロックHDI(住友バイエルウレ
タン(株)製、数平均分子量約700)。 <6> :メラミン樹脂「ユーバン−20N−60」、三井
東圧化学(株)製。 <7> :溶剤型の変性ポリオレフィン系チッピングプライ
マー。
【0100】実施例4〜8、比較例5、6 実施例1と同一の鋼板を複数枚用い、また、(A) 成分と
して上述のSBU−0869を、(B) 成分として上述の
アクリル樹脂(B1)を用い、(A) 成分と(B)成分との
配合比(−OH/−NCOのモル比で表す)を表2に示
すように変化させ、他は実施例1と同様の方法で塗装を
行い、複数の試験片を得た。各試験片について、実施例
1と同様の方法により、塗膜外観及び耐チッピング性に
ついて評価した。結果を表2に示す。
【0101】
【表2】
【0102】表2において、 注<1> :成分(A) (ポリイソシアネート化合物)を用い
なかった。 <2> :成分(B) 〔アクリル樹脂(B1)〕を用いなかっ
た。
【0103】実施例9〜15 成分(B) (水酸基含有アクリル樹脂)の分子量の変化が
塗膜外観及び耐チッピング性に及ぼす影響を調べるため
に、平均分子量の異なる複数の水酸基含有アクリル樹脂
を用いて耐衝撃性組成物を調製し、これを用いて実施例
1と同様に試験片を作製した。ここで、各例の耐衝撃性
組成物において、−OH/−NCO(モル比)は1/1
とした。
【0104】これらの試験片について、実施例1と同様
にして塗膜外観及び耐チッピング性を評価した。用いた
水酸基含有アクリル樹脂の数平均分子量、そのガラス転
移温度、及び評価結果を表3に示す。(なお、用いたポ
リイソシアネート化合物は住友バイエルウレタン(株)
製「SBU−0869」である。)
【0105】
【表3】 表3 例No. 数平均分子量 Tg(℃)<1> 塗膜外観 耐チッピング性 ―――― ―――――― ――――― ―――― ――――――― 実施例9 5000<2> −34 ◎ ○ 実施例10 7000<3> −34 ◎ △ 実施例11 4200<4> −34 ◎ ○ 実施例12 3700<5> −34 ○ ◎ 実施例13 3500<6> −34 ○ ◎ 実施例14 3100<7> −34 ○ ◎ 実施例15 2600<8> −34 △ ◎
【0106】表3において、 注<1> :用いた水酸基含有アクリル樹脂のガラス転移温
度である。 <2> :アクリル樹脂(B1)である。 <3> 〜<8> :アクリル樹脂(B1)の合成条件(温度、
触媒量)を変えて、平均分子量を変化させたものであ
る。
【0107】実施例16〜19 水酸基含有アクリル樹脂のガラス転移温度(Tg:℃)の
ちがいが塗膜外観及び耐チッピング性に及ぼす影響を調
べるために、ガラス転移温度の異なる複数の水酸基含有
アクリル樹脂を用いて耐衝撃性組成物を調製し、これを
用いて実施例1と同様の方法で試験片を作製した。ここ
で、各例の耐衝撃性組成物において、−OH/−NCO
(モル比)は1/1とした。
【0108】これらの試験片について、実施例1と同様
にして塗膜外観及び耐チッピング性を評価した。用いた
水酸基含有アクリル樹脂のガラス転移温度、及び評価結
果を表4に示す。(なお、用いたポリイソシアネート化
合物は住友バイエルウレタン(株)製「SBU−086
9」である。)
【0109】
【表4】
【0110】表4において、 注<1> :用いた水酸基含有アクリル樹脂のガラス転移温
度である。 <2> :アクリル樹脂(B1)である。 <3> 〜<5> :アクリル樹脂(B1)のSt:LMAの比
率を変えることによりTgを変化させたものである。
【0111】実施例20〜23 成分(B) として表5に示す水酸基含有アクリル樹脂、及
び成分(A) として上述のSBU−0869を含有する耐
衝撃性組成物(−OH/−NCOのモル比は1/1であ
る)を用いた以外は、実施例1と同様にしてダル鋼板に
対して、電着塗装、耐チッピング性塗料塗装、中塗り塗
装、及び上塗り塗装を行った(実施例20、21)。
【0112】また、実施例21と同一の耐チッピング性
塗料に、さらに架橋重合体微粒子(AZS797:日本
ペイント(株)製)を、樹脂固形分100重量部に対し
て、5重量部又は10重量部加えた塗料を用い、他は実
施例21と同様にして試験片を作製した。得られた各試
験片について、実施例1と同様にして塗膜外観及び耐チ
ッピング性を評価した。結果を表5に示す。
【0113】
【表5】 表5 例No. アクリル樹脂 樹脂微粒子<1> 塗膜外観 耐チッピング性 ―――― ―――――― ――――――― ―――― ――――――― 実施例20 B2<2> 0 ○〜△ ◎ 実施例21 B3<3> 0 ○ ◎ 実施例22 B3<3> 5重量部 ◎〜○ ◎ 実施例23 B3<3> 10重量部 ◎ ◎
【0114】表5において、 注<1> :架橋重合体微粒子(AZS797:日本ペイン
ト(株)製)であり、樹脂固形分100重量部に対する
量を示す。 <2> :B2は、実施例13のアクリル樹脂の溶剤を酢酸
ブチル/キシレン(10/90重量比)に変えたもので
ある。 <3> :B3は、実施例13のアクリル樹脂の溶剤を酢酸
エチル/トルエン(20/80重量比)に変えたもので
ある。
【0115】実施例24及び24−1、比較例7〜9 成分(A) として表6に示す化合物(硬化剤)を用いた以
外は、実施例20と同様にして試験片を作製した。得ら
れた試験片の塗膜外観及び耐チッピング性を、実施例2
0と同様にして評価した。用いた硬化剤(ポリイソシア
ネート化合物、又は他の化合物)、ブロックイソシアネ
ート(BI)のタイプ、及び評価結果を表6に示す。な
お、参考のために、実施例20のポリイソシアネート化
合物のタイプ及び評価結果を表6に合わせて示す。
【0116】
【表6】 表 6 例No. 硬化剤 BIのタイプ NCO/OH 塗膜外観 耐チッピング性 ―――― ――――― ―――――― ――― ―――― ――――――― 実施例20 SBU-0869<1> ビューレット 50/50 ○〜△ ◎ 実施例24 SBU-0890<2> イソシアヌレート 50/50 ○ ○ 実施例24-1 NN-18 <2-1> イソシアヌレート/アタ゛クツ 50/50 ◎ ○ 比較例7 BL-3175 <3> イソシアヌレート 50/50 ◎ ◆ 比較例8<4> ユーバン<5> ― 70/30<6> ◎ ◆ 比較例9 S-HT <7> TMPアダクツ 50/50 ○ ◆
【0117】表6において、 注<1> :カプロラクトン変性ジオールを結合したビュー
レット型のブロックHDI、住友バイエルウレタン
(株)製。 <2> :カプロラクトン変性ジオールを結合したイソシア
ヌレート型のブロックHDI、住友バイエルウレタン
(株)製。 <2-1>:カプロラクトン変性ポリオールを結合したイソ
シアヌレート/アダクツ混合型のブロックHDI、日本
ポリウレタン(株)製。 <3> :カプロラクトン変性ジオールを結合しないイソシ
アヌレート型のブロックHDI、住友バイエルウレタン
(株)製。 <4> :この例の塗料中には、ポリイソシアネート化合物
は含まれておらず、メラミン樹脂によりアクリル樹脂を
硬化させる構成である。 <5> :メラミン樹脂「ユーバン20N−60」、三井東
圧化学(株)製。 <6> :比70/30は、アクリル樹脂/メラミン樹脂の
重量比である。 <7> :スミジュールHT(住友バイエルウレタン(株)
製)である。
【0118】実施例25、26、比較例10〜15 上塗り塗料として、以下の二組の塗料を用いた以外は実
施例1と同様の塗装仕様により試験片を作製した。な
お、それぞれの組の上塗り塗料は、ベース塗料(下層側
の塗膜を形成する)と、クリアー塗料(上層側の塗膜を
形成する)との2つの塗料からなる。
【0119】上塗り塗料:アクリル/メラミン樹脂型
の水可溶性または水分散性(即ち、水性)塗料 (1) 「オルガTO-H900 メタリックベース」(水性)日本
ペイント(株)製。 (2) 「オルガTO-561クリアー」(溶剤型)日本ペイント
(株)製。
【0120】上塗り塗料:酸性雨対策型塗料 (1) 「オルガTO-H500 メタリックベース」(溶剤型)日
本ペイント(株)製。 (2) 「オルガTO-H580 クリアー」(溶剤型)日本ペイン
ト(株)製。
【0121】得られた試験片について、実施例1と同様
にして塗膜外観、及び耐チッピング性を評価した。結果
を表7に示す。比較のために、本発明による耐衝撃性組
成物の代わりに、マレイン化ポリオレフィン系チッピン
グプライマーを用い、また、上塗り塗料としては、実施
例1で用いたものと同一のもの(以下に示す上塗り塗料
)、上述の上塗り塗料、又は上塗り塗料を用いて
試験片(比較例10〜12)を作製した。なお、マレイ
ン化ポリオレフィン系チッピングプライマーによる塗膜
の厚さは乾燥膜厚で5μmとした。
【0122】 上塗り塗料:アクリル/メラミン樹脂塗料(溶剤型) (1) 「スーパーラックM-80メタリックベース」日本ペイ
ント(株)製。 (2) 「スーパーラックO-130 クリアー」日本ペイント
(株)製。
【0123】さらに、耐衝撃性組成物又は既存型のチッ
ピングプライマーを用いず、電着塗装−中塗り塗装−上
塗り塗装(上塗り塗料〜のいずれかの塗料を用いた
塗装)を行った試験片(比較例13〜15)を作製し
た。
【0124】得られた試験片について、実施例1と同様
にして塗膜外観、及び耐チッピング性を評価した。結果
を表7に示す。
【0125】
【表7】 表7 例No. プライマー 上塗り塗料<1> 塗膜外観 耐チッピング性 ―――― ――――― ―――――― ―――― ――――――― 実施例25 本発明品<2> ◎ ◎ 実施例26 本発明品<2> ◎ ◎ 比較例10 M−PO<3> ◎ ○ 比較例11 M−PO<3> ◎ ○ 比較例12 M−PO<3> ◎ △ 比較例13 なし ◎ ◆ 比較例14 なし ◎ ◆ 比較例15 なし ◎ ◆
【0126】表7において、 注<1> :〜はそれぞれ上記した(ベース塗料/クリ
アー塗料)の組み合わせである。 <2> :実施例1の耐衝撃性組成物と同一のものである。 <3> :マレイン化ポリオレフィン系チッピングプライマ
ーである。
【0127】実施例27〜29 実施例1で用いたダル鋼板と同一のものに、やはり実施
例1と同様にして電着塗装、焼き付けを行い、さらにそ
の上に中塗り塗装を行って焼き付けした。次に、中塗り
塗膜の上に、実施例1で用いた耐衝撃性組成物により耐
チッピング性塗膜を形成した。耐チッピング性塗膜の膜
厚は(乾燥膜厚で)10μmとなるようにした。2分間
セッティングを行ったのち、上述の上塗り塗料〜
(それぞれベース塗料/クリアー塗料の組み合わせとな
っている)を用いて上塗り塗装し、140℃で25分の
焼き付けを行った。得られた試験片について、実施例1
と同様にして塗膜外観及び耐チッピング性を評価した。
結果を表8に示す。
【0128】
【表8】 表8 例No. 上塗り塗料 塗膜外観 耐チッピング性 ―――― ――――― ―――― ――――――― 実施例27 ◎ ◎ 実施例28 ◎ ◎ 実施例29 ◎ ◎
【0129】実施例30 実施例1で用いたダル鋼板と同一のものに、やはり実施
例1と同様にして電着塗装、焼き付けを行い、実施例1
の耐衝撃性組成物を用い、耐チッピング性塗膜を形成し
た。耐チッピング性塗膜の膜厚は(乾燥膜厚で)10μ
mとなるようにした。2分間セッティングを行ったの
ち、ソリッド型のポリエステル樹脂上塗り塗料(「オル
ガG−75 ホワイト」日本ペイント(株)製)を塗装
して試験片を得た。この試験片について実施例1と同様
にして塗膜外観及び耐チッピング性を評価した。塗膜外
観は◎であり、また耐チッピング性も○であった。
【0130】実施例31〜40−2、比較例16 実施例1で用いたダル鋼板と同一のものに、実施例1と
同様にして電着塗装を行った。 (A) 成分として、カプロラクトン変性ジオールを結合し
たビューレット型のブロックHDI(住友バイエルウレ
タン(株)製「SBU−0869」、数平均分子量約1
500)と、成分(B) として、表9に示す樹脂とを混合
し、さらに実施例1の耐衝撃性組成物の調製において用
いたものと同様の成分を加え、耐チッピング性(即ち、
耐衝撃性)塗料組成物を得た。ここで成分(A) 中のイソ
シアネート基(−NCO)と成分(B) 中の水酸基(−O
H)とのモル比は1:1である。
【0131】尚、実施例40においては、成分(B) の樹
脂としてジェファーミンD2000(ポリオキシアルキ
レンアミン、TEXACO CHEMICAL社製)を
用いており、このときの成分(A) と成分(B) の配合比
は、成分(A) 中のイソシアネート基(−NCO)と成分
(B) 中の活性水素(−H)とのモル比が1:1となるよ
うにした。また、実施例40−1及び40−2において
は、実施例36の (B)成分の一部を (C)成分に換えたも
ので、 (B)成分と (C)成分の重量比率は85/15であ
り、このときの−NCO/−OHのモル比は1/1とな
るようにした。得られた耐チッピング性塗料組成物を実
施例1と同様にして粘度調整後、実施例1と同様にして
電着塗膜上に塗装した。なお、塗装は乾燥膜厚で約5μ
mとなるようにした。
【0132】上記の塗装後、約2分間セッティングし、
次に、(ウェット−オン−ウェット方式で)中塗り塗料
〔日本ペイント(株)製「オルガP−61−1 グレ
ー」、ポリエステル/メラミン樹脂塗料〕を乾燥塗膜の
厚さが約35μmとなるようにエアースプレーし、14
0℃で25分間焼き付けた。その後、上述した上塗り塗
料、又はを用い、実施例1の方法に準じて塗装、
焼き付けを行い、上塗り塗料、又はによる上塗り
塗膜を有する試験片を得た。なお、これら実施例におけ
る塗装順序は、本発明による耐衝撃性組成物をCPとし
て、 電着塗装/CP塗装/中塗り塗装/上塗り塗装 である。
【0133】得られた試験片について、実施例1と同様
にして耐チッピング性を評価した。結果を表9に示す。
また、本発明による耐衝撃性組成物を用いない以外は、
実施例31と同様にして、上塗り塗装による上塗り塗
膜を有する試験片を作製した(比較例16)。この試験
片についても、実施例31と同様にして耐チッピング性
を評価した。結果を表9に示す。
【0134】
【表9】 表9 耐チッピング性 例No. 成分(B) /成分(C) 上塗 上塗 上塗 ―――― ―――――――――――――――― ――― ――― ――― 実施例31 ポリエステル樹脂 <1> ◎ ◎ ◎ 実施例32 ラクトン変性ポリエステル樹脂<2> ◎ ◎ ◎ 実施例33 ヤシ油変性ポリエステル樹脂 <3> ◎ ◎ ◎ 実施例34 メラミン変性ポリエステル樹脂<4> ◎ ◎ ◎ 実施例35 ラクトン変性アクリル樹脂A <5> ◎ ◎ ◎ 実施例36 ラクトン変性アクリル樹脂B <6> ◎ ◎ ◎ 実施例37 2-エチル-1,3−ヘキサンジオール <7> ◎ ◎ ◎ 実施例38 1,5-ペンタンジオール <8> ◎ ◎ ◎ 実施例39 ポリカプロラクトンジオール <9> ◎ ◎ ◎ 実施例40 ポリオキシアルキレンアミン <10> ◎ ◎ ◎ 実施例40-1 ラクトン変性アクリル樹脂B<6> /ポリカプロラクトンジオール<9> ◎ ◎ ◎ 実施例40-2 ラクトン変性アクリル樹脂B<6> /ポリカプロラクトントリオール<9-1> ◎ ◎ ◎ 比較例16 チッピングプライマーなし ― ― ×
【0135】表9において、 注<1> :エスペル1690(日立化成工業(株)製)、
不揮発分64.8%、水酸基価120、数平均分子量2
700。 <2> :主鎖にも側鎖にもラクトン骨格を組み込んだラク
トン変性ポリエステル樹脂である。プラクセルCDE−
9P(ダイセル工業(株)製)、不揮発分80%、水酸
基価90、数平均分子量3500。 <3> :BS57−851−65(大日本インキ化学工業
(株)製)、不揮発分65%、水酸基価100、数平均
分子量2109。 <4> :BL BF−115−65X(大日本インキ化学
工業(株)製)、不揮発分65%、水酸基価130、数
平均分子量2900。 <5> :EPA−5860(ダイセル工業(株)製)、不
揮発分60%、水酸基価30、数平均分子量5000。 <6> :プラクセルDC−2209(ダイセル工業(株)
製)、不揮発分50%、水酸基価12.5(固形分換
算)、数平均分子量11000。 <7> :EHD(チッソ石油化学(株)製)、不揮発分1
00%、水酸基当量73、数平均分子量146。 <8> :不揮発分100%、水酸基当量52、数平均分子
量104、和光純薬工業(株)製。 <9> :プラクセル205(ダイセル工業(株)製)、不
揮発分100%、水酸基価212、数平均分子量53
0。 <9-1>:プラクセルL320AL(ダイセル工業(株)
製)、不揮発分100%、水酸基価84、数平均分子量
2000。 <10>:ジェファーミンD2000(TEXACO CH
EMICAL社製)、不揮発分100%、水酸基当量5
20、数平均分子量2000。
【0136】実施例41 本発明による耐衝撃性組成物(CP)を電着塗膜と中塗
塗膜との間ではなく、中塗塗膜の上に塗装した以外は、
実施例31〜40と同様にして10種の試験片を作製し
た。ここで、上塗り塗料としては、上述の上塗り塗料
を選択した。なお、この例における塗装順序は、 電着塗装/中塗り塗装/CP塗装/上塗り塗装 である。得られた試験片について実施例1と同様にして
耐チッピング性を評価したところ、総ての試験片におい
て耐チッピング性は◎であった。
【0137】実施例42 実施例31〜40のそれぞれにおいて、耐衝撃性組成物
(CP)中の成分(A)として、カプロラクトン変性ジオ
ールを結合したビューレット型のブロックHDIの代わ
りに、カプロラクトン変性ジオールを結合したイソシア
ヌレート型のブロックHDI(SBU−0890、住友
バイエルウレタン(株)製)を用いた以外は、それぞれ
実施例31〜40と同様にして試験片を作製した。この
実施例では、以下に示す塗装順序で塗膜を形成した。 電着塗装/CP塗装/中塗り塗装/上塗り塗装 なお、上塗り塗料としては、上述した「上塗り塗料」
を用いた。各試験片について実施例1と同様にして耐チ
ッピング性を評価した。結果は総て○であった。
【0138】実施例43 実施例1と同様にしてダル鋼板に電着塗装を行った。 (A) 成分として、カプロラクトン変性ジオールを結合し
たビューレット型のブロックHDI(住友バイエルウレ
タン(株)製「SBU−0869」、数平均分子量約1
500)と、成分(B) として、ポリエステル樹脂(エス
ペル1690、日立化成工業(株)製、不揮発分64.
8%、水酸基価120、数平均分子量2700)とを用
い、さらに以下の組成となるように他の成分を添加し、
中塗り用の耐チッピング性塗料組成物(中塗りCP)を
得た。なお、この中塗りCP中の成分(A) 中のイソシア
ネート基(−NCO)と成分(B) 中の水酸基(−OH)
とのモル比は1:1である。
【0139】中塗りCPの組成 (A) 成分及び(B) 成分 :合計で100重量部(固形分
換算) 二酸化チタン : 55重量部 カーボンブラック : 2重量部 沈降防止剤 : 2重量部 表面調整剤 : 1重量部 ジブチル錫ジラウレート: 1.5重量部 溶剤 : 65重量部 溶剤の内訳:ソルベッソ150(エクソン化学製)/キ
シレン/酢酸ブチル=1/2/1(重量比)
【0140】ソルベッソ150/酢酸ブチル=1/1
(重量比)混合物をシンナーとして、上述の中塗り塗料
組成物を希釈し、乾燥膜厚が35μmとなるように電着
塗膜上にエアスプレーし、140℃で25分間の焼き付
けを行った。その後、上述した上塗り塗料を用い、実
施例1と同様にして上塗り塗膜を形成した。
【0141】本例における塗装順序は、 電着塗装/中塗りCP塗装/上塗り塗装 である。得られた試験片について耐チッピング性を実施
例1と同様にして評価した。結果は◎であった。
【0142】実施例44 耐チッピング性の中塗り塗料組成物中の成分(A) とし
て、カプロラクトン変性ジオールを結合したビューレッ
ト型のブロックHDIの代わりに、カプロラクトン変性
ジオールを結合したイソシアヌレート型のブロックHD
I(SBU−0890、住友バイエルウレタン(株)
製)を用いたこと以外は、実施例43と同様にして試験
片を作製した。得られた試験片について実施例1と同様
に耐チッピング性を評価した。結果は○であった。
【0143】実施例45 耐チッピング性の中塗り塗料(中塗りCP)の塗装の前
に(すなわち、電着塗膜の上に)、さらに、(A) カプロ
ラクトン変性ジオールを結合したビューレット型のブロ
ックHDI(住友バイエルウレタン(株)製「SBU−
0869」、数平均分子量約1500)と、(B) 主鎖に
も側鎖にもラクトン骨格を組み込んだラクトン変性ポリ
エステル樹脂(プラクセルCDE−9P、ダイセル工業
(株)製、不揮発分80%、水酸基価90、数平均分子
量3500)とからなる耐チッピング性塗料(CP)を
乾燥膜厚が5μmとなるように塗装し、他は実施例43
と同様にして試験片を作製した。なお、CPにおける−
NCO/−OHのモル比は1:1である。
【0144】本例における塗装順序は、 電着塗装/CP塗装/中塗りCP塗装/上塗り塗装 である。得られた試験片について実施例1と同様に耐チ
ッピング性を評価した。結果は◎であった。
【0145】実施例46 実施例45において、(A) カプロラクトン変性ジオール
を結合したビューレット型のブロックHDIと、(B) ラ
クトン変性ポリエステル樹脂とからなる耐チッピング性
塗料(CP)の塗装と、耐チッピング性の中塗り塗料
(中塗りCP)の塗装の順序を反転させた以外は同様に
して試験片を作製した。
【0146】本例における塗装順序は、 電着塗装/中塗りCP塗装/CP塗装/上塗り塗装 である。得られた試験片について実施例1と同様に耐チ
ッピング性を評価した。結果は◎であった。
【0147】実施例47 電着塗膜上に塗装する耐衝撃性組成物(CP)の中の成
分(A) として、カプロラクトン変性ジオールを結合した
イソシアヌレート型のブロックHDI(SBU−089
0、住友バイエルウレタン(株)製)を用いたこと以外
は、実施例45と同様にして試験片を作製した。得られ
た試験片について実施例1と同様に耐チッピング性を評
価した。結果は○であった。
【0148】実施例48 実施例1と同様にしてダル鋼板に電着塗装を行い、その
上に、実施例1で用いた中塗り塗料を塗装し、中塗り塗
膜を形成した。 (A) 成分として、カプロラクトン変性ジオールを結合し
たビューレット型のブロックHDI(住友バイエルウレ
タン(株)製「SBU−0869」、数平均分子量約1
500)と、成分(B) として、セルロースアセテートブ
チレート変性アクリル樹脂(スチレン/メチルメタクリ
レート/エチルメタクリレート/エチルアクリレート/
2−ヘキシルエチルメタクリレート/メチルアクリレー
トの共重合体100重量部に、セルロースアセテートブ
チレート100重量部を反応させて得た変性アクリル樹
脂であり、不揮発分40.5%、水酸基価45、数平均
分子量11100)とを用い、以下の組成となるように
他の成分を加え、耐チッピング性の上塗りベース塗料組
成物(上塗りベースCPと呼ぶ)を得た。なお、上塗り
ベースCPにおいて、成分(A) 中のイソシアネート基
(−NCO)と成分(B) 中の水酸基(−OH)とのモル
比は1:1である。
【0149】上塗りベースCPの組成 (A) 成分及び(B) 成分 :合計で100重量部(固形分
換算) 二酸化チタン : 60重量部 カーボンブラック : 1重量部 沈降防止剤 : 2重量部 表面調整剤 : 1重量部 ジブチル錫ジラウレート: 1.5重量部 溶剤 : 160重量部 溶剤の内訳:キシレン/メチルイソブチルケトン/酢酸
エチル=7/2/1(重量比)
【0150】酢酸エチル/キシレン=1/1(重量比)
混合物をシンナーとして、上述の上塗りベースCPを希
釈して上塗りベース塗料とし、また、上塗りクリヤー塗
料として、スーパーラックO−130(日本ペイント
(株)製)を用い、実施例1に準じて上塗り塗装を行っ
た。なお上塗りベース塗料の塗布量は、乾燥膜厚で15
μmとした。本例における塗装順序は、 電着塗装/中塗り塗装/上塗りベースCP塗装/上塗り
クリヤー塗装 である。得られた試験片について実施例1と同様にして
耐チッピング性を評価した。結果は○であった。
【0151】実施例49 上塗りベース塗料(上塗りベースCP)の中の成分(A)
として、カプロラクトン変性ジオールを結合したイソシ
アヌレート型のブロックHDI(SBU−0890、住
友バイエルウレタン(株)製)を用いたこと以外は、実
施例48と同様にして試験片を作製した。得られた試験
片について実施例1と同様に耐チッピング性を評価し
た。結果は○であった。
【0152】実施例50 中塗り塗装までは、実施例48と同様にして塗装を行っ
た。 (A) 成分として、カプロラクトン変性ジオールを結合し
たビューレット型のブロックHDI(住友バイエルウレ
タン(株)製「SBU−0869」、数平均分子量約1
500)と、(B) 成分として、ルミフロンLF9201
(フッ素含有樹脂、旭ガラス(株)製、不揮発分65.
5%、ワニス中の水酸基価52.4、数平均分子量約7
000)とを用い、さらに、以下の組成となるように他
の成分を加えて、耐チッピング性の上塗りクリヤー塗料
組成物(上塗りクリヤーCPと呼ぶ)を調製した。な
お、上記上塗りクリヤーCPにおける−NCO/−OH
のモル比は1:1である。
【0153】上塗りクリヤーCPの組成 (A) 成分及び(B) 成分 :合計で100重量部(固形分
換算) 表面調整剤 : 2重量部 紫外線吸収剤 : 1重量部 酸化防止剤 : 1重量部 ジブチル錫ジラウレート: 1.5重量部 溶剤 : 95重量部 溶剤の内訳:ソルベッソ150/キシレン=1/2(重
量比)
【0154】上塗りベース塗料としてスーパーラックM
−80メタリックベース(日本ペイント(株)製)を用
い、また、上塗りクリヤー塗料として上述の上塗りクリ
ヤーCPを用い、実施例48に準じて上塗り塗装を行っ
た。上塗りクリヤーCPの塗布量は、乾燥膜厚で35μ
mとした。
【0155】本例における塗装順序は、 電着塗装/中塗り塗装/上塗りベース塗装/上塗りクリ
ヤーCP塗装 である。得られた試験片について、実施例1と同様に耐
チッピング性を評価した。結果は○であった。
【0156】実施例51 上塗りクリヤー塗料中の成分(A) として、カプロラクト
ン変性ジオールを結合したイソシアヌレート型のブロッ
クHDI(SBU−0890、住友バイエルウレタン
(株)製)を用いたこと以外は、実施例50と同様にし
て試験片を作製した。得られた試験片について実施例1
と同様に耐チッピング性を評価した。結果は○であっ
た。
【0157】実施例52 実施例1で用いたダル鋼板と同一のものに、実施例1と
同様にして電着塗装と焼き付けを行った。電着塗膜の上
に、中塗り塗料〔日本ペイント(株)製「オルガP−6
1−1、グレー」、ポリエステル/メラミン樹脂塗料〕
を乾燥塗膜の厚さが約35μmとなるようにエアースプ
レーし、140℃で25分間焼き付けた。
【0158】(A) 成分として、カプロラクトン変性ジオ
ールを結合したビューレット型のブロックHDI(住友
バイエルウレタン(株)製「SBU−0869」、数平
均分子量約1500)と、(B) 成分として、ヤシ油変性
ポリエステル樹脂(大日本インキ化学工業(株)製「B
S57−1086N」、不揮発分65%、水酸基価13
0、数平均分子量3179)とを用い、これに以下の組
成となるように他の成分を添加して、耐チッピング性の
上塗りソリッド塗料組成物(上塗りCPと呼ぶ)を調製
した。なお、上記上塗りCP中の−NCO/−OHのモ
ル比は1:1である。
【0159】上塗りCPの組成 (A) 成分及び(B) 成分 :合計で100重量部(固形分
換算) 二酸化チタン : 50重量部 カーボンブラック : 1重量部 沈降防止剤 : 2重量部 表面調整剤 : 1重量部 ジブチル錫ジラウレート: 1.5重量部 溶剤 : 80重量部 溶剤の内訳:ソルベッソ150/キシレン/メチルイソ
ブチルケトン=2/5/1(重量比)
【0160】得られた中塗り塗膜上に、上記の上塗りC
Pを塗装し、焼き付けを行った。なお、上塗りCPの塗
布量は、乾燥膜厚で35μmとした。
【0161】本例における塗装順序は、 電着塗装/中塗り塗装/上塗りCP塗装 である。得られた試験片について、実施例1と同様に耐
チッピング性を評価した。結果は○であった。
【0162】実施例53 上塗りソリッド塗料(上塗りCP)中の成分(A) とし
て、カプロラクトン変性ジオールを結合したイソシアヌ
レート型のブロックHDI(SBU−0890、住友バ
イエルウレタン(株)製)を用いたこと以外は、実施例
52と同様にして試験片を作製した。得られた試験片に
ついて実施例1と同様に耐チッピング性を評価した。結
果は○であった。
【0163】実施例54 実施例1で用いたダル鋼板と同一のものに、実施例1と
同様にして電着塗装、焼き付けを行った。電着塗膜上
に、実施例32で用いた耐チッピング性塗料(CP)と
同一のものを用い、乾燥膜厚で5μmとなるように塗装
した。
【0164】上記の塗装後、約2分間セッティングし、
次に(ウェット−オン−ウェット方式で)中塗り塗料
〔日本ペイント(株)製「オルガP−61−1 グレ
ー」、ポリエステル/メラミン樹脂塗料〕を乾燥塗膜の
厚さが約35μmとなるようにエアースプレーし、14
0℃で25分間焼き付けた。中塗り塗膜上に、実施例5
2で用いたものと同一の耐チッピング性上塗りソリッド
塗料(上塗りCP)を塗装した。上塗りCPの塗布量は
乾燥膜厚で約35μmとした。
【0165】本例における塗装順序は、 電着塗装/CP塗装/中塗り塗装/上塗りCP塗装 である。得られた試験片について、実施例1と同様に耐
チッピング性を評価した。結果は◎であった。
【0166】実施例55 実施例54において、実施例32で用いた耐チッピング
性塗料(CP)の塗装と、中塗り塗料の塗装の順序を反
転させた以外は、実施例54と同様にして試験片を作製
した。得られた試験片について実施例1と同様に耐チッ
ピング性を評価した。結果は◎であった。
【0167】実施例56 上塗りソリッド塗料(上塗りCP)中の成分(A) とし
て、カプロラクトン変性ジオールを結合したイソシアヌ
レート型のブロックHDI(SBU−0890、住友バ
イエルウレタン(株)製)を用いたこと以外は、実施例
54と同様にして試験片を作製した。得られた試験片に
ついて実施例1と同様に耐チッピング性を評価した。結
果は○であった。
【0168】比較例17 実施例54において、電着塗膜上に、耐チッピング性塗
料の塗装を行わず、また、上塗りソリッド塗料としてオ
ルガG65レッド(日本ペイント(株)製)を用い、他
は実施例54と同様にして試験片を作製した。得られた
試験片について実施例1と同様に耐チッピング性を評価
した。結果は◆であった。
【0169】比較例18 成分(A) として表10に示す化合物(硬化剤)を用いた
以外は、実施例20と同様にして試験片を作製した。得
られた試験片の塗膜外観及び耐チッピング性を実施例2
0と同様にして評価した。用いた硬化剤(ポリイソシア
ネート化合物、又は他の化合物)、ブロックイソシアネ
ート(BI)のタイプ、および評価を表10に示す。な
お、参考のために、実施例20に用いたポリイソシアネ
ート化合物のタイプ及び評価結果を表10に合わせて示
す。
【0170】
【表10】 表10 例No. 硬化剤 BIのタイプ NCO/OH 塗膜外観 耐チッピング性 ―――― ―――――― ―――――― ――― ―――― ――――――― 実施例20 SBU-0869<1> ビューレット 50/50 ○〜△ ◎ 比較例18 XRX2303 <2> イソシアヌレート 50/50 ◎ ◆ /BL3175<3>
【0171】表10において、 注<1> :カプロラクトン変性ジオールを結合したビュー
レット型のブロックHDI、住友バイエルウレタン
(株)製。 <2> :ウレタン変性ポリエステル樹脂、PPG製、水酸
基価50、数平均分子量3600。 <3> :カプロラクトン変性ジオールを結合しないイソシ
アヌレート型のブロックHDI、住友バイエルウレタン
(株)製。
【0172】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の耐衝撃性
組成物より得られる塗料組成物は、ポリカプロラクトン
ジオール変性ブロックポリイソシアネート、好ましくは
ビューレット構造のポリイソシアネートを含んでいるの
で、得られる塗膜は可撓性に富み、良好な耐チッピング
性を有するようになる。また、塗膜外観も良好で、自動
車外板の塗装に好適である。さらに、本発明の耐衝撃性
組成物より得られる塗料組成物は、既存型のチッピング
プライマーとは違って低溶剤型とすることができ、VO
Cの規制を簡単にクリアできる。また、塗装作業、塗装
ラインのメインテナンスも容易である。本発明の耐衝撃
性組成物と、水性塗料とを組み合わせることで、溶剤の
低減化を達成することができる。また他の酸性雨対策型
塗料と組み合わせることで、良好な耐久性のある塗膜を
形成することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09D 5/44 PRU 175/04 PHQ // C08G 18/42 NDY

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A) カプロラクトン変性ジオールとの結
    合により変性され、かつ活性イソシアネート基がブロッ
    クされた変性ポリイソシアネートおよび、 (B) 1分子中に2個以上の水酸基を含有する水酸基含有
    樹脂を主成分とすることを特徴とする耐衝撃性組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載された該耐衝撃性組成物
    がさらに、前記成分(A) と(B) 合計100重量部当た
    り、25〜80重量部の(C) カプロラクトン変性ポリオ
    ールを含有することを特徴とする耐衝撃性組成物。
  3. 【請求項3】 (A) カプロラクトン変性ジオールとの結
    合により変性され、かつ活性イソシアネート基がブロッ
    クされた変性ポリイソシアネートおよび、(B) 1分子中
    に2個以上の水酸基を含有する水酸基含有樹脂を主成分
    とする耐衝撃性組成物を、 (1)電着塗装、中塗り塗装および上塗り塗装する塗装
    工程において、(イ)電着塗膜と中塗り塗膜との間に形
    成される塗膜、(ロ)中塗り塗膜と上塗り塗膜との間に
    形成される塗膜、(ハ)1層型の上塗り塗装における上
    塗り塗膜、(ニ)2層型の上塗り塗装におけるベース塗
    膜及び/又はクリヤー塗膜、(ホ)中塗り塗膜の少なく
    とも1つの塗膜として塗装するか、もしくは、 (2)電着塗装および上塗り塗装する塗装工程におい
    て、(ヘ)電着塗膜と上塗り塗膜との間に形成される塗
    膜、(ト)1層型の上塗り塗装における上塗り塗膜、
    (チ)2層型の上塗り塗装におけるベース塗膜及び/又
    はクリヤー塗膜の少なくとも1つの塗膜として塗装する
    ことを特徴とする耐チッピング性複合塗膜の形成方法。
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