JP5997774B2 - ドープされたリチウムチタンスピネル化合物及びそれを含む電極 - Google Patents

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Description

本発明は、ドープされたリチウムチタンスピネル、その製造方法及びドープされたリチウムチタンスピネルを含む電極並びにそのような電極を有する非水性電解質二次電池に関する。
標準的なリチウムイオン二次電池は、通常、主にグラファイトからなる炭素系アノードを含む。炭素はLi/Liに対して0〜200mVの電位で動作する。これらの電位では、現在知られている電解質溶媒も塩も熱力学的に安定ではない。グラファイトアノードを用いたリチウム電池は、第1サイクル中に、固体と液体との界面で電解液が還元し、そして得られた種(重合体種、リチウムアルコキシドカーボネート、リチウムアルコキシド、炭酸リチウム、フッ化リチウム及びフルオロリン酸リチウム)が電解液に不溶でかつ電子的に隔離しているが、Liについて伝導性である層を形成しているため数千サイクルで動作することができる。この第1サイクルの間に、還元生成物の一部はガス(CO、CO、H、CH、C等)としても得られる。したがって、一般的に言えば、リチウムイオン電池は、この第1の緩やかな形成サイクルを受けるとすぐに、層(固体電解質界面、SEI)が形成され、そして電池が密閉されている場合にのみガスが放出される。次のサイクル中において、ガス形成は、過剰なガスを形成することなく数千回のサイクルを可能にする程度に十分に低い。
活性アノード材料としてのチタン酸リチウム(LiTi12又はリチウムチタンスピネル)の場合には、上記の状況は異なり、しかもより複雑であるように思われる。
特に再充電可能なリチウムイオン電池におけるアノード材料としてのグラファイトの代替として、チタン酸リチウムLiTi12又は略してリチウムチタンスピネルを使用することがかつて提案された。
グラファイトと比較したLiTi12の利点は、特にその良好なサイクル安定性、その良好な熱定格及びより高い動作信頼性である。LiTi12は、リチウムと比較して1.56Vの比較的一定の電位差を有し、かつ、<20%の能力の損失で数千回の充電/放電サイクルを達成する。
したがって、チタン酸リチウムは、従来、再充電可能なリチウムイオン電池のアノードとして普通に使用されていたグラファイトよりも明らかに正の電位を有する。
しかしながら、より高い電位は、より低い電圧差も生じさせる。グラファイトの372mAh/g(理論値)と比較して175mAh/gの減少した電位と共に、これは黒鉛アノードを有するリチウムイオン電池と比較して明らかに低いエネルギー密度をもたらす。
しかし、LiTi12は長い寿命を有し、しかも非毒性であるため、環境への脅威を引き起こすものとして分類されるべきではない。チタン部位に金属がドープされたドープLiTi12もCN101877407号で提案されている。
アノードとしてチタン酸リチウムを使用すると、形成サイクルの間にガスの生成も観察された。しかし、ガス発生は形成後であっても継続し、最終的には何百及び何千回サイクルにわたって続く場合がある。これは、いわゆるバッテリーパックにおいて大きな問題を引き起こす。というのは、密閉されたバッテリーパック内でのガス発生はパックを膨張させ、そして最終的には数百回のサイクル後にバッテリーパックを破壊することになるからである(Jin他,Argonne National Laboratory Presentation,2011年5月9〜13日)。この現象は、例えばリチウムチタンスピネル/LiMNn電池において示されたようなパワーフェード機構にも至る(Belharouak I.他,第28回国際電池セミナー&展示,米国フロリダ州フォートローダーデール,2011年3月15日)。
チタン酸リチウムは、既に上記のようにLi/Liに対して1.56Vでプラトーを示し、また、一般的には、動作のための低い電位限界は、Li/Liに対して1.0Vに設定される(場合によっては1.2V又はさらに1.5V)。これらの電位では電解質は安定であるため、その寿命の間には還元されないであろうと考えられる。その結果、チタン酸リチウムは、SEIを形成しないアノード材料であると言われている。しかしながら、実際に電解質成分の還元がチタン酸リチウムの表面で生じることが観察された。これらのセルのガス発生は、大きな問題であり、かつ、アノード材料としてリチウムチタンスピネルを含むイオンリチウム二次電池の寿命にとって重大な欠点である。
形成されたガスは、主として又は大部分が、安全上のリスクもある水素である。この水素の発生源は、セル内(アノード、セパレータ、カソード又は電解質中)における残留物理吸着湿気(水素に還元される)、チタン酸リチウム(LTO)自体の内部の残留化学吸着水、電解質の溶媒分子のプロトンである。様々なメカニズムがこの効果に寄与する場合がある。
LTOの表面は、TiOと同様の脱ヒドロキシル化挙動を示すTi−OH基を含む。さらに、これらの表面基はCOと反応して表面カーボネートを形成することができる。TiOは、様々な用途でのその光触媒効果、例えば太陽光水のH及びOへの分解や太陽光による有機物の分解のために知られている。また、TiO表面の触媒効果は、太陽光がなく、非常に減少した反応速度であっても有効であると推測できる。この場合、水素の形成量は、LTOの表面積に比例するはずである。実際に、粒子材料に対して形成されたガスの量は、それよりも低いBET表面を有する材料について形成されたガスの量よりも多いことが分かる。
さらに、100%のLiTi12相を調製することは不可能である。したがって、小過剰のリチウム塩(例えば、炭酸リチウム又は水酸化リチウム)を使用して全てのTiOが反応することを確保し(ルチルは、XRDではほとんど検出され得ない)、その結果過剰のTiOがガス形成を妨害できないようにする。
また、カソード材料由来の可溶性金属種の干渉も、考えられるガス発生現象の一つである。
LiMn及び少量のLiFePOは、カソード活物質としての動作中に電解質に可溶性のMn及びFe種を放出することが知られている。これらの可溶性金属種は、アノード(黒鉛及びチタン酸リチウム)の低電位で、低原子価酸化種又はさらにアノード材料の表面上の金属としての不溶性の種に還元され得る。LiCoO、NMC及びNCAなどのLiMeO系材料であっても、このような微量金属の溶解は排除できない。また、Dedryvere外、JPCC2009(上で引用)も参照されたい。この文献には、考えられるアノードの還元及び有機種の堆積(これらは、予めカソードで酸化された)が開示されている。再堆積金属は、チタン酸リチウムとAlと電解質と三重界面に、Li/Liに対して1.0Vの電位で追加され、そして触媒作用により水素生成を増加させ得る。
中国特許出願公開第101877407号明細書
Jin他,Argonne National Laboratory Presentation,2011年5月9〜13日
したがって、本発明が解決しようとする課題は、リチウムチタンスピネルをベースとする活性電極材料であって、この活性材料を含有する電極の作業寿命にわたってガス発生を示さない又は少なくとも遅延若しくは最小化したガス発生しか示さないものとして好適な材料を提供することであった。
この課題は、次式(I)のリチウムチタンスピネル化合物を提供することによって解決される:
Li4−yK’Ti5−zK”12−x (I)
式中、
Aは、I、N、Br、Cl、Fよりなる群から選択される1種以上の陰イオンであり、
K’、K”は、それぞれ、Na、K、Cd、Se、Te、S、Sb、As、P、Pb、Bi、Hg、Si、Cよりなる群から選択される1種以上の陽イオンであり、
そして、0≦x、y、z≦0.4である。
本発明に係るリチウムチタンスピネルのドーピングは、リチウム位置及び/又はチタン位置での陽イオンについて或いはスピネル結晶格子内の酸素の位置での陰イオンについて行うことができる。本発明のいくつかの実施形態では、ドーピングは、これらの位置の1つのみならず、同時にこれらの位置の2つ又はさらに3つに存在する。
これら上記の実施形態のさらに具体的な式は、本発明の一態様では、ドーピングが一カ所でのみ生じる式(II)〜(IV)を有する化合物である。
Li4−yK’Ti12 (II)
LiTi12−x (III)
LiTi5−zK”12 (IV)
式中、0<x、y、z≦0.4であり、A、K’、K”は上記のとおりに定義される。
本発明の好ましい実施態様では、特定部位でのドープ量は、x=0、z=0であり、y=0.01〜0.2である。さらなる実施形態では、値はx=0、y=0、及びz=0.01〜0.2であり、好ましくは、zは0.01〜0.1の範囲であり、さらに好ましいzは、0.02〜0.07の範囲である。
本発明のさらに別の実施形態では、上記式を有するスピネルは、以下のドーパント濃度を有する:x=0、z=0、y=0.01〜0.2、好ましくは、yは0.01〜0.1の範囲であり、より好ましくは0.02〜0.07の範囲である。さらなる実施形態では、x=0.01〜0.2、好ましくは0.01〜0.1、さらに好ましくは0.02〜0.07であり、y及びzは0である。
本発明の他の態様では、ドーピングは、式(V)〜(VII)によって記載された2つの位置に存在する:
Li4−yK’Ti5−zK”12 (V)
Li4−yK’Ti12−x (VI)及び
LiTi5−zK”12−x (VII)
ここで、0<x、y、z≦0.4であり、A、K’、K”は上記のとおりに定義される。
上記式に従うリチウムチタンスピネルは、x=0のドーパント濃度を有し、y、zは0.01〜0.12、好ましくは0.01〜0.1、より好ましくは0.02〜0.07の範囲にあり、又はy=0であり、y、zは、0.01〜0.2、好ましくは0.01〜0.1、より好ましくは0.02〜0.07の範囲である。或いは、z=0であり、x、yは0.01〜0.2、好ましくは0.01〜0.1、より好ましくは0.02〜0.07の範囲である。
一般的に言えば、1000〜20000ppmの範囲にあるx、y及びzのドーパント濃度が本発明の目的のために好適であり、より具体的な実施形態では、ドーパント濃度は1000〜8000ppmでであり、さらに他の実施形態では2000〜7500ppmである。
驚くべきことに、一般には触媒毒とみなされているドーパントを本発明に従ってドーピングしても、最初の充放電サイクルの間における可逆電力発生能力の有意な損失又は米国特許出願公開第2011/0067230号に記載されるような容量の損失及びサイクル中における増加したガス発生の存在のような、チタン酸リチウムの遷移金属ドーピングについて説明される欠点には至らないことが分かった。
代わりに、純粋なチタン酸リチウムと比較して、最初の充放電サイクル中における可逆電力発生能力の損失及び容量の損失は、リチウムイオン二次電池のアノード活性材料として用いた場合には本発明の化合物では観察されなかった。
また、ドープされていないチタン酸リチウムと比較したガス発生の有意な減少が観察された。ドーパントは、上記供給源からの水素の形成を抑制することができると思われる。
本発明の実施形態では、K’、K”は、それぞれ、Na、K、Cd、S、Sb、As、P、Te、Se、Cよりなる群から選択される1種以上の陽イオンである。好ましくは、K”は、S、Sb、As、P、Te、Se、Cよりなる群から選択され、好ましくはSb、As、P及びCよりなる群から選択され、さらに好ましくはSb、As及びPよりなる群から選択される。
本発明の特定の実施形態では、化合物は、式LiTi5−zSb12を有する。この式によって表される具体的な化合物は、LiTi4.99Sb0.0112、LiTi4.98Sb0.0212、LiTi4.975Sb0.02512、LiTi4.95Sb0.0512、LiTi4.9Sb0.112、LiTi4.85Sb0.1512、LiTi4.8Sb0.212、LiTi4.75Sb0.2512、LiTi4.5Sb0.512である。特に好ましいものは、LiTi4.98Sb0.0212、LiTi4.975Sb0.02512、LiTi4.95Sb0.0512である。
発明に係るドープされたチタン酸リチウムは、相的に純粋である。用語「相的に純粋」又は「相的に純粋なチタン酸リチウム」とは、本発明によれば、通常の測定精度限界内でのXRD測定によって最終生成物中においてルチル相が検出できないことを意味する。換言すれば、発明に係るチタン酸リチウムは、この実施形態では、ルチルを本質的に含まない。用語「本質的に」とは、標準的なXRD測定によってはほとんど検出され得ない微量のルチルが生成物中に存在するものと解される。
本発明のさらに別の実施形態では、ドープされたリチウムチタンスピネルは、さらに、Fe、Co、V、Cr、Mn、Mg、Sc、Y、Zn、Al、Ga、Pt、Pd、Ru、Rh、Au、Ag、Cu又はこれらのいくつかよりなる群から選択される追加の金属又は遷移金属がドープされており、これにより、活性電極材料として使用する場合に新規化合物に向上した能力が付与される。
特に、この目的は、格子構造に、金属イオンAl、Mg、Ga、Fe、Co、Sc、Y、Mn、Ni、Cr、V又はこれらのイオンのいくつかを取り入れることにより達成される。アルミニウムが非常に好ましい。
発明に係るドープされたリチウムチタンスピネルの合成は、出発材料を混合し、そして通常は磨砕し、そして高温で焼結することによる従来の固体状態合成か、又はゾル−ゲル、さらには湿式化学処理法のいずれかによって実施される。また、ドーパントは、ドープされていないチタン酸リチウムに物理的手段によっても導入できる。
特に、本発明に係るドープLiTi12は、原則としてCai外,Int.J.Energy Research 2011,35;68−77及びYi外,J.Electrochem.Soc.158(3)A266−A274(2011)に記載されるように、チタン化合物、典型的にはTiOと、リチウム化合物、典型的にはLiCOと、ドーパント元素の酸化物又は水酸化物とを750℃を超える高温で固体状態反応させることによって得られる。別の可能性は、チタン部位がドープされているドープチタン酸リチウムへのアクセスを与えるドープされたTiOを使用することである(Hashimoto外,Jap.J.Appl.Phys.2005,vol.44,No.12,pp.8269−8285)。陰イオンのドーピングについて、LIF、LiBr、LiCl及びLiSOのような対応するリチウム塩の(化学量論的)使用が最も成功する経路であることが実証されている(Yi外,J.Phys.Chem Solids 71(2010),1236−1242)。窒素のドープを、Hashimoto外,J.Appl.Phys.44(2),8269−8285,2005においてTiOについて提案されたとおりに、又はヒドラジン若しくは尿素化合物の存在下での上記固体状態反応により実施した。また、S、N及びCのドープも、Chen外,Chem.Rev.107,2891−2959記載されているようにTiOのドープと同様に実施した。また、S−ドーピングも、硫黄源としてチオ尿素を使用して固体状態反応で実施できる。
或いは、ドープされたLiTi12のゾル−ゲル製造法も使用できる(DE10319464 A1)。さらに、火炎噴霧熱分解法による製造方法(Ernst,F.O.外.Materials Chemistry and Physics 2007,101(2−3,pp.372−378)だけでなく、無水媒体中でのいわゆる「熱水プロセス」(Kalbac,M.外,Journal of Solid State Electrochemistry 2003.8(1)pp.2−6)も既知の合成経路である。
発明に係るドープされたリチウムチタンスピネルは1〜10m/g、好ましくは<10m/g、さらに好ましくは<8m/gであり、非常に好ましくは<5m/gのBET表面積(DIN66134に従って測定)を有する。特に好ましい実施形態では、典型的な値は、3〜5m/g、より好ましくは2〜4m/gの範囲内にある。
ドープされたリチウムチタンスピネルの一次粒子(晶子)は、典型的には<2μmのサイズを有する。本発明によれば、一次粒子が小さく、その結果として本発明に係るドープされたリチウムチタンスピネルを含む電極の通電容量及びサイクル安定性が特に高いことが重要である。
本発明のさらなる実施形態では、ドープされたリチウムチタンスピネルの粒子を炭素含有層で被覆して、ドープされたリチウムチタンスピネルの導電性を増大させ、かつ、活性材料としての本発明に係るドープされたリチウムチタンスピネルを含む電極の速度能力を増大させる。また、電極の製造の際における炭素被覆リチウムチタンスピネルの加工性は、被覆されていないリチウムチタンスピネルと比較して改善される。
ここで、用語「炭素含有」とは、好適な前駆体化合物の熱分解によって形成する、熱分解で得られた炭素材料を意味すると解される。また、この炭素含有材料は、用語「熱分解炭素」と同義的に説明できる。
ここで、用語「熱分解炭素」は、非結晶性炭素の好ましくは非晶質の材料を説明するものである。熱分解炭素は、上記のように、好適な前駆体化合物から、加熱によって、すなわち、1000℃未満、他の実施形態では≦850℃、さらなる実施形態では≦800℃、好ましくは≦750℃の温度で熱分解することによって得られる。
特に>1000℃の高温では、いわゆる「融合」によりリチウムチタンスピネルの粒子の凝集が頻繁に発生するが、これは、典型的には、本発明の複合材料の貧弱な電流容量をもたらす。本発明によれば、特に結晶性秩序合成黒鉛が形成しないことが重要である。
熱分解炭素のための典型的な前駆体化合物は、例えば、ラクトース、スクロース、グルコース、デンプン、セルロースなどの炭水化物、グリコール、ポリグリコール、例えばポリスチレン・ブタジエンブロック共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの重合体、ベンゼン、アントラセン、トルエン、ペリレンなどの芳香族化合物並びに目的のためにそれ自体好適な当業者に知られている他の全ての化合物並びにそれらの組み合わせである。特に好適な混合物は、例えば、ラクトース及びセルロース、糖質(炭水化物)の全ての混合物である。また、ラクトース、スクロース、グルコースなどの糖質の混合物及びプロパントリオールも好ましい。
熱分解炭素の層は、熱分解炭素の前駆体化合物と接触させた粒子上で直接その場で分解させることにより、本発明の化合物に係るドープリチウムチタンスピネルの粒子上に堆積できるか、又は炭素含有層は、炭素前駆体化合物の一部をまず蒸発又は昇華させ、次いで分解させるときに気相を介して間接的に堆積されるかのいずれかである。また、本発明によれば両方の分解(熱分解)方法の組合せによる被覆も可能である。
本発明に係る炭素被覆されたドープリチウムチタンスピネルの全炭素含有量は、好ましくは、複合材料の総質量に対して<2質量%、さらに好ましくは<1.6質量%である。
このような炭素層を合成するために、典型的には、スラリーをドープリチウムチタンスピネルから、水性懸濁液(ラクトース、スクロース、セルロース等の場合)又は溶液又は1種以上前駆体化合物の液体状態の先駆物質自体(例えばベンゼン、トルエンなど)を添加することによって形成し、次いで、このスラリーを通常、まず100〜400℃の温度で乾燥させる。
また、乾燥した混合物を任意に圧縮することもできる。乾燥混合物自体の圧縮は、機械的圧縮として、例えばローラーコンパクターやタブレットプレスにより行うことができるが、ローリング、ビルドアップ若しくは湿式造粒法として又は当業者にとって目的に適したものであると思われる任意の他の技術的方法によって行うこともできる。
この混合物、特に乾燥した混合物の任意の圧縮後、この混合物を、≦850℃、有利には800℃≦、さらに好ましくは≦750℃で焼結し、その際、焼結は、好ましくは、保護ガス雰囲気下、例えば窒素、アルゴンなどの下で行う。選択された条件下では、熱分解炭素についての前駆体化合物から黒鉛は形成しないが、ドープリチウムチタンスピネル化合物の粒子を部分的に又は全体的に被覆する熱分解炭素の連続層が形成する。
熱分解炭素が依然として上記よりも高い焼結温度でより広い温度範囲にわたって前駆体化合物から形成するが、形成された生成物の粒度はケーキングにより増大するところ、これは上記の欠点をもたらす。
窒素は、製造技術上の理由から、焼結又は熱分解中に保護ガスとして使用されるが、例えばアルゴン等といった既知の全ての他の保護ガス並びにそれらの混合物を使用することもできる。酸素含有量の低い工業用窒素も同様に使用できる。加熱後、得られた生成物をさらに細かく粉砕することができる。
本発明のさらなる態様は、活性材料として本発明に係るリチウムチタンスピネルを含む電極、好ましくはアノードである。また、本発明に係る電極(又はいわゆる電極処配合物中)の典型的追加成分は、該活性材料の他に、導電性カーボンブラック並びに結合剤である。しかしながら、本発明によれば、本発明に係るリチウムチタンスピネルを含有する又はこれからなる活性材料を有する使用可能な電極を、さらに添加された導電剤(すなわち、例えば導電性カーボンブラック)なしに得ることも可能である(これらがすでに炭素被覆されている場合には特に)。先にすでに記載したように、本発明によるドープチタン酸リチウムを用いた本発明に係る電極は、サイクルの際に非常に少ない量のガス発生を示す。
当業者にそれ自体公知の任意の結合剤、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)、ポリビニリデンジフルオリド・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF・HFP)、エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体(EPDM)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアクリルメタクリレート(PMMA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)並びにそれらの誘導体及びそれらの混合物などを結合剤として使用することができる。
電極材料の個々の成分の典型的な割合は、好ましくは、90質量部の活性材料、例えば本発明に係るリチウムチタンスピネル、5質量部の導電性カーボン及び5質量部の結合剤である。本発明の範囲内で同様に有利な異なる配合物は、90〜96質量部の活性材料及び4〜10質量部の結合剤からなる。電極は、支持層の他に、活性材料からなる又は活性材料を含む少なくとも一つの層を備える。
本発明のさらなる実施形態では、電極は、本発明に係るリチウムチタンスピネルからなる又はこれを含む層におけるドーピング剤(ドーパント)の濃度が層の厚みにわたって勾配となるように作製される。濃度が表面で最も高く、かつ、支持層(通常はアルミニウム又はチタン箔)で最も低いが、逆、すなわち、逆勾配も本発明の範囲内にある。
さらに別の実施形態では、本発明に係るドープされたリチウムチタンスピネルの層を含む電極は、ドープされていないリチウムチタンスピネルLiTi12の少なくとも1つの第2層をさらに含む。この層は、ドープされたリチウムチタンスピネルの層の上又は下のいずれかに配置される。さらなる実施形態では、ドープされたリチウムチタンスピネル及びドープされていないリチウムチタンスピネルの典型的には交互の数個の層が想定できる。
本発明のさらなる目的は、アノードとして本発明の電極を含む二次リチウムイオン電池パックであり、その結果、この電池パックは、電池の寿命にわたって非常に減少したガス発生を示す。したがって、本発明に係るこのようなリチウムイオン電池の使用は、特に電極又は電池全体のさらに小さな寸法の自動車においても可能である。
本発明の発展形態では、本発明に係る二次リチウムイオン電池は、例示的なカソード/アノード対として、約2.0Vの単セル電圧のLiFePO//Li4−yK’Ti5−zK”12−xを有し、これは、セル電圧が増加しかつエネルギー密度が改善した、鉛・酸セル又はLiCoMnFePO//Li4−yK’Ti5−zK”12−x及びさらにLiMn2−aNi0+b、LiMn1.5Ni0.5(ここで、x、y及びz上で定義した通りであり、0<a及びb≦0.7である)の代用として適している。
本発明を図面及び実施例によりさらに詳細に説明するが、これらは、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
図1は、本発明に係るドープされたリチウムチタンスピネル及びドープされていないリチウムチタンスピネルのガス発生を示す。 図2は、活性材料としてLiTi4.75Sb0.2512を含む電極のサイクル特性を示す。
一般
1.測定方法
BET表面積は、DIN 66134に従って決定した。
粒度分布は、DIN66133に従って、マルバーンマスターサイザー2000によるレーザー粒度測定により決定した。
XRDスペクトルを、Sol−X検出器を用いてCuK[α]放射線についてX線回折装置ブルカーD4で受け取る。得られた全てのサンプルは、立方晶構造(空間群Fd−3m(227))に相当する明確なスペクトルを与える。少量の残留TiO(0.5%)がサンプルのほとんどに存在する。
2.実験:
2.1ドープされたリチウムチタンスピネルの製造
アナターゼ又はルチル形態のLiOH・HO、LiCO及びTiOを、以下において主出発物質として使用する。市販のLiOH・HO(Merck社製)の場合の含水量はバッチ間で変化し、合成前に決定した。
2.1.1 Li Ti 5−z Sb 12 の製造
2.1.1.1 固体状態方法1
(a)LiTi5−zSb12試料を、Sb、TiO及びLiCOから固体状態法によって製造した。随意に、これらの出発物質を液体媒体(例えば、イソプロパノール)中で磨砕(例えばボールミル、ジェットミルなどによって)してスラリーを形成させ、そして乾燥させた。随意に、乾燥混合物を焼結前に造粒することができる。別の実施形態では、出発物質を混合しかせずに、その後造粒する。乾燥し混合した反応混合物を空気中で24時間にわたり850℃で加熱し、次いで室温にまで冷却した。得られた生成物をX線回折測定及び走査型電子顕微鏡(SEM)により分析した。一次粒子の典型的なサイズは約200nmであった。以下に記載の化合物についての粒度分布測定値(二次粒子、すなわち凝集体を含む)は、d100:7.5μm、d90:4.7μm、d50:2.3μm、d10:0.9μmであった。
次のアンチモンドープリチウムチタンスピネルを、0.5molのLiCO、(1−a)molのTiO及びa/2molのSbを使用して合成した:
LiTi4.99Sb0.0112、LiTi4.98Sb0.0212、LiTi4.975Sb0.02512、LiTi4.95Sb0.0512、LiTi4.9Sb0.112、LiTi4.85Sb0.1512、LiTi4.8Sb0.212、LiTi4.75Sb0.2512、LiTi4.5Sb0.512
2.1.1.2固体状態法2
(b)LiTi5−zSb12のサンプルを、SbドープTiO(必要な量の純粋なTiO及びSbを反応させることによって予め製造し、24時間800℃で反応させた)及びLiCOから固体状態法によって製造した。随意に、これらの出発材料を液体媒体中で粉砕してスラリーを形成させ、そして乾燥させた。随意に、乾燥混合物を焼結前に造粒することができる。乾燥し混合させた反応混合物を空気中で24時間にわたり850℃で加熱し、次いで室温にまで冷却した。得られた生成物をX線回折測定及び走査型電子顕微鏡(SEM)により分析した。一次粒子の典型的なサイズは約200nmであった。
次のアンチモンドープリチウムチタンスピネルを、0.5molのLiCO、5molのSbドープTiOを使用して合成した:
LiTi4.99Sb0.0112、LiTi4.98Sb0.0212、LiTi4.975Sb0.02512、LiTi4.95Sb0.0512、LiTi4.9Sb0.112、LiTi4.85Sb0.1512、LiTi4.8Sb0.212、LiTi4.75Sb0.2512、LiTi4.5Sb0.512
2.1.1.3熱水/固体状態方法の組み合わせ
(c)さらにLiTi5−zSb12サンプルを、SbドープTiO(必要な量の純粋なTiO及びSbを反応させることにより予め調製し、そして24時間800℃で反応させた)及びLiCOから熱水工程を含む改変固体状態法により、まずLiTiO/Ti1−zSb複合材料を製造することによって、或いはLiTi1−zSb/TiO又はさらにLiTi(1−z)/2Sb/Ti(1−z)/2Sb複合材料をDE10 2008 050 692.3 A1における非ドープ複合材料について記載されたようにSbドープTiOのLiOH溶液中での反応により製造することによって製造した。或いは、必要な化学量論量のTiO及びSbをLiOH溶液中で反応させる。得られた複合体を濾過し、100℃〜200℃で乾燥(又は噴霧乾燥)させ、その後750±20℃、好ましくはT≦750℃で焼成した。以下に記載した化合物についての粒度分布測定値(二次粒子、すなわち凝集体を含む)は、d100:50μm、d90:25μm、d50:9μm、d10:0.6μmであった。
次のアンチモンドープトリチウムチタンスピネルをこの方法により合成した:
LiTi4.99Sb0.0112、LiTi4.975Sb0.02512、LiTi4.95Sb0.0512、LiTi4.9Sb0.112、LiTi4.8Sb0.212、LiTi4.75Sb0.2512、LiTi4.5Sb0.512、LiTi4.3Sb0.712
2.1.2 Li Ti 5−z Cd 12 の製造
LiTi5−zCd12サンプルをCdO、TiO及びLiCOから固体状態法によって製造した。これらの出発材料をイソプロパノール液体媒体中でボールミル磨砕し又は混合してスラリーを形成させ、そして乾燥した。随意に、乾燥混合物を焼結前に造粒することができる。乾燥し混合した反応混合物を空気中で24時間にわたり850℃で加熱し、次いで室温にまで冷却した。得られた生成物をX線回折測定及び走査型電子顕微鏡(SEM)により分析した。
次のカドミウムドープリチウムチタンスピネルを、0.5molのLiCO、(1−a)molのTiO及びamolのCdOを使用して合成した:LiTi4.99Cd0.0112、LiTi4.95Cd0.0512、LiTi4.9Cd0.112、LiTi4.8Sb0.212、LiTi4.75Cd0.2512、LiTi4.5Cd0.512
2.1.3 Li Ti 5−z 12 の製造
LiTi5−z12サンプルを、P(或いは(NH又は(NHを使用した)、TiO及びLiCOから固体状態法により製造した。出発物質をイソプロパノール液体媒体中でボールミル粉砕又は混合してスラリーを形成し、そして乾燥した。随意に、乾燥混合物を焼結前に造粒することができる。乾燥し混合した反応混合物を空気中で24時間にわたり850℃で加熱し、次いで室温にまで冷却した。得られた生成物をX線回折測定及び走査型電子顕微鏡(SEM)により分析した。
次のリンドープリチウムチタンスピネルを、0.5molのLiCO、(1−a)molのTiO及びa/2molのP(又は上記塩の一つ)を使用して合成した:LiTi4.990.0112、LiTi4.90.112、LiTi4.80.212、LiTi4.750.2512、LiTi4.50.512
2.1.4 Li Ti 5−z As 12 の製造
LiTi5−zAs12サンプルをAs、TiO及びLiCOから固相方法により製造した。出発材料をイソプロパノール液体媒体中でボールミル粉砕又は混合してスラリーを形成し、そして乾燥させた。随意に、乾燥混合物を焼結前に造粒することができる。乾燥し混合した反応混合物を、空気中で24時間にわたり850℃で加熱し、次いで室温にまで冷却した。得られた生成物をX線回折測定及び走査型電子顕微鏡(SEM)により分析した。
次のヒ素ドープリチウムチタンスピネルを、0.5molのLiCO、(1−a)molのTiO及びa/2molのAsを使用して合成した:
LiTi4.99As0.0112、LiTi4.98As0.0212、LiTi4.95As0.0512、LiTi4.9As0.112、LiTi4.85As0.1512、LiTi4.8As0.212、LiTi4.75As0.2512、LiTi4.5As0.512
2.1.5 Li Ti 5−z Bi 12 の製造
LiTi5−zBi12サンプルを湿式化学法により次のように製造した:
チタン酸テトラブチルを、白色沈殿物TiO(OH)を形成するために冷却しながら脱イオン水に溶解し、その後この白色沈殿物を硝酸によって溶解させて透明な硝酸チタニル溶液を形成させた。この溶液に化学量論量の酢酸リチウム及び硝酸ビスマスを添加した。この溶液を乾燥するまで蒸発させ、そして得られた固体を乾燥させ、遊星ミルで磨砕し、そして空気中で12時間にわたり900℃で焼成した。得られた生成物をX線回折測定及び走査型電子顕微鏡(SEM)により分析した。
次のビスマスドープリチウムチタンスピネルをこの方法により合成した:LiTi4.99Bi0.0112、LiTi4.95Bi0.0512、LiTi4.75Bi0.2512、LiTi4.5Bi0.512
2.1.6 Li 4−y Na Ti 12 の製造
Li4−yNaTi12サンプルをKCO、TiO及びLiCOから固体状態法によって製造した。随意に、出発材料をエタノール液体媒体中でボールミル磨砕又は混合してスラリーを形成し、そして乾燥させた。随意に、乾燥混合物を焼結前に造粒することができる。乾燥し混合した反応混合物を、空気中で24時間にわたり850℃で加熱し、次いで室温にまで冷却した。得られた生成物をX線回折測定及び走査型電子顕微鏡(SEM)により分析した。
次のナトリウムドープリチウムチタンスピネルを0.5−bmolのLiCO、bmolのNaCO及び1molのTiOを使用して合成した:
Li3.99Na0.01Ti12、Li3.95Na0.05Ti12、Li3.9Na0.1Ti12、Li3.8Na0.2Ti12、Li3.75Na0.25Ti12、Li3.5Na0.5Ti12
2.1.7 Li Ti 12−x Cl の製造
(a)固体状態
LiTi12−xClサンプルを、LiCl、LiCO及びTiOから固体状態法によって製造した。出発物質をボールミル磨砕した。随意に、乾燥混合物を焼結前に造粒することができる。反応混合物を、空気中で24時間にわたり850℃で加熱し、次いで室温に冷却した。得られた生成物をX線回折測定及び走査型電子顕微鏡(SEM)により分析した。
次の塩素ドープリチウムチタンスピネルを、0.5−bmolのLiCO、1molのTiO及びbmolのLiClを用いて合成した:
LiTi11.99Cl0.01、LiTi11.95Cl0.05、LiTi11.93Cl0.07、LiTi11.9Cl0.1、LiTi11.8Cl0.2、LiTi11.75Cl0.25、LiTi11.7Cl0.3、LiTi11.6Cl0.4、LiTi11.5Cl0.5
(b)ゾルゲル
Clドープリチウムチタンスピネルを、市販の塩化チタン(III)溶液、シュウ酸リチウム、脱水エタノール及び2NのHCl(1:0.8:2.2:0.21モル比)から合成したゾルを蒸発させることによって製造した。ゾルを100℃よりも低い様々な温度で蒸発させた。このゾルから得られた粉末を10時間にわたって700℃で焼結した。得られた生成物をX線回折測定及び走査型電子顕微鏡(SEM)により分析した。
次の塩素ドープリチウムチタンスピネルをこの方法により合成した:LiTi11.99Cl0.01、LiTi11.95Cl0.05、LiTi11.9Cl0.1、LiTi11.8Cl0.2、LiTi11.75Cl0.25、LiTi11.5Cl0.5
2.1.8 Li Ti 12−x Br の製造
LiTi12−xBrサンプルを、LiBr、TiO及びLiCOから固体状態法によって製造した。これらの出発材料をボールミル磨砕又は混合した。任意に、この混合物を焼結前に造粒することができる。乾燥し混合した反応混合物を空気中で24時間にわたり850℃で加熱し、次いで室温に冷却した。得られた生成物をX線回折測定及び走査型電子顕微鏡(SEM)により分析した。
次の臭素ドープリチウムチタンスピネルを、0.5−bmolのLiCO、1molのTiO及びbmolのLiBrを用いて合成した:
LiTi11.99Br0.01、LiTi5O11.95Br0.05、LiTi11.93Br0.07、LiTi11.9Br0.1、LiTi11.85Br0.15、LiTi11.8Br0.2、LiTi11.75Br0.25、LiTi11.7Br0.3、LiTi11.6Br0.4、LiTi11.5Br0.5
2.1.9 Li Ti 12−x の製造
LiTi12−xBrサンプルを、LiF、TiO及びLiCOから固体状態法によって製造した。出発物質をボールミル磨砕し又は混合した。任意に、この混合物を焼結前に造粒することができる。乾燥させて混合した反応混合物を空気中で24時間にわたり850℃で加熱し、次いで室温に冷却した。得られた生成物をX線回折測定及び走査型電子顕微鏡(SEM)により分析した。
次のフッ素ドープリチウムチタンスピネルを、0.5−bmolのLiCO、1molのTiO及びbmolのLiFを用いて合成した:
LiTi11.990.01、LiTi11.950.05、LiTi11.930.07、LiTi11.90.1、LiTi11.850.15、LiTi11.80.2、LiTi11.750.25、LiTi11.70.3、LiTi11.60.4、LiTi11.50.5
2.1.10 Li Ti 5−z Sb 12−x の製造
LiTi5−zSb12−xのサンプルを、LiF、Sb、TiO及びLiCOから固体状態法によって製造した。これらの出発物質をエタノール液体媒体中でボールミル磨砕してスラリーを形成し、そして乾燥させた。任意に、乾燥混合物を焼結前に造粒することができる。乾燥させて混合した反応混合物を空気中で24時間にわたり900℃で加熱し、次いで室温に冷却した。得られた生成物をX線回折測定及び走査型電子顕微鏡(SEM)により分析した。
次のアンチモン/フッ素ドープリチウムチタンスピネルを、0.5−bmolのLiCO、1−amolのTiO、a/2molのSb及びbmolのLiFを用いて合成した:
LiTi4.99Sb0.0111.990.01、LiTi4.98Sb0.0211.950.05、LiTi4.95Sb0.0511.930.07、LiTi4.9Sb0.111.90.1、LiTi4.85Sb0.1511.850.15、LiTi4.8Sb0.211.80.2、LiTi4.5Sb0.511.750.25、LiTi4.99Sb0.0111.70.3、LiTi4.99Sb0.0111.60.4、LiTi4.75Sb0.2511.50.5
2.1.11 Li 4−y Na Ti 5−z Sb 12−x Br の製造
Li4−yNaTi5−zSb12−xBrサンプルを、LiBr、Sb、NaCO、TiO及びLiCOから固体状態法により製造した。これらの出発物質をエタノール液体媒体中でボールミル磨砕してスラリーを形成させ、そして乾燥させた。任意に、乾燥混合物を焼結前に造粒することができる。乾燥させて混合した反応混合物を空気中で24時間にわたり900℃で加熱し、次いで室温に冷却した。得られた生成物をX線回折測定及び走査型電子顕微鏡(SEM)により分析した。
次のアンチモン/フッ素ドープリチウムチタンスピネルを、0.5−b−cmolのLiCO、bmolのNaCO、1−amolのTiO、a/2molのSbを及びcmolのLiBrを用いて合成した:
Li3.99Na0.01Ti4.99Sb0.0111.99Br0.01、Li3.9Na0.1Sb0.0211.950.05、Li3.8Na0.2Sb0.0511.930.07、Li3.5Na0.5Sb0.111.90.1、Li3.99Na0.01Sb0.1511.850.15、Li3.75Na0.25Sb0.211.80.2、Li3.6Na0.4Sb0.511.750.25、Li3.9Na0.1Sb0.0111.70.3、Li3.99Na0.01Sb0.0111.60.4、Li3.99Na0.01Sb0.2511.50.5
2.2 電極の製造
標準電極組成物は、90質量%の活性材料、5質量%のスーパーPカーボンブラック及び5質量%のPVDF(ポリフッ化ビニリデン)を含有していた。
スラリーを、まず、導電性添加剤(スーパーPカーボンブラック)を有する、10質量%のPVDF21216のNMP(N−メチルピロリドン)溶液を製造し、続いてこれをさらにNMPで希釈し、そして最後にそれぞれの活性材料を添加することによって製造した。得られた粘性懸濁液を、80℃で真空下で乾燥させたアルミニウム箔上にコーティングナイフを用いて堆積させた。1.3cmの直径のディスクをこの箔から切り出し、計量し、そして約50メートルに圧延した。その後、電極の厚さ及び密度を測定した。続いて、電極をビュッヒ乾燥機内において120℃で真空中で一晩乾燥させた。次いで、対応するセルをアルゴン下のグローブボックス内で組み立てた。電極の活性物質含有量は4.1mg/cmだった。
測定された電位窓は、1.0V〜2.7Vであった(Li+/Liに対して)。EC(エチレンカーボネート):DMC(ジメチレンカーボネート)1:1(体積)を1MのLiPFと共に電解質として使用した。
およそ165〜170Ah/kgの低い割合で達成される特定の充放電容量は理論値に近い。
金属リチウムと比較した、典型的な半電池における本発明のドープLiTi12の容量及びサイクル安定性は、Cレートでは0.03%/サイクル程度の平均下落(「フェーディング」)で著しく良好である。
2.2.容量及び電流容量の決定
容量及び電流容量は、標準電極組成物を用いて測定した。
電気化学的測定を気密チタン系の2個の電極セルで行った。直径1.3cmの電極を、Al箔上に90%の活性材料(4.1mg/cmをロード)、5%のカーボンブラック及び5%のポリ(フッ化ビニリデン)PVdF結合剤を用いて調製した。セルをアルゴン充填グローブボックス内で組み立ててから、Al箔上の電極材料の薄膜を真空下に105℃で乾燥させた。電解質は、エチレンカーボネート(EC)及びジメチルカーボネート(DMC)中(1:1モル比)1MのLiPFであった。リチウム金属を対向電極として使用し、ガラス繊維をセパレータとして使用した。電圧ウィンドウは、Li/Liに対して1.0〜2.0Vであった。最初の2回のサイクルについて、セルを、10/Cで充電/放電した。その後、セルを、まず、電圧がそれぞれ1.0V及び2.0Vに到達するまで1C/1Dの定電流(CCモード)で充電又は放電し、その後、電流がそれぞれC/50及びD/50(CVモード)に到達するまでカットオフ電位で保持した。
図2は、4.1gの活性材料(LiTi4.75Sb0.2512)を含有する電極の比容量を示し、320回のサイクルにわたって優れた安定性を示す。
3.ガス発生実験
2つの密閉セルパック、すなわち、単セル電圧が約2.0Vである、カソード/アノード対LiFePO//LiTi4.975Sb0.02512(セルA)及びLiFePO//LiTi4.99Sb0.0112(セルB)を有する本発明に係る二次リチウムイオン電池、及び比較例として、単セル電圧が約2.0Vである、カソード/アノード対LiFePO//LiTi12(セルC)を有するセルパックを、500サイクルにわたって45℃で1.7〜2.7Vまでサイクルさせ、そして電池パックからのガスの発生を測定した。測定は、電池パックを50サイクル後に水が充填された容器内にそれぞれ配置し、そしてガス発生に起因する気密電池パックの容積の増大による水の容量の増加を測定するような方法で実施した。
図1から分かるように、アノード用の活性材料としてドープされていないリチウムチタンスピネルを有するセルCは、100サイクルで既に有意なガス発生を示し、200サイクルまで指数関数的に増加することを示す。リチウムチタンスピネルの少量のアンチモンドープを有するBセルは、150サイクルから有意なガス発生を示した。すなわち、ガス発生を、ドープされたリチウムチタンスピネルを使用することによって遅らせることができる。セルAは、500サイクルでしか有意なガス発生を示さなかったが、これは、リチウムチタンスピネル中のドーパントの量を増加させる効果を実証するものである。

Claims (7)

  1. 次式1に従うドープリチウムチタンスピネルを活性電極材料として含有する層を有する電極であって
    LiTi5−zK”12 (1)
    式中、
    ”はSbであり、
    0.01≦z≦0.1であるものとする。
  2. z=0.025である、請求項1に記載の電極。
  3. 前記ドープリチウムチタンスピネルに、Fe、Cr、Mn、Zn、Al、Ga、Pt、Pd、Ru、Rh、Au、Ag、Cuよりなる群から選択される追加の金属又は遷移金属がさらにドープされた、請求項1または2に記載の電極。
  4. 前記ドープリチウムチタンスピネルが炭素含有層で被覆された粒子を含む、請求項1〜のいずれか一つに記載の電極。
  5. 前記リチウムチタンスピネル中におけるzの値が前記層の厚みにわたって勾配をなす、請求項に記載の電極。
  6. ドープされていないリチウムチタンスピネルLiTi12の層をさらに有する、請求項4又は5に記載の電極。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の電極を有する非水性電解質二次電池。
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