JP2010244819A - 非水二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高出力で、長期信頼性に優れた非水二次電池を提供する。
【解決手段】 正極、負極、セパレータおよび非水電解質を備えた非水二次電池であって、前記正極および前記負極のいずれか一方は、リチウムチタン複合酸化物を少なくとも含有する電極合剤層を、集電体の少なくとも片面に有する電極であり、前記リチウムチタン複合酸化物は、比表面積が5m2/g以上であり、かつ、その表面の少なくとも一部を、炭素が被覆していることを特徴とする非水二次電池により、前記課題を解決する。
【選択図】 なし
【解決手段】 正極、負極、セパレータおよび非水電解質を備えた非水二次電池であって、前記正極および前記負極のいずれか一方は、リチウムチタン複合酸化物を少なくとも含有する電極合剤層を、集電体の少なくとも片面に有する電極であり、前記リチウムチタン複合酸化物は、比表面積が5m2/g以上であり、かつ、その表面の少なくとも一部を、炭素が被覆していることを特徴とする非水二次電池により、前記課題を解決する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、高出力で長期信頼性に優れた非水二次電池に関するものである。
近年、非水二次電池には、産業機械用または車載用電源としての用途に適用させるべく、高出力化と長期信頼性の向上が望まれている。
こうした非水二次電池の改良手法の一つとして、正極や負極に使用する活物質の選定が考えられ、例えば、高出力時に熱安定性のあるリチウムチタン複合酸化物の使用が検討されている(特許文献1など)。
リチウムチタン複合酸化物は、前記の通り、高出力時における熱安定性に優れており、これを活物質に用いた電極を使用することで、非水二次電池の高出力化や長期信頼性を、ある程度高めることが可能である。
しかしながら、現在の産業機械用途や車載用電源用途に用いられる非水二次電池に求められる出力や長期信頼性は、非常に高度なものとなっており、リチウムチタン複合酸化物を活物質に用いた非水二次電池においても、更なる改良が求められる。
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高出力で、長期信頼性に優れた非水二次電池を提供することにある。
前記目的を達成し得た本発明の非水二次電池は、正極、負極、セパレータおよび非水電解質を備えた非水二次電池であって、前記正極および前記負極のいずれか一方は、リチウムチタン複合酸化物を少なくとも含有する電極合剤層を、集電体の少なくとも片面に有する電極であり、前記リチウムチタン複合酸化物は、比表面積が5m2/g以上であり、かつ、その表面の少なくとも一部を、炭素が被覆していることを特徴とするものである。
非水二次電池の高出力化と長期信頼性向上とを図るには、正極および負極の面積を増大させることが効果的である。正極と負極との対向面積を大きくすること、すなわち、電極の反応面積を大きくすることで、大きな電流値での放電が可能になって高出力化を図ることができ、また、電極の単位面積あたりの反応量を低下させ得るために反応に伴う電極の劣化を抑制できることから、長期信頼性を高めることが可能となる。
本発明では、比表面積が5m2/g以上の微細な形態のリチウムチタン複合酸化物を使用することで、電極の面積を増大させて、電池の高出力化および長期信頼性の向上を図っている。
しかしながら、前記のような比表面積を有する微細なリチウムチタン複合酸化物を使用すると、比較的粒径の大きな活物質を使用した場合に比べて、電極合剤層内における活物質粒子間の導電性が確保し難くなり、却って電池の充放電特性の低下を引き起こす虞がある。
そこで、本発明では、表面の少なくとも一部を炭素が被覆したリチウムチタン複合酸化物を使用し、電極合剤層内でのリチウムチタン複合酸化物粒子間の導電性を良好にして、微細な形態のリチウムチタン複合酸化物を用いた場合に生じ得る電池の充放電特性の低下を抑制している。
本発明によれば、高出力で長期信頼性に優れた非水二次電池を提供することができる。
本発明の非水二次電池は、正極または負極のいずれか一方が、リチウムチタン複合酸化物を活物質として含有する電極合剤層が、集電体の少なくとも片面に設けられた構造の電極である(以下、前記のリチウムチタン複合酸化物を活物質とする電極を、「本発明に係る電極」という場合がある。)。リチウムチタン複合酸化物は熱的安定性が高く、また、このような活物質を用いた電極を有する電池では、リチウムデンドライトが生じ難い。そのため、充電電流値を大きくしても電池の信頼性および安全性を確保することが可能となる。
リチウムチタン複合酸化物としては、Li4Ti5O12、LiTi2O4などの組成で代表される酸化物を用いることができ、特にLi4Ti5O12に代表されるスピネル構造を有するものが好ましく用いられる。
また、ラムスデライト型結晶構造を有するリチウムチタン複合酸化物を使用することもできる。このようなリチウムチタン複合酸化物としては、例えば、Li2Ti3O7、Li4Ti5O12などの組成で代表される酸化物が挙げられ、特にLi2Ti3O7で表されるものが好ましく用いられる。このLi2Ti3O7の場合、CuをターゲットとしたX線回折法による主たるピークのd値が、0.445nm、0.269nm、0.224nm、0.177nm(それぞれ±0.0002nm)にあることが好ましい。
前記いずれのリチウムチタン複合酸化物も、その構成元素の一部が他の元素、例えば、Ca、Mg、Sr、Sc、Zr、V、Nb、W、Cr、Mo、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Si、Ga、Ge、Snなどの元素で置換されていてもよい。この場合の他の元素による置換量は、置換される元素の10mol%以下とすることが好ましい。
また、本発明に係る電極におけるリチウムチタン複合酸化物は、その比表面積が5m2/g以上である。本発明の電池では、電極に係る電極合剤層の含有するリチウムチタン複合酸化物の比表面積を前記のように大きくすることで、電極面積を増大させて、高い出力特性を確保と、長期信頼性の向上を図っている。すなわち、リチウムチタン複合酸化物の比表面積が小さすぎると、電極面積を大きくし難くなり、電池の急速充放電特性(高負荷での充放電特性)が低下して、高出力の電池とし難くなる。また、リチウムチタン複合酸化物の比表面積は、20m2/g以下であることが好ましい。
なお、リチウムチタン複合酸化物の比表面積は、多分子層吸着の理論式であるBET式を用いて、表面積を測定、計算したもので、活物質の表面と微細孔の比表面積である。具体的には、窒素吸着法による比表面積測定装置(Mountech社製「Macsorb HM modele−1201」)を用いて、BET比表面積として得た値である。
本発明に係る電極で使用するリチウムチタン複合酸化物は、その表面の少なくとも一部を炭素が被覆している。本発明に係る電極の電極合剤層において、リチウムチタン複合酸化物の表面に存在する前記の炭素が導電助剤として作用するため、電極合剤層内における導電ネットワークが良好に形成される。よって、比表面積が前記のように大きく、微細な形態を有しているために、電極合剤層内において粒子間の導電性が確保し難いリチウムチタン複合酸化物を使用しても、良好な充放電特性を有する電池を構成できる。
リチウムチタン複合酸化物と、その表面を被覆している炭素との比率としては、前記の比表面積を有する微細な形態のリチウムチタン複合酸化物を使用しつつ、電極合剤層内におけるリチウムチタン複合酸化物粒子間の導電性を、より良好に高める観点から、リチウムチタン複合酸化物100質量部に対する炭素の量が、0.1質量部以上であることが好ましく、5質量部以上であることがより好ましい。
なお、リチウムチタン複合酸化物の表面を被覆している炭素は、前記の通り、リチウムチタン複合酸化物粒子間の導電性向上に寄与する一方で、あまり多く存在すると、リチウムチタン複合酸化物の充放電反応を阻害する虞がある。そのため、リチウムチタン複合酸化物の表面を被覆している炭素の量は、導電性が確保できる範囲であれば、できる限り少ないことが好ましく、具体的には、リチウムチタン複合酸化物100質量部に対して、5質量部以下であることが好ましく、3質量部以下であることがより好ましい。
表面の少なくとも一部を炭素が被覆しているリチウムチタン複合酸化物は、例えば、気相成長(CVD)法、すなわち、リチウムチタン複合酸化物粒子と炭化水素系ガスとを気相中で加熱し、炭化水素系ガスの熱分解により生じた炭素を粒子の表面に堆積させる方法により得ることができる。
表面の少なくとも一部を炭素が被覆しているリチウムチタン複合酸化物の製造において、CVD法の処理温度(雰囲気温度)については、炭化水素系ガスの種類によっても異なるが、通常、600〜1200℃が適当であり、中でも、700℃以上であることが好ましく、800℃以上であることが更に好ましい。処理温度が高い方が不純物の残存が少なく、かつ導電性の高い炭素を形成できるからである。
炭化水素系ガスの液体ソースとしては、トルエン、ベンゼン、キシレン、メシチレンなどを用いることができるが、取り扱い易いトルエンが特に好ましい。これらを気化させる(例えば、窒素ガスでバブリングする)ことにより炭化水素系ガスを得ることができる。また、メタンガスやアセチレンガスなどを用いることもできる。
本発明に係る電極では、活物質をリチウムチタン複合酸化物のみとしてもよく、リチウムチタン複合酸化物以外の活物質(以下、「他の活物質」という。)を併用してもよい。他の活物質としては、本発明に係る電極が負極の場合、例えば、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、炭素繊維などの炭素材料;Si、Sn、Ge、Bi、Sb、Inなどのリチウムと合金可能な元素の単体、その合金またはその酸化物;などが挙げられる。なお、リチウムチタン複合酸化物と他の活物質とを併用する場合、電極における全活物質中、前記リチウムチタン複合酸化物が、80質量%以上であることが好ましく、100質量%であること(すなわち、リチウムチタン複合酸化物のみを使用すること)が更に好ましい。
本発明に係る電極における電極合剤層には、バインダを含有させることが好ましい。バインダの具体例としては、例えば、でんぷん、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ジアセチルセルロースなどの多糖類やそれらの変成体;ポリビニルクロリド、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドイミド、ポリアミドなどの熱可塑性樹脂やそれらの変成体;ポリイミド;エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ポリブタジエン、フッ素ゴム、ポリエチレンオキシドなどのゴム状弾性を有するポリマーやそれらの変成体;などのバインダが挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
電極合剤層に、リチウムチタン複合酸化物の表面を被覆する炭素以外に導電助剤を含有させる場合、導電助剤としては、カーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラックなど)、粉砕した黒鉛などの炭素材料などが挙げられる。
電極合剤層においては、バインダの使用による効果(電極合剤層中の各種成分を結着する効果)を良好に確保する観点から、リチウムチタン複合酸化物100質量部に対して、バインダの量が、1質量部以上であり、3質量部以上であることが好ましい。また、電極合剤層におけるバインダ量が多すぎると、活物質であるリチウムチタン複合酸化物の量が少なくなって、電池の容量が低下する虞がある。よって、電極合剤層におけるバインダ量は、リチウムチタン複合酸化物100質量部に対して、15質量部以下であり、10質量部以下であることが好ましい。
また、電極合剤層におけるリチウムチタン複合酸化物の量は、80質量%以上であることが好ましく、85質量%以上であることがより好ましい。更に、電極合剤層に導電助剤(リチウムチタン複合酸化物の表面を被覆する炭素以外の導電助剤)を用いる場合、その量は、3〜10質量%であることが好ましい。
よって、電極合剤層にリチウムチタン複合酸化物以外の活物質を用いる場合には、電極合剤層中におけるリチウムチタン複合酸化物、バインダ、および導電助剤の量が、前記の値を満足する範囲で用いることが好ましい。
電極合剤層の厚みは、より薄くすることで電池内に導入できる電極の面積をより大きくでき、電池の出力や長期信頼性をより向上させ得ることから、集電体の片面あたりの厚みで、40μm以下であることが好ましく、35μm以下であることがより好ましい。ただし、非常に薄い電極合剤層は形成が困難であるなどの理由から、電極合剤層の厚みは、集電体の片面あたりの厚みで、10μm以上であることが好ましく、15μm以上であることがより好ましい。
本発明の電極に係る集電体には、銅、ニッケル、ステンレス、アルミニウム、チタンなどからなる箔、平織り金網、エキスパンドメタル、ラス網、パンチングメタルなどを用いることができる。集電体の厚みは30μm以下であることが好ましく、10μm以上であることが好ましい。
本発明に係る電極は、例えば、表面の少なくとも一部を炭素が被覆しているリチウムチタン複合酸化物や、必要に応じて使用される他の活物質、バインダおよび導電助剤などからなる電極合剤を、溶剤に分散させて調製した電極合剤層形成用組成物(スラリー、ペーストなど。なお、バインダは溶剤に溶解していてもよい。)を集電体表面に塗布し、乾燥し、プレス処理によって電極合剤層の厚みを調整する工程を経て作製される。なお、本発明に係る電極は、前記の方法以外の方法によって作製されたものであってもよい。
本発明の非水二次電池は、前記の本発明に係る電極を正極および負極のいずれか一方に用いたものである。以下に、(1)本発明に係る電極を負極に用いて電池を構成する場合、および(2)本発明に係る電極を正極に用いて電池を構成する場合について、本発明に係る電極の対極の構成例を説明する。
(1)本発明に係る電極を負極に用いて電池を構成する場合、正極としては、例えば、正極活物質、導電助剤およびバインダなどを含有する正極合剤層を集電体の片面または両面に形成した電極が用いられる。正極は、例えば、正極活物質、導電助剤およびバインダなどからなる正極合剤を、溶剤に分散させて調製した正極合剤層形成用組成物(スラリー、ペーストなど。なお、バインダは溶剤に溶解していてもよい。)を集電体表面に塗布し、乾燥し、プレス処理によって正極合剤層の厚みを調整する工程を経て作製できる。正極は、他の方法により作製したものであってもよい。
(1)の場合における正極活物質には、従来から知られている非水二次電池に用いられている正極活物質が使用できる。具体的には、マンガン酸リチウム、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムコバルト複合酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物、酸化バナジウム、酸化モリブデンなどが挙げられる。
(1)の場合における正極の導電助剤としては、黒鉛、カーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラックなど)などが挙げられるが、カーボンブラックを主成分として用いることが好ましい。
(1)の場合における正極のバインダとしては、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の粉末やディスパージョン、ゴム系バインダ、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などが挙げられる。ポリイミド、ポリアミドイミドおよびポリアミドについては、本発明に係る電極におけるバインダとして先に例示したものを用いることができる。
(1)の場合における正極の集電体には、アルミニウムやチタンで構成された箔、平織り金網、エキスパンドメタル、ラス網、パンチングメタルなどを用いることができる。
(1)の場合、正極における正極合剤層の厚みは、集電体の片面あたり10〜40μmであることが好ましい。また、集電体の厚みは、10〜30μmであることが好ましい。
(2)本発明に係る電極を正極に用いて電池を構成する場合、負極としては、例えば、負極活物質およびバインダ、更には必要に応じて用いられる導電助剤などを含有する負極合剤層を集電体の片面または両面に形成した電極が用いられる。負極は、例えば、負極活物質およびバインダ、更には必要に応じて用いられる導電助剤などからなる負極合剤を、溶剤に分散させて調製した負極合剤層形成用組成物(スラリー、ペーストなど。なお、バインダは溶剤に溶解していてもよい。)を集電体表面に塗布し、乾燥し、プレス処理によって負極合剤層の厚みを調整する工程を経て作製できる。負極は、他の方法により作製したものであってもよい。
(2)の場合における負極活物質には、従来から知られている非水二次電池に用いられている負極活物質が使用できる。具体的には、天然黒鉛、メソフェーズカーボン、非晶質カーボンなどの炭素材料;リチウム合金;などが使用できる。
(2)の場合における負極のバインダとしては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類;スチレンブタジエンゴム、アクリルゴムなどのゴム系バインダ;などが挙げられ、これらを1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
(2)の場合において、負極に導電助剤を用いる場合には、(1)の場合における正極の導電助剤として先に例示した各種導電助剤と同じものが使用できる。
(2)の場合における負極の集電体には、銅やニッケル、ステンレス鋼などで構成された箔、平織り金網、エキスパンドメタル、ラス網、パンチングメタルなどを用いることができる。
(2)の場合、負極における負極合剤層の厚みは、集電体の片面あたり10〜40μmであることが好ましい。また、集電体の厚みは、5〜30μmであることが好ましい。
なお、(1)の場合において正極活物質に酸化バナジウムや酸化モリブデンを使用するときや、(2)の場合において負極活物質に炭素材料を使用するときには、電池の充放電に使用するリチウムを導入する必要がある。このリチウムは、例えば、正極または負極の表面にリチウム箔を貼り付けるなどして導入することができる。
本発明の電池において、電極以外の構成・構造については特に制限はなく、従来から知られている非水二次電池において採用されている各種構成・構造を適用することができる。なお、本発明の電池における電極以外の構成・構造については、前記(1)の本発明に係る電極を負極に用いて電池を構成する場合、および前記(2)の本発明に係る電極を負極に用いて電池を構成する場合のいずれにおいても同じ構成・構造が採用可能であるため、以下に説明する本発明の電池の電極以外の構成・構造については、(1)、(2)の場合分けをしない。
本発明の電池に用い得る非水電解質としては、例えば、リチウム塩を有機溶媒に溶解した溶液(非水電解液)が挙げられる。
リチウム塩としては、溶媒中で解離してLi+イオンを形成し、電池として使用される電圧範囲で分解などの副反応を起こしにくいものであれば特に制限はない。例えば、LiClO4、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiSbF6 などの無機リチウム塩、LiCF3SO3、LiCF3CO2、Li2C2F4(SO3)2、LiN(CF3SO2)2、LiC(CF3SO2)3、LiCnF2n+1SO3(n≧2)、LiN(RfOSO2)2〔ここでRfはフルオロアルキル基〕などの有機リチウム塩などを用いることができる。
前記有機溶媒としては、前記のリチウム塩を溶解し、電池として使用される電圧範囲で分解などの副反応を起こさないものであれば特に限定されない。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートなどの環状カーボネート;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネートなどの鎖状カーボネート;プロピオン酸メチルなどの鎖状エステル;γ−ブチロラクトンなどの環状エステル;ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、1,3−ジオキソラン、ジグライム、トリグライム、テトラグライムなどの鎖状エーテル;ジオキサン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどの環状エーテル;アセトニトリル、プロピオニトリル、メトキシプロピオニトリルなどのニトリル類;エチレングリコールサルファイトなどの亜硫酸エステル類;などが挙げられ、これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。なお、より良好な特性の電池とするためには、エチレンカーボネートと鎖状カーボネートの混合溶媒などのように、高い導電率を得ることができる組み合わせで用いることが望ましい。また、これらの非水電解液に安全性や充放電サイクル性、高温貯蔵性といった特性を向上させる目的で、ビニレンカーボネート類、1,3−プロパンサルトン、ジフェニルジスルフィド、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、フルオロベンゼン、t−ブチルベンゼンなどの添加剤を適宜加えることもできる。
非水電解液中のリチウム塩の濃度としては、0.5〜1.5mol/lとすることが好ましく、0.9〜1.25mol/lとすることがより好ましい。
本発明の電池に使用し得るセパレータとしては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル;ポリフェニレンスルフィド(PPS);などで形成された微孔性フィルム、不織布などが挙げられる。
本発明の非水二次電池は、例えば、本発明に係る電極と対極(正極または負極)とを、前記のセパレータを介して積層した積層した積層電極体としたり、更にこれを渦巻状に巻回して巻回電極体とし、このような電極体を電池容器(外装体)に装填し、非水電解質(前記の非水電解液)を注入した後に電池容器を封止する工程を経て得ることができる。
電池容器には、アルミニウムラミネートシートや、アルミニウム製またはステンレス鋼製の缶が使用できる。前記ラミネートシートの場合は、熱融着樹脂を介して、電極体や非水電解質を収容した電池容器を密封する。また、前記缶の場合には、電極体や非水電解質を収容した缶と、缶の開口端に配置した蓋とを、レーザー溶接やパッキングを介したクリンプシールによって密閉する。なお、前記ラミネートシートの場合、前記缶の場合のいずれにおいても、正極と負極とは硝子や樹脂の絶縁体を介して、電池容器から隔離される。
また、前記缶を使用して電池を構成する場合、蓋または缶底に薄肉部(ベント)を設けることで、内圧が急激に上昇したときの対策を施すこともできる。
本発明の非水二次電池は、高出力であり、かつ長期信頼性に優れていることから、こうした特性を生かして、各種産業機器用の電源用途や、車載用電源用途を始めとして、従来から知られている非水二次電池が適用されている各種用途(携帯機器などの各種電子機器の電源用途など)に好ましく用いることができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではない。
実施例1
<正極の作製>
正極活物質(マンガン酸リチウム):94質量%、カーボンブラック:3質量%、およびPVDF:3質量%からなる正極合剤に、適量のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を添加し、十分に混合して正極合剤含有スラリーを調製した。このスラリーを、厚みが15μmのアルミニウム箔の片面に一定厚みで塗布し、110±10℃で乾燥した後、プレス処理を施して、厚みが30μmの正極合剤層を形成し、その後正極合剤層の面積が30mm×50mmとなるように裁断して、正極を得た。
<正極の作製>
正極活物質(マンガン酸リチウム):94質量%、カーボンブラック:3質量%、およびPVDF:3質量%からなる正極合剤に、適量のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を添加し、十分に混合して正極合剤含有スラリーを調製した。このスラリーを、厚みが15μmのアルミニウム箔の片面に一定厚みで塗布し、110±10℃で乾燥した後、プレス処理を施して、厚みが30μmの正極合剤層を形成し、その後正極合剤層の面積が30mm×50mmとなるように裁断して、正極を得た。
<負極の作製>
比表面積が11m2/gのリチウムチタン複合酸化物(スピネル構造のLi4Ti5O12)の表面を、以下のようにして炭素で被覆した。リチウムチタン複合酸化物を沸騰床反応期中で約700℃に加熱し、25℃でベンゼンを飽和させた窒素ガスを、このリチウムチタン複合酸化物粉末に接触させ、その温度で180分間化学蒸着処理を行って、リチウムチタン複合酸化物の表面を炭素で被覆した。
比表面積が11m2/gのリチウムチタン複合酸化物(スピネル構造のLi4Ti5O12)の表面を、以下のようにして炭素で被覆した。リチウムチタン複合酸化物を沸騰床反応期中で約700℃に加熱し、25℃でベンゼンを飽和させた窒素ガスを、このリチウムチタン複合酸化物粉末に接触させ、その温度で180分間化学蒸着処理を行って、リチウムチタン複合酸化物の表面を炭素で被覆した。
前記のようにして得られた、表面が炭素で被覆されているリチウムチタン複合酸化物におけるリチウムチタン複合酸化物表面の炭素量は、リチウムチタン複合酸化物100質量部に対して2質量部であった。
前記の表面が炭素で被覆されているリチウムチタン複合酸化物:88質量%、カーボンブラック:6質量%、およびPVDF:6質量%からなる負極合剤に、適量のNMPを添加し、十分に混合して負極合剤含有スラリーを調製した。このスラリーを、厚みが10μmの銅箔の片面に一定厚みで塗布し、110±10℃で乾燥した後、プレス処理を施して、厚みが35μmの負極合剤層を形成し、その後負極合剤層の面積が33mm×53mmとなるように裁断して、負極を得た。
<電池の組み立て>
前記の正極と負極とを、PE製微多孔膜セパレータ(幅40.5mm、厚み0.0018mm)を介して重ね合わせて積層電極体とし、この積層電極体を、50mm×110mmのアルミニウムラミネートシート外装体に収容し、非水電解質(エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとの体積比1:2の混合溶媒に、LiPF6を1mol/l濃度で溶解させた溶液)を注入した後、外装体を封止して、ラミネート非水二次電池を得た。
前記の正極と負極とを、PE製微多孔膜セパレータ(幅40.5mm、厚み0.0018mm)を介して重ね合わせて積層電極体とし、この積層電極体を、50mm×110mmのアルミニウムラミネートシート外装体に収容し、非水電解質(エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとの体積比1:2の混合溶媒に、LiPF6を1mol/l濃度で溶解させた溶液)を注入した後、外装体を封止して、ラミネート非水二次電池を得た。
比較例1
実施例1で用いたものと同じリチウムチタン複合酸化物を、その表面を炭素で被覆せずに用いた以外は、実施例1と同様にして負極を作製し、この負極を用いた以外は、実施例1と同様にしてラミネート非水二次電池を作製した。
実施例1で用いたものと同じリチウムチタン複合酸化物を、その表面を炭素で被覆せずに用いた以外は、実施例1と同様にして負極を作製し、この負極を用いた以外は、実施例1と同様にしてラミネート非水二次電池を作製した。
比較例2
リチウムチタン複合酸化物(スピネル構造のLi4Ti5O12)を比表面積が4m2/gのものに変更し、その表面を炭素で被覆せずに用いた以外は、実施例1と同様にして負極を作製し、この負極を用いた以外は、実施例1と同様にしてラミネート非水二次電池を作製した。
リチウムチタン複合酸化物(スピネル構造のLi4Ti5O12)を比表面積が4m2/gのものに変更し、その表面を炭素で被覆せずに用いた以外は、実施例1と同様にして負極を作製し、この負極を用いた以外は、実施例1と同様にしてラミネート非水二次電池を作製した。
実施例1および比較例1、2のラミネート非水二次電池について、下記の充放電サイクル特性評価を行った。
<充放電サイクル特性評価>
実施例1および比較例1、2の電池について、10Cの電流値(100mA)で2.9Vまで定電流充電を行い、その後、10Cの電流値で1.0Vまで放電させる一連の操作を1サイクルとして3000サイクル目まで充放電を繰り返し、各サイクルでの放電容量を測定した。すなわち、この充放電サイクル特性評価での結果が良好であるということは、電池の長期信頼性に優れていることを意味している。また、前記の充電条件は高負荷であることから、この充放電サイクル特性評価での結果が良好であるということは、電池が短時間で充電可能であること、すなわち、電池の急速充電特性が良好であることも意味している。
実施例1および比較例1、2の電池について、10Cの電流値(100mA)で2.9Vまで定電流充電を行い、その後、10Cの電流値で1.0Vまで放電させる一連の操作を1サイクルとして3000サイクル目まで充放電を繰り返し、各サイクルでの放電容量を測定した。すなわち、この充放電サイクル特性評価での結果が良好であるということは、電池の長期信頼性に優れていることを意味している。また、前記の充電条件は高負荷であることから、この充放電サイクル特性評価での結果が良好であるということは、電池が短時間で充電可能であること、すなわち、電池の急速充電特性が良好であることも意味している。
図1に、充放電サイクル特性評価の結果を示しており、この図1では、横軸に充放電のサイクル数を、縦軸に、容量維持率(1サイクル目の放電容量に対する各サイクルでの放電容量の比を百分率で表したもの)を表している。また、図1中、■が実施例1のデータを、△が比較例1のデータを、◇が比較例2のデータを、それぞれ表している。図1から明らかなように、実施例1の電池では、3000回の充放電を経ても容量が良好に維持されており、長期信頼性が優れている。また、実施例1の電池は、急速充電特性も良好である。これに対し、比較例1、2の電池は、充放電の繰り返しに伴う容量劣化が大きく、長期信頼性が劣っている。なお、比較例2の電池では、充放電の繰り返しに伴う容量劣化が非常に大きかったため、1000サイクル以降の測定を中止した。
<高出力特性評価>
実施例1および比較例1、2の電池(充放電サイクル特性評価に用いたものとは別の電池)について、充放電サイクル特性評価時と同じ条件で充電を行い、1.0Vまで放電させて放電容量を測定した。なお、放電時の電流値は、0.2C、1Cおよび10Cとした。そして、各電池について、放電電流値が0.2Cの場合の放電容量を100%として、各放電条件での放電容量から容量維持率(%)を求め、電池の高出力特性を評価した。すなわち、放電電流値を高くしても、そのときの放電容量が0.2Cでの放電容量と差がない(容量維持率が100%に近い)場合には、電池が高出力であると評価できる。これらの結果を表1に示す。
実施例1および比較例1、2の電池(充放電サイクル特性評価に用いたものとは別の電池)について、充放電サイクル特性評価時と同じ条件で充電を行い、1.0Vまで放電させて放電容量を測定した。なお、放電時の電流値は、0.2C、1Cおよび10Cとした。そして、各電池について、放電電流値が0.2Cの場合の放電容量を100%として、各放電条件での放電容量から容量維持率(%)を求め、電池の高出力特性を評価した。すなわち、放電電流値を高くしても、そのときの放電容量が0.2Cでの放電容量と差がない(容量維持率が100%に近い)場合には、電池が高出力であると評価できる。これらの結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1の電池は、比較例1、2の電池に比べて、1Cや10Cでの放電時の容量維持率が高く、高出力である。
Claims (3)
- 正極、負極、セパレータおよび非水電解質を備えた非水二次電池であって、
前記正極および前記負極のいずれか一方は、リチウムチタン複合酸化物を少なくとも含有する電極合剤層を、集電体の少なくとも片面に有する電極であり、
前記リチウムチタン複合酸化物は、比表面積が5m2/g以上であり、かつ、その表面の少なくとも一部を、炭素が被覆していることを特徴とする非水二次電池。 - リチウムチタン複合酸化物100質量部に対して、その表面を被覆している炭素が0.1〜5質量部である請求項1に記載の非水二次電池。
- 前記電極合剤層の厚みが40μm以下である請求項1または2に記載の非水二次電池。
Priority Applications (1)
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JP2009091673A JP2010244819A (ja) | 2009-04-06 | 2009-04-06 | 非水二次電池 |
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2009
- 2009-04-06 JP JP2009091673A patent/JP2010244819A/ja active Pending
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