JP5564765B2 - 添加物濃度勾配を有するLiイオン二次電池用負極 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用電極およびこれを用いたリチウムイオン二次電池並びに該電池を複数用いた組電池とこれを搭載した車両に関する。本発明のリチウムイオン二次電池用電極及びこれを用いたリチウムイオン二次電池や組電池は、例えば、電気自動車、燃料電池車及びハイブリッド電気自動車等のモータ等の駆動用電源として用いられる。
近年、環境・エネルギー問題の解決へ向けて、種々の電気自動車の普及が期待されている。これら電気自動車の実用化の鍵を握るモータ駆動用電源などの車載電源として、二次電池の開発が鋭意行われている。しかしながら、広く普及するためには電池を高性能にして、より安くする必要がある。また、電気自動車については、一充電走行距離をガソリンエンジン車に近づける必要があり、より高エネルギーの電池が望まれている。
電池を高エネルギー密度にするためには、正極と負極の単位質量あたりの蓄えられる電気量を大きくする必要がある。この要請に対して、Liイオンを吸蔵、放出可能な物質を含むLi吸蔵物質含有層と、該Li吸蔵物質含有層を覆うように形成された金属酸化物からなる保護膜とを備え、該保護膜は、隣接領域の酸化作用により酸化を受けた被酸化膜である負極が提案されている。この負極は、集電体上にLi吸蔵物質を形成した後、Li吸蔵物質上に酸化膜を形成する。つづいて酸化膜上に還元金属を形成する。還元金属は還元力が強く、酸化膜よりも低い酸化還元電位を有する。このため、還元金属は酸化膜に対して還元作用を示し、還元金属とLi吸蔵物質界面に還元金属酸化皮膜が配置された層構造となる。そして、このような層構造を有する負極を用いてリチウム二次電池を構成するというものである(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−162997号公報
特許文献1を含む従来のリチウム二次電池のほとんどは、集電体基板上に活物質(Liイオンを吸蔵、放出可能な物質)粉末、導電助剤、結着材等を混合したスラリーを塗布した活物質層(Li吸蔵物質含有層)を備えた電極構造を有する。しかしながら、特に高い理論容量の活物質であるSiやSn等を含む負極材の場合、充放電時およびサイクル時に大きな体積変化を示す。即ち、Liと合金化可能なSiやSn等の負極活物質は、充電に伴い、Liとの合金化により活物質中のリチウム量の増加によってその体積が数倍(3〜4倍程度)にも膨張する。放電時には逆に大きく体積収縮する。よってSiやSn等の負極活物質を用いた電池では、充放電サイクルを繰り返すにつれてSi等の負極活物質粒子の微粉化による劣化や集電体からの剥離や電極構造の不安定化等が生じる。そのため、電池の安全性や十分なサイクル特性(耐久性)が得られず、容量とサイクル特性とはトレードオフ関係にあるという課題があった。これは、特許文献1のように活物質層のLi吸蔵物質含有層を覆うように還元金属酸化皮膜が配置された層構造の負極においても、同様であり、活物質粒子の微粉化や集電体基板からの剥離や電極構造の不安定化等が生じることを十分に防止することができなかった。そのため、十分なサイクル特性が得られず、容量とサイクル特性とはトレードオフの関係にあるという課題があった。
そこで本発明の目的は、特に高い理論容量の活物質を含む負極材の充放電時およびサイクル時における大きな体積変化を抑制し、十分なサイクル特性と高容量化を図ることのできるリチウムイオン二次電池用電極を提供することである。
上記目的を達成するための本発明は、集電体と、前記集電体上に積層された活物質層を有し、前記活物質層中には添加物を含有するリチウムイオン二次電池用電極であって、活物質層内に前記添加物を高濃度に含有する高濃度添加物部分を有し、高濃度添加物部分が活物質層表面の垂直方向に対して連続的ないし段階的な添加物濃度勾配があることを特徴とするリチウムイオン二次電池用電極である。
本発明の電極構成によれば、添加物を加えた活物質は、周囲に連続的に接している無添加の活物質に対して、活物質を構成する元素と添加物元素の原子半径の相違に起因した応力(ケミカルプレッシャー)を与えている。そのために、アトミックレベルで活物質自身が安定化し、電極のサイクル耐久性が向上する。
また、添加物濃度を活物質層表面に対して垂直方向に連続的に傾斜させることによって、活物質表面の大きな体積変化を抑制することができるために、マクロレベルで活物質層全体が安定化することで、電極のサイクル耐久性が向上する。
さらに、加える添加物の種類および濃度を変えることで、無添加な活物質も改質(電荷量及び電荷の種類を変えることが可能)することができ、リチウム反応時における無添加な活物質もそれ自身の体積変化を抑制することができる。そのために、添加物を加えた活物質のみならず、添加物を加えていない活物質の構造が安定化し、電極のサイクル耐久性が向上する。
通常の充放電過程(適切な量のリチウムとの反応)において、添加物とリチウムが相互作用し活物質の相転移を制御することが可能となる。更に、かかる活物質の相転移の制御を可能とするだけはなく、異常時(超過なリチウムとの反応)において、添加物と超過リチウムが反応することで超過リチウムの量を減少することができる。そのために、異常時安全性が向上する。また、電気化学的に活性な元素添加物(例えば、窒素など)により、無添加時の充放電容量の維持、更には高容量化が可能となる。
本発明のリチウム二次電池用薄膜電極は、集電体と、前記集電体上に積層された活物質層を有し、前記活物質層中には添加物を含有するリチウムイオン二次電池用電極であって、
第1実施形態では活物質層内に前記添加物を高濃度に含有する高濃度添加物部分を有し、第2実施形態では活物質層表面に対して水平方向に前記添加物を高濃度に含有する高濃度添加物部分を有するものである。
更に、上記第1及び第2実施形態のいずれも、前記高濃度添加物部分が活物質層表面の垂直方向に対して連続的ないし段階的な添加物濃度勾配があることを特徴とするものである。
即ち、第1実施形態では、活物質層表面に対して水平方向(面方向)の全体(=活物質層内全体)に高濃度添加物部分が形成されている形態である(図4、5参照)。一方、第2実施形態は、活物質層表面に対して水平方向(面方向)の全体ではなく、一部に部分的に分散して高濃度添加物部分がパターニングして配置されている形態である(図6〜8参照)。
本発明の電極の第1実施形態によれば、添加物を加えた活物質は、周囲に連続的に接している無添加の活物質に対して、活物質を構成する元素と添加物元素の原子半径の相違に起因した応力(ケミカルプレッシャー)を与えている。そのために、アトミックレベルで活物質自身が安定化し、電極のサイクル耐久性が向上する。また、添加物濃度を活物質層に対して垂直方向に連続的に傾斜させることによって、活物質表面の大きな体積変化を抑制することができる。そのために、マクロレベルで活物質層全体が安定化することで、電極のサイクル耐久性が向上する。さらに、加える添加物の種類および濃度を変えることで、無添加な活物質も改質(電荷量及び電荷の種類を変えることが可能)することができ、リチウム反応時における無添加な活物質もそれ自身の体積変化を抑制することができる。そのために、添加物を加えた活物質のみならず、添加物を加えていない活物質の構造が安定化し、電極のサイクル耐久性が向上する。通常の充放電過程(適切な量のLiとの反応)において、添加物とLiが相互作用し活物質の相転移を制御することが可能となるだけはなく、異常時(超過なLiとの反応)において、添加物と超過Liが反応することで超過リチウムの量を減少することができる。そのために、異常時安全性が向上する。また、電気化学的に活性な元素添加物により、無添加時の充放電容量の維持、あるいは高容量化が可能となる。
本発明の電極の第2実施形態によれば、上記第1実施形態の作用効果に加えて、さらに活物質中の高濃度添加物領域を、活物質層に対して水平方向(面方向)にパターニングすることにより、垂直方向の添加物濃度勾配とあわせて体積緩和構造が効率的となる。そのため、これを電極として用いた場合、サイクル耐久性がより一層向上し得る。
また、本発明の電極によれば、第1及び第2実施形態のいずれの場合においても、活物質層と集電体基板の間がショットキー接合になっている場合、この間にバッファー層を設けてもよい。これにより、系の電気伝導性が改善され、電極特性が改善される。
以下、図面を参照しながら、本発明のリチウムイオン二次電池用負極及びこれを用いてなるリチウムイオン二次電池の最良の実施形態を説明する。ただし、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきであり、以下の形態のみには制限されない。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
まず、本発明に係るリチウムイオン二次電池は、トレードオフ関係にあったサイクル特性と容量を同時に高めることができることから、車両の駆動電源用等として好適に利用できる。このほかにも、携帯電話などの携帯機器向けのリチウムイオン二次電池にも十分に適用可能である。とりわけ、上記特性を有する本発明の薄膜状の電極構造を用いてなるために、高充放電容量かつ高サイクル特性かつ急速充放電特性を有する薄型リチウムイオン二次電池や双極型(バイポーラ型)リチウムイオン二次電池への適用が可能である。また、上記特性を有する本発明の薄膜状の電極構造を用いてなるために、全固体リチウム二次電池とすることが可能である。さらに、これら各種のリチウムイオン二次電池を用いた組電池への適用も可能である。
上記のように本発明の対象となるリチウムイオン二次電池は、本発明のリチウムイオン電池用薄膜電極を用いてなるものであればよく、他の構成要件に関しては、特に制限されるべきものではない。
例えば、上記リチウムイオン二次電池を形態・構造で区別した場合には、積層型(扁平型)電池、巻回型(円筒型)電池など、従来公知のいずれの形態・構造にも適用し得るものである。ここで、積層型(扁平型)電池構造を採用する場合には、簡単な熱圧着などのシール技術により長期信頼性を確保でき、コスト面や作業性の点で優れている。
また、リチウムイオン二次電池内の電気的な接続形態(電極構造)で見た場合、後述する非双極型(内部並列接続タイプ)電池および双極型(内部直列接続タイプ)電池のいずれにも適用し得るものである。
リチウムイオン二次電池内の電解質層の種類で区別した場合には、電解質層に非水系の電解液等の溶液電解質を用いた溶液電解質型電池、電解質層に高分子電解質を用いたポリマー電池など従来公知のいずれの電解質層のタイプにも適用し得るものである。該ポリマー電池は、更に高分子ゲル電解質(単にゲル電解質ともいう)を用いたゲル電解質型電池、高分子固体電解質(単にポリマー電解質ともいう)を用いた固体高分子(全固体)型電池に分けられる。
したがって、以下の説明では、本発明の電極を用いてなる非双極型(内部並列接続タイプ)と双極型(内部直列接続タイプ)のリチウムイオン二次電池につき図面を用いて簡単に説明するが、決してこれらに制限されるべきものではない。
図1は、本発明のリチウムイオン電池の代表的な一実施形態である、扁平型(積層型)の非双極型リチウムイオン二次電池(以下、単に非双極型リチウムイオン二次電池、または非双極型二次電池ともいう)の全体構造を模式的に表した断面概略図である。
図1に示すように、本実施形態の非双極型二次電池10では、電池外装材22に高分子−金属を複合したラミネートフィルムを用いて、その周辺部の全部を熱融着にて接合することにより、発電要素(電池要素)17を収納し密封した構成を有している。ここで発電要素17は、正極集電体11の両面に正極活物質層12が形成された正極板、電解質層13、および負極集電体14の両面(発電要素の最下層および最上層用は片面)に負極活物質層15が形成された負極板を積層した構成を有している。この際、一の正極板片面の正極活物質層12と前記一の正極板に隣接する一の負極板片面の負極活物質層15とが電解質層13を介して向き合うようにして、正極板、電解質層13、負極板の順に複数積層されている。
これにより、隣接する正極活物質層12、電解質層13、および負極活物質層15は、一つの単電池層16を構成する。従って、本実施形態の非双極型二次電池10は、単電池層16が複数積層されることで、電気的に並列接続されてなる構成を有するともいえる。なお、発電要素(電池要素;積層体)17の両最外層に位置する最外層正極集電体11aには、いずれも片面のみに正極活物質層12が形成されている。なお、図1と正極板と負極板の配置を変えることで、発電要素17の両最外層に最外層負極集電体(図示せず)が位置するようにし、該最外層負極集電体の場合にも片面のみに負極活物質層15が形成されているようにしてもよい。
また、上記の各電極板(正極板及び負極板)と導通される正極タブ18および負極タブ19が、正極端子リード20および負極端子リード21を介して各電極板の正極集電体11及び負極集電体14に超音波溶接や抵抗溶接等により取り付けられている。これにより、正極集電体11及び負極集電体14に電気的に接続された正極タブ18および負極タブ19は、上記熱融着部に挟まれて上記の電池外装材22の外部に露出される構造を有している。
図2は、本発明のリチウムイオン電池の他の代表的な一実施形態である双極型の扁平型(積層型)のリチウムイオン二次電池(以下、単に双極型リチウムイオン二次電池、または双極型二次電池とも称する)の全体構造を模式的に表わした概略断面図である。
図2に示すように、本実施形態の双極型二次電池30は、実際に充放電反応が進行する略矩形の発電要素(電池要素)37が、電池外装材42の内部に封止された構造を有する。図2に示すように、本実施形態の双極型二次電池30の発電要素37は、1枚または2枚以上で構成される双極型電極34で電解質層35を挟み、隣合う双極型電極34の正極活物質層32と負極活物質層33とが対向するようになっている。ここで、双極型電極34は、集電体31の片面に正極活物質層32を設け、もう一方の面に負極活物質層33を設けた構造を有している。即ち、双極型二次電池30では、集電体31の片方の面上に正極活物質層32を有し、他方の面上に負極活物質層33を有する双極型電極34を、電解質層35を介して複数枚積層した構造の発電要素(電池要素)37を具備してなるものである。
隣接する正極活物質層32、電解質層35および負極活物質層33は、一つの単電池層(電池単位ないし単セル)36を構成する。従って、双極型二次電池30は、単電池層36が積層されてなる構成を有するともいえる。また、電解質層35からの電解液の漏れによる液絡を防止するために単電池層36の周辺部にはシール部(絶縁層)43が配置されている。該シール部(絶縁層)43を設けることで隣接する集電体31間を絶縁し、隣接する活物質層(正極活物質層32及び負極活物質層33)間の接触による短絡を防止することもできる。
なお、発電要素(電池要素)37の最外層に位置する正極側電極34a及び負極側電極34bは、双極型電極構造でなくてもよい。例えば、集電体31a、31b(または端子板)に必要な片面のみの正極活物質層32または負極活物質層33を配置した構造としてもよい。発電要素37の最外層に位置する正極側の最外層集電体31aには、片面のみに正極活物質層32が形成されているようにしてもよい。同様に、発電要素37の最外層に位置する負極側の最外層集電体31bには、片面のみに負極活物質層33が形成されているようにしてもよい。また、双極型二次電池30では、上下両端の正極側最外層集電体31a及び負極側最外層集電体31bにそれぞれ正極タブ38および負極タブ39が、必要に応じて正極端子リード40及び負極端子リード41を介して接合されている。但し、正極側最外層集電体31aが延長されて正極タブ38とされ、電池外装材42であるラミネートシートから導出されていてもよい。同様に、負極側最外層集電体31bが延長されて負極タブ39とされ、同様に電池外装材42であるラミネートシートから導出される構造としてもよい。
また、双極型二次電池30でも、発電要素(電池要素;積層体)37部分を電池外装材(外装パッケージ)42に減圧封入し、正極タブ38及び負極タブ39を電池外装材42の外部に取り出した構造とするのがよい。かかる構造とすることで、使用する際の外部からの衝撃、環境劣化を防止することができるためである。この双極型二次電池30の基本構成は、複数積層した単電池層(単セル)36が直列に接続された構成ともいえるものである。
上記した通り、非双極型二次電池と双極型二次電池の各構成要件および製造方法に関しては、リチウムイオン二次電池内の電気的な接続形態(電極構造)が異なることを除いては、基本的には同様である。よって、上記した非双極型二次電池の各構成要件を中心に、以下説明するが、双極型二次電池の各構成要件および製造方法に関しても、同様の構成要件及び製造方法を適宜利用して構成ないし製造することができることは言うまでもない。また、本発明の非双極型二次電池および/または双極型二次電池を用いて、組電池や車両を構成することもできる。
(I)本発明の主要部である電極について
本発明に係る電極としては、図1に示す非双極型二次電池10では、正極集電体11の両面(最外層用は片面)に正極活物質層12が形成された正極板、及び負極集電体14の両面(最外層用は片面)に負極活物質層15が形成された負極板の双方が該当する。また、図2に示す双極型二次電池30でも、集電体31の片方の面上に正極活物質層32を有し、他方の面上に負極活物質層33を有する双極型電極34が該当する。本発明に係る電極では、特に高い理論容量の活物質を含む負極材の充放電時およびサイクル時における大きな体積変化を抑制し得ることから、負極(電極)に適用するのが望ましい。即ち、図1に示す非双極型二次電池10では、負極集電体14の両面(最外層用は片面)に負極活物質層15が形成された負極板に適用するのが望ましい。また図2に示す双極型二次電池30では、双極型電極34のうち、集電体31とその片方の面上に形成される負極活物質層33に適用するのが望ましい。そこで、以下では、本発明の電極として負極を例にとって説明するが、本発明はこれらに何ら制限されるものではなく、正極側にも十分適用し得るものである。即ち、正極活物質層においても、特に高い理論容量の活物質を含む負極材ほどの体積変化はないにしても、充放電時およびサイクル時に体積変化を生じる為、本発明の構成を採用することで、こうした体積変化の抑制も図ることができるためである。
以下、本発明の主要部である負極(電極)の構成要件ごとに説明する。
[活物質層]
本発明の負極(電極)に用いられる活物質層は、上述した第1及び第2実施形態のいずれの場合にも、活物質と添加物を必須成分とするものである。
(活物質)
(a)活物質の物質・組成
上記活物質としては、従来公知の活物質を用いることができるが、リチウムと合金化するような組成で、炭素(C)、シリコン(Si)、スズ(Sn)から選ばれる少なくとも一つの元素を主成分とする、高い充放電理論容量を有する物質が望ましい。このように、あらゆる活物質、特に高い理論容量を有する活物質が、本発明の電極構造をとることができるために、リチウム二次電池用電極の充放電容量を向上することが可能である。
特に高い理論容量の活物質であるSiやSn等を含むものがより望ましい。これは、本発明の電極構成とすることで、充放電時およびサイクル時でも、これら特に高い理論容量の活物質を含む負極材の大きな体積変化を抑制し、十分なサイクル特性と高容量化を図ることができるためである。
上記Cを主成分とする活物質としては、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、活性炭、カーボンファイバ、コークス、ソフトカーボン、ハードカーボン(難黒鉛化炭素材料)などの結晶性炭素材や非結晶性炭素材等のカーボンが挙げられる。また上記Si、Snを主成分とする活物質としては、特に高い理論容量の活物質であるSi、Sn、Si合金、Sn合金などが挙げられる。これらの中でも特に高い理論容量の活物質であるSi、Snが望ましく、とりわけ理論容量が高く、コスト面でも最も安価なSiがより望ましい。
従って、上記活物質はC、Si、Snの少なくとも一つの元素、特にSiを主成分、具体的には、これらの元素、特にSiの含有量を50質量%以上、好ましく70質量%以上、より好ましくは90質量%以上、特に好ましくは100質量%とすることが望ましい。上記に規定するように活物質の組成として、C、Si、Snの少なくとも一つの元素を主成分、とりわけC、Si、Snの少なくとも一つの元素の含有量を100質量%とすることにより、容量が非常に大きくできる。これにより、サイクル耐久性がよく電池容量が劣化しにくく、高容量の電池を構成できる点で優れている。またSiは、半導体産業等の原料として量産化されており、安定的かつ安価に入手できるため、低コストに電池を提供できる利点でも優れている。ここで、Siの場合を例にとれば、Si原子1個当たりの吸蔵・放出が可能なLiイオンは4.4個であることから、Siの単位重量当たりの理論容量は4200mAh/g(Li4.4Si)にもなる。これは、既存の炭素・黒鉛系の負極材料が、Liイオンの黒鉛結晶中への吸蔵・放出により充放電がなされるため、最大Li導入化合物であるLiCから得られる理論容量372mAh/gであり、10倍以上の高容量化が図れるものである。
また、上記C、Si、Sn以外に利用可能な従来公知の活物質としては、通常リチウムイオン二次電池に用いられている負極活物質なら利用可能である。具体的には、リチウム−遷移金属複合酸化物や高い理論容量のゲルマニウム(Ge)等が挙げられる。リチウム−遷移金属複合酸化物としては、例えば、リチウム−チタン複合酸化物(チタン酸リチウム:LiTi12)などが挙げられるが、これらに何ら制限されるものではない。
これらの活物質は、1種単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
(b)活物質層の作製方法・要件(厚さ、状態)
上記活物質を用いた活物質層の作製方法としては、半導体分野におけるデバイス製造方法全般を用いることができる。特に、抵抗加熱を用いた蒸着法、電子ビームやイオンビーム等を用いた蒸着法、スパッタ蒸着法、分子線エピタキシー法、パルスレーザ蒸着法、電解めっき法などが望ましい。これらの作製方法を用いることで、活物質粒子、導電助剤、結着材を含むスラリーを集電体上に塗布・形成する必要がないので、導電助剤や結着材が不要となり、高容量化、薄膜化が図れる。
上記活物質を用いた活物質層の厚さとしては、特に制限されるものではないが、薄膜化の観点からは、50nm以上600μm以下、好ましくは100nm〜1μm、より好ましくは100nm〜500nmである。これは、活物質層の厚さを上記範囲内となるように薄膜状の電極構造とすることで、高充放電容量かつ高サイクル特性かつ急速充放電特性を有する薄型の非双極型や双極型リチウム二次電池およびそれらを用いた組電池を提供できる為である。これにより、軽量化が求められる車両搭載用電源への利用も可能となる点で優れている。また、薄膜状の電極構造とすることで、全固体リチウム二次電池とすることも可能である。そのため、安全性が求められる車両搭載用電源や民生用電源(携帯情報端末やノートパソコン等の電源)への利用も可能となる点でも優れている。
上記活物質を用いた活物質層の状態としては、アモルファス状態、多結晶状態、単結晶状態から選ばれる少なくとも一つの状態であることが望ましい。上記活物質を用いてこれらの状態に活物質層を作製することによって、以下に説明する添加物の注入により、厚さ方向への濃度勾配(第1及び第2実施形態)の形成や面方向へのパターニング(第2実施形態)などを行うことができるためである。
(添加物)
(a)添加物の物質・組成
上記活物質層に用いられる添加物としては、ホウ素(B)、カーボン(C)、窒素(N)、酸素(O)、アルミニウム(Al)、リン(P)、ゲルマニウム(Ge)から選ばれる少なくとも一つの元素を主成分とするものが望ましい。これは、上記添加物を加えた活物質単位胞の体積が、添加物を加えていない活物質単位胞の体積よりも小さく、この関係はリチウムとの反応時においても成り立つ。例えば、これを図面を用いて模式的に表せば、図3のように表すことができる。ここで、図3Aは、添加物なしの活物質のLi脱着時(Liとの反応前=合金化前)の結晶構造(活物質単位胞の体積)を模式的に表したイメージ図である。図3Bは、添加物ありの活物質のLi脱着時(Liとの反応前=合金化前)の結晶構造(活物質単位胞の体積)を模式的に表したイメージ図である。図3Cは、添加物なしの活物質のLi挿入時(Liとの反応時=合金化後)の結晶構造(活物質単位胞の体積)を模式的に表したイメージ図である。図3Dは、添加物ありの活物質のLi挿入時(Liとの反応時=合金化後)の結晶構造(活物質単位胞の体積)を模式的に表したイメージ図である。
即ち、図3Bに示す添加物ありの活物質の結晶構造(活物質単位胞の体積)が、図3Aに示す添加物なしの活物質の結晶構造(活物質単位胞の体積)よりも小さく、この関係は図3C、3Dに示すように、リチウムとの反応時においても成り立つ。上記添加物を加えた活物質は、周囲に連続的に接している無添加の活物質に対して、活物質を構成する元素と添加物元素の原子半径の相違に起因した応力(ケミカルプレッシャー;図3B、3D中の矢印参照)を与えている。そのために、アトミックレベルで活物質自身が安定化し、電極のサイクル耐久性が向上する。上記効果は活物質結晶の秩序状態あるいは無秩序状態によらないために、リチウムとの反応によって活物質の状態が変化しても成り立つ(図3B、3D)。従って、活物質自身がより安定化し、電極のサイクル耐久性が向上するためである。
また、加える上記添加物の種類および濃度を変えることで、無添加な活物質も改質(電荷量及び電荷の種類を変えることが可能)することができる。これにより、リチウム反応時における無添加な活物質もそれ自身の体積変化を抑制するために、上記添加物を加えた活物質のみならず、上記添加物を加えていない活物質の構造が安定化し、電極のサイクル耐久性が向上することができる(実施例の図9〜図18参照)。
また、上記添加物は、B、C、N、O、Al、P、Geの少なくとも一つの元素を主成分、具体的には、これらの元素の合計含有量を50質量%以上、好ましく70質量%以上、より好ましくは90質量%以上、特に好ましくは100質量%とすることが望ましい。上記に規定するように添加物の組成として、B、C、N、O、Al、P、Geの少なくとも一つの元素を主成分、とりわけB、C、N、O、Al、P、Geの少なくとも一つの元素の含有量を100質量%とすることにより、図9〜14に示すように、活物質の体積変化を低く抑えることができる点で優れている。特に図10に示すようにB、C、N、O、Geは体積変化量が低く、なかでもB、C、N、Oは、セル体積自身も低く抑えることができ利点で優れている。また、N、Ge、CなどはLiと反応(合金化)することができる。例えば、Nは、LiN(リチウムナイトライド)を形成できる。そのため、これらの添加物は、いわば活物質になり得る。そのため、電池容量を高めることができる点で優れている。また、N、Oなどは安価な気体を用いてドープさせることができる点で優れている。またB、Pなどは、半導体産業等の原料(ホールドープ料や電子ドープ材)として、Si等の基板の垂直方向に濃度勾配を持たせるような、イオン注入等のドープ技術等も多く開発されている。そのため、安定的かつ安価に入手でき、既に開発された半導体生産技術を利用して電池用電極を形成できるので、低コストに電池を提供できる点でも優れている。
なお、本発明では、活物質を構成する元素と添加物元素の原子半径の相違に起因した応力(ケミカルプレッシャー)を利用する観点から、活物質にC、Geを用いる場合には、上記添加物元素には活物質以外の元素を用いるものとする。また、実施例で計算に用いた上記添加物のない純粋シリコン及び添加物(C、B、N、O、P、Al、Ge)を含有してなる、Si及びLi−Siの結晶構造(ダイヤモンド構造)を図22A、Bにそれぞれ示す。
(b)高濃度添加物部分の作製方法・要件
上記活物質を用いた活物質層への上記添加物注入による高濃度添加物部分の作製方法としては、半導体分野におけるデバイス製造方法全般や物理的処理法や化学的処理法を用いることができる。特に、イオン注入法や低エネルギーイオンビームスパッタ法や接触型熱拡散法等が望ましい。
なお、こうした作製方法により、活物質層の最表面ではなく、最表面から厚さ方向(垂直方向)にある程度入った位置に、添加物濃度のピーク(最も高い濃度)を有するように高濃度添加物部分の濃度勾配(濃度分布)ができる場合もある。こうした場合には、当該添加物濃度のピーク位置まで、半導体分野におけるデバイス製造方法全般や物理的処理法や化学的処理法を用いて、活物質層表面からエッチング(研磨、研削)し、エッチング後の最表面の添加物濃度が最も高くなるように調製してもよい。あるいは、最表面から厚さ方向(垂直方向)にある程度入った位置に、添加物濃度のピーク(最も高い濃度)を有するように高濃度添加物部分の濃度勾配(濃度分布)ができたものを、そのまま利用しても良い。また、高濃度添加物部分に段階的に濃度勾配を持たせる場合には、活物質層を多層積層して作製し、各層ごとに、上記した半導体の生産技術を用いた方法で添加物濃度が上層になるほど高濃度になるように調製しても良いなど、特に制限されるものではない。
活物質層中の高濃度添加物部分の上記添加物濃度としては、例えば、活物質がシリコンの場合、シリコンの抵抗率が10−4〜10Ωcm程度になるような濃度が望ましい。他の活物質を用いる場合にも、活物質の抵抗率が、概ね上記したシリコンの抵抗率程度になるように添加物濃調整するのが望ましい。即ち、活物質層中の高濃度添加物部分では、上記活物質抵抗率の範囲になる添加物の濃度範囲内で、なおかつ垂直方向に添加物の濃度勾配が形成されていればよい。このように当該高濃度添加物部分を垂直方向(厚さ方向)に濃度勾配をつける場合には、上記活物質の抵抗率が垂直方向に連続的(段階的)に変化するように添加物濃度勾配をつけるのが望ましい。具体的には、高濃度添加物部分の中で最も高い添加物濃度(最高濃度)を有する最表面側が活物質の抵抗率10−4Ωcmで、最も高い添加物濃度(最低濃度)を有する集電体の接合面側が活物質の抵抗率10Ωcmになるように濃度勾配をつけるのが望ましい。すなわち、上記活物質(シリコン)の抵抗率が上記範囲を外れる場合には、高濃度添加物部分の添加物濃度が低すぎて、添加に見合う効果(体積変化抑制によるトレードオフの関係にあったサイクル特性と高容量化が図れる効果)が十分に発現し得ない。あるいは高濃度添加物部分の添加物濃度が高すぎて、活物質量が相対的に減少し高容量化し難くなるおそれがある。但し、上記範囲を外れても本発明の作用効果を奏することができる範囲であれば、本発明の高濃度添加物部分に相当するものである。
(c)高濃度添加物部分の添加物の濃度勾配
(c−1)活物質層に対して垂直方向の添加物の濃度勾配について
活物質層表面に対して垂直方向(厚さ方向)の添加物の濃度勾配の作製方法としては、上記したように半導体分野におけるデバイス製造方法全般や物理的処理法や化学的処理法を用いることができる。
上記方法を用いて、活物質層において、高濃度添加物部分は、その最表面の添加物濃度が最も大きく、最深部すなわち集電体との接触面の添加物濃度が最も小さく、活物質層内で連続的に(ないし段階的に)濃度変化しているような、添加物濃度勾配が望ましい。例えば、最高濃度を有する活物質の抵抗率が10−4Ωcmで、最低濃度を有する活物質の抵抗率が10Ωcmで、抵抗率が連続的に変化するような添加物濃度勾配が望ましい。
(c−2)活物質層に対して水平方向の濃度勾配について
活物質層に対して水平方向の濃度勾配(パターニング;配列)を有する高濃度添加物部分(添加物注入領域)の作製方法としては、半導体分野におけるデバイス製造方法全般や物理的処理法や化学的処理法を用いることが可能である。例えば、ある任意形状に複数個パターニングされたマスク等を用いて、添加物注入領域を活物質層表面に対して水平方向に限定化し、かつ該添加物注入領域において活物質層表面の垂直方向に前記c−1記載の濃度勾配を持たせることにより作製できる(図6、7参照)。
上記高濃度添加物部分(添加物注入領域)の水平方向(面方向)のパターニング形状としては、図8に示すような平面形状及びこれらを組合せた幾何学形状が挙げられる(詳しくは、図8の説明参照)。
水平方向(面方向)にパターニングされた高濃度添加物部分(添加物注入領域)の直径(最大長)d(図6A、図8参照)としては、100nm以上100μm以下であることが望ましく、100nm以上10μm以下がより望ましい。
また、水平方向(面方向)の隣接する高濃度添加物部分(添加物注入領域)のパターン同士の間隔t(図6A参照)としては、1μm以上は離れていることが望ましい。
また、活物質層表面(全面)に対する水平方向にパターニングされた高濃度添加物部分(添加物注入領域)全体の占有面積は、0.025〜100%未満である。該占有面積100%の場合が、本発明の第1実施形態に相当する。なお、前記占有面積の下限値0.025%は、高濃度添加物部分を直径2μm、それら同士の間隔を2μm、それらの数を100個とすると、全部で1200μmとなる。実際の電極表面の面積は、48mmなので、最低占有面積は0.025%となることから、かかる値を用いたものである。したがって、上記範囲を下回る場合であっても、本発明の作用効果を有効に発現し得るものであれば、本発明に含まれることはいうまでもない。
[集電体]
(a)集電体の物質・組成
本発明に係る電極(負極)に用いられる集電体としては、リチウムと合金化しない組成の物質であり、単結晶基板や多結晶基板であるが、特にニッケル(Ni)や銅(Cu)等が望ましい。また、図1に示す非双極型電池に用いられる負極集電体14では、負極側の充放電電位に対して安定であるものが望ましく、一方、図2に示す双極型電池に用いられる集電体31では、正極及び負極側の双方の充放電電位に対して安定であるものが望ましい。
(b)集電体の作製方法・ディメンジョン
上記集電体としては、機械的、電気的、化学的、あるいはこれらのいずれかを組み合わせた方法によって表面研磨したもので、厚みが5μm以上2mm以下であり、集電体表面の粗さRaは0.1μm以下、好ましくは5nm以上100nm以下が望ましい。
なお、予め半導体分野におけるデバイス製造方法全般を用いて形成した活物質層を最初に形成した後に、該活物質層(ないしバッファー層)の裏面側に集電体を形成してもよい。この場合の基板となる活物質層は、添加物含有領域(高濃度添加物部分)の形成前でも形成後でもよいし、該活物質層にバッファー層を形成した後でもよい。この場合の集電体の作製方法としては、半導体分野におけるデバイス製造方法全般を用いることができる。特に、抵抗加熱を用いた蒸着法、電子ビームやイオンビーム等を用いた蒸着法、スパッタ蒸着法、分子線エピタキシー法、パルスレーザ蒸着法、電解めっき法などが望ましい。これらの作製方法を用いることで、集電体の薄膜化が図れるためである。
上記集電体の厚みは、電極の薄膜化の観点からは、5μm〜600μmが好ましく、より好ましくは25μm〜500μmの範囲である。かかる範囲であれば、ピンホールなどが生じにくく尚且つ薄膜化が図れるためである。また、集電体(基板)表面の粗さRaを上記範囲とすることで、活物質層との接合性に優れる。また、該集電体表面に、半導体分野におけるデバイス製造方法などを用いて非常に薄い活物質層(薄膜)を形成する場合、集電体の表面粗さが大きいと水平方向(面方向)に均一な厚さの活物質層(薄膜)を作製困難となる恐れがあるためである。
なお、本発明に係る電極に適用するための集電体の形態は、特に制限されるものではないが、膜(箔)状ないし板状の形態であるのが望ましい。但し、非双極型電池では、例えば、エキスパンドメタルなどのような網状ないし格子状の形態などであってもよい。
[バッファー層]
本発明では、活物質層と集電体の間がショットキー接合になっている場合、この間にバッファー層を設けてもよい。これにより、系の電気伝導性が改善され、電極特性が改善されるためである。
(a)バッファー層の物質・組成
本発明に係る電極(負極)に用いられるバッファー層は、電極の活物質層と集電体との接合において、物性の相違、例えば組成、電子状態や結晶構造等に起因した不整合性を緩和するような物質が望ましい。特に、酸化物、有機物、カーボン(C)、ハフニウム(Hf)、アンチモン(Sb)等が望ましい。
(b)バッファー層の作製方法・ディメンジョン
半導体分野におけるデバイス製造方法全般や物理的処理法や化学的処理法を用いることが可能であるが、特に、抵抗加熱を用いた蒸着法、電子ビームやイオンビーム等を用いた蒸着法、スパッタ蒸着法、分子線エピタキシー法、パルスレーザ蒸着法、電解めっき法等が望ましい。
バッファー層の厚みは、電極の薄膜化の観点からは、好ましくは5nm〜100nmの範囲である。
次に、上記した本発明の負極(電極)の各実施形態につき図面を用いて説明する。
<第1実施形態について>
図4Aは、本発明の電極の第1実施形態を模式的に表した断面概略図と共に、該電極の活物質層表面に対して水平方向(面方向)における活物質濃度Δρaと体積変化率ΔVの様子を併記した図面である。図4Bは、図4Aの電極の活物質層表面の垂直方向(厚さ方向)における添加物濃度Δρiの変化の様子を表した図面である。図4Cは、図4Aの電極の活物質層表面の垂直方向(厚さ方向)における活物質濃度Δρaの変化の様子を表した図面である。図4Dは、図4Aの電極の活物質層表面の垂直方向(厚さ方向)における体積変化率ΔVの変化の様子を表した図面である。一方、図19Aは、本発明の対策が講じられておらず、単に活物質粒子と添加物粒子を混合して形成した活物質層を用いた電極を模式的に表した断面概略図である。また図19Aでも、この電極の活物質層表面に対して水平方向(面方向)における活物質濃度Δρaと体積変化率ΔVの様子を併記している。図19Bは、図19Aの電極の活物質層表面の垂直方向(厚さ方向)における添加物濃度Δρiの変化の様子を表した図面である。図19Cは、図19Aの電極の活物質層表面の垂直方向(厚さ方向)における活物質濃度Δρaの変化の様子を表した図面である。図19Dは、図19Aの電極の活物質層表面の垂直方向(厚さ方向)における体積変化率ΔVの変化の様子を表した図面である。図20は、活物質(Si)とリチウム(Li)が反応して、大きく体積変化する様子を模式的に表したイメージ図である。
図4Aに示すように、本実施形態における電極50は、集電体52と、前記集電体52上に積層された活物質層51を有し、前記活物質層51中には添加物を含有するリチウムイオン二次電池用電極である。さらに、前記活物質層51内に前記添加物を高濃度に含有する高濃度添加物部分を有している。一方、図19Aに示すように本発明の対策が講じられていない従来の電極190では、集電体192上に、活物質粒子と添加物粒子を混合して形成した活物質層191が積層されてなるリチウムイオン二次電池用電極であり、活物質層191内には添加物を含有せず、よって添加物を高濃度に含有する高濃度添加物部分も有していない。
ここで、前記活物質層51は、前記集電体52上に直接積層されていてもよいほか、図5に示す応用例のように、他の層(中間層)を介して積層されていてもよい(以下、第2実施形態においても同様である)。かかる他の層(中間層)は、本発明の作用効果を損なわないものであれば、特に制限なく適用可能であるが、所望の目的を持って積層(挿入)されているのが望ましい(図5の応用例のバッファ層参照のこと)。
ここで、高濃度添加物部分は、活物質層51表面に対して水平方向(面方向)の全体(=活物質層51内全体)に形成されている。また図4Aに併記したように、高濃度添加物部分は、活物質層表面に対して水平方向(面方向)における活物質濃度Δρa及び体積変化率ΔVが一定になるように、該水平方向に添加物が均一かつ高濃度に含有されているものといえる。即ち、後述する図6、7に示すような水平方向(面方向)にパターニング(濃度勾配)は、なされていない。
上記高濃度添加物部分は、図4A〜4Bに示すように、活物質層51表面の垂直方向(厚さ方向)に対して、該活物質層51最表面Aから最深部B(集電体52との接合面B)へと添加物の連続的もしくは段階的な濃度勾配がつけられている。そして図4A〜4Bに示すように、添加物濃度Δρiは活物質層51最表面Aが最も高く(大きく)、活物質層51の最深部B(集電体52との接合面B)が最も小さい。また図4Cに示すように、活物質濃度Δρaは活物質層51最表面Aが最も小さく、活物質層51の最深部B(集電体52との接合面B)が最も高くなる。
一般的に、図20に示すように、活物質の状態(微結晶、多結晶、単結晶、アモルファス)や形状(粒子状、膜状)に依らず、活物質(Si等)とリチウム(Li)が反応する際、活物質(粒子や膜=活物質層)の表面から徐々に反応していく。すなわち活物質(粒子や膜=活物質層)の表面付近がリチウム高濃度領域となっており、体積変化(体積変化率ΔV)もまた活物質(粒子や膜=活物質層)の深部よりも大きい(図19D、図20参照)。充放電過程において、このような現象が連続的に起きるために、活物質(粒子や膜)の微粉化・活物質間の導電ネットワークの破壊並びに活物質(粒子や膜=活物質層)の集電体からの剥離等が起き、サイクル耐久性が劣化する。しかしながら、既に図3A〜3Dを用いて説明したように、添加物を加えた活物質単位胞の体積が添加物を加えていない活物質単位胞の体積よりも小さく、この関係はリチウムとの反応時においても成り立つ。即ち、Liとの反応前の添加物有り活物質、Liと反応前の添加物無し活物質、Liとの反応後の添加物有り活物質、Liとの反応後の添加物無し活物質の単位胞の大きさをそれぞれV1、V2、V3、V4とすると、これらの関係は下式(1)のようになる。
さらに、加える添加物の種類を変えることで、無添加な活物質も改質すること(電荷量及び電荷の種類を変えること)ができ、さらに、この添加物濃度が変化しても上記添加物導入効果が成り立つ(実施例3の図13〜図14参照)。従って、添加物濃度を活物質層表面で高濃度にし、活物質層表面に対して垂直方向に連続的(段階的)に傾斜(漸減)した電極構造をとることによって、アトミックレベルで活物質自身が安定化し、マクロレベルで活物質層全体が安定化する(図3、4B、6C参照)。このように活物質自身、更には活物質層全体が安定化することで、充放電過程での活物質(粒子や膜=活物質層)表面近傍での大きな体積変化を抑制することができるために(図4Dと図19Dと対比参照のこと)、電極のサイクル耐久性が向上する。また、添加物を活物質に加える行為としては、周囲に連続的に接している無添加の活物質に対して、活物質を構成する元素と添加物元素の原子半径の相違に起因した応力(ケミカルプレッシャー)を与える効果になる。この効果は活物質結晶の秩序状態あるいは無秩序状態によらないために、リチウムとの反応によって活物質の状態が変化しても成り立つ(図3参照)。従って、マクロレベルで活物質層全体がより安定化し、電極のサイクル耐久性が向上する。さらに、通常の充放電過程(適切な量のLiとの反応)において、添加物とLiが相互作用し活物質の相転移を制御することが可能となるだけはなく、異常時(超過なLiとの反応)において、添加物と超過Liが反応することで超過Liの量を減少することができる。そのため異常時安全性が向上する。また、電気化学的に活性な元素添加物により、無添加時の充放電容量の維持、あるいは充放電時の高容量化が可能となる。さらに、活物質に添加物を加えることによって活物質層の電気伝導性を制御することがきるために、急速充放電が可能となる。
また、本実施形態では、図4Aに示すように、活物質層51表面に対して水平方向(面方向)の添加物濃度は、濃度勾配を持たない構造(パターニングされていない構造:概ね均等な濃度分布構造)である。
<第1実施形態の応用例について>
次に、本発明の電極の第1実施形態の応用例を図面を用いて説明する。
図5は、本発明の電極の第1実施形態の応用例を模式的に表した断面概略図である。
図5に示すように、本応用例における電極60でも、図4で説明したと同様に、集電体63と、前記集電体63上に積層された活物質層61を有し、前記活物質層61中には添加物を含有するリチウムイオン二次電池用電極である。さらに、活物質層61内に前記添加物を高濃度に含有する高濃度添加物部分を有し、高濃度添加物部分が、活物質層61表面の垂直方向(厚さ方向)に対して連続的ないし段階的な添加物濃度勾配を有している。本応用例では、この活物質層61と集電体63の間にバッファー層62を挿入した構造を有するものである。これにより、活物質層61と集電体63の間がショットキー接合になっている場合、系の電気伝導性が改善され、電極特性が改善される。また図5に示す応用例でも、活物質層61表面に対して水平方向(面方向)の添加物濃度は、濃度勾配を持たない構造(パターニングされていない構造:概ね均等な濃度分布構造)である。なお、本応用例では、上記バッファー層62を設けた以外は、図4で説明した電極構造と同様である。よって、他の構成に関する説明は、ここでは省略する。
<第2実施形態について>
図6Aは、本発明の電極の第2実施形態を模式的に表した概略斜視図である。図6Bは、図6AのC−C線に沿った断面概略図を示すと共に、該電極の活物質層表面に対して水平方向(面方向)における活物質濃度Δρaと体積変化率ΔVの様子を併記した図面である。図6Cは、図6Bの電極の活物質層表面の垂直方向(厚さ方向)における添加物濃度Δρiの変化の様子を表した図面である。図6Dは、図6Bの電極の活物質層表面の垂直方向(厚さ方向)における活物質濃度Δρaの変化の様子を表した図面である。図6Eは、図6Bの電極の活物質層表面の垂直方向(厚さ方向)における体積変化率ΔVの変化の様子を表した図面である。
図6A、6Bに示すように、本実施形態における電極70は、集電体73と、前記集電体73上に積層された活物質層71を有し、前記活物質層71中には添加物を含有するリチウムイオン二次電池用電極である。さらに、前記活物質層71表面に対して水平方向に前記添加物を高濃度に含有する高濃度添加物部分(添加物含有領域72)を有する。 ここで、高濃度添加物部分(添加物含有領域72)は、活物質層71表面に対して水平方向(面方向)に、ある間隔・幾何学形状で分布(パターニング)されて形成されている。具体的には、例えば、図6Bに示すように、活物質層71表面に対して水平方向には、高濃度添加物部分(添加物含有領域72)と添加物を含まない活物質領域(若しくは添加物を低濃度に含有する低濃度領域)74とが、ある間隔で交互に配置されている。これにより、図6Bに併記するように、水平方向における活物質濃度Δρaが、高濃度領域72と添加物を含まない領域(低濃度領域)74とが交互に繰り返される、いわば波状(パルス状)に分布(パターニング)されて形成されているものといえる。その結果、活物質層71表面に対して水平方向(面方向)の体積変化率ΔVも、水平方向(面方向)の活物質濃度Δρaほどではないが、該活物質濃度Δρaの波形に相似した波形とすることができる。これにより、アトミックレベルでの活物質自体の安定化に加え、垂直方向におけるマクロレベルでの活物質層(水平方向)の安定化も可能であるために、電極のサイクル耐久性がより一層向上する。即ち、添加物を含まない領域(低濃度領域)74での水平方向の大きな体積変化を、その周囲に隣接して位置する、体積変化が抑制された高濃度添加物部分(添加物含有領域72)が効率よく吸収し、緩和させることができる。
併せて、上記高濃度添加物部分(添加物含有領域72)は、図6B〜6Dに示すように、活物質層71表面の垂直方向に対しては、該活物質層71最表面Aから最深部B(集電体73との接合面B)へと添加物の連続的もしくは段階的な濃度勾配がつけられている。そして図6B〜6Cに示すように、この添加物含有領域72の垂直方向(厚さ方向)の添加物濃度Δρiは活物質層71最表面Aが最も高く(大きく)、活物質層71の最深部B(集電体73との接合面B)が最も小さい。また図6Dに示すように、垂直方向の活物質濃度Δρaは活物質層71最表面Aが最も小さく、活物質層71の最深部B(集電体73との接合面B)が最も高くなる。
第1実施形態で図3、4、19、20を用いて説明したように、一般的には活物質の状態(微結晶、多結晶、単結晶、アモルファス)や形状(粒子状、膜状)に依らず、活物質とLiが反応する際、活物質(粒子や膜=活物質層)の表面から徐々に反応していく。すなわち活物質(粒子や膜=活物質層)の表面付近がLi高濃度領域となっており、体積変化(体積変化率ΔV)もまた活物質(粒子や膜=活物質層)の深部よりも大きい(図19D、図20参照)。充放電過程において、このような現象が連続的に起きるために、活物質(粒子や膜)の微粉化・活物質間の導電ネットワークの破壊並びに活物質(粒子や膜=活物質層)の集電体からの剥離等が起き、サイクル耐久性が劣化する。しかしながら、既に図3A〜3Dを用いて説明したように、添加物を加えた活物質単位胞の体積が添加物を加えていない活物質単位胞の体積よりも小さく、この関係はリチウムとの反応時においても成り立つ。即ち、Liとの反応前の添加物有り活物質、Liと反応前の添加物無し活物質、Liとの反応後の添加物有り活物質、Liとの反応後の添加物無し活物質の単位胞の大きさをそれぞれV1、V2、V3、V4とすると、これらの関係は、V2>V1、V4>V3、V3>V1、V4>V2のようになる。さらに、加える添加物の種類を変えることで、無添加な活物質も改質すること(電荷量及び電荷の種類を変えること)ができ、さらに、この添加物濃度が変化しても上記添加物導入効果が成り立つ(実施例3の図13〜図14参照)。そのため、添加物含有領域72の添加物濃度を活物質層表面で高濃度にし、活物質層表面に対して垂直方向に連続的・段階的に漸減した電極構造をとることで、アトミックレベルで活物質自身が安定化し、マクロレベルで活物質層(特に垂直方向)が安定化する(図3、6C参照)。このように活物質自身、更には活物質層全体が安定化することで、充放電過程での活物質(粒子や膜=活物質層)表面近傍の大きな体積変化を抑制することができるために(図6Eと図19Dと対比参照のこと)、電極のサイクル耐久性が向上する。
即ち、本実施形態では、添加物含有領域72が活物質層71表面に対して水平方向にある間隔・幾何学形状で分布され、この添加物含有領域72が活物質層71内の垂直方向に連続的(段階的)に漸減する濃度勾配がつけられている。このような電極構造をとることによって、アトミックレベルでの活物質自体の安定化に加え、垂直方向かつ水平方向おけるマクロレベルでの活物質層全体の安定化が可能である(全方向の体積変化を抑制できる)ために、電極の容量およびサイクル耐久性を向上することができる。
また、第1実施形態と同様に、添加物を活物質に加える行為としては、周囲に連続的に接している無添加の活物質に対して、活物質を構成する元素と添加物元素の原子半径の相違に起因した応力(ケミカルプレッシャー)を与える効果になる。この効果は活物質結晶の秩序状態あるいは無秩序状態によらないために、リチウムとの反応によって活物質の状態が変化しても成り立つ(図3参照)。従って、マクロレベルで活物質層全体がより安定化し、電極の容量およびサイクル耐久性が向上する。さらに、通常の充放電過程(適切な量のLiとの反応)において、添加物とLiが相互作用し活物質の相転移を制御することが可能となるだけはなく、異常時(超過なLiとの反応)において、添加物と超過Liが反応することで超過Liの量を減少することができる。そのため異常時安全性が向上する。また、電気化学的に活性な元素添加物により、無添加時の充放電容量の維持、あるいは充放電時の高容量化が可能となる。さらに、活物質に添加物を加えることによって活物質層の電気伝導性を制御することがきるために、急速充放電が可能となる。
<第2実施形態の応用例について>
次に、本発明の電極の第2実施形態の応用例を図面を用いて説明する。
図7は、本発明の電極の第2実施形態の応用例を模式的に表した断面概略図である。
図7に示すように、本応用例における電極80でも、図6で説明したと同様に、集電体84と、前記集電体84上に積層された活物質層81を有し、前記活物質層81中には添加物を含有するリチウムイオン二次電池用電極である。さらに、前記活物質層81表面に対して水平方向に前記添加物を高濃度に含有する高濃度添加物部分(添加物含有領域82)を有する。この添加物含有領域82は活物質層81表面に対して水平方向にある間隔・幾何学形状で分布され、具体的には、例えば、図7に示すように、活物質層81表面に対して水平方向には、高濃度添加物部分(添加物含有領域82)と添加物を含まない活物質領域(若しくは添加物を低濃度に含有する低濃度領域)85とが、ある間隔で交互に配置されている。そして、この添加物含有領域82が活物質層81内の垂直方向に連続的(段階的)に漸減する濃度勾配がつけられている。
本応用例では、この活物質層81と集電体84の間にバッファー層83を挿入した構造を有するものである。即ち、本応用例に示す電極80は、電極構造として、水平方向・垂直方向に濃度勾配(分布・パターニング)を有する添加物含有領域82が配置された活物質層81と集電体84に加え、集電体84と活物質層81との間にバッファー層83を挿入した電極構造である。これにより、活物質層81と集電体84の間がショットキー接合になっている場合、系の電気伝導性が改善され、電極特性が改善される。なお、本応用例では、上記バッファー層83を設けた以外は、図6で説明した電極構造と同様である。よって、他の構成に関する説明は、ここでは省略する。
上記したように本実施形態(上記応用例を含む;図6、7参照)では、活物質層中の高濃度添加物部分(添加物含有領域)を、活物質層に対して水平方向にパターニングすることにより、該高濃度添加物部分の垂直方向の添加物濃度勾配とあわせて体積緩和構造が効率的となる。そのため、これを電極として用いた場合、サイクル耐久性を向上することができる。
本実施形態(上記応用例を含む)での活物質層中の高濃度添加物部分(添加物含有領域)の形状としては、特に制限されるものではない。具体的には、その平面形状が、図8A〜8Hに示すように、円形91、楕円形状等の円形状;三角形92、四角形93、五角形94、六角形95、八角形96等の多角形状;線分97、十字形98;あるいはこれらを組み合わせた幾何学形状などが望ましい。但し、これらの形状に何ら制限されるものではなく、特定の形状を持たない不定形状であってもよい。
また、これら高濃度添加物部分(添加物含有領域)の平面形状の直径(最大長;図中のd)としては、100nm以上10μm以下が望ましい。
活物質層中の垂直方向(厚み方向)の高濃度添加物部分(添加物含有領域)の形状(断面形状)は、図6Bの矩形状(=活物質層最表面から最深部まで、金太郎飴のようにどの水平断面も同じ平面形状)のほか、台形状、逆台形状、樽状などであってもよい。
<第1+第2実施形態>
また、本発明の電極では、図21A〜21Dに示すように、第1実施形態と第2実施形態(共に応用例を含む)の活物質層を垂直向および/または水平方向に適当に組み合わせた(並設した/積層した)実施形態も含まれる。図21A〜21D中の符号61、62、63、71、72、74は、図5、6で説明した集電体、活物質層、バッファー層、高濃度添加物部分(添加物含有領域)、添加物を含まない領域(低濃度領域)と同様の構成である。符号101は、活物質層61、71を適当に組み合わせた活物質層全体を示す。
(II)本発明の主要部以外の電池構成について
以上が、本発明のリチウムイオン二次電池の特徴的な構成要件である電極(負極)に関する説明であり、他の構成要件に関しては特に制限されるものではない。よって、以下では、本発明のリチウムイオン二次電池の特徴的な構成要件である電極(負極)以外の他の構成要件について説明する。ただし、本発明はこれらに制限されるものではない。
[正極集電体]
正極集電体は、特に制限されるものではない。具体的には、集電体として、鉄、クロム、ニッケル、マンガン、チタン、モリブデン、バナジウム、ニオブ、アルミニウム、銅、銀、金、白金およびカーボンよりなる群から選ばれてなる少なくとも1種類の集電体材料で構成された集電体を用いることができる。また、ニッケルとアルミニウムのクラッド材、銅とアルミニウムのクラッド材、あるいはこれらの集電体材料の組み合わせのめっき材なども好ましく使える。また、上記集電体材料である金属(アルミニウムを除く)表面に、他の集電体材料であるアルミニウムを被覆させた集電体であってもよい。また、場合によっては、2つ以上の上記集電体材料である金属箔を張り合わせた集電体を用いてもよい。上記正極集電体の形態は、特に制限されるものではなく、膜(箔)状ないし板状、エキスパンドメタルなどのような網状ないし格子状の形態などであってもよい。上記正極集電体の厚さは、特に限定されないが、通常は1〜100μm程度、薄膜化の観点から好ましくは1〜30μmである。ただし、この範囲を外れる厚さの集電体を用いてもよい。集電体の大きさは、電池の使用用途に応じて決定される。
[正極活物質層]
正極活物質層の構成は、非双極型及び双極型リチウムイオン二次電池のいずれに関しても、特に限定されず、公知の正極が適用可能である。正極活物質層には、正極活物質が含まれる。
正極活物質の物質・組成としては、特に制限されるものではなく、電池の種類に応じて適宜選択すればよい。具体的には、正極活物質としては、LiCoOなどのLi・Co系複合酸化物、LiNiOなどのLi・Ni系複合酸化物、スピネルLiMnなどのLi・Mn系複合酸化物、LiFeOなどのLi・Fe系複合酸化物などが挙げられる。この他、LiFePOなどの遷移金属とリチウムのリン酸化合物や硫酸化合物;V、MnO、TiS、MoS、MoOなどの遷移金属酸化物や硫化物;PbO、AgO、NiOOHなどが挙げられる。場合によっては、2種以上の正極活物質が併用されてもよい。容量、出力特性に優れた電池を構成できることから、正極活物質として遷移金属とリチウムとの複合酸化物(リチウム−遷移金属複合酸化物)を用いるのが望ましい。
正極活物質の粒径は、双極型二次電池の電極抵抗を低減するために、双極型でない溶液(電解液)系のリチウムイオン二次電池で用いられる一般に用いられる粒径よりも小さいものを使用するとよい。具体的には、正極活物質微粒子の平均粒径が0.1〜10μm、好ましくは0.1〜5μmであるとよい。なお、2種以上の活物質を用いる際に活物質それぞれに固有の効果を発現する上で最適な粒径が異なる場合には、それぞれの固有の効果を発現する上で最適な粒径同士をブレンドして用いればよく、全ての活物質の粒径を必ずしも均一化させる必要はない。
正極活物質層の厚さは、電池の使用目的(出力重視、エネルギー重視など)、イオン伝導性を考慮して適宜決定すればよく、通常1〜500μm程度である。特に、対極Si薄膜電極(対極Si薄膜の厚さ1μm)の場合、正極活物質層の厚さは100μm程度が必要である。
正極活物質層は、通常のスラリーを塗布(コーティング)する方法のほか、混練法、スパッタ、蒸着、CVD、PVD、イオンプレーティングおよび溶射のいずれかの方法によっても形成することもできる。
正極活物質層は、電子伝導性を高めるための導電材(導電助剤とも称する)、バインダ(結着材とも称する)、電解質(ポリマーマトリックス、イオン伝導性高分子、電解液など)、イオン伝導性を高めるための電解質支持塩(リチウム塩)などが含まれ得る。
上記導電材としては、アセチレンブラック、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維などが挙げられる。導電助剤を含ませることによって、電極で発生した電子の伝導性を高めて、電池性能を向上させることができる。
上記バインダとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、スチレンブタジエンゴム、ポリイミドなどが挙げられる。ただし、これらに限られるわけではない。
また、上記導電材とバインダの機能を併せ持つ導電性結着剤をこれら導電材とバインダに代えて用いてもよいし、あるいはこれら導電材とバインダの一方ないし双方と併用してもよい。導電性結着剤としては、既に市販のTAB−2(宝泉株式会社製)などを用いることができる。
電解質としては、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、それらの共重合体などのリチウム塩を含むイオン伝導性高分子(固体高分子電解質)などが挙げられる。
使用されるリチウム塩は、電池の種類に応じて選択すればよい。電解質支持塩(リチウム塩)としては、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiTaF、LiAlCl、Li10Cl10等の無機酸陰イオン塩、LiCFSO、Li(CFSON、Li(CSON等の有機酸陰イオン塩、またはこれらの混合物などが使用できる。ただし、これらに限られるわけではない。
正極活物質、導電材、バインダ、電解質(ポリマーマトリックス、イオン伝導性高分子、電解液など)、電解質支持塩(リチウム塩)等の電極の構成材料の配合量は、電池の使用目的(出力重視、エネルギー重視など)、イオン伝導性を考慮して決定することが好ましい。
[電解質層]
電解質層は、非双極型及び双極型二次電池のいずれも、液体、ゲル、固体のいずれの相であってもよい。電池が破損した際の安全性や液絡の防止を考慮すると、電解質層は、ゲルポリマー電解質層、全固体電解質層のような固体電解質を用いることが好ましい。固体電解質(高分子ゲル電解質、固体高分子型電解質、無機固体型電解質すべてを含む)を用いることにより漏液を防止することが可能となり、液絡を防ぎ信頼性の高いリチウムイオン電池を構成できるからである。
電解質層としてゲルポリマー電解質層(高分子ゲル電解質)を用いることで、電解質の流動性がなくなり、集電体への電解質の流出をおさえ、各層間のイオン伝導性を遮断することが可能になる。ゲル電解質のホストポリマーとしては、PEO、PPO、PVdF、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(PVdF−HFP)、PAN、PMA、PMMAなどが挙げられる。また、可塑剤としては通常リチウムイオン電池に用いられる電解液を用いることが可能である。
上記ゲルポリマー電解質(高分子ゲル電解質)は、PEO、PPOなどの全固体型高分子電解質に、通常リチウムイオン電池で用いられる電解液を含ませることにより作製される。PVdF、PAN、PMMAなど、リチウムイオン伝導性をもたない高分子の骨格中に、電解液を保持させたものもゲルポリマー電解質(高分子ゲル電解質)にあたる。ゲルポリマー電解質(高分子ゲル電解質)を構成するポリマーと電解液との比率は、特に限定されず、ポリマー100%を全固体高分子電解質、電解液100%を液体電解質とすると、その中間体はすべてゲルポリマー電解質(高分子ゲル電解質)の概念に含まれる。また、セラミックなどの無機固体などイオン伝導性を持つ無機固体型電解質も全固体型電解質にあたる。よって、上記高分子ゲル電解質、固体高分子型電解質、無機固体型電解質すべてを含めて固体電解質とする。
電解質層としては、従来公知の材料を用いることができる。具体的には、(a)高分子ゲル電解質(ゲルポリマー電解質)、(b)全固体高分子電解質(高分子固体電解質、無機固体型電解質)、(c)液体電解質(電解液)または(d)これら電解質を含浸させたセパレータ(不織布セパレータを含む)を用いることができる。
(a)ゲルポリマー電解質(高分子ゲル電解質)
ゲルポリマー電解質(高分子ゲル電解質)とは、ポリマーマトリックス中に電解液を保持させたものをいう。電解質としてゲルポリマー電解質を用いることで電解質の流動性がなくなり、導電性高分子膜などの集電体層への電解質の流出をおさえ、各層間のイオン伝導性を遮断することが容易になる点で優れている。
高分子ゲル電解質として用いるポリマーマトリックス(高分子)ないしゲル電解質のホストポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシドを主鎖または側鎖に持つポリマー(PEO)、ポリプロピレンオキシドを主鎖または側鎖に持つポリマー(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリル酸エステル、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体(PVdF−HFP)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)およびそれらの共重合体が望ましく、中でもPEO、PPOおよびそれらの共重合体、あるいは、PVdF−HFPを用いることが望ましい。また、可塑剤としては通常リチウムイオン電池に用いられる電解液を用いることが可能である。かかる電解液とは、電解質塩を溶媒に溶かしたものであり、電解質としては、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiTaF、LiAlCl、Li10Cl10等の無機酸陰イオン塩、LiCFSO、Li(CFSON、Li(CSON等の有機酸陰イオン塩の中から選ばれる、少なくとも1種が、溶媒としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、γ−ブチロラクトン(GBL)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)およびそれらの混合物が望ましい。
本発明におけるゲル電解質中の電解液の割合としては、特に制限されるべきものではないが、イオン伝導度などの観点から、数質量%〜98質量%程度とするのが望ましい。本発明では、電解液の割合が70質量%以上の、電解液が多いゲル電解質について、特に効果がある。
(b)全固体型電解質(全固体高分子電解質、高分子固体電解質、無機固体型電解質)
電解質として全固体型電解質を用いることで電解質の流動性がなくなり、集電体層への電解質の流出がなくなり各層間のイオン伝導性を遮断することが可能になる点で優れている。
全固体高分子電解質としては、例えば、PEO、PPO、これらの共重合体などの公知の固体高分子電解質、セラミックなどのイオン伝導性を持つ無機固体型電解質が挙げられる。固体高分子電解質中には、イオン伝導性を確保するためにリチウム塩が含まれる。リチウム塩としては、LiBF、LiPF、LiN(SOCF、LiN(SO、またはこれらの混合物などが使用できる。
(c)液体電解質(電解液)
電解液とは、電解質塩を溶媒に溶かしたものが挙げられる。ここで、電解質としては、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiTaF、LiAlCl、Li10Cl10等の無機酸陰イオン塩、LiCFSO、Li(CFSON、Li(CSON等の有機酸陰イオン塩の中から選ばれる、少なくとも1種が、溶媒としては、EC、PC、GBL、DMC、DECおよびそれらの混合物が望ましい。
(d)上記電解質を含浸させたセパレータ(不織布セパレータを含む)
セパレータに含浸させることのできる電解質としては、既に説明した(a)〜(c)と同様のものを用いることができる。
上記セパレータとしては、例えば、上記電解質を吸収保持するポリマーからなる多孔性シートおよび不織布を挙げることができる。
多孔性シートとしては、例えば、微多孔質セパレータを用いることができる。該ポリマーとしては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン;PP/PE/PPの3層構造をした積層体、ポリイミド、アラミドが挙げられる。上記セパレータの厚みとして、使用用途により異なることから一義的に規定することはできない。ただし、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)、燃料電池自動車(FCV)などのモータ駆動用二次電池などの用途においては、単層あるいは多層で4〜60μmであることが望ましい。上記セパレータの微細孔径は、最大で1μm以下(通常、数十nm程度の孔径である)、その空孔率は20〜80%であることが望ましい。
不織布としては、綿、レーヨン、アセテート、ナイロン、ポリエステル;PP、PEなどのポリオレフィン;ポリイミド、アラミドなど従来公知のものを、単独または混合して用いる。また、不織布のかさ密度は、含浸させた高分子ゲル電解質により十分な電池特性が得られるものであればよく、特に制限されるべきものではない。不織布セパレータの空孔率は50〜90%であることが好ましい。さらに、不織布セパレータの厚さは、電解質層と同じであればよく、好ましくは5〜200μmであり、特に好ましくは10〜100μmである。厚さが5μm未満では電解質の保持性が悪化し、200μmを超える場合には抵抗が増大することになる。
[シール部(シーラントないし周辺絶縁層とも称されている)]
シール部は、双極型二次電池に関して、電池内で隣り合う集電体同士が接触したり、積層電極の端部の僅かな不ぞろいなどによる短絡が起こったりするのを防止するために単電池層の周辺部に配置されている。双極型二次電池では、電解質層の漏れによる液絡を防止するために有効に活用されている。該シール部としては、例えば、PE、PPなどのポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ゴム、ポリイミドなどが使用でき、耐蝕性、耐薬品性、製膜性、経済性などの観点からは、ポリオレフィン樹脂が好ましい。ただし、これらに何ら制限されるものではない。
[正極および負極タブ]
本発明の非双極型および双極型リチウムイオン電池においては、電池外部に電流を取り出す目的で、各集電体に、あるいは最外層集電体に、電気的に接続されたタブ(正極タブおよび負極タブ)が電池外装材の外部に取り出されている。具体的には、図1に示すように各正極集電体に電気的に接続された正極タブと各負極集電体に電気的に接続された正極タブとが、電池外装材であるラミネートシートの外部に取り出される。あるいは図2に示すように正極用最外層集電体に電気的に接続された正極タブと、負極用最外層集電体に電気的に接続された負極タブとが、電池外装材であるラミネートシートの外部に取り出される。
タブ(正極タブおよび負極タブ)を構成する材料は、特に制限されず、リチウムイオン二次電池用のタブとして従来用いられている公知の高導電性材料が用いられうる。タブの構成材料としては、例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)、これらの合金等の金属材料が好ましく、より好ましくは軽量、耐食性、高導電性の観点からアルミニウム、銅などが好ましい、特に好ましくはアルミニウムである。なお、正極タブと負極タブとでは、同一の材質が用いられてもよいし、異なる材質が用いられてもよい。また、各集電体あるいは最外層集電体を延長することにより正極および負極タブとしてもよいし、別途準備した正極および負極タブを各集電体あるいは最外層集電体に接続してもよい。
[正極および負極リード]
正極および負極リードに関しても、必要に応じて使用する。例えば、各集電体あるいは最外部の集電体から出力電極端子となる正極タブ及び負極タブを直接取り出す場合には、正極および負極リードは用いなくてもよい。
正極および負極リードの材料は、公知のリチウムイオン電池で用いられるリードを用いることができる。なお、電池外装材から取り出された部分は、周辺機器や配線などに接触して漏電したりして製品(例えば、自動車部品、特に電子機器等)に影響を与えないように、耐熱絶縁性の熱収縮チューブなどにより被覆するのが好ましい。
[電池外装材]
電池外装材としては、従来公知の金属缶ケースを用いることができほか、アルミニウムを含むラミネートフィルムを用いた発電要素(電池要素)を覆うことができる袋状のケースを用いることができる。該ラミネートフィルムには、例えば、PP、アルミニウム、ナイロンをこの順に積層してなる3層構造のラミネートフィルム等を用いることができるが、これらに何ら制限されるものではない。
[リチウムイオン二次電池の外観構成]
図23は、本発明に係るリチウムイオン電池の代表的な実施形態である積層型の扁平な非双極型あるいは双極型のリチウムイオン二次電池の外観を表した斜視図である。
図23に示すように、積層型の扁平なリチウムイオン二次電池150では、長方形状の扁平な形状を有しており、その両側部からは電力を取り出すための正極タブ158、負極タブ159が引き出されている。発電要素(電池要素)157は、リチウムイオン二次電池150の電池外装材152によって包まれ、その周囲は熱融着されており、発電要素(電池要素)157は、正極タブ158及び負極タブ159を外部に引き出した状態で密封されている。ここで、発電要素(電池要素)157は、先に説明した図1あるいは図2に示す非双極型あるいは双極型二次電池10、30の発電要素(電池要素)17、37に相当するものである。具体的には、正極活物質層12、32、電解質層13、35および負極活物質層15、33で構成される単電池層(単セル)16、36が複数積層されたものである。
なお、本発明のリチウムイオン二次電池は、図1、2に示すような積層型の扁平な形状のものに制限されるものではない。例えば、巻回型のリチウムイオン電池では、円筒型形状のものであってもよいし、こうした円筒型形状のものを変形させて、長方形状の扁平な形状にしたようなものであってもよいなど、特に制限されるものではない。上記円筒型の形状のものでは、その外装材に、ラミネートフィルムを用いてもよいし、従来の円筒缶(金属缶)を用いてもよいなど、特に制限されるものではない。
また、図23に示すタブ158、159の取り出しに関しても、特に制限されるものではない。例えば、正極タブ158と負極タブ159とを同じ辺から引き出すようにしてもよいし、正極タブ158と負極タブ159をそれぞれ複数に分けて、各辺から取り出しようにしてもよいなど、図23に示すものに制限されるものではない。また、巻回型のリチウムイオン電池では、タブに変えて、例えば、円筒缶(金属缶)を利用して端子を形成すればよい。
本発明のリチウムイオン二次電池は、電気自動車やハイブリッド電気自動車や燃料電池車やハイブリッド燃料電池自動車などの大容量電源として、高体積エネルギー密度、高体積出力密度が求められる車両駆動用電源や補助電源に好適に利用することができる。
[組電池]
本発明の組電池は、本発明のリチウムイオン二次電池を複数個接続して構成した物である。詳しくは少なくとも2つ以上用いて、直列化あるいは並列化あるいはその両方で構成されるものである。本発明の高容量でサイクル特性に優れる薄膜電極を採用した電池を直列、並列化することで、容量および電圧を自由に調節することが可能になる。なお、本発明の組電池では、本発明の非双極型二次電池と双極型二次電池を用いて、これらを直列に、並列に、または直列と並列とに、複数個組み合わせて、組電池を構成することもできる。
また、図24は、本発明に係る組電池の代表的な実施形態の外観図であって、図24Aは組電池の平面図であり、図24Bは組電池の正面図であり、図24Cは組電池の側面図である。
図24に示すように本発明に係る組電池300は、本発明のLiイオン二次電池が複数、直列に又は並列に接続して装脱着可能な小型の組電池250を形成し、この装脱着可能な小型の組電池250をさらに複数、直列に又は並列に接続して形成することもできる。これにより、高体積エネルギー密度、高体積出力密度が求められる車両駆動用電源や補助電源に適した大容量、大出力を持つ組電池300を形成することができる。図24に示す組電池300では、作成した装脱着可能な小型の組電池250は、バスバーのような電気的な接続手段を用いて相互に接続し、この組電池250は接続治具310を用いて複数段積層される。何個の非双極型ないし双極型二次電池を接続して組電池250を作成するか、また、何段の組電池250を積層して組電池300を作製するかは、搭載される車両(電気自動車)の電池容量や出力に応じて決めればよい。
[車両]
本発明の車両は、本発明のリチウムイオン電池またはこれらを複数個組み合わせてなる組電池を搭載したことを特徴とするものである。本発明の高容量でサイクル特性に優れる薄膜電極を用いると高エネルギー密度の電池を構成できることから、こうした電池を搭載するとEV走行距離の長いプラグインハイブリッド電気自動車や、一充電走行距離の長い電気自動車を構成できる。言い換えれば、本発明のリチウムイオン電池またはこれらを複数個組み合わせてなる組電池は、車両の駆動用電源として用いられうる。本発明のリチウムイオン電池またはこれらを複数個組み合わせてなる組電池を車両に用いることにより高寿命で信頼性の高い自動車となるからである。かかる車両としては、例えば、自動車ならばハイブリット車、プラグインハイブリッド車、燃料電池車、電気自動車(いずれも乗用車、トラック、バスなどの商用車、軽自動車などの四輪車ほか、バイクなどの二輪車や三輪車を含む)等が挙げられる。ただし、用途が自動車に限定されるわけではなく、例えば、他の車両、例えば、電車などの移動体の各種電源であっても適用は可能であるし、無停電電源装置などの載置用電源として利用することも可能である。
図25は、本発明の組電池を搭載した車両の概念図である。図25に示したように、組電池300を電気自動車400のような車両に搭載するには、電気自動車400の車体中央部の座席下に搭載する。座席下に搭載すれば、車内空間およびトランクルームを広く取ることができるからである。なお、組電池300を搭載する場所は、座席下に限らず、後部トランクルームの下部でもよいし、車両前方のエンジンルームでも良い。以上のような組電池300を用いた電気自動車400は高い耐久性を有し、長期間使用しても十分な出力を提供しうる。さらに、燃費、走行性能に優れた電気自動車、ハイブリッド自動車を提供できる。本発明の組電池を搭載した車両としては、図25に示すような電気自動車のほか、ハイブリッド自動車、燃料電池自動車などに幅広く適用できるものである。
[リチウムイオン二次電池の製造方法]
次に、本発明のリチウムイオン二次電池の製造方法としては、上記にて説明した本発明の電極(負極)の作製方法を適当な工程にて行うこと以外は、特に制限されるものではなく、従来公知の方法を適用して作製することができる。
よって、以下では、上記にて説明した本発明の電極(負極)の作製方法以外の本発明のリチウムイオン二次電池の製造方法につき説明する。ただし、本発明の製造方法は、これらに何ら制限されるものでない。
電解質が電解液の電池の作製は、まず、上記作製方法により本発明の電極(負極)を形成する。一方、一般的なスラリーを塗布形成して作製した正極は、負極より少し小さくなるように切り出し、90℃の真空乾燥機にて1日乾燥して用いる。こうして作製した正極と負極の間に、厚さ25μmのポリプロピレンの多孔質膜を介して最外側が負極になるようにして正極と負極を交互に積層して、各正極と負極を束ねてリードを溶接して、この積層体を形成する。この積層体に正負極のリードを取り出した構造にて、アルミニウムのラミネートフィルムバックに収めて、注液機により電解液を注液して、減圧下シールをして非双極型二次電池(図1参照)とすればよい。
電解質が電解液の電池の他、電解質がゲルの電池、全固体ポリマーの電池、及びここで挙げた電解質を用いた双極型電池の作製は、公知になった我々の技術により実施できるのでここでは省略する。
本発明を、以下の実施例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
実施例1
シリコン活物質中への添加元素である各種軽元素の添加前後における体積変化や、リチウムの有無による体積変化が添加元素によってどのように変化するかを検討するために、第一原理電子状態計算法に基づいたモデル計算を行った。第一原理電子状態計算は、密度汎関数法に基づくノルム保存型擬ポテンシャルバンド計算法で行なった(交換相関汎関数=GGA−PBE、カットオフエネルギー値=400eV、k点メッシュ=4×4×4、使用プログラム=CASTEP)。また計算モデルにおけるシリコン活物質としては、ダイヤモンド結晶構造を想定し、添加された原子はシリコンを置換する形で存在するものとした。モデル計算は、添加原子やリチウム原子の有無に関わらず、全てP43Mの空間群の下で、セル内原子配置構造およびセルサイズ最適化を行なった(単位セル内組成:SiX、SiXLi(X=Si、B、C、N、O、Al、P、Ge))。
上記計算により得られた結果を図9、10に示す。ここで、図の横軸は添加元素、左縦軸はモデル結晶の格子定数、右縦軸はリチウムの有無によってもたらされる格子定数(図9)および体積の変化(図10)を示す。
これらの図によると、添加元素として、特にB、C、N、O、Pが添加された場合では、リチウムの有無に関わらず、添加物のない純粋なシリコンの場合と比較して構造が圧縮された状態にある。
実施例2
上記の計算によって得られた構造パラメーターをもとに、本発明で用いる活物質の粉末X線回折ピークを計算した。計算条件は、計算ソフトウェア:Rietan2000、(空間群:P−43m(No.215)、添加物種(X):X=B、C、N、O、Al、P、Ge、添加物濃度:Si:X=7:1、リチウム濃度:(Si,X):Li=8:1とした。
上記活物質の粉末X線回折ピークの計算により得られた結果を図11、12に示す。ここで、図の横軸は2θ、縦軸は強度であり、図11は、リチウム合金化前におけるシリコン結晶(ダイヤモンド構造(空間群:P−43m)のX線回折パターンのシミュレーションを示す。図12は、リチウム合金化後におけるシリコン結晶(ダイヤモンド構造(空間群:P−43m))のX線回折パターンのシミュレーションを示す。
上記計算から得られた結果と同様、添加物を活物質に加えると粉末X線回折ピークが高角側にシフトする。これはブラッグの反射式[d=nλsinθ]から、格子間隔が縮小することを意味している。すなわち、添加物を加えることによって、活物質の格子定数が減少する。さらに、リチウムと反応し格子定数が増加した場合も、添加物を加えてない活物質の格子定数よりも加えた活物質のそれの方がより小さい。
実施例3
上記実施例1に示したモデル計算において、リチウム(Li)と活物質(SiX)との間の相互作用や、各原子上のマリケン電荷とそれらのリチウムの有無による変化を計算した。
この計算により得られた結果を図13、14に示す。ここで、図の横軸は添加元素、縦軸はリチウム合金化後におけるLi−(Si,X)間の相互作用エネルギーの変化(図13A)およびリチウム合金化後におけるシリコン結晶中のマリケン電荷の変化(図14)と共にSiXLiモデル結晶(空間群:P43M)の構造図(図13B、図14)を示す。ここで、Li−SiX間相互作用は、LiとSiXそれぞれの全エネルギーの和からSiXLiの全エネルギーを引いて求めた。相互作用エネルギー値が正である場合は、その相互作用が引力的である(LiとSiXが反応することで系がより安定化する)ことを意味する。
図11に示すように、添加元素が、B、C、N、O、Alの場合では、リチウムと活物質との間の相互作用は純粋なシリコンの場合よりもより大きくなり、またPやGeの場合では逆に相互作用がより小さくなる。マリケン電荷に関しては、図12に示すように、シリコンに添加元素が入ることによりシリコンサイト間における局所的な分極が引き起こされ、その分極の程度が添加元素によって異なっている。また、図12にはリチウムの有無によるマリケン電荷の変化も示されているが、その特徴としては、リチウムによる系内の電荷変化は、添加元素よりもシリコン上で大きいことが挙げられる。以上、これらのことは、添加元素によってシリコンの化学的な活性が変化し、そのシリコンの化学的活性の程度は添加元素の種類によって変化させることが可能であることを示唆している。
実施例4(実験)
Ni集電体(厚さ25μm、表面粗度Ra=5nm)上に、シリコンのRFスパッタ膜(厚さ100nm)を形成する。このシリコン膜に低エネルギーイオンビームスパッタによるイオン注入を行うに際し、気体の流量を連続的に変化することで、添加物(窒素または酸素、ホウ素、リン等)を活物質層(シリコン膜)の最表面から最深部に向けて濃度勾配を有するようにドープする。この添加物ドープにより、シリコン抵抗率が活物質層(シリコン膜)の最表面から最深部に向けて10−4〜10Ωcm程度に変化するように添加物(ドーパント)濃度勾配をもたせる。これにより、図4に示すような、活物質層表面に対して垂直方向のみの添加物濃度勾配を有する電極構造を形成することができる。
実施例5(実験)
実施例4の電極構造に加え、活物質層と集電体の間に、ハフニウムのRFスパッタ膜(=バッファー層;厚さ5nm)を形成する。これにより、図5に示すような活物質層と集電体の間にバッファー層を挿入したような電極構造を形成することができる。
実施例6(実験)
Ni集電体(厚さ25μm、表面粗度Ra=5nm)上に、シリコンのRFスパッタ膜(厚さ100nm)を形成する。このSi膜にパターニング用メタルマスクを用いて、低エネルギーイオンビームスパッタによるイオン注入を行うに際し、気体の流量を連続的に変化することで、添加物(N、O、B、P等)をSi膜の最表面から最深部に向けて濃度勾配を有するようにドープする。パターニング用メタルマスクには、添加物含有領域に併せて、直径3μmを円形状の穴が、縦、横に等間隔に3μmづつの間隔をあけて合計900個形成されたものを用いた。この添加物ドープにより、シリコン抵抗率が活物質層(シリコン膜)の最表面から最深部に向けて10−4〜10Ωcm程度に変化するように添加物(ドーパント)濃度勾配をもたせる。これにより、図6に示すような、活物質層表面に対して垂直方向に添加物濃度勾配がつけられた添加物含有領域が、水平方向にある任意形状にパターニングされてなる電極構造を形成することができる。
実施例7(実験)
実施例6の電極構造に加え、活物質層と集電体の間に、ハフニウムのRFスパッタ膜(=バッファー層;厚さ5nm)を形成する。これにより、図7に示すような活物質層と集電体の間にバッファー層を挿入したような電極構造を形成することができる。
実施例8(実験)
パターニング用メタルマスクの穴(開孔)形状を、変えてパターニングすることで、図8に示すように、活物質表面に対して垂直方向から観察した添加物含有領域のパターン形状を変えることができる。
実施例9(実験)
リンドープしたn型シリコンスパッタ薄膜(厚さ約100nm)と、ホウ素ドープしたp型シリコンスパッタ薄膜(厚さ約100nm)のそれぞれにつき充放電試験を100サイクル行った。
<試験用コインセルの作製>
n型(リン(P)ドープ)及びp型(ホウ素(B)ドープ)シリコン薄膜電極を負極とした。詳しくは、Ni集電体(厚さ25μm、表面粗度Ra=5nm)上に、シリコンのRFスパッタ膜(厚さ100nm)を形成した。このシリコン膜に低エネルギーイオンビームスパッタによるイオン注入を行うに際し、気体の流量を連続的に変化することで、添加物(ホウ素、リン等)をシリコン膜の最表面から最深部に向けて濃度勾配を有するようにドープした。このホウ素及びリンドープにより、シリコン抵抗率がシリコン膜の最表面から最深部に向けて、10−4〜10Ωcm程度に変化するように調節したもの(濃度勾配をもたせたもの)を負極とした。電解液には、1M LiPF EC:DEC(3:7、体積比)(ここで、ECはエチレンカーボネート、DECはジエチルカーボネートである)を用いた。また、セパレータには25μm厚のポリプロピレンの微孔膜を使用した。電池の充放電試験にはコインセルを用い、対極(正極)にリチウム金属を用いて実施した。即ち、負極と正極を微孔膜セパレータを介して対向させ、真空乾燥機にて1日真空乾燥し、電解液を注入し、上蓋をして試験用コインセルとした。
<充放電サイクル耐久試験>
上記で作製された試験用のコインセルを以下の充放電サイクル耐久試験に供した。
まず、試験用のコインセルの充放電は、温度50℃の恒温槽中にて行い、6.2mAの定電流にて、充電3.6Vカットオフ、放電2.0Vカットオフにて100サイクル実施して、それぞれのセルの容量及び容量変化率(放電容量/充電容量×100)(%)を得た。
得られた結果から、充放電試験結果とサイクル特性の結果をそれぞれ図15〜18に示す。図15〜18の結果より、加える添加物種に依存して、電極特性が変わることが確認できた。
実施例10(実験)
添加物のホウ素(B)、リン(P)をそれぞれ相対的に高濃度ないし低濃度にドープしたp型とn型シリコンスパッタ薄膜(いずれも厚さ約1μm)の4種類のサンプルそれぞれにつき充放電試験を20サイクル行った。
<試験用コインセルの作製>
添加物のホウ素(B)、リン(P)を相対的に高濃度ないし低濃度にドープしたp型とn型シリコン薄膜電極をいずれも負極とした。詳しくは、Ni集電体(厚さ25μm、表面粗度Ra=5nm)上に、シリコン(Si)のRFスパッタ膜(厚さ1μnm)を形成した。このシリコン膜に低エネルギーイオンビームスパッタによるイオン注入を行うに際し、気体の流量を連続的に変化することで、添加物(B、P)をシリコン薄膜電極の最表面から最深部に向けて濃度勾配を有するように高濃度及び低濃度ドープした。
詳しくは、添加物(B、P)を相対的に高濃度にドープしたシリコン薄膜電極サンプル「High doped」は、添加物を1×1015atm/cmでドープし、添加物(B、P)の濃度勾配が、シリコン薄膜電極最表面から最深部に向けて連続的・一様に濃度減少するように調節したものを負極とした。図26中、ホウ素(B)を高濃度にドープしたp型シリコン薄膜電極サンプルを「P−Si(High doped)」と表記し、リン(P)を高濃度にドープしたn型シリコン薄膜電極サンプルを「N−Si(High doped)」と表記した。
同様に、添加物(B、P)を相対的に低濃度にドープしたシリコン薄膜電極サンプル「Low doped」は、添加物を1×1012atm/cmでドープし、添加物(B、P)の濃度勾配が、シリコン薄膜電極最表面から最深部に向けて連続的・一様に濃度減少するように調節したものを負極とした。図26ではホウ素(B)を低濃度にドープしたp型シリコン薄膜電極サンプルを「P−Si(Low doped)」と表記し、リン(P)を低濃度にドープしたn型シリコン薄膜電極サンプルを「N−Si(Low doped)」と表記した。
電解液には、1M LiPF EC:DEC(体積比で1:1)(ここで、ECはエチレンカーボネート、DECはジエチルカーボネートである)を用いた。また、セパレータには25μm厚のポリプロピレンの微孔膜を使用した。電池の充放電試験にはコインセルを用い、対極(正極)にリチウム(Li)金属を用いて実施した。即ち、負極と正極を微孔膜セパレータを介して対向させ、真空乾燥機にて1日真空乾燥し、電解液を注入し、上蓋をして試験用コインセルとした。
<充放電サイクル耐久試験>
上記で作製された試験用のコインセルを以下の充放電サイクル耐久試験に供した。
まず、試験用のコインセルの充放電試験は、CCCV(0.1mA、0.01V、1h)放電、CC(0.1mA、0.01V、1h)充電条件にて、充電3.6Vカットオフ、放電2.0Vカットオフにて20サイクル実施して、それぞれのセルの容量(放電容量;mAhg−1)を得た。
得られた結果から、充放電試験によるサイクル性能(電池容量=放電容量)結果を図26に示す。図26の結果より、高濃度添加物含有サンプル(「High doped」のもの)は低濃度添加物含有サンプル(「Low doped」のもの)よりも、初期容量が大きい。また、同容量で比較した場合、サイクル耐久性が5倍程度向上していることが確認できた。
本発明のリチウムイオン電池の代表的な一実施形態である積層型の扁平な非双極型リチウムイオン二次電池の概要を模式的に表した断面概略図である。 本発明のリチウムイオン電池の代表的な他の一実施形態である積層型の扁平な双極型リチウムイオン二次電池の概要を模式的に表した断面概略図である。 図3Aは、添加物なしの活物質のLi脱着時(Liとの反応前=合金化前)の結晶構造(活物質単位胞の体積)を模式的に表したイメージ図である。図3Bは、添加物ありの活物質のLi脱着時(Liとの反応前=合金化前)の結晶構造(活物質単位胞の体積)を模式的に表したイメージ図である。図3Cは、添加物なしの活物質のLi挿入時(Liとの反応時=合金化後)の結晶構造(活物質単位胞の体積)を模式的に表したイメージ図である。図3Dは、添加物ありの活物質のLi挿入時(Liとの反応時=合金化後)の結晶構造(活物質単位胞の体積)を模式的に表したイメージ図である。 本発明の電極の第1実施形態を模式的に表した断面概略図と共に、該電極の活物質層表面に対して水平方向(面方向)における活物質濃度Δρaと体積変化率ΔVの様子を併記した図面である。 図4Aの電極の活物質層表面の垂直方向(厚さ方向)における添加物濃度Δρiの変化の様子を表した図面である。 図4Aの電極の活物質層表面の垂直方向(厚さ方向)における活物質濃度Δρaの変化の様子を表した図面である。 図4Aの電極の活物質層表面の垂直方向(厚さ方向)における体積変化率ΔVの変化の様子を表した図面である。 本発明の電極の第1実施形態の応用例を模式的に表した断面概略図である。 本発明の電極の第2実施形態を模式的に表した概略斜視図である。 図6AのC−C線に沿った断面概略図を示すと共に、該電極の活物質層表面に対して水平方向(面方向)における活物質濃度Δρaと体積変化率ΔVの様子を併記した図面である。 図6Bの電極の活物質層表面の垂直方向(厚さ方向)における添加物濃度Δρiの変化の様子を表した図面である。 図6Bの電極の活物質層表面の垂直方向(厚さ方向)における活物質濃度Δρaの変化の様子を表した図面である。 図6Bの電極の活物質層表面の垂直方向(厚さ方向)における体積変化率ΔVの変化の様子を表した図面である。 本発明の電極の第2実施形態の応用例を模式的に表した断面概略図である。 本発明の第2実施形態における活物質層中の高濃度添加物部分(添加物含有領域)の平面形状の例(A〜H)を模式的に表した平面概略図である。 実施例1のシミュレーションにより得られた、リチウム合金化前後における活物質の格子定数の添加物種依存性を表す図面である。 実施例1のシミュレーションにより得られた、リチウム合金化前後における活物質の単位胞体積の添加物種依存性を表す図面である。 実施例2のシミュレーションにより得られた、リチウム合金化前における活物質のXRDピーク位置の添加物種依存性を表す図面である。 実施例2のシミュレーションにより得られた、リチウム合金化後における活物質のXRDピーク位置の添加物種依存性を表す図面である。 実施例3のシミュレーションにより得られた、リチウム合金化前後における活物質の相互作用エネルギーの添加物種依存性を表す図面である。 リチウムとの反応前後における、SiXLiモデル結晶(空間群:P43M)の構造変化を表す図面である。 実施例3のシミュレーションにより得られた、リチウム合金化前後における活物質のマリケン電荷数の添加物種依存性を表すと共にSiXLiモデル結晶(空間群:P43M)の構造を表す図面である。 実施例9の実験により得られた、n型(リンドープ)シリコン薄膜電極の充放電試験結果を表す図面である。 実施例9の実験により得られた、n型(リンドープ)シリコン薄膜電極のサイクル特性結果を表す図面である。 実施例9の実験により得られた、p型(ホウ素ドープ)シリコン薄膜電極の充放電試験結果を表す図面である。 実施例9の実験により得られた、p型(ホウ素ドープ)シリコン薄膜電極のサイクル特性結果を表す図面である。 本発明の対策が講じられておらず、単に活物質粒子と添加物粒子を混合して形成した活物質層を用いた電極を模式的に表した断面概略図である。また図19Aでも、この電極の活物質層表面に対して水平方向(面方向)における活物質濃度Δρaと体積変化率ΔVの様子を併記している。 図19Aの電極の活物質層表面の垂直方向(厚さ方向)における添加物濃度Δρiの変化の様子を表した図面である。 図19Aの電極の活物質層表面の垂直方向(厚さ方向)における活物質濃度Δρaの変化の様子を表した図面である。 図19Aの電極の活物質層表面の垂直方向(厚さ方向)における体積変化率ΔVの変化の様子を表した図面である。 活物質(Si)とリチウム(Li)が反応して、大きく体積変化する様子を模式的に表したイメージ図である。 は、本発明の第1実施形態と第2実施形態(共に応用例)の活物質層を垂直方向に積層した(重ねあわせた)電極の実施形態(応用例)を模式的に表した概略斜視図である。 本発明の第1実施形態と第2実施形態(共に応用例)の活物質層を水平方向に並設した(貼り合わせた)電極の実施形態を模式的に表した概略斜視図である。 本発明の第1実施形態と第2実施形態(共に応用例)の活物質層を垂直方向に交互に3層積層した(重ねあわせた)電極の実施形態(応用例)を模式的に表した概略斜視図である。 本発明の第1実施形態と第2実施形態(共に応用例)の活物質層を水平方向に交互に3層並設した(貼り合わせた)電極の実施形態を模式的に表した概略斜視図である。 実施例で計算に用いた添加物のない純粋シリコン及び添加物(C、B、N)を含有してなる、Si及びLi−Siの結晶構造(ダイヤモンド構造)を示す図面である。 実施例で計算に用いた添加物(O、P、Al、Ge)を含有してなる、Si及びLi−Siの結晶構造(ダイヤモンド構造)を示す図面である。 本発明に係るリチウムイオン電池の代表的な実施形態である積層型の扁平なリチウムイオン二次電池の外観を模式的に表した斜視図である。 本発明に係る組電池の代表的な実施形態を模式的に表した外観図であって、図24Aは組電池の平面図であり、図24Bは組電池の正面図であり、図24Cは組電池の側面図である。 本発明の組電池を搭載した車両の概念図である。 実施例10の実験により得られた、添加物のホウ素(B)、リン(P)をそれぞれ相対的に高濃度ないし低濃度にドープしたp型とn型シリコンスパッタ薄膜電極4サンプルのサイクル特性結果を表す図面である。
符号の説明
10 非双極型リチウムイオン二次電池、
11 正極集電体、
11a 最外層正極集電体、
12、32 正極(正極活物質層)、
13、35 電解質層、
14 負極集電体、
15、33 負極(負極活物質層)、
16、36 単電池層(=電池単位ないし単セル)、
17、37、157 発電要素(電池要素;積層体)、
18、38、158 正極タブ、
19、39、159 負極タブ、
20、40 正極端子リード、
21、41 負極端子リード、
22、42、152 電池外装材(たとえばラミネートフィルム)、
30 双極型リチウムイオン二次電池、
31 集電体、
31a 正極側の最外層集電体、
31b 負極側の最外層集電体、
34 双極型電極、
34a、34b 最外層に位置する電極、
43 シール部(絶縁層)、
50、60、70、80、190 電極(負極)、
51、61、71、81、101、191 活物質層、
52、63、73、84、192 集電体、
62、83 バッファー層、
72、82 添加物含有領域(高濃度添加物部分)、
74、85 添加物を含まない活物質領域(添加物を低濃度に含有する低濃度領域)、
91 添加物含有領域(円形)、
92 添加物含有領域(三角形)、
93 添加物含有領域(四角形)、
94 添加物含有領域(五角形)、
95 添加物含有領域(六角形)、
96 添加物含有領域(八角形)、
97 添加物含有領域(線分)、
98 添加物含有領域(十字形)、
150 リチウムイオン二次電池、
250 小型の組電池(モジュール電池)、
300 組電池、
310 接続治具、
400 電気自動車、
A 活物質層の最表面、
B 活物質層の最深部(集電体またはバッファー層との接合面)、
d 添加物含有領域の直径(最大長)、
t 隣接する添加物含有領域同士の間隔。

Claims (2)

  1. 集電体と、前記集電体上に積層された活物質層を有し、前記活物質層中には添加物を含有するリチウムイオン二次電池用負極であって、
    前記添加物が、活物質層表面の垂直方向に対して、活物質層の集電体側から表面側に向けて増加するように、連続的ないし段階的な添加物濃度勾配が形成されており、
    前記活物質層が、活物質としてリチウムと合金化する物質を有し、該リチウムと合金化する物質が、シリコンおよびスズから選ばれる少なくとも一つの元素を主成分とし、
    前記添加物が、ホウ素およびリンから選ばれる少なくとも一つの元素を主成分とすることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極。
  2. 請求項1に記載の負極を用いたことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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