以下、本発明の一実施形態であるコンロ1について、図面を参照して説明する。図1に示すように、コンロ1は、図1に示すキッチンカウンタ101に装着される「ビルトインコンロ」である。
図1,図2を参照し、コンロ1の構造について説明する。コンロ1は、器具本体2と天板3を備える。器具本体2は略直方体状に形成されている。天板3は平面視長方形状に形成され、器具本体2の上面に固定されている。天板3の右前側には右バーナ5、天板3の左前側には左バーナ7、右バーナ5と左バーナ7とに挟まれる略中央の奥側にはとろ火用の中バーナ6が各々設けられている。天板3の後端側には排気口(図示略)が設けられ、器具本体2内に設けられたグリル庫(図示略)内と連通する。
器具本体2は前面側に前方突出部4を備える。前方突出部4は前方に直方体状に突出した部分である(図2参照)。図1に示すように、前方突出部4の前面4Aの中央にはグリル開口8が設けられている。グリル開口8はグリル庫と連通する。グリル開口8にはグリル扉9が前方に引き出し可能に設けられている。グリル扉9の上半分にはグリル窓9Aが設けられている。グリル窓9Aの下方には把手9Bが設けられている。把手9Bでグリル扉9を前方に引き出すと、グリル扉9の裏面下部に連結した受け皿(図示略)と、該受け皿に載置された焼き網(図示略)とを同時に取り出すことができる。
グリル開口8の右側には、点火スイッチ11,12が各々設けられている。点火スイッチ11は右バーナ5を点火/消火を行う為に押下される。点火スイッチ12はグリル庫内のグリルバーナ(図示略)を点火/消火を行う為に押下される。グリル開口8の左側には、点火スイッチ13,14が各々設けられている。点火スイッチ13は中バーナ6を点火/消火を行う為に押下される。点火スイッチ14は左バーナ7を点火/消火を行う為に押下される。
点火スイッチ11,12の下側には、電池ボックス16が設けられている。電池ボックス16はコンロ1の電源を供給する乾電池を格納する。点火スイッチ13,14の下側には、操作パネル17が回動可能に設けられている。操作パネル17は未使用時には器具本体2内に収納される。使用時には収納状態の操作パネル17を押下する。すると、操作パネル17は器具本体2の外側に回動されて操作可能となる。
キッチンカウンタ101は、上面101Aと前面101Bを備え、内部に空洞部105を備える。図2に示すように、上面101Aには平面視長方形状の取付開口102が設けられている。前面101Bには正面視長方形状の開口部103が設けられている。取付開口102と開口部103は、器具本体2の左右方向において互いに同一位置に配置されている。取付開口102と開口部103は空洞部105を介して互いに連通している。
図2に示すように、上記構成のコンロ1は、キッチンカウンタ101の上面101Aに設けられた取付開口102に、器具本体2を上方から落とし込み、器具本体2の上部外周に設けられた係合フランジ部(図示略)を取付開口102の周縁部に係止させている。さらに、器具本体2の前方突出部4は、キッチンカウンタ101の空洞部105の内側から、キッチンカウンタ101の開口部103に挿入されている。器具本体2の前方突出部4の前面4A(以下、「器具本体2の前面4A」と呼ぶ)は、キッチンカウンタ101の前面101Bと略面一である。キッチンカウンタ101を前方から見た場合に、開口部103の上端部と、器具本体2の前面4Aの上端部との間には、所定の隙間Qが形成されている。
そして、図1及び図2に示すように、器具本体2の右側面2Bの前端側には、樹脂製のサイドモール31が取り付けられている。サイドモール31は、開口部103の右端部と、器具本体2の前面4Aの右端部との間に生じる隙間を閉塞する。器具本体2の左側面2Cの前端側には、樹脂製のサイドモール32が取り付けられている。サイドモール32は、開口部103の左端部と、器具本体2の前面4Aの左端部との間に生じる隙間を閉塞する。これらによって、キッチンカウンタ101の前面101Bにおける器具本体2の前面4Aの左右両側の見栄えが向上する。
図3,図4を参照し、器具本体2の右側面2Bに設けられたサイドモール31の取付構造について説明する。前方突出部4の右側面2Bには、一対の突起21,22と、挿入部24、突出部25が設けられている。突起21は右側面2Bの上部、突起22は右側面2Bの下部に各々設けられ、右側面2Bにおける前後方向の位置は互いに同一である。突起21,22は、何れも右側面2Bを構成する金属板を右側方に台形状に切り起こして形成されている。挿入部24と突出部25は、前方突出部4の右側面2Bの高さ方向の中間位置よりも上方にずれた位置であって、さらに突起21,22の間の中間位置よりも上方にずれた位置に夫々設けられている。なお、本実施形態では、右側面2Bの高さ方向の中間位置と、突起21,22の間の中間位置とは同一位置である。
挿入部24は、突起21,22の前後方向の位置よりもやや前方に設けられている。挿入部24は、右側面2Bを構成する金属板を右側方に切り起こし、内側にスリット26を形成している。スリット26は器具本体2の前後方向に貫通し、且つ上下方向に長い細孔である。
突出部25は、挿入部24の後方で且つ突起21,22の前後方向の位置と同一位置に設けられている。突出部25は、器具本体2を右側方から視た場合に、所定幅を有し且つ上下方向に延出する直線状に形成され、右側面2Bを構成する金属板が内側から凸状に打ち出されることによって、右側方に台形状に突出して形成されている。突出部25の上下方向長さは、挿入部24の上下方向長さと略同一である。突出部25は、挿入部24に対してやや上方にずれた位置に設けられている。
なお、図示しないが、前方突出部4の左側面2Cにも、右側面2Bに設けられた一対の突起21,22、挿入部24、突出部25と同じ構造が設けられ、サイドモール32(図1参照)を取り付けることができる。
図5を参照し、サイドモール31の構造について詳細に説明する。図5の左斜め下方、右斜め上方、上方、下方、紙面手前側の左上方向、紙面奥行き側の右下方向を、夫々、サイドモール31の前方、後方、上方、下方、右方、左方とする。なお、これらの方向は、サイドモール31を器具本体2の右側面2Bに取り付けた状態における器具本体2の方向と同一である。なお、後述するが、サイドモール32は、サイドモール31を上下反転したものと同一形状であるので説明を省略する。
サイドモール31は樹脂成形品であり、取付部35、閉塞部36、延設部51、一対の係止部61,62等を備える。サイドモール31の上下方向の長さは、器具本体2の右側面2B及び左側面2Cの高さと同一である。取付部35は、図1に示す器具本体2の右側面2Bに取り付ける部分である。閉塞部36は、図1に示す開口部103の右端部と、器具本体2の前面4Aの右端部との間に生じる隙間を閉塞する部分である。延設部51は、図1に示す器具本体2の右側面2Bに設けられた挿入部24と突出部25によって保持される部分である。一対の係止部61,62は、図2に示す器具本体2の右側面2Bに設けられた突起21,22に係止する部分である。
先ず、取付部35の形状について説明する。図5に示すように、取付部35は略長方形の板状に形成され、上端部41、下端部42、前端部(図示略)、後端部43、取付面38、外面39等を備える。前端部は、サイドモール31を器具本体2の右側面2Bに取り付けた状態での器具本体2の前方に向けられる一端部である。後端部43は、サイドモール31を器具本体2の右側面2Bに取り付けた状態での器具本体2の後方に向けられる一端部である。取付面38は、器具本体2の右側面2Bに押し当てる面である。外面39は、取付面38とは反対側で且つ器具本体2の右側方に露出する面である。
後端部43の長手方向中間位置には、前方に向かって略長方形状に切り欠いた凹部44が設けられている。凹部44は、取付部35に、上側の側部45、下側の側部46、凹部44の深さ方向の最奥側の底部47を夫々形成する。側部45には上方に向かって長方形状に小さく切り欠いた凹部59が設けられている。側部46には下方に向かって長方形状に小さく切り欠いた凹部60が設けられている。凹部59,60は、器具本体2の右側面2Bに設けられた挿入部24との干渉を避ける為の部位である。
次に、閉塞部36の形状について説明する。図5に示すように、閉塞部36は、取付部35の前端部から右側方に張り出してさらに後方に反り返る湾曲形状を有し、さらにその上下の各開口が夫々塞がれたカバー状に形成されている。閉塞部36の右側方に張り出す長さは、開口部103の右端部と、器具本体2の前面4Aの右端部との間に生じる隙間に応じて調整するとよい。
次に、延設部51の形状について説明する。図5に示すように、延設部51は、後端部43に設けられた凹部44の底部47に設けられている。延設部51は、首部51Aと先端部51Bを備え、全体がT字の板状に形成されている。首部51Aは、底部47の長手方向中央から上下に隙間を空けて後方に向けて直線状に延設されている。先端部51Bは、首部51Aの延設方向先端部に設けられ、首部51Aの長手方向に直交する幅方向長さよりも広い幅方向長さを有する長方形状に形成されている。先端部51Bと首部51Aが互いに連結する上下部分には、段部52,53が各々形成されている。先端部51Bの先端側の上下の角部54,55は、何れもテーパ状に形成されている。後述するが、先端部51Bの下端部56は、スリット26の下縁部に沿って摺動させる部分として機能する。
次に、係止部61,62の形状について説明する。図5に示すように、係止部61は、後端部43の上側の位置に設けられている。係止部61は、首部61Aと先端部61Bを備え、全体がT字の板状に形成されている。首部61Aは、後端部43の上側の位置から後方に向けて直線状に延設されている。先端部61Bは、首部61Aの延設方向先端部に設けられ、首部61Aの長手方向に直交する幅方向長さよりも長い幅方向長さを有する長方形状に形成されている。先端部61Bの先端側の上下の角部73,74は何れもテーパ状に形成されている。先端部61Bと首部61Aが互いに連結する上下の段差部分には、フック71,72が各々形成されている。
係止部62は、後端部43の下側の位置に設けられている。係止部62は、首部62Aと先端部62Bを備え、全体がT字の板状に形成されている。首部62Aは、後端部43の下側の位置から後方に向けて直線状に延設されている。先端部62Bは、首部62Aの延設方向先端部に設けられ、首部62Aの長手方向に直交する幅方向長さよりも長い幅方向長さを有する長方形状に形成されている。先端部62Bの先端側の上下の角部83,84は何れもテーパ状に形成されている。先端部62Bと首部62Aが互いに連結する上下の段差部分には、フック81,82が各々形成されている。
なお、上記構造を備えるサイドモール31において、延設部51は、係止部61,62の間の中間位置に配置されている。さらに、延設部51の先端と、係止部61の先端と、係止部62の先端とは、サイドモール31の前後方向において互いに同一位置である。つまり、サイドモール31は、延設部51の中心線を基準として上下対称形状である。よって、サイドモール31を上下反転させることによって、サイドモール32としても使用できる。そして、サイドモール31,32は同一部品であるので、取り付け間違いを起こす事も無い。さらに、サイドモール31,32は同一部品として量産できるので、金型等のコスト削減を図るともできる。
図1,図6〜図9を参照し、サイドモール31の器具本体2の右側面2Bへの取り付け方法について説明する。作業者は、サイドモール31を器具本体2に取り付ける前に、図1に示すように、器具本体2をキッチンカウンタ101の取付開口102に落とし込んで装着しておく。そして、開口部103の右端部と、器具本体2の前面4Aの右端部との間に生じた隙間に対して、器具本体2の前方からサイドモール31の後端部43側を向けた状態で、以下の取付作業を行う。
先ず、図6に示すように、サイドモール31を器具本体2の高さ位置よりも所定長高い所定位置で、取付面38を器具本体2の右側面2Bに押し当て、後方(図6中矢印A方向)にスライド移動させる。開口部103の上端部と、器具本体2の前面4Aの上端部との間には、所定の隙間Qが形成されているので、その隙間Qを利用することで、サイドモール31を所定位置で、取付面38を器具本体2の右側面2Bに押し当てることができる。なお、所定位置は隙間Qの高さ以下にするとよい。
サイドモール31を後方にスライド移動させると、挿入部24が突起21,22よりも前方に設けられているので、先ず、延設部51の先端部51Bが、挿入部24のスリット26に挿入される。上述のように、挿入部24は、突起21,22の間の中間位置よりも上方にずれた位置に設けられているので、延設部51をスリット26に挿入する際に、一対の係止部61,62を一対の突起21,22の上方を夫々通過させることができる。これにより、係止部61,62が突起21,22に衝突しないので、延設部51をスリット26に対して簡単に挿入できる。
ここで、取付開始時のサイドモール31の高さ位置が所定位置より低かった場合、先端部51Bの下側の角部55がスリット26(図4参照)の下縁部に衝突することがある。本実施形態では、角部55はテーパ状になっているので、角部55がスリット26の下縁部を乗り上げることで、先端部51Bは正常な位置に補正される。これにより、先端部51Bをスリット26に挿入できる。
そして、取付開始時のサイドモール31の高さ位置が所定位置よりさらに低かった場合、先端部51Bは挿入部24の上部に衝突してしまう。この場合、サイドモール31をこれ以上押し込むことができないので、作業者はサイドモール31の高さ位置が低いことに気づくことができる。そこで、サイドモール31の高さ位置を現在位置から高くすることによって、先端部51Bを挿入部24のスリット26に対して確実に挿入できる。
これとは逆に、取付開始時のサイドモール31の高さ位置が所定位置より高かった場合、先端部51Bの上側の角部54がスリット26の上縁部に衝突することがある。本実施形態では、角部54もテーパ状になっているので、角部54がスリット26の上縁部を摺動することで、先端部51Bの位置が押し下げられ、正常な位置に補正される。これにより、先端部51Bを挿入部24のスリット26に挿入できる。
そして、取付開始時のサイドモール31の高さ位置が所定位置よりさらに高かった場合、先端部51Bは挿入部24の上部に衝突してしまう。この場合も、サイドモール31をこれ以上押し込むことができないので、作業者はサイドモール31の高さ位置が高いことに気づくことができる。そこで、サイドモール31の高さ位置を現在位置から低くすることによって、先端部51Bを挿入部24のスリット26に対して確実に挿入できる。
また、作業者は、サイドモール31の後方側の構造を器具本体2の後方に向けているので、サイドモール31の後方側の構造と、右側面2Bに設けられた構造が、閉塞部36によって隠れてしまい見えづらい場合がある。本実施形態では、上述のように、サイドモール31の高さ位置を、器具本体2よりも高い所定位置で押し当てて後方にスライド移動させれば、そのまま直接に、又は高さ位置を微調整するだけで、延設部51を挿入部24のスリット26に対して簡単かつ確実に挿入できる。従って、サイドモール31の取付時の作業性を向上できる。
次いで、図7に示すように、先端部51Bはスリット26を通過後、突出部25に乗り上げる。このとき、図9に示すように、先端部51Bの取付面38に対して突出部25の上面が接触し、首部51Aの外面39に対して挿入部24の内周面の一部が接触する。延設部51は平板状であるので、延設部51は右側面2Bから離間する方向に弾性変形させられる。これにより、延設部51が右側面2Bに付勢されるので、サイドモール31全体が右側面2Bに付勢された状態となるで。よって、延設部51が挿入部24及び突出部25に保持される。
なお、この保持構造は、挿入部24のスリット26に挿入した延設部51の先端部51Bを突出部25に乗り上げさせることによって、平板状の延設部51を緩やかに撓ませて保持するものであるから、延設部51を大きく撓ませる必要はない。従って、延設部51は樹脂のような柔らかな材質でなくても、例えばアルミ部材のような金属材質であってもよい。
ところで、図7に示すように、延設部51が挿入部24と突出部25によって保持されると同時に、サイドモール31の係止部61,62の先端部61B、62Bは、器具本体2に設けられた突起21,22の夫々の上方を通過する。ここで、取付開始時のサイドモール31の高さ位置が所定位置より低い場合、係止部61,62の下側の角部74,84が突起21,22に衝突することがある。本実施形態では、角部74,84はテーパ状になっているので、角部74,84が突起21,22を乗り上げることができる。よって、係止部61,62の先端部61B、62Bは、突起21,22の夫々の上方を通過できる。
さらに、器具本体2の挿入部24は、サイドモール31の後端部43に設けられた凹部44の内側に入り込む。よって、サイドモール31の後端部43が挿入部24の位置に達した後も、サイドモール31をそのまま後方に移動させることができる。そして、サイドモール31の後端部43が突起21,22に衝突する。さらに、凹部44の内側に入り込んだ挿入部24は、側部45において凹部59の前側に形成された段部48と、側部46において凹部60の前側に形成された段部49とに衝突する。これによって、サイドモール31の移動が規制され、サイドモール31の前後方向の位置が決まる。なお、挿入部24は、凹部44の内側において凹部59,60によって上下を挟まれた位置に配置される。
このとき、図7に示すように、係止部61,62のフック72,73の下方に、突起21,22が各々位置している。よって、作業者は、サイドモール31の姿勢を保持したまま、その位置からサイドモール31を下方(図7中矢印B方向)にずらすだけで、図8に示すように、器具本体2の上側の突起21に対して、サイドモール31の係止部61の下側のフック72を上方から係止させ、下側の突起22に対して、サイドモール31の係止部62の下側のフック82を上方から係止させることができる。
また、先端部51Bの下端部56を、スリット26の下縁部に沿って摺動させることによって、先端部61B、62Bが突起21,22の夫々の上方を通過したときに、サイドモール31は延設部51の段部53の高さ分だけ、自動的に下方にずれ落ちるようになっている。よって、係止部61,62のフック72,73を突起21,22に対して上方から容易に係止させることができる。
なお、延設部51は、挿入部24及び突出部25によって弾性変形することによって保持されているが、挿入部24のスリット26及び突出部25は何れも上下方向に延出する直線状であるので、延設部51を弾性変形した状態のまま下方にずらすことができる。従って、延設部51を、挿入部24と突出部25によって保持させた状態で、サイドモール31を下方にずらすことができる。
また、挿入部24は凹部44の内側において、凹部59,60に対応する位置に配置されているので、サイドモール31を下方にずらした場合、挿入部24は凹部59の内側に配置される。これにより、サイドモール31と挿入部24が干渉しないので、サイドモール31を下方にずらすことができる。
そして、係止部61,62のフック72,73が突起21,22に対して上方から夫々係止することによって、サイドモール31の上部と下部が同時に位置決めされる。サイドモール31の上端部41は前方突出部4の上面に、下端部42は前方突出部4の下面に夫々配置される。こうして、サイドモール31が右側面2Bの取付位置に対して直立姿勢で正確に取り付けられる。従って、作業者は、サイドモール31を右側面2Bに押し当てた状態で、延設部51をスリット26に挿入して下方にずらすだけの簡単な作業で、サイドモール31を右側面2Bに簡単かつ正確に取り付けることができる。
そして、上記の取付作業では、サイドモール31を後方に押し込んでから下方にずらした場合に、フック72,73が突起21,22に各々係止することによってサイドモール31はその位置で停止する。それ故、作業者は、フック72,73が突起21,22に各々係止したことを、手の感覚で直感的に認識できる。従って、作業者は、フック72,73が突起21,22に係止しないうちに、サイドモール31の取り付け作業を終えてしまうことがないので、サイドモール31の取付不良を防止できる。
なお、器具本体2の左側面2Cに対しても、サイドモール32を取り付ける。図1に示すように、サイドモール31は、開口部103の右端部と、器具本体2の前面4Aの右端部との間に生じる隙間を閉塞する。サイドモール32は、開口部103の左端部と、器具本体2の前面4Aの左端部との間に生じる隙間を閉塞する。これらによって、キッチンカウンタ101の前面101Bにおける器具本体2の前面4Aの左右両側の見栄えを向上できる。
また、作業者は、キッチンカウンタ101に対する器具本体2の位置の微調整を行う為に、器具本体2の右側面2B又は左側面2Cに既に取り付けたサイドモール31,32を取り外す場合がある。この場合、上記の取り付け作業と逆の手順で作業を行えばよい。具体的には、サイドモール31の位置を上方にずらすことによって、係止部61,62の突起21,22に対する係止を解除し、そのまま前方に引き出せばよい。上述の通り、延設部51は挿入部24に挿入され、その先端部51Bが突出部25に乗り上げた状態である。よって、サイドモール31を前方に引き出すことで、先端部51Bは突出部25の斜面を滑り落ちて、延設部51は元の形状に復帰するので、延設部51を挿入部24のスリット26から簡単に引き抜くことができる。従って、作業者は、サイドモール31,32の着脱を容易に行うことができる。延設部51が損傷することもないので、サイドモール31,32の着脱を繰り返すことも可能である。
以上説明したように、本実施形態のコンロ1は、キッチンカウンタ101の上面101Aに形成された取付開口102に器具本体2を上方から落とし込んで装着されるビルトインコンロである。器具本体2の前面4Aは、キッチンカウンタ101の前面101Bに形成された開口部103に配置される。器具本体2の左右の両側面2B,2Cには、サイドモール31,32が夫々取り付けられる。サイドモール31,32は、左右の両側面2B,2Cと開口部103の左右両縁部との間に夫々生じる隙間を塞ぐものである。
右側面2Bには、一対の突起21,22と、挿入部24、突出部25が設けられている。挿入部24は器具本体2の前後方向に貫通するスリット26を備える。サイドモール31は、樹脂成形品であり、取付部35、閉塞部36、延設部51、一対の係止部61,62等を備える。取付部35は、器具本体2の右側面2Bに取り付ける部分である。閉塞部36は、開口部103の右端部と、器具本体2の前面4Aの右端部との間に生じる隙間を閉塞する部分である。延設部51は、器具本体2の右側面2Bに設けられた挿入部24と突出部25によって保持される部分である。一対の係止部61,62は、器具本体2の右側面2Bに設けられた突起21,22に係止する部分である。
作業者は、サイドモール31を器具本体2の高さ位置よりも高い所定位置で、取付部35の取付面38を器具本体2の右側面2Bに押し当てながら、サイドモール31を後方にスライドさせる。すると、延設部51の先端部51B側がスリット26に前方から挿入され、突出部25を乗り上げる。延設部51は右側面2Bから離間する方向に弾性変形させられるので、サイドモール31が右側面に付勢された状態で保持される。次いで、その状態でサイドモール31を下方にずらす。突起21,22に対して係止部61,62のフック72,82が上方から各々係止する。これにより、右側面2Bにおける取付部35の上部と下部の位置が夫々決まるので、サイドモール31を右側面2Bに対して傾くことなく正常な姿勢で取り付けることができる。フック72,73が突起21,22に各々係止したことは、手の感覚で直感的に認識できるので、サイドモール31を右側面2Bに確実に取り付けることができる。従って、作業者は、右側面2Bに対して、サイドモール31を簡単かつ確実に取り付けることができる。
また、上記実施形態ではさらに、挿入部24は、突起21,22の中間位置よりも上方にずれた位置に設けられている。よって、延設部51をスリット26に挿入する際に、係止部61,62を右側面2Bに設けられた突起21,22の上方を通過させることができる。これにより、係止部61,62が突起21,22に衝突しないので、延設部51をスリット26に対して簡単に挿入できる。
また、上記実施形態ではさらに、挿入部24は、器具本体2の前後方向において、突起21,22よりも前方に設けられているので、サイドモール31を後方にスライドさせた場合、係止部61,62が突起21,22に達する前に、延設片51をスリット26に挿入させることができる。これにより、サイドモール31が後方にガイドされるので、サイドモール31を器具本体2の右側面2Bに容易に取り付けることができる。
また、上記実施形態ではさらに、延設部51の先端部51側がスリット26に挿入されると、サイドモール31の後端部43が突起21,22に衝突し、さらに、凹部44の内側に入り込んだ挿入部24が段部48,49に衝突する。これによって、サイドモール31の移動が規制され、サイドモール31の前後方向の位置が決まる。サイドモール31の移動が規制された状態では、フック72,73の下方に、突起21,22が夫々位置している。この状態から下方にそのままずらすだけで、フック72,73を突起21,22に対して容易に係止させることができる。
また、上記実施形態ではさらに、延設部51は、先端部51Bよりも幅方向長さが短い首部51Aを備えているので、作業者が延設部51をスリット26に挿入させていくと、先端側51Bがスリット26を通過し且つ首部51Aがスリット26に達した時に、サイドモール31全体が下方にずれる。これにより、突起21,22に対して係止部61,62の各フック72,73を上方から各々係止させることができる。従って、サイドモール31を器具本体2の右側面2Bに簡単に取り付けることができる。
また、上記実施形態ではさらに、延設部51の先端部52Bの角部54,55はテーパ状に形成されている。先端部52Bの角部55が挿入部24のスリット26の下縁部に衝突した場合、延設部51は、テーパ状の角部55によってスリット26の下縁部を乗り越えるので、スリット26に対して延設部51を挿入させることができる。
また、上記実施形態ではさらに、開口部103の上端部と、器具本体2の前面4Aの上端部との間には、所定の隙間Qが形成されているので、その隙間Qを利用することで、サイドモール31を所定位置で、取付面38を器具本体2の右側面2Bに押し当てることができる。
また、上記実施形態ではさらに、係止部61は、先端部61B側の上部と下部に、フック71,72を夫々備えている。さらに、係止部62も、先端部62B側の上部と下部に、フック81,82を夫々備えている。従って、サイドモール31を上下反転させることによって、器具本体2の反対側の左側面2Cに取り付けるサイドモール32として使用することもできる。これにより、サイドモール31,32を同一部品として使用できる。サイドモール31,32は同一部品であるので、量産し易い上に、取り付け間違いを防止できる。
また、上記実施形態ではさらに、係止部61の先端部61Bの角部73,74はテーパ状に形成されている。係止部62の先端部62Bの角部83,84もテーパ状に形成されている。これにより、例えば、先端部61Bの角部74が突起21に衝突した場合、テーパ状の角部74に沿って突起21が摺動し、係止部61は突起21を乗り越えるので、突起21に対して上方からフック72を係止させることができる。
また、上記実施形態ではさらに、サイドモール31,32は樹脂部材又はアルミ部材で形成することができる。サイドモール31,32は撓みを利用して右側面2Bに強固に固定するものではないので、比較的柔らかい樹脂でなくても、アルミ部材で形成することも可能である。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、サイドモール31の延設部51を右側面2Bに保持する為に、右側面2Bに挿入部24と突出部25を設け、挿入部24のスリット26に挿入された延設部51の先端部51B側を突出部25に乗り上げさせることによって、延設部51を右側面2Bから離間する方向に弾性変形させて保持しているが、これ以外の構造で、延設部51を保持するようにしてもよい。但し、延設部51が保持された状態でサイドモール31を下方にずらすことが必要である。従って、例えば、延設部51の先端部51Bに係合部を設け、右側面2Bに被係合部を設け、これらを係合させる構造にしるならば、係合部及び被係合部をサイドモール31,32の長手方向に延出する形状にするのがよい。
また、上記実施形態では、サイドモール31,32を樹脂で成型しているが、アルミ部材で成型してもよい。また、撓み性がある材質であれば、材質の種類はいかなるものでもよい。
また、上記実施形態では、延設部51をT字の板状に形成しているが、幅方向長さが一定である直線(細長長方形)の板状にしてもよい。
また、上記実施形態では、挿入部24は、器具本体2の前後方向において、突起21,22よりも前方に設けることによって、係止部61,62が突起21,22に達する前に、延設部51をスリット26に挿入させているが、例えば、サイドモール31において、延設部51の長さを係止部61,62よりも長くすることによっても可能である。この場合、挿入部24は、器具本体2の前後方向において、突起21,22と同位置に設ければよい。