以下、本発明の実施形態を説明する。以下に記載されている装置の構造などは、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。以下説明は、図中に矢印で示す左右、前後、上下を使用する。
図1〜図4を参照し、コンロ1の外観構造を説明する。コンロ1は、グリル付きテーブルコンロである。コンロ1は、筐体2と天板3を備える。筐体2は、上部が開口する略直方体状に形成されている。天板3は、筐体2の開口する上部にネジ(図示略)で固定されている。天板3の右側には、バーナ開口部201が設けられ、左側には、バーナ開口部202が設けられている。それらバーナ開口部201,202の夫々の内側を上下に挿通するように、右コンロバーナ5と左コンロバーナ6が設けられている。天板3の後端側には、排気口部9が設けられている。排気口部9は、筐体2内に設置されたグリル庫(図示略)内のガス燃焼によって生じた燃焼ガスを外部に排出する。排気口部9には、複数のスリット191を備える安全カバー190が上側から装着されている。
筐体2は、筐体本体部20、右前パネル24、左前パネル25等を互いに組み付け、ネジ(図示略)で固定することで構成されている。筐体本体部20は、前側が開口する平面視略U字形状に形成されている。筐体本体部20は、板金部材で形成され、右側板部21、左側板部22、後板部23を備える。後板部23は、右側板部21及び左側板部22の夫々の後端部同士を繋いでいる。筐体本体部20の開口する前側部分において、右側板部21の前端部の上部と、左側板部22の前端部の上部との間には、金属製の上梁部(図示略)が略水平に渡設されている。右側板部21の前端部の下部と、左側板部22の前端部の下部との間には、金属製の下梁部(図示略)が渡設されている。
図1,図2に示すように、筐体本体部20の開口する前側部分の右側には、樹脂製の右前パネル24がネジ(図示略)で固定され、左側には、樹脂製の左前パネル25がネジ(図示略)で固定されている。右前パネル24と左前パネル25の夫々の前面部は、上端部から下側になるにつれて前方に傾斜している(図1,図3,図4参照)。それ故、使用者がコンロ1の前面を前側から見下ろした場合、右前パネル24と左前パネル25の夫々の前面部が使用者の視線に対向するので、コンロ1の前面の視認性を向上できる。右前パネル24と左前パネル25に挟まれる中央部には、正面視略矩形状の開口部(図示略)が設けられている。該開口部の後ろ側には、グリル庫の前側に設けられたグリル開口(図示略)が配置される。開口部には、グリル扉10が前後方向に移動可能に設けられ、グリル開口を開閉する。グリル扉10の前面部は、右前パネル24と左前パネル25の夫々の前面と同一角度で、上端部から下側になるにつれて前方に傾斜している。グリル扉10の前面部には、前方に突出する取手部101が設けられている。使用者が取手部101を手前側に引き出すと、グリル扉10の背面下部に連結した受皿と焼き網(図示略)を、グリル庫内から同時に取り出すことができる。
右前パネル24の前面部で、且つグリル扉10の右隣には、点火ボタン11が設けられている。その右隣には、点火ボタン12が設けられている。左前パネル25の前面部で、且つグリル扉10の左隣には、点火ボタン13が設けられている。点火ボタン11〜13は押し込み式であるが、押し回し式のツマミ等でもよい。点火ボタン11を後方に押し込むと、右コンロバーナ5が点火され、再度押し込むと消火される。点火ボタン12を後方に押し込むと、グリル庫内に設置されたグリルバーナ(図示略)が点火され、再度押し込むと消火される。点火ボタン13を後方に押し込むと、左コンロバーナ6が点火され、再度押し込むと消火される。点火ボタン13の左隣には、電池ボックス70が手前に引き出し可能に設けられている。電池ボックス70は、コンロ1に電源を供給する乾電池(図示略)を格納する。電池ボックス70の直上には、乾電池の電圧低下を報知する為のLED17が設けられている。
点火ボタン11の上方には、火力調節レバー111が設けられている。点火ボタン12の上方には、火力調節レバー121が設けられている。点火ボタン13の上方には、火力調節レバー131が設けられている。火力調節レバー111は、左右方向の回動操作によって、右コンロバーナ5の火力調節を行う。火力調節レバー121は、左右方向の回動操作によって、グリルバーナの火力調節を行う。火力調節レバー131は、左右方向における回動操作によって、左コンロバーナ6の火力調節を行う。
点火ボタン11の下方には、ロック操作部112が設けられている。点火ボタン12の下方には、ロック操作部122が設けられている。点火ボタン13の下方には、ロック操作部132が設けられている。ロック操作部112,122,132は、点火ボタン11〜13に夫々対応するチャイルドロック機構(図示略)を操作するレバー部材である。ロック操作部112は、点火許容位置とロック位置との間を左右方向にスライドさせることによって、点火ボタン11の押し込み操作を可能、又は不能にする。ロック操作部122は、点火許容位置とロック位置との間を左右方向にスライドさせることによって、点火ボタン12の押し込み操作を可能、又は不能にする。ロック操作部132は、点火許容位置とロック位置との間を左右方向にスライドさせることによって、点火ボタン13の押し込み操作を可能、又は不能にする。
図4〜図6を参照し、左前パネル25の構造を具体的に説明する。図5に示すように、左前パネル25は、前面部26、右側面部27、左側面部28、上側固定片29、下側固定片30等を備える。
前面部26は、上部傾斜部261、下部傾斜部262、湾曲部263等を備える(図5,図6参照)。上部傾斜部261は、前面部26の上端部から下側になるにつれて前方に傾斜する部分である。下部傾斜部262は、前面部26の下端部において下側になるにつれて後方に傾斜する部分である。湾曲部263は、上部傾斜部261と下部傾斜部262を湾曲状に繋ぐ部分である。これにより、前面部26は、上下方向の中央位置よりもやや下側の位置において前方向に突出する側面視略L字状に形成されている(図3,図4参照)。上部傾斜部261の上下幅は、湾曲部263の上下幅よりも広く形成されている。それ故、使用者の視線は、湾曲部263に比べて上部傾斜部261に集中し易くなっている。
図5に示すように、前面部26の右側には、点火ボタン13用の開口部33が設けられている。開口部33は、正面視やや横長の略矩形状に形成されている。開口部33の内縁部に沿って、後方に突出するリブ331が設けられている。リブ331は矩形枠状に形成され、そのリブ331の上側部、右側部、左側部には、後方に突出する側面視略矩形状の突出片43が夫々設けられている。各突出片43には、略矩形状の孔部43Aが設けられている。そのような開口部33の周縁部に沿って、略矩形状の支持枠(図示略)が固定される。支持枠には、3枚の突出片43の各孔部43Aに対応する3つの係合爪(図示略)が設けられている。各係合爪が各孔部43Aに係合することで、支持枠が開口部33の周縁部に沿って固定される。そのような支持枠の上部において、点火ボタン13が回動可能に軸支され、開口部33に対して後方から前方に向けて挿入される(図4参照)。開口部33の下方には、左右方向に長い開口35が設けられている。開口35には、支持枠の下部に設けられたチャイルドロック機構(図示略)のロック操作部132が後方から挿入される。
前面部26の左側であって、上部傾斜部261の下部と、湾曲部263と、下部傾斜部262とを少なくとも含む領域には、電池ボックス70用の開口部34が設けられている。開口部34は正面視やや縦長の略矩形状に形成されている。開口部34の上端部の位置は、開口部33の上端部の位置と同一である。開口部34の下端部の位置は、開口部33の下端部の位置よりも下側である。開口部34の内縁部に沿って、後方に突出するリブ341が設けられている(図5参照)。リブ341は略矩形枠状に形成され、そのリブ341の右側部、左側部、下側部の夫々の略中央部には、後方に突出する側面視略矩形状の固定片44が夫々設けられている。各固定片44には、略矩形状の孔部44Aが設けられている。そのような開口部34に対して、前面部26の背面側から後述する支持筒50(図6参照)が位置決めされて固定される。
開口部34の左上角部の上方には、略円形状の孔部36が設けられている。孔部36は、左前パネル25の背面側に取り付けられる回路基板(図示略)上のLED17を外部に露出させる。
右側面部27は、前面部26の右端部から後方に延び、右側面視略三角形状に形成されている(図5参照)。右側面部27の後端部は上下方向に延び、その上部分と下部分には、後方に突出する板状の固定片41が夫々設けられている。各固定片41には、固定孔41Aが設けられている。これら2枚の固定片41は、筐体2内のグリル庫の左側に設けられた支持部材(図示略)にネジで固定される。
左側面部28は、前面部26の左端部から円弧状に湾曲しながら後方に延び、左側面視略三角形状に形成されている(図3〜図5参照)。左側面部28の後端部は上下方向に延び、その上部と中央部と下部には、後方に突出する板状の固定片42が夫々設けられている。各固定片42には、固定孔42Aが設けられている。これら3枚の固定片42は、筐体本体部20の左側板部22の前端部に設けられた3つの固定穴(図示略)にネジで固定される。
上側固定片29は、前面部26(上部傾斜部261)の上端部に沿って左右方向に設けられている。上側固定片29は、垂直部291と水平部292を備え、側面視逆L字状に形成されている。垂直部291は、上部傾斜部261の上端部から垂直上方に突出し、正面視横長の略矩形状に形成されている。水平部292は、垂直部291の上端部から後方に向かって突出し、平面視左右方向に延びる略矩形状に形成されている。水平部292には、左右方向に離間する一対の固定穴295,296が設けられている。水平部292は、筐体2の上梁部に対して上方から位置決めされ、固定穴295,296を介してネジで上梁部に固定される。
下側固定片30は、前面部26(下部傾斜部262)の下端部に沿って左右方向に設けられている。下側固定片30は、前面部26の下端部から後方に突出され、平面視左右方向に延びる略矩形状に形成されている。下側固定片30の前後方向の略中央部に沿って、段部303が形成されている。下側固定片30は、段部303を境に、前側部分よりも後側部分の方が一段高くなっている。下側固定片30の左右両側には、一対のスリット301,302が設けられている。スリット301,302は左右方向に延び、段部303に沿って設けられている。下側固定片30は、筐体2の下梁部に対して位置決めされ、下梁部に設けられた一対の係止爪(図示略)に対して、一対のスリット301,302を係合させる。これにより、下側固定片30が下梁部に位置決め固定される。
図6を参照し、支持筒50の構造を説明する。支持筒50は、左前パネル25の背面側において開口部34に沿って固定され、電池ボックス70を前後方向にスライド移動可能に支持する。支持筒50は例えば樹脂製であって、前後方向に延びる略四角筒状に形成されている。支持筒50は、右壁部51、左壁部52、上壁部53、底壁部54、枠状部55等を備える。右壁部51と左壁部52は左右方向に互いに対向し、上壁部53と底壁部54は上下方向に互いに対向する。
右壁部51は、右側面視前後方向に長い略逆L字状に形成され、その前側部分に形成された上下方向に長い略矩形状の前側部511(図6,図11参照)と、該前側部511の上部から後方に延びる後側部512とを備える。前側部511の外面には、被係合部514が設けられている。被係合部514は、左前パネル25の開口部34の右側縁部に設けられた固定片44が差し込まれるスリット(図示略)と、固定片44の孔部44Aに係合させる爪部(図示略)とを備える。これにより、右壁部51が固定片44に固定される。さらに、右壁部51の内面(左側面)の下側位置には、ガイド溝515が前後方向に延設されている。ガイド溝515は、右壁部51を右側(外方)に向かって略U字状に屈曲して形成されている。
左壁部52は、左側面視前後方向に長い略T字状に形成され、その前側部分に形成された上下方向に長い略矩形状の前側部521と、該前側部521の上下方向の略中央部から後方に延びる後側部522とを備える。前側部521の外面には、被係合部524が設けられている。被係合部524は、左前パネル25の開口部34の左側縁部に設けられた固定片44が差し込まれるスリット(図示略)と、固定片44の孔部44Aに係合させる爪部524Aとを備える。これにより、左壁部52が固定片44に固定される。さらに、左壁部52の内面(右側面)の下側位置であって、右壁部51のガイド溝515に対向する位置には、ガイド溝525が前後方向に延設されている。ガイド溝525は、左壁部52を左側(外方)に向かって略U字状に屈曲して形成されている。これらガイド溝515,525には、電池ボックス70の後述する一対の被ガイド部76,77(図8参照)が挿入される。これにより、ガイド溝515,525は、電池ボックス70を支持筒50の長手方向に沿ってガイドする。
上壁部53は、右壁部51の上端部と、左壁部52の前側部521の上端部との間に渡設され、平面視略台形状に形成されている。
底壁部54は、右壁部51の下端部と、左壁部52の下端部との間に渡設され、平面視略矩形状に形成されている。底壁部54は、前側から順に、前側部541、段部542、後側部543を備える。前側部541は、底壁部54の前側に設けられ、平面視略矩形状に形成されている。前側部541の上面の前端部近傍には、係止突起57が設けられている。係止突起57は、前側部541の上面から上方に突出し、且つ左右方向に延びる略三角柱状に形成されている。また、前側部541には、左前パネル25の開口部34の下縁部に設けられた固定片44と係合する被係合部(図示略)が設けられている。被係合部の構造は、右壁部51及び左壁部52の被係合部514,524と同様である。段部542は、前側部541の後端部から上方に立ち上がり、正面視略矩形状に形成されている。段部542は、前側部541の後端部と、後述する後側部543の前端部とを繋ぐ。
後側部543は、段部542の上端部から後方に延び、平面視略矩形状に形成されている。後側部543の中央には、平面視略矩形状の開口部58が設けられている。開口部58の周縁部のうち前側に位置する前縁部581の長手方向の略中央部には、後方に向かって平面視略半円形状に膨出する膨出部59が設けられている。後側部543には、前縁部581の長手方向の両端部から前方に向けて切り込み状に形成された一対の切込溝60(左側の切込溝は図示略)が設けられている。これにより、後側部543において一対の切込溝60に囲まれた部分は上下方向に撓むことができる。さらに、前縁部581近傍の上面において、膨出部59の左右両側には、被係止部61,62が設けられている。被係止部61,62は、夫々、後側部543の上面より上方に突出する断面略三角形状に形成されている(図11参照)。後述するが、電池ボックス70を開口部34から前方に大きく引き出した際、電池ボックス70の後端部に設けられた一対の係止爪78,79がこれら被係止部61,62に対して係止する(図10,図11参照)。
枠状部55は、右壁部51、左壁部52、上壁部53、及び底壁部54で構成される四角筒の前側に形成される開口部に沿って設けられ、正面視略矩形枠状に形成されている。
ここで、左前パネル25への支持筒50の取付構造を説明する。先ず、支持筒50の枠状部55を、左前パネル25の背面側から、左前パネル25の開口部34に対向させる。そして、枠状部55を開口部34の周縁部に密着させると共に、開口部34の周縁部から後方に突出する3枚の固定片44に対して、右壁部51に設けられた被係合部514、左壁部52に設けられた被係合部524、底壁部54に設けられた被係合部(図示略)を夫々係合させる。これにより、支持筒50は、左前パネル25の開口部34に取り付けられる。図11に示すように、開口部34に取り付けられた支持筒50は、前端側が後端側より低くなるように傾斜して支持される。
図7〜図9を参照し、電池ボックス70の構造を説明する。電池ボックス70は、ボックス本体71、前面部72、レバー部材73等を備える。これらボックス本体71、前面部72、レバー部材73は樹脂で一体成型される。ボックス本体71は、上部が開口し且つ前後方向に長い細長の略直方体状の箱体である。ボックス本体71の内側には、電池格納部75が設けられている。電池格納部75には、例えば二個の乾電池が直列に格納される。前面部72は、ボックス本体71の前側に設けられている。前面部72は、電池ボックス70が支持筒50の内側に収納された状態において、左前パネル25の開口部34を塞ぐパネル部材である。レバー部材73は、ボックス本体71の下部から前方に突出するようにして設けられ、支持筒50に設けられた係止突起57と係合可能である。レバー部材73は、上方向に引き上げることで、支持筒50の係止突起57との係合を解除し、電池ボックス70を手前に引き出し可能な状態にする。
先ず、ボックス本体71の構造を説明する。図7,図8に示すように、ボックス本体71は、右壁部711、左壁部712、前壁部713、背壁部714、底壁部715等を備える。右壁部711は、右側面視前後方向に長い略矩形状に形成されている。右壁部711の外面の下端部には、右側方に突出し且つ前後方向に延びる被ガイド部76が設けられている。左壁部712は、左側面視前後方向に長い略矩形状に形成され、右壁部711と左右方向に対向する。左壁部712の外面の下端部にも、左側方に突出し且つ前後方向に延びる被ガイド部77(図8参照)が設けられている。前壁部713は、右壁部711の前端部と、左壁部712の前端部との間に渡設されている。前壁部713の前面は、上端部から下側になるにつれて前方に傾斜している。前壁部713の背面には、端子部717が取り付けられる(図10,図11参照)。端子部717は、電池格納部75に格納された前側の乾電池のプラス側と接触する。
背壁部714は、背面視略矩形状に形成されている。背壁部714の背面(外面)の下部における左右両側には、一対の係止爪78,79が設けられている。係止爪78,79は、後方に突出し、且つ下向きの爪を先端部に有する。背壁部714には、コイルバネ状の端子部718が取り付けられる(図10,図11参照)。端子部718は、電池格納部75に格納された後ろ側の乾電池のマイナス側と接触し且つ前方に付勢する。なお、端子部717,718は、左前パネル25の背面側に取り付けられる回路基板(図示略)上の電源回路(図示略)に接続される。
底壁部715は、平面視前後方向に長い略矩形状に形成されている。底壁部715の上面には、6つの平面視略半円弧状のリブ85が所定間隔を空けて前後方向に並んで立設されている。リブ85は、電池格納部75に格納される二個の乾電池を下方から支持する。底壁部715の上面には、乾電池のプラス側とマイナス側を示すマークM1,M2と、電池の向きを示すマークM3とが夫々刻設されている(図8参照)。
次に、前面部72の形状を説明する。図7〜図9に示すように、前面部72は、正面視略矩形状に形成されたパネル部材である。前面部72の大きさは、左前パネル25の開口部34の下部を除く領域を塞ぐことができる程度の大きさである。前面部72の4つの角部は円弧状に形成されている。前面部72は、ボックス側傾斜部721とボックス側湾曲部722を備える。ボックス側傾斜部721は、前面部72の上側略2/3の領域を占め、前面部26の上部傾斜部261の形状に対応する。即ち、ボックス側傾斜部721は、上端部から下側になるにつれて前方に傾斜し、上部傾斜部261と同一方向に傾斜する(図4参照)。ボックス側湾曲部722は、前面部72の下側略1/3の領域を占め、前面部26の湾曲部263に対応する。即ち、ボックス側湾曲部722は、ボックス側傾斜部721の下端部から湾曲部263と同一方向に湾曲する(図4参照)。
次に、レバー部材73の形状を説明する。レバー部材73は、ボックス本体71の底壁部715の下面の前側部から前側に対して斜め下方に突出し、前方に向かって延びる板材である。レバー部材73は、基部731、前方延設部732、操作部733等を備える。基部731は、ボックス本体71の底壁部715の下面の前側部から前側に対して斜め下方に突出する部分である。前方延設部732は、基部731の突出する下端部から前方向に延びる部位である。前方延設部732の前端部の位置は、例えば前面部72のボックス側傾斜部721とボックス側湾曲部722の境界部分である(図9参照)。前方延設部732の下面における前端側には、下方に突出する突起部81が設けられている(図9参照)。突起部81は、断面略三角形状に形成されている。操作部733は、前方延設部732の前端部から前側に対して斜め下方向に屈曲して形成されている。操作部733の傾斜角は、電池ボックス70を左前パネル25の開口部34に格納した状態において、左前パネル25の上部傾斜部261の傾斜角と略同一である(図2〜図4参照)。
図10,図11を参照し、左前パネル25の開口部34に対する電池ボックス70の装着方法を説明する。先ず、左前パネル25の前側から開口部34に対し、電池ボックス70の後端側を向ける。そして、開口部34の後ろ側に設けられた支持筒50の右壁部51及び左壁部52に設けられたガイド溝515,525に対し、開口部34を介して、電池ボックス70の右壁部711及び左壁部712に設けられた被ガイド部76,77を前側から差し込み、後方に向けてスライドさせる。電池ボックス70は、ガイド溝515,525に沿って後方にスライド移動する。すると、電池ボックス70の背壁部714に設けられた一対の係止爪78,79が、支持筒50の後側部543に設けられた一対の被係止部61,62に対して前側から当接する。被ガイド部76,77は、ガイド溝515,525に沿って後方に移動するので、支持筒50における電池ボックス70の高さ位置は変わらない。それ故、係止爪78,79は、被係止部61,62を下方に付勢するので、後側部543において一対の切込溝60に囲まれた部分が下方向に撓む。これに伴い、係止爪78,79は被係止部61,62を乗り越え、後側部543は樹脂の弾性復帰力で元の形状に戻る。電池ボックス70は引き続き、ガイド溝515,525に沿って後方にスライド移動する。
次いで、レバー部材73の前方延設部732の下面に設けられた突起部81が、支持筒50の底壁部54の前側部541の上面に設けられた係止突起57に接触する。さらに電池ボックス70を後方に押し込むと、突起部81が係止突起57を乗り上げるので、レバー部材73は基部731を基点にして上方に撓む。突起部81が係止突起57を後方に乗り越えると、レバー部材73は樹脂の弾性復帰力で元の形状に戻り、係止突起57に係止した状態となる。このとき、電池ボックス70の前面部72は、左前パネル25の開口部34の内側に配置される。このようにして、電池ボックス70が左前パネル25の開口部34に装着される。
図4を参照し、左前パネル25の開口部34に装着された電池ボックス70周囲の美観について説明する。電池ボックス70が開口部34に装着された状態において、左前パネル25の上部傾斜部261に対して、電池ボックス70の前面部72のボックス側傾斜部721が配置され、湾曲部263に対して、前面部72のボックス側湾曲部722が配置される。つまり、前面部72は、左前パネル25の傾斜及び湾曲形状に沿って配置されるので、左前パネル25の前面と同一面を形成できる。これにより、前面部72を目立たなくすることができるので、左前パネル25の美観を向上できる。
さらに、電池ボックス70の前面部72のボックス側湾曲部722の下端部と、開口部34の下縁部との間には、横長の隙間38が形成されている。この隙間38からレバー部材73の操作部733が前方に突出している。即ち、操作部733は、ボックス側湾曲部722よりも後ろ側から前方に突出しているので、レバー部材73を目立たなくさせることができる。これにより、左前パネル25の美観を損なわない。また、レバー部材73の操作部733は、開口部34から筐体2の外側に突出する位置より、斜め下方向に屈曲して形成されているので、レバー部材73をさらに目立たなくさせることができる。さらに、レバー部材73の操作部733は、左前パネル25の上部傾斜部261の傾斜角に沿うように形成されているので、レバー部材73と、左前パネル25の上部傾斜部261とを一体のものとして視認させ易くすることができる。これにより、レバー部材73が独立して存在する印象を低減できるので、レバー部材73の存在感をさらに低減できる。
さらに、レバー部材73の操作部733の先端は、コンロ1の前後方向で見た場合において、左前パネル25の湾曲部263の下端よりも筐体2側に寄った位置に位置している(図3参照)。これにより、レバー部材73をさらに目立たなくさせることができる。なお、レバー部材73の操作部733の先端は、湾曲部263の下端と同一位置であってもよい。
また、左前パネル25において、上部傾斜部261の上下幅は、湾曲部263の上下幅よりも広く形成されているので、使用者の視線を上部傾斜部261に集中させ、レバー部材73への注意を低減させることができるので、レバー部材73により美観が損なわれるのを効果的に防止できる。
図10,図11を参照し、電池ボックス70の引き出し方法を説明する。先ず、使用者は、隙間38から突出するレバー部材73の操作部733に下側から指を掛け、レバー部材73を上側に引き上げる。すると、レバー部材73が上側に撓み、前方延設部732に設けられた突起部81が、支持筒50の底壁部54に設けられた係止突起57から離れるので、係止突起57に対する突起部81の係合が解除される。そして、操作部733を手前に引き出すことで、電池ボックス70全体がガイド溝515,525に沿って前方にスライド移動する。上記の通り、支持筒50は、前端側が後端側よりも低くなるように傾斜しているので、電池ボックス70の被ガイド部76,77は、支持筒50のガイド溝515,525に沿って前方に滑り易い。これにより、電池ボックス70を手前側に容易に引き出すことができる。
そして、開口部34から電池ボックス70の約2/3が前方に引き出されたときに、電池ボックス70の背壁部714の外面に設けられた一対の係止爪78,79が、支持筒50の底壁部54に設けられた一対の被係止部61,62に対して後方から係止する。これにより、電池ボックス70は支持筒50に対して係止した状態となるので、開口部34から電池ボックス70が前方に抜け落ちるのを防止できる。また、電池ボックス70の約2/3を開口部34から引き出した状態で、電池ボックス70の姿勢が保持されるので、例えば、電池ボックス70を開口部34から抜き出すことなく、電池格納部75内の乾電池を交換できる。これにより、乾電池の交換作業を簡単且つ速やかに行うことができる。
また、本実施形態では、電池ボックス70が開口部34に装着された状態において、隙間38から前方に突出するレバー部材73の操作部733の下側後方には、左前パネル25の下部傾斜部262が位置している。下部傾斜部262は、下側になるにつれて後方に傾斜している。よって、使用者は、下部傾斜部262に指を当て上側に滑らすことで、左前パネル25の前面部26を見なくても、レバー部材73の操作部733に指を容易に当てることができる。即ち、本実施形態のように、レバー部材73の操作部733が目立たない位置にあっても、下部傾斜部262に沿って指を滑らすことによって、操作部733に指を容易に当てることができる。これにより、支持筒50に対するレバー部材73の取り外し性を向上できる。
以上説明において、左前パネル25が本発明の「前パネル」の一例である。左前パネル25の開口部34が本発明の「開口部」の一例である。支持筒50が本発明の「支持部材」の一例である。レバー部材73に設けられた突起部81が本発明の「係合部」の一例である。支持筒50に設けられた係止突起57が本発明の「被係合部」の一例である。
以上説明したように、本実施形態のコンロ1は、筐体2を備える。筐体2の前面左側には、左前パネル25がネジで取り付けられている。左前パネル25には、開口部34が設けられ、その開口部34には、電池ボックス70を前後方向にスライド可能に支持する支持筒50が設けられている。電池ボックス70の下部には、レバー部材73が設けられている。レバー部材73の下面には、支持筒50の底壁部54の上面に設けられた係止突起57に係合可能な突起部81が設けられている。電池ボックス70が支持筒50に支持され、且つ突起部81が係止突起57に係合した状態では、電池ボックス70の前面部72が開口部34に収納される。使用者がレバー部材73を上方向に引き上げることで、係止突起57に対する突起部81の係合が外れ、電池ボックス70が開口部34から前方向に引き出し可能な状態となる。
このようなコンロ1において、左前パネル25の前面部26は、上部傾斜部261、下部傾斜部262、湾曲部263を備える。上部傾斜部261は、前面部26の上端部から下側になるにつれて前方に傾斜する。下部傾斜部262は、前面部26の下端部において下側になるにつれて後方に傾斜する。湾曲部263は、上部傾斜部261と下部傾斜部262を湾曲状に繋ぐ。開口部34は、左前パネル25の前面部26のうち、上部傾斜部261の少なくとも下部と、湾曲部263と、下部傾斜部262とを含む領域に設けられている。電池ボックス70の前面部72は、ボックス側傾斜部721とボックス側湾曲部722を備える。ボックス側傾斜部721は、左前パネル25の上部傾斜部261に対応し、上部傾斜部261と同一方向に傾斜する。そして、ボックス側湾曲部722の下端部と、開口部34の下縁部との間には、横長の隙間38が形成されている。レバー部材73は、隙間38から前方に突出するように設けられている。
このような構成を備えることによって、電池ボックス70の前面部72において最も突出するボックス側湾曲部722よりも後ろ側で、且つ左前パネル25の前面部26の下部からレバー部材73を前方に向けて突出させることができるので、レバー部材73を目立ち難くすることができ、左前パネル25の美観を損なわない。また、左前パネル25の下部傾斜部262に指を当て上側に滑らすことで、レバー部材73に指を当て易くなっているため、電池ボックス70の取り外し性を向上できる。
また、上記実施形態では、左前パネル25の前面部26において、上部傾斜部261の上下幅は、湾曲部263の上下幅よりも広く形成されている。これにより、使用者の視線を上部傾斜部261に集中させ、レバー部材73への注意を低減させることができるので、レバー部材73により美観が損なわれるのを効果的に防止できる。
また、上記実施形態では、レバー部材73の先端部である操作部733は、開口部34から筐体2の外側に突出する位置より斜め下方向に屈曲して形成されている。これにより、レバー部材73をさらに目立たなくさせることができる。
また、上記実施形態では、レバー部材73の操作部733は、上部傾斜部261の傾斜角に沿うように形成されている。これにより、レバー部材73と、左前パネル25の上部傾斜部261とを一体のものとして視認させ易くすることができるので、レバー部材73が独立して存在する印象を低減できる。これにより、レバー部材73の存在感を低減できる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態のコンロ1はグリル付きテーブルコンロであるが、ビルトインタイプのコンロでもよい。また、コンロ1は、右コンロバーナ5と左コンロバーナ6の2つのコンロバーナを備えるが、コンロバーナの数は2つに限らず、1つでもよく、3つ以上であってもよい。
上記実施形態では、電池ボックス70を格納する開口部34を、左前パネル25の前面部26の左側に設けているが、開口部34の位置はこれ以外でもよく、例えば、右前パネル24の前面部に設けてもよい。
上記実施形態の電池ボックス70に設けられたレバー部材73において、操作部733は、上部傾斜部261の傾斜角に沿うように斜め下方向に屈曲して形成されているが、操作部733の傾斜角は、上部傾斜部261の傾斜角と同一でなくてもよい。また、操作部733を屈曲させずに、前方延設部732の延長線上に延ばしてもよい。さらに、操作部733の形状についても、矩形状以外でもよく、例えば三角形状でもよい。
上記実施形態の電池ボックス70において、背壁部714の外面には、一対の係止爪78,79が設けられているが、何れか一方のみでもよい。
上記実施形態の電池ボックス70において、前面部72の形状は、左前パネル25に設けられた開口部34の形状に対応させて矩形状にしているが、前面部72の形状が矩形状以外の形状であれば、その形状に合わせればよい。