JP5997015B2 - 壁体のせん断試験装置およびせん断試験装置への設置方法 - Google Patents

壁体のせん断試験装置およびせん断試験装置への設置方法 Download PDF

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本発明は、壁体のせん断試験装置と、壁体をせん断試験装置に設置する方法に関する。
木造耐力壁等の壁体のせん断試験装置として、試験体である壁体が設置される矩形枠状の装置フレームと、壁体の上端部と装置フレームとの間に設けられる加圧手段と、壁体に対して水平力を付加するジャッキ装置とを備えたものが知られている(特許文献1参照)。
特開平11−132927号公報
ところで、壁体のせん断試験を行うにあたっては、壁体を持ち運び可能なパネル状に形成されたものを用い、まず、このパネル状に形成された壁体を装置フレームに設置する作業が必要となる。
ところが、パネル状の壁体は、小型のものであっても人力で持ち上げるものとしては重量がある。しかも、壁体は、装置フレームの上部フレームと下部フレームとの間に配置しなければならないので、装置フレームに設置する際には、壁体を上方に持ち上げるとともに水平移動させたり、斜めに傾けたりする作業も必要となる。このため、壁体を装置に設置する作業は困難であった。
本発明の課題は、試験体である壁体を容易に設置することが可能な壁体のせん断試験装置およびせん断試験装置への設置方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、例えば図1〜図8に示すように、試験体である壁体2のせん断試験を行うためのせん断試験装置1において、
矩形枠状に形成され、その枠内に前記壁体2が設置される装置フレーム10と、
前記装置フレーム10に設けられ、前記壁体2に対して水平力を付加する水平力付加手段20と、
前記装置フレーム10に設けられ、前記壁体2を吊り上げる吊り上げ手段30と、
前記装置フレーム10に設けられ、該装置フレーム10に設置された前記壁体2の上端部を前後から挟持する振れ止め手段40と、を備えており、
前記吊り上げ手段30は、該吊り上げ手段30を前記装置フレーム10の枠内の位置と該装置フレーム10よりも前方に離間する位置との間で移動させる前後スライド手段33を有しており、
前記振れ止め手段40は、せん断試験時に前記壁体2よりも前方に位置する振れ止め部材42と、
前記振れ止め部材42を前記装置フレーム10に近接する位置と該装置フレーム10よりも前方に離間する位置との間で移動させる前後スライド手段42aと、を有することを特徴とする。
なお、前記壁体としては、建築用木質パネルや、建築用木質パネルを柱梁で囲むようにして構成された壁体、建築用木質パネルを門型に組み立ててなる門型フレーム等の木造耐力壁が挙げられる。さらに、鉄骨をフレームとする壁体等も含むものとする。さらに、壁体の一部を構成し、かつ略矩形枠状に形成された制振装置や、この制振装置が組み込まれた木造壁等も含むものとする。
ここで、前記建築用壁パネルとは、縦横の框材を矩形枠状に組み立ててなる枠体と、この枠体の両面に貼設される面材とを有するものである。
請求項1に記載の発明によれば、吊り上げ手段30は、該吊り上げ手段30を装置フレーム10の枠内の位置と該装置フレーム10よりも前方に離間する位置との間で移動させる前後スライド手段33を有するので、前後スライド手段33によって装置フレーム10よりも前方に離間する位置に移動させられた吊り上げ手段30の直下に壁体2を配置し、この壁体2を吊り上げ手段30で吊り上げ、吊り上げ手段30を、前後スライド手段33によって装置フレーム10の枠内の位置に移動させる手順で、壁体2をせん断試験装置1に設置することができる。
これによって、例えば壁体2を、装置フレーム10の枠内に人力で持ち上げたり、斜めに傾けながら吊り上げ手段30によって吊り上げたりする場合に比して、壁体2をせん断試験装置1に対して容易に設置することが可能となる。
また、振れ止め手段40が、振れ止め部材42を装置フレーム10に近接する位置と該装置フレーム10よりも前方に離間する位置との間で移動させる前後スライド手段42aを有するので、振れ止め部材42を前後スライド手段42aによって装置フレーム10よりも前方に離間する位置に移動させることができる。
これによって、振れ止め部材42が、壁体2を吊り上げ手段30の直下に配置する際と吊り上げ手段30によって壁体2を吊り上げる際に妨げとならないので、壁体2をせん断試験装置1に対して、より容易に設置することが可能となる。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の壁体2のせん断試験装置1において、
前記装置フレーム10に、該装置フレーム10の左右方向に沿ってレール15,15が設けられており、
前記吊り上げ手段30および前記振れ止め手段40は前記レール15,15に沿って左右スライド可能に構成されていることを特徴とする。
請求項に記載の発明によれば、吊り上げ手段30および振れ止め手段40の双方がレール15,15に沿って左右スライド可能に構成されているので、吊り上げ手段30を左右に位置調整して、壁体2をバランスよく吊り上げることができるとともに、振れ止め手段40を左右に位置調整して、壁体2をバランスよく立たせて振れ止めを行うことができる。これによって、壁体2をせん断試験装置1に対して、さらに容易に設置することが可能となるだけでなく、せん断試験においても正確な試験結果を得やすくなる。
また、吊り上げ手段30と振れ止め手段40とで別々に左右スライドのための手段を用意する必要がなくなるので、せん断試験装置1の製造に係るコストの軽減を図ることができる。
また、吊り上げ手段30および振れ止め手段40の双方が同じレール15,15に沿ってスライドするので、吊り上げ手段30と振れ止め手段40の並びがバラバラになることがなくなる。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の壁体2のせん断試験装置1において、
前記レール15には、該レール15の長さ方向に間隔をあけて複数の孔部15a…が形成され、
前記吊り上げ手段30および前記振れ止め手段40は、前記レール15上に位置する部位に貫通形成されるネジ孔32d,44dを有しており、
前記吊り上げ手段30および前記振れ止め手段40の左右方向の位置を固定する場合に、前記ネジ孔32d,44dに螺合するボルト16の先端部16aが前記複数の孔部15a…のいずれかに嵌合されることを特徴とする。
請求項に記載の発明によれば、ボルト16をネジ孔32d,44dに螺合させ、先端部16aを複数の孔部15a…のいずれかに嵌合させれば、吊り上げ手段30および振れ止め手段40の左右の位置を固定できるので、左右の位置を固定された吊り上げ手段30によって壁体2をバランスよく確実に吊り上げることができるとともに、左右の位置を固定された振れ止め手段40によって壁体2をバランスよく確実に立たせて振れ止めを行うことができる。これによって、壁体2をせん断試験装置1に対して、より容易に設置することが可能となるだけでなく、せん断試験においてもより正確な試験結果を得やすくなる。
請求項に記載の発明は、請求項1〜のいずれか一項に記載の壁体2のせん断試験装置1において、
前記装置フレーム10に設けられ、前記壁体2を下方に向かって押さえる押さえ手段50をさらに備えることを特徴とする。
請求項に記載の発明によれば、せん断試験装置1が、装置フレーム10に設けられ、壁体2を下方に向かって押さえる押さえ手段50をさらに備えるので、この押さえ手段50によって、せん断試験時の壁体2の浮き上がりを防止したり、鉛直荷重がかかる現実の状況を想定した実験を可能とすることができる。
請求項に記載の発明は、例えば図1〜図8に示すように、試験体である壁体2をせん断試験装置1に設置する方法において、
前記せん断試験装置1に備えられた前記壁体2を吊り上げるための吊り上げ手段30を、この吊り上げ手段30が有する前後スライド手段33によって、前記せん断試験装置1を構成する矩形枠状の装置フレーム10よりも前方に離間する位置に移動させておき、
前記せん断試験装置1に備えられ、前記装置フレーム10に設置される壁体2の上端部を挟持して振れ止めを行う振れ止め手段40を構成する振れ止め部材42を、該振れ止め手段40が有する前後スライド手段42aによって前記装置フレーム10よりも前方に離間する位置に移動させておき、
前記壁体2を、前記吊り上げ手段30の直下に配置し、
前記吊り上げ手段30によって前記壁体2を吊り上げた後に、前記吊り上げ手段30を、この吊り上げ手段30が有する前記前後スライド手段33によって前記装置フレーム10の枠内の位置に移動させ
前記壁体2を前記装置フレーム10に設置した後に、前記振れ止め部材42を、この振れ止め手段42が有する前記前後スライド手段42aによって前記装置フレーム10に近接する位置に移動させることを特徴とする。
請求項に記載の発明によれば、吊り上げ手段30を前後スライド手段33によって装置フレーム10よりも前方に離間する位置に移動させ、壁体2を吊り上げ手段30の直下に配置し、吊り上げ手段30によって壁体2を吊り上げた後に、吊り上げ手段30を、前後スライド手段33によって装置フレーム10の枠内の位置に移動させるので、例えば壁体2を、装置フレーム10の枠内に人力で持ち上げたり、斜めに傾けながら吊り上げ手段30によって吊り上げたりする場合に比して、壁体2をせん断試験装置1に対して容易に設置することが可能となる。
また、壁体2を吊り上げ手段30の直下に配置する前に、振れ止め手段40を構成する振れ止め部材42を前後スライド手段42aによって装置フレーム10よりも前方に離間する位置に移動させておき、壁体2を装置フレーム10に設置した後に、振れ止め部材42を、前後スライド手段42aによって装置フレーム10に近接する位置に移動させるので、振れ止め部材42が、壁体2を吊り上げ手段30の直下に配置する際と吊り上げ手段30によって壁体2を吊り上げる際に妨げとなることを防ぐことができ、壁体2をせん断試験装置1に対して、より容易に設置することが可能となる。
本発明によれば、試験体である壁体を、装置フレームの枠内に人力で持ち上げたり、斜めに傾けながら吊り上げ手段によって吊り上げたりする場合に比して、壁体をせん断試験装置に対して容易に設置することが可能となる。
本発明に係るせん断試験装置と設置された状態の壁体とを示す正面図である。 吊り上げ手段の一例を示す側面図である。 吊り上げ手段の他の一例を示す斜視図である。 図1のせん断試験装置の振れ止め手段付近を示す拡大側断面図である。 同、拡大正面図である。 同、拡大平面図である。 振れ止め部材の詳細を示す図である。 レール部材の詳細を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1において符号1は、せん断試験装置を示す。このせん断試験装置1は、装置フレーム10と、水平力付加手段であるジャッキ装置20と、吊り上げ手段30と、振れ止め手段40と、押さえ手段50と、を備える。
また、せん断試験装置1に設置される試験体は、パネル状に形成された壁体2である。本実施の形態の壁体2は、矩形枠体2aの枠内に複数の建築用壁パネル2b,2b,2bを組み込んだ状態に形成されている。すなわち、この壁体2は、建築用木質パネルを柱梁で囲むようにして構成された壁体が採用されている。
前記矩形枠体2aは、前記せん断試験装置1に対して水平に設置される下辺部3と、該下辺部3の上方に水平配置される上辺部4と、これら下辺部3と上辺部4との間に設けられる柱材としての複数の側辺部5,5と、を備える。
下辺部3および上辺部4は、その両端部が側辺部5,5よりも横方向に突出している。下辺部3は、このように両端部が側辺部5,5よりも横方向に突出することにより、壁体2全体の設置バランスの向上に貢献している。上辺部4は、このように両端部が側辺部5,5よりも横方向に突出することにより、前記ジャッキ装置20との連結がしやすくなっている。
なお、試験時において上辺部4と前記ジャッキ装置20は連結されるため、該上辺部4の一端部には、ジャッキ装置20連結用の金物4aが取り付けられ、ボルト等により強固に固定されている。
複数の側辺部5,5の下端部にはボックス状の柱梁接合部材5a,5aが取り付けられている。前記せん断試験装置1には上方に突出するアンカーボルト6,6が設けられており、これらアンカーボルト6,6の上端部は前記下辺部3を貫通して上方に突出し、前記柱梁接合部材5a,5aのボックス内部に配置された状態となっている。そして、ナットを締結することにより、前記せん断試験装置1と複数の側辺部5,5とが前記下辺部3を介して連結された状態となる。
前記建築用壁パネル2bは、縦横の框材が矩形状に組み立てられるとともに、矩形枠の内部に補助桟材が縦横に組み付けられて枠体が構成され、この枠体の両面に面材が貼設されたものであり、内部中空な構造となっている。さらに、その内部中空な部分には、通常、グラスウールやロックウール等の断熱材が装填されるものである。
本実施の形態においては、三つの建築用壁パネル2b,2b,2bが上下に方向に重ねて配置されている。なお、一つ一つの建築用壁パネル2bは、長辺が横方向に沿うように、かつ短辺が上下方向に沿うようにして配置されている。
また、建築用壁パネル2b,2b,2b同士や、建築用壁パネル2b,2b,2bと前記矩形枠体2aとは、接着剤やボルト等によって強固に固定されているものとする。
なお、本実施の形態の壁体2は、上述のように建築用木質パネルを柱梁で囲むようにして構成された壁体を採用したが、これに限られるものではなく、建築用木質パネル(前記建築用壁パネル2b)自体を壁体2として採用してもよいし、建築用木質パネルを門型に組み立ててなる門型フレームを壁体2として採用してもよい。
また、このような木造耐力壁だけ限られるものではなく、鉄骨をフレームとする壁体を本実施の形態の壁体2として採用してもよいものとする。
さらには、壁体の一部を構成し、かつ略矩形枠状に形成された制振装置や、この制振装置が組み込まれた木造壁等を本実施の形態の壁体2として採用してもよいものとする。
なお、前記制振装置としては、例えば矩形枠状の矩形フレームと、矩形フレームに対向して設けられた一対の支持部と、この一対の支持部間に配置され、、かつ該一対の支持部によって支持された上下の長尺な振り子部材と、矩形フレームの上下部に設けられた高減衰ゴム等が内蔵された制振ボックスとを備えるものが採用される。ただし、これに限られるものではない。
また、前記制振装置が組み込まれた木造壁としては、例えば略矩形枠状の制振装置の外周側に壁パネル部品を枠状に組み付けて形成される制振壁パネルが採用される。ただし、これに限られるものではない。
次に、前記装置フレーム10は、前記壁体2が設置され、該壁体2の試験が行われる試験台であり、ベース部11と、下部フレーム12と、上部フレーム13と、複数の縦フレーム14,14と、を有する。
なお、これらベース部11、下部フレーム12、上部フレーム13、縦フレーム14,14はH型鋼等の鋼材からなる長尺材であり、これら長尺材は、両端部や中間部において、同じく鋼材からなるリブ等が溶接されることによって補強されている。また、これら長尺材同士は、ボルトや溶接等により強固に接合されている。
ベース部11は、試験施設等の試験場所の床に水平に設置されるものであり、複数のアンカーボルトを用いるなどして、床に対して強固に固定されていることが望ましい。
下部フレーム12は、前記ベース部11の上面に水平に設置され、溶接やボルト留め等によって、該ベース部11に対して強固に固定されている。また、この下部フレーム12の上板部には前記アンカーボルト6,6が固定されている。さらに、上面には複数の縦フレーム14,14が互いに間隔をあけて立設されている。
上部フレーム13は、前記下部フレーム12の上方に水平に配置され、複数の縦フレーム14,14の上端部間に架設されている。
次に、前記ジャッキ装置20は、試験体である前記壁体2に対して水平力を付加するものであり、水平力を付加するための装置本体21と、上下スライド部22と、吊り下げ手段23と、を備える。
装置本体21は水平に、かつ前記壁体2の上辺部4と略等しい高さに配置されている。そして、水平方向に可動な先端部21aが前記上辺部4の一端部に近接している。さらに、この先端部21aには、この先端部21aと前記上辺部4に取り付けられた連結用金物4aとを連結する連結部材21cが設けられている。
なお、本実施の形態の装置本体21には油圧ジャッキが採用されており、コンピュータによる操作・管理が可能に設定されている。
上下スライド部22は、前記装置本体21の基端部21bが一体的に設けられるとともに前記装置フレーム10の一方の縦フレーム14に沿って上下スライドするものである。
この上下スライド部22は、図示はしないが平面視において矩形状に形成され、前記縦フレーム14を囲繞した状態となっている。
吊り下げ手段23は、本実施の形態においてはチェーンブロックであり、チェーンを一方向または他方向に手繰ることによって、装置本体21を、上下スライド部22を介して前記縦フレーム14に沿って上方に移動させたり下方に移動させたりすることができる。
次に、前記吊り上げ手段30は、図1,図2に示すように、試験体である前記壁体2を吊り上げるための手段であり、壁体2をバランスよく吊り上げるために、前記装置フレーム10の上部フレーム13に対して二つ装備されている。なお、本実施の形態においてはウィンチ31(巻き揚げ機)が採用されている。
そして、これら二つの吊り上げ手段30,30はそれぞれ、前記ウィンチ31と、左右スライド部32と、前後スライド手段33と、を有する。
ウィンチ31は、該ウィンチ31のドラムに巻き取られるワイヤーロープ31aと、このワイヤーロープ31aの先端に設けられるフック31bと、ドラムを回転させるためのモータ31cと、を備える。また、ウィンチ31は、該ケージ31dによって保持されている。
また、前記壁体2を吊り上げる際には、前記上辺部4の両端部に巻かれる吊り上げ用バンド31e,31eを前記フック31bに引っ掛けてから吊り上げていくものとする。
左右スライド部32は、前記装置フレーム10の上部フレーム13に沿って左右スライドするものである。この左右スライド部32は、図2に示すように矩形枠状に形成され、前記上部フレーム13を囲繞した状態となっている。
なお、矩形枠状の左右スライド部32を構成する上面板部32aの下面には、複数のローラーを有するローラー部32cが複数設けられている。さらに、上部フレーム13の上面には複数のレール15,15が固定されている。そして、ローラー部32cは複数のローラーが回転することにより前記レール15に沿って移動できるようになっている。
前後スライド手段33は、ウィンチ31を前後にスライドさせるための手段であり、本実施の形態においては、複数のレール33a,33aと、このレール33aに沿ってスライドする複数のスライダー33b,33bと、を備える。
複数のレール33a,33aの上端部は前記左右スライド部32を構成する下面板部32bの下面に固定され、複数のスライダー33b,33bの下端部は、前記ケージ31dの上面に固定されている。つまり、この前後スライド手段33は、前記ケージ31dを前後スライドさせることにより前記ウィンチ31を前後スライドできるように形成されている。
なお、本実施の形態の吊り上げ手段30はウィンチ31を採用したが、これに限られるものではなく、例えば図3に示すようにチェーンブロック35等を採用してもよい。
また、前記前後スライド手段として、図3に示すような所謂リニアガイド36(直動ガイド)を採用してもよいものとする。また、リニアガイド36のスライダー36aの下面にチェーンブロック35を吊るすためのリング36bが設けられている。また、左右スライド部32の下面板部32bには前方に突出する鋼材36cが固定され、この鋼材36cの下面に前記リニアガイド36のレール36dが固定されている。
次に、前記振れ止め手段40は、図1,図4〜図7に示すように、せん断試験時に壁体2の上端部を挟持するための手段であり、壁体2をバランスよく立たせておくために、前記装置フレーム10の上部フレーム13に対して二つ装備されている。
そして、これら二つの振れ止め手段40,40はそれぞれ、固定側の振れ止め部材41と、可動側の振れ止め部材42と、ガイド部材43と、左右スライド手段44と、複数の連結部材45,45と、を有する。
固定側の振れ止め部材41は、壁体2の上端部後面側に配置され、該壁体2の上端部後面に当接する棒状のものである。また、可動側の振れ止め部材42は、壁体2の上端部前面側に配置され、該壁体2の上端部前面に当接する棒状のものである。
すなわち、これら固定側の振れ止め部材41と可動側の振れ止め部材42とで壁体2の上端部を挟持し、せん断試験時における壁体2の振れ止めを行うことができる。
また、固定側の振れ止め部材41は前後方向への移動が固定され、可動側の振れ止め部材42は、固定側の振れ止め部材41に対して前後方向にスライド可能となっている。
さらに、固定側および可動側の振れ止め部材41,42はそれぞれ、該振れ止め部材41,42の長さ方向に設けられる2本の断面C型鋼材60,60と、該振れ止め部材41,42の長さ方向に設けられる2枚のプレート61,61とによって主要な棒状部分が形成された状態となっている。該振れ止め部材41,42の上部には、後述するボルト穴41d,42dを形成するための2枚のプレート62,62が設けられている。
ガイド部材43は、前記固定側の振れ止め部材41が固定されるとともに、前記可動側の振れ止め部材42が保持されるものであり、図6に示すように平面視矩形枠状に、かつ前後方向に長尺に形成されている。
すなわち、固定側の振れ止め部材41は、ガイド部材43の枠内に挿入されるとともに該ガイド部材43に固定されている。一方、可動側の振れ止め部材42は、ガイド部材43の枠内に挿入され、該枠内側面に沿って前後方向にスライド可能とされている。
より詳細に説明すると、可動側の振れ止め部材42とガイド部材43の上面との間には、図4〜図6に示すように、前記可動側の振れ止め部材42の前後スライド手段である走行体42aが設けられている。
走行体42aは、中央に前記可動側の振れ止め部材42が貫通固定されるプレート42bと、このプレート42bの下部に設けられるとともに複数のローラーを具備するローラー部42cと、を備える。そして、この走行体42aは、前記ガイド部材43の上面に沿って前後方向に走行する構成となっている。
また、走行体42aは、前記可動側の振れ止め部材42に対して、前記プレート42bの上面と前記可動側の振れ止め部材42の側面とに当接する複数のアングル部材46,46を介して固定されている。
また、前記可動側の振れ止め部材42の上部の両側面には、図7(a),(b)に示すように、可動側の振れ止め部材42の上下方向に複数のボルト穴42d…が形成され、前記複数のアングル部材46,46は該複数のボルト穴42d…にボルト留めされている。
これによって、前記可動側の振れ止め部材42は、前記ガイド部材43に対して上下方向に位置調整することが可能となっている。
また、固定側の振れ止め部材41は、前記ガイド部材43の上面に固定されたスペーサー46aに対して、該スペーサー46aの上面と前記固定側の振れ止め部材41の側面とに当接する複数のアングル部材46,46を介して固定されている。
前記スペーサー46aの高さは、前記走行体42aの高さと略等しくなるように設定されており、これによって、固定側の振れ止め部材41のアングル部材46の高さ位置と、可動側の振れ止め部材42のアングル部材46の高さ位置とが揃った状態となっている。
また、前記固定側の振れ止め部材41も、前記可動側の振れ止め部材42と同様に複数のボルト穴41d…を備え、該複数のボルト穴41d…に前記複数のアングル部材46,46がボルト留めされている。
これによって、前記固定側の振れ止め部材41も、前記ガイド部材43に対して上下方向に位置調整することが可能となっている。
さらに、固定側の振れ止め部材41と可動側の振れ止め部材42は、前記上部フレーム13の上方の位置と下方の位置とで連結部材45,45によって連結されている。
連結部材45は表面にネジが形成された棒状体であり、せん断試験時には振れ止め部材41,42間に架設され、振れ止め部材41,42の前面側および後面側に位置するようにして複数のナット45aが締結される。なお、このようにせん断試験時にはナット45aが締結され、固定側の振れ止め部材41と可動側の振れ止め部材42とが連結された状態となるが、せん断試験時以外では、固定側の振れ止め部材41と可動側の振れ止め部材42とが連結されず、可動側の振れ止め部材42は前後方向にスライドできる。
すなわち、この連結部材45は、前記走行体42aの前後方向の位置を固定できる位置固定手段として機能することになる。
なお、固定側の振れ止め部材41および可動側の振れ止め部材42には、前後方向に沿って複数の貫通孔41e…,42e…が形成され、前記連結部材45が挿入貫通できるようになっている。
また、固定側の振れ止め部材41および可動側の振れ止め部材42のうち、前記連結部材45が設けられる前記上部フレーム13の上方の位置においては、貫通孔41e,42eは一つ形成されている。
また、固定側の振れ止め部材41および可動側の振れ止め部材42のうち、前記連結部材45が設けられる前記上部フレーム13の下方の位置においては、貫通孔41e,42eは上下方向に複数形成されている。したがって、連結部材45の高さ位置を調整できるようになっている。
また、固定側の振れ止め部材41と可動側の振れ止め部材42の上端面には、該固定側の振れ止め部材41および可動側の振れ止め部材42またはガイド部材43を操作する際に持つ把手41f,42fがそれぞれ、プレート63を介して設けられている。
また、固定側の振れ止め部材41と可動側の振れ止め部材42の下端部には、壁体2の上端部に当接する当接ボルト47,47がそれぞれ設けられている。
固定側の振れ止め部材41と可動側の振れ止め部材42の下端部には、該下端部を前後方向に貫通する貫通孔41g,42gが形成され、該貫通孔41g,42gの内側面にはネジが形成されている。
当接ボルト47は、前記固定側の振れ止め部材41の下端部に対しては、前記壁体2に直接当接する先端部47aが前方側に位置するようにして設けられている。また、この当接ボルト47には、前記固定側の振れ止め部材41の下端部前面に当接するナット47bが締結され、当接ボルト47の取付強度を高めている。
さらに、当接ボルト47は、前記可動側の振れ止め部材42の下端部に対しては、前記先端部47aが後方側に位置するようにして設けられている。また、この当接ボルト47には、前記可動側の振れ止め部材42の下端部後面に当接するナット47bが締結され、当接ボルト47の取付強度を高めている。
なお、これら当接ボルト47,47はボルトであるため、回転させることによって、前記先端部47a,47aの前後方向の位置を調整できるようになっている。
左右スライド手段44は、前記ガイド部材43の下面に固定され、該ガイド部材43を、前記上部フレーム13の上面の長さ方向に沿ってスライドさせるものである。なお、この左右スライド手段44は、左右スライドをスムーズにするために、前記上部フレーム13に対して前面側と後面側の二箇所に装備されている。
より詳細に説明すると、前記左右スライド手段44,44は、図4に示すように側面視略コ字状に形成されたコ字状部材であり、その内側部分に前記上部フレーム13の上面部の前端部および後端部が差し込まれた状態となっている。
換言すれば、各コ字状部材44が前記上部フレーム13の上面部の前端部および後端部を把持したような状態となっており、さらに、二つのコ字状部材44,44によって前記上部フレーム13の上面部を、前方と後方から挟み込んだような状態となっている。
また、コ字状部材44の上面部44aは、側面視において下面部44bよりも幅広に形成されている。換言すれば前後方向の奥行きがある状態となっている。
そして、このコ字状部材44の上面部44aの下面には、複数のローラーを有するローラー部44cが設けられている。さらに、上部フレーム13の上面には前記複数のレール15,15が固定されている。そして、ローラー部44cは複数のローラーが回転することにより前記レール15に沿って移動できるようになっている。
次に、前記押さえ手段50は、図1に示すように、壁体2を下方に向かって押さえるための手段である。せん断試験時に壁体2の浮き上がりを防止したり、鉛直荷重がかかる現実の状況を想定した実験を可能とするために、前記装置フレーム10の上部フレーム13と前記壁体2の上辺部4との間に設けられている。
なお、本実施の形態の押さえ手段50としては、ジャッキ装置が採用されている。このジャッキ装置50は、より効果的に壁体2の浮き上がりを防止したりするために、該壁体2の側辺部5,5の上方に位置するように複数配置されている。前記側辺部5,5の上方とは、すなわち前記壁体2の下端部が前記下部フレーム12に固定された箇所の上方に該当する。
また、これらジャッキ装置50,50は前記下部フレーム12に対して、該下部フレーム12の長さ方向にスライド可能に設けられている。
次に、前記上部フレーム13の上面に設けられた前記レール15,15について説明する。これらレール15,15は、上述のように前記吊り上げ手段30と前記振れ止め手段40の左右スライドの際に共通して用いられるものである。すなわち、前記吊り上げ手段30のローラー部32cも、前記振れ止め手段40のローラー部44cも、前記レール15,15に沿って移動するように設定されている。
また、レール15には、図8に示すように、座堀加工された複数の孔部15a…が該レール15の長さ方向に間隔をあけて形成されている。そして、孔部15aには位置固定用のボルト16の先端部16aが嵌合するように構成されている。
位置固定用のボルト16は、図3,図8(a)に示すように、前記吊り上げ手段30の上面板部32aに貫通形成されるネジ孔32dに設けられるボルトであり、前記先端部16aが前記レール15の孔部15aに嵌合するまで該位置固定用のボルト16をねじ込んでいけば、前記吊り上げ手段30の左右方向の位置を固定させることができる。
すなわち、前記吊り上げ手段30は、前記レール15上に位置する部位に貫通形成されるネジ孔32dを有するものである。そして、このネジ孔32dは前記ボルト16が螺合される。
また、この位置固定用のボルト16は、図2,図4〜図6,図8に示すように、前記振れ止め手段40のコ字状部材44の上面部44aに貫通形成されるネジ孔44dに設けられるボルトであり、前記先端部16aが前記レール15の孔部15aに嵌合するまで該位置固定用のボルト16をねじ込んでいけば、前記振れ止め手段40の左右方向の位置を固定させることができる。
すなわち、前記振れ止め手段40は、前記レール15上に位置する部位に貫通形成されるネジ孔44dを有するものである。そして、このネジ孔44dは前記ボルト16が螺合される。
なお、レール15,15の両端部には、図1に示すように、ストッパー15b,15bが設けられている。
なお、前記吊り上げ手段30,30と、前記振れ止め手段40,40と、前記押さえ手段50,50の並び順は、図1に示すように、最も内側に前記振れ止め手段40,40が配置され、これら振れ止め手段40,40の左側および右側に前記押さえ手段50,50が配置され、これら押さえ手段50,50の左側および右側に前記吊り上げ手段30,30が配置されている。
また、これら前記吊り上げ手段30,30と、前記振れ止め手段40,40と、前記押さえ手段50,50の並び順は変更が効かないため、幅寸法の短い壁体の場合は、互いに間隔を狭めるように調整する必要がある。
次に、以上のように構成されたせん断試験装置1に、前記壁体2を設置する方法について説明する。
まず、吊り上げ手段30,30を動作させる。すなわち、ウィンチ31,31を、図2に示すような後方にある状態から、前後スライド手段33,33を用いて前方へとスライド移動させる。
続いて、振れ止め手段40,40を動作させる。すなわち、可動側の振れ止め部材42,42を、図4に示すような装置フレーム10に近接する状態から、走行体42a,42aを用いて前方へとスライド移動させる。
なお、この時、連結部材45,45は取り外された状態となっている。
また、固定側の振れ止め部材41の当接ボルト47の先端部47aは、図2に示すような状態よりも後方に位置し、可動側の振れ止め部材42の当接ボルト47の先端部47aも、図2に示すような状態よりも前方に位置した状態となっている。すなわち、先端部47a,47aの間隔が壁体2の厚みよりも広く余裕を持った状態となっている。
続いて、壁体2をせん断試験装置1の近傍まで搬送し、前方にスライド移動させたウィンチ31,31の直下に配置する。
続いて、壁体2の上辺部4の両端部に吊り上げ用バンド31e,31eを巻いてからウィンチ31,31のフック31b,31bに引っ掛ける。そして、ウィンチ31,31によって壁体2を、該壁体2の下端部が前記装置フレーム10の下部フレーム12よりも上方に位置するまで吊り上げる。
続いて、ウィンチ31,31を、図2に示すような状態へと戻す。この時、壁体2も同時に下部フレーム12と上部フレーム13との間に配置された状態となる。
なお、壁体2の左右の位置を、前記左右スライド部32,32を上部フレーム13の長さ方向に沿って移動させることによって適宜調整する。
壁体2を降ろす位置が決まったら、前記位置固定用のボルト16,16をレール15,15の孔部15a,15aに嵌合させてウィンチ31,31の左右の位置を固定し、その後、ウィンチ31,31によって壁体2を下部フレーム12の上面に降ろす。
なお、前記アンカーボルト6,6を予め下部フレーム12に固定しておき、これらアンカーボルト6,6を壁体2の降ろす位置の位置決め手段として用いてもよいものとする。
続いて、せん断試験装置1の下部フレーム12と壁体2の側辺部5,5とを、壁体2の柱梁接合部材5a,5aおよびアンカーボルト6,6を介して連結する。
続いて、可動側の振れ止め部材42,42を、図4に示すような状態へと戻す。
また、前記連結部材45,45によって、固定側の振れ止め部材41と可動側の振れ止め部材42とを連結する。これによって、可動側の振れ止め部材42の前後スライド動作をロックすることができる。
また、前記位置固定用のボルト16,16をレール15,15の孔部15a,15aに嵌合させて振れ止め手段40,40の左右の位置を固定する。
なお、固定側の振れ止め部材41および可動側の振れ止め部材42の高さ調整は、木造耐力壁2の高さに応じて適宜行っておくものとする。
その後、固定側の振れ止め部材41の当接ボルト47の先端部47aを、図2に示すような状態に戻し、可動側の振れ止め部材42の当接ボルト47の先端部47aも、図2に示すような状態に戻す。そして、当接ボルト47,47の先端部47a,47aを、壁体2の上端部の前面および後面に当接させる。これによって、固定側の振れ止め部材41と可動側の振れ止め部材42とで壁体2の上端部を挟持することができる。
なお、この時、図1に示すように当接ボルト47,47の先端部47a,47aと、壁体2の上端部の前面および後面との間に、金属製の板材48,48を噛ませてもよい。すなわち、せん断試験時の揺れによって当接ボルト47の先端部47aが壁体2の上辺部4に食い込んでしまうことを防止できる。
続いて、前記ジャッキ装置20の装置本体21の先端部21aと前記上辺部4に設けられた連結用金物4aとを、前記連結部材21cによって連結する。なお、ジャッキ装置20の高さ調整は、前記吊り下げ手段23によって適宜行うものとする。
また、側辺部5,5の上方に位置するように複数配置された前記押さえ手段50,50によって、壁体2を下方に向かって押さえる。
そして、前記ウィンチ31,31のフック31b,31bを前記吊り上げ用バンド31e,31eから取り外し、吊り上げ用バンド31e,31eも前記上辺部4の両端部から取り外す。また、フック31b,31bを巻き上げておく。
以上のようにして壁体2をせん断試験装置1に設置することができる。
その後、前記ジャッキ装置20を用いて壁体2のせん断試験を行う。せん断試験終了後は、壁体2の状態も考慮した上で、基本的には上記のような設置手順とは逆の手順で壁体2をせん断試験装置1から吊り下ろすようにする。
本実施の形態によれば、前記前後スライド手段33によって前記装置フレーム10よりも前方に離間する位置に移動させられた前記吊り上げ手段30の直下に前記壁体2を配置し、この壁体2を前記吊り上げ手段30で吊り上げ、前記吊り上げ手段30を、前記前後スライド手段33によって前記装置フレーム10の枠内の位置に移動させる手順で、前記壁体2を前記せん断試験装置1に設置することができる。
これによって、例えば前記壁体2を、前記装置フレーム10の枠内に人力で持ち上げたり、斜めに傾けながら前記吊り上げ手段30によって吊り上げたりする場合に比して、前記壁体2を前記せん断試験装置1に対して容易に設置することが可能となる。
また、前記振れ止め手段40が、前記振れ止め部材42を前記装置フレーム10に近接する位置と該装置フレーム10よりも前方に離間する位置との間で移動させる前記走行体42aを有するので、前記振れ止め部材42を前記走行体42aによって前記装置フレーム10よりも前方に離間する位置に移動させることができる。
これによって、前記振れ止め部材42が、前記壁体2を前記吊り上げ手段30の直下に配置する際と前記吊り上げ手段30によって前記壁体2を吊り上げる際に妨げとならないので、前記壁体2を前記せん断試験装置1に対して、より容易に設置することが可能となる。
また、前記吊り上げ手段30および前記振れ止め手段40の双方が前記レール15,15に沿って左右スライド可能に構成されているので、前記吊り上げ手段30を左右に位置調整して、前記壁体2をバランスよく吊り上げることができるとともに、前記振れ止め手段40を左右に位置調整して、前記壁体2をバランスよく立たせて振れ止めを行うことができる。これによって、前記壁体2を前記せん断試験装置1に対して、さらに容易に設置することが可能となるだけでなく、せん断試験においても正確な試験結果を得やすくなる。
また、前記吊り上げ手段30と前記振れ止め手段40とで別々に左右スライドのための手段を用意する必要がなくなるので、前記せん断試験装置1の製造に係るコストの軽減を図ることができる。
また、前記吊り上げ手段30および前記振れ止め手段40の双方が同じレール15,15に沿ってスライドするので、前記吊り上げ手段30と前記振れ止め手段40の並びがバラバラになることがなくなる。
また、前記ボルト16を前記ネジ孔32d,44dに螺合させ、前記先端部16aを複数の孔部15a…のいずれかに嵌合させれば、前記吊り上げ手段30および前記振れ止め手段40の左右の位置を固定できるので、左右の位置を固定された前記吊り上げ手段30によって前記壁体2をバランスよく確実に吊り上げることができるとともに、左右の位置を固定された前記振れ止め手段40によって前記壁体2をバランスよく確実に立たせて振れ止めを行うことができる。これによって、前記壁体2を前記せん断試験装置1に対して、より容易に設置することが可能となるだけでなく、せん断試験においてもより正確な試験結果を得やすくなる。
また、前記せん断試験装置1が、前記装置フレーム10に設けられ、前記壁体2を下方に向かって押さえる前記押さえ手段50をさらに備えるので、この押さえ手段50によって、せん断試験時の前記壁体2の浮き上がりを防止したり、鉛直荷重がかかる現実の状況を想定した実験を可能とすることができる。
1 せん断試験装置
2 壁体
10 装置フレーム
20 水平力付加手段
30 吊り上げ手段
33 前後スライド手段
40 振れ止め手段

Claims (5)

  1. 試験体である壁体のせん断試験を行うためのせん断試験装置において、
    矩形枠状に形成され、その枠内に前記壁体が設置される装置フレームと、
    前記装置フレームに設けられ、前記壁体に対して水平力を付加する水平力付加手段と、
    前記装置フレームに設けられ、前記壁体を吊り上げる吊り上げ手段と、
    前記装置フレームに設けられ、該装置フレームに設置された前記壁体の上端部を前後から挟持する振れ止め手段と、を備えており、
    前記吊り上げ手段は、該吊り上げ手段を前記装置フレームの枠内の位置と該装置フレームよりも前方に離間する位置との間で移動させる前後スライド手段を有しており、
    前記振れ止め手段は、せん断試験時に前記壁体よりも前方に位置する振れ止め部材と、
    前記振れ止め部材を前記装置フレームに近接する位置と該装置フレームよりも前方に離間する位置との間で移動させる前後スライド手段と、を有することを特徴とする壁体のせん断試験装置。
  2. 請求項1に記載の壁体のせん断試験装置において、
    前記装置フレームに、該装置フレームの左右方向に沿ってレールが設けられており、
    前記吊り上げ手段および前記振れ止め手段は前記レールに沿って左右スライド可能に構成されていることを特徴とする壁体のせん断試験装置。
  3. 請求項2に記載の壁体のせん断試験装置において、
    前記レールには、該レールの長さ方向に間隔をあけて複数の孔部が形成され、
    前記吊り上げ手段および前記振れ止め手段は、前記レール上に位置する部位に貫通形成されるネジ孔を有しており、
    前記吊り上げ手段および前記振れ止め手段の左右方向の位置を固定する場合に、前記ネジ孔に螺合するボルトの先端部が前記複数の孔部のいずれかに嵌合されることを特徴とする壁体のせん断試験装置。
  4. 請求項1〜のいずれか一項に記載の壁体のせん断試験装置において、
    前記装置フレームに設けられ、前記壁体を下方に向かって押さえる押さえ手段をさらに備えることを特徴とする壁体のせん断試験装置。
  5. 試験体である壁体せん断試験装置に設置する方法において、
    前記せん断試験装置に備えられた前記壁体を吊り上げるための吊り上げ手段を、この吊り上げ手段が有する前後スライド手段によって、前記せん断試験装置を構成する矩形枠状の装置フレームよりも前方に離間する位置に移動させておき、
    前記せん断試験装置に備えられ、前記装置フレームに設置される壁体の上端部を挟持して振れ止めを行う振れ止め手段を構成する振れ止め部材を、該振れ止め手段が有する前後スライド手段によって前記装置フレームよりも前方に離間する位置に移動させておき、
    前記壁体を、前記吊り上げ手段の直下に配置し、
    前記吊り上げ手段によって前記壁体を吊り上げた後に、前記吊り上げ手段を、この吊り上げ手段が有する前記前後スライド手段によって前記装置フレームの枠内の位置に移動させ、
    前記壁体を前記装置フレームに設置した後に、前記振れ止め部材を、この振れ止め手段が有する前記前後スライド手段によって前記装置フレームに近接する位置に移動させることを特徴とする壁体のせん断試験装置への設置方法。
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