参考提案例にかかるリンク作動装置の一例を図1〜図6と共に説明する。
図1に示すように、このリンク作動装置51は、水平状のベース部材52と、このベース部材52にスペーサ52aを介して下向きに設置されたパラレルリンク機構1と、このパラレルリンク機構1を作動させる複数のアクチュエータ53と、各アクチュエータ53の駆動力をパラレルリンク機構1へ伝達する駆動伝達機構54と、各アクチュエータ53を制御する制御装置55とを備える。この例では、制御装置55が共にコントローラ56に設けられているが、制御装置55はコントローラ56と別に設けてもよい。また、リンク作動装置51は、パラレルリンク機構1および駆動伝達機構54から落下する潤滑剤を受ける潤滑剤受け部材100を有している。
パラレルリンク機構1は、前記ベース部材52に固定された基端側のリンクハブ2に対し先端側のリンクハブ3を3組のリンク機構4を介して姿勢変更可能に連結したものである。先端側のリンクハブ3は、基端側のリンクハブ2よりも常時下方に位置している。図2および図3はパラレルリンク機構1のそれぞれ異なる状態を示す正面図である。図1〜図3では、1組のリンク機構4のみが示されている。
図4は、パラレルリンク機構1を三次元的に表わした斜視図である。各リンク機構4は、基端側の端部リンク部材5、先端側の端部リンク部材6、および中央リンク部材7で構成され、4つの回転対偶からなる3節連鎖のリンク機構をなす。回転対偶とその周辺部を回転対偶部T1〜T4として示す。基端側および先端側の端部リンク部材5,6はL字状をなし、基端がそれぞれ基端側のリンクハブ2および先端側のリンクハブ3にそれぞれ回転自在に連結されている。中央リンク部材7は、両端に基端側および先端側の端部リンク部材5,6の先端がそれぞれ回転自在に連結されている。
基端側および先端側の端部リンク部材5,6は球面リンク構造で、3組のリンク機構4における球面リンク中心PA,PB(図2、図3)は一致しており、また、その球面リンク中心PA,PBからの距離も同じである。端部リンク部材5,6と中央リンク部材7との各回転対偶の中心軸は、ある交差角γをもっていてもよいし、平行であってもよい。
つまり、3組のリンク機構4は、幾何学的に同一形状をなす。幾何学的に同一形状とは、各リンク部材5,6,7を直線で表現した幾何学モデル、すなわち各回転対偶(回転対偶部T1〜T4)と、これら回転対偶間を結ぶ直線とで表現したモデルが、中央リンク部材7の中央部に対する基端側部分と先端側部分が対称を成す形状であることを言う。図5は、一組のリンク機構4を直線で表現した図である。
このリンク機構4は回転対称タイプで、基端側のリンクハブ2および基端側の端部リンク部材5と、先端側のリンクハブ3および先端側の端部リンク部材6との位置関係が、中央リンク部材7の中心線Cに対して回転対称となる位置構成になっている。図2は、基端側のリンクハブ2の中心軸QAと先端側のリンクハブ3の中心軸QBとが同一線上にある状態を示し、図3は、基端側のリンクハブ2の中心軸QAに対して先端側のリンクハブ3の中心軸QBが所定の作動角をとった状態を示す。各リンク機構4の姿勢が変化しても、基端側と先端側の球面リンク中心PA,PB間の距離dは変化しない。
基端側のリンクハブ2と先端側のリンクハブ3と3組のリンク機構4とで、基端側のリンクハブ2に対し先端側のリンクハブ3が直交2軸方向に移動自在な2自由度機構が構成される。言い換えると、基端側のリンクハブ2に対して先端側のリンクハブ3を、回転が2自由度で姿勢変更自在な機構である。この2自由度機構は、基端側のリンクハブ2の中心軸QA、先端側のリンクハブ3の中心軸QB、および中央リンク部材7の中心線Cの交点Pを中心として、基端側のリンクハブ2に対して先端側のリンクハブ3が姿勢を変更する。
この2自由度機構は、コンパクトでありながら、基端側のリンクハブ2に対する先端側のリンクハブ3の可動範囲を広くとれる。例えば、基端側のリンクハブ2の中心軸QAと先端側のリンクハブ3の中心軸QBの折れ角θ(図4)の最大値を約±90°とすることができる。また、基端側のリンクハブ2に対する先端側のリンクハブ3の旋回角φ(図4)を0°〜360°の範囲に設定できる。折れ角θは、基端側のリンクハブ2の中心軸QAに対して先端側のリンクハブ3の中心軸QBが傾斜した垂直角度のことであり、旋回角φは、基端側のリンクハブ2の中心軸QAに対して先端側のリンクハブ3の中心軸QBが傾斜した水平角度のことである。
このパラレルリンク機構1において、各リンク機構4の端部リンク部材5,6の軸部材13(図6)の角度、および長さが等しく、かつ基端側の端部リンク部材5と先端側の端部リンク部材6の幾何学的形状が等しく、かつ中央リンク部材7についても基端側のと先端側とで形状が等しいとき、中央リンク部材7の対称面に対して、中央リンク部材7と端部リンク部材5,6との角度位置関係を基端側と先端側とで同じにすれば、幾何学的対称性から基端側のリンクハブ2および基端側の端部リンク部材5と、先端側のリンクハブ3および先端側の端部リンク部材6とは同じに動く。例えば、基端側と先端側のリンクハブ2,3にそれぞれの中心軸QA,QBと同軸に回転軸を設け、基端側から先端側へ回転伝達を行う場合、基端側と先端側は同じ回転角になって等速で回転する等速自在継手となる。この等速回転するときの中央リンク部材7の対称面を等速二等分面という。
このため、基端側のリンクハブ2および先端側のリンクハブ3を共有する同じ幾何学形状のリンク機構4を円周上に複数配置させることにより、複数のリンク機構4が矛盾なく動ける位置として中央リンク部材7が等速二等分面上のみの動きに限定される。これにより、基端側と先端側とが任意の作動角をとっても、基端側と先端側とが等速回転する。
基端側のリンクハブ2および先端側のリンクハブ3は、その中心部に貫通孔10が軸方向に沿って形成され、外形が球面状をしたドーナツ形状をしている。貫通孔10の中心はリンクハブ2,3の中心軸QA,QBと一致している。これら基端側のリンクハブ2および先端側のリンクハブ3の外周面の円周方向に等間隔の位置に、基端側の端部リンク部材5および先端側の端部リンク部材6がそれぞれ回転自在に連結されている。
図6は、基端側のリンクハブ2等の水平断面図であって、基端側のリンクハブ2と基端側の端部リンク部材5の回転対偶部T1、基端側の端部リンク部材5と中央リンク部材7の回転対偶部T2,および先端側の端部リンク部材6と中央リンク部材7の回転対偶部T3が図示されている。なお、回転対偶部T2,T3については、一つのリンク機構4のものだけが図示されている。
基端側のリンクハブ2は、前記軸方向の貫通孔10と外周側とを連通する半径方向の連通孔11が円周方向3箇所に形成され、各連通孔11内に設けた二つの軸受12により軸部材13がそれぞれ回転自在に支持されている。軸部材13の外側端部は基端側のリンクハブ2から突出し、その突出ねじ部13aに基端側の端部リンク部材5が結合され、ナット14によって締付け固定されている。軸受12と基端側の端部リンク部材5との間には、間座部材16が介在している。つまり、回転対偶部T1は、一方の対偶構成部材である基端側のリンクハブ2と他方の対偶構成部材である基端側の端部リンク部材5とが、軸受12を介して互いに回転自在に連結されている。
また、基端側の端部リンク部材5と中央リンク部材7の回転対偶部T2は、中央リンク部材7の連通孔23内に二つの軸受24を設け、これら軸受24により、基端側の端部リンク部材5の先端の軸部25を回転自在に支持する構造である。つまり、回転対偶部T2は、一方の対偶構成部材である基端側の端部リンク部材5と他方の対偶構成部材である中央リンク部材7とが、軸受24を介して互いに回転自在に連結されている。軸受24は、間座部材26を介して、軸部25の先端ねじ部25aに螺着したナット27によって締付け固定されている。
以上、基端側のリンクハブ2と基端側の端部リンク部材5の回転対偶部T1、および基端側の端部リンク部材5と中央リンク部材7の回転対偶部T2について説明した。詳細な説明は省略するが、先端側のリンクハブ3と先端側の端部リンク部材6の回転対偶部T4は回転対偶部T1と同じ構造であり、先端側の端部リンク部材6と中央リンク部材7の回転対偶部T3は回転対偶部T2と同じ構成である。
このように、各リンク機構4における4つの回転対偶部T1〜T4に軸受12,24を設けた構造とすることにより、各回転対偶部T1〜T4での摩擦抵抗を抑えて回転抵抗の軽減を図ることができ、滑らかな動力伝達を確保できると共に耐久性を向上できる。
この軸受12,24を設けた構造では、軸受12,24に予圧を付与することにより、ラジアル隙間とスラスト隙間を無くし、回転対偶部T1〜T4のがたつきを抑えることができ、基端側のリンクハブ2側と先端側のリンクハブ3側間の回転位相差が無くなり等速性を維持できると共に振動や異音の発生を抑制できる。特に、前記軸受12,24の軸受隙間を負すきまとすることにより、基端側と先端側との間に生じるバックラッシュを少なくすることができる。
基端側のリンクハブ2および先端側のリンクハブ3に軸受12を埋設状態で設けたことにより、パラレルリンク機構1全体の外形を大きくすることなく、基端側のリンクハブ2および先端側のリンクハブ3の外形を拡大することができる。そのため、基端側のリンクハブ2および先端側のリンクハブ3を他の部材に取付けるための取付スペースの確保が容易である。
図1において、前記アクチュエータ53は、ロータリアクチュエータからなり、前記ベース部材52の上面に垂直に起立させた状態で設置され、その出力軸53aがベース部材52を貫通して下方に突出している。駆動伝達機構54は、アクチュエータ53の出力軸53aに取付けられたかさ歯車57と、基端側のリンクハブ2の軸部材13(図6)に取付けられ前記かさ歯車57と噛み合う扇形のかさ歯車58とでなる。これらアクチュエータ53および駆動伝達機構54の数は、リンク機構4と同数すなわち3個である。
アクチュエータ53を回転させると、その回転が駆動伝達機構54を介して軸部材13に伝達されて、基端側のリンクハブ2に対する基端側の端部リンク部材5の角度が変わる。制御装置55により各アクチュエータ53の動作量を制御して、リンク機構4ごとに基端側の端部リンク部材5の角度を調整することで、基端側のリンクハブ2に対する先端側のリンクハブ3の位置および姿勢が決まる。この例では、3個のアクチュエータ53により3組のリンク機構4のすべてを駆動するが、2個のアクチュエータ53により2組のリンク機構4にだけを駆動するようにしても、パラレルリンク機構1の動作を規定することができる。
前記潤滑剤受け部材100は、板状部101と、この板状部101の外周縁から板状部101の表面に対して交差する一方向に突出した突出部102とを有する皿状の部材であり、突出部102が基端側のリンクハブ2の側を向くように、板状部101の中央部を先端側のリンクハブ3の先端面に固定して設置されている。板状部101の先端側のリンクハブ3への固定は、例えばボルト(図示せず)によって行われる。この潤滑剤受け部材100は、簡単な構成であるため、安価に製作することができる。また、潤滑剤受け部材100は、パラレルリンク機構1および駆動伝達機構54の下方位置にだけ設ければよく、パラレルリンク機構1の全体を覆うものではないため、コンパクトである。
潤滑剤受け部材100を設けたことにより、図1のように基端側のリンクハブ2に対して先端側のリンクハブ3が下方に位置するようにパラレルリンク機構1を下向きに設置した場合でも、パラレルリンク機構1の軸受12,24や駆動伝達機構54のかさ歯車57,58から漏れ出て、パラレルリンク機構1を伝って落下または歯車部や軸受部から直接落下する潤滑剤が、潤滑剤受け部材100に受けられる。潤滑剤受け部材100は、板状部101の外周縁に突出部102を有する皿状であるため、先端側のリンクハブ3の姿勢変化に伴い潤滑剤受け部材100が傾いても、受けた潤滑剤が板状部101の外周縁から垂れることがない。そのため、下方の被作業物(図示せず)に潤滑剤が掛かることが防止される。
言い換えると、潤滑剤受け部材100を設けると、軸受12,24やかさ歯車57,58から少しだけなら潤滑剤が漏れ出ることを許容できるため、軸受12,24やかさ歯車57,58のシール構造を簡素化できる。それにより、軸受12,24の寸法を小さくして、機構のコンパクト化を図ることができ、パラレルリンク機構1の高速位置決めが可能となる。また、軸受12,24やかさ歯車57,58の潤滑剤の交換を容易に行うことができ、メンテナンス性に優れる。さらに、コスト低減に繋がる。
上記参考提案例の場合、先端側のリンクハブ3に潤滑剤受け部材100が設けられており、同リンクハブ3の姿勢の変化に応じて潤滑剤受け部材100が動くため、パラレルリンク機構1の折れ角θ(図4)が大きい場合、潤滑剤受け部材100がかさ歯車57,58や一部の軸受12,24の真下に位置せずに、かさ歯車57,58や軸受12,24から落下する潤滑剤を潤滑剤受け部材100で受けられないことがある。よって、この実施形態の構成は、パラレルリンク機構1の折れ角が±45°以下で使用する場合に適用するのが有効である。
図7に示すリンク作動装置51のように、潤滑剤受け部材100の突出部102を、その突出端側が、先端側のリンクハブ3の中心軸QBに向かって傾く形状とすると、先端側のリンクハブ3が大きく傾いた場合でも、潤滑剤受け部材100から潤滑剤が垂れることを防止できる。その場合、潤滑剤受け部材100の突出部102の傾き角度は、パラレルリンク機構1の動作範囲における折れ角θの最大値(最大折れ角)θmax以上とするのが望ましい。突出部102の傾き角度を上記のように定めると、常に突出部102の突出端側が中心方向に傾く状態となるため、潤滑剤が突出部102を乗り越えて垂れることを確実に防止できる。
また、図8に示すリンク作動装置51のように、潤滑剤受け部材100を、突出部102の突出端に結合され、板状部101と平行で内周部に貫通孔103aが形成された上板103を有する構成としてもよい。潤滑剤受け部材100が上板103を有すると、パラレルリンク機構1の先端側のリンクハブ3が90°(最大折れ角)傾いた状態でも、上板103が地面に対して垂直方向に向いているため、潤滑剤受け部材100に多量の潤滑剤が溜まっていても、潤滑剤受け部材100から潤滑剤が垂れることを確実に防止できる。
図9は、実施形態を示す。このリンク作動装置51は、ベース部材52に支柱104を介して支持され、ベース部材52と平行で内周部に貫通孔105aが形成されたリング状の固定部材105を有する。固定部材105の外周端には、ベース部材52側へ突出する突出部106が形成され、内周端にはベース部材52と反対側へ突出する内周立縁部107が形成されている。潤滑剤受け部材100は、先端側のリンクハブ3に固定された板状部101と、この板状部101と固定部材105間の全周を覆い、これら両者を互いに連結する伸縮自在な連結部108とでなる。具体的には、連結部108は、シート状の弾性材料からなり、両端を板状部101の外周面および固定部材105の内周立縁部107の外周面にそれぞれ嵌合させて設置されている。連結部108を板状部101の外周面および固定部材105の内周立縁部107の外周面に対して固定バンドなどで固定すると良い。
この構成であると、パラレルリンク機構1における固定部材105よりも先端側の部分が潤滑剤受け部材100で広範に覆われるため、動作時にパラレルリンク機構1や駆動伝達機構54から飛び散る潤滑剤も潤滑剤受け部材100で受けることができる。固定部材105の外周端に突出部106が設けられているため、固定部材105の上に潤滑剤が落下しても、その潤滑剤が固定部材105の外側へ落ちることがなく、被作業物に潤滑剤が掛かることを防止できる。連結部108は伸縮自在であるため、基端側のリンクハブ2に対する先端側のリンクハブ3の姿勢が変わっても、それに応じて潤滑剤受け部材100の連結部108が変形することができる。
図10に示すように、潤滑剤受け部材100の連結部108Aは、板状部101と固定部材105間の全周を覆う蛇腹状の形状としても良い。その場合、連結部108Aは、外力が作用しない自然状態よりも小さく圧縮された状態で、板状部101および固定部材105に組み付けておく。この場合も、前記同様に、基端側のリンクハブ2に対する先端側のリンクハブ3の姿勢が変わっても、それに応じて潤滑剤受け部材100の連結部108Aが変形することができる。
図11は、さらに異なる実施形態を示す。このリンク作動装置51は、駆動伝達機構54のかさ歯車57,58から落下する潤滑剤を受ける潤滑剤受け部材110を設けたものである。潤滑剤受け部材110は、駆動伝達機構54の真下に位置する板状部111と、この板状部111の外周縁からベース部材52側へ突出した突出部112とを有する皿状の部材であり、突出部112の一部分と繋がる取付部113を介して、ボルト(図示せず)等によりベース部材52に取付けられている。潤滑剤受け部材110は、例えば板金等により製作される。
このような潤滑剤受け部材110を設けることで、駆動伝達機構54から落下した潤滑剤が被作業物に掛かることを防止できる。ただし、パラレルリンク機構1から落下した潤滑剤が被作業物にかかることは防止できない。そのため、二点鎖線で示すように、図1、図7、図8の潤滑剤受け部材100を併用するのが望ましい。あるいは、軸受12,24(図6)をシール付き軸受とするか、軸受取付部にシール機能を持たせても良い。
シール機能を持たせた軸受取付部の構造の一例を以下に示す。
図12は、基端側のリンクハブ2と基端側の端部リンク部材5の回転対偶部T1を示す。前記二つの軸受12はアンギュラ玉軸受であり、例えば背面組合せで配置されている。軸部材13の内端部分は、軸受12の内輪12aの内周に嵌合した部分13bよりも外径が大きい段差部13cとされ、この段差部13cの段差面13dが内側の軸受12の内輪12aの端面に当接することで、内輪12aを軸方向に位置決めしている。また、外側の軸受12の内輪12aと基端側の端部リンク部材5との間には、両端をこれらに接して間座部材16が設けられている。よって、前記ナット14を締付けることにより、基端側の端部リンク部材5および間座部材16を介して内輪12aが前記段差面13dに押付けられて、内輪12aを締付け固定すると共に、軸受12に対して予圧を付与する。
基端側のリンクハブ2における前記連通孔11の周辺部分は、環状内面形成部15とされる。図示例では、環状内面形成部15は基端側のリンクハブ2の一部とされているが、環状内面形成部15は基端側のリンクハブ2と別体であっても良い。また、図示例では、軸部である軸部材13は基端側の端部リンク部材5とは別部材とされているが、軸部は基端側の端部リンク部材5と一体に設けられていても良い。
環状内面形成部15の一部は、軸受12の外輪12bの外周に嵌合した部分すなわち外輪嵌合部15aよりも内径が小さい段差部15bとされ、この段差部15bの段差面15cが内側の軸受12の外輪12bの端面に当接することで、外輪12bを軸方向に位置決めしている。また、外側の軸受12の外輪12bは、環状内面形成部15に取付けた止め輪17によって抜け止めされている。
前記軸部材13の段差部13cの外周面と前記環状内面形成部15の段差部15bの内周面とは、僅かな隙間18を介して非接触で対向している。これにより、軸部材13の段差部13cと環状内面形成部15の段差部15bとは互いに回転が可能でありながら、軸受12の内部と外部間の潤滑剤等の出入りを規制するシール構造19が構築されている。つまり、隙間18を狭くすることで、軸受12の内部の潤滑剤が外部に漏れることや、外部から軸受12の内部へ異物が侵入することを防いでいる。上記隙間18が狭いほどシール効果が高い。
前記間座部材16の軸方向外側部分は、前記止め輪17を避けて外径側へ延びたつば状部16aとして形成されており、このつば状部16aの外周面と環状内面形成部15の一部である外端部15dとが、僅かな隙間20を介して非接触で対向している。これにより、間座部材16のつば状部16aと環状内面形成部15の外端部15dとは互いに回転が可能であり、かつ前記同様のシール機能を有するシール構造21が構築されている。上記隙間20が狭いほどシール効果が高い。
このように、リンクハブ2(3)と端部リンク部材5(6)の回転対偶部T1(T4)では、軸受12の軸方向一方側に、回転対偶の一方の対偶構成部材である端部リンク部材5(6)に設けられた軸部材13と他方の対偶構成部材であるリンクハブ2(3)に設けられた環状内面形成部15とでシール構造19が構築され、かつ軸方向他方側に、前記軸部材13の外周に嵌合する間座部材16と前記環状内面形成部15とでシール構造21が構築されている。
リンクハブ2(3)および端部リンク部材5(6)は、パラレルリンク機構1を構成する部品である。また、間座部材16は、軸受12の内輪12aをナット14で締付け固定する場合に、内輪12aに対して均一に荷重がかかるように、一般的に内輪12aとナット14の間に設けられる部品である。このように、必要不可欠な部品だけでシール構造19,21を構築することで、別部材からなるシールを設ける必要がなくなり、軸受12の幅寸法を抑えることができる。そのため、リンク機構4の部品間の干渉が起り難く、作業範囲が広くなる。また、軸受12周辺の寸法が小さくなるため、パラレルリンク機構1全体の軽量・コンパクト化を実現できる。
組立性等の問題により、軸部材13と環状内面形成部15だけでは軸受12の両端にシール構造を構築することは難しいが、間座部材16と環状内面形成部15とによるシール構造を併用することで、軸受24の両端にシール構造19,21を容易に構築することができる。
より詳しくは、前記シール構造19は、軸部材13の一部である段差部13cの外周面と、環状内面形成部15の一部である段差部15bの内周面との間の隙間18により構築されている。軸部材13の段差部13cは内輪12aの位置決めに利用され、環状内面形成部15の段差部15bは外輪12bの位置決めに利用される。両段差部13c,15bは互いに近い距離にあるため、別部材を設置することなく、容易に隙間18によるシール構造19を構築できる。
また、前記シール構造21は、間座部材16の一部であるつば状部16aの外周面と環状内面形成部15の一部である外端部15dの内周面との間の隙間20により構築されている。間座部材16は内輪12aの締付け固定に利用され、環状内面形成部15の外端部15dは止め輪17の保持に利用される。間座部材16につば状部16aを設けて、つば状部16aの外周面と環状内面形成部15の外端部15dの内周面との距離を近くすることにより、別部材を設置することなく、容易に隙間20によるシール構造21を構築できる。
図13は、基端側の端部リンク部材5と中央リンク部材7の回転対偶部T2を示す。前記二つの軸受24はアンギュラ玉軸受であり、例えば背面組合せで配置されている。軸部25の基端部分は、軸受24の内輪24aの内周に嵌合した部分25bよりも外径が大きい段差部25cとされ、この段差部25cの段差面25dが基端側の軸受24の内輪24aの端面に当接することで、内輪24aを軸方向に位置決めしている。また、先端側の軸受24の内輪24aは、前記間座部材26に接している。よって、前記ナット27を締付けることにより、間座部材26を介して内輪24aが前記段差面25dに押付けられて、内輪24aを締付け固定すると共に、軸受24に対して予圧を付与する。
中央リンク部材7における前記連通孔23の周辺部分は、環状内面形成部28とされる。図示例では、環状内面形成部28は中央リンク部材7の一部とされているが、環状内面形成部28は中央リンク部材7と別体であっても良い。また、図示例では、軸部25は基端側の端部リンク部材5と一体に設けられているが、軸部25は基端側の端部リンク部材5と別部材であっても良い。
環状内面形成部28の一部は、軸受24の外輪24bの外周に嵌合した部分すなわち外輪嵌合部28aよりも内径が小さい段差部28bとされ、この段差部28bの段差面28cが基端側内側の軸受24の外輪24bの端面に当接することで、外輪24bを軸方向に位置決めしている。また、先端側の軸受24の外輪24bは、環状内面形成部28に取付けた止め輪29によって抜け止めされている。
前記軸部25の段差部25cの外周面と前記環状内面形成部28の段差部28bの内周面とは、僅かな隙間30を介して非接触で対向している。これにより、軸部25の段差部25cと環状内面形成部28の段差部28bとは互いに回転が可能でありながら、軸受24の内部と外部間の潤滑剤等の出入りを規制するシール構造31が構築されている。つまり、隙間30を狭くすることで、軸受24の内部の潤滑剤が外部に漏れることや、外部から軸受24の内部へ異物が侵入することを防いでいる。上記隙間30が狭いほどシール効果が高い。
前記間座部材26の軸方向先端側部分は、前記止め輪29を避けて外径側へ延びたつば状部26aとして形成されており、このつば状部26aの外周面と環状内面形成部28の一部である先端部28dとが、僅かな隙間32を介して非接触で対向している。これにより、間座部材26のつば状部26aと環状内面形成部28の先端部28dとは互いに回転が可能であり、かつ前記同様のシール機能を有するシール構造33が構築されている。上記隙間32が狭いほどシール効果が高い。
このように、端部リンク部材5(6)と中央リンク部材7の回転対偶部T2(T3)では、軸受24の軸方向一方側に、回転対偶の一方の対偶構成部材である端部リンク部材5(6)に設けられた軸部25と他方の対偶構成部材である中央リンク部材7に設けられた環状内面形成部28とでシール構造31が構築され、かつ軸方向他方側に、前記軸部25の外周に嵌合する間座部材26と前記環状内面形成部28とでシール構造33が構築されている。
前記同様に、必要不可欠な部品だけでシール構造31,33を構築することで、別部材からなるシールを設ける必要がなくなり、軸受24の幅寸法を抑えることができる。そのため、リンク機構4の部品間の干渉が起り難く、作業範囲が広くなる。また、軸受24周辺の寸法が小さくなるため、パラレルリンク機構1全体の軽量・コンパクト化を実現できる。
組立性等の問題により、軸部25と環状内面形成部28だけでは軸受24の両端にシール構造を構築することは難しいが、間座部材26と環状内面形成部28とによるシール構造を併用することで、軸受24の両端にシール構造31,33を容易に構築することができる。
より詳しくは、前記シール構造31は、軸部25の一部である段差部25cの外周面と、環状内面形成部28の一部である段差部28bの内周面との間の隙間30により構築されている。軸部25の段差部25cは内輪24aの位置決めに利用され、環状内面形成部28の段差部28bは外輪24bの位置決めに利用される。両段差部25c,28bは互いに近い距離にあるため、別部材を設置することなく、容易に隙間30によるシール構造31を構築できる。
また、前記シール構造33は、間座部材26の一部であるつば状部26aの外周面と環状内面形成部28の一部である外端部28dの内周面との間の隙間32により構築されている。間座部材26は内輪24aの締付け固定に利用され、環状内面形成部28の外端部28dは止め輪29の保持に利用される。間座部材26につば状部26aを設けて、つば状部26aの外周面と環状内面形成部28の外端部28dの内周面との距離を近くすることにより、別部材を設置することなく、容易に隙間32によるシール構造33を構築できる。
図14ないし図18は、上記実施形態と比べてパラレルリンク機構の構成が異なるリンク作動装置を示す。図14に示すように、このリンク作動装置61も、前記リンク作動装置51と同様に、水平状のベース部材62と、このベース部材62にスペーサ62aを介して下向きに設置されたパラレルリンク機構1と、このパラレルリンク機構1を作動させる複数のアクチュエータ63と、各アクチュエータ63の駆動力をパラレルリンク機構1へ伝達する駆動伝達機構64と、各アクチュエータ63を制御する制御装置65とを備える。なお、ベース部材62には、駆動伝達機構64の後記大歯車77が嵌り込む開口62bが形成されている。
また、リンク作動装置61は、パラレルリンク機構1および駆動伝達機構64から落下する潤滑剤を受ける潤滑剤受け部材100を有している。図示例の潤滑剤受け部材100は、図1に示すものと同じであるが、図7または図8に示すものとしても良い。
このリンク作動装置61のパラレルリンク機構1は、基端側のリンクハブ2および先端側のリンクハブ3に対して端部リンク部材5,6をそれぞれ回転自在に支持する軸受12(図16)を外輪回転タイプとしたものである。それに伴い、図2、図3のパラレルリンク機構1と比べて、各部の形状が少し異なるが、基本的な構成は同じである。よって、基本的に同じ構成である箇所については、説明を省略し、図面に同一符号を付してある。なお、図15は、基端側のリンクハブ2の中心軸QAと先端側のリンクハブ3の中心軸QBとが同一線上にある状態を示している。
図2、図3のパラレルリンク機構1と比べて異なる点を、基端側のリンクハブ2と基端側の端部リンク部材5の回転対偶部T1、および基端側の端部リンク部材5と中央リンク部材7の回転対偶部T2を例にとって説明する。
図16に示すように、回転対偶部T1は、基端側のリンクハブ2の円周方向の3箇所に軸部35が形成され、これら軸部35の外周に、並列に設けた二つの軸受12を介して基端側の端部リンク部材5が回転自在に支持されている。二つの軸受12は、基端側の端部リンク部材5に形成された連通孔34内に設けられ、間座部材36を介して、軸部35の先端ねじ部35aに螺着したナット37によって締付け固定されている。
また、回転対偶部T2は、基端側の端部リンク部材5の連通孔44内に二つの軸受24を設け、これら軸受24により中央リンク部材7の軸部45を回転自在に支持する構造である。軸受24は、間座部材46を介して、軸部45の先端ねじ部45aに螺着したナット47によって締付け固定されている。
図17およびその部分拡大図である図18に示すように、このリンク作動装置61のアクチュエータ63はロータリアクチュエータ、より詳しくは減速機71付きのサーボモータであって、モータ固定部材72によりベース部材62に固定されている。駆動伝達機構64は、歯車式の減速機構として構成されている。この実施形態では、アクチュエータ63および駆動伝達機構64が、パラレルリンク機構1の3組のリンク機構4のすべてに設けられているが、3組のリンク機構4のうちの少なくとも2組に設ければ、パラレルリンク機構1の動作を規定することができる。
駆動伝達機構64は、アクチュエータ63の出力軸63aにカップリング75を介して回転伝達可能に連結された小歯車76と、基端側の端部リンク部材5に固定され前記小歯車76と噛み合う大歯車77とで構成されている。図示例では、小歯車76および大歯車77は平歯車であり、大歯車77は、扇形の周面にのみ歯が形成された扇形歯車である。大歯車77は小歯車76よりもピッチ円半径が大きく、アクチュエータ63の出力軸63aの回転が基端側の端部リンク部材5へ、基端側のリンクハブ2と基端側の端部リンク部材5との回転対偶の回転軸O1回りの回転に減速して伝達される。その減速比は10以上とされている。
大歯車77のピッチ円半径は、基端側の端部リンク部材5のアーム長Lの1/2以上としてある。前記アーム長Lは、基端側のリンクハブ2と基端側の端部リンク部材5との回転対偶の中心軸O1の軸方向中心点P1から、基端側の端部リンク部材5と中央リンク部材7との回転対偶の中心軸O2の軸方向中心点P2を基端側のリンクハブ2と基端側の端部リンク部材5の回転対偶軸O1に直交してその軸方向中心点P1を通る平面に投影した点P3までの距離である。この実施形態の場合、大歯車77のピッチ円半径が前記アーム長L以上である。そのため、高い減速比を得るのに有利である。
小歯車76は、大歯車77と噛み合う歯部76aの両側に突出する軸部76bを有し、これら両軸部76bが、ベース部材62に設置された回転支持部材79に設けられた二つの軸受80によりそれぞれ回転自在に支持されている。軸受80は、例えば深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受等の玉軸受である。図示例のように玉軸受を複列で配列する以外に、ローラ軸受や滑り軸受を用いてもよい。二つの軸受80の各外輪(図示せず)間にはシム(図示せず)を設け、軸部76bに螺合したナット81を締め付けることにより、軸受80に予圧を付与する構成としてある。軸受80の外輪は、回転支持部材79に圧入されている。
この実施形態の場合、大歯車77は、基端側の端部リンク部材5と別部材であり、基端側の端部リンク部材5に対してボルト等の結合具82により着脱可能に取付けられている。大歯車77は基端側の端部リンク部材5と一体であってもよい。
アクチュエータ7063の回転軸心O3および小歯車76の回転軸心O4は同軸上に位置する。これら回転軸心O3,O4は、基端側のリンクハブ24と基端側の端部リンク部材5の回転対偶軸O1と平行で、かつベース部材62からの高さが同じとされている。
このリンク作動装置61は、3組のリンク機構4のすべてにアクチュエータ63および減速機構として構成された駆動伝達機構64を設けたことで、パラレルリンク機構1や駆動伝達機構64のガタを詰めるように制御することが可能となり、先端側のリンクハブ3の位置決め精度が向上すると共に、リンク作動装置61自体の高剛性化を実現できる。
また、駆動伝達機構64は、小歯車76と大歯車77の組合せからなり、10以上の高い減速比が得られる。減速比が高いと、エンコーダ等による位置決め分解能が高くなるため、先端側のリンクハブ3の位置決め分解能が向上する。また、低出力のアクチュエータ63を使用することができる。この実施形態では減速機71付きのアクチュエータ63を使用しているが、駆動伝達機構64の減速比が高ければ、減速機無しのアクチュエータ63を使用することも可能となり、アクチュエータ63を小型化できる。
大歯車77のピッチ円半径を、基端側の端部リンク部材5のアーム長Lの1/2以上としたことで、先端負荷による基端側の端部リンク部材5の曲げモーメントが小さくなる。そのため、リンク作動装置61全体の剛性を必要以上に高くしなくて済むと共に、基端側の端部リンク部材5の軽量化を図れる。例えば、基端側の端部リンク部材5をステンレス鋼(SUS)からアルミに変更できる。また、大歯車77のピッチ円半径が比較的大きいため、大歯車77の歯部の面圧が減少し、リンク作動装置61全体の剛性が高くなる。
また、大歯車77のピッチ円半径が前記アーム長の1/2以上であると、大歯車77が、基端側のリンクハブ2と基端側の端部リンク部材5の回転対偶に設置する軸受12の外径よりも十分大きな径となるため、大歯車77の歯部と軸受12との間にスペースができ、大歯車77の設置が容易である。
特にこの実施形態の場合、大歯車77のピッチ円半径が前記アーム長L以上であるため、大歯車77のピッチ円半径がさらに大きくなり、前記作用・効果がより一層顕著に現れる。加えて、小歯車76をリンク機構4よりも外径側に設置することが可能となる。その結果、小歯車76の設置スペースを容易に確保することができ、設計の自由度が増す。また、小歯車76と他の部材との干渉が起こり難くなり、リンク作動装置61の可動範囲が広くなる。
小歯車76および大歯車77は、それぞれ平歯車であるため、製作が容易であり、しかも回転の伝達効率が高い。小歯車76は軸方向両側で軸受80により支持されているため、小歯車76の支持剛性が高い。それにより、先端負荷による基端側の端部リンク部材5の角度保持剛性が高くなり、リンク作動装置61の剛性や位置決め精度の向上に繋がる。また、アクチュエータ63の回転軸心O3、小歯車76の回転軸心O4、および基端側のリンクハブ2と基端側の端部リンク部材5との回転対偶の中心軸O1が同一平面上にあるため、全体的なバランスが良く、組立性が良い。
大歯車77は、基端側の端部リンク部材5に対して着脱自在であるため、歯車式の減速部73駆動伝達機構64の減速比や、基端側のリンクハブ2に対する先端側のリンクハブ3の作動範囲等の仕様の変更が容易となり、リンク作動装置61の量産性が向上する。つまり、同じリンク作動装置61を、大歯車77を変えるだけで、様々な用途に適用することが可能である。また、メンテナンス性が良い。例えば、歯車式の減速部73駆動伝達機構64に障害が生じた場合に、同減速部73駆動伝達機構64のみを交換するだけで対処可能である。
この実施形態では、潤滑剤受け部材100として、図1に示すものと同じものが用いられている。それにより、パラレルリンク機構1の軸受12,24、並びに駆動伝達機構64の大小歯車77,76および軸受80から落下する潤滑剤を潤滑剤受け部材100が受けて、下方の被作業物(図示せず)に掛かるのを防止することができる。潤滑剤受け部材100としては、図7または図8に示すものを用いてもよい。また、駆動伝達機構64から落下する潤滑剤のみを受ける潤滑剤受け部材(図示せず)を設け、パラレルリンク機構1の軸受12,24は、シール付き軸受とするか、軸受取付部にシール機能を持たせた構成としてもよい。
シール機能を持たせた軸受取付部の構造の一例を以下に示す。
図19は、基端側のリンクハブ2と基端側の端部リンク5の回転対偶部T1を示す。前記二つの軸受12はアンギュラ玉軸受であり、例えば背面組合せで配置されている。軸部35の基端部分は、軸受12の内輪12aの内周に嵌合した部分35bよりも外径が大きい段差部35cとされ、この段差部35cの段差面35dが基端側の軸受12の内輪12aの端面に当接することで、内輪12aを軸方向に位置決めしている。また、先端側の軸受12の内輪12aは、前記間座部材36に接している。よって、前記ナット37を締付けることにより、間座部材36を介して内輪12aが前記段差面35dに押付けられて、内輪12aを締付け固定すると共に、軸受12に対して予圧を付与する。
基端側の端部リンク部材5における前記連通孔34の周辺部分は、環状内面形成部38とされる。図示例では、環状内面形成部38は基端側の端部リンク部材5の一部とされているが、環状内面形成部38は基端側の端部リンク部材5と別体であっても良い。また、図示例では、軸部35は基端側のリンクハブ2と一体に設けられているが、軸部35は基端側のリンクハブ2と別部材であっても良い。
環状内面形成部38の一部は、軸受12の外輪12bの外周に嵌合した部分すなわち外輪嵌合部38aよりも内径が小さい段差部38bとされ、この段差部38bの段差面38cが基端側の軸受12の外輪12bの端面に当接することで、外輪12bを軸方向に位置決めしている。また、基端側の端部リンク部材5には、その側面から突出して基端が外輪嵌合部38aの一部となる環状のつば状部38dを有しており、外輪嵌合部38aに外輪12bが嵌合した状態で前記つば状部38dを内径側へかしめることで、外輪12bを締まり嵌めとし、またはつば状部38dの外輪12bよりも突出した部分である先端部38daの基端を外輪12bの端面に係合させることで、前記段差部38bとかしめ部分の間で外輪12bを軸方向に抜け止めした状態に位置決めしている。
前記軸部35の段差部35cの外周面と前記環状内面形成部38の段差部38bの内周面とは、僅かな隙間40を介して非接触で対向している。これにより、軸部35の段差部35cと環状内面形成部38の段差部38bとは互いに回転が可能でありながら、軸受12の内部と外部間の潤滑剤等の出入りを規制するシール構造41が構築されている。つまり、隙間40を狭くすることで、軸受12の内部の潤滑剤が外部に漏れることや、外部から軸受12の内部へ異物が侵入することを防いでいる。上記隙間40が狭いほどシール効果が高い。
前記間座部材36の軸方向先端側部分は、外輪12aとの接触を避けて外径側へ延びたつば状部36aとして形成されており、このつば状部36aの外周面と環状内面形成部38の一部である前記先端部38daの内周面とが、僅かな隙間42を介して非接触で対向している。これにより、間座部材36のつば状部36aと環状内面形成部38の先端部38daとは互いに回転が可能であり、かつ前記同様のシール機能を有するシール構造43が構築されている。上記隙間42が狭いほどシール効果が高い。
図20は、基端側の端部リンク部材5と中央リンク部材7の回転対偶部T2を示す。前記二つの軸受24はアンギュラ玉軸受であり、例えば背面組合せで配置されている。軸部45の基端部分は、軸受24の内輪24aの内周に嵌合した部分45bよりも外径が大きい段差部45cとされている。この段差部45cは2段の段差45ca,45cbを有し、1段目の段差45caの段差面45dが基端側の軸受24の内輪24aの端面に当接することで、内輪24aを軸方向に位置決めしている。2段目の段差45cbは別部材としても良い。例えば、2段目の段差45cbをリング部材とし、その内周面を1段目の段差45caの外周面に嵌合させて固定しても良い。また、先端側の軸受24の内輪24aは、前記間座部材46に接している。よって、前記ナット47を締付けることにより、間座部材46を介して内輪24aが前記段差面45dに押付けられて、内輪24aを締付け固定すると共に、軸受24に対して予圧を付与する。
基端側の端部リンク部材5における前記連通孔44の周辺部分は、環状内面形成部48とされる。図示例では、環状内面形成部48は基端側の端部リンク部材5の一部とされているが、環状内面形成部48は基端側の端部リンク部材5と別体であっても良い。また、図示例では、軸部45は中央リンク部材7と一体に設けられているが、軸部45は中央リンク部材7と別部材であっても良い。
環状内面形成部48の一部は、軸受24の外輪24bの外周に嵌合した部分すなわち外輪嵌合部48aよりも内径が小さい段差部48bとされ、この段差部48bの段差面48cが先端側の軸受24の外輪24bの端面に当接することで、外輪24bを軸方向に位置決めしている。また、基端側の端部リンク部材5には、その側面から突出して基端が外輪嵌合部48aの一部となる環状のつば状部48dを有しており、外輪嵌合部48aに外輪24bが嵌合した状態で前記つば状部48dを内径側へかしめることで、外輪24bを締まり嵌めとし、またはつば状部48dの外輪24bよりも突出した部分である先端部48daの基端を外輪12bの端面に係合させることで、前記段差部48bとかしめ部分の間で外輪24bを軸方向に抜け止めした状態に位置決めしている。
前記軸部45の段差部45cの外周面と前記環状内面形成部48の先端部48daの内周面とは、僅かな隙間50を介して非接触で対向している。これにより、軸部45の段差部45cと環状内面形成部48の先端部48daとは互いに回転が可能でありながら、軸受24の内部と外部間の潤滑剤等の出入りを規制するシール構造51が構築されている。つまり、隙間50を狭くすることで、軸受24の内部の潤滑剤が外部に漏れることや、外部から軸受24の内部へ異物が侵入することを防いでいる。上記隙間50が狭いほどシール効果が高い。
前記間座部材46の外周面と環状内面形成部48の段差部48bの内周面とが、僅かな隙間52を介して非接触で対向している。これにより、間座部材46と環状内面形成部48の段差部48bとは互いに回転が可能であり、かつ前記同様のシール機能を有するシール構造53が構築されている。上記隙間52が狭いほどシール効果が高い。
以上、基端側のリンクハブ2と基端側の端部リンク部材5の回転対偶部T1、および基端側の端部リンク部材5と中央リンク部材7の回転対偶部T2について説明した。詳細な説明は省略するが、先端側のリンクハブ3と先端側の端部リンク部材6の回転対偶部T4は回転対偶部T1と同じ構造であり、先端側の端部リンク部材6と中央リンク部材7の回転対偶部T3は回転対偶部T2と同じ構成である。このように、各リンク機構4における4つの回転対偶部T1〜T4に軸受12,24を設けた構造とすることにより、前記実施形態の場合と同様の作用・効果が得られる。