JP5991092B2 - 有機系太陽電池素子モジュールの製造方法 - Google Patents

有機系太陽電池素子モジュールの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、有機系太陽電池素子モジュールを製造効率高く、低コストで製造することが可能な有機系太陽電池素子モジュールの製造方法に関するものである。
現在利用されている太陽電池は、光吸収層の材料や、その用途によって様々に分類される。なかでも、有機系太陽電池は、2つの異種電極間に電子供与性および電子受容性の機能を有する有機化合物を配置してなる太陽電池であり、シリコンなどに代表される無機系太陽電池に比べて製造方法が容易であること、低コストで大面積化が可能であること、着色性や柔軟性を付与できることから注目されている。
また、有機系太陽電池は、有機色素を用いて光起電力を得る色素増感型太陽電池と、有機半導体を用いる有機薄膜太陽電池とが主に活用されている。
また、上記有機系太陽電池を実用化するためには、より大きな出力電圧が必要であることから、複数の有機系太陽電池素子を接続して有機系太陽電池素子モジュールとすることが試みられている。
上述した有機系太陽電池素子モジュールの製造方法としては、例えば特許文献1〜2には、次のような製造方法が提案されている。
例えば特許文献1には、有機薄膜太陽電池素子モジュールの製造方法として、支持基体上に第1導電層および光電変換層をパターン状に形成し、可撓性フィルム上に第2導電層およびキャリア輸送層をパターン状に形成し、上記光電変換層とキャリア輸送層とを接触させ、かつ第1導電層および第2導電層を直列接続するように部分的に接触させて、上記支持基体および可撓性フィルムを貼り合わせることにより、有機薄膜太陽電池素子モジュールを製造する製造方法が示されている。
しかしながら、上述の製造方法では、有機薄膜太陽電池素子モジュールを構成する各層についてパターン形成を行わなければならないため、製造工程が煩雑になるといった問題があった。
また、例えば特許文献2には、色素増感型太陽電池素子モジュールの製造方法として、電極基材および増感色素を坦持させた多孔質層を有する酸化物半導体電極基板上に固体電解質層を形成し、これを対向電極層を有する対向電極基板と貼り合わせることにより色素増感型太陽電池素子を複数個作製し、これらを接続することにより色素増感型太陽電池素子モジュールを製造する製造方法が示されている。
しかしながら、上述の製造方法では、複数の色素増感型太陽電池素子をそれぞれ作成する工程、さらに各々の色素増感型太陽電池素子同士を接続する工程を有することから工程数が多くなってしまうといった問題があった。
また、上述の製造方法により製造された色素増感型太陽電池素子モジュールは、別個に形成された色素増感型太陽電池素子を接続させた構成であることから、その強度が十分ではない場合があるといった問題があった。
また、特許文献3には、色素増感型太陽電池素子の製造方法として、上述した酸化物半導体電極基板の多孔質層の周辺に隔壁層を設け、導電性炭素材料および溶媒を含む疑似固体電解質を隔壁層内に塗布した後、溶媒を除去して疑似固体電解質層を形成し、これを対向電極基板と貼り合わせることにより色素増感型太陽電池素子を製造する製造方法が示されている。
また、特許文献4および特許文献5には、色素増感型太陽電池素子の製造方法として、上述した対向電極基板上に隔壁部を設け、隔壁部の内側にゲル状の電解質層を形成した後、酸化物半導体電極基板と貼り合わせることにより色素増感型太陽電池素子を製造する製造方法が示されている。
しかしながら、上述した特許文献3や特許文献4および特許文献5に示された色素増感型太陽電池素子の製造方法を、色素増感型太陽電池素子モジュールの製造方法に適用した場合、上述した隔壁層または隔壁部を形成する工程が必要となり、また、対向電極基板および酸化物半導体電極基板の位置合わせにも、高い精度が要求されるため、製造工程が煩雑になるといった問題があった。
よって、上述した従来の有機系太陽電池素子モジュールの製造方法は、いずれも煩雑な工程を有することから、より生産性高く製造することが可能な有機系太陽電池素子モジュールの製造方法が求められている。
ところで、有機系太陽電池素子モジュールにおいては、加工性を向上させるために、高いフレキシブル性を付与することが可能な構成が求められている。
ここで従来のフレキシブル性を有する有機系太陽電池素子モジュールの構成としては、例えば、2枚のフレキシブル性を有する基材の間に複数の有機系太陽電池素子が形成されている構成が挙げられる。
しかしながら、上述した構成を有する有機系太陽電池素子モジュールに曲げ加工を施した場合、2枚のフレシキブル性を有する基材はそれぞれ異なる曲率を有することとなるため、所望の曲げ性を示すことが困難となる場合や、曲げ加工により有機系太陽電池素子モジュールが劣化してしまうといった問題があった。
そこで、特許文献6においては、色素増感型太陽電池素子モジュールの製造方法として、1枚の第1基材上に複数の第1電極層が形成された第1電極基材と、第2電極層を有する複数の第2電極基材とを有し、1枚の第1電極基材上に形成された複数の第1電極層と各々の第2電極基材の第2電極層とが対向するように配置し、第1電極層および第2電極層の間に封止剤や接着剤を用いて貼り合わせた後、電解質を注入することにより色素増感型太陽電池素子モジュールを製造する製造方法が開示されている。上述した製造方法によれば、1枚の第1電極基材上に形成された複数の第1電極層に合わせて、各々の第2電極基材に形成された第2電極層が対向する構成を有する色素増感型太陽電池素子モジュールを製造することが可能となるため、高いフレキシブル性を示す色素増感型太陽電池素子モジュールを得ることが可能となる。
しかしながら、上述した製造方法においては、第1電極基材および第2電極基材を貼り合わせた後に電解質を注入する工程を必要とすることから、大面積セルを製造する際に時間がかかってしまうといった問題があった。また、第1電極基材と第2電極基材とを貼り合わせるために接着部分、絶縁部分等を設ける必要があるが、色素増感型太陽電池素子モジュールにおいては、上述した接着部分、絶縁部分等は発電に寄与することができず、色素増感型太陽電池素子モジュール全体の発電面積を小さくして発電効率を低下させる要因となり、基材等の材料を過剰に使用してしまうといった問題があった。
なお、有機薄膜太陽電池素子モジュールにおいても、良好なフレキシブル性を付与することが可能な製造方法は発見されていない。
特開2002−319689号公報 特開2009−193705号公報 特開2010−153348号公報 特開2007−294696号公報 特開2007−33545号公報 特開2006−32110号公報
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、複数の有機系太陽電池素子が連結されて構成され、加工性に優れた有機系太陽電池素子モジュールを簡便な方法で製造することができる有機系太陽電池素子モジュールの製造方法を提供することを主目的とする。
本発明は、上述した課題を解決するために、1枚の第1基材、および上記第1基材上にストライプ状に形成され、かつ各ストライプの両端部を含む2つの接続部分を有するように形成された複数の第1電極層を有する第1電極基材、少なくとも第2電極層を有し、両端部に2つの接続部分を有する複数の短冊状の第2電極基材、並びに、上記第1電極層および上記第2電極層の間に形成され、有機物を含む複数の機能層を有し、上記第1電極層、上記第2電極層、および上記機能層を有する有機系太陽電池素子が複数連結され、1つの上記有機系太陽電池素子の上記第1電極層と上記1つの有機系太陽電池素子に隣接する他の上記有機系太陽電池素子の上記第2電極層が、それぞれの電極の両端部に形成された上記2つの接続部分どうしで電気的に接続された有機系太陽電池素子モジュールの製造方法であって、上記第1基材上に、ストライプ状に形成され、かつ各ストライプの両端部を含む2つの接続部分を有するように形成された第1電極基材を形成する第1電極基材形成工程と、少なくとも上記第2電極層を有し、両端部に2つの接続部分を有する複数の短冊状の第2電極基材を切り出すことが可能な1枚の第2電極基材用基板を準備する第2電極基材用基板準備工程と、上記第1電極基材の上記第1電極層側に上記機能層を上記第1電極層のパターンに対応するパターンで形成する工程、または上記第2電極基材用基板の上記第2電極層側に上記機能層を連続的に形成する工程のいずれか一方を行う機能層形成工程と、上記第2電極基材用基板を切断することにより、上記複数の第2電極基材を形成する切断工程と、上記第1電極基材の上記第1電極層側と上記第2電極基材の上記第2電極層側とを対向させ、上記機能層を界面として密着させることにより上記第1電極基材および上記第2電極基材を貼合する貼合工程と、1つの上記有機系太陽電池素子の上記第1電極層と上記1つの有機系太陽電池素子に隣接する他の上記有機系太陽電池素子の上記第2電極層とをそれぞれの電極の両端部に形成された上記2つの接続部分で電気的に接続する接続工程とを有することを特徴とする有機系太陽電池素子モジュールの製造方法を提供する。
本発明の有機系太陽電池素子モジュールの製造方法は、有機物を含む機能層を介して1枚の第1基材上に形成された複数の第1電極層と、複数の第2電極基材に形成された第2電極層とを貼り合わせることができるため、加工性に優れた形状を有する有機系太陽電池素子モジュールを簡便な方法で製造することが可能となるといった作用効果を奏する。
特に、本発明によれば、1つの上記有機系太陽電池素子の上記第1電極層と上記1つの有機系太陽電池素子に隣接する他の上記有機系太陽電池素子の上記第2電極層が、それぞれの電極の両端部に形成された上記2つの接続部分どうしで電気的に接続されることで、電気的接続の信頼性が優れた上記有機系太陽電池素子モジュールの作製が可能となり、また、電流の流れる経路が短くなり、電極での抵抗による電流損失を低減した高効率な上記有機系太陽電池素子モジュールの作製が可能となる。
本発明の有機系太陽電池素子モジュールの製造方法において製造される色素増感型太陽電池素子モジュールの一例を示す概略図である。 本発明の有機系太陽電池素子モジュールの製造方法において製造される色素増感型太陽電池素子モジュールの他の例を示す概略断面図である。 本発明の有機系太陽電池素子モジュールの製造方法における第1電極基材形成工程の一例を示す工程図である。 本発明の有機系太陽電池素子モジュールの製造方法における第2電極基材用基板準備工程、多孔質層形成工程、機能層形成工程、および切断工程の一例を示す工程図である。 本発明の有機系太陽電池素子モジュールの製造方法における第2電極基材用基板準備工程、多孔質層形成工程、機能層形成工程、および切断工程の他の例を示す工程図である。 本発明の有機系太陽電池素子モジュールの製造方法において形成される第1電極基材の一例を示す概略平面図である。 本発明の有機系太陽電池素子モジュールの製造方法において製造される有機薄膜太陽電池素子モジュールの一例を示す概略断面図である。 本発明の有機系太陽電池素子モジュールの製造方法における第1電極基材形成工程の他の例を示す工程図である。 本発明の有機系太陽電池素子モジュールの製造方法における第2電極基材用基板準備工程、機能層形成工程、および切断工程の他の例を示す工程図である。
以下、本発明の有機系太陽電池素子モジュールの製造方法について説明する。
本発明の有機系太陽電池素子モジュールの製造方法は、1枚の第1基材、および上記第1基材上にストライプ状に形成され、かつ各ストライプの両端部を含む2つの接続部分を有するように形成された複数の第1電極層を有する第1電極基材、少なくとも第2電極層を有し、両端部に2つの接続部分を有する複数の短冊状の第2電極基材、並びに、上記第1電極層および上記第2電極層の間に形成され、有機物を含む複数の機能層を有し、上記第1電極層、上記第2電極層、および上記機能層を有する有機系太陽電池素子が複数連結されて構成され、1つの上記有機系太陽電池素子の上記第1電極層と上記1つの有機系太陽電池素子に隣接する他の上記有機系太陽電池素子の上記第2電極層が、それぞれの電極の両端部に形成された上記2つの接続部分どうしで電気的に接続された有機系太陽電池素子モジュールの製造方法であって、上記第1基材上に、ストライプ状に形成され、かつ各ストライプの両端部を含む2つの接続部分を有するように形成された上記複数の第1電極層を形成することにより第1電極基材を形成する第1電極基材形成工程と、少なくとも上記第2電極層を有し、両端部に2つの接続部分を有する複数の短冊状の第2電極基材を切り出すことが可能な1枚の第2電極基材用基板を準備する第2電極基材用基板準備工程と、上記第1電極基材の上記第1電極層側に上記機能層を上記第1電極層のパターンに対応するパターンで形成する工程、または上記第2電極基材用基板の上記第2電極層側に上記機能層を連続的に形成する工程のいずれか一方を行う機能層形成工程と、上記第2電極基材用基板を切断することにより、上記複数の第2電極基材を形成する切断工程と、上記第1電極基材の上記第1電極層側と上記第2電極基材の上記第2電極層側とを対向させ、上記機能層を界面として密着させることにより上記第1電極基材および上記第2電極基材を貼合する貼合工程と、1つの上記有機系太陽電池素子の上記第1電極層と上記1つの有機系太陽電池素子に隣接する他の上記有機系太陽電池素子の上記第2電極層とをそれぞれの電極の両端部に形成された上記2つの接続部分で電気的に接続する接続工程とを有することを特徴とする製造方法である。
なお、本発明により製造される有機系太陽電池素子モジュールは、第1電極基材または第2電極基材の少なくとも一方が太陽光の受光面となることから、本発明においては、通常、第1電極基材または第2電極基材の少なくとも一方が透明性を有する基材となるように、有機系太陽電池素子モジュールの製造が行われる。
ここで、「透明性を有する基材」の透明性としては、本発明の製造方法により製造される有機系太陽電池素子モジュールが、太陽光を受光することにより機能を発揮することができるように、太陽光を透過することができるものであれば特に限定されるものではないが、全光線透過率50%以上であることが望ましい。なお、上記透明性は、JIS K7
361-1:1997に準拠した測定方法により測定した値である。
また、本発明における機能層形成工程において、「第1電極層側に機能層を形成する」または「第2電極層側に機能層を形成する」とは、第1電極層または第2電極層の表面に、直接機能層を形成する場合だけではなく、他の層を介して機能層を形成する場合を含む概念である。
また、「機能層を第1電極層のパターンに対応するパターンで形成する」とは、本発明の製造方法により製造される有機系太陽電池素子モジュールを構成する各々の有機系太陽電池素子が機能層を有するように、パターン状に形成された各々の第1電極層上に各々の機能層を形成することを指す。具体的には、1つの機能層を第1電極層上に連続的に形成可能なパターンで形成することを指す。
また、本発明における貼合工程において、「第1電極基材の第1電極層側と第2電極基材の第2電極層側とを対向させ、機能層を界面として密着させる」とは、機能層を界面にして第1電極層と第2電極層とを密着させる場合だけではなく、第1電極層または第2電極層の表面に他の層が形成されている場合は、機能層を界面にして第1電極層の最表面の層と第2電極層の最表面の層とを密着させる場合を含む概念である。
本発明によれば、貼合工程を有することから、有機物を含む機能層を界面とすることができるため、第1電極基材および第2電極基材の密着性を十分なものとすることが可能となる。
また、本発明によれば、1つの上記有機系太陽電池素子の上記第1電極層と上記1つの有機系太陽電池素子に隣接する他の上記有機系太陽電池素子の上記第2電極層が、それぞれの電極の両端部に形成された上記2つの接続部分で電気的に接続されることで、電気的接続の信頼性が優れた上記有機系太陽電池素子モジュールの作製が可能となり、また、電流の流れる経路が短くなり、電極での抵抗による電流損失を低減した高効率な上記有機系太陽電池素子モジュールの作製が可能となる。
また、本発明によれば、上述した機能層形成工程を有することにより、以下のような作用効果を奏することができる。
例えば第1電極基材の第1電極層側に機能層を形成する場合は、パターン状に形成された第1電極層の幅よりも機能層の幅を広く形成することができるため、有機系太陽電池素子モジュールとした場合に、1つの有機系太陽電池素子における第1電極層および第2電極層の接触を防止して内部短絡の発生を抑制することができる。
一方、例えば機能層を第2電極基材用基板の第2電極層側に形成した場合は、第2電極基材用基板上に連続的に機能層を形成し、その後の切断工程により所望の形状に切断することができることから、機能層を各々の第1電極層のパターンに対応するパターンに形成する必要がないため、機能層形成工程を簡便な工程とすることができる。また、機能層を各々の第1電極層のパターンに対応するパターンに形成しなくてもよいことから、機能層に用いられる材料等の無駄を削減することが可能となる。
また、本発明によれば、1枚の第1電極基材と複数の第2電極基材とを有する有機系太陽電池素子モジュールを製造することができるため、例えば第1電極基材および第2電極基材のそれぞれにフレキシブル性を有する基材を用いることにより、曲げやすく、強度にも優れた加工性の高い有機系太陽電池素子モジュールを製造することが可能となる。
ここで、本発明の有機系太陽電池素子モジュールの製造方法は、製造される有機系太陽電池素子モジュールの種類により2つの態様に大別される。
具体的には、上記有機系太陽電池素子モジュールが、上記第1電極層または上記第2電極層のいずれか一方の表面上に色素増感剤が坦持された金属酸化物半導体微粒子を含有する多孔質層を有し、かつ上記機能層が高分子化合物および酸化還元対を含む固体電解質層である色素増感型太陽電池素子が複数連結されて構成される色素増感型太陽電池素子モジュールである態様(第1態様)と、上記第1電極層および上記第2電極層の間に光電変換層を有する有機薄膜太陽電池素子が複数連結されて構成される有機薄膜太陽電池素子モジュールであり、上記機能層が上記第1電極層および上記第2電極層の間に形成される有機物を含む層である態様(第2態様)とが挙げられる。
以下、各態様について説明する。
I.第1態様
本発明の有機系太陽電池素子モジュールの製造方法の第1態様は、上記第1電極層または上記第2電極層のいずれか一方の表面上に色素増感剤が坦持された金属酸化物半導体微粒子を含有する多孔質層を有し、かつ上記機能層が高分子化合物および酸化還元対を含む固体電解質層である色素増感型太陽電池素子が複数連結されて構成される色素増感型太陽電池素子モジュールを製造する製造方法である。
なお、以下の説明においては、有機系太陽電池素子モジュールを色素増感型太陽電池素子モジュールと称して説明する。
また、本態様の製造方法により製造される色素増感型太陽電池素子モジュールにおいては、通常、第1電極層または第2電極層のうち、多孔質層が形成されている電極層を酸化物半導体電極層として用い、多孔質層が形成されていない電極層を対向電極層として用いる。
ここで、本態様の製造方法により製造される色素増感型太陽電池素子モジュールについて、図を用いて説明する。図1(a)は本態様の製造方法により製造される色素増感型太陽電池素子モジュールの一例を示す概略平面図であり、図1(b)は図1(a)のA−A線断面図である。
図1(a)、(b)に示すように、本態様の製造方法により製造される色素増感型太陽電池素子モジュール100は、1枚の第1基材11、第1基材11上にパターン状に形成された複数の第1電極層12を有する第1電極基材10と、少なくとも第2電極層22を有する複数の第2電極基材20と、第2電極層22上に形成された多孔質層3と、第1電極基材10の第1電極層12と第2電極基材20上に形成された多孔質層3との間に形成された固体電解質層4とを有するものである。
なお、色素増感型太陽電池素子モジュール100においては、第1電極層12と固体電解質層4との間に、触媒層5が形成されていることが好ましい。
また、色素増感型太陽電池素子モジュール100は、第1電極層12、触媒層5、固体電解質層4、多孔質層3および第2電極層22を有する色素増感型太陽電池素子1が複数連結されて構成されるものである。
また、図1(a)に示される色素増感型太陽電池素子モジュール100においては、第1電極層12がストライプ状に形成されており、第2電極層22を有する第2電極基材が短冊状に形成されている。さらに、色素増感型太陽電池素子モジュール100は、第1電極層12の各ストライプの両端部を含む2つの接続部分a、a’を有し、各第2電極層22の短冊の両端部に2つの接続部分b、b’を有し、1つの色素増感型太陽電池素子1の第1電極層12の接続部分a、a’と、上記1つの色素増感型太陽電池素子1に隣接する他の色素増感型太陽電池素子1の第2電極層22の接続部分b、b’とを直接接触させることにより電気的に接続させたものである。
また、図2に示すように、本態様の製造方法においては、第1電極層12上に多孔質層3がパターン状に形成されている色素増感型太陽電池素子モジュール100を製造することもできる。また、この場合、第2電極層22と固体電解質層4との間に触媒層5が形成されていることが好ましい。
なお、図2は、本態様の製造方法により製造される色素増感型太陽電池素子モジュールの他の例を示す概略断面図であり、説明していない符号については図1と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
上述したように、本態様の製造方法により製造される色素増感型太陽電池素子モジュールは、多孔質層を必須の構成とすることから、本態様においては、上述の各工程の他に、第1電極層または第2電極層のいずれか一方の表面上に多孔質層を形成する多孔質層形成工程を必須の工程とする。
より具体的に、本態様の色素増感型太陽電池素子モジュールの製造方法は、上記第1基材上に上記複数の第1電極層を形成することにより第1電極基材を形成する第1電極基材形成工程と、少なくとも上記第2電極層を有し、上記複数の第2電極基材を切り出すことが可能な1枚の第2電極基材用基板を準備する第2電極基材用基板準備工程と、上記第1電極層または上記第2電極層のいずれか一方の表面上に、色素増感剤が坦持された金属酸化物半導体微粒子を含有する多孔質層を形成する多孔質層形成工程と、上記第1電極基材の上記第1電極層側に上記機能層を上記第1電極層のパターンに対応するパターンで形成する工程、または上記第2電極基材用基板の上記第2電極層側に上記機能層を連続的に形成する工程のいずれか一方を行う機能層形成工程と、上記第2電極基材用基板を切断することにより、上記複数の第2電極基材を形成する切断工程と、上記第1電極基材の上記第1電極層側と上記第2電極基材の上記第2電極層側とを対向させ、上記機能層を界面として密着させることにより上記第1電極基材および上記第2電極基材を貼合する貼合工程と、1つの上記色素増感型太陽電池素子の上記第1電極層と上記1つの色素増感型太陽電池素子に隣接する他の上記色素増感型太陽電池素子の上記第2電極層とを電気的に接続する接続工程とを有する製造方法である。
ここで、本態様の色素増感型太陽電池素子モジュールの製造方法について図を用いて説明する。図3(a)〜(d)、図4(a)〜(e)は、本態様の色素増感型太陽電池素子モジュールの製造方法の一例を示す工程図であり、図1(a)、(b)に示す色素増感型太陽電池素子モジュールを製造する例について示す図である。
まず、本態様における第1電極基材形成工程について説明する。図3(a)、(b)に示すように、第1電極基材形成工程においては、第1基材11上に連続的に第1電極層12を形成する。また、第1電極基材形成工程においては、触媒層5を形成してもよい。この場合、第1電極層12上に連続的に触媒層5を形成して積層させる。なお、図3(a)では、第1電極層12および触媒層5が連続的に形成された第1基材11の一例を上面から示しており、図3(b)では、図3(a)のB−B線断面を示している。
次に、図3(c)、(d)に示すように、第1電極層12および触媒層5をエッチング処理等により所定のパターンにパターニングすることで、1枚の第1基材11上に、パターン状に形成された複数の第1電極層12および触媒層5を有する第1電極基材10を形成する。図3(c)においては、第1電極層12および触媒層5が、ストライプ状に形成され、かつ各々の第1電極層12および触媒層5が各ストライプの両端部を含む2つの接続部分a、a’を有するように形成される例について示している。
なお、図3(c)では、第1電極基材形成工程により形成された第1電極基材10の一例を上面から示しており、図3(d)では、図3(c)のB’−B’線断面を示している。
次に、本態様における第2電極基材用基板準備工程、および多孔質層形成工程について説明する。図4(a)、(b)、および図5(a)、(b)に示すように、第2電極基材用基板準備工程においては、第2電極層22を有する第2電極基材用基板20’を準備する。次に、多孔質層形成工程においては、第2電極層22上に色素増感剤が坦持された金属酸化物半導体微粒子を含有する多孔質層3を連続的に形成する。なお、図4(a)、(b)に示すように、第2電極基材用基板20’から切り出される第2電極基材において第2電極層22の接続部分となる部分b、b’(以下、第2電極基材用基板20’の接続部分b、b’と称して説明する場合がある。)以外の部分に多孔質層3を連続的に形成することが好ましい。
なお、図4(a)では、多孔質層形成工程により多孔質層3が形成された第2電極基材用基板の一例を上面から示しており、図4(b)では、図4(a)のC−C線断面を示している。
また、図5(a)、(b)に示すように、多孔質層形成工程においては、所定のパターン形状に多孔質層3を連続的に形成してもよい。なお、図5(a)においては、多孔質層3が第2電極基材用基板20’の接続部分b、b’以外の部分にストライプ状に連続的に形成されている例について示している。
なお、図5(a)では、多孔質層形成工程により多孔質層3が形成された第2電極基材用基板20’の他の例を上面から示しており、図5(b)では、図5(a)のD−D線断面を示している。
なお、図示はしないが、多孔質層形成工程においては、第1電極層上に多孔質層を形成してもよい。
次に、本態様における機能層形成工程について説明する。
図4(c)、(d)、および図5(c)、(d)に示すように、機能層形成工程においては、上述した第2電極基材用基板20’の多孔質層3上に、高分子化合物および酸化還元対を含む固体電解質層4を連続的に形成する。
なお、図4(c)では、固体電解質層4が形成された第2電極基材用基板20’の一例を上面から示しており、図4(d)では、図4(c)のC’−C’線断面を示している。また、図5(c)では、固体電解質層4が形成された第2電極基材用基板20’の他の例を上面から示しており、図5(d)では、図5(c)のD’−D’線断面を示している。
なお、図示はしないが、機能層形成工程においては、第1電極基材の第1電極層上に固体電解質層を第1電極層のパターンに対応するパターンで形成してもよい。
次に、本態様における切断工程について説明する。
図4(e)および図5(e)に示すように、切断工程においては、第2電極基材用基板20’を所望の形状に切断することにより、第2電極基材20を形成する。なお、図4(e)および図5(e)においては、色素増感型太陽電池素子モジュールとした際に、隣接する第2電極基材20が接触しない形状となるように第2電極基材20が形成される例について示している。
次に、本態様における貼合工程、および接続工程について説明する。貼合工程においては、第1電極基材上に形成された触媒層と、第2電極基材上に形成された多孔質層とが対向するように、固体電解質層を界面として密着させて上記第1電極基材および上記第2電極基材を貼合する。また、貼合工程においては、例えば1つの色素増感型太陽電池素子のストライプ状に形成された第1電極層の各ストライプの両端部を含む2つの接続部分と、上記1つの色素増感型太陽電池素子に隣接する他の色素増感型太陽電池素子の短冊状の第2電極層の両端部の2つの接続部分とが接触するように、第1電極基材および第2電極基材を貼合することにより、接続工程を同時に行うことができる。なお、貼合工程、および接続工程の具体例については後述する。
以上の工程を行うことにより、図1(a)、(b)に示す色素増感型太陽電池素子モジュールを製造することができる。
本態様によれば、機能層として固体電解質層を用いることから、液体の電解質を用いた場合に必要となる封止材、接着材等が必要なくなるため、製造コストを削減することができ、また、簡便な方法で色素増感型太陽電池素子モジュールを製造することが可能となる。また、封止材、接着材等が不要となることにより、発電に寄与する面積を大きくすることが可能となることから、発電効率の高い色素増感型太陽電池素子モジュールを製造することが可能となる。
以下、本態様の色素増感型太陽電池素子モジュールの製造方法の各工程について説明する。
1.第1電極基材形成工程
本態様の第1電極基材形成工程は、第1基材上にストライプ状に形成され、かつ各ストライプの両端部を含む2つの接続部分を有するように形成された複数の第1電極層を形成することにより第1電極基材を形成する工程である。
ここで、本工程により形成される第1電極基材について説明する。
本工程により形成される第1電極基材は第1基材と、第1基材上に形成された第1電極層とを有するものである。
第1電極基材としては、透明性を有する基材であってもよく、透明性を有さない基材であってもよく、本態様により製造される色素増感型太陽電池素子モジュールの受光面により適宜選択されるものである。
第2電極基材が透明性を有する基材である場合は、本工程において形成される第1電極基材としては、透明性を有する基材であってもよく、透明性を有さない基材であってもよい。
一方、第2電極基材が透明性を有さない基材である場合は、本工程において形成される第1電極基材は透明性を有する基材である。
以下、それぞれについて説明する。
(1)透明性を有する基材
上記第1電極基材が透明性を有する基材である場合、第1電極基材は、通常、第1基材として透明基材と、第1電極層として上記透明基材上に形成された透明電極層とを有するものである。
(a)第1基材
上記第1電極基材が透明性を有する基材である場合、上述したように、第1基材としては透明基材が用いられる。
上記透明基材は、後述する透明電極層を支持するものである。
このような透明基材としては、例えば無機透明基材や樹脂製基材を用いることができる。このうち、樹脂製基材は、軽量であり、加工性に優れ、製造コストの低減ができるため好ましい。
上記樹脂製基材としては、例えば、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体フィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミド(PI)、ポリエステルナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)等の樹脂からなる基材等を挙げることができる、なかでも本態様においては二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステルナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)等の樹脂からなる基材等が用いられることが好ましい。
また、上記無機透明基材としては、合成石英基材やガラス基板等を挙げることができる。
また、本態様に用いられる透明基材の厚みは、上記色素増感型太陽電池素子モジュールの用途等に応じて適宜選択することができるものであるが、通常、5μm〜2000μmの範囲内であることが好ましく、特に10μm〜500μmの範囲内であることが好ましく、さらに25μm〜200μmの範囲内であることが好ましい。
本態様に用いられる透明基材の形態としては、所望の色素増感型太陽電池素子モジュールを得ることが可能な形態であれば特に限定されるものではないが、なかでもロール状に巻き取られたフレキシブル性を有する長尺状の基材であることがより好ましい。透明基材が上述の形態であることにより、本工程や、後述する機能層形成工程において、第1電極基材側に固体電解質層を形成する工程を、R to Rプロセスで行うことが可能となるため、製造効率高く製造を行うことが可能となるからである。
なお、透明基材のフレキシブル性としては、ロール状に巻き取ることが可能であり、かつ製造される色素増感型太陽電池素子モジュールに所望の加工性を付与することが可能な程度であれば特に限定されない。具体的に上述した透明基材のフレキシブル性としては、JIS R1601のファインセラミックスの曲げ試験方法で、5KNの力をかけたときに曲がることを指す。
また、本態様に用いられる透明基材は、耐熱性、耐候性、水蒸気、その他のガスバリア性に優れたものであることが好ましい。上記透明基材がガスバリア性を有することにより、例えば、本態様の色素増感型太陽電池の経時安定性を高いものとすることができるからである。なかでも本態様においては、酸素透過率が温度23℃、湿度90%の条件下において1cc/m/day・atm以下、水蒸気透過率が温度37.8℃、湿度100%の条件下において1g/m/day以下のガスバリア性を有する透明基材を用いることが好ましい。本態様においては、このようなガスバリア性を達成するために、上記透明基材上に任意のガスバリア層を設けたものを用いてもよい。なお、上記酸素透過率は、酸素ガス透過率測定装置(モダンコントロール(株)製、OX−TRAN 2/20:商品名)を用いて測定した値である。また、上記水蒸気透過率は、水蒸気透過率測定装置(モダンコントロール(株)製、PERMATRAN−W 3/31:商品名)を用いて測定した値である。
(b)第1電極層
上記第1電極基材が透明性を有する基材である場合、上述したように、第1電極層としては透明電極層が用いられる。
透明電極層は、上述した透明電極基材上にパターン状に形成されるものである。上記透明電極層としては、太陽光を受光することが可能となる程度の透明性を有するものであれば特に限定されず、透明電極であってもよく、また透明電極と補助電極とが積層されたものであってもよい。
(i)透明電極
本態様に用いられる透明電極としては、透明性を有し、所定の導電性を有するものであれば特に限定されるものではない。このような透明電極に用いられる材料としては、金属酸化物、導電性高分子材料等を挙げることができる。
上記金属酸化物としては、例えば、SnO、ZnO、酸化インジウムにスズを添加した化合物(ITO)、酸化インジウムに酸化亜鉛を添加した化合物(IZO)等を挙げることができる。本態様においては、これらのいずれの金属酸化物であっても好適に用いることができるが、なかでもフッ素ドープしたSnO(以下、FTOと称する。)、ITOを用いることが好ましい。FTOおよびITOは、導電性および太陽光の透過性の両方に優れているからである。
一方、上記導電性高分子材料としては、例えば、ポリチオフェン、ポリアニリン(PA)、ポリピロール、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、およびこれらの誘導体等を挙げることができる。また、これらを2種以上混合して用いることもできる。
本発明における透明電極の全光線透過率は、85%以上であることが好ましく、なかでも90%以上、特に92%以上であることが好ましい。透明電極の全光線透過率が上記範囲であることにより、透明電極にて光を十分に透過することができ、多孔質層にて光を効率的に吸収することができるからである。
なお、上記全光線透過率は、可視光領域において、スガ試験機株式会社製 SMカラーコンピュータ(型番:SM−C)を用いて測定した値である。
本発明における透明電極のシート抵抗は、500Ω/□以下であることが好ましく、なかでも300Ω/□以下、特に50Ω/□以下であることが好ましい。シート抵抗が上記範囲より大きいと、発生した電荷を十分に外部回路へ伝達できない可能性があるからである。
なお、上記シート抵抗は、三菱化学株式会社製 表面抵抗計(ロレスタMCP:四端子プローブ)を用い、JIS R1637(ファインセラミックス薄膜の抵抗率試験方法:4探針法による測定方法)に基づき、測定した値である。
本態様に用いられる透明電極は、単一の層からなる構成であってもよく、また、複数の層が積層された構成であってもよい。複数の層が積層された構成としては、例えば、仕事関数が互いに異なる材料からなる層が積層された態様や、互いに異なる金属酸化物からなる層が積層された態様を挙げることができる。
本態様に用いられる透明電極の厚みは、上記色素増感型太陽電池素子モジュールの用途等に応じて、所望の導電性を実現できる範囲内であれば特に限定されない。なかでも本態様における透明電極の膜厚としては、通常、5nm〜2000nmの範囲内が好ましく、特に10nm〜1000nmの範囲内であることが好ましい。厚みが上記範囲よりも厚いと、均質な透明電極層を形成することが困難となる場合や全光線透過率が低下して良好な光電変換効率を得ることが難しくなる場合があり、また、厚みが上記範囲よりも薄いと、透明電極層の導電性が不足する可能性があるからである。
なお、上記厚みは、透明電極が複数の層から構成される場合には、すべての層の厚みを合計した総厚みを指すものとする。
透明電極のパターン形状としては、所望の色素増感型太陽電池素子モジュールを製造することが可能であれば特に限定されず、色素増感型太陽電池素子モジュールの用途、後述する接続工程における第1電極層および第2電極層の接続方法等により適宜選択されるものであるが、ストライプ状であることが好ましい。透明電極をパターン状に形成する際に形成しやすいからである。また、本工程以降の工程において形成される多孔質層、固体電解質層等が形成しやすくなるからである。
また、透明電極のパターン形状として、第2電極層との接続部分を有するパターン形状とすることが好ましい。
上記接続部分は図3(c)に示すように、ストライプ状の透明電極の両端部を含む2つの接続部分a、a’が形成されていることが好ましい。色素増感型太陽電池素子モジュールとした場合に、第1電極層および第2電極層の接触面積を大きなものとすることができ、接続不良等の発生を防止することができるとともに、2つの接続部分を有することにより、電気的接続の信頼性が優れた上記有機系太陽電池素子モジュールの作製ができ、また、電流の流れる経路が短くなり、電極での抵抗による電流損失を低減した高効率な上記有機系太陽電池素子モジュールの作製ができるからである。
透明電極の形成方法としては、複数の第1電極層として用いることが可能な透明電極を上述した透明基材上に所定のパターン状に形成することができる方法であれば特に限定されないが、例えば金属マスクを用いて上記透明電極層をスパッタ法等の蒸着法を用いて形成する方法や、上記透明電極層材料膜を透明基材上に全面形成し、所定のパターン状にエッチングする方法、上記透明電極層材料を金属ペーストとし、上記金属ペーストを透明基材上に印刷する方法等を挙げることができる。
(ii)補助電極
本工程においては、上述したように、透明電極層として上述した透明電極および補助電極を積層させたものを形成することもできる。
ここで補助電極は、導電性材料を用いてメッシュ状に形成された電極である。上記補助電極を上述した透明電極とともに用いることで、本態様により製造される色素増感型太陽電池素子モジュールの発電効率を高いものとすることが可能となる。
補助電極の形成位置としては、上記透明電極とともに用いることにより、本態様により製造される色素増感型太陽電池素子モジュールの発電効率を高いものとすることができれば特に限定されるものではなく、上記透明基材上に形成された上記透明電極上に形成されていてもよいし、上記透明基材および上記透明電極の間に形成されていてもよい。本態様においては、上記補助電極が上記透明基材および上記透明電極の間に形成されていることがより好ましい。後述する固体電解質層がヨウ化物イオンを含有する場合、上記補助電極が上記透明基材上に形成された上記透明電極上に形成されている場合に比べて、固体電解質層中のヨウ化物イオンと接触しにくくなるからである。
本態様に用いられる上記補助電極の材料としては、本態様の色素増感型太陽電池の発電効率を高めることが可能な材料であれば特に限定されるものではない。
このような補助電極に用いられる材料としては、具体的には、チタン、タングステン、モリブデン、クロム、白金などを挙げることができ、また、アルミ、ニッケル、銅、鉄、銀およびそれらの合金など一般的な金属種に耐腐食表面処理を行って使用することが出来る。
(2)透明性を有さない基材
上記第1電極基材が透明性を有さない基材である場合は、上述した「透明性を有する基材」で説明したような、透明性を示さない基材であれば特に限定されないが、通常、第1基材と第1基材上にパターン状に形成された金属層とを有する。
(a)第1基材
上記第1基材としては、透明基材であってもよく、透明性を有さない第1基材であってもよい。透明基材については、上述した「(1)透明性を有する基材」の項で記載したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
一方、透明性を有さない第1基材としては、樹脂製基材を挙げることができる。
なお、樹脂製基材に用いられる樹脂材料については、上述した透明樹脂製基材に用いられる材料と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
また、透明性を有さない第1基材の具体的な厚み、形態等については、上述した「(1)透明性を有する基材」の項で記載したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
(b)第1電極層
上記第1電極基材が透明性を有さない基材である場合、上述したように、第1電極層としては、金属層が用いられる。
また、上記金属層としては、上述した第1基材上に所定のパターン形状で形成することが可能であれば特に限定されないが、フレキシブル性を有するものであることが好ましい。金属層がフレキシブル性を有することにより、本態様により製造される色素増感型太陽電池素子モジュールの加工性をより高いものとすることができるからである。
上記金属層に用いられる金属としては、具体的には、銅、アルミニウム、チタン、クロム、タングステン、モリブデン、白金、タンタル、ニオブ、ジルコニウム、亜鉛、各種ステンレスおよびそれらの合金等が挙げられ、チタン、クロム、タングステン、各種ステンレスおよびそれらの合金が望ましい。
また、金属層の厚みとしては、色素増感型太陽電池素子モジュールの第1電極層として働くものであれば特に限定されないが、通常、5μm〜1000μmの範囲内であることが好ましく、10μm〜500μmの範囲内であることがより好ましく、20μm〜200μmの範囲内であることがさらに好ましい。
上記金属層のパターン形状については、上述した透明電極のパターン形状と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
上記金属層の形成方法としては、一般的な金属層の形成方法と同様とすることができる。
例えば、第1基材上に蒸着法等により金属膜を形成した後、エッチングすることにより所定のパターン形状の金属層を形成する方法や、金属マスク等を用いて第1基材上にパターン蒸着させることにより金属層を形成する方法等を挙げることができる。
(3)その他の構成
本工程において形成される第1電極基材としては、第1基材および第1電極層を有するものであれば特に限定されず、必要に応じて他の構成を有していてもよい。
例えば、後述する多孔質層形成工程において、第2電極基材用基板側に多孔質層が形成される場合は、本工程において形成される第1電極基材の第1電極層上に触媒層が形成されていることが好ましい。
触媒層は、色素増感型太陽電池素子モジュールの発光効率の向上に寄与する働きを有するものである。
このような触媒層の例としては、例えば、上記第1電極層上にPtを蒸着した態様や、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、ポリピロール(PP)、ポリアニリン(PA)、およびこれらの誘導体およびこれらの混合物から触媒層を形成する態様を挙げることができるが、この限りではない。
このような触媒層の膜厚としては、5nm〜500nmの範囲内、なかでも10nm〜300nmの範囲内、特に15nm〜100nmの範囲内であることが好ましい。
触媒層の形成方法としては、上述した第1電極層上に所望の厚みで形成することが可能であれば特に限定されず、一般的な色素増感型太陽電池素子における触媒層の形成方法と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
また、本工程において形成される触媒層5としては、図3(c)、(d)に示すように、第1電極層12上全面に形成されていてもよく、図6に示すように、第1電極層12の一部にパターン状に形成されていてもよい。
また、触媒層がパターン状に形成される場合は、後述する固体電解質層のパターン形状に対応するように形成されることが好ましい。なお、固体電解質層のパターン形状については後述するため、ここでの説明は省略する。
(4)第1電極基材
本工程において形成される第1電極基材としては、上述した透明性を有する基材、および透明性を有さない基材のいずれであってもよいが、透明性を有する基材であることが好ましい。
ここで、後述する多孔質層形成工程においては、第1電極基材の第1電極層上または後述する第2電極基材用基板の第2電極層上のいずれか一方に多孔質層が形成されるが、第2電極層上に多孔質層を形成する場合は、多孔質層を連続的に形成することが可能であり、本態様の製造方法をより簡便な方法とすることが可能となる。
また、多孔質層の形成方法としては、第2電極層として金属層を用い、金属層上に多孔質層を焼成して形成する方法を用いることが好ましい。
よって、第2電極基材としては、透明性を有さない基材を用いることが好ましいことから、本工程において形成される第1電極基材は、透明性を有する基材であることが好ましい。
2.第2電極基材準備工程
本態様における第2電極基材準備工程は、上記第2電極層を有し、両端部に2つの接続部分を有する上記複数の第2電極基材を切り出すことが可能な1枚の第2電極基材用基板を準備する工程である。
上記第2電極基材用基板としては、透明性を有する基材であってもよく、透明性を有さない基材であってもよく、本態様の製造方法により製造される色素増感型太陽電池素子モジュールの受光面により適宜選択される。
上述した第1電極基材形成工程で形成される第1電極基材が透明性を有する基材である場合は、上記第2電極基材用基板としては透明性を有する基材であってもよく、透明性を有さない基材であってもよい。一方、上記第1電極基材が透明性を有さない基材である場合は、上記第2電極基材用基板としては透明性を有する基材が用いられる。
このような第2電極基材用基板としては、電極としての機能を有し、後述する切断工程で所望の形状に切断して第2電極基材を形成することが可能であれば限定されず、第2電極層からなるものであってもよく、第2電極層と、第2電極層を支持するための第2基材とを有するものであってもよい。
上記第2電極基材用基板が、第2電極層からなるものである場合、第2電極基材用基板としては、具体的には、単一の金属層、すなわち金属基材が用いられる。
また、上記金属基材の形態としては、所望の第2電極基材を形成することが可能であれば特に限定されないが、ロール状に巻き取られたフレキシブル性を有する長尺状であることが好ましい。
なお、金属基材のフレキシブル性としては、具体的には、JIS Z 2248の金属材料曲げ試験方法で、5KNの力をかけたときに曲がることを指す。
上記金属基材に用いられる金属については上述した第1電極基材に用いられる金属層と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
また、金属基材の厚みとしては、後述する切断工程で切断可能な程度の厚みであれば特に限定されず、上述した第1電極基材に用いられる金属層の厚みと同等とすることができる。
一方、第2電極基材用基板が、第2電極層と、第2基材とを有するものである場合、第2電極層としては、上述した第1電極基材形成工程の項で説明した透明電極層または金属層を用いることができ、第2基材としては、上述した第1電極基材形成工程の項で説明した透明基材または樹脂基材を用いることができる。
なお、第2電極基材用基板としては、通常第2基材全面に第2電極層が形成されているものである。
透明基材、樹脂基材、透明電極層、金属層については、上述した第1電極基材形成工程の項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
本工程において準備される第2電極基材用基板としては、必要に応じて他の構成を有することができる。
例えば、後述する多孔質層形成工程で上述した第1電極基材の第1電極層上に多孔質層が形成される場合、上記第2電極層上に触媒層を形成することが好ましい。
なお、触媒層については上述した第1電極基材形成工程の項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
本工程において準備される第2電極基材用基板としては、第2電極層からなるもの、すなわち金属基材であることがより好ましい。上述した第1電極基材形成工程の項で説明したように、後述する多孔質層形成工程においては、第2電極基材用基板の第2電極層上に多孔質層を形成することが好ましいからである。
3.多孔質層形成工程
本態様における多孔質層形成工程は、上記複数の第1電極層または上記第2電極層上のいずれか一方に、色素増感剤が坦持された金属酸化物半導体微粒子を含有する多孔質層を形成する工程である。
以下、本工程において形成される多孔質層、および多孔質層の形成方法について説明する。
(1)多孔質層
上記多孔質層は、色素増感剤が担持された金属酸化物半導体微粒子を含有するものである。以下、上記多孔質層に用いられる金属酸化物半導体微粒子、および色素増感剤についてそれぞれ説明する。
(a)金属酸化物半導体微粒子
上記金属酸化物半導体微粒子としては、半導体特性を備える金属酸化物からなるものであれば特に限定されるものではない。上記金属酸化物半導体微粒子を構成する金属酸化物としては、例えば、TiO、ZnO、SnO、ITO、ZrO、MgO、Al、CeO、Bi、Mn、Y、WO、Ta、Nb、La等を挙げることができる。
なかでも本態様においては、TiOからなる金属酸化物半導体微粒子を用いることが最も好ましい。TiOは特に半導体特性に優れるからである。
上記金属酸化物半導体微粒子の平均粒径としては、通常、1nm〜10μmの範囲内であることが好ましく、特に10nm〜1000nmの範囲内であることが好ましい。
なお、上記金属酸化物半導体微粒子の平均粒径は一次粒径を意味するものとする。
(b)色素増感剤
上記色素増感剤としては、光を吸収して起電力を生じさせることが可能なものであれば特に限定はされない。このような色素増感剤としては、有機色素または金属錯体色素を挙げることができる。上記有機色素としては、アクリジン系、アゾ系、インジゴ系、キノン系、クマリン系、メロシアニン系、フェニルキサンテン系、インドリン系、カルバゾール系の色素が挙げられる。本発明においてはこれらの有機色素の中でも、クマリン系色素を用いることが好ましい。また、上記金属錯体色素としてはルテニウム系色素を用いることが好ましく、特にルテニウム錯体であるルテニウムビピリジン色素およびルテニウムターピリジン色素を用いることが好ましい。このようなルテニウム錯体は吸収する光の波長範囲が広いため、光電変換できる光の波長領域を大幅に広げることができるからである。
(c)任意の成分
上記多孔質層には、上記金属酸化物半導体微粒子の他に任意の成分が含まれていてもよい。本工程に用いられる任意の成分としては、例えば、樹脂を挙げることができる。上記多孔質層に樹脂が含有されることにより、本工程において形成される多孔質層の脆性を改善することができるからである。
本工程において多孔質層に用いることができる樹脂としては、例えば、ポリビニルピロリドン、エチルセルロース、カプロラクタン等を挙げることができる。
(d)多孔質層
本工程において形成される多孔質層の厚みは、本態様の製造方法により製造される色素増感型太陽電池素子モジュールの用途に応じて、適宜決定できるものであり、特に限定されるものではない。なかでも本発明における多孔質層の厚みは、通常、1μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、特に3μm〜30μmの範囲内であることが好ましい。
本工程において、上記多孔質層は、第1電極基材の複数の第1電極層上、または第2電極基材用基板の第2電極層上のいずれか一方に形成される。
ここで、後述する接続工程において、上記第1電極層および第2電極層の両端部の2つの接続部分には多孔質層が存在していないことが好ましい。
したがって、この場合は、図6に示すように、各々の第1電極層12の接続部分a,a’には多孔質層4が形成されていないことが好ましい。また、図4(a)および図5(a)に示すように、第2電極基材用基板20’の接続部分b、b’以外の部分に多孔質層を連続的に形成することが好ましい。
また、多孔質層4が第1電極層12上に形成される場合は、図6に示されるように、多孔質層4の幅が第1電極層12の幅よりも大きくなるように形成されることが好ましい。これにより、本態様により製造される色素増感型太陽電池素子モジュールにおいて、1つの色素増感型太陽電池素子内での第1電極層および第2電極層が接触することによる内部短絡の発生を防止することができるからである。
なお、図6は、本工程において第1電極層側に多孔質層が形成された第1電極基材の一例を示す上面図である。また、図6において1点鎖線で示している領域は第1電極層の形
成領域を示している。
(2)多孔質層の形成方法
本工程に用いられる多孔質層の形成方法としては、第1電極基材の複数の第1電極層上または第2電極基材の第2電極層上に所望の厚みで多孔質層を形成することが可能な方法であれば特に限定されるものではない。
なお、上記第1基材の形態、または第2電極基材用基板の形態が、上述したロール形状に巻き取られた長尺状である場合は、本工程は、R to Rプロセスで行われることがより好ましい。より高い製造効率で色素増感型太陽電池素子モジュールを製造することが可能となるからである。
よって、本工程に用いられる多孔質層の形成方法としては、R to Rプロセスを適用することができるものであることが好ましい。
また、本工程においては、第2電極基材用基板の第2電極層上に多孔質層を形成することが好ましい。この場合、多孔質層を連続的に形成することが可能となることから、第1電極基材の第1電極層上に多孔質層をパターン状に形成する場合に比べて、より簡便な方法で多孔質層を形成することができるからである。
なお、多孔質層の形成方法としては、より具体的には次の方法を挙げることができる。
まず、少なくとも上述した金属酸化物半導体微粒子、バインダー樹脂、および溶媒からなる多孔質層形成用塗工液を調製する。次に第2電極層として、金属層を用い、上記金属層上に調製された上記多孔質層形成用塗工液を所望の膜厚で塗布して多孔質層形成用塗布膜を形成し、上記多孔質層形成用塗布膜を焼成してバインダー樹脂を熱分解させることによって多孔質層形成用層を形成する。次に上記多孔質層形成用層の表面に上述した色素増感剤を付着させることにより多孔質層を形成する。
なお、多孔質層形成用塗工液に用いられるバインダー樹脂、溶媒については一般的な多孔質層の形成方法で用いられるものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。また、多孔質層形成用塗工液としては、上述した成分の他に、必要に応じて分散剤を添加することもできる。
また、多孔質層形成用塗工液の塗布方法、焼成条件等についても一般的な多孔質層の形成方法で用いられるものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
また、多孔質層の形成方法としては、次の方法を用いることも可能である。
まず、上述した金属酸化物半導体微粒子および溶媒を含む多孔質層形成用組成物を第2電極層上に塗布して乾燥させることにより多孔質層形成用層を形成し、次いで多孔質層形成用層に色素増感剤を付着させることによって多孔質層を形成する。上記多孔質層形成用組成物に用いられる溶媒、上記多孔質層形成用組成物の塗布方法、および乾燥条件等については、一般的な多孔質層の形成方法で用いられるものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
なお、この方法は、第1電極基材の第1電極層上に多孔質層を形成する場合においても用いることができる。
また、多孔質層の形成方法としては、次の方法を用いることも可能である。
上述した第2電極層上に多孔質層を焼成して形成する方法と同様の方法を用いて、耐熱基板上に剥離層を形成した後、上記多孔質層を剥離層上に配置し、上記第2電極層と貼り合せ、次いで耐熱基板を剥離することにより多孔質層を形成する。
なお、この方法は、第1電極基材の第1電極層上に多孔質層を形成する場合においても用いることができる。
4.機能層形成工程
本態様における機能層形成工程は、上記第1電極基材の上記第1電極層側に高分子化合物および酸化還元対を含む固体電解質層を第1電極層のパターンに対応するパターンで形成する工程、または上記第2電極基材用基板の上記第2電極層側に上記固体電解質層を連続的に形成する工程のいずれか一方を行う工程である。
なお、本態様において「固体電解質層を第1電極層のパターンに対応するパターンで形成する」とは、本発明の製造方法により製造される有機系太陽電池素子モジュールを構成する各々の有機系太陽電池素子が固体電解質層を有するように、パターン状に形成された各々の第1電極層上に各々の固体電解質層を形成することを指す。より具体的には、1つの固体電解質層を1つの第1電極層上に連続的に形成可能なパターンで形成することを指す。
ここで、本工程において形成される上記固体電解質層は、高分子化合物、および酸化還元対を含有するものであり、流動性を示さないものである。なお、本発明では、固体電解質層はゲル電解質層を含む概念である。
(1)固体電解質層の材料
本態様における固体電解質層の材料は、高分子化合物、および酸化還元対を含有するものである。
(a)高分子化合物
上記固体電解質層に用いられる高分子化合物について説明する。
上記固体電解質層における高分子化合物としては、ポリエーテル、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸アルキルエステル、ポリメタクリル酸アルキルエステル、ポリカプロラクトン、ポリヘキサメチレンカーボネート、ポリシロキサン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリアクリルニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリヘキサフロロプロピレン、ポリフロロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリルを主鎖に持つ高分子化合物ないしはこれらモノマー成分2種類以上の共重合体等を好ましく用いることができる。
また、上記固体電解質層に用いられる高分子化合物としては、セルロース系樹脂を挙げることができる。セルロース系樹脂は、耐熱性が高いので、セルロース系樹脂で固体化した電解質層は、高温下でも液漏れが起こらず熱安定性が高い。具体的にはセルロース、酢酸セルロース、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース等のセルロースアセテート(CA)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート、硝酸セルロース等のセルロースエステル類、メチルセルロース、エチルセルロース、ベンジルセルロース、シアノエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロースエーテル類が挙げられる。これらのセルロース系樹脂は、いずれかを単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
セルロース系樹脂の中でも、電解質溶液への相溶性の観点から、特にカチオン性セルロース誘導体が好ましく用いられる。カチオン性セルロース誘導体とは、セルロース又はその誘導体のOH基にカチオン化剤を反応させてカチオン化したものをいう。カチオン性セルロース誘導体を含有させることにより、電解液の保持性に優れ、特に高温下あるいは加圧時において電解液の液漏れがない、熱安定性に優れた固体電解質層を得ることができる。
上記のようなセルロース系樹脂の分子量は、そのセルロース系樹脂の種類によって異なり、特に限定されないが、電解質層を形成する際に良好な造膜性を得る観点から、質量平均分子量が10,000以上(ポリスチレン換算)、特に100,000〜200,000の範囲内であることが好ましい。例えば、セルロース系樹脂としてエチルセルロースを用いる場合には、水に2質量%でエチルセルロースを溶解させ、30℃で粘度測定を行った場合の値で、5mPa・s〜1000mPa・sの範囲内、特に10mPa・s〜500mPa・sの範囲内の粘度を示すような分子量とすることが好ましい。
また、セルロース系樹脂のガラス転移温度は、電解質層の十分な熱安定性を得るために、80℃〜150℃の範囲内であることが好ましい。
本発明に用いられる高分子化合物としては、透明性を有するものであることが好ましい。上記高分子化合物が透明性を有することによって、上記固体電解質層の透明性をより向上させることができる。また、上記固体電解質層の透明性を向上させることにより、本態様の製造方法により製造される色素増感型太陽電池素子モジュールの外観を良好なものとすることが可能となる。また、上記固体電解質層が多孔質層に浸透した際に、固体電解質層によって光を遮断することを防止することが可能となるので、本態様により製造される色素増感型太陽電池素子モジュールの性能を向上させることが可能となる。
このような高分子化合物の含有量としては、低過ぎると固体電解質層の熱安定性が低下し、逆に高過ぎると太陽電池の光電変換効率が低下するため、これらを考慮して適宜設定される。具体的には、固体電解質層を構成する材料中に5質量%〜60質量%含有させることが好ましい。上記固体電解質層を構成する材料中の高分子化合物が上記範囲よりも割合が低いと、後述する多孔質層との密着性が十分に得られない場合があり、また、固体電解質層自体の機械的強度の低下に繋がる場合があるため好ましくない。一方、上記範囲よりも割合を高くすると、絶縁性である高分子化合物が多量に存在することから、電荷を輸送する機能が阻害されるおそれがあるため好ましくない。
(b)酸化還元対
次に、固体電解質層に用いられる酸化還元対について説明する。
本工程により形成される固体電解質層において、酸化還元対としては、一般的に色素増感型太陽電池の電解質層において用いられているものであれば特に限定はされない。具体的には、ヨウ素およびヨウ化物の組合せ、臭素および臭化物の組合せであることが好ましい。例えば、ヨウ素およびヨウ化物の組合せとしては、LiI、NaI、KI、CaI等の金属ヨウ化物と、Iとの組合せを挙げることができる。さらに、臭素および臭化物の組み合わせとしては、LiBr、NaBr、KBr、CaBr等の金属臭化物と、Brとの組合せを挙げることができる。
また、上記酸化還元対の含有量としては、固体電解質層に占める酸化還元対の割合が、1質量%〜50質量%の範囲内、中でも、5質量%〜35質量%の範囲内であることが好ましい。
(c)その他の成分
本発明に用いられる固体電解質層は、上述した高分子化合物および酸化還元対の他にも、必要な成分を適宜追加することが可能である。このような成分としては、例えばイオン液体を挙げることができる。
(2)固体電解質層
本工程により形成される固体電解質層の膜厚としては、10nm〜100μmの範囲内、なかでも1μm〜50μmの範囲内、特に5μm〜30μmの範囲内であることが好ましい。上記固体電解質層の膜厚が上記範囲に満たない場合は、上記固体電解質層が十分に機能せず色素増感型太陽電池素子モジュールの発電効率が低下する可能性があるからである。また、上記固体電解質層の膜厚が上記範囲を超える場合は、本態様の製造方法により製造される色素増感型太陽電池素子モジュールを薄膜に形成することが困難になるからである。
また、固体電解質層が第1電極基材側に形成されている場合、上記固体電解質層のパターン形状としては、上述した多孔質層形成工程において、第1電極層上に形成される多孔質層のパターン形状と同様とすることが好ましい。
また、固体電解質層が第2電極基材用基板側に形成されている場合、固体電解質層は、通常連続的に形成される。上記固体電解質層は第2電極層の両端の2つの接続部分に固体電解質層が形成されていない部分を設けて形成されている。
具体的な固体電解質層の形状については、上述した多孔質層形成工程において、第2電極層上に形成される多孔質層の形状と同様とすることができる。
(3)固体電解質層の形成方法
本工程において、第1電極基材の第1電極層側に上述した固体電解質層をパターン状に形成する場合、固体電解質層の形成方法としては、上記第1電極層上に所望の厚みで所望のパターンを有する固体電解質層を形成することが可能な方法であれば特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
なお、上記第1電極基材に用いられる第1基材の形態が、上述したロール形状に巻き取られた長尺状である場合、本工程はR to Rプロセスで行われることがより好ましい。より高い製造効率で色素増感型太陽電池素子モジュールを製造することが可能となるからである。
一方、本工程において、第2電極基材用基板の第2電極基材側に上述した固体電解質層を連続的に形成する場合も、固体電解質層の形成方法としては、所望の厚みで固体電解質層を形成することが可能であれば特に限定されず、公知の塗布方法を用いることができる。
また、上記第2電極基材用基板の形態が、上述したロール形状に巻き取られた長尺状である場合は、本工程は、R to Rプロセスで行われることがより好ましい。より高い製造効率で色素増感型太陽電池素子モジュールを製造することが可能となるからである。
5.切断工程
本態様における切断工程は、上記第2電極基材用基板を切断することにより、上記複数の第2電極基材を形成する工程である。
本工程により形成される第2電極基材の形状としては、本態様により製造される色素増感型太陽電池素子モジュールにおいて、隣接する第2電極基材同士が接触しない形状であれば特に限定されず、上記色素増感型太陽電池素子モジュールの用途等により適宜選択して決定することができる。
また、後述する接続工程において、隣接する色素増感型太陽電池素子の第1電極層と第2電極層とを電気的に接続させる場合は、本工程において形成される第2電極基材の形状としては、第2電極層が第1電極層との接続部分を有するような形状であることが好ましい。
上記接続部分は第2電極基材が短冊状である場合、図4(e)および図5(e)に示すように、短冊の短辺の端部を含む接続部分b、b’が形成されていることが好ましい。色素増感型太陽電池素子モジュールとした場合に、第1電極層および第2電極層の接触面積を大きなものとすることができ、接続不良等の発生を防止することができるとともに、2つの接続部分を有することにより、電気的接続の信頼性が優れた上記有機系太陽電池素子モジュールの作製ができ、また、電流の流れる経路が短くなり、電極での抵抗による電流損失を低減した高効率な上記有機系太陽電池素子モジュールの作製ができるからである。
また、第2電極基材用基板上に上述した多孔質層や固体電解質層が形成されている場合は、通常、本工程により形成される第2電極基材が有する多孔質層や固体電解質層が上述した第1電極層のパターンに対応するパターンを有するように、第2電極基材用基板が切断される。
本工程に用いられる第2電極基材用基板の切断方法としては、上記第2電極基材用基板から所望の形状を有する第2電極基材を切り出すことが可能な方法であれば特に限定されず、公知の方法とすることができる。
6.貼合工程
本態様における貼合工程は、上記第1電極基材の上記第1電極層側と上記第2電極基材の上記第2電極層側とを対向させ、上記固体電解質層を界面として密着させることにより上記第1電極基材および上記第2電極基材を貼合する工程である。
なお、本工程においては、上述した第1電極基材の複数の第1電極層上に多孔質層が形成されている場合は、上記多孔質層と第2電極層とを対向させて、固体電解質層を界面として密着させる。一方、上述した第2電極基材の第2電極層上に多孔質層が形成されている場合は、上記第1電極層と上記多孔質層とを対向させて、固体電解質層を界面として密着させる。
また、多孔質層が形成されていない側の電極層上に触媒層が形成されている場合は、多孔質層と触媒層とを対向させて固体電解質層を界面として密着させる。
ここで本工程について、図を用いて説明する。
本工程においては、例えば図3(d)に示される第1電極基材10の複数の第1電極層12上に形成された触媒層5と、図4(e)に示される複数の第2電極基材の第2電極層上に形成された多孔質層3とを対向させて、固体電解質層4を界面として密着させる。これにより、本工程においては図1(a)、(b)に示される色素増感型太陽電池素子モジュール100の構成を得ることができる。
本工程に用いられる貼合方法は、上記固体電解質層を界面として上記第1電極層および多孔質層を良好に密着させることが可能な貼合方法であれば特に限定されるものではないが、ロールラミネート法や真空ラミネート法を用いることが好ましい。密着面に空気が入らないように貼合することが容易であるからである。
7.接続工程
本態様における接続工程は、1つの上記色素増感型太陽電池素子の上記第1電極層と上記1つの色素増感型太陽電池素子に隣接する他の上記色素増感型太陽電池素子の上記第2電極層とを電気的に接続する工程である。
本工程における第1電極層および第2電極層の接続方法としては、色素増感型太陽電池素子モジュールにおいて隣接する色素増感型太陽電池素子の第1電極層および第2電極層の両端部に形成された前記2つの接続部分どうしを電気的に接続させることが可能な方法であれば特に限定されない。例えば、隣接する色素増感型太陽電池素子の第1電極層と第2電極層とを直接接触させたり、または第1電極層と第2電極層との間に導電性層を形成して接続させたりする等の色素増感型太陽電池素子モジュールの内部で電気的に接続させる方法を挙げることができる。色素増感型太陽電池素子モジュールの外部で電気的に接続させる方法に比べて接続方法が簡便であるからである。
本工程においては、隣接する色素増感型太陽電池素子の第1電極層と第2電極層との間に導電性層を形成して接続させる方法を用いることが好ましい。これにより本態様により製造される色素増感型太陽電池素子モジュールにおける接続不良をより好適に防止することができるからである。
なお、導電性層の材料としては、一般的な導電性接着剤等を用いることができる。
ここで上記接続部分を用いた接続方法について、図を用いて具体的に説明する。
本工程においては、例えば図3(d)に示される第1電極基材10の複数の第1電極層12上に形成された触媒層5と、図4(e)に示される複数の第2電極基材20の第2電極層22上に形成された多孔質層3とを対向させて、固体電解質層4を界面として貼合する際に、第1電極層12の各ストライプの両端部を含む2つの接続部分a、a’と第2電極層22の短冊の両端部の2つの接続部分b,b’とを直接接触させることにより、図1(a)に示すように、隣接する色素増感型太陽電池素子の第1電極層11と第2電極層22とを電気的に接続することができる。
8.その他の工程
本態様の色素増感型太陽電池素子モジュールの製造方法は、上述した各工程を有する製造方法であれば特に限定されず、必要な工程を適宜選択して追加することが可能である。
このような工程としては、例えば色素増感型太陽電池素子モジュールを作製した後、色素増感型太陽電池素子モジュールの第1電極基材上および第2電極基材上に透明樹脂フィルムや金属ラミネートフォルムを配置してパッケージングする工程等を挙げることができる。
また、例えば、上述した各工程を行うことにより色素増感型太陽電池素子モジュールを複数個作製し、上記複数の色素増感型太陽電池素子モジュールを組み合わせることにより、さらに大型の色素増感型太陽電池素子モジュールを形成する工程を挙げることができる。
II.第2態様
本発明の有機系太陽電池素子モジュールの製造方法の第2態様は、上記第1電極層および上記第2電極層の間に光電変換層を有する有機薄膜太陽電池素子が複数連結されて構成される有機薄膜太陽電池素子モジュールであり、上記機能層が上記第1電極層および上記第2電極層の間に形成される有機物を含む層であるものを製造する製造方法である。
なお、以下の説明においては、有機系太陽電池素子モジュールを有機薄膜太陽電池素子モジュールと称して説明する。
なお、本態様の製造方法により製造される有機薄膜太陽電池素子モジュールにおいては、第1電極層または第2電極層のいずれか一方を光電変換層で発生した正孔を取り出すための電極(正孔取出し電極)として用い、他方を光電変換層で発生した電子を取り出すための電極(電子取出し電極)として用いる。
ここで、本態様の製造方法により製造される有機薄膜太陽電池素子モジュールについて、図を用いて説明する。図7は、本態様の製造方法により製造される有機薄膜太陽電池素子モジュールの一例を示す概略断面図である。なお、図7の概略平面図については、図1(a)に示される色素増感型太陽電池素子モジュールの概略平面図と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
図7に示すように、本態様の製造方法により製造される有機薄膜太陽電池素子モジュール200は、1枚の第1基材11、第1基材上にパターン状に形成された複数の第1電極層12を有する第1電極基材10と、少なくとも第2電極層22を有する複数の第2電極基材20と、第1電極基材10の第1電極層12との間に形成された光電変換層6とを有するものである。
また、有機薄膜太陽電池素子モジュール2は、第1電極層または第2電極層のいずれか一方の電極層上に正孔取出し層が形成され、正孔取出し層が形成されていない方の電極層上に電子取出し層が形成されていることが好ましい。図7においては、第1電極層12上に正孔取出し層7が、第2電極層22上に電子取出し層8が形成されている例について示している。
また、有機薄膜太陽電池素子モジュール200は、第1電極層12、正孔取出し層7、光電変換層6、電子取出し層8、および第2電極層22を有する有機薄膜太陽電池素子2が複数連結されて構成されるものである。
また、本態様により製造される有機薄膜太陽電池素子モジュールにおける機能層としては、第1電極層および第2電極層の間に形成される有機物を含む層であり、第1電極基材および第2電極基材を貼合する際の界面とすることにより、第1電極基材および第2電極基材を良好に密着させることが可能な層であれば特に限定されない。
上記機能層としては、具体的には、光電変換層、またはポリエチレンジオキシチオフェン−ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)を主成分とする正孔取出し層を挙げることができる。
より具体的に、本態様の有機薄膜太陽電池素子モジュールの製造方法は、上記第1基材上に上記複数の第1電極層を形成することにより第1電極基材を形成する第1電極基材形成工程と、少なくとも上記第2電極層を有し、上記複数の第2電極基材を切り出すことが可能な1枚の第2電極基材用基板を準備する第2電極基材用基板準備工程と、上記第1電極基材の上記第1電極層側に機能層を上記第1電極層のパターンに対応するパターンで形成する工程、または上記第2電極基材用基板の上記第2電極層側に機能層を連続的に形成する工程のいずれか一方を行う機能層形成工程と、上記第2電極基材用基板を切断することにより、上記複数の第2電極基材を形成する切断工程と、上記第1電極基材の上記第1電極層側と上記第2電極基材の上記第2電極層側とを対向させ、上記機能層を界面として密着させることにより上記第1電極基材および上記第2電極基材を貼合する貼合工程と、1つの上記有機薄膜太陽電池素子の上記第1電極層と上記1つの有機薄膜太陽電池素子に隣接する他の上記有機薄膜太陽電池素子の上記第2電極層とを電気的に接続する接続工程とを有する製造方法である。
なお、上記有機薄膜太陽電池素子モジュールは、光電変換層を必須の構成とするものである。よって、本態様の有機薄膜太陽電池素子モジュールの製造方法においては、上記機能層形成工程において光電変換層を形成しない場合は、別途、第1電極層または第2電極層のいずれか一方の表面に光電変換層を形成する工程を有するものとする。
ここで、本態様の有機薄膜太陽電池素子モジュールの製造方法について図を用いて説明する。図8(a)〜(d)、図9(a)〜(e)は、本態様の有機薄膜太陽電池素子モジュールの製造方法の一例を示す工程図であり、図7(a)に示す有機薄膜太陽電池素子モジュールを製造する例について示す図である。
まず、本態様における第1電極基材形成工程について説明する。図8(a)、(b)に示すように、第1電極基材形成工程においては、第1基材11上に連続的に第1電極層12を形成する。また、第1電極基材形成工程においては、第1電極層の用途に応じて正孔取出し層または電子取出し層のいずれか一方を形成してもよい。なお、図8(a)、(b)においては正孔取出し層7を形成する例について示す。この場合、第1電極層12上に連続的に正孔取出し層7を形成して積層させる。なお、図8(a)では、正孔取出し層7が連続的に形成された第1基材11の一例を上面から示しており、図8(b)では、図8(a)のE’−E’線断面を示している。
次に、図8(c)、(d)に示すように、第1電極層12および正孔取出し層7をエッチング等により所定のパターンにパターニングすることで、1枚の第1基材11上に、パターン状に形成された複数の第1電極層12および正孔取出し層7を有する第1電極基材10を形成する。図8(c)においては、第1電極層12および正孔取出し層7が、ストライプ状に形成され、かつ各々の第1電極層12および正孔取出し層7がストライプの両端部を含む2つの接続部分a、a’を有するように形成される例について示している。
なお、図8(c)では、第1電極基材形成工程により形成された第1電極基材10の一例を上面から示しており、図8(d)では、図8(c)のE’−E’線断面を示している。
次に、本態様における第2電極基材用基板準備工程について説明する。図9(a)、(b)に示すように、第2電極基材用基板準備工程においては、第2電極層22を有する第2電極基材用基板20’を準備する。なお、準備される第2電極基材用基板20’には、第2電極層22の用途に応じて、第2電極層22上に正孔取出し層または電子取出し層が形成されていてもよい。図9(a)、(b)では、電子取出し層8が形成されている例について示している。
なお、図9(a)は、電子取出し層8が形成された第2電極基材用基板20’の一例を上面から示しており、図9(b)は図9(a)のF−F線断面を示している。
次に、本態様における機能層形成工程について説明する。
図9(c)、(d)に示すように、機能層形成工程においては、上述した第2電極基材用基板20’の電子取出し層8上に、光電変換層6を連続的に形成する。なお、後述する接続工程で、隣接する有機薄膜太陽電池素子の第1電極層と第2電極層とを電気的に接続させる場合は、図9(c)に示すように、第2電極基材用基板20’の接続部分b,b’以外の部分に光電変換層6を連続的に形成することが好ましい。
なお、図9(c)では、光電変換層6が形成された第2電極基材用基板20’の一例を上面から示しており、図9(d)では、図9(c)のF’−F’線断面を示している。
なお、図示はしないが、機能層形成工程においては、第1電極基材の第1電極層側に光電変換層をパターン状に形成してもよい。
次に、本態様における切断工程について説明する。
図9(e)に示すように、切断工程においては、第2電極基材用基板20’を所望の大きさに切断することにより、第2電極基材20を形成する。なお、図9(e)においては、有機薄膜太陽電池素子モジュールとした際に、隣接する第2電極基材20が接触しない形状となるように、第2電極基材20が形成される例について示している。
次に、本態様における貼合工程、および接続工程について説明する。図示はしないが、貼合工程においては、第1電極基材上に形成された正孔取出し層と、第2電極基材上に形成された電子取出し層とが対向するように、光電変換層を界面として密着させて上記第1電極基材および上記第2電極基材を貼合する。また、貼合工程においては、隣接する2つの有機薄膜太陽電池素子の第1電極層の両端部の2つの接続部分と第2電極層の両端部の2つの接続部分とが接触するように、第1電極基材および第2電極基材を貼合することにより、接続工程を同時に行うことができる。
以上の工程を行うことにより、図6に示す有機薄膜太陽電池素子モジュールを製造することができる。
本態様によれば、1枚の第1電極基材と、複数の第2電極基材とを有する有機薄膜太陽電池素子モジュールを製造することが可能となることから、加工性に優れた有機薄膜太陽電池素子モジュールを製造することが可能となる。
以下、本態様の有機薄膜太陽電池素子モジュールの製造方法の各工程について説明する。
1.第1電極基材形成工程
本態様の第1電極基材形成工程は、第1基材上に複数の第1電極層を形成することにより第1電極基材を形成する工程である。
ここで、本工程により形成される第1電極基材について説明する。
本工程により形成される第1基材は1枚の第1基材と、上記第1基材上に形成された第1電極層とを有するものである。
なお、第1電極層は、光電変換層で発生した正孔を取り出すための電極(正孔取出し電極)であってもよく、光電変換層で発生した電子を取り出すための電極(電子取出し電極)であってもよい。
第1電極基材としては、透明性を有する基材であってもよく、透明性を有さない基材であってもよく、本態様により製造される有機薄膜太陽電池素子モジュールの受光面により適宜選択されるものである。
第2電極基材が透明性を有する基材である場合は、本工程において形成される第1電極基材としては、透明性を有する基材であってもよく、透明性を有さない基材であってもよい。
一方、第2電極基材が透明性を有さない基材である場合は、本工程において形成される第1電極基材は透明性を有する基材である。
(1)透明性を有する基材
本工程において形成される第1電極基材が透明性を有する基材である場合、通常、第1基材としては透明基材が用いられ、第1電極層としては透明電極が用いられる。
透明基材については、上述した「1.第1態様」の項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
また、透明電極としては、導電性および透明性を有するものであれば特に限定されるものではなく、一般的に透明電極として使用されているものを用いることができ、例えば、In−Zn−O(IZO)、In−Sn−O(ITO)、ZnO−Al、Zn−Sn−O等を挙げることができる。
透明電極の全光線透過率、厚み、パターン形状および形成方法については、上述した第1態様の項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
また、第1電極層が透明電極である場合は、さらに補助電極を積層させて用いてもよい。なお、補助電極については、上述した「1.第1態様」の項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
(2)透明性を有さない基材
本工程において形成される第1電極基材が透明性を有さない基材である場合は、第1基材としては、上述した「1.第1態様」の項で説明した第1基材が用いられ、第1電極層としては、透明性を有さない導電層が用いられる。
導電層の構成材料としては、導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、第2電極層の構成材料の仕事関数等を考慮して適宜選択することが好ましい。例えば第2電極層の構成材料を仕事関数が低い材料とした場合には、第1電極層の構成材料は仕事関数が高い材料であることが好ましい。仕事関数が高い材料としては、例えば、Au、Ag、Co、Ni、Pt、C、ITO、SnO、フッ素をドープしたSnO、ZnO等を挙げることができる。
一方、第2電極層の構成材料を仕事関数が高い材料とした場合には、第1電極層の裁量を仕事関数が低い材料であることが好ましい。
仕事関数が低い材料としては、例えば具体的に仕事関数が低い材料としては、Li、In、Al、Ca、Mg、Sm、Tb、Yb、Zr、LiF等を挙げることができる。また、反射性を有する材料としては、Al、Ag、Cu、Au等を挙げることができる。
なお、導電層の厚み、パターン形状等については上述した透明電極と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
(3)その他の構成
本工程において形成される第1電極基材としては、上述した第1電極基材と、第1電極層とを有するものであれば特に限定されず、他にも必要な構成を有することができる。
このような構成としては、正孔取出し層、および電子取出し層を挙げることができる。
(a)正孔取出し層
本工程において形成される第1電極基材の第1電極層を正孔取出し電極として用いる場合は、第1電極層上に正孔取出し層を形成することが好ましい。
上記正孔取出し層は、上記光電変換層から上記正孔取出し電極(透明電極層)への正孔の取出しが容易に行われるように設けられる層である。これにより、上記光電変換層から正孔取出し電極への正孔取出し効率が高められるため、光電変換効率を向上させることが可能となる。
本発明における正孔取出し層に用いられる材料としては、上記光電変換層から上記正孔取出し電極への正孔の取出しを安定化させる材料であれば特に限定されるものではない。具体的には、ドープされたポリアニリン、ポリフェニレンビニレン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリパラフェニレン、ポリアセチレン、トリフェニルジアミン(TPD)等の導電性有機化合物、またはテトラチオフルバレン、テトラメチルフェニレンジアミン等の電子供与性化合物と、テトラシアノキノジメタン、テトラシアノエチレン等の電子受容性化合物とからなる電荷移動錯体を形成する有機材料等を挙げることができる。また、Au、In、Ag、Pd等の金属等の薄膜も使用することができる。さらに、金属等の薄膜は、単独で形成してもよく、上記の有機材料と組み合わせて用いてもよい。
これらのなかでも、水分散が可能な、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、ポリエチレンジオキシチオフェン−ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)、ポリアニリン、ポリピロールが好ましく用いられる。
本態様においては、正孔取出し層に用いられる材料がポリエチレンジオキシチオフェン−ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)であることが好ましい。上記PEDOT/PSSは、後述する貼合工程において、第1電極基材および第2電極基材を密着させる際に、光電変換層と高い密着性を発揮することができるからである。また、水分散体であるPEDOT/PSSには、密着性を向上させるための、後述するような密着性向上材
料を混入することが可能だからである。
なお、正孔取出し層がPEDOT/PSSを主成分とする場合は、後述する機能層形成
工程において形成してもよい。
本発明における正孔取出し層は、上述の材料からなるものであるが、必要に応じて、上記光電変換層との密着性を向上することができる密着性向上材料を含むものであっても良い。上述のようなラミネート法が用いられる場合に、上記光電変換層と上記正孔取出し層との密着性を向上させることができるからである。
このような密着性向上材料としては、上記正孔取出し層の機能を阻害しないものであれば特に限定されるものではなく、糖鎖等を好ましく用いることができる。密着性に優れ、低コストなものとすることができるからである。
また、上記糖鎖としては、具体的には、D−ソルビトール等を用いることができる。
また、上記密着性向上材料の含有量としては、上記正孔取出し層の機能を阻害しないものであれば特に限定されるものではなく、上記正孔取出し層を構成する材料中に0.1質量%〜5質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも、0.5質量%〜3質量%の範囲内であることが好ましく、特に、1質量%〜2質量%の範囲内であることが好ましい。上記含有量が上述の範囲内であることにより、より密着性に優れたものとすることができるからである。
本発明における正孔取出し層の膜厚としては、上記有機材料を用いた場合は、10nm〜200nmの範囲内であることが好ましく、上記金属薄膜である場合は、0.1nm〜5nmの範囲内であることが好ましい。
本発明における正孔取出し層の形成方法としては、上記正孔取出し層を精度良く形成することができる方法であれば特に限定されるものではない。具体的には、上記材料を含む正孔取出し層用塗工液を塗工し、乾燥した後、焼成する方法を用いることができる。
(b)電子取出し層
本工程において形成される第1電極基材の第1電極層を電子取出し電極として用いる場合は、第1電極層上に電子取出し層を形成することが好ましい。
上記電子取出し層は、上記光電変換層から上記電子取出し電極への正孔の取出しが容易に行われるように設けられる層である。これにより、上記光電変換層から電子取出し電極への電子取出し効率が高められるため、光電変換効率を向上させることが可能となる。
電子取出し層に用いられる材料としては、光電変換層から電子取出し電極への電子の取出しを安定化させる材料であれば特に限定されるものではなく、上述したように光電変換部の種類に応じて適宜選択される。具体的には、Ca等のアルカリ土類金属、LiF、CaF2等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属のフッ化物、酸化チタン、酸化亜鉛等の金
属酸化物等の無機材料や、ドープされたポリアニリン、ポリフェニレンビニレン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリパラフェニレン、ポリアセチレン、トリフェニルジアミン(TPD)等の導電性有機化合物、またはテトラチオフルバレン、テトラメチルフェニレンジアミン等の電子供与性化合物と、テトラシアノキノジメタン、テトラシアノエチレン等の電子受容性化合物とからなる電荷移動錯体を形成する有機材料等を挙げることができる。また、アルカリ金属またはアルカリ土類金属との金属ドープ層が挙げられる。好適なものとしては、バソキュプロイン(BCP)またはバソフェナントロン(Bphen)と、Li、Cs、Ba、Srなどの金属ドープ層が挙げられる。
電子取出し層としては、上述した材料のなかでも、酸化チタンを用いたものであることが好ましい。酸化チタンは大気下中に保持されていても劣化を生じにくく、電子取出し効率も低下しにくいことから、電池特性に優れた有機薄膜太陽電池素子モジュールとすることができるからである。
本発明における電子取出し層の表面粗度Raとしては、有機薄膜太陽電池素子モジュールとして安定的に使用できるものであれば特に限定されるものではないが、1.0μm以下であることが好ましい。中でも、0.5μm以下であることが好ましく、特に、0.3μm以下であることがより好ましい。
上記表面粗度が上述の範囲であることにより、有機薄膜太陽電池素子モジュールにおける1つの有機薄膜太陽電池素子の第1電極層および第2電極層が接触して内部短絡を生じることをより安定的に防ぐことができるからである。
なお、上記表面粗度Raは、JIS B 0601−1994に規定する方法により求めることができる。
また、本発明における電子取出し層の膜厚としては、上記光電変換層から上記第1電極層への電子の取出しが容易に行われるようにすることができるものであれば特に限定されるものではなく、50nm〜5000nmの範囲内であることが好ましい。中でも、50nm〜1000nmの範囲内であることが好ましく、特に50nm〜300nmの範囲内であることが好ましい。
上記膜厚が上述の範囲内であることにより、上記電子取出し層にピンホール等の少ないものとすることができるからである。また、第1電極層表面を充分に被覆することが可能だからである。
本発明における電子取出し層の平面視上の形成位置としては、上記第1電極層と後述する光電変換層とが平面視上重なる領域を含むものであれば特に限定されるものではないが、上記第1電極層と光電変換層とが平面視上重なる全ての領域であることが好ましい。光電変換効率に優れたものとすることができるからである。
電子取出し層の形成方法としては、電子取出し層をパターン状に形成することができ、所定の膜厚に均一に形成することができる方法であれば特に限定されるものではなく、湿式法および乾式法のいずれも用いることができ、材料に応じて適宜選択される。
(4)第1電極基材の形成方法
本工程に用いられる第1電極基材の形成方法としては、所望の有機薄膜太陽電池素子モジュールを得ることが可能な第1電極基材を形成することができる方法であれば特に限定されないが、R to Rプロセスを用いて形成されることが好ましい。
2.第2電極基材準備工程
本態様における第2電極基材準備工程は、上記第2電極層を有し、上記複数の第2電極基材を切り出すことが可能な1枚の第2電極基材用基板を準備する工程である。
ここで、本工程により準備される第2電極基材用基板について説明する。
本工程における第2電極基材用基板の第2電極層は、上記第1電極層と対向する電極である。第2電極層は、光電変換層で発生した正孔を取り出すための電極(正孔取出し電極)であってもよく、光電変換層で発生した電子を取り出すための電極(電子取出し電極)であってもよい。
第2電極基材用基板は、透明性を有していてもよく有さなくてもよく、有機薄膜太陽電池モジュールの受光面に応じて適宜選択される。第2電極基材側が受光面となる場合には、第2電極基材用基板は透明性を有する必要がある。一方、第1電極層側が受光面となる場合には、第2電極基材用基板は透明性を有していてもよく有さなくてもよい。また、シースルー型の有機薄膜太陽電池モジュールとする場合には、第2電極基材用基板は透明性を有する必要がある。
上記第2電極基材用基板としては第2電極層からなるものであってもよく、第2電極層および第2基材を有するものであってもよい。
上記第2電極基材用基板が第2電極層および第2基材を有するものである場合、第2電極層および第2基材としては、上述した第1電極層および第1基材と同様のものを用いることができる。
上記第2電極基材用基板が第2電極層からなる場合、通常、単一の金属層、すなわち金属基材が用いられる。
上記金属基材に用いられる金属としては、導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、第1電極層の構成材料の仕事関数等を考慮して適宜選択することが好ましい。
具体的には、上述した第1電極基材形成工程の項で説明した金属と同様とすることができるのでここでの説明は省略する。
第2電極基材用基板の形態については、上述した第1態様の項で説明した第2電極基材用基板の形態と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
本工程において準備される第2電極基材用基板は上述した構成以外の構成を有することができる。
例えば、上記第2電極層を正孔取出し電極として用いる場合は第2電極層上に正孔取出し層を形成することが好ましい。一方、上記第2電極層を電子取出し電極として用いる場合は第2電極層上に電子取出し層を形成することが好ましい。
なお、正孔取出し層および電子取出し層については、上述した第1電極基材形成工程の項で記載したものと同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
3.機能層形成工程
本態様における機能層形成工程は、上記第1電極基材の上記第1電極層側に機能層を第1電極層のパターンに対応するパターンで形成する工程、または上記第2電極基材用基板の上記第2電極層側に機能層を連続的に形成する工程のいずれか一方を行う工程である。
なお、本態様において「機能層を第1電極層のパターンに対応するパターンで形成する」とは、本態様の製造方法により製造される有機薄膜太陽電池素子モジュールを構成する各々の有機薄膜太陽電池素子が機能層を有するように、各々の第1電極層上に機能層を形成することを指す。
上述したように、本工程において形成される機能層は、第1電極層と第2電極層との間に形成され、有機物を含む層である。より具体的には、光電変換層、PEDOT/PSSを主成分とする正孔取出し層を挙げることができる。
よって、本工程については、形成される機能層が光電変換層である態様(第1実施態様)と形成される機能層がPEDOT/PSSを主成分とする正孔取出し層(以下、機能性正孔取出し層と称して説明する場合がある。)である態様(第2実施態様)とに分けて考えることができる。
以下、各実施態様について説明する。
(1)第1実施態様
本実施態様の機能層形成工程は、上記第1電極基材の上記第1電極層側に光電変換層を第1電極層のパターンに対応するパターンで形成する工程、または上記第2電極基材用基板の上記第2電極層側に光電変換層を連続的に形成する工程のいずれか一方を行う工程である。
ここで、本工程において形成される光電変換層について説明する。
(a)光電変換層
本実施態様に用いられる光電変換層は、本態様の製造方法により製造される有機薄膜太陽電池素子モジュールにおいて上記第1電極層と上記第2電極層との間に形成されるものである。なお、本発明における光電変換層とは、有機薄膜太陽電池素子の電荷分離に寄与し、生じた電子および正孔を各々反対方向の電極に向かって輸送する部材をいう。
本実施態様に用いられる光電変換層としては、電子受容性および電子供与性の両機能を有する単一の層であってもよく(Aの態様)、また電子受容性の機能を有する電子受容性層と電子供与性の機能を有する電子供与性層とが積層されたものであっても良い(Bの態様)。
以下、各態様について説明する。
(i)Aの態様
本実施態様における光電変換層のAの態様は、電子受容性および電子供与性の両機能を有する単一の層であり、電子受容性材料および電子供与性材料を含有するものである。この光電変換層では、光電変換層内で形成されるpn接合を利用して電荷分離が生じるため、単独で光電変換層として機能する。
上記光電変換層の電子供与性材料としては、電子供与体としての機能を有するものであれば特に限定されるものではないが、湿式塗工法により成膜可能なものであることが好ましく、中でも電子供与性の導電性高分子材料であることが好ましい。
導電性高分子はいわゆるπ共役高分子であり、炭素−炭素またはヘテロ原子を含む二重結合または三重結合が、単結合と交互に連なったπ共役系から成り立っており、半導体的性質を示すものである。上記導電性高分子材料は、高分子主鎖内にπ共役が発達しているため主鎖方向への電荷輸送が基本的に有利である。
また、上記導電性高分子の電子伝達機構は、主にπスタッキングによる分子間のホッピング伝導であるため、高分子の主鎖方向のみならず、光電変換層の膜厚方向への電荷輸送も有利である。さらに、上記導電性高分子材料は、導電性高分子材料を溶媒に溶解もしくは分散させた塗工液を用いることで湿式塗工法により容易に成膜可能であるしたがって、大面積の有機薄膜太陽電池を高価な設備を必要とせず、製造工程での低コスト化を可能とする利点を有する。
上記電子供与性の導電性高分子材料としては、例えば、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリシラン、ポリチオフェン、ポリカルバゾール、ポリビニルカルバゾール、ポルフィリン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリフルオレン、ポリビニルピレン、ポリビニルアントラセン、およびこれらの誘導体、ならびにこれらの共重合体、あるいは、フタロシアニン含有ポリマー、カルバゾール含有ポリマー、有機金属ポリマーなどを挙げることができる。
上記の中でも、チオフェン−フルオレン共重合体、ポリアルキルチオフェン、フェニレンエチニレンーフェニレンビニレン共重合体、フェニレンエチニレン−チオフェン共重合体、フェニレンエチニレン−フルオレン共重合体、フルオレン−フェニレンビニレン共重合体、チオフェン−フェニレンビニレン共重合体等が好ましく用いられる。これらは、多くの電子受容性材料に対して、エネルギー準位差が適当であるからである。
なお、例えばフェニレンエチニレン−フェニレンビニレン共重合体(Poly[1,4−phenyleneethynylene−1,4−(2,5−dioctadodecyloxyphenylene)−1,4−phenyleneethene−1,2−diyl−1,4−(2,5−dioctadodecyloxyphenylene)ethene−1,2−diyl])の合成方法については、Macromolecules, 35, 3825 (2002) や、Mcromol. Chem. Phys., 202, 2712 (2001) に詳しい。
次に、上記電子受容性材料としては、電子受容体としての機能を有するものであれば特に限定されるものではないが、湿式塗工法により成膜可能なものであることが好ましく、中でも電子受容性の導電性高分子材料であることが好ましい。上記導電性高分子材料は、上述したような利点を有するからである。
本態様に用いられる電子受容性の導電性高分子材料としては、例えば、ポリフェニレンビニレン、ポリフルオレン、およびこれらの誘導体、ならびにこれらの共重合体、あるいは、カーボンナノチューブ、フラーレン誘導体、CN基またはCF基含有ポリマーおよびそれらの−CF置換ポリマー等を挙げることができる。ポリフェニレンビニレン誘導体の具体例としては、CN−PPV(poly[2−methoxy−5−(2‘−ethylhexyloxy)−1,4−(1−cyanovinylene])、MEH−CN−PPV(poly[2−methoxy−5−(2’−ethylhexyloxy)−1,4−(1−cyanoinylene])等が挙げられる。
また電子供与性化合物がドープされた電子受容性材料や、電子受容性化合物がドープされた電子供与性材料等を用いることもできる。中でも、電子供与性化合物もしくは電子受容性化合物がドープされた導電性高分子材料が好ましく用いられる。上記導電性高分子材料は、高分子主鎖内にπ共役が発達しているため主鎖方向への電荷輸送が基本的に有利であり、また、電子供与性化合物や電子受容性化合物をドープすることによりπ共役主鎖中に電荷が発生し、電気伝導度を大きく増大することが可能であるからである。
上記電子供与性化合物がドープされる電子受容性の導電性高分子材料としては、上述した電子受容性の導電性高分子材料を挙げることができる。また、ドープされる電子供与性化合物としては、例えば、Li、K、Ca、Cs等のアルカリ金属やアルカリ土類金属のようなルイス塩基を用いることができる。なお、ルイス塩基は電子供与体として作用する。
また、上記電子受容性化合物がドープされる電子供与性の導電性高分子材料としては、上述した電子供与性の導電性高分子材料を挙げることができる。ドープされる電子受容性化合物としては、例えば、FeCl(III)、AlCl、AlBr、AsFやハロゲン化合物のようなルイス酸を用いることができる。なお、ルイス酸は電子受容体として作用する。
本態様における電子供与性材料および上記電子受容性材料の混合比は、使用する材料の種類により最適な混合比に適宜調整される。
本態様における光電変換層の膜厚としては、一般的にバルクヘテロ接合型有機薄膜太陽電池において採用されている膜厚を採用することができる。具体的には、0.2nm〜3000nmの範囲内で設定されることが好ましく、中でも、1nm〜600nmの範囲内であることが好ましい。
上記膜厚が上記範囲より厚い場合、光電変換層における体積抵抗が高くなる可能性があるからである。一方、上記膜厚が上記範囲より薄い場合、光を充分に吸収できない可能性があるからである。
本態様における光電変換層の形成方法としては、所定の膜厚に均一に形成することができる方法であれば特に限定されるものではないが、湿式塗工法が好ましく用いられる。湿式塗工法であれば、大気中で光電変換層を形成することができ、低コスト化が実現できるとともに、容易に大面積化が可能となるからである。
本態様における光電変換層用塗工液の塗布方法としては、光電変換層形成用塗工液を均一に塗布することが塗布できる方法であれば特に限定されるものではないが、例えば、ダイコート法、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法、ビードコート法、スプレーコート法、バーコート法、グラビアコート法、インクジェット法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法等を挙げることができる。
中でも、光電変換層形成用塗工液の塗布方法は、主に塗布量に応じて厚みを調整することが可能である方法であることが好ましい。主に塗布量に応じて厚みを調整することが可能な方法としては、例えば、ダイコート法、ビードコート法、バーコート法、グラビアコート法、インクジェット法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法等の印刷法を挙げることができる。印刷法は有機薄膜太陽電池の大面積化を図るために好適である。
上記光電変換層形成用塗工液の塗布後は、形成された塗膜を乾燥する乾燥処理を施しても良い。光電変換層形成用塗工液に含有される溶媒等を早期に除去することにより、生産性を向上させることができるからである。
乾燥処理の方法としては、例えば、加熱乾燥、送風乾燥、真空乾燥、赤外線加熱乾燥等、一般的な乾燥方法を用いることができる。
(ii)Bの態様
本実施態様における光電変換層のBの態様は、電子受容性の機能を有する電子受容性層と電子供与性の機能を有する電子供与性層とが積層されたものである。
以下、電子受容性層および電子供与性層について説明する。
(電子受容性層)
本態様に用いられる電子受容性層は、電子受容性の機能を有するものであり、電子受容性材料を含有するものである。
このような電子受容性材料としては、電子受容体としての機能を有するものであれば特に限定されるものではないが、湿式塗工法により成膜可能なものであることが好ましく、中でも電子受容性の導電性高分子材料であることが好ましい。上記導電性高分子材料は、上述したような利点を有するからである。具体的には、上記第一態様の光電変換層に用いられる電子受容性の導電性高分子材料と同様のものを挙げることができる。
本態様における電子受容性層の膜厚としては、一般的にバイレイヤー型有機薄膜太陽電池において採用されている膜厚を採用することができる。具体的には、0.1nm〜1500nmの範囲内で設定することができ、好ましくは1nm〜300nmの範囲内である。上記膜厚が上記範囲より厚いと、上記電子受容性層における体積抵抗が高くなる可能性があるからである。一方、膜厚が上記範囲より薄いと、光を十分に吸収できない場合があるからである。
本態様における電子受容性層の形成方法としては、上記第一態様の光電変換層の形成方法と同様とすることができる。
(電子供与性層)
本態様に用いられる電子供与性層は、電子供与性の機能を有するものであり、電子供与性材料を含有するものである。
本態様における電子供与性材料としては、電子供与体としての機能を有するものであれば特に限定されるものではないが、湿式塗工法により成膜可能なものであることが好ましく、中でも電子供与性の導電性高分子材料であることが好ましい。上記導電性高分子材料は、上述したような利点を有するからである。具体的には、上記第一態様の光電変換層に用いられる電子供与性の導電性高分子材料と同様のものを挙げることができる。
本態様における電子供与性層の膜厚としては、一般的にバイレイヤー型有機薄膜太陽電池において採用されている膜厚を採用することができる。具体的には、0.1nm〜1500nmの範囲内で設定することができ、好ましくは1nm〜300nmの範囲内である。上記膜厚が上記範囲より厚いと、上記電子供与性層における体積抵抗が高くなる可能性があるからである。一方、膜厚が上記範囲より薄いと、光を十分に吸収できない場合があるからである。
本態様における電子供与性層の形成方法としては、上記第一態様の光電変換層の形成方法と同様とすることができる。
(b)光電変換層の形成方法
本工程において、第1電極基材側に光電変換層をパターン状に形成する場合、第2電極基材用基板側に光電変換層を連続的に形成する場合のいずれにおいても、R to Rプロセスを用いて光電変換層を形成することが好ましい。
(2)第2実施態様
本実施態様の機能層形成工程は、上記第1電極基材の上記第1電極層側に機能性正孔取出し層を第1電極層のパターンに対応するパターンで形成する工程、または上記第2電極基材用基板の上記第2電極層側に機能性正孔取出し層を連続的に形成する工程のいずれか一方を行う工程である。
なお、本態様の有機薄膜太陽電池素子モジュールの製造方法において、第2実施態様の機能層形成工程を行う場合は、上述した「(1)第1態様」の項で説明した光電変換層を第1電極層または第2電極層のいずれか一方の表面上に形成する工程が別途行われる。
本工程により形成される機能性正孔取出し層は、PEDOT/PSSを主成分とするものである。なお、機能性正孔取出し層については上述した第1電極基材形成工程の項に記載したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
また、本工程において、機能性正孔取出し層は、上述した第1電極基材の第1電極層または第2電極基材用基板の第2電極層のうち、正孔取出し電極に用いられる電極層上に形成されてもよく、また、上記第1電極層または第2電極層のうち、正孔取出し電極に用いられない電極層上に光電変換層が形成されている場合は、光電変換層上に形成されてもよい。
本工程において、第1電極基材側に機能性正孔取出し層をパターン状に形成する場合、第2電極基材用基板側に機能性正孔取出し層を連続的に形成する場合のいずれにおいても、R to Rプロセスを用いて機能層を形成することが好ましい。
4.切断工程
本態様における切断工程は、上記第2電極基材用基板を切断することにより、上記複数の第2電極基材を形成する工程である。
本態様における切断工程については、上述した第1態様の項で記載した工程と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
5.貼合工程
本態様における貼合工程は、上記第1電極基材の上記第1電極層側と上記第2電極基材の上記第2電極層側とを対向させ、上記機能層を界面として密着させることにより上記第1電極基材および上記第2電極基材を貼合する工程である。
本工程においては、例えば機能層として光電変換層を界面とする場合は、第1電極基材の第1電極層と第2電極基材の第2電極層のうち、いずれか一方の表面に形成された光電変換層と、上記光電変換層が形成されていない側の電極層とを対向させて、第1電極基材および第2電極基材を貼合する。なお、第1電極層または第2電極層には、上述したように正孔取出し層または電子取出し層のいずれかが形成されていてもよい。
また、本工程においては、例えば機能層として機能性正孔取出し層を界面とする場合は、第1電極基材の第1電極層と第2電極基材の第2電極層のうち、いずれか一方の表面に形成された光電変換層上に形成された機能性正孔取出し層と、上記機能性正孔取出し層が形成されていない側の電極層とを対向させて、第1電極基材および第2電極基材を貼合する。
また、本工程においては、例えば機能層として光電変換層および機能性正孔取出し層を界面とする場合は、第1電極基材の第1電極層と第2電極基材の第2電極層のうち、いずれか一方の表面に形成された光電変換層と、上記光電変換層が形成されていない側の電極層上に形成された機能性正孔取出し層とを対向させて、第1電極基材および第2電極基材を貼合する。
本工程に用いられる第1電極基材および第2電極基材の貼合方法としては、上記機能層を界面として第1電極基材および第2電極基材を密着させることが可能な方法であれば特に限定されない。
また、本工程において、上述した機能性正孔取出し層を界面として貼合する場合は、PEDOT/PSSは、所定の温度範囲において優れた粘着性を発揮することから、加熱圧着を行うことが好ましい。
加熱圧着を行う温度範囲としては、上述したPEDOT/PSSが粘着性を発揮できる温度であれば特に限定されるものではないが、100℃〜150℃の範囲内であることが好ましい。中でも、110℃〜140℃の範囲内であることが好ましく、特に、120℃〜130℃の範囲内であることがより好ましい。
上記温度範囲よりも低い場合、PEDOT/PSSが上記第1電極基材および上記第2電極基材の密着性を十分なものとすることが可能な粘着性を発揮することができない可能性がある。一方、上記温度範囲よりも高い場合、第1電極基材の第1基材が劣化する可能性がある。
加熱圧着を行う圧力としては、通常、上述した温度範囲内でPEDOT/PSSが発揮する粘着性により、上記第1電極基材および上記第2電極基材を密着させることが可能な圧力であれば特に限定されるものではないが、0.1MPa〜1MPaの範囲内であることが好ましい。中でも、0.2MPa〜0.8MPaの範囲内であることが好ましく、特に、0.4MPa〜0.5MPaの範囲内であることがより好ましい。
上記範囲内より低い場合、上記第1電極基材および上記第2電極基材の密着性が不十分となる可能性があり、一方、上記範囲内より高い場合、上記第1電極基材および第2電極基材の積層体の構造に過度の変化を生じて有機薄膜太陽電池の電池特性が低下する恐れがある。
加熱圧着を行う雰囲気としては、上記第1電極基材および上記第2電極基材の各構成層の特性が低下しないものであれば特に限定されるものではなく、例えば、真空、窒素、大気等が挙げられる。中でも、真空、窒素等が好ましい。
6.接続工程
本態様における接続工程は、1つの上記有機薄膜太陽電池素子の上記第1電極層と上記1つの有機薄膜太陽電池素子に隣接する他の上記有機薄膜太陽電池素子の上記第2電極層とを電気的に接続する工程である。
本態様における接続工程については、上述した第1態様の項で説明した工程と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
7.その他の工程
本態様の有機薄膜太陽電池素子モジュールの製造方法としては、上述した各工程を有するものであれば特に限定されず、他にも必要な構成を適宜選択して追加することが可能である。具体的には、「I.第1態様」の項で記載した工程と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と、実質的に同一の構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなる場合であっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例を用いて、本発明をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
(色素増感太陽電池モジュール)
<第1電極基材の作製>
PENフィルム(第1基材)上にITO膜(第1電極層)が形成された透明導電フィルムを用意し、そのITO膜上に白金(触媒層)を厚み13Å(透過率72%)で積層させた。作製した第1電極層および白金の積層体に対し、レーザースクライブにて絶縁部を形成し、ストライプ状に形成され、かつ各ストライプの両端部を含む2つの接続部分を有するように形成された複数の第1電極層を作製した。第1電極層のストライプ部は長尺方向に100mm、短尺方向に12mmとした。これにより、1枚の第1基材上に、複数の第1電極層および触媒層が形成された両端部を含む2つの接続部分を有する第1電極基材を得た。
<多孔質層用組成物の調製>
多孔質酸化チタン微粒子(日本エアロジル社製、商品名:P25)5gをエタノール16.7gに投入し、さらにアセチルアセトン0.25g、及びジルコニアビーズ(φ1.0mm)20gを添加した混合液を、ペイントシェーカーにより攪拌し、さらにバインダーとしてポリビニルピロリドン(日本触媒社製、商品名:K−30)を0.25g添加して多孔質層用組成物を調製した。
<多孔質層の形成>
上記作製した多孔質層用組成物を、導電性基材であるチタン箔(第2電極基材用基板)上に、両端部に2つの接続部分を残してドクターブレード法により10cm幅の面積で塗布し、その後、120℃で乾燥させることで、多数の酸化チタン微粒子を含む膜厚9μmの層を形成した。その酸化チタン微粒子の層にプレス機で0.1t/cmの圧力を加えた。プレス後、500℃で30分間焼成して多孔質層形成用層を形成した。
<色素の吸着>
次に、色素増感剤として有機色素(三菱製紙社製、商品名:D358)を、濃度が3.0×10−4mol/lとなるようにアセトニトリル及びtert−ブチルアルコールの体積比1:1溶液に溶解させて色素坦持用塗工液を調製した。この色素坦持用塗工液に対し、上述の導電性基材上に形成した多孔質層形成用層を3時間浸漬させた。その後、色素担持用塗工液から引き上げ、多孔質層形成用層に付着した色素担持用塗工液をアセトニトリルにより洗浄後、風乾した。これにより、酸化チタン微粒子の細孔表面に色素増感剤を担持させて多孔質層を形成した。
<電解質層形成用塗工液の調製>
カチオン性ヒドロキシセルロース(ダイセル化学社製、商品名:ジェルナーQH200)0.14gをエタノール2.72gに溶解させた溶液に、ヨウ化カリウムを0.043g加え、攪拌して溶解させた。次いで、その溶液に1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラシアノボレート(EMIm−B(CN)4)0.18g、1−プロピル−3−メチルイミダゾリウムアイオダイド(PMIm−I)0.5g、及びIを0.025g加えて、撹拌して溶解させた。これにより、コーティング可能な電解質層形成用塗工液を調製した。
<固体電解質層の形成>
上述の多孔質層(10cm幅)上に、電解質層形成用塗工液をドクターブレード法により塗布し、100℃で乾燥して電解質層を形成した。
<第2電極基材用基板の切断>
電解質層が形成された第2電極基材用基板の多孔質層が形成されていない両端部を長尺方向の端として、短冊状に幅10mmに切断し、第2電極基材を形成した。
<色素増感太陽電池モジュールの作製>
短冊上に切り出した第2電極基材のうち、多孔質層が形成されていない両端部の接続部分に導電性接着剤を形成した後、導電性接着剤が隣接する第1電極層の両端部の接続部分と接続するように、第1電極基材と、第2電極基材の貼りあわせを行い、モジュールを作製した。
<接続>
隣り合うセルの両端部の接続部分のITOとTiを導電性接着剤で接続することにより、色素増感型太陽電池素子モジュールを作製した。
<封止>
作製した色素増感型太陽電池素子モジュールを充填材で挟み、150℃でラミネートすることにより、封止した。
<電池性能の評価>
作製した色素増感型太陽電池素子モジュールについて、擬似太陽光(AM1.5、入射光強度100mW/cm)を光源として、対向電極側から入射させ、ソースメジャーユニット(ケースレー2400型)を用いて電圧印加による電流電圧特性を測定した。その結果、短絡電流23(mA)、開放電圧6.1(V)、曲線因子0.24、最大出力32mWの特性を示し、蛍光灯(500lux)を光源とした場合、短絡電流0.25(mA)、開放電圧4.7(V)、曲線因子0.70、最大出力0.8mWの特性を得た。
(実施例2)
(有機薄膜太陽電池モジュール)
<電子取り出し層の作製>
PENフィルム(第1基材)上にITO膜(第1電極層)が形成された透明導電フィルムを用意し、フィルム上に固形分比2wt%でソルビトールを添加した導電性高分子ペースト(ポリ−(3,4−エチレンジオキシチオフェン)分散品)をダイコート法にて成膜し1
50度で30分乾燥させ、電子取り出し層を形成した。得られた基板をレーザー加工により、パターニングし、ストライプ部が電極面積100mm×12mmで両端部を含む2つの接続部分を有する第1電極層を10面作製した。
<光電変換層の作製>
次に光電変換層用塗工液を調整した。ポリチオフェン(P3HT:poly(3−hexylthiophene−2,5−diyl))と、電子受フラーレン(PCBN([6,6]−pheny−C61−butyric acid methyl ester))を5:2の重量比率で混合して、固形分濃度1.0wt%クロロベンゼン溶液を準備した。最後にこの溶液をろ紙でろ過して光電変換層用塗工液を調製した。
次いで、同溶液を厚み30μmのTi箔上に、両端部に2つの接続部分を残してドクターブレード法により10cm幅の面積で塗布し、光電変換層(膜厚150nm)を形成した。
次いで得られた光電変換層を有するTi箔を短冊状に幅10mmに切断し、複数の第2電極基材(光電変換電極基材)を作製した。
<貼り合わせ>
次いで、作製した複数の光電変換電極基材を、両端部の接続部分に導電性接着剤を形成した後、導電性接着剤が隣接する第1電極層の両端部の接続部分と接続するように、パターニングした電子取り出し層上に貼り合わせ、ロールラミネーターによりラミ圧4kgf/cm、ラミ温度130℃の条件で
ラミネートし、基板上に複数のセルを作製した。
<接続>
隣り合うセルの両端部の接続部分のITOとTi箔とを導電性接着剤で接続することにより、有機薄膜太陽電池素子モジュールを作製した。
<封止>
最後に封止用ガラス材および接着性封止材により有機薄膜太陽電池素子モジュールを封止した。
<電池性能の評価>
作製した有機薄膜太陽電池モジュールについて、擬似太陽光(AM1.5、入射光強度100mW/cm)を光源として、対向電極側から入射させ、ソースメジャーユニット(ケースレー2400型)を用いて電圧印加による電流電圧特性を測定した。その結果、短絡電流30(mA)、開放電圧7.0(V)、曲線因子0.24、最大出力50.4mWの特性を示し、蛍光灯(500lux)を光源とした場合、短絡電流0.30(mA)、開放電圧5.0(V)、曲線因子0.71、最大出力1.1mWの特性を得た。
1 … 色素増感型太陽電池素子
2 … 有機薄膜太陽電池素子
3 … 多孔質層
4 … 固体電解質層
5 … 触媒層
6 … 光電変換層
7 … 正孔取出し層
8 … 電子取出し層
10 … 第1電極基材
11 … 第1基材
12 … 第1電極層
20 … 第2電極基材
20’ … 第2電極基材用基板
100 … 色素増感型太陽電池素子モジュール
200 … 有機薄膜太陽電池素子モジュール

Claims (6)

  1. 1枚の第1基材、および前記第1基材上にストライプ状に形成され、かつ各ストライプの両端部を含む2つの接続部分を有するように形成された複数の第1電極層を有する第1電極基材、少なくとも第2電極層を有し、両端部に2つの接続部分を有する複数の短冊状の第2電極基材、並びに、前記第1電極層および前記第2電極層の間に形成され、有機物を含む複数の機能層を有し、
    前記第1電極層、前記第2電極層、および前記機能層を有する有機系太陽電池素子が複数連結されて構成され、1つの前記有機系太陽電池素子の前記第1電極層と前記1つの有機系太陽電池素子に隣接する他の前記有機系太陽電池素子の前記第2電極層が、それぞれの電極層の両端部に形成された前記2つの接続部分どうしで電気的に接続された有機系太陽電池素子モジュールの製造方法であって、
    前記第1基材上に、ストライプ状に形成され、かつ各ストライプの両端部を含む2つの接続部分を有するように形成された前記複数の第1電極層を形成することにより第1電極基材を形成する第1電極基材形成工程と、
    少なくとも前記第2電極層を有し、両端部に2つの接続部分を有する複数の短冊状の第2電極基材を切り出すことが可能な1枚の第2電極基材用基板を準備する第2電極基材用基板準備工程と、
    前記第1電極基材の前記第1電極層側に前記機能層を前記第1電極層のパターンに対応するパターンで形成する工程、または前記第2電極基材用基板の前記第2電極層側に前記機能層を連続的に形成する工程のいずれか一方を行う機能層形成工程と、
    前記第2電極基材用基板を切断することにより、前記複数の第2電極基材を形成する切断工程と、
    前記第1電極基材の前記第1電極層側と前記第2電極基材の前記第2電極層側とを対向させ、前記機能層を界面として密着させることにより前記第1電極基材および前記第2電極基材を貼合する貼合工程と、
    1つの前記有機系太陽電池素子の前記第1電極層と前記1つの有機系太陽電池素子に隣接する他の前記有機系太陽電池素子の前記第2電極層とをそれぞれの電極の両端部に形成された前記2つの接続部分で電気的に接続する接続工程と
    を有することを特徴とする有機系太陽電池素子モジュールの製造方法。
  2. 前記第1基材がロール状に巻き取られたフレキシブル性を有する長尺状の基材であり、前記第1電極基材形成工程と、前記第1電極基材の前記第1電極層側に前記機能層を形成する前記機能層形成工程とがロール・トゥ・ロール(Roll to Roll)プロセスで行われることを特徴とする請求項1に記載の有機系太陽電池素子モジュールの製造方法。
  3. 前記第2電極基材用基板がロール状に巻き取られたフレキシブル性を有する長尺状の基板であり、前記第2電極基材の前記第2電極層側に前記機能層を形成する前記機能層形成工程がロール・トゥ・ロール(Roll to Roll)プロセスで行われることを特徴とする請求項1に記載の有機系太陽電池素子モジュールの製造方法。
  4. 前記有機系太陽電池素子モジュールが、前記第1電極層または前記第2電極層のいずれか一方の表面上に色素増感剤が坦持された金属酸化物半導体微粒子を含有する多孔質層を有し、かつ前記機能層が高分子化合物および酸化還元対を含む固体電解質層である色素増感型太陽電池素子が複数連結されて構成される色素増感型太陽電池素子モジュールであることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の有機系太陽電池素子モジュールの製造方法。
  5. 前記第2電極層が金属層であり、前記金属層上に前記多孔質層が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の有機系太陽電池素子モジュールの製造方法。
  6. 前記有機系太陽電池素子モジュールが、前記第1電極層および前記第2電極層の間に光電変換層を有する有機薄膜太陽電池素子が複数連結されて構成される有機薄膜太陽電池素子モジュールであり、前記機能層が前記第1電極層および前記第2電極層の間に形成される有機物を含む層であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の有機系太陽電池素子モジュールの製造方法。
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