JP5789971B2 - 有機薄膜太陽電池の製造方法 - Google Patents

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本発明は、製造が容易な有機薄膜太陽電池の製造方法に関するものである。
現在利用されている太陽電池は、光吸収層の材料やその用途によって様々に分類される。中でも、有機系太陽電池は、2つの異種電極間に、電子供与性および電子受容性の機能を有する有機化合物を配置してなる太陽電池であり、シリコンなどに代表される無機系太陽電池に比べて製造方法が容易であること、低コストで大面積化が可能であること、着色性や柔軟性を付与できること等から着目されている。
また、有機系太陽電池は、有機色素を用いて光起電力を得る色素増感型と、有機半導体を用いる有機薄膜型とが主に活用されている。中でも、有機薄膜太陽電池は、一般的に透明電極および金属電極から構成され、透明基板上に透明電極、有機化合物層である光電変換層および金属電極が順に積層される。また、発電効率の向上のため、通常、透明電極と光電変換層との間に正孔取出層が、金属電極と光電変換層との間に電子取出層が形成される。
従来の有機薄膜太陽電池の製造方法としては、陽極または陰極となる電極基板上に各電池構成成分を形成し、積層させていく方法であった。しかしながら、各電池構成形成工程で用いられる蒸着法やスパッタリング法等の真空成膜法は、多大な設備が必要となり、また形成工程に要する時間も長い等の問題を抱えていた。
そこで、塗布法によって複数の層を積層形成する方法が注目を集めた。しかし、塗布法は真空成膜法に比べ形成工程が簡易となる利点を有するが、層の構成材料を溶媒に溶解もしくは分散させて調製した塗工液を使用する場合が多く、上層形成用の塗工液中の溶媒が、下層と接触した際に下層の構成成分が溶出するという問題を有している(非特許文献1)。
A. Fujii, H. Mizukami, T. Umeda, T. Shirakawa, Y. Hashimoto and K. Yoshino, "Solvent dependence of interpenetrating interface formation in organic conducting polymer and C60", Jpn. J. Appl. Phys., 43, p.8312-8315(2004)
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、製造が容易な有機薄膜太陽電池の製造方法を提供することを主目的とする。
本発明者等は、上記課題を鋭意検討した結果、少なくとも透明電極層を有する透明電極基板と、少なくとも金属電極層を有する金属電極基板とを形成し、貼り合わせて有機薄膜太陽電池を製造するに際して、正孔取出層として機能するポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸との複合体(以下、PEDOT/PSSと記載する。)が、上記2枚の基板を加熱圧着した場合に粘着層として機能することを見出し、本発明を完成させるに至ったものである。
すなわち、本発明は、透明基板と、上記透明基板上に形成された透明電極層と、上記透明電極層上に形成されたPEDOT/PSSを主成分とする正孔取出層とを有する透明電極基板、および表面に金属層を有する金属電極層と、上記金属電極層上に形成された光電変換層とを有する金属電極基板を調製する調製工程と、上記透明電極基板および上記金属電極基板を、上記正孔取出層と、上記光電変換層とが対向するように配置し、加熱圧着する加熱圧着工程と、を有することを特徴とする有機薄膜太陽電池の製造方法を提供する。
本発明によれば、上記透明電極基板および上記金属電極基板を別工程により調製することから、陽極または陰極基板側から真空成膜法、塗布法等により積層する従来方法に比べて、容易に形成することができる。
また、本発明における正孔取出層がPEDOT/PSSを主成分としており、一定の温度範囲内で粘着性を発揮できることから、加熱圧着工程における加熱温度を、PEDOT/PSSが粘着性を発揮できる温度範囲内とすることで、上記正孔取出層を粘着層として、上記正孔取出層−上記光電変換層界面での加熱圧着を行うことが可能となる。
また上記発明においては、上記透明基板および上記金属電極層が長尺であることが好ましい。ロール・トゥ・ロール(以下RtoRと記載する。)プロセスによる調製工程および加熱圧着工程を用いて製造できるようになり、生産性を向上させることができるからである。
また上記発明においては、上記金属電極基板が、上記金属電極層と上記光電変換層との間に電子取出層を有しており、上記電子取出層がTiO膜であることが好ましい。上記電子取出層は、光電変換層から金属電極層への電子取出効率を向上させるからである。また、TiOは大気下でも安定であり、上記調製工程における光電変換層塗布時に、大気と接触することによる劣化を生じにくく、さらに汎用性が高いからである。
また上記発明においては、上記透明基板の金属電極基板が圧着される側と反対側に、接着層を介して封止基材が貼り合わされる封止基材貼合工程を有することが好ましい。基板と封止基材とを接着層を介して直接貼り合わせることで、水分や酸素の侵入を効果的に抑制することができるからである。したがって、電池特性の劣化を抑制することができ、太陽電池の耐久性を向上させることが可能となるからである。
本発明は、電池特性に優れており、形成が容易な有機薄膜太陽電池の製造方法を提供するといった効果を奏する。
本発明の有機薄膜太陽電池の製造方法の一例を示す工程図である。 本発明における有機薄膜太陽電池の一例を示す概略断面図である。 本発明における加熱圧着工程の一例を示す模式図である。 本発明における封止基材貼合工程の一例を示す模式図である。
本発明は、有機薄膜太陽電池の製造方法に関するものである。
以下、本発明の有機薄膜太陽電池の製造方法について詳細に説明する。
本発明の有機薄膜太陽電池の製造方法は、透明基板と、上記透明基板上に形成された透明電極層と、上記透明電極層上に形成されたPEDOT/PSSを主成分とする正孔取出層とを有する透明電極基板、および表面に金属層を有する金属電極層と、上記金属電極層上に形成された光電変換層とを有する金属電極基板を調製する調製工程と、上記透明電極基板および上記金属電極基板を、上記正孔取出層と、上記光電変換層とが対向するように配置し、加熱圧着する加熱圧着工程と、を有することを特徴とするものである。
このような本発明の有機薄膜太陽電池の製造方法について、具体的に図面を用いて説明する。
図1は、本発明における有機薄膜太陽電池の製造方法の一例を図示した工程図である。
まず、図1(a)に示すように、透明基板1上に、透明電極層2を形成する。さらに、透明電極層2上に、正孔取出層3を形成し、透明電極基板10とする。また、表面に金属層を有する金属電極層4上に電子取出層5を形成する。続いて、電子取出層5上に光電変換層6を形成し、金属電極基板20とする。これらは、それぞれ別工程で調製する。
次に、上記透明電極基板10と上記金属電極基板20とを、上記正孔取出層3および上記光電変換層6が対向するように配置し、加熱するとともに加圧7を行い(図1(b))、図1(c)に示すように接着させる。
さらに、図1(d)に示すように、上記透明基板1の金属電極基板20の形成側と反対側に接着層8が形成され、上記接着層8を介して封止基材9を貼合することにより封止する。これにより有機薄膜太陽電池30を形成する。
本発明によれば、上記透明電極基板および上記金属電極基板を別工程により調製することから、陽極または陰極基板側から真空成膜法、塗布法等により積層形成する従来方法に比べて、容易に形成することができる。
上述した従来の積層形成方法は、陽極または陰極基板側から一層ずつ形成、積層していくため、例えば、本発明の有機薄膜太陽電池の場合、透明基板、透明電極層、正孔取出層、光電変換層、電子取出層、金属電極層の6層をそれぞれ形成、積層するため、5工程が必要となる。
このような蒸着法やスパッタリング法等の真空成膜法を用いて有機薄膜太陽電池を構成する6層を積層形成する場合、各層の成膜は精度の高いものとなるが、1層の形成に時間を要するため全構成層を形成し、積層する際により時間を要するため、生産性にも課題を有する。
一方、塗布法を用いて有機薄膜太陽電池を構成する6層を積層形成した場合について考える。一般的に塗布法では、下層形成後に上層形成用塗工液を塗布する際に、下層の構成成分が溶出する可能性を有する。したがって、6層からなる有機薄膜太陽電池製造する場合、溶出する可能性がより高くなる。そのため、塗工液として使用できる溶媒が限定される等の問題を有する。
これに対して、本発明は、上述したように上記透明電極基板および上記金属電極基板を別工程により形成する。そのため、上記2基板の調製工程中においても積層工程を有しているが、比較的少ない工程数となり、真空成膜法および塗布法等の既存の形成方法を用いても、従来の積層形成方法に比べて形成が容易となるといった利点を有する。
例えば、真空成膜法を用いた場合では、従来法と比べて、一つの基板に対する成膜工程数が少ないことから生産に要する時間を短縮することが可能となる。また、塗布法を用いた場合においても、従来法と比べて成膜工程数が少ないため、構成成分の溶出等の可能性はかなり低くなることが期待できるのである。
また、本発明によれば、上記正孔取出層がPEDOT/PSSを主成分としており、一定の温度範囲内で粘着性を発揮できることから、加熱圧着工程における加熱温度を、PEDOT/PSSが粘着性を発揮できる温度範囲内とすることで、上記正孔取出層を粘着層として、上記正孔取出層−上記光電変換層界面での加熱圧着を行うことが可能となる。
以下、本発明の有機薄膜太陽電池の製造方法について各工程に分けて説明する。
1.調製工程
本発明における調製工程は、透明基板と、上記透明基板上に形成された透明電極層と、上記透明電極層上に形成されたPEDOT/PSSを主成分とする正孔取出層とを有する透明電極基板、および表面に金属層を有する金属電極層と、上記金属電極層上に形成された光電変換層とを有する金属電極基板を調製することを特徴とする工程である。
以下、本工程において調製される透明電極基板および金属電極基板について説明する。
(1)透明電極基板
まず、本発明における透明電極基板について説明する。本発明に用いられる透明電極基板は、透明基板と、上記透明基板上に形成された透明電極層と、上記透明電極層上に形成された正孔取出層とを有することを特徴とするものである。
以下、本発明における透明電極基板の各構成について説明する。
(i)透明基板
まず、本発明における透明基板について説明する。本発明に用いられる透明基板は、上記透明電極層、上記正孔取出層等を支持するものである。
また、上記透明基板は、長尺であることが好ましい。RtoRプロセスによる調製工程および加熱圧着工程を用いた製造が可能となり、生産性を向上させることができるからである。
上記透明基板としては、太陽光の透過性を有していれば特に限定されるものではなく、例えば、ガラス板、フッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂(各種のナイロン)、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂等の各種の樹脂フィルムを用いることができる。
中でも、上記透明基板が透明樹脂フィルムであることが好ましい。加工性に優れているからである。また、後述する加熱圧着工程に用いられることから、耐熱性を有する材料であることがより好ましい。
具体的に、透明でかつ、耐熱性を有する材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテル、ポリエーテルサルホン等のポリエステル、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、酢酸セルロース、ポリエチレン誘導体、ポリアミド、ポリメチルペンテン等のプラスチックの延伸または未延伸フィルム等を挙げることができる。また、これらの材料は、1種類で用いても良く、2種類以上で積層した複合フィルムとして用いても良い。
(ii)透明電極層
次に、本発明における透明電極層について説明する。本発明に用いられる透明電極層は、透明基板上に形成されるものである。本発明における透明電極層は、受光面側の電極となるものであれば特に限定されるものではなく、透明電極であってもよく、また透明電極とパターン状の補助電極とが積層されたものであっても良い。
図2に例示するように透明電極層2が透明電極2aとパターン状の補助電極2bとが積層されたものである場合には、透明電極のシート抵抗が比較的高い場合であっても、補助電極のシート抵抗を十分に低くすることで、上記透明電極層全体としての抵抗を低減することができる。したがって、発生した電力を効率良く集電することができる。
以下、透明電極および補助電極について説明する。
a)透明電極
まず、本発明における透明電極の構成材料としては、導電性および透明性を有するものであれば特に限定されるものではなく、In−Zn−O(IZO)、In−Sn−O(ITO)、ZnO−Al、Zn−Sn−O等を挙げることができる。中でも、後述する金属電極層の構成材料の仕事関数等を考慮して適宜選択することが好ましい。例えば、金属電極層の構成材料を仕事関数の低い金属箔とした場合には、上記透明電極の構成材料は仕事関数の高い材料であることが好ましい。導電性および透明性を有し、かつ仕事関数の高い材料としては、ITOが好ましく用いられる。
本発明における透明電極の全光線透過率は、85%以上であることが好ましく、中でも90%以上、特に92%以上であることが好ましい。透明電極の全光線透過率が上記範囲であることにより、透明電極にて光を充分に透過することができ、光電変換層において光を効率的に吸収することができるからである。
なお、上記全光線透過率は、可視光領域において、スガ試験機株式会社製 SMカラーコンピュータ(型番:SM−C)を用いて測定した値である。
透明電極のシート抵抗は、20Ω/□以下であることが好ましく、中でも10Ω/□以下、特に5Ω/□以下であることが好ましい。
シート抵抗が上記範囲より大きいと、発生した電荷を充分に外部回路へ伝達できない可能性があるからである。
上記透明電極のシート抵抗は、三菱化学株式会社製 表面抵抗計(ロレスタMCP:四端子プローブ)を用い、JIS R1637(ファインセラミックス薄膜の抵抗率試験方法:4探針法による測定方法)に基づき、測定した値である。
本発明における透明電極は、単層であっても良く、また異なる仕事関数の材料を用いて積層されたものであっても良い。
上記透明電極の膜厚としては、単層である場合はその膜厚が、複数層からなる場合は総膜厚が、0.1nm〜500nmの範囲内であることが好ましく、中でも1nm〜300nmの範囲内であることがより好ましい。
上記透明電極の膜厚が上記範囲より薄い場合、上記透明電極のシート抵抗が大きくなりすぎ、発生した電荷を充分に外部回路へ伝達できない可能性があり、一方、上記透明電極の膜厚が上記範囲より厚い場合、全光線透過率が低下し、光電変換効率を低下させる可能性がある。
上記透明電極の形成方法としては、一般的な電極の形成方法を用いることができる。具体的には蒸着プロセスや、上記構成材料を含む透明電極用塗工液を塗布する方法等を用いることができる。
b)補助電極
次に、本発明における補助電極について説明する。本発明に用いられる補助電極は、透明基板上にパターン状に形成されるものである。上記補助電極は、通常、上記透明電極よりも抵抗値が低い。
本発明における補助電極の形成材料としては、通常、金属が用いられる。補助電極に用いられる金属としては、例えば、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、銅(Cu)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、ステンレス系金属、アルミニウム合金、銅合金、チタン合金、鉄−ニッケル合金およびニッケル−クロム合金(Ni−Cr)等の導電性金属を挙げることができる。上述の導電性金属の中でも、電気抵抗値が比較的低いものが好ましい。このような導電性金属としては、Al、Au、Ag、Cu等が挙げられる。
上記補助電極としては、上述のような導電性金属からなる単層であっても良く、また上記透明基板や上記透明電極との密着性向上のために、導電性金属層とコンタクト層とを適宜積層したものであっても良い。上記コンタクト層の構成材料としては、例えば、ニッケル、クロム、ニッケル−クロム、チタン、タンタル(Ta)等が挙げられる。
また、後述する金属電極層の形成材料の仕事関数に応じて、好ましい金属を選択しても良い。例えば、金属電極層の形成材料の仕事関数を考慮する場合には、上記透明電極は正孔取出電極であるので、補助電極に用いられる金属は仕事関数の高いものであることが好ましい。具体的には、Alが好ましく用いられる。
本発明における補助電極の形状としては、パターン状であれば特に限定されるものではなく、所望の導電性、透過性、強度等により適宜選択される。例えば、上記補助電極は、メッシュ状のメッシュ部と、このメッシュ部の周囲に配置されたフレーム部とを有するものであっても良く、メッシュ状のメッシュ部からなるものであっても良い。
上記発明における補助電極が、メッシュ部とフレーム部とを有する場合、メッシュ部およびフレーム部の配置としては、例えば、上記補助電極が矩形である場合、上記フレーム部が、上記メッシュ部の四方を囲むように配置されていてもよく、上記メッシュ部の三方を囲むように配置されていてもよく、上記メッシュ部の二方を囲むように配置されていてもよく、上記メッシュ部の一方に配置されていてもよい。中でも、上記フレーム部は、上記メッシュ部の四方または三方を囲むように配置されていることが好ましい。効率良く集電することができるからである。
本発明におけるメッシュ部の形状としては、メッシュ状であれば特に限定されるものではなく、所望の導電性、透過性、強度等により適宜選択される。例えば、三角形、四角形、六角形等の多角形や円形の格子状等が挙げられる。中でも、上記メッシュ部の形状は、六角形の格子状または平行四辺形の格子状であることが好ましい。上記メッシュ部を流れる電流が局所的に集中するのを防止することができるからである。
上記補助電極自体は基本的に光を透過しないので、上記補助電極のメッシュ部の開口部から光電変換層に光が入射する。そのため、上記補助電極のメッシュ部の開口部は比較的大きいことが好ましい。上記補助電極のメッシュ部の開口部のピッチおよびメッシュ部の線幅は、上記補助電極全体の面積等に応じて適宜選択される。
また、フレーム部の線幅は、上記補助電極全体の面積等に応じて適宜選択される。
上記補助電極の厚みは、上記透明電極層と上記金属電極層との間で短絡が生じない厚みであれば限定されるものではなく、上記光電変換層、正孔取出層、電子取出層等の厚みに応じて適宜選択される。具体的には、上記補助電極の厚みが、100nm〜1000nmの範囲内であることが好ましく、中でも200nm〜800nmの範囲内、さらには200nm〜500nmの範囲内、特に200nm〜400nmの範囲内であることが好ましい。
本発明における補助電極のシート抵抗としては、上記透明電極のシート抵抗よりも低ければよい。具体的に、上記補助電極のシート抵抗は、5Ω/□以下であることが好ましく、中でも3Ω/□以下、さらには1Ω/□以下、特に0.5Ω/□以下であることが好ましく、0.1Ω/□以下であることが最も好ましい
なお、上記シート抵抗の測地装置および測定方法は、透明電極のシート抵抗測定と同様であるため、ここでの記載は省略する。
本発明における補助電極の形成方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、金属薄膜を全面に成膜した後に網目状にパターニングする方法、網目状の導電体を直接形成する方法等が挙げられる。これらの方法は、上記補助電極の形成材料や構成等に応じて適宜選択される。
本発明における金属薄膜の成膜方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の真空成膜法であることが好ましい。すなわち、上記補助電極は真空成膜法にて形成された金属薄膜であることが好ましい。
上記金属薄膜のパターニング方法としては、所望のパターンに精度良く形成することができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えばフォトエッチング法等を挙げることができる。
(iii)正孔取出層
本発明における正孔取出層について説明する。本発明に用いられる正孔取出層としては、PEDOT/PSSを主成分とすることを特徴とするものである。
本発明においては、図1(a)に例示するように、正孔取出層3は、透明電極層2上に形成され、透明電極基板10を構成する。
また、後述する加熱圧着工程時に、図1(c)に例示するように、正孔取出層3は光電変換層6と接着し、透明電極基板10および金属電極基板20の積層体を形成する。上記2基板の積層体において、正孔取出層3が透明電極層2と光電変換層6との間に形成されることにより、光電変換層6から正孔取出電極である透明電極層2への正孔取出効率が高められるため、光電変換効率を向上させることが可能となる。
さらに、本発明によれば、上記正孔取出層は、一定の温度範囲内で粘着性を発揮することができる。上記正孔取出層の主成分であるPEDOT/PSSが一定の温度範囲内で粘着性を発揮することができるからである。
そのため、後述する加熱圧着工程における加熱圧着温度を、上記の温度範囲内に設定することで、上記正孔取出層を光電変換層−正孔取出層界面の粘着層とする、すなわち、透明電極基板と金属電極基板とを接着させるために用いることが可能となる。
このように、本発明においては上記PEDOT/PSSを主成分とする正孔取出層を粘着層として用いることができる。このような粘着層として用いられる正孔取出層が粘着性を発揮する温度範囲としては、100℃〜150℃の範囲内であることが好ましい。
中でも、110℃〜130℃の範囲内であることがより好ましい。
上記範囲より低い場合、上記粘着層の取り扱いが困難となる可能性がある。一方、上記範囲より高い場合、加熱圧着時の温度を高く設定する必要があり、透明基板に使用しているフィルムが劣化してしまう恐れがあるからである。
本発明における正孔取出層中のPEDOT/PSSの含有量としては、上記正孔取出層が上述した温度範囲で粘着性を発揮することができるものであれば特に限定されるものではないが、上記正孔取出層を構成する材料中に、80質量%以上であることが好ましく、
中でも、90質量%以上であることがより好ましい。
また、本発明における正孔取出層は、上述したように、主成分であるPEDOT/PSSのみで構成されることが特に好ましいが、必要に応じて粘着剤を添加して粘着性を向上させても良い。上記粘着剤としては、例えば、糖鎖等が挙げられる。上記糖鎖は、上述した粘着性を発揮する温度範囲において、上記正孔取出層の粘着性を高めることが可能である。上記糖鎖の含有量は、上記正孔取出層を構成する材料中に、0.1質量%〜5質量%の範囲内であることが好ましい。中でも、0.3質量%〜3質量%の範囲内であることが好ましく、特に、0.5質量%〜2質量%の範囲内であることがより好ましい。
上記範囲より含有量が少ない場合、上記正孔取出層の粘着性を充分に高めることができなくなる可能性があり、また一方、上記範囲より含有量が多い場合、糖鎖は導電性を有していないため、上記正孔取出層の正孔取出効率が低下する可能性があるからである。
本発明における正孔取出層の膜厚としては、10nm〜200nmの範囲内であることが好ましい。
なお、本発明における正孔取出層の形成方法としては、例えば、正孔取出層形成用塗工液を塗布することが挙げられる。上記正孔取出層形成用塗工液としては、上述した正孔取出層に好適な材料を溶剤に溶解もしくは分散させることにより調製することができる。上記溶剤としては、上述した材料を溶解もしくは分散できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、水等を挙げることができる。また、上記正孔取出層形成用塗工液には、上述した材料および溶剤に加えて、種々の添加剤を加えることができる。
上記正孔取出層形成用塗工液の塗布方法としては、透明電極層上に塗布することができる方法であれば特に限定するものではなく、例えば、スピンコート法、ダイコート法、キャスト法、ディップコート法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法、フレキソ印刷法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、インクジェット法等が挙げられる。
(2)金属電極基板
続いて、本発明における金属電極基板について説明する。本発明に用いられる金属電極基板は、表面に金属層を有する金属電極層と光電変換層とを有することを特徴とするものである。
また、本発明に用いられる金属電極基板は、金属電極層と光電変換層との間に電子取出層を有することが好ましい。
以下、本発明における金属電極基板の各構成について説明する。
(i)金属電極層
本発明における金属電極層について説明する。本発明に用いられる金属電極層は、表面に金属層を有するものである。
金属電極層は、上述した透明電極基板に形成された透明電極層と対向する電極であり、導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、上記金属電極層は電子取出電極であるため電子取出効率の観点から、仕事関数の低いものであることが好ましい。
本発明における金属電極層としては、表面に金属層を有するもの、すなわち、金属が露出している表面を有するものであり、電極として機能できるものであれば特に限定されるものではない。具体的には、金属からなるもの、すなわち、金属層のみからなるものや、表面を金属層で被覆された支持基材等を挙げることができる。
また、本発明における金属電極層は長尺であることが好ましい。RtoRプロセスに展開することができるため、生産性を向上させることができるからである。
ここで、金属電極層における長尺とは、金属層のみからなるもの、もしくは表面を金属層で被覆された支持基材等が長尺であることを示す。
本発明における金属電極層としては、表面に金属層を有するものであれば特に限定されるものではないが、中でも、金属層のみからなるものが好ましく、特に金属箔であることがより好ましい。電子取出層からの電子取出効率をより優れたものとすることができるからである。また、金属箔であることによりフレキシブル性に優れることから、長尺に形成しやすくなり、RtoRプロセスにより好適なものとすることできる。
ここで、金属箔とは、一般的な金属からなるものであり、フレキシブル性を有するものである。また、上記フレキシブル性を有するとは、JIS Z 2248の金属材料曲げ試験方法で、5KNの力をかけたときに曲がることを指す。
本発明に用いられる金属箔としては、所望の金属電極層の機能を有するものであれば特に限定されるものではないが、透明電極層の構成材料の仕事関数等を考慮して適宜選択されることが好ましい。
また、後述する電子取出層の有無等も考慮して選択されることがより好ましい。例えば、上記金属電極基板が電子取出層を有する場合、光電変換層から金属電極層への電子取出効率は充分に保持される傾向にあるため、金属電極層に用いられる金属箔は任意のものを使用することができる。一方、上記金属電極基板が電子取出層を有していない場合、電子取出効率が低下する場合があることから、仕事関数等を考慮してアルミニウム箔等が好適に用いられる。
また、本発明において、電子取出層が形成されている場合の金属電極層に用いられる金属箔の具体例としては、ステンレス箔、チタン箔、銅箔、アルミニウム箔などが挙げられる。
本発明においては、中でも、耐熱温度に優れたステンレス箔、チタン箔等が好適に用いられる。
また、本発明における金属電極層が表面を金属層で被覆された支持基材である場合、金属層としては、所望の金属電極層を形成できるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、支持基材上に金属薄膜を蒸着法等により形成したもの等を用いることができる。
なお、上記金属層に用いられる金属としては、上述した金属箔に使用される金属と同様のものを用いることができる。
本発明に用いられる支持基材としては、表面に金属層を形成できるものであれば特に限定されるものではなく、ガラスや、金属材料および樹脂等を用いることができる。
また、上記支持基材としては、フレキシブル性を有するものであることが好ましい。上述したようにRtoRプロセスにより好適なものとすることができるからである。
また、上記支持基材に用いられる金属材料としては、具体的には、金(Au)、銀(Ag)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、銅(Cu)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、ステンレス系金属、アルミニウム合金、銅合金、チタン合金、鉄−ニッケル合金およびニッケル−クロム合金(Ni−Cr)等を挙げることができる。
また、上記支持基材に用いられる樹脂としては、例えば、エチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、アセチルセルロース、アセチルエチルセルロース、セルロースプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルロース、ブチルセルロース、ベンジルセルロース、ニトロセルロース等のセルロース系樹脂、またはメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ターシャルブチルメタクリレート、ノルマルブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、2−エチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の重合体もしくは共重合体からなるアクリル系樹脂、ポリエチレングリコール等の多価アルコール類等を挙げることができる。
また、上記支持基材の表面のうち金属層により被覆される領域としては、少なくとも電子取出層が形成される表面側を含むものであれば特に限定されるものではないが、なかでも、電子取出層が形成される全表面を含むことが好ましい。金属層が存在することにより、電子取出効率に優れたものとすることができるからである。
なお、支持基材上に形成される金属層の膜厚としては、支持基材上に安定的に形成可能であれば特に限定されるものではなく、例えば、1μm〜1mmの範囲内であることが好ましい。
本発明における金属電極層の膜厚としては、電極として機能するものであれば特に限定されるものではなく、具体的には10μm以上であればよく、10μm〜3mm程度とすることができる。
膜厚が厚いほど、金属電極層の剛性が高くなり操作性が低下する可能性があり、一方膜厚が薄いほど、フレキシブル性に富んだものとなる。そのため、フレキシブル性を考慮すると、上記膜厚は、10μm〜300μmの範囲内であることが好ましく、30μm〜300μmの範囲内であることがより好ましい。
(ii)電子取出層
本発明における電子取出層について説明する。本発明においては、上記金属電極層と後述する光電変換層との間に、電子取出層が形成されることが好ましい。電子取出層は、光電変換層から上記金属電極層への電子の取出が容易に行われるように設けられる層であり、光電変換層から金属電極層への電子取出効率が高められ、光電変換効率を向上させることが可能となるからである。
本発明においては、図1(a)に例示するように、電子取出層5は金属電極層4上に形成され、さらに電子取出層5の上に光電変換層6が形成される。
また、図1(c)に例示するように、透明電極基板および金属電極基板の積層体においては、電子取出層5が形成されることによって、光電変換層6から電子取出電極である金属電極層4への電子取出効率が高められるため、光電変換効率の優れた有機薄膜太陽電池とすることができる。
本発明における電子取出層に用いられる材料としては、光電変換層から金属電極層への電子取出を安定化させる材料であれば特に限定されるものではないが、本発明においては、TiO膜であることが好ましい。大気下でも安定に存在できるからである。そのため、後述する光電変換層形成工程時等に、大気中に保持されていても劣化を生じにくく、電子取出効率も低下しにくいことから、電池特性に優れた有機薄膜太陽電池とすることができる。
本発明における電子取出層の表面粗度Raとしては、有機薄膜太陽電池として安定的に使用できるものであれば特に限定されるものではないが、1.0μm以下であることが好ましい。中でも、0.5μm以下であることが好ましく、特に、0.3μm以下であることがより好ましい。
上記表面粗さが上述の範囲であることにより、上記金属電極層と上記透明電極層とが短絡を生じることをより安定的に防ぐことができるからである。
なお、上記表面粗度Raは、JIS B 0601−1994に規定する方法により求めることができる。
また、本発明における電子取出層の膜厚としては、上記光電変換層から上記金属電極層への電子の取出しが容易に行われるようにすることができるものであれば特に限定されるものではなく、50nm〜5000nmの範囲内であることが好ましい。中でも、50nm〜1000nmの範囲内であることが好ましく、特に50nm〜300nmの範囲内であることが好ましい。
上記膜厚が上述の範囲内であることにより、上記電子取出層にピンホール等の少ないものとすることができるからである。また、金属電極層表面を充分に被覆することが可能だからである。
本発明における電子取出層の平面視上の形成位置としては、上記金属電極層と光電変換層とが平面視上重なる領域を含むものであれば特に限定されるものではないが、上記金属電極層と光電変換層とが平面視上重なる全ての領域であることが好ましい。光電変換効率に優れたものとすることができるからである。
本発明における電子取出層としては、上述したようにTiO膜が好ましい。このようなTiO膜の形成方法としては、上記TiO膜を精度良く形成することができる方法であれば特に限定されるものではなく、湿式成膜法または乾式成膜法のいずれを用いても良い。
上記湿式成膜法では、容易に成膜することが可能であり、大量に成膜できるという利点を有する。
上記湿式成膜法としては、具体的には、ゾル−ゲル法が挙げられる。また、金属電極層としてチタン箔を用いる場合、陽極酸化法、ナノ分散体液の塗布焼成法等が挙げられる。
ここで、ゾル−ゲル法を用いたTiO膜の形成方法としては、電子取出層形成用塗工液を塗布し、加水分解、重縮合、それに続く熱処理によってゾルを経て、固化体であるゲルを得る方法である。なお、電子取出層形成用塗工液としては、一般的にTiO膜形成に使用されるものであれば特に限定されるものではない。
電子取出層形成用塗工液の塗布方法としては、電子取出層形成用塗工液を均一に塗布することができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、ディップコート法、スプレーコート法等を挙げることができる。
また、上記乾式成膜法では、精度の高い成膜が可能となることから、より電子取出効率に優れた電子取出層とすることができるという利点を有する。
上記乾式成膜法としては、蒸着法、スパッタリング法等が挙げられる。
(iii)光電変換層
続いて、本発明における光電変換層について説明する。本発明に用いられる光電変換層は、上記透明電極層と上記金属電極層との間に形成されるものである。なお、本発明における光電変換層とは、有機薄膜太陽電池の電荷分離に寄与し、生じた電子および正孔を各々反対方向の電極に向かって輸送する部材をいう。
本発明においては、図1(a)に例示するように、光電変換層6が電子取出層5の上に形成され、金属電極基板20を構成する。
また、後述する加熱圧着工程時には、図1(c)に例示するように、光電変換層6は正孔取出層3と接着し、透明電極基板10および金属電極基板20の積層体を形成する。上記2基板の積層体内における光電変換層6は、透明基板1側から受光した太陽光による有機薄膜太陽電池の電荷分離に寄与する。さらに、上記電荷分離によって生じた正孔と電子とを各々、正孔取出層3および電子取出層5を介して、正孔取出電極である透明電極層2および電子取出電極である金属電極層4へ輸送する働きを有する。
本発明に用いられる光電変換層としては、電子受容性および電子供与性の両機能を有する単一の層であってもよく(第一態様)、また電子受容性の機能を有する電子受容性層と電子供与性の機能を有する電子供与性層とが積層されたものであっても良い(第二態様)。
以下、各態様について説明する。
a)第一態様
本発明における光電変換層の第一態様は、電子受容性および電子供与性の両機能を有する単一の層であり、電子受容性材料および電子供与性材料を含有するものである。この光電変換層では、光電変換層内で形成されるpn接合を利用して電荷分離が生じるため、単独で光電変換層として機能する。
上記光電変換層の電子供与性材料としては、電子供与体としての機能を有するものであれば特に限定されるものではないが、湿式塗工法により成膜可能なものであることが好ましく、中でも電子供与性の導電性高分子材料であることが好ましい。
導電性高分子はいわゆるπ共役高分子であり、炭素−炭素またはヘテロ原子を含む二重結合または三重結合が、単結合と交互に連なったπ共役系から成り立っており、半導体的性質を示すものである。上記導電性高分子材料は、高分子主鎖内にπ共役が発達しているため主鎖方向への電荷輸送が基本的に有利である。
また、上記導電性高分子の電子伝達機構は、主にπスタッキングによる分子間のホッピング伝導であるため、高分子の主鎖方向のみならず、光電変換層の膜厚方向への電荷輸送も有利である。さらに、上記導電性高分子材料は、導電性高分子材料を溶媒に溶解もしくは分散させた塗工液を用いることで湿式塗工法により容易に成膜可能であるしたがって、大面積の有機薄膜太陽電池を高価な設備を必要とせず、製造工程での低コスト化を可能とする利点を有する。
上記電子供与性の導電性高分子材料としては、例えば、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリシラン、ポリチオフェン、ポリカルバゾール、ポリビニルカルバゾール、ポルフィリン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリフルオレン、ポリビニルピレン、ポリビニルアントラセン、およびこれらの誘導体、ならびにこれらの共重合体、あるいは、フタロシアニン含有ポリマー、カルバゾール含有ポリマー、有機金属ポリマーなどを挙げることができる。
上記の中でも、チオフェン−フルオレン共重合体、ポリアルキルチオフェン、フェニレンエチニレンーフェニレンビニレン共重合体、フェニレンエチニレン−チオフェン共重合体、フェニレンエチニレン−フルオレン共重合体、フルオレン−フェニレンビニレン共重合体、チオフェン−フェニレンビニレン共重合体等が好ましく用いられる。これらは、多くの電子受容性材料に対して、エネルギー準位差が適当であるからである。
なお、例えばフェニレンエチニレン−フェニレンビニレン共重合体(Poly[1,4−phenyleneethynylene−1,4−(2,5−dioctadodecyloxyphenylene)−1,4−phenyleneethene−1,2−diyl−1,4−(2,5−dioctadodecyloxyphenylene)ethene−1,2−diyl])の合成方法については、Macromolecules, 35, 3825 (2002) や、Mcromol. Chem. Phys., 202, 2712 (2001) に詳しい。
次に、上記電子受容性材料としては、電子受容体としての機能を有するものであれば特に限定されるものではないが、湿式塗工法により成膜可能なものであることが好ましく、中でも電子受容性の導電性高分子材料であることが好ましい。上記導電性高分子材料は、上述したような利点を有するからである。
本態様に用いられる電子受容性の導電性高分子材料としては、例えば、ポリフェニレンビニレン、ポリフルオレン、およびこれらの誘導体、ならびにこれらの共重合体、あるいは、カーボンナノチューブ、フラーレン誘導体、CN基またはCF基含有ポリマーおよびそれらの−CF置換ポリマー等を挙げることができる。ポリフェニレンビニレン誘導体の具体例としては、CN―PPV(poly[2−methoxy−5−(2‘−ethylhexyloxy)−1,4−(1−cyanovinylene])、MEH−CN−PPV(poly[2−methoxy−5−(2’−ethylhexyloxy)−1,4−(1−cyanoinylene])等が挙げられる。
また電子供与性化合物がドープされた電子受容性材料や、電子受容性化合物がドープされた電子供与性材料等を用いることもできる。中でも、電子供与性化合物もしくは電子受容性化合物がドープされた導電性高分子材料が好ましく用いられる。上記導電性高分子材料は、高分子主鎖内にπ共役が発達しているため主鎖方向への電荷輸送が基本的に有利であり、また、電子供与性化合物や電子受容性化合物をドープすることによりπ共役主鎖中に電荷が発生し、電気伝導度を大きく増大することが可能であるからである。
上記電子供与性化合物がドープされる電子受容性の導電性高分子材料としては、上述した電子受容性の導電性高分子材料を挙げることができる。また、ドープされる電子供与性化合物としては、例えば、Li、K、Ca、Cs等のアルカリ金属やアルカリ土類金属のようなルイス塩基を用いることができる。なお、ルイス塩基は電子供与体として作用する。
また、上記電子受容性化合物がドープされる電子供与性の導電性高分子材料としては、上述した電子供与性の導電性高分子材料を挙げることができる。ドープされる電子受容性化合物としては、例えば、FeCl(III)、AlCl、AlBr、AsFやハロゲン化合物のようなルイス酸を用いることができる。なお、ルイス酸は電子受容体として作用する。
本態様における電子供与性材料および上記電子受容性材料の混合比は、使用する材料の種類により最適な混合比に適宜調整される。
本態様における光電変換層の膜厚としては、一般的にバルクヘテロ接合型有機薄膜太陽電池において採用されている膜厚を採用することができる。具体的には、0.2nm〜3000nmの範囲内で設定されることが好ましく、中でも、1nm〜600nmの範囲内であることが好ましい。
上記膜厚が上記範囲より厚い場合、光電変換層における体積抵抗が高くなる可能性があるからである。一方、上記膜厚が上記範囲より薄い場合、光を充分に吸収できない可能性があるからである。
本態様における光電変換層の形成方法としては、所定の膜厚に均一に形成することができる方法であれば特に限定されるものではないが、湿式塗工法が好ましく用いられる。湿式塗工法であれば、大気中で光電変換層を形成することができ、低コスト化が実現できるとともに、容易に大面積化が可能となるからである。
本態様における光電変換層用塗工液の塗布方法としては、光電変換層形成用塗工液を均一に塗布することが塗布できる方法であれば特に限定されるものではないが、例えば、ダイコート法、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法、ビードコート法、スプレーコート法、バーコート法、グラビアコート法、インクジェット法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法等を挙げることができる。
中でも、光電変換層形成用塗工液の塗布方法は、主に塗布量に応じて厚みを調整することが可能である方法であることが好ましい。主に塗布量に応じて厚みを調整することが可能な方法としては、例えば、ダイコート法、ビードコート法、バーコート法、グラビアコート法、インクジェット法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法等の印刷法を挙げることができる。印刷法は有機薄膜太陽電池の大面積化を図るために好適である。
上記光電変換層形成用塗工液の塗布後は、形成された塗膜を乾燥する乾燥処理を施しても良い。光電変換層形成用塗工液に含有される溶媒等を早期に除去することにより、生産性を向上させることができるからである。
乾燥処理の方法としては、例えば、加熱乾燥、送風乾燥、真空乾燥、赤外線加熱乾燥等、一般的な乾燥方法を用いることができる。
b)第二態様
本発明における光電変換層の第二態様は、電子受容性の機能を有する電子受容性層と電子供与性の機能を有する電子供与性層とが積層されたものである。
以下、電子受容性層および電子供与性層について説明する。
(電子受容性層)
本態様に用いられる電子受容性層は、電子受容性の機能を有するものであり、電子受容性材料を含有するものである。
このような電子受容性材料としては、電子受容体としての機能を有するものであれば特に限定されるものではないが、湿式塗工法により成膜可能なものであることが好ましく、中でも電子受容性の導電性高分子材料であることが好ましい。上記導電性高分子材料は、上述したような利点を有するからである。具体的には、上記第一態様の光電変換層に用いられる電子受容性の導電性高分子材料と同様のものを挙げることができる。
本態様における電子受容性層の膜厚としては、一般的にバイレイヤー型有機薄膜太陽電池において採用されている膜厚を採用することができる。具体的には、0.1nm〜1500nmの範囲内で設定することができ、好ましくは1nm〜300nmの範囲内である。上記膜厚が上記範囲より厚いと、上記電子受容性層における体積抵抗が高くなる可能性があるからである。一方、膜厚が上記範囲より薄いと、光を十分に吸収できない場合があるからである。
本態様における電子受容性層の形成方法としては、上記第一態様の光電変換層の形成方法と同様とすることができる。
(電子供与性層)
本態様に用いられる電子供与性層は、電子供与性の機能を有するものであり、電子供与性材料を含有するものである。
本態様における電子供与性材料としては、電子供与体としての機能を有するものであれば特に限定されるものではないが、湿式塗工法により成膜可能なものであることが好ましく、中でも電子供与性の導電性高分子材料であることが好ましい。上記導電性高分子材料は、上述したような利点を有するからである。具体的には、上記第一態様の光電変換層に用いられる電子供与性の導電性高分子材料と同様のものを挙げることができる。
本態様における電子供与性層の膜厚としては、一般的にバイレイヤー型有機薄膜太陽電池において採用されている膜厚を採用することができる。具体的には、0.1nm〜1500nmの範囲内で設定することができ、好ましくは1nm〜300nmの範囲内である。上記膜厚が上記範囲より厚いと、上記電子供与性層における体積抵抗が高くなる可能性があるからである。一方、膜厚が上記範囲より薄いと、光を十分に吸収できない場合があるからである。
本態様における電子供与性層の形成方法としては、上記第一態様の光電変換層の形成方法と同様とすることができる。
c)その他
本発明における上記透明電極基板および上記金属電極基板としては、上述した構成層の他にも、必要に応じて他の構成層を有していても良い。例えば、構成層に応じて、各層間に接着層が形成されても良い。
2.加熱圧着工程
次に、本発明における加熱圧着工程について説明する。本発明における加熱圧着工程としては、上記透明電極基板および上記金属電極基板を、上記正孔取出層と上記光電変換層とが対向するように配置し、加熱圧着することを特徴とする工程である。
このような加熱圧着工程は、図1(a)に示すような調製工程で調製された透明電極基板10と金属電極基板20とを、図1(b)に例示するように、正孔取出層3と光電変換層6とが対向するように配置し、圧力7によって加熱圧着することにより、図1(c)に例示するような、上記2基板の積層体を形成する工程である。
本発明における加熱圧着工程としては、加熱圧着の際の上記2基板の形態の違いにより加熱圧着の方式を適宜選択することが好ましい。例えば、RtoR方式、枚葉方式等が挙げられる。以下、各方式について説明する。
(1)RtoR方式
まず、本発明における加熱圧着工程に用いられるRtoR方式について説明する。
一般的に、RtoR方式とは、長尺に形成されたロール状の基板等を走行路上に走行させながら、順次処理を施していく方法である。本発明における加熱圧着工程に用いられるRtoR方式としては、長尺に形成されたロール状の上記透明基板および上記金属電極層に、上述した調製工程によって各々構成層を積層することによって、上記透明電極基板および上記金属電極基板を調製した後、走行路上を走行させながらロール等によって加熱圧着する方式である。
このような方式としては、図3で例示するように、長尺に形成されたロール状の透明基板1上に、透明電極層2を積層するA工程と、A工程により積層された透明電極層2上に正孔取出層3を積層するB工程とを施すことによって調製された透明電極基板10と、長尺に形成されたロール状の金属電極層4上に、電子取出層5を積層するC工程と、C工程により積層された電子取出層5上に光電変換層6を積層するD工程とを施すことによって調製された金属電極基板20とを、圧力7の条件下で加熱圧着することによって、上記2基板の積層体を形成することが可能となる。
本発明におけるRtoR方式では、上述した正孔取出層の主成分となるPEDOT/PSSが粘着性を発揮できる温度範囲内の温度で加熱圧着を行うことが好ましい。上述した正孔取出層の主成分であるPEDOT/PSSが粘着性を発揮することから、上記正孔取出層が粘着性を示すことができるからである。そのため、上記正孔取出層を粘着層として、上記正孔取出層−光電変換層界面を接着する、すなわち、上記透明電極基板および上記金属電極基板を接着させることが可能となる。
上記RtoR方式による加熱圧着工程において加熱圧着を行う温度範囲としては、上述したPEDOT/PSSが粘着性を発揮できる温度であれば特に限定されるものではないが、100℃〜150℃の範囲内であることが好ましい。中でも、110℃〜140℃の範囲内であることが好ましく、特に、120℃〜130℃の範囲内であることがより好ましい。
上記温度範囲よりも低い場合、PEDOT/PSSが上記透明電極基板および上記金属電極基板の接着に充分な粘着性を発揮することができない可能性がある。一方、上記温度範囲よりも高い場合、透明電極基板に用いられるフィルム等に劣化を生じる可能性がある。
上記RtoR方式による加熱圧着工程における加熱圧着を行う圧力としては、通常、上述した温度範囲内でPEDOT/PSSが発揮する粘着性により、上記透明電極基板および上記金属電極基板を接着させることが可能な圧力であれば特に限定されるものではないが、0.1MPa〜1MPaの範囲内であることが好ましい。中でも、0.2MPa〜0.8MPaの範囲内であることが好ましく、特に、0.4MPa〜0.5MPaの範囲内であることがより好ましい。
上記範囲内より低い場合、上記透明電極基板および上記金属電極基板の接着が不十分となる可能性があり、一方、上記範囲内より高い場合、上記2基板の積層体の構造に過度の変化を生じて有機薄膜太陽電池の電池特性が低下する恐れがある。
上記RtoR方式による加熱圧着工程における雰囲気としては、上記透明電極基板および上記金属電極基板の各構成層の特性が低下しないものであれば特に限定されるものではなく、例えば、真空、窒素、大気等が挙げられる。中でも、真空、窒素等が好ましい。
上記2基板または上記2基板の積層体に封止基材貼合工程を施す前であっても、上記各構成層の特性を低下させる可能性が低いからである。
(2)枚葉方式
次に、本発明における加熱圧着工程に用いられる枚葉方式について説明する。本発明に用いられる枚葉方式としては、枚葉状の上記透明基板および上記金属電極層に、上述した調製工程によって各々構成層を積層することによって、上記透明電極基板および上記金属電極基板を調製した後、加熱圧着する方式である。
本発明における枚葉方式では、上述したRtoR方式と同様に、正孔取出層の主成分であるPEDOT/PSSの粘着性を利用して、上記正孔取出層を粘着層とすることが可能となることから、正孔取出層の主成分となるPEDOT/PSSが粘着性を発揮できる温度範囲内の温度で加熱圧着を行うことが好ましい。
また、加熱圧着を行う温度範囲についても上述したRtoR方式と同様であるため、ここでの記載は省略する。
上記枚葉方式による加熱圧着工程における加熱圧着を行う圧力としては、上述したRtoR方式と同様であるため、ここでの記載は省略する。
上記枚葉方式による加熱圧着工程における加熱圧着を行う時間としては、通常、上述した温度範囲内でPEDOT/PSSが発揮する粘着性により、上記透明電極基板および上記金属電極基板を接着させることが可能な時間であれば特に限定されるものではないが、10分以下であることが好ましい。中でも、3分以下であることが好ましく、特に、1分以下であることがより好ましい。
上記範囲より短い場合、上記透明電極基板および上記金属電極基板の接着が不十分となる可能性があり、一方、上記範囲より長い場合、上記2基板の積層体の構造が過度に変化して有機薄膜太陽電池の電池特性が低下する可能性がある。
上記枚葉方式による加熱圧着工程における雰囲気としては、RtoR方式による加熱圧着工程と同様であるため、ここでの記載は省略する。
3.その他の工程
(1)封止基材貼合工程
本発明においては、上述した工程の他に封止基材貼合工程を行うことが好ましい。
以下、本発明における封止基材貼合工程について説明する。
本発明における封止基材貼合工程としては、上記透明基板の金属電極基板形成側と反対側に、接着層を介して封止基材を貼り合わされることが好ましい。本発明における金属電極層、中でも特に金属箔は、バリア性を有していることから、上述した透明電極基板および金属電極基板の積層体のうち上記透明電極基板側のみ封止することが必要となるからである。
また、本発明における封止基材貼合工程は、上述した加熱圧着工程後に封止基材貼合工程を行う態様(第一態様)と、上述した調製工程時に上記透明電極基板および上記金属電極基板と共に、接着層と封止基材とを調製し、続いて上述した加熱圧着工程により、透明電極基板および金属電極基板の加熱圧着と同時に封止を行う態様(第二態様)とに分けられる。
以下、それぞれの態様について説明する。
(i)第一態様
本発明における封止基材貼合工程の第一態様は、上述した加熱圧着工程を行った後に、封止基材貼合工程を行う態様である。
本態様においては、図4に例示するように、上述した加熱圧着工程により形成された上記透明電極基板10および上記金属電極基板20の積層体の透明電極基板10側に接着層8を積層するE工程と、接着層8を介して上記2基板の積層体に対向するように封止基材9を貼合するF工程とを施し、有機薄膜太陽電池30を形成することが可能となる。
以下、本態様に用いられる構成材料について説明する。
a)接着層
本態様における接着層について説明する。本実施態様に用いられる接着層は、上述した透明基板の金属電極基板形成側と反対側に形成されることを特徴とするものである。
本態様における接着層の形成位置としては、接着層が上記透明基板の金属電極基板形成側と反対側に形成されていれば特に限定されるものではなく、例えば、図1(d)に示すように、接着層8が透明基板1の金属電極基板形成側の反対側に形成される。封止基材と電池素子積層体との間の間隙をなくすことができ、また透明基板と封止基材との接着力を向上させることができることから、水分や酸素の侵入をより効果的に抑制することが可能となる。
本態様における接着層に用いられる接着剤としては、上記透明基板および封止基材を貼りあわせることができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、光硬化型樹脂、熱硬化型樹脂を用いることができる。
本態様における接着層の形成方法としては、所定の位置に接着層を配置することができる方法であれば特に限定されるものではなく、一般的に用いられている接着剤の塗布方法が用いられる。
上記接着剤の塗布方法としては、接着剤の形成位置に応じて適宜選択されるものであり、例えば、バーコード法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法等が挙げられる。
b)封止基材
本発明における封止基材について説明する。本発明に用いられる封止基材は、上述した接着層上に配置され、上記接着層を介して透明基板上の金属電極基板形成側とは反対側の表面と貼り合わされるものである。
本発明に用いられる封止基材は、電池素子を封止することができ、かつ所定の強度を有するものであれば特に限定されるものではないが、接着層を介して透明基板の金属電極基板形成側とは反対側の表面と、封止基材が貼り合わされていることから、封止基材側が受光面となるため、透明性を有するものであることが好ましい。
本発明における封止基材に用いられる材料としては、例えば、ソーダ石灰ガラス、アルカリガラス、鉛アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸ガラス、シリカガラス等のガラス板等の無機材料、またはフィルム状に成形が可能な樹脂基板等を用いることができる。
本発明における封止基材に用いられる樹脂基板としては、有機薄膜太陽電池に影響を与える揮発成分を含まない耐溶媒性、耐熱性の比較的高い高分子材料が好ましく、具体的には、フッ素系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエステル、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルサルフォン、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、液晶性ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリミクロイキシレンジメチレンテレフタレート、ポリオキシメチレン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアクリレート、アクリロニトリル−スチレン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、シリコーン樹脂、非晶質ポリオレフィン等が挙げられる。これらを1種類、または2種類以上の共重合体として用いても良い。
また、封止基材は、樹脂基板上にガスバリア層が形成されたものであっても良い。
(ii)第二態様
本発明の封止基材貼合工程における第二態様は、上述した加熱圧着工程と同時に封止基材貼合工程を行う態様である。
上述した加熱圧着工程時に、上記透明電極基板の透明基板上に接着層を介して封止基材を配置し、加熱圧着により上記透明電極基板および上記金属電極基板と同時に貼り合わせることで、有機薄膜太陽電池素子を形成すると同時に、上記有機薄膜太陽電池の封止を行うことができる。
以下、本態様に用いられる構成材料について説明する。
a)接着層
本態様における接着層の形成位置としては、上記第一態様と同様であるため、ここでの記載は省略する。
本態様における接着層に用いられる接着剤としては、第一態様と同様に、上記透明基板および封止基材を貼りあわせることができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、光硬化型樹脂、熱硬化型樹脂を用いることができる。中でも、本態様においては熱硬化型樹脂を用いることが好ましい。上述した加熱圧着工程時に加わる熱により、透明電極基板および金属電極基板と同時に、透明基板と封止基材とを貼り合わせることができるからである。
本態様における接着層の形成方法としては、上記第一態様と同様の形成方法を用いることができるため、ここでの記載は省略する。
b)封止基材
本態様における封止基材については、上記第一態様と同様のものを用いることができるため、ここでの記載は省略する。
(2)放熱工程
本発明の有機薄膜太陽電池の製造方法においては、通常、上述した加熱圧着工程後に、加熱圧着された有機薄膜太陽電池素子から熱を逃がす放熱工程を行う。上記放熱工程としては、加熱圧着された有機薄膜太陽電池素子を急冷する急冷工程であっても良く、加熱圧着された有機薄膜太陽電池素子を徐冷する徐冷工程であっても良い。
上記急冷工程としては、例えば、−20℃程度に冷却された冷却機を用いる方法等を挙げることができる。また、徐冷工程としては、例えば、加熱圧着後に室温に放置する方法等を挙げることができる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果をそうするものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、本発明について、実施例および比較例を用いて具体的に説明する。
(金属電極基板の調製工程)
ステンレス箔(SUS304、150mm×300mm×0.03mm)を2%NaOH水溶液(40℃)中で脱脂後、水洗により洗浄を実施した。洗浄実施後に電子取出層形成用塗工液(ビストレイターH、日本曹達株式会社製)をステンレス箔表面に塗布し、大気下で100℃にて30分間の条件下で加水分解反応を進行させた後、真空炉(500℃、30分間)での焼成を実施し、ステンレス箔表面に電子取出層としてTiO層を形成した。
触針式表面形状測定器(DEKTAK、アルバック社製)によりTiO膜厚を測定したところ、0.5μmの膜厚を確認した。
続いて、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)と[6,6]−フェニル−C61−酪酸メチルエステル(PCBM)をオルトジクロロベンゼンに分散させ、光電変換層形成用塗工液を調製した。
TiO層形成後、光電変換層形成用塗工液を大気下でダイコート法により所望の厚みに塗布し、減圧乾燥後、N下150℃にて15分間の焼成を実施し、金属電極基板を作製した。
(透明電極基板の調製工程)
PEN基板を脱脂、洗浄後にスパッタ成膜により補助電極用金属層Cr/Cuを形成した。その後、フォトエッチングプロセスを使用し、メッシュ形状の金属補助電極をPEN基板上に形成した。その後、透明電極としてITOを成膜した。ITO膜上にPEDOT/PSS(商品名 Orgacon−S303、AGFA社製)を大気下でダイコート法により塗布した。その後、大気下で150℃にて15分間の焼成を実施し、透明電極基板を作製した。
(加熱圧着工程)
上述したように作製した金属電極基板および透明電極基板を、光電変換層と正孔取出層が対向するように配置し、ロールラミネーターにより熱プレスを実施して光電変換層と正孔取出層とを接着し、接続し太陽電池素子が完成した。
なお、ロールラミネート条件としては、150℃に加熱し、4kgf/cmの加重により貼り合わせを行った。
(評価)
作製後の素子の性能評価を実施し、1SUN照射下にて変換効率2%を確認した。
1 … 透明基板
2 … 透明電極層
2a … 透明電極
2b … 補助電極
3 … 正孔取出層
4 … 金属電極層
5 … 電子取出層
6 … 光電変換層
7 … 圧力
8 … 接着層
9 … 封止基材
10 … 透明電極基板
20 … 金属電極基板
30 … 有機薄膜太陽電池
A … 透明電極層積層工程
B … 正孔取出層積層工程
C … 電子取出層積層工程
D … 光電変換層積層工程
E … 接着層積層工程
F … 封止基材貼合工程

Claims (4)

  1. 透明基板と、前記透明基板上に形成された透明電極層と、前記透明電極層上に形成されたPEDOT/PSS(ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸との複合体)のみからなる正孔取出層とを有する透明電極基板、および表面に金属層を有する金属電極層と、前記金属電極層上に形成された光電変換層とを有する金属電極基板を調製する調製工程と、
    前記透明電極基板および前記金属電極基板を、前記正孔取出層と、前記光電変換層とが対向するように配置し、加熱圧着する加熱圧着工程と、
    を有し、
    前記加熱圧着工程の後、前記金属電極基板側の最表層を剥離する剥離工程を有するものではなく、
    前記光電変換層が、接着性樹脂を含有するものではないことを特徴とする有機薄膜太陽電池の製造方法。
  2. 前記透明基板および前記金属電極層が長尺であることを特徴とする請求項1に記載の有機薄膜太陽電池の製造方法。
  3. 前記金属電極基板が、前記金属電極層と前記光電変換層との間に電子取出層を有しており、前記電子取出層がTiO膜であることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の有機薄膜太陽電池の製造方法。
  4. 前記透明基板の金属電極基板が圧着される側と反対側に、接着層を介して封止基材が貼り合わされる封止基材貼合工程を有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の有機薄膜太陽電池の製造方法。
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