JP4993018B2 - 有機薄膜太陽電池および有機薄膜太陽電池の製造方法 - Google Patents

有機薄膜太陽電池および有機薄膜太陽電池の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、優れた性能を発揮し、形成が容易な有機薄膜太陽電池に関するものである。
有機薄膜太陽電池は、2つの異種電極間に、電子供与性および電子受容性の機能を有する有機薄膜からなる光電変換層を配置してなる太陽電池であり、シリコンなどに代表される無機太陽電池に比べて製造工程が容易であり、かつ低コストで大面積化が可能であるという利点を持つ。
有機薄膜太陽電池の構成は、陽極/光電変換層/陰極の積層構造を基本としている。一般的に、一方の電極が透明電極、他方の電極が金属電極層とされ、透明基板上に透明電極、有機層(光電変換層)および金属電極層が順に積層される(特許文献1等)。
また、発電効率の向上のため、通常、金属電極層と光電変換層との間に電子取出し層が、光電変換層と透明電極との間に正孔取出し層が形成される。
ここで、有機薄膜太陽電池の特徴としては、有機層である光電変換層、正孔取出し層を印刷形成可能であることが挙げられる。その特徴を生かしたロールトゥロール(以後、RtoRとする場合がある。)プロセスへの展開が期待されている。
しかしながら、これら有機層の塗工以外の工程、具体的には、上記透明電極、電子取出し層および金属電極層等を形成する工程は蒸着プロセスが使用されることが一般的である。例えば、上記電子取出し層として、一般的に用いられるCaやLiFからなるものは蒸着プロセスにより形成され、RtoRプロセスを採用することが困難であるといった問題があった。また、CaやLiFからなる電子取出し層は、大気下で劣化しやすいため、このような材料からなる電子取出し層を用いた場合には、大気と触れるようなプロセスを用いることができず、RtoRプロセスを採用することが困難であるといった問題があった。
また、例えば、上記電子取出し層を形成しない場合、有機薄膜太陽電池としての性能は確認されるものの、特性が安定しない問題があるといった問題があった。
特開2009−099805号公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、優れた性能を発揮し、形成が容易な有機薄膜太陽電池を提供することを主目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、表面にアルミニウム層を有する金属電極層と、上記金属電極層のアルミニウム層上に形成された酸化亜鉛層である電子取出し層と、上記電子取出し層上に形成された光電変換層と、上記光電変換層上に形成された透明電極層と、を有し、上記電子取出し層に含まれる酸素原子の含有量が上記金属電極層側から光電変換層に向かって増加傾向の濃度勾配を有するものであることを特徴とする有機薄膜太陽電池を提供する。
本発明によれば、上記電子取出し層は大気下で安定であり、上記電子取出し層上に大気下で他の部材の形成や、ラミネート等を行った場合であっても性能の低下等のないものとすることができる。
また、この電子取出し層は、上記金属電極層のアルミニウム層上にジンケート処理を行うことにより容易に形成することができ、蒸着プロセスを不要なものとすることができる。
このため、上記電子取出し層を容易に形成することができ、さらに、例えば、ロールトゥロールプロセスで形成可能な程度の大気下での安定性を有するものとすることができる。したがって、優れた性能を発揮し、形成が容易なものとすることができる。
本発明においては、上記電子取出し層が、上記金属電極層側表面に亜鉛層を含むものであることが好ましい。上記光電変換層から上記金属電極層への電子の取出しが容易に行われるものとすることができるからである。
本発明においては、上記金属電極層の上記電子取出し層が形成される表面の表面算術平均粗さRaが、5μm以下であることが好ましい。上記金属電極層と上記透明電極層とが短絡を生じることのないものとすることができるからである。
本発明は、表面にアルミニウム層を有する金属電極層と、上記金属電極層のアルミニウム層上に形成された酸化亜鉛層である電子取出し層と、上記電子取出し層上に形成された光電変換層と、上記光電変換層上に形成された透明電極層と、を有する有機薄膜太陽電池の製造方法であって、上記金属電極層をジンケート処理することにより上記金属電極層のアルミニウム層上に上記電子取出し層を形成するジンケート処理工程を有することを特徴とする有機薄膜太陽電池の製造方法を提供する。
本発明によれば、上記電子取出し層は大気下で安定であり、上記電子取出し層上に大気下で他の部材の形成や、ラミネート等を行った場合であっても性能の低下等のないものとすることができる。
したがって、安定な性能を発揮するものを、例えば、ロールトゥロールプロセス等を用いて容易に得ることができる。
本発明は、優れた性能を発揮し、形成が容易な有機薄膜太陽電池を提供できるといった効果を奏する。
本発明の有機薄膜太陽電池の一例を示す概略断面図である。 本発明の有機薄膜太陽電池の他の例を示す概略断面図である。 本発明の有機薄膜太陽電池の製造方法の一例を示す工程図である。
本発明は、有機薄膜太陽電池およびその製造方法に関するものである。
以下、本発明の有機薄膜太陽電池および有機薄膜太陽電池の製造方法について詳細に説明する。
A.有機薄膜太陽電池
まず、本発明の有機薄膜太陽電池について説明する。
本発明の有機薄膜太陽電池は、表面にアルミニウム層を有する金属電極層と、上記金属電極層のアルミニウム層上に形成された酸化亜鉛層である電子取出し層と、上記電子取出し層上に形成された光電変換層と、上記光電変換層上に形成された透明電極層と、を有し、上記電子取出し層に含まれる酸素原子の含有量が上記金属電極層側から光電変換層に向かって増加傾向の濃度勾配を有するものであることを特徴とするものである。
このような本発明の有機薄膜太陽電池について図を参照して説明する。図1は、本発明の有機薄膜太陽電池の一例を示す概略断面である。図1に例示するように有機薄膜太陽電池10は、アルミ箔からなる金属電極層1と、上記金属電極層1上に形成された酸素原子の含有量が上記金属電極層側から光電変換層に向かって増加傾向の濃度勾配を有する酸化亜鉛層である電子取出し層2と、上記電子取出し層2上に形成された光電変換層3と、上記光電変換層3上に形成された正孔取出し層4と、上記正孔取出し層4上に形成された透明電極層5と、上記透明電極層5上に形成された透明基板6と、を有するものである。
本発明によれば、上記電子取出し層は電子取出し層の材料として一般的に用いられるCaやLiFを用いたもののように大気下で容易に絶縁性物質となるものと比較し、大気下で安定なものである。このため、上記電子取出し層を形成した後に、上記電子取出し層上に大気下で他の部材の形成や、ラミネート等を行った場合であっても性能の低下等のないものとすることができる。
また、この電子取出し層は、上記金属電極層のアルミニウム層上にジンケート処理を行うことにより容易に形成することができ、電子取出し層の材料として一般的に用いられるCaやLiFを用いた場合に必要となる蒸着プロセスを不要なものとすることができる。
このため、上記電子取出し層を容易に形成することができ、さらに、例えば、上記金属電極層、電子取出し層を含む陰極側基板と、上記透明基板および透明電極層を含む陽極側基板と、を準備し、これらをラミネートするようなロールトゥロールプロセスで有機薄膜太陽電池を形成することを可能とすることができる。
このように、上記電子取出し層を有することにより、優れた性能を発揮し、形成が容易なものとすることができるのである。
また、ジンケート処理にて形成された場合には、上記電子取出し層の膜厚を容易に薄いものとすることができ、フレキシブル性に優れた陰極側基板等を形成することができる。このため、例えば、上記陰極側基板をロール状に巻き、運用することができ、ロールトゥロールプロセスの採用を容易なものとすることができる。
本発明の有機薄膜太陽電池は、金属電極層、電子取出し層、光電変換層および透明電極層を少なくとも有するものである。
以下、本発明の有機薄膜太陽電池の各構成について詳細に説明する。
1.金属電極層
本発明に用いられる金属電極層は、表面にアルミニウム層を有するものである。
このような金属電極層としては、表面にアルミニウム層を有するもの、すなわち、アルミニウムが露出している表面を有するものであり、電極として機能できるものであれば特に限定されるものではない。具体的には、アルミニウムからなるもの、すなわち、アルミニウム層のみからなるものや、表面がアルミニウム層で被覆された支持基材等を挙げることができる。
本発明においては、なかでも、アルミニウムからなるものであることが好ましく、特にアルミ箔であることが好ましい。電子取出し層からの電子の受取性に優れたものとすることができるからである。また、電子取出し層である酸化亜鉛層をジンケート処理により容易に形成できるからである。さらに、アルミ箔であることにより、ロール状のアルミ箔を巻き出し、その上に電子取出し層を形成できる等、RtoRプロセスにより好適なものとすることができるからである。
ここで、アルミ箔とは、アルミニウムからなるものであり、フレキシブル性を有するものをいう。また、フレキシブル性を有するとは、JIS Z 2248の金属材料曲げ試験方法で、5KNの力をかけたときに曲がることを指す。
本発明に用いられる支持基材を構成する材料としては、表面にアルミニウム層を形成できるものであれば特に限定されるものではなく、ガラスや、金属材料および樹脂等を用いることができる。
本発明においては、なかでも、金属材料からなる金属箔または樹脂からなるフィルム等のフレキシブル性を有するものであることが好ましい。上述のようにRtoRプロセスにより好適なものとすることができるからである。
本発明に用いられる金属材料としては、具体的には、金(Au)、銀(Ag)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、銅(Cu)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、ステンレス系金属、アルミニウム合金、銅合金、チタン合金、鉄−ニッケル合金およびニッケル−クロム合金(Ni−Cr)等を挙げることができる。
また、上記樹脂としては、具体的には、エチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、アセチルセルロース、アセチルエチルセルロース、セルロースプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルロース、ブチルセルロース、ベンジルセルロース、ニトロセルロース等のセルロース系樹脂、またはメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ターシャルブチルメタクリレート、ノルマルブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、2−エチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の重合体もしくは共重合体からなるアクリル系樹脂、ポリエチレングリコール等の多価アルコール類等を挙げることができる。
また、金属電極層が、表面がアルミニウム層で被覆された支持基材である場合、支持基材の表面のうちアルミニウム層により被覆される箇所としては、少なくとも電子取出し層が形成される表面側を含むものであれば特に限定されるものではないが、なかでも、電子取出し層が形成される全表面を含むことが好ましい。アルミニウム層が存在することにより、電子取出し層である酸化亜鉛層をジンケート処理により容易に形成できるからである。また、電子取出し層からの電子の受取性に優れたものとすることができるからである。
なお、上記支持基材上に形成されるアルミニウム層の膜厚としては、上記支持基材上に安定的に形成可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、1μm〜1mmの範囲内とすることができる。
本発明に用いられる金属電極層の膜厚としては、電極として機能するものであれば特に限定されるものではなく、具体的には10μm以上であればよく、10μm〜3mm程度とすることができる。一方、上記膜厚が薄いほど、フレキシブル性に富んだものとなる。フレキシブル性を考慮すると、上記膜厚は、10μm〜300μmの範囲内であることが好ましく、30μm〜300μmの範囲内であることがより好ましい。
本発明に用いられる金属電極層の上記電子取出し層が形成される表面の表面算術平均粗さRaとしては、電池として安定的に使用できるものであれば特に限定されるものではないが、5μm以下であることが好ましく、なかでも、1μm以下であることが好ましく、特に0.5μm以下であることが好ましい。上記表面粗さが上述の範囲であることにより、上記金属電極層と上記透明電極層とが短絡を生じることをより安定的に防ぐことができるからである。また、上記表面算術平均粗さRaの下限としては、通常、現実的に制御可能な範囲として0.001μm以上である。
なお、上記表面算術平均粗さRaは、JIS B 0601−1994に規定する方法により求めることができる。
2.電子取出し層
本発明に用いられる電子取出し層は、上記金属電極層のアルミニウム層上に形成された酸化亜鉛層であり、上記電子取出し層に含まれる酸素原子の含有量が上記金属電極層側から光電変換層に向かって増加傾向の濃度勾配を有するものである。
本発明において、上記電子取出し層が酸化亜鉛を含むことおよび上記の濃度分布を有することは、X線光電子分光法(XPS)により、深さ方向の元素分析を実施し、Znの酸化度を深さ方向で検出することで、深さ方向の材料傾斜構造を検出することができる。
このような電子取出し層における酸素原子の含有量としては、上記金属電極層側から光電変換層に向かって増加傾向を示すものであれば特に限定されるものではないが、上記電子取出し層の上記金属電極層側表面における含有量が実質的に0、すなわち、上記電子取出し層が上記金属電極層側表面に金属亜鉛(Zn)の層を有することが好ましい。上記光電変換層から上記金属電極層への電子の取出しが容易に行われるものとすることができるからである。また、金属電極層および電子取出し層間の密着強度が向上し、接続信頼性の高い電極構造が可能となるからである。
なお、含有量が実質的に0であり、金属亜鉛(Zn)の層であるとは、上記電子取出し層が、上記金属電極層のアルミニウム層上にジンケート処理等により亜鉛を析出させ亜鉛層を形成し、その後表面が酸化されてなるものであることをいうものである。具体的には、上記電子取出し層の上記金属電極層側表面における亜鉛および酸化亜鉛に占める亜鉛の比率が、95%以上であることをいうものであり、なかでも、98%以上であることが好ましく、特に、100%であること、すなわち、上記電子取出し層(酸化亜鉛層)が、上記金属電極層側表面に亜鉛からなる亜鉛層を含むことが好ましい。接続信頼性等により優れたものとすることができるからである。
本発明に用いられる電子取出し層は、酸素原子および亜鉛原子を含むものであるが、上記光電変換層から上記金属電極層への電子の取出しを阻害しない範囲内で他の成分を含むものであっても良い。
本発明における電子取出し層の厚みとしては、所望の電子取出し性を発揮することができるものであれば特に限定されるものではないが、0.1μm〜5μmの範囲内であることが好ましく、なかでも、0.1μm〜1μmの範囲内であることが好ましく、特に0.1μm〜0.5μmの範囲内であることが好ましい。上記膜厚が上述の範囲内であることにより、上記電子取出し層にピンホール等の少ないものとすることができるからである。
本発明に用いられる電子取出し層の平面視上の形成位置としては、上記金属電極層と光電変換層とが平面視上重なる領域を含むものであれば特に限定されるものではないが、上記金属電極層と光電変換層とが平面視上重なる全ての領域であることが好ましい。光電変換効率に優れたものとすることができるからである。
また、上記電子取出し層が形成される上記金属電極層の表面としては、少なくとも、上記金属電極層の上記光電変換層側表面を含むものであれば良く、上記金属電極層の両方の表面であっても良いが、上記金属電極層の上記光電変換層側表面のみであることが好ましい。裏面に酸化亜鉛層が形成された場合、裏面電極を介して外部電気回路への接続を行う場合、接点での電気抵抗が増大し、接続信頼性が低下するからである。
本発明に用いられる電子取出し層の形成方法としては、上記酸化亜鉛層を精度良く形成することができる方法であれば特に限定されるものではないが、上記金属電極層を構成するアルミニウム層表面にジンケート処理を行う方法を用いることが好ましい。上記電子取出し層を容易に形成することができ、また、膜厚の薄いものとすることができるからである。
ここで、アルミニウム層表面のジンケート処理の方法としては、一般的な方法を用いることができ、具体的には、亜鉛酸イオンを含むアルカリ性溶液であるジンケート浴中に金属電極層に含まれるアルミニウム層を浸し、その後、大気下で乾燥する方法を用いることができる。このような方法によれば、ジンケート浴中で、上記アルミニウム層上に亜鉛層を形成することができ、さらに、大気下で乾燥することにより、上記亜鉛層の表面が酸化され、酸素原子の含有量が上記金属電極層側から光電変換層に向かって増加傾向の濃度勾配を有する酸化亜鉛層である電子取出し層とすることができる。
なお、ジンケート浴としては、一般的なものを使用することができ、具体的には、ZnO等の亜鉛化合物およびNaOH,KOH等の水酸化アルカリを含み、pH13以上のものを用いることができる。また、ジンケート浴の温度としては、形成する電子取出し層の膜厚等に応じて適宜設定されるものであるが10℃〜60℃の温度条件とすることができる。また、浸漬時間は、膜厚等に応じて適宜設定されるものである。
また、ジンケート処理により上記電子取出し層をパターン状に形成する方法としては、上記電子取出し層を形成する領域以外をレジストにより被覆する方法を挙げることができる。
3.光電変換層
本発明に用いられる光電変換層としては、電子受容性および電子供与性の両機能を有する単一の層であってもよく(第1態様)、また電子受容性の機能を有する電子受容性層と電子供与性の機能を有する電子供与性層とが積層されたものであってもよい(第2態様)。以下、各態様について説明する。
(1)第1態様
本発明における光電変換層の第1態様は、電子受容性および電子供与性の両機能を有する単一の層であり、電子供与性材料および電子受容性材料を含有するものである。この光電変換層では、光電変換層内で形成されるpn接合を利用して電荷分離が生じるため、単独で光電変換層として機能する。
このような電子供与性材料としては、電子供与体としての機能を有するものであれば特に限定されるものではないが、湿式塗工法により成膜可能なものであることが好ましく、なかでも電子供与性の導電性高分子材料であることが好ましい。
上記導電性高分子はいわゆるπ共役高分子であり、炭素−炭素またはヘテロ原子を含む二重結合または三重結合が、単結合と交互に連なったπ共役系から成り立っており、半導体的性質を示すものである。上記導電性高分子材料は、高分子主鎖内にπ共役が発達しているため主鎖方向への電荷輸送が基本的に有利である。また、上記導電性高分子の電子伝達機構は、主にπスタッキングによる分子間のホッピング伝導であるため、高分子の主鎖方向のみならず、光電変換層の膜厚方向への電荷輸送も有利である。さらに、上記導電性高分子材料は、導電性高分子材料を溶媒に溶解もしくは分散させた塗工液を用いることで湿式塗工法により容易に成膜可能であることから、大面積の有機薄膜太陽電池を高価な設備を必要とせず低コストで製造できるという利点がある。
上記電子供与性の導電性高分子材料としては、例えば、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリシラン、ポリチオフェン、ポリカルバゾール、ポリビニルカルバゾール、ポルフィリン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリフルオレン、ポリビニルピレン、ポリビニルアントラセンおよびこれらの誘導体、ならびにこれらの共重合体、あるいは、フタロシアニン含有ポリマー、カルバゾール含有ポリマー、有機金属ポリマー等を挙げることができる。
上記のなかでも、チオフェン−フルオレン共重合体、ポリアルキルチオフェン、フェニレンエチニレン−フェニレンビニレン共重合体、フェニレンエチニレン−チオフェン共重合体、フェニレンエチニレン−フルオレン共重合体、フルオレン−フェニレンビニレン共重合体、チオフェン−フェニレンビニレン共重合体等が好ましく用いられる。これらは、多くの電子受容性材料に対して、エネルギー準位差が適当であるからである。
なお、例えばフェニレンエチニレン−フェニレンビニレン共重合体(Poly[1,4-phenyleneethynylene-1,4-(2,5-dioctadodecyloxyphenylene)-1,4-phenyleneethene-1,2-diyl-1,4-(2,5-dioctadodecyloxyphenylene)ethene-1,2-diyl])の合成方法については、Macromolecules, 35, 3825 (2002) や、Mcromol. Chem. Phys., 202, 2712 (2001) に詳しい。
また、ポリアルキルチオフェンとしては、P3HT(ポリ3−ヘキシルチオフェン−2,5−ジイル)等を挙げることができる。
また、上記電子受容性材料としては、電子受容体としての機能を有するものであれば特に限定されるものではないが、湿式塗工法により成膜可能なものであることが好ましく、なかでも電子受容性の導電性高分子材料であることが好ましい。上記導電性高分子材料は、上述したような利点を有するからである。
本態様に用いられる電子受容性の導電性高分子材料としては、例えば、ポリフェニレンビニレン、ポリフルオレン、およびこれらの誘導体、ならびにこれらの共重合体、あるいは、カーボンナノチューブ、フラーレン誘導体、CN基またはCF基含有ポリマーおよびそれらの−CF置換ポリマー等を挙げることができる。ポリフェニレンビニレン誘導体の具体例としては、CN−PPV(Poly[2-Methoxy-5-(2´-ethylhexyloxy)-1,4-(1-cyanovinylene)phenylene])、MEH−CN−PPV(Poly[2-Methoxy-5-(2´-ethylhexyloxy)-1,4-(1-cyanovinylene)phenylene])等が挙げられる。
また、フラーレン誘導体としては、PCBM(フェニルC61酪酸メチルエステル)等を挙げることができる。
また、電子供与性化合物がドープされた電子受容性材料や、電子受容性化合物がドープされた電子供与性材料等を用いることもできる。なかでも、上記電子供与性化合物もしくは電子受容性化合物がドープされた導電性高分子材料が好ましく用いられる。上記導電性高分子材料は、高分子主鎖内にπ共役が発達しているため主鎖方向への電荷輸送が基本的に有利であり、また、電子供与性化合物や電子受容性化合物をドープすることによりπ共役主鎖中に電荷が発生し、電気伝導度を大きく増大させることが可能であるからである。
本態様に用いられる電子供与性化合物がドープされる電子受容性の導電性高分子材料としては、上述した電子受容性の導電性高分子材料を挙げることができる。ドープされる電子供与性化合物としては、例えばLi、K、Ca、Cs等のアルカリ金属やアルカリ土類金属のようなルイス塩基を用いることができる。なお、ルイス塩基は電子供与体として作用する。
また、電子受容性化合物がドープされる電子供与性の導電性高分子材料としては、上述した電子供与性の導電性高分子材料を挙げることができる。ドープされる電子受容性化合物としては、例えばFeCl(III)、AlCl、AlBr、AsFやハロゲン化合物のようなルイス酸を用いることができる。なお、ルイス酸は電子受容体として作用する。
本態様における光電変換層の膜厚としては、一般的にバルクヘテロ接合型有機薄膜太陽電池において採用されている膜厚を採用することができる。具体的には、0.2nm〜3000nmの範囲内で設定することができ、好ましくは1nm〜600nmの範囲内である。上記膜厚が上記範囲より厚いと、上記光電変換層における体積抵抗が高くなる場合があるからである。一方、上記膜厚が上記範囲より薄いと、光を十分に吸収できない場合があるからである。
本態様における電子供与性材料および電子受容性材料の混合比は、使用する材料の種類により最適な混合比に適宜調整される。
本態様における光電変換層を形成する方法としては、所定の膜厚に均一に形成することができる方法であれば特に限定されるものではないが、湿式塗工法が好ましく用いられる。湿式塗工法であれば、大気中で光電変換層を形成することができ、コストの削減が図れるとともに、大面積化が容易だからである。
本態様における光電変換層用塗工液の塗布方法としては、光電変換層用塗工液を均一に塗布することができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、ダイコート法、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法、ビードコート法、スプレーコート法、バーコート法、グラビアコート法、インクジェット法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法等を挙げることができる。
なかでも、上記光電変換層用塗工液の塗布方法は、主に塗布量に応じて厚みを調整することが可能な方法であることが好ましい。主に塗布量に応じて厚みを調整することが可能な方法としては、例えば、ダイコート法、ビードコート法、バーコート法、グラビアコート法、インクジェット法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法などの印刷法を挙げることができる。印刷法は有機薄膜太陽電池の大面積化に好適である。
光電変換層用塗工液の塗布後は、形成された塗膜を乾燥する乾燥処理を施してもよい。
光電変換層用塗工液に含まれる溶媒等を早期に除去することにより、生産性を向上させることができるからである。
上記乾燥処理の方法として、例えば、加熱乾燥、送風乾燥、真空乾燥、赤外線加熱乾燥等、一般的な方法を用いることができる。
(2)第2態様
本発明における光電変換層の第2態様は、電子受容性の機能を有する電子受容性層と電子供与性の機能を有する電子供与性層とが積層されたものである。以下、電子受容性層および電子供与性層について説明する。
(電子受容性層)
本態様に用いられる電子受容性層は、電子受容性の機能を有するものであり、電子受容性材料を含有するものである。
このような電子受容性材料としては、電子受容体としての機能を有するものであれば特に限定されるものではないが、湿式塗工法により成膜可能なものであることが好ましく、なかでも電子受容性の導電性高分子材料であることが好ましい。上記導電性高分子材料は、上述したような利点を有するからである。具体的には、上記第1態様の光電変換層に用いられる電子受容性の導電性高分子材料と同様のものを挙げることができる。
本態様における電子受容性層の膜厚としては、一般的にバイレイヤー型有機薄膜太陽電池において採用されている膜厚を採用することができる。具体的には、0.1nm〜1500nmの範囲内で設定することができ、好ましくは1nm〜300nmの範囲内である。上記膜厚が上記範囲より厚いと、上記電子受容性層における体積抵抗が高くなる可能性があるからである。一方、膜厚が上記範囲より薄いと、光を十分に吸収できない場合があるからである。
本態様における電子受容性層の形成方法としては、上記第1態様の光電変換層の形成方法と同様とすることができる。
(電子供与性層)
本態様に用いられる電子供与性層は、電子供与性の機能を有するものであり、電子供与性材料を含有するものである。
本態様における電子供与性材料としては、電子供与体としての機能を有するものであれば特に限定されるものではないが、湿式塗工法により成膜可能なものであることが好ましく、なかでも電子供与性の導電性高分子材料であることが好ましい。上記導電性高分子材料は、上述したような利点を有するからである。具体的には、上記第1態様の光電変換層に用いられる電子供与性の導電性高分子材料と同様のものを挙げることができる。
本態様における電子供与性層の膜厚としては、一般的にバイレイヤー型有機薄膜太陽電池において採用されている膜厚を採用することができる。具体的には、0.1nm〜1500nmの範囲内で設定することができ、好ましくは1nm〜300nmの範囲内である。上記膜厚が上記範囲より厚いと、上記電子供与性層における体積抵抗が高くなる可能性があるからである。一方、膜厚が上記範囲より薄いと、光を十分に吸収できない場合があるからである。
本態様における電子供与性層の形成方法としては、上記第1態様の光電変換層の形成方法と同様とすることができる。
4.透明電極層
本発明における透明電極層は、透明基板上に形成され、上記金属電極層と対向する電極である。透明電極層は、通常、光電変換層で発生した正孔を取り出すための電極(正孔取出し電極)とされる。本発明においては、透明電極層側が受光面となる。
本発明における透明電極層は、受光面側の電極となるものであれば特に限定されるものではなく、透明電極であってもよく、また透明電極とパターン状の補助電極とが積層されたものであってもよい。
図2に例示するように透明電極層5がパターン状の補助電極5aと透明電極5bとが積層されたものである場合には、透明電極のシート抵抗が比較的高い場合であっても、補助電極のシート抵抗を十分に低くすることで、上記透明電極層全体としての抵抗を低減することができる。したがって、発生した電力を効率良く集電することができる。
以下、透明電極および補助電極について説明する。
(1)透明電極
本発明に用いられる透明電極は、透明基板上に形成されるものである。
このような透明電極の構成材料としては、導電性および透明性を有するものであれば特に限定されなく、In−Zn−O(IZO)、In−Sn−O(ITO)、ZnO−Al、Zn−Sn−O、高導電性PEDOT/PSS(例えば、AGFA社製Orgacon−S303)、ITOナノインクやZnOナノインク等を挙げることができる。
本発明においては、なかでも、上記金属電極層の構成材料の仕事関数等を考慮して適宜選択することが好ましい。例えば金属電極層の構成材料を仕事関数の低い材料とした場合には、透明電極の構成材料は仕事関数の高い材料であることが好ましい。
また、本発明においては、上記構成材料として塗布法により上記透明電極を形成可能なものであることが好ましい。形成が容易なものとすることができるからである。
このような構成材料としては、具体的には上記高導電性PEDOT/PSS(例えば、AGFA社製Orgacon−S303)、ITOナノインク、ZnOナノインクを好ましく用いることができ、なかでも上記高導電性PEDOT/PSS(例えば、AGFA社製Orgacon−S303)を好ましく用いることができる。このような材料は塗工液とすることが容易であり、本発明における透明電極を塗布法等のウェットプロセスで容易に形成することができるからである。このため、一般的なITO電極等で必要となるような蒸着プロセスを不要なものとすることができるからである。
また、上記ITOナノインクやZnOナノインクを用いて形成する場合には、やや高抵抗となる傾向があるため、後述するような補助電極と共に用いられることが好ましい。
本発明における透明電極の全光線透過率は、85%以上であることが好ましく、なかでも90%以上、特に92%以上であることが好ましい。透明電極の全光線透過率が上記範囲であることにより、透明電極にて光を十分に透過することができ、光電変換層にて光を効率的に吸収することができるからである。
なお、上記全光線透過率は、可視光領域において、スガ試験機株式会社製 SMカラーコンピュータ(型番:SM−C)を用いて測定した値である。
本発明における透明電極のシート抵抗は、20Ω/□以下であることが好ましく、なかでも10Ω/□以下、特に5Ω/□以下であることが好ましい。シート抵抗が上記範囲より大きいと、発生した電荷を十分に外部回路へ伝達できない可能性があるからである。
なお、上記シート抵抗は、三菱化学株式会社製 表面抵抗計(ロレスタMCP:四端子プローブ)を用い、JIS R1637(ファインセラミックス薄膜の抵抗率試験方法:4探針法による測定方法)に基づき、測定した値である。
本発明における透明電極は、単層であってもよく、また異なる仕事関数の材料を用いて積層されたものであってもよい。
この透明電極の膜厚としては、単層である場合はその膜厚が、複数層からなる場合は総膜厚が、0.1nm〜500nmの範囲内であることが好ましく、なかでも1nm〜300nmの範囲内であることが好ましい。膜厚が上記範囲より薄いと、透明電極のシート抵抗が大きくなりすぎ、発生した電荷を十分に外部回路へ伝達できない可能性があり、一方、膜厚が上記範囲より厚いと、全光線透過率が低下し、光電変換効率を低下させる可能性があるからである。
本発明における透明電極の形成方法としては、一般的な電極の形成方法を用いることができる。具体的には、蒸着プロセスや、上記構成材料を含む透明電極用塗工液を塗布する方法等を用いることができる。
なお、塗布方法としては、上記「3.光電変換層」の項に記載の内容と同様の方法を用いることができる。
(2)補助電極
本発明に用いられる補助電極は、上記透明基板上にパターン状に形成されるものである。上記補助電極は、通常、透明電極よりも抵抗値が低い。
このような補助電極の形成材料としては、通常、金属が用いられる。上記補助電極に用いられる金属としては、例えば、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、銅(Cu)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、ステンレス系金属、アルミニウム合金、銅合金、チタン合金、鉄−ニッケル合金およびニッケル−クロム合金(Ni−Cr)等の導電性金属を挙げることができる。上述の導電性金属のなかでも、電気抵抗値が比較的低いものが好ましい。このような導電性金属としては、Al、Au、Ag、Cu等が挙げられる。
また、上記補助電極は、上述のような導電性金属からなる単層であってもよく、また上記透明基板や透明電極との密着性向上のために、導電性金属層とコンタクト層とを適宜積層したものであってもよい。コンタクト層の形成材料としては、例えば、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、ニッケルクロム(Ni−Cr)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)等が挙げられる。上記コンタクト層は所望の補助電極と基板や透明電極との密着性を得るために導電性金属層に積層されるものであり、上記導電性金属層の片側にのみ積層してもよく、導電性金属層の両側に積層してもよい。
また、上記金属電極層の形成材料の仕事関数等に応じて、好ましい金属を選択してもよい。例えば、上記金属電極層の形成材料の仕事関数等を考慮する場合には、上記透明電極層は正孔取出し電極であるので、上記補助電極に用いられる金属は仕事関数の高いものであることが好ましい。具体的には、Alが好ましく用いられる。
本発明における補助電極の形状としては、パターン状であれば特に限定されるものではなく、所望の導電性、透過性、強度等により適宜選択される。例えば、上記補助電極は、メッシュ状のメッシュ部と、このメッシュ部の周囲に配置されたフレーム部とを有するものであってもよく、メッシュ状のメッシュ部からなるものであってもよい。
上記補助電極がメッシュ部とフレーム部とを有する場合、上記メッシュ部およびフレーム部の配置としては、例えば上記補助電極が矩形である場合、上記フレーム部が、上記メッシュ部の四方を囲むように配置されていてもよく、上記メッシュ部の三方を囲むように配置されていてもよく、上記メッシュ部の二方を囲むように配置されていてもよく、上記メッシュ部の一方に配置されていてもよい。なかでも、上記フレーム部は、上記メッシュ部の四方または三方を囲むように配置されていることが好ましい。効率良く集電することができるからである。
本発明におけるメッシュ部の形状としては、メッシュ状であれば特に限定されるものではなく、所望の導電性、透過性、強度等により適宜選択される。例えば、三角形、四角形、六角形等の多角形や円形の格子状等が挙げられる。なお、多角形や円形の「格子状」とは、多角形や円形が周期的に配列されている形状をいう。多角形や円形の格子状としては、例えば多角形の開口部がストレートに配列されていてもよく、ジグザグに配列されていてもよい。
なかでも、上記メッシュ部の形状は、六角形の格子状または平行四辺形の格子状であることが好ましい。上記メッシュ部を流れる電流が局所的に集中するのを防止することができるからである。六角形の格子状の場合、特に、六角形の開口部がジグザグに(いわゆるハニカム状に)配列されていることが好ましい。一方、平行四辺形の格子状の場合、平行四辺形の鋭角が40°〜80°の範囲内であることが好ましく、より好ましくは50°〜70°の範囲内、さらに好ましくは55°〜65°の範囲内である。
上記補助電極自体は基本的に光を透過しないので、上記補助電極のメッシュ部の開口部から光電変換層に光が入射する。そのため、上記補助電極のメッシュ部の開口部は比較的大きいことが好ましい。具体的には、上記補助電極のメッシュ部の開口部の比率は、50%〜98%程度であることが好ましく、より好ましくは70%〜98%の範囲内、さらに好ましくは80%〜98%の範囲内である。
上記補助電極のメッシュ部の開口部のピッチおよびメッシュ部の線幅は、上記補助電極全体の面積等に応じて適宜選択される。
また、フレーム部の線幅は、上記補助電極全体の面積等に応じて適宜選択される。
上記補助電極の厚みは、上記透明電極層と上記金属電極層との間で短絡が生じない厚みであれば限定されるものではなく、上記光電変換層、正孔取出し層、電子取出し層等の厚みに応じて適宜選択される。具体的には、上記透明電極層と上記金属電極層との間に形成される層(光電変換層、正孔取出し層、電子取出し層)の総膜厚を1とすると、上記補助電極の厚みは、5以下であることが好ましく、なかでも3以下、さらには2以下、特に1.5以下であることが好ましく、1以下であることが最も好ましい。上記補助電極の厚みが上記範囲より厚いと、電極間で短絡が生じるおそれがあるからである。より具体的には、上記補助電極の厚みは、100nm〜1000nmの範囲内であることが好ましく、なかでも200nm〜800nmの範囲内、さらには200nm〜500nmの範囲内、特に200nm〜400nmの範囲内であることが好ましい。上記補助電極の厚みが上記範囲より薄いと、上記補助電極のシート抵抗が大きくなる場合があるからである。また、上記補助電極の厚みが上記範囲より厚いと、電極間で短絡が生じるおそれがあるからである。
なかでも、上記透明電極層上に、主に塗布量に応じて厚みを調整することが可能な方法により光電変換層を形成する場合、上記補助電極の厚みは200nm〜300nmの範囲内であることが好ましい。上記透明電極層上に、主に塗布量に応じて厚みを調整することが可能な方法により上記光電変換層を形成する場合、上記補助電極の厚みが上記範囲よりも厚いと、上記補助電極のメッシュ部やフレーム部のエッジを覆うことが困難となり、電極間で短絡が生じやすくなる。また、上記補助電極の厚みが上記範囲よりも厚いと、表面張力によって所望の厚みよりも厚く上記光電変換層が形成されてしまうおそれがある。上記光電変換層の厚みが厚すぎると、電子拡散長および正孔拡散長を超えてしまい変換効率が低下する。表面張力によって所望の厚みよりも厚く上記光電変換層が形成されないように、上記補助電極の厚みを調整することが好ましい。特に、上記光電変換層内を正孔および電子が移動できる距離は100nm程度であることが知られていることからも、表面張力によって所望の厚みよりも厚く上記光電変換層が形成されないように、上記補助電極の厚みを調整することが好ましいのである。
一方、例えばスピンコート法により光電変換層を形成する場合、遠心力により均質な膜とするので、上記補助電極の厚みが比較的厚くても、上記補助電極のエッジを覆うことができる。また、スピンコート法の場合、回転数によって厚みを調整することができるので、上記補助電極の厚みが比較的厚くても、均質な膜を得ることができる。
よって、主に塗布量に応じて厚みを調整することが可能な方法により上記光電変換層を形成する場合には、上記範囲が特に好ましいのである。
本発明における補助電極のシート抵抗としては、上記透明電極のシート抵抗よりも低ければよい。具体的に、上記補助電極のシート抵抗は、5Ω/□以下であることが好ましく、なかでも3Ω/□以下、さらには1Ω/□以下、特に0.5Ω/□以下であることが好ましく、0.1Ω/□以下であることが最も好ましい。上記補助電極のシート抵抗が上記範囲より大きいと、所望の発電効率が得られない場合があるからである。
なお、上記シート抵抗は、三菱化学株式会社製 表面抵抗計(ロレスタMCP:四端子プローブ)を用い、JIS R1637(ファインセラミックス薄膜の抵抗率試験方法:4探針法による測定方法)に基づき、測定した値である。
本発明における透明電極および補助電極の積層順としては、上記透明基板上に上記補助電極および透明電極の順に積層されていてもよく、上記透明基板上に上記透明電極および補助電極の順に積層されていてもよい。なかでも、上記透明基板上に上記補助電極および透明電極の順に積層されていることが好ましい。上記透明電極と上記光電変換層や正孔取出し層等との接触面積が大きい方が、界面の接合性が良く、正孔の移動効率を高くすることができるからである。
本発明における補助電極の形成方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、金属薄膜を全面に成膜した後に網目状にパターニングする方法、網目状の導電体を直接形成する方法等が挙げられる。これらの方法は、上記補助電極の形成材料や構成等に応じて適宜選択される。
本発明における金属薄膜の成膜方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の真空成膜法であることが好ましい。すなわち、上記補助電極は真空成膜法にて形成された金属薄膜であることが好ましい。真空成膜法により成膜した金属種は、めっき膜に比べ介在物が少なく比抵抗を小さくでき、またAgペースト等を用いて成膜したものと比較しても比抵抗を小さくできる。また、厚み1μm以下、好ましくは500nm以下の金属薄膜を、膜厚を精密に制御し、均一な厚みに成膜する方法としても、真空成膜法が好適である。
上記金属薄膜のパターニング方法としては、所望のパターンに精度良く形成することができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えばフォトエッチング法等を挙げることができる。
5.有機薄膜太陽電池
本発明の有機薄膜太陽電池は、上記金属電極層、電子取出し層、光電変換層および透明電極層を少なくとも有するものであるが、通常、上透明電極層が形成される透明基板や、上記透明電極層および光電変換層の間に形成される正孔取出し層を含むものである。
また、必要に応じて後述する構成部材を有していてもよい。例えば、本発明の有機薄膜太陽電池は、保護シート、充填材層、バリア層、保護ハードコート層、強度支持層、防汚層、高光反射層、光封じ込め層、封止材層等の機能層を有していてもよい。また、層構成に応じて、各機能層間に接着層が形成されていてもよい。
なお、これらの機能層については、特開2007−73717号公報等に記載のものと同様とすることができる。
(1)透明基板
本発明に用いられる透明基板としては、特に限定されるものではなく、例えば石英ガラス、パイレックス(登録商標)、合成石英板等の可撓性のない透明なリジット材、あるいは透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材を挙げることができる。
なかでも、上記透明基板が透明樹脂フィルム等のフレキシブル材であることが好ましい。透明樹脂フィルムは、加工性に優れており、例えばRtoRプロセス等の採用による製造コスト低減や軽量化、割れにくい有機薄膜太陽電池の実現において有用であり、曲面への適用等、種々のアプリケーションへの適用可能性が広がるからである。
(2)正孔取出し層
本発明においては、既に説明した図1に示すように、上記光電変換層3と透明電極層5との間に正孔取出し層4が形成されていてもよい。上記正孔取出し層は、上記光電変換層から上記正孔取出し電極(透明電極層)への正孔の取出しが容易に行われるように設けられる層である。これにより、上記光電変換層から正孔取出し電極への正孔取出し効率が高められるため、光電変換効率を向上させることが可能となる。
本発明における正孔取出し層に用いられる材料としては、上記光電変換層から上記正孔取出し電極への正孔の取出しを安定化させる材料であれば特に限定されるものではない。具体的には、ドープされたポリアニリン、ポリフェニレンビニレン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリパラフェニレン、ポリアセチレン、トリフェニルジアミン(TPD)等の導電性有機化合物、またはテトラチオフルバレン、テトラメチルフェニレンジアミン等の電子供与性化合物と、テトラシアノキノジメタン、テトラシアノエチレン等の電子受容性化合物とからなる電荷移動錯体を形成する有機材料等を挙げることができる。また、Au、In、Ag、Pd等の金属等の薄膜も使用することができる。さらに、金属等の薄膜は、単独で形成してもよく、上記の有機材料と組み合わせて用いてもよい。
これらのなかでも、水分散が可能な、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、ポリエチレンジオキシチオフェン−ポリスチレンスルホン酸(PEDOT−PSS)、ポリアニリン、ポリピロールが好ましく用いられる。
本発明においては、本発明の有機薄膜太陽電池が、上述したような陰極側基板および陽極側基板をラミネートして作製される場合には、正孔取出し層に用いられる材料がポリエチレンジオキシチオフェン−ポリスチレンスルホン酸(PEDOT−PSS)であることが好ましい。上記PEDOT−PSSは、ラミネート時の界面に用いた場合、すなわち、上記金属電極層、電子取出し層および光電変換層を含む陰極側基板と、上記透明基板、透明電極層および正孔取出し層を含む陽極側基板とをラミネートする場合に、上記光電変換層と高い密着性を発揮することができるからである。また、水分散体であるPEDOT/PSSには、密着性を向上させるための、後述するような密着性向上材料を混入することが可能だからである。
本発明における正孔取出し層は、上述の材料からなるものであるが、必要に応じて、上記光電変換層との密着性を向上することができる密着性向上材料を含むものであっても良い。上述のようなラミネート法が用いられる場合に、上記光電変換層と上記正孔取出し層との密着性を向上させることができるからである。
このような密着性向上材料としては、上記正孔取出し層の機能を阻害しないものであれば特に限定されるものではなく、糖鎖等を好ましく用いることができる。密着性に優れ、低コストなものとすることができるからである。
また、上記糖鎖としては、具体的には、D−ソルビトール等を用いることができる。
また、上記密着性向上材料の含有量としては、上記正孔取出し層の機能を阻害しないものであれば特に限定されるものではなく、上記正孔取出し層を構成する材料中に0.1質量%〜5質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも、0.5質量%〜3質量%の範囲内であることが好ましく、特に、1質量%〜2質量%の範囲内であることが好ましい。上記含有量が上述の範囲内であることにより、より密着性に優れたものとすることができるからである。
本発明における正孔取出し層の膜厚としては、上記有機材料を用いた場合は、10nm〜200nmの範囲内であることが好ましく、上記金属薄膜である場合は、0.1nm〜5nmの範囲内であることが好ましい。
本発明における正孔取出し層の形成方法としては、上記正孔取出し層を精度良く形成することができる方法であれば特に限定されるものではない。具体的には、上記材料を含む正孔取出し層用塗工液を塗工し、乾燥した後、焼成する方法を用いることができる。
B.有機薄膜太陽電池の製造方法
次に、有機薄膜太陽電池の製造方法について説明する。
本発明の有機薄膜太陽電池の製造方法は、表面にアルミニウム層を有する金属電極層と、上記金属電極層のアルミニウム層上に形成された酸化亜鉛層である電子取出し層と、上記電子取出し層上に形成された光電変換層と、上記光電変換層上に形成された透明電極層と、を有する有機薄膜太陽電池の製造方法であって、上記金属電極層をジンケート処理することにより上記金属電極層のアルミニウム層上に上記電子取出し層を形成するジンケート処理工程を有することを特徴とするものである。
このような本発明の有機薄膜太陽電池の製造方法について図を参照して説明する。図3は、本発明の有機薄膜太陽電池の製造方法の一例を示す概略工程図である。図3に例示するように、上記金属電極層1となるアルミ箔を準備し(図3(a))、ジンケート処理液に上記アルミ箔を浸しジンケート処理することにより上記金属電極層上に上記電子取出し層2を形成し(図3(b))、次いで、上記電子取出し層2上に光電変換層用塗工液を塗布し、乾燥し、光電変換層3を形成し、陰極側基板を形成する(図3(c))。次いで、ITOからなる透明電極層5が積層された透明基板6を準備し、上記透明電極層5上に、正孔取出し層用塗工液を塗布・乾燥・焼成することにより正孔取出し層4を形成し陽極側基板を形成する(図3(d))。その後、図3(e)に示すように、陰極側基板および陽極側基板を加熱圧着ラミネートして、有機薄膜太陽電池10を得る(図3(f))。
なお、図3(a)がジンケート処理工程である。
本発明によれば、上記電子取出し層は大気下で安定であり、上記電子取出し層上に大気下で他の部材の形成や、ラミネート等を行った場合であっても性能の低下等のないものとすることができる。
したがって、安定な性能を発揮するものを、例えば、ロールトゥロールプロセス等を用いて容易に得ることができる。
本発明の有機薄膜太陽電池の製造方法は、上記ジンケート処理工程を少なくとも有するものである。
以下、本発明の有機薄膜太陽電池の製造方法の各工程について説明する。
なお、本発明により得られる有機薄膜太陽電池については、上記「A.有機薄膜太陽電池」の項に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。
1.ジンケート処理工程
本発明におけるジンケート処理工程は、上記金属電極層をジンケート処理することにより上記金属電極層のアルミニウム層上に上記電子取出し層を形成する工程である。
本工程におけるジンケート処理の方法としては、上記「A.有機薄膜太陽電池」の項に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
2.有機薄膜太陽電池の製造方法
本発明の有機薄膜太陽電池の製造方法は、上記ジンケート処理工程を少なくとも含むものであるが、通常、上記金属電極層および電子取出し層と、上記光電変換層および透明電極層とを積層する積層工程を有するものである。また、必要に応じて、上記正孔取出し層を形成する正孔取出し層形成工程等、有機薄膜太陽電池の製造に一般的に用いられる工程を有するものとすることができる。
本発明における積層工程において、上記光電変換層および透明電極層を積層する方法としては、上記ジンケート処理工程により形成された電子取出し層上に、上記光電変換層および透明電極層をこの順で塗布法等のウェットプロセスにより積層する方法であっても良く、上記金属電極層および電子取出し層を有する陰極側基板と、上記透明電極層が積層された陽極側基板とを準備し、ラミネートする方法であっても良い。
なお、ラミネートする場合の上記陰極側基板と上記陽極側基板との界面としては、光電変換層‐透明電極層、光電変換層‐正孔取出し層、光電変換層‐電子取出し層等とすることができるが、なかでも本発明においては、光電変換層‐正孔取出し層であること、すなわち陰極側基板が上記金属電極層、電子取出し層および光電変換層を含み、上記陽極側基板が上記透明基板、透明電極層および正孔取出し層を含むことが好ましい。上記電子取出し層および正孔取出し層を含むことで光電変換効率に優れたものとすることができるからである。また、密着性に優れたものとすることができるからである。
また、上記光電変換層、正孔取出し層、透明電極層等の形成方法としては、上記「A.有機薄膜太陽電池」の項に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、本発明について実施例および比較例を用いて具体的に説明する。
[実施例1]
金属電極層であるアルミ箔として5052材を使用した。アルカリ系脱脂剤でアルミ基材表面を洗浄した後、70℃の2%水酸化ナトリウム溶液にアルミ基材を3分間浸漬させて不動態被膜を除去した。その後ジンケート処理前の活性化剤(50%硝酸 25℃)に1分間浸漬してから、下記組成のジンケート浴にアルミ基材を1分間浸漬させた。さらに活性化剤に5秒間浸漬しジンケート被膜を除去してから再度ジンケート浴に30秒間浸漬(密着性を上げるためのダブルジンケート処理)させた。
(ジンケート浴)
・キザイ株式会社製 スーパージンケートプロセスSZII
・液組成
水酸化ナトリウム 12%
酸化亜鉛 2%
硫酸ニッケル 0.02%
・温度 25℃
ジンケート処理後の酸化亜鉛層の表面粗さ(Ra)は0.8μmであった(処理前は0.2μm)。表面粗さは菱化システム株式会社製のVertScan2.0で測定した。
酸化亜鉛層を形成後、光電変換層としてP3HT(ポリ3−ヘキシルチオフェン−2,5−ジイル)の層およびPCBM(フェニルC61酪酸メチルエステル)を含む組成物(P3HT/PCBM)を大気下でダイコート塗布し、減圧乾燥後、N下150℃/15minの焼成を実施しP3HTとPCBMとが混合してなるバルクヘテロ構造を有する層を形成し、陰極側基板を作製した。
次いで、PEN(ポリエチレンナフタレート)基板を脱脂・洗浄後にスパッタ成膜により補助電極用金属層Cr/Cuを形成した。その後、フォトエッチングプロセスを使用し、メッシュ形状の金属補助電極をPEN基板上に形成した。
その後、透明電極としてITOを成膜した。ITO上にOrgacon−S303(AGFA社製)を大気下でダイコート塗布し、大気下で150℃/15minの焼成を実施し、陽極側基板を作製した。
上記のように作製した、陰極側基板と陽極側基板を、光電変換層と正孔取り出し層が対向するように設置し、ロールラミネーターにより熱プレスを実施し、接続し太陽電池素子を得た。
ロールラミネート条件としては、150℃に加熱し、4kgf/cmの加重により貼り合わせを行った。
作製後の素子の性能評価を実施し、1SUN照射下にて変換効率2%を確認した。
また、X線光電子分光法(XPS)により、深さ方向の元素分析を実施し、Znの酸化度を深さ方向で検出して、作製した電子取出し層に含まれる酸素の含有量が金属電極層側から光電変換層に向かって増加傾向の濃度勾配を有するものであったことを確認した。
1 … 金属電極層
2 … 電子取出し層
3 … 光電変換層
4 … 正孔取出し層
5 … 透明電極層
5a … 補助電極
5b … 透明電極
6 … 透明基板
10 … 有機薄膜太陽電池

Claims (4)

  1. 表面にアルミニウム層を有する金属電極層と、
    前記金属電極層のアルミニウム層上に形成された酸化亜鉛層である電子取出し層と、
    前記電子取出し層上に形成された光電変換層と、
    前記光電変換層上に形成された透明電極層と、
    を有し、
    前記電子取出し層に含まれる酸素原子の含有量が前記金属電極層側から光電変換層に向かって増加傾向の濃度勾配を有するものであることを特徴とする有機薄膜太陽電池。
  2. 前記電子取出し層が、前記金属電極層側表面に亜鉛層を含むことを特徴とする請求項1に記載の有機薄膜太陽電池。
  3. 前記金属電極層の前記電子取出し層が形成される表面の表面算術平均粗さRaが、5μm以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の有機薄膜太陽電池。
  4. 表面にアルミニウム層を有する金属電極層と、
    前記金属電極層のアルミニウム層上に形成された酸化亜鉛層である電子取出し層と、
    前記電子取出し層上に形成された光電変換層と、
    前記光電変換層上に形成された透明電極層と、
    を有する有機薄膜太陽電池の製造方法であって、
    前記金属電極層をジンケート処理することにより前記金属電極層のアルミニウム層上に前記電子取出し層を形成するジンケート処理工程を有することを特徴とする有機薄膜太陽電池の製造方法。
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