JP2012209400A - 有機薄膜太陽電池、及び有機薄膜太陽電池モジュール - Google Patents

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Abstract

【課題】電池特性、及び長期耐久性に優れる有機薄膜太陽電池、及び有機薄膜太陽電池モジュールを提供すること。
【解決手段】電子供与性材料と電子受容性材料とを含む光電変換層と、光電変換層の一方の面に形成された対向電極層と、光電変換層の他方の面に形成された透明電極と、を有する有機薄膜太陽電池において、透明電極は、全光線透過率が80%以上であり、表面抵抗率が、300Ω/sq以下であり、仕事関数が対向電極層の仕事関数よりも小さく、かつ、単一の層である。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機薄膜太陽電池、及び有機薄膜太陽電池モジュールに関し、特には、電池特性、及び長期耐久性に優れる有機薄膜太陽電池、及び有機薄膜太陽電池モジュールに関する。
従来より、2つの異種電極間に、電子供与体及び電子受容体としての機能を有する有機薄膜を配置してなる有機薄膜太陽電池が知られている。この有機薄膜太陽電池は、シリコンなどに代表される無機太陽電池に比べて製造工程が容易であり、且つ、低コストで大面積化が可能であるとの利点を有する。また、有機薄膜太陽電池は、地球温暖化の原因である石油に依存することなくエネルギーの供給が可能であり、CO2削減に大いに寄与することができる。
図2に、従来の有機薄膜太陽電池を示す。図2に示す有機薄膜太陽電池300は、受光面側から、透明基材301、透明電極302、正孔取出し効果を向上させるための正孔取出層303、電子供与体および電子受容体として機能する光電変換層304、電子取出し効果を向上させるための電子取出層305、裏面電極306がこの順で積層され、裏面電極側から透明電極側へ電子が移動する構成をとっている。このような有機薄膜太陽電池は一般的に、順型有機薄膜太陽電池といわれている。
ところで、その詳細なメカニズムは明らかにはされていないものの、近時、図3に示すように、受光面側から、透明基材401、透明電極402、電子取出層403、光電変換層404、正孔取出層405、裏面電極406をこの順で積層し、透明電極側から裏面電極側へ電子が移動する構成、すなわち逆型有機薄膜太陽電池とすることで、電池の長期耐久性を飛躍的に向上させることができることが知られている。このような状況において、近時、逆型有機薄膜太陽電池に注目がされており、順型有機薄膜太陽電池と並行して開発が進められている。例えば、特許文献1には、透明電極層上に、酸化物半導体層、有機半導体層、導電性ポリマー層、及び集電極層をこの順で形成してなる逆型有機薄膜太陽電池が提案されている。
特開2009−146981号公報
しかしながら、広く研究がなされ、その技術が確立しつつある順型有機薄膜太陽電池と比較して、逆型有機薄膜太陽電池に対しては未だ様々な改良の余地があり、例えば、順型有機薄膜太陽電池における正孔取出層、及び電子取出層を、そのまま逆型有機薄膜太陽電池に転用した場合に電池特性が順型有機薄膜太陽電池よりも低下する問題がある。また、逆型有機薄膜太陽電池における製造コストを低減させるためには、更なる改良が求められている。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、順型有機薄膜太陽電池と同等の電池特性を有するとともに、製造コストの安い有機薄膜太陽電池、及びこれを用いたモジュールを提供することを主たる課題とする。
上記課題を解決するための発明は、電子供与性材料と電子受容性材料とを含む光電変換層と、前記光電変換層の一方の面に形成された対向電極層と、前記光電変換層の他方の面に形成された透明電極と、を有する有機薄膜太陽電池であって、前記透明電極は、全光線透過率が80%以上であり、表面抵抗率が300Ω/sq以下であり、仕事関数が前記対向電極層の仕事関数よりも小さく、かつ、単一の層であることを特徴とする。
また、前記透明電極の仕事関数と前記対向電極層の仕事関数との差が0.6eV以上であってもよく、前記透明電極の仕事関数が、前記電子受容性材料のLUMO準位より0.3eV大きい値以下であってもよい。
また、前記透明電極の少なくとも一方の面には補助電極が形成されており、前記補助電極と前記透明電極の仕事関数の差が1.0eV以下であってもよい。
また、上記課題を解決するための本発明は、有機薄膜太陽電池が複数個直列又は並列に接続されてなる有機薄膜太陽電池モジュールであって、前記有機薄膜太陽電池が、上記の特徴を有する有機薄膜太陽電池であることを特徴とする。
本発明によれば、電池特性、長期耐久性に優れ、且つ低コストの有機薄膜太陽電池及び有機薄膜太陽電池モジュールを提供することができる。
本発明の有機薄膜太陽電池の一例を示す概略断面図である。 従来の順型有機薄膜太陽電池の一例を示す概略断面図である。 従来の逆型有機薄膜太陽電池の一例を示す概略断面図である。
以下、本発明の有機薄膜太陽電池、有機薄膜太陽電池モジュール、有機薄膜太陽電池の製造方法について、それぞれ図面を用いて具体的に説明する。
(有機薄膜太陽電池)
以下、図面を用いて有機薄膜太陽電池について具体的に説明する。
図1は、本発明の有機薄膜太陽電池の一例を示す概略断面図である。
図1に示すように、本発明の有機薄膜太陽電池10は、電子供与性材料と電子受容性材料とを含む光電変換層4と、前記光電変換層の一方の面に形成された対向電極層6と、前記光電変換層の他方の面に形成された透明電極3とを必須の構成として有する。そして、本発明の有機薄膜太陽電池10は、透明電極3が、全光線透過率が80%以上であり、表面抵抗率が300Ω/sq以下であり、仕事関数が対向電極層6の仕事関数よりも小さく、かつ、単一の層であることを特徴とする。以下、本発明の有機薄膜太陽電池10の各構成について更に具体的に説明する。
(透明電極)
透明電極3は、以下の(1)〜(4)の全ての条件を満たす電極である。
条件(1)仕事関数が対向電極層6の仕事関数よりも低いこと。
条件(2)単一の層であること。
条件(3)全光線透過率が80%以上であること。
条件(4)表面抵抗率が300Ω/sq以下であること。
透明電極3は、上記条件(1)〜(4)の全てを満たせば他の条件についていかなる限定もされることはない。なお、本発明は、透明電極3側からの受光を想定した有機薄膜太陽電池であるが、透明電極と、対向電極層の両側から受光する有機薄膜太陽電池であってもよい。
透明電極3は、仕事関数が対向電極層6の仕事関数よりも低いことから、本発明においては、透明電極3が光電変換層4から電子を取出し、透明電極3側から対向電極層6側へ電子が移動する。すなわち、本発明の有機薄膜太陽電池10は、逆型有機薄膜太陽電池の構成をとる。なお、対向電極層側の仕事関数が、透明電極の仕事関数よりも低く、対向電極層側から透明電極側へ電子が移動する有機薄膜太陽電池、すなわち、本発明の有機薄膜太陽電池とは電子の移動方向が異なる有機薄膜太陽電池を順型有機薄膜太陽電池という。
ここで、逆型有機薄膜太陽電池は、順型有機薄膜太陽電池と比較して、長期耐久性に優れる特徴を有することから、本発明の有機薄膜太陽電池も長期耐久性に優れる。逆型有機薄膜太陽電池が長期耐久性に優れる具体的なメカニズムは現在のところ明らかではないが、透明電極3をアノードとして用いるか、カソードとして用いるかによって電極自体の劣化の速度が異なることによるとの考えもある。いずれにせよ、逆型有機薄膜太陽電池が、順型有機薄膜太陽電池よりも長期耐久性に優れることは明らかである。
また、本発明は、透明電極3が単一の層からなる。したがって、本発明によれば、透明電極3上に、電子の取出しを容易にするめの別途の層を設けることなく、光電変換層4から電子を容易に取出すことが可能となる。また、単一の層とすることで製造コストを低減することができる。なお、本発明では、透明電極3を単一の層とするために、上記条件(3)、(4)が必須の条件として規定されている。つまり、本発明における透明電極3は、従来の逆型有機薄膜太陽電池における透明電極と電子取出層の2つの役割を同時に満たすものであると言える。
透明電極3の全光線透過率は、80%以上との条件を満たす範囲内で適宜設定することができるが、90%以上、より好ましくは92%以上である。透明電極3の全光線透過率を上記範囲とすることで、透明電極3にて光を十分に透過することができ、光電変換層4にて光を効率的に吸収することができ、光電変換効率が向上するからである。なお、本願明細書中における全光線透過率は、可視光領域において、スガ試験機株式会社製SMカラーコンピュータ(型番:SM−C)を用いて測定した値である。
透明電極3の表面抵抗率は、300Ω/sq以下との条件を満たす範囲内で適宜設定することができるが、100Ω/sq以下、より好ましくは50Ω/sq以下である。表面抵抗率が300Ω/sqより大きい場合には、発生した電荷を十分に外部回路へ伝達できないからである。なお、表面抵抗率は、三菱化学株式会社製表面抵抗計(ロレスタMCP:四端子プローブ)を用い、JIS R1637(ファインセラミックス薄膜の抵抗率試験方法:4探針法による測定方法)に基づき、測定した値である。
透明電極3の仕事関数は、対向電極層6の仕事関数よりも低いとの条件を満たせばよく、仕事関数について特に限定はないが、透明電極3の仕事関数と対向電極層6の仕事関数との差は0.6eV以上であることが好ましい。これは、そもそも有機薄膜太陽電池にあっては、透明電極の仕事関数と対向電極層の仕事関数との差以上の電圧値を取出すことができず、したがって、0.6eV未満では、有機薄膜太陽電池に要求される電圧値を満たすことができないおそれが生じうるためである。
なお、仕事関数は、物質表面において表面から1個の電子を無限遠まで取り出すのに必要な最小エネルギーのことである。仕事関数の測定は、実験的には、ケルビン法(振動容量法)、熱電子放出法や光電子放出法などで測定することできる。特に、本発明においては、大気中で仕事関数やイオン化ポテンシャルを測定できる光電子分光装置(AC−3 理研計器社製)を用いることで簡便に測定することができる。
また、透明電極3は、光電変換層4に含まれる電子受容性材料のLUMO準位より0.3eV大きい値以下であることが好ましい。この範囲とすることで、光電変換層4中に生じた電子をスムーズに透明電極3へ取り出すことができるからである。
上記で説明したように、透明電極3は、上記条件(1)〜(4)の全てを満たすものであればよく、この条件を満たすあらゆる材料を使用することができ、その材料について特に限定はない。例えば、このような材料としては、金属酸化物に13族の金属であるアルミニウム、ガリウム、インジウム等をドープしたもの等を挙げることができる。金属酸化物としては、酸化亜鉛や、酸化スズ等を挙げることができる。
透明電極3の膜厚について特に限定はないが、0.1nm〜500nmの範囲内であることが好ましく、10nm〜300nmの範囲内であることが更に好ましい。膜厚が上記範囲より薄いと、透明電極3の表面抵抗率を上記条件(4)の範囲内とすることが困難となり、また、膜厚が上記範囲より厚いと、全光線透過率を上記条件(3)の範囲内とすることが困難となるからである。
また、透明電極3が支持体としての機能を有する場合には、透明電極3の光電変換層4を設ける面とは反対面に、支持体を設ける必要はないが、透明電極3のみでは支持体としての機能が不充分である場合には、図1に示すように、透明電極3の光電変換層4を設ける面とは反対面に、透明基板7を設けることとしてもよい。なお、透明基板7は、本発明の有機薄膜太陽電池10における任意の構成である。
透明電極3の形成方法について特に限定はなく、従来公知の方法を適宜選択して作成することができる。例えば、金属酸化物に13族の金属がドープされた透明電極3の形成方法としては、13族の金属がドープされた導電性ターゲットを使用した物理蒸着(PVD)、イオン化金属プラズマ(IMP)PVD等に代表されるスパッタリングプロセス、主材料とドーピング材料の反応ガスを混合する化学蒸気堆積法(CVD)などを挙げることができる。
(透明基板)
透明基板7は、透明電極3が支持体としての機能を有しない場合に、透明電極3を支持するものである。透明基板7としては特に限定されるものではなく、例えば石英ガラス、パイレックス(登録商標)、合成石英板等の可撓性のない透明なリジット材、あるいは透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材を挙げることができる。中でも、透明基板7が、透明樹脂フィルム等のフレキシブル材であることが好ましい。透明樹脂フィルムは、加工性に優れており、製造コスト低減や軽量化、割れにくい有機薄膜太陽電池の実現において有用であり、曲面への適用等、種々のアプリケーションへの適用可能性が広がるからである。なお、透明電極3は、図示するように透明基板7上に全面に形成されていてもよく、パターン状に形成されていてもよい(図示せず)。
フレキシブル材を使用する揚合は、透明基板表面からの水蒸気透過の懸念があるため、透明基板表面にバリア層が形成されていることが好ましい。バリア層としては、酸化ケイ素(SiO2)、酸窒化ケイ素(SiON)、窒化ケイ素(SiN)等の無機薄膜を真空成膜法等により形成することが一般的である。なお、バリア層については、特開2007−73717号公報等に記載のものと同様とすることができる。
(補助電極)
有機薄膜太陽電池を用いて電力を発生させこれを集電する場合において、光電変換層4の外周部で発生した電力は効率よく電極に集電されるが、光電変換層4の中央部近傍で発生した電力は電極集電される前に熱消費されてしまい、電池全体としての変換効率が低下する要因となる。この熱消費による変換効率の低下は有機薄膜太陽電池が大面積になるほど顕著に表れる。
このような点を考慮すると、本発明の有機薄膜太陽電池を、たとえば、50mm×50mmの大面積とする場合には、図1に示すように、透明電極3の少なくとも一方の面に補助電極が形成されていることが好ましい。補助電極8を形成することで、熱損失よる変換効率の低下を防止することができ、有機薄膜太陽電池の大面積化を図ることができる。なお、図1に示す有機薄膜太陽電池10は、透明基板7と透明電極3との間に補助電極8が設けられているがこの態様に限定されることはない。したがって、図1とは異なり、透明電極3と光電変換層4との間に補助電極を設けることも可能であり(図示せず)、また、透明電極3の両面に設けることも可能である(図示せず)。
このように、補助電極8は、透明電極の一方の面、又は双方の面にパターン状に形成されるものである。
補助電極8の形成材料としては、表面抵抗率の低い金属を好ましく用いることができる。このような金属としては、例えば、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、銅(Cu)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、ステンレス系金属、アルミニウム合金、銅合金、チタン合金、鉄−ニッケル合金(Fe−Ni)およびニッケル−クロム合金(Ni−Cr)等の導電性金属を挙げることができる。
また、補助電極は、上述のような導電性金属からなる単層であってもよく、また透明基板7や透明電極3との密着性向上のために、導電性金属層とコンタクト層とを適宜積層したものであってもよい。コンタクト層の形成材料としては、例えば、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、ニッケル−クロム合金(Ni−Cr)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)等が挙げられる。コンタクト層は透明基板7や透明電極3との密着性を得るために導電性金属層に積層されるものであり、導電性金属層の片側にのみ積層してもよく、導電性金属層の両側に積層してもよい。
また、透明電極3と補助電極8との仕事関数の差が1.0eV以下であることが好ましい。透明電極3と補助電極8との仕事関数差が1.0eVより大きい場合には、接合部において電池腐食が生じやすいためである。なお、本発明において、上記条件(1)〜(4)の全てを満たす透明電極3の仕事関数は、補助電極の金属の仕事関数との差が1.0eV以下のものが多く、例えば、金属酸化物に13族の金属をドープしたものは、4.0eV程度である。一方、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)の仕事関数は、それぞれ4.4eV、3.7eV、4.8eVであることから、本発明では、補助電極の材料の幅を広げることができる。
補助電極8の形状としては、パターン状であれば特に限定されるものではなく、所望の導電性、透過性、強度等により適宜選択される。例えば、補助電極は、メッシュ状のメッシュ部と、このメッシュ部の周囲に配置されたフレーム部とを有するものであってもよく、メッシュ状のメッシュ部からなるものであってもよい。
補助電極8がメッシュ部とフレーム部とを有する場合、メッシュ部およびフレーム部の配置としては、例えば補助電極が矩形である場合、フレーム部が、メッシュ部の四方を囲むように配置されていてもよく、メッシュ部の三方を囲むように配置されていてもよく、メッシュ部の二方を囲むように配置されていてもよく、メッシュ部の一方に配置されていてもよい。中でも、フレーム部は、メッシュ部の四方または三方を囲むように配置されていることが好ましい。効率良く集電することができるからである。
メッシュ部の形状としては、メッシュ状であれば特に限定されるものではなく、所望の導電性、透過性、強度等により適宜選択される。例えば、三角形、四角形、六角形等の多角形や円形の格子状等が挙げられる。なお、多角形や円形の「格子状」とは、多角形や円形が周期的に配列されている形状をいう。多角形や円形の格子状としては、例えば多角形の開口部がストレートに配列されていてもよく、ジグザグに配列されていてもよい。
中でも、メッシュ部の形状は、六角形の格子状または平行四辺形の格子状であることが好ましい。メッシュ部を流れる電流が局所的に集中するのを防止することができるからである。六角形の格子状の場合、特に、六角形の開口部がジグザグに(いわゆるハニカム状に)配列されていることが好ましい。一方、平行四辺形の格子状の場合、平行四辺形の鋭角が40°〜80°の範囲内であることが好ましく、より好ましくは50°〜70°の範囲内、さらに好ましくは55°〜65°の範囲内である。
なお、補助電極8自体は基本的に光を透過しないので、補助電極8のメッシュ部の開口部から光電変換層4に光が入射する。そのため、補助電極8のメッシュ部の開口部は比較的大きいことが好ましい。具体的には、補助電極8のメッシュ部の開口部の比率は、50%〜98%程度であることが好ましく、より好ましくは70%〜98%の範囲内、さらに好ましくは80%〜98%の範囲内である。
補助電極8のメッシュ部の開口部のピッチおよびメッシュ部の線幅は、補助電極全体の面積等に応じて適宣選択される。また、フレーム部の線幅は、補助電極全体の面積等に応じて適宜選択される。
補助電極8の厚みは、透明電極3と対向電極層6との間で短絡が生じない厚みで適宜選択される。具体的には、光電変換層4の膜厚を1とすると、補助電極8の厚みは、5以下であることが好ましく、中でも3以下、さらには2以下、特に1.5以下であることが好ましく、1以下であることが最も好ましい。補助電極8の厚みが上記範囲より厚いと、電極間で短絡が生じるおそれがあるからである。より具体的には、補助電極8の厚みは、100nm〜1000nmの範囲内であることが好ましく、中でも200nm〜800nmの範囲内、さらには200nm〜500nmの範囲内、特に200nm〜400nmの範囲内であることが好ましい。補助電極8の厚みが上記範囲より薄いと、補助電極8の導電率が大きくなりすぎる場合があるからである。また、補助電極8の厚みが上記範囲より厚いと、電極間で短絡が生じるおそれがあるからである。
中でも、透明電極3上に、主に塗布量に応じて厚みを調整することが可能な方法により光電変換層4を形成する場合、補助電極8の厚みは200nm〜300nmの範囲内であることが好ましい。この場合において、補助電極8の厚みが上記範囲よりも厚いと補助電極8のメッシュ部やフレーム部のエッジを覆うことが困難となり、電極間で短絡が生じやすくなる。また、補助電極8の厚みが上記範囲よりも厚いと表面張力によって所望の厚みよりも厚く光電変換層4が形成されてしまうおそれがある。光電変換層4の厚みが厚すぎると、電子拡散長および正孔拡散長を超えてしまい変換効率が低下する。表面張力によって所望の厚みよりも厚く光電変換層4が形成されないように、補助電極8の厚みを調整することが好ましい。特に、光電変換層4内を正孔および電子が移動できる距離は100nm程度であることが知られていることからも、表面張力によって所望の厚みよりも厚く光電変換層4が形成されないように、補助電極8の厚みを調整することが好ましいのである。一方、例えばスピンコート法により光電変換層4を形成する場合、遠心力により均質な膜とするので、補助電極8の厚みが比較的厚くても補助電極8のエッジを覆うことができる。また、スピンコート法の場合、回転数によって厚みを調整することができるので、補助電極8の厚みが比較的厚くても、均質な膜を得ることができる。よって、主に塗布量に応じて厚みを調整することが可能な方法により光電変換層4を形成する場合には、上記範囲が特に好ましいのである。
補助電極8の表面抵抗率は、透明電極3の表面抵抗率よりも低いことが好ましくい。具体的には、補助電極8の表面抵抗率は、5Ω/sq以下であることが好ましく、中でも3Ω/sq以下、さらには1Ω/sq以下、特に0.5Ω/sq以下であることが好ましく、0.1Ω/sq以下であることが最も好ましい。補助電8極の表面抵抗率が上記範囲より大きいと、所望の発電効率が得られない場合があるからである。なお、上記抵抗は、三菱化学株式会社製表面抵抗計(ロレスタMCP:四端子プローブ)を用い、JIS R1637(ファインセラミックス薄膜の抵抗率試験方法:4探針法による測定方法)に基づき、測定した値である。
補助電極8の形成方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、金属薄膜を全面に成膜した後に網目状にパターニングする方法、網目状の導電体を直接形成する方法等が挙げられる。これらの方法は、補助電極の形成材料や構成等に応じて適宜選択される。
金属薄膜の成膜方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の真空成膜法であることが好ましい。すなわち、補助電極8は真空成膜法にて形成された金属薄膜であることが好ましい。真空成膜法により成膜した金属種は、めっき膜に比べ介在物が少なく比抵抗を小さくでき、またAgペースト等を用いて成膜したものと比較しても比抵抗を小さくできる。また、厚み1μm以下、好ましくは500nm以下の金属薄膜を、膜厚を精密に制御し、均一な厚みに成膜する方法としても、真空成膜法が好適である。
金属薄膜のパターニング方法としては、所望のパターンに精度良く形成することができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えばフォトエッチング法等を挙げることができる。
(光電変換層)
図1に示すように、透明電極3上には、直接的に、又は補助電極8を介して光電変換層4が設けられている。光電変換層4は、本発明における必須の構成であり、有機薄膜太陽電池の電荷分離に寄与し、生じた電子および正孔を各々反対方向の電極に向かって輸送する機能を有する部材をいう。
光電変換層4は、電子受容性および電子供与性の両機能を有する単一の層であってもよく(第1態様)、また電子受容性の機能を有する電子受容性層と電子供与性の機能を有する電子供与性層とが積層されたものであってもよい(第2態様)。以下、各態様について説明する。
(1)第1態様
本発明における光電変換層4の第1態様は、電子受容性および電子供与性の両機能を有する単一の層であり、電子供与性材料および電子受容性材料を含有するものである。この光電変換層4では、光電変換層4内で形成されるpn接合を利用して電荷分離が生じるため、単独で光電変換層4として機能する。
電子供与性材料としては、電子供与体としての機能を有するものであれば特に限定されるものではないが、湿式塗工法により成膜可能なものであることが好ましく、中でも電子供与性の導電性高分子材料であることが好ましい。導電性高分子はいわゆるπ共役高分子であり、炭素−炭素またはヘテロ原子を含む二重結合または三重結合が、単結合と交互に連なったπ共役系から成り立っており、半導体的性質を示すものである。導電性高分子材料は、高分子主鎖内にπ共役が発達しているため主鎖方向への電荷輸送が基本的に有利である。また、導電性高分子の電子伝達機構は、主にπスタッキングによる分子間のホッピング伝導であるため、高分子の主鎖方向のみならず、光電変換層の膜厚方向への電荷輸送も有利である。さらに、導電性高分子材料は、導電性高分子材料を溶媒に溶解もしくは分散させた塗工液を用いることで湿式塗工法により容易に成膜可能であることから、大面積の有機薄膜太陽電池を高価な設備を必要とせず低コストで製造できるという利点がある。
電子供与性の導電性高分子材料としては、例えば、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリシラン、ポリチオフェン、ポリカルバゾール、ポリビニルカルバゾール、ポルフィリン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリフルオレン、ポリビニルピレン、ポリビニルアントラセン、およびこれらの誘導体、ならびにこれらの共重合体、あるいは、フタロシアニン含有ポリマー、カルバゾール含有ポリマー、有機金属ポリマー等を挙げることができる。
上記の中でも、チオフェンーフルオレン共重合体、ポリアルキルチオフェン、フェニレンエチニレン−フェニレンビニレン共重合体、フェニレンエチニレン−チオフェン共重合体、フェニレンエチニレン−フルオレン共重合体、フルオレン−フェニレンビニレン共重合体、チオフェン−フェニレンビニレン共重合体等が好ましく用いられる。これらは、多くの電子受容性材料に対して、エネルギー準位差が適当であるからである。
なお、例えばフェニレンエチニレン−フェニレンビニレン共重合体(Poly[1,4phenyleneethynylene−1,4−(2,5−dioctadodecyloxyphenylene)−1,4−phenyleneethene−1,2−diyl−1,4−(2,5−dioctadodecyloxyphenylene)ethene−1,2−diy1])の合成方法については、Macromolecules,35,3825(2002)や、Mcromo1.Chem,Phys.,202,2712(2001)に詳しい。
また、電子受容性材料としては、電子受容体としての機能を有するものであれば特に限定されるものではないが、湿式塗工法により成膜可能なものであることが好ましく、中でも電子受容性の導電性高分子材料であることが好ましい。導電性高分子材料は、上述したような利点を有するからである。
電子受容性の導電性高分子材料としては、例えば、ポリフェニレンビニレン、ポリフルオレン、およびこれらの誘導体、ならびにこれらの共重合体、あるいは、カーボンナノチューブ、フラーレン誘導体、CN基またはCF3基含有ポリマーおよびそれらの一CF3置換ポリマー等を挙げることができる。ポリフェニレンビニレン誘導体の具体例としては、CN−PPV(Poly[2−Methoxy−5−(2'−ethylhexyloxy)−1,4−(1−cyanovinylene)phenyIene])、MEH−CN−PPV(Poly[2−Methoxy−5−(2'−ethylhexyloxy)−1,4−(1−cyanovinylene)phenylene])等が挙げられる。
また、電子供与性化合物がドープされた電子受容性材料や、電子受容性化合物がドープされた電子供与性材料等を用いることもできる。中でも、電子供与性化合物もしくは電子受容性化合物がドープされた導電性高分子材料が好ましく用いられる。導電性高分子材料は、高分子主鎖内にπ共役が発達しているため主鎖方向への電荷輸送が基本的に有利であり、また、電子供与性化合物や電子受容性化合物をドープすることによりπ共役主鎖中に電荷が発生し、電気伝導度を大きく増大させることが可能であるからである。
電子供与性化合物がドープされる電子受容性の導電性高分子材料としては、上述した電子受容性の導電性高分子材料を挙げることができる。ドープされる電子供与性化合物としては、例えばLi、K、Ca、Cs等のアルカリ金属やアルカリ土類金属のようなルイス塩基を用いることができる。なお、ルイス塩基は電子供与体として作用する。また、電子受容性化合物がドープされる電子供与性の導電性高分子材料としては、上述した電子供与性の導電性高分子材料を挙げることができる。ドープされる電子受容性化合物としては、例えばFeC13(III)、AlCl3、AlBr3、AsF6やハロゲン化合物のようなルイス酸を用いることができる。なお、ルイス酸は電子受容体として作用する。
光電変換層4の膜厚としては、一般的にバルクヘテロ接合型有機薄膜太陽電池において採用されている膜厚を採用することができる。具体的には、0.2nm〜3000nmの範囲内で設定することができ、好ましくは1nm〜600nmの範囲内である。膜厚が上記範囲より厚いと、光電変換層4における体積抵抗が高くなる場合があるからである。一方、膜厚が上記範囲より薄いと、光を十分に吸収できない場合があるからである。
電子供与性材料および電子受容性材料の混合比は、使用する材料の種類により最適な混
合比に適宜調整される。
光電変換層4を形成する方法としては、所定の膜厚に均一に形成することができる方法であれば特に限定されるものではないが、湿式塗工法が好ましく用いられる。湿式塗工法であれば、大気中で光電変換層4を形成することができ、コストの激減が図れるとともに、大面積化が容易だからである。
光電変換層用塗工液の塗布方法としては、光電変換層用塗工液を均一に塗布することができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、ダイコート法、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法、ビードコート法、スプレーコート法、バーコート法、グラビアコート法、インクジェット法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法等を挙げることができる。中でも、光電変換層用塗工液の塗布方法は、主に塗布量に応じて厚みを調整することが可能な方法であることが好ましい。主に塗布量に応じて厚みを調整することが可能な方法としては、例えば、ダイコート法、ビードコート法、バーコート法、グラビアコート法、インクジェット法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法などの印刷法を挙げることができる。印刷法は有機薄膜太陽電池の大面積化に好適である。
光電変換層用塗工液の塗布後は、形成された塗膜を乾燥する乾燥処理を施してもよい。光電変換層用塗工液に含まれる溶媒等を早期に除去することにより、生産性を向上させることができるからである。乾燥処理の方法として、例えば、加熱乾燥、送風乾燥、真空乾燥、赤外線加熱乾燥等、一般的な方法を用いることができる。
(2)第2態様
本発明における光電変換層4の第2態様は、電子受容性の機能を有する電子受容性層と電子供与性の機能を有する電子供与性層とが積層されたものである。以下、電子受容性層および電子供与性層について説明する。
(電子受容性層)
本態様に用いられる電子受容性層は、電子受容性の機能を有するものであり、電子受容性材料を含有するものである。
電子受容性材料としては、電子受容体としての機能を有するものであれば特に限定されるものではないが、湿式塗工法により成膜可能なものであることが好ましく、中でも電子受容性の導電性高分子材料であることが好ましい。導電性高分子材料は、上述したような利点を有するからである。具体的には、上記第1態様の光電変換層に用いられる電子受容性の導電性高分子材料と同様のものを挙げることができる。
電子受容性層の膜厚としては、一般的にバイレイヤー型有機薄膜太陽電池において採用されている膜厚を採用することができる。具体的には、0.1nm〜1500nmの範囲内で設定することができ、好ましくは1nm〜300nmの範囲内である。膜厚が上記範囲より厚いと、電子受容性層における体積抵抗が高くなる可能性があるからである。一方、膜厚が上記範囲より薄いと、光を十分に吸収できない場合があるからである。
電子受容性層の形成方法としては、上記第1態様の光電変換層4の形成方法と同様とすることができる。
(電子供与性層)
本態様に用いられる電子供与性層は、電子供与性の機能を有するものであり、電子供与性材料を含有するものである。
電子供与性材料としては、電子供与体としての機能を有するものであれば特に限定されるものではないが、湿式塗工法により成膜可能なものであることが好ましく、中でも電子供与性の導電性高分子材料であることが好ましい。導電性高分子材料は、上述したような利点を有するからである。具体的には、上記第1態様の光電変換層に用いられる電子供与性の導電性高分子材料と同様のものを挙げることができる。
電子供与性層の膜厚としては、一般的にバイレイヤー型有機薄膜太陽電池において採用されている膜厚を採用することができる。具体的には、0.1nm〜1500nmの範囲内で設定することができ、好ましくは1nm〜300nmの範囲内である。膜厚が上記範囲より厚いと、電子供与性層における体積抵抗が高くなる可能性があるからである。一方、膜厚が上記範囲より薄いと、光を十分に吸収できない場合があるからである。
電子供与性層の形成方法としては、上記第1態様の光電変換層4の形成方法と同様とすることができる。
(対向電極層)
図1に示すように、光電変換層4上には、対向電極層6が設けられている。対向電極層6は、本発明の有機薄膜太陽電池10における必須の構成であり、光電変換層4で発生した正孔を取出すための電極層である。
本発明においては、透明電極3側が受光面となるため、対向電極層6は、透明性を有していても有していなくともよいが、対向電極層6が透明性を有する場合には、両面受光が可能となる点で好ましい。
対向電極層6は、上記で説明した透明電極3よりも仕事関数が高いとの条件を満たせばよく、対向電極層6の材料について特に限定はなく、Au、Ag、Co、Ni、Pt、C、ITO、SnO2、フッ素をドープしたSnO2、ZnO、Li、In、Al、Ag、Ca、Mg、Sm、Tb、Yb、Zr、LiF等が使用可能である。正孔を取出す機能を効果的に発揮し得るためには、対向電極層6の仕事関数は高いことが好ましく、上記の中でも、Au、Ag、Co、Ni、Pt、C、ITO、SnO2、フッ素をドープしたSnO2を特に好ましく使用することができる。
また、対向電極層6は、単層であってもよく、異なる仕事関数の材料を用いて積層されたものであってもよい。なお、対向電極層6として、異なる仕事関数の材料が積層されたものを用いる場合には、上記で説明した透明電極3と対向電極層6との仕事関数の関係は、透明電極3と、異なる仕事関数の材料が積層されてなる対向電極層6のうち光電変換層4側に最も近い材料の仕事関数との関係で決定される。
また、図示するように、対向電極層6は、光電変換層4側から、正孔取出層6aと、上記で例示した材料6b等を積層してなる積層構造をとることもできる。正孔取出層6aは、光電変換層4から正孔の取出しを容易にするために設けられる層である。
正孔取出層6aに用いられる材料としては、光電変換層から対向電極層への正孔の取出しを安定化させる材料であれば特に限定されるものではない。具体的には、ドープされたポリアニリン、ポリフェニレンビニレン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリパラフェニレン、ポリアセチレン、トリフェニルジアミン(TPD)等の導電性有機化合物、またはテトラチオフルバレン、テトラメチルフェニレンジアミン等の電子供与性化合物と、テトラシアノキノジメタン、テトラシアノエチレン等の電子受容性化合物とからなる電荷移動錯体を形成する有機材料等を挙げることができる。これらの中でも、特にポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)が好ましい。また、正孔取出層6aの膜厚としては、10nm〜200nmの範囲内であることが好ましい。
また、正孔取出層6aは、一般的に光電変換層4上に、直接的に設けられる。したがって、上記で説明した透明電極3と、対向電極層6との仕事関数の関係は、透明電極3と、正孔取出層6aとの仕事関数との関係で決定される。具体的には、透明電極3は、正孔取出層6aの仕事関数よりも低いとの条件を満たす必要がある。
(有機薄膜太陽電池モジュール)
本発明の有機薄膜太陽電池モジュールは、上記で説明した本発明の有機薄膜太陽電池10が複数個直列、又は並列に接続されていることを特徴とするものである。
複数個の有機薄膜太陽電池の接続としては、所望の起電力を得ることができればよく、直列のみであってもよく、並列のみであってもよく、直列および並列を組み合わせてもよい。なお、有機薄膜太陽電池については、上記で説明した本発明の有機薄膜太陽電池10をそのまま用いることができ、ここでの説明は省略する。
以上、本発明の有機薄膜太陽電池、及び有機薄膜太陽電池モジュールについて説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。以下、特に断りのない限り、%は質量基準である。
(実施例1)
外形サイズ50mm角、膜厚125μmのPENフィルム基材の片面全面に、従来と同様のスパッタ法(成膜圧力:0.1Pa、成膜パワー:180W、時間:3分/12分/3分)にて、フィルム基材上に、Ni(厚み20nm)/Cu(厚み300nm)/Ni(厚み20nm)をこの順で積層しNi/Cu/Ni膜を形成した。Ni/Cu/Ni膜の全面にドライフィルムレジスト(旭化成(株)製、サンフォートAQ-1558 ネガ型)を0.4kgf/cm2のラミネート圧、温度120℃にてラミネートし、所定の形状のフォトマスクを介してUV照射を行い、ドライフィルムレジスト上に所望の形状を転写した。その後、0.5wt%の炭酸ナトリウム水溶液中にてレジストの未露光部を除去し、所望の形状のレジスト画像を形成した。レジスト画像をマスクとして露出しているNi/C/Ni膜を、塩化第2鉄溶液(45ボーメ)で液温50℃にてエッチングした。Ni/Cu/Ni膜をエッチングするために要した時間は、3秒であった。その後、2wt%の水酸化ナトリウム溶液を用いて液温50℃でレジスト除去を行い、所定の開口部を有するNi/Cu/Niの金属メッシュ補助電極を形成した。
次に、金属メッシュ補助電極の上面に、以下の条件のパルスレーザー堆積法により厚み300nm、表面抵抗50Ω/sq、透過率90%のアルミドープ酸化亜鉛層を形成した。次に、ポリチオフェン(P3HT:poly(3−hexylthiophene−2,5−diyl))とC60PCBM([6,6]−phenyl−C61−butyric acid mettric ester:Nano−C社製)をブロモベンゼンに溶解させ、固形分濃度1.4wt%の光電変換層用塗工液を準備した。この光電変換層用塗工液を、上記アルミドープ酸化亜鉛層上にダイコート法により塗工した後に100℃で10分間乾燥させて光電変換層を形成した。次に、上記光電変換層上に、対向電極層として、酸化バナジウム層および金層を従来と同様の真空蒸着法にて形成し、逆型有機薄膜太陽電池である実施例1の有機薄膜太陽電池を得た。
なお、実施例1の逆型有機薄膜太陽電池の透明電極、対向電極層の仕事関数を、光電子分光装置(AC−3 理研計器社製)を用いて測定したところ以下の通りであった。
透明電極(アルミドープ酸化亜鉛層)=4.0eV
対向電極層(酸化バナジウム層)=4.7eV
「パルスレーザー堆積法」
装置:Lambda Physics LPX 305
材料:酸化物セラミック板(ZnO=98%、Al23=2% Target Materials社製)
条件:レーザー周波数=10Hz
レーザー出力=2J/cm2
レーザー入射角=45°
ターゲット−基板間距離=4.7cm
(比較例1)
実施例1と同様に作製した金属メッシュ補助電極の上面に、従来と同様のスパッタ法により厚み150nm、表面抵抗値60Ω/sqのITO層を形成した。次に、ITO層上に、導電性高分子ペースト(ポリ−(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸分散品)をスピンコート法にて成膜した後、100℃で10分間乾燥させ、バッファー層を形成した。次に、ポリチオフェン(P3HT:poly(3−hexylthiophene−2,5−diyl)、Aldrich社製)とC60PCBM([6,6]−phenyl−C61−butyric acid mettric ester、Nano−C社製)をブロモベンゼンに溶解させ、固形分濃度1.4wt%の光電変換層用塗工液を準備した。次いで、光電変換層用塗工液を上記バッファー層上にスピンコート法にて塗布した後、100℃で10分間乾燥させて、光電変換層を形成した。次に、上記光電変換層上にカルシウムおよびアルミニウムを従来と同様の真空蒸着法にて形成することで、順型有機薄膜太陽電池である比較例1の有機薄膜太陽電池を得た。
なお、比較例1の順型有機薄膜太陽電池の透明電極、対向電極層の仕事関数を、光電子分光装置(AC−3 理研計器社製)を用いて測定したところ以下の通りであった。
透明電極(ITO層)=4.7eV
対向電極層(カルシウム層)=2.5eV
(電池特性評価)
実施例1の逆型有機薄膜太陽電池と、比較例1の順型有機薄膜太陽電池をソーラーシミュレーターにより100mW/cm2、A.M.1.5Gの条件で太陽電池性能を評価したところ、実施例1の逆型有機薄膜太陽電池の変換効率は3.5%、比較例1の順型有機薄膜太陽電池の変換効率は3.4%であった。
以上の結果より、本発明によれば、逆型有機薄膜太陽電池とすることで長期耐久性を向上させつつ、順型有機薄膜太陽電池と同様の優れた電池特性を得ることができた。
10・・・有機薄膜太陽電池
3・・・透明電極
4・・・光電変換層
6・・・対向電極層
7・・・透明基板
8・・・補助電極

Claims (5)

  1. 電子供与性材料と電子受容性材料とを含む光電変換層と、前記光電変換層の一方の面に形成された対向電極層と、前記光電変換層の他方の面に形成された透明電極と、を有する有機薄膜太陽電池であって、
    前記透明電極は、
    全光線透過率が80%以上であり、
    表面抵抗率が、300Ω/sq以下であり、
    仕事関数が前記対向電極層の仕事関数よりも小さく、
    かつ、単一の層であることを特徴とする有機薄膜太陽電池。
  2. 前記透明電極の仕事関数と前記対向電極層の仕事関数との差が0.6eV以上であることを特徴とする請求項1に記載の有機薄膜太陽電池。
  3. 前記透明電極の仕事関数が、前記電子受容性材料のLUMO準位より0.3eV大きい値以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機薄膜太陽電池。
  4. 前記透明電極の少なくとも一方の面には補助電極が形成されており、前記補助電極と前記透明電極の仕事関数の差が1.0eV以下であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の有機薄膜太陽電池。
  5. 有機薄膜太陽電池が複数個直列又は並列に接続されてなる有機薄膜太陽電池モジュールであって、
    前記有機薄膜太陽電池が、請求項1乃至4の何れか1項に記載の有機薄膜太陽電池であることを特徴とする有機薄膜太陽電池モジュール。
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