JP5989052B2 - 帯電部材、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents
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Description
導電性支持体と、
該導電性支持体の上に形成されてなる表面層とを有する、電子写真感光体に接触させて該電子写真感光体を帯電させるための帯電部材であって、
該表面層は、
厚さが1μm〜200μmであり、
体積抵抗率が、少なくとも1.0×10 10 Ω・cmであり、
高分子材料からなる3次元的に連続な骨格と3次元的に連続な開空孔を有する多孔質体であり、
該多孔質体は空孔率が40%〜98%であり、
該多孔質体の比表面積が、0.5μm 2 /μm 2 〜100μm 2 /μm 2 であり、
該帯電部材は、下記(1)及び(2)を満たすことを特徴とする帯電部材である。
(1)該帯電部材の表面に対して、1mmの間隙を有するようにコロナ放電器のグリッド部を配置し、次いで、該コロナ放電器に8kVの電圧を印加して放電させ、該帯電部材の表面を帯電させた場合に、放電終了から10秒後の該帯電部材の表面電位が10V以上である;
(2)該帯電部材と、被帯電体としてのポリエチレンテレフタレートフィルムとの間に直流電圧を印加して該被帯電体を帯電させた場合に、該帯電部材と該ポリエチレンテレフタレートフィルムとの間への印加電圧をVin、該被帯電体の帯電電位をVd、放電開始電圧をVthとしたとき、|Vin|>|Vth|の範囲において、|Vd|≧|Vin|−|Vth|である。
(1)該導電性部材の表面に対して、1mmの間隙を有するようにコロナ放電器のグリッド部を配置し、次いで、該コロナ放電器に8kVの電圧を印加して放電させ、該導電性部材の表面を帯電させた場合に、放電終了から10秒後の該導電性部材の表面電位が10V以上である。
(2)該導電性部材と、被帯電体としてのポリエチレンテレフタレートフィルムとの間に直流電圧を印加して該被帯電体を帯電させた場合に、該導電性部材と該ポリエチレンテレフタレートフィルムとの間への印加電圧をVin、該被帯電体の帯電電位をVd、放電開始電圧をVthとしたとき、|Vin|>|Vth|の範囲において、|Vd|≧|Vin|−|Vth|である。
しかし、前記(1)を満たすような場合は、放電が進むにつれて帯電量が増え、さらには放電領域の電界低下を促し、|Vd|<|Vin|−|Vth|となる(図1のBの一点鎖線)。
(軸芯体)
軸芯体としては、導電性部材用として利用できるものからその用途に応じて適宜選択したものを用いることができる。電子写真に用いる帯電部材の軸芯体としては、例えば炭素鋼合金表面に5μm程度の厚さのニッケルメッキを施した円柱材等を利用することができる。
導電性樹脂層を構成する材料としては、ゴム材料、樹脂材料等を用いることが可能である。ゴム材料としては、特に限定されるものではなく、導電性部材の用途に応じて適宜選択して用いることができる。電子写真に用いる帯電部材用のゴム材料としては、例えば、エピクロルヒドリンホモポリマー、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル3元共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体の水素添加物、シリコーンゴム、アクリルゴム及びウレタンゴム等が挙げられる。電子写真に用いる帯電部材用の樹脂材料としては、例えば、アクリル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。これらの材料は、必要に応じて2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明に係る表面層を構成する多孔質体は、異常放電を抑制する観点から以下の構成にすることが重要である。
表面層を構成する多孔質体は、連続した開空孔を有する構造を有している。これは、空孔同士が表面層内部で連続的につながり、かつ、空孔内の空隙が表面層外へもつながっていることをいう。この多孔質体は、連続的な放電を促すため、少なくとも表面層の層厚方向において、複数の空孔が連続してそれぞれの空孔が表面層外部と連通している構成を有することが好ましい。連続的な放電を促すためには、更に好ましくは、表面層の層厚に交差する方向において複数の空孔が交差して連通しているものがあってもよい。また、更に好ましくは、表面層は、その導電性支持体側の外部と表面側の外部とを連通するように複数の空孔が連結している構成を有していてもよい。このような連続した開空孔を有することで、表面層内での放電によって発生した電子が表面層外へ移動可能となる。
導電性部材が、前記(1)を満たすためには、コロナ放電によって帯電可能な電気特性を有することが必要である。また、前記(2)を満たすためには表面層内で十分な放電を発生させる必要がある。前記(1)及び(2)を達成する上で、表面層の厚さ、空孔率、表面積、体積抵抗率を制御することが重要である。
導電性部材が、前記(1)を満たすためには、コロナ放電によって帯電した表面層から、導電性支持体あるいは、導電性樹脂層への電荷の減衰を抑制する必要がある。そのため、表面層は、非導電性であることが好ましい。表面層を非導電性とするための目安としては、体積抵抗率が少なくとも1.0×1010Ω・cmとなるように設定して表面層を作製することが望ましい。
表面層内で十分な放電を発生させるためには、表面層内に放電に必要な空気が必要である。空孔率は、大きいほど表面層内部で放電が発生しやすくなる。これは表面層内部での放電の発生には一定量以上の空気が必要であるからだと考えている。表面層において上記(1)及び(2)を満たす、すなわち目的とする帯電と放電の両方をより効果的に得るためには、表面層の空孔率は40%〜98%の範囲から選択することが好ましい。
本発明における比表面積とは、単位面積当たりの表面積のことであり、被帯電体側から観察した際の単位面積内に存在する多孔質体の全表面積、すなわち、表面層の外表面における単位面積内に存在する多孔質体の全表面積(連続した開空孔内の表面積を含む)を表す。表面層において上記(1)及び(2)を満たす、すなわち目的とする帯電と放電の両方をより効果的に得るためには、表面層を構成する多孔質体の比表面積を、0.5μm2/μm2〜100μm2/μm2の範囲から選択することが好ましい。
表面層の厚みは、厚いほど表面層への帯電量が増加する。また、表面層による分担電圧増加により、表面層と被帯電体間の分担電圧低下を考慮すると、表面層の厚みは一定値以下に抑えることが好ましい。以上の理由により、表面層の厚みの好ましい範囲としては1μm〜200μmである。
表面層を構成する多孔質体の製造方法としては、当該多孔質体を導電性支持体上の表面層として形成できる限りにおいて特に制限はなく、次のような製造方法を挙げることができる。
・溶融紡糸や電界紡糸によって作製した微細繊維を堆積させる方法。
・高分子溶液の相分離を利用して、細孔を形成する方法。
・発泡体を利用して細孔を形成する方法。
・レーザー等のエネルギー線を照射して細孔を形成する方法。
・樹脂粒子を堆積させる方法。
本発明に係る多孔質体を構成する骨格の材料、すなわち、各空孔を区画する骨格や壁を形成する材料は、当該多孔質体を形成できる限りにおいて特に制限はない。多孔質体形成用の材料としては、樹脂材料をはじめとする有機材料、シリカ、チタニア等の無機材料、或いは、前記有機材料と無機材料をハイブリッドさせた材料を用いることができる。
ポリメタクリル酸メチルの如き(メタ)アクリル系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレンの如きポリオレフィン系ポリマー;ポリスチレン;ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド;ポリパラフェニレンオキサイド、ポリパラフェニレンスルフィドの如きポリアリーレン類(芳香族系ポリマー);ポリエーテル;ポリビニルエーテル;ポリビニルアルコール;ポリオレフィン系ポリマー、ポリスチレン、ポリイミド、ポリアリーレン類(芳香族系ポリマー)に、スルホン酸基(−SO3H)、カルボキシル基(−COOH)、リン酸基、スルホニウム基、アンモニウム基、または、ピリジニウム基を導入したもの;ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンの如き含フッ素系のポリマー;含フッ素系のポリマーの骨格にスルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、スルホニウム基、アンモニウム基、または、ピリジニウム基を導入したもの、例えばパーフルオロスルホン酸ポリマー、パーフルオロカルボン酸ポリマー、パーフルオロリン酸ポリマー;ポリブダジエン系化合物;エラストマーやゲルの如きポリウレタン系化合物;エポキシ系化合物;シリコーン系化合物;ポリ塩化ビニル;ポリエチレンテレフタレート;(アセチル)セルロース;ナイロン;ポリアリレート等。
多孔質体には、発明の効果を損なわない範囲で、かつ、多孔質体を形成できる限りにおいて多孔質体を構成する材料に添加剤を加えてもよい。添加材の例としては、電子導電性を示すカーボンブラック、グラファイト、及び酸化錫等の酸化物、銅、銀等の金属、酸化物や金属を粒子表面に被覆して導電性を付与した導電性粒子、または、イオン導電性を示す第四級アンモニウム塩、スルホン酸塩等のイオン交換性能を有するイオン導電剤等が挙げられる。また、本発明の効果を損なわない範囲で、樹脂の配合剤として一般的に用いられている充填剤、軟化剤、加工助剤、粘着付与剤、粘着防止剤、分散剤、を添加してもよい。
表面層の厚さは、導電性支持体の表面に対して垂直方向に測定される表面層の厚さであって、帯電部材の長手方向を5等分し、各分割における任意の5箇所において切り出された切片について測定された計25箇所の厚さの平均値を意味する。また、表面層の各位置での厚さは、帯電部材から導電性支持体及び、表面層を含む切片を切り出し、X線CT測定等を行うことで測定することも出来る。
表面層の比表面積はBET法によって測定することが出来、たとえば、既知の表面積を有する表面層を構成する材料に対してBET測定を行い、続いて表面層のBETを測定することによって、その比率から計算することができる。本発明における表面層の比表面積は、帯電部材の長手方向を5等分し、各分割における任意の1箇所において切り出された切片について測定を行い、その5点の平均値を意味する。
表面層の空孔率は、任意の二次元断面から測定される空孔率の平均値であって、帯電部材の長手方向を5等分し、各分割における任意の5箇所において切り出された切片について測定された計25箇所の空孔率の平均値を意味する。また、各測定位置での空孔率はSEM装置によって観察され、画像処理ソフト(ImageProPlus Media Cybernetics社製)によって計算することが出来る。また、観察の視野としては表面層を形成する空孔と骨格の構造周期の100倍程度を1辺とする正方形とするのが良い。
コロナ放電による導電性部材(帯電部材)の表面電位の測定は、帯電量測定装置(商品名:DRA−2000L、(株)QEA社製)を用いて測定した。具体的には、当該帯電量測定装置のコロナ放電器を、そのグリッド部と、導電性部材の表面との間隙が1mmとなるように配置する。次いで、該コロナ放電器に8kVの電圧を印加して放電を発生させて、導電性部材の表面を帯電させ、放電終了後、10秒経過後の導電性部材の表面電位を測定する。
帯電電位Vdと放電開始電圧Vthは次のように測定した。
まず、片面をアルミ蒸着したPET(ポリエチレンテレフタレート)シート(商品名:メタルミーS#25、東レフィルム加工株式会社製)の、アルミ蒸着していない面に対向するように導電性部材を配置した。PETシートの表面と導電性部材の表面との間隔は、8μmとした。
帯電部材の軸芯体に負の電圧を印加し、PETシートのアルミ蒸着面をアースに接続した。次に、帯電部材とPETシートを間隙の大きさが変化しないように相対移動させ、20mm平方以上の領域を帯電させた。この時、相対移動速度を10mm/sとした。次に、PETシートに対して電位測定機(トレック製 表面電位計 Model344、プローブ 6000B−7C)を2mmの間隙を持って配置し、表面電位を測定する。帯電電位Vdは表面電位測定を3回行い、その平均値とした。
また、Vthは、表面電位が3Vから5Vになった時の印加バイアスと表面電位の差分から計算され、例えば印加バイアス500V、表面電位4Vとなった時はそのVthは496Vとした。
以上説明した帯電部材は、電子写真法による画像形成に用いる電子写真用のプロセスカートリッジ及び電子写真装置の帯電部材として好適に用いることができる。以下、かかるプロセスカートリッジ及び電子写真装置について説明する。
図6は本発明に係る導電性部材を帯電部材(以下、「帯電ローラ」ともいう)として具備している電子写真用のプロセスカートリッジの概略断面図である。このプロセスカートリッジは、帯電ローラ42と、ドラム形状の電子写真感光体(以下、「感光体ドラム」ともいう)41とが一体としてカートリッジの容器に収められており、電子写真装置の本体に着脱可能に構成されているものである。図6に係るプロセスカートリッジは、帯電ローラ42及び感光体ドラム41以外に、少なくとも現像ローラ43とトナー容器46とで構成された現像手段を有していてもよい。なお、現像手段は、必要に応じてトナー供給ローラ44、トナー49、現像ブレード48、攪拌羽410を備えていても良い。また、図6に係るプロセスカートリッジは、感光体ドラム41の表面に当接しているクリーニングブレード45、廃トナー収容容器47を備えていても良い。
図7は、本発明に係る導電性部材を帯電ローラとして用いた電子写真画像形成装置(以下、電子写真装置とも称する)の概略構成図である。この電子写真装置は、四つの前記プロセスカートリッジが着脱可能に装着されたカラー画像形成装置である。各プロセスカートリッジには、ブラック、マゼンダ、イエロー、シアンの各色のトナーがそれぞれ使用されている。感光体ドラム51は矢印方向に回転し、帯電バイアス電源から電圧が印加された帯電ローラ52によって一様に帯電され、露光光511により、感光体ドラム51の表面に静電潜像が形成される。一方トナー容器56に収納されているトナー59は、攪拌羽510によりトナー供給ローラ54へと供給され、現像ローラ53上に搬送される。そして現像ローラ53と接触配置されている現像ブレード58により、現像ローラ53の表面上にトナー59が均一にコーティングされると共に、摩擦帯電によりトナー59へと電荷が与えられる。上記静電潜像は、感光体ドラム51に対して接触配置される現像ローラ53によって搬送されるトナー59が付与されて現像され、トナー像として可視化される。
〔軸芯体〕
導電性の軸芯体として、快削鋼の表面に無電解ニッケルメッキ処理を施した全長252mm、各両端部から長手方向にそれぞれ11mmまで外径が6mm、その他中央部の外径が8.4mmの段付き丸棒を用意した。
実施例1に用いる表面層の材料として以下の液体原料1を作製した。まず、ポリカプロラクトン(PCL、分子量:80000、シグマアルドリッチ社製)に、質量比で8%のポリ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテルを加えた混合物を、ジクロロメタン(DCM)とジメチルホルムアミド(DMF)を75:25(体積比)で混合した溶液を用いて10質量%に希釈した希釈液1mLを作製した。次いで、当該希釈液に、芳香族スルホニウム塩系の潜在性触媒(商品名:SI−60L、三新化学工業社製)を、該ポリ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテルに対して10質量%混合し液体原料1を得た。
〔体積抵抗率の測定〕
液体原料1をシート状に製膜し、十分に乾燥させたのち、厚さ500μmのシートを作製した。その後、抵抗測定機(商品名:ハイレスターUP、三菱化学アナリテック社製)を用いて体積抵抗率を測定したところ、1×1014Ω・m(1×1016Ω・cm)(印加電圧は250V)であった。
次に、エレクトロスピニング法により、液体原料1を噴射し得られる繊維を導電性の軸芯体の側面に堆積させた。すなわち、エレクトロスピニング装置((株)メック製)のコレクター部に、軸芯体を備え付け、軸芯体をアースに接続した。次に液体原料1をタンクに充填し、ノズル(ノンベベル針 G22)に20kVの電圧を印加しながら液体原料1を1.0ml/hの速度で吐出し、液体原料1を軸芯体に向けて噴射した。その際、ノズルの移動速度は軸芯体の長手方向に10mm/s、軸芯体の回転速度は500rpm、ストロークは軸芯体の太径部長さと同じ230mmとし、噴射を46秒間行った。その後、得られた多孔質体からなる表面層をオーブンに入れ80℃、3時間加熱処理して導電性部材1を得た。こうして得られた導電性部材1について、先に記載した方法による膜厚、空孔率及び比表面積の測定、以下の測定(1)及び(2)、並びに評価(1)及び(2)を行った。これらの結果については実施例2〜10、比較例1及び2とともに表3に記載した。
〔測定(1)〕
先に記載した〔コロナ放電による導電性部材の表面電位の測定〕に従って、放電終了から10秒後の導電性部材1の表面電位を測定し、得られた結果を表3の測定(1)の欄に記載した。
〔測定(2)〕
先に記載した〔帯電電位Vdと放電開始電圧Vthの測定〕に従って、放電開始電圧Vthを測定した後、印加バイアスVinをVin=Vth−300とVin=Vth−600の値に設定して、|Vd|≧|Vin|−|Vth|となるか測定を行った。
そして、|Vd|≧|Vin|−|Vth|を満たした場合は「A」、満たさなかった場合には、「B」として、表3の測定(2)の欄に記載した。
〔表面層の体積抵抗率の測定〕
導電性部材1の表面層を切り出し、直径5mmの電極間に100g重の荷重で挟みこみ100Vの電圧を印加した。電極間に流れる電流値、および電極間の厚みを測定することで表面層の体積抵抗率を測定した。その結果、1×1015Ω・m以上(1×1017Ω・cm以上)となった。
〔評価(1)〕
本発明の導電性部材の局所的な強い放電を抑制する効果を確認するために電子写真装置を用いて評価を行った。
電子写真装置として、電子写真方式のレーザープリンタ(商品名:Laserjet CP4525dn、HP社製)を用意した。但し、導電性部材を、より過酷な評価環境に置くために、当該レーザープリンタを、出力スピードが、オリジナルの出力スピードよりも速い、500mm/secondとなるように改造した。
次に、当該レーザープリンタ専用のトナーカートリッジに、帯電ローラとして導電性部材1を装着した。このトナーカートリッジを上記のレーザープリンタに装填し、温度23℃、相対湿度50%の環境下で、ハーフトーン(感光ドラムの回転方向と垂直方向に幅1ドット、間隔2ドットの横線を描く画像)画像を出力した。この時の画像解像度は1200dpiとし、帯電ローラと電子写真感光体との間の印加電圧を−1000Vとした。得られた電子写真画像を目視で観察し、帯電部材からの局所的な強い放電に起因する画像ムラの有無を観察した。
次いで、印加電圧を−1010V、−1020V、−1030V・・・と10V毎に変えた以外は、上記と同様にして電子写真画像の出力、目視での評価を繰り返した。そして、帯電部材からの局所的な強い放電に起因する画像ムラが目視にて確認できる電子写真画像が形成されたときの印加電圧(VE1)を記録すると共に、その印加電圧で画像出力時における電子写真感光体の電位(VE2)を測定した。表3に、VE1及びVE2の値を記載した。また、参考として、各導電性部材の放電開始電圧Vthを表3に示した。
〔評価(2)〕
上記電子写真装置において、印加電圧を−1100Vとしたときの感光体の帯電電位を測定した。
実施例1において、エレクトロスピニング法におけるノズル1を、ノズル2(ノンベベル針 G25)とし、液体原料1を1.7ml/hの速度で吐出した以外は実施例1と同様にして導電性部材2を作製し、評価した。
<実施例3>
エレクトロスピニング法による噴射を194秒間行った以外は実施例1と同様にして導電性部材3を作製し、評価した。
<実施例4>
エレクトロスピニング法による噴射を194秒間行った以外は実施例2と同様にして導電性部材4を作製し、評価した。
<実施例5>
エレクトロスピニング法による噴射を388秒間行った以外は実施例1と同様にして導電性部材5を作製し、評価した。
<実施例6>
エレクトロスピニング法による噴射を388秒間行った以外は実施例2と同様にして導電性部材6を作製し、評価した。
〔軸芯体〕
導電性の軸芯体として、快削鋼の表面に無電解ニッケルメッキ処理を施した全長252mm、各両端部から長手方向にそれぞれ11mmまで外径が6mm、その他中央部の外径が8.4mmの段付き丸棒を用意した。
〔原料液体2の調整〕
ポリ乳酸(重量平均分子量Mw:12万、シグマアルドリッチ社製)8.5g、ジオキサン74g、蒸留水11gを混合し、6時間攪拌しながら80℃で加熱し、液体原料2を得た。
〔体積抵抗率の測定〕
液体原料2をシート状に製膜し、十分に乾燥させたのち、厚さ500μmのシートを作製した。その後、実施例1で使用した抵抗測定機を用いて体積抵抗率を測定したところ、1×1013Ω・m(1×1015Ω・cm)(印加電圧は250V)であった。
〔表面層の作製〕
液体原料2を、内部に軸芯体を設置した内径φ8.41mmの円筒容器に注入し、30分間50℃で保温し、続いて0℃で1時間冷却して、該軸芯体の周面にポリ乳酸を析出させた。その後、該円筒容器内の溶媒(ジオキサン及び蒸留水)を、蒸留水で置換した。3時間後に、該容器内の水を再び蒸留水で置換した。3時間経過後、円筒容器から、周囲にポリ乳酸からなる膜が形成された軸芯体を取り出し、25℃で24時間、真空乾燥を行って、ポリ乳酸からなる多孔質膜を表面層として具備する導電性部材7を得た。得られた導電性部材7を、実施例1と同様に評価した。
なお、得られた表面層は、X線CT検査装置(商品名:TOHKEN−SkyScan2011(線源:TX−300)、マース東研X線検査株式会社製)を用いた表面層の厚さ測定の際の画像から、高分子材料(ポリ乳酸)からなる3次元的に連続な骨格と、3次元的に連続な開空孔を有する、共連続構造を有するものであった。
〔表面層の体積抵抗率の測定〕
導電性部材7の表面層を切り出し、直径5mmの電極間に100g重の荷重で挟みこみ100Vの電圧を印加した。電極間に流れる電流値、および電極間の厚みを測定することで表面層の体積抵抗率を測定した。その結果、1×1015Ω・m以上(1×1017Ω・cm以上)であった。
円筒容器の内径をφ8.5mmとした以外は実施例7と同様にして、導電性部材8を作製し、実施例1と同様に評価した。
<実施例9>
エレクトロスピニング法による噴射時間を776秒間とし、さらに80℃、3時間の加熱処理の工程を金属円筒に当接させながら行った以外は、実施例1と同様に導電性部材9を作製し、評価した。
<実施例10>
80℃、3時間の加熱処理の工程を金属円筒に当接させながら行った以外は、実施例6と同様に導電性部材10を作製し、評価した。
〔未加硫ゴム組成物の調整〕
下記の表1に示す種類と量の各材料を加圧式ニーダーで混合してA練りゴム組成物を得た。さらに、前記A練りゴム組成物166質量部と下記表2に示す種類と量の各材料をオープンロールにて混合し未加硫ゴム組成物を調製した。
〔軸芯体〕
快削鋼の表面に無電解ニッケルメッキ処理を施した全長252mm、外径6mmの丸棒を用意した。次にロールコーターを用いて、前記丸棒の両端部11mmずつを除く230mmの範囲に全周にわたって、接着剤としてメタロックU−20(商品名、(株)東洋化学研究所製)を塗布した。本実施例において、前記接着剤を塗布した丸棒を導電性の軸芯体として使用した。
〔導電性弾性層(導電性樹脂層)〕
次に、導電性の軸芯体の供給機構、未加硫ゴムローラの排出機構を有するクロスヘッド押出機の先端に内径12.5mmのダイスを取付け、押出機とクロスヘッドの温度を80℃に、導電性の軸芯体の搬送速度を60mm/秒に調整した。この条件で、押出機より未加硫ゴム組成物を供給して、クロスヘッド内にて導電性の軸芯体の外周部を未加硫ゴム組成物で被覆し、未加硫ゴムローラを得た。次に、170℃の熱風加硫炉中に未加硫ゴムローラを投入し、60分間加熱することでゴム組成物を加硫し、軸芯体の外周部に弾性層が形成されたローラを得た。その後、弾性層の両端部を各10mm切除して除去し、弾性層部の長手方向の長さを231mmとした。最後に、弾性層の表面を回転砥石で研磨した。これによって、中央部から両端部側へ各90mmの位置における各直径が8.4mm、中央部直径が8.5mmの導電性部材11を得た。得られた導電性部材11を実施例1と同様の評価を行った。
比較例1で得た導電性部材11に対して、ポリウレタン溶液をディッピング塗工して、導電性部材11の外周に厚さ3μmのポリウレタン層を有する導電性部材12を得た。得られた導電性部材12を実施例1と同様の評価を行った。なお、比較例2における評価(1)は帯電不良により、ハーフトーン画像が出力せず評価を行うことが出来なかった。
12‥‥軸芯体
13‥‥導電性樹脂層
Claims (4)
- 導電性支持体と、
該導電性支持体の上に形成されてなる表面層とを有する、電子写真感光体に接触させて該電子写真感光体を帯電させるための帯電部材であって、
該表面層は、
厚さが1μm〜200μmであり、
体積抵抗率が、少なくとも1.0×10 10 Ω・cmであり、
高分子材料からなる3次元的に連続な骨格と3次元的に連続な開空孔を有する多孔質体であり、
該多孔質体は空孔率が40%〜98%であり、
該多孔質体の比表面積が、0.5μm 2 /μm 2 〜100μm 2 /μm 2 であり、
該帯電部材は、下記(1)及び(2)を満たすことを特徴とする帯電部材:
(1)該帯電部材の表面に対して、1mmの間隙を有するようにコロナ放電器のグリッド部を配置し、次いで、該コロナ放電器に8kVの電圧を印加して放電させ、該帯電部材の表面を帯電させた場合に、放電終了から10秒後の該帯電部材の表面電位が10V以上である;
(2)該帯電部材と、被帯電体としてのポリエチレンテレフタレートフィルムとの間に直流電圧を印加して該被帯電体を帯電させた場合に、該帯電部材と該ポリエチレンテレフタレートフィルムとの間への印加電圧をVin、該被帯電体の帯電電位をVd、放電開始電圧をVthとしたとき、|Vin|>|Vth|の範囲において、|Vd|≧|Vin|−|Vth|である。 - 前記表面層が、平均繊維径が0.01〜40μmの繊維からなる繊維層である請求項1に記載の帯電部材。
- 電子写真装置の本体に着脱可能に構成されているプロセスカートリッジであって、電子写真感光体と、帯電部材とを有しており、該帯電部材が、請求項1または2に記載の帯電部材であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
- 請求項1または2に記載の帯電部材と、電子写真感光体とを有することを特徴とする電子写真装置。
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