JP2019045721A - 電子写真用の導電性部材及びその製造方法、プロセスカートリッジ、並びに電子写真装置 - Google Patents
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Description
該中間層は非導電性であり、かつ放射線崩壊型樹脂Aを含み、
該表面層は多孔質体であり、下記(1)、(2)及び(3)の条件を満たす電子写真用の導電性部材が提供される:
(1)該多孔質体が3次元的に連続な骨格と3次元的に連続な細孔とを含む共連続構造を有する;
(2)該表面層の表面の、任意の150μm四方の領域を撮影し、該領域を縦に15等分、横に15等分したときに、該骨格のみからなる正方形群の数と該細孔のみからなる正方形群の数との合計が該正方形群全体の数の25%以下である;
(3)該表面層が非導電性である。
高分子材料と溶剤との相分離により前記表面層の前記多孔質体を形成する工程を含むことを特徴とする電子写真用の導電性部材の製造方法が提供される。
本発明の一態様に係る電子写真用の導電性部材は、導電性支持体と、該導電性支持体上の中間層と、該中間層上の表面層とを有する。ここで、該中間層は非導電性であり、かつ放射線崩壊型樹脂Aを含む。また、該表面層は多孔質体であり、下記(1)、(2)及び(3)の条件を満たす:
(1)該多孔質体が3次元的に連続な骨格と3次元的に連続な細孔とを含む共連続構造を有する;
(2)該表面層の表面の、任意の150μm四方の領域を撮影し、該領域を縦に15等分、横に15等分したときに、該骨格のみからなる正方形群の数と該細孔のみからなる正方形群の数との合計が該正方形群全体の数の25%以下である;
(3)該表面層が非導電性である。
図3(a)及び図3(b)に、導電性部材の一例の断面図を示す。図3(a)に示される導電性部材は、導電性支持体32と、中間層33と、表面層31とによって構成されている。導電性支持体32は、導電性軸芯体としての芯金からなる。中間層33は、導電性支持体32の外側に形成されており、放射線崩壊型樹脂Aを含み、非導電性である。表面層31は、中間層33の外周に形成されており、多孔質体である。
導電性支持体は、前述したように導電性軸芯体からなってもよく、導電性軸芯体と、該導電性軸芯体上の導電性樹脂層とからなってもよい。
導電性軸芯体としては、電子写真用の導電性部材の分野で公知なものから適宜選択して用いることができる。例えば炭素鋼合金の表面に5μm程度の厚さのニッケルメッキを施した円柱を用いることができる。導電性軸芯体としては金属製の軸芯体が好ましい。放電時のエネルギーの一部が熱エネルギーに変換される場合、熱伝導率の高い金属製の軸芯体は熱エネルギーを逃がしやすく、導電性部材へのダメージが減少して、耐久性が高くなるためである。
導電性樹脂層を構成する材料としては、ゴム材料、樹脂材料等を用いることが可能である。ゴム材料としては、特に限定されるものではなく、電子写真用の導電性部材の分野において公知のゴム材料を用いることができ、具体的には以下のものが挙げられる。エピクロルヒドリンホモポリマー、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル3元共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体の水素添加物、シリコーンゴム、アクリルゴム及びウレタンゴム等。樹脂材料としては、電子写真用の導電性部材の分野において公知の樹脂材料を用いることができる。具体的には、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。これらの中でも、導電性樹脂層を構成する材料としてはアクリロニトリル系ゴムが好ましい。導電性樹脂層を構成する材料がアクリロニトリル系ゴムである場合、放電に際してエネルギーが印加された場合にも中間層との反応性が乏しく、副生成物の副生及びそれに伴う抵抗値の変動が起こりにくいためである。
前述したように、導電性部材へ放電によるエネルギーが印加された際に、酸化や副生成物の副生により、表面層から導電性支持体へ蓄積電荷が漏えいし、放電安定性と汚れ付着抑制の効果が低減する。本発明者等は鋭意検討の結果、放射線崩壊型樹脂Aを含む非導電性の中間層を設けることで、表面層から導電性支持体への蓄積電荷の漏えいを長期にわたり抑制できることを見出した。
中間層は、蓄積された電荷の導電性支持体への漏えいを抑制するために、非導電性である。本発明において「非導電性」とは、体積抵抗率が1×1010Ω・cm以上であることを示す。中間層の体積抵抗率は、1×1012Ω・cm以上1×1017Ω・cm以下であることが好ましい。該体積抵抗率が1×1012Ω・cm以上であることにより、表面層に蓄積された電荷の漏えいを十分に抑制できる。一方、該体積抵抗率が1×1017Ω・cm以下であることにより、表面層の細孔内放電の電荷の供給が十分に可能となる。さらに、該体積抵抗率が1×1015Ω・cm以上1×1017Ω・cm以下であることにより、中間層自体のチャージアップが大きくなる。中間層は一体化しているため、チャージアップさせるとそのばらつきを低減でき、汚れ付着抑制効果を均一化できるためより好ましい。
中間層は非導電性であり、放射線崩壊型樹脂Aを含む。中間層が放射線崩壊型樹脂Aを含み、かつ非導電性であれば、前述したように放電を受けても低抵抗化しないため、表面層と導電性支持体との間における蓄積電荷の漏えいを遮断することが可能となる。これにより、長期に亘って汚れ付着抑制効果を維持することができる。
(2)−C(CH3)3、
(3)−CH(CH3)2、
(4)−CH(CH3)−C(CH3)3、
(5)−C(CH3)2−CH(CH3)2。
樹脂が放射線崩壊型樹脂であるか否かは、放射線、又はそれに相当するエネルギーを印加する処理前後での分子量変化を測定することで、判定が可能である。例えば樹脂に対してコロナ放電を実施して、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定による分析を行う。GPC測定においては、対象樹脂を溶媒に溶解させて溶液にする。ここで溶媒としては、トルエン、クロロベンゼン、テトラヒドロフラン(THF)、トリフロロ酢酸、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(HFIP)、ギ酸などから、対象樹脂を最も溶解しやすい溶媒を用いる。該溶媒に対象樹脂を1質量%以上溶解させて、溶液を調製する。該溶液を用いて、溶解している対象樹脂のGPC測定を行う。分子量がコロナ放電処理前の分子量以下となった場合には、分子骨格の切断が優先して起こっていることを示し、放射線崩壊型と判断される。一方、分子量が増加する場合には放射線架橋型と判断される。
中間層の厚さ(膜厚)は、1μm以上5μm以下であることが好ましい。該膜厚が1μm以上であることにより、表面層に蓄積された電荷が導電性支持体へ漏えいすることを抑制でき、汚れ付着抑制の効果が維持できる。また、該膜厚が5μm以下であることにより、電荷が十分に蓄積されるため、放電量が不足することに起因した帯電不良を抑制できる。該膜厚は1.5μm以上4.5μm以下であることがより好ましく、2μm以上4μm以下であることが更に好ましい。
中間層の構造は、本発明の効果が発揮されれば特に限定されず、例えば固体膜、多孔質体などであることができるが、固体膜であることが好ましい。中間層が固体膜であることにより、放電のエネルギーによる影響が表面層から離れた部分に及びにくくなり、導電性支持体に近い部分で低抵抗になりにくく、蓄積された電荷の導電性支持体への漏洩が抑制される。
中間層は、導電性支持体上に次のような公知の方法によって形成可能である。ディッピング法、ロールコート法、スプレー法、静電塗布方法等のコーティング方法、押し出しや多色成形等のチューブ成形方法、インフレーション成形方法、ブロー成形方法、ラミネート等及びそれらの組み合わせ。全面に亘って1μm以上5μm以下の膜厚で形成することができ、均一な蓄積電荷をもたせることが可能となる点で、ディッピング法で中間層を形成することが好ましい。
表面層は多孔質体であり、下記(1)、(2)及び(3)の条件を満たす。
表面層の多孔質体は、3次元的に連続な骨格と3次元的に連続な細孔とを含む共連続構造を有する。多孔質体内の放電で生じる電荷が感光ドラム表面に到達するためには、細孔が3次元的に連続であることが必要である。ここで、3次元的に連続な細孔とは、次の2つの特徴を有する細孔を示す。第一に、該細孔は表面層の表面のある開口部と別の複数の開口部とをつないでいる。第二に、該細孔は複数の分岐を有しており、該分岐から中間層表面につながる箇所を複数個有する。また、このような細孔を有する多孔質体を構築するためには、骨格も3次元的に連続である必要がある。このように、細孔も骨格も3次元的に連続な構造であることを、本発明では共連続構造と言う。表面層の多孔質体が共連続構造を有し、複数の分岐が存在することにより、表面層内で放電が進展、成長した先に骨格が存在し、該骨格が放電を分断するため、正常放電が異常放電にまで成長することを抑制することができる。また、汚れの接触面積を低減して汚れの付着を抑制できる。さらに、仮に汚れが付着しても、細孔を通ってきた放電電荷が該汚れに付着することで、汚れの電荷を反転させ、静電的に剥離することが可能になる。なお、放電は電界の方向に従って円錐状に拡散するため、電界の方向に太くて直線的な孔が存在すると、異常放電まで成長し、白抜け画像が発生する可能性がある。したがって、電界と同じ方向、すなわち、厚み方向に直線的に配置される貫通孔は極力少なく、かつ、微細であることが好ましい。
表面層の多孔質体は微細な構造を有する。すなわち、表面層の表面の、任意の150μm四方の領域を撮影し、該領域を縦に15等分、横に15等分したときに、該骨格のみからなる正方形群の数と該細孔のみからなる正方形群の数との合計は、該正方形群全体の数の25%以下である。細孔を微細にすることで表面積も大きくなるため、放電時に局所的にエネルギーがかかることを抑制できる。これにより、局所的な抵抗値の低下を抑制でき、結果として蓄積された電荷の漏洩の抑制が可能であり、異常放電を抑制できる。
表面層は非導電性である。前述したように、「非導電性」とは、体積抵抗率が1×1010Ω・cm以上であることを示す。表面層が非導電性であることにより、表面層の骨格が放電により帯電電圧とは逆極性のイオンを捕捉し、チャージアップすることができる。表面層がチャージアップすると、静電的な反発により汚れの付着を低減することができ、さらに付着した汚れに細孔内の放電が照射されることにより、汚れの電荷を反転させて剥離させることができる。
表面層の多孔質体は、3次元的に連続な骨格と3次元的に連続な細孔を有していればその細孔の断面形状は特に限定されないが、例えば円形、楕円形、四角形等の多角形、半円形等であることができる。十分な放電電荷量を確保して放電の際のエネルギーが分散するように、表面積は大きいほうが好ましく、細孔の断面形状は円形でないことが好ましい。この場合、表面層の抵抗低下が抑制され、蓄積された電荷の導電性支持体への漏えいが抑制され、汚れによる画像不良が抑制される。
表面層の多孔質体を構成する骨格の材料は、該多孔質体を形成できる限りにおいて特に制限はなく、有機樹脂、シリカ、チタニア等の無機材料、該有機樹脂と該無機材料とをハイブリッド化させた材料等を用いることができる。ここで有機樹脂とは、分子量が大きい材料を示し、半合成高分子や合成高分子等のモノマーを重合させて得られるポリマーや、天然高分子等の分子量の大きい化合物を表す。
表面層の形成方法は、多孔質体を表面層として形成できる限りにおいて特に制限はなく、例えば次のような方法を挙げることができる。高分子材料溶液の相分離を利用して多孔質体を形成する方法、発泡剤を利用して多孔質体を形成する方法、レーザー等のエネルギー線を照射して多孔質体を形成する方法等。これらの中でも、微細かつ複雑な空孔及び骨格を形成することができるため、高分子材料溶液の相分離を利用する方法が好ましい。ここで、高分子材料溶液とは、高分子材料と溶剤とを含む溶液を表す。高分子材料溶液の相分離を利用する方法としては、例えば以下の3つの方法が挙げられる。
1.複数の高分子材料又は高分子材料の前駆体と溶剤とを混合し、温度、湿度、溶剤濃度、高分子材料の重合に伴う複数の高分子材料間の相溶性等を変化させることにより、高分子材料と高分子材料との相分離を誘発する。その後、一方の高分子材料を除去することによって、連続骨格と連続空孔が共存する多孔質体を得る。
2.高分子材料又は高分子材料の前駆体と溶剤とを混合し、温度、湿度、溶剤濃度、高分子材料の重合に伴う高分子材料と溶剤との相溶性等を変化させることにより、高分子材料と溶剤との相分離を誘発する。その後、溶剤を除去することによって、連続骨格と連続空孔が共存する多孔質体を得る。
3.高分子材料、水、溶剤、界面活性剤及び重合開始剤を混合し、油中水滴型エマルジョンを調製する。油中にて高分子材料を重合させた後、水を除去することによって、連続骨格と連続空孔が共存する多孔質体を得る。
表面層の厚さ(膜厚)は、1μm以上30μm以下であることが好ましい。表面層の厚さが1μm以上であることにより、骨格が十分にチャージアップし、異常放電を抑制できる。また、表面層の厚さが30μm以下であることにより、細孔内の放電が感光ドラムへ到達し、帯電不足を伴わずに画像形成を行うことができる。表面層の厚さは1μm以上20μm以下であることがより好ましく、5μm以上20μm以下であることがさらに好ましい。表面層の厚さが20μm以下であることにより、表面層に付着した汚れの極性を好適に反転し、汚れ付着に由来する画像不良をより抑制することができる。
表面層の多孔質体の空孔率は、本発明の効果を損なわない範囲であればよく、具体的には40%以上95%以下であることが好ましい。該空孔率が40%以上であることにより、画像形成に十分な量の細孔内放電を発生させることができる。また、該空孔率が95%以下であることにより、放電時に場所あたりに受けるエネルギーが少なくなるため、耐汚れ性の低下が抑制され、黒ポチ画像が発生しにくくなる。該空孔率は50%以上90%以下がより好ましく、60%以上85%以下が更に好ましい。
導電性部材は、離間部材を有していてもよい。離間部材は、感光ドラムと表面層とを離間でき、かつ、本発明の効果を妨げない限りにおいて制限はなく、例えばリング、スペーサ等が挙げられる。離間部材を導入する方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。導電性部材がローラ形状の場合、導電性部材よりも外径が大きく、かつ、感光ドラムと導電性部材との空隙を保持できる硬度を有するリングを、リングと導電性部材との回転中心が同じ位置になるように配置する方法。導電性部材がブレード形状である場合、導電性部材と感光ドラムとが摩擦、摩耗しないように、両者を離間できるようなスペーサを導入する方法。
本発明の一態様に係るプロセスカートリッジは、電子写真装置の本体に着脱可能に構成されているプロセスカートリッジであって、本発明の一態様に係る導電性部材を具備している。該導電性部材を帯電ローラとして具備している電子写真用のプロセスカートリッジの一例を図6に示す。図6に示されるプロセスカートリッジは、現像装置と帯電装置とを一体化し、電子写真装置の本体に着脱可能に構成されたものである。現像装置は、少なくとも現像ローラ63とトナー容器66とを一体化したものであり、必要に応じてトナー供給ローラ64、トナー69、現像ブレード68、及び攪拌羽610を備えていてもよい。帯電装置は、感光ドラム61、クリーニングブレード65、及び帯電ローラ62を少なくとも一体化したものであり、廃トナー容器67を備えていてもよい。帯電ローラ62、現像ローラ63、トナー供給ローラ64、及び現像ブレード68には、それぞれ電圧が印加されるようになっている。
本発明の一態様に係る電子写真装置は、本発明の一態様に係る導電性部材を具備している。該導電性部材を帯電ローラとして具備している電子写真装置の一例を図7に示す。図7に示される電子写真装置は、四つの前記プロセスカートリッジが着脱可能に装着されたカラー電子写真装置である。各プロセスカートリッジには、ブラック、マゼンダ、イエロー、シアンの各色のトナーが使用されている。感光ドラム71は矢印方向に回転し、帯電バイアス電源から電圧が印加された帯電ローラ72によって一様に帯電され、露光光711により、その表面に静電潜像が形成される。一方、トナー容器76に収納されているトナー79は、攪拌羽710によりトナー供給ローラ74へと供給され、トナー供給ローラ74から現像ローラ73上に搬送される。そして現像ローラ73と接触配置されている現像ブレード78により、現像ローラ73の表面上にトナー79が均一にコーティングされるとともに、摩擦帯電によりトナー79へと電荷が与えられる。前記静電潜像には、感光ドラム71に対して接触配置される現像ローラ73によって搬送されるトナー79が付与されて現像され、トナー像として可視化される。
〔1.導電性支持体の作製〕
段階的に外径が異なる全長252mmの丸棒状の快削鋼を、導電性軸芯体として用意した。前記丸棒状の快削鋼の両端部11mmずつを除く中央部230mmの範囲は外径が8.5mmであり、両端部11mmの部分は外径が6mmである。前記丸棒状の快削鋼を導電性支持体A1として用いた。
ポリメタクリル酸ターシャリーブチル(PtBMA)(シグマアルドリッチ製、重量平均分子量:17.0万)をN,N−ジメチルアセチルアミド(DMAC)に2質量%溶解し、塗工液1を得た。前記導電性支持体A1を、その長手方向を鉛直方向にして塗工液1中に浸漬して、ディッピング法で塗工液1を塗工した。浸漬時間は9秒間であった。引き上げ速度は、初期速度が20mm/秒、最終速度が3mm/秒、その間は時間に対して直線的に速度を変化させた。得られた塗工物を常温で30分間風乾し、温度160℃に設定した熱風循環乾燥機中において15分間乾燥して、中間層を有する導電性ローラA1を得た。
骨格材料としてのポリビニルアルコール(PVA、重量平均分子量:15.0万、けん化度:87〜89モル%、シグマアルドリッチ社製)12g、水120mLをナスフラスコに加え、撹拌及び加熱還流させて水溶液を得た。該水溶液を50℃に冷却し、そこへ、水58mlとアセトン130mlの混合溶媒を加え、PVA溶液を調製した。導電性ローラA1をセットした型に該PVA溶液を注入した後密封し、20℃で12時間静置した。イソプロピルアルコールで3回洗浄し、混合溶媒中の水をイソプロピルアルコールに置換した。その後24時間常温で減圧乾燥を行い、イソプロピルアルコールを除去して表面層を有する導電性部材A1を製造した。
得られた導電性部材A1を以下の評価試験に供した。評価結果を表5に示す。なお、導電性部材がローラ形状の導電性部材である場合、x軸方向、y軸方向、及びz軸方向は、それぞれ以下の方向を意味する。x軸方向は、ローラ(導電性部材)の長手方向である。y軸方向は、x軸に直交するローラ(導電性部材)の横断面(すなわち、円形断面)における接線方向である。z軸方向は、x軸に直交するローラ(導電性部材)の横断面における直径方向である。また「xy平面」とはz軸に直交する平面を意味し、「yz断面」とはx軸に直交する断面を意味する。
中間層の非導電性の評価は以下の方法により行った。中間層の体積抵抗率は、走査型プローブ顕微鏡(SPM)(商品名:Q−Scope250、Quesant Instrument Corporation社製)を用い、コンタクトモードで測定した。
上記評価4−1において、各試験片から測定した中間層の厚みの平均値を、本評価における中間層の厚さとした。
中間層を形成する樹脂が放射線崩壊型の樹脂であるか否かを、コロナ放電処理及びGPC測定によって確認した。具体的には、導電性部材A1から中間層をはぎ取って、試料の質量を測定した。その後、トルエン、クロロベンゼン、テトラヒドロフラン(THF)、トリフルオロ酢酸、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(HFIP)のうち、溶解しやすい溶媒を選択して1質量%の試料溶液を調製した。調製した試料溶液を用いて以下の条件にて分子量を測定した。温度40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定させ、この温度のカラムに溶離液として、試料の溶解に用いた溶媒を毎分1mLの流速で流した。該試料溶液100μLをカラムに注入した。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とリテンションタイムとの関係から算出した。単分散ポリスチレン標準試料には、TSKgel標準ポリスチレン「0005202」〜「0005211」(商品名、東ソー社製)を用いた。また、GPC装置にはGPCゲル浸透クロマトグラフ装置(商品名:HLC−8120、東ソー社製)、検出器には示差屈折率検出器(商品名:RI−8020、東ソー社製)を用いた。カラムには、市販のポリスチレンゲルカラム(商品名:TSK−GEL SUPER HM−M、東ソー社製)を3本組み合わせて用いた。コロナ放電処理前の導電性部材A1の中間層からサンプリングされた試料の重量平均分子量(Mw)は17.0万であった。
先ず、導電性部材A1の中間層をピンセットで剥離し、3mgのサンプルを得た。前記サンプルについて、示差走査熱量測定装置(商品名:DSC7020AS、ヤマト科学(株)製)を用いて、示差走査熱量測定を行った。温度−150℃にて30分間静置した後、10℃/分の昇温速度にて250℃まで温度を変化させながら、熱エネルギーの出入りを測定した。装置付属の解析ソフトにより、測定データを解析してガラス転移温度Tgを得た。
表面層の多孔質体の共連続構造の評価を以下の方法により行った。導電性部材A1の表面層に対して剃刀を当てて、x軸方向及びy軸方向に各250μmの長さ、z軸方向には、表面層の全体が含まれるように中間層を含む任意の深さで切片を切り出した。次に、X線CT検査装置(商品名:TX−300、(株)東研製)を用い、該切片に対して3次元再構築を行った。得られた3次元像から、z軸に対して間隔1μmで2次元のスライス画像(xy平面と平行)を切り出した。次に、これらのスライス画像を2値化し、骨格部と細孔部を識別した。該スライス画像をz軸に対して順に確認していき、骨格部及び細孔部が3次元的に連続であるか否かを確認した。これにより、共連続構造の有無を判断した。
表面層の微細さの評価を次のようにして行った。前記評価4−5で用いた切片の表面を白金蒸着して蒸着切片を得た。次いで、該蒸着切片の表面をz軸方向から、走査型電子顕微鏡(SEM)(商品名:S−4800、(株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて1000倍で撮影し、表面画像を得た。該表面画像を、画像処理ソフト(商品名:Imageproplus、MediaCybernetics社製)を使用して、150μm四方の領域をグレースケール化、2値化し、さらにエッジ抽出を施して骨格と空孔の境界線を抽出し、境界線画像を得た。この時、背景を白色、該境界線を黒色とした。次いで、2.5μm四方の黒色のグリッド線を白色の背景上に縦に14本、横に14本作製し、合計225個の白色セルを有するグリッド画像を形成した。該境界線画像と該グリッド画像とを重ね合わせて、評価画像を得た。該評価画像において、骨格のみからなる正方形群と細孔のみからなる正方形群は、2.5μm四方の領域内に境界線を含まない。そのため、該評価画像中で、2.5μmグリッドと同じ面積のセルの個数の割合をImageproplusのカウント機能によって算出した。評価は以下の基準で行った。
ランクB:該骨格のみからなる正方形群の数と該細孔のみからなる正方形群の数の合計が、正方形群全体の数の5%を超えて、15%以下である。
ランクC:該骨格のみからなる正方形群の数と該細孔のみからなる正方形群の数の合計が、正方形群全体の数の15%を超えて、25%以下である。
ランクD:該骨格のみからなる正方形群の数と該細孔のみからなる正方形群の数の合計が、正方形群全体の数の25%を超える。
表面層の細孔の断面形状の評価は次のようにして行った。前記評価4−5のX線CTの測定で得られた2次元のスライス画像を2値化して得られる2値化画像において、各々の細孔の周囲長をL、細孔の面積をSとし、円形度K=L2/4πSを算出した。導電性部材A1を長手方向に10個の領域に10等分し、それぞれの領域内から任意に1点ずつ、合計10点から該2値化画像を取得して円形度Kの算出を行い、その平均値を円形度Kとした。
表面層の厚さは次のようにして評価した。前記評価4−5のX線CTの測定で得られた2次元のスライス画像を2値化し、多孔質部と空孔部を識別した。2値化したスライス画像それぞれにおいて、多孔質部の占める割合を数値化し、導電性支持体から表面層側へ数値の確認を行い、該割合が2%以下になった点を表面層の最表面部とした。これにより、表面層の厚さを測定した。この作業を、導電性部材A1を長手方向に10等分して得られる各領域内の任意の1点(合計10点)に対して行い、得られる値を平均して表面層の厚さとした。
前記評価4−5のX線CTの評価で得られる3次元像において、細孔部の占める割合を数値化し、表面層の空孔率を求めた。この作業を、導電性部材A1を長手方向に10等分して得られる各領域内の任意の1点(合計10点)に対して行い、得られる値の平均値を表面層の空孔率とした。
表面層の非導電性の評価は以下の方法により行った。表面層の体積抵抗率は、走査型プローブ顕微鏡(SPM)(商品名:Q−Scope250、Quesant Instrument Corporation社製)を用い、コンタクトモードで測定した。
まず、導電性部材A1を長手方向に10個の領域に等分した。そして、各領域における表面層をピンセットで採取し、10個の試料を用意した。該試料の各々を、ステンレス鋼製の金属プレート上に設置し、10個の測定切片を作製した。次に、各測定切片について、金属プレート上の試料に、SPMのカンチレバーを接触させ、カンチレバーに50Vの電圧を印加し、電流値を測定した。
また、該SPMで、電流値を測定した部分の試料の厚さを測定した。測定した厚さと、カンチレバーの接触面積とから、該電流値を体積抵抗率に変換した。各測定切片から得られた体積抵抗率の平均値を、本評価における表面層の体積抵抗率とした。
表面層を導電性部材A1から剥離して試験片とした以外は、中間層における評価(評価4−3、評価4−4)の方法と同様にして、表面層を形成する樹脂の放射線崩壊性の確認及びガラス転移温度Tgの評価を行った。
[評価5−1.耐久評価A]
(評価5−1−1.新品の導電性部材の蓄積電荷量の評価)
新品の導電性部材A1の表面電位(蓄積電荷量)を、次のようにして測定した。まず、電子写真装置として、電子写真方式のレーザープリンタ(商品名:Laserjet CP4525dn、HP社製)を用意した。ただし、導電性部材をより過酷な評価環境に置くために、該レーザープリンタを、単位時間当たりの出力枚数がオリジナルの出力枚数よりも多い、A4サイズの用紙で50枚/分となるように変更した。その際、記録メディアの出力スピードは300mm/秒、画像解像度は1,200dpiとした。レーザープリンタ専用のトナーカートリッジに、帯電ローラとして導電性部材A1を装着した。また、表面電位計(商品名:Model347 トレックジャパン社製)に接続した表面電位プローブ(商品名:Model555P−1 トレックジャパン社製)を、蓄積電荷量を測定できるように、上記電子写真のカートリッジ内に固定した。具体的には、表面電位プローブを導電性部材A1の表面に距離1mmで対向するようにポリイミドテープで固定した。このトナーカートリッジを該レーザープリンタに装填した。
評価5−1−1で使用したレーザープリンタを用いて、H/H環境(温度30℃、相対湿度80%の環境)下で、100000枚の電子写真画像を出力した。なお、出力は、2枚の画像を出力した後、感光ドラムの回転を完全に約3秒間停止させ、画像出力を再開するという間欠的な画像形成動作で行った。また、出力する画像は、サイズが4ポイントのアルファベットの「E」の文字が、A4サイズの紙の面積に対し被覆率が4%となるように印字されるような画像とした。さらに、当該電子写真画像の形成は、帯電ローラである導電性部材A1と感光ドラムとの間の印加電圧を−1,200Vとした。
ランクB:一部に軽微な汚れ付着に由来する画像欠陥(黒ポチ)が見られる。
ランクC:全面に軽微な汚れ付着に由来する画像欠陥(黒ポチ)が見られる。
ランクD:全面に汚れ付着に由来する画像欠陥(黒ポチ)が見られ、かつ、画像欠陥が縦スジとして観察される。
上記評価5−1−2に供した導電性部材A1の蓄積電荷量を、上記評価5−1−1と同様にして測定した。
評価5−1−2に係る評価結果が、ランクAまたはランクBであった場合に、本耐久評価Bを行った。
帯電ローラである導電性部材A1と感光ドラムとの間の印加電圧を−1,500Vとした以外は、上記評価5−1−1と同様にして蓄積電荷量を測定した。
耐久試験Bとして、100000枚の電子写真画像の出力時、およびハーフトーン画像の出力時の導電性部材A1と感光ドラムとの間の印加電圧を−1,500Vとした以外は、評価5−1−2と同様に評価した。
上記評価5−2−2に供した導電性部材A1の蓄積電荷量を、評価5−2−1と同様にして測定した。
中間層の形成に、表1に示す塗工液2〜17を用いた以外は、実施例1と同様に導電性部材A2〜A17を作製した。
PEMA:ポリメタクリル酸エチル(R1:−CH2CH3)
PBMA:ポリメタクリル酸ブチル(R1:−CH2CH2CH2CH3)
PiBMA:ポリメタクリル酸イソブチル(R1:−CH2CH(CH3)2)
PiPMA:ポリメタクリル酸イソプロピル(R1:−CH(CH3)2)
P(B−iB)MA:メタクリル酸ブチル−メタクリル酸イソブチル共重合体
P(B−E)MA:メタクリル酸ブチル−メタクリル酸エチル共重合体
PCMA:ポリメタクリル酸シクロヘキシル(R1:−Cy)
PMS:ポリ−α−メチルスチレン
POM:ポリアセタール
PIB:ポリイソブチレン
PS:ポリスチレン
DMAC:N,N−ジメチルアセトアミド
HFIP:1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール。
表2に示される種類と量の各材料を加圧式ニーダーで混合してA練りゴム組成物を得た。さらに、前記A練りゴム組成物166質量部と、表3に示される種類と量の各材料とをオープンロールにて混合して、B練りゴム組成物を調製した。
表4に記載の材料をオープンロールにて混合して、未加硫ゴム組成物を調製した。実施例18におけるB練りゴム組成物を、該未加硫ゴム組成物に変えた以外は、実施例18と同様にして導電性ローラを得た。該導電性ローラを用いたこと以外は、実施例1と同様にして導電性部材A19を製造した。
導電性支持体として、アルミニウム製の導電性支持体を用いた以外は、実施例1と同様に導電性部材A20を製造した。
骨格材料としてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)(重量平均分子量:53.0万、シグマアルドリッチ社製)12g、DMAC200mLをナスフラスコに加え、撹拌及び加熱還流させて溶液を得た。そこへ、DMAC55mlとエチレングリコール45mlの混合溶媒を加え、PVDF溶液を調製した。実施例1の導電性ローラA1をセットした型に該PVDF溶液を注入した後密封し、20℃で12時間静置した。イソプロピルアルコールで3回洗浄し、その後24時間常温で減圧乾燥を行い、イソプロピルアルコールを除去して導電性部材A21を製造した。
骨格材料としてのポリスチレン(PS)(重量平均分子量:26.2万、シグマアルドリッチ社製)15g、クロロホルム200mLをナスフラスコに加え、撹拌及び加熱還流させて溶液を得た。そこへ、クロロホルム40mlとシクロヘキサン60mlの混合溶媒を加え、PS溶液を調製した。実施例1の導電性ローラA1をセットした型に該PS溶液を注入した後密封し、20℃で12時間静置した。洗浄、乾燥により導電性部材A22を製造した。
骨格材料としての酢酸セルロース(商品名:L−70、ダイセル株式会社製、酢化度:55%)6g、溶剤としてのアセトン250g、1−オクタノール47gをナスフラスコに加え、攪拌し、酢酸セルロースを溶解させて酢酸セルロース溶液を調製した。該酢酸セルロース溶液を実施例1の導電性ローラA1に1回ディッピング塗布し、23℃で30分間以上風乾し、次いで140℃に設定した熱風循環乾燥機にて1時間乾燥して、導電性部材A23を製造した。
骨格材料としてのポリアクリロニトリル(PAN)(重量平均分子量:15.0万、シグマアルドリッチ社製)12g、溶剤としてのジメチルスルホキシド255g、水40gをナスフラスコに加え、攪拌し、PAN溶液を調製した。該PAN溶液を実施例1の導電性ローラA1に1回ディッピング塗布し、25℃で12分間以上風乾して導電性部材A24を製造した。
骨格材料としてのキトサン(シグマアルドリッチ社製)2g、溶剤としての1mol/L酢酸水溶液100g、エチレングリコール0.2gを添加して、キトサン溶液を調製した。実施例1の導電性ローラA1をセットした型に該キトサン溶液を注入した後密封し、−6℃で6時間、−30℃で6時間静置した。その後、減圧下、−80℃で6時間冷却した後、2mol/L水酸化ナトリウム水溶液に24時間浸し、水洗浄して導電性部材A25を製造した。
骨格材料としてのPtBMA(シグマアルドリッチ社製、重量平均分子量:17.0万)12g、溶剤としてのDMAC200g、水40gを添加して、PtBMA溶液を調製した。実施例1の導電性ローラA1に該PtBMA溶液を1回ディッピング塗布し、25℃で30分間以上風乾し、次いで60℃に設定した熱風循環乾燥機にて1時間乾燥して、導電性部材A26を作製した。導電性部材A26について、実施例1と同様に評価した。
骨格材料としてのポリメタクリル酸メチル(PMMA)(シグマアルドリッチ社製、重量平均分子量:99.6万)16g、溶剤としての蒸留水55ml、エタノール230mlをナスフラスコに加えた。これを攪拌しながら加熱還流し、PMMAを溶解させてPMMA溶液を調製した。該PMMA溶液を実施例1の導電性ローラA1に1回ディッピング塗布し、23℃で30分間以上風乾し、次いで60℃に設定した熱風循環乾燥機にて1時間乾燥し、導電性部材A27を作製した。導電性部材A27について、実施例1と同様に評価した。
骨格材料としてのPiBMA(シグマアルドリッチ社製、重量平均分子量:30.1万)8g、溶剤としてのDMAC220g、水40gを添加して、PiBMA溶液を調製した。実施例1の導電性ローラA1に該PiBMA溶液を1回ディッピング塗布し、25℃で30分間以上風乾し、次いで30℃に設定した熱風循環乾燥機にて2時間乾燥し、導電性部材A28を作製した。
骨格材料としてのPCMA(シグマアルドリッチ社製、重量平均分子量:6.5万)18g、溶剤としてのDMAC240g、水40gを添加して、PCMA溶液を調製した。実施例1の導電性ローラA1に該PCMA溶液を1回ディッピング塗布し、25℃で30分間以上風乾し、次いで60℃に設定した熱風循環乾燥機にて2時間乾燥し、導電性部材A29を作製した。
実施例15で作製した酢酸セルロースの中間層を設けた導電性ローラA15に、実施例24〜26、28、29と同様に表面層を設けて導電性部材A30〜A34を作製した。
骨格材料としてのPVA(重量平均分子量:5.0万、けん化度:98〜99モル%、シグマアルドリッチ社製)22g、水140mLをナスフラスコに加え、撹拌及び加熱還流させて水溶液を得た。該水溶液を50℃に冷却し、そこへ、水45mlとアセトン100mlの混合溶媒を加え、PVA溶液を調製した。該PVA溶液を用いて表面層を形成した以外は、実施例1と同様に導電性部材A35を作製した。なお、表面層形成後、湿度50%、70℃で10分間熱処理を行い、表面を研磨により均質に整えることにより、導電性部材A35を得た。
前記熱処理を湿度50%、70℃で1時間実施した以外は、実施例35と同様にして導電性部材A36を製造した。
実施例1の表面層の形成において骨格材料として使用したPVA粉末を、冷凍粉砕機(商品名:JFC−2000、日本分析工業(株)製)を使用して凍結粉砕した。具体的には、該冷凍粉砕機のステンレス鋼製の試料容器内に、PVA粉末10gをタングステンカーバイド製鋼球と共に投入した。この容器を粉砕ロッドに装着したのち、粉砕ロッドを冷凍粉砕機の本体に装着した。その後、試料容器全体を液体窒素中に浸し、5分間冷却した後に、粉砕ロッドを、1000回/分で10分間往復させて、試料容器内のPVA粉末を粉砕した。次いで、試料容器を、室温A(23℃)まで戻した後、試料容器から、PVAの微粉末を取り出した。
PtBMA100質量部に対して、カーボンブラック(CB、朝日カーボン製、商品名:X15)を7質量部、5質量部、または、2質量部をそれぞれに加えた以外は、塗工液1と同様にして、塗工液1(2)〜塗工液1(4)を調製した。中間層の形成にこれらの塗工液を用いた以外は、実施例1と同様にして導電性部材A38〜A40を製造した。
PtBMA100質量部に対して、5質量部のp−ヒドロキノン(シグマアルドリッチ製)を加えた以外は、塗工液1と同様にして、塗工液1(5)を調製した。中間層の形成に、塗工液1(5)を用いた以外は、実施例1と同様に導電性部材A41を製造した。
実施例1の塗工液1の調製で使用したPtBMA粉末を、実施例37と同様にして凍結粉砕および分級を行って粒径0.5μm以上8μm以下のPtBMA微粉末を得た。導電性支持体A1をセットした型に、得られた粒径0.5μm以上8μm以下のPtBMA微粉末を投入して、120℃で1時間熱処理した。表面を研磨により均質に整え、中間層が多孔質体である導電性ローラA42を作製した。導電性ローラA42を用いた以外は実施例1と同様に導電性部材A42を製造した。
実施例1の導電性部材A1の中間層及び表面層の端部に、外径8.6mm、内径6mm、幅2mmのリングを離間部材として取り付け、導電性部材A43を製造した。
中間層を形成しなかった以外は、実施例1と同様にして導電性部材C1を製造した。
中間層の形成において、塗工液1の代わりに表1に示される塗工液18を用いた以外は、実施例1と同様に導電性部材C2を作製した。
塗工液1の調製において使用したPtBMA100質量部に対して、12質量部のカーボンブラック(CB、朝日カーボン製、商品名:X15)を加えた以外は、塗工液1と同様にして本比較例用の塗工液C1を調製した。塗工液C1を用いて中間層を形成した以外は、実施例1と同様に導電性部材C3を製造した。
表面層の形成において、実施例1で用いたPVA溶液に、PVA100質量部に対して7.5質量部のカーボンブラック(CB、朝日カーボン製、商品名:X15)を加えた溶液を用いた。それ以外は、実施例1と同様に導電性部材C4を製造した。
実施例6と同様に表面層まで形成した後、湿度50%、80℃で1時間熱処理を行った。表面を均一にして、厚さを調整するために表面を研磨して、導電性部材C5を得た。
前記熱処理を湿度50%、80℃で1時間実施した以外は、実施例35と同様に導電性部材C6を製造した。
比較例2に係る導電性部材C2は、中間層が放射線崩壊型樹脂を含まないため、耐久試験後の蓄積電荷量が大幅に減少し、画像評価が不良であった。
比較例3に係る導電性部材C3は、中間層が導電性であるため、耐久試験後の蓄積電荷量が大幅に減少し、画像評価が不良であった。
比較例4に係る導電性部材C4は、表面層が導電性であるため、十分な蓄積電荷量が得られず、画像評価が不良であった。
比較例5に係る導電性部材C5は、表面層が共連続構造を有さないため、十分な蓄積電荷量が得られず、耐久試験後の蓄積電荷量の減少率が大きく、画像評価が不良であった。
比較例6に係る導電性部材C6は、表面層の骨格が大きい(微細でない)ため、十分な蓄積電荷量が得られず、耐久試験後の蓄積電荷量の減少率が大きく、画像評価が不良であった。
32 導電性支持体(導電性軸芯体)
33 中間層
Claims (16)
- 導電性支持体と、該導電性支持体上の中間層と、該中間層上の表面層とを有する電子写真用の導電性部材であって、
該中間層は非導電性であり、かつ放射線崩壊型樹脂Aを含み、
該表面層は多孔質体であり、下記(1)、(2)及び(3)の条件を満たすことを特徴とする電子写真用の導電性部材:
(1)該多孔質体が3次元的に連続な骨格と3次元的に連続な細孔とを含む共連続構造を有する;
(2)該表面層の表面の、任意の150μm四方の領域を撮影し、該領域を縦に15等分、横に15等分したときに、該骨格のみからなる正方形群の数と該細孔のみからなる正方形群の数との合計が該正方形群全体の数の25%以下である;
(3)該表面層が非導電性である。 - 前記中間層の体積抵抗率が、1×1012Ω・cm以上1×1017Ω・cm以下である請求項1に記載の電子写真用の導電性部材。
- 前記中間層の体積抵抗率が、1×1015Ω・cm以上1×1017Ω・cm以下である請求項1に記載の電子写真用の導電性部材。
- 前記放射線崩壊型樹脂Aが、下記式(1)で示される構成単位を有するアクリル樹脂である請求項1から3のいずれか一項に記載の電子写真用の導電性部材:
- 前記R1が炭素数2以上6以下の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基である請求項4に記載の電子写真用の導電性部材。
- 前記R1が、下記式(2)から(5)で示される基からなる群から選択される少なくとも1つである請求項4又は5に記載の電子写真用の導電性部材:
(2)−C(CH3)3、(3)−CH(CH3)2、(4)−CH(CH3)−C(CH3)3、(5)−C(CH3)2−CH(CH3)2。 - 前記R1が−C(CH3)3である請求項4から6のいずれか一項に記載の電子写真用の導電性部材。
- 前記中間層の厚さが1μm以上5μm以下である請求項1から7のいずれか一項に記載の電子写真用の導電性部材。
- 前記表面層が放射線崩壊型樹脂Bを含む請求項1から8のいずれか一項に記載の電子写真用の導電性部材。
- 前記放射線崩壊型樹脂Bが、下記式(6)で示される構成単位を有するアクリル樹脂である請求項9に記載の電子写真用の導電性部材:
- 前記R6が炭素数2以上6以下の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基である請求項10に記載の電子写真用の導電性部材。
- 前記R6が−C(CH3)3である請求項10又は11に記載の電子写真用の導電性部材。
- 前記表面層の断面画像を撮影し、該断面画像における該細孔の周囲長をL、該細孔の面積をSとしたとき、L2/4πSで求められる円形度Kの算術平均が2以上である請求項1から12のいずれか一項に記載の電子写真用の導電性部材。
- 請求項1から13のいずれか一項に記載の電子写真用の導電性部材の製造方法であって、
高分子材料と溶剤との相分離により前記表面層の前記多孔質体を形成する工程を含むことを特徴とする電子写真用の導電性部材の製造方法。 - 電子写真装置の本体に着脱可能に構成されているプロセスカートリッジであって、請求項1から13のいずれか一項に記載の導電性部材を具備していることを特徴とするプロセスカートリッジ。
- 請求項1から13のいずれか一項に記載の導電性部材を具備していることを特徴とする電子写真装置。
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