JP5988824B2 - 電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

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本発明は、導電性高分子を固体電解質として用いる電解コンデンサの製造方法に関する。
導電性高分子は、その高い導電性により、例えば、タンタル電解コンデンサ、アルミニウム電解コンデンサ、ニオブ電解コンデンサなどの電解コンデンサの固体電解質として用いられている。
この用途における導電性高分子としては、例えば、チオフェンまたはその誘導体などを化学酸化重合または電解酸化重合することによって得られたものが用いられている。
上記チオフェンまたはその誘導体などの化学酸化重合を行う際のドーパントとしては、主として有機スルホン酸が用いられ、その中でも、芳香族スルホン酸が適しているといわれており、酸化剤としては、遷移金属が用いられ、その中でも第二鉄が適しているといわれていて、通常、芳香族スルホン酸の第二鉄塩がチオフェンまたはその誘導体などの化学酸化重合にあたって酸化剤兼ドーパントとして用いられている。
そして、その芳香族スルホン酸の第二鉄塩の中でも、パラトルエンスルホン酸第二鉄塩やメトキシベンゼンスルホン酸第二鉄塩などが特に有用であるとされていて、それらを用いた導電性高分子の合成は、それらの酸化剤兼ドーパントをチオフェンまたはその誘導体などの重合性モノマーと混合することにより行うことができ、簡単で、工業化に向いていると報告されている(特許文献1、特許文献2)。
しかしながら、上記のようにして得られる導電性高分子をそのまま電解コンデンサの固体電解質として用いた場合、充分に満足できる特性を有しているとは言えず、今後、ますます要求特性が高くなっていく電解コンデンサの固体電解質として用いるには、さらなる特性の向上が必要であると考えられる。
また、得られた導電性高分子を、電解コンデンサの固体電解質として用いる場合、化学酸化重合法で合成した導電性高分子は、通常、溶剤に対する溶解性がないため、タンタル、ニオブ、アルミニウムなどの弁金属の多孔体からなる陽極と、前記弁金属の酸化被膜からなる誘電体層とを有するコンデンサ素子上に直接導電性高分子の層を形成する必要があり、しかも、そのような「その場重合」と呼ばれる化学酸化重合法による導電性高分子層の形成では、1回の「その場重合」で形成される導電性高分子層の厚みが極めて薄いため、それだけで電解コンデンサの固体電解質として必要な量の導電性高分子層を形成するには、上記のような「その場重合」を何回も繰り返さなければならないという問題があった。
そこで、そのような作業上の制約がない可溶化導電性高分子の実用化が積極的に検討されている(特許文献3)。この特許文献3によれば、ポリスチレンスルホン酸、過硫酸アンモニウム、鉄塩、エチレンジオキシチオフェンなどを混合して、反応させれば、導電性高分子の分散液が得られると報告されている。しかしながら、それによって得られる導電性高分子も、そのまま電解コンデンサの固体電解質として用いた場合、充分に満足できる特性を有しているとは言えず、今後、ますます要求特性が高くなる電解コンデンサの固体電解質として用いるには、さらなる特性の向上が必要であると考えられる。
特開2003−160647号公報 特開2004−265927号公報 特許第2636968号公報
本発明は、上記のような事情に鑑み、ESR(等価直列抵抗)が低く、かつ高温耐湿性が優れた電解コンデンサを提供することを目的とする。
本発明は、導電性高分子を固体電解質として用いる電解コンデンサを製造するにあたり、アルミニウム、タンタルおよびニオブよりなる群から選ばれる少なくとも1種の弁金属の多孔体と上記弁金属の酸化被膜からなる誘電体層を有し、その表面に導電性高分子の層が形成されたコンデンサ素子に、ベンゼンスルホン酸またはその誘導体およびナフタレンスルホン酸またはその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種のスルホン酸と炭素数が5〜12のアルキル基を有するアルキルアミンとからなるスルホン酸アルキルアミン塩であって、5℃の水に対する溶解度が10質量%以下であるスルホン酸アルキルアミン塩が、20℃で5質量%以上の濃度で溶解し、かつ有機溶剤が20質量%以上の濃度で溶解している溶液を含浸し、乾燥する操作を少なくとも1回行った後、導電性高分子の分散液を含浸し、乾燥する操作を少なくとも1回行うことによって、電解コンデンサを製造するときは、ESRが低く、かつ高温耐湿性が優れた電解コンデンサが得られ、上記課題を解決できることを見出し、完成したものである。
本発明によれば、ESRが低く、かつ高温耐湿性が優れた電解コンデンサを提供することができる。
本発明によって、ESRが低く、かつ高温耐湿性が優れた電解コンデンサが得られるようになる理由については、現在のところ、必ずしも明確ではないが、次のように考えられる。
まず、ESRが低くなることについては、上記ベンゼンスルホン酸またはその誘導体およびナフタレンスルホン酸またはその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種のスルホン酸と炭素数が5〜12のアルキル基を有するアルキルアミンとからなるスルホン酸アルキルアミン塩であって、5℃の水に対する溶解度が10質量%以下であるスルホン酸アルキルアミン塩が、20℃で5質量%以上の濃度で溶解し、かつ有機溶剤が20質量%以上の濃度で溶解している溶液(以下、この溶液を「難溶性アミン系処理液」という場合がある)でコンデンサ素子上に形成されている導電性高分子層を処理することによって、該導電性高分子層とその上に形成される導電性高分子層との接触抵抗が低くなることによるものと考えられる。
そして、高温耐湿性が向上する理由については、次のように考えられる。
電解コンデンサ内に遊離の酸や解離しやすい塩が存在すると、高温高湿下では、上記遊離の酸や上記塩の解離によって生じた遊離の酸が、電解コンデンサの陰極を構成する銀ペーストを酸化したり、コンデンサ素子の陽極の誘電体層を構成する酸化被膜を劣化させてコンデンサ特性を低下させるおそれがある。しかし、上記のような難溶性アミン系処理液で処理した場合、遊離の酸や解離しやすい塩が解離しにくい塩に変えられ、それによって、遊離の酸によるコンデンサ特性の低下が抑制されることによるものと考えられる。
本発明においては、前記のように、ベンゼンスルホン酸またはその誘導体およびナフタレンスルホン酸またはその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種のスルホン酸と炭素数が5〜12のアルキル基を有するアルキルアミンとからなるスルホン酸アルキルアミン塩であって、5℃の水に対する溶解度が10質量%以下であるスルホン酸アルキルアミン塩が、20℃で5質量%以上の濃度で溶解し、かつ有機溶剤が20質量%以上の濃度で溶解している溶液を「難溶性アミン系処理液」という場合があるが、これは、次の理由に基づいている。
つまり、上記特定のスルホン酸との間で塩を形成させる炭素数が5〜12のアルキルアミンのうち、炭素数が最も小さいペンチルアミンは、水溶性に分類されている場合があるが、炭素数が4以下のアルキルアミンに比べると水に対して難溶性であり、このペンチルアミンと上記特定のスルホン酸とで形成されるスルホン酸アルキルアミンも5℃の水に対する溶解度が、前記のように、10質量%以下という難溶性であることに基づくものである。
なお、炭素数が6以上のアルキルアミンは水に対して不溶性になり、当然、それらと前記特定のスルホン酸との間で形成される塩は水に対する溶解度が上記ペンチルアミンより低くなるが、本書では、使用するアルキルアミンや形成されるスルホン酸アルキルアミン塩の中でも最も水に対する溶解性が高いものでも難溶性であることから、前記のように、「難溶性アミン系処理液」として、水溶性のものと区別するようにしている。そして、本発明では、既に導電性高分子層が形成されているコンデンサ素子に上記難溶性アミン系処理液を含浸し、その後、乾燥するが、その含浸は、具体的にはコンデンサ素子を上記難溶性アミン系処理液に浸漬するか、またはコンデンサ素子に上記難溶性アミン系処理液を吹き付けたり、塗布することによって行われる。そして、含浸後の乾燥は、含浸を上記難溶性アミン系処理液にコンデンサ素子を浸漬することによって行った場合には、コンデンサ素子を上記難溶性アミン系処理液から取り出してから行う。
上記ベンゼンスルホン酸またはその誘導体におけるベンゼンスルホン酸の誘導体としては、例えば、フェノールスルホン酸、トルエンスルホン酸、カルボキシフェノールスルホン酸、すなわち、例えば、2-ヒドロキシ-5-スルホベンゼンカルボン酸(つまり、スルホサリチル酸)、2-ヒドロキシ-4-スルホベンゼンカルボン酸、3-ヒドロキシ-5-スルホベンゼンカルボン酸、3-ヒドロキシ-4-スルホベンゼンカルボン酸、4-ヒドロキシ-3-スルホベンゼンカルボン酸などのカルボキシフェノールスルホン酸、ジカルホキシベンゼンスルホン酸、すなわち、例えば、スルホフタル酸、スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸などのジカルボキシベンゼンスルホン酸、メトキシベンゼンスルホン酸などが挙げられる。
また、ナフタレンスルホン酸またはその誘導体におけるナフタレンスルホン酸の誘導体としては、例えば、プロピルナフタレンスルホン酸、ブチルナフタレンスルホン酸、カルボキシナフタレンスルホン酸、ヒドロキシナフタレンスルホン酸などが挙げられる。
そして、炭素数が5〜12のアルキル基を有するアルキルアミンとしては、例えば、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ラウリルアミンなどが挙げられ、特にペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミンなど、炭素数が5〜8のアルキルアミンが特に好ましい。
そして、上記ベンゼンスルホン酸またはその誘導体およびナフタレンスルホン酸またはその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種のスルホン酸と炭素数が5〜12のアルキル基を有するアルキルアミンとからなるスルホン酸アルキルアミン塩としては、例えば、ベンゼンスルホン酸ペンチルアミン、ベンゼンスルホン酸ヘキシルアミン、ベンゼンスルホン酸ヘプチルアミン、ベンゼンスルホン酸オクチルアミン、ベンゼンスルホン酸ノニルアミン、ベンゼンスルホン酸デシルアミン、ベンゼンスルホン酸ラウリルアミン、スルホサリチル酸ヘプチルアミン(つまり、2−ヒドロキシ−5−スルホベンゼンカルボン酸へプチルアミン)で代表されるカルボキシフェノールスルホン酸ヘプチルアミン、スルホイソフタル酸ヘプチルアミンで代表されるジカルボキシベンゼンスルホン酸ヘプチルアミン、トルエンスルホン酸ヘプチルアミン、ナフタレンスルホン酸ヘプチルアミンなどが好ましい。なお、本書において、ベンゼンスルホン酸またはその誘導体およびナフタレンスルホン酸またはその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種のスルホン酸と炭素数が5〜12のアルキル基を有するアルキルアミンとからなる化合物を総称的に表すときは、該化合物が塩であることを明確にしておくために、スルホン酸アルキルアミン塩と、末尾に「塩」を付けて示しているが、上記スルホン酸アルキルアミン塩に属する具体的化合物を示すときは、例えば、ベンゼンスルホン酸ヘプチルアミンなど、末尾に「塩」を付けずに示す。
上記ベンゼンスルホン酸またはその誘導体およびナフタレンスルホン酸またはその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種のスルホン酸と炭素数が5〜12のアルキル基を有するアルキルアミン塩は、5℃の水に対する溶解度が10質量%以下であることを要するが、これは溶解度が上記より高くなると、高温高湿下において、スルホン酸アルキルアミン塩の解離によって生じる遊離の酸が、電解コンデンサの陰極を構成する銀ペーストを酸化したり、コンデンサ素子の陽極の誘電体層を構成する酸化被膜を劣化させて、コンデンサのESR特性や漏れ電流特性を悪化させるからである。
上記難溶性アミン系処理液を構成する有機溶剤としては、特に限定されることはないものの、沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤が好ましい。これは、上記難溶性アミン系処理液で処理したときに、該処理液中に含まれている沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤が、先に形成されている導電性高分子層を膨潤させ、乾燥する際に、導電性高分子の再配列を生じさせ、導電性高分子層をより緻密な構造にすることが、ESRを低減させるなど、電解コンデンサの特性向上に寄与するからである。ただし、上記のような導電性高分子の膨潤、再配列は、沸点が150℃未満の有機溶剤を用いた場合でも、生じさせ得るが、導電性高分子を電解コンデンサの固体電解質として用いるに際して、沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤が、沸点が150℃未満の有機溶剤より、より適した状態に導電性高分子を膨潤、再配列させ、導電性高分子層をより緻密な構造にすることから好ましい。
上記のような沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤としては、例えば、エチレングリコール(沸点:198℃)、ジメチルスルホキシド(沸点:189℃)、γ−ブチロラクトン(沸点:203℃)、スルホラン(沸点:285℃)、N−メチルピロリドン(沸点:202℃)、ジメチルスルホラン(沸点:233℃)、ブタンジオール(沸点:230℃)、ジエチレングリコール(沸点:244℃)、グリセロール(つまり、グリセリン)(沸点:290℃)、トリエチレングリコール200(沸点:288℃)などが挙げられるが、本発明においては、沸点が180℃から210℃のものが作業性や付与する特性の面から特に好ましく、具体的には、エチレングリコール(沸点:198℃)、ジメチルスルホキシド(沸点:189℃)、γ−ブチロラクトン(沸点:203℃)が特に好ましい。
上記難溶性アミン系処理液の調製にあたって用いる溶剤、つまり、上記のようなスルホン酸アルキルアミン塩や、沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤などの有機溶剤を溶解させた溶液を調製するにあたって用いる溶剤としては、特に限定されることはなく、例えば、エタノール、メタノール、プロパノール、ブタノールなどの炭素数1〜4の低級アルコール、水、アセトニトリル、アセトン、テトロヒドロフラン、酢酸エチルなどを用い得るが、特に、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、水などが好ましい。
本発明においては、上記難溶性アミン系処理液中におけるスルホン酸アルキルアミン塩(つまり、ベンゼンスルホン酸またはその誘導体およびナフタレンスルホン酸またはその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種のスルホン酸と炭素数が5〜12のアルキル基を有するアルキルアミンとからなるスルホン酸アルキルアミン塩)の20℃での濃度を5質量%以上にしているが、これは、上記スルホン酸アルキルアミン塩の濃度が5質量%より低い場合は、ESRを低くしたり、高温耐湿性を向上させるなどの効果が充分に発現しなくなるからであり、このスルホン酸アルキルアミン塩の濃度は高くなるほど、コンデンサ特性の向上に寄与するが、濃度が高くなりすぎると粘度が高くなって、作業性の低下などを招くので、高くても、50質量%程度までが好ましく、その範囲内で、特に5質量%以上が好ましく、8質量%以上がより好ましく、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
また、上記難溶性アミン系処理液中において、沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤などの有機溶剤の濃度が20℃において20質量%以上とするが、これは、上記沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤などの有機溶剤の濃度が20質量%より低い場合は、ESRを低くさせ、高温耐湿性を向上させるなどの効果が充分に発現しなくなるからであり、この沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤などの有機溶剤は上記溶液の溶剤部分のすべてを占めてもよい。
上記難溶性アミン系処理液に、例えば、p−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチル、p−ニトロフェノール、p−ヒドロキシベンゼンカルボン酸メチル、p−ヒドロキシベンゼンカルボン酸エチル、p−ヒドロキシベンゼンカルボン酸プロピル、p−ヒドロキシベンゼンカルボン酸、o−ヒドロキシベンゼンカルボン酸、o−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチル、m−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチル、o−ニトロフェノール、m−ニトロフェノール、ベンゼンジカルボン酸、ジニトロフェノールなどの添加剤を添加すると、コンデンサ特性をさらに向上させることができるので好ましい。その中でも、特にp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチル、p−ニトロフェノール、p−ヒドロキシベンゼンカルボン酸が、コンデンサ特性、特にESRを顕著に低減させることから好ましい。これらの添加剤は、上記処理液中に0.5質量%以上添加することが好ましく、1質量%以上添加することがより好ましいが、添加量が多くなりすぎると、ESRを増加させるおそれがあるので、上記処理液中に20質量%以下の濃度で添加することが好ましく、10質量%以下の濃度で添加することがより好ましい。そして、これらのベンゼン系添加剤は、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、カルボキシエステル基などの官能基を有しているが、それらの異なる官能基を有するベンゼン系添加剤を2種類以上併用すると、特性をより向上させることができるので好ましく、また、1つの化合物中に上記官能基を2種類以上有するベンゼン系化合物を用いると、官能基の異なる2種類以上の添加剤を併用する場合と同等またはそれ以上の効果が得られるので好ましい。
さらに、上記添加剤に加えて、アルコキシシラン化合物、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどを添加してもよいし、グリシジル化合物、例えば、エチレングリコールジグリシジル、ポリエチレングリコールジグリシジル、メタクリル酸グリシジル、グリシド酸、グリシド酸エステル、ペンタエリスリトールグリシジルエーテルなどを添加してもよい。また、エポキシ樹脂や、多価アルコール、例えば、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール600、ポリエチレングリコール1500、ジグリセロール、ポリグリセロールなどを添加してもよい。上記のような添加剤を添加すると、コンデンサ特性、特に静電容量を大きくさせたり、破壊電圧を高くさせ、耐電圧特性を向上させることができる。これらの添加剤は、上記処理液中に0.1質量%以上添加することが好ましく、0.5質量%以上添加することがより好ましいが、添加量が多くなりすぎると、ESRを増加させるおそれがあるので、添加量を処理溶液中10質量%以下にすることが好ましく、5質量%にすることがより好ましい。そして、これらの添加剤は、例えば、アルコキシシラン化合物とグリシジル化合物というように、系列の異なるものを2種類以上添加すると、特性をより向上させることができるので好ましい。
本発明において用いる導電性高分子の分散液を調製するにあたって、導電性高分子を合成するためのモノマーとしては、チオフェンまたはその誘導体、ピロールまたはその誘導体、アニリンまたはその誘導体などを用い得るが、チオフェンまたはその誘導体が好ましい。
上記チオフェンまたはその誘導体におけるチオフェンの誘導体としては、例えば、3,4−エチレンジオキシチオフェン、3−アルキルチオフェン、3−アルコキシチオフェン、3−アルキル−4−アルコキシチオフェン、3,4−アルキルチオフェン、3,4−アルコキシチオフェンや、上記の3,4−エチレンジオキシチオフェンをアルキル基で修飾したアルキル化エチレンジオキシチオフェンなどが挙げられ、そのアルキル基やアルコキシ基の炭素数は1〜16が好ましく、特に1〜4が好ましい。
上記の3,4−エチレンジオキシチオフェンをアルキル基で修飾したアルキル化エチレンジオキシチオフェンについて詳しく説明すると、上記3,4−エチレンジオキシチオフェンやアルキル化エチレンジオキシチオフェンは、下記の一般式(1)で表される化合物に該当する。
Figure 0005988824
(式中、Rは水素またはアルキル基である)
そして、上記一般式(1)中のRが水素の化合物が、3,4−エチレンジオキシチオフェンであり、これをIUPAC名称で表示すると、「2,3−ジヒドロ−チエノ〔3,4−b〕〔1,4〕ジオキシン(2,3−Dihydro−thieno〔3,4−b〕〔1,4〕dioxine)」であるが、この化合物は、IUPAC名称で表示されるよりも、一般名称の「3,4−エチレンジオキシチオフェン」で表示されることが多いので、本書では、この「2,3−ジヒドロ−チエノ〔3,4−b〕〔1,4〕ジオキシン」を「3,4−エチレンジオキシチオフェン」と表示している。そして、上記一般式(1)中のRがアルキル基の場合、該アルキル基としては、炭素数が1〜4のもの、つまり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が好ましく、それらを具体的に例示すると、一般式(1)中のRがメチル基の化合物は、IUPAC名称で表示すると、「2−メチル−2,3−ジヒドロ−チエノ〔3,4−b〕〔1,4〕ジオキシン(2−Methyl−2,3−dihydro−thieno〔3,4−b〕〔1,4〕dioxine)」であるが、以下、これを簡略化して「メチル化エチレンジオキシチオフェン」と表示する。一般式(1)中のRがエチル基の化合物は、IUPAC名称で表示すると、「2−エチル−2,3−ジヒドロ−チエノ〔3,4−b〕〔1,4〕ジオキシン(2−Ethyl−2,3−dihydro−thieno〔3,4−b〕〔1,4〕dioxine)」であるが、以下、これを簡略化して「エチル化エチレンジオキシチオフェン」と表示する。一般式(1)中のRがプロピル基の化合物は、IUPAC名称で表示すると、「2−プロピル−2,3−ジヒドロ−チエノ〔3,4−b〕〔1,4〕ジオキシン(2−Propyl−2,3−dihydro−thieno〔3,4−b〕〔1,4〕dioxine)」であるが、以下、これを簡略化して「プロピル化エチレンジオキシチオフェン」と表示する。そして、一般式(1)中のRがブチル基の化合物は、IUPAC名称で表示すると、「2−ブチル−2,3−ジヒドロ−チエノ〔3,4−b〕〔1,4〕ジオキシン(2−Butyl−2,3−dihydro−thieno〔3,4−b〕〔1,4〕dioxine)」であるが、以下、これを簡略化して「ブチル化エチレンジオキシチオフェン」と表示する。また、「2−アルキル−2,3−ジヒドロ−チエノ〔3,4−b〕〔1,4〕ジオキシン」を、以下、簡略化して「アルキル化エチレンジオキシチオフェン」で表わす。そして、これらのアルキル化エチレンジオキシチオフェンの中でも、メチル化エチレンジオキシチオフェン、エチル化エチレンジオキシチオフェン、プロピル化エチレンジオキシチオフェン、ブチル化エチレンジオキシチオフェンが好ましい。
これらのアルキル化エチレンジオキシチオフェンは、それぞれ単独で用いることができるし、また、2種類以上を併用することもできる。さらに、これらのアルキル化エチレンジオキシチオフェンと3,4−エチレンジオキシチオフェンとを併用することもできる。そして、これらのメチル化エチレンジオキシチオフェン、エチル化エチレンジオキシチオフェン、プロピル化エチレンジオキシチオフェン、ブチル化エチレンジオキシチオフェンなどの合成法は、本出願人の出願に係る国際公開第2011/068026号、国際公開第2011/074380号などに記載されている。
次に、本発明において用いる導電性高分子の分散液について説明する。この導電性高分子の分散液は、ポリマーアニオンをドーパントとしてチオフェンまたはその誘導体を酸化重合して得られた導電性高分子の分散液が好ましい。
上記ポリマーアニオンとしては、高分子スルホン酸、高分子カルボン酸などが用いられ、また、スチレンスルホン酸と、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルおよび不飽和炭化水素含有アルコキシシラン化合物またはその加水分解物よりなる群から選らばれる少なくとも1種の非スルホン酸系モノマーとの共重合体も用いることができる。
上記高分子スルホン酸としては、例えば、ポリスチレンスルホン酸、スルホン化ポリエステルおよび次の一般式(2)で表される繰り返し単位を有するフェノールスルホン酸ノボラック樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種が好適に用いられる。
Figure 0005988824
(式中、Rは水素またはメチル基である)
これは、これらの高分子スルホン酸が、導電性高分子の合成時、優れた分散剤として機能し、酸化剤やモノマーとしてのチオフェンまたはその誘導体などを水中または水性液中を均一に分散させ、かつ合成されるポリマー中にドーパントとして取り込まれ、得られる導電性高分子を電解コンデンサの固体電解質として用いるのに適した高い導電性を有するものにさせるからである。そして、上記高分子スルホン酸が、優れた分散剤として機能することが、得られる導電性高分子を電解コンデンサの固体電解質として用いるのに適した優れた耐熱性を有させるようにするものと考えられる。
上記ポリスチレンスルホン酸としては、その重量平均分子量が10,000〜1,000,000のものが好ましい。
すなわち、上記ポリスチレンスルホン酸の重量平均分子量が10,000より小さい場合は、得られる導電性高分子の導電性が低くなるおそれがある。また、上記ポリスチレンスルホン酸の重量平均分子量が1,000,000より大きい場合は、導電性高分子の分散液の粘度が高くなり、電解コンデンサの作製にあたって、使用しにくくなるおそれがある。そして、上記ポリスチレンスルホン酸としては、その重量平均分子量が上記範囲内で、20,000以上のものが好ましく、40,000以上のものがより好ましく、また、800,000以下のものが好ましく、300,000以下のものがより好ましい。
また、上記スルホン化ポリエステルは、スルホイソフタル酸エステルやスルホテレフタル酸エステルなどのジカルボキシベンゼンスルホン酸ジエステルとアルキレングリコールとを酸化アンチモンや酸化亜鉛などの触媒の存在下で縮重合させたものであり、このスルホン化ポリエステルとしては、その重量平均分子量が5,000〜300,000のものが好ましい。
すなわち、スルホン化ポリエステルの重量平均分子量が5,000より小さい場合は、得られる導電性高分子の導電性が低くなるおそれがある。また、スルホン化ポリエステルの重量平均分子量が300,000より大きい場合は、導電性高分子の分散液の粘度が高くなり、電解コンデンサの作製にあたって使用しにくくなるおそれがある。そして、このスルホン化ポリエステルとしては、その重量平均分子量が上記範囲内で、10,000以上のものが好ましく、20,000以上のものがより好ましく、また、100,000以下のものが好ましく、80,000以下のものがより好ましい。
また、上記フェノールスルホン酸ノボラック樹脂は、前記のように、一般式(2)で表される繰り返し単位を有するものであるが、このフェノールスルホン酸ノボラック樹脂としては、その重量平均分子量が5,000〜500,000のものが好ましい。
すなわち、上記フェノールスルホン酸ノボラック樹脂の重量平均分子量が5,000より小さい場合は、得られる導電性高分子の導電性が低くなるおそれがある。また、上記フェノールスルホン酸ノボラック樹脂の重量平均分子量が500,000より大きい場合は、導電性高分子の分散液の粘度が高くなり、電解コンデンサの作製にあたって使用しにくくなるおそれがある。そして、このフェノールスルホン酸ノボラック樹脂としては、その重量平均分子量が上記範囲内で、10,000以上のものがより好ましく、また、400,000以下のものが好ましく、80,000以下のものがより好ましい。
上記ポリスチレンスルホン酸、スルホン化ポリエステル、フェノールスルホン酸ノボラック樹脂などは、それぞれ単独で用いることができるし、また、2種類以上を併用することもできる。そして、本発明で用いる導電性高分子の分散液は、導電性高分子の合成にあたって、それらの高分子スルホン酸を混合して用いて合成した導電性高分子の分散液であってもよいし、また、上記高分子スルホン酸をそれぞれ別々に用いて導電性高分子を合成し、その導電性高分子の合成後に、それらの導電性高分子の分散液を混ぜ合せたものでもよい。
上記スチレンスルホン酸と、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルおよび不飽和炭化水素含有アルコキシシラン化合物またはその加水分解物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の非スルホン酸系モノマーとの共重合体(以下、これを「スチレンスルホン酸と非スルホン酸系モノマーとの共重合体」という場合がある)をドーパントとして、チオフェンまたはその誘導体を酸化重合することにより得られる導電性高分子は、導電性が高く、かつ耐熱性が優れているので、ESRが低く、かつ高温条件下における信頼性が高く、しかも漏れ電流が少ない電解コンデンサを製造するのに適している。
上記スチレンスルホン酸と、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルおよび不飽和炭化水素含有アルコキシシラン化合物またはその加水分解物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の非スルホン酸系モノマーとの共重合体を合成するにあたって、スチレンスルホン酸と共重合させるモノマーとしては、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルおよび不飽和炭化水素含有アルコキシシラン化合物またはその加水分解物よりなる群から選ばれる少なくとも1種を用いるが、上記メタクリル酸エステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ジフェニルブチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸スルホヘキシルナトリウム、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸メチルグリシジル、メタクリル酸ヒドロキシアルキル、すなわち、メタクリル酸ヒドロキシメチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸ヒドロキシヘキシル、メタクリル酸ヒドロキシステアリルなどのメタクリル酸ヒドロキシアルキル、メタクリル酸ヒドロキシポリオキシエチレン、メタクリル酸メトキシヒドロキシプロピル、メタクリル酸エトキシヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジヒドロキシブチルなどを用い得るが、特にメタクリル酸ヒドロキシメチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシブチルなどのアルキル基の炭素数が1〜4のメタクリル酸ヒドロキシアルキルが、スチレンスルホン酸と共重合体化したときのドーパントとしての特性上から好ましい。また、メタクリル酸グリシジルやメタクリル酸メチルグリシジルのようにグリシジル基を含有するものは、グリシジル基が開環することによりヒドロキシル基を含有する構造になることから、グリシジル基を有するものも、メタクリル酸ヒドロキシアルキルと同様にスチレンスルホン酸と共重合体化したときのドーパントとしての特性上から好ましい。
また、上記アクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ジフェニルブチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸スルホヘキシルナトリウム、アクリル酸グリシジル、アクリル酸メチルグリシジル、アクリル酸ヒドロキシアルキル、すなわち、アクリル酸ヒドロキシメチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチルなどのアクリル酸ヒドロキシルアルキルなどを用い得るが、特にアクリル酸ヒドロキシメチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチルなどのアルキル基の炭素数が1〜4のアクリル酸ヒドロキシルアルキルが、スチレンスルホン酸と共重合体化したときのドーパントとしての特性上から好ましい。また、アクリル酸グリシジルやアクリル酸メチルグリシジルのようにグリシジル基を含有するものは、グリシジル基が開環することによりヒドロキシル基を含有する構造になることから、グリシジル基を有するものも、アクリル酸ヒドロキシアルキルと同様にスチレンスルホン酸と共重合体化したときのドーパントとしての特性上から好ましい。
そして、上記不飽和炭化水素含有アルコキシシラン化合物またはその加水分解物としては、例えば、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、p−スチリルトリエトキシシラン、p−スチリルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシランなどの不飽和炭化水素含有アルコキシシラン化合物やそれらの加水分解物を用いることができる。この不飽和炭化水素含有アルコキシシラン化合物の加水分解物とは、例えば、不飽和炭化水素含有アルコキシシラン化合物が上記3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの場合は、メトキシ基が加水分解されてヒドロキシル基になった構造である3−メタクリロキシトリヒドロキシシランになるか、またはシラン同士が縮合してオリゴマーを形成し、その反応に利用されていないメトキシ基がヒドロキシル基になった構造を有する化合物になる。そして、この不飽和炭化水素含有アルコキシシラン化合物としては、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどが、スチレンスルホン酸と共重合体化したときのドーパントとしての特性上から好ましい。
このスチレンスルホン酸と、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルおよび不飽和炭化水素含有アルコキシシラン化合物またはその加水分解物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の非スルホン酸系モノマーとの共重合体における、スチレンスルホン酸と、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルおよび不飽和炭化水素含有アルコキシシラン化合物またはその加水分解物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の非スルホン酸系モノマーとの比率としては、質量比で、1:0.01〜0.1:1であることが好ましい。
そして、上記スチレンスルホン酸と、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルおよび不飽和炭化水素含有アルコキシシラン化合物またはその加水分解物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の非スルホン酸系モノマーとの共重合体は、その分子量が、重量平均分子量で5,000〜500,000程度のものが、水溶性およびドーパントとしての特性上から好ましく、重量平均分子量で40,000〜200,000程度のものがより好ましい。
このスチレンスルホン酸と非スルホン酸系モノマーとの共重合体も、前記のポリスチレンスルホン酸、スルホン化ポリエステル、フェノールスルホン酸ノボラック樹脂などの高分子スルホン酸と併用することもできるし、また、このスチレンスルホン酸と非スルホン酸系モノマーとの共重合体をドーパントとして合成した導電性高分子の分散液と前記高分子スルホン酸をドーパントとして合成した導電性高分子の分散液とを混合して用いることもできる。
次に、ポリマーアニオンをドーパントとしてモノマー(モノマーとしては最も代表的なチオフェンまたはその誘導体を例に挙げて説明する)を酸化重合して導電性高分子を合成する手段について説明すると、上記ポリスチレンスルホン酸、スルホン化ポリエステル、フェノールスルホン酸ノボラック樹脂などの高分子スルホン酸や、スチレンスルホン酸と非スルホン酸系モノマーとの共重合体(すなわち、スチレンスルホン酸と、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルおよび不飽和炭化水素含有アルコキシシラン化合物またはその加水分解物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の非スルホン酸系モノマーとの共重合体)などは、いずれも、水や水と水混和性溶剤との混合物からなる水性液に対して溶解性を有していることから、酸化重合は水中または水性液中で行われる。
上記水性液を構成する水混和性溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、アセトニトリルなどが挙げられ、これらの水混和性溶剤の水との混合割合としては、水性液全体中の50質量%以下が好ましい。
導電性高分子を合成するにあたっての酸化重合は、化学酸化重合、電解酸化重合のいずれも採用することができる。
化学酸化重合を行うにあたっての酸化剤としては、例えば、過硫酸塩が用いられるが、その過硫酸塩としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸カルシウム、過硫酸バリウムなどが用いられる。
化学酸化重合において、その重合時の条件は、特に限定されることはないが、化学酸化重合時の温度としては、5℃〜95℃が好ましく、10℃〜30℃がより好ましく、また、重合時間としては、1時間〜72時間が好ましく、8時間〜24時間がより好ましい。
電解酸化重合は、定電流でも定電圧でも行い得るが、例えば、定電流で電解酸化重合を行う場合、電流値としては0.05mA/cm〜10mA/cmが好ましく、0.2mA/cm〜4mA/cmがより好ましく、定電圧で電解酸化重合を行う場合は、電圧としては0.5V〜10Vが好ましく、1.5V〜5Vがより好ましい。電解酸化重合時の温度としては、5℃〜95℃が好ましく、特に10℃〜30℃が好ましい。また、重合時間としては、1時間〜72時間が好ましく、8時間〜24時間がより好ましい。なお、電解酸化重合にあたっては、触媒として硫酸第一鉄または硫酸第二鉄を添加してもよい。
上記のようにして得られる導電性高分子は、重合直後、水中または水性液中に分散した状態で得られ、酸化剤としての過硫酸塩や触媒として用いた硫酸鉄塩やその分解物などを含んでいる。そこで、その不純物を含んでいる導電性高分子の分散液を高圧分散機、超音波ホモジナイザー、遊星ボールミルなどの分散機にかけて不純物を分散させた後、カチオン交換樹脂で金属成分を除去する。このときの動的光散乱法で測定した導電性高分子の粒径としては、100μm以下が好ましく、特に10μm以下が好ましく、1nm以上が好ましく、10nm以上がさらに好ましい。その後、エタノール沈殿法、限外濾過法、カチオン交換樹脂、アイオン交換樹脂などにより、酸化剤や触媒の分解により生成した硫酸などを除去し、必要に応じ、高沸点溶剤を添加してもよい。
上記のように、導電性高分子の分散液中に高沸点溶剤を含有させておくと、乾燥して導電性高分子を得るときに、その製膜性を向上させ、それによって、導電性を向上させ、電解コンデンサの固体電解質として用いたときに、ESRを小さくさせることができる。これは、例えば、電解コンデンサの作製にあたって、コンデンサ素子を導電性高分子の分散液に浸漬し、取り出して乾燥したときに、高沸点溶剤も脱け出ていくが、その高沸点溶剤が脱け出る際に、形成される導電性高分子の層の厚み方向の層密度を高くさせ、それによって、導電性高分子間の面間隔が狭くなり、導電性高分子の導電性が高くなって、電解コンデンサの固体電解質として用いたときにESRの小さいものにさせることができるようになるものと考えられる。
上記高沸点溶剤としては、沸点が150℃以上のものが好ましく、そのような高沸点溶剤の具体例としては、前記の処理液に関連して例示した沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤と同様のものを用いることができる。そして、この高沸点溶剤の含有量としては、分散液中の導電性高分子に対して5〜3,000質量%(すなわち、導電性高分子100質量部に対して高沸点溶剤が5〜3,000質量部)が好ましく、上記範囲内で、20質量%以上がより好ましく、700質量%以下がより好ましい。
また、上記導電性高分子を含む分散液には、コンデンサ素子と導電性高分子との密着性を高めるために、バインダ樹脂を添加してもよい。
そのようなバインダ樹脂としては、例えば、ポリウレタン、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリイミド、エポキシ樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリメタクリロニトリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ノボラック樹脂、シランカップリング剤などが挙げられ、特にポリエステル、ポリウレタン、アクリル樹脂などが好ましい。また、スルホン化ポリアリル、スルホン化ポリビニル、スルホン化ポリスチレンのように、スルホン基が付加されていると、導電性高分子の導電性を向上させることができるので、より好ましい。
本発明において用いる導電性高分子の分散液には、上記のように、高沸点溶剤やバインダ樹脂を含有させてもよいので、それらを含んでいる場合があるが、本発明では、必須の成分である導電性高分子が含まれてさえいれば、上記の高沸点溶剤や結合剤を含んでいるか否かにかかわらず、導電性高分子の分散液と呼んでいる。
本発明の電解コンデンサの製造にあたって、コンデンサ素子としては、アルミニウム、タンタルおよびニオブよりなる群から選ばれる少なくとも1種の弁金属の多孔体と上記弁金属の酸化被膜からなる誘電体層とを有するものを用いるが、このようなコンデンサ素子の構成は、アルミニウム電解コンデンサ、タンタル電解コンデンサ、ニオブ電解コンデンサに使われているコンデンサ素子に共通する基本的構成を特定するものであって特殊な構成のコンデンサ素子を意図するものではなく、アルミニウム電解コンデンサ、タンタル電解コンデンサ、ニオブ電解コンデンサのいずれの電解コンデンサにおいてもコンデンサ素子として適用可能なものである。例えば、上記弁金属の多孔体の少なくとも一面に該弁金属の酸化被膜からなる誘電体層を有する陽極と、陰極とをセパレータを介して巻回または積層してコンデンサ素子としてもよいし、また、上記弁金属の多孔体と上記弁金属の酸化被膜からなる誘電体層とを有するものを陽極としてコンデンサ素子を構成し、固体電解質となる導電性高分子の層を形成し、さらに後処理した後、カーボン層および銀ペイント層を順次形成してそれを陰極としたものであってもよい。
本発明の実施にあたっては、上記のようなコンデンサ素子にあらかじめ導電性高分子層を形成しておくが、そのような導電性高分子層の形成は、導電性高分子の分散液を用いて行ってもよいし、また、いわゆる「その場重合」と呼ばれる化学酸化重合法で行ってよいが、「その場重合」で必要な量の導電性高分子を得るには、「その場重合」を何回も繰り返さなければならないので、「その場重合」で導電性高分子層を形成した場合、その上に導電性高分子の分散液を用いて導電性高分子層を形成するのが好ましい。そして、このようにあらかじめ形成された導電性高分子層における導電性高分子は難溶性アミン系処理液による処理後に形成される導電性高分子層における導電性高分子とあわさって電解コンデンサの固体電解質を構成する。
上記のようにして、あらかじめ導電性高分子層を形成したコンデンサ素子に難溶性アミン系処理液(つまり、ベンゼンスルホン酸またはその誘導体およびナフタレンスルホン酸またはその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種のスルホン酸と炭素数5〜12のアルキルアミンとからなるスルホン酸アルキルアミン塩を含有する溶液)を含浸するが、その含浸は、上記導電性高分子層を形成後のコンデンサ素子を上記難溶性アミン系処理液に浸漬するか、または上記コンデンサ素子に上記難溶性アミン系処理液を吹き付けたり、塗布することによって行われる。
そして、それに続いて、乾燥を行うが、難溶性アミン系処理液の含浸を、コンデンサ素子を上記難溶性アミン系処理液に浸漬することによって行った場合には、コンデンサ素子を上記難溶性アミン系処理液から取り出してから乾燥する。
上記のような難溶性アミン系処理液による処理後のコンデンサ素子に導電性高分子の分散液を含浸し、乾燥する工程を少なくとも1回行って、導電性高分子層を形成するが、このようなコンデンサ素子への導電性高分子の分散液の含浸は、コンデンサ素子を導電性高分子の分散液に浸漬するか、またはコンデンサ素子に導電性高分子の分散液を吹き付けたり、塗布したりすることによって行われる。
そして、これを乾燥して導電性高分子層を形成するが、上記導電性高分子の分散液の含浸を導電性高分子の分散液にコンデンサ素子を浸漬することによって行った場合には、コンデンサ素子を導電性高分子の分散液から取り出してから乾燥する。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はそれらの実施例に例示のもののみに限定されることはない。なお、以下の実施例などにおいて、濃度や使用量を示す際の%は、特にその基準を付記しないかぎり、質量基準による%である。
また、実施例に先立ち、あらかじめ導電性高分子の層を形成したコンデンサ素子を処理するための処理液の調製例を調製例1〜17で示し、比較用の処理液の調製例を調製例18〜32で示す。そして、コンデンサ素子への導電性高分子の層の形成にあたって用いる導電性高分子の分散液の調製例を調製例(I)〜(IV)で示す。なお、上記比較用の処理液のうち調製例18〜29のものは、実施例用の調製例1〜17で用いられているスルホン酸アルキルアミン塩の5℃の水に対する溶解度が10%以下であることを示すためのものであり、調製例30〜32の処理液は、該処理液に用いられているスルホン酸塩が5℃の水に対する溶解度が10%以上であって、比較例に用いるものである。
〔処理液の調製〕
調製例1
撹拌装置付きの1Lビーカー内にエチレングリコールと水とを質量比95:5で混合して調製した液(以下、「95%エチレングリコール液」という場合がある)を500g注入した。そして、そこに、攪拌しながら、ベンゼンスルホン酸を40g添加し、さらに、攪拌しながらヘプチルアミンをpHが4になるまでゆっくり添加し、さらに1時間撹拌を行って、ベンゼンスルホン酸ヘプチルアミンを含有する液を得た。そして、それを95%エチレングリコール液で希釈することによって、95%エチレングリコール系でベンゼンスルホン酸ヘプチルアミンの濃度が8%の処理液を得た。この処理液は1週間放置しても内容物の析出はなかった。
調製例2
40gのベンゼンスルホン酸に代えて、50gのスルホサリチル酸(つまり、2−ヒドロキシ−5−スルホベンゼンカルボン酸)を用いた以外は、すべて調製例1と同様の操作を行って、スルホサリチル酸ヘプチルアミンを含有する液を得た。そして、それを95%エチレングリコール液で希釈することによって、95%エチレングリコール系でスルホサリチル酸ヘプチルアミンの濃度が10%の処理液を得た。この処理液は20℃で1週間放置しても内容物の析出がなかった。
調製例3
40gのベンゼンスルホン酸に代えて、45gのスルホイソフタル酸(つまり、ジカルボキシベンゼンスルホン酸系のスルホン酸)を用いた以外は、すべて調製例1と同様の操作を行って、スルホイソフタル酸ヘプチルアミンを含有する液を得た。そして、それを95%エチレングリコール液で希釈することによって、95%エチレングリコール系でスルホイソフタル酸ヘプチルアミンの濃度が9%の処理液を得た。この処理液は20℃で1週間放置しても内容物の析出がなかった。
調製例4
40gのベンゼンスルホン酸に代えて、40gのベンゼンスルホン酸と10gのナフタレンスルホン酸を用いた以外は、すべて調製例1と同様の操作を行って、ベンゼンスルホン酸ヘプチルアミンとナフタレンスルホン酸ヘプチルアミンとを含有する液を得た。そして、それを95%エチレングリコール液で希釈することによって、95%エチレングリコール系で上記スルホン酸アルキルアミン塩の濃度が10%の処理液を得た。この処理液は20℃で1週間放置しても内容物の析出がなかった。
調製例5
40gのベンゼンスルホン酸に代えて、35gのベンゼンスルホン酸と15gのスルホサリチル酸を用いた以外は、すべて調製例1と同様の操作を行って、ベンゼンスルホン酸ヘプチルアミンとスルホサリチル酸ヘプチルアミンとを含有する液を得た。そして、それを95%エチレングリコール液で希釈することによって、95%エチレングリコール系で上記スルホン酸アルキルアミン塩の濃度が10%の処理液を得た。この処理液は20℃で1週間放置しても内容物の析出がなかった。
調製例6
40gのベンゼンスルホン酸に代えて、35gのベンゼンスルホン酸と15gのスルホサリチル酸を用い、さらに3gのニトロフェノールを添加した以外は、すべて調製例1と同様の操作を行って、ベンゼンスルホン酸ヘプチルアミンとスルホサリチル酸ヘプチルアミンとニトロフェノールを含有する液を得た。そして、それを95%エチレングリコール液で希釈することによって、95%エチレングリコール系で上記スルホン酸アルキルアミン塩の濃度が10%でかつニトロフェノールを含有する処理液を得た。この処理液は20℃で1週間放置しても内容物の析出がなかった。
調製例7
40gのベンゼンスルホン酸に代えて、35gのベンゼンスルホン酸と15gのスルホサリチル酸を用い、さらに5gのエリスリトールを添加した以外は、すべて調製例1と同様の操作を行って、ベンゼンスルホン酸ヘプチルアミンとスルホサリチル酸ヘプチルアミンとエリスリトールを含有する液を得た。そして、それを95%エチレングリコール液で希釈することによって、95%エチレングリコール系で上記スルホン酸アルキルアミン塩の濃度が10%でかつエリスリトールを含有する処理液を得た。この処理液は20℃で1週間放置しても内容物の析出がなかった。
調製例8
95%エチレングリコール液に代えて、γ−ブチロラクトンと水とを質量比95:5で混合して調製した液(以下、「95%γ−ブチロラクトン液」という場合がある)を用いた以外は、調製例1と同様の操作を行って、ベンゼンスルホン酸ヘプチルアミンを含有する液を得た。そして、それを95%γ−ブチロラクトン液で希釈することによって、95%γ−ブチロラクトン系でベンゼンスルホン酸ヘプチルアミンの濃度が8%の処理液を得た。この処理液は20℃で1週間放置しても内容物の析出がなかった。
調製例9
95%エチレングリコール液に代えて、ジメチルスルホキシドと水とを質量比95:5で混合して調製した液(以下、「95%ジメチルスルホキシド液」という場合がある)を用いた以外は、調製例1と同様の操作を行って、ベンゼンスルホン酸ヘプチルアミンを含有する液を得た。そして、それを95%ジメチルスルホキシド液で希釈することによって、95%ジメチルスルホキシド系でベンゼンスルホン酸ヘプチルアミンの濃度が8%の処理液を得た。この処理液は20℃で1週間放置しても内容物の析出がなかった。
調製例10
40gのベンゼンスルホン酸に代えて、80gのベンゼンスルホン酸を用いた以外は、すべて調製例1と同様の操作を行って、ベンゼンスルホン酸ヘプチルアミンを含有する液を得た。そして、それを95%エチレングリコール液で希釈することによって、95%エチレングリコール系でベンゼンスルホン酸ヘプチルアミンの濃度が16%の処理液を得た。この処理液は20℃で1週間放置しても内容物の析出がなかった。
調製例11
40gのベンゼンスルホン酸に代えて、120gのベンゼンスルホン酸を用いた以外は、すべて調製例1と同様の操作を行って、ベンゼンスルホン酸ヘプチルアミンを含有する液を得た。そして、それを95%エチレングリコール液で希釈することによって、95%エチレングリコール系でベンゼンスルホン酸ヘプチルアミンの濃度が24%の処理液を得た。この処理液は20℃で1週間放置しても内容物の析出がなかった。
調製例12
ヘプチルアミンに代えて、ペンチルアミンを用いた以外は、すべて調製例1と同様の操作を行って、ベンゼンスルホン酸ペンチルアミン液を含有する液を得た。そして、それを95%エチレングリコール液で希釈することによって、95%エチレングリコール系でベンゼンスルホン酸ペンチルアミンの濃度が10%の処理液を得た。この処理液は20℃で1週間放置しても内容物の析出がなかった。
調製例13
ヘプチルアミンに代えて、オクチルアミンを用いた以外は、すべて調製例1と同様の操作を行って、ベンゼンスルホン酸オクチルアミンを含有する液を得た。そして、それを95%エチレングリコール液で希釈することによって、95%エチレングリコール系でベンゼンスルホン酸オクチルアミンの濃度が10%の処理液を得た。この処理液は20℃で1週間放置しても内容物の析出がなかった。
調製例14
ヘプチルアミンに代えて、ノニルアミンを用いた以外は、すべて調製例1と同様の操作を行って、ベンゼンスルホン酸ノニルアミン液を得た。そして、それを95%エチレングリコール液で希釈することによって、95%エチレングリコール系でベンゼンスルホン酸ノニルアミンの濃度が10%の処理液を得た。この処理液は20℃で1週間放置しても内容物の析出がなかった。
調製例15
ヘプチルアミンに代えて、デシルアミンを用いた以外は、すべて調製例1と同様の操作を行って、ベンゼンスルホン酸デシルアミンを含有する液を得た。そして、それを95%エチレングリコール液で希釈することによって、95%エチレングリコール系でベンゼンスルホン酸デシルアミンの濃度が10%の処理液を得た。この処理液は20℃で1週間放置しても内容物の析出がなかった。
調製例16
ヘプチルアミンに代えて、ラウリルアミンを用いた以外は、すべて調製例1と同様の操作を行って、ベンゼンスルホン酸ラウリルアミンを含有する液を得た。そして、それを95%エチレングリコール液で希釈することによって、95%エチレングリコール系でベンゼンスルホン酸ラウリルアミンの濃度が10%の処理液を得た。この処理液は20℃で1週間放置しても内容物の析出がなかった。
調製例17
40gのベンゼンスルホン酸に代えて、50gのトルエンスルホン酸を用いた以外は、すべて調製例9と同様の操作を行って、トルエンスルホン酸ヘプチルアミンを含有する液を得た。そして、それを95%ジメチルスルホキシド液で希釈することによって、95%ジメチルスルホキシド系でトルエンスルホン酸ヘプチルアミンの濃度が10%の処理液を得た。この処理液は20℃で1週間放置しても内容物の析出がなかった。
調製例18(比較用)
95%エチレングリコール液に代えて、5℃の蒸留水を用い、40gのベンゼンスルホン酸に代えて、50gのベンゼンスルホン酸を用いた以外は、すべて調製例1と同様の操作を行って、ベンゼンスルホン酸ヘプチルアミンの水性液の調製をしようとしたところ、沈殿が生じて、溶解しなかった。これは、ベンゼンスルホン酸ヘプチルアミンの5℃の水に対する溶解度が10%以下であることを示している。
調製例19(比較用)
95%エチレングリコール液に代えて、5℃の蒸留水を用いた以外は、すべて調製例2と同様の操作を行って、スルホサリチル酸ヘプチルアミンの水溶液の調製をしようとしたところ、沈殿が生じて、溶解しなかった。これは、スルホサリチル酸ヘプチルアミンの5℃の水に対する溶解度が10%以下であることを示している。
調製例20(比較用)
95%エチレングリコール液に代えて、5℃の蒸留水を用い、45gのスルホイソフタル酸に代えて、50gのスルホイソフタル酸を用いた以外は、すべて調製例3と同様の操作を行って、スルホイソフタル酸ヘプチルアミンの水溶液の調製をしようとしたところ、沈殿が生じて、溶解しなかった。これは、スルホイソフタル酸ヘプチルアミンの5℃の水に対する溶解度が10%以下であることを示している。
調製例21(比較用)
95%エチレングリコール液に代えて、5℃の蒸留水を用いた以外は、すべて調製例4と同様の操作を行って、ベンゼンスルホン酸とナフタレンスルホン酸のヘプチルアミン塩の水溶液の調製をしようとしたところ、沈殿が生じて、溶解しなかった。これは、上記ベンゼンスルホン酸とナフタレンスルホン酸のヘプチルアミン塩の5℃の水に対する溶解度が10%以下であることを示している。
調製例22(比較用)
95%エチレングリコール液に代えて、5℃の蒸留水を用いた以外は、すべて調製例5と同様の操作を行って、ベンゼンスルホン酸とスルホサリチル酸のヘプチルアミン塩の水溶液の調製をしようとしたところ、沈殿が生じて、溶解しなかった。これは、ベンゼンスルホン酸とスルホサリチル酸のヘプチルアミン塩の5℃の水に対する溶解度が10%以下であることを示している。
調製例23(比較用)
95%エチレングリコール液に代えて、5℃の蒸留水を用いた以外は、すべて調製例6と同様の操作を行って、ベンゼンスルホン酸とスルホサリチル酸のヘプチルアミン塩の水溶液の調製をしようとしたところ、沈殿が生じて、溶解しなかった。これは、たとえニトロフェノールを添加していても、ベンゼンスルホン酸とスルホサリチル酸のヘプチルアミン塩の5℃の水に対する溶解度が10%以下であることを示している。
調製例24(比較用)
95%エチレングリコール液に代えて、5℃の蒸留水を用いた以外は、すべて調製例12と同様の操作を行って、ベンゼンスルホン酸ペンチルアミンの水溶液の調製をしようとしたところ、沈殿が生じて、溶解しなかった。これは、ベンゼンスルホン酸ペンチルアミンの5℃の水に対する溶解度が10%以下であることを示している。
調製例25(比較用)
95%エチレングリコール液に代えて、5℃の蒸留水を用いた以外は、すべて調製例13と同様の操作を行って、ベンゼンスルホン酸オクチルアミンの水溶液の調製をしようとしたところ、沈殿が生じて、溶解しなかった。これは、ベンゼンスルホン酸オクチルアミンの5℃の水に対する溶解度が10%以下であることを示している。
調製例26(比較用)
95%エチレングリコール液に代えて、5℃の蒸留水を用いた以外は、すべて調整例14と同様の操作を行って、ベンゼンスルホン酸ノニルアミンの水溶液の調製をしようとしたところ、沈殿が生じて、溶解しなかった。これは、ベンゼンスルホン酸ノニルアミンの5℃の水に対する溶解度が10%以下であることを示している。
調製例27(比較用)
95%エチレングリコール液に代えて、5℃の蒸留水を用いた以外は、すべて調製例15と同様の操作を行って、ベンゼンスルホン酸デシルアミンの水溶液の調製をしようとしたところ、沈殿が生じて、溶解しなかった。これは、ベンゼンスルホン酸デシルアミンの5℃の水に対する溶解度が10%以下であることを示している。
調製例28(比較用)
95%エチレングリコール液に代えて、5℃の蒸留水を用いた以外は、すべて調製例16と同様の操作を行って、ベンゼンスルホン酸ラウリルアミンの水溶液の調製をしようとしたところ、沈殿が生じて、溶解しなかった。これは、ベンゼンスルホン酸ラウリルアミンの5℃の水に対する溶解度が10%以下であることを示している。
調製例29(比較用)
95%エチレングリコール液に代えて、5℃の蒸留水を用いた以外は、すべて調製例17と同様の操作を行って、トルエンスルホン酸ヘプチルアミンの水溶液の調製をしようとしたところ、沈殿が生じて、溶解しなかった。これは、トルエンスルホン酸ヘプチルアミンの5℃の水に対する溶解度が10%以下であることを示している。
調製例30(比較用、水溶性)
攪拌装置付きの1Lビーカー内に蒸留水を500g注入した。その水温を5℃に調整した後、そこに、撹拌しながらベンゼンスルホン酸を55g添加し、さらに、撹拌しながらメチルアミンをゆっくり添加して、5℃の条件下で、pH4に調整した後、さらに1時間撹拌を行ったところ、沈殿は観察されなかった。これは、ベンゼンスルホン酸メチルアミンの5℃の水に対する溶解度が10%以上であることを示している。
調製例31(比較用、水溶性)
ヘプチルアミンに代えて、水酸化カルシウムを用いた以外は、調製例30と同様の操作を行ったところ、沈殿は観察されなかった。これは、ベンゼンスルホン酸カルシウムの5℃の水に対する溶解度が10%以上であることを示している。
調製例32(比較用、水溶性)
撹拌装置付きの1Lビーカー内に蒸留水を500g注入した。その水温を5℃調整した後、そこに撹拌しながらのスルホイソフタル酸を55g添加し、次いで撹拌しながらn−プロピルアミンをゆっくり添加して、5℃の条件下、pH4に調整した後、さらに1時間撹拌を行ったところ、沈殿は観察されなかった。これは、スルホイソフタル酸n−プロピルアミンの5℃の水に対する溶解度が10%以上であることを示している。
〔導電性高分子の分散液の調製例〕
導電性高分子の分散液の調製例(I)
テイカ社製ポリスチレンスルホン酸(重量平均分子量100、000)の3%水溶液600gを内容積1Lのステンレス鋼製容器に入れ、硫酸第一鉄・7水和物0.3gを添加し、その中に3,4−エチレンジオキシチオフェン4mLをゆっくり滴下した。
それらをステンレス鋼製の攪拌翼で攪拌し、容器に陽極を取り付け、攪拌翼の付け根に陰極を取り付け、1mA/cmの定電流で18時間電解酸化重合を行った。上記電解酸化重合後、水で6倍に希釈した後、超音波ホモジナイザー〔日本精機社製、US−T300(商品名)〕で2時間分散処理を行った。その後、オルガノ社製のカチオン交換樹脂アンバーライト120B(商品名)を100g添加し、1時間攪拌機で攪拌した。次いで、東洋濾紙社製の濾紙No.131で濾過し、このカチオン交換樹脂による処理と濾過を3回繰り返して、液中の鉄イオンなどのカチオン成分をすべて除去した。
上記処理後の液を孔径が1μmのフィルターに通し、その通過液を限外濾過装置〔ザルトリウス社製Vivaflow200(商品名)、分子量分画5万〕で処理して、液中の遊離の低分子成分を除去した。この処理後の液を水で希釈して濃度を2%に調整した後、28%アンモニア水溶液でpHを3に調整して導電性高分子の分散液(I)を得た。得られた導電性高分子の分散液(I)中の導電性高分子の粒度分布を大塚電子製ELS−Z(商品名)で測定したところ、導電性高分子の平均粒径は120nmであった。
導電性高分子の分散液の調製例(II)
2Lの攪拌機付セパラブルフラスコに1Lの純水を入れ、そこにスチレンスルホン酸ナトリウム170gとアクリル酸ヒドロキシエチル30gを添加をした。そして、その溶液に酸化剤として過硫酸アンモニウムを1g添加してスチレンスルホン酸とアクリル酸ヒドロキシエチルとの重合反応を12時間行った。その重合反応後の反応液を限外濾過装置〔ザルトリウス社製Vivaflow200(商品名)、分子量分画5万〕で処理して、液中の遊離の低分子成分を除去し、水を加えて濃度3%に調整した。
得られた液中のスチレンスルホン酸とアクリル酸ヒドロキシエチルとの共重合体の分子量をゲル濾過カラムを用いて測定したところ、デキストランを評品として見積もった重量平均分子量は、100,000であった。
そして、濃度3%のポリスチレンスルホン酸水溶液に代えて、このスチレンスルホン酸とアクリル酸ヒドロキシルエチルとの共重合体の3%溶液を用いた以外は、すべて調製例(I)と同様の操作を行って、導電性高分子の分散液(II)を得た。
得られた導電性高分子の分散液(II)中の導電性高分子の粒度分布を大塚電子製ELS−Z(商品名)で測定したところ、導電性高分子の平均粒径は170nmであった。
導電性高分子の分散液の調製例(III)
3%スルホン化ポリエステル〔互応化学工業社製プラスコートZ−561(商品名)、重量平均分子量27,000〕水溶液200gを内容積1Lのビーカーに入れ、過硫酸アンモニウム2gを添加した後、スターラーで攪拌して溶解した。次いで、硫酸第二鉄の40%水溶液0.4gを添加し、攪拌しながら、その中に3,4−エチレンジオキシチオフェン3mLをゆっくり滴下し、24時間かけて、3,4−エチレンジオキシチオフェンの重合を行った。
上記重合後、水で4倍希釈した後、超音波ホモジナイザー(日本精機社製、US−T300)で30分間分散処理を行った。その後、オルガノ社製のカチオン交換樹脂アンバーライト120B(商品名)を100g添加し、1時間スターラーで攪拌し、次いで、東洋濾紙社製の濾紙No.131で濾過した。この分散から濾過までの操作を3回繰り返して、カチオン成分をすべて除去した。
上記濾液を孔径が1μmのフィルターを通し、通過液を限外濾過装置〔ザルトリウス社製Vivaflow200(商品名)、分子量分画5万〕により、遊離の低分子成分を除去した。この溶液に水を加えて濃度を5%に調整した溶液40gに対し、ジメチルスルホキシド4gを添加し、導電性高分子の分散液(III)を得た。
得られた導電性高分子の分散液(III)中の導電性高分子の粒度分布を大塚電子製ELS−Z(商品名)で測定したところ、導電性高分子の平均粒径は100nmであった。
導電性高分子の分散液の調製例(IV)
前記導電性高分子の調製例(II)で調製した導電性高分子の分散液(II)と導電性高分子の分散液の調製例(III)で調製した導電性高分子の分散液(III)とを質量比1:1で混合して、導電性高分子の分散液(IV)を得た。
得られた導電性高分子の分散液(IV)中の導電性高分子の粒度分布を大塚電子製ELS−Z(商品名)で測定したところ、導電性高分子の平均粒径は130nmであった。
〔積層型アルミニウム電解コンデンサでの評価〕
実施例1
縦10mm×横3.3mm の80Vで化成されたアルミニウムエッチド箔について、縦方向の片端から4mmの部分と、他端から5mmの部分とに分けるように、上記アルミニウムエッチド箔の横方向にポリイミド溶液を1mm幅に塗布し、乾燥した。次に、上記アルミニウムエッチド箔の縦方向の片端から5mmの部分の、該片端から2mmの箇所に、陽極としての銀線を取り付けた。また、上記アルミニウムエッチド箔の縦方向の片端から4mmの部分(4mm×3.3mm)を、濃度10%のアジピン酸アンモニウム水溶液に漬け、80Vの電圧を印加することにより再化成処理を行って誘電体層を形成させ、設定静電容量が5.5μF以上、設定ESRが30.0mΩ以下、設定漏れ電流が35印加時で100μA以下のコンデンサ素子を作製した。
次に、上記コンデンサ素子を前記調製例(I)で調製した導電性高分子の分散液(I)に浸漬し、30秒後に取り出し、150℃で20分間乾燥した。この操作を3回繰り返して、コンデンサ素子に第1の導電性高分子の層を形成した。この導電性高分子層は、少なくともコンデンサ素子の誘電体層上に形成されていればよいが、その他の部分に形成されていてもよい。
その後、上記導電性高分子層形成後のコンデンサ素子を前記調製例1で調製した95%エチレングリコール系でベンゼンスルホン酸ヘプチルアミン含有の処理液に浸漬し、30秒後に取り出し、150℃で10分間乾燥した。
次いで、上記調製例1の処理液で処理したコンデンサ素子を前記調製例(IV)で調製した導電性高分子の分散液(IV)に浸漬し、30秒後に取り出し、150℃で30分間乾燥した。この操作を2回繰り返して、第2の導電性高分子の層を形成した。
その後、上記コンデンサ素子をカーボンペーストおよび銀ペーストで覆い、縦方向の端部から3mmの箇所に陰極としての銀線を取り付け、さらにエポキシ樹脂で外装し、エージング処理を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
実施例2
調製例1で調製した処理液に代えて、調製例2で調製した95%エチレングリコール系でスルホサリチル酸ヘプチルアミン含有の処理液を用いた以外は、すべて実施例1と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
実施例3
調製例1で調製した処理液に代えて、調製例3で調製した95%エチレングリコール系でスルホイソフタル酸ヘプチルアミン含有の処理液を用いた以外は、すべて実施例1と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
実施例4
調製例1で調製した処理液に代えて、調製例4で調製した95%エチレングリコール系でベンゼンスルホン酸ヘプチルアミンとナフタレンスルホン酸ヘプチルアミン含有の処理液を用いた以外は、すべて実施例1と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
実施例5
調製例1で調製した処理液に代えて、調製例5で調製した95%エチレングリコール系でベンゼンスルホン酸ヘプチルアミンとスルホサリチル酸ヘプチルアミン含有の処理液を用いた以外は、すべて実施例1と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
実施例6
調製例1で調製した処理液に代えて、調製例6で調製した95%エチレングリコール系でベンゼンスルホン酸ヘプチルアミンとスルホサリチル酸ヘプチルアミンとニトロフェノール含有の処理液を用いた以外は、すべて実施例1と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
実施例7
調製例1で調製した処理液に代えて、調製例7で調製した95%エチレングリコール系でベンゼンスルホン酸ヘプチルアミンとスルホサリチル酸ヘプチルアミンとエリスリトール含有の処理液を用いた以外は、すべて実施例1と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
実施例8
調製例1で調製した処理液に代えて、調製例8で調製した95%γ−ブチロラクトン系でベンゼンスルホン酸ヘプチルアミン含有の処理液を用いた以外は、すべて実施例1と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
実施例9
調製例1で調製した処理液に代えて、調製例9で調製した95%ジメチルスルホキシド系でベンゼンスルホン酸ヘプチルアミン含有の処理液を用いた以外は、すべて実施例1と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
実施例10
調製例1で調製した処理液に代えて、調製例10で調製した95%エチレングリコール系でベンゼンスルホン酸ヘプチルアミン含有の処理液を用いた以外は、すべて実施例1と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
実施例11
調製例1で調製した処理液に代えて、調製例11で調製した95%エチレングリコール系でベンゼンスルホン酸ヘプチルアミン含有の処理液を用いた以外は、すべて実施例1と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
実施例12
調製例1で調製した処理液に代えて、調製例12で調製した95%エチレングリコール系でベンゼンスルホン酸ヘプチルアミン含有の処理液を用いた以外は、すべて実施例1と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
実施例13
調製例1で調製した処理液に代えて、調製例13で調製した95%エチレングリコール系でベンゼンスルホン酸オクチルアミン含有の処理液を用いた以外は、すべて実施例1と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
実施例14
調製例1で調製した処理液に代えて、調製例14で調製した95%エチレングリコール系でベンゼンスルホン酸ノニルアミン含有の処理液を用いた以外は、すべて実施例1と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
実施例15
調製例1で調製した処理液に代えて、調製例15で調製した95%エチレングリコール系でベンゼンスルホン酸デシルアミン含有の処理液を用いた以外は、すべて実施例1と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
実施例16
調製例1で調製した処理液に代えて、調製例16で調製した95%エチレングリコール系でベンゼンスルホン酸ラウリルアミン含有の処理液を用いた以外は、すべて実施例1と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
実施例17
調製例1で調製した処理液に代えて、調製例17で調製した95%ジメチルスルホキシド系でトルエンスルホン酸ヘプチルアミン含有の処理液を用いた以外は、すべて実施例1と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
比較例1
調製例1で調製した処理液による処理を行わなかった以外は、すべて実施例1と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
比較例2
調製例1で調製した処理液に代えて、調製例30で調製した水溶液系でベンゼンスルホン酸メチルアミン含有の処理液を用いた以外は、すべて実施例1と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
比較例3
調製例1で調製した処理液に代えて、調製例31で調製した水溶液系でベンゼンスルホン酸カルシウム含有の処理液を用いた以外は、すべて実施例1と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
比較例4
調製例1で調製した処理液に代えて、調製例32で調製した水溶液系でスルホイソフタル酸n−プロピルアミン含有の処理液を用いた以外は、すべて実施例1と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
上記のようにして製造した実施例1〜17および比較例1〜4の積層型アルミニウム電解コンデンサについて、ESRおよび静電容量を測定した。その結果を表1に用いた処理液の種類と共に示す。ただし、処理液の種類は、スペース上の関係で、調製例番号で示す。なお、ESRおよび静電容量の測定方法は次の通りである。
ESR:
HEWLETT PACKARD社製のLCRメーター(4284A)を用い、25℃の条件下で、100kHzで測定した。
静電容量:
HEWLETT PACKARD社製のLCRメーター(4284A)を用い、25℃の条件下で、120Hzで測定した。
上記ESRおよび静電容量の測定は、各試料とも、10個ずつについて行い、ESRおよび静電容量に関して表1に示す数値は、その10個の測定値の平均値を求め、小数点第2位を四捨五入して示したものである。
Figure 0005988824
表1に示すように、実施例1〜17の積層型アルミニウム電解コンデンサ(以下、「積層型アルミニウム電解コンデンサ」を簡略化して「コンデンサ」という場合がある)は、比較例1〜4のコンデンサに比べて、ESRが低く、静電容量が大きかった。すなわち、コンデンサの製造中において、あらかじめ導電性高分子層を形成したコンデンサ素子をベンゼンスルホン酸またはその誘導体およびナフタレンスルホン酸またはその誘導体から選ばれる少なくとも1種のスルホン酸と炭素数が5〜12のアルキル基を有するアルキルアミンとからなるスルホン酸アルキルアミン塩を20℃で5%以上の濃度で含有し、かつ有機溶剤を20%以上の濃度で含有する処理液で処理した実施例1〜17のコンデンサは、上記処理液で処理していない比較例1のコンデンサや水溶液系の処理液で処理した比較例2〜4のコンデンサに比べて、ESRが低く、静電容量が大きかった。
また、上記ESRおよび静電容量測定後の実施例1〜17および比較例1〜4の積層型アルミニウム電解コンデンサを85℃、相対湿度85%の雰囲気中で200時間貯蔵し、その貯蔵後に、前記と同様にESRと静電容量を測定し、漏れ電流不良の発生を調べた。その結果を表2に示す。なお、漏れ電流不良の発生は次のように調べた。
漏れ電流不良の発生:
積層型アルミニウム電解コンデンサに、25℃で35Vの電圧を60秒間印加した後、デジタルオシロスコープで漏れ電流を測定し、漏れ電流が100μAを超えたものを漏れ電流不良が発生したものとする。
この漏れ電流不良の発生の表2への表示にあたっては、分母に漏れ電流の測定にあたって供した全コンデンサ個数を表示し、分子に漏れ電流不良が発生したコンデンサ個数を示す態様で「漏れ電流不良発生個数」として表示する。また、以降の表においても、漏れ電流不良を表示する場合は、同様の態様で表示する。
Figure 0005988824
表2に示すように、実施例1〜17の積層型アルミニウム電解コンデンサ(以下、簡略化して「コンデンサ」という場合がある)は、比較例1〜4のコンデンサに比べて、ESRが低く、静電容量が大きく、また、比較例1〜4のコンデンサに見られるような漏れ電流不良の発生がなかった。また、実施例1〜17のコンデンサは、85℃、相対湿度85%の雰囲気中で200時間貯蔵後においても、ESRが最も高い場合でも24.8mΩであって、25mΩ以下という設定ESRを満たし、静電容量が最も小さい場合でも5.5μFであって、5.5μF以上という設定静電容量を満たし、漏れ電流不良の発生がまったくないことからもわかるように、35V印加時で100μA以下という設定漏れ電流を満たしていた。
そして、この表2に示すESR値と前記表1に示すESR値との対比から明らかなように、実施例1〜17のコンデンサは、比較例1〜4のコンデンサに比べて、85℃、相対湿度85%の雰囲気中で200時間という高温、高湿下での貯蔵の間におけるESRの増加が少なく、高温耐湿性が優れていた。なお、漏れ電流不良の発生を、初期特性としてでなく、85℃、相対湿度85%の雰囲気中で200時間貯蔵後に調べたのは、上記のような高温高湿下で貯蔵後の方がそのような貯蔵前より、漏れ電流不良の発生がより顕著に現れるからである。そして、実施例1〜17のコンデンサの耐漏れ電流性が優れているのは、次のように考えられる。この実施例1〜17の積層型アルミニウム電解コンデンサや後記の実施例18〜34のタンタル電解コンデンサでは、それらのコンデンサ素子に導電性高分子層を形成するには、上記コンデンサ素子を導電性高分子の分散液に浸漬するか、または上記コンデンサ素子に導電性高分子の分散液を吹き付けたり、塗布して、コンデンサ素子に導電性高分子の分散液を付着させ、乾燥することが必要である。しかし、乾燥時に導電性高分子が中央部に寄ってしまい、端部(エッジ部)には導電性高分子が付きにくい傾向がある。しかるに、上記のような難溶性アミン系処理液で処理しておくと、乾燥時に導電性高分子が中央部によってしまうことが抑制され、導電性高分子が均一に分布した状態で乾燥することによって、端部(エッジ部)にも導電性高分子が均一に付着し、それが漏れ電流不良の発生を抑制し、耐漏れ電流性を向上させるものと考えられる。
〔タンタル電解コンデンサでの評価〕
実施例18
タンタル焼結体を濃度が0.1%のリン酸水溶液に浸漬した状態で、該タンタル焼結体に50Vの電圧を印加することによって化成処理を行い、タンタル焼結体の表面に誘電体層となる酸化被膜を形成して、設定静電容量が51.0μF以上、設定ESRが17.0mΩ以下、設定漏れ電流が16V印加時で100μA以下のコンデンサ素子を作製した。
次に、エチル化エチレンジオキシチオフェンをエタノールで希釈して、濃度を25v/v%に調整した溶液に上記コンデンサ素子を浸漬し、1分後に取り出し、5分間放置した。
その後、あらかじめ用意しておいた濃度が40%のパラトルエンスルホン酸鉄エタノール溶液(上記パラトルエンスルホン酸鉄は酸化剤兼ドーパントであって、上記パラトルエンスルホン酸鉄におけるパラトルエンスルホン酸と鉄のモル比は3:1である)に浸漬し、30秒後に取り出し、室温で80分間放置して重合を行った。その後、純水中に上記のコンデンサ素子を浸漬し、30分後に取り出し、70℃で30分間乾燥した。これらの操作を5回繰り返して、コンデンサ素子に導電性高分子の層を形成した。
次に、上記のようにして導電性高分子層を形成したコンデンサ素子を調製例1で調製した95%エチレングリコール系でベンゼンスルホン酸ヘプチルアミン含有の処理液に浸漬し、30秒後に取り出し、150℃で30分間乾燥した。
上記のようにして調製例1の処理液で処理したコンデンサ素子を、前記調製例(I)で調製した導電性高分子の分散液(I)に浸漬し、30秒後に取り出し、150℃で20分間乾燥した。
次に、上記コンデンサ素子を調製例1で調製した95%エチレングリコール系でベンゼンスルホン酸ヘプチルアミン含有の処理液に浸漬し、30秒後に取り出し、150℃で30分間乾燥した。
その後、上記のように調製例1の処理液で処理したコンデンサ素子を前記調製例(IV)で調製した導電性高分子の分散液(IV)に浸漬し、30秒後に取り出し、150℃で30分間乾燥した。
上記のように処理液による処理や導電性高分子層の形成を行ったコンデンサ素子をカーボンペーストおよび銀ペーストで覆い、外装材で外装してタンタル電解コンデンサを製造した。
実施例19
調製例1で調製した処理液に代えて、調製例2で調製した95%エチレングリコール系でスルホサリチル酸ヘプチルアミン含有の処理液を用いた以外は、すべて実施例18と同様の操作を行って、タンタル電解コンデンサを製造した。
実施例20
調製例1で調製した処理液に代えて、調製例3で調製した95%エチレングリコール系でスルホイソフタル酸ヘプチルアミン含有の処理液を用いた以外は、すべて実施例18と同様の操作を行って、タンタル電解コンデンサを製造した。
実施例21
調製例1で調製した処理液に代えて、調製例4で調製した95%エチレングリコール系でベンゼンスルホン酸ヘプチルアミンとナフタレンスルホン酸ヘプチルアミン含有の処理液を用いた以外は、すべて実施例18と同様の操作を行って、タンタル電解コンデンサを製造した。
実施例22
調製例1で調製した処理液に代えて、調製例5で調製した95%エチレングリコール系でベンゼンスルホン酸ヘプチルアミンとスルホサリチル酸ヘプチルアミン含有の処理液を用いた以外は、すべて実施例18と同様の操作を行って、タンタル電解コンデンサを製造した。
実施例23
調製例1で調製した処理液に代えて、調製例6で調製した95%エチレングリコール系でベンゼンスルホン酸ヘプチルアミンとスルホサリチル酸とニトロフェノール含有の処理液を用いた以外は、すべて実施例18と同様の操作を行って、タンタル電解コンデンサを製造した。
実施例24
調製例1で調製した処理液に代えて、調製例7で調製した95%エチレングリコール系でベンゼンスルホン酸ヘプチルアミンとスルホサリチル酸とエリスリトール含有の処理液を用いた以外は、すべて実施例18と同様の操作を行って、タンタル電解コンデンサを製造した。
実施例25
調製例1で調製した処理液に代えて、調製例8で調製した95%γ−ブチロラクト系でベンゼンスルホン酸ヘプチルアミン含有の処理液を用いた以外は、すべて実施例18と同様の操作を行って、タンタル電解コンデンサを製造した。
実施例26
調製例1で調製した処理液に代えて、調製例9で調製した95%ジメチルスルホキシド系でベンゼンスルホン酸ヘプチルアミン含有の処理液を用いた以外は、すべて実施例18と同様の操作を行って、タンタル電解コンデンサを製造した。
実施例27
調製例1で調製した処理液に代えて、調製例10で調製した95%エチレングリコール系でベンゼンスルホン酸ヘプチルアミン含有の処理液を用いた以外は、すべて実施例18と同様の操作を行って、タンタル電解コンデンサを製造した。
実施例28
調製例1で調製した処理液に代えて、調製例11で調製した95%エチレングリコール系でベンゼンスルホン酸ヘプチルアミン含有の処理液を用いた以外は、すべて実施例18と同様の操作を行って、タンタル電解コンデンサを製造した。
実施例29
調製例1で調製した処理液に代えて、調製例12で調製した95%エチレングリコール系でベンゼンスルホン酸ペンチルアミン含有の処理液を用いた以外は、すべて実施例18と同様の操作を行って、タンタル電解コンデンサを製造した。
実施例30
調製例1で調製した処理液に代えて、調製例13で調製した95%エチレングリコール系でベンゼンスルホン酸オクチルアミン含有の処理液を用いた以外は、すべて実施例18と同様の操作を行って、タンタル電解コンデンサを製造した。
実施例31
調製例1で調製した処理液に代えて、調製例14で調製した95%エチレングリコール系でベンゼンスルホン酸ノニルアミン含有の処理液を用いた以外は、すべて実施例18と同様の操作を行って、タンタル電解コンデンサを製造した。
実施例32
調製例1で調製した処理液に代えて、調製例15で調製した95%エチレングリコール系でベンゼンスルホン酸デシルアミン含有の処理液を用いた以外は、すべて実施例18と同様の操作を行って、タンタル電解コンデンサを製造した。
実施例33
調製例1で調製した処理液に代えて、調製例16で調製した95%エチレングリコール系でベンゼンスルホン酸ラウリルアミン含有の処理液を用いた以外は、すべて実施例18と同様の操作を行って、タンタル電解コンデンサを製造した。
実施例34
調製例1で調製した処理液に代えて、調製例17で調製した95%ジメチルスルホキシド系でトルエンスルホン酸ヘプチルアミン含有の処理液を用いた以外は、すべて実施例18と同様の操作を行って、タンタル電解コンデンサを製造した。
比較例5
調製例1で調製した95%エチレングリコール系の処理液による処理を行わなかった以外は、すべて実施例18と同様の操作を行って、タンタル電解コンデンサを製造した。
比較例6
調製例1で調製した処理液に代えて、調製例30で調製した水溶液系でベンゼンスルホン酸メチルアミン含有の処理液で処理した以外は、すべて実施例18と同様の操作を行って、タンタル電解コンデンサを製造した。
比較例7
調製例1で調製した処理液に代えて、調製例31で調製した水溶液系でベンゼンスルホン酸カルシウム含有の処理液で処理した以外は、すべて実施例18と同様の操作を行って、タンタル電解コンデンサを製造した。
比較例8
調製例1で調製した処理液に代えて、調製例32で調製した水溶液系でスルホイソフタル酸n−プロピルアミン含有の処理液で処理した以外は、すべて実施例18と同様の操作を行って、タンタル電解コンデンサを製造した。
上記のように製造した実施例18〜34および比較例5〜8のタンタル電解コンデンサについて、前記実施例1の場合と同様にESRおよび静電容量を測定した、その結果を表3に前記表1の場合と同様の表示態様で示す。
Figure 0005988824
表3に示すように、実施例18〜34のタンタル電解コンデンサ(以下、「タンタル電解コンデンサ」を簡略化して「コンデンサ」という場合がある)は、比較例5〜8のコンデンサに比べて、ESRが低く、静電容量が大きかった。
また、上記ESRや静電容量測定後の実施例18〜34および比較例5〜8のタンタル電解コンデンサを85℃、相対湿度85%の雰囲気中で250時間貯蔵し、その貯蔵後、前記実施例1の場合と同様にESRおよび静電容量を測定し、かつ漏れ電流不良の発生を調べた。その結果を表4に前記表2の場合と同様の表示態様で示す。
Figure 0005988824
表4に示すように、85℃、相対湿度85%の雰囲気中での250時間貯蔵後においても、実施例18〜34のタンタル電解コンデンサ(以下、簡略化して「コンデンサ」という場合がある)は、比較例5〜8のコンデンサに比べて、ESRが低く、静電容量が大きく、比較例5〜8のコンデンサに見られるような漏れ電流不良の発生がなかった。また、実施例18〜34のコンデンサは、85℃、相対湿度85%の雰囲気中での250時間貯蔵後においても、ESRが最も高い場合でも15.0mΩであって、17.0mΩ以下という設定ESRを満たし、静電容量が最も小さい場合でも51.4μFであって、51.0μF以上という設定静電容量を満たし、また、漏れ電流不良の発生がないことから明らかのように、16V印加時で100μA以下という設定漏れ電流を満たしていた。
そして、この表4に示すESR値と前記表3に示すESR値との対比から明らかなように、実施例18〜34のコンデンサは、比較例5〜8のコンデンサに比べて、85℃、相対湿度85%の雰囲気中という高温、高湿下での貯蔵によるESRの増加が少なく、高温耐湿性が優れていた。すなわち、上記条件下での貯蔵後には、実施例18〜34のコンデンサと比較例5〜8のコンデンサのESRの差は、貯蔵開始前よりも大きくなり、実施例18〜34のコンデンサは、比較例5〜8のコンデンサに比べて、高温耐湿性が優れていた。

Claims (6)

  1. 導電性高分子を固体電解質として用いる電解コンデンサの製造にあたり、アルミニウム、タンタルおよびニオブよりなる群から選ばれる少なくとも1種の弁金属の多孔体と上記弁金属の酸化被膜からなる誘電体層を有し、その表面に導電性高分子の層が形成されたコンデンサ素子に、ベンゼンスルホン酸またはその誘導体およびナフタレンスルホン酸またはその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種のスルホン酸と炭素数が5〜12のアルキル基を有するアルキルアミンとからなるスルホン酸アルキルアミン塩であって、5℃の水に対する溶解度が10質量%以下であるスルホン酸アルキルアミン塩が、20℃で5質量%以上の濃度で溶解し、かつ有機溶剤が20質量%以上の濃度で溶解している溶液を含浸し、乾燥する操作を少なくとも1回行った後、導電性高分子の分散液を含浸し、乾燥する操作を少なくとも1回行うことを特徴とする電解コンデンサの製造方法。
  2. 有機溶剤が、沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤である請求項1記載の電解コンデンサの製造方法。
  3. ベンゼンスルホン酸またはその誘導体およびナフタレンスルホン酸またはその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種のスルホン酸が、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、フェノールスルホン酸、トルエンスルホン酸、カルボキシフェノールスルホン酸およびジカルボキシベンゼンスルホン酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の電解コンデンサの製造方法。
  4. 炭素数が5〜12のアルキル基を有するアルキルアミンが、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミンおよびラウリルアミンよりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の電解コンデンサの製造方法。
  5. 沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤が、エチレングリコール、γ−ブチロラクトンまたはジメチルスルホキシドである請求項2記載の電解コンデンサの製造方法。
  6. ベンゼンスルホン酸またはその誘導体およびナフタレンスルホン酸またはその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種のスルホン酸と炭素数が5〜12のアルキル基を有するアミンとからなるスルホン酸アルキルアミン塩が、ベンゼンスルホン酸ペンチルアミン、ベンゼンスルホン酸ヘキシルアミン、ベンゼンスルホン酸ヘプチルアミン、ベンゼンスルホン酸オクチルアミン、ベンゼンスルホン酸ノニルアミン、ベンゼンスルホン酸デシルアミン、ベンゼンスルホン酸ラウリルアミン、カルボキシフェノールスルホン酸ヘプチルアミン、ジカルボキシベンゼンスルホン酸ヘプチルアミン、トルエンスルホン酸ヘプチルアミンおよびナフタレンスルホン酸ヘプチルアミンよりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜5のいずれかに記載の電解コンデンサの製造方法。
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