JP4926131B2 - 固体電解コンデンサの製造方法および固体電解コンデンサ - Google Patents

固体電解コンデンサの製造方法および固体電解コンデンサ Download PDF

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Description

本発明は、導電性高分子を電解質に用いた固体電解コンデンサおよびその製造方法に関するものである。
一般に、固体電解コンデンサは、アルミニウムなどの弁作用金属の箔や、タンタルなどの弁作用金属からなる焼結体の表面に、誘電体である酸化皮膜が形成されたコンデンサ陽極体と、さらに、酸化皮膜の表面に形成された固体電解質層(陰極層)とを有している。
固体電解質としては、等価直列抵抗(ESR)が低く、高周波特性に優れた、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子が多用されている。
導電性高分子を電解質に用いた固体電解コンデンサの製造方法としては、例えば、弁作用金属の焼結体を用いる場合、先ず、焼結体をリン酸水溶液等の化成液に浸漬しながら電圧を印加して、焼結体の表面に陽極酸化(化成)による酸化皮膜を形成する。これにより得られたコンデンサ陽極体を、モノマーと酸化剤の混合溶液に浸漬、または、モノマー溶液と酸化剤溶液に順に浸漬して、化学酸化重合によって酸化皮膜上に導電性高分子層を形成する。
この際、酸化剤には、電子受容性の物質(ドーパント)が添加されており、このドーパントが高分子鎖から電子を引き抜いて、高分子内に正孔(キャリア)を発生させることにより、高分子は導電性を有する。
また、このような固体電解コンデンサでは、漏れ電流およびESRは低い方が望ましいため、従来から、漏れ電流やESRを低減するための技術が種々提案されている。
例えば、漏れ電流を低減させるための方法としては、化学酸化重合後に、コンデンサ陽極体をリン酸水溶液などに浸漬させて電圧を印加し、酸化皮膜を再化成して、導電性高分子層の形成時に生じた酸化皮膜の欠陥部を補修する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
一方、ESRを低減させるための方法としては、化学酸化重合後、コンデンサ陽極体を、水やアルコールなどの洗浄液を用いて洗浄し、未反応のモノマーや使用済みの酸化剤などの重合残渣を除去して、導電性高分子層の導電率を向上させる方法が一般的に知られている。また、導電性高分子層の導電率をさらに向上させる方法として、洗浄液としてドーパントを含む溶液(例えば、パラトルエンスルホン酸鉄を含む溶液)を使用し、洗浄と同時に追加ドーピングを行う方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、酸化剤として鉄などの遷移金属イオンを含む酸化剤を用いた場合、遷移金属イオンが導電性高分子層中に残留すると、遷移金属イオンの酸化還元反応によって、陽極酸化皮膜の欠陥部が増加して漏れ電流が増大する。そのため、漏れ電流を低下させる方法として、洗浄液としてクエン酸水溶液などの電解液を使用して、電圧を印加しながら洗浄を行うことで、固体電解質層中からの遷移金属濃度の低減を図る方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2001―148328号公報 特開2005―268341号公報 特開2001―167981号公報
しかしながら、上述した特許文献1の方法では、再化成により酸化皮膜の欠陥部は修復されるが、再化成の際に脱ドープが生じるため、導電性高分子の導電率が低下してしまう問題がある。
一方、上述した特許文献2の方法では、追加ドーピングと重合残渣の除去により導電性高分子の導電率は向上するが、酸化皮膜の欠陥部が修復されていないため、漏れ電流が増加してしまう問題がある。
また、漏れ電流とESRの双方を低減する観点から、上述した特許文献1の方法と特許文献2の方法とを組み合わせて、化学酸化重合後のコンデンサ陽極体に対して処理を施すことも考えられる。すなわち、洗浄液としてパラトルエンスルホン酸鉄(ドーパント兼酸化剤)を含む溶液にコンデンサ陽極体を浸漬させて洗浄を行いながら、電圧を印加して再化成を行うことが考えられる。
しかしながら、この場合には、洗浄により溶液中に溶け出した鉄などの遷移金属イオンが存在する状況下で再化成を行うこととなる。このため、遷移金属イオンの還元作用により酸化皮膜の欠陥部が増加し、かえって固体電解コンデンサの漏れ電流が大きくなってしまうという弊害が生じる。
また、上記特許文献3の方法では、固体電解質層中からの遷移金属濃度の低減を図ることができても、遷移金属イオンを完全に除去することは困難であり、導電性高分子中に遷移金属イオンがある程度残留してしまう。そのため、遷移金属イオンの還元作用により酸化皮膜の欠陥部が増加して、固体電解コンデンサの漏れ電流が高くなる問題がある。
本発明は上記課題を解決するもので、ESRを低減しながらも漏れ電流を低減することができる固体電解コンデンサの製造方法および固体電解コンデンサを提供することを目的とする。
本発明の固体電解コンデンサの製造方法は、弁作用金属粉末によって形成された焼結体、または、粗面化された弁作用金属箔の表面に、誘電体酸化皮膜層を形成して、コンデンサ陽極体を作製するコンデンサ陽極体作製工程と、前記誘電体酸化皮膜層の表面に、導電性高分子からなる陰極層を形成する陰極層形成工程と、を備え、
前記陰極層形成工程は、前記誘電体酸化皮膜層の表面に、非遷移金属酸化剤を用いた化学酸化重合により前記陰極層を形成する第1工程と、前記陰極層が形成された前記コンデンサ陽極体をスルホン酸類またはその非遷移金属塩を含むドーパント溶液に浸漬させて洗浄すると同時に、前記ドーパント溶液に浸漬された状態で電圧を印加して前記誘電体酸化皮膜層の再化成を行う第2工程と、を含むことを特徴とする(第1の発明)。
この構成によれば、化学酸化重合後、陰極層が形成されたコンデンサ陽極体は、スルホン酸類またはその非遷移金属塩を含むドーパント溶液を用いて洗浄される。このため、導電性高分子からなる陰極層中に残留した未反応モノマー等の重合残渣が除去されるとともに、ドーパント溶液中に含まれるドーパントが導電性高分子にドープまたは追加供給(追加ドープ)される。これにより、陰極層の導電率を向上させ、固体電解コンデンサのESRを低減させることができる。
しかも、洗浄と同時に、スルホン酸類による誘電体酸化皮膜層の再化成を行うことができるため、化学酸化重合の際に生じた誘電体酸化皮膜層の欠陥部を補修することができる。そのため、固体電解コンデンサの漏れ電流を低減させることが可能となる。ここで、非遷移金属酸化剤を用いて陰極層(導電性高分子)を形成しているため、[発明が解決しようとする課題]の項で説明したような、遷移金属酸化剤を用いた場合における誘電体酸化皮膜への悪影響、つまり誘電体酸化皮膜層の欠陥部の増加を招くことがない。よって、欠陥部の少ない誘電体酸化皮膜層を形成することができ、固体電解コンデンサの漏れ電流を確実に低減させることができる。
したがって、本発明の固体電解コンデンサの製造方法によれば、ESRを低減しながらも漏れ電流を低減させることができる。
また、本発明の固体電解コンデンサの製造方法は、前記陰極層形成工程において、第1工程と第2工程とを交互に複数回行うことが好ましい(第2の発明)。この構成により、導電性高分子の生成時に発生した誘電体酸化皮膜層の欠陥部をその都度修復することができるため、欠陥部のより少ない誘電体酸化皮膜層を形成することができる。従って、固体電解コンデンサの漏れ電流をより低減させることが可能となる。
また、本発明の固体電解コンデンサは、第1の発明または第2の発明にかかる固体電解コンデンサの製造方法により製造されたことを特徴とする。
本発明の固体電解コンデンサの製造方法によると、スルホン酸類のドーパント溶液を用いて洗浄と再化成とを同時に行うため、陰極層中の重合残渣の除去とドーピングまたは追加ドーピングが行われることによって、陰極層の導電率が向上して、固体電解コンデンサのESRが低下するとともに、スルホン酸類が化成性を有するため、化学酸化重合の際に生じた誘電体酸化皮膜層の欠陥部を補修することができ、固体電解コンデンサの漏れ電流を低減させることができる。
さらに、非遷移金属酸化剤を用いることにより、遷移金属酸化剤を用いた場合のような遷移金属イオンによる誘電体酸化皮膜への悪影響がなく、欠陥部の少ない誘電体酸化皮膜層を形成できる。従って、本発明にかかる固体電解コンデンサの製造方法によれば、固体電解コンデンサのESRを低減しながらも漏れ電流をより低減させることができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。本実施の形態では、弁作用金属から形成された焼結体を用いた固体電解コンデンサに本発明を適用した一例について説明する。
図1に示すように、本実施形態の固体電解コンデンサ1は、コンデンサ素子2と、コンデンサ素子2に接続された外部陽極端子3および外部陰極端子4と、外部陽極端子3および外部陰極端子4が引き出された状態でコンデンサ素子2を被覆する外装樹脂5とから構成される。
コンデンサ素子2は、コンデンサ陽極体7と、一部をコンデンサ陽極体7から露出させた状態で該コンデンサ陽極体7に埋設された陽極導出線6と、コンデンサ陽極体7の表面に形成された導電性高分子層10と、導電性高分子層10の表面を覆うカーボン層11および陰極銀層12とから構成される。導電性高分子層10は、陰極層として作用する。
コンデンサ陽極体7は、弁作用金属粉末から形成された直方体状の焼結体8と、焼結体8の一端面を除く表面全体に形成された誘電体酸化皮膜層9とから構成される。焼結体8には、陽極導出線6が、その一部が表出するように埋設されている。また、陽極導出線6には、外部陽極端子3が接続されている。
ここで、弁作用金属粉末の材料としては、例えばタンタル、アルミニウム、ニオブ等を用いることができる。
なお、焼結体8の形状は、直方体状に限定されるものではなく、例えば円柱状であってもよい。
誘電体酸化皮膜層9の表面には、導電性高分子層10が形成されている。導電性高分子層10を構成する導電性高分子としては、例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDT)、ポリピロールおよびポリアニリン等が挙げられる。なお、導電性高分子層10は、化学酸化重合により形成されている。
導電性高分子層10の表面には、カーボン層11が形成されており、このカーボン層11の表面には陰極銀層12が形成されている。また、陰極銀層12の表面には、導電性接着剤13を介して、外部陰極端子4が接続されている。
次に、上記の固体電解コンデンサ1の製造方法について、図2に示すフローチャートを用いて説明する。
先ず、弁作用金属粉末に陽極導出線6の一部を埋設した状態で弁作用金属粉末を所定の形状にプレス成形した後、焼結して、多孔質の焼結体8を作製する。この焼結体8を、例えばリン酸水溶液などの化成液に浸漬させながら、電圧を印加して陽極酸化を行い、焼結体8の表面に誘電体酸化皮膜層9を形成して、コンデンサ陽極体7を作製する。
次に、導電性高分子層(陰極層)形成工程を行う。
上記コンデンサ陽極体7を、例えば25℃に保持したモノマー溶液に浸漬して引き上げた後乾燥し、その後、例えば25℃に保持した酸化剤溶液に浸漬し、引き上げて、例えば30℃で化学酸化重合させて導電性高分子層10を形成する(第1工程)。
そして、導電性高分子層10が形成されたコンデンサ陽極体7を、ドーパント溶液に浸漬して洗浄すると同時に、ドーピングまたは追加ドーピングを行う。
さらに、この際、コンデンサ陽極体7をドーパント溶液に浸漬させた状態で、コンデンサ陽極体7を陽極とし、ドーパント溶液中に配置した電極を陰極として電圧を印加して、誘電体酸化皮膜層9の再化成を行う(第2工程)。
第1工程と第2工程を複数回繰り返して(第1工程と第2工程とを交互に複数回行って)、導電性高分子層形成工程を完了する。繰り返す回数は、導電性高分子の種類にもよるが、3回以上が好ましい。
なお、第1工程で用いられる酸化剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過酸化水素等の非遷移金属酸化剤が用いられる。
また、ドーパント作用を有さない酸化剤を用いる場合は、モノマー溶液または酸化剤溶液にドーパントが添加される。
第2工程で用いられるドーパント溶液としては、スルホン酸類またはその非遷移金属塩を含むドーパント溶液が用いられる。ドーパント溶液に用いるスルホン酸類としては、ドデシルベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸を挙げることができる。また、前記スルホン酸類の非遷移金属塩としては、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩を挙げることができる。これらのドーパント溶液は、高分子を導電化するとともに、化成性を有しているため、化学酸化重合にて損傷した誘電体酸化皮膜を修復することができる。
次に、導電性高分子層10の表面に、カーボンペースト、銀ペーストを順次塗布、乾燥して、カーボン層11および陰極銀層12を順次形成して、コンデンサ素子2を得る。
その後、陰極銀層12の表面に導電性接着剤13によってコンデンサ素子2と外部陰極端子4とを接続すると同時に陽極導出線6の先端部と外部陽極端子3とを抵抗溶接によって接続した後、コンデンサ素子2をトランスファーモールド法により外装樹脂5で被覆して、固体電解コンデンサ1を作製する。
以上のような固体電解コンデンサ1の製造方法によると、化学酸化重合後、ドーパント溶液を用いて洗浄を行うことにより、導電性高分子層10中に残留した未反応モノマー等の重合残渣が除去されるとともに、ドーパント溶液中に含まれるドーパントが導電性高分子にドープまたは追加供給(追加ドープ)される。これらにより、導電性高分子層10の導電率が向上するため、固体電解コンデンサ1のESRを低減することができる。
しかも、洗浄と同時に、ドーパント溶液に含まれるスルホン酸類によって誘電体酸化皮膜層9の再化成を行うことにより、化学酸化重合の際に生じた誘電体酸化皮膜層9の欠陥部を補修することができる。そのため、固体電解コンデンサ1の漏れ電流を低減することができる。
ここで、非遷移金属酸化剤を用いて導電性高分子を生成しているため、遷移金属酸化剤を用いた場合のような遷移金属イオンによる誘電体酸化皮膜層9への悪影響がないため、欠陥部の少ない誘電体酸化皮膜層9を形成できる。よって、固体電解コンデンサ1の漏れ電流をより低減させることができる。
したがって、本実施形態にかかる固体電解コンデンサの製造方法によれば、ESRを低減しながらも漏れ電流を低減することができる。
また、導電性高分子層形成工程において、第1工程と第2工程を交互に複数回行うことにより、導電性高分子の生成時に発生した誘電体酸化皮膜層9の欠陥部をその都度修復することができるため、欠陥部のより少ない誘電体酸化皮膜層9を形成することができる。従って、固体電解コンデンサ1の漏れ電流をより低減することが可能となる。
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施形態では、導電性高分子層形成工程の第1工程において、モノマー溶液を25℃、酸化剤溶液を25℃に保持したが、温度はこれに限るものではない。また、30℃で化学酸化重合させたが、温度はこれに限るものではない。
また、上記実施形態では、導電性高分子層形成工程の第1工程において、コンデンサ陽極体7を、モノマー溶液に浸漬後、酸化剤溶液に浸漬しているが、酸化剤溶液に浸漬後、モノマー溶液に浸漬してもよい。また、モノマーと酸化剤の混合溶液に浸漬してもよい。
また、上記実施形態では、第1工程と第2工程とを交互に複数回行って、導電性高分子層形成工程を完了しているが、第1工程と第2工程とをそれぞれ1回ずつ行って導電性高分子層形成工程を完了してもよい。
さらに、上記実施形態では、弁作用金属粉末から形成された焼結体を用いた固体電解コンデンサに本発明を適用した一例について説明したが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではない。本発明は、他に、粗面化された弁作用金属箔を用いた巻回型や積層型の固体電解コンデンサにも適用できる。
巻回型固体電解コンデンサは、誘電体酸化皮膜層が形成された弁作用金属箔からなる陽極箔と、弁作用金属箔からなる陰極箔とが、セパレータを介して巻回された構造を有しており、陽極箔と陰極箔との間に導電性高分子からなる陰極層が形成されたものである。
また、積層型固体電解コンデンサは、誘電体酸化皮膜層が形成された弁作用金属箔からなる陽極箔と、弁作用金属箔からなる陰極箔とが、セパレータを介して積層された構造を有しており、陽極箔と陰極箔との間に導電性高分子からなる陰極層が形成されたものである。
次に、本発明の具体的な実施例を比較例および従来例と合わせて説明する。
図2は、実施例および比較例1、2の固体電解コンデンサの製造工程を示すフローチャートである。図3は、比較例3および従来例の固体電解コンデンサの製造工程を示すフローチャートである。
[実施例]
タンタル粉末に陽極導出線を一部埋設した状態でタンタル粉末を0.60mm×1.00mm×0.60mmの大きさにプレス成形後、焼結して焼結体を形成した。この焼結体をリン酸水溶液に浸漬させ、印加電圧15Vで陽極酸化を行い、焼結体の表面に誘電体酸化皮膜層を形成して、コンデンサ陽極体を作製した。
次に、以下に示す2つ、すなわち第1および第2の導電性高分子層形成工程により、該コンデンサ陽極体の誘電体酸化皮膜層の表面に導電性高分子層を形成した。
ここで、第1の導電性高分子層は、主に焼結体の細孔内部に形成され、第2の導電性高分子層は、主に焼結体の外周に形成される。このように、2つに分けて導電性高分子層を形成することで、より漏れ電流特性、ESR特性に優れた固体電解コンデンサを作製することができる。
第1の導電性高分子層形成工程として、まず、該コンデンサ陽極体を、25℃に保持した3,4−エチレンジオキシチオフェン(以下、EDTと略す)モノマー20wt%溶液に浸漬して引き上げた後、乾燥した。その後、表1に示すように、25℃に保持した非遷移金属酸化剤である過硫酸アンモニウム5wt%とドーパントとしてドデシルベンゼンスルホン酸20wt%を含む酸化剤溶液に浸漬して引き上げた後、30℃で化学酸化重合させた(第1工程)。
次に、このコンデンサ陽極体を、表1に示すように、ドーパント溶液であるドデシルベンゼンスルホン酸を10wt%含む常温の水溶液に1時間浸漬し、洗浄および追加ドーピングを行った。その際、12Vの電圧を印加することで、同時に再化成を行い、洗浄・再化成工程とした(第2工程)。
当該第1工程および第2工程の操作を交互に3回行い、第1の導電性高分子層形成工程とした。
Figure 0004926131
次に、第2の導電性高分子層形成工程として、該コンデンサ陽極体を、25℃に保持したEDTモノマー50wt%溶液に浸漬して引き上げた後、乾燥した。その後、25℃に保持した表1に示す過硫酸アンモニウム15wt%を含む酸化剤溶液に浸漬して引き上げた後、30℃で化学酸化重合させた(第1工程)。
そして、上記第1の導電性高分子層形成工程と同様に、洗浄・再化成工程(第2工程)を行った。
当該第1工程および第2工程の操作を交互に2回行い、第2の導電性高分子層形成工程とした。従って、実施例では、第1および第2の導電性高分子層形成工程において、再化成を合計5回行った(表1参照)。以上の工程により、誘電体酸化皮膜層の表面に導電性高分子層を形成した。
次に、導電性高分子層の表面に、カーボン層および陰極銀層を順次塗布、乾燥させて形成し、その後、陰極銀層の表面に導電性接着剤により外部陰極端子を接続するとともに、陽極導出線の先端部に外部陽極端子を抵抗溶接にて接続した後、トランスファーモールド法によりコンデンサ素子を外装樹脂で覆い、固体電解コンデンサを作製した。
[比較例1]
洗浄・再化成工程(第2工程)において、ドデシルベンゼンスルホン酸を含む水溶液の替わりにリン酸水溶液を用いた以外は、実施例と同様の方法で固体電解コンデンサを作製した。つまり、比較例1では、洗浄・再化成工程(第2工程)において追加ドーピングを行わなかった。
[比較例2]
第1の導電性高分子層形成工程において、酸化剤として遷移金属酸化剤であるドデシルベンゼンスルホン酸第二鉄40wt%を含む酸化剤溶液を用い、また、第2の導電性高分子層形成工程において、酸化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸第二鉄50wt%を含む酸化剤溶液を用いた以外は、実施例と同様の方法で固体電解コンデンサを作製した。
[比較例3]
第1および第2の導電性高分子層形成工程において、比較例2と同様に、ドデシルベンゼンスルホン酸第二鉄を含む酸化剤溶液を用いた。さらに、洗浄の際、リン酸水溶液を使用し、かつ電圧を印加しなかった。つまり、追加ドーピングおよび再化成を行わずに洗浄のみを行った。上記の点以外は、実施例と同様の方法で固体電解コンデンサを作製した。
[従来例]
洗浄の際、電圧を印加しなかった以外は、実施例と同様の方法で固体電解コンデンサを作製した。
上記の実施例、比較例1〜3および従来例で作製した固体電解コンデンサについて、基板実装試験前後および高温負荷試験後の電気特性を測定した。なお、基板実装試験は、ピーク温度250℃、230℃以上30秒保持の鉛フリーはんだを用いたリフロー評価にて行った。また、高温負荷試験は、105℃/5V/1000時間評価にて行った。試料数は実施例、各比較例、従来例につきそれぞれ50個とし、6.3Vを1分間印加した時の漏れ電流値と、周波数100kHzでのESR値を測定し、その平均値にて評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 0004926131
表2より明らかなように、実施例は、比較例1、3に比べて、基板実装試験前後および高温負荷試験後のESRが明らかに低い値を示した。また、実施例は、比較例2、3および従来例に比べて、基板実装試験前後および高温負荷試験後の漏れ電流が明らかに低い値を示した。
実施例と比較例1との比較により、洗浄・再化成工程においてドデシルベンゼンスルホン酸を含む水溶液を用いることにより、リン酸水溶液を用いた場合に比べて、ESRが低い値になることがわかった。
これは、ドーパント溶液中で洗浄を行ったことにより、重合残渣の除去と、追加ドーピングが効率的に行われ、導電率の高い良質な導電性高分子を形成することができたためであると考えられる。
また、実施例と比較例2との比較により、非遷移金属酸化剤を用いることにより、遷移金属酸化剤を用いた場合に比べて、漏れ電流が低い値になることがわかった。
これは、非遷移金属酸化剤を用いることにより、遷移金属イオンによる誘電体酸化皮膜層への悪影響がなく、欠陥部の少ない良質な誘電体酸化皮膜層を形成することができたためであると考えられる。
さらに、実施例と従来例との比較により、洗浄と同時に再化成を行うことにより、洗浄と同時に再化成を行わない場合に比べて、漏れ電流が低い値になることがわかった。
これは、重合後に再化成を行うことにより、導電性高分子の生成時に生じる誘電体酸化皮膜層の欠陥部をその都度修復し、欠陥部の少ない誘電体酸化皮膜を形成することができたためであると考えられる。
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではない。
例えば、上記実施例では、第1の工程で用いられる非遷移金属酸化剤として、過硫酸アンモニウムを使用した例について記載したが、非遷移金属酸化剤はこれに限るものではない。例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過酸化水素を使用しても実施例と同様の効果が得られる。
また、上記実施例では、第2の工程のドーパント溶液に用いるスルホン酸類として、ドデシルベンゼンスルホン酸を使用した例について記載したが、スルホン酸類はこれに限るものではない。例えば、パラトルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸を使用しても実施例と同様の効果が得られる。
さらに、上記実施例では、モノマーに3,4−エチレンジオキシチオフェンを使用した例について記載したが、モノマーはこれに限るものではない。すなわち、モノマーとしては、対応するポリマーが導電性を示すものから選択すればよい。チオフェン、ピロール、アニリンまたはそれらの誘導体などがその一例として挙げられる。
その他、本明細書に添付の特許請求の範囲内での種々の設計変更および修正を加え得ることは勿論である。
本発明の実施形態の固体電解コンデンサの断面図である。 本発明の実施形態、実施例および比較例1、2の固体電解コンデンサ製造工程を示すフローチャートである。 比較例3および従来例の固体電解コンデンサ製造工程を示すフローチャートである。
符号の説明
1 固体電解コンデンサ
2 コンデンサ素子
3 外部陽極端子
4 外部陰極端子
5 外装樹脂
6 陽極導出線
7 コンデンサ陽極体
8 焼結体
9 陽極酸化皮膜層
10 導電性高分子層(陰極層)
11 カーボン層
12 陰極銀層
13 導電性接着剤

Claims (3)

  1. 弁作用金属粉末によって形成された焼結体、または、粗面化された弁作用金属箔の表面に、誘電体酸化皮膜層を形成して、コンデンサ陽極体を作製するコンデンサ陽極体作製工程と、
    前記誘電体酸化皮膜層の表面に、導電性高分子からなる陰極層を形成する陰極層形成工程と、を備え、
    前記陰極層形成工程は、
    前記誘電体酸化皮膜層の表面に、非遷移金属酸化剤を用いた化学酸化重合により前記陰極層を形成する第1工程と、
    前記陰極層が形成された前記コンデンサ陽極体をスルホン酸類またはその非遷移金属塩を含むドーパント溶液に浸漬させて洗浄すると同時に、前記ドーパント溶液に浸漬された状態で電圧を印加して前記誘電体酸化皮膜層の再化成を行う第2工程と、
    を含むことを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  2. 前記陰極層形成工程において、第1工程と第2工程とを交互に複数回行うことを特徴とする請求項1に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の固体電解コンデンサの製造方法により製造されたことを特徴とする固体電解コンデンサ。
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