JP4701680B2 - 固体電解コンデンサ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、固体電解コンデンサ及びその製造方法に関する。
近年、電子機器のデジタル化、小型化、高速化がますます加速されている。このような状況下、各種電子機器に多用される高周波用途に適した電子部品の一つである電解コンデンサには、従来にも増して大容量化、高周波動作時の低インピーダンス化が要求されるとともに、動作安定性、信頼性、及び、更なる長寿命化が熱望されている。
電解コンデンサは、一般に、アルミニウム、タンタル等から成るいわゆる弁作用金属層と、その表面が陽極酸化されることにより形成される酸化皮膜からなる誘電体層と、電解質層と、グラファイトや銀等からなる導電体層とが順次積層された構造を有している。
このような電解コンデンサは、電解質材料の性状により、液体電解コンデンサと固体電解コンデンサの2種に大別される。前者は、電解質材料として液状の電解質(電解液)を含有する電解質層を備えるものであり、後者は、電解質材料として固体状の電解質(錯塩、導電性ポリマー等)を含有する電解質層(固体電解質層)を備えるものである。これらを諸特性の観点から比較すると、前者は、電解質の漏洩あるいは蒸発(ドライアップ)に起因する経時劣化を本質的に引き起こし易いのに対し、後者はそのようなおそれが殆どない。
かかる利点に基づいて、最近では固体電解コンデンサの研究開発が活発に行われており、特に、漏れ電流値、インピーダンス特性、耐熱性等の観点から、開発・実用化の焦点は、二酸化マンガンや錯塩を用いたものからポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン等に電子供与性や電子吸引性の物質(ドーパント)をドープさせた共役系の導電性高分子を用いたものへと急速に移行しつつある。
ところで、上述した一般的な構成の電解コンデンサでは、通常、高容量化のために弁作用金属層が粗面化・拡面化され、その表面は微細な凹凸形状となっている。よって、その弁作用金属層上に形成される誘電体層も同様に微細凹凸形状となっており、固体電解コンデンサにおいては、この誘電体層上に固体電解質層が形成されることとなる。
この固体電解質層の形成方法としては、一液法と二液法とが一般的に知られている。一液法は、導電性高分子化合物を構成する単量体と酸化剤とを含む溶液に、弁作用金属層の表面に誘電体層が形成されて成る弁作用金属基体を浸漬する方法である。二液法は、単量体を含む溶液と酸化剤を含む溶液とを個別に用意し、これらの溶液に弁作用金属基体を交互に浸漬する方法である。いずれの方法においても、誘電体層上に付着させた単量体を化学酸化重合せしめることにより、固体電解質層が形成されることとなる。
そして、一液法及び二液法のいずれの場合でも、弁作用金属基体の粗面化又は拡面化された部分への導電性高分子化合物の充填率を向上させ、固体電解コンデンサの高容量化を実現するためには、弁作用金属基体を単量体及び酸化剤を含む溶液に浸漬するか、又は、単量体を含む溶液及び酸化剤を含む溶液に交互に浸漬し、溶液から引き上げて空気中にて単量体の酸化重合を促進させ、洗浄及び乾燥を行うといった一連の重合処理を多くの回数繰り返して行う必要がある(例えば、特許文献1参照)。
特開平10−308116号公報
しかしながら、上記の重合処理を多くの回数行う場合には、多くの処理時間が必要となる。更に、上記の重合処理を単に繰り返して行った場合、得られる固体電解コンデンサの高温信頼性を十分に向上させることが困難であることを本発明者らは見出した。なお、ここで言う高温信頼性とは、固体電解コンデンサを高温環境下に長期間放置した場合に、その静電容量の低下及びインピーダンスの増大を抑制する性質を意味する。この高温信頼性が不十分であると、固体電解コンデンサの諸特性が経時的に劣化しやすくなるという問題が生じる。そうなると、例え高い容量を有する固体電解コンデンサが得られたとしてもその優れた特性が維持できなくなるため、高温信頼性は固体電解コンデンサにおける重要な特性の一つとなっている。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、固体電解コンデンサの高温信頼性を十分に向上させることが可能な固体電解コンデンサの製造方法及びその製造方法により製造された固体電解コンデンサを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、表面に誘電体層が形成された弁作用金属基体を準備する準備工程と、上記弁作用金属基体の上記誘電体層上に固体電解質層を形成する固体電解質層形成工程と、を有する固体電解コンデンサの製造方法であって、上記固体電解質層形成工程は、上記弁作用金属基体を、導電性高分子化合物を構成する単量体及び該単量体を酸化重合させるための酸化剤を含む重合溶液に浸漬した後、該重合溶液から引き上げる浸漬ステップと、上記弁作用金属基体を引き上げた状態で放置する放置ステップと、上記弁作用金属基体の表面を洗浄する洗浄ステップと、を含む重合処理、並びに、少なくとも上記浸漬ステップを含み、上記洗浄ステップを含まない省略重合処理を、少なくとも1回の前記重合処理を行った後に、1回の前記省略重合処理を行い、その後更に1回の前記重合処理を行うことで、上記単量体を酸化重合させて上記固体電解質層を形成する工程である、ことを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法を提供する。

また、本発明は、表面に誘電体層が形成された弁作用金属基体を準備する準備工程と、上記弁作用金属基体の上記誘電体層上に固体電解質層を形成する固体電解質層形成工程と、を有する固体電解コンデンサの製造方法であって、上記固体電解質層形成工程は、上記弁作用金属基体を、導電性高分子化合物を構成する単量体を含む単量体溶液に浸漬した後、上記単量体溶液から引き上げ、次いで上記単量体を酸化重合させるための酸化剤を含む酸化剤溶液に浸漬した後、上記酸化剤溶液から引き上げる浸漬ステップと、上記弁作用金属基体を引き上げた状態で放置する放置ステップと、上記弁作用金属基体の表面を洗浄する洗浄ステップと、を含む重合処理、並びに、少なくとも上記浸漬ステップを含み、上記洗浄ステップを含まない省略重合処理を、少なくとも1回の前記重合処理を行った後に、少なくとも1回の前記省略重合処理を行い、その後更に少なくとも1回の前記重合処理を行うことで、上記単量体を酸化重合させて上記固体電解質層を形成する工程である、ことを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法を提供する。
これらの製造方法では、固体電解質層形成工程において、浸漬ステップ、放置ステップ及び洗浄ステップのうちの少なくとも洗浄ステップを省略した省略重合処理を行っている。そして、かかる省略重合処理を含む固体電解質層形成工程を経て固体電解コンデンサを製造することにより、固体電解コンデンサの高温信頼性を飛躍的に向上させることができる。また、この固体電解コンデンサの高温信頼性の飛躍的な向上を、極めて少ない重合処理及び省略重合処理の合計処理回数で達成することができる。このような効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、洗浄ステップを省略することによって、未反応の単量体や酸化剤等の成分が弁作用金属基体表面に残存した状態で次の重合処理又は省略重合処理に移行することとなり、これらの残留成分が有効に機能して単量体の酸化重合反応が効率的に進行することが理由の一つとして考えられる。
また、省略重合処理は、少なくとも浸漬ステップを含み、洗浄ステップを含まない処理であるが、更に放置ステップを含まない処理であってもよい。放置ステップを省略することによって、工程時間がより短縮されるとともに、その場合であっても製造される固体電解コンデンサの高温信頼性を十分に向上させることができる。
本発明はまた、上記本発明の固体電解コンデンサの製造方法により製造されたものであることを特徴とする固体電解コンデンサを提供する。
かかる固体電解コンデンサは、上述した本発明の固体電解コンデンサの製造方法により製造されているため、十分な高温信頼性を得ることができる。
本発明によれば、固体電解コンデンサの高温信頼性を十分に向上させることが可能な固体電解コンデンサの製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、上記本発明の固体電解コンデンサの製造方法により製造されており、十分な高温信頼性を有する固体電解コンデンサを提供することができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、上下左右等の位置関係は、図面の位置関係に基づくものとする。
[固体電解コンデンサ]
まず、本発明の固体電解コンデンサの製造方法により製造される本発明の固体電解コンデンサについて説明する。図1は、本発明の固体電解コンデンサの好適な一実施形態を示す模式断面図である。図1に示すように、固体電解コンデンサ1は、陽極導出線8及び陰極導出線10が接続された固体電解コンデンサ素子18が、樹脂モールド層16で覆われた構成を有している。また、陽極導出線8、陰極導出線10には外部陽極端子12、外部陰極端子14がそれぞれ接続されている。そして、固体電解コンデンサ素子18は、交互に一定間隔で配置された電極2(第1の電極層)と電極6との間に誘電体層4が設けられたものである。また、電極2及び誘電体層4から弁作用金属基体5が構成されている。
図2は、固体電解コンデンサ1の要部を模式的に示す断面図であり、電極2、誘電体層4、電極6及び樹脂モールド層16が積層されている状態をより詳細に示すものである。図2において、固体電解コンデンサ1は、電極2、誘電体層4、固体電解質層20及び導電体層22,24が順次積層された構成を有している。このように導電体層22,24から電極26(第2の電極層)が構成されており、また固体電解質層20及び電極26から電極6が構成されている。
(陽極)
電極2は、固体電解コンデンサ1において陽極として機能するものである。その表面には粗面化又は拡面化処理が施されて微細な凹凸形状が形成されており、これにより表面積が増大されて固体電解コンデンサ1の高容量化が図られている。電極2を構成する材料としては、電解コンデンサに一般に用いられるものであれば特に制限されず、例えば、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマス、アンチモン等のいわゆる弁作用金属が挙げられる。これらの中ではアルミニウム又はタンタルが比較的好ましく用いられる。これらの弁作用金属により構成される電極2は、弁作用金属層とも呼ばれている。また、電極2の厚さは通常好ましくは1〜500μm程度とされる。
(誘電体層)
誘電体層4は、電極2表面の凹凸形状に沿ってその表面を覆うように形成されている。誘電体層4は、通常電気絶縁性を有する金属酸化皮膜(例えば、電極2がアルミニウムである場合は酸化アルミニウム皮膜)から成り、電極2の表層部を所定の方法で酸化することで簡易に形成される。また、誘電体層4の厚さは、通常1nm〜1μmとされる。
(陰極)
固体電解質層20は、拡面化により形成された電極2の微細凹凸面上の誘電体層4に沿ってその凹部を埋めるように形成されている。固体電解質層20の厚さは、上記凹凸面を覆うことができるような厚さが望ましく、例えば、好ましくは1〜100μm程度とされる。かかる固体電解質層20は、少なくとも導電性高分子化合物を含有して成るものである。
ここで、導電性高分子化合物としては、通常使用されるものを使用することができ、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフラン及びこれらの誘導体等を用いることができ、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)が特に好ましく用いられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
固体電解質層20は、更にプロトン供与性高分子化合物を含有することが好ましい。プロトン供与性高分子化合物は、プロトンを供与する(プロトンを自由に移動させる)ことが可能ないわゆるプロトン伝導性高分子化合物である。このプロトン供与性高分子化合物は、例えば、主鎖としての高分子骨格に、プロトンを供与可能な官能基(以下、「プロトン供与性官能基」という)を含む側鎖が結合されたものである。
主鎖としての高分子骨格としては、例えば、ポリフルオロエチレン、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸(ポリアクリル酸又はポリメタクリル酸)、ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン及びこれらの誘導体等が挙げられる。
また、プロトン供与性官能基としては、スルホン酸基、リン酸基、カルボキシル基等が挙げられ、これらの中では比較的強酸基であるスルホン酸基又はリン酸基がより好ましい。
上述の高分子骨格及びプロトン供与性官能基を有するものとしては、スルホン酸基が結合した、ポリフルオロエチレン、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリイミド及びこれらの誘導体、並びに、リン酸基が結合した、ポリ(メタ)アクリル酸及びその誘導体が好ましく用いられる。
そして、プロトン供与性高分子化合物としては、スルホン酸基を含むパーフルオロアルキルエーテル側鎖を有するものが更に好ましく、スルホン酸基を含むパーフルオロアルキルエーテル側鎖を有するポリフルオロエチレン及びその誘導体が特に好ましい。この種のポリフルオロエチレンとしては、末端にスルホン酸基を有するパーフルオロアルキルエーテル側鎖を有するフルオロエチレン及びテトラフルオロエチレンを単量体単位とする共重合体であることが好ましく、具体的には、例えば、下記式(1)で表される繰り返し単位を有する化合物が挙げられる。
Figure 0004701680
式(1)中、pは概ね3〜20、好ましくは5〜15、qは概ね1〜1000、好ましくは1〜500、mは概ね1〜5、好ましくは1〜3、nは概ね1〜5、好ましくは1〜3の整数である。
これらのプロトン供与性高分子化合物は、固体電解質層20において酸化種として機能し、或いは、周囲に不可避的に存在する水又は酸素による金属の酸化反応触媒等として機能するものと考えられる。そのため、上述した誘電体層4を構成する酸化皮膜が熱衝撃又は物理的若しくは化学的な衝撃等を受けて損傷した場合には、その損傷部位において固体電解質層20が陽極と接触するようになり、上記のプロトン供与性高分子化合物による酸化作用又は触媒作用によって陽極が酸化され、酸化皮膜の再生が可能となる。これにより誘電体層4の絶縁性が回復・保持される。すなわち、プロトン供与性高分子化合物を固体電解質層20に含有させることにより、固体電解コンデンサに自己修復機能を付与することができる。
固体電解質層20におけるプロトン供与性高分子化合物の含有量は、導電性高分子化合物100質量部に対して0.01〜50質量部であることが好ましく、0.1〜45質量部であることがより好ましく、0.2〜40質量部であることが更に好ましい。なお、ここでいう含有量は、固体電解質層20を形成する際の仕込み量、すなわち導電性高分子化合物を生成する際の材料投入量に基づく値である。この含有量が0.01質量部未満であると、含有量が上記範囲内である場合と比較して、自己修復機能が不十分となる傾向がある。一方、含有量が50質量部を超えると、含有量が上記範囲内である場合と比較して、固体電解コンデンサとしての諸特性(容量、漏れ電流値、インピーダンス特性、耐熱性等)が低下する傾向がある。
固体電解質層20中には、上記のプロトン供与性高分子化合物に加えて、更にスルホサリチル酸等のスルホン酸系化合物、リン酸尿素、モノn−ブトキシエチルホスフェート等のリン酸エステル化合物、マレイン酸、安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸、ヒドロキシカルボン酸等のカルボン酸化合物を添加してもよい。これらの添加により、自己修復機能が向上する傾向がある。
固体電解質層20は、上記のプロトン供与性高分子化合物とともに、更に水溶性高分子化合物を含有することが好ましい。水溶性高分子化合物は、水を保有し、プロトン供与性高分子化合物を分散させることが可能なものであり、例えば、ポリビニルアルコール及びセルロース等が挙げられる。
これらの水溶性高分子化合物は、プロトン供与性高分子化合物を分散させるための媒体として機能し、固体電解質層20におけるプロトン供与性高分子化合物の分散性を飛躍的に向上させて優れたイオン伝導性を得ることができる。これにより、固体電解コンデンサに優れた自己修復機能を付与することができる。
この水溶性高分子化合物の固体電解質層20における含有量は、導電性高分子化合物100質量部に対して0.01〜50質量部であることが好ましく、0.1〜45質量部であることがより好ましく、0.2〜40質量部であることが特に好ましい。この水溶性高分子化合物の含有量とは、上述したプロトン供与性高分子化合物の含有量と同様に、固体電解質層20を形成する際の仕込み量、すなわち導電性高分子化合物を生成する際の材料投入量に基づく値である。この水溶性高分子化合物の含有量が0.01質量部未満であると、含有量が上記範囲内である場合と比較して、自己修復機能が不十分となる傾向がある。一方、含有量が50質量部を超えると、含有量が上記範囲内である場合と比較して、固体電解コンデンサとしての諸特性(容量、漏れ電流値、インピーダンス特性、耐熱性等)が低下する傾向がある。
固体電解質層20は、更にドーパントを含有することが好ましい。ドーパントは、導電性高分子化合物の導電性を高めるためのものであり、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩(例えば、パラトルエンスルホン酸ナトリウム等)、アルキルナフタレンスルホン酸及びその塩(例えば、イソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム等)、並びにリン酸等が挙げられる。
これらのドーパントを含有させることにより、固体電解質層20は優れた電子伝導性を得ることができ、高い容量を得ることができる。また、低いESRを得ることができる。
この固体電解質層20上に形成された電極26を構成する導電体層22,24の材料としては、例えば、カーボンや金属等を用いることができ、導電体層22としてカーボン、導電体層24として銀を用いることができる。なお、電極26は、導電体層22,24の2層構造に限定されず、3層以上で構成されていてもよい。
陽極導出線8、陰極導出線10、外部陽極端子12及び外部陰極端子14は、固体電解コンデンサ素子18を通電させるために利用されるものであり、例えば、いずれも鉄(Fe)または銅(Cu)などの導電性材料や、これらの導電性材料にめっき処理(例えば錫(Sn)めっき、または錫鉛(SnPb)めっき)が施された材料により構成されている。
樹脂モールド層16は、固体電解コンデンサ1の外装を構成するものであり、例えば、エポキシ樹脂などの絶縁性樹脂材料により構成されている。
[固体電解コンデンサの製造方法]
(第1実施形態)
次に、以上のような構成を有する固体電解コンデンサ1を製造するための本発明の固体電解コンデンサの製造方法の第1実施形態について説明する。
図3は、本発明の固体電解コンデンサ1を製造する手順の一例を示すフロー図である。図3に示すように、まず、弁作用金属(第1の電極層用の部材)の表面を化学的又は電気化学的エッチングにより粗面化又は拡面化して電極2を形成する(S11;第1の電極層形成工程)。次に、電極2の表面(粗面化又は拡面化された部位)を陽極酸化して酸化皮膜を生じさせ、誘電体層4を形成して弁作用金属基体5を作製する(S12;誘電体層形成工程)。このときの陽極酸化は、具体的には、電極2を化成溶液に浸漬し、その電極2を正極として一定の電圧を印加することにより実施できる。また、印加電圧は、形成する酸化皮膜の膜厚に応じて適宜決定することができ、通常数ボルト〜数百ボルト程度の電圧に設定される。さらに、化成溶液としては、ホウ酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、有機酸アンモニウム等の緩衝溶液を好ましく用いることができ、特に、有機酸アンモニウムであるアジピン酸アンモニウム水溶液を用いることが好ましい。このようにして、表面に誘電体層が形成された弁作用金属基体5の準備を完了する(準備工程)。
なお、電極2を形成する際には、例えば、上記したように、粗面化又は拡面化処理が施されていない未処理の弁作用金属を使用し、その弁作用金属に粗面化又は拡面化処理を別途施すようにしてもよいし、あるいは粗面化又は拡面化処理に要する手間を省くために、予め粗面化又は拡面化処理が施された処理済みの弁作用金属を使用するようにしてもよい。また、電極2上に誘電体層4を形成する際には、例えば、あらかじめ酸化皮膜が部分的に形成された電極2を使用し、この電極2を切断することにより酸化皮膜が形成されていない面(切断面)を露出させた後に、その切断面に酸化皮膜を別途形成することにより、電極2の周囲全体を覆うように誘電体層4を形成するようにしてもよい。
S11又はS12に並行して、上述した導電性高分子化合物を構成する単量体と、これを酸化重合させるための酸化剤とを含む重合溶液を調製する(S13)。この重合溶液には、上述したプロトン供与性高分子化合物、水溶性高分子化合物、ドーパント等を必要に応じて添加することができる。この重合溶液を調製する際に用いられる溶媒としては、水やアルコール等の極性溶媒等が用いられる。アルコールとしては、エタノール及びブタノールが好ましい。なお、重合溶液にプロトン供与性高分子化合物を添加する場合には、これを溶解可能な溶媒を用いることが好ましい。これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、単量体としては、例えば、アニリン、ピロール、チオフェン、フラン及びこれらの誘導体等が挙げられ、これらを重合させることによって、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフラン及びこれらの誘導体等の導電性高分子化合物を得ることができる。なお、導電性高分子化合物としてポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を生成するために、単量体としては3,4−エチレンジオキシチオフェンを用いることが好ましい。
単量体の重合に用いる酸化剤としては、ヨウ素、臭素等のハロゲン化物、五フッ化珪素等の金属ハロゲン化物、硫酸等のプロトン酸、三酸化イオウ等の酸素化合物、硫酸セリウム等の硫酸塩、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩、過酸化水素等の過酸化物、パラトルエン酸鉄等の鉄塩等が挙げられる。また、ドーパントとしての機能をも有する酸化剤を用いてもよく、かかる酸化剤を用いるとともに、更にこれとは別のドーパントを用いてもよい。酸化剤とドーパントの両方の機能を有する材料としては、例えば、パラトルエンスルホン酸鉄等のドーパントとして先に例示したものの鉄塩等が挙げられる。
ここで、重合溶液における固形分濃度は、10〜60質量%であることが好ましい。固形分濃度が10質量%未満であると、固形分濃度が上記範囲内である場合と比較して、所望の厚みの固体電解質層を形成するまでに重合処理を多くの回数行う必要が生じ、工程時間が長くなるとともに、高温信頼性の向上が不十分となる傾向がある。一方、固形分濃度が60質量%を超えると、固形分濃度が上記範囲内である場合と比較して、弁作用金属基体の粗面化又は拡面化された部分に単量体が導入されにくく、導電性高分子化合物の充填が不十分となって、固体電解コンデンサの高容量化及び高温信頼性の向上が不十分となる傾向がある。
重合溶液がプロトン供与性高分子化合物を含有する場合、その含有量は、単量体100質量部に対して0.01〜50質量部であることが好ましく、0.1〜45質量部であることがより好ましく、0.2〜40質量部であることが更に好ましい。この含有量が0.01質量部未満であると、含有量が上記範囲内である場合と比較して、得られる固体電解コンデンサの自己修復機能が不十分となる傾向がある。一方、含有量が50質量部を超えると、含有量が上記範囲内である場合と比較して、得られる固体電解コンデンサの諸特性(容量、漏れ電流値、インピーダンス特性、耐熱性等)が低下する傾向がある。
重合溶液が水溶性高分子化合物を含有する場合、その含有量は、単量体100質量部に対して0.01〜50質量部であることが好ましく、0.1〜45質量部であることがより好ましく、0.2〜40質量部であることが特に好ましい。この含有量が0.01質量部未満であると、含有量が上記範囲内である場合と比較して、得られる固体電解コンデンサの自己修復機能が不十分となる傾向がある。一方、含有量が50質量部を超えると、含有量が上記範囲内である場合と比較して、得られる固体電解コンデンサの諸特性(容量、漏れ電流値、インピーダンス特性、耐熱性等)が低下する傾向がある。
かかる重合溶液を用いて、弁作用金属基体5の誘電体層4上に固体電解質層20を形成する固体電解質層形成工程(以下、「第1の固体電解質層形成工程」という)を行う(S14)。かかる第1の固体電解質形成工程は、一液法により固体電解質層を形成する方法である。図4は第1の固体電解質層形成工程により固体電解質層20を形成する手順の一例を示すフロー図である。
図4に示すように、まず、弁作用金属基体5を重合溶液に浸漬(S101)した後、弁作用金属基体5を重合溶液から引き上げる(S102)ことにより、浸漬ステップ(S110)を行う。これにより、弁作用金属基体5の表面に重合溶液を付着させる。
次に、弁作用金属基体5を重合溶液から引き上げた状態で放置する(S103;放置ステップ)。これにより、弁作用金属基体5表面に付着した重合溶液中の単量体の酸化重合反応を進行させ、導電性高分子化合物を生成させる。また、放置ステップにおいては、単量体の酸化重合反応を促進させるために、重合溶液が付着した弁作用金属基体5を高温環境下で放置してもよい。また、放置ステップにおける放置時間は特に制限されず、使用する重合溶液の組成や固形分濃度、又はその他の条件に合わせて適宜決定することができる。なお、上記の重合溶液には単量体とともに酸化剤が含有されているため、重合反応は放置ステップを行う前の浸漬ステップでも若干生じる場合もある。
次に、弁作用金属基体5の表面を洗浄する(S104;洗浄ステップ)。ここで、洗浄は、水、アルコール等を洗浄液とし、これを弁作用金属基体5に吹き付ける方法や、洗浄液中に弁作用金属基体5を浸漬する方法等により弁作用金属基体5表面の不純物を除去することにより行われる。また、洗浄ステップにおいては、弁作用金属基体5の洗浄後に更に乾燥を行うことが好ましい。これにより弁作用金属基体5に付着した洗浄液等の液体が除去される。
以上説明したS110、S103及びS104により、単量体を酸化重合させて固体電解質層20を形成する重合処理が行われる。通常はこの重合処理を、図4中の繰り返し矢印R1に従って複数回繰り返して行うことにより、所望の厚さの固体電解質層20が形成されることとなるが、本発明の製造方法にかかる第1の固体電解質層形成工程においては、S110、S103及びS104を含む重合処理を1回以上行うとともに、S110を少なくとも含み、S104を含まない省略重合処理を1回以上行う。そして、少なくとも最後の1回は重合処理を行うことで固体電解質層20の作製を完了する。すなわち、少なくとも1回は、図4中の繰り返し矢印R2又はR3に従って省略重合処理を行う。
より具体的な手順を示すと、例えば、S110及びS103(省略重合処理)を行った後、S110、S103及びS104(重合処理)を行う手順、S110(省略重合処理)を行った後、S110、S103及びS104(重合処理)を行う手順、S110、S103及びS104(重合処理)を行った後、S110及びS103(省略重合処理)を行い、最後に再びS110、S103及びS104(重合処理)を行う手順、S110(省略重合処理)を行った後、S110及びS103(省略重合処理)を行い、最後にS110、S103及びS104(重合処理)を行う手順、S110及びS103(省略重合処理)を行った後、S110、S103及びS104(重合処理)を2回繰り返して行う手順等が挙げられる。このように、最後にS104を含む重合処理を行うようにする限りにおいては、重合処理及び省略重合処理を行う順序やその繰り返し回数は何ら制限されず、また、省略重合処理としても、S104のみ省略する場合とS104及びS103を省略する場合との両方を含んでいてもよい。
かかる第1の固体電解質層形成工程により固体電解質層を形成することにより、得られる固体電解コンデンサの高温信頼性を飛躍的に向上させることができる。また、工程を簡素化して工程時間を短縮することができる。
第1の固体電解質層形成工程を行った後、図3に戻って、固体電解質層20上に、導電性部材(第2の電極層用の部材)を積層させ電極26を形成する(S15;第2の電極層形成工程)。積層は、例えば、導電性部材をペースト状にしたものを固体電解質層20上に塗布して導電体層22を形成し、その上に異なる導電性部材をペースト状にしたものを更に塗布して導電体層24を形成することによって実施することができる。具体的には、例えば、固体電解質層20上にカーボンペーストを塗布して乾燥させた後、銀ペーストを塗布して乾燥させることによって、導電体層22,24を形成することができる。
こうして、固体電解コンデンサ素子18を形成した後、電極に陽極導出線8及び陰極導出線10を接続する。続いて、それぞれの導出線の一部が外部に露呈するように固体電解コンデンサ素子18全体を樹脂モールド層16で被覆した後、陽極導出線8及び陰極導出線10にそれぞれ外部陽極端子12及び外部陰極端子14を接続することにより、固体電解コンデンサ1を得る(ステップS16)。その後、更にエージング処理を施すことが好ましい(ステップS17;後処理工程)。エージング処理は、固体電解コンデンサ1の外部陽極端子12及び外部陰極端子14に一定の電圧を印加することにより行うことができ、これにより、固体電解コンデンサ1の製造が完了する。
以上により製造される固体電解コンデンサ1は、上述した第1の固体電解質形成工程により固体電解質層20が形成されているため、優れた高温信頼性を得ることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の固体電解コンデンサの製造方法の第2実施形態について説明する。第2実施形態にかかる固体電解コンデンサの製造方法では、固体電解質層20を二液法により形成する。すなわち、固体電解質層形成工程のみ上述した第1実施形態と異なっており、それ以外の工程については、第1実施形態において説明した方法と同様に、図3に示したフロー図に従って行うことができる。以下、第2実施形態における固体電解質形成工程(以下、「第2の固体電解質形成工程」という)について説明する。
第2の固体電解質形成工程を行うにあたって、まず、固体電解質層20を形成するための重合溶液を調製する。ここで、重合溶液としては、上述した導電性高分子化合物を構成する単量体を含む単量体溶液と、上記単量体を酸化重合させるための酸化剤を含む酸化剤溶液との2種類の溶液を調製する(S13)。ここで、単量体及び酸化剤、並びにこれらの溶媒としては、第1実施形態において例示したものを使用することができる。また、単量体溶液には、上述したプロトン供与性高分子化合物、水溶性高分子化合物、ドーパント等を必要に応じて添加することができる。
ここで、単量体溶液における固形分濃度は、0.1〜50質量%であることが好ましい。固形分濃度が0.1質量%未満であると、固形分濃度が上記範囲内である場合と比較して、所望の厚みの固体電解質層を形成するまでに重合処理を多くの回数行う必要が生じ、工程時間が長くなるとともに、高温信頼性の向上が不十分となる傾向がある。一方、固形分濃度が50質量%を超えると、固形分濃度が上記範囲内である場合と比較して、弁作用金属基体の粗面化又は拡面化された部分に単量体が導入されにくく、導電性高分子化合物の充填が不十分となって、固体電解コンデンサの高容量化及び高温信頼性の向上が不十分となる傾向がある。
また、単量体溶液がプロトン供与性高分子化合物、水溶性高分子化合物、ドーパントを含有する場合、それらの含有量の好ましい範囲は、第1実施形態において説明した含有量と同様である。
更に、酸化剤溶液における固形分濃度は、1〜60質量%であることが好ましい。固形分濃度が1質量%未満であると、固形分濃度が上記範囲内である場合と比較して、重合反応が不十分となり、コンデンサ特性が不十分となる傾向がある。一方、固形分濃度が60質量%を超えると、固形分濃度が上記範囲内である場合と比較して、重合反応が不十分となったり、不純物として残存しやすくなり、コンデンサ特性が不十分となる傾向がある。
かかる単量体溶液及び酸化剤溶液を用いて、弁作用金属基体5の誘電体層4上に固体電解質層20を形成する第2の固体電解質層形成工程を行う(S14)。図5は第2の固体電解質層形成工程により固体電解質層20を形成する手順の一例を示すフロー図である。
図5に示すように、まず、弁作用金属基体5を単量体溶液に浸漬(S201)した後、弁作用金属基体5を単量体溶液から引き上げ(S202)、次いで弁作用金属基体5を酸化剤溶液に浸漬(S203)した後、弁作用金属基体5を酸化剤溶液から引き上げる(S204)ことにより、浸漬ステップ(S210)を行う。これにより、弁作用金属基体5の表面に単量体溶液及び酸化剤溶液を付着させる。
次に、弁作用金属基体5を酸化剤溶液から引き上げた状態で放置する(S205;放置ステップ)。これにより、弁作用金属基体5表面に付着した単量体溶液中の単量体の酸化重合反応を進行させ、導電性高分子化合物を生成させる。また、放置ステップにおいては、単量体の酸化重合反応を促進させるために、重合溶液が付着した弁作用金属基体5を高温環境下で放置してもよい。また、放置ステップにおける放置時間は特に制限されず、使用する重合溶液の組成や固形分濃度、又はその他の条件に合わせて適宜決定することができる。なお、弁作用金属基体5を酸化剤溶液に浸漬した際に、単量体と酸化剤とが接触するため、重合反応は放置ステップを行う前の浸漬ステップでも若干生じる場合もある。
次に、弁作用金属基体5の表面を洗浄する(S206;洗浄ステップ)。ここで、洗浄は、水やアルコール等を洗浄液とし、これを弁作用金属基体5に吹き付ける方法や、洗浄液中に弁作用金属基体5を浸漬する方法等により弁作用金属基体5表面の不純物を除去することにより行われる。また、洗浄ステップにおいては、弁作用金属基体5の洗浄後に更に乾燥を行うことが好ましい。これにより弁作用金属基体5に付着した洗浄液等の液体が除去される。
以上説明したS210、S205及びS206により、単量体を酸化重合させて固体電解質層20を形成する重合処理が行われる。通常はこの重合処理を、図5中の繰り返し矢印R4に従って複数回繰り返して行うことにより、所望の厚さの固体電解質層20が形成されることとなるが、本発明の製造方法にかかる第2の固体電解質層形成工程においては、S210、S205及びS206を含む重合処理を1回以上行うとともに、S210を少なくとも含み、S206を含まない省略重合処理を1回以上行う。そして、少なくとも最後の1回は重合処理を行うことで固体電解質層20の作製を完了する。すなわち、少なくとも1回は、図5中の繰り返し矢印R5又はR6に従って省略重合処理を行う。
より具体的な手順を示すと、例えば、S210及びS205(省略重合処理)を行った後、S210、S205及びS206(重合処理)を行う手順、S210(省略重合処理)を行った後、S210、S205及びS206(重合処理)を行う手順、S210、S205及びS206(重合処理)を行った後、S210及びS205(省略重合処理)を行い、最後に再びS210、S205及びS206(重合処理)を行う手順、S210(省略重合処理)を行った後、S210及びS205(省略重合処理)を行い、最後にS210、S205及びS206(重合処理)を行う手順、S210及びS205(省略重合処理)を行った後、S210、S205及びS206(重合処理)を2回繰り返して行う手順等が挙げられる。このように、最後にS206を含む重合処理を行うようにする限りにおいては、重合処理及び省略重合処理を行う順序やその繰り返し回数は何ら制限されず、また、省略重合処理としても、S206のみ省略する場合とS206及びS205を省略する場合との両方を含んでいてもよい。
かかる第2の固体電解質層形成工程により固体電解質層を形成することにより、得られる固体電解コンデンサの高温信頼性を飛躍的に向上させることができる。また、工程を簡素化して工程時間を短縮することができる。
この第2の固体電解質層形成工程を行った後は、図3に戻って、第1実施形態において説明した方法と同様にしてS15、S16及びS17の各工程を行い、固体電解コンデンサ1の製造を完了する。
以上により製造される固体電解コンデンサ1は、上述した第2の固体電解質形成工程により固体電解質層20が形成されているため、優れた高温信頼性を得ることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施形態においては、図1に示す層構造のチップ型の固体電解コンデンサ1についてその構造及び製造方法の一例を説明したが、本発明の固体電解コンデンサはこれに限定されるものではなく、図2に示す層構造を一層のみ有する形態であってもよく、また、かかる層構造を巻回して成る巻回型の固体電解コンデンサであってもよい。
また、本発明の固体電解コンデンサの第2実施形態においては、固体電解質層形成工程において、弁作用金属基体5をまず単量体溶液に浸漬した後に酸化剤溶液に浸漬しているが、この順序は逆でもよく、酸化剤溶液に浸漬した後に単量体溶液に浸漬するようにしてもよい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
以下の手順を経て、電解コンデンサを製造した。すなわち、まず、陽極として拡面化処理済みのアルミニウム箔(3.5mm×6.5mm)を準備し、このアルミニウム箔表面の陽極となるべき部分(陽極部)と陰極を形成すべき部分(陰極形成部)とを区画すべき位置に、これらを区画するための絶縁物を形成した。このアルミニウム箔を化成溶液としてのアジピン酸アンモニウム水溶液に浸漬させた後、アルミニウム箔に6Vの電圧を印加して陽極酸化反応を進行させることにより、そのアルミニウム箔の表層に酸化アルミニウム皮膜よりなる誘電体層を形成した。これにより、アルミニウム箔上に誘電体層が形成されてなる弁作用金属基体を得た。
また、導電性高分子化合物を構成する単量体としての3,4−エチレンジオキシチオフェン(商品名:BAYTRON(登録商標)M、Bayel社製)0.9g、酸化剤としてのパラトルエンスルホン酸鉄溶液(商品名:BAYTRON(登録商標)C−B50、Bayel社製)10.81g、及び、ブタノール2.63gを混合し、重合溶液を調製した。
次に、以下の手順で弁作用金属基体上に固体電解質層を形成した(固体電解質形成工程)。まず、弁作用金属基体を重合溶液に1分間浸漬した後引き上げる浸漬ステップを行った(省略重合処理)。続いて、再度浸漬ステップを行い、表面に重合溶液が付着した弁作用金属基体を空気中で30分間放置する放置ステップを行った。これにより、重合溶液中の単量体を酸化重合させた。次いで、弁作用金属基体の表面を15分間流水洗浄し、100℃で5分間乾燥する洗浄ステップを行った(重合処理)。これにより、弁作用金属基体の誘電体層上に固体電解質層を形成した。
次に、固体電解質層上に導電体層としてのカーボンペースト層を厚さ3μmとなるように塗布し、更にカーボンペースト層上に導電体層としての銀ペースト層を厚さ20μmとなるように塗布した。これにより、カーボンペースト層及び銀ペースト層からなる陰極を形成した。以上により、陽極、誘電体層、固体電解質層及び陰極がこの順に積層された構造を有するコンデンサ素子を得た。
その後、陰極側に導電性接着剤を用いて導電性の陰極リードを接続し、陽極側に抵抗溶接機で導電性の陽極リードを接続した。そして、エポキシ樹脂で陽極リード及び陰極リードが部分的に露出するようにコンデンサ素子の周囲を覆って樹脂モールド層を形成することで、固体電解コンデンサを作製した。
(実施例2)
固体電解質形成工程を以下の手順で行った以外は実施例1と同様にして、実施例2の固体電解コンデンサを作製した。
すなわち、まず、浸漬ステップ、放置ステップ及び洗浄ステップからなる重合処理を2回繰り返して行った。次に、浸漬ステップのみを行った後(省略重合処理)、浸漬ステップ、放置ステップ及び洗浄ステップを行った(重合処理)。これにより、弁作用金属基体の誘電体層上に固体電解質層を形成した。
(実施例3)
固体電解質形成工程を以下の手順で行った以外は実施例1と同様にして、実施例3の固体電解コンデンサを作製した。
すなわち、まず、浸漬ステップ、放置ステップ及び洗浄ステップからなる重合処理を4回繰り返して行った。次に、浸漬ステップのみを行った後(省略重合処理)、浸漬ステップ、放置ステップ及び洗浄ステップを行った(重合処理)。これにより、弁作用金属基体の誘電体層上に固体電解質層を形成した。
(比較例1)
固体電解質形成工程を以下の手順で行った以外は実施例1と同様にして、比較例1の固体電解コンデンサを作製した。
すなわち、浸漬ステップ、放置ステップ及び洗浄ステップからなる重合処理を1回行った。これにより、弁作用金属基体の誘電体層上に固体電解質層を形成した。
(比較例2)
固体電解質形成工程を以下の手順で行った以外は実施例1と同様にして、比較例2の固体電解コンデンサを作製した。
すなわち、浸漬ステップ、放置ステップ及び洗浄ステップからなる重合処理を3回繰り返して行った。これにより、弁作用金属基体の誘電体層上に固体電解質層を形成した。
(比較例3)
固体電解質形成工程を以下の手順で行った以外は実施例1と同様にして、比較例3の固体電解コンデンサを作製した。
すなわち、浸漬ステップ、放置ステップ及び洗浄ステップからなる重合処理を5回繰り返して行った。これにより、弁作用金属基体の誘電体層上に固体電解質層を形成した。
(高温信頼性の評価)
実施例1〜3及び比較例1〜3で得られた固体電解コンデンサについて、IMPEDANCE/GAIN−PHASE ANALYZER 4194A(商品名、HEWLETT PACKARD社製)を用いて初期状態における120Hzでの静電容量及び100kHzでのインピーダンスを測定した。その後、固体電解コンデンサを125℃の高温環境下に放置し、所定の時間が経過する毎に上記と同様にして静電容量及びインピーダンスを測定した。これにより、初期状態における静電容量及びインピーダンスに対する容量変化率及びインピーダンス変化率を求めた。高温環境下での放置時間[時間]とそのときの容量変化率[%]を表1に、放置時間[時間]とそのときのインピーダンス変化率[%]を表2にそれぞれ示す。また、高温環境下での放置時間[時間]と容量変化率[%]との関係を表すグラフを図6に、高温環境下での放置時間[時間]とインピーダンス変化率[%]との関係を表すグラフを図7にそれぞれ示す。
Figure 0004701680
Figure 0004701680
表1及び図6に示したように、実施例1〜3の固体電解コンデンサは、比較例1〜3の固体電解コンデンサと比較して、125℃の高温環境下における容量変化率(容量減少率)が十分に抑制されていることが確認された。特に、通常は重合処理を行った回数が多いほど容量変化率が減少する傾向があるにもかかわらず、重合処理を3回行った比較例2や重合処理を5回行った比較例3の固体電解コンデンサよりも、重合処理を1回と省略重合処理を1回行った実施例1の固体電解コンデンサの方が容量変化率が抑制されていることが確認された。
また、表2及び図7に示したように、省略重合処理を行うことによって、インピーダンス変化率も十分に抑制することができることが確認された。インピーダンス変化率についても、通常は重合処理を行った回数が多いほど減少する傾向があるが、重合処理を5回行った比較例3の固体電解コンデンサよりも、重合処理を3回と省略重合処理を1回行った実施例2の固体電解コンデンサの方がインピーダンス変化率が抑制されていることが確認された。
以上のように、本発明の固体電解コンデンサの製造方法及びそれにより製造される固体電解コンデンサによれば、重合処理及び省略重合処理を多くの回数行うことなく、固体電解コンデンサの高温信頼性を十分に向上させることができる。
本発明の固体電解コンデンサの一実施形態を示す模式断面図である。 図1に示す固体電解コンデンサ1の要部を模式的に示す断面図である。 本発明の固体電解コンデンサを製造する手順の一例を示すフロー図である。 第1の固体電解質層形成工程により固体電解質層20を形成する手順の一例を示すフロー図である。 第2の固体電解質層形成工程により固体電解質層20を形成する手順の一例を示すフロー図である。 実施例1〜3及び比較例1〜3の固体電解コンデンサにおける、高温環境下での放置時間と容量変化率との関係を表すグラフである。 実施例1〜3及び比較例1〜3の固体電解コンデンサにおける、高温環境下での放置時間とインピーダンス変化率との関係を表すグラフである。
符号の説明
1…固体電解コンデンサ、2…電極(第1の電極層)、4…誘電体層(誘電体)、6…電極、8…陽極導出線、10…陰極導出線、12…外部陽極端子、14…外部陰極端子、16…樹脂モールド層、18…固体電解コンデンサ素子、20…固体電解質層、22、24…導電体層、26…電極(第2の電極層)。

Claims (3)

  1. 表面に誘電体層が形成された弁作用金属基体を準備する準備工程と、
    前記弁作用金属基体の前記誘電体層上に固体電解質層を形成する固体電解質層形成工程と、
    を有する固体電解コンデンサの製造方法であって、
    前記固体電解質層形成工程は、
    前記弁作用金属基体を、導電性高分子化合物を構成する単量体及び該単量体を酸化重合させるための酸化剤を含む重合溶液に浸漬した後、該重合溶液から引き上げる浸漬ステップと、
    前記弁作用金属基体を引き上げた状態で放置する放置ステップと、
    前記弁作用金属基体の表面を洗浄する洗浄ステップと、
    を含む重合処理、並びに、少なくとも前記浸漬ステップを含み、前記洗浄ステップを含まない省略重合処理を、少なくとも1回の前記重合処理を行った後に、1回の前記省略重合処理を行い、その後更に1回の前記重合処理を行うことで、前記単量体を酸化重合させて前記固体電解質層を形成する工程である、ことを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  2. 前記省略重合処理は、前記放置ステップを含まないことを特徴とする請求項1記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  3. 請求項1又は2記載の固体電解コンデンサの製造方法により製造されたものであることを特徴とする固体電解コンデンサ。
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