JP2005136336A - 固体電解質およびその製造方法、ならびに電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents

固体電解質およびその製造方法、ならびに電解コンデンサおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 作動特性を安定に確保することが可能な電解コンデンサを提供する。
【解決手段】 コンデンサ素子1のうちの電解質層13が導電性高分子(ポリエチレンジオキシチオフェン等)と共に水溶性高分子(ポリビニルアルコール等)および電解質(アジピン酸アンモニウム等)を含むように、電解コンデンサ10を構成する。電解質層13中において、水溶性高分子を媒体として電解質が電離するため、その電解質層13が部分的にイオン伝導性を有することとなる。電解コンデンサ10の作動時において誘電体層12が損傷して部分的に欠損したとしても、その電解コンデンサ10に定格電圧が印加されれば、電離状態の電解質を利用して弁作用金属よりなる陽極11の表層が再び酸化(陽極酸化)されるため、その陽極11の表層に誘電体層12が追加形成されることにより誘電体層12の欠損部が自己修復される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、導電性高分子を含んで構成された固体電解質およびその製造方法、ならびに固体電解質層を備えた電解コンデンサおよびその製造方法に関する。
近年、高周波用途に適した電子部品のうちの1つとして、多様な電子機器に電解コンデンサが搭載されている。この電解コンデンサに関しては、例えば、電子機器のデジタル化、小型化および高速化が加速的に進行している情勢下において、大容量化や低インピーダンス化が要望されていると共に、動作安定性や動作信頼性の確保、ならびに高寿命化も併せて要望されている。
電解コンデンサは、例えば、陽極としての弁作用金属層と、その弁作用金属層の表層が陽極酸化されることにより形成された酸化皮膜よりなる誘電体層と、陰極としての電解質層および導電体層とがこの順に積層された構造を有している。
この電解コンデンサは、主に、電解質層の種類に応じて2種類に大別される。すなわち、液体材料により構成された電解質層(電解液)を備え、主にイオン伝導性を利用した導電特性を有する液体電解コンデンサと、錯塩や導電性高分子などの固体材料により構成された電解質層(固体電解質)を備え、主に電子伝導性を利用した導電特性を有する固体電解コンデンサである。これらの2種類の電解コンデンサを作動特性の安定性の観点において比較すると、例えば、電解液を含んでいる液体電解コンデンサでは、その電解液の漏洩や蒸発に起因して作動特性が経時劣化し得るのに対して、電解液を含んでいない固体電解コンデンサでは、当然ながら電解液の漏洩や蒸発に起因する作動特性の経時劣化が起こり得ないため、今後主流になり得る電解コンデンサとして、最近では液体電解コンデンサに代えて固体電解コンデンサに関する研究開発が活発に進められている。この固体電解コンデンサに関する研究過程では、例えば、漏れ電流特性、インピーダンス特性および耐熱特性などの一連の作動特性を考慮して、電解質層の主要部が、二酸化マンガンや錯塩から、電子供与性または電子吸引性の物質(ドーパント)がドープされた共役系の導電性高分子に急速に移行しつつある。
ところで、電解コンデンサでは、一般に、高容量化を実現するために、弁作用金属層が拡面化(または粗面化)されて微細な表面凹凸構造を有しているため、この弁作用金属層の表層に形成された誘電体層も同様に微細な表面凹凸構造を有している。この微細な表面凹凸構造を有する誘電体層は、例えば、電解コンデンサが被る各種要因に起因して、作動特性の劣化を誘発し得る深刻な損傷を被るおそれがある。この「電解コンデンサが被る各種要因」としては、例えば、無負荷状態で長期間に渡って放置された場合に生じる自然劣化、急激な温度変化、電気的衝撃(過電圧、逆電圧または過大なリップル電流の印加等)、あるいは物理的衝撃などが挙げられる。誘電体層が損傷して部分的に欠損すると、その誘電体層の欠損部を通じて弁作用金属層と電解質層との間に不要な電流(漏れ電流)が流れるため、電解コンデンサが短絡しやすくなる。この電解コンデンサの短絡を防止する上では、電解コンデンサが誘電体層の欠損部を自己修復する機能(以下、単に「自己修復機能」という。)を有していることが望ましい。
この点に関して、液体電解コンデンサは、本質的に自己修復機能を有している。すなわち、液体電解コンデンサでは、誘電体層が損傷して部分的に欠損すると、その誘電体層の欠損部に露出した弁作用金属層が、イオン伝導性を有する電解液と接触する。したがって、弁作用金属層が電解液に接触している状態において液体電解コンデンサに定格電圧が印加されれば、電解液を利用して弁作用金属層が再酸化(陽極酸化)されることにより誘電体層が新たに追加形成されるため、誘電体層の欠損部が修復され、漏れ電流の電流経路が遮断される。これに対して、固体電解コンデンサは、電解質層(電解液)がイオン伝導性を有している液体電解コンデンサとは異なり、電解質層(固体電解質)が実質的にイオン伝導性を有していないため、本質的に自己修復機能を有していない。すなわち、固体電解コンデンサでは、誘電体層に生じた欠損部が極小であれば、漏れ電流に起因して発生したジュール熱の影響を受けて電解質層が部分的に不導体化するため、結果として漏れ電流の電流経路が遮断され得るが、誘電体層の欠損部が大きいと、上記した電解質層の不導体化現象を利用しても漏れ電流の電流経路を遮断しきれなくなる。
そこで、従来より、固体電解コンデンサに自己修復機能を付与することにより、作動特性を安定に確保するための検討がなされている。具体的には、例えば、電解液と固体電解質(導電性高分子)とを併用することにより電解質層を構成した固体電解コンデンサが提案されている(例えば、特許文献1,2参照。)。
特開平11−283874号公報 特開2000−021689号公報
しかしながら、上記した電解液と固体電解質(導電性高分子)とを併用する従来の固体電解コンデンサでは、電解液を含んでいる点において液体電解コンデンサと構成的に相違していないため、依然として電解液の漏洩や蒸発に起因して作動特性が経時劣化し得るという問題があった。特に、この種の電解コンデンサでは、電解質層の導電率が固体電解質(導電性高分子)の導電率と電解液の導電率との総和として規定されるため、電解液が漏洩または蒸発して欠損すると、その欠損分だけ電解質層の導電率が大きく低下するおそれがある。このことから、固体電解コンデンサの作動特性を確保する上では、自己修復機能の付与と作動特性の確保とを両立することが可能な技術の確立が急務である。また、固体電解コンデンサの量産性を考慮すれば、その固体電解コンデンサを容易かつ安定に製造することが可能な技術の確立も重要である。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、作動特性を安定に確保することが可能な固体電解質、ならびに固体電解質層を備えた電解コンデンサを提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、本発明の電解コンデンサを容易かつ安定に製造することが可能な固体電解質の製造方法、ならびにこの方法を使用した電解コンデンサの製造方法を提供することにある。
本発明に係る固体電解質は、導電性高分子と共に水溶性高分子および電解質を含んで構成されているものである。
この本発明に係る固体電解質では、主成分としての導電性高分子と共に副成分としての水溶性高分子および電解質を含んでいるため、その水溶性高分子を媒体として電解質が電離する。これにより、固体電解質が部分的にイオン伝導性を有することとなる。
本発明に係る固体電解質の製造方法は、単量体に水溶性高分子および電解質を添加して酸化重合させることにより、導電性高分子と共に水溶性高分子および電解質を含む固体電解質を生成するようにしたものである。
この本発明に係る固体電解質の製造方法では、導電性高分子と共に水溶性高分子および電解質を含む固体電解質を安定に製造する上で、既存の容易な製造技術のみしか使用しない。
本発明に係る電解コンデンサは、第1の電極層、誘電体層、固体電解質層および第2の電極層がこの順に積層された積層構造を有し、固体電解質層が導電性高分子と共に水溶性高分子および電解質を含んで構成されているものである。
この本発明に係る電解コンデンサでは、固体電解質層中において、水溶性高分子を媒体として電解質が電離し、その固体電解質層が部分的にイオン伝導性を有するため、その固体電解質層のイオン伝導性を利用して、液体電解コンデンサと同様に自己修復機能を有することとなる。
本発明に係る電解コンデンサの製造方法は、単量体に水溶性高分子および電解質を添加して酸化重合させることにより、導電性高分子と共に水溶性高分子および電解質を含む固体電解質層を生成する工程と、この固体電解質層を使用して、第1の電極層、誘電体層、固体電解質層および第2の電極層がこの順に積層された積層構造を有する電解コンデンサを形成する工程とを含むようにしたものである。
この本発明に係る電解コンデンサの製造方法では、導電性高分子と共に水溶性高分子および電解質を含む固体電解質層を備えた電解コンデンサを安定に製造する上で、既存の容易な製造技術のみしか使用しない。
本発明に係る固体電解質によれば、部分的にイオン伝導性を有する特性的特徴に基づき、この固体電解質を使用して作動特性を安定に確保することが可能な本発明の電解コンデンサを構成することができる。
本発明に係る固体電解質の製造方法によれば、既存の容易な製造技術のみを使用して固体電解質を安定に製造することが可能な製法的特徴に基づき、この固体電解質の製造方法を使用して本発明の電解コンデンサの製造方法を実現することができる。
本発明に係る電解コンデンサによれば、固体電解質層のイオン伝導性を利用した自己修復機能を有する特性的特徴に基づき、誘電体層が損傷して部分的に欠損したとしても、その誘電体層の欠損部が自己修復されるため、短絡が防止される。しかも、この電解コンデンサでは、固体電解質層の導電率が、副成分の水溶性高分子および電解質の導電率ではなく、主成分の導電性高分子の導電率に基づいて支配的に規定されるため、その導電率は、水溶性高分子が保有している水の漏洩や蒸発に起因して著しく経時劣化せず、ほぼ一定に維持される。したがって、導電率の観点において作動特性を安定に確保することができる。
本発明に係る電解コンデンサの製造方法によれば、既存の容易な製造技術のみを使用して固体電解質層を安定に製造することが可能な製法的特徴に基づき、電解コンデンサを容易かつ安定に製造することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
まず、図1を参照して、本発明の一実施の形態に係る電解コンデンサの構成について説明する。図1は、電解コンデンサ10の断面構成を表している。なお、本発明の「固体電解質」は電解コンデンサ10の一部を構成するものであるため、その「固体電解質」に関しては以下で併せて説明する。
本実施の形態に係る電解コンデンサ10は、例えば、図1に示したように、コンデンサ素子1に通電用の陽極リード2および陰極リード3が接続され、そのコンデンサ素子1が陽極リード2および陰極リード3を露出させるようにモールド樹脂4により周囲を覆われた構造を有している。
コンデンサ素子1は、電解コンデンサ10の主要部として電気的反応を生じるものであり、例えば、弁作用金属よりなる陽極11(第1の電極層)と、この弁作用金属よりなる陽極11の表層が陽極酸化されることにより形成された酸化皮膜よりなる誘電体層12と、この誘電体層12の周囲を覆うように設けられた電解質層13と、この電解質層13の周囲を覆うように設けられた陰極14(第2の電極層)とを含んで構成されている。陽極11は、例えば、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)またはニオブ(Nb)などの弁作用金属により構成されており、陰極14は、例えば、カーボン(グラファイト)と銀(Ag)とがこの順に積層された積層構造を有している。
このコンデンサ素子1の主要部である電解質層13は、主成分としての導電性高分子と共に、副成分としての水溶性高分子、電解質およびドーパントを含んで構成されている。導電性高分子は、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフランおよびこれらの誘導体を含む群のうちの少なくとも1種である。この「誘導体」としては、例えば、ポリチオフェンの誘導体であるポリエチレンジオキシチオフェンなどが挙げられる。水溶性高分子は、水を保有可能なものであり、例えば、ポリビニルアルコールおよびセルロースを含む群のうちの少なくとも1種である。電解質は、水溶性高分子を媒体として電離可能なものであり、例えば、ホウ酸、リン酸、アジピン酸、パラニトロ安息香酸、スルホサリチル酸およびこれらの塩を含む群のうちの少なくとも1種である。この「塩」としては、例えば、アジピン酸の塩であるアジピン酸アンモニウムなどが挙げられる。ドーパントは、導電性高分子の導電性を高めるためのものであり、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸およびその塩(例えばパラトルエンスルホン酸ナトリウム等)、アルキルナフタレンスルホン酸およびその塩(例えばイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム等)、ならびにリン酸を含む群のうちの少なくとも1種である。この電解質層13は、導電性高分子よりなる固体材料を主成分として構成された固体電解質であり、この種の電解質層13を備えたコンデンサ素子1は、いわゆる固体電解コンデンサ素子である。特に、電解コンデンサ10は、例えば、コンデンサ素子1が陽極11を1つだけ含んで構成されており、すなわち陽極11、誘電体層12、電解質層13および陰極14に基づく電気的反応部位(積層単位)を1つだけ有する単層型構造を有している。
陽極リード2および陰極リード3は、コンデンサ素子1を通電させるために利用されるものであり、例えば、いずれも鉄(Fe)または銅(Cu)などの導電性材料や、これらの導電性材料にめっき処理(例えば錫(Sn)めっきまたは錫鉛(SnPb)めっき)が施された材料により構成されている。陽極リード2は、例えば、一端側がコンデンサ素子1の陽極11に溶接されていると共に、他端側がモールド樹脂4の側方に露出し、そのモールド樹脂4の側方から下方まで周り込むように折り曲げられた構造を有している。陰極リード3は、例えば、陽極リード2と同様の構成を有しており、すなわち一端側が導電性の接着層20を介してコンデンサ素子1の陰極14に接続されていると共に、他端側がモールド樹脂4の側方に露出し、そのモールド樹脂4の側方から下方まで周り込んで陽極リード2の他端側と対向するように折り曲げられた構造を有している。なお、陽極リード2は必ずしも陽極11に溶接されていなければならないわけではなく、例えば、その陽極リード2はかしめ加工を利用して陽極11に接続されていてもよい。
モールド樹脂4は、電解コンデンサ10の外装を構成するものであり、例えば、エポキシ樹脂などの絶縁性樹脂材料により構成されている。
次に、図2を参照して、電解コンデンサ10の詳細な構成について説明する。図2は、図1に示したコンデンサ素子1の断面構成を部分的に拡大して表している。なお、図2では、コンデンサ素子1と共に、モールド樹脂4も併せて示している。
コンデンサ素子1は、例えば、図2に示したように、上記した陽極11、誘電体層12、電解質層13および陰極14がこの順に積層された積層構造を有している。このコンデンサ素子1では、陽極11の表面積を増大させることにより高容量化を実現するために、その陽極11に拡面化処理(または粗面化処理)が施されており、すなわち陽極11が微細な表面凹凸構造を有している。この陽極11上に形成されている誘電体層12も同様に、陽極11の表面凹凸構造に対応する微細な表面凹凸構造を有している。なお、誘電体層12上に設けられている電解質層13の表層はほぼ平坦であり、この電解質層13上に設けられている陰極14も同様にほぼ平坦である。
次に、図1〜図3を参照して、図1および図2に示した電解コンデンサ10の製造方法について説明する。図3は、電解コンデンサ10の製造工程の流れを説明するためのものである。なお、本発明の「固体電解質の製造方法」は電解コンデンサ10の製造方法に適用されるものであるため、その「固体電解質の製造方法」に関しては以下で併せて説明する。
電解コンデンサ10を製造する際には、まず、コンデンサ素子1を形成する。このコンデンサ素子1の形成手順は、例えば、以下の通りである。
すなわち、まず、陽極11の形成材料として弁作用金属箔を準備したのち、化学的または電気化学的エッチングを使用して弁作用金属箔に拡面化処理を施すことにより、微細な表面凹凸構造を有する陽極11を形成する(ステップS101)。この弁作用金属箔としては、例えば、アルミニウム箔やチタン箔などを使用する。なお、陽極11の形成材料としては、例えば、上記した弁作用金属箔に代えて、タンタルまたはニオブなどの弁作用金属の焼結体も使用することが可能である。なお、陽極11を形成する際には、例えば、上記したように拡面化処理が施されていない未処理の弁作用金属箔を使用し、その弁作用金属箔に拡面化処理を別途施すようにしてもよいし、あるいは拡面化処理に要する手間を省くために、予め拡面化処理が施された処理済みの弁作用金属箔を使用するようにしてもよい。
続いて、陽極11の表層を陽極酸化することにより、酸化皮膜よりなる誘電体層12を形成する(ステップS102)。この誘電体層12としては、例えば、陽極11の形成材料としてアルミニウム拡面化箔を使用した場合には、酸化アルミニウム(Al2 3 )よりなる誘電体層12を形成することが可能である。この誘電体層12を形成する際には、例えば、陽極11を化成溶液に浸漬させたのち、その陽極12に電圧を印加することにより陽極酸化反応を進行させるようにする。この化成溶液としては、例えば、ホウ酸アンモニウム、リン酸アンモニウムまたは有機酸アンモニウムなどの緩衝溶液を使用し、好ましくは有機酸アンモニウムとしてアジピン酸アンモニウム水溶液を使用する。なお、陽極12に印加する電圧は、例えば、誘電体層12の形成厚さに応じて数V〜数百Vの範囲内で自由に設定可能である。
続いて、単量体に水溶性高分子、電解質およびドーパントを添加することにより、これらの単量体、水溶性高分子、電解質およびドーパントを含む単量体溶液を調製したのち、その単量体溶液に陽極11を浸漬させる。そして、単量体溶液中の単量体を陽極11の表面にて酸化重合させることにより、導電性高分子を生成する。この導電性高分子を生成する際には、重合開始剤(酸化剤)を使用して単量体を酸化重合させるようにし、この重合開始剤としては、例えば、ヨウ素または臭素などのハロゲン化物、五フッ化ケイ素などの金属ハロゲン化物、硫酸などのプロトン酸、三酸化硫黄などの酸素化合物、硫酸セリウムなどの硫酸塩、過硫酸ナトリウムなどの過硫酸塩、過酸化水素などの過酸化物、あるいはパラトルエン酸鉄などの鉄塩を使用する。これにより、誘電体層12の周囲を覆うように、導電性高分子と共に水溶性高分子、電解質およびドーパントを含む電解質層13が形成される(ステップS103)。
単量体、水溶性高分子、電解質およびドーパントとしては、例えば、以下の材料を使用する。すなわち、単量体として、例えば、アニリン、ピロール、チオフェン、フランおよびこれらの誘導体を含む群のうちの少なくとも1種、好ましくは3,4−エチレンジオキシチオフェンを使用することにより、導電性高分子として、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフランおよびこれらの誘導体を含む群のうちの少なくとも1種、好ましくはポリエチレンジオキシチオフェンを生成する。水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコールおよびセルロースを含む群のうちの少なくとも1種、好ましくはポリビニルアルコールを使用する。電解質としては、例えば、陽極11を陽極酸化させることが可能な塩を使用し、具体的にはホウ酸、リン酸、アジピン酸、パラニトロ安息香酸、スルホサリチル酸およびこれらの塩を含む群のうちの少なくとも1種、好ましくはアジピン酸アンモニウムを使用する。ドーパントとしては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸およびその塩(例えばパラトルエンスルホン酸ナトリウム等)、アルキルナフタレンスルホン酸およびその塩、ならびにリン酸を含む群のうちの少なくとも1種、好ましくはアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム(例えばイソプロプルナフタレンスルホン酸ナトリウム)を使用する。なお、酸化重合反応を利用して導電性高分子を生成する際には、例えば、上記したように単量体溶液に陽極11を浸漬させる代わりに、その単量体溶液を陽極11に塗布するようにしてもよい。
続いて、電解質層13の周囲を覆うように、陰極14を形成する(ステップS104))。この陰極14を形成する際には、例えば、電解質層13の周囲にカーボンペーストを塗布して乾燥させたのち、そのカーボンペースト上にさらに銀ペーストを塗布して乾燥させることにより、これらのカーボンペースト層と銀ペースト層との積層構造を有するようにする。これにより、陽極11、誘電体層12、電解質層13および陰極14がこの順に積層された積層構造を有するコンデンサ素子1が完成する(図1および図2参照)。
コンデンサ素子1を形成したのち、このコンデンサ素子1を使用して電解コンデンサ10を組み立てる。すなわち、まず、例えば、コンデンサ素子1のうちの陽極11に陽極リード2を溶接して接続させると共に、陰極14に導電性の接着層20を介して陰極リード3を接続させる(ステップS105)。なお、コンデンサ素子1に対する陽極リード2の接続方法としては、例えば、溶着に代えてかしめ加工を使用して陽極リード2を陽極11に接続させるようにしてもよい。
最後に、陽極リード2および陰極リード3が露出するようにコンデンサ素子1の周囲をモールド樹脂4で被覆する(ステップS106)。これにより、コンデンサ素子1に陽極リード2および陰極リード3が接続され、そのコンデンサ素子1が陽極リード2および陰極リード3を露出させるようにモールド樹脂4により周囲を覆われた構造を有する電解コンデンサ10が完成する(図1参照)。
本実施の形態に係る電解コンデンサ10では、コンデンサ素子1のうちの電解質層13が、主成分としての導電性高分子と共に、副成分としての水溶性高分子および電解質を含むようにしたので、その電解質層13中では、水溶性高分子を媒体として電解質が電離し、すなわち電解質層13が部分的にイオン伝導性を有することとなる。この場合には、電解コンデンサ10は、部分的にイオン伝導性を有する電解質層13を利用して、上記「背景技術」の項において説明した液体電解コンデンサと同様に、誘電体層12を自己修復する自己修復機能を有することとなる。すなわち、電解コンデンサ10では、図2に示したように、電解コンデンサ10の作動時において誘電体層12が損傷して部分的に欠損することにより欠損部12Xが生じたとしても、その電解コンデンサ10に定格電圧が印加されれば、電離状態の電解質を利用して弁作用金属よりなる陽極11の表層が再び酸化(陽極酸化)されるため、その陽極11の表層に誘電体層12(修復部12Y)が追加されることにより欠損部12Xが修復される。これにより、欠損部12Xの存在に起因する漏れ電流の電流経路が遮断されるため、短絡が防止される。しかも、この電解コンデンサ10では、電解質層13の導電率が、副成分の水溶性高分子および電解質、すなわちイオン伝導性を有する電離状態の電解質の導電率ではなく、電子伝導性を有する主成分の導電性高分子の導電率に基づいて支配的に規定されるため、その導電率は、水溶性高分子が保有している水の漏洩や蒸発に起因して著しく経時劣化せず、ほぼ一定に維持される。したがって、本実施の形態では、作動特性を安定に確保することができる。これにより、電解コンデンサ10を長寿命化することもできる。
また、本実施の形態に係る電解コンデンサ10の製造方法では、上記した作動特性を安定に確保することが可能な電解コンデンサ10を製造するために、既存の電解コンデンサの製造工程において使用される既存の容易な製造技術しか使用せず、新規かつ煩雑な製造技術を使用しない。しかも、その既存の製造技術のみを使用して電解コンデンサ10を安定に製造することが可能である。したがって、本実施の形態では、電解コンデンサ10を容易かつ安定に製造することができる。
また、本実施の形態に係る電解質層13では、主成分としての導電性高分子と共に副成分としての水溶性高分子および電解質を含むようにしたので、上記したように、水溶性高分子を媒体として電解質が電離し、部分的にイオン伝導性を有することとなる。したがって、この電解質層13を使用することにより、作動特性を安定に確保することが可能な本実施の形態の電解コンデンサ10を構成することができる。
また、本実施の形態に係る電解質層13の製造方法では、既存の容易な製造技術のみを使用して電解質層13を安定に製造することが可能なため、この電解質層13の製造方法を使用して本実施の形態の電解コンデンサ10の製造方法を実現することができる。
次に、本発明の具体的な実施例について説明する。
(実施例1)
以下の手順を経て、電解コンデンサを製造した。すなわち、まず、陽極として拡面化処理済みのアルミニウム箔(15mm×15mm)を準備し、そのアルミニウム箔を化成溶液としてのアジピン酸アンモニウム水溶液に浸漬させたのち、アルミニウム箔に電圧(=23V)を印加して陽極酸化反応を進行させることにより、そのアルミニウム箔の表層に酸化アルミニウム皮膜よりなる誘電体層を形成した。続いて、エタノール16.5mLと蒸留水13.5mLとの混合液中に単量体として3、4−エチレンジオキシチオフェン0.56g、水溶性高分子としてポリビニルアルコール0.067g、電解質としてアジピン酸アンモニウム0.05g、ならびにドーパントとしてアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム水溶液(40%;花王株式会社製ペレックス NBL(商品名)4.8gを添加することにより単量体溶液を調製すると共に、蒸留水20mL中に重合開始剤として硫酸セリウム1.2gを溶解させることにより、重合開始剤溶液として硫酸セリウム溶液を調製した。続いて、誘電体層が設けられた陽極を単量体溶液中に浸漬させることにより、その陽極の表面に単量体溶液を付着させたのち、引き続き陽極を重合開始剤溶液中に浸漬させることにより、その重合開始剤溶液を使用して単量体溶液中の単量体を酸化重合させた。この酸化重合反応の結果、導電性高分子としてポリエチレンジオキシチオフェンが生成され、この導電性高分子と共に水溶性高分子、電解質およびドーパントを含む電解質層が誘電体層の周囲を覆うように形成された。この電解質層を形成する際には、上記した電解質層の形成手順を10回繰り返すことにより、最終的に電解質層の厚さが5μmとなるようにし、特に、酸化重合反応の完了時ごとに蒸留水やエタノールで電解質層を洗浄することにより、未反応の単量体や重合開始剤を随時除去した。続いて、電解質層の周囲にカーボンペーストを10μmの厚さとなるように塗布したのち、さらにカーボンペースト上に銀ペーストを20μmの厚さとなるように塗布することにより、これらのカーボンペースト層と銀ペースト層との積層構造を有するように陰極を形成した。これにより、陽極、誘電体層、電解質層および陰極がこの順に積層された積層構造を有するコンデンサ素子が形成された。最後に、コンデンサ素子に銅製の陽極リードおよび陰極リードを接続させたのち、モールド樹脂としてエポキシ樹脂で陽極リードおよび陰極リードが部分的に露出するようにコンデンサ素子の周囲を覆うことにより、電解コンデンサが完成した。
(実施例2)
電解質としてアジピン酸アンモニウムに代えてパラニトロ安息香酸を使用した点を除き、実施例1と同様の製造手順を経て固体電解コンデンサを製造した。
(実施例3)
電解質としてアジピン酸アンモニウムに代えてスルホサリチル酸を使用した点を除き、実施例1と同様の製造手順を経て固体電解コンデンサを製造した。
これらの実施例1〜3の電解コンデンサに関して諸特性を調べたところ、以下の結果が得られた。なお、実施例1〜3の電解コンデンサの諸特性を調べる際には、その性能を比較評価するために、電解質層が水溶性高分子および電解質を含まず、すなわち電解質が導電性高分子およびドーパントのみにより構成された比較例としての電解コンデンサを製造し、その比較例の電解コンデンサの諸特性も調べた。
電解コンデンサの諸特性として、まず、電解コンデンサをエージングした際の挙動を調べたところ、図4および図5に示した結果が得られた。図4および図5は電解コンデンサのエージング挙動を表しており、図4は実施例1の電解コンデンサに関する結果を示し、図5は比較例の電解コンデンサに関する結果を示している。図4および図5中の「横軸」は電解コンデンサにエージング処理を施した際の経過時間(エージング時間;分)を示し、「縦軸」は電解コンデンサ中に流れた漏れ電流(μA)を示している。電解コンデンサのエージング挙動を調べる際には、各電解コンデンサをプレッシャークッカー槽に投入し、水蒸気の存在下において各電解コンデンサに電圧を印加しながら漏れ電流を測定した。この際、電圧印加方法としては、電解コンデンサの駆動電圧以上の電圧を一定時間ごとに段階的に増加するように印加した。なお、図4および図5に示した「破線」および「実線」は、実施例1および比較例に関してそれぞれ2つずつ電解コンデンサを製造してエージング挙動を調べた際の結果を表している(試験n数=2)。
図4および図5に示した結果から判るように、実施例1の電解コンデンサ(図4参照)および比較例の電解コンデンサ(図5参照)のいずれに関しても、漏れ電流は電圧の印加時ごとに一時的に急上昇するものの、エージング時間の経過と共に急降下した。しかしながら、実施例1と比較例との間で漏れ電流の挙動を比較すると、比較例では、上昇時に最大値が約300μAにまで達して著しく大きくなると共に下降時に最小値が約50μA近傍に留まって0μAまで回復しにくい上、上昇時および下降時に約300μA以下の範囲内で大きくばらついたのに対して、実施例1では、上昇時に最大値が約50μA以下に留まって著しく小さくなると共に下降時に最小値がほぼ0μAまで回復した上、上昇時および下降時に約50μA以下の範囲内でほぼ安定していた。このことから、実施例1の電解コンデンサでは、比較例の電解コンデンサと比較して、漏れ電流の回復能力に優れており、すなわち優れた自己修復機能を有し得ることが確認された。
なお、具体的にデータを示して説明しないが、実施例2,3の電解コンデンサのエージング挙動を調べたところ、これらの実施例2,3の電解コンデンサに関しても実施例1の電解コンデンサと同様のエージング挙動が観察された。このことから、実施例2,3の電解コンデンサも優れた自己修復機能を有し得ることが確認された。
続いて、電解コンデンサの自己修復能力を調べたところ、図6および図7に示した結果が得られた。図6および図7は電解コンデンサの自己修復状況を表しており、図6は実施例1の電解コンデンサに関する結果を示し、図7は比較例の電解コンデンサに関する結果を示している。図6および図7中の「横軸」は電解コンデンサに電圧を印加した際の経過時間(印加時間;分)を示し、「縦軸」は電解コンデンサ中に流れた漏れ電流(μA)を示している。電解コンデンサの自己修復能力を調べる際には、各電解コンデンサに超音波(120Hz)を30秒間に渡って印加して誘電体層を意図的に損傷させたのち、各電解コンデンサに電圧(14V)を印加しながら漏れ電流を測定する試験サイクルを多数回に渡って繰り返すことにより、その漏れ電流の変化を追跡した。なお、図6および図7に示した「実線」は超音波の印加前(誘電体層の損傷前)の測定結果を表し、「破線(図6では実線と重なっているために破線が見えにくくなっている)」は超音波の印加後(誘電体層の損傷後)の測定結果を表している。
図6および図7に示した結果から判るように、実施例1の電解コンデンサ(図6参照)および比較例の電解コンデンサ(図7参照)のいずれに関しても、漏れ電流は電圧の印加後に減少し、すなわち超音波の印加に起因して誘電体層に生じた欠損部を自己修復する傾向が見られた。しかしながら、実施例1と比較例との間で自己修復状況を比較すると、比較例では、試験サイクルをわずか3回だけ繰り返しただけで超音波印加後の漏れ電流値が超音波印加前の漏れ電流値よりも大きくなり(超音波印加後の漏れ電流値が超音波印加前の漏れ電流値まで回復しなくなり)、すなわち電解コンデンサが誘電体層の欠損部を自己修復可能な試験サイクル数がわずか3回であったのに対して、実施例1では、試験サイクルを20回に渡って繰り返しても超音波印加後の漏れ電流値が超音波印加前の漏れ電流値にほぼ等しいままであり(超音波印加後の漏れ電流値が超音波印加前の漏れ電流値まで回復し)、すなわち電解コンデンサが誘電体層の欠損部を自己修復可能な試験サイクル数が20回に達した。この結果は、実施例1の電解コンデンサでは、自己修復能力が低下しにくいため、漏れ電流に起因する短絡を防止し得ることを表している。このことから、実施例1の電解コンデンサでは、比較例の電解コンデンサとは異なり、安定な自己修復機能を有し、短絡を効果的に防止可能なことが確認された。
なお、具体的にデータを示して説明しないが、実施例2,3の電解コンデンサの自己修復能力を調べたところ、これらの実施例2,3の電解コンデンサに関しても実施例1の電解コンデンサと同様の自己修復状況が観察された。このことから、実施例2,3の電解コンデンサも安定な自己修復機能を有することが確認された。
最後に、電解コンデンサの自己修復機能に関する信頼性を調べたところ、表1に示した結果が得られた。表1は、実施例1〜3および比較例の電解コンデンサの自己修復状況の反復性を表している。電解コンデンサの自己修復状況の反復性を調べる際には、図6および図7を参照して説明した超音波を利用する試験サイクルを複数回に渡って繰り返すことにより、その試験サイクルを何回繰り返すまで電解コンデンサが良好な自己修復状況を示したかを調べ、その繰り返し回数を表1中に「修復回数(回)」として示した。この際、実施例1〜3および比較例の電解コンデンサに関していずれも試験n数=5とし、「修復回数」としては各電解コンデンサごとの最小値を示した。この「修復回数」に関して一例を挙げて説明すれば、例えば、表1中の「実施例1」に関する「修復回数=20回以上」とは、実施例1の電解コンデンサを5個作製して修復回数を調べたところ、5個の電解コンデンサのうちの最も少ない修復回数を示した電解コンデンサに関する修復回数が20回であったことを意味している。なお、表1には、参考までに、実施例1〜3および比較例の組成(水溶性高分子,電解質)も併せて示している。
Figure 2005136336
表1に示した結果から判るように、電解質層が水溶性高分子および電解質を含んでいない比較例の電解コンデンサでは、修復回数が1〜2回であり、安定な自己修復機能が得られなかった。この1〜2回の自己修復機能は、本質的な自己修復機能によるものでなく、上記「背景技術」の項において説明したように、ジュール熱に基づく電解質層の一時的な不導体化現象に起因するものであると想定される。これに対して、電解質層が水溶性高分子および電解質を含んでいる実施例1〜3の電解コンデンサでは、いずれも修復回数が9回以上であり、安定な自己修復機能が得られた。特に、実施例1〜3間で修復回数を比較すると、電解質としてアジピン酸アンモニウムを含む実施例1において20回以上、パラニトロ安息香酸を含む実施例2において16回以上、スルホサリチル酸を含む実施例3において9回以上であり、実施例1,2において実施例3よりも極めて優れた修復回数が得られた。このことから、実施例1〜3の電解コンデンサでは、比較例の電解コンデンサとは異なり、自己修復機能に関する信頼性が向上することが確認された。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態や実施例に限定されず、種々の変形が可能である。具体的には、上記実施の形態および実施例では、図1に示したように、電解コンデンサ10が陽極11を1つだけ含み、すなわち電解コンデンサ10が陽極11、誘電体層12、電解質層13および陰極14に基づく電気的反応部位(積層単位)を1つだけ有する単層型構造を有するようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、図8に示したように、電解コンデンサ10が陽極11を複数含み、すなわち電解コンデンサ10が陽極11、誘電体層12、電解質層13および陰極14に基づく電気的反応部位(積層単位)を複数(例えば3つ)有する積層型構造を有するようにしてもよい。この積層型の電解コンデンサ10は、上記した積層単位を複数有している上、例えば、各陽極11が導電性のスペーサ30を介して互いに電気的に接続されていると共に、接着層20が各陰極14と陰極リード3の間だけでなく各陰極14間にも設けられている点を除き、図1に示した電解コンデンサ10と同様の構成を有している。この場合においても、上記実施の形態および実施例と同様の効果を得ることができる。なお、図8では、例えば、電解コンデンサ10が上記した積層単位を3つ有する場合について示しているが、この積層単位の数は必ずしも3つに限らず、自由に変更可能である。
本発明に係る固体電解質およびその製造方法、ならびに電解コンデンサおよびその製造方法は、電気的反応を生じる主要部が高導電率を有する機能性高分子(導電性高分子)などの固体材料により構成された固体電解コンデンサなどに適用することが可能である。
本発明の一実施の形態に係る電解コンデンサの断面構成を表す断面図である。 図1に示したコンデンサ素子の断面構成を部分的に拡大して表す断面図である。 本発明の一実施の形態に係る電解コンデンサの製造工程の流れを説明するための流れ図である。 本発明の電解コンデンサに関するエージング挙動を表す図である。 比較例の電解コンデンサに関するエージング挙動を表す図である。 本発明の電解コンデンサに関する自己修復状況を表す図である。 比較例の電解コンデンサに関する自己修復状況を表す図である。 本発明の一実施の形態に係る電解コンデンサの構成に関する変形例を表す断面図である。
符号の説明
1…コンデンサ素子、2…陽極リード、3…陰極リード、4…モールド樹脂、10…電解コンデンサ、11…陽極、12…誘電体層、12X…欠損部、12Y…修復部、13…電解質層、14…陰極、20…接着層、30…スペーサ。





























Claims (14)

  1. 導電性高分子と共に、水溶性高分子および電解質を含んで構成されている
    ことを特徴とする固体電解質。
  2. 前記導電性高分子は、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフランおよびこれらの誘導体を含む群のうちの少なくとも1種である
    ことを特徴とする請求項1記載の固体電解質。
  3. 前記水溶性高分子は、ポリビニルアルコールおよびセルロースを含む群のうちの少なくとも1種である
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の固体電解質。
  4. 前記電解質は、ホウ酸、リン酸、アジピン酸、パラニトロ安息香酸、スルホサリチル酸およびこれらの塩を含む群のうちの少なくとも1種である
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の固体電解質。
  5. さらに、導電性を高めるためのドーパントを含んでいる
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の固体電解質。
  6. 前記ドーパントは、アルキルベンゼンスルホン酸およびその塩、アルキルナフタレンスルホン酸およびその塩、ならびにリン酸を含む群のうちの少なくとも1種である
    ことを特徴とする請求項5記載の固体電解質。
  7. 単量体に水溶性高分子および電解質を添加して酸化重合させることにより、導電性高分子と共に前記水溶性高分子および前記電解質を含む固体電解質を生成する
    ことを特徴とする固体電解質の製造方法。
  8. 前記導電性高分子として、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフランおよびこれらの誘導体を含む群のうちの少なくとも1種を生成する
    ことを特徴とする請求項7記載の固体電解質の製造方法。
  9. 前記水溶性高分子として、ポリビニルアルコールおよびセルロースを含む群のうちの少なくとも1種を使用する
    ことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の固体電解質の製造方法。
  10. 前記電解質として、ホウ酸、リン酸、アジピン酸、パラニトロ安息香酸、スルホサリチル酸およびこれらの塩を含む群のうちの少なくとも1種を使用する
    ことを特徴とする請求項7ないし請求項9のいずれか1項に記載の固体電解質の製造方法。
  11. 前記単量体に、さらに、導電性を高めるためのドーパントを添加して酸化重合させることにより、前記導電性高分子を生成する
    ことを特徴とする請求項7ないし請求項10のいずれか1項に記載の固体電解質の製造方法。
  12. 前記ドーパントとして、アルキルベンゼンスルホン酸およびその塩、アルキルナフタレンスルホン酸およびその塩、ならびにリン酸を含む群のうちの少なくとも1種を使用する
    ことを特徴とする請求項11記載の固体電解質の製造方法。
  13. 第1の電極層、誘電体層、固体電解質層および第2の電極層がこの順に積層された積層構造を有し、
    前記固体電解質層が、導電性高分子と共に、水溶性高分子および電解質を含んで構成されている
    ことを特徴とする電解コンデンサ。
  14. 単量体に水溶性高分子および電解質を添加して酸化重合させることにより、導電性高分子と共に前記水溶性高分子および前記電解質を含む固体電解質層を生成する工程と、
    この固体電解質層を使用して、第1の電極層、誘電体層、前記固体電解質層および第2の電極層がこの順に積層された積層構造を有する電解コンデンサを形成する工程と
    を含むことを特徴とする電解コンデンサの製造方法。






































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