JP4868054B2 - 積層型固体電解コンデンサ - Google Patents

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Description

本発明は、小型大容量の固体電解コンデンサに関する。また本発明は、導電性高分子等の有機物あるいは金属酸化物等の無機物を固体電解質として使用した固体電解コンデンサの積層型固体電解コンデンサに関する。
電子機器の小型化の要求の中で固体電解コンデンサの小型大容量化が求められている。固体電解コンデンサをより小型大容量化にするためには、収納されている単板の固体電解コンデンサ素子自体の小型大容量化及び、限られたサイズにおける該単板素子の最密積層方法に依存する。市販中のアルミ固体電解コンデンサにおいては、該固体電解コンデンサの単位体積当たりにおけるCV値が7.0×103V・F/m3の固体電解コンデンサが知られている。
固体電解コンデンサは、一般には表面に誘電体酸化皮膜層を有する平板状の弁作用金属からなる陽極部を含み、そして前記誘電体酸化皮膜層上に固体電解質層、その上に導電体層が順次形成されて陰極部を有する単板コンデンサ素子を少なくとも1層含み、該コンデンサ素子の周囲を外装樹脂で被覆封止されて成型されている。固体電解質層には導電性高分子等の有機物あるいは金属酸化物等の無機物等が使用される。
導電性高分子(または導電性重合体ともいう。)等を固体電解質とする固体電解コンデンサの積層において、単板コンデンサ素子の固体電解質層、導電体層を順次形成する陰極部は陽極部に比べて厚いので、各陰極部を平行に上下に積層載置した際、陽極部をスポット溶接できるように折曲げる必要がある。このため単板コンデンサ素子の陽極部と陰極部の境界付近で応力集中が起こりコンデンサ性能が悪化するとの問題点があり、これまで各種工夫がなされてきた。
例えば、この陰陽極間段差を解消するため、単板コンデンサ素子の積層時に複数の単板コンデンサ素子の陽極部の間にその隙間に対応した厚さの金属板を嵌挿する方法(特許文献1等)、陽極部の隙間に絶縁樹脂層を形成し、接続は金属細線等で取る方法(特許文献2、特許文献3等)、リードフレームを各陽極部位置に対応して分割加工する方法(特許文献4等)等がある。
特開平5−205984号公報等 特開平6−29163号公報 特開平6−84716号公報等 特開平4−167417号公報
固体電解コンデンサをより小型大容量化にするためには、前述したように単板の固体電解コンデンサ素子自体を小型大容量化すること、及び限られたサイズ(標準仕様サイズなど)において如何にその限られたサイズ内に単板の固体電解コンデンサ素子を最密積層し、該固体電解コンデンサとしてどれだけ大きな静電容量を実現するかが大きな課題である。また詳細には、単板の固体電解コンデンサ素子を積層する際には、陽極部と陰極部の境界付近で応力集中が発生し、その応力集中を防ぐための段差を解消する方法が課題である。しかしながら、段差解消する方法は、工程増あるいは材料加工費増等のコスト高となり、また工程追加により取扱中の機械的応力等による単板コンデンサ素子の破壊又は性能低下が増加し、積層コンデンサ製造における歩留が悪化し、また性能に劣る等の問題があった。
本発明は、これらの課題を解決するものであって、積層時に陽極部と陰極部の境界付近で発生する応力集中を防ぐことによって積層コンデンサの製造における歩留低下の防止及び小型の高容量積層型固体電解コンデンサを提供することを目的とする。
本発明は、単板コンデンサ素子の積層した積層型固体電解コンデンサに関し、以下の構成からなる。
(1)表面に誘電体酸化皮膜層を有する平板状の弁作用金属からなる陽極基体の端部が陽極部とされ、この陽極部を除いた部分の前記誘電体酸化皮膜層上に固体電解質層、その上に導電体層を順次形成した陰極部とからなり、該陰極部が陽極部側から陰極部先端に向かって末広がり形状をなして単板コンデンサ素子が構成され、該素子の複数が同一方向に揃えられて陽極部側から陰極部先端に向かって末広がり形状に積層され、その陽極部が陽極側リードフレーム上に積層固着されて積層コンデンサ素子とされ、この積層コンデンサ素子の2つが、陰極部と陽極部を同一方向にして、それらの導電体層の陰極部が陰極側リードフレームを介して接着固着されていることを特徴とする積層型固体電解コンデンサ。
(2)2つの積層コンデンサ素子において、一方の積層コンデンサ素子の夫々の単板コンデンサ素子と他方の積層コンデンサ素子の夫々の単板コンデンサ素子との固体電解質の長さが同一でないことを特徴とする上記(1)に記載の積層型固体電解コンデンサ。
(3)複数の単板コンデンサ素子の陰極部と陰極部、及び陰極部と陰極側リードフレームが、導電性接着層により積層固着され、該導電性接着層が、陰極部の先端から陰極部長さの80%迄の範囲に形成されていることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の積層型固体電解コンデンサ。
(4)複数の単板コンデンサ素子の陰極部と陰極部及び陰極部と陰極側リードフレームが、導電性接着層により積層固着され、導電性接着層の厚みが陰極部先端部分において陰極部基部側よりも大きいことを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の積層型固体電解コンデンサ。
(5)積層コンデンサ素子が、複数の単板コンデンサ素子を加圧積層して得られたものであることを特徴とする上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の積層型固体電解コンデンサ。
(6)固体電解質層が、導電性高分子を用いて形成されていることを特徴とする上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の積層型固体電解コンデンサ。
(7)導電性高分子が、重合性複素五員環式化合物、アニリン、ベンゼン、p−フェニレンビニレン、チエニレンビニレン、イソチアナフテン、ナフト[2,3−c]チオフェン及びそれらの置換誘導体の二価基の化学構造からなる群より選ばれた少なくとも1つの化学構造を含む重合体である上記(6)に記載の積層型固体電解コンデンサ。
(8)重合性複素五員環式化合物が、3,4−エチレンジオキシ−チオフェン又はその置換誘導体である上記(7)に記載の積層型固体電解コンデンサ。
(9)単板コンデンサ素子の複数が、2〜20の範囲にある上記(1)乃至(8)のいずれかに記載の積層型固体電解コンデンサ。
(10) 陽極部を同一方向に揃えられて陽極側リードフレーム上に積層固着される手段が、スポット溶接である上記(1)乃至(9)のいずれかに記載の積層型固体電解コンデンサ。
(11) 単位体積当たりのCV値が7.1×103V・F/m3以上である上記(1)乃至(10)のいずれかに記載の積層型固体電解コンデンサ。
本発明の積層構造によれば、小型大容量型素子の製造が可能であり、例えば、定格6.3V/100μF仕様の固体電解コンデンサとして、Dケースサイズで単位体積当たりのCV値が7.1×103V・F/m3以上の固体電解コンデンサを容易に製造することができる。また本発明の積層構造により、歩留、耐熱性に優れた積層型コンデンサ素子が得られる。また、歩留まり向上により該コンデンサの製造コストの大幅な削減が可能である。
本発明において使用される単板コンデンサ素子の一例の断面略図である。 本発明において使用される単板コンデンサ素子の一例を示す断面略図である。 参考例として示す単板コンデンサ素子の例の断面略図である。 参考例として示す積層コンデンサ素子の例の断面略図である。 参考例として示す積層コンデンサ素子の例の断面略図である。 参考例として示す積層コンデンサ素子の例の断面略図である。 参考例として示す積層コンデンサ素子の例の断面略図である。 本発明の積層コンデンサ素子の例を示す断面略図である。
図1、2は、本発明で好ましく使用される単板コンデンサ素子の例を示す断面略図である。図1において、該単板コンデンサ素子は、表面に誘電体酸化皮膜層2を有する平板状の弁作用金属からなる陽極基体1の端部が陽極部11とされ、この陽極部11及び絶縁層3を除いた部分の前記誘電体酸化皮膜層2上に固体電解質層4、その上に導電体層5、6が順次形成されてこの部分を陰極部とされ、該陰極部の先端部分の厚みS2が陰極部基部の厚みS1よりも大きい単板コンデンサ素子であって、陽極部11側から陰極部先端の方向に向かって陰極部の厚みが漸次大きくされている単板コンデンサ素子である。
また、図2に示す単板コンデンサ素子は、陰極部の厚みが階段状に大きくされている単板コンデンサ素子の一例であり、図3に示す単板コンデンサ素子は、先太ではなく、素子上下面がほぼ平行である単板コンデンサ素子の一例である。図2に示す単板コンデンサ素子は本発明の積層型固体電解コンデンサに、図3に示す単板コンデンサ素子は参考例に記載の積層型固体電解コンデンサに、それぞれ使用することができる。
図4又は図5は、参考例として示す積層型固体電解コンデンサの断面略図であって、図1に示す単板コンデンサ素子の複数を積層した積層コンデンサ素子を用いて得た積層型固体電解コンデンサを示す。例えば、図4においては、表面に誘電体酸化皮膜層を有する平板状の弁作用金属からなる陽極基体1の端部が陽極部11とされ、この陽極部を除いた部分の前記誘電体酸化皮膜層上に固体電解質層、その上にカーボンペーストの導電体層と銀ペーストの導電体層6が順次形成されて陰極部とされている単板コンデンサ素子7の複数が、その陽極部11を同一方向に揃えて陽極側リードフレーム9上に積層固着され、その陰極部を陽極部側から陰極部先端に向かって末広がり形状に陰極側リードフレーム8上に導電性接着層10を形成して積層固着されて積層コンデンサ素子とされ、前記各単板コンデンサ素子7の前記固体電解質層を有する部分の平板状弁作用金属が陰極側リードフレーム8に対してほぼ平行に積層されていることを特徴とする積層型固体電解コンデンサ(略して平行積層型ともいう。)を示すものである。
図6は、参考例として示す積層型固体電解コンデンサの一例の断面略図であって、図1に示す単板コンデンサ素子7の複数を積層した積層コンデンサ素子19をさらに2つ各陽極部11が異なる方向に接着固着させている積層型固体電解コンデンサの断面略図である。例えば、図6においては、表面に誘電体酸化皮膜層2を有する平板状の弁作用金属からなる陽極基体1の端部が陽極部11とされ、この陽極部を除いた部分の前記誘電体酸化皮膜層上に固体電解質層4、その上に導電体層5及び6が順次形成されて陰極部とされている単板コンデンサ素子7の複数が、その陽極部を同一方向に揃えて陽極側リードフレーム9上に積層固着され、その陰極部を陽極部側から陰極部先端に向かって末広がり形状に陰極側リードフレーム8上に導電性接着層10を形成して積層固着されて積層コンデンサ素子19とされ、該積層コンデンサ素子19を2つ準備して、導電体層の陰極部を陰極側リードフレーム8を介して各陽極部11を異なる方向に接着固着されていることを特徴とする積層型固体電解コンデンサ(略して対向積層型ともいう。)を示すものである。
図7は、参考例として示す積層型固体電解コンデンサの一例の断面略図であって、単板コンデンサ素子7を交互に陽極部11が相反する方向に揃えて積層され、このうち同一方向に揃えて交互積層した陽極部は陽極側リードフレーム9上に積層固着され、かつ複数の単板コンデンサ素子の陰極部は導電性接着層10を形成して順次積層固着され、このうち少なくとも1つの導電性接着層10が陰極側リードフレーム8上に固着されている積層型固体電解コンデンサ(略して各層対向積層型ともいう。)の断面略図を示すものである。
図8は、本発明の積層型固体電解コンデンサの一例を示す断面略図であって、固体電解質層4の長さが異なる単板コンデンサ素子7の複数を、限定された外装樹脂サイズ内に最密的に効率よく積層された積層型固体電解コンデンサ(略して最密積層型ともいう。)を示すものである。
本発明や参考例の積層型固体電解コンデンサにおいて、積層される単板コンデンサ素子の積層枚数は、該単板コンデンサ素子の形状や厚さ、導電性接着層の厚みのデザイン又は要求性能、積層形態(例えば、図4〜図8))等に依存するものの、通常2〜20枚、好ましくは2〜12枚用いられる。
該積層型固体電解コンデンサには、単板コンデンサ素子7として、図1に示すように、陰極部にテーパ状の勾配をつけて陰極部の先端部分の厚みS2が陰極部基部の厚みS1よりも大きい単板コンデンサ素子が好ましく用いられる。このような単板コンデンサ素子を使用して積層型固体電解コンデンサを製造する場合、限られたチップ容積内に複数の単板コンデンサ素子を載置する以上、図6又は図7に示した積層構造が好ましく使用される。また、場合により図8に示した積層構造が適用できる。なお、陰陽極リードフレーム8、9は、例えば公知の鉄系又は銅系の合金材、メッキ材等を用いて構成できる。
本発明について以下にさらに説明する。本発明においては、複数の単板コンデンサ素子7を積層して積層コンデンサ素子19を得る場合、各陰極部間及び陰極部と陰極側リードフレーム8との接続は導電性接着層(導電ペーストを使用)10にて行われ、各陽極部間及び陽極部11と陽極側リードフレーム9との接続はスポット溶接又はレーザ溶接にて実施される。図4又は図5に示すような積層構造の場合には、単板コンデンサ素子7の固体電解質層4を有する部分の平板状弁作用金属が陰極側リードフレーム8に対し、ほぼ平行に積層されているので、陽極部11はスポット溶接できるように折曲げてもよい。
一方、図6乃至図8に示すような積層構造の場合には、単板コンデンサ素子7の複数の陽極部11を同一方向に揃え、かつ各陽極部11が陽極側リードフレーム9表面に近接するように積層し、厚い陰極部を陽極部11側から陰極部側に向かって末広がり形状になるようにすることで、リードフレーム上に積層する際の応力集中を回避することができる。特に好ましくは、単板コンデンサ素子を図1のような末広がり形状にすることで、陽極部11のスポット溶接等による固着(積層固着)が容易となり、また各陰極部間及び陰極部と陰極側リードフレーム8間の導電性接着層10による積層固着が容易となり、結果的に高歩留で耐熱性等に優れた積層コンデンサ素子19が得られることを見い出した。尚、導電性接着層10は、銀微粉末を含む銀ペースト等の導電ペーストを用いて形成できる。
ところで、単板コンデンサ素子2枚を末広がり状にリードフレーム上に載置する公知例(特開平6−13269号公報)があるが、その目的は外装樹脂で封口した時に樹脂の硬化応力を緩和するために末広がり形状にすることを目的としており、陽極部をリードフレーム表面に積層固着することを記載していない点、本発明とは本質的に異なる。
また、本発明においては、外装樹脂の所定寸法内に多数の単板コンデンサ素子を内蔵するために、導電ペーストで陰極側リードフレーム上に単板コンデンサ素子を積層固着する時に、適当量の導電ペーストを陰極部及びリードフレームの特定範囲に塗布することが好ましいこと、更に適当な圧力で単板コンデンサ素子を加圧積層することで末広がり形状の積層コンデンサ素子が好適に得られ易い。
即ち、導電ペーストを用いて陰極側リードフレーム上に単板コンデンサ素子を積層固着する時の加圧力は、約17〜420g/cm2の範囲であることが好ましい。従って、単板コンデンサ素子が厚さ0.3mm×幅3mm×長さ4mmである場合は、2g〜50g程度の荷重が単板コンデンサ素子の積層固着時にかけられる。
また、単板コンデンサ素子の陰極部に、図1に示すようにテーパ状の勾配をつけて単板コンデンサ素子形状を末広がり状とする、あるいは、単板コンデンサ素子の陰極部の厚さを図2に示すように階段状に大きくして単板コンデンサ素子の形状を末広がり状とすることで、末広がり形状の積層コンデンサ素子を無理なく得られることを見出した。
次に、積層型固体電解コンデンサを製造するための単板コンデンサ素子について説明する。本発明および参考例の単板コンデンサ素子では、図1〜3に示すように、表面に誘電体酸化皮膜層2を有する平板状の弁作用金属からなる陽極基体1の端部が陽極部11とされ、この陽極部11を除いた部分の前記誘電体酸化皮膜層2上に固体電解質層4、その上に導電体層5、6が順次形成されて陰極部とされている。ここで、誘電体酸化皮膜層2は、大きな表面積を有する誘電体層としてエッチングされた弁作用金属からなる細孔表面に形成されるものであって、誘電体酸化皮膜層2にはアルミナ、酸化タンタル等のように弁作用金属の酸化物又はその焼結体で構成できる。本発明において使用される弁作用金属として、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン等が挙げられる
本発明および参考例では、陽極基体1は、前記弁作用金属の支持体を指し、その表面に誘電体酸化皮膜層2を形成して単板コンデンサ素子を作製する際にはその一端を陽極部11と称する。また、誘電体酸化皮膜層2を形成する前に、容量増加のため陽極基体1の表面積を拡大するエッチング処理等が行われる。図1〜3に示すように、単板コンデンサ素子の陽極部11と陰極部は絶縁層3で分離されており、陰極部に固体電解質層4、導電層5、6が形成されている。絶縁層3を陽極部11に接してはちまき状に設ける(周設する)ことで、陽極部11と陰極部とを区分してもよい。絶縁層3は、陰極部と陽極部11とを電気的に絶縁するための層である。
絶縁層3は絶縁性の材料であり、例えば一般的な耐熱性樹脂、好ましくは溶剤に可溶あるいは膨潤しうる耐熱性樹脂またはその前駆体、無機質微粉とセルロース系樹脂からなる組成物(特開平11−80596号公報)などが使用できるが、材料には制限されない。具体例としては、ポリフェニルスルホン(PPS)、ポリエーテルスルホン(PES)、シアン酸エステル樹脂、フッ素樹脂(テトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体等)、ポリイミド及びそれらの誘導体などが挙げられる。特に好ましくはポリイミド、ポリエーテルスルホン、フッ素樹脂及びそれらの前駆体が挙げられる。
前記ポリイミドとは、主鎖にイミド構造を含む化合物であり、通常前駆体のポリアミック酸を溶剤に溶かした溶液を使用して、塗布後に高温に加熱処理してイミド化を図ったものである。材料は、前記のように、ポリイミドの化学構造にも制限されないが、好ましくは平均分子量としては1,000〜1,000,000であり、より好ましくは2000〜200,000の絶縁性に優れた化合物が使用される。
固体電解質層4は、導電性高分子やテトラシアノキノジメタン(TCNQ)等を含む有機物、あるいは二酸化マンガン、二酸化鉛等の金属酸化物他の無機物を化学酸化又は電解酸化法等にて形成してもよい。固体電解質層4の上の導電体層5はカーボンペーストで、導電体層5の上の導電体層6は銀ペースト等の導電ペーストを用いて形成できるが、これら材料又はその方法に限定されるものではない。
本発明において、固体電解質層4を形成するために用いる導電性高分子として、真性導電性高分子(特開平l−169914号公報)やπ共役系のポリアニリン(例えば、特開昭61−239617号公報)、複素五員環式化合物のポリピロール(例えば、特開昭61−240625号公報)、ポリチオフェン誘導体(例えば、特開平2−15611号公報)およびポリイソチアナフテン(例えば、特開昭62−118511号公報)等の公知のポリマーを本発明において用いることができる。
すなわち、固体電解質層4を形成するために、アニリン、ピロール、チオフェン、イソチアナフテン及びそれらの置換誘導体の二価基の化学構造からなる群より選ばれた少なくとも1つの化学構造を含む導電性重合体を用いることができる。また、公知の導電性重合体、すなわちベンゼン、p−フェニレンビニレン、チエニレンビニレン、ナフト[2,3−c]チオフェン及びそれらの置換誘導体の二価基の化学構造を含む重合体も、固体電解質層4を形成するために使用できる。これらの導電性高分子は、ドーパントを含んだ導電性高分子組成物として固体電解質層4を形成するために使用される。さらに、ドーパントだけの添加だけでなく、例えば有機系あるいは無機系のフィラーが更に併用されてもよい。
ピロールやチオフェン等の重合性複素五員環式化合物(以下、複素五員環式化合物という)の重合体を使用する場合、陽極箔を複素五員環式化合物の低級アルコール/水系溶液に浸漬した後、酸化剤と電解質を溶かした水溶液に浸漬して化学重合させ、導電性高分子を陽極箔上に形成する方法(特開平5−175082号公報)、3,4−エチレンジオキシ−チオフェンモノマー及び酸化剤を好ましくは溶液の形態において、前後して別々にまたは一緒に金属箔の誘電体酸化皮膜に塗布して形成する方法(特開平2−15611号公報や特開平10−32145号公報)等を本発明において適用できる。また、特開平10−32145号公報に開示されているように、ベンゾキノンスルホン酸や脂環式スルホン酸のような特定の有機スルホン酸をドープしたポリ(3,4−エチレンジオキシ−チオフェン)を、本発明においても用いることもできる。さらには、本発明の単板コンデンサ素子および積層型固体電解コンデンサにおいて、その固体電解質4には下記の一般式(I)で示される3,4−エチレンジオキシ−チオフェン誘導体の重合体も好適に使用できる。
Figure 0004868054

但し、上記の一般式(I)において、R1及びR2は、各々独立して水素原子、C1〜C6の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和の炭化水素基、またはC1〜C6の炭化水素基が互いに任意の位置で結合して、2つの酸素元素を含む少なくとも1つ以上の5〜7員環の飽和炭化水素の環状構造を形成する置換基を表す。また、前記環状構造には置換されていてもよいビニレン結合を有するもの、置換されていてもよいフェニレン構造のものが含まれる。また、同様に下記の一般式(II)の二価基の化学構造を含む重合体も、固体電解質4を形成するために好適に使用できる。
Figure 0004868054
上記の一般式(II)において、R3、R4、R5及びR6は、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C10の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和のアルキル基、アルコキシ基またはアルキルエステル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、1級、2級または3級アミノ基、トリフロロメチル基、フェニル基及び置換フェニル基からなる群から選ばれる一価基を表すか、またはR3、R4、R5及びR6の炭化水素鎖は互いに任意の位置で結合して、かかる基により置換を受けている炭素原子と共に少なくとも1つ以上の3〜7員環の飽和または不飽和炭化水素の環状構造を形成する二価の基を形成してもよい。
また、一般式(II)において、R3、R4、R5及びR6が表すアルキル基、アルコキシ基、アルキルエステル基、またはそれらによって形成される環状炭化水素鎖にはカルボニル、エーテル、エステル、アミド、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、イミノ結合を任意の数含んでもよい。一般式(II)に記載のδは、繰り返し単位あたりの荷電数を表し、0〜1の範囲である。
しかしながら、本発明の単板コンデンサ素子および積層型固体電解コンデンサにおいては、特に化学構造には限定されなく、通常固体電解質4を形成する材料の電気伝導度は、0.1〜200S/cmの範囲、望ましくは1〜100S/cmの範囲、さらに好ましくは10〜100S/cmの範囲であればよい。
ピロールやチオフェン類等の複素五員環式化合物の酸化重合に対して適する酸化剤として、例えば特開平2−15611号公報記載の塩化鉄(III)、Fe(C1043や有機酸鉄(IlI)、無機酸鉄(IlI)、アルキル過硫酸塩、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等が広範に使用できる。前記有機酸鉄(Ill)の有機酸の例としては、メタンスルホン酸やドデシルベンゼンスルホン酸のような炭素数1〜20のアルキルスルホン酸や同じく脂肪族カルボン酸が挙けられる。しかしながら、前記酸化剤の使用範囲は、詳細には前記モノマー化合物の化学構造と酸化剤および反応条件等の制限を受けることがある。例えば、チオフェン類の酸化(重合)は、Handbook of Conducting Polymers誌(Marcel Dekker,Inc.社発行、1987年、99頁、図5参照。)の説明によると、置換基の種類により酸化電位(重合の起こり易さを示す1つの尺度。)が大きくかわり、重合反応を左右する(酸化電位は約l.8〜約2.7Vの範囲に広範に広がっている。)。従って、具体的には使用するモノマー化合物と酸化剤、反応条件の組合せが重要である。
前記導電性重合体に含まれるドーパントは、用いるπ電子共役構造を有する重合体に制限されない。ドーパントは、通常アニオンであればよく、また該アニオンが低分子アニオンであっても高分子電解質等の高分子アニオンであってもよい。例えば、具体的には、PF6 -、SbF6 -、AsF6 -の如き5B族元素のハロゲン化物アニオン、BF4 -の如き3B族元素のハロゲン化物アニオン、I-(I3 -)、Br-、Cl-の如きハロゲンアニオン、ClO4 -の如き過ハロゲン酸アニオン、AlCl4 - FeCl4 - SnCl5 -等の如きルイス酸アニオン、あるいはNO3 -、SO4 2-の如き無機酸アニオン、またはp−トルエンスルホン酸やナフタレンスルホン酸、C1〜C5のアルキル置換ナフタレンスルホン酸、CF3SO3 -、CH3SO3 -のごとき有機スルホン酸アニオン、またはCH3COO-、C65COO-のごときカルボン酸アニオン等のプロトン酸アニオンを挙げることができる。
さらに好ましくは、有機スルホン酸アニオン、有機リン酸アニオン等が使用される。特に有機スルホン酸アニオンであっては、芳香族スルホン酸アニオン、芳香族ポリスルホン酸アニオン、OH基またはカルボキシ基が置換した有機スルホン酸アニオン、アダマンタン等の骨格を有する脂肪族の有機スルホン酸アニオン等の種々の化合物が適用できる。
例えば、有機スルホン酸を例示すれば、ベンゼンスルホン酸やp−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、α−スルホ−ナフタレン、β−スルホ−ナフタレン、ナフタレンジスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸(アルキル基としてはブチル、トリイソプロピル、ジ−t−ブチル等)が挙げられる。また、他の例示として、一つ以上のスルホアニオン基とキノン構造を分子内に有するスルホキノン化合物のアニオン(以下スルホキノンアニオンと略する)、アントラセンスルホン酸アニオン、ナフタレンスルホン酸アニオン、ベンゼンスルホン酸アニオン、キシリレンジスルホン酸アニオン(o、p、m)を例示することができる。
スルホキノンアニオンの基本骨格としては、p−ベンゾキノン、o−ベンゾキノン、1,2−ナフトキノン、1,4−ナフトキノン、2,6−ナフトキノン、9,10−アントラキノン、1,4−アントラキノン、1,2−アントラキノン、1,4−クリセンキノン、5,6−クリセンキノン、6,12−クリセンキノン、アセナフトキノン、アセナフテンキノン、カルホルキノン、2,3−ボルナンジオン、9,10−フェナントレンキノン、2,7−ピレンキノンが挙げられる。
中でも、本発明において使用するスルホキノンとしては、アントラキノン、1,4−ナフトキノン、2,6−ナフトキノンの骨格を有するスルホキノンが好ましく使用される。例えばアントラキノン類の場合、アントラキノン−1−スルホン酸、アントラキノン−2−スルホン酸、アントラキノン−1,5−ジスルホン酸、アントラキノン−1,4−ジスルホン酸、アントラキノン−1,3−ジスルホン酸、アントラキノン−1,6−ジスルホン酸、アントラキノン−1,7−ジスルホン酸、アントラキノン−1,8−ジスルホン酸、アントラキノン−2,6−ジスルホン酸、アントラキノン−2,3−ジスルホン酸、アントラキノン−2,7−ジスルホン酸、アントラキノン−1,4,5−トリスルホン酸、アントラキノン−2,3,6,7−テトラスルホン酸、これらのアルカリ金属塩、及びこれらのアンモニウム塩等が使用できる。
1,4−ナフトキノン類の場合は、1,4−ナフトキノン−5−スルホン酸、1,4−ナフトキノン−6−スルホン酸、1,4−ナフトキノン−5,7−ジスルホン酸、1,4−ナフトキノン−5,8−ジスルホン酸、これらのアルカリ金属塩、及びこれらのアンモニウム塩等が使用できる。2,6−ナフトキノン類の場合は、2,6−ナフトキノン−1−スルホン酸、2,6−ナフトキノン−3−スルホン酸、2,6−ナフトキノン−4−スルホン酸、2,6−ナフトキノン−3,7−ジスルホン酸、2,6−ナフトキノン−4,8−ジスルホン酸、これらのアルカリ金属塩、及びこれらのアンモニウム塩等が使用できる。
また、前記スルホキノンとしてはさらに工業的な染料の中から、例えばアントラキノンアイリスR、アントラキノンバイオレットRN−3RNがあり、これらも同様に有用なスルホキノン系ドーパントとして前記塩の形態で使用できる。さらには、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリビニル硫酸、ポリ−α−メチルスルホン酸、ポリエチレンスルホン酸、ポリリン酸等の高分子電解質アニオンも使用される。
また、これらのドーパントは、前記導電性重合体を産生しうる公知な酸化剤の還元体アニオンも含まれる。例えば、アルカリ金属過硫酸塩類や過硫酸アンモニウム塩類等の酸化剤の産生アニオンである硫酸イオンが挙げられる。その他には、過マンガン酸カリウム等のマンガン類、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)、テトラクロロ−1,4−ベンゾキノン、テトラシアノ−1,4−ベンゾキノン等のキノン類から産生されるドーパントが挙げられる。
以上、本発明においては導電性重合体に前記ドーパントの少なくとも1種を含むものが好適に使用される。例えば、導電性重合体にドーパントとして硫酸イオンがπ共役構造の全繰り返し単位に対して0.01〜10モル%の範囲であり、他のドーパントとして前記スルホキノンアニオン、例えばアントラキノンスルホン酸アニオンが1〜50モル%の範囲を含むものである。
一方、単板コンデンサ素子について更に説明する。単板コンデンサ素子として、図1、2に示すように、陰極部先端部分の厚みが陰極部基部の厚みよりも大きい先太形状のものを用いると、積層型固体電解コンデンサとしてこれを積層した場合、積層コンデンサ素子19が末広がり形状となり易い。即ち、単板コンデンサ素子7の形状として、固体電解質層4と導電体層5、6との合計厚みを、図1に示すように、陰極部先端に向かって漸次大きくした形状、或いは、その厚さを図2に示すように陰極部先端に向かって階段状に厚くした形状が好ましい。さらに別の発明の実施態様として、先太形状の単板コンデンサ素子において、陰極部基部の厚みS1と、その先端部の最大厚みS2との比S2/S1が1.1〜5.0の範囲が良く、より好ましくは1.3〜3.0の範囲である。
図1に示す形状の単板コンデンサ素子7を得る方法の例として、導電ペーストを塗布後先端側の導電体層5、6が厚くなるように機械的に加圧成型する方法が挙げられる。他の方法として、素子7の先端部に繰り返し導電ペーストを塗布して、図1、2に示すように、漸次に或いは階段状に導電体5、6を厚くする方法が挙げられる。素子7の先端部分を陰極部基部の厚みS1よりも大きくできる方法であれば、どのような方法を用いてもよい。
単板コンデンサ素子を積層する方法は、例えば1枚毎に陰極側のリードフレーム上に導電ペーストを用いて積層してもよいし、また2枚以上をあらかじめ末広がり形状に積層した積層品を陰極側リードフレームに接着により積層してもよい。更にそれらの素子を重ねて積層してもよい。これら以外の積層方法を採用してもよい。またリードフレームの表裏の一方(例えば図4参照)、あるいは、表裏両側(例えば図5、図6、図8を参照)に単板コンデンサ素子を積層してもよい。
単板コンデンサ素子において先太ではなく、素子上下面がほぼ平行である単板コンデンサ素子を用いて末広がり形状に積層してもよく、その積層コンデンサ素子を得る方法として、導電性接着層の厚みを陰極部先端側において陰極部基部側よりも大きくする方法が挙げられる。
陰極部と陰極部との間の導電性接着層、及び陰極部と陰極側リードフレームとの間の導電性接着層は、陰極部の先端から陰極部長L(図1参照)の80%迄の範囲(即ち、導電性接着層の陰極部先端からの長さL1は、0.8×L以下)に形成されることが好ましい。先端から80%迄の範囲を越えて導電性接着層を形成しようとすると、導電ペーストが積層時に陽極部迄に到達する恐れあり、ショート等による歩留悪化やショートにならなくても漏れ電流が大きくなる等の性能低下を招く恐れがある。導電性接着層を陰極部長さLの80%迄の範囲に形成するには、導電ペーストを陰極部長さの先端側から半長迄の範囲に塗布するがよい。
また、複数の単板コンデンサ素子が、機械的に加圧積層されことで末広がり形状の積層コンデンサ素子とされることが好ましい。即ち、複数の単板コンデンサ素子を導電ペーストで陰極側リードフレーム上に積層する時に、適当な圧力で単板コンデンサ素子を加圧板で加圧して導電ペーストの厚みを調節とすることで、所定寸法の末広がり形状とする。
この際、導電性接着層の厚みを、陰極部基部から陰極部先端部分に向かって漸次大きくなるようにすれば、積層コンデンサ素子の陰極部先端部分の厚みが陰極部基部の厚みよりも大きくなり、その結果、積層コンデンサ素子が末広がり形状となり易い。 例えば、図6や図8に見られるように、積層コンデンサ素子19の末広がり形状として、積層コンデンサ素子19の陰極部基部の厚みW1と、該素子19の陰極部先端部分の最大厚みW2との比W2/W1は1.3〜5.5の範囲がよく、好ましくは1.5〜3.5の範囲がさらに好ましい。単板コンデンサ素子の陽極部は、単板コンデンサ素子の積層後に折り曲げていてもよいし、その積層前に予め折り曲げられてもよい。
陽極部と陽極部との間及び陽極部と陽極側リードフレームとを接続する方法は、スポット溶接、レーザー溶接及び導電ペーストでの接続等、いかなる方法を採用してもよい。陰極部の積層と陽極部接続の順序も特に限定はなく、どちらを先にしてもよいし、また交互に行ってもよい。いずれにしても、単板コンデンサ素子7に大きな機械的応力が加わらないように積層して積層コンデンサ素子を作製することが肝心である。
積層コンデンサ素子は、外装樹脂で封口し、外装樹脂の外側のリードフレームを外装樹脂に沿って折曲げて外部リードとして積層型固体電解コンデンサとされる。外装樹脂の例はエポキシ樹脂、フェノール樹脂等であり、外部リードは、例えば材質(42アロイ)で構成できる。単板コンデンサ素子の陽極部を同一方向に揃え陽極側リードフレーム上に積層固着すると、或いは、先太形状の単板コンデンサ素子を用いると、積層コンデンサ素子が外装樹脂からはみ出さないようにでき、かつ単板コンデンサ素子の積層枚数を増やして高容量の積層型固体コンデンサを得ることができる。
本発明においては、前記積層構造を工夫することによって定格仕様で求められているコンデンサチップサイズに製造することができる。例えば、本発明の積層構造を適用することによって、コンデンサチップの単位体積当たりのCV値が7.1×103V・F/m3(または7.1×10-3V・F/cm3以上に相当する)、好ましくは7.3×103V・F/m3以上、さらに好ましくは7.8×103V・F/m3以上の固体電解コンデンサを提供することができる。例えば、定格6.3V/100μF仕様の固体電解コンデンサとして、Dケースサイズ(0.73cm × 0.43cm ×高さ0.29cm )で単位体積当たりのCV値が7.1×103V・F/m3以上の固体電解コンデンサを製造することができる。
本発明を実施例で説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
なお、以下の実施例において実施例1および5以外は参考例として示す。
実施例1:
先太形状の単板コンデンサ素子の製造表面にアルミナの誘電体酸化皮膜層2を有する厚さ90μm、長さ5mm、幅3mmのアルミニウム(弁作用金属)のエッチング箔(陽極基体1)の上端の長さ2mm、幅3mmの部分を陽極部11とし、残り3mm×3mmの部分を、10質量%のアジピン酸アンモニウム水溶液で13V化成して切り口部に誘電体酸化皮膜層2を形成し、誘電体を準備した。この誘電体表面に、過硫酸アンモニウム20質量%とアントラキノン−2−スルホン酸ナトリウム0.1質量%になるように調製した水溶液を含浸させ、次いで3,4−エチレンジオキシ−チオフェンを5g溶解した1.2モル/lのイソプロパノール溶液に浸漬した。この基板を取り出して60℃の環境下で10分放置することで酸化重合を完成させ、水で洗浄した。この重合反応処理及び洗浄工程をそれぞれ10回繰り返し、導電性高分子の固体電解質層4を形成した。
次いで、カーボンペースト槽に浸漬し固化させて導電体層5を形成した。そして、銀ペースト槽に浸漬し固化する操作を繰り返して導電体層6の厚みを先端に向かって漸次大きくすることで、図1に示す先太形状の単板コンデンサ素子7を得た。該単板コンデンサ素子7の陰極部基部の厚みS1と、その先端部の最大厚みS2との比S2/S1は2.1であった。
実施例2
本例の積層コンデンサ素子は、図4に略図を示すものである。実施例1の方法で製造した単板コンデンサ素子を3枚準備し、図4に示すように、3個の陽極部11を左方に揃え、3個の陰極部を右方に揃えて、陰極部と陰極部との間、及び、陰極部とリードフレーム8との間を導電ペーストで固体電解質層を有する部分の平板状弁作用金属が陰極側リードフレーム8に対してそれぞれほぼ平行に積層して積層コンデンサ素素子を得た。該積層品の陽極部11を折り曲げながら、陽極部11同士、及びリードフレーム9の片表面と陽極部11の下面をスポット溶接することで、図4に示す積層コンデンサ素子を得た。また、導電ペーストの塗布長は、先端から陰極部長さLの80%迄とした。
実施例3:
本例の積層コンデンサ素子は図6に示すものである。実施例1の方法で製造した単板コンデンサ素子を6枚準備し、このうち3枚について3個の陽極部11を左方に揃え、3個の陰極部を右方に揃えて、陰極部と陰極部との間、及び、陰極部とリードフレーム8との間を導電ペーストで接着し、3枚積層の積層コンデンサ素子を作製した。導電ペーストの塗布長は、先端から陰極部長さLの50%迄とした。同じ方法で、2つの3枚積層の積層コンデンサ素子を作製後、これらの積層コンデンサ素子を図6の構造のように向かい合わせて陰極リードフレーム8を介して接着固着した。このような積層構造により作製された積層型コンデンサは、より小型で小さい容積に最密積層することができた。
実施例4
本例の積層コンデンサ素子は、図7に略図を示すものである。実施例1の方法で製造した単板コンデンサ素子を6枚準備し、図7に示すように、単板コンデンサ素子を1枚ずつ交互に陽極部を対向して3枚の単板コンデンサ素子を積層した。このような積層コンデンサ素子を2つ作製後、これらの積層コンデンサを陰極側リードフレームの表裏の導電性接着層を形成して順次積層固着した。このとき、陽極部は同一方向の陽極側リードフレーム上に陽極部を必要に応じて折り曲げて積層固着され、複数の単板コンデンサ素子の陰極部は導電性接着層を形成して順次積層固着した。導電ペーストの塗布長は、先端から陰極部長さLの50%迄とした。
実施例5
本例の積層コンデンサ素子は、図8に略図を示すものである。実施例1の方法を採用して、2対の固体電解質層の長さの異なる単板固体電解コンデンサを3種作製した。図8に示すように、固体電解質層の長さの最も短い単板固体電解コンデンサを取り出し、リードフレーム8上に導電ペーストで接着し、そしてその上に該コンデンサよりも長い単板固体電解コンデンサを、陽極部11を左方に揃え、陰極部を右方に揃えて、陰極部と陰極部との間に導電性接着層を介して3枚順次積層固着した。同じ積層構造をリードフレーム8の裏側に対して接着し、リードフレームの表裏に合計6枚の単板固体電解コンデンサを載置した。該積層品の陽極部11は必要に応じて折り曲げながら、陽極部11同士、及びリードフレーム9の片表面と陽極部11の下面をスポット溶接することで、図8に示す積層コンデンサ素子を製造した。また、導電ペーストの塗布長は、先端から陰極部長さLの50%迄とした。
固体電解質層の長さの異なる単板固体電解コンデンサは、固体電解質層を製造する際に使用する酸化剤浴(実施例1に記載の過硫酸アンモニウム/アントラキノン−2−スルホン酸ナトリウムからなる水溶液)及びモノマー浴(実施例1に記載の3,4−エチレンジオキシ−チオフェンのイソプロパノール溶液)への浸漬長さを制御して達成した。
実施例6:
コンデンサ特性の評価
実施例2〜5に記載の積層構造を有する積層型コンデンサを1評価ユニットとして各30チップ(n=30)製造したのち、歩留(%)とリフロー試験後の漏れ電流により特性評価し、その結果を表1にまとめた。
Figure 0004868054
実施例7:小型大容量コンデンサの評価小型大容量化評価の一例として、実施例3の方法に準じ8枚積層型固体電解コンデンサを作製した。但し、このコンデンサの製造においては、定格6.3VのDケースサイズ(0.73cm × 0.43cm ×高さ0.29cm )で作製した。ここで製造された小型大容量コンデンサのCV値評価をし、その結果を表2に記載した。
Figure 0004868054
本発明によれば、小型大容量型素子の製造が可能であり、例えば、単位体積当たりのCV値が7.1×103V・F/m3以上の固体電解コンデンサを容易に製造することができる。また、歩留、耐熱性に優れた積層型コンデンサ素子が得られ、製造コストの大幅な削減が可能であるなど産業上の利用可能性は大きい。
1・・陽極基体、2・・誘導体酸化皮膜層、3・・絶縁層、4・・固体電解質層、5・・導電体層(カーボンペースト層)、6・・導電体層(銀ペースト層)、7・・単板コンデンサ素子、8・・陰極側リードフレーム、9・・陽極側リードフレーム、10・・導電性接着層、11・・陽極部、12・・外部リード、13・・溶接部、14・・積層コンデンサ素子、15・・外装樹脂、16・・積層型固体電解コンデンサ

Claims (11)

  1. 表面に誘電体酸化皮膜層を有する平板状の弁作用金属からなる陽極基体の端部が陽極部とされ、この陽極部を除いた部分の前記誘電体酸化皮膜層上に固体電解質層、その上に導電体層を順次形成した陰極部とからなり、該陰極部が陽極部側から陰極部先端に向かって末広がり形状をなして単板コンデンサ素子が構成され、該素子の複数が同一方向に揃えられて陽極部側から陰極部先端に向かって末広がり形状に積層され、その陽極部が陽極側リードフレーム上に積層固着されて積層コンデンサ素子とされ、この積層コンデンサ素子の2つが、陰極部と陽極部を同一方向にして、それらの導電体層の陰極部が陰極側リードフレームを介して接着固着されていることを特徴とする積層型固体電解コンデンサ。
  2. 2つの積層コンデンサ素子において、一方の積層コンデンサ素子の夫々の単板コンデンサ素子と他方の積層コンデンサ素子の夫々の単板コンデンサ素子との固体電解質の長さが同一でないことを特徴とする請求項に記載の積層型固体電解コンデンサ。
  3. 複数の単板コンデンサ素子の陰極部と陰極部及び陰極部と陰極側リードフレームが、導電性接着層により積層固着され、該導電性接着層が、陰極部の先端から陰極部長さの80%迄の範囲に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の積層型固体電解コンデンサ。
  4. 複数の単板コンデンサ素子の陰極部と陰極部及び陰極部と陰極側リードフレームが、導電性接着層により積層固着され、導電性接着層の厚みが陰極部先端部分において陰極部基部側よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の積層型固体電解コンデンサ。
  5. 積層コンデンサ素子が、複数の単板コンデンサ素子を加圧積層して得られたものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の積層型固体電解コンデンサ。
  6. 固体電解質層が、導電性高分子を用いて形成されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の積層型固体電解コンデンサ。
  7. 導電性高分子が、重合性複素五員環式化合物、アニリン、ベンゼン、p−フェニレンビニレン、チエニレンビニレン、イソチアナフテン、ナフト[2,3−c]チオフェン及びそれらの置換誘導体の二価基の化学構造からなる群より選ばれた少なくとも1つの化学構造を含む重合体である請求項記載の積層型固体電解コンデンサ。
  8. 重合性複素五員環式化合物が、3,4−エチレンジオキシ−チオフェン又はその置換誘導体である請求項記載の積層型固体電解コンデンサ。
  9. 単板コンデンサ素子の複数が、2〜20の範囲にある請求項1乃至のいずれかに記載の積層型固体電解コンデンサ。
  10. 陽極部を同一方向に揃えられて陽極側リードフレーム上に積層固着される手段が、スポット溶接である請求項1乃至9のいずれかに記載の積層型固体電解コンデンサ。
  11. 単位体積当たりのCV値が7.1×103V・F/m3以上である請求項1乃至10のいずれかに記載の積層型固体電解コンデンサ。
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