JPWO2016174817A1 - 電解コンデンサ - Google Patents

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Abstract

電解コンデンサは、陽極体、陽極体上に形成された誘電体層、誘導体層の少なくとも一部を覆い、かつ第1導電性高分子を含む第1導電性高分子層、および第1導電性高分子層の少なくとも一部を覆い、かつ第2導電性高分子を含む第2導電性高分子層を備える。第1および第2導電性高分子層は、それぞれスルホン化度S1を有する第1高分子ドーパントをさらに含む。第1または第2導電性高分子層(もしくは、第1および第2導電性高分子層)は、スルホン化度S2を有する第2高分子ドーパントをさらに含むとともに、S1<S2である。第1導電性高分子層と第2導電性高分子層とは、第2高分子ドーパントの組成が異なる。

Description

本開示は、導電性高分子層を有する電解コンデンサに関する。
小型かつ大容量で低ESRのコンデンサとして、誘電体層を形成した陽極体と、誘電体層の少なくとも一部を覆うように形成された導電性高分子層とを具備する電解コンデンサが有望視されている。導電性高分子層は、π共役系高分子とドーパントを含んでいる。ドーパントを用いることで、π共役系高分子に高い導電性が付与される。
ドーパントとしては、ポリスチレンスルホン酸などのスルホン酸基を有する高分子ドーパントを用いる場合がある(特許文献1)。
特開2010−87401号公報
しかし、特許文献1に記載のドーパントを用いると、電解コンデンサの耐湿性が不十分になる。
そこで、本開示は、導電性高分子層を有する電解コンデンサにおいて、耐湿性を向上することを目的とする。
本開示の一局面における電解コンデンサは、陽極体、陽極体上に形成された誘電体層、誘導体層の少なくとも一部を覆い、かつ第1導電性高分子を含む第1導電性高分子層、および第1導電性高分子層の少なくとも一部を覆い、かつ第2導電性高分子を含む第2導電性高分子層を備える。第1導電性高分子層および第2導電性高分子層は、それぞれスルホン化度S1を有する第1高分子ドーパントをさらに含む。第1導電性高分子層または第2導電性高分子層は、スルホン化度S2を有する第2高分子ドーパントをさらに含む。スルホン化度S1およびスルホン化度S2は、S1<S2を満たす。
本開示の他の一局面における電解コンデンサは、陽極体、陽極体上に形成された誘電体層、誘導体層の少なくとも一部を覆い、かつ第1導電性高分子を含む第1導電性高分子層、および前記第1導電性高分子層の少なくとも一部を覆い、かつ第2導電性高分子を含む第2導電性高分子層を備える。第1導電性高分子層および第2導電性高分子層は、それぞれスルホン化度S1を有する第1高分子ドーパントをさらに含む。第1導電性高分子層および前記第2導電性高分子層は、それぞれスルホン化度S2を有する第2高分子ドーパントをさらに含む。スルホン化度S1およびスルホン化度S2は、S1<S2を満たす。第1導電性高分子層と第2導電性高分子層とは、第2高分子ドーパントの組成が異なる。
本開示によれば、電解コンデンサにおいて、耐湿性を向上することができる。
図1は、本開示の一実施形態に係る電解コンデンサの断面模式図である。 図2は、図1の実線αで囲まれた領域の拡大図である。
[電解コンデンサ]
本開示の一実施形態に係る電解コンデンサは、陽極体、陽極体上に形成された誘電体層、誘導体層の少なくとも一部を覆い、かつ第1導電性高分子を含む第1導電性高分子層、および第1導電性高分子層の少なくとも一部を覆い、かつ第2導電性高分子を含む第2導電性高分子層を備える。第1導電性高分子層および第2導電性高分子層は、それぞれスルホン化度S1を有する第1高分子ドーパントをさらに含む。第1導電性高分子層および/または第2導電性高分子層は、スルホン化度S2を有する第2高分子ドーパントをさらに含む。ただし、第1導電性高分子層および第2導電性高分子層がそれぞれ第2高分子ドーパントを含む場合、第1導電性高分子層と第2導電性高分子層とは、第2高分子ドーパントの組成が異なる。スルホン化度S1およびスルホン化度S2は、S1<S2を満たす。
第1導電性高分子層および第2導電性高分子層が、それぞれスルホン化度が比較的低い第1高分子ドーパントを含むことで、両層において耐湿性を高めることができる。しかし、スルホン化度が低くなると、ドーパントの分散性が低くなり易く、導電性高分子層におけるドーパント(もしくは、ドーパントおよび導電性高分子)の分布が均一な導電性高分子層を形成し難いため、ESRを低減し難い。また、導電性高分子層のキャリア濃度が低下するため、電気伝導度が低下することによっても、ESRを低減し難い。上記実施形態では、スルホン化度が比較的高い第2高分子ドーパントを第1導電性高分子層および/または第2導電性高分子層が含むことで、膜質が均質となり、キャリア濃度を高めることができるため、導電性が高まり、ESRを低減することもできる。また、第1導電性高分子層および第2導電性高分子層が第1高分子ドーパントを含むことで、両層間の密着性が高まり、界面抵抗を低く抑えることができる観点からも、ESRを低減できる。第1導電性高分子層と第2導電性高分子層とで求められる特性が異なるため、両層間の密着性を確保しながら、第2高分子ドーパントの組成が異なることで、所望の特性を各層に付与することができる。
図1は、本開示の一実施形態に係る電解コンデンサの断面模式図である。図2は、図1の実線αで囲まれた領域の拡大図である。
電解コンデンサ1は、コンデンサ素子11と、コンデンサ素子11を封止する樹脂外装体12と、樹脂外装体12の外部にそれぞれ露出する陽極端子13および陰極端子14と、を備えている。コンデンサ素子11は、箔状または板状の陽極体2と、陽極体2を覆う誘電体層3と、誘電体層3を覆う陰極部15とを含む。陽極端子13は、陽極体2と電気的に接続し、陰極端子14は、陰極部15と電気的に接続している。樹脂外装体12はほぼ直方体の外形を有しており、これにより、電解コンデンサ1もほぼ直方体の外形を有している。
陽極体2と陰極部15とは、誘電体層3を介して対向している。陰極部15は、誘電体層3を覆う導電性高分子層4と、導電性高分子層4を覆う陰極層5とを有している。図示例の陰極層5は、2層構造であり、導電性高分子層4と接触するカーボン層5aと、カーボン層5aの表面を覆う銀ペースト層5bと、を有している。
陰極部15から突出した陽極体2の端部のうち、陰極部15に隣接する領域には、陽極体2の表面を帯状に覆うように絶縁性の分離部16が形成され、陰極部15と陽極体2との接触が規制されている。陰極部15から突出した陽極体2の端部は、陽極端子13の第1端部13aと、溶接などにより電気的に接続されている。一方、陰極部15の最外層に形成された陰極層5は、陰極端子14の第1端部14aと、導電性接着材17(例えば熱硬化性樹脂と金属粒子との混合物)を介して、電気的に接続されている。陽極端子13の第2端部13bおよび陰極端子14の第2端部14bは、それぞれ樹脂外装体12の異なる側面から引き出され、一方の主要平坦面(図1では下面)まで露出状態で延在している。この平坦面における各端子の露出箇所は、電解コンデンサ1を搭載すべき基板(図示せず)との半田接続などに用いられる。
誘電体層3は、陽極体2を構成する導電性材料の表面の一部に形成されている。具体的には、誘電体層3は、陽極体2を構成する導電性材料の表面を陽極酸化することにより形成することができる。従って、誘電体層3は、図2に示すように、陽極体2の表面(より内側の表面の孔や窪みの内壁面を含む)に沿って形成されている。
第1導電性高分子層4aは、誘電体層3を覆うように形成されており、第2導電性高分子層4bは、第1導電性高分子層4aを覆うように形成されている。ただし、第1導電性高分子層および第2導電性高分子層を有する限り、導電性高分子層の構造は特に限定されず、2層以上の多層構造でもよい。第1導電性高分子層4aは、必ずしも誘電体層3の全体(表面全体)を覆う必要はなく、誘電体層3の少なくとも一部を覆うように形成されていればよい。同様に、第2導電性高分子層4bは、必ずしも第1導電性高分子層4aの全体(表面全体)を覆う必要はなく、第1導電性高分子層4aの少なくとも一部を覆うように形成されていればよい。図示例では、第1導電性高分子層4a、および第2導電性高分子層4bを導電性高分子層4として示したが、一般に、第1導電性高分子層4a、第2導電性高分子層4b、および導電性高分子層4などの導電性高分子を含む層を、固体電解質層と称する場合がある。
誘電体層3は、陽極体2の表面に沿って形成されるため、誘電体層3の表面には、陽極体2の表面の形状に応じて、凹凸が形成されている。第1導電性高分子層4aは、このような誘電体層3の凹凸を埋めるように形成することが好ましい。
以下に、電解コンデンサの構成について、より詳細に説明する。
(陽極体)
陽極体としては、表面積の大きな導電性材料が使用できる。導電性材料としては、弁作用金属、弁作用金属を含む合金、および弁作用金属を含む化合物などが例示できる。これらの材料は一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて使用できる。弁作用金属としては、例えば、チタン、タンタル、アルミニウム、および/またはニオブが好ましく使用される。これらの金属は、その酸化物も含め、誘電率が高いため、陽極体の構成材料として適している。陽極体は、例えば、導電性材料で形成された基材(箔状または板状の基材など)の表面を粗面化したもの、および導電性材料の粒子の成形体またはその焼結体などが挙げられる。
(誘電体層)
誘電体層は、陽極体表面の導電性材料を、化成処理などにより陽極酸化することで形成されるため、導電性材料(特に、弁作用金属)の酸化物を含む。例えば、弁作用金属としてタンタルを用いた場合の誘電体層はTa25を含み、弁作用金属としてアルミニウムを用いた場合の誘電体層はAl23を含む。尚、誘電体層はこれに限らず、誘電体として機能するものであれば良い。陽極体が箔状または板状であり、その表面が粗面化されている場合、誘電体層は、図2に示すように、陽極体2の表面の孔や窪み(ピット)の内壁面に沿って形成される。
(第1導電性高分子層および第2導電性高分子層)
第1導電性高分子層は、第1導電性高分子およびドーパントを含み、第2導電性高分子層は、第2導電性高分子およびドーパントを含む。各層において、ドーパントは、第1導電性高分子または第2導電性高分子にドープされた状態で含まれていてもよい。また、ドーパントは、第1導電性高分子または第2導電性高分子と結合した状態で各層に含まれていてもよい。
(第1導電性高分子および第2導電性高分子)
第1導電性高分子および第2導電性高分子のそれぞれとしては、電解コンデンサに使用される公知のもの、例えば、π共役系導電性高分子などが使用できる。このような導電性高分子としては、例えば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセン、および/またはポリチオフェンビニレンなどを基本骨格とする高分子が挙げられる。
このような高分子には、単独重合体、二種以上のモノマーの共重合体、およびこれらの誘導体(置換基を有する置換体など)も含まれる。例えば、ポリチオフェンには、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)などが含まれる。このような導電性高分子は、導電性が高く、ESR特性に優れている。これらの導電性高分子は、それぞれ、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。第1導電性高分子および第2導電性高分子の重量平均分子量は、それぞれ、特に限定されないが、例えば1,000〜1,000,000である。
第1導電性高分子および第2導電性高分子は、それぞれ、例えば、導電性高分子の原料(導電性高分子の前駆体)を重合することにより得ることができる。ドーパントが結合またはドープされた導電性高分子は、ドーパントの存在下で、導電性高分子の原料を重合させることにより得ることができる。導電性高分子の前駆体としては、導電性高分子を構成するモノマー、および/またはモノマーがいくつか連なったオリゴマーなどが例示できる。重合方法としては、化学酸化重合および電解酸化重合のどちらも採用することができる。
電解酸化重合は、導電性高分子の原料を含む重合液に、例えば、0.05mA/cm2〜10mA/cmの定電流、または0.5V〜10Vの定電圧を印加すれば進行する。重合液には、重合を促進させるために触媒を加えてもよい。触媒としては、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄などを用いることができる。重合液は、さらにドーパントを含んでもよい。
化学酸化重合は、導電性高分子の原料を酸化剤と混合することで進行する。化学酸化重合の際に用いる酸化剤としては、例えば、過硫酸塩(過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムなど)、スルホン酸金属塩などが用いられる。このとき、触媒として硫酸第一鉄、硫酸第二鉄などを用いてもよい。化学酸化重合は、必要に応じて、ドーパントの存在下で行ってもよい。
重合は、必要に応じて、導電性高分子の原料(およびドーパント)を溶解または分散させる溶媒(第1溶媒)を用いてもよい。第1溶媒としては、水、水溶性有機溶媒、およびこれらの混合物などが挙げられる。水溶性有機溶媒としては、特に限定されず、例えば、アセトン、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、および/またはN−メチル−2−ピロリドンなどが挙げられる。第1溶媒を用いて導電性高分子を合成する場合、導電性高分子は、第1溶媒に分散した状態で得られる。その後、必要に応じて、未反応のモノマー、未ドープもしくは過剰なドーパント、過硫酸塩、触媒などの不純物を、透析、イオン交換法などにより、除去することが好ましい。
第1導電性高分子は、誘電体層を有する陽極体に付着させる前に、第2導電性高分子は、第1導電性高分子層に付着させる前に、それぞれ、予め合成しておいてもよい。化学酸化重合の場合には、第1導電性高分子の重合を、誘電体層を有する陽極体の存在下で行ってもよい。また、第2導電性高分子の重合を第1導電性高分子層が形成された陽極体の存在下で行ってもよい。
(ドーパント)
第1導電性高分子層および第2導電性高分子層は、それぞれ、スルホン化度S1を有する第1高分子ドーパントを含む。第1導電性高分子層および/または第2導電性高分子層は、スルホン化度S2を有する第2高分子ドーパントを含む。第1高分子ドーパントのスルホン化度は、第2高分子ドーパントのスルホン化度よりも低い(S1<S2)。
なお、本明細書中、高分子ドーパントのスルホン化度とは、高分子ドーパントの分子を構成する繰り返し単位全体に占める、スルホン酸基(その塩またはそのエステルも含む)を有する繰り返し単位の割合(モル%)を意味する。高分子ドーパントは、1つの繰り返し単位当たり2個またはそれ以上のスルホン酸基(その塩またはそのエステルも含む)を含んでいてもよいが、スルホン酸基(その塩またはそのエステルも含む)を1個有することが好ましい。
第1高分子ドーパントおよび第2高分子ドーパントは、それぞれスルホン酸基を有し、スルホン化度がS1<S2を満たす限り、その高分子の構造(または骨格)は特に制限されない。第1高分子ドーパントおよび第2高分子ドーパントとしては、スルホン酸基を有するモノマー(第1モノマー)の単独重合体、第1モノマーと他のモノマー(第2モノマー)との共重合体、スルホン化フェノール樹脂(スルホン化フェノールノボラック樹脂など)などが例示できる。単独重合体または共重合体は、縮合反応を利用する縮合系高分子(ポリエステルなど)であってもよく、それ以外の非縮合系高分子(ビニルポリマー、ジエンポリマーなど)であってもよい。
第1高分子ドーパントのスルホン化度S1は、例えば、55モル%以下であり、5〜55モル%または5〜50モル%であることが好ましく、10〜30モル%または10〜25モル%であることがさらに好ましい。スルホン化度S1がこのような範囲である場合、導電性高分子層全体の耐湿性をさらに向上することができる。
第1導電性高分子層および第2導電性高分子層は、それぞれ、スルホン化度および/または構造が異なる複数の第1高分子ドーパントを含んでもよい。スルホン化度が異なる複数の第1高分子ドーパントを用いる場合、個々の第1高分子ドーパントのスルホン化度が上記のS1の範囲内であることが好ましい。
第1高分子ドーパントとしては、第1モノマーと第2モノマーとの共重合体が好ましい。第1高分子ドーパントとしては、第1モノマーとして、スルホン酸基を有するビニルモノマーおよび/またはスルホン酸基を有するジエンモノマーと、他の共重合性モノマー(第2モノマー)とを用いた非縮合系高分子を用いることもできるが、導電性高分子層を形成するための処理液に比較的分散し易く、陽極体に浸透させ易い観点から、スルホン酸基を有するポリエステルなどの縮合系高分子が好ましい。なお、非縮合系高分子において使用される他の共重合性モノマーとしては、第2高分子ドーパントについて後述するものから適宜選択できる。
スルホン酸基を有するポリエステルとしては、例えば、第1モノマーとして、スルホン酸基を有するポリカルボン酸(ジカルボン酸など)および/またはスルホン酸基を有するポリオール(ジオールなど)を用い、第2モノマーとして、ポリカルボン酸(ジカルボン酸など)およびポリオール(ジオールなど)を用いたポリエステルなどが挙げられる。第1モノマーとしては、スルホン酸基を有するポリカルボン酸が好ましく使用される。スルホン酸基を有するポリカルボン酸としては、スルホン化フタル酸、スルホン化イソフタル酸、スルホン化テレフタル酸などのスルホン酸基を有するジカルボン酸(芳香族ジカルボン酸など)などが好ましい。第2モノマーとしてのポリカルボン酸としては、スルホン酸基を有さないものが使用され、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などのジカルボン酸(芳香族ジカルボン酸など)などが好ましい。第2モノマーとしてのポリオールとしては、スルホン酸基を有さないものが使用され、エチレングリコール、プロピレングリコールなどの脂肪族ジオール(C2-4アルキレングリコールなど)が好ましい。第1モノマーおよび第2モノマーは、それぞれ、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。第1モノマーの割合を調節することで、第1高分子ドーパントのスルホン化度S1を調節することができる。
第2高分子ドーパントのスルホン化度S2は、例えば、45モル%以上(例えば、45〜100モル%である)ことが好ましく、50〜100モル%または70〜100モル%であってもよい。スルホン化度S2がこのような範囲である場合、導電性高分子層におけるドーパント(および導電性高分子)の分散性を高め易く、導電性をさらに向上し易い。
スルホン化度S1とスルホン化度S2との差:S2−S1は、例えば、25モル%以上であり、25〜90モル%または30〜90モル%であることが好ましい。差がこのような範囲である場合、高い耐湿性と、高容量および/または低ESRとのバランスが取り易い。
第1導電性高分子層(または第2導電性高分子層)は、スルホン化度および/または構造が異なる複数の第2高分子ドーパントを含んでもよい。スルホン化度が異なる複数の第2高分子ドーパントを用いる場合、個々の第2高分子ドーパントのスルホン化度が上記のS2の範囲内であることが好ましい。
第2高分子ドーパントとしては、スルホン化度S2aを有する高分子ドーパントA、およびスルホン化度S2bを有する高分子ドーパントBからなる群より選択される少なくとも一種が挙げられる。ここで、スルホン化度S2aおよびS2bは、S2b<S2aを満たす。スルホン化度S2aは、例えば、90モル%以上であり、95〜100モル%であることが好ましい。スルホン化度S2bは、例えば、45モル%以上90モル%未満であり、50モル%以上90モル%未満または45〜85モル%が好ましい。第1導電性高分子層(または第2導電性高分子層)は、高分子ドーパントAおよび高分子ドーパントBのうち一方を含んでもよく、双方を含んでもよい。
第2高分子ドーパントとしては、第1モノマーを用いた非縮合系高分子が好ましく、中でも、スルホン酸基を有する非縮合系モノマー(第1モノマー)の単独重合体または共重合体、スルホン酸基を有する非縮合系モノマー(第1モノマー)と他の共重合性モノマー(第2モノマー)との共重合体が好ましい。これらのうち、上記高分子ドーパントAとしては、スルホン酸基を有する非縮合系モノマーの単独重合体または共重合体、スルホン化フェノール樹脂などが好ましく、特に前者が好ましい。上記高分子ドーパントBとしては、スルホン酸基を有する非縮合系モノマーと他の共重合性モノマーとの共重合体が好ましい。第1モノマーの割合を調節することで、第2高分子ドーパントのスルホン化度S2
調節することができる。
第1モノマーとしての非縮合系モノマーとしては、スルホン酸基を有するビニルモノマー、スルホン酸基を有するジエンモノマーなどが例示される。スルホン酸基を有するビニルモノマーとしては、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などのスルホン酸基を有する脂肪族ビニルモノマー、およびスチレンスルホン酸などのスルホン酸基を有する芳香族ビニルモノマーなどが例示できる。スルホン酸基を有するジエンモノマーとしては、イソプレンスルホン酸などが例示できる。これらの第1モノマーは一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて使用できる。これらのうち、スルホン酸基を有する芳香族ビニルモノマーを少なくとも用いることが好ましい。特に、高分子ドーパントAとしては、スルホン酸基を有する芳香族ビニルポリマー、例えば、スルホン酸基を有する芳香族ビニルモノマーの単独重合体、スルホン酸基を有する芳香族ビニルモノマーと他のスルホン酸基を有するモノマー(スルホン酸基を有する脂肪族ビニルモノマー、および/またはスルホン酸基を有するジエンモノマーなど)との共重合体などが好ましい。
第1モノマーと共重合させる他の共重合性モノマー(第2モノマー)としては、アニオン性基を有さないモノマー(ビニルモノマーなど)などを用いることもできるが、スルホン酸基以外のアニオン性基を有するモノマー(ビニルモノマーなど)を用いることが好ましい。高分子ドーパントBとしては、スルホン酸基を有するモノマーユニット(スルホン酸基を有する芳香族ビニルモノマーユニットなど)と、スルホン酸基以外のアニオン性基を有するモノマーユニット(ビニルモノマーユニットなど)とを含む共重合体が好ましい。アニオン性基としては、例えば、カルボキシル基、リン酸基、およびホスホン酸基からなる群より選択される少なくとも一種が挙げられ、カルボキシル基および/またはリン酸基が好ましい。このような共重合体は、誘電体層の修復性が高く、漏れ電流を抑制することもできる。
なお、高分子ドーパントまたはその構成モノマーにおいて、スルホン酸基やカルボキシル基などのアニオン性基は、解離した状態でアニオンを生成することができる限り特に制限されず、上記のアニオン性基の塩、またはエステルなどであってもよい。
第2高分子ドーパントは、第1導電性高分子層または第2導電性高分子層に含まれていることが好ましい。第1導電性高分子層および第2導電性高分子層の双方に第2高分子ドーパントが含まれる場合には、第1導電性高分子層と第2導電性高分子層とで、組成が異なる第2高分子ドーパントを含む。
第1導電性高分子層と第2導電性高分子層とで第2高分子ドーパントの組成が異なるとは、各層の第2高分子ドーパントが同じである場合を含まないことを意味する。例えば、第1導電性高分子層が高分子ドーパントA(または高分子ドーパントB)を含み、第2導電性高分子層が高分子ドーパントB(または高分子ドーパントA)を含んでもよい。また、第1導電性高分子層が高分子ドーパントAまたは高分子ドーパントBを含み、第2導電性高分子層が高分子ドーパントAおよび高分子ドーパントBを含んでもよい。また、第2高分子ドーパントの組成が異なる場合には、各層に含まれる第2高分子ドーパントのスルホン化度および/または構造が異なる場合も含まれる。例えば、第1導電性高分子層が高分子ドーパントA(または高分子ドーパントB)を含み、第2導電性高分子層が第1導電性高分子層とはスルホン化度および/または構造が異なる高分子ドーパントA(または高分子ドーパントB)を含んでもよい。
第1導電性高分子層の第2高分子ドーパントとして高分子ドーパントAを用い、第2導電性高分子層の第2高分子ドーパントとして高分子ドーパントBを用いた場合、漏れ電流を抑制する効果がさらに高まることに加え、高容量および低ESRがより得られ易くなる。このような場合において、第1導電性高分子層および第2導電性高分子層に含まれる第1高分子ドーパントのスルホン化度S1を10〜30モル%または10〜25モル%とした場合、耐湿性をさらに向上することもできる。
第1高分子ドーパントおよび第2高分子ドーパントの重量平均分子量は、それぞれ、例えば、1,000〜1,000,000であり、好ましくは10,000〜500,000である。このような分子量を有する高分子ドーパントを用いると、導電性高分子層をさらに均質化し易い。第1高分子ドーパントでは、重量平均分子量は、5,000〜80,000であることがより好ましい。第2高分子ドーパントでは、重量平均分子量は、10,000〜500,000であることがより好ましい。第2高分子ドーパントのうち、スルホン化フェノール樹脂の重量平均分子量は、5,000〜80,000であってもよい。
第1導電性高分子層に含まれるドーパントの量は、第1導電性高分子100質量部に対して、10〜1,000質量部であることが好ましく、50〜200質量部であることがさらに好ましい。第2導電性高分子層に含まれるドーパントの量は、第2導電性高分子100質量部に対して、10〜1,000質量部であることが好ましく、50〜200質量部であることがさらに好ましい。なお、各層に含まれる第1高分子ドーパントと第2高分子ドーパントの合計量が上記の範囲となることが好ましい。
第1導電性高分子層が第2高分子ドーパントを含む場合、第2高分子ドーパントの量は、第1導電性高分子層に含まれる第1高分子ドーパント100質量部に対して、例えば、10〜90質量部であり、20〜70質量部であることが好ましく、40〜60質量部であることがさらに好ましい。第2導電性高分子層が第2高分子ドーパントを含む場合、第2高分子ドーパントの量は、第2導電性高分子層に含まれる第1高分子ドーパント100質量部に対して、例えば、10〜90質量部であり、20〜70質量部であることが好ましく、40〜60質量部であることがさらに好ましい。各層における第2高分子ドーパントの量がこのような範囲である場合、高い耐湿性を確保しながらも、各層の抵抗を低減し易いためESRを低減する上で有利である。
第2導電性高分子層の平均厚みは、例えば、5〜100μm、好ましくは10〜50μmである。第1導電性高分子層の平均厚みに対する第2導電性高分子層の平均厚みの比は、例えば、5倍以上、好ましくは10倍以上である。平均厚みや平均厚みの比がこのような範囲である場合、導電性高分子層の強度を高めることができる。このように第2導電性高分子層の平均厚みは、第1導電性高分子層の平均厚みに比べて大きいため、抵抗が大きくなり易い。そのため、少なくとも第2導電性高分子層に第2高分子ドーパントを用いると、ESRを効果的に低減できる。
上記実施形態では、コンデンサ素子が第1導電性高分子層と第2導電性高分子層との2層の導電性高分子層を有する場合について説明したが、コンデンサ素子は、3層以上の導電性高分子層を有するものであってもよい。また、第1導電性高分子層および第2導電性高分子層は、それぞれ1層で形成されていてもよく、複数の層で形成されていてもよい。
第1導電性高分子層および第2導電性高分子層のそれぞれは、必要に応じて、さらに、公知の添加剤、および/または導電性高分子以外の公知の導電性材料(例えば、二酸化マンガンなどの導電性無機材料;および/またはTCNQ錯塩など)を含んでもよい。なお、誘電体層と導電性高分子層との間や第1導電性高分子層と第2導電性高分子層との間には、密着性を高める層などを介在させてもよい。
(陰極層)
カーボン層は、導電性を有していればよく、例えば、黒鉛などの導電性炭素材料を用いて構成することができる。銀ペースト層には、例えば、銀粉末とバインダ樹脂(エポキシ樹脂など)を含む組成物を用いることができる。なお、陰極層の構成は、これに限られず、集電機能を有する構成であればよい。陽極端子および陰極端子は、例えば銅または銅合金などの金属で構成することができる。また、樹脂外装体の素材としては、例えばエポキシ樹脂を用いることができる。
本開示の電解コンデンサは、上記構造の電解コンデンサに限定されず、様々な構造の電解コンデンサに適用することができる。具体的に、巻回型の電解コンデンサ、金属粉末の焼結体を陽極体として用いる電解コンデンサなどにも、本開示を適用できる。
[電解コンデンサの製造方法]
電解コンデンサは、陽極体を準備する第1工程と、陽極体上に誘電体層を形成する第2工程と、誘電体層が形成された陽極体を、第1導電性高分子およびドーパントを含む第1処理液で処理する第3工程と、第1処理液で処理された陽極体を、第2導電性高分子およびドーパントを含む第2処理液で処理する第4工程と、を経ることにより製造できる。電解コンデンサの製造方法は、さらに陰極層を形成する工程(第5工程)を含んでもよい。以下に、各工程についてより詳細に説明する。
(第1工程)
第1工程では、陽極体の種類に応じて、公知の方法により陽極体を形成する。陽極体は、例えば、導電性材料で形成された箔状または板状の基材の表面を粗面化することにより準備することができる。粗面化は、基材表面に凹凸を形成できればよく、例えば、基材表面をエッチング(例えば、電解エッチング)することにより行ってもよく、蒸着などの気相法を利用して、基材表面に導電性材料の粒子を堆積させることにより行ってもよい。
(第2工程)
第2工程では、陽極体上に誘電体層を形成する。誘電体層は、陽極体の表面を陽極酸化することにより形成される。陽極酸化は、公知の方法、例えば、化成処理などにより行うことができる。化成処理は、例えば、陽極体を化成液中に浸漬することにより、陽極体の表面(より内側の表面の孔や窪みの内壁面)まで化成液を含浸させ、陽極体をアノードとして、化成液中に浸漬したカソードとの間に電圧を印加することにより行うことができる。化成液としては、例えば、リン酸水溶液、リン酸アンモニウム水溶液、またはアジピン酸アンモニウム水溶液などを用いることが好ましい。
(第3工程)
第3工程では、第1導電性高分子とドーパントとを含む第1処理液を用いて第1導電性高分子層を形成する。ドーパントとしては、上記の第1導電性高分子層に含まれるドーパントとして記載したものが含まれる。
第3工程では、例えば、誘電体層が形成された陽極体を第1処理液に浸漬させたり、または誘電体層が形成された陽極体に第1処理液を滴下したりする。浸漬や滴下により誘電体層が形成された陽極体の表面(誘電体層が形成された、より内側の表面の孔や窪みの内壁面)まで第1処理液を含浸させる。第1処理液を含浸させた後、陽極体は、必要に応じて、乾燥してもよい。乾燥の際、必要に応じて、陽極体を加熱してもよい。第3工程により、誘電体層が形成された陽極体の表面に導電性高分子およびドーパントを付着させることができ、これにより第1導電性高分子層を形成することができる。
好ましい実施形態では、第1処理液として、導電性高分子分散体を用いる。導電性高分子分散体は、第1導電性高分子と、ドーパントと、溶媒(第2溶媒)とを含む。このような導電性高分子分散体を用いることで、第1導電性高分子層を容易に形成することができ、品質が安定した第1導電性高分子層が得られ易い。
第2溶媒としては、水、有機溶媒、およびこれらの混合物が例示できる。有機溶媒としては、例えば、炭素数1〜5の脂肪族アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、1−ブタノールなどの脂肪族モノオール;エチレングリコール、グリセリンなどの脂肪族ポリオールなど);アセトンなどの脂肪族ケトン;アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル;N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド;および/またはジメチルスルホキシドなどのスルホキシドなどが挙げられる。第2溶媒は、一種を単独で二種以上を組み合わせて用いてもよい。
導電性高分子分散体に分散された第1導電性高分子および/またはドーパントは、粒子(または粉末)であることが好ましい。分散体中に分散された粒子の平均粒径は、5〜500nmであることが好ましい。平均粒径は、例えば、動的光散乱法による粒径分布から求めることができる。
導電性高分子分散体は、第1導電性高分子およびドーパントを溶媒に分散させることにより得ることができる。また、第1導電性高分子の重合液から不純物を除去した後、ドーパントを混合した分散体(分散体a)、またはドーパントの存在下で第1導電性高分子を重合した重合液から不純物を除去した分散体(分散体b)を、導電性高分子分散体として用いてもよい。この場合、第2溶媒として例示したものを重合時の溶媒(第1溶媒)として用いてもよく、不純物を除去する際に、第2溶媒を添加してもよい。また、分散体aおよびbに、さらに第2溶媒を添加してもよい。
導電性高分子分散体は、必要に応じて、公知の添加剤を含んでいてもよい。
(第4工程)
第4工程は、第1処理液で処理された陽極体を用い、第1処理液に代えて、第2導電性高分子およびドーパントを含む第2処理液を用いる以外は、第3工程と同様のまたは類似の手順で行うことができる。第2処理液としては、第1導電性高分子に代えて第2導電性高分子を用い、ドーパントとして第2導電性高分子層について記載したものを用いる以外は、第1処理液と同様のものを使用することができる。
(第5工程)
第5工程では、第4工程で得られた陽極体の(好ましくは形成された導電性高分子層の)表面に、カーボン層と銀ペースト層とを順次積層することにより陰極層が形成される。
以下、本開示を実施例および比較例に基づいて具体的に説明するが、本開示は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
下記の要領で、図1に示す電解コンデンサ1を作製し、その特性を評価した。
(1)陽極体2を準備する工程(第1工程)
基材としてのアルミニウム箔(厚み:100μm)の両方の表面をエッチングにより粗面化することで、陽極体2を作製した。
(2)誘電体層3を形成する工程(第2工程)
陽極体2の一端部側の部分(分離部から一端部までの部分)を、化成液に浸漬し、70Vの直流電圧を、20分間印加して、酸化アルミニウムを含む誘電体層3を形成した。
(3)第1導電性高分子層4aを形成する工程(第3工程)
攪拌下で、ポリスチレンスルホン酸(スルホン化度:100モル%)およびスルホン酸基を有するポリエステル(スルホン化度:20モル%)を質量比100:100で含む水溶液に、3,4−エチレンジオキシチオフェンモノマーを添加し、次いで、酸化剤(硫酸鉄(III)および過硫酸ナトリウム)を添加して、化学酸化重合を行った。得られた重合液を、イオン交換装置によりろ過して不純物を除去することにより、第1導電性高分子としてのポリ3,4−エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)と、第1高分子ドーパントとしてのスルホン酸基を有するポリエステルおよび第2高分子ドーパントとしてのポリスチレンスルホン酸とを含む溶液を得た。
得られた溶液に、純水を加えて、高圧ホモジナイザーでホモジナイズし、さらにフィルターでろ過することにより分散液状の第1処理液を調製した。
上記(2)で得られた誘電体層3が形成された陽極体2を、第1処理液に浸漬した後、第1処理液から取り出し、さらに120℃で10〜30分の乾燥を行った。第1処理液への浸漬と、乾燥とをさらに1回ずつ繰り返すことで、誘電体層3の表面を覆うように第1導電性高分子層4aを形成した。第1導電性高分子層4aの平均厚みを走査型電子顕微鏡(SEM)により測定したところ、約1μmであった。
(4)第2導電性高分子層4bを形成する工程(第4工程)
攪拌下で、スルホン酸基を有するポリエステル(スルホン化度:20モル%)の水溶液に、3,4−エチレンジオキシチオフェンモノマーを添加し、次いで、酸化剤(硫酸鉄(III)および過硫酸ナトリウム)を添加して、化学酸化重合を行った。得られた重合液を、イオン交換装置によりろ過して不純物を除去することにより、第1導電性高分子としてのポリ3,4−エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)と、第1高分子ドーパントとしてのスルホン酸基を有するポリエステルとを含む溶液を得た。
得られた溶液に、純水を加えて、高圧ホモジナイザーでホモジナイズし、さらにフィルターでろ過することにより分散液状の第2処理液を調製した。
上記(3)で処理された陽極体2を、第2処理液に浸漬した後、取り出し、さらに120℃で10〜30分の乾燥を行った。第2処理液への浸漬と乾燥とを交互にさらに2回ずつ繰り返すことで、第1導電性高分子層4aの表面を覆うように第2導電性高分子層4bを形成した。第2導電性高分子層4bの平均厚みを、第1導電性高分子層4aの場合と同様にして測定したところ、約30μmであった。
このようにして、第1導電性高分子層4aおよび第2導電性高分子層4bを、誘電体層3の表面を覆うように形成した。
(5)陰極層5の形成工程(第5工程)
上記(4)で得られた陽極体2を、黒鉛粒子を水に分散した分散液に浸漬し、分散液から取り出し後、乾燥することにより、少なくとも第2導電性高分子層4bの表面にカーボン層5aを形成した。乾燥は、130〜180℃で10〜30分間行った。
次いで、カーボン層5aの表面に、銀粒子とバインダ樹脂(エポキシ樹脂)とを含む銀ペーストを塗布し、150〜200℃で10〜60分間加熱することでバインダ樹脂を硬化させ、銀ペースト層5bを形成した。こうして、カーボン層5aと銀ペースト層5bとで構成される陰極層5を形成した。
上記のようにして、コンデンサ素子11を作製した。
(6)電解コンデンサの組み立て
上記(5)で得られたコンデンサ素子11の陰極層5と、陰極端子14の一端部(第1端部)14aとを導電性接着剤17で接合した。コンデンサ素子11から突出した陽極体2の他端部と、陽極端子13の一端部(第1端部)13aとをレーザ溶接により接合した。次いで、トランスファモールド法により、コンデンサ素子11の周囲に、絶縁性樹脂で形成された樹脂外装体12を形成した。このとき、陽極端子13の他端部(第2端部)13bと、陰極端子14の他端部(第2端部)14bとは、樹脂外装体12から引き出した状態とした。このようにして、電解コンデンサ1(A1)を完成させた。上記と同様にして、電解コンデンサ1を合計500個作製した。
(7)評価
電解コンデンサを用いて、下記の評価を行った。静電容量、ESR値、および耐湿性は、それぞれ、ランダムに選択した120個の電解コンデンサについて測定し、平均値を算出した。
(a)静電容量およびESR
4端子測定用のLCRメータを用いて、電解コンデンサの周波数120Hzにおける静電容量(初期静電容量)(μF)を測定した。4端子測定用のLCRメータを用いて、電解コンデンサの周波数100kHzにおけるESR値(初期ESR値)(mΩ)を測定した。
(b)漏れ電流(LC)
電解コンデンサの陽極体2と陰極層5との間に10Vの電圧を印加し、40秒後の漏れ電流を測定した。そして、漏れ電流量が100μAを超えるものを不良品と判断して、各実施例および各比較例におけるLC不良品率(%)を算出し、漏れ電流の指標とした。
(c)耐湿性
電解コンデンサを、60℃、90%RHの雰囲気下で、500時間保持した。次いで、上記(a)と同様にして、ESR値を測定して平均値を求めた。この平均値と初期ESR値との差を求め、この差の初期ESRに対する比率(%)を耐湿性の指標とした。
(実施例2)
実施例1の第3工程において、下記の手順で第1処理液を調製した。攪拌下で、スルホン酸基を有するポリエステル(スルホン化度:20モル%)の水溶液に、3,4−エチレンジオキシチオフェンモノマーを添加し、次いで、酸化剤(硫酸鉄(III)および過硫酸ナトリウム)を添加して、化学酸化重合を行った。得られた重合液を、イオン交換装置によりろ過して不純物を除去することにより、第1導電性高分子としてのポリ3,4−エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)と、第1高分子ドーパントとしてのスルホン酸基を有するポリエステルとを含む溶液を得た。得られた溶液に、純水を加えて、高圧ホモジナイザーでホモジナイズし、さらにフィルターでろ過することにより分散液状の第1処理液を調製した。
実施例1の第4工程において、下記の手順で第2処理液を調製した。攪拌下で、アクリル酸変性ポリスチレンスルホン酸(スルホン化度:80モル%)およびスルホン酸基を有するポリエステル(スルホン化度:20モル%)を質量比100:100で含む水溶液に、3,4−エチレンジオキシチオフェンモノマーを添加し、次いで、酸化剤(硫酸鉄(III)および過硫酸ナトリウム)を添加して、化学酸化重合を行った。
得られた重合液を、イオン交換装置によりろ過して不純物を除去することにより、第1導電性高分子としてのポリ3,4−エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)と、第1高分子ドーパントとしてのスルホン酸基を有するポリエステルおよび第2高分子ドーパントとしてのアクリル酸変性ポリスチレンスルホン酸とを含む溶液を得た。得られた溶液に、純水を加えて、高圧ホモジナイザーでホモジナイズし、さらにフィルターでろ過することにより分散液状の第2処理液を調製した。
このようにして得られた第1処理液および第2処理液を用いた以外は、実施例1と同様にして、コンデンサ素子および電解コンデンサを作製し、評価を行った。なお、第2高分子ドーパントとしてのアクリル酸変性ポリスチレンスルホン酸は、下記の手順で合成した。
2Lの攪拌機付セパラブルフラスコに1Lの純水を添加し、フラスコ内に、第1モノマーであるスチレンスルホン酸ナトリウムと、第2モノマーであるアクリル酸を添加し、均一なモノマー溶液を得た。第1モノマーと第2モノマーとのモル比(=第1モノマーユニット:第2モノマーユニット)は80:20とした。
更に、モノマー溶液に酸化剤として過硫酸アンモニウムを0.5g添加して、第1モノマーと第2モノマーとの重合反応を8時間かけて進行させ、共重合体を得た。その後、共重合体に純水とイオン交換樹脂を添加し、攪拌し、濾過する操作を繰り返し、不純物を除去した。
(実施例3)
実施例2の第4工程において、下記の手順で第2処理液を調製した。攪拌下で、ポリスチレンスルホン酸(スルホン化度:100モル%)およびスルホン酸基を有するポリエステル(スルホン化度:20モル%)を質量比100:100で含む水溶液に、3,4−エチレンジオキシチオフェンモノマーを添加し、次いで、酸化剤(硫酸鉄(III)および過硫酸ナトリウム)を添加して、化学酸化重合を行った。得られた重合液を、イオン交換装置によりろ過して不純物を除去することにより、第1導電性高分子としてのポリ3,4−エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)と、第1高分子ドーパントとしてのスルホン酸基を有するポリエステルおよび第2高分子ドーパントとしてのポリスチレンスルホン酸とを含む溶液を得た。得られた溶液に、純水を加えて、高圧ホモジナイザーでホモジナイズし、さらにフィルターでろ過することにより分散液状の第2処理液を調製した。
このようにして得られた第2処理液を用いた以外は、実施例2と同様にして、コンデンサ素子および電解コンデンサを作製し、評価を行った。
(実施例4)
実施例1の第3工程において、ポリスチレンスルホン酸に代えて、アクリル酸変性ポリスチレンスルホン酸を用いた以外は実施例1と同様にして、分散液状の第1処理液を調製した。アクリル酸変性ポリスチレンスルホン酸としては、実施例2と同様にして合成したものを用いた。このようにして得られた第1処理液を用いた以外は、実施例1と同様にして、コンデンサ素子および電解コンデンサを作製し、評価を行った。
(実施例5)
第2処理液として、実施例2と同様にして調製した第2処理液を用いた以外は、実施例1と同様にして、コンデンサ素子および電解コンデンサを作製し、評価を行った。
(実施例6)
実施例4と同様にして調製した第1処理液、および実施例3と同様にして調製した第2処理液を用いた以外は、実施例1と同様にして、コンデンサ素子および電解コンデンサを作製し、評価を行った。
(実施例7)
第1高分子ドーパントとしてスルホン酸基を有するポリエステル(スルホン化度:10モル%)を用いた以外は、実施例1と同様にして第1処理液を調製した。また、第1高分子ドーパントとしてスルホン酸基を有するポリエステル(スルホン化度:10モル%)を用いた以外は、実施例2と同様にして第2処理液を調製した。このようにして調製した第1処理液および第2処理液を用いた以外は、実施例1と同様にして、コンデンサ素子および電解コンデンサを作製し、評価を行った。
(実施例8)
第1高分子ドーパントとしてスルホン酸基を有するポリエステル(スルホン化度:30モル%)を用いた以外は、実施例1と同様にして第1処理液を調製した。また、第1高分子ドーパントとしてスルホン酸基を有するポリエステル(スルホン化度:30モル%)を用いた以外は、実施例2と同様にして第2処理液を調製した。このようにして調製した第1処理液および第2処理液を用いた以外は、実施例1と同様にして、コンデンサ素子および電解コンデンサを作製し、評価を行った。
(実施例9)
第1高分子ドーパントとしてスルホン酸基を有するポリエステル(スルホン化度:50モル%)を用いた以外は、実施例1と同様にして第1処理液を調製した。また、第1高分子ドーパントとしてスルホン酸基を有するポリエステル(スルホン化度:50モル%)を用いた以外は、実施例2と同様にして第2処理液を調製した。このようにして調製した第1処理液および第2処理液を用いた以外は、実施例1と同様にして、コンデンサ素子および電解コンデンサを作製し、評価を行った。
(実施例10)
アクリル酸に代えて、下記式で表されるリン酸基を有するビニルモノマーを第2モノマーとして用い、第1モノマーと第2モノマーとのモル比(=第1モノマーユニット:第2モノマーユニット)を50:50に変更した以外は、実施例2と同様にして第2高分子ドーパント(スルホン化度50モル%)を合成した。得られた第2高分子ドーパントを用いた以外は、実施例2と同様にして第2処理液を調製した。
Figure 2016174817
調製した第2処理液を用いた以外は、実施例5と同様にして、コンデンサ素子および電解コンデンサを作製し、評価を行った。
(実施例11)
アクリル酸に代えて、下記式で表されるカルボキシル基を有するビニルモノマーを第2モノマーとして用い、第1モノマーと第2モノマーとのモル比(=第1モノマーユニット:第2モノマーユニット)を50:50に変更した以外は、実施例2と同様にして第2高分子ドーパント(スルホン化度50モル%)を合成した。得られた第2高分子ドーパントを用いた以外は、実施例2と同様にして第2処理液を調製した。調製した第2処理液を用いた以外は、実施例5と同様にして、コンデンサ素子および電解コンデンサを作製し、評価を行った。
Figure 2016174817
(比較例1)
実施例1の第3工程において、第1処理液への浸漬と、乾燥とを、5回繰り返して、第1導電性高分子層4aを形成した。第1導電性高分子層4aの平均厚みは、約31μmであった。そして、第4工程を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、コンデンサ素子および電解コンデンサを作製し、評価を行った。
(比較例2)
実施例1の第3工程において、下記の手順で第1処理液を調製した。攪拌下で、ポリスチレンスルホン酸(スルホン化度100モル%)の水溶液に、3,4−エチレンジオキシチオフェンモノマーを添加し、次いで、酸化剤(硫酸鉄(III)および過硫酸ナトリウム)を添加して、化学酸化重合を行った。得られた重合液を、イオン交換装置によりろ過して不純物を除去することにより、第1導電性高分子としてのポリ3,4−エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)と、第2高分子ドーパントとしてのポリスチレンスルホン酸とを含む溶液を得た。得られた溶液に、純水を加えて、高圧ホモジナイザーでホモジナイズし、さらにフィルターでろ過することにより分散液状の第1処理液を調製した。
このようにして調製した第1処理液を用い、実施例1の第3工程において、第1処理液への浸漬と、乾燥とを、5回繰り返して、第1導電性高分子層4aを形成した。第1導電性高分子層4aの平均厚みは、約31μmであった。そして、第4工程を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、コンデンサ素子および電解コンデンサを作製し、評価を行った。
(比較例3)
実施例2と同様にして調製した第1処理液を用いた以外は、比較例1と同様にして、コンデンサ素子および電解コンデンサを作製し、評価を行った。
(比較例4)
実施例11と同様にして合成した第2高分子ドーパントを用いた以外は、比較例2と同様にして第1処理液を調製した。得られた第1処理液を用いた以外は、比較例1と同様にしてコンデンサ素子および電解コンデンサを作製し、評価を行った。
(比較例5)
比較例2と同様にして調製した第1処理液を用いた以外は、実施例2と同様にしてコンデンサ素子および電解コンデンサを作製し、評価を行った。
(比較例6)
比較例2と同様にして調製した第1処理液を用いた以外は、実施例3と同様にしてコンデンサ素子および電解コンデンサを作製し、評価を行った。表1に、実施例1〜11および比較例1〜6の評価結果を示す。なお、A1〜A11は実施例の電解コンデンサであり、B1〜B6は比較例の電解コンデンサである。
Figure 2016174817
表1に示すように、実施例では、優れた耐湿性が得られた。実施例では、高容量を確保できており、ESRも低減され、漏れ電流も抑制されている。一方、比較例では、耐湿性が低く、特に比較例2、4〜6では耐湿性が極めて低くなった。また、比較例1〜4では、漏れ電流が顕著であった。比較例3では、容量が低く、ESRも高くなった。
本開示の実施形態に係る電解コンデンサは、耐湿性の向上が求められる様々な用途に利用できる。
1:電解コンデンサ
2:陽極体
3:誘電体層
4:導電性高分子層
4a:第1導電性高分子層
4b:第2導電性高分子層
5:陰極層
5a:カーボン層
5b:銀ペースト層
11:コンデンサ素子
12:樹脂外装体
13:陽極端子
13a:陽極端子の第1端部
13b:陽極端子の第2端部
14:陰極端子
14a:陰極端子の第1端部
14b:陰極端子の第2端部
15:陰極部
16:分離部
17:導電性接着剤
小型かつ大容量で低ESR(Equivalent Series Resistance)のコンデンサとして、誘電体層を形成した陽極体と、誘電体層の少なくとも一部を覆うように形成された導電性高分子層とを具備する電解コンデンサが有望視されている。導電性高分子層は、π共役系高分子とドーパントを含んでいる。ドーパントを用いることで、π共役系高分子に高い導電性が付与される。
本開示の一局面における電解コンデンサは、陽極体、陽極体上に形成された誘電体層、誘体層の少なくとも一部を覆い、かつ第1導電性高分子を含む第1導電性高分子層、および第1導電性高分子層の少なくとも一部を覆い、かつ第2導電性高分子を含む第2導電性高分子層を備える。第1導電性高分子層および第2導電性高分子層は、それぞれスルホン化度S1を有する第1高分子ドーパントをさらに含む。第1導電性高分子層または第2導電性高分子層は、スルホン化度S2を有する第2高分子ドーパントをさらに含む。スルホン化度S1およびスルホン化度S2は、S1<S2を満たす。
本開示の他の一局面における電解コンデンサは、陽極体、陽極体上に形成された誘電体層、誘体層の少なくとも一部を覆い、かつ第1導電性高分子を含む第1導電性高分子層、および前記第1導電性高分子層の少なくとも一部を覆い、かつ第2導電性高分子を含む第2導電性高分子層を備える。第1導電性高分子層および第2導電性高分子層は、それぞれスルホン化度S1を有する第1高分子ドーパントをさらに含む。第1導電性高分子層および前記第2導電性高分子層は、それぞれスルホン化度S2を有する第2高分子ドーパントをさらに含む。スルホン化度S1およびスルホン化度S2は、S1<S2を満たす。第1導電性高分子層と第2導電性高分子層とは、第2高分子ドーパントの組成が異なる。
[電解コンデンサ]
本開示の一実施形態に係る電解コンデンサは、陽極体、陽極体上に形成された誘電体層、誘体層の少なくとも一部を覆い、かつ第1導電性高分子を含む第1導電性高分子層、および第1導電性高分子層の少なくとも一部を覆い、かつ第2導電性高分子を含む第2導電性高分子層を備える。第1導電性高分子層および第2導電性高分子層は、それぞれスルホン化度S1を有する第1高分子ドーパントをさらに含む。第1導電性高分子層および/または第2導電性高分子層は、スルホン化度S2を有する第2高分子ドーパントをさらに含む。ただし、第1導電性高分子層および第2導電性高分子層がそれぞれ第2高分子ドーパントを含む場合、第1導電性高分子層と第2導電性高分子層とは、第2高分子ドーパントの組成が異なる。スルホン化度S1およびスルホン化度S2は、S1<S2を満たす。

Claims (9)

  1. 陽極体、前記陽極体上に形成された誘電体層、前記誘導体層の少なくとも一部を覆い、かつ第1導電性高分子を含む第1導電性高分子層、および前記第1導電性高分子層の少なくとも一部を覆い、かつ第2導電性高分子を含む第2導電性高分子層を備え、
    前記第1導電性高分子層および前記第2導電性高分子層は、それぞれスルホン化度S1を有する第1高分子ドーパントをさらに含み、
    前記第1導電性高分子層または前記第2導電性高分子層は、スルホン化度S2を有する第2高分子ドーパントをさらに含み、
    前記スルホン化度S1および前記スルホン化度S2は、S1<S2を満たす、
    電解コンデンサ。
  2. 陽極体、前記陽極体上に形成された誘電体層、前記誘導体層の少なくとも一部を覆い、かつ第1導電性高分子を含む第1導電性高分子層、および前記第1導電性高分子層の少なくとも一部を覆い、かつ第2導電性高分子を含む第2導電性高分子層を備え、
    前記第1導電性高分子層および前記第2導電性高分子層は、それぞれスルホン化度S1を有する第1高分子ドーパントをさらに含み、
    前記第1導電性高分子層および前記第2導電性高分子層は、スルホン化度S2を有する第2高分子ドーパントをさらに含み、
    前記スルホン化度S1および前記スルホン化度S2は、S1<S2を満たし、
    前記第1導電性高分子層と前記第2導電性高分子層とは、前記第2高分子ドーパントの組成が異なる、
    電解コンデンサ。
  3. 前記スルホン化度S1は、5〜55モル%であり、
    前記スルホン化度S2は、45モル%以上である、
    請求項1または2に記載の電解コンデンサ。
  4. 前記スルホン化度S1と前記スルホン化度S2との差:S2−S1は、25モル%以上である、
    請求項3に記載の電解コンデンサ。
  5. 前記第1高分子ドーパントは、スルホン酸基を有するポリエステルである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
  6. 前記第2高分子ドーパントは、スルホン化度S2aを有する高分子ドーパントA、およびスルホン化度S2bを有する高分子ドーパントBからなる群より選択される少なくとも一種であり、
    前記スルホン化度S2aおよび前記スルホン化度S2bは、S2b<S2aを満たす、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
  7. 前記スルホン化度S2aは、90モル%以上であり、
    前記スルホン化度S2bは、45モル%以上であり、かつ90モル%未満である、
    請求項6に記載の電解コンデンサ。
  8. 前記高分子ドーパントAは、スルホン酸基を有する芳香族ビニルポリマーであり、
    前記高分子ドーパントBは、スルホン酸基を有するモノマーユニットと、スルホン酸基以外のアニオン性基を有するモノマーユニットとを含む共重合体である、
    請求項6または7に記載の電解コンデンサ。
  9. 前記アニオン性基は、カルボキシル基、リン酸基、およびホスホン酸基からなる群より選択される少なくとも一種である、
    請求項8に記載の電解コンデンサ。
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