JP7487719B2 - 固体電解コンデンサ素子、固体電解コンデンサ及び固体電解コンデンサ素子の製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサ素子、固体電解コンデンサ及び固体電解コンデンサ素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、固体電解コンデンサ素子、固体電解コンデンサ及び固体電解コンデンサ素子の製造方法に関する。
特許文献1には、固体電解コンデンサ及びその製造方法が開示されている。
具体的には、弁金属からなる陽極導体の表面に形成された誘電体層上に、化学酸化重合により第1の固体電解質層を形成した後、電解酸化重合により第2の固体電解質層を形成する。電解酸化重合における電流密度は1mA/cm以上、電流密度と時間との積は30mA/cm・分以下とする。あるいは、第2の固体電解質層の重量が全固体電解質の重量の2~20%となるように形成する。こうして、第2の固体電解質層の表面を、第1の固体電解質層の表面よりも粗面化するとされている。
特開2002-252148号公報
特許文献1では、弁作用金属の微粉末を焼結してなる焼結体ペレットを第1の固体電解質層及び第2の固体電解質層を形成するための溶液に浸漬している。そして、第1の固体電解質層を化学酸化重合により形成した後、第2の固体電解質層を電解酸化重合により形成するとともに、第2の固体電解質層の表面を、第1の固体電解質層の表面よりも粗面化している。第2の固体電解質層の表面を粗面化することにより、第2の固体電解質層と陰極導体層との接触面積を増大させて、低いESR(等価直列抵抗)を得るものとしている。
ここで、第2固体電解質層の粗面化は電解酸化重合によるものであり、特許文献1の図2に示すように、第2固体電解質層の表面は微細な構造を有している。この粗面化はミクロなレベルでの粗面化であり、マクロなレベルで見ると第2固体電解質層の表面は平滑な面となっている。
そのため、陰極導体層と固体電解質層の接触面積が充分に大きくなっておらず、等価直列抵抗の低下が充分になされているとはいえなかった。
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、陰極導体層と固体電解質層の接触面積が増大し、充分に等価直列抵抗が低下された固体電解コンデンサ素子、及びその製造方法を提供することを目的とする。さらに、本発明は、上記固体電解コンデンサ素子を備える固体電解コンデンサを提供することを目的とする。
本発明の固体電解コンデンサ素子は、誘電体層を少なくとも一方の主面に有する弁作用金属基体と、上記誘電体層上に設けられ、上記弁作用金属基体を陽極部及び陰極部に分離する絶縁マスク層と、上記陰極部の上記誘電体層上に設けられる固体電解質層と、上記固体電解質層上に設けられる陰極導体層と、を備える固体電解コンデンサ素子であって、上記固体電解コンデンサ素子を上記絶縁マスク層から上記固体電解コンデンサ素子の陰極側端部に向かう方向及び厚さ方向に沿って切断した断面において、上記固体電解質層の厚さが相対的に薄いくびれ部が、上記陰極部の端部から上記絶縁マスク層までの長さ1cmあたり、2箇所以上、10箇所以下存在する。
本発明の固体電解コンデンサは、本発明の固体電解コンデンサ素子と、上記固体電解コンデンサ素子を封止する外装体と、上記外装体から露出する上記固体電解コンデンサ素子の上記弁作用金属基体と電気的に接続される第1外部電極と、上記外装体から露出する上記固体電解コンデンサ素子の上記陰極導体層と電気的に接続される第2外部電極と、を備える。
本発明の固体電解コンデンサ素子の製造方法は、誘電体層を少なくとも一方の主面に有する弁作用金属基体に対し、上記誘電体層上に第1固体電解質層を形成する、第1固体電解質層形成工程と、上記第1固体電解質層を形成した上記弁作用金属基体を、プライマー化合物を固形分濃度で15重量%以上、35重量%以下含むプライマー溶液に浸漬してプライマー層を形成するプライマー層形成工程と、上記プライマー層を形成した上記弁作用金属基体を、導電性高分子が溶媒中に固形分濃度で1重量%以上、4重量%以下の濃度で分散している分散液に浸漬し、上記導電性高分子と上記プライマー化合物を接触させて架橋反応させ、第2固体電解質層を形成する分散液浸漬工程と、を行う。
本発明によれば、陰極導体層と固体電解質層の接触面積が増大し、充分に等価直列抵抗が低下された固体電解コンデンサ素子及びその製造方法を提供することができる。さらに、本発明によれば、上記固体電解コンデンサ素子を備える固体電解コンデンサを提供することができる。
図1は、固体電解コンデンサ素子の一例を模式的に示す断面図である。 図2は、図1に示す固体電解コンデンサ素子から陰極導体層を除いた素子を示す断面図である。 図3は、図2に示す素子を固体電解質層側から見た上面図である。 図4は、図1に示す固体電解コンデンサ素子のA部を拡大した断面図である。 図5は、絶縁マスク層が形成された弁作用金属基体を準備する工程の一例を示す模式図である。 図6は、分散液浸漬工程において弁作用金属基体を分散液に浸漬する過程を模式的に示す工程の全体図である。 図7Aは、分散液浸漬工程において弁作用金属基体を分散液に浸漬する過程を示す工程図である。 図7Bは、分散液浸漬工程において弁作用金属基体を分散液に浸漬する過程を示す工程図である。 図7Cは、分散液浸漬工程において弁作用金属基体を分散液に浸漬する過程を示す工程図である。 図8は、本発明の固体電解コンデンサの一例を模式的に示す斜視図である。 図9は、図8に示す固体電解コンデンサのZ-Z線に沿った断面図である。 図10は、固体電解質層がくびれ部を有さない固体電解コンデンサ素子の一例を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の固体電解コンデンサ素子及びその製造方法、並びに固体電解コンデンサについて説明する。
しかしながら、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下において記載する個々の望ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。
[固体電解コンデンサ素子]
本発明の固体電解コンデンサ素子は、誘電体層を少なくとも一方の主面に有する弁作用金属基体と、上記誘電体層上に設けられ、上記弁作用金属基体を陽極部及び陰極部に分離する絶縁マスク層と、上記陰極部の上記誘電体層上に設けられる固体電解質層と、上記固体電解質層上に設けられる陰極導体層と、を備える固体電解コンデンサ素子であって、上記固体電解コンデンサ素子を上記絶縁マスク層から上記固体電解コンデンサ素子の陰極側端部に向かう方向及び厚さ方向に沿って切断した断面において、上記固体電解質層の厚さが相対的に薄いくびれ部が、上記陰極部の端部から上記絶縁マスク層までの長さ1cmあたり、2箇所以上、10箇所以下存在する。
本発明の固体電解コンデンサ素子では、固体電解コンデンサ素子を絶縁マスク層から固体電解コンデンサ素子の陰極側端部に向かう方向及び厚さ方向に沿って切断した断面において、固体電解質層の厚さが相対的に薄いくびれ部が存在する。
くびれ部が存在することにより、固体電解質層の表面が平坦ではなく、陰極導体層と接触する固体電解質層の面積が増大する。陰極導体層と固体電解質層の接触面積が増大することにより等価直列抵抗の低下が達成される。
また、くびれ部は陰極部の端部から絶縁マスク層までの長さ1cmあたり、2箇所以上、10箇所以下存在する。くびれ部は、固体電解質層の表面積をマクロなレベルで増大させる。一方、特許文献1の図2に示すような微細な構造は、固体電解質層の表面積をミクロなレベルで増大させている。すなわち、くびれ部と特許文献1の微細な構造とは、固体電解質層の構造の特徴として捉える領域の大きさが異なっている。
図1は、固体電解コンデンサ素子の一例を模式的に示す断面図である。
図2は、図1に示す固体電解コンデンサ素子から陰極導体層を除いた素子を示す断面図である。
図3は、図2に示す素子を固体電解質層側から見た上面図である。
図2は、図3に示す上面図におけるX-X線断面図でもある。
図1に示す固体電解コンデンサ素子1は、誘電体層20を表面に有する弁作用金属基体10と、誘電体層20上に設けられる絶縁マスク層30と、誘電体層20上に設けられる固体電解質層40と、固体電解質層40上に設けられるカーボン層50と、カーボン層50上に設けられる金属層60と、を備える。カーボン層50と金属層60を合わせて陰極導体層70とする。
図1、図2及び図3に示すように、誘電体層20上には、所定幅の絶縁マスク層30が周設されている。絶縁マスク層30は、弁作用金属基体10の短辺に沿うように、弁作用金属基体10の両主面及び両側面に設けられている。絶縁マスク層30によって、弁作用金属基体10が陽極部31及び陰極部32に分離されている。
図1、図2及び図3に示すように、固体電解質層40は、陰極部32の誘電体層20上に設けられている。各図面では、固体電解質層40は絶縁マスク層30側の先端が絶縁マスク層30と重ならないように設けられているが、固体電解質層40は、絶縁マスク層30の外表面の一部を覆うように設けられていてもよく、絶縁マスク層30の外表面の全体を覆うように設けられていてもよい。
弁作用金属基体10の主面の法線方向から見た弁作用金属基体10の形状、すなわち、弁作用金属基体10を厚み方向から平面視した形状(図3に示す形状)は四角形状であり、好ましくは、長辺及び短辺を有する矩形状である。
図4は、図1に示す固体電解コンデンサ素子のA部を拡大した断面図である。
弁作用金属基体10の主面には、凹部12が存在している。そのため、弁作用金属基体10の主面は、多孔質状になっている。弁作用金属基体10の主面が多孔質状になっていることにより、弁作用金属基体10の表面積が大きくなっている。なお、弁作用金属基体10の表面及び裏面の両方が多孔質状である場合に限られず、弁作用金属基体10の表面及び裏面の一方のみが多孔質状であってもよい。
弁作用金属基体10は、例えば、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ジルコニウム等の金属単体、又は、これらの金属を含む合金等の弁作用金属によって構成されている。弁作用金属の表面には、酸化被膜を形成することができる。
なお、弁作用金属基体10は、芯部と当該芯部の少なくとも一方の主面に設けられた多孔質部とによって構成されていればよく、金属箔の表面をエッチングしたもの、金属箔の表面に多孔質状の微粉焼結体を形成したもの等を適宜採用することができる。
誘電体層20は、弁作用金属基体10の少なくとも一方の主面に設けられている。誘電体層20は、上記弁作用金属の表面に設けられた酸化被膜によって構成されていることが好ましい。例えば、誘電体層20は、アルミニウムの酸化物で構成されている。アルミニウムの酸化物は、後述するように、弁作用金属基体10の表面が陽極酸化処理されることにより形成される。
絶縁マスク層30は、誘電体層20上に設けられている。絶縁マスク層30は、弁作用金属基体10の複数の細孔(凹部12)を充填するように設けられていることが好ましい。ただし、絶縁マスク層30によって誘電体層20の外表面の一部が覆われていればよく、絶縁マスク層30によって充填されていない弁作用金属基体10の細孔(凹部12)が存在していてもよい。
絶縁マスク層30は、例えば、絶縁性樹脂を含む組成物などのマスク材を塗布して形成される。絶縁性樹脂としては、例えば、ポリフェニルスルホン(PPS)、ポリエーテルスルホン(PES)、シアン酸エステル樹脂、フッ素樹脂(テトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体など)、可溶性ポリイミドシロキサンとエポキシ樹脂からなる組成物、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、及び、それらの誘導体又は前駆体等が挙げられる。
マスク材の塗布は、例えば、スクリーン印刷、ローラー転写、ディスペンサ、インクジェット印刷等により行うことができる。
固体電解質層40は、誘電体層20上に設けられている。図4に示すように、固体電解質層40は、弁作用金属基体10の表面に存在する凹部12を充填するように設けられていることが好ましい。ただし、固体電解質層40によって誘電体層20の外表面の一部が覆われていればよく、固体電解質層40によって充填されていない弁作用金属基体10の凹部12が存在していてもよい。
固体電解質層40のうち、弁作用金属基体10の凹部12に充填された部分を第1固体電解質層(第1固体電解質層41)とし、弁作用金属基体10の凹部12の外側に形成された部分を第2固体電解質層(第2固体電解質層42)とする。
固体電解質層40を構成する材料としては、例えば、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアニリン類等の導電性高分子等が用いられる。これらの中では、ポリチオフェン類が好ましく、PEDOTと呼ばれるポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)が特に好ましい。また、上記導電性高分子は、ポリスチレンスルホン酸(PSS)等のドーパントを含んでいてもよい。
固体電解質層40は、例えば、3,4-エチレンジオキシチオフェン等の重合性モノマーの含有液を用いて、誘電体層20の表面にポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)等の導電性高分子の重合膜を形成する方法や、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)等の導電性高分子の分散液を誘電体層20の表面に塗布して乾燥させる方法等によって形成される。
第1固体電解質層41は、上記のような導電性高分子の分散液を塗布して乾燥させる方法によって形成されたものであってもよく、導電性モノマーと重合剤による化学重合で形成されたものであってもよく、いずれの方法で形成されたものであってもよい。第2固体電解質層42も、導電性高分子の分散液を塗布して乾燥させる方法によって形成されたものであってもよく、重合性モノマーと重合剤による化学重合で形成されたものであってもよく、いずれの方法で形成されたものでもよいが、導電性高分子の分散液を誘電体層20の表面に塗布して乾燥させる方法で形成されたものであることが好ましい。
また、第1固体電解質層の形成は、例えば、浸漬法、スポンジ転写、スクリーン印刷、ディスペンサ、インクジェット印刷等により行うことができる。
第2固体電解質層の形成は、プライマー層形成工程と分散液浸漬工程の組み合わせにより行うことができる。第2固体電解質層の形成方法の詳細については後に詳述する。
また、固体電解質層はその厚さに特徴を有するが、固体電解質層の厚さの詳細については後に詳述する。
図1に示すように、固体電解質層40上にはカーボン層50と、カーボン層50上に設けられる金属層60と、を備える陰極導体層70が設けられている。
カーボン層50は、例えば、カーボンペーストを固体電解質層40の表面に塗布して乾燥させる方法等によって形成される。
カーボンペーストの塗布は、例えば、浸漬法、スポンジ転写、スクリーン印刷、スプレー塗布、ディスペンサ、インクジェット印刷等により行うことができる。
金属層60は、カーボン層50上に設けられている。金属層60は、例えば、金、銀、銅、白金等の金属を含む導電性ペーストをカーボン層50の表面に塗布して乾燥させる方法等によって形成される。金属層60は、銀層であることが好ましい。
導電性ペーストの塗布は、例えば、浸漬法、スポンジ転写、スクリーン印刷、スプレー塗布、ディスペンサ、インクジェット印刷等により行うことができる。
本発明の固体電解コンデンサ素子では、固体電解コンデンサ素子を絶縁マスク層から固体電解コンデンサ素子の陰極側端部に向かう方向及び厚さ方向に沿って切断した断面において、固体電解質層の厚さが相対的に薄いくびれ部が、陰極部の端部から絶縁マスク層までの長さ1cmあたり、2箇所以上、10箇所以下存在する。
また、絶縁マスク層から陰極側端部に向かう方向に沿って、固体電解質層の厚さが周期的に変化していることが好ましい。
固体電解コンデンサ素子を絶縁マスク層から固体電解コンデンサ素子の陰極側端部に向かう方向及び厚さ方向に沿って切断した断面の形状は、電子顕微鏡による観察により定めることができる。
この特徴について図1及び図2を参照して説明する。
図1に示す固体電解コンデンサ素子1において、絶縁マスク層30から固体電解コンデンサ素子の陰極側端部1Cに向かう方向が長手方向(図1で矢印Lで示す方向)である。
図2は、固体電解コンデンサ素子をその絶縁マスク層から固体電解コンデンサ素子の陰極側端部に向かう方向(図2で矢印Lで示す方向:長手方向)及び厚さ方向(図2で矢印Tで示す方向)に沿って切断した断面図であり、図1に示す固体電解コンデンサ素子1から陰極導体層70を除いて示している。
図1及び図2において、固体電解質層40にはくびれ部43が3カ所(参照符号43a、43b、43c)描かれている。くびれ部は固体電解質層の厚さが相対的に薄くなっている部分である。
図1に示す固体電解コンデンサ素子1では、絶縁マスク層30から陰極側端部1Cに向かう方向に沿って、固体電解質層40の厚さが周期的に変化している。これは、くびれ部が固体電解コンデンサ素子の絶縁マスク層から陰極側端部に向かう方向において特定の箇所に集中しておらず、絶縁マスク層から陰極側端部に向かう方向に沿って、固体電解質の厚さが厚い部分とくびれ部が交互に存在していることを意味している。なお、本発明の固体電解コンデンサ素子は、固体電解質層の厚さが周期的に変化しているものに限定されない。
固体電解質層にくびれ部が存在することにより、固体電解質層の表面が平坦ではなく、陰極導体層と接触する固体電解質層の面積が増大する。陰極導体層と固体電解質層の接触面積が増大することにより等価直列抵抗の低下が達成される。
くびれ部は、陰極部の端部から絶縁マスク層までの長さ1cmあたり、2箇所以上、10箇所以下存在する。陰極部の端部から絶縁マスク層までの長さは、弁作用金属基体の陰極部の長さを意味する。
陰極部の端部は、弁作用金属基体10の陰極部32の端部(図2において点32Cで示す位置)である。陰極部の端部32Cから絶縁マスク層30までの長さを測る際は、絶縁マスク層30の陰極部32側の境界(図2において32Aで示す位置)を使用する。図2には陰極部の端部から絶縁マスク層までの長さ32Lを示す。
図2に示すような固体電解コンデンサ素子の断面図において、くびれ部の数をカウントし、陰極部の端部から絶縁マスク層までの長さ(cm)で除することにより、陰極部の端部から絶縁マスク層までの長さ1cmあたりのくびれ部の数を算出できる。
また、くびれ部は固体電解コンデンサ素子の一方の主面にのみ設けられていてもよく、両方の主面に設けられていてもよいが、くびれ部の数をカウントする場合には一方の主面に設けられたくびれ部の数をカウントする。両方の主面におけるくびれ部の数は同じであることが好ましいが、異なる場合は両方の主面におけるくびれ部の数の算術平均値を当該固体電解コンデンサ素子のくびれ部の数とする。
図2に示す形態ではくびれ部の数は3箇所(いずれの主面においても3箇所)である。
くびれ部は陰極部の端部から上記絶縁マスク層までの長さ1cmあたり、2箇所以上、10箇所以下存在する。1cmあたりのくびれ部の数が2箇所未満と少ないと、くびれ部を設けることにより陰極導体層と固体電解質層の接触面積が増大する効果が得られにくい。また、1cmあたりのくびれ部の数が10箇所以下であることは、くびれ部が固体電解質層の表面積をマクロなレベルで増大させていることを意味している。
また、絶縁マスク層から陰極側端部に向かう方向に沿って、固体電解コンデンサ素子の陰極側端部から、絶縁マスク層までの間に、くびれ部が5箇所以上、10箇所以下存在することが好ましい。
くびれ部の数が5箇所未満と少ないと、くびれ部を設けることにより陰極導体層と固体電解質層の接触面積が増大する効果が得られにくい。また、くびれ部が10箇所以下であることは、くびれ部が固体電解質層の表面積をマクロなレベルで増大させていることを意味している。
固体電解コンデンサ素子の絶縁マスク層から陰極側端部に向かう方向に沿って、固体電解質層の陰極側端部から最も近いくびれ部までの間隔が、隣り合う複数のくびれ部同士の間隔よりも大きいことが好ましい。
固体電解質層の陰極側端部40Cから最も近いくびれ部43aまでの間隔は、図2における両矢印Lで示す寸法である。隣り合う複数のくびれ部同士の間隔は、図2における両矢印L、Lでそれぞれ示す寸法である。
図2ではL>L=Lとなっている。
固体電解質層の陰極側端部から最も近いくびれ部までの間隔が広いと、固体電解コンデンサ素子の陰極側端部(漏れ電流が生じやすい部位)での固体電解質層の厚さが薄くなりすぎることが防止されるため好ましい。
固体電解質層の陰極側端部から最も近いくびれ部までの間隔Lは、1mm以上、2mm以下であることが好ましい。
隣り合う複数のくびれ部同士の間隔(L又はL)は、0.5mm以上、1mm以下であることが好ましい。
くびれ部における固体電解質層の厚さ(以下、くびれ部の厚さともいう)は、固体電解コンデンサ素子の陰極側端部に近いほど厚く、絶縁マスク層に近いほど薄いことが好ましい。
図2には、3箇所のくびれ部の厚さを、陰極側端部に近い側からそれぞれ両矢印T、T、Tで示している。図2ではT>T>Tとなっている。
くびれ部の厚さが陰極側端部に近いほど厚くなっていると、固体電解コンデンサ素子の陰極側端部(漏れ電流が生じやすい部位)での固体電解質層の厚さが薄くなりすぎることが防止されるため好ましい。
くびれ部の厚さ(T、T、又はT)は、それぞれ3μm以上、12μm以下であることが好ましい。くびれ部の厚さを代表値として表す場合は、各くびれ部の厚さの算術平均値を採用する。くびれ部の厚さの平均値が5μm以上、10μm以下であることが好ましい。
くびれ部の厚さが薄すぎると、固体電解質層の厚さが薄すぎることになり、弁作用金属基体の凹部に充填された第1固体電解質層の保護を充分にすることができないため、くびれ部にはある程度の厚さが必要である。
また、くびれ部の厚さが異なる場合のくびれ部の厚さの差(T-T等)は、1μm以上、3μm以下であることが好ましい。
また、くびれ部を含む固体電解質層の厚さを計測する場合には、図4に示す、弁作用金属基体10の凹部12に充填された部分の第1固体電解質層(第1固体電解質層41)は除外して、弁作用金属基体10の凹部12の外側に形成された部分である第2固体電解質層(第2固体電解質層42)の厚さだけを考える。すなわち、固体電解質層の厚さを計測する際の弁作用金属基体側の起算点は、第1固体電解質層と第2固体電解質層の境界線(図4で点線Sで示す表面)とする。
また、固体電解質層の厚さがくびれ部よりも厚くなっている部分(図2中、陰極側端部に近い側からそれぞれ両矢印T、T、Tで示す部分)の固体電解質層の厚さは、それぞれ5μm以上、15μm以下であることが好ましい。
固体電解質層の厚さがくびれ部よりも厚くなっている部分の厚さは、固体電解コンデンサ素子の陰極側端部から最も近いくびれ部までの区間(両矢印Lで示す区間)において固体電解質層の厚さが最も厚くなっている部分の厚さ(両矢印Tで示す厚さ)である。又は、隣り合う複数のくびれ部同士の区間(両矢印L又はLで示す区間)において固体電解質層の厚さが最も厚くなっている部分の厚さ(両矢印T又はTで示す厚さ)である。
くびれ部と、当該くびれ部に隣接する、固体電解質層の厚さがくびれ部よりも厚くなっている部分の固体電解質層の厚さの差(T-T、T-T等)は、2μm以上、3μm以下であることが好ましい。
弁作用金属基体の表面には凹部が存在し、絶縁マスク層から陰極側端部に向かう方向に沿った固体電解質層のくびれ部の間隔は、弁作用金属基体の表面に存在する凹部の間隔よりも大きいことが好ましい。
図4には、弁作用金属基体10の表面に存在する凹部12を示している。
図4において、弁作用金属基体10の表面に存在する凹部12の間隔は、両矢印l、l、l、lでそれぞれ示す寸法である。これらの凹部の間隔は通常は10μm以下であり、くびれ部の間隔(両矢印L、L、又はL)よりもかなり小さい。
弁作用金属基体の表面に存在する凹部の間隔は、ミクロなレベルでの粗面化を意味しており、くびれ部の間隔は、マクロなレベルでの粗面化を意味している。
また、固体電解質層の表面がミクロなレベルで粗面化されている場合を考えると、陰極導体層が固体電解質層に接する層がカーボン層である場合に、結晶構造が平面であるカーボン粒子が凹部に入り込むことができずに固体電解質層とカーボン層の間に空間が生じて固体電解質層とカーボン層の実質的な接触面積が小さくなる可能性がある。
一方、固体電解質層の表面がマクロなレベルで粗面化されている場合、マクロなレベルで粗面化された固体電解質層の表面に沿ってカーボン粒子が並ぶことができるので固体電解質層とカーボン層の実質的な接触面積を大きくすることができる。その結果、等価直列抵抗の低下を達成することができる。
図3には、図2に示す素子を固体電解質層側から見た上面図を示している。
図3にはコンデンサ素子の長手方向L(絶縁マスク層から陰極側端部に向かう方向)と幅方向Wを示す矢印を示している。
固体電解質層40の表面には、くびれ部43a、43b、43cが並んでいる。各くびれ部43の形状は、波打ち形状(wavy形状)であり、絶縁マスク層30側に凸であり、幅方向の両端が凹である形状である。
くびれ部43は、長手方向Lに沿った方向に沿ってのみ並んでいて、幅方向Wに沿った方向には並んでいない。
なお、図3に示すように、固体電解コンデンサ素子の陰極側端部から最も近いくびれ部までの間隔(両矢印L)及び、隣り合う複数のくびれ部同士の間隔(両矢印L、L)は、幅方向の中央付近でくびれ部の波打ち形状が凸となった部分での間隔として定める。
続いて、本発明の固体電解コンデンサ素子の製造方法について説明する。
本発明の固体電解コンデンサ素子の製造方法は、誘電体層を少なくとも一方の主面に有する弁作用金属基体に対し、誘電体層上に第1固体電解質層を形成する、第1固体電解質層形成工程と、第1固体電解質層を形成した弁作用金属基体を、プライマー化合物を固形分濃度で15重量%以上、35重量%以下含むプライマー溶液に浸漬してプライマー層を形成するプライマー層形成工程と、プライマー層を形成した弁作用金属基体を、導電性高分子が溶媒中に固形分濃度で1重量%以上、4重量%以下の濃度で分散している分散液に浸漬し、導電性高分子とプライマー化合物を接触させて架橋反応させ、第2固体電解質層を形成する分散液浸漬工程と、を行う。
本発明の固体電解コンデンサ素子は、例えば、以下の方法により製造される。以下の例では、大判の弁作用金属基体を用いて、複数の固体電解コンデンサ素子を同時に製造する方法について説明する。
[第1固体電解質層形成工程]
第1固体電解質層形成工程では、誘電体層を少なくとも一方の主面に有する弁作用金属基体に対し、誘電体層上に第1固体電解質層を形成する。
第1固体電解質層形成工程に先立ち、誘電体層を少なくとも一方の主面に有する弁作用金属基体を準備する。
図5は、絶縁マスク層が形成された弁作用金属基体を準備する工程の一例を示す模式図である。
図5に示すように、誘電体層20を表面に有する弁作用金属基体10Aを準備する。弁作用金属基体10Aは、複数の素子部13と支持部14とを含む。各々の素子部13は短冊状であり、支持部14から突出している。また、各々の素子部13の誘電体層20上には絶縁マスク層30が形成されている。
まず、表面に多孔質部を有する弁作用金属基体10Aをレーザー加工又は打ち抜き加工などで切断することにより、複数の素子部13と支持部14とを含む形状に加工する。
次に、各々の素子部13の短辺に沿うように、素子部13の両主面及び両側面に絶縁マスク層30を形成する。
1つの素子部13における容量部(絶縁マスク層から陰極側端部までの領域)の寸法が、長さ方向Lの寸法:4.5mm以上7.0mm以下、幅方向Wの寸法:3.0mm以上4.0mmの間で所定の寸法になるように絶縁マスク層30を形成することが好ましい。絶縁マスク層30の寸法は長さ方向Lに沿った長さが0.5mm以上、2mm以下となるように形成することが好ましい。
その後、弁作用金属基体10Aに対し、ホウ酸、リン酸、アジピン酸、又は、これらのナトリウム塩、アンモニウム塩等を含む水溶液中で陽極酸化処理を行うことにより、弁作用金属基体10Aの表面に誘電体層20となる酸化被膜を形成する。この際、レーザー加工又は打ち抜き加工などで切断された素子部13の側面にも酸化被膜が形成される。なお、すでにアルミニウムの酸化物が形成されている化成箔を弁作用金属基体10Aとして用いてもよい。この場合も、切断後の弁作用金属基体10Aに陽極酸化処理を行うことにより、切断された素子部13の側面に酸化被膜を形成する。
第1固体電解質層の形成は、例えば、浸漬法、スポンジ転写、スクリーン印刷、ディスペンサ、インクジェット印刷等により行うことができる。
第1固体電解質層を形成するための処理液として、例えば、導電性高分子の分散液が用いられる。分散液の溶媒は純水であることが好ましい。必要に応じて界面活性剤や高沸点溶媒等が含まれていてもよい。導電性高分子の分散液を誘電体層の外表面に付着し乾燥させることで、導電性高分子膜を形成することができる。あるいは、固体電解質を含有する処理液として、重合性モノマー、例えば3,4-エチレンジオキシチオフェンと酸化剤との含有液が用いられてもよい。重合性モノマーの含有液を誘電体層の外表面に付着させて、化学重合により導電性高分子膜を形成することができる。この導電性高分子膜が、第1固体電解質層となる。
第1固体電解質層を形成するための処理液での処理を行った後、乾燥を行う。処理液での処理及び乾燥を複数回繰り返してもよい。
なお、乾燥処理において、乾燥中に短冊状の弁作用金属基体を180度反転させた状態で乾燥させると、通常では陰極側端部の近傍に第1固体電解質層を形成する処理液が溜まりやすいのに対して、絶縁マスク層の近傍にも第1固体電解質層を形成する処理液が溜まりやすくなるため、全体として液だまりが陰極部の長手方向の上下に分配されて形成される。よって、陰極側端部の近傍への液だまりの偏析が低減され、第1固体電解質層の含浸性が向上する。
第1固体電解質層の形成を浸漬法で行う場合は、後述する分散液浸漬工程で使用する装置、条件を使用することができる。
浸漬条件において、引き下げ速度(浸漬速度)を0.1mm/s以上、2mm/s以下の範囲で最適化することにより、分散液の多孔質部への含浸性が向上し、その結果、静電容量が向上する。
また、弁作用金属基体を分散液から引き上げる引き上げ速度は0.1mm/s以上、2mm/s以下であることが好ましい。引き上げ速度を上げると分散液の塗布量が増加するので、引き上げ速度で塗布量を調整することができる。
第1固体電解質層の形成を浸漬法で行う場合、導電性高分子の固形分濃度は、0.8重量%以上であることが好ましく、1.2重量%以上であることがより好ましい。また、2.0重量%以下であることが好ましく、1.5重量%以下であることがより好ましい。
なお、第2固体電解質層の形成に使用する分散液よりも、第1固体電解質層の形成に使用する分散液の導電性高分子の固形分濃度が小さいことが好ましい。
[プライマー層形成工程]
プライマー層形成工程では、第1固体電解質層を形成した弁作用金属基体を、プライマー化合物を固形分濃度で15重量%以上、35重量%以下含むプライマー溶液に浸漬してプライマー層を形成する。
プライマー化合物としては、特許第6449914号公報に記載されたプライマー化合物を使用することができる。
具体的には、少なくとも1種のアミン基と、少なくとも1種のカルボン酸基又はスルホン酸基とを含む二官能性又は多官能性モノマー化合物を使用することができる。
好適な化合物の例としては、アミノ官能性スルホン酸が挙げられる。好ましいアミノ官能性スルホン酸は、4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-エタンスルホン酸(HEPES)、4-モルホリンプロパンスルホン酸(MOPS)、4-モルホリンエタンスルホン酸(MES)、3-(シクロヘキシルアミノ)-1-プロパンスルホン酸(CAPS)、及び3-[N-トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(TAPSO)からなる群から選択されてもよい。
また、4-アミノ酪酸、プロリン、2,6-ジアミノヘプタン2酸、6-アミノヘキサン酸、タウリン、β-アラニン、チロシン、トレオニン、セリン、グルタミン酸、アスパラギン酸を用いてもよい。
プライマー溶液の溶媒としては、特に限定されるものではないが、水(脱イオン水)を使用することができる。
プライマー化合物を固形分濃度で15重量%以上、35重量%以下含む溶液は、プライマー化合物の固形分濃度が比較的高い溶液である。プライマー化合物の固形分濃度を高くすることでプライマー化合物の付着量を多くして、第2固体電解質層の厚さを厚くすることができる。
また、プライマー化合物の固形分濃度を上記範囲とすることでくびれ部が形成されやすくなる。
プライマー化合物の固形分濃度は、20重量%以上であることが好ましく、25重量%以上であることがより好ましい。また、30重量%以下であることが好ましい。
プライマー溶液への浸漬後、弁作用金属基体をプライマー溶液から引き上げ、乾燥を行う。
また、プライマー化合物を含む溶液への浸漬条件において、引き下げ速度(浸漬速度)を最適化することにより、具体的にはプライマー化合物を含む溶液が多孔質部を有する弁作用金属基体10Aを染み上がる速度よりも引き下げ速度を遅くすることにより、多孔質部への含浸性が向上するため、プライマー化合物の乾燥後の付着量が多くなる。
[分散液浸漬工程]
分散液浸漬工程では、プライマー層を形成した弁作用金属基体を、導電性高分子が溶媒中に固形分濃度で1重量%以上、4重量%以下の濃度で分散している分散液に浸漬し、導電性高分子とプライマー化合物を接触させて架橋反応させ、第2固体電解質層を形成する。
第2固体電解質層を形成するための処理液として、導電性高分子の分散液が用いられる。
導電性高分子とプライマー化合物が接触すると架橋反応が生じ、第2固体電解質層が形成される。
導電性高分子を固形分濃度で1重量%以上、4重量%以下含む溶液は、導電性高分子の固形分濃度が比較的高い溶液である。導電性高分子の固形分濃度を高くすることで導電性高分子の付着量を多くして、第2固体電解質層の厚さを厚くすることができる。
また、導電性高分子の固形分濃度を上記範囲とすることでくびれ部が形成されやすくなる。
導電性高分子の固形分濃度は、1.5重量%以上であることが好ましい。また、3重量%以下であることが好ましい。
また、第1固体電解質層の形成を浸漬法で行う場合と対比して、第1固体電解質層の形成に使用する分散液よりも、第2固体電解質層の形成に使用する分散液の導電性高分子の固形分濃度が大きいことが好ましい。
分散液浸漬工程において、固体電解質層が形成され、固体電解質層の表面にくびれ部が形成される。くびれ部が形成される過程について図面を参照して説明する。
図6は、分散液浸漬工程において弁作用金属基体を分散液に浸漬する過程を模式的に示す工程の全体図である。
図7A、図7B及び図7Cは、分散液浸漬工程において弁作用金属基体を分散液に浸漬する過程を示す工程図である。
弁作用金属基体10Aの表面には、プライマー化合物が付着している。プライマー溶液中のプライマー化合物の固形分濃度を高くしているので、プライマー化合物の付着量及び厚さは比較的大きくなっている。
容器85に満たされた分散液80に、弁作用金属基体10Aの素子部13を陰極側端部から絶縁マスク層30までを浸漬する。
分散液80には導電性高分子が比較的高い濃度で含まれている。
ここで、浸漬後に乾燥処理を行ったプライマー化合物の表面と第2固体電解質層を構成する導電性高分子を含む分散液との濡れ性は、浸漬後に乾燥処理を行った第1固体電解質層の表面とプライマー化合物を含む溶液との濡れ性よりも悪くなる。
そのため、第2固体電解質層を構成する導電性高分子を含む分散液に弁作用金属基体を浸漬した時に、その液面が間欠的に上昇することになる。間欠的に上昇することにより、プライマー化合物との架橋反応に濃淡が発生し、くびれ部が形成される。このくびれ部は液面が間欠的に上昇するのに伴って周期的に形成される。
図7A、図7B、図7Cには分散液の液面が間欠的に上昇してくびれ部が形成される過程を示している。
分散液の液面の間欠的な上昇は、プライマー化合物の付着量が多い場合、すなわちプライマー化合物の固形分濃度を高くした場合、かつ、分散液中の導電性高分子の濃度が高い場合に生じる。
分散液の液面の間欠的な上昇を生じさせてくびれ部を形成させるために、プライマー溶液としてプライマー化合物を固形分濃度で15重量%以上、35重量%以下含む溶液を使用し、かつ、分散液として導電性高分子を固形分濃度で1重量%以上、4重量%以下含む溶液を使用する。
また、プライマー化合物の固形分濃度を高くし、導電性高分子の固形分濃度を高くすると第2固体電解質層の厚さを厚くできる。プライマー化合物の濃度を高くして第2固体電解質層の厚さを厚くするほうが、材料のコストの観点から好ましい。
第2固体電解質層の厚さを厚くすることによって、第1固体電解質層を保護することができ、また、等価直列抵抗を低くすることができる。
分散液の液面の間欠的な上昇は、弁作用金属基体の陰極側端部を浸漬した直後には生じにくいので、固体電解コンデンサ素子の陰極側端部から最も近いくびれ部までの間隔が、隣り合う複数のくびれ部同士の間隔よりも大きくなりやすい。
また、弁作用金属基体の陰極側端部が分散液の液面に接触する瞬間に、分散液が最も多く付着する。そのため、固体電解質層の厚さが固体電解コンデンサ素子の陰極側端部に近いほど厚くなる。
分散液浸漬工程において、弁作用金属基体を分散液に向かって引き下げる引き下げ速度は0.1mm/s以上、2.0mm/s以下であることが好ましい。
弁作用金属基体の引き下げ速度を調整することによってくびれ部の間隔及び数を調整することができる。引き下げ速度が上記の範囲であると、くびれ部の間隔及び数が適切なものとなるため好ましい。
分散液への浸漬後、弁作用金属基体を分散液から引き上げ、純水で洗浄して余剰のプライマー化合物を除去する。洗浄後、乾燥する。
弁作用金属基体を分散液から引き上げる引き上げ速度は0.1mm/s以上、2mm/s以下であることが好ましい。
上記工程により、固体電解質層が形成される。
固体電解質層40を形成した後、カーボンペーストに弁作用金属基体10Aを浸漬、引き上げ及び乾燥することにより、カーボン層50(図1参照)を所定の領域に形成する。
カーボン層50を形成した後、銀ペースト等の導電性ペーストに弁作用金属基体10Aを浸漬、引き上げ及び乾燥することにより、金属層60(図1参照)を所定の領域に形成する。
弁作用金属基体10Aを切断して、素子部13を分離する。
以上の工程を経て、固体電解コンデンサ素子が得られる。
[固体電解コンデンサ]
本発明の固体電解コンデンサは、本発明の固体電解コンデンサ素子と、固体電解コンデンサ素子を封止する外装体と、外装体から露出する固体電解コンデンサ素子の弁作用金属基体と電気的に接続される第1外部電極と、外装体から露出する固体電解コンデンサ素子の陰極導体層と電気的に接続される第2外部電極と、を備える。
以下、本発明の固体電解コンデンサ素子を含む固体電解コンデンサの一例について説明する。なお、本発明の固体電解コンデンサ素子は、他の構成を有する固体電解コンデンサに含まれてもよい。例えば、リードフレームが外部電極として用いられてもよい。また、本発明の固体電解コンデンサには、本発明の固体電解コンデンサ素子以外の固体電解コンデンサ素子が含まれてもよい。
図8は、本発明の固体電解コンデンサの一例を模式的に示す斜視図である。図9は、図8に示す固体電解コンデンサのZ-Z線に沿った断面図である。
図8及び図9においては、固体電解コンデンサ100及び外装体110の長さ方向をL、幅方向をW、高さ方向をTで示している。ここで、長さ方向Lと幅方向Wと高さ方向Tとは互いに直交している。
図8及び図9に示すように、固体電解コンデンサ100は、略直方体状の外形を有している。固体電解コンデンサ100は、外装体110と、第1外部電極120と、第2外部電極130と、複数の固体電解コンデンサ素子1と、を備える。固体電解コンデンサ素子1は、本発明の固体電解コンデンサ素子の一例である。
外装体110は、複数の固体電解コンデンサ素子1を封止している。すなわち、外装体110には、複数の固体電解コンデンサ素子1が埋設されている。なお、外装体110は、1つの固体電解コンデンサ素子1を封止していてもよい。すなわち、外装体110の内部には、1つの固体電解コンデンサ素子1が埋設されていてもよい。
外装体110は、略直方体状の外形を有している。外装体110は、高さ方向Tにおいて相対する第1主面110a及び第2主面110b、幅方向Wにおいて相対する第1側面110c及び第2側面110d、並びに、長さ方向Lにおいて相対する第1端面110e及び第2端面110fを有している。
上記のように外装体110は、略直方体状の外形を有しているが、角部及び稜線部に丸みが付けられていることが好ましい。角部は、外装体110の3面が交わる部分であり、稜線部は、外装体110の2面が交わる部分である。
外装体110は、例えば、封止樹脂から構成される。
封止樹脂は、少なくとも樹脂を含み、樹脂及びフィラーを含むことが好ましい。
樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、液晶ポリマー等が好ましく用いられる。
フィラーとしては、シリカ粒子、アルミナ粒子、金属粒子等が好ましく用いられる。
封止樹脂としては、固形エポキシ樹脂とフェノール樹脂とシリカ粒子とを含む材料が好ましく用いられる。
固形の封止樹脂を用いる場合、コンプレッションモールド、トランスファーモールド等の樹脂モールドが好ましく用いられ、コンプレッションモールドがより好ましく用いられる。また、液状の封止樹脂を用いる場合、ディスペンス法、印刷法等の成形方法が好ましく用いられる。中でも、コンプレッションモールドにより固体電解コンデンサ素子1の周囲を封止樹脂で封止して、外装体110を形成することが好ましい。
外装体110は、基板と、基板上に設けられた封止樹脂とから構成されてもよい。基板は、例えば、ガラスエポキシ基板等の絶縁性樹脂基板である。この場合、基板の底面が、外装体110の第2主面110bを構成する。基板の厚さは、例えば、100μmである。
複数の固体電解コンデンサ素子1は、高さ方向Tに積層されている。複数の固体電解コンデンサ素子1の各々の延在方向は、外装体110の第1主面110a及び第2主面110bと略平行となっている。固体電解コンデンサ素子1同士は、導電性接着剤を介して互いに接合されていてもよい。
第1外部電極120は、外装体110の第1端面110eに設けられている。図8では、第1外部電極120は、外装体110の第1端面110eから、第1主面110a、第2主面110b、第1側面110c及び第2側面110dの各々に亘って設けられている。第1外部電極120は、外装体110から露出する固体電解コンデンサ素子1の弁作用金属基体10と電気的に接続されている。第1外部電極120は、外装体110の第1端面110eにおいて弁作用金属基体10と直接的に接続されてもよく、間接的に接続されてもよい。
第2外部電極130は、外装体110の第2端面110fに設けられている。図8では、第2外部電極130は、外装体110の第2端面110fから、第1主面110a、第2主面110b、第1側面110c及び第2側面110dの各々に亘って設けられている。第2外部電極130は、外装体110から露出する固体電解コンデンサ素子1の金属層60(陰極導体層70)と電気的に接続されている。第2外部電極130は、外装体110の第2端面110fにおいて金属層60(陰極導体層70)と直接的に接続されてもよく、間接的に接続されてもよい。
第1外部電極120及び第2外部電極130は、各々、浸漬塗布法、スクリーン印刷法、転写法、インクジェット印刷法、ディスペンス法、スプレーコート法、刷毛塗り法、ドロップキャスト法、静電塗装法、めっき法、及び、スパッタ法からなる群より選択される少なくとも1種の方法により形成されることが好ましい。
第1外部電極120は、導電成分と樹脂成分とを含む樹脂電極層を有することが好ましい。第1外部電極120が樹脂成分を含むことにより、第1外部電極120と外装体110の封止樹脂との密着性が高まるため、信頼性が向上する。
第2外部電極130は、導電成分と樹脂成分とを含む樹脂電極層を有することが好ましい。第2外部電極130が樹脂成分を含むことにより、第2外部電極130と外装体110の封止樹脂との密着性が高まるため、信頼性が向上する。
導電成分は、銀、銅、ニッケル、錫等の金属単体、又は、これらの金属の少なくとも1種を含有する合金等を主成分として含むことが好ましい。
樹脂成分は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等を主成分として含むことが好ましい。
樹脂電極層は、例えば、浸漬塗布法、スクリーン印刷法、転写法、インクジェット印刷法、ディスペンス法、スプレーコート法、刷毛塗り法、ドロップキャスト法、静電塗装法等の方法により形成される。中でも、樹脂電極層は、スクリーン印刷法で導電性ペーストを塗工することにより形成された印刷樹脂電極層であることが好ましい。樹脂電極層が、スクリーン印刷法で導電性ペーストを塗工することにより形成される場合、浸漬塗布法で導電性ペーストを塗工することにより形成される場合と比較して、第1外部電極120及び第2外部電極130が平坦になりやすい。すなわち、第1外部電極120及び第2外部電極130の厚みが均一になりやすい。
第2外部電極130が樹脂電極層を有する場合、第2外部電極130、カーボン層50及び金属層60が樹脂成分を含むことにより、第2外部電極130とカーボン層50との密着性及び第2外部電極130と金属層60との密着性が高まるため、信頼性が向上する。
第1外部電極120及び第2外部電極130の少なくとも一方は、めっき法により形成される、いわゆるめっき層を有していてもよい。めっき層としては、例えば、亜鉛・銀・ニッケル層、銀・ニッケル層、ニッケル層、亜鉛・ニッケル・金層、ニッケル・金層、亜鉛・ニッケル・銅層、ニッケル・銅層等が挙げられる。これらのめっき層上には、例えば、銅めっき層と、ニッケルめっき層と、錫めっき層とが順に(あるいは、一部のめっき層を除いて)設けられることが好ましい。
第1外部電極120及び第2外部電極130の少なくとも一方は、樹脂電極層及びめっき層をともに有していてもよい。例えば、第1外部電極120は、弁作用金属基体10に接続された樹脂電極層と、樹脂電極層の表面上に設けられた外層めっき層と、を有していてもよい。また、第1外部電極120は、弁作用金属基体10に接続された内層めっき層と、内層めっき層を覆うように設けられた樹脂電極層と、樹脂電極層の表面上に設けられた外層めっき層と、を有していてもよい。
以下、本発明の固体電解コンデンサ素子をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例)
実施例1~5として、上記の固体電解コンデンサ素子の製造方法により図1に示す形状とほぼ同様の、くびれ部を有する固体電解コンデンサ素子を合計5個作製した。
各実施例では、プライマー溶液中のプライマー化合物の固形分濃度を15重量%以上、分散液浸漬工程で使用する分散液中の導電性高分子の固形分濃度を1重量%以上とした。
絶縁マスク層から陰極側端部に向かう方向に沿って、固体電解コンデンサ素子の陰極側端部から、絶縁マスク層までの間に、くびれ部は4箇所存在していた。
くびれ部の数は陰極部の端部から上記絶縁マスク層までの長さ1cmあたり6箇所である。
(比較例)
図10は、固体電解質層がくびれ部を有さない固体電解コンデンサ素子の一例を模式的に示す断面図である。
図10に示す固体電解コンデンサ素子1´は固体電解質層40´がくびれ部を有さないこと以外は、図1に示す固体電解コンデンサ素子1と同様の構成を有する。
比較例1~3として、上記の固体電解コンデンサ素子の製造方法を変更して、図10に示す形状とほぼ同様の、くびれ部を有さない固体電解コンデンサ素子を合計3個作製した。
実施例との工程の違いは、プライマー溶液中のプライマー化合物の固形分濃度が15重量%未満であり、分散液浸漬工程で使用する分散液中の導電性高分子の固形分濃度が1重量%未満である点である。
[固体電解コンデンサ素子の評価]
実施例1~5及び比較例1~3の固体電解コンデンサ素子について、初期特性として、100kHzにおける等価直列抵抗(ESR)を測定した。ESRに関しては、平均値(avg)及び標準偏差(σ)を算出した。結果を表1に示す。
Figure 0007487719000001
表1より、実施例に係る固体電解コンデンサ素子では、比較例に係る固体電解コンデンサ素子と比べて、等価直列抵抗が低いことが分かる。
1、1´ 固体電解コンデンサ素子
1C 固体電解コンデンサ素子の陰極側端部
10、10A 弁作用金属基体
12 凹部
13 素子部
14 支持部
20 誘電体層
30 絶縁マスク層
31 陽極部
32 陰極部
32A 絶縁マスク層の陰極部側の境界
32C 陰極部の端部
32L 陰極部の端部から絶縁マスク層までの長さ
40、40´ 固体電解質層
40C 固体電解質層の陰極側端部
41 第1固体電解質層
42 第2固体電解質層
43 43a、43b、43c くびれ部
50 カーボン層
60 金属層
70 陰極導体層
80 分散液
85 容器
100 固体電解コンデンサ
110 外装体
110a 外装体の第1主面
110b 外装体の第2主面
110c 外装体の第1側面
110d 外装体の第2側面
110e 外装体の第1端面
110f 外装体の第2端面
120 第1外部電極
130 第2外部電極

Claims (10)

  1. 誘電体層を少なくとも一方の主面に有する弁作用金属基体と、
    前記誘電体層上に設けられ、前記弁作用金属基体を陽極部及び陰極部に分離する絶縁マスク層と、
    前記陰極部の前記誘電体層上に設けられる固体電解質層と、
    前記固体電解質層上に設けられる陰極導体層と、を備える固体電解コンデンサ素子であって、
    前記固体電解コンデンサ素子を前記絶縁マスク層から前記固体電解コンデンサ素子の陰極側端部に向かう方向及び厚さ方向に沿って切断した断面において、前記固体電解質層の厚さが相対的に薄いくびれ部が、前記陰極部の端部から前記絶縁マスク層までの長さ1cmあたり、2箇所以上、10箇所以下存在し、
    前記絶縁マスク層から前記陰極側端部に向かう方向に沿って、前記陰極側端部から、前記絶縁マスク層までの間に、前記くびれ部が5箇所以上、10箇所以下存在する固体電解コンデンサ素子。
  2. 誘電体層を少なくとも一方の主面に有する弁作用金属基体と、
    前記誘電体層上に設けられ、前記弁作用金属基体を陽極部及び陰極部に分離する絶縁マスク層と、
    前記陰極部の前記誘電体層上に設けられる固体電解質層と、
    前記固体電解質層上に設けられる陰極導体層と、を備える固体電解コンデンサ素子であって、
    前記固体電解コンデンサ素子を前記絶縁マスク層から前記固体電解コンデンサ素子の陰極側端部に向かう方向及び厚さ方向に沿って切断した断面において、前記固体電解質層の厚さが相対的に薄いくびれ部が、前記陰極部の端部から前記絶縁マスク層までの長さ1cmあたり、2箇所以上、10箇所以下存在し、
    前記絶縁マスク層から前記陰極側端部に向かう方向に沿って、前記固体電解質層の陰極側端部から最も近いくびれ部までの間隔が、隣り合う複数のくびれ部同士の間隔よりも大きい、固体電解コンデンサ素子。
  3. 前記絶縁マスク層から前記陰極側端部に向かう方向に沿って、前記固体電解質層の厚さが周期的に変化している、請求項1又は2に記載の固体電解コンデンサ素子。
  4. 前記弁作用金属基体の表面には凹部が存在し、前記絶縁マスク層から前記陰極側端部に向かう方向に沿った前記固体電解質層の前記くびれ部の間隔は、前記凹部の間隔よりも大きい、請求項1~3のいずれかに記載の固体電解コンデンサ素子。
  5. 前記くびれ部における前記固体電解質層の厚さは、前記陰極側端部に近いほど厚く、前記絶縁マスク層に近いほど薄い、請求項1~4のいずれかに記載の固体電解コンデンサ素子。
  6. 前記陰極導体層は、カーボン層と、前記カーボン層上に設けられた金属層と、を備える請求項1~のいずれかに記載の固体電解コンデンサ素子。
  7. 請求項1~のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ素子と、
    前記固体電解コンデンサ素子を封止する外装体と、
    前記外装体から露出する前記固体電解コンデンサ素子の前記弁作用金属基体と電気的に接続される第1外部電極と、
    前記外装体から露出する前記固体電解コンデンサ素子の前記陰極導体層と電気的に接続される第2外部電極と、を備える、固体電解コンデンサ。
  8. 体電解コンデンサ素子と、
    前記固体電解コンデンサ素子を封止する外装体と、
    前記外装体から露出する前記固体電解コンデンサ素子の前記弁作用金属基体と電気的に接続される第1外部電極と、
    前記外装体から露出する前記固体電解コンデンサ素子の前記陰極導体層と電気的に接続される第2外部電極と、を備える、固体電解コンデンサであって、
    前記固体電解コンデンサ素子は、
    誘電体層を少なくとも一方の主面に有する弁作用金属基体と、
    前記誘電体層上に設けられ、前記弁作用金属基体を陽極部及び陰極部に分離する絶縁マスク層と、
    前記陰極部の前記誘電体層上に設けられる固体電解質層と、
    前記固体電解質層上に設けられる陰極導体層と、を備える固体電解コンデンサ素子であって、
    前記固体電解コンデンサ素子を前記絶縁マスク層から前記固体電解コンデンサ素子の陰極側端部に向かう方向及び厚さ方向に沿って切断した断面において、前記固体電解質層の厚さが相対的に薄いくびれ部が、前記陰極部の端部から前記絶縁マスク層までの長さ1cmあたり、2箇所以上、10箇所以下存在する固体電解コンデンサ素子である、固体電解コンデンサ。
  9. 誘電体層を少なくとも一方の主面に有する弁作用金属基体に対し、前記誘電体層上に第1固体電解質層を形成する、第1固体電解質層形成工程と、
    前記第1固体電解質層を形成した前記弁作用金属基体を、プライマー化合物を固形分濃度で15重量%以上、35重量%以下含むプライマー溶液に浸漬してプライマー層を形成するプライマー層形成工程と、
    前記プライマー層を形成した前記弁作用金属基体を、導電性高分子が溶媒中に固形分濃度で1重量%以上、4重量%以下の濃度で分散している分散液に浸漬し、前記導電性高分子と前記プライマー化合物を接触させて架橋反応させ、第2固体電解質層を形成する分散液浸漬工程と、を行う固体電解コンデンサ素子の製造方法。
  10. 前記分散液浸漬工程において、前記弁作用金属基体を前記分散液に向かって引き下げる引き下げ速度は0.1mm/s以上、2.0mm/s以下である請求項9に記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
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