JP6798560B2 - 固体電解コンデンサ - Google Patents
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Description
すなわち、特許文献1には、表面に誘電体酸化皮膜層が形成された弁作用金属箔からなる陽極体の所定の位置に絶縁部を設けて陽極電極部と陰極形成部に分離し、この陰極形成部に導電性重合体からなる固体電解質層、カーボン層と銀ペースト層からなる陰極層を順次積層形成することにより陰極電極部を形成したコンデンサ素子を作製する工程と、このコンデンサ素子を陽極コム端子ならびに陰極コム端子上に複数枚積層して接合する工程と、この陽極コム端子ならびに陰極コム端子が接合された複数枚のコンデンサ素子をモールド成形金型内に配置して陽極コム端子ならびに陰極コム端子の一部を除いて絶縁性の外装樹脂で一体に被覆する工程と、この外装樹脂から表出した陽極コム端子ならびに陰極コム端子の一部を夫々外装樹脂に沿って折り曲げることにより実装面となる下面に陽極端子部ならびに陰極端子部を配設する工程とを有する固体電解コンデンサの製造方法が開示されている。
また、上記したような従来の固体電解コンデンサでは、陽極電極部と外部電極(陽極コム端子)との接合は、抵抗溶接等の手段により行われ、陰極電極部と外部電極(陰極コム端子)との接合は、導電性接着剤等を用いることにより行われていた。
また、上記した態様で陰極電極部と外部電極とを導電性接着剤層を介して接合しているので、等価直列抵抗(ESR)が大きくなってしまうという問題があった。
また、上記金属箔を含む導電体層は、上記固体電解質層上に設けられたカーボン層と、表面にカーボンコートされた金属箔とからなり、上記金属箔のカーボンコートされた表面が上記カーボン層と直接接していることが好ましい。
また、上記金属箔と上記カーボン層との間の接触抵抗は、上記カーボン層と上記固体電解質層との間の接触抵抗よりも小さいことが好ましい。
また、上記金属箔と上記カーボン層との間の接触抵抗は、5mΩ以上、351mΩ以下であることが好ましい。
本発明の固体電解コンデンサにおいて、上記金属箔は、表面にカーボンコートされた金属箔であり、上記金属箔のカーボンコートされた表面が上記固体電解質層と直接接していることが好ましい。
また、積層されたユニットの間に存在する全ての上記導電体層が上記金属箔を含んでいることが好ましい。
また、本発明の固体電解コンデンサにおいて、上記金属箔の表面にはアンカーコート剤からなるコート層が形成されていることが好ましい。
また、上記金属箔の表面粗さRaは、30nm以上、1002nm以下であることが好ましい。
また、上記金属箔の厚さ方向の抵抗値は、5mΩ以上、34mΩ以下であることが好ましい。
また、上記金属箔は、アルミニウム、銅及び銀からなる群より選択される少なくとも一種の金属からなることが好ましい。
また、上記金属箔には、少なくとも1個の貫通孔が形成されていることが好ましい。
このように、陰極部と陽極部を外部電極に直接接続することができるため外部電極に対してコム端子等を用いた接合を行う必要がない。
また、導電体層として4層の構成を必須としないため、簡略化された構造の安価な固体電解コンデンサを提供することができる。また、金属箔を外部電極と直接接続することによってESRを小さくすることができる。
しかしながら、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下において記載する本発明の個々の望ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。
本発明の固体電解コンデンサは、多孔質層を表面に有する弁作用金属基体と、上記多孔質層の表面に形成された誘電体層と、上記誘電体層上に設けられた固体電解質層とを有するユニットが複数個積層された固体電解コンデンサであって、積層されたユニットの間に導電体層が存在し、上記導電体層のうち少なくとも一つは金属箔を含み、上記ユニット及び上記導電体層は、外装樹脂により封止されており、上記弁作用金属基体の陽極部側端面は、固体電解コンデンサの一端面において外装樹脂の表面に形成された陽極外部電極と直接接続されており、上記金属箔は、固体電解コンデンサの他端面において外装樹脂の表面に形成された陰極外部電極と直接接続されていることを特徴とする。
図1(a)に示すユニット10は、弁作用金属基体11と、誘電体層14と、固体電解質層15を備えている。弁作用金属基体11は、金属芯部12を中心に有し、エッチング層等の多孔質層13を表面に有している。誘電体層14は、多孔質層13の表面に形成されている。弁作用金属基体11上には、絶縁部として、所定幅の絶縁層17が周設されており、絶縁層17によって陽極部21と陰極部22とが分離されている。
図1(b)には、導電体層16が、ユニット10の固体電解質層15上に設けられたカーボン層16aと、表面にカーボンコートがされていない金属箔16bとからなり、金属箔16bがカーボン層16aと直接接している構成を示している。
金属箔は、カーボンコートされた金属箔であってもよい。この場合、金属箔を含む導電体層は、固体電解質層上に設けられたカーボン層と、表面にカーボンコートされた金属箔とからなり、金属箔のカーボンコートされた表面がカーボン層と直接接していることが好ましい。
図1(c)には、金属箔16b1の表面にカーボンコート16b2を有する、カーボンコートされた金属箔16b3を備えた構成を示している。
図1(c)では、導電体層16が、ユニット10の固体電解質層15上に設けられたカーボン層16aと、カーボン層16a上に設けられ、カーボンコート16b2を有する金属箔16b3とからなり、カーボンコート16b2は、カーボン層16aと直接接している。
図2(a)に示す本発明の固体電解コンデンサ1では、図1に示したユニット10が複数個積層され、積層されたユニット10の間には、導電体層16としてカーボン層16aと金属箔16bとが存在している。また、ユニット10は、外装樹脂31により封止されているが、弁作用金属基体11の陽極部側端面11aは、絶縁層17から露出し、固体電解コンデンサ1の一端面に形成された陽極外部電極32と直接接続されている。一方、金属箔16bの端部は、ユニット10の陰極部側端面10bから突出するとともに外装樹脂31から露出し、外装樹脂31の表面(固体電解コンデンサ1の他端面)に形成された陰極外部電極33と直接接続されている。
なお、最も下に積層されたユニット10の下側にも導電体層としての金属箔16bを設けている。
弁作用金属基体の陽極部側端面及び金属箔が外装樹脂の表面に形成された外部電極とそれぞれ直接接続されていると、ESRを低減することができる。
図2(a)及び図2(b)に示す固体電解コンデンサでは、導電体層は、隣接するユニットのそれぞれの固体電解質層上に設けられたカーボン層と、2層のカーボン層に挟まれるように配置された金属箔とからなるが、導電体層の好ましい構成としては、種々のものが考えられる。以下にその態様について列挙する。
図2(a)及び図2(b)に示した態様が下記(a)である。
なお、各態様(a)〜(d)における金属箔は、カーボンコートされた金属箔であってもよい。
この場合、隣接するユニットのそれぞれの固体電解質層上にカーボン層が設けられ、2層のカーボン層に挟まれるように金属箔が存在する。
導電体層がカーボン層と金属箔とからなると、従来の固体電解コンデンサにおいて設けられていた銀層と導電性接着剤層を省略することができる。そのため、より簡略化された構造を有する安価な固体電解コンデンサを提供することができる。
この場合、隣接するユニットのそれぞれの固体電解質層上にカーボン層が設けられ、それぞれのカーボン層上に銀層が設けられ、2層の銀層に挟まれるように金属箔が存在する。
導電体層がカーボン層と銀層と金属箔とからなると、従来の固体電解コンデンサにおいて設けられていた導電性接着剤層を省略することができる。そのため、より簡略化された構造を有する安価な固体電解コンデンサを提供することができる。
この場合、隣接するユニットのそれぞれの固体電解質層上には、銀層のみが設けられ、2層の銀層に挟まれるように金属箔が存在する。
導電体層が銀層と金属箔とからなると、従来の固体電解コンデンサにおいて設けられていたカーボン層及び導電性接着剤層を省略することができる。そのため、より簡略化された構造を有する安価な固体電解コンデンサを提供することができる。
この場合、隣接するユニットの固体電解質層上には、カーボン層も銀層も導電性接着剤層も設けられておらず、2層の固体電体質層に挟まれるように金属箔が存在する。
導電体層が金属箔のみからなると、ESRを大きく低減することができるとともに、従来の固体電解コンデンサにおいて設けられていたカーボン層と銀層と導電性接着剤層とを省略することができる。そのため、より簡略化された構造を有する安価な固体電解コンデンサを提供することができる。
以下、この態様(d)について図面を用いて説明する。
図3に示す本発明の固体電解コンデンサ2では、ユニット40が複数積層されている。
ユニット40は、ユニット10と同様に弁作用金属基体11、誘電体層14、固体電解質層15、絶縁層17を備えている。
それぞれのユニット40の間には、導電体層16として金属箔16bのみが存在しており、金属箔16bの両側にカーボン層は存在しない。また、積層された複数のユニット40は、外装樹脂31により封止されているが、弁作用金属基体11の陽極部側端面11aは、絶縁層17から露出し、固体電解コンデンサ2の一端面に形成された陽極外部電極32と直接接続されている。一方、金属箔16bの端部は、ユニット40の陰極部側端面40bから突出するとともに外装樹脂31より露出し、外装樹脂31の表面(固体電解コンデンサ2の他端面)に形成された陰極外部電極33と直接接続されている。
例えば以下のような態様が挙げられる。
この場合、隣接するユニットのそれぞれの固体電解質層上に導電性接着剤層が設けられ、2層の導電性接着剤層に挟まれるように金属箔が存在する。
導電体層が導電性接着剤層と金属箔とからなると、従来の固体電解コンデンサにおいて設けられていたカーボン層及び銀層を省略することができる。そのため、より簡略化された構造を有する安価な固体電解コンデンサを提供することができる。
この場合、隣接するユニットのそれぞれの固体電解質層上にカーボン層が設けられ、それぞれのカーボン層上に導電性接着剤層が設けられ、2層の導電性接着剤層に挟まれるように金属箔が存在する。
導電体層がカーボン層と導電性接着剤層と金属箔とからなると、従来の固体電解コンデンサにおいて設けられていた銀層を省略することができる。そのため、より簡略化された構造を有する安価な固体電解コンデンサを提供することができる。
(g)金属箔を挟む一方の面の導電体層の構成と他方の面の導電体層の構成が異なる。
例えば、金属箔の一方の面では固体電解質層上にカーボン層が形成され、他方の面では固体電解質層上にカーボン層及び銀層が形成される態様が挙げられる。
例えば、金属箔の一方の面では固体電解質上にカーボン層が形成され、他方の面では固体電解質層と金属箔が直接接している態様が挙げられる。
複数の導電体層が金属箔を含んでいると、外部電極と直接接続することができる金属箔が複数存在するので、ESRを低減し易くなる。
全ての導電体層が金属箔を含んでいると、ユニットが金属箔を介して外部電極と直接接続することができるので、ESRを大きく低減することができる。
例えば、「(a)金属箔を含む導電体層は、カーボン層と金属箔とからなる。」の場合は、金属箔とカーボン層との間の接触抵抗は、カーボン層と固体電解質層との間の接触抵抗よりも小さいことが好ましい。
このような場合「金属箔−金属箔と接触する導電体層の構成要素間」の接触抵抗は大きく変動することはないので、金属箔と金属箔と接触する導電体層の構成要素間の接触抵抗を小さくすることにより、結果的に固体電解コンデンサのESRを小さくすることができる。
金属箔とカーボン層との間の接触抵抗が5mΩ以上、351mΩ以下であると、従来の固体電解コンデンサと比べてESRを低減させることができる。
また、本発明の固体電解コンデンサにおいて、金属箔とカーボン層との間の接触抵抗を5mΩ未満とすることは技術的に難しく、一方、金属箔とカーボン層との間の接触抵抗が351mΩを超えると、ESRの値が急激に増加してしまう。
金属箔の表面に粗化面が形成されていると、金属箔と他の導電体層や固体電解質層との密着性が改善され、接触抵抗を低下させることができ、結果的にESRを低減させることができる。
また、金属箔の表面にはアンカーコート剤からなるコート層が形成されていてもよい。
金属箔の表面に、アンカーコート剤からなるコート層が形成されていると、金属箔と他の導電体層や固体電解質層との密着性が改善され、接触抵抗を低下させることができる。
金属箔の表面粗さRaが30nm以上、1002nm以下であると、接触抵抗が低下し、ESRを低減することができる。
金属箔の表面粗さRaが30nm未満であると、金属箔の表面が平坦になりすぎるため、金属箔と他の層との密着性が弱くなり、金属箔と他の層との接触抵抗が大きくなる。一方、金属箔の表面粗さRaが1002nmを超えても、金属箔の表面粗さが大きくなりすぎ、金属箔と他の層との接触抵抗が大きくなる。
金属箔の厚さが6μm以上、100μm以下であると、ESRを低減させることができる。金属箔の厚さが6μm未満であると、抵抗値が増大し、ESRが大きくなってしまう。一方、上記金属箔の厚さが100μmを超えると、固体電解コンデンサの厚さが厚くなりすぎ、好ましくない。
金属箔がアルミニウム、銅及び銀からなる群より選択される少なくとも一種の金属からなると、金属箔の抵抗値を低減させることができ、ESRを低減させることができる。
また、上記態様(d)で説明したように、カーボンコートがされた箔であってもよい。
貫通孔の大きさとしては、その直径が30μm以上、250μm以下であることが好ましい。貫通孔の大きさを上記範囲にするとESRをより低くすることができる。
また、貫通孔の形成密度(形成数)は高いことが好ましく、具体的には金属箔の面積の50%以上、75%以下であることが好ましい。
また、金属箔はいわゆる「金属リード」とも厚み、強度(ヤング率)の観点から異なる特性を有している。
固体電解コンデンサにおいて積層体の最下面と最上面に金属箔が存在しないと、金属箔の数を減少させることができ、安価な固体電解コンデンサとすることができる。
図4(a)には、ユニット50を構成する弁作用金属基体11上に周設された絶縁材料からなる絶縁層17を示している。絶縁層17により陽極部21と陰極部22が絶縁されて分離される。
弁作用金属基体11の陰極部側側面11cは絶縁材料からなる側面マスク部18によって覆われており、弁作用金属基体11の陰極部側端面11bも端面マスク部19によって覆われている。
側面マスク部18及び端面マスク部19が絶縁部である。
絶縁層17、側面マスク部18及び端面マスク部19は絶縁材料からなる。
また、図4(a)には弁作用金属基体11の主面上で絶縁材料に囲まれた部分に設けられた固体電解質層15を示している。
なお、図4(a)において弁作用金属基体11の陰極部側端面11b及び陰極部側側面11cは直接見えない部位であるので、それぞれ端面マスク部19及び側面マスク部18の奥にある層として図示している。
図4(b)には、弁作用金属基体11の陰極部側端面11bが端面マスク部19に覆われていることが明示されている。また、弁作用金属基体11の陰極部側端面11bにおいては、端面マスク部19が弁作用金属基体11の表裏の主面の一部を覆っており、固体電解質層15が弁作用金属基体11の陰極部側端面11bで回り込まないようになっている。
図4(b)の断面図には示していないが、弁作用金属基体11の側面においても側面マスク部18が弁作用金属基体11の表裏の主面の一部を覆っており、固体電解質層15が弁作用金属基体11の陰極部側側面11cで回り込まないようになっている。
このような構造のユニットを使用して固体電解コンデンサを作製するとLC不良(漏れ電流が増加する不良モード)を抑制することができる。
以下、本発明の固体電解コンデンサの製造方法について説明する。
本発明の固体電解コンデンサは、好ましくは、以下のように製造される。
図5(a)、図5(b)、図5(c)及び図5(d)は、固体電解コンデンサの製造方法における各工程を模式的に示す断面図である。
本発明の固体電解コンデンサの製造方法の一例を図5(a)、図5(b)、図5(c)及び図5(d)に基づいて説明する。
はじめに、金属芯部12を中心に有し、エッチング層等の多孔質層13を表面に有する弁作用金属基体11を準備する。弁作用金属基体11については、[固体電解コンデンサ]で説明したとおりである。弁作用金属基体11は、陽極部となる部分である陽極電極部と、陰極部が形成される部分である陰極部形成部と、陽極部及び陰極部とを分離する絶縁層が形成される部分である絶縁層形成部とを有する。
また、多孔質層の表面に誘電体層が形成された弁作用金属基体として、予め化成処理された化成箔を用いることも好ましい。
導電性重合体を含む液を誘電体層に含浸させる方法としては、弁作用金属基体に導電性重合体液を含浸させる方法、弁作用金属基体に導電性モノマーを含む液を含浸させた後、導電性重合体を化学重合させる方法等が挙げられる。
本発明の固体電解コンデンサの製造方法においては、カーボン層に代えて銀層を設けてもよく、カーボン層に加えてカーボン層の上に銀層を設けてもよい。
また、カーボン層も銀層も設けずに、ユニットを積層する際に、ユニット間に金属箔を挿入するのみであってもよい。
金属箔を設ける場合、金属箔の下に位置する層が粘性のある状態で金属箔を載置することが好ましい。乾燥させる前のカーボンペースト、銀ペースト、固体電解質層は粘性のある状態であり金属箔を直接載置することに適している。
積層の際、図5(b)に示したようにカーボン層16aの上に金属箔16bが載置された状態の構成単位を複数作製しておき、これを積層してもよい。
また、カーボン層16a等の導電体層16の一部を有し、金属箔を有していないユニットの上に金属箔16bを載置し、その上にカーボン層16a等の導電体層16の一部を有するユニットを載置する。
このようにして隣接するユニット10の間に金属箔16bを含む導電体層16が存在するようにユニット10及び金属箔16bを積層することによっても、図5(c)に示す積層体を作製することができる。
図5(c)には最も下のユニット10の下側にも別途金属箔16bを積層した状態を示している。
外装樹脂31による封止の際、金属箔16bが露出している側において、外装樹脂31の層が形成されても金属箔16bが露出するようにする。
また、金属箔16bが露出する端面と反対側の端面では、絶縁層17より弁作用金属基体11の陽極部側端面11aが突出又は露出するようにする。
また、封止を行った後に端面研磨等を行って弁作用金属基体11の陽極部側端面11a又は金属箔16bを露出させてもよい。
必要により、ユニット10のそれぞれの端面から突出した金属箔16b及び弁作用金属基体11の陽極部をカットすることにより、金属箔16bと弁作用金属基体11の陽極部側端面11aとが積層体の端面から露出している状態とする。そして、積層体の両端面に陰極外部電極33及び陽極外部電極32を形成することにより、固体電解コンデンサ1が得られる。
陰極外部電極及び陽極外部電極の形成は、めっき法により行うことができる。めっき層としてはZn・Ni・Au層、Ni・Au層、Zn・Ni・Cu層、Ni・Cu層等を使用することができる。さらに、これらのめっき層の上にNiめっき層、Snめっき層、Cuめっき層を形成することが好ましい。
まず、弁作用金属基体として、表面にエッチング層を有するアルミニウム化成箔を準備した。アルミニウム化成箔を覆うように、酸化皮膜からなる誘電体層を設けた。
具体的には、アルミニウム化成箔の表面をアジピン酸アンモニウム水溶液に浸漬させて電圧を印加することで、アルミニウム化成箔の表面のエッチング層に誘電体層を設けた。
また、絶縁層の陽極部側の端部で弁作用金属基体の陽極部側の端面が突出せずに絶縁層から露出するように、弁作用金属基体の一部を切断した。
なお、積層体の最下面と最上面にも金属箔を配置した。
実施例1と同様にして、弁作用金属基体の多孔質層の表面に誘電体層を形成し、続けて絶縁層及び固体電解質層を設けた。この後、固体電解質層の表面をカーボンペーストに浸漬した後、乾燥させることにより、カーボン層を形成し、得られたカーボン層の表面を銀ペーストに浸漬した後、乾燥させることにより、銀層を形成して固体電解コンデンサ素子とした。
このようにして得られた固体電解コンデンサ素子を導電性接着剤(NAMIX製H9480)を用いて所定数積層接着した後、外装樹脂により封止した。
この後、弁作用金属基体の陽極部側端面の露出部分を外部電極端子と抵抗溶接により接続した。
また、陰極層については、積層体の最下面に引き出し用の陰極外部電極を配置し、積層体の最下面に位置する銀層と陰極外部電極とを導電性接着剤により電気的に接続した。
各種類の固体電解コンデンサについて10個ずつ製造、測定しており、測定値は10個の平均値である。
図6に示すように、実施例1では、ユニットの積層数が増加するに従ってESRが低下しており、金属箔を用いてそれぞれの金属箔と陰極外部電極を直接接続することにより、ESRを低下させることができることが判明した。
一方、比較例1に係る固体電解コンデンサでは、固体電解コンデンサ素子の積層数が3層以上に増加しても、ESRの値は、殆ど変化していない。
厚さが異なる8種類の金属箔を用い、ユニットの積層数を2層とした他は、実施例1と同様にして、それぞれ8種類の固体電解コンデンサを製造し、実施例1と同様に、100kHzにおける等価直列抵抗(ESR)を測定した。その結果を表1に示す。
各種類の固体電解コンデンサについて10個ずつ製造、測定しており、測定値は10個の平均値である。
抵抗値が異なる5種類の材料からなる金属箔を用い、ユニットの積層数を2層とした他は、実施例1と同様にして5種類の固体電解コンデンサを製造し、実施例1と同様に、100kHzにおける等価直列抵抗(ESR)を測定した。ちなみに、金属箔の抵抗値が5mΩ又は10mΩである材料はエッチングありのアルミニウム箔、金属箔の抵抗値が34mΩ、35mΩ又は37mΩである材料はエッチングなしのアルミニウム箔である。その結果を下記の表2に示す。
各種類の固体電解コンデンサについて10個ずつ製造、測定しており、測定値は10個の平均値である。
表面の粗度等を変化させることによりカーボン層との接触抵抗が異なるようにした6種類の金属箔を用い、ユニットの積層数を2層とした他は、実施例1と同様にして6種類の固体電解コンデンサを製造し、実施例1と同様に、100kHzにおける等価直列抵抗(ESR)を測定した。その結果を下記の表3に示す。
各種類の固体電解コンデンサについて10個ずつ製造、測定しており、測定値は10個の平均値である。
接触抵抗の測定は、電極ランドパターンを形成したエポキシ樹脂基板に、バインダーを含むカーボンペーストを印刷してカーボン層を形成し、表面の粗度の異なる金属箔をカーボン層の上にそれぞれ貼り付け、硬化して作製した測定用サンプルを用いて行った。カーボンと金属箔の間の抵抗を4端子の直流抵抗計で測定して、金属箔とカーボン層との間の接触抵抗を測定した。
表面にエッチング処理(粗化処理)がされていない金属箔と表面にエッチング処理がされた金属箔の2種類の金属箔を用いて、金属箔へのエッチング処理の影響を評価した。
表4に示すb−1は、実施例1で得られるカーボン層を有するユニットのカーボン層上にさらに銀層を設けたものを1のユニットとし、エッチング処理されていないアルミニウム箔をユニット間に挟んで合計2層積層したものである。
b−2は、b−1においてエッチング処理されたアルミニウム箔をユニット間に挟んで合計2層積層したものである。
表4に示すc−1は、実施例1において固体電解質層までを形成してカーボン層を形成する前のユニットを1のユニットとし、エッチング処理されていないアルミニウム箔をユニット間に挟んで合計2層積層したものである。
c−2は、c−1においてエッチング処理されたアルミニウム箔をユニット間に挟んで合計2層積層したものである。
各種類の固体電解コンデンサについて10個ずつ製造、測定しており、測定値は10個の平均値である。
表4には、得られた固体電解コンデンサの種々の特性値やESRを示している。
なお、Cap.は、静電容量、dfは、誘電正接、L.C.は、漏れ電流を示している。
表面の粗さを変化させた5枚の金属箔を用い、ユニットの積層数を2層とした他は、実施例1と同様にして5種類の固体電解コンデンサを製造し、実施例1と同様に、100kHzにおける等価直列抵抗(ESR)を測定した。その結果を表5に示す。
各種類の固体電解コンデンサについて10個ずつ製造、測定しており、測定値は10個の平均値である。
弁作用金属基体の陰極部側側面及び陰極部側端面に絶縁材料からなる絶縁部を形成し、固体電解質層が設けられている領域が弁作用金属基体の主面上で絶縁材料に囲まれている構造のユニットを作製し、実施例1と同様に積層体を作製して固体電解コンデンサを製造した。
この固体電解コンデンサ(4辺マスク構造)の漏れ電流を測定した結果を図7に示した。
図7には、比較のために、陽極部及び陰極部を分離するために周設された絶縁材料からなる絶縁層のみを有する構造(1辺マスク構造)の結果を合わせて示した。
漏れ電流は電圧印加後2分後の値とした。
図7には、10個の固体電解コンデンサについて漏れ電流の値を小さい順に下から上に向かってプロットしている。一番上(累積度数100%)に位置するプロットのLC値が一番大きい固体電解コンデンサの漏れ電流の値である。
この結果から、4辺マスク構造であるとLC不良を抑制することができることがわかる。
直径11μm、30μm、99μm、250μm及び301μmの貫通孔が形成された金属箔を使用し、ユニットの積層数を2層とした他は、実施例1と同様にして5種類の固体電解コンデンサを製造し、実施例1と同様に、100kHzにおける等価直列抵抗(ESR)を測定した。その結果を表6に示す。
各種類の固体電解コンデンサについて10個ずつ製造、測定しており、測定値は10個の平均値である。
10、40、50 ユニット
10b、40b ユニットの陰極部側端面
11 弁作用金属基体
11a 弁作用金属基体の陽極部側端面
11b 弁作用金属基体の陰極部側端面
11c 弁作用金属基体の陰極部側側面
12 金属芯部
13 多孔質層
14 誘電体層
15 固体電解質層
16 導電体層
16a カーボン層(導電体層)
16b 金属箔(導電体層)
16b1 金属箔
16b2 カーボンコート
16b3 カーボンコートされた金属箔
17 絶縁層
18 側面マスク部(絶縁部)
19 端面マスク部(絶縁部)
21 陽極部
22 陰極部
31 外装樹脂
32 陽極外部電極
33 陰極外部電極
Claims (14)
- 多孔質層を表面に有する弁作用金属基体と、
前記多孔質層の表面に形成された誘電体層と、
前記誘電体層上に設けられた固体電解質層とを有するユニットが複数個積層された固体電解コンデンサであって、
積層されたユニットの間に導電体層が存在し、前記導電体層のうち少なくとも一つは金属箔を含み、
前記金属箔を含む導電体層は、前記固体電解質層上に設けられたカーボン層と、表面にカーボンコートされた金属箔とからなり、前記金属箔のカーボンコートされた表面が前記カーボン層と直接接しており、
前記ユニット及び前記導電体層は、外装樹脂により封止されており、
前記弁作用金属基体の陽極部側端面は、固体電解コンデンサの一端面において外装樹脂の表面に形成された陽極外部電極と直接接続されており、
前記金属箔は、固体電解コンデンサの他端面において外装樹脂の表面に形成された陰極外部電極と直接接続されていることを特徴とする固体電解コンデンサ。 - 前記金属箔と前記カーボン層との間の接触抵抗は、前記カーボン層と前記固体電解質層との間の接触抵抗よりも小さい請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
- 前記金属箔と前記カーボン層との間の接触抵抗は、5mΩ以上、351mΩ以下である請求項1又は2に記載の固体電解コンデンサ。
- 積層されたユニットの間に存在する導電体層のうち、複数の導電体層が前記金属箔を含んでいる請求項1〜3のいずれかに記載の固体電解コンデンサ。
- 積層されたユニットの間に存在する全ての前記導電体層が前記金属箔を含んでいる請求項1〜4のいずれかに記載の固体電解コンデンサ。
- 前記金属箔の表面には粗化面が形成されている請求項1〜5のいずれかに記載の固体電解コンデンサ。
- 前記金属箔の表面にはアンカーコート剤からなるコート層が形成されている請求項1〜6のいずれかに記載の固体電解コンデンサ。
- 前記金属箔の表面粗さRaは、30nm以上、1002nm以下である請求項6又は7に記載の固体電解コンデンサ。
- 前記金属箔の厚さは、6μm以上、100μm以下である請求項1〜8のいずれかに記載の固体電解コンデンサ。
- 前記金属箔の厚さ方向の抵抗値は、5mΩ以上、34mΩ以下である請求項1〜9のいずれかに記載の固体電解コンデンサ。
- 前記金属箔は、アルミニウム、銅及び銀からなる群より選択される少なくとも一種の金属からなる請求項1〜10のいずれかに記載の固体電解コンデンサ。
- 前記金属箔には、少なくとも1個の貫通孔が形成されている請求項1〜11のいずれかに記載の固体電解コンデンサ。
- 前記弁作用金属基体には、陽極部及び陰極部を分離するために周設された、絶縁材料からなる絶縁層と、
弁作用金属基体の陰極部側側面及び陰極部側端面を覆う、絶縁材料からなる絶縁部とが形成されており、
前記固体電解質層が設けられている領域は弁作用金属基体の主面上で絶縁材料に囲まれている請求項1〜12のいずれかに記載の固体電解コンデンサ。 - 複数の前記ユニットが積層されることにより形成された積層体の最下面と最上面には、前記金属箔が存在しない請求項1〜13のいずれかに記載の固体電解コンデンサ。
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